説明

ロール状被記録材の搬送装置及び記録装置

【課題】ロール状被記録材のセット位置がずれている場合であっても、ロール状被記録材の引出しに伴う通常の動作によってセット位置を補正する。
【解決手段】本発明のロール状被記録材の搬送装置1は、ロール部31の両端に装着されるロール押さえ5R、5Lと、ロール部31を支承するスピンドル4R、4Lと、ロール部31に回転を伝達するスピンドル4R、4Lと一体のスピンドルホルダ61R、61Lと、スピンドル4R、4Lを正逆転させるスピンドルモータ30と、ロール状被記録材Pを移動させる移動機構65とを備え、前記移動機構65を使用してロール状被記録材PをロールホルダHにセットした後、ロール部31をテンションが掛かる方向Xに相対回転させることによってロール状被記録材Pの基準エッジEの位置決めを実行する位置決め機構部60を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたロール状被記録材の位置決め機能を備えたロール状被記録材の搬送装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、記録装置の一例であるインクジェットプリンタを例に採って説明する。インクジェットプリンタの中には、A1プラス(ノビ)サイズやB0プラス(ノビ)サイズといった大判サイズの被記録材に対してインクを吐出して記録を実行することができる大型のインクジェットプリンタが存在する。この種の大型のインクジェットプリンタでは、ロール幅が24インチ(約610mm)、36インチ(約914mm)、44インチ(約1118mm)、ロール長が10m〜45mのロール状に巻かれたロール状被記録材が主に使用されている。また、ロール状被記録材の種類も多岐に及んでおり、用紙やフィルム等、材質の違うものから剛性の高い例えばレジンコート系の写真用紙や剛性の低い普通紙等、多くの種類のものが使用されている。
【0003】
そして、このようなインクジェットプリンタのプリンタ本体には、ロール状被記録材(以下ロール紙ともいう)をセットするためのロールホルダが設けられており、従来はロール紙のロール幅に応じて長さの違う複数本のロール軸を使用し、ロール紙のロール芯にロール軸を挿嵌してから前記ロールホルダにセットするようにしていた。しかし、このようなロール紙のセット作業は広い作業スペースを確保する必要があったり、作業に手間が掛かり、また長いロール軸を使用した場合にはロール軸の撓みによるロール紙の斜行の問題も存在していた。
【0004】
そこで提案されたのが下記の特許文献1に示すロール状被記録材の支持装置である。このロール状被記録材の支持装置は、ロール状被記録材の両端にロール押さえとなるフランジ部材を装着し、最初に従動側のフランジ部材をロールホルダの従動側に位置するロール幅方向に移動可能な第2ホルダ部材に装着する。そして、該第2ホルダ部材をロールホルダの駆動側に位置する第1ホルダ部材に向けてロール紙と共に移動させてロール紙に装着された駆動側のフランジ部材を前記駆動側の第1ホルダ部材に装着することでロール紙をロールホルダにセットするようにしている。
【0005】
このような構造のロール状被記録材の支持装置によれば、前記従来の広い作業スペースが必要で、作業に手間が掛かり、ロール軸の撓みによるロール紙の斜行が生ずるという問題は解決される。
【特許文献1】特開2007−261754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、第2ホルダ部材にセットしたロール紙を移動させて第1ホルダ部材にセットするとき、ロール紙の移動が十分でなく、駆動側のフランジ部材と第1ホルダ部材との間にガタが生じてしまう場合があった。そして、このようなガタが生じている状態でロール紙を引き出してしまえば、ロール紙の基準エッジの位置が決まらず、当該ロール紙に対して記録実行される画像の位置もずれてしまう。
【0007】
本発明の目的は、ロール状被記録材のロール部のセット位置が不十分な場合でもロール状被記録材の引き出し等に伴う通常の動作によって自動的にロール状被記録材の基準エッジを正規の基準位置に位置させることができるロール状被記録材の搬送装置及び該ロール状被記録材の搬送装置を備えた記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るロール状被記録材の搬送装置は、ロール状被記録材のロール部の両端に装着される一対のロール押さえと、前記ロール押さえに係合して前記ロール部を支持する一対のスピンドルと、前記ロール部から引き出されたロール状被記録材を挟持して搬送する搬送用ローラと、前記スピンドルで支持されている前記ロール部を、引き出されたロール状被記録材にテンションが掛かる方向に相対回転させることによって当該ロール部を長手方向の一方側に移動させ、当該ロール状被記録材の基準エッジを基準位置に当接させて位置決めする位置決め機構部とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本態様によれば、ロール状被記録材のロール部のセット位置が不十分な場合でもロール状被記録材の引き出し等に伴う通常の動作によって自動的にロール状被記録材の基準エッジを正規の基準位置に位置させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るロール状被記録材の搬送装置は、ロール状被記録材のロール部の両端に装着される駆動側ロール押さえ及び従動側ロール押さえと、前記駆動側ロール押さえ及び従動側ロール押さえに係合して前