説明

ロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構

【課題】ロール巻きされた筒状の連続ポリ袋シートから一袋分のシートを切断用ミシン目で切りとり、その袋口を開ける操作を容易にする。
【解決手段】水平基台の両側に対向立設した側板間に第1の丸棒とそれに平行な軸心回りに回動するブラケットに取り付けた第2の丸棒、ガイド板からなる傾動機構とから成る。第2の丸棒は傾動時に表面を第1の丸棒に線接触させる。ガイド板は幅狭矩形板を長手方向を左右側板方向にして幅方向略中央で断面「へ」字状に折り曲げた形状とし、その基端側片は第2の丸棒と第1の丸棒の線接触時に表面延長面が線接触個所を通過、先端側片は略水平となるように折り曲げを調整する。先端側片の折り曲げ反対側縁部の中央部に矩形状の延出平面を形成し、その先端側縁は上方に折り曲げる。延出平面とその延長部の先端側片表面に弱粘着性のシートを貼着しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品販売店などに顧客が購入した食品を入れるために置いてあるロール巻きされた連続ポリ袋シートの切断用ミシン目での切断と袋の開口操作を容易にするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの食品販売店には、顧客が購入した食品を入れるためのロール巻きされた連続ポリ袋シートが架台に設置して準備されている。このロール巻きされた連続ポリ袋シートは、筒状にした極薄のポリエチレン製フィルムに1袋間隔で溶封部と切断用ミシン目を隣接して設けたものである。顧客はロール巻きから1袋分のシートを引き出してミシン目で切断し、袋の口を開けて食品を入れる。
【0003】
切り取った袋の口は、2枚の極薄フィルムが密着した状態になっているため口を開けるのは簡単ではない。このため架台横に指を湿らせる濡れタオル等を置いておき、湿らせた指先で引き離して開口させるのが一般的である。しかし、多人数が同じ濡れタオルに指先を触れるのは不衛生である。そのため密着した袋口を開口させる方法や装置が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開平5−305921)には、ロール巻きされた筒状の連続ポリ袋シートを1対の送り出しローラにより挾み、二つの送り出しローラの回転開始時期を互いに若干異ならせることにより開口させる方法が提案されている。しかし、この装置の場合はローラを回転させる駆動モータと制御装置を必要とする。また、特許文献2にも、異径で同数回転が可能な摩擦性を有する一対のローラ間に連続ポリ袋を通過させ、ポリ袋を形成している2面に進行距離の差を生じさて開口を容易にするロール巻きポリ袋の開口補助架台が開示されている。この技術の場合は駆動モータを必要としないがミシン目での袋の切断方法についての言及がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−305921号公報
【特許文献2】実用新案登録第3153307号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その課題はロール巻きされた筒状の連続ポリ袋シートから一袋分のシートを切断用ミシン目で切りとり、その袋口を開ける操作を容易にするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ロール巻きされた連続ポリ袋シートの切断用ミシン目での切断と袋口の開口操作を容易にするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構であって、水平基台の両側に対向して立設した左右側板と、該側板間に水平に取り付けた第1の丸棒と、傾動機構とを備えて構成され、傾動機構は第2の丸棒とガイド板とそれらを支持する左右一対のブラケットから成り、該左右一対のブラケットは左右側板の対称位置に固定した一対の回動軸に支持されて第1の丸棒と略同一水平高さで平行な軸心回りに回動可能とされ、第2の丸棒はブラケットと共に回動したときに表面が第1の丸棒に線接触するように支持され、ガイド板は側板間の間隔より長さの短い幅狭矩形板を長手方向を左右側板方向にして幅方向略中央で断面「へ」字状に基端側片と先端側片とに折り曲げた形状で、その基端側片は傾動機構が回動して第1の丸棒と第2の丸棒とが線接触した状態ではその表面の延長面が該線接触個所を通過する姿勢で支持され、先端側片は第1の丸棒と第2の丸棒とが線接触したときに略水平となるように折り曲げが調整され、先端側片における折り曲げ線と平行な縁部の中央部にはガイド板の長さより短い幅で矩形状に延出する延出平面が形成され、該延出平面の延出側端部には先端側片が略水平のときに上方に短く伸びる折り曲げ部が形成され、延出平面とその基端側延長方向の先端側片表面には弱粘着性のシートが貼着してあり、傾動機構は重心が回動中心よりも延出平面側寄りとなるように重量バランスが調整してあって傾動機構を自由回動状態にしたときには第2の丸棒が第1の丸棒に線接触した傾動状態で静止し得るように構成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0008】
