説明

ワイヤレスコントローラ

【課題】スイッチを設けたり複雑な回路を構成したりすることなく、ワイヤレスコントローラのプレイヤ番号を簡単に設定できるようにする。
【解決手段】ワイヤレスコントローラ4に配置されたメスコネクタ11には、コイルバネ形状の金属ピンP1〜P5の先端が突出され、金属ピンP1〜P5の他端にはそれぞれ値の異なる抵抗が接続されている。メスコネクタ11に挿入されるオスコネクタ14は絶縁板15を有し、絶縁板15には金属ピンP1,P3に対応する位置に穴16があけられ、絶縁板15の背面には金属板17が配置されている。メスコネクタ11にオスコネクタ14を挿入すると、金属ピンP1,P3が穴16を貫通して金属板17に接続され、抵抗の電圧に対応したプレイヤ番号が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機などに供されるワイヤレスコントローラに関するものであり、特に、複数のプレイヤによってゲームを行う場合に用いられるワイヤレスコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有線式のコントローラを用いてゲーム機でプレイを行う場合、それぞれのコントローラのプレイヤ番号は、コントローラをゲーム機本体のいずれのソケットに挿入したかによる物理的な接続状態によって一義的に決定される。一方、無線式のコントローラ(以下、ワイヤレスコントローラという)の場合も、ゲーム機本体とワイヤレスコントローラとの通信が1対1であれば、ゲーム機本体の受信側コンソールがいずれのプレイヤ番号に設定されているかを確認することによって、ワイヤレスコントローラのプレイヤ番号を知ることができる。
【0003】
そして、ワイヤレスコントローラから発信されるゲーム信号をゲーム機本体のワイヤレスレシーバが受信することにより、プレイヤ番号に対応して無線通信によってゲーム操作を行うことができる。この場合、ワイヤレスコントローラから無線で発信されるゲーム信号は無指向性であるため、ゲーム機本体は、テレビとAVケーブルで接続できる範囲であれば、どこに置いてもゲームを実行することができる。
【0004】
ところが、ゲーム機本体の受信側コンソールが1台で複数のワイヤレスコントローラと接続されている場合は、各ワイヤレスコントローラのデバイスに固有なプレイヤ番号を設定する方法として、一般的に、それぞれにワイヤレスコントローラにスイッチを設けて、各スイッチを個別に切替え設定する方法が行われている。このとき、各ワイヤレスコントローラは、自己のスイッチの接続状態を検出して受信側コンソールに送信するゲーム信号の中にスイッチの接続状態情報を含めて送信する。
【0005】
このようにしてスイッチを用いて接続状態を設定する場合は、対応するワイヤレスコントローラの個数に相当する接続状態を表現できるスイッチ、例えばDIPスイッチやロータリースイッチなどが使用される。つまり、4台のワイヤレスコントローラを用いてゲームを実行する場合は、それぞれのワイヤレスコントローラの各DIPスイッチによって4通りの接続状態を表現する。
【0006】
なお、複数のワイヤレスコントローラとゲーム機本体との間で無線通信を行う技術として、時間領域多重で同一チャネルの信号を送信する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、多数の送信部、つまり、多数のワイヤレスコントローラより、時間領域多重で同時にゲーム機本体へゲーム信号を送信できる。しかし、それぞれのワイヤレスコントローラを識別するためには、各ワイヤレスコントローラに、異なった接続状態を表現するためのスイッチなどを設ける必要がある。
【0007】
また、複数のワイヤレスコントローラとゲーム機本体との間で無線通信を行うときに個々のワイヤレスコントローラを識別する技術として、あらかじめ、ゲーム機本体の受信側ユニットに各ワイヤレスコントローラのステータスを書き込んでおき、受信側ユニットがそれぞれのワイヤレスコントローラからゲーム信号を受信した際に、ステータスを参照して、ワイヤレスコントローラを特定する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、ワイヤレスコントローラにスイッチ等を設けなくても、ステータスの書き込まれたテーブルを参照することにより、いずれのワイヤレスコントローラから
送信されたゲーム信号であるかを一義的に識別することができる。
【特許文献1】特表2003−525719号公報