記ロール部を支持する駆動側スピンドル及び従動側スピンドルと、前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルを支持する駆動側支持機構及び従動側支持機構と、前記駆動側スピンドルを正転方向と逆転方向とに回転させるスピンドル駆動源と、前記従動側支持機構を前記駆動側支持機構に向けて移動させて前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルによる前記ロール部の支持状態を実現する移動機構と、前記ロール部から引き出されたロール状被記録材を挟持して搬送する搬送用ローラと、前記搬送用ローラ又はスピンドル駆動源を作動させて、或いはロール部からの被記録材の引き出しによって、前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルで支持されている前記ロール部を、引き出されたロール状被記録材にテンションが掛かる方向に相対回転させ、この回転によって当該ロール部を前記駆動側スピンドル側に移動させ、当該ロール状被記録材の基準エッジを基準位置に当接させて位置決めする位置決め機構部とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
本態様によれば、前記従動側支持機構を前記駆動側支持機構に向けて移動させて前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルによる前記ロール部の支持状態を実現した後に行うロール状被記録材のロール部からの始端の引き出し、搬送用ローラによる被記録材の送り動作あるいは搬送用ローラとロール部との間のロール状被記録材にテンションを付与するため等の為に行うスピンドルの巻取り方向への回転等、記録の実行に先立って行われる通常の動作を実行することによって、自動的にロール状被記録材のロール部のセット位置の補正が実行されてロール状被記録材の基準エッジを正規の基準位置に移動させることができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様又は第2の態様に係るロール状被記録材の搬送装置において、前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルにそれぞれ設けられた係合部61と、前記駆動側ロール押さえ及び従動側ロール押さえのそれぞれに設けられ、前記各スピンドルの前記係合部が動力伝達可能に係合する被係合部57とを備え、前記位置決め機構部は、前記駆動側ロール押さえの被係合部と駆動側スピンドルの係合部との間で構成されたカム構造であることを特徴とするものである。
【0013】
本態様によれば、前記位置決め機構部は、前記駆動側ロール押さえの被係合部と駆動側スピンドルの前記係合部との間に設けられているカム構造であるので、駆動側ロール押さえを駆動側スピンドルに向けて移動させて該駆動側スピンドルに前記駆動側ロール押さえをセットすることにより、カム構造が整う。すなわち、位置決め機構部を部品点数少なく構造簡単にして構成することができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、前記第3の態様に係るロール状被記録材の搬送装置において、前記カム構造は、前記駆動側ロール押さえの内周面に内側に張り出すように形成されているカムフォロワと、前記係合部の外周面に形成されているカム溝とを備えるカムによって構成されており、前記カム溝には、前記カムフォロワのカム溝内への進入を案内する誘込み部と、前記ロール部をテンションが掛かる方向に相対回転させることによって前記カムフォロワをカム溝内に引き込んでロール状被記録材の基準エッジを基準位置に導く引込み部と、前記ロール部をテンションが解除される方向に相対回転させることによって前記カムフォロワのカム溝からの退出を可能にするストレート部とが設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
本態様によれば、スピンドル駆動源の回転をロール状被記録材のロール部に伝達するために駆動側ロール押さえの被係合部と駆動側スピンドルの係合部との間に設けられている既存の係合構造を利用してカム構造を構成することができる。そして、カム溝に誘込み部と、引込み部と、ストレート部とを設けることによってカムフォロワの円滑なカム溝への進入と、ロール部のセット位置の補正(正規の基準位置への移動)及び保持と、カム溝からのカムフォロワの円滑な退出とが円滑に実行できるようになる。
【0016】
本発明の第5の態様は、前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係るロール状被記録材の搬送装置において、前記搬送用ローラと前記ロール部間のロール状被記録材に、前記ロール部のロール径の変化に因らず一定の設定テンションを発生させるテンション発生部を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
本態様によれば、ロール部のロール径が変化したとしても搬送用ローラとロール部間のロール状被記録材の設定テンションは常に一定になるように構成されているから、ロール状被記録材の送り精度が向上する。そして、前記ロール状被記録材の基準エッジの正規の基準位置への移動と相俟って記録実行品質の向上が図られる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る記録装置は、ロール状被記録材を引き出しながら記録ポジションに向けて搬送するロール状被記録材の搬送装置と、記録ポジションに搬送されたロール状被記録材の被記録面にインクを吐出して所望の記録を実行する記録実行装置とを備え、前記ロール状被記録材の搬送装置は前記第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係るロール状被記録材の搬送装置であることを特徴とするものである。