このような構成によれば、連続ポリ袋シートは前回の切断により2枚重ねの下側シートの端部分が弱粘着性シートに付着した状態で残るので、上側シートを指で軽く押すことよりその口を容易に開かせることができる。開かせた後、口部分を弱粘着性シートから剥がして上方に次の一袋分の長さだけ引き出し、切断用ミシン目を延出平面先端に設けた折り曲げ部の先端に当てた状態で下方に引く。すると第1の丸棒と傾動機構の第2の丸棒との間に連続ポリ袋シートが強く挟まれて引き出しが阻止され、ミシン目部分でシートが切断される。このような簡単な操作によりロール巻きされた連続ポリ袋シートから一袋分の長さのシートを袋口を開口させた状態で容易に切り取ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、傾動機構は重心が傾動機構の回動中心よりも第2の丸棒側寄りとなるように重量バランスが調整してあって、傾動機構を自由回動状態にしたときには重心が回動中心の鉛直下方に位置した傾動状態で静止して第2の丸棒と第1の丸棒との間に隙間が形成されるように構成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0010】
重心位置がこのように調整してあると、ポリ袋シートをミシン目で切断させた後には傾動機構が自由回動状態となって重心が回動中心の鉛直下方に位置した状態で静止する。その結果、第2の丸棒と第1の丸棒との間に隙間が形成されるので、次の引き出しの際にはポリ袋シートが第2の丸棒と第1の丸棒との間に挟まれないことから引き出しに対する抵抗が少なくなってスムーズな引き出しを行なうことができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、ガイド板の第2の丸棒を無くし、代わりに基端側片における先端側片とは反対側の縁部を第1の丸棒とは反対側に折り曲げ、傾動機構を回動させたときに該折り曲げた角部外表面が第1の丸棒に線接触状態となるように構成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0012】
傾動機構をこのような構成にすれば第2の丸棒が不要となり製作コストが少なくなる利点がある。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、第1の丸棒に代えて幅狭の板材がその板面を水平基台に略垂直にして、且つ傾動機構を回動させたときにガイド板に取り付けた第2の丸棒又は先端側片の折り曲げた角部外表面が該板材に線接触状態となるようにして左右側板間に取り付けてあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0014】
第1の丸棒の代わりに板材を用いた本構成は製作が容易で製作コストを下げられる利点を有する。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、ロール巻きから引き出した連続ポリ袋シートが、傾動機構の回動中心である軸心を通る鉛直面の第1の丸棒とは反対側の下方から斜め上昇して傾動機構と板材との間に引き通される位置に傾動機構と板材とが取り付けてあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0016】
このような構成によれば、次の袋の切り取りのために連続ポリ袋シートを引き出す際に連続ポリ袋シートが基端側片の折り曲げた角部外表面を板材とは反対方向に押しやる。そのため折り曲げた角部外表面と板材との間に隙間が形成されて連続ポリ袋シートが両者に挟まれることがなくなって引き出しをスムーズに行なうことができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、第1の丸棒に代えて自由回転ローラを取り付けたことを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0018】
