説明

ロール状資材用の梱包材

【課題】 1つの梱包材で異なる種類のロール状資材に適切に対応して支持する。
【解決手段】 梱包材10は、パレット12と、このパレット12上に立設される対の受け板14と、ロール状資材の軸を支持する軸受け部28を有し受け板14に形成された上向き凹部20に跨って係合する対の支持板16と、この支持板16に跨って係合する下向き凹部22を有するカバー部18とを備えている。この梱包材10は、対の支持板16間の間隔を調整する間隔調整手段32を有する。この間隔調整手段32は、複数の箇所に形成された上向き凹部20及び下向き凹部22から成り、対の支持板16は複数の上向き凹部20及び下向き凹部22のうち任意の上向き凹部20及び下向き凹部22に跨って係合することにより間隔が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電材、光学フィルム、古紙等のロール状資材を輸送や保管等する際に、このロール状資材を支持して梱包する梱包材の改良に関し、特に、1つの梱包材で、複数種類のロール状資材に適切に対応することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電材や、光学フィルム、古紙等のロール状に形成された資材を、車輌等による陸上輸送又は船舶による海上輸送、飛行機による空路輸送の際に、あるいは、これらのロール状資材の使用場所、保管場所において、宙吊りにして輸送、保管するために、いわゆるロールボックスと称されるロール状資材用の梱包材が使用される。
【0003】
このロール状資材用の梱包材の多くは、ロール状資材の軸部を下方から支持する軸受け部を有する前後の支持板を、パレット状に設置された左右の受け板及びカバー部に形成された凹部に跨って係合させて組み立てることにより形成されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
この場合、これらの梱包すべきロール状資材には、種々の大きさや長さ、また、軸の直径が存在する。しかし、従来の梱包材は、単一のサイズにのみ設定されているため、1つの梱包材では、単一のサイズのロール状資材にしか対応することができず、種々のロール状資材に対応するためには、異なる種類のロール状資材毎に、異なる梱包材を用意する必要があった。このため、梱包材の生産工程上も、また、コスト的にも、必ずしも効率が良いとはいえないのが現状であった。
【0005】
また、このように、1つの梱包材で種々のロールに対応する場合には、破損に対しても充分な配慮を払う必要がある。即ち、従来の単一のロール状資材用の梱包材であれば、当該ロール状資材に適応した強度を確保すれば足りるが、1つの梱包材で異なる種類のロール状資材に対応するためには、様々な大きさや重量のロール状資材に適応した強度を確保しなければ、適切に支持することができないと共に、長期間にわたって使用することもできない問題が生ずる。特に、複数種類のロール状資材に対応する結果、梱包材自体を、長期間使用することが可能となる反面、この長期使用に耐えうる強度を確保することにも配慮をしなければならないと同時に、繰り返しの使用による破損に対しても充分な配慮が必要となる。
【特許文献1】特開2003−54557号公報
【特許文献2】特開2002−104412号公報
【特許文献2】特開2002−104570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、1つの梱包材で異なる種類のロール状資材に適切に対応して支持することができるロール状資材用の梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、パレットと、このパレット上に立設される対の受け板と、ロール状資材の軸を支持する軸受け部を有し受け板に形成された上向き凹部に跨って係合する対の支持板と、この支持板に跨って係合する下向き凹部を有するカバー部とを備えたロール状資材用の梱包材であって、対の支持板間の間隔を調整する間隔調整手段を有し、この間隔調整手段は、複数の箇所に形成された上向き凹部及び下向き凹部から成り、対の支持板は複数の上向き凹部及び下向き凹部のうち任意の上向き凹部及び下向き凹部に跨って係合することにより間隔が設定されることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、間隔調整手段である複数の上向き凹部と複数の下向き凹部とは各々相互に対応する位置に設置されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、間隔調整手段である複数の上向き凹部と複数の下向き凹部は、一方の支持板が係合する凹部群と、他方の支持板が係合する凹部群とが非対称に設置されