説明

ロール体用止め具

【課題】ゴミ等の異物の混入を防止して品質の向上を図ると共に、ロール体用止め具を装着した状態で機械にセットし作業効率の向上を図るロール体用止め具を提供する。
【解決手段】ロール体用止め具1は、円筒部2の一端に鍔部3を、又他端に中央に開放孔9を有する天面部10を形成し、該開放孔9には、紐状体11を介して天面部10に取り付けられた蓋体4が着脱自在に設けられている。該止め具1は、ロール体13が巻回された中芯12の両側に嵌め込まれ、そして機械にセットされる場合には、支持シャフトが左右両側から進出するタイプの機械では、該シャフトの挿通によって左右2個の蓋体4は自動的に押し抜かれる。よって、該蓋体4の離脱は自動的に行われるので作業効率が向上し、また、機械に取り付けられる直前まで蓋体4が固定されているので、水分、埃、虫等の異物の混入が防止され、商品としての品質を確保することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体用止め具に関し、更に詳しくは、フィルム等の長状物を中芯に巻回してなるロール体の保管・輸送に際し、中芯の変形を防止し、埃、虫等の異物の混入を防止すると共に、ロール体の加工機械へのセットを効率的に行えるようにしたロール体用止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、合成樹脂製フィルムをはじめアルミ箔、銅箔、紙、布などの長状物は、紙管などの中芯に巻回してロール体とし、円筒部の一端に鍔部を有するロール体用止め具を該鍔部を外側にし、ロール体の中芯の両側に嵌入してロール体を保護している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記保護の具体的内容は、輸送するに際し紙管等の中芯が潰れてしまうと、ロール体に傷が付いたり、また、使用に際して、例えば中芯内にシャフトを挿通して加工機械にセットすることができなくなったりするので、中芯が潰れないように防止すること、及び商品としてのロール体を外側から包装フィルムによって包装する際、ロール体用止め具の円筒部の表面と中芯の内面とに包装フィルム体を挟み込んで固定することであり、これによって商品としての品質を確保している。
【0004】
このようなロール体用止め具の種類としては、その形状から大きく分けて、鍔部の反対側に天面部の無いワッシャータイプと、天面部を有するキャップタイプの2種類がある。
【特許文献1】実用新案登録第2588527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のワッシャータイプの止め具にあっては、天面部が無いためロール体用止め具を中芯に付けたままで、加工機械にセットする際のシャフトの挿通は可能であるが、逆にこの天面部が無いため、昆虫やゴミ等の異物の混入が防止できず、また、湿気が紙管等の中芯やロール体に悪影響を与え、汚損したり、湿気を含ませたりしてロール体としての品質低下の要因になっていた。
【0006】
一方、キャップタイプの止め具にあっては、天面部を有しているので異物の混入は防止できるものの、ロール体用止め具を付けたままではシャフトの挿通ができないので、人手によってその都度取り外す必要があり、作業効率が悪いという課題があった。
【0007】
本発明は、上記諸課題に鑑み、昆虫やゴミ等の異物の混入を積極的に防止して品質の向上を図ると共に、ロール体用止め具を付けたままで加工機械にセットする際のシャフトの挿通を自動的又は半自動的に可能にし作業効率の向上を図ることを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1は、円筒部と該円筒部の一端に設けられた鍔部とからなり、該円筒部の他端に着脱自在に蓋体を設けたことを特徴とするロール体用止め具を内容とする。
【0009】
好ましい態様としての請求項2は、蓋体が少なくとも円筒部の鍔部とは反対側方向に押し抜くことが可能である請求項1記載のロール体用止め具である。
【0010】
好ましい態様としての請求項3は、蓋体がフランジ部と、その内側の、中央の把持部を挟んだ2個の円弧状膨出部とからなる請求項1又は2記載のロール体用止め具である。
【0011】
好ましい態様としての請求項4は、蓋体が紐状体により円筒部の天面部に取り付けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のロール体用止め具である。
【0012】
