説明

ロール状記録媒体のニアエンド検出装置およびプリンタ

【課題】記録媒体の残量の識別精度の向上を図ること。
【解決手段】自重によって鉛直方向下側に付勢されるロール状の記録媒体102の外周面を、当該記録媒体102の消費にともなって当該記録媒体102の中心位置が直線状の軌跡上を移動するように支持するペーパーホルダ110と、ペーパーホルダ110における側面の所定の位置に設けられ、記録媒体102の消費にともなってペーパーホルダ110の外に引き出されることによって回転する記録媒体102の所定の位置に対向した位置における単位時間当たりの変位量を検知する光反射型センサとを備え、光反射型センサが検知した変位量に基づいて当該光反射型センサによる検知時の記録媒体102の半径を算出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロール状に回巻された記録媒体の残量を検出するためのロール状記録媒体のニアエンド検出装置および当該ロール状記録媒体のニアエンド検出装置を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばロール状に回巻された記録媒体に対する印字をおこなうプリンタにおいては、落とし込むようにしてセットされたロール状に回巻された記録媒体を下方から支持する、いわゆる落とし込み方式のものがあった。このようなプリンタにおいて、ロール状に回巻された記録媒体の外径寸法は、記録媒体の消費にともなって変化する。また、このようなプリンタにおいて、ロール状に回巻された記録媒体の中心の巻芯部分は、記録媒体の自重および記録媒体の消費にともなう記録媒体の外径の縮小によって、プリンタ内における位置が変化する。
【0003】
従来、落とし込み方式のプリンタにおいては、消費にともなって所定の位置に移動した記録媒体の中心の巻芯部分に係合可能に設けられた突起部を備え、当該突起部がロール状に回巻された記録媒体の中心の巻芯部分に係合したことを検知することによって、記録媒体の残量が所定量以下になったこと、いわゆるニアエンドを検知するようにしたプリンタがあった。
【0004】
また、従来、たとえば紙送りローラに軸の回転数を検出する手段と、感熱紙ロールの回転数を検出する手段を備え、同時に検出した両者の回転数の差から感熱紙ロールの直径を算定し、感熱紙ロールの残量を検知するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0005】
ニアエンドを検知する技術としては、従来、たとえばロール紙繰り出し時におけるロール体の所定回転数または所定角度分の回転に要した回転時間を検出する手段と、ロール体の所定回転数または所定角度分の回転時のロール紙繰り出し量を検出する手段と、回転時間およびロール紙繰り出し量から検出時点でのロール体の径を算出して紙残量情報を得る演算処理手段と、を設けたものがあった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【0006】
また、従来、たとえば一定の速度で引き出されるロール紙の中心軸であるロール紙固定軸の回転速度を、スリット板およびセンサにて発生するパルス間隔の測定により算出し、そのパルスの時間間隔を一定の基準と比較することによりロール紙の用紙切れ時期の検知をおこなうようにした技術があった(たとえば、下記特許文献3を参照。)。
【0007】
また、従来、たとえばローラにより押圧されつつ移送されるロール状の用紙の残量を表示する用紙残量表示方式において、ロール状用紙軸の回転角度を検出して出力する軸回転角度検出部と、移送用紙を押圧して回転するローラの回転量を用紙の移送量として出力する送量計測部と、軸回転角度検出部および送量計測部それぞれの出力値を入力して用紙の残量を演算して出力する残量演算部とを備え、この残量演算部の出力値を入力して残量表示部において表示するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−16499号公報
【特許文献2】実開昭62−136453号公報
【特許文献3】特開平5−338335号公報
【特許文献4】特開平3−73746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1を含む従来の技術では、記録媒体の残量が所定量以下になったことは検知できるが、具体的な残量を把握することができないという問題があった。このため、たとえば繁忙中にニアエンドが報知されたために新しい記録媒体への交換をおこなわずに印字を継続した場合、実際の残量がどの程度であるかが分からなくなってしまい、印字中に記録媒体が不足してしまったりする問題があった。
【0010】
また、上述した特許文献2〜4に記載された従来の技術は、記録媒体が定位置で回転する、すなわち中心位置が固定された状態の記録媒体の残量を検知するものであり、投げ込み方式のプリンタにおける記録媒体の残量を精度よく案内することができないという問題があった。
【0011】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、記録媒体の残量の識別精度の向上を図ることができるロール状記録媒体のニアエンド検出装置およびプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるロール状記録媒体のニアエンド検出装置は、自重によって鉛直方向下側に付勢されるロール状の記録媒体の外周面を、当該記録媒体の消費にともなって当該記録媒体の中心位置が直線状の軌跡上を移動するように支持する記録媒体支持部と、前記記録媒体支持部における側面の所定の位置に設けられ、前記記録媒体の消費にともなって前記記録媒体支持部の外に引き出されることによって回転する前記記録媒体の前記所定の位置に対向した位置における単位時間当たりの変位量を検知する変位量検知手段と、前記変位量検知手段が検知した変位量に基づいて、当該変位量検知手段による検知時の前記記録媒体の半径を算出する算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、消費にともなって記録媒体支持部において回転する記録媒体の所定の位置における変位量に基づいて、当該変位量の検知時における記録媒体の半径を正確に算出することができる。
