説明

ロール紙ユニット及び画像形成装置

【課題】上記した従来の問題を解消し、ロール紙給紙の機能を持っても小型化することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ロール紙21をセットするロール紙支持部材24と、該ロール紙支持部材24にセットしたロール紙21を給紙するためのピックアップローラ25とを有するロール紙ユニット20であり、ロール紙ユニット20の外周を囲むように形成された用紙を搬送する搬送路33が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙ユニット及び複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの少なくとも2つの機能を有する複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記形式の画像形成装置において、ロール軸に装填されたロール紙を引き出し給紙するロール紙ユニットを搭載したものが知られている。また、画像形成装置において、省資源化のために、用紙の裏面に対して画像形成を行う両面印字機構を備える装置がある。両面印字には給紙部より給紙した用紙を印字部まで搬送し、表面印字した後で、機内にて反転させ、用紙を再度印字部に搬送し、裏面に印字を行う方式があり、このような両面機構を搭載した画像形成装置も既に知られている。
【0003】
そして、このような両面印字機構を画像形成装置に搭載すると、装置が大型化してしまうという問題があった。
さらに、かかる画像形成装置において特許文献1に記載されているように、ロール紙ユニットを搭載すると、両面印字機構とロール紙ユニットのそれぞれが独立した機構であるため、装置がさらに大型化してしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、ロール紙給紙の機能を持っても小型化することができるロール紙ユニット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、ロール紙を設置するロール紙セット部と、該ロール紙セット部にセットしたロール紙を給紙するロール紙給紙部とを有するロール紙ユニットにおいて、該ロール紙ユニットの外周を囲むように用紙搬送路を設けたことを特徴としたロール紙ユニットを提案する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ロール紙ユニットの周囲を囲むように搬送路が設けられているので、搬送路の経路を長く取ることができると同時に曲率も大きく取ることができるため、より長く厚い記録媒体の搬送が可能である。しかも、曲率が大きくなることで、搬送時のジャムリスクも低減させるという効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の一形態に係るロール紙ユニット及び画像形成装置を示す全体概略図である。
【図2】両面搬送部に用紙搬送させている状態を示す概略説明図である。
【図3】そのロール紙ユニットのロール紙カバーを開放した状態を示す説明図である。
【図4】そのロール紙ユニットの両面カバーを開放した状態を示す説明図である。
【図5】着脱可能な両面搬送部付のロール紙ユニットを示す説明図である。
【図6】ロール紙カッターの配置位置を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の他の形態を示す全体斜視図である。
【図8】図7のロール紙ユニットを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置としてのインクジェットプリンタを示す全体概略図である。なお、インクジェット方式以外の画像形成装置(例えば電子写真方式)でもよい。
【0009】
図1において、符号1は装置本体、符号2は記録媒体としてのシート状の用紙Pを積載し給紙する給紙部であり、給紙部2には用紙Pが積載される給紙トレイ3、給紙ローラ4及び分離パッド5を有している。また、給紙部2より用紙搬送下流側には、駆動ローラ8及び従動ローラ9に巻き掛けて張架された静電吸着ベルト7があり、静電吸着ベルト7の上方に用紙Pに画像を記録する記録部10が配置されている。さらにまた、符号6は印刷された用紙Pを排紙積載する排紙トレイである。
【0010】
給紙部2から給紙された用紙Pは、記録部10と静電吸着ベルト7を備える画像形成部に搬送され、図示していない帯電手段により帯電された静電吸着ベルト7に吸着されて矢印A方向に搬送される。記録部10はシアンC,マゼンタM,イエロY,ブラックBkの各色のインクを印写するインクジェットヘッド11と、該インクジェットヘッド11を搭載しガイドロッド13に案内されて主走査方向に移動するキャリッジ12とを備えている。
【0011】
本実施の形態のインクジェットプリンタは、ロール紙ユニット20が装置本体1に着脱可能に装着されており、ユーザーは使用する記録媒体として給紙部2のシート状の用紙かロール紙ユニット20のロール紙21かを選択することができる。
【0012】