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、支持板の軸受け部は、平行な部分が存在しないテーパ部から成ることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第4の解決手段において、支持板の軸受け部は、U字状又はV字状に形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、軸受け部を補強する補強材が設けられていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1乃至第6のいずれかの解決手段において、支持板は、受け板又はカバー部よりも外側に突出する端部の上下端に切り欠きが形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第1乃至第7のいずれかの解決手段において、受け板のうち支持板よりも外側に突出する端部の上端に切り欠きが形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第1乃至第8のいずれかの解決手段において、カバー部のうち支持板よりも外側に突出する端部の下端に切り欠きが形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第1乃至第9のいずれかの解決手段において、ロール状資材用の梱包材は、段ボール材又は合板その他の木材から形成され、少なくとも複数の段ボール材又は木材を積層して形成された部位は、複数の段ボール材又は木材の目が交互に互い違いになるように設置して積層されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第1乃至第10のいずれかの解決手段において、パレットは、フォークリフトの爪が挿入される爪挿入部が前後左右に形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、上記第1乃至第11のいずれかの解決手段において、ロール状資材用の梱包材は、支持板の軸受け部に支持されたロール状資材の軸と支持板との間においてロール状資材の軸に跨って設置される押さえ板をも更に備えることを特徴とするロール状資材用の梱包材を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、対の支持板間の間隔を調整する間隔調整手段を有しているため、支持すべきロール状資材の長さ等に応じて支持板間の間隙を適切に調整して、長短様々なロール状資材を支持することができると共に、1つの梱包材で種々のロール状資材に対応することができるため、ロール状資材の種類毎に梱包材を用意する場合に比べ、生産の手間やコストを低減することができる実益がある。
【0020】
この場合、本発明によれば、上記のように、間隔調整手段である複数の上向き凹部と複数の下向き凹部は、一方の支持板が係合する凹部群と、他方の支持板が係合する凹部群とが非対称に設置されているため、単に対称に設置されている場合と異なり、一方の凹部群と他方の凹部群との間で凹部の組合せにより設定される支持板間の異なる間隔を数多く設定することができ、異なる種類のロール状資材に細かく対応することができる実益がある。
【0021】
また、本発明によれば、上記のように、支持板の軸受け部は、平行な部分が存在しないV字状又はU字状のテーパ部から成っているため、1つの軸受け部で、種々の太さのロール軸に対応することができ、様々な種類のロール状資材に適切に対応することができる実益がある。
【0022】
更に、本発明によれば、上記のように、ロール状資材の荷重が直接負荷される軸受け部を補強する補強材を設けているため、1つの軸受け部で、軽重様々な重量のロール状資材に適切に対応することができ、様々な種類のロール状資材に適切に対応することができる実益がある。
【0023】
加えて、本発明によれば、上記のように、支持板や受け板、カバー部のうち、他の部材よりも外側に突出して他の物体と干渉し易い端部に切り欠きを形成しているため、他の物体によって当該端部が破損等することがなく、運搬や積載等の繰り返しの使用によっても、長期間使用することができる実益がある。
【0024】
また、この場合に、本発明によれば、上記のように、複数の段ボール材の目が交互に互い違いになるように設置して積層された部材から、梱包材を形成しているため、梱包材の重層等にも適切な強度をもって対応することができるのは勿論、特に、梱包材全体に負荷される荷重を適切に分散して、重量が重いロール状資材に適切にも対応することができる実益がある。
【0025】