【0014】
また、この発明にかかるロール状記録媒体のニアエンド検出装置は、上記の発明において、前記算出手段が、前記所定の位置に対向した位置における前記記録媒体の速度を算出し、算出した速度に基づいて前記所定の位置に対向した位置と前記中心位置との距離を算出し、算出した距離と前記記録媒体の回転軸に直交する面内において前記中心位置の移動軌跡をあらわす一次式とに基づいて前記面内における前記中心位置を特定し、特定した前記中心位置に基づいて前記変位量検知手段による検知時の前記記録媒体の半径を算出することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、記録媒体支持部を、記録媒体の消費にともなって当該記録媒体の中心位置が直線状の軌跡をなすように構成することによって、流動的要素となる変位量を検知するだけで当該変位量の検知時における記録媒体の半径を正確に算出することができる。
【0016】
また、この発明にかかるロール状記録媒体のニアエンド検出装置は、上記の発明において、前記算出手段が算出した前記記録媒体の半径に基づいて、前記記録媒体の残量を報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、精度良く識別した記録媒体の残量を報知することができる。これによって、プリンタの利用者に対して、記録媒体の残量を精度よく把握させることができる。
【0018】
また、この発明にかかるプリンタは、前記記録媒体支持部から供給された前記記録媒体に対する印字をおこなう印字部と、上記のロール状記録媒体のニアエンド検出装置と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、精度よく残量の判定がなされた記録媒体に対して印字をおこなうことができるので、たとえば記録媒体の残量と印字量との関係やプリンタの使用状況(忙しいかどうか、など)に応じて適切なタイミングでの記録媒体の交換作業を支援することができる。
【0020】
これによって、印字の途中で記録媒体が不足する事態を発生させたり、繁忙中に他の業務に優先させて記録媒体の交換をおこなったりさせることを回避し、記録媒体の交換を含む各種作業を効率よくおこなわせることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかるロール状記録媒体のニアエンド検出装置およびプリンタによれば、記録媒体の残量の識別精度の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明にかかる実施の形態のプリンタの概略構成の一例を示す説明図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態のプリンタの機能的構成を示す説明図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態のプリンタにおける記録媒体の残量の算出方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるロール状記録媒体のニアエンド検出装置およびプリンタの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態)
まず、この発明にかかる実施の形態のプリンタ装置について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態のプリンタの概略構成の一例を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、ペーパーホルダ110と、印字部120と、カッタ部130と、を備えている。
【0025】
ペーパーホルダ110と印字部120、および、印字部120とカッタ部130とは、記録媒体搬送経路101を介して連通されている。ペーパーホルダ110、印字部120およびカッタ部130は、記録媒体搬送経路101に沿って上流側から下流側に向かって、ペーパーホルダ110、印字部120、カッタ部130の順に配列されている。
【0026】
ペーパーホルダ110は、記録媒体102を支持する。記録媒体102は、長尺状をなし、巻芯の周囲において長手方向の一端側から回巻されたロール状をなしている。そして、記録媒体102は、ロール状に回巻された状態で、プリンタ100が備えたペーパーホルダ110に支持される。ペーパーホルダ110は、ロール状に回巻された記録媒体102の外周部を支持する。
【0027】
ペーパーホルダ110に収納されたロール状に回巻された記録媒体102は、たとえば印字などの記録媒体102の消費に際して、外周側からペーパーホルダ110の外へ引き出される。このため、ロール状に回巻された記録媒体102は、消費にともなって外径寸法が小さくなる。
【0028】
ペーパーホルダ110は、ロール状に回巻された記録媒体102が当該記録媒体102の消費にともなって自重によって移動することが可能な状態で、記録媒体102を支持する。ペーパーホルダ110に支持されているロール状に回巻された記録媒体102は、当該記録媒体102の消費にともなって外径寸法が小さくなるにつれて、ペーパーホルダ110内を鉛直方向下側に向かって移動する。ペーパーホルダ110の構成については、説明を後述する。