【特許文献2】特開2002−140154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記DIPスイッチを用いてワイヤレスコントローラを識別する場合、例えば、4台のワイヤレスコントローラを用いてゲームを実行するときは、2BITのDIPスイッチを用いて(00,01,10,11)というようにスイッチの切替えを行っているが、このときの切替え設定が目視できるように感覚的になっていないので、プレイヤは、自己のワイヤレスコントローラがいずれのプレイヤ番号に対応しているかを判断しにくい場合がある。
【0009】
また、4BITのDIPスイッチを用いた場合は、(0000)から(1111)までの間には多数の(16個の)設定数字の配列があるので、設定数字の配列が多くて自己が設定した状態を覚えきれないために、設定に重複や混乱が生じるおそれがある。一方、ロータリースイッチを用いた場合は、感覚的に設定できない問題や重複設定が生じる問題などは解消されるが、ロータリースイッチの価格が高いために、ワイヤレスコントローラ全体がコスト高となるおそれがある。なお、DIPスイッチを用いた場合も、ロータリースイッチを用いた場合も、接続設定された状態をユーザが目視で確認することは極めて難しい。
【0010】
一方、上記の特許文献2のように、あらかじめワイヤレスコントローラのステータスをメモリに書き込んでおき、書き込まれたステータスを参照しながらワイヤレスコントローラを特定する方法では、ステータスを書き込むためのメモリやCPUなどを含んだ複雑な回路が必要となる。そのためゲーム機本体の回路構成が複雑になり、結果的にゲーム機本体がコストアップしてしまう。
【0011】
そこで、スイッチを設けたり複雑な回路を構成したりすることなく、ワイヤレスコントローラにプレイヤ番号などの固有な情報を簡単に設定することができるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はその課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ゲーム機本体へゲーム信号を無線で送信してゲームを実行させるワイヤレスコントローラであって、電源ライン及びグランドにそれぞれ接続された抵抗値の異なる複数の抵抗と、複数の抵抗のうち、所望の抵抗を電源ラインとグランドとの間で選択的に接続させる設定ピンと、設定ピンによって選択的に接続された抵抗の値に対応した分圧電圧に基づいてプレイヤIDを設定するID設定回路とを備えるように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0013】
この構成によれば、設定ピンを挿入することにより電源ライン側の抵抗とグランド側の抵抗とを接続する構成となっている。したがって、任意の設定ピンを挿入すれば、電源ラインとグランドとの間に接続された抵抗による分圧電圧を検出することができる。このとき、それぞれの抵抗は抵抗値が異なっているので、設定ピンの挿入位置によって異なった抵抗が接続され、固有の電圧値の分圧電圧を検出することができる。よって、前記分圧電圧に基づいて、ゲーム機本体へ無線送信されるプレイヤIDを設定することが可能となる。
【0014】
請求項2記載の発明では、前記設定ピンは、一端に抵抗が接続された複数の金属ピンであって、複数の金属ピンのいずれか2個又は3個を導通させる金属板が内蔵されたオスコネクタの装着により、所望の抵抗を電源ラインとグランドとの間で選択的に接続されるように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0015】
この構成によれば、設定ピンは、複数の金属ピンのうち、いずれかの2個又は3個の金属ピンをオスコネクタの金属板に接触させて導通させる。したがって、このオスコネクタ(ソケットのオス側部品)をワイヤレスコントローラに装着すれば、所望の抵抗を電源ラインとグランドとの間で選択的に接続させることができるので、所望の電圧値の分圧電圧を検出することが可能となる。よって、所望の電圧値の分圧電圧に対応したプレイヤIDを設定することができる。
【0016】
また、請求項3記載の発明では、上記複数の金属ピンのうちいずれか2個又は3個は、絶縁板に形成された2箇所または3箇所の穴を貫通して、金属板に接続されるように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0017】