同様に、本発明によれば、上記のように、パレットには、フォークリフトの爪が挿入される爪挿入部が前後左右に形成されているため、梱包材の前後方向又は左右方向のいずれからも、フォークリフトの爪がアクセスすることができ、取扱い性が向上するのは勿論、特に、支持すべきロール状資材の大きさや形状等に合わせて、適切な方向からフォークリフトにて梱包材にアクセスして運搬することができる実益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1乃至図4は、本発明の梱包材10を示し、この梱包材10は、図2及び図3に示すように、ロール状資材1を支持して、保管、運搬するために使用される。なお、このロール状資材1としては、軸2に巻き回された資材であれば、特に限定はなく、例えば、電材や光学フィルム、古紙等を挙げることができる。
【0027】
この梱包材10は、図1乃至図5に示すように、パレット12と、このパレット12上に立設される対の受け板14と、この受け板14に上方から係合して組み付けられる対の支持板16と、この支持板16に上方から覆い被さるようにして係合して組み付けられるコの字状のカバー部18とを備えている。この梱包材10は、図2及び図3に示すように、1対の支持板14のそれぞれに形成され、ロール状資材1の軸2を支持する軸受け部28により、軸2の両端を支持することにより、ロール状資材1を宙吊りにして収納する。
【0028】
これらの部材から構成される梱包材10は、使用に際しては、図5に示すように、パレット12上に立設される受け板14に支持板16を、また、この支持板16にカバー部18を係合させて組み立てることにより、全体として、図1乃至図4に示すように、ボックス状にて使用されるが、これらの各部材の組付けを解除することにより、梱包材10の輸送時や保管時等の非使用時には、各部材を横置き等にすることにより、嵩張らずに容易に運搬や保管することができる。
【0029】
これらの各部材の組み付けは、図1乃至図5に示すように、凹部20、22により行う。具体的には、受け板14には、図1、図2、図4、図5に示すように、上向き凹部20が形成されており、一方、支持板16には、図6に示すように、下部係合凹部24が形成されている。支持板16は、図2に示すように、この下部係合凹部24を、受け板14の上向き凹部20に上方から差し込むことにより、この上向き凹部20に跨って支持される。このようにして、1対の支持板16をそれぞれ受け板14により支持した状態で、図2に示すように、1対の支持板16間に、上方からロール状資材1を搬入し、軸受け部28に軸2の両端を挿入することにより、ロール状資材1を収納することができる。この場合、支持板16の軸受け部28に支持されたロール状資材1の軸2と支持板16との間において、ロール状資材1の軸2に上方から跨って設置される押さえ板30をも設置すると、支持されたロール状資材1の位置ズレを防止することができ、特に、図示の実施の形態のように、複数の軸受け部28により複数のロール状資材1を平行に支持する場合には、両者の干渉を防止することができる。
【0030】
また、コの字状のカバー部18の左右の側面部18A、18Bには、図1及び図5に示すように、下向き凹部22が形成されており、一方、支持板16には、図6に示すように、下部係合凹部24とは反対側の対応する位置に、上部係合凹部26が形成されている。カバー部18は、図1、図3乃至図5に示すように、この下向き凹部22を、支持板16の上部係合凹部26に上方から差し込むことにより、この支持板16の上部係合凹部26に跨って支持される。これにより、図1に示すように、ボックス状の梱包材10とすることができる。
【0031】
なお、受け板14、支持板16、カバー部18の組付けを強固なものとし、特に、支持板16の左右へのぶれをなくすためには、上記の形態の通り、支持板16にも、下部係合凹部24及び上部係合凹部26を形成して、受け板14やカバー部の側面部18A、18Bと相互に噛み合うようにして組み立てることが望ましいが、梱包材10の変形を防止することができる充分な強度を確保することができれば、少なくとも受け板14と係合してロール状資材1の荷重を受け止める下部係合凹部24のみを形成し、上部係合凹部26は設けることなく、カバー部18は単にその下向き凹部22を支持板16に跨らせるだけでも良い。
【0032】
また、支持板16は、上記のように、ロール状資材1の軸2の両端を支持するため、少なくとも1対は設定される必要があるが、軸の両端を支持することができれば、2対以上の支持板16を設定すること、あるいは、対のいずれかの支持板16側にのみ支持板16の枚数を加重する形態とすることもできる。同様に、左右の受け板14も、図6に示す支持板16の両端を支持することができるよう、少なくとも、1対設定すれば、2対以上、あるいは、一方の受け板14側にのみ受け板の枚数を追加することもできる。なお、カバー部18も、左右に側面部18A、18Bが形成された略コの字状の形状とすることが望ましいが、梱包材の強度に大きな影響を与えなければ、左又は右のいずれかの側面部のみが形成された略L字状の形状とすることもできる。