【0029】
プリンタ100は、ペーパーホルダ110に支持された、ロール状に回巻された記録媒体102の残量を検知(検出)するロール状記録媒体のニアエンド検出装置(以下「ニアエンド検出装置」という)を備えている。ニアエンド検出装置は、ペーパーホルダ110に収納された、ロール状に回巻された記録媒体102の側面の単位時間当たりの変位量を検知するセンサを備え、当該センサによる検知結果に基づいて記録媒体102の残量を算出する。
【0030】
ニアエンド検出装置が備えるセンサは、たとえば光反射型センサ(図2における符号209を参照)によって実現することができる。具体的には、ニアエンド検出装置が備える光反射型センサは、たとえばペーパーホルダ110に支持されたロール状に回巻された記録媒体102の側面に対して照射する光を発光する発光素子と、記録媒体102の側面からの反射光を受光する受光素子と、によって構成することができる。発光素子は、たとえばLEDやレーザ光源などの光源(図2における符号209aを参照)を用いることができる。受光素子は、具体的には、たとえばイメージセンサ(図2における符号209bを参照)を用いることができる。
【0031】
このような構成をなす光反射型センサは、光源からペーパーホルダ110に支持されたロール状に回巻された記録媒体102の側面に対して光を照射し、記録媒体102の側面からの反射光をイメージセンサによって読み取る。この光反射型センサにおいては、たとえばイメージセンサが画像を読み取る時間間隔(フレームレート)が、たとえば1秒間当たりに数百〜数千回読み取るように設定することができる。ニアエンド検出装置による残量の算出方法については説明を後述する。
【0032】
印字部120は、ペーパーホルダ110から搬送されてきた記録媒体102に対して、文字などの印字をおこなう。印字部120は、文字を印字するものに限らず、記号や所定のロゴマークやその他の画像など、文字以外を印字することができる。印字部120における印字方式は、たとえばサーマル方式とすることができる。
【0033】
たとえばサーマル方式の印字をおこなう印字部120は、サーマル方式のプリントヘッド(サーマルヘッド)121とプラテン122とによって構成することができる。プリントヘッド121およびプラテン122は、記録媒体搬送経路101を間にして対向配置されている。
【0034】
具体的には、サーマル方式のプリントヘッド(サーマルヘッド)121は、たとえば記録媒体102の幅方向にライン状に配列された複数の発熱素子を備え、各発熱素子に対して選択的に通電し、各発熱素子を選択的に発熱させることによって文字などの印字をおこなう。
【0035】
このように、サーマル方式の印字をおこなう印字部120を備えたプリンタ100においては、感熱発色性を備えた記録媒体102を用いる。サーマル方式のプリントヘッド121および当該プリントヘッド121の制御方法については、公知の各種技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
【0036】
プラテン122は、印字に際してプリントヘッド121によって印字圧が加えられる記録媒体102を、記録媒体搬送経路101を間にしてプリントヘッド121とは反対側から支持する。この実施の形態において、プラテン122は、プリントヘッド121により印字がなされる記録媒体102を搬送する機能を備えている。
【0037】
記録媒体102を搬送する機能を備えたプラテン122は、たとえば記録媒体102の搬送方向(図1における紙面表裏方向)を軸心方向とする略円柱形状をなす部材によって実現することができる。このようなプラテン122は、図示を省略するギアなどを介してモータなどの駆動源に連結されている。
【0038】
この実施の形態において、プラテン122はプラテン用のモータ(図2における符号207を参照)から伝達された駆動力を受けて回転し、回転することによって記録媒体102を搬送する。記録媒体102を搬送する機能は、プラテン122が備えるものに限らず、記録媒体搬送経路101中に1あるいは複数の搬送ローラを設け、この搬送ローラによって実現するようにしてもよい。
【0039】
カッタ部130は、記録媒体搬送経路101において、印字部120よりも記録媒体102の搬送方向の下流側において、印字部120を通過した記録媒体102を任意の長さでカットする。カッタ部130は、固定刃131と可動刃132とを備えている。固定刃131は、位置が固定されている。可動刃132は、記録媒体搬送経路101を間にして固定刃131に対向する位置に設けられている。また、可動刃132は、固定刃131に対して接離する方向に移動可能に設けられている。
【0040】
カッタ部130は、可動刃用のモータ(図2における符号208を参照)などの駆動源や、当該モータが発生させた駆動力を可動刃132に伝達する動力伝達機構(図示を省略する)などを備えている。カッタ部130は、固定刃131と可動刃132との間に記録媒体102が位置付けられている状態で、固定刃131に対して、モータが発生させた駆動力によって可動刃132を接近させることによって、固定刃131と可動刃132との間に位置付けられた記録媒体102をカットする。これにより、印字部120において印字がなされた記録媒体102を、任意の長さでカットすることができる。
【0041】