【0019】
本態様によれば、記録の実行に先立って行われる前記通常の動作を実行することによって自動的にロール状被記録材のセット位置の補正が実行されてロール状被記録材の基準エッジを正規の基準位置に移動させることができる。また、ロール部のロール径の変化に因ることなく、搬送用ローラとロール部間のロール状被記録材の設定テンションが常に一定になる。従ってロール状被記録材のロール幅方向の位置精度の向上と送り精度の向上とによって記録実行品質の向上が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例に係るロール状被記録材の搬送装置及び該ロール状被記録材の搬送装置を備えた記録装置について説明する。最初に本発明の記録装置を実施するための最良の形態としてインクジェットプリンタ100を採り上げて、その全体構成の概略を図面に基づいて説明する。尚、ここで説明するインクジェットプリンタ100は、例えばA3プラス(ノビ)サイズ以上のシート状の大判の被記録材(以下単票紙ともいう)や上述したA1プラス(ノビ)サイズやB0プラス(ノビ)サイズといったロール状に巻かれた大判のロール状被記録材(ロール紙ともいう)Pの被記録面に対して所望の記録を実行することができる大型のインクジェットプリンタである。
【0021】
図1は本体カバーを装着した状態のインクジェットプリンタの外観を示す斜視図、図2は本体カバーを取り外した状態のインクジェットプリンタを示す側断面図である。また、図3はインクジェットプリンタの内部構造の概略を示す側断面図である。
【0022】
図示のインクジェットプリンタ100は、記録装置本体の一例であるプリンタ本体3を備えており、該プリンタ本体3は、図1に示すように本体カバー2によって覆われている。プリンタ本体3の後部寄りの上部には、ロール紙Pを水平に保持するロールホルダHが設けられている。該ロールホルダHには、左右一対のスピンドル4R、4Lが設けられており、左右一対のフランジ部6R、6Lを有するロール押さえ5R、5Lによって保持された前記ロール紙Pを前記スピンドル4R、4Lによって一体に回転し得るようになっている。また、プリンタ本体3の前面の一例として左端寄りの部分には各色のインクカートリッジを個別に収容することができる複数のカートリッジスロットを備えたカートリッジホルダ8が設けられている。
【0023】
また、インクジェットプリンタ100の前面の一例として右端寄りの部分には、各種の操作指令を司る操作パネル9が設けられている。また、プリンタ本体3には約60°の前下がり傾斜姿勢で搬送案内板11が設けられており、前記スピンドル4R、4Lによって水平に保持されているロール紙Pをロール紙Pの引出し方向Aとなる前部下方に向けて搬送できるように案内している。また、プリンタ本体3には前記ロール紙Pを引き出しながら下流の記録ポジション26に向けて搬送する本発明のロール状被記録材の搬送装置1と、記録ポジション26に搬送されたロール紙Pの被記録面にインクを吐出して所望の記録を実行する記録実行装置12とが設けられている。
【0024】
記録実行装置12は、記録ポジション26の斜め上方に設けられており、直接、インクを吐出させて記録を実行する記録ヘッド13と、該記録ヘッド13を搭載して走査方向となるロール幅方向Cに往復移動するキャリッジ10とを備えている。また、記録ポジション26の下方にはロール紙Pの裏面を支承して前記記録ヘッド13の下面とのギャップPGを規定するプラテン28が設けられている。
【0025】
[実施例]
次に、このようにして構成されるインクジェットプリンタ100に対して適用することのできる本発明のロール状被記録材の搬送装置1について図面に基づいて具体的に説明する。
【0026】
図4は前記ロール紙を駆動側スピンドルと従動側スピンドルで支持した状態を示す斜視図、図5はロールホルダの従動側スピンドル周辺を拡大して示す斜視図、図6はロールホルダの駆動側スピンドル周辺を拡大して示す斜視図である。図7はロール紙とロール巻戻し機構を示す分解斜視図、図8は本発明の実施例に係るロール状被記録材の搬送装置を示す縦断面図、図9はロール紙の駆動側スピンドルに対する着脱の様子を段階的(a)〜(c)に示す要部縦断面図である。また図10は本実施例のロール状被記録材の搬送装置の各部の関係を模式的に示す構成図である。
【0027】
本実施例のロール状被記録材の搬送装置1は、ロール紙Pのロール部31の両端に装着される駆動側ロール押さえ5R及び従動側ロール押さえ5Lと、前記駆動側ロール押さえ5R及び従動側ロール押さえ5Lに係合して前記ロール部31を支持する駆動側スピンドル4R及び従動側スピンドル4Lと、前記駆動側スピンドル4R及び従動側スピンドル4Lを支持する駆動側支持機構14R及び従動側支持機構14Lと、前記駆動側スピンドル4Rを正転方向と逆転方向とに回転させるスピンドルモータ30と、前記従動側支持機構14Lを前記駆動側支持機構14Rに向けて移動させて前記駆動側スピンドル4R及び従動側スピンドル4Lによる前記ロール部31の支持状態を実現する移動機構65とを備えることによって基本的に構成されている。
【0028】