【0033】
また、この梱包材10は、パレット12、受け板14、支持板16、カバー部18、押さえ板30の全てが、段ボール材から形成されている。この段ボール材としては、種々の段ボール材を挙げることができるが、強度の点を考慮すると、特に、強化段ボール材を使用することが望ましい。
【0034】
また、この場合、特に、充分な強度が必要となる部材、あるいは、箇所は、複数の段ボール材を積層して形成することが望ましい。具体的には、図示の実施の形態では、図1乃至図4に示すように、カバー部18のうち、側面部18A、18Bを除いた天板部18Cのみ、即ち、上方からの荷重が負荷されない天板部18Cのみ単一の段ボール材にて構成して、その他の箇所は、複数の段ボール材を積層して形成している。
【0035】
更に、このようにして、複数の段ボール材を積層して形成された部位においては、複数の段ボール材の目が交互に互い違いになるように設置して積層することが好ましい。この場合における段ボールの目とは、段ボール材のうちライナー間に狭持されるコルゲート状の芯材の向きをいい、例えば、段ボール材の端面を上方から見た場合に、コルゲート状に見える向きと、その逆の向きの段ボール材とを互い違いに配置することにより、達成することができる。これにより、様々な方向から負荷される荷重に、特に、後述するように、支持すべきロール状資材1のサイズによって、負荷の方向が変わっても、適切に対応することができる。
【0036】
但し、この段ボール材の目の方向は、特に限定されるものではなく、各部材、又は、部位毎に、負荷される荷重の方向を考慮して、適宜設定することができる。例えば、パレット12においては、全面的に荷重を受けるため交互の目に設定し、一方、受け板14や支持板16は専ら上方からの荷重が負荷されるため、上方から見た場合にコルゲート状の端面が観察できる向きに複数の段ボール材を配置して積層することもできる。
【0037】
なお、材質については、加工性や軽量性、取扱性を考慮すると、上記のように、段ボール材とすることが好ましいが、必ずしも、段ボール材に限定されるものではなく、他に、ベニヤ板等の合板その他の木材や、また、樹脂製材料を使用することもでき、特に、木材の場合には、段ボール材と同様に、木材の目を互い違いに配置する等して、段ボール材と同様に強度の向上を図ることができる。また、梱包材10の全ての部位について、常に同一の材質から形成することは必ずしも要せず、例えば、段ボール材を基本としつつ、部分的に、木材や樹脂製材料等を使用することもできる。
【0038】
本発明の梱包材10は、図1、図2、図4、図5に示すように、対の支持板16間の間隔を調整する間隔調整手段32を有している。この間隔調整手段32は、図示の実施の形態では、図1、図2、図4、図5に示すように、複数の箇所に形成された上向き凹部20及び下向き凹部22から成っている。より具体的には、この間隔調整手段32として、受け板14及びカバー部18の側面部18A、18Bには、一方の支持板16Aが係合する第1の凹部群34Aと、他方の支持板16Bが係合する第2の凹部群34Bが形成され、各凹部群34のそれぞれに複数の上向き凹部20及び下向き凹部22が形成されている。
【0039】
この場合、一方の支持板16Aが、複数の上向き凹部20及び下向き凹部22から成る第1の凹部群34Aのうちの任意の上向き凹部20及び下向き凹部22に跨って係合することにより、同様に、他方の支持板16Aが、複数の上向き凹部20及び下向き凹部22から成る第2の凹部群34Bのうちの任意の上向き凹部20及び下向き凹部22に跨って係合することにより、対の支持板16は、一方の支持板16Aと他方の支持板16Bとの間の間隔が設定される。このため、支持すべきロール状資材1の長さ等に応じて支持板16間の間隙を適切に調整して、長短様々なロール状資材1を支持することができると共に、1つの梱包材10で種々のロール状資材1に対応することができるため、ロール状資材1の種類毎に梱包材10を用意する場合に比べ、生産の手間やコストを低減することもできる。
【0040】
また、受け板14に形成される複数の上向き凹部20と、カバー部18の側面部18A、18Bに形成される複数の下向き凹部22とは、図1、図2、図4、図5に示すように、各々相互に対応する位置に設置され、各支持板16を上下方向から垂直に挟み込むように設定されている。
【0041】
これらの間隔調整手段32である複数の上向き凹部20と複数の下向き凹部22において、特筆すべきは、特に図5に示すように、一方の支持板16Aが係合する第1の凹部群34Aと、他方の支持板16Bが係合する凹部群32Bとが非対称に設置されていることである。即ち、特に図5に示すように、受け板14及びカバー部18の側面部18A、18Bを側面から見た場合に、第1の凹部群34Aと、第2の凹部群34Bとで、上向き凹部20及び下向き凹部22の設置数及び各上向き凹部20及び下向き凹部22間の間隔が異なるように設定されている。