好ましい態様としての請求項5は、合成樹脂製である請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール体用止め具である。
【0013】
好ましい態様としての請求項6は、蓋体が紐状体により円筒部の天面部に一体成形されている請求項5記載のロール体用止め具である。
【0014】
好ましい態様としての請求項7は、鍔部がロール体の巻き径より大きい請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール体用止め具である。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロール体用止め具は、円筒部の他端に着脱自在の蓋体を設けたことにより、埃、虫、水分等の異物の中芯への混入を防止することができるので、例えば食品や医療関連用途のフィルムの場合には特に安全信頼性を確保することが可能になると共に、またロール体を加工機械にセットするに際しては、シャフトや棒状体で蓋体の裏側から押し抜くことによって、自動的又は半自動的に該蓋体を取り外してシャフトを容易に挿通することができるので作業効率を向上させることができる。
【0016】
また、ロール体の保管・運搬の際には、ロール体用止め具に蓋体が装着された状態にあるので止め具の剛性が強化され、梱包資材固定部材としての耐荷重性が安定する。
【0017】
また、着脱自在の蓋体をフランジ部と、その内側の中央に設けた把持部と、該把持部を挟んだ2個の円弧状膨出部とから形成することにより、シャフトや棒状体で蓋体の裏側から押すことによって円弧状膨出部が内側に変形・縮径するので、蓋体を容易に離脱にすることができ作業性に優れる。また、人手で蓋体を着脱する場合も、把持部を指で摘むことによって、上記と同じく、円弧状膨出部が内側に変形・縮径するので、容易に着脱することができる。
【0018】
また、蓋体が紐状体により円筒部の天面部に取り付けられている構成とすることにより、蓋体を紛失することがないので、必要なときに即座に装着でき作業効率が良い。
【0019】
また、止め具の鍔部をロール体の巻き径より大きく形成することにより、ロール体は宙吊り状態に保持されるのでロール体の両端部及び下面を効果的に保護することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のロール体用止め具は、円筒部と、該円筒部の一端に設けられた鍔部とからなり、また該円筒部の他端に着脱自在に蓋体が設けられ、該蓋体は少なくとも円筒部の鍔部とは反対側方向に押し抜くことが可能であることを基本構成としている。
【0021】
また、ロール体の巻き径が大きくなる場合には、それに略比例して中芯も大きくなり、したがって、ロール体用止め具も大きくなるが、この場合には円筒部の他端に、中央に開放孔を有する天面部を形成し、該開放孔に蓋体を着脱自在に設けるようにしても良い。
【0022】
また、円筒部の一端に設けられた鍔部をロール体の外径より大きく、且つ角状に形成してロール体端部を保護すると共に、ロール体の遊転を防止するように形成しても良い。
また、ロール体用止め具の素材は、特に制限はないが、ポリプロピレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂が好適である。
【0023】
以下、本発明のロール体用止め具を実施態様と示す図面に基づいて説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0024】
(実施態様1)
本発明の実施態様1におけるロール体用止め具1は、図1(a)、(b)に示すように、円筒部2と、該円筒部2の一端に設けられた鍔部3と、円筒部2の他端に着脱自在に設けられた蓋体4とから基本的に形成されている。
そして、蓋体4は、円筒部2の外径と同等か、やや小さな径で形成され、円筒部2の端部5に当接するフランジ部6と、該フランジ部6の内側中央に設けられた把持部7と、該把持部7を挟んで対称に設けられた2個の円弧状膨出部8とから形成されている。2個の円弧状膨出部8は、円筒部2に圧入されるように設計される。
【0025】
かくして、図2に2点鎖線で示すように、蓋体4の裏側から、すなわち、円弧状膨出部8の側からシャフト(又は棒状体)15で押せば、円弧状膨出部8が容易に内側に変形して縮径するので、蓋体4を円筒部2の鍔部3とは反対側方向に自動的又は半自動的に容易に離脱させることができる。また、人手により蓋体4を離脱させる場合は、円弧状膨出部8に指16a、16bを差し込み把持部7を両側から内側に押すように摘めば、上記と同様に、変形・縮径して蓋体4を容易に離脱させることができる。