自由回転ローラを使用すれば連続ポリ袋の引き出しに抵抗する力が小さくなり引き出しをスムーズに行なうことができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、第1の丸棒の表面部又は板材における傾動機構側の表面部を摩擦抵抗の高い材料で形成したことを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0020】
ポリ袋シートの切断用ミシン目を延出平面先端に設けた折り曲げ部の先端に当てた状態で下方に引いて切断させる際には、折り曲げた角部外表面又は第2の丸棒と第1の丸棒との間にポリ袋シートを挟んで引き出しに抵抗する強い摩擦力を発生させる必要がある。従って、これらの部分を摩擦抵抗の高い材料で形成しておけば高い抵抗力が発生して引き出しを阻止する強い力を生じさせることができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断、開口補助機構において、延出平面の延出側端部の折り曲げ部は中央部が山形になるように形成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構である。
【0022】
このような構成によれば、張り力が弱くても山形の頂上部に当てがわれたミシン目部分に最初の破断を生じさせることができる。一度生じた小さな破断は容易に左右に広がるため全体として弱い力でポリ袋シートを切断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態に係るポリ袋切断・開口補助機構の斜視図である。
【図2】ポリ袋切断・開口補助機構の平面図である。
【図3】図1におけるA−A線を含む垂直断面図である。
【図4】図3の断面図における上部取り付け機構部の拡大図である。
【図5】ミシン目でポリ袋シートを切断する際の状態を示す図である。
【図6】ポリ袋シートをミシン目で切断した後の状態図である。
【図7】指先で2枚重なったポリ袋シートの口を開ける操作説明図である。
【図8】傾動機構の重心Gを第2の丸棒寄りにした場合の状態図である。
【図9】傾動機構の重心Gが第2の丸棒寄りである場合のポリ袋シートを切断した後の状態図である。
【図10】ガイド板の基端側片の縁部を折り曲げた構成の傾動機構である。
【図11】第1の丸棒を板材に置き替えた構成図である。
【図12】連続ポリ袋シートを引き出す際に基端側片の折り曲げた角部外表面と板材との間に隙間が形成されることの説明図である。
【図13】延出平面の延出端縁部の折り曲げ部を山形にしたガイド板である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構(以下、ポリ袋切断・開口補助機構という。)の構成例を実施形態に分けて説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るポリ袋切断・開口補助機構1の全体の斜視図、図2は平面図、図3は図1におけるA−A線を含む垂直断面図、図4は図3の断面図における上部取り付け機構部の拡大図である。
【0025】
ポリ袋切断・開口補助機構1は、水平基台2の両側に対向して立設した左右側板5、6の間に構成してある。左右側板5、6は図1では透明として描いてある。左右側板5、6の上部には、間隔を維持するための補強棒7が渡してある。水平基台2と左右側板5、6で囲まれた空間下部には、連続ポリ袋シート12aのロール巻き12を支持する支持機構8が構成してある。
【0026】
支持機構8は、2本の支持棒9、9を左右側板5、6間に同じ水平高さで間隔を開けて取り付け、丸棒をV字状に曲げた受け金具10、10を支持棒9、9の中間2個所で下支えするようにして構成してある。連続ポリ袋シート12aのロール巻き12(図1では2点鎖線で描いてある。)は、二つの受け金具10、10で下支えされる形で載置される。連続ポリ袋シート12aは、筒状にした極薄のポリエチレン製フィルムに1袋間隔で溶封部と切断用ミシン目を隣接して設けた周知のものである。スーパーなどで食品を購入した顧客がロール巻きから1袋分のフィルムを引き出してミシン目で切り取り、袋の口を開けて食品を入れるのに用いられる。
【0027】
ポリ袋切断・開口補助機構1の主要部は、左右側板5、6間の上部に取り付けた第1の丸棒14と傾動機構15とで構成される。第1の丸棒14は左右側板5、6の上部に水平に取り付けある。傾動機構15は第1の丸棒14に隣接し、第1の丸棒14の軸心に平行、且つ略同一水平高さの軸心回りに回動可能に取り付けである。
【0028】