ロール紙ユニット20には、中心軸22に取り付けたフランジ23を介してセットしたロール紙21を回転可能に支持するセット部としての支持部材24と、ロール紙21の先端を保持し、ロール紙の給紙時にはロール紙21を反時計方向に回転して巻き解くピックアップローラ25と、ロール紙21外周のほぼ半周分を覆うロール紙カバー26とを有している。ロール紙ユニット20は、このロール紙カバー26とユニットケース27とでほぼ円筒状に形成されている。
【0013】
本実施の形態のインクジェットプリンタは、ロール紙ユニット20の周囲を一周することができる搬送部30が設けられている。この搬送部30は、主に両面印字の際に使用するため、これより両面搬送部30と称す。
【0014】
両面搬送部30はロール紙カバー26の外側で、かつロール紙カバー26のほぼ全周に亘り、かつ、該カバー26とほぼ一定の間隔をもつ両面カバー31が設けられており、さらにロール紙ユニット20のユニットケース27の外側には外装部材32が設けられている。そして、ロール紙カバー26と両面カバー31の間及びユニットケース27との外装部材32の間には円形の隙間が形成され、この隙間が、用紙が通過する搬送路33として構成されている。この搬送路33は、装置本体1と対向する側に出入り口34が設けられ、給紙されるロール紙はこの出入り口34から出て装置本体の記録部10に向けて搬送される。この搬送路333はセットされるロール紙の同心のほぼ円形に形成されている。
【0015】
図2は、両面印字について説明する図1に対応した説明図である。
図2において、両面印字される用紙P、もしくはカット後のロール紙21(以降、特に用紙Pとカット後のロール紙21とを区別しない場合は、「カット紙」として説明する)は、片面の記録を終えると、スイッチバック、すなわち矢印A方向と逆の矢印B方向に搬送され片面印字時の後端が先端となって出入り口34から搬送路33に送り出される。搬送路33に送り出されたカット紙は搬送経路に沿って時計方向に一周し、出口35から出て記録部10に向けて搬送される。このとき、カット紙は裏表が逆になっているため、印字されていない面に印字が行われる。
【0016】
この両面印字時は、給紙されるロール紙と逆方向に搬送されるため、両面印字のカット紙がロール紙の給紙口からロール紙ユニット内部に侵入してしまうことを防止するため、ロール紙の給紙口には給紙する方向のカット紙の移動を許容するが、搬送路33を搬送されるカット紙のロール紙ユニット内部への侵入を阻止する爪14が設けられている。なお、搬送路33には適宜間隔ごとに配置された搬送ローラ36が設けられ、その搬送ローラ36の少なくとも数個が回転駆動されることによってカット紙が搬送路33を搬送される。
【0017】
このように構成されたインクジェットプリンタは、ロール紙ユニット20の周囲を囲むように両面搬送部30の搬送路33が設けられているので、搬送路の経路を長く取ることができると同時に曲率も大きく取ることができるため、より長く厚い紙への両面印字が可能であり、両面印字に対応可能な紙種を増やすことができる。しかも、曲率が大きくなることで、両面搬送時のジャムリスクも低減させるという効果も得ることができる。
【0018】
図3及び図4は両面印字の搬送経路、ロール紙のセット方法、両面搬送経路内のジャム処理方法について説明する図である。
図3において、ロール紙カバー26は支点28を中心に回動可能に装着され、通常は図2に示す閉じた状態に図示していない係止手段によって保持されている。そして、ロール紙の交換等を行うときにはロール紙カバー26を、支点28を中心に図2の状態から時計方向に回動することで、ロール紙ユニット20のほぼ半周分が開放されて内部が現れ、ロール紙の交換、補充等を行うことができる。
【0019】
また、両面カバー31はロール紙カバー26に支点37を中心に時計方向に回動可能に装着されている。したがって、両面カバー31はロール紙カバー26の回動で一緒に回動することができるだけでなく、ロール紙カバー26から独立して図4に示すように、単独でも回動することができる。そして、両面カバー31だけを回動すると、搬送路33が現れるので、搬送路33内でジャム等が発生しても容易に処理することができる。
【0020】
上記したロール紙ユニット20と両面搬送部30は1つのユニットとして構成されるが、かかるユニットは装置本体1に固定して装備させることもできるが、図5に示すように、装置本体1から独立しており、必要に応じて装備できるユニットとして構成することが好ましい。このため、両面搬送部30付のロール紙ユニット20には接合部材38が設けられ、装置本体1にはこの接合部材38に対応する位置に接合凹部15が設けられている。そして、接合部材38を接合凹部15に係合することで、両面搬送部30付のロール紙ユニット20を装置本体1に固定されて使用することができる。
【0021】
このように、両面搬送部30付のロール紙ユニット20を1つのユニットとして着脱可能とすることで、該ユニットをオプションユニットとして必要なユーザーに対して装備され、不要な場合は取り外して使用することができるので、本体サイズが小さくなるというメリットがある。さらに、またジャム、特に搬送ガイド部付近でのジャム処理の際にこのユニットを取り外すことが出来るため、作業がしやすいというメリットがある。なお、両面搬送部30付のロール紙ユニット20の固定に関してはネジで締結する方法やバネ等を内蔵したレバーで固定する方法もある。また着脱可能なスライドレールを利用することで、ジャム処理時にはユニットを完全に取り外さずジャム処理が行える為、さらに操作性が向上する。
【0022】