また、カッタ部130は、記録媒体102を切断した後、モータが発生させた駆動力によって固定刃131から離反する方向に可動刃132を移動させ、固定刃131と可動刃132との間に隙間を形成する。この状態でプラテン122を回転させることによって、ペーパーホルダ110に支持された記録媒体102が記録媒体搬送経路101における下流側に向かって繰り出される。これにより、次回の印字が可能な状態とされる。
【0042】
プリンタ100は、図示を省略するケーシング内に収容されている。ケーシングは、たとえば箱形状をなすケーシング本体やケーシング本体の開口部を塞ぐプリンタカバーなどによって構成することができる。このようなケーシングは、記録媒体102の補充や交換に際して、ケーシング本体の開口部を開いてプリンタ100におけるペーパーホルダ110が記録媒体102の補充や交換が可能な状態となるようにプリンタカバーが開閉可能とされている。
【0043】
ケーシングには、プリンタ100の利用者などによって操作された場合に、ロック機構における係合を解除するロック解除レバーなどが設けられていてもよい。ケーシングは、たとえばロック解除レバーが操作されてロック機構における係合が解除された場合に、外部に対してペーパーホルダ110を開放するように構成することができる。
【0044】
プリンタカバーを開き方向に移動させ、ペーパーホルダ110を外部に対して開放した状態においては、ロール状に回巻された記録媒体102をペーパーホルダ110に収納したり、ペーパーホルダ110に収納された記録媒体102をペーパーホルダ110から取り出したりすることができる。ロック解除レバーは、たとえばペーパーホルダ110に収納されている記録媒体102の残量が少なくなり、新しい記録媒体102をセットする場合などに操作される。
【0045】
このケーシングには、たとえば図示を省略する操作パネルなどを設けることができる。操作パネルは、たとえばプリンタ100に対する各種の操作を受け付ける操作キー(図2における符号206を参照)、プリンタ100の状態を示すLEDランプ(図2における符号203を参照)およびプリンタ100の状態を文字または記号によって示す液晶表示部(図2における符号204を参照)などによって構成することができる。また、ケーシングには、プリンタ100の電源のON/OFFを切り替える電源スイッチなどを設けてもよい。
【0046】
具体的に、LEDランプは、たとえばプリンタ100の電源が投入されて印刷待機状態になった場合や、プリンタ100においてエラーが発生した場合、あるいは、プリンタ100が保持する記録媒体102の残量が所定以下になった場合などに、点灯または点滅する。液晶表示部は、上記のように印刷待機状態になった場合、エラーが発生した場合、あるいは、記録媒体102の残量が所定以下になった場合などに、各状況を案内する情報を表示して報知する。
【0047】
また、プリンタ100は、所定の音声を出力する音声出力装置(図2における符号205を参照)を備えていてもよい。音声出力装置は、プリンタ100においてエラーが発生した場合や、プリンタ100が保持する記録媒体102の残量が所定以下になった場合などに、音声ガイダンスあるいは警告音を出力し、各状況を報知する。
【0048】
具体的には、音声出力装置は、たとえばスピーカによって実現することができる。あるいは、具体的には、音声出力装置は、たとえばブザーなどによって実現してもよい。音声出力装置については、公知の各種の技術を用いて容易に実現可能であるため、説明を省略する。
【0049】
このようなプリンタ100において、ペーパーホルダ110に収納されたロール状に回巻された記録媒体102は、当該記録媒体102をペーパーホルダ110から印字部120に向かって繰り出すようプラテン122が回転することによって外周側から引き出され、印字部120に供給される。
【0050】
ロール状に回巻された記録媒体102は、外周側から引き出されることによって、外径寸法を小さくしながら、ペーパーホルダ110において回転する。ロール状に回巻された記録媒体102は、ペーパーホルダ110において、自重によって鉛直方向下側に付勢されているため、記録媒体102がロール状に回巻される軸の位置すなわち記録媒体102の中心位置は、外径寸法が小さくなるにともなって下方へ移動する。
【0051】
ペーパーホルダ110は、記録媒体102の中心位置が、当該記録媒体102の消費にともなって直線状の軌跡上を移動するように、ロール状に回巻された記録媒体102を支持している。ニアエンド検出装置が備える光反射型センサは、ペーパーホルダ110内の記録媒体102がなくなるまで、当該記録媒体102の画像を読み取ることができる位置に設けられている。
【0052】
ニアエンド検出装置が備える光反射型センサの位置は、ペーパーホルダ110内の記録媒体102が完全になくなるまで画像を読み取る位置に限るものではない。具体的には、ニアエンド検出装置が備える光反射型センサの位置は、たとえばロール形状をなさなくなる長さや印字に適さない長さなど、所定の長さ以下になるまで画像を読み取ることができる位置であってもよい。
【0053】
ニアエンド検出装置は、LEDやレーザ光源からペーパーホルダ110に支持されたロール状に回巻された記録媒体102の側面に対して光を照射し、記録媒体102の側面からの反射光をイメージセンサによって読み取り、X軸方向およびY軸方向の移動量を算出する。移動量の算出方法は、たとえば所定時間ごとにイメージセンサが読み取った画像を比較し、最新の読み取り画像と直前の読み取り画像とを比較して、各画像に含まれる共通部分を検出し、最新の読み取り画像における当該共通部分が直前の読み取り画像における当該共通部分に対してどれ位ずれたかを算出する。
【0054】