傾動機構15は、第2の丸棒17とガイド板18とそれらを支持する左右一対のブラケット16から成る。傾動機構15を第1の丸棒14に平行な軸心回りに回動可能とするために、左右側板5、6のその軸心位置には回動軸となる一対のピン19が取り付けてある。左右一対のブラケット16はそのピン19により、又はそのピン19と一緒に、前記軸心回りに自由回動できるように取り付けてある。傾動機構15全体はブラケット16と共に左右のピン19の中心を通る軸心回りに回動する。
【0029】
傾動機構15を構成する第2の丸棒17は左右のブラケット16間に取り付けてあり、傾動機構15が図4における反時計方向に旋回したときに丸棒表面が第1の丸棒14に線接触する位置関係で固定してある。
【0030】
傾動機構15を構成するガイド板18は、左右側板5、6間の間隔より僅かに長さの短い幅狭の矩形板を、長手方向を左右側板5、6方向にして幅方向略中央で断面「へ」字状に折り曲げた形状をなしている。折り曲げてできた二つの片を基端側片20と先端側片21とする。基端側片20は左右両端部がブラケット16に固定してあり、傾動機構15が回動して第2の丸棒17が第1の丸棒14と線接触した状態では、その折り曲げた外面側表面の延長面がその線接触個所を通過する姿勢にしてある。第2の丸棒17とガイド板18は同じブラケット16に固定してあるため傾動機構15が傾動しても相対位置関係は変化しない。
【0031】
折り曲げでできた先端側片21は、第2の丸棒17が第1の丸棒14と線接触した状態ではその表面が第1の丸棒14とは反対側に略水平に伸びる姿勢となるように折り曲げ角度が調整してある。そして先端側片21における基端側片20とは反対側の縁部の中央部には、左右側板5、6の間隔の約1/3の幅で矩形状に延出する延出平面22が形成してある。その延出平面22の延出側端部には、先端側片21が略水平状態にあるときに斜め上方に僅かに伸びる状態となる折り曲げ部23が形成してある。このような形状に形成した上で、延出平面22及び延出平面22の基端側への延長位置に当たる先端側片21の表面には弱粘着性シート25が貼着してある。
【0032】
本実施形態の傾動機構15は、その重心位置が図4の断面図に示すG点を通る第1の丸棒14に平行な直線上に位置するように、即ち、傾動機構15の回動中心である左右のピン19を通る軸心よりも延出平面22側寄りとなるように全体の重量バランスが調整してある。そのような重量バランスは、必要であれば先端側片21の裏側に重りを追加することで容易に達成できる。重心位置Gがそのように調整してあるため、重心位置Gを左右のピン19を通る軸心を含む鉛直面を基準として第1の丸棒14とは反対側に位置させた状態から自由回動させると、傾動機構15は図4においては反時計方向に回動する。そして第2の丸棒17が第1の丸棒14に線接触した状態で静止する。即ち、本実施形態の傾動機構15は重量バランスが上述のように調整してあるので、外部から何の力も加えないと第2の丸棒17が第1の丸棒14に線接触した状態で静止する。
【0033】
支持機構8に載置されたロール巻き12から引き出した連続ポリ袋シート12aは、図3に示すように傾動機構15の基端側片20の延長方向から斜め上昇させて傾動機構15と第1の丸棒14との間に引き通す。そのため傾動機構15と第1の丸棒14は、ロール巻き12の中心軸線を含む鉛直面よりも連続ポリ袋シート12aの引き出し延長方向側となる位置に取り付けてある。
【0034】
次に、このように構成したポリ袋切断・開口補助機構1の使用方法について説明する。最初に図3、図4に示したように傾動機構15と第1の丸棒14との間に予め引き通されている連続ポリ袋シート12aの端を手でつかみ、ガイド板18の基端側片20の略延長方向に引き出す。引き出しは、切断用ミシン目が先端側片21の延出平面22の延出端に設けた折り曲げ部23の先端に当たる長さまで行なう。このように引き出す間、傾動機構15の第2の丸棒17は第1の丸棒14との間のポリ袋シート12aを弱い力で第1の丸棒14に押し付けているだけであるので引き出しの妨げにはならない。引き出しに抵抗する力はロール巻き12の外面とその支持機構8との間の摩擦力が殆どである。引き出しに抵抗する力を更に小さくするために第1の丸棒14を自由回転ローラとしてもよい。
【0035】
切断用ミシン目が折り曲げ部23の先端に当たる長さまで引き出したならば、切断用ミシン目を折り曲げ部23の先端に当てた状態でポリ袋シート12aの端を図5に示すように下方に引く。下方に引くと折り曲げ部23の先端はシート12aによって下方に向けた力を受ける。この力により傾動機構15には図5における反時計方向の回転モーメントが働く。この回転モーメントにより第2の丸棒17は第1の丸棒14に強く押しつけられる。二つの丸棒間に引き通されたポリ袋シート12aには引き出しに抵抗する強い摩擦力が働くことになって引き出しは阻止される。この摩擦力を更に高めるために第2の丸棒17の表面部を摩擦抵抗の高い材料で形成してもよい。