この構成によれば、オスコネクタは、2箇所または3箇所に穴があいた絶縁板の背面に金属板が配置され、2個又は3個の金属ピンが絶縁板の前面から穴を貫通して、金属板に接続される。したがって、この構成では、他の金属ピンは絶縁板で遮られて金属板に接続されないようになっている。よって、このオスコネクタをワイヤレスコントローラに装着すれば、必然的に所望の抵抗のみが、電源ラインとグランドとの間に接続される。
【0018】
請求項4記載の発明では、金属ピンはコイルバネ形状に形成されていて、穴に貫通されない金属ピンは絶縁板の表面で圧縮されるように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0019】
この構成によれば、金属ピンはコイルバネ形状になっているので、絶縁板の穴に貫通されない金属ピンは絶縁板の表面で圧縮されることになる。よって、絶縁板の穴を貫通しない金属ピンが絶縁板の表面で破損するおそれはなくなる。
【0020】
請求項5記載の発明では、オスコネクタは、プレイヤIDに対応した文字または図柄を表示する表示部を備えるように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0021】
この構成によれば、例えば、オスコネクタの背面に、プレイヤIDに対応した文字または図柄を表示する表示部を備えている。したがって、複数の各プレイヤは、自己のワイヤレスコントローラの背面に配置されている表示部を見れば、そのワイヤレスコントローラのプレイヤID(プレイヤ識別番号)を視覚的に確認することができる。
【0022】
また、請求項6記載の発明では、表示部は、オスコネクタが正常に装着されたときプレイヤIDに対応した文字または図柄を表示するように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0023】
この構成によれば、オスコネクタをワイヤレスコントローラに正常に装着したときのみ、プレイヤIDに対応した数字(例えば、プレイヤ番号)が表示部に表示される。したがって、ワイヤレスコントローラにオスコネクタが正常に装着されていないときの誤操作を防ぐことができる。
【0024】
請求項7記載の発明では、オスコネクタが装着されないときはゲームを実行させないように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0025】
この構成によれば、プレイヤがワイヤレスコントローラにオスコネクタを装着することによって、自己のプレイヤ番号を認識し、はじめてゲームを開始することができる。言い換えれば、ワイヤレスコントローラにオスコネクタが装着されないときは、プレイヤ識別番号も不明であるので、ゲーム機能を停止させてゲームに参加できない。
【0026】
請求項8記載の発明では、分圧電圧をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換回路を備えるように構成されたワイヤレスコントローラを提供する。
【0027】
この構成によれば、抵抗によって検出された分圧電圧をディジタル信号に変換することによって、信号処理が容易になる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1記載の発明によれば、設定ピンをワイヤレスコントローラに挿入することにより、電源ラインとグランドとの間に接続された抵抗の分圧電圧を検出して、その分圧電圧に対応したプレイヤIDを設定することができる。したがって、プレイヤはワイヤレスコントローラに設定ピンを挿入するだけで、自己が操作するワイヤレスコントローラのプレイヤ番号を容易に設定することができる。
【0029】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、設定ピンはオスコネクタによって構成されているので、そのオスコネクタをワイヤレスコントローラに装着すれば、容易に分圧電圧を検出して、ワイヤレスコントローラのプレイヤ番号を設定することができるので、ワイヤレスコントローラの操作性が一段と向上する。
【0030】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、オスコネクタは、2箇所又は3箇所に穴があいた絶縁板の背面に金属板が配置され、2個又は3個の所望の金属ピンのみが、絶縁板の前面から穴を貫通して、金属板に接続されるように構成されているので、必然的に所望の抵抗の分圧電圧のみを検出することができる。したがって、オスコネクタをワイヤレスコントローラに装着するだけで、容易に自己が操作するワイヤレスコントローラのプレイヤ番号を設定することができる。また、オスコネクタを用いることにより、スイッチを使用するよりも、構成が簡単で安価にプレイヤ番号設定手段を実現させることが可能となる。
