説明

ワイパーブレードの連結機構

【課題】ワイパーアームが軸部材挿通孔と、前記軸部材挿通孔の下方に形成された溝部と、前記溝部に形成された幅狭部を有するワイパーアームに適合するワイパーブレードの連結機構であって、ワイパーブレードが軸部材挿通孔に対して自由に回動できる状態となったとしても、ワイパーアームからワイパーブレードが不用意に外れることがなく、使用時における振動やビビリ音を大幅に少なくする。
【解決手段】
ワイパーブレードは、上端部に配置された軸部本体と、前記軸部本体に対して回動可能に配置された補助軸部とからなる可変軸部が構成され、前記可変軸部は第一の位置でワイパーアームに形成された溝部の幅狭部の通過を許容し、第二の位置でワイパーアームに形成された溝部の幅狭部の通過を阻止する様に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用車、バス、トラック、鉄道、航空機、船舶等の乗り物に取付けられるワイパー装置において、ワイパーアームに対するワイパーブレードの連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワイパー装置における、ワイパーアームに対するワイパーブレードの連結機構は、一般的に図12に示す構造のものが多い。この構造は、ワイパーブレード51を支持するプライマリーレバー52の上部に、開口部を上に向けて断面コ字状のブラケット53を設けるとともに、同ブラケット53の両側壁間に、円形の一部を直線でカットした略D字状の断面を有するアーム支持軸54を設け、このアーム支持軸54にワイパーアーム55の先端部56を支持させたものである。前記ワイパーアーム55の先端部56には、図13に一点鎖線で示すように、前記アーム支持軸54の断面の円形部分の直径より僅かに大きい直径を有するアーム支持軸挿入孔57と、このアーム支持軸挿入孔57に連接して斜め前下方に開口している、前記アーム支持軸挿入孔57の直径より幅狭のアーム支持軸挿入溝58が形成してある。このアーム支持軸挿入溝58の幅は、前記アーム支持軸54の断面の最も幅狭の部分は通過させることができるが、それ以外の部分は通過できない幅に設定してある。したがって、アーム支持軸54にワイパーアーム55の先端部56を支持させるときは、ワイパーアーム55の先端部56を矢符の方向に動かして、図中に実線で示すようにアーム支持軸54の幅狭部分を、ワイパーアーム55の先端部56に形成したアーム支持軸挿入溝58を通過させてアーム支持軸54をアーム支持軸挿入孔57に挿入する。しかる後、図14に示すように、ワイパーアーム55を矢符の方向に回転させて、図中実線で示す状態においてアーム支持軸54にワイパーアーム55の先端部56を支持させる(日本国特許第4042365号公報)。
【0003】
しかし、前記のような連結機構は、ワイパーアーム55をサービスポジションにおいて起立させた場合、ワイパーブレード51側が前記アーム支持軸54を中心にして自由に回動できる状態となるため、取扱中にアーム支持軸54に対するワイパーアーム55の先端部56が一定の角度になると、すなわち、アーム支持軸54の幅狭部分を、ワイパーアーム55の先端部56に形成したアーム支持軸挿入溝58を通過させてアーム支持軸54をアーム支持軸挿入孔57に挿入したときと同じ角度になると、ワイパーアーム55の先端部からワイパーブレード51のプライマリーレバー52が不用意に外れてしまうという大きな欠点がある。
このような欠点を除くために、図15に示すように、ワイパーアーム55の先端部56を長くして、ワイパーブレード側がアーム支持軸54を中心にして回動しようとしても、ブラケットの底部59が前記ワイパーアーム55の先端部56に干渉してワイパーブレード側が回動できなくすることも知られているが、この構造は図示しないストッパ機構が必要になるため、コスト高になるという欠点がある(日本国特許公開2005−75240号)。
【0004】