【0036】
ポリ袋シート12aの引き出しが二つの丸棒14、17により阻止されると、折り曲げ部23の先端、特に図2に示す折り曲げ部23の長手方向の両端角部分27に当接しているシート12aの切断用ミシン目部には、ミシン目に沿ってポリ袋シート面に直角方向の大きな力が働く。この力によりミシン目に破断が生ずる。両端角部分27で生じた破断はミシン目に沿って広がり、遂にはミシン目全体が破断して一袋分のポリ袋シートが切り取られる。
【0037】
ところで、ポリ袋シート12aがミシン目で切り取られる直前の状態、即ち、図5に示すように切断のためシート12aの端を手で下方に引っ張った状態では、傾動機構15の先端側片21及び延出平面22上で引っ張られた状態にあるシート12aの下側シートが延出平面22及び先端側片21上に貼られた弱粘着性シート25の表面に接触して粘着した状態になる。
【0038】
そして、ポリ袋シート12aがミシン目で切断された後では図6に示すように、延出平面22上のポリ袋シート12aの下側シートの大部分が弱粘着性シート25に粘着した状態となる。この状態では多くの場合、弱粘着性シート25に粘着した筒状ポリ袋シート12aの口は一部が開口した状態となる。一部が開いた袋の口、あるいは全く開いていない袋の口を更に開けるには、図7に示すように指先で2枚重なったポリ袋シート12aの上側シートを基端側片20の方向に押しやる。2枚重なったポリ袋シート12aの下面側シートは弱粘着性シート25に粘着した状態になっているので、上面側シートにこのような力を加えることでポリ袋シート12aの口部全体を容易に開口状態にすることができる。
【0039】
このポリ袋切断・開口補助機構1を使用して一袋分のポリ袋シート12aを実際に切り取る操作は、上述した説明とは逆になる。即ち、前回の切り取り操作を行なった後では、図6に示すようにポリ袋シート12aの端は袋口下面側シートが弱粘着性シート25に粘着し、上面側シートは下面側シートに密着するか一部開口した状態になっている。従って、切り取るには、最初に図7に示すように指で袋の上面を押して開口部を広げ、次に端をつかんで図4に示すように1袋分の長さだけロール巻き12から引き出し、最後に図5に示すようにつかんだ端を下方に引っ張ってミシン目で切断させる。
【0040】
以上説明したように本実施形態のポリ袋切断・開口補助機構では、連続ポリ袋シートは前回の切断により2枚重ねの下側シートの端部分が弱粘着性シートに付着した状態で残っているので、上側シートを指で軽く押すことよりその口を容易に開かせることができる。開かせた後、口部分を弱粘着性シートから剥がし、上方に次の一袋分の長さだけ引き出す。次に切断用ミシン目を延出平面先端に設けた折り曲げ部の先端に当てた状態で下方に引くと第1の丸棒と傾動機構の第2の丸棒との間に連続ポリ袋シートが強く挟まれて引き出しが阻止され、ミシン目部分でシートが切断される。このような簡単な操作によりロール巻きされた連続ポリ袋シートから一袋分の長さのシートを袋口を開口させた状態で切り取ることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では傾動機構15の重心位置Gを図4の断面図に示すように、傾動機構15の回動中心である左右のピン19を通る軸心よりも延出平面22側寄りとなるように全体の重量バランスが調整した。これに対して本実施形態は、傾動機構15の重心位置を図8の断面図に示すように、傾動機構15の回動中心である左右のピン19を通る軸心よりも第2の丸棒17側寄りとなるように全体の重量バランスを調整したものである。そのような重量バランスは、第2の丸棒17の重量を調整したり、必要であればブラケット16に重りを付加したりすることで容易に達成できる。
【0042】
重心位置Gがそのように調整してあると、図5に示したようにポリ袋シート12aの端を下方に引っ張ってミシン目で切断させた後では傾動機構15は自由回動状態となり、図9に示すように重心Gが回動中心である左右のピン19の鉛直下方に位置した状態で静止する。その結果、第2の丸棒17と第1の丸棒14との間に隙間が形成される。
【0043】
このような隙間が形成されていると、引き出しの際にポリ袋シート12aが第2の丸棒17と第1の丸棒14との間に挟まれることがないため、引き出しに対する抵抗力が小さくなってスムーズに引き出しを行なうことができる。