また本実施例にあっては、更に前記ロール紙Pの搬送部材として前記ロール部31から引き出されたロール紙Pを挟持して搬送する搬送用駆動ローラ19と搬送用従動ローラ20とによって構成される搬送用ローラ21と、前記ロール部31のロール径Dに影響されることなく、前記搬送用ローラ21とロール部31との間のロール紙Pに一定の設定テンションFを発生させるテンション発生部材29とを備えることによってロール状被記録材の搬送装置1が構成されている。
【0029】
そして、本実施例のロール状被記録材の搬送装置1の特徴的構成として、前記搬送用ローラ21又はスピンドルモータ30を作動させて、或いはロール部31からのロール紙Pの始端の引き出しによって、前記駆動側スピンドル4R及び従動側スピンドル4Lで支持されている前記ロール部31を、引き出されたロール紙Pにテンションが掛かる方向に相対回転させ、この回転によって当該ロール部31を前記駆動側スピンドル4R側に移動させ、当該ロール紙Pの基準エッジEを基準位置64Rに当接させて位置決めする位置決め機構部60とを備えている。
【0030】
更に、前記駆動側スピンドル4R及び従動側スピンドル4Lにそれぞれ設けられた係合部61R、61Lと、前記駆動側ロール押さえ5R及び従動側ロール押さえ5Lのそれぞれに設けられ、前記各スピンドル4R,4Lの前記係合部61R、61Lが動力伝達可能に係合する被係合部57R,57Lとを備えている。そして、前記位置決め機構部60は、前記駆動側ロール押さえ5Rの被係合部57Rと駆動側スピンドル4Rの係合部61Rとの間で構成されたカム構造60(位置決め機構60と同じ符号を使用する)であることを特徴とする。
【0031】
駆動側ロール押さえ5R、従動側ロール押さえ5Lは、ロール紙Pのロール芯7に内嵌するコア部53R、53Lと、ロール紙Pの両端面に当接してロール紙Pを保持する前記フランジ部6R、6Lとが一体に形成された部材である。フランジ部6R、6Lが設けられている各ロール押さえ5R、5Lの外側端面54R、54Lの中心には、前記各スピンドル4R、4Lの先端部55R、55Lを受け入れる小径の嵌合穴56R、56Lと、該嵌合穴56R、56Lと連通する大径の被係合部57R、57Lが形成されている。
【0032】
また、被係合部57R、57Lの内周面には等ピッチで一例として3個ずつの係合突起58R、58Lが内側に張り出すように設けられている。このうち駆動側の係合突起58Rは、カムフォロワ58R(係合突起58Rと同一の符号を使用する)としての機能を併せ持っている。
【0033】
各スピンドル4R、4Lは、長尺な金属製の丸棒状の部材で、前記先端部55R、55Lには嵌合穴56R、56Lへの挿嵌を容易にするためのテーパ加工が施されている。また、前記先端部55R、55Lの後方位置には、係合部61R、61Lが一体に設けられ、前記被係合部57R、57Lと係合してロール部31に回転動力が伝達されるようになっている。該係合部61R、61Lは、基体部62R、62Lと、前記各ロール押さえ5R、5Lの外側端面54R、54Lに当接するフランジ部63R、63Lとが一体に形成され、各スピンドル4R、4Lと一体回転するように構成されている。
尚、前記各ロール押さえ5R、5Lの外側端面54R、54Lに当接する前記フランジ部63R、63Lの内壁面を押当て基準面64R、64Lと定義する。
【0034】
前記従動側スピンドル4Lの係合部61Lの基体部62Lの外周面には前記従動側ロール押さえ5Lの係合突起58Lと係合する軸方向に延びる係合リブ66Lが前記係合突起58Lと同じく等ピッチで一例として3本設けられている。一方、駆動側の係合部61Rの基体部62Rの外周面には、前記駆動側ロール押さえ5Rの係合突起58Rとして機能するカムフォロワ58Rと係合するカム溝59が、前記カムフォロワ58Rと同じく等ピッチで一例として3ヶ所に形成されている。尚、前記カム溝59が形成されていない駆動側の基体部62Rの残りの部位が前記係合突起58Rと係合する係合凸部66Rになっている。
【0035】
位置決め機構部60は、前記移動機構65を使用してロール紙Pを前記各スピンドル4R、4Lで支持した後、ロール紙Pのロール部31を該ロール紙Pにテンションが掛かる方向Xに相対回転させることによってロール紙Pの基準エッジEの位置決めを実行する機構である。そして、本実施例では前記カムフォロワ58Rとカム溝59とを備える円筒カムによるカム構造60(位置決め機構部60と同じ符号を使用する)によって位置決め機構部60が構成されている。
【0036】
カム溝59は、前記カムフォロワ58Rのカム溝59内への進入を案内する誘込み部59Aと、前記ロール部31をロール紙Pにテンションが掛かる方向Xに相対回転させることによって前記カムフォロワ58Rをカム溝59内に引き込んでロール紙Pの基準エッジEを正規の位置Sに導く引込み部59Bと、前記ロール部31を前記テンションが解除される方向Yに相対回転させることによって前記カムフォロワ58Rのカム溝59からの退出を容易にするストレート部59Cとを備えることによって構成されている。そして、前記誘込み部59Aは、駆動側スピンドル4Rの先端部55R側が広く、フランジ部63R側に行くに従って狭くなるようにテーパ状に形成された対向する2つの傾斜面によって構成されている。
【0037】
また、前記引込み部59Bは、前記2つの傾斜面のうち前記テンションが解除される方向Yに位置する傾斜面の端部と接続され、フランジ部63R側に行くに従って広くなるようにテーパ状に形成された傾斜面によって構成されている。また、前記引込み部59Bのフランジ部63R側の端部には、セット位置に移動したカムフォロワ58Rを保持するための保持部67が形成されている。また、前記ストレート部59Cは、前記2つの傾斜面のうち前記テンションが掛かる方向Xに位置する傾斜面の端部に接続され、前記フランジ部63Rに向かって延びる水平面によって形成されている。
