説明

ロール配列

【課題】簡単な軸方向移動性が達成されて、先行技術の欠点が回避されるローラ配列、特にロールスタンドの作業ロールのロール配列を創作すること。
【解決手段】この発明は、ロールスタンドの作業ロール(2、3、102、103、202、203)が移動手段(4、104、204)によって軸方向に移動自在であり、移動手段(4、104、204)が作業ロール(2、3、102、103、202、203)の軸方向移動性を制御する少なくとも一つの油圧シリンダ(5、6、105、106、205)を有するロール配列(1、101、201)において、油圧シリンダ(5、6、105、106、205)が空間固定式或いは移動可能なフレーム(8、108、208)に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特にロールスタンドの作業ロールのロール配列のようなロール配列に関する。
【背景技術】
【0002】
特に平らな金属ストリップ或いは鋼ストリップを加工するような圧延物を加工するために、作業ロール配列を備える圧延スタンドが知られている。そのようなロール配列のために、ロールを移動させる装置も知られていて、ストリップ品質の改良を達成させる。
【0003】
例えば欧州特許第0154896号明細書(特許文献1)、欧州特許第0118812号明細書(特許文献2)、ドイツ特許出願公開第2522213号明細書(特許文献3)の刊行物を参照すると、ロールガイド手段を備えるロール配列が開示されているので、ロールの移動性がロール軸線に垂直な平面において可能とされる。
【0004】
さらに、ドイツ特許出願公開第3521180号明細書(特許文献4)がロールを軸方向に移動させる装置を備えるロール配列を開示し、ロールが滑り支承された取付け部材に支承し、ロールスタンドや軸受の保持体に支持される油圧シリンダにより移動できる。
【0005】
そのような軸方向移動可能なロール配列が使用されて、作業ロールと中間ロールの摩面を介してロール隙間輪郭に影響させる。
【0006】
先行技術に基づいて軸方向移動装置を備えるそのようなロール配列が比較的に複雑に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0154896号明細書
【特許文献2】欧州特許第0118812号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第2522213号明細書
【特許文献4】ドイツ特許出願公開第3521180号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の課題は、簡単な軸方向移動性が達成されて、先行技術の欠点が回避されるローラ配列、特にロールスタンドの作業ロールのロール配列を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によると、この課題は、移動手段がロールの軸方向移動性を制御する少なくとも一つの油圧シリンダを有するローラ配列、特に移動手段によって軸方向に移動自在であるロールスタンドの作業ロールのロール配列において、油圧シリンダが空間固定式に或いは移動可能なフレームに配置されていることを特徴とするローラ配列によって解決される。この場合には、油圧シリンダがロールの軸方向移動に用いられる。この際に生じる力が受けられなければならなく、それは好ましくはフレーム構造によって実現され、例えば移動ユニットのような移動手段が受けられている。作動は好ましくは軸受収容体によって並びに両フレーム脚を結合するウエブに受けられたシリンダによって行われる。
【0010】
この場合には、空間固定式にフレームがロールスタンドと結合されるならば、目的に適っている。ロールスタンドと結合されたフレームがコンパクトで安価な解決手段を意味する、というのは、圧延処理中と圧延の軸方向移動中に生じる力が再びロールスタンドに受けられるからである。
【0011】
さらに、フレームが互いに溶接されたフレーム要素から成るならば、好ましい。溶接されたフレームの際にフレームが好ましくは互いに溶接されている三つの主要な部材から成り、二つの脚が互いに平行に位置して一つのウエブを介して結合される。
【0012】
この発明の他の実施例によると、移動可能なフレームがロールを移動するか、或いは調整する手段の軸受収容体と結合されているときに、好ましい。そのために、特にHS調整するために軸受収容体がロール方向に或いはロール方向と反対に移動され得る。フレームの移動可能な部材がこの運動を同様に実施し、それによりロール処理からの軸方向力或いは必要な移動力の少なくとも一方が特にロールに対して中心に且つ特にロール方向に垂直に整合されている。HS(水平安定化)調整の際に好ましくは軸受収容体がロール方向に或いはロール方向と反対に移動される。フレームの移動可能な部材がこの運動を同様に実施し、それによりロール処理からの軸方向力或いは必要な移動力がいつも主としてロールに対して中心に且つロール方向に垂直に位置する。