【0042】
これにより、受け板14及びカバー部18の側面部18A、18Bにおいて、例えば、2組の上向き凹部20及び下向き凹部22を等間隔の距離で配置して形成し、凹部群34を対称に設定した場合には、1対の支持板16間の間隔は、最大で3通りの組み合わせしか設定することができないが、図示の実施の形態のように、第1の凹部群34Aにおいて3組の上向き凹部20及び下向き凹部22、第2の凹部群34Bにおいて4組の上向き凹部20及び下向き凹部22を形成し、かつ、各組の上向き凹部20及び下向き凹部22間の間隔を異なる値に設定することにより、1対の支持板16間の間隔として、図5に示すように、最大で12通りもの間隔を設定することができる。このため、異なる種類のロール状資材1に細かく対応することができる。
【0043】
一例として、図示の実施の形態では、第1の凹部群34Aにおいては、上向き凹部20A及び下向き凹部22Aと上向き凹部20B及び下向き凹部22Bとの間の間隔を76mm、次いで上向き凹部20B及び下向き凹部22Bと上向き凹部20C及び下向き凹部22Cとの間の間隔を56mmに設定し、一方、第2の凹部群34Bにおいては、上向き凹部20D及び下向き凹部22Dと上向き凹部20E及び下向き凹部22Eとの間の間隔を56mm、次いで上向き凹部20E及び下向き凹部22Eと上向き凹部20F及び下向き凹部22Fとの間の間隔を36mm、更に上向き凹部20F及び下向き凹部22Fと上向き凹部20G及び下向き凹部22Gとの間の間隔を46mmに設定して、非対称としている。
【0044】
但し、これらの上向き凹部20及び下向き凹部22の設置数や間隔には、非対称とすれば特に限定はなく、想定される支持すべきロール状資材1の長さに合わせて任意に設定することができるが、上記の通り、その間隔は、10mm単位、又は、20mm単位で設定することが望ましく、これにより、例えば、長さ1,100mmのロール状資材1、長さ1,000mmのロール状資材1のように、ロール状資材1の長さの差が小さい場合にも、異なる上向き凹部20及び下向き凹部22を使用することにより、適切に対応することができる。
【0045】
また、本発明においては、同様に種々のロール状資材1に対応するため、支持板16の軸受け部28は、図1乃至図3及び図6に示すように、平行な部分が存在しないテーパ部から形成されている。即ち、軸受け部28は、支持板16の一部を溝状に切り欠いて形成されるが、この場合に、平行な部分が存在すると、その平行部における間隔以上の直径を有する軸2は挿入することができないのに対し、平行な部分が存在しないテーパ部とすると、特に図6に示すように、大小様々な直径を有する軸2であっても、軸受け部28がそのテーパのいずれかの箇所で軸2に下方から当接することができるため、1つの軸受け部28にて、種々の太さの軸2に対応することができ、様々な種類のロール状資材1に適切に対応することができる。
【0046】
この場合、この支持板16の軸受け部28は、特に図6に示すように、平行な部分が存在しないU字状に形成することができる。軸受け部28は、強度の確保や亀裂等による破損の防止の観点からは、この平行な部分が存在しないU字状が、底部が円形であるため、望ましいが、充分な強度を確保することができれば、他に、例えば、V字状に形成することもできる。
【0047】
また、本発明においては、この支持板16に形成された軸受け部28には、図1及び6に示すように、軸受け部を補強する補強材36が設けられている。この補強材36は、図1及び図6に示すように、少なくとも軸受け部28の最深部を含む軸受け部28の周囲から軸受け部28に負荷される荷重を受ける方向、即ち、下方に向けて設置され、軸受け部28がロール状資材1の軸2の荷重によって破損等するのを防止している。
【0048】
このため、上記のように、1つの軸受け部で、種々の種類のロール状資材1、特に、重量が比較的軽いロール状資材1は勿論のこと、重いロール状資材1であっても適切に指示することができるため、軽重様々な重量のロール状資材1に適切に対応することができる。なお、この補強材36としては、例えば、チップボード等の合板材を使用することができ、見栄え等の観点から、支持板16の裏面側に取り付けることが好ましい。また、その厚み等は、支持すべき種々のロール状資材1のうち、想定される最大の重量のロール状資材1に耐えうる強度とする観点から設定することができる。但し、あまりに厚く設定すると、梱包材10の重量及びコストが嵩むと共に、取扱い性に影響を与えるため、充分な強度を確保することができる範囲で、可能な限り、薄く設定することが好ましい。
【0049】