【0038】
スピンドルモータ30は、前記搬送用ローラ21とロール部31間のロール紙Pに一定の設定テンションFを発生させるテンション発生部材29になっている。そして、スピンドルモータ30の設定トルクTをロール紙Pのロール部31におけるロール径Dないしロール半径Rの変化に対応して制御することによって前記ロール紙Pの設定テンションFを一定にしている。また、前記各スピンドル4R、4Lとスピンドルモータ30は、ロール巻戻し機構32の構成部材になっている。ロール巻戻し機構32は、記録の実行等に伴って引出し方向Aに引き出されたロール紙Pの始端33を原点位置まで戻す等のために使用され、搬送用ローラ21とロール部31間のロール紙Pにテンションを付与する役割も有している。
【0039】
ロール巻戻し機構32は、前記各支持機構14R、14Lによって回転自在に水平に支持されている上述した各スピンドル4R、4Lと、一例として向かって右側に位置する駆動側支持機構14Rの下部に設けられている上述したスピンドルモータ30と、駆動側スピンドル4Rとスピンドルモータ30の出力軸との間に設けられ、前記スピンドルモータ30の出力軸の回転を減速して駆動側スピンドル4Rに伝えるギヤ輪列36とを備えることによって基本的に構成されている。
【0040】
また、移動機構65は、従動側支持機構14Lの下部に該支持機構14Lと一体に設けられるスライダ68と、該スライダ68の動きを案内するロール幅方向Cに延びるガイドレール69とを備えることによって構成されている。そして、前記ガイドレール69の上方と手前には、ロール紙Pを保持するための保持部70と、該保持部70へのロール紙Pの移送を容易にするための補助凹部71とが設けられている。そして、駆動側及び従動側の支持機構14R、14Lは、前記駆動側及び従動側のスピンドル4R、4Lを回転自在に支承する一例として2個ずつ設けられる軸受35R、35Lと、これらの軸受35R、35Lを支持する支持フレーム34R、34Lとを備えることによって構成されている。
【0041】
また、本実施例にあっては、スピンドルモータ30の後面にはスピンドルモータ30と一体になって回転する軸部37が突出状態で設けられている。そして、この軸部37には多数のスリット38が放射状に等ピッチで形成されている円板状の検出板39が取り付けられており、該検出板39の近傍には前記スリット38によってスピンドルモータ30の回転角度θを検出する検出器40が非接触状態で設けられている。そして、前記検出板39と検出器40とによってロータリーエンコーダ41が構成されている。
【0042】
また、前記搬送用駆動ローラ19のローラ軸42にも多数のスリット43が放射状に等ピッチで形成されている円板状の検出板44が取り付けられており、該検出板44の近傍には、前記スリット43によって搬送用駆動ローラ19の回転角度θを検出する検出器45が非接触状態で設けられている。そして、前記検出板44と検出器45とによってロータリーエンコーダ46が構成されている。また、搬送用駆動ローラ19の近傍にはロール半径推定工程時において搬送用駆動ローラ19の動作トルクTrを測定するトルク測定部47が設けられている。
【0043】
この他、本実施例に係るロール状被記録材の搬送装置1には前記ロール部31のロール径Dの変化に拘らず、搬送用ローラ21とロール部31間のロール紙Pに常に一定の設定テンションFが作用するように前記スピンドルモータ30の設定トルクTを前記ロール部31のロール径Dの変化に対応させて制御するトルク制御装置48が設けられている。
【0044】
そして、前記トルク制御装置48は、スピンドルモータ30の静負荷時のオフセットトルクTを測定する静メジャメント測定部49と、前記搬送用駆動ローラ19の動作トルクTrと前記搬送用駆動ローラ19のローラ半径rとによってロール紙Pの設定テンションFを設定するテンション設定部50と、前記2基のロータリーエンコーダ41、46によって検出したスピンドルモータ30の回転角度θと、搬送用駆動ローラ19の回転角度θと、前記搬送用駆動ローラ19のローラ半径rと、前記ギヤ輪列36の減速比1/Nとに基づいてロール紙Pのロール半径Rを推定するロール半径推定部51と、前記スピンドルモータ30の静負荷時のオフセットトルクTと、前記テンション設定部50によって設定した設定テンションFと、前記ロール半径推定部51によって推定したロール半径Rと、前記ギヤ輪列36の減速比1/Nとによって前記設定テンションFが一定になるようにスピンドルモータ30の設定トルクTを設定するトルク設定部52とを備えることによって構成されている。
【0045】
次にこのようにして構成される本発明のロール状被記録材の搬送装置1を使用することによって実行される本発明の(A)ロール状被記録材の着脱方法と、(B)スピンドルモータのトルク設定の手順について説明する。
【0046】
(A)ロール状被記録材の着脱方法
(1)ロール部の支持工程(図4、図9(a)参照)
移動機構65によって従動側支持機構14Lを移動させ、前記従動側のロール押さえ5Lがセットされたロール紙Pを駆動側のスピンドル4Rに向けて移動させて、該駆動側のスピンドル4Rに駆動側のロール押さえ5Rをセットする。具体的には、スライダ68と一体の従動側支持機構14Lをガイドレール69に沿って駆動側のスピンドル4Rに向けて移動させることによって駆動側のロール押さえ5Rの嵌合穴56R内に駆動側のスピンドル4Rの先端部55Rを進入させ、被係合部57R内に駆動側のスピンドルホルダ61Rの基体部62Rを進入させる。