【0013】
この場合には、ロールを移動するか、或いは調整する手段が水平安定化調整(HS調整)に用いられるときに、さらに好都合である。HS調整、つまり、移動によってロール方向に或いはロール方向と反対に、移動ユニットの移動が行われるときに、好ましい。
【0014】
好ましい再現は、従属請求項に記載されている。
【0015】
次に、この発明は、図面に基づいて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施例によるこの発明の装置の表示を示す。
【図2】第2実施例によるこの発明の装置の表示を示す。
【図3】第3実施例によるこの発明の装置の表示を示す。
【0017】
すべての図では、同じ技術要素が同じ参照符号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、平面図で二つの軸方向に移動可能なロール2、3を備えるロール配列の第1実施例を示し、これらロールが移動ユニット或いは移動手段4によってロールスタンドの駆動側で軸方向に移動され得る。この場合には、生じる力が受けられなければならない。これは、移動ユニット或いは移動手段4が受けられているフレーム8或いはフレーム構造によって生じる。そのために、移動手段4が二つの油圧シリンダ5、6を有し、この油圧シリンダが一つのブロック7に受けられていて、そのブロックが更に一つのフレーム8に保持されている。フレームは特に一つの溶接されたフレームから成り、フレーム要素から構成されて溶接されていて、移動手段4を受ける。これは、特にロール方向に或いはロール方向と反対の少なくとも一方に軸受収容体15,15a,18,18a並びに不動フレーム部材に着座するシリンダ19、20によって移動される。油圧シリンダ5、6は作業ロール固定装置を受けるブロック9に作用する。
【0019】
操作側と駆動側10には、ロール2、3が滑り支承されて受けられるので、これらロールが移動の際にも油圧シリンダ5、6を保持されている。
【0020】
さらに、手段11,12,13と14が設けられて、それによりロール軸受収容体15,16,17,18が軸方向Aと垂直に且つ軸方向に旋回運動によって移動できる。
【0021】
フレーム8は包囲する基礎に配置されているフレームと比較して、コンパクトで安価に製造できるから、好ましくは、この構成はロールスタンドと結合された空間固定式フレームを備えている、というのは、圧延処理に且つロールの軸方向移動中に生じる力が再びロールスタンドに受けられるからである。
【0022】
フレーム8は上記のように溶接構造として構成される。これは、フレームがモジュール式にフレーム要素から構成され得る利点を有する。フレームは好ましくは三つのフレーム要素から成り、図1にはフレーム8の両脚が示されていて、結合ウエブ8aと好ましくは脚が結合する。
【0023】
図2は、二つの軸方向に移動可能なロール102、103を備えるロール配列101の第2の好ましい実施例を示し、これらロールが移動手段104によって駆動側で軸方向に移動され得る。そのために、移動手段104が二つの油圧シリンダ105、106を有し、油圧シリンダが一つのブロック107に受けられ、このブロックが更に一つのフレーム108に保持されている。
【0024】
フレーム108は好ましくは一部材で軸受収容体118、115を備えて形成されている。ここでも軸受収容体を旋回させる手段111、114が用いられる。フレーム108は移動手段104を受ける。油圧シリンダ105、106は作業ロール固定装置を受けるブロック109に作用する。手段111と114がHS調整に用いられる。
【0025】
両ロール102、103のロールスタンドの操作側110には、ロールが滑り支承されて受けられるので、油圧シリンダ105、106の制御に基づく移動によってロール102、103が移動可能に保持されている。
【0026】
さらに、ロール102、103の軸受収容体115、116、117、118が軸方向と垂直に且つ軸方向に旋回運動によって移動できる手段111、112、113と114が設けられている。
【0027】
ロール位置の固定のために、挿入できるブロックシリンダ120、121が使用される。
【0028】
図2によるこの発明の装置は、手段111、112、113の移動ブロックの確かに長いシリンダブロックを必要とし、それ故に、装置がロール軸線と垂直な方向に非常にコンパクトに形成されている。