【0026】
なお、図1、2では蓋体4にフランジ部6を有する形態を示したが、フランジ部6は必ずしも必要ではなく、即ち、円筒部2の内径と、この内径に当接する蓋体4の円弧状膨出部8の外径とをハメアイ寸法を考慮することによって、フランジ部6を省くこともできる。また、円弧状膨出部8を先端に近づく(フランジ部6から遠去かる)程先細りのテーパー状とすることにより、円筒部2内への円弧状膨出部8の圧入がし易くなる。
【0027】
(実施態様2)
本実施態様2におけるロール体用止め具1は、図3に示すように、円筒部2の端部5に、中央に開放孔9を有する天面部10を形成し、該開放孔9に蓋体4を着脱自在に設けるようにした形態である。
この形態はロール体の巻き径が大きく、これに比例してロール体用止め具1が大きくなる場合に好適で、天面部10に設けられる開放孔9の直径サイズを前述の実施態様1に示した円筒部2の内径と同一にすれば、同一の蓋体4を利用することが可能となり、また、蓋体4の離脱方法も同様に扱うことができるという特徴がある。
【0028】
また、図3に示すように、蓋体4を紐状体11を介して天面部10に取り付けておけば、装着時の作業効率が向上すると共に離脱後の蓋体4を紛失することが防止される。また、本発明のロール体用止め具1の素材と紐状体11の素材とを合成樹脂製とすれば、蓋体4は紐状体11により円筒部2の天面部10に一体成形することも可能である。
【0029】
図3では、円弧状膨出部8に連続的に又は断続的に環境に係止突起8aを設けた例を示したが、このような係止突起8aを設けることにより、蓋体4が不用意に円筒部2から離脱するのを防止することができる。
【0030】
次に、本発明のロール体用止め具1の使用例を図4を参照して説明する。
図4は紙管等の中芯12の外周に合成樹脂製フィルム等のフィルム状物を巻回してロール体13を完成させ、その後前述したロール体用止め具1を中芯12の両側に嵌入させた状態を示す側断面図である。
【0031】
止め具付きのロール体として、この図のような状態で印刷機等の機械にセットされる場合には、これを支持するためのシャフトが左右両側から進出するタイプの機械では、該シャフトの挿通によって左右2個の蓋体4は自動的に押し抜かれる。
また、シャフトが一方側から進出するタイプの機械では、一方側の蓋体4はシャフトによって押し抜かれ、他方の蓋体4は手又は棒状体で押し抜いてシャフトを挿通することができる。
【0032】
このように、本発明のロール体用止め具1は、所要の加工機械に取り付けられる直前まで蓋体4が固定されたままの状態なので、水分、埃、虫等の異物が中芯12へ混入することが防止され、これによって、ロール体13の商品としての品質が確保されると共に、またロール体13を加工機械にセットするに際しては、該蓋体4の離脱は自動又は半自動によって行われるので作業効率を更に向上することができる。
【0033】
続いて、本発明のロール体用止め具1の他の使用例を図5を参照して説明する。
図5は紙管等の中芯12の両端部に、円孔部を有する側板14を当接し、ロール体用止め具1を中芯12内に嵌め込んだ形態を示す側断面図であって、これ以外の構成内容については前述の図4に示した使用例と同様である。
【0034】
本他の使用例においては、側板14を設けたことによって、輸送中に振動が加わったとしても、ロール体13の端部が竹の子状に滑り出すのを防止するとともに、端部が汚損するのを防ぐことができる。また、側板14をロール体13の径よりも大きくすることにより図示するように、ロール体13は宙吊り状態となるので、ロール体13の下面の汚損も防ぐことができる。
【0035】
(実施態様3)
本実施の形態3におけるロール体用止め具1は、図6に示すように、前述の図1における鍔部3を拡大したもので、鍔部3Aの外径Xが中芯12に巻回してできる所定大きさのロール体13の巻き直径Yより大きくなるように形成されている。
【0036】
この形態のロール体用止め具1では鍔部3Aの平面視の形状は特に限定されず、円形状や四角形状あるいはこれ以外の形状であってもよく、特に四角形状であればロール体13を非遊転状態で、且つ宙吊り状態で安定して保持することが可能である。
【0037】
本実施態様のロール体用止め具1の使用例は、図7に示すように、中芯12の外周に合成樹脂製フィルム等のフィルム状物を巻回して所定サイズのロール体13を完成させ、続いて、前述のロール体用止め具1を中芯12内に嵌入させている。