【0047】
尚、本工程では必ずしも駆動側のロール押さえ5Rの外側端面54Rが駆動側のスピンドルホルダ61Rのフランジ部63Rに形成されている押当て基準面64Rに当接してなくてもよい。そして、カム溝59に進入したカムフォロワ58Rは図9(a)に示すように誘込み部59Aの傾斜によって案内されて少なくとも引込み部59Bとの接続部を通過した位置に至るようになる。
【0048】
(2)セット位置補正工程(図9(b)参照)
セット位置補正工程は、ロール紙Pのロール部31をテンションが掛かる方向Xに相対回転させることによってロール紙Pのセット位置を補正してロール紙Pの基準エッジEを正規の位置Sに移動させる工程である。具体的には、ロール紙Pを両スピンドルで支持した後に行うロール紙Pのロール部31からの始端33の引き出し動作、記録の実行等に伴って搬送用ローラ21が回転することによって生ずるロール紙Pの引出し方向Aへの送り動作、あるは搬送用ローラ21とロール部31との間のロール紙Pにテンションを付与するために行う駆動側のスピンドル4Rの巻取り方向Bへの回転動作等の記録の実行に先立って行われる通常の動作を実行する。
【0049】
そして、このような通常の動作を実行すると必然的に駆動側のスピンドル4R及び駆動側の係合部61Rはテンションが掛かる方向Xに相対回転するようになる。これに伴って、カムフォロワ58Rは、図9(b)に示すように引込み部59Bの傾斜によって案内されて移動し、フランジ部63Rの押当て基準面64Rに当接する保持部67に自然に至るようになる。そしてカムフォロワ58Rが保持部67に至るとロール紙Pの基準エッジEは正規の位置Sと一致した状態になる。
【0050】
(4)セット位置解除工程(図9(c)参照)
セット位置解除工程は、ロール紙Pのロール部31をテンションが解除される方向Yに相対回転させることによってセット位置に保持されていたロール紙Pの従動側への移動を可能にする工程である。即ち、図9(b)に示すカムフォロワ58Rが保持部67によって保持されている状態では上り傾斜の引込み部59Bが障害になってカムフォロワ58Rは従動側へ移動することができない。そこで、ロール紙Pを図9(c)に示すように、テンションが解除される方向Yに回転させる。これに伴ってカムフォロワ58Rは、見掛け上、上方に移動するようになって、図9(c)中、上方に位置するストレート部59Cに当接した状態になる。そして、この状態では前記カムフォロワ58Rは、ストレート部59Cに案内されて円滑に移動し得るから、ロール紙Pの駆動側のセット状態が容易に解除できるようになる。
【0051】
(B)スピンドルモータのトルク設定の手順
図11はスピンドルモータの設定トルクを設定する制御の流れ前半部分を示すフローチャート、図12は同上、後半部分を示すフローチャートである。
以下、これらのフローチャートに基づいてスピンドルモータ30のトルク設定の手順を(1)静メジャメント測定工程、(2)テンション設定工程、(3)ロール半径推定工程、(4)トルク設定工程の4つの工程に分けて説明する。
【0052】
(1)静メジャメント測定工程(図11参照)
ユーザは、ステップS1でロール紙Pをスピンドル4R、4Lにセットする。具体的にはロール紙Pの両端にロール押さえ5R、5Lを装着し、ロール押さえ5L側をスピンドル4Lに最初にセットする。そしてスピンドル4Lごとロール紙Pをスピンドル4R側に移動させてロール押さえ5R側をスピンドル4Rにセットする。次にステップS2でユーザは所定の記録実行設定を行い、記録実行指令を出す。
【0053】
次に、ステップS3に移行して搬送用駆動ローラ19を逆転させ、搬送用ローラ21とロール部31との間のロール紙Pに弛みを作る。そしてステップS4でロール紙Pを正転させて正転方向の静メジャメントを測定するか、ロール紙Pを逆転させて逆転方向の静メジャメントを測定するかの選択を行う。基本的にはステップS5に移行してロール紙Pを正転させ、ステップS7においてスピンドルモータ30正転時における静負荷時のオフセットトルクTを測定する。
【0054】
また、逆転方向の静メジャメントを測定する場合には、ステップS6に移行してロール紙Pを逆転させ、ステップS7においてスピンドルモータ30逆転時における静負荷時のオフセットトルクTを測定する。尚、前記オフセットトルクTの測定はスピンドルモータ30を正転ないし逆転させる際に必要な電流値に基づいて行う。
【0055】
(2)テンション設定工程(図11参照)
次に、ステップS8に移行して、ロール紙Pの弛みを取り、ステップS9で搬送用駆動ローラ19を正転させる。そして、ステップS10で搬送用駆動ローラ19の動作トルクTrをトルク測定部47によって測定し、ステップS11で搬送用駆動ローラ19の回転角度θをロータリーエンコーダ46によって検出する。更にステップS12に移行して測定した上記搬送用駆動ローラ19の動作トルクTrと既知のローラ半径rとに基づいて設定テンションFが、F=Tr/rの関係から算出される。
【0056】
また、ステップS13では検出した上記搬送用駆動ローラ19の回転角度θと既知のローラ半径rとに基づいて送り量LがL=r・θの関係から算出される。そしてステップS14に移行してロール紙Pが1回転したか否かが判別され、1回転した場合には次工程のロール半径推定工程に移行し、1回転未満の場合にはステップS3に戻って、繰り返しオフセットトルクTの測定と設定テンションF及び送り量Lの算出とが実行される。