更に、本発明においては、上記のように、1つの梱包材10で、種々のロール状資材1に使用することができるため、長期にわたり使用が可能で、特に、種々のロールに対応するために、支持板16を受け板14に着脱する作業を繰り返し行う可能性がある。このため、これらの使用や取扱いによって、容易に破損しないよう、下記の配慮もなされている。即ち、支持板16、受け板14、カバー部18をいわば「井」の字状に組み付けて梱包材10とした場合に、支持板16、受け板14、カバー部18のうち、特に、外部の物体等と干渉しやすい箇所に、切り欠きを形成している。
【0050】
具体的には、まず、支持板16は、特に図6から解るように、受け板14及びカバー部18(の側面部18A、18B)と組み付けた際に、受け板14又はカバー部18よりも外側に突出する端部の上下端に切り欠き16aが形成されている。
【0051】
同様に、受け板14においては、特に図4及び図5から解るように、支持板16と組み付けた際に、この支持板16よりも外側に突出する端部の上端に切り欠き14aが形成されている。また、カバー部18については、その側面部18A、18Bにおいて、支持板16と組み付けた際に、この支持板16よりも外側に突出する端部の下端に切り欠き18aが形成されている。
【0052】
このように、梱包材10を構成する各部材において、比較的に他の物体と干渉し易い端部に切り欠き14a、16a、18aを形成しているため、他の物体によって当該端部が破損等することがなく、運搬や積載等の繰り返しの使用によっても、長期間使用することができる。
【0053】
なお、本発明においては、パレット12は、主に、台座としての役割を果たすものであるが、同時に、梱包材10を図示しないフォークリフト等により運搬する際に、フォークリフトにより支持される役割をも有する。この場合、従来の一般的なパレットでは、梱包材10の前後方向又は左右方向のいずれかの方向からしか、フォークリフトの爪を挿入することができず、運搬やリフトアップ作業に支障を来すことがあった。このため、本発明に使用されるパレット12は、特に図1及び図2から解るように、パレット12の前後方向及び左右方向の一部を開口することにより、フォークリフトの爪が挿入される爪挿入部12aを前後左右に形成している。
【0054】
このため、梱包材10の前後方向又は左右方向のいずれからも、フォークリフトの爪がアクセスすることができ、梱包材10がどのような向きにあっても、容易にリフトアップや運搬などの作業をすることができるため、取扱い性が向上するのは勿論、特に、支持すべきロール状資材1の大きさや形状等に合わせて、その荷重の偏向等を考慮して適切な方向からフォークリフトにて梱包材10にアクセスして運搬することができる。
【0055】
また、このパレット12には、図7に示すように、最下部の底面に、図示しない手動リフト(手押し車)の車輪を挿入することができる車輪孔38も形成されている。このため、パレット12の下方から、手動リフトの車輪を車輪孔38に挿入して、手動リフトの支持面にてパレット12の底面を支持しながら、車輪孔38内にて手動リフトの車輪を回転させることにより、手作業で梱包材10を運搬することもできる。
【0056】
なお、上記の実施例においては、支持板16において、左右に2つのロール状資材1を支持できる態様を例に説明したが、支持板16に設定すべき軸受け部28の個数(支持すべきロール状資材1の本数)は、必要に応じて適宜設定することができ、単数、あるいは、3つ以上の複数とすることもできる。また、上記の実施の形態と異なり、図8に示すように、支持板16、ひいては、軸受け部28が上下に設定された2段組と梱包材10とすることもできる。この場合には、上段の支持板16と下段の支持板16とを連結するように上下の支持板16に跨って係合する連結板40を設置して、2段組とすることができる。梱包材10は、このように、2段組の梱包材10とする場合、あるいは、1段の梱包材10を積層する場合を考慮して、これらの場合に負荷される荷重に充分に耐えうる強度に設定する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、例えば、電材、光学フィルム、古紙等のロール状資材を、陸上、海上、空路等により輸送する際や、そのための施設において、あるいは、これらのロール状資材を使用する施設において、これらのロール状資材を保管又は運搬することに、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の梱包材の斜視図である。
【図2】本発明の梱包材の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の梱包材の正面図である。
【図4】本発明の梱包材の側面図である。
【図5】本発明の梱包材の分解側面図である。
【図6】本発明の梱包材に使用される支持板の正面図である。