【0029】
図3は、二つの軸方向に移動可能なロール202、203を備えるロール配列201の第3の好ましい実施例を示し、これらロールが移動手段204によってロールスタンドの駆動側で軸方向に移動され得る。このために、移動手段204が油圧シリンダ205を有し、この油圧シリンダが旋回駆動手段によって回転可能なピストンロッドを有し、ロール推力を達成させる。ロール位置の固定が好ましくは回転運動によって行われる。この配列は更にフレーム208に保持されている。
【0030】
フレーム208は好ましくは一部材で軸受収容体を備えて形成されている。手段211、214はロール202、203を移動させるのに用いられる。フレーム208は好ましくは移動手段204を受ける。
【0031】
両ロール202、203の操作側と駆動側210には、ロールが滑り支承されて受けられるので、油圧シリンダ205の制御に基づく移動によってロール202、203が移動可能に保持されている。
【0032】
さらに、ロール202、203の軸受収容体215、216、217、218が軸方向と垂直に且つ軸方向に旋回運動によって移動できる。
【0033】
図3のこの発明の装置が非常にコンパクトに形成されている。
【0034】
上記実施例におけるように、ロールが移動可能に図示されていので、ロール当たり油圧シリンダ5、6、105、106、205が設けられて、それにより両ロール2、3、102、103、202、203が互いに無関係に移動できる。
【符号の説明】
【0035】
1.....ロール配列
2,3...ロール
4.....移動手段
5,6...油圧シリンダ
7,9...ブロック
8.....フレーム
10....対向位置する側面
11,12,13,14...手段
15,15a,16,17,18,18a...軸受収容体
19,20...シリンダ
101...ロール配列
102、103...ロール
104...移動手段
105、106...油圧シリンダ
107,109...ブロック
108...フレーム
110...対向位置する側面
111,112,113,114...手段
115,116,117,118...軸受収容体
201...ロール配列
202、203...ロール
204...移動手段
205...油圧シリンダ
206...回転駆動手段
207,209...ブロック
208...フレーム
210...対向位置する側面
211,212,213,214...手段
215,216,217,218...軸受収容体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールスタンドの作業ロール(2、3、102、103、202、203)が移動手段(4、104、204)によって軸方向に移動自在であり、移動手段(4、104、204)が作業ロール(2、3、102、103、202、203)の軸方向移動性を制御する少なくとも一つの油圧シリンダ(5、6、105、106、205)を有するロール配列(1、101、201)において、油圧シリンダ(5、6、105、106、205)が空間固定式或いは移動可能なフレーム(8、108、208)に配置されていることを特徴とするロール配列。
【請求項2】
空間固定式に配置されたフレーム(8)がロールスタンドと結合されていることを特徴とする請求項1に記載のロール配列。
【請求項3】
フレーム(8)が互いに溶接されたフレーム要素から成ることを特徴とする請求項1或いは2に記載のロール配列。
【請求項4】
移動可能なフレーム(108、208)がロールを移動させる手段の軸受収容体(115、118、215、218)と結合されていることを特徴とする請求項1に記載のロール配列。
【請求項5】
作業ロール(2、3、102、103、202、203)を移動させる手段(11、12、13、14、111、112、113、113、114、211、212、213、214)が水平安定化調整(HS調整)に用いられることを特徴とする請求項4に記載のロール配列。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−526839(P2011−526839A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517031(P2011−517031)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004997
【国際公開番号】WO2010/003678
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)