【0057】
尚、搬送用駆動ローラ19の動作トルクTrを一定にした場合は、このテンション設定工程はなくなり、予め紙種や紙幅毎に設定されてテーブル化された各設定テンションから適宜設定されることになる。
【0058】
(3)ロール半径推定工程(図12参照)
次に、ステップS15に移行して算出された前記設定テンションFが予め設定されている基準テンションFよりも小さいか否かが判別され、F<Fの場合にはステップS16に移行して測定したオフセットトルクTのうちの最小値を選択する。一方、F≧Fの場合にはステップS17に移行して測定したオフセットトルクTの平均値が選択される。尚、前記Fは当該ロール紙Pに対応した基準テンションである。
【0059】
また、ステップS18ではスピンドルモータ30の回転角度θがロータリーエンコーダ41によって検出され、ステップS19ではステップS13で算出した送り量Lと、ステップS18で検出したスピンドルモータ30の回転角度θと、ギヤ輪列36の既知の減速比1/Nとに基づいてロール部31のロール半径RがR=(L/θ)・Nの関係から推定される。
【0060】
(4)トルク設定工程(図12参照)
次に、ステップS20に移行し、ステップS7で測定したオフセットトルクTと、ステップS12で算出した設定テンションFと、ステップS19で推定したロール半径Rと、既知の減速比1/Nとに基づいてスピンドルモータ30の設定トルクTがT=(F・R−T)/Nの関係から設定される。そしてステップS21に移行して前記設定トルクTによってもたらされる一定の設定テンションFによってロール径Dの変化に影響されることなく記録の実行が行われる。
【0061】
[他の実施例]
本願発明に係るロール状被記録材の搬送装置1及び該ロール状被記録材の搬送装置1を備えた記録装置100は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行なうことも勿論可能である。
【0062】
例えば、位置決め機構部は、前記実施例に示すようなカム構造60に限らず、駆動側のロール押さえ5Rの被係合部57Rをナット、駆動側のスピンドルホルダ61Rをボルトとして使用するネジ締結構造等であってもよい。またカム溝59の形状も前記実施例の形状に限らず、同様の作用、効果を奏することができる種々の形状のカム溝59が採用可能であるし、スピンドルホルダ61R側にカムフォロワ58R、ロール押さえ5R側にカム溝59を備える構成であっても構わない。
【0063】
この他、テンション発生部材29はスピンドルモータ30に限らず、他の電動モータや電磁クラッチあるいはブレーキ等であっても構わないし、低速回転が可能なスピンドルモータ30であればギヤ輪列36等を介さないで直接、駆動側のスピンドル4Rにスピンドルモータ30の出力軸を接続する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】インクジェットプリンタの外観を示す斜視図。
【図2】本体カバーを取り外した状態のインクジェットプリンタの側断面図。
【図3】インクジェットプリンタの内部構造の概略を示す側断面図。
【図4】前記ロール紙を駆動側のスピンドルにセットした状態を示す斜視図。
【図5】ロールホルダの従動側のスピンドル周辺を拡大して示す斜視図。
【図6】ロールホルダの駆動側のスピンドル周辺を拡大して示す斜視図。
【図7】ロール紙とロール巻戻し機構を示す分解斜視図。
【図8】本発明のロール状被記録材の搬送装置を示す正断面図。
【図9】ロール紙の駆動側の着脱の様子を段階的に示す正断面図。
【図10】本発明のロール状被記録材の搬送装置を示す側断面図。
【図11】スピンドルモータの設定トルク制御の前半を示すフローチャート。
【図12】スピンドルモータの設定トルク制御の後半を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
1 (ロール状被記録材の)搬送装置、 2 本体カバー、 3 プリンタ本体、 4R、4L スピンドル、 5R、5L ロール押さえ、 6R、6L フランジ部、 7 ロール芯、 8 カートリッジホルダ、 9 操作パネル、 10 キャリッジ、 11 搬送案内板、 12 記録実行装置、 13 記録ヘッド、 14R、14L 支持機構、 19 搬送用駆動ローラ、 20 搬送用従動ローラ、 21 搬送用ローラ、 26 記録ポジション、 28 プラテン、 29 テンション発生部材、 30 スピンドルモータ、 31 ロール部、 32 ロール巻戻し機構、 33 始端、 34R、34L 支持フレーム、 35R、35L 軸受、 36 ギヤ輪列、 37 軸部、 38 スリット、 39 検出板、 40 検出器、 41 ロータリーエンコーダ、 42 ローラ軸、 43 スリット、 44 検出板、 45 検出器、 46 ロータリーエンコーダ、 47 トルク測定部、 48 トルク制御装置、 49 静メジャメント測定部、 50 テンション設定部、 51 ロール半径推定部、 52 トルク設定部、 53R、53L コア部、 54R、54L 外側端面、 55R、55L 先端部、 56R、56L 嵌合穴、 57R、57L 被係合部、 58R カムフォロワ(係合突起)、 58L 係合突起、 59 カム溝、 59A 誘込み部、 59B 引込み部、 59C ストレート部、 60 カム構造(位置決め機構部)、 61R,61L 係合部、 62R、62L 基体部、 63R、63L フランジ部、 64R、64L 押当て基準面、 65 移動機構、 66R 係合凸部、 66L 係合リブ、 