また、従来技術として、日本国特許公開2002−308062号公報には、図16及び図17に示すように、先端部にピン挿通孔61を形成し、そのピン挿通孔61には底面から傾斜面を有して、ピン挿通孔61に達するピン挿通孔61の直径よりやや幅狭のピン誘導溝62から成るピン挿通部を設けたワイパーアーム63と、ワイパーブレードの主ヨークの背中部に固定する連結具であって、底面を水平面とした逆チャンネル型として形成する対向壁は一端側の背丈を高く、他端側を低い背丈として形成し、その対向壁の背丈を高くした部分にはピン挿通孔64を対向して穿設し、その対向壁の背丈を低くした部分には縦縁側に片寄って突起挿通孔65を対向して穿設する保持枠66と、下辺を水平とし、一方側の端縁を背丈の低い縦縁とし、他方側の端縁を背丈の高いアール縁とした板を対設し、対設した板の端縁の背丈を低くした側に渡し板を配した形状とし、両側に配した板の背丈を低くした側の端縁に片寄って切り込み67を形成して端縁と切り込みの間を、下辺をアール縁とした弾片状の突起形成部68とし、弾片状の突起形成部68の両外面に突起69を形成し、背丈を高くした側には端縁に片寄って、アームの肉厚部に形成した前記ピン挿通部の誘導溝62の傾斜面と対向する弦状欠部を以て形成するピン挿通孔を形成する構成としたアーム連結枠70とを、外周をアーム連結枠70のピン挿通孔と同形に弦状切欠をした軸部をもつピン71を以て、保持枠66のピン挿通孔64とアーム連結枠70のピン挿通孔を貫通し、該ピン71の両端をカシメによって抜け出ないようにして、アーム連結枠70を保持枠66に回動自在に装着したワイパーアームに対するワイパーブレードの連結機構が開示されている。
【0005】
この様な従来技術においては、ワイパーブレード側が前記ピン71を中心にして回動しようとしても、前記保持枠66の底部が前記ワイパーアーム63の先端部に干渉してワイパーブレード側が回動できないようにしておけば、アーム連結枠70が図16に示すような起立状態にならない限りワイパーアーム63の先端部からワイパーブレード側が不用意に外れてしまうことはない。しかし、前記ピン71が、ピン挿通孔61のピン挿通部であるピン誘導溝62を挿通可能に構成するための弦状切欠によって、ピン71の外周面が部分的に欠落するため、ワイパーアーム63とワイパーブレード側の連結時に、前記ワイパーアーム63のピン挿通孔64に対して、前記ピン71のガタツキが大きくなり、ワイパーブレードの駆動時に振動やビビリ音が発生しやすくなる問題が有った。この問題は、ワイパーブレード側(特にブラケット部分)に設けるワイパーアーム支持軸(ピン)の断面形状が略D字状である従来装置の共通の欠点であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特許第4042365号公報
【特許文献2】日本国特許公開2002−308062号公報
【特許文献3】日本国特許公開2005−75240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ワイパーアームをサービスポジションにおいて起立させた場合、ワイパーブレード側がアーム支持軸を中心にして自由に回動できる状態となったとしても、ワイパーアームの先端部からワイパーブレードのプライマリーレバーが不用意に外れてしまう欠点がなく、しかもワイパーブレードの駆動時における振動やビビリ音を大幅に少なくすることができ、さらには、従来のワイパーアームに対するワイパーブレードの連結機構と同様の使い方もできるため、ワイパーアームに対する従来のワイパーブレード側構造との共用化も可能である、などの特長を有するワイパーアームとワイパーブレードとの連結機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワイパーブレードの連結機構は、ワイパーアームの先端方向を前方向、ワイパーアームの駆動軸方向を後方向、ワイパーアームおよびワイパーブレードの幅狭方向を左右方向、前記前方向、後方向、左右方向の夫々と垂直な方向を上下方向とした場合に、前記ワイパーアームの先端位置の上方部に左右方向に貫通して形成された軸部材挿通孔と、前記軸部材挿通孔の下方位置から下端部までの間を先端方向に向かって斜め下方方向に形成された左右方向に貫通する溝部を有し、前記溝部の少なくとも前記軸部材挿通孔と近接する位置において前記軸部材挿通孔の内径よりも小さい幅狭部が形成される構造を有するワイパーアームに適合するワイパーブレードの連結機構であって、前記ワイパーブレードは、上端部の左右の位置に離間して形成された一対の対向壁と、前記対向壁間に左右方向に配置された軸部本体と、前記軸部本体に対して回動可能に接続されたレバー部材とを有し、前記軸部本体は前記軸部材挿入孔よりも小さい外径で形成されると共に少なくとも一側面に切欠面が形成され、前記軸部本体の前記切欠面に対する最大距離が前記ワイパーアームの幅狭部と同等もしくは狭く形成され、前記レバー部材は、左右方向に離間して形成された一対の対向片と、前記対向片に形成された前記軸部本体に対して回動可能な一対の孔部と、前記一対の対向片の間に左右方向に配置された補助軸部とを有し、前記ワイパーブレードの軸部本体と、前記レバー部材の補助軸部が組み合わさることによって可変軸部が構成され、前記可変軸部は前記レバー部材が第一の位置に回動した状態でワイパーアームに形成された溝部の幅狭部の通過を許容し、前記レバー部材が第二の位置に回動した状態でワイパーアームに形成された溝部の幅狭部の通過を阻止する様に構成されることを特徴とする。
【0009】
更に、前記レバー部材に形成される補助軸部は、第一の位置と第二の位置の何れの位置においても、前記軸部本体と共通の円周上に配置されない補助軸部本体と、第一の位置において前記軸部本体と共通の円周上に配置される延長軸部を有すると良い。
【0010】
更に、前記レバー部材が第二の位置において、前記軸部本体と補助軸部が前記軸部材挿通孔内に内包可能に構成されると良い。
【0011】
また、前記レバー部材の回動操作部はその先端部近くの両側にレバー部材掛止め用突起が形成されており、前記ワイパーブレードの前記対向壁の上端縁部には、前記レバー部材掛止め用突起を嵌めこむための突起嵌合溝が形成してあり、レバー部材を倒伏位置で固定するときは、前記レバー部材掛止め用突起を前記突起嵌合溝に嵌合させるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
更に、前記レバー部材の回動操作部は、前記ワイパーブレードの対向壁の上端縁部の曲率よりも大きい曲率で湾曲した弾性を有する板材で構成されており、前記レバー部材掛止め用突起に対応する位置よりやや前方に、前記レバー部材掛止め用突起を嵌めこむための突起嵌合溝が形成してあり、レバー部材を倒伏位置に固定するときは、当該レバー部材の接続片を前記ワイパーブレードの上端縁部に倒した後、当該接続片を前方に摺せるようにして前記レバー部材掛止め用突起を前記突起嵌合溝に嵌合させるように構成されると良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワイパーアームをサービスポジションにおいて起立させた場合、ワイパーブレード側が軸部材を中心にして自由に回動できる状態となったとしても、ワイパーアームの先端部からワイパーブレードが不用意に外れてしまう欠点を除去することができる。また、ワイパーアームの先端部に形成した軸部材挿入孔に挿入された軸部材は、軸部本体と補助軸部とに分かれて広範囲に軸部材挿入孔の内面に接触するので、ワイパーブレードの駆動時における振動やビビリ音を大幅に少なくすることができる。さらに、軸部材を構成する補助軸部を動かすことにより、軸部材の断面形状が略D字状である従来装置と同様に、ワイパーアームの着脱が可能であるモードと、ワイパーアームの着脱が阻止されるモードの切り替えを行うことができるので、従来のワイパーブレード側構造との共用化も可能である効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構を示す説明図
【図2】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構のXX断面図
【図3】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構のZZ断面図
【図4】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材1が第一の位置における要部断面図
【図5】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材1が第二の位置における要部断面図
【図6】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材1が第一の位置における要部斜視図
【図7】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材1が第二の位置における要部斜視図