ところで、ロール紙給紙装置には巻き解いて給紙したロール紙を適宜長さに切断するカッター29が設けられている。カッター29を設ける位置はピックアップローラ25から出入り口34までの間の任意位置に配置することができるが、最も好ましい位置は図6に示すように、ピックアップローラ25から搬送路33手前までの位置である。
【0023】
このようにカッター29を搭載した場合、ロール紙の搬送途中でロール紙21を切断することができ、任意の用紙サイズで印字後の用紙を出力することができる。ロール紙21の切断はロール紙の送り量が所定の長さに達した時点で行う。カッター29は動力源を設けて自動で切断する方法でも手動で切断する方法でもよい。自動で切断する場合、カッター動作時は搬送を止めたほうがロール紙21
を切断する動作が安定するが、搬送を行いながら切断を行ってもよい。切断が完了すると切断箇所から下流側の搬送は停止する。このように搬送路33の合流地点より前にロール紙21を切断する手段を設けることで、両面搬送経路に巻きつけられている側のロール紙21が残らない為、ロール紙21を巻き戻す必要が無く、構成、制御を簡略化することができる。
【0024】
ところで、ロール紙ユニット20において、装填したロール紙21の残量を認識するため、図7に示すように、ロール紙カバー26の一部に切り欠き26aを設けるとともに、両面カバー31を透過性の部材で構成している。このように、透過性の両面カバーが位置している範囲内にロール紙カバー26の切り欠きを設けることで、ロール紙カバー26及び両面カバー31を閉じた状態でセットされたロール紙の残量等を確認することができる。なお、ロール紙カバー26の切り欠き26a部分は透過性の部材で構成してもよい。また、両面カバー31はすべてが透過性の素材でなくても一部が透過性の部材であればよく、逆にロール紙カバーがすべて透過性の部材であってもよい。
【0025】
このように構成することで、ロール紙カバー26を開かずにロール紙の残量が視覚で確認することができ、さらに両面搬送時の搬送路33内でのジャムも確認できるためジャム処理性の向上を達成できる。
【0026】
なお、インクジェットプリンタは、給紙部2とロール紙ユニット20の両方を備えるものに限られず、ロール紙ユニット20のみを備えるインクジェットプリンタでもよい。
【0027】
さらに、記録部10と対向する位置の搬送手段は、静電吸着ベルトに限られず、吸引ベルトに用紙を吸着して搬送するもの、平板または凹凸を有するプラテン上を搬送するものでもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 装置本体
20 ロール紙ユニット
21 ロール紙
24 支持部材
25 ピックアップローラ
26 ロール紙カバー
29 カッター
30 両面搬送部
31 両面カバー
33 搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2005−107060号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙をセットするロール紙セット部と、該ロール紙セット部にセットしたロール紙を給紙するロール紙給紙部とを有するロール紙ユニットにおいて、
該ロール紙ユニットの外周を囲むように用紙搬送路を設けたことを特徴としたロール紙ユニット。
【請求項2】
前記用紙搬送路が片面記録後の用紙を反転するための両面印字用搬送路であることを特徴とする請求項1に記載のロール紙ユニット。
【請求項3】
前記用紙搬送路が前記ロール紙ユニット内にセットしたロール紙と同心のほぼ円状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のロール紙ユニット。
【請求項4】
画像形成装置本体に対し着脱可能なユニットとして構成されていることを特徴とした請求項1ないし3の何れかに記載のロール紙ユニット。
【請求項5】
前記用紙搬送路の一部が、ロール紙セット時に開閉するカバーにより構成されている請求項1ないし4の何れかに記載のロール紙ユニット。
【請求項6】
前記ロール紙給紙部から前記用紙搬送部までの間に用紙を切断する手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載のロール紙ユニット。
【請求項7】
前記用紙搬送路を構成する部材の少なくとも一部が透過性の部材で構成されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載のロール紙ユニット。
【請求項8】
前記用紙搬送路を構成する部材の少なくとも一部に切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載のロール紙ユニット。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つに記載のロール紙ユニットを具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−18201(P2013−18201A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153712(P2011−153712)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】