本使用例においても止め具1の他端の天面部10に蓋体4が装着されているので、前述の図4で説明した効果と同一の効果、即ち、水分、埃、虫等の異物の中芯12へ混入するようなことはなく、ロール体の商品として充分な品質を確保すると共に、ロール体を加工機械にセットするに際しては、該蓋体4の離脱は自動又は半自動によって行われるので作業効率を更に向上することができるという効果が得られ、さらに、鍔部3Aの外径をロール体13の巻き直径より大きく形成したことにより宙吊り状態で安定して保持することができ、ロール体13の端部や下面の汚損を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
叙上のとおり、本発明のロール体用止め具は、円筒部の他端に着脱自在の蓋体を設けたことにより、埃、虫、水分等の異物の中芯への混入を防止することができるので、例えば食品や医療関連用途のフィルムの場合には特に安全信頼性を確保することが可能になると共に、またロール体を加工機械にセットするに際しては、該蓋体を自動的又は半自動的に取り外してしてシャフトを容易に挿通することができるので作業効率を飛躍的に向上させることができる。
また、ロール体の保管・運搬の際には、ロール体用止め具に蓋体が装着された状態にあるので止め具の剛性が強化され、梱包資材固定部材としての耐荷重性が大巾に向上し、安定的にロール体の保管や運搬が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)本発明の実施態様1におけるロール体用止め具の構成を示す断面図である。(b)同ロール体用止め具の右側面図である。
【図2】同ロール体用止め具に装着されている蓋体が縮径して抜け易くなる状態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施態様2におけるロール体用止め具の構成を示す断面図である。
【図4】同ロール体用止め具の使用例を示す断面図である。
【図5】同ロール体用止め具の他の使用例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施態様3におけるロール体用止め具の構成を示す断面図である。
【図7】同ロール体用止め具の使用例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ロール体用止め具
2 円筒部
3、3A 鍔部
4 蓋体
5 端部
6 フランジ部
7 把持部
8 円弧状膨出部
8a 係止突起
9 開放孔
10 天面部
11 紐状体
12 中芯
13 ロール体
14 側板
15 シャフト
16a、16b

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部と該円筒部の一端に設けられた鍔部とからなり、該円筒部の他端に着脱自在に蓋体を設けたことを特徴とするロール体用止め具。
【請求項2】
蓋体が少なくとも円筒部の鍔部とは反対側方向に押し抜くことが可能である請求項1記載のロール体用止め具。
【請求項3】
蓋体がフランジ部と、その内側の、中央の把持部を挟んだ2個の円弧状膨出部とからなる請求項1又は2記載のロール体用止め具。
【請求項4】
蓋体が紐状体により円筒部の天面部に取り付けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のロール体用止め具。
【請求項5】
合成樹脂製である請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール体用止め具。
【請求項6】
蓋体が紐状体により円筒部の天面部に一体成形されている請求項5記載のロール体用止め具。
【請求項7】
鍔部がロール体の巻き径より大きい請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール体用止め具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−182522(P2006−182522A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379116(P2004−379116)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(393030958)村角株式会社 (18)
【Fターム(参考)】