【図8】本発明の実施例の変形例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材が第一の位置における要部断面図
【図9】本発明の実施例の変形例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材が第二の位置における要部断面図。
【図10】本発明に実施例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材の固定構造説明断面図
【図11】本発明の実施例に係るワイパーブレードの連結機構のレバー部材の固定構造説明断面図
【図12】従来技術におけるワイパーブレードの連結機構の側面図。
【図13】従来技術におけるワイパーブレードの連結機構の説明図。
【図14】従来技術におけるワイパーブレードの連結機構の説明図。
【図15】従来技術におけるワイパーブレードの連結機構の説明図。
【図16】従来技術におけるワイパーブレードの連結機構の説明図。
【図17】従来技術におけるワイパーブレードの連結機構の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の第1実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の説明においてはワイパーアーム11の先端位置12方向を前方向、ワイパーアーム11の駆動軸方向を後方向、ワイパーアームおよびワイパーブレードの幅狭方向を左右方向、前記前方向、後方向、左右方向の夫々と垂直な方向を上下方向として説明を行なう。
【0017】
本発明は、図1、図2において、ワイパーアーム11の先端位置12の上方部に左右方向Y−Yに貫通して形成された軸部材挿通孔13と、前記軸部材挿通孔13の下方位置から下端部までの間を先端方向に向かって斜め下方方向に形成された左右方向Y−Yに貫通する溝部14を有し、前記溝部14の少なくとも前記軸部材挿通孔13と近接する下方位置において、前記軸部材挿通孔13の内径よりも小さい幅狭部15が形成される構造を有するワイパーアーム11に適合するワイパーブレード10の連結機構である。
【0018】
本実施例において、ワイパーブレード10の上端に開口部を上にして固定した断面コ字状のブラケット16を有し、図3に示すように、左右の位置に離間して形成された一対の対向壁17a、17bと、前記対向壁17a、17b間に左右方向に配置された軸部本体18と、前記軸部本体18に対して回動可能に接続されたレバー部材19とを有する。
【0019】
前記軸部本体18は図4〜図7に示す様に、前記軸部材挿入孔13よりも小さい外径で形成されると共に少なくとも一側面に切欠面18bが形成され、前記軸部本体18の前記切欠面18bに対する最大距離が前記ワイパーアーム11の幅狭部15と同等もしくは狭く形成され、前記軸部本体18に対して、前記溝部14の幅狭部15が通過可能に構成されている。また、前記レバー部材19は、左右方向に離間して形成された一対の対向片20a、20bと前記軸部本体18に対して回動可能に形成された一対の孔部21a、21bと、前記一対の対向片20a、20bの間に左右方向に配置された補助軸部22を有する。
【0020】
前記軸部本体18によって前記レバー部材19の前記一対の孔部21a、21bが軸支され、少なくとも前記一対の孔部21a、21bの周囲における前記一対の対向片20a、20bの内側面の左右方向の距離は前記ワイパーアーム11の軸部材挿通孔13の周囲における左右方向の幅より大きく形成されることにより、前記対向片20a、20bの間にワイパーアーム11が進入可能に構成される。
【0021】
さらに前記一対の対向片20a、20b間において、前記軸部本体18と、前記補助軸部22が組み合わさることによって可変軸部23が構成され、前記レバー部材19の回動操作によって前記軸部本体18に対する前記補助軸部22の位置が移動し、前記可変軸部23の形状が変化する事によって、前記ワイパーアーム11に形成された溝部14の前記幅狭部15の通過を制御可能に構成される。
【0022】