【図7】本発明の梱包材の底面図である。
【図8】本発明の梱包材の他の実施の形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ロール状資材
2 軸
10 梱包材
12 パレット
14 受け板
14a 切り欠き
16 支持板
16a 切り欠き
18 カバー部
18A、18B カバー部の側面部
18C カバー部の天板部
18a 切り欠き
20 上向き凹部
22 下向き凹部
24 下部係合凹部
26 上部係合凹部
28 軸受け部
30 押さえ板
32 間隔調整手段
34 凹部群
36 補強材
38 車輪孔
40 連結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、前記パレット上に立設される対の受け板と、ロール状資材の軸を支持する軸受け部を有し前記受け板に形成された上向き凹部に跨って係合する対の支持板と、前記支持板に跨って係合する下向き凹部を有するカバー部とを備えたロール状資材用の梱包材であって、前記対の支持板間の間隔を調整する間隔調整手段を有し、前記間隔調整手段は、複数の箇所に形成された前記上向き凹部及び下向き凹部から成り、前記対の支持板は前記複数の上向き凹部及び下向き凹部のうち任意の上向き凹部及び下向き凹部に跨って係合することにより間隔が設定されることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項2】
請求項1に記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記間隔調整手段である複数の上向き凹部と複数の下向き凹部とは各々相互に対応する位置に設置されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記間隔調整手段である複数の上向き凹部と複数の下向き凹部は、一方の支持板が係合する凹部群と、他方の支持板が係合する凹部群とが非対称に設置されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記支持板の軸受け部は、平行な部分が存在しないテーパ部から成ることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項5】
請求項4に記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記支持板の軸受け部は、U字状又はV字状に形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記軸受け部を補強する補強材が設けられていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記支持板は、前記受け板又は前記カバー部よりも外側に突出する端部の上下端に切り欠きが形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記受け板のうち前記支持板よりも外側に突出する端部の上端に切り欠きが形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記カバー部のうち前記支持板よりも外側に突出する端部の下端に切り欠きが形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記ロール状資材用の梱包材は、段ボール材又は合板その他の木材から形成され、少なくとも複数の段ボール材又は木材を積層して形成された部位は、前記複数の段ボール材又は木材の目が交互に互い違いになるように設置して積層されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記パレットは、フォークリフトの爪が挿入される爪挿入部が前後左右に形成されていることを特徴とするロール状資材用の梱包材。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載されたロール状資材用の梱包材であって、前記ロール状資材用の梱包材は、前記支持板の軸受け部に支持されたロール状資材の軸と前記支持板との間において前記ロール状資材の軸に跨って設置される押さえ板をも更に備えることを特徴とするロール状資材用の梱包材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−89812(P2010−89812A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260145(P2008−260145)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(591012392)日本マタイ株式会社 (17)
【Fターム(参考)】