67 保持部、 68 スライダ、 69 ガイドレール、 70 保持凹部、 71 補助凹部、 100 インクジェットプリンタ(記録装置)、 P ロール紙(ロール状被記録材)、 H ロールホルダ、 PG ギャップ、 A 引出し方向(正転方向)、 B 巻取り方向(逆転方向)、 C ロール幅方向、 D ロール径、 F 設定テンション、 T 設定トルク、 R ロール半径、 θ (搬送用駆動ローラの)回転角度、 θ (スピンドルモータの)回転角度、 θ (スピンドルの)回転角度、 r ローラ半径、 L 送り量、 1/N 減速比、 T オフセットトルク、 Tr 動作トルク、 F 基準テンション、 E 基準エッジ、 S 正規の位置、 X テンションが掛かる方向、 Y テンションが解除される方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状被記録材のロール部の両端に装着される一対のロール押さえと、
前記ロール押さえに係合して前記ロール部を支持する一対のスピンドルと、
前記ロール部から引き出されたロール状被記録材を挟持して搬送する搬送用ローラと、
前記スピンドルで支持されている前記ロール部を、引き出されたロール状被記録材にテンションが掛かる方向に相対回転させることによって当該ロール部を長手方向の一方側に移動させ、当該ロール状被記録材の基準エッジを基準位置に当接させて位置決めする位置決め機構部と、を備えていることを特徴とするロール状被記録材の搬送装置。
【請求項2】
ロール状被記録材のロール部の両端に装着される駆動側ロール押さえ及び従動側ロール押さえと、
前記駆動側ロール押さえ及び従動側ロール押さえに係合して前記ロール部を支持する駆動側スピンドル及び従動側スピンドルと、
前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルを支持する駆動側支持機構及び従動側支持機構と、
前記駆動側スピンドルを正転方向と逆転方向とに回転させるスピンドル駆動源と、
前記従動側支持機構を前記駆動側支持機構に向けて移動させて前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルによる前記ロール部の支持状態を実現する移動機構と、
前記ロール部から引き出されたロール状被記録材を挟持して搬送する搬送用ローラと、
前記搬送用ローラ又はスピンドル駆動源を作動させて、或いはロール部からの被記録材の引き出しによって、前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルで支持されている前記ロール部を、引き出されたロール状被記録材にテンションが掛かる方向に相対回転させ、この回転によって当該ロール部を前記駆動側スピンドル側に移動させ、当該ロール状被記録材の基準エッジを基準位置に当接させて位置決めする位置決め機構部と、を備えていることを特徴とするロール状被記録材の搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロール状被記録材の搬送装置において、
前記駆動側スピンドル及び従動側スピンドルにそれぞれ設けられた係合部と、前記駆動側ロール押さえ及び従動側ロール押さえのそれぞれに設けられ、前記各スピンドルの前記係合部が動力伝達可能に係合する被係合部とを備え、
前記位置決め機構部は、前記駆動側ロール押さえの被係合部と駆動側スピンドルの係合部との間で構成されたカム構造であることを特徴とするロール状被記録材の搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロール状被記録材の搬送装置において、
前記カム構造は、
前記駆動側ロール押さえの内周面に内側に張り出すように形成されているカムフォロワと、
前記係合部の外周面に形成されているカム溝とを備えるカムによって構成されており、
前記カム溝には、前記カムフォロワのカム溝内への進入を案内する誘込み部と、
前記ロール部をテンションが掛かる方向に相対回転させることによって前記カムフォロワをカム溝内に引き込んでロール状被記録材の基準エッジを基準位置に導く引込み部と、
前記ロール部をテンションが解除される方向に相対回転させることによって前記カムフォロワのカム溝からの退出を可能にするストレート部と、
が設けられていることを特徴とするロール状被記録材の搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のロール状被記録材の搬送装置において、
前記搬送用ローラと前記ロール部間のロール状被記録材に、前記ロール部のロール径の変化に因らず一定の設定テンションを発生させるテンション発生部を備えていることを特徴とするロール状被記録材の搬送装置。
【請求項6】
ロール状被記録材を引き出しながら記録ポジションに向けて搬送するロール状被記録材の搬送装置と、
前記記録ポジションに搬送されたロール状被記録材の被記録面にインクを吐出して所望の記録を実行する記録実行装置と、を備え、
前記ロール状被記録材の搬送装置は請求項1から5のいずれか1項に記載のロール状被記録材の搬送装置であることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−234668(P2009−234668A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78950(P2008−78950)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】