軸部本体18と補助軸部22とからなる可変軸部23は、前記レバー部材19が上方に起立した第一の位置に回動した状態で、図4に示す様に軸部本体18と補助軸部22がW1で示す範囲内に配置されることにより前記可変軸部23の最大幅W1は溝部14の幅狭部15の最小幅W3と同等、もしくは小さくなるため軸部本体18と補助軸部22とからなる可変軸部23は前記幅狭部15を通過して前記軸部挿入孔13の中に挿入することができる。すなわち、ワイパーアーム11の着脱が可能な状態にすることができる。
【0023】
また、前記レバー部材19が第二の位置に回動した状態で、図5に示す様に、軸部本体18に対して補助軸部22がW1の範囲から移動し、特に可変軸部23の仮想円と前後方向の直径が同等になるため、可変軸部23の最小幅W2は溝部14の幅狭部15の最小幅より大きくなる。したがって、ワイパーアーム11の着脱が不可能となるだけでなく、ワイパーブレード10側が可変軸部23を中心にして自由に回動できる状態となったとしても、ワイパーアーム11の先端部からワイパーブレード10が不用意に外れてしまうことはない。さらに、この状態では、前記軸部挿入孔13の内面の大部分に軸部本体18と補助軸部22が接触するので、ワイパーブレード10の駆動時における振動やビビリ音が大幅に少なくなる。このような効果を得るためには、軸部本体18と補助軸部22があくまでも前記軸部材挿通孔13に内包されていることが必要である。
【0024】
図6はレバー部材19が上方に起立した第一の位置にある場合の、軸部本体18と補助軸部22との組み合わせ状態を示す斜視図であり、前記レバー部材19に形成される補助軸部22を、レバー部材19が第一の位置と第二の位置の何れの位置においても、前記軸部本体18と共通の円周上に配置されない補助軸部本体22aと、レバー部材19が第一の位置において前記軸部本体18と共通の円周上に配置される延長軸部22bを形成することにより、レバー部材19が第二の位置の状態において、可変軸部23の円周上における軸形成比率を高める事ができ、更に本実施例の変形例として図8、に示す様に、レバー部材19が第一の位置から第二の位置までの回動する際の回動角度Cに相当する範囲と同等もしくはそれより大きい角度Dに相当する前記延長軸部22bを形成すれば、図9に示す様に、レバー部材19が第二の位置の状態において、円周上の全体に軸を形成する事ができる。なお、前記補助軸部22は対向片20a、20bの一方、例えば20aにのみ形成した片持ち構造としても良い。
【0025】
尚、本発明において、前記第一の位置における可変軸部23の最大幅W1、第二の位置における可変軸部23の最小幅W2、前記ワイパーアームの幅狭部15の最小幅W3は、ワイパーアーム11に対するワイパーブレード10の着脱操作時および使用状態において作用する負荷に起因による各部材の撓みを考慮した寸法とする。
【0026】
また、図10及び図11に示す様に、レバー部材19の回動操作部24は弾性を有する湾曲した板材で構成するとともに、その先端部近くの両側にレバー部材掛止め用突起29a、29bを形成し、一方、ブラケット16の対向壁17a、17bの、前記レバー部材掛止め用突起29a、29bに対応する位置よりやや前方に、前記レバー部材掛止め用突起29a、29bを嵌めこむための突起嵌合溝30a、30bを形成しておき、レバー部材19を、第二の位置Bにしたときは、レバー部材19をブラケッド16の上部と当接する位置に倒した後、回動操作部24を前方に摺せるようにして前記レバー部材掛止め用突起29a、29bを前記突起嵌合溝30a、30bに嵌合させることにより、レバー部材19をブラケッド16に対してしっかり固定することができる。尚、ブラケッド16の対向壁17a、17bに対するレバー部材19の固定構造は、本実施例に限定されず、既存の技術を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、乗用車、バス、トラック、鉄道、航空機、船舶等の乗り物に取付けられるワイパー装置において、ワイパーアームに対するワイパーブレードの連結機構として産業上有効に利用する事が出来る。
【符号の説明】
【0028】