【0044】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では第1の丸棒14との間でポリ袋シート12aを挟むための傾動機構15側の部品として第2の丸棒17を用いた。これに対して本実施形態では第2の丸棒17を無くし、代わりにガイド板18の基端側片20の幅を少し広めに形成し、その先端側片21とは反対側の縁部を第1の丸棒14とは反対側に丸みをつけて折り曲げてある。傾動機構15を回動させたとき、その折り曲げた角部外表面29が図10に示すように第1の丸棒14に線接触状態となるように構成してある。
【0045】
傾動機構15の重心位置Gは、第1の実施形態のように傾動中心よりも延出平面22側寄りとしてもよいし、第2の実施形態のように傾動中心よりも延出平面22とは反対側寄りとしてもよい。図10に示すようにポリ袋シート12aの端を下方に引っ張ってミシン目で切断させる際には、折り曲げた角部外表面29と第1の丸棒14との間にポリ袋シート12aを挟んで引き出しに抵抗する強い摩擦力が発生する。この摩擦力を強くするために折り曲げた角部外表面29部分を摩擦抵抗の高い材料で形成しておくとよい。
【0046】
このような構成の傾動機構15は、第2の丸棒17が不要となることから製作コストが少なくなる利点がある。
【0047】
(第4の実施形態)
本実施形態は第1〜3の実施形態で用いてきた第1の丸棒14を板材に置き替えたものである。図11は、図10に示した第3の実施形態における第1の丸棒14を板材30に置き替えた図である。同様に図4、図8に示した第1、第2の実施形態における第1の丸棒14も板材30に置き替えてもよい。
【0048】
板材30は幅狭の金属板で製作してあり、板面は水平基台2に略垂直にし、傾動機構15が回動したときに第2の丸棒17又は基端側片20の折り曲げた角部外表面29が板材30に線接触するようにして左右側板5、6間に取り付けてある。その表面は強い摩擦力を発生させるために摩擦抵抗の高い材料で形成しておくとよい。
【0049】
第1の丸棒14の代わりにこのような板材30を使用した場合には、ロール巻き12から引き出した連続ポリ袋シート12aが板材30の下辺端に当たらないようにする必要がある。そのためにロール巻き12から引き出した連続ポリ袋シート12aは、傾動機構15の傾動中心を通る鉛直面に対して第1の丸棒14とは反対側の下方から斜めに上昇させて傾動機構15と板材30(又は、第1の丸棒14)との間に引き通すようにしてある。そのような斜め上昇をさせるためには、傾動機構15と板材30(又は、第1の丸棒14)とは図3におけるロール巻き12の回転軸心を通る鉛直面の後ろ側(正面から見て背面側)となる位置に取り付ける。
【0050】
第1の丸棒14の代わりに板材30を用いる本実施形態は、製作容易で製作コストを下げられる上に次のような利点を有する。即ち、次の袋を切り取るために連続ポリ袋シート12aを引き出す際、図12に示すように連続ポリ袋シート12aが基端側片20の折り曲げた角部外表面29を板材30とは反対方向に押しやる。そのため折り曲げた角部外表面29と板材30との間に隙間が形成されて連続ポリ袋シート12aが両者に挟まれることがなくなり、引き出しをスムーズに行なうことができる。
【0051】
(その他の実施形態)
これまでの実施形態ではガイド板18に設けた延出平面22の延出側端部は斜め上方に僅かに伸びる折り曲げ部23を設けた。この折り曲げ部23は図13に示すように中央部が山形になるように形成してもよい。このような構成にした場合は、弱い引っ張り力でもって山形の頂上部に当てがわれたミシン目部分に最初の破断を生じさせることができる。一度生じた小さな破断は左右に容易に広がるため、全体として弱い力でポリ袋シートを切り取ることができる。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1はロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構、2は水平基台、5、6は左右側板、12は連続ポリ袋シートのロール巻き、14は第1の丸棒、15は傾動機構、16はブラケット、17は第2の丸棒、18はガイド板、19はピン(回動中心)、20は基端側片、21は先端側片、22は延出平面、23は折り曲げ部、25は弱粘着性シート、29は折り曲げた角部外表面、30は板材、32は山形状折り曲げ部、Gは傾動機構の重心を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール巻きされた連続ポリ袋シートの切断用ミシン目での切断と袋口の開口操作を容易にするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構であって、水平基台の両側に対向して立設した左右側板と、該側板間に水平に取り付けた第1の丸棒と、傾動機構とを備えて構成され、