この実施の形態において、イメージセンサが画像を読み取る時間間隔(フレームレート)は、記録媒体102の消費にともなって記録媒体102が最高速度で回転した場合に、最新の読み取り画像と直前の読み取り画像とに上記の共通部分が含まれるような時間間隔とする。これによって、記録媒体102の残量検出を精度よくおこなうことができる。
【0055】
イメージセンサが画像を読み取る時間間隔(フレームレート)は、1秒間当たりに読み取る回数が多いほど、単位時間当たりの記録媒体102の変位量を精度よく検知することができる。センサの構造および当該センサによる記録媒体102の単位時間当たりの変位量の検知方法については、たとえば光学式マウスの移動量算出にかかる構造および検知方法と同様であるため説明を省略する。
【0056】
(プリンタ100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の機能的構成について説明する。図2は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の機能的構成を示す説明図である。図2において、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、制御部201と、インターフェイス(I/F)202と、LEDランプ203と、液晶表示部204と、音声出力装置205と、操作キー206と、プラテン用のモータ207と、可動刃用のモータ208と、光反射型センサ209と、プリントヘッド121と、を備えている。
【0057】
制御部201は、プリンタ100全体の制御を司る。たとえば制御部201は、CPU、ROM、RAMなどによって構成されるマイクロコンピュータによって実現することができ、RAMをワークエリアとしながら、ROMに記憶されたプログラムをCPUによって実行することによってプリンタ100全体の制御を司る。I/F202は、POS端末などの外部装置に接続され、POS端末などの外部装置とプリンタ100とのインターフェイスを司り、プリンタ100からのデータの入出力を制御する。
【0058】
具体的には、プリンタ100は、たとえばI/F202を介してPOS端末などの外部装置から印字データを受信し、受信した印字データに基づいて制御部201によって各部を制御することによって印字動作をおこなう。また、具体的には、プリンタ100は、たとえばプリンタ100において異常が発生した場合は、発生した異常を示すエラー信号を、I/F202を介してPOS端末などの外部装置に出力する。
【0059】
LEDランプ203は、制御部201によって制御されることによって点灯または点滅する。具体的には、LEDランプ203は、たとえばプリンタ100の電源が投入されて印刷待機状態になった場合や、プリンタ100においてエラーが発生した場合、あるいは、プリンタ100が保持する記録媒体102の残量が所定以下になった場合などに、点灯または点滅する。この実施の形態においては、LEDランプ203によって報知手段を実現することができる。
【0060】
液晶表示部204は、制御部201によって制御されることによって文字や記号などの情報を表示する。具体的には、液晶表示部204は、たとえば上記のように印刷待機状態になった場合、エラーが発生した場合、あるいは、記録媒体102の残量が所定以下になった場合などに、各状況を案内する文字情報などを表示する。この実施の形態においては、液晶表示部204によって報知手段を実現することができる。
【0061】
音声出力装置205は、制御部201によって制御されることによって所定の音声を出力する。具体的には、音声出力装置205は、たとえば上記のようにプリンタ100においてエラーが発生した場合や、プリンタ100が保持する記録媒体102の残量が所定以下になった場合などに、音声ガイダンスあるいは警告音を出力する。この実施の形態においては、音声出力装置205によって報知手段を実現することができる。
【0062】
プリンタ100は、報知手段を実現するLEDランプ203、液晶表示部204および音声出力装置205のすべてを備えているものに限らず、LEDランプ203、液晶表示部204あるいは音声出力装置205の一部を備える構成であってもよい。プリンタ100が保持する記録媒体102の残量が所定以下になった場合、プリンタ100が保持する記録媒体102の残量が所定以下になったことを示す信号をI/F202を介してPOS端末などの外部装置に出力し、プリンタ100が保持する記録媒体102の残量が所定以下になったことを当該外部装置において報知出力するようにしてもよい。
【0063】
操作キー206は、複数設けられ、操作されたキーに応じた信号を制御部201に対して出力する。プラテン用のモータ207や可動刃用のモータ208は、制御部201によって制御され、所定のタイミングで動作する。
【0064】
光反射型センサ209は、光源209aとイメージセンサ209bとを備えている。光源209aは、ペーパーホルダ110に支持されたロール状に回巻された記録媒体102の側面に対して光を照射する。イメージセンサ209bは、記録媒体102の側面における光源209aによって光が照射された箇所の画像を読み取り、読み取った画像データを制御部201に対して出力する。
【0065】
制御部201は、光反射型センサ209から出力された画像データに基づいて、ペーパーホルダ110に支持されたロール状の記録媒体102の、イメージセンサ209bによる読み取り位置における単位時間当たりの変位量を算出(検知)する。この実施の形態においては、光反射型センサ209および制御部201によって変位量検知手段を実現することができる。
【0066】