10:ワイパーブレード、11:ワイパーアーム、12:先端部、13:軸部材挿通孔、14:溝部、15:幅狭部、16:ブラケット、17a、17b:対向壁、18:軸部本体、18b:切欠面、19:レバー部材、20a、20b:対向片、21a、21b:孔部、22:補助軸部、22a:補助軸部本体、22b:延長軸部、23:可変軸部、24:回動操作部、29a、29b:レバー部材掛止め用突起、30a、30b:突起嵌合溝、51:ワイパーブレード、52:プライマリーレバー、53:ブラケット、54:アーム支持軸、55:ワイパーアーム、56:先端部、57:アーム支持軸挿入孔、58:アーム支持軸挿入溝、59:底部、61:ピン挿通孔、62:ピン誘導溝、63:ワイパーアーム、64:ピン挿通孔、65:突起挿通孔、66:保持枠、67:切り込み、68:突起形成部、69:突起、70:アーム連結枠、71:該ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーアームの先端方向を前方向、ワイパーアームの駆動軸方向を後方向、ワイパーアームおよびワイパーブレードの幅狭方向を左右方向、前記前方向、後方向、左右方向の夫々と垂直な方向を上下方向とした場合に、前記ワイパーアームの先端位置の上方部に左右方向に貫通して形成された軸部材挿通孔と、前記軸部材挿通孔の下方位置から下端部までの間を先端方向に向かって斜め下方方向に形成された左右方向に貫通する溝部を有し、前記溝部の少なくとも前記軸部材挿通孔と近接する位置において前記軸部材挿通孔の内径よりも小さい幅狭部が形成される構造を有するワイパーアームに適合するワイパーブレードの連結機構であって、
前記ワイパーブレードは、上端部の左右の位置に離間して形成された一対の対向壁と、前記対向壁間に左右方向に配置された軸部本体と、前記軸部本体に対して回動可能に接続されたレバー部材とを有し、
前記軸部本体は前記軸部材挿入孔よりも小さい外径で形成されると共に少なくとも一側面に切欠面が形成され、前記軸部本体の前記切欠面に対する最大距離が前記ワイパーアームの幅狭部と同等もしくは狭く形成され、
前記レバー部材は、左右方向に離間して形成された一対の対向片と、前記対向片に形成された前記軸部本体に対して回動可能な一対の孔部と、前記一対の対向片の間に左右方向に配置された補助軸部とを有し、
前記ワイパーブレードの軸部本体と、前記レバー部材の補助軸部が組み合わさることによって可変軸部が構成され、
前記可変軸部は前記レバー部材が第一の位置に回動した状態でワイパーアームに形成された溝部の幅狭部の通過を許容し、前記レバー部材が第二の位置に回動した状態でワイパーアームに形成された溝部の幅狭部の通過を阻止する様に構成されることを特徴とするワイパーブレードの連結機構。
【請求項2】
前記レバー部材に形成される補助軸部は、第一の位置と第二の位置の何れの位置においても、前記軸部本体と共通の円周上に配置されない補助軸部本体と、第一の位置において前記軸部本体と共通の円周上に配置される延長軸部からなることを特徴とする請求項1項記載のワイパーブレードの連結機構。
【請求項3】
前記レバー部材が第二の位置において、前記軸部本体と補助軸部が前記軸部材挿通孔内に内包可能に構成されることを特徴とする請求項1または2記載のワイパーブレードの連結機構。
【請求項4】
前記レバー部材の回動操作部はその先端部近くの両側にレバー部材掛止め用突起が形成されており、前記ワイパーブレードの前記対向壁の上端縁部には、前記レバー部材掛止め用突起を嵌めこむための突起嵌合溝が形成してあり、レバー部材を倒伏位置で固定するときは、前記レバー部材掛止め用突起を前記突起嵌合溝に嵌合させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のワイパーブレードの連結機構。
【請求項5】
前記レバー部材の回動操作部は、前記ワイパーブレードの対向壁の上端縁部の曲率よりも大きい曲率で湾曲した弾性を有する板材で構成されており、前記レバー部材掛止め用突起に対応する位置よりやや前方に、前記レバー部材掛止め用突起を嵌めこむための突起嵌合溝が形成してあり、レバー部材を倒伏位置に固定するときは、当該レバー部材の接続片を前記ワイパーブレードの上端縁部に倒した後、当該接続片を前方に摺せるようにして前記レバー部材掛止め用突起を前記突起嵌合溝に嵌合させるように構成されていることを特徴とする請求項4記載のワイパーブレードの連結機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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