前記傾動機構は第2の丸棒とガイド板とそれらを支持する左右一対のブラケットから成り、該左右一対のブラケットは前記左右側板の対称位置に固定した一対の回動軸に支持されて前記第1の丸棒と略同一水平高さで平行な軸心回りに回動可能とされ、前記第2の丸棒はブラケットと共に回動したときに表面が前記第1の丸棒に線接触するように支持され、前記ガイド板は前記側板間の間隔より長さの短い幅狭矩形板を長手方向を左右側板方向にして幅方向略中央で断面「へ」字状に基端側片と先端側片とに折り曲げた形状で、その基端側片は傾動機構が回動して前記第1の丸棒と第2の丸棒とが線接触した状態ではその表面の延長面が該線接触個所を通過する姿勢で支持され、前記先端側片は前記第1の丸棒と第2の丸棒とが線接触したときに略水平となるように前記折り曲げが調整され、先端側片における折り曲げ線と平行な縁部の中央部には前記ガイド板の長さより短い幅で矩形状に延出する延出平面が形成され、該延出平面の延出側端部には先端側片が略水平のときに上方に短く伸びる折り曲げ部が形成され、延出平面とその基端側延長方向の前記先端側片表面には弱粘着性のシートが貼着してあり、傾動機構は重心が回動中心よりも前記延出平面側寄りとなるように重量バランスが調整してあって傾動機構を自由回動状態にしたときには前記第2の丸棒が前記第1の丸棒に線接触した傾動状態で静止し得るように構成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。
【請求項2】
請求項1に記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、前記傾動機構は重心が前記傾動機構の回動中心よりも前記第2の丸棒側寄りとなるように重量バランスが調整してあって、傾動機構を自由回動状態にしたときには前記重心が前記回動中心の鉛直下方に位置した傾動状態で静止して前記第2の丸棒と前記第1の丸棒との間に隙間が形成されるように構成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、前記ガイド板の前記第2の丸棒を無くし、代わりに前記基端側片における前記先端側片とは反対側の縁部を前記第1の丸棒とは反対側に折り曲げ、前記傾動機構を回動させたときに該折り曲げた角部外表面が前記第1の丸棒に線接触状態となるように構成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、前記第1の丸棒に代えて幅狭の板材がその板面を前記水平基台に略垂直にして、且つ前記傾動機構を回動させたときに前記ガイド板に取り付けた前記第2の丸棒又は前記先端側片の折り曲げた角部外表面が該板材に線接触状態となるようにして前記左右側板間に取り付けてあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。
【請求項5】
請求項4に記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、前記ロール巻きから引き出した連続ポリ袋シートが、前記傾動機構の回動中心である前記軸心を通る鉛直面の前記第1の丸棒とは反対側の下方から斜め上昇して前記傾動機構と前記板材との間に引き通される位置に前記傾動機構と板材とが取り付けてあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、前記第1の丸棒に代えて自由回転ローラを取り付けたことを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構において、前記第1の丸棒の表面部又は前記板材における前記傾動機構側の表面部を摩擦抵抗の高い材料で形成したことを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のロール巻き連続ポリ袋の切断、開口補助機構において、前記延出平面の延出側端部の折り曲げ部は中央部が山形になるように形成してあることを特徴とするロール巻き連続ポリ袋の切断・開口補助機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−131912(P2011−131912A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292892(P2009−292892)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000209223)棚橋工業株式会社 (23)
【出願人】(303021089)株式会社ホワイト (2)
【Fターム(参考)】