また、制御部201は、算出した変位量に基づいて、イメージセンサ209bによって画像を読み取った時点における、ペーパーホルダ110に支持されたロール状の記録媒体102の半径を算出する。この実施の形態においては、制御部201によって算出手段としての機能を実現することができる。
【0067】
これにより、この実施の形態においては、光反射型センサ209および制御部201によってニアエンド検出装置を実現することができる。なお、制御部201は、ペーパーホルダ110に支持されたロール状の記録媒体102の半径に基づいて、さらに、ペーパーホルダ110における記録媒体102の残量を算出してもよい。
【0068】
(残量の算出方法)
つぎに、この実施の形態のプリンタ100における記録媒体102の残量の算出方法について説明する。図3は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100における記録媒体102の残量の算出方法を示す説明図である。
【0069】
図3において、記録媒体支持部としてのペーパーホルダ110に、ロール状に巻回された状態で収納された記録媒体102は、消費にともなって外径寸法が小さくなるにつれて、X−Y座標系における座標(0,0)に向かって移動する。この実施の形態においては、たとえばX軸の方向が水平方向に平行とされ、Y軸の方向が垂直方向に平行とされているものとして説明する。
【0070】
ペーパーホルダ110の底面301は、座標(0,0)を起点とし、当該座標(0,0)からX軸およびY軸方向においてともに正方向となる方向に延出した平面によって実現されている。具体的には、ペーパーホルダ110の底面301は、座標(0,0)を起点とし、当該座標(0,0)からX軸に対してθ2の角度で傾斜した平面によって実現されている。
【0071】
ペーパーホルダ110において、ロール状の記録媒体102の外周面を側方から支える壁面302は、座標(0,0)を起点とし、当該座標(0,0)からY軸方向において正方向となる方向に延出した平面によって実現されている。この実施の形態におけるペーパーホルダ110の壁面302は、X軸方向において、座標(0,0)から負方向となる方向に延出している。
【0072】
また、ペーパーホルダ110の底面301および壁面302は、記録媒体102の消費にともなってロール状に巻回された記録媒体102の中心位置が直線状の軌跡上を移動するようにロール状の記録媒体102を支持する形状とされている。具体的には、この実施の形態におけるペーパーホルダ110の底面301および壁面302は、記録媒体102の消費にともなって、ロール状の記録媒体102の中心位置が座標(0,0)を通り、X軸に対して(θ2+θ3)の角度で傾斜した直線上を移動するようにロール状の記録媒体102を支持する形状とされている。
【0073】
なお、図3においては、ペーパーホルダ110の壁面302がX軸方向において座標(0,0)から負方向となる方向に延出する形状を例にして説明したが、ペーパーホルダ110の壁面302は、記録媒体102の消費にともなってロール状の記録媒体102の中心位置が直線状の軌跡上を移動するようにロール状の記録媒体102を支持する形状であればこれに限るものではない。具体的には、ペーパーホルダ110の壁面302は、X軸方向において、座標(0,0)から負方向となる方向に延出している形状に限らず、X軸方向において、正方向となる方向に延出した形状であってもよい。
【0074】
ニアエンド検出装置が備える光反射型センサ209は、座標(x1,y1)において、ロール紙の単位時間当たりの変位量を検知することが可能な位置に設けられている。具体的には、光反射型センサ209を用いてロール紙の単位時間当たりの変位量を検知する場合、当該光反射型センサ209におけるイメージセンサ209bが、ロール状の記録媒体102の側面部分のうち、座標(x1,y1)部分の画像を読み取り可能な位置に設けられている。
【0075】
ペーパーホルダ110が支持するロール状の記録媒体102は、消費にともなって、ロール状の記録媒体102の巻回中心である座標(x0,y0)を中心として角速度ωで回転する。巻回中心が座標(x0,y0)にある場合におけるロール状の記録媒体102の半径をR0、座標(x0,y0)から座標(x1,y1)までの長さをR1とする。
【0076】
ニアエンド検出装置は、まず最新の読み取り画像と直前の読み取り画像とを比較して、各画像に含まれる共通部分を検出し、最新の読み取り画像における当該共通部分が直前の読み取り画像における当該共通部分に対してどれ位ずれたかを算出する。これにより、任意の半径R0における、単位時間当たりの変位量を特定することができる。
【0077】
具体的には、ニアエンド検出装置が備える光反射型センサ209によって単位時間当たりのX軸方向の変位量とY軸方向の変位量を特定する。そして、特定された変位量を測定間隔時間(フレームレート)で除算することによって、座標(x1,y1)におけるロール状の記録媒体102の速度V1のX軸方向の成分v1xとY軸方向の成分v1yを算出する。
【0078】
ここで、ペーパーホルダ110は、底面301がX軸方向に対して角度θ2で傾いており、ロール状の記録媒体102をX軸に対して(θ2+θ3)の角度で傾斜した直線上を移動するように支持している。このため、ロール状の記録媒体102の中心位置は、y=tan(θ2+θ3)xで示される線上に存在する。tan(θ2+θ3)は一定であるため定数αとすると、ロール状の記録媒体102の中心位置は、y=αxで示される一次直線上に存在する。
【0079】
光反射型センサ209の読み取り位置が座標(x1,y1)、ロール状の記録媒体102の半径がR0、ロール状の記録媒体102の巻回中心位置が座標(x0,y0)にある場合、座標(x0,y0)から座標(x1,y1)までの長さをR1とすると、ロール状の記録媒体102の角速度ωとロール状の記録媒体102の外表面における速度V0は、以下の(1)式によって示すことができる。
0ω=V0 ・・・(1)
【0080】
この速度V0は、印字部120におけるプラテン122が回転することによって、記録媒体102をペーパーホルダ110から引き出す速度と等しい。すなわち、速度V0は、プリンタ100において既知の値とされる。
【0081】
光反射型センサ209の読み取り位置におけるロール状の記録媒体102の速度V1は、図3における(v1x,v1y)で示すと、V1=√((v1x2+(v1y2)であるとして、以下の(2)式が成立する。
1ω=V1 ・・・(2)
【0082】
図3におけるV1とv1yとの角度をθ1とすると、座標(x0,y0)より座標(x1,y1)へ引いた直線とx軸とがなす角度もθ1となる。これにより、以下の(3)式、(4)式が成立する。
1sinθ1+y1=y0 ・・・(3)
1+R1cosθ1=x0 ・・・(4)
【0083】
また、V1とv1xとv1yとの関係は、角度θ1を用いると以下の(5)式、(6)式によって示すことができる。
1sinθ1=v1x ・・・(5)
1cosθ1=v1y ・・・(6)
【0084】
(1)式、(2)式より、以下の(7)式が成立する。
0=(V0/V1)R1 ・・・(7)
【0085】
ロール状の記録媒体102の中心位置はy=tan(θ2+θ3)x上を移動するため、ロール状の記録媒体102の中心位置が座標(x0,y0)にある場合以下の(8)式が成立する。
0=αx0=tan(θ2+θ3)x0 ・・・(8)
【0086】
そして、(5)式、(6)式、(8)式より、以下の(9)式が成立する。
1=(αx1−y1)/(sinθ1−αcosθ1) ・・・(9)
【0087】
(5)式、(6)式、(7)式、(9)式より、以下の(10)式が成立する。
0={V0(αx1−y1)}/(v1x+αv1y) ・・・(10)
【0088】
上記の方法によって、ペーパーホルダ110に支持されたロール状の記録媒体102の外径寸法を精度よく算出することができる。記録媒体102の残量は、記録媒体102の外径寸法に基づいて推定することが可能であるため、記録媒体102の外径寸法の算出精度の向上を図ることにより記録媒体102の残量の推定精度の向上を図ることができる。
【0089】
また、上記の方法によって、ペーパーホルダ110に支持されたロール状の記録媒体102の外径寸法を算出することにより、記録媒体102の外径寸法の算出を任意のタイミングでおこなうことができる。そして、任意のタイミングで精度よく推定される記録媒体102の残量を報知することによって、プリンタ100の使用者に対する記録媒体102の残量のきめ細やかな通知が可能となる。
【0090】
以上説明したように、この実施の形態のニアエンド検出装置は、自重によって鉛直方向下側に付勢されるロール状の記録媒体102の外周面を、当該記録媒体102の消費にともなって当該記録媒体102の中心位置が直線状の軌跡上を移動するように支持する記録媒体支持部の一例としてのペーパーホルダ110と、ペーパーホルダ110における側面の所定の位置に設けられ、記録媒体102の消費にともなってペーパーホルダ110の外に引き出されることによって回転する記録媒体102の所定の位置(この実施の形態においては座標(x1,y1))に対向した位置における単位時間当たりの変位量を検知する変位量検知手段の一例としての光反射型センサ209と、光反射型センサ209が検知した変位量に基づいて、当該光反射型センサ209による検知時の記録媒体102の半径を算出する算出手段の一例としての制御部201と、を備えたことを特徴としている。
【0091】
この実施の形態のニアエンド検出装置によれば、消費にともなってペーパーホルダ110において回転する記録媒体102の座標(x1,y1)における変位量に基づいて、当該変位量の検知時における記録媒体102の半径を正確に算出することができる。
【0092】
また、この実施の形態のニアエンド検出装置によれば、ペーパーホルダ110におけるロール状の記録媒体102の外周面の速度V0、すなわち、ペーパーホルダ110から記録媒体102を引き出す速度が一定である場合も、適宜変化した場合にも、光反射型センサ209によって変位量を検知する都度、ペーパーホルダ110において回転する記録媒体102の座標(x1,y1)における変位量を正確に検知することができる。これによって、速度V0が一定であるか否かにかかわらず、変位量の検知時における記録媒体102の半径を正確に算出することができる。
【0093】
すなわち、この実施の形態のニアエンド検出装置によれば、光反射型センサ209による座標(x1,y1)における変位量の検知時における記録媒体102の半径を正確に算出することができるので、記録媒体102の残量の識別精度の向上を図ることができる。
【0094】
また、この実施の形態のニアエンド検出装置は、制御部201が、座標(x1,y1)に対向した位置における記録媒体102の速度を算出し、算出した速度に基づいて座標(x1,y1)に対向した位置と中心位置の座標(x0,y0)との距離R1を算出し、算出した距離R1と記録媒体102の回転軸に直交する面内において中心位置の座標(x0,y0)の移動軌跡をあらわす一次式とに基づいて、X−Y座標系が特定する面内における中心位置の座標(x0,y0)を特定し、特定した中心位置の座標(x0,y0)に基づいて光反射型センサ209による検知時の記録媒体102の半径を算出することを特徴としている。
【0095】
この実施の形態のニアエンド検出装置によれば、ペーパーホルダ110を、記録媒体102の消費にともなって当該記録媒体102の中心位置が直線状の軌跡をなすように構成することによって、変位量を検知するだけで当該変位量の検知時における記録媒体102の半径を正確に算出することができる。
【0096】
また、この実施の形態のニアエンド検出装置は、制御部201が算出した記録媒体102の半径に基づいて、記録媒体102の残量を報知する報知手段の一例としての液晶表示部204、音声出力装置205を備えたことを特徴としている。
【0097】
この実施の形態のニアエンド検出装置によれば、精度よく識別した記録媒体102の残量を報知することができる。これによって、プリンタ100の利用者に対して、記録媒体102の残量を精度よく把握させることができる。
【0098】
また、この実施の形態のプリンタ100は、ペーパーホルダ110から供給された記録媒体102に対する印字をおこなう印字部120と、上記のロール状の記録媒体102のニアエンド検出装置と、を備えたことを特徴としている。
【0099】
この実施の形態のプリンタ100によれば、精度よく残量の判定がなされた記録媒体102に対して印字をおこなうことができるので、たとえば記録媒体102の残量と印字量との関係やプリンタ100の使用状況(忙しいかどうか、など)に応じて、ロール状の記録媒体102の交換作業を適切なタイミングでおこなうことができるように支援することができる。
【0100】
これによって、印字の途中で記録媒体102が不足する事態を発生させたり、繁忙中に他の業務に優先させて記録媒体102の交換をおこなったりさせることを回避することができる。
【0101】
具体的には、たとえば印字の途中で記録媒体102が不足した場合、再度印字をやり直したり、やり直すことにより印字作業が完了するまでの時間が通常よりも長くなったりして、当該印字作業を含む作業全体の効率を低下させてしまう。
【0102】
また、具体的には、たとえば印字量に対して記録媒体102の残量が十分であるにもかかわらず記録媒体102の正確な残量が不明であるために、印字の途中で記録媒体102が不足することを避けるために繁忙中に他の業務に優先させて記録媒体102の交換をおこなった場合、当該交換作業を不急のタイミングでおこなったために、印字作業が完了するまでの時間が却って長くなり、当該印字作業を含む作業全体の効率を低下させてしまう。
【0103】
これに対し、この実施の形態のプリンタ100によれば、ロール状の記録媒体102の交換作業を適切なタイミングでおこなうことができるので、記録媒体102の交換をおこなうことに起因して印字作業を含む作業全体の効率が低下することを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、この発明にかかるロール状記録媒体のニアエンド検出装置およびプリンタは、ロール状に回巻された記録媒体の残量を検出するためのロール状記録媒体のニアエンド検出装置および当該ロール状記録媒体のニアエンド検出装置を備えたプリンタに有用であり、特に、ロール状に回巻された記録媒体の残量の任意のタイミングでの検出精度が要求されるロール状記録媒体のニアエンド検出装置および当該ロール状記録媒体のニアエンド検出装置を備えたプリンタに適している。
【符号の説明】
【0105】
100 プリンタ
110 ペーパーホルダ
120 印字部
130 カッタ部
201 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自重によって鉛直方向下側に付勢されるロール状の記録媒体の外周面を、当該記録媒体の消費にともなって当該記録媒体の中心位置が直線状の軌跡上を移動するように支持する記録媒体支持部と、
前記記録媒体支持部における側面の所定の位置に設けられ、前記記録媒体の消費にともなって前記記録媒体支持部の外に引き出されることによって回転する前記記録媒体の前記所定の位置に対向した位置における単位時間当たりの変位量を検知する変位量検知手段と、
前記変位量検知手段が検知した変位量に基づいて、当該変位量検知手段による検知時の前記記録媒体の半径を算出する算出手段と、
を備えたことを特徴とするロール状記録媒体のニアエンド検出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記所定の位置に対向した位置における前記記録媒体の速度を算出し、算出した速度に基づいて前記所定の位置に対向した位置と前記中心位置との距離を算出し、算出した距離と前記記録媒体の回転軸に直交する面内において前記中心位置の移動軌跡をあらわす一次式とに基づいて前記面内における前記中心位置を特定し、特定した前記中心位置に基づいて前記変位量検知手段による検知時の前記記録媒体の半径を算出することを特徴とする請求項1に記載のロール状記録媒体のニアエンド検出装置。
【請求項3】
前記算出手段が算出した前記記録媒体の半径に基づいて、前記記録媒体の残量を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のロール状記録媒体のニアエンド検出装置。
【請求項4】
前記記録媒体支持部から供給された前記記録媒体に対する印字をおこなう印字部と、
請求項1〜3のいずれか一つに記載のロール状記録媒体のニアエンド検出装置と、
を備えたことを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−280494(P2010−280494A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137250(P2009−137250)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】