【0031】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加えて、金属ピンはコイルバネ形状になっているので、絶縁板の穴を貫通しない金属ピンが、絶縁板の表面で破損するおそれはなくなる。
【0032】
請求項5記載の発明によれば、請求項2、3又は4記載の発明の効果に加えて、複数のワイヤレスコントローラによってゲームを実行するそれぞれのプレイヤは、自己のワイヤレスコントローラに設けられている表示部を見れば、そのワイヤレスコントローラのプレイヤ番号を視覚的に確認することができる。これによって、各プレイヤは容易にプレイヤ番号を認識することができる。また、プレイヤは、目視によってプレイヤ番号の設定と表示を同時に行うことができる。
【0033】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、オスコネクタをワイヤレスコントローラに正常に装着したときのみ、プレイヤ番号が表示部に表示されるので、ワイヤレスコントローラの誤操作を防ぐことができる。
【0034】
請求項7記載の発明によれば、請求項2、3、4、5または6記載の発明の効果に加えて、プレイヤがワイヤレスコントローラにオスコネクタを装着しないときは、ゲーム機能を停止させてゲームに参加できないようになっているので、ワイヤレスコントローラの誤
操作を防ぐことができる。
【0035】
請求項8記載の発明によれば、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の発明の効果に加えて、抵抗によって検出された分圧電圧、すなわち、プレイヤIDを定義付ける信号がディジタル信号に変換されることによって、安価で簡単な構成により信号処理が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明によるワイヤレスコントローラの最良の形態は、シンプルな回路構成でワイヤレスコントローラに固有な情報を簡単に設定するという目的を達成するために、抵抗値の異なる抵抗がそれぞれ接続された複数の金属ピンのうち、所望の2個また3個の金属ピンを金属板に接触させるように構成されたオスコネクタをワイヤレスコントローラに装着する。これによって、所望の抵抗を電源ラインとグランドとの間で接続させることができる。したがって、ワイヤレスコントローラに内蔵された電圧レベル検出回路(ID設定回路)が、電源ラインとグランドの間に接続された抵抗によって固有の分圧電圧を検出する。
【0037】
さらに、この電圧レベル検出回路(ID設定回路)は、検出された分圧電圧に基づいてワイヤレスコントローラごとのプレイヤIDを設定する。このようにして、オスコネクタをワイヤレスコントローラに装着(挿入)することによって、自動的にワイヤレスコントローラごとのプレイヤID(プレイヤ番号)が設定される。
【0038】
なお、ワイヤレスコントローラにA/D(アナログ/ディジタル)変換回路を設けて、電圧レベル検出回路(ID設定回路)で検出された分圧電圧を、A/D変換回路によってディジタル信号に変換処理するようにしてもよい。分圧電圧をディジタル信号に変換することによって、簡単な信号処理でワイヤレスコントローラごとのプレイヤIDを設定することが可能となる。
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明によるワイヤレスコントローラの具体的な実施例の幾つかについて詳細に説明する。なお、以下に述べる各実施例で用いる図面において、同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。
【実施例1】
【0040】
以下、図1乃至図8を参照しながら、本発明の第1の実施例におけるワイヤレスコントローラについて説明する。図1は、本発明に適用されるゲーム機全体のシステム構成図である。本実施例は、所定の位置にコ字状のピンを内蔵してなるソケットをコントローラに挿入装着し、該コントローラに内蔵されたアナログ/ディジタル変換回路に接続された複数の抵抗端子のうち2つの抵抗端子をショートし、コントローラの個別識別プレイヤ番号IDを設定するようにしたことにより、ピンを差し込むだけで個別識別プレイヤ番号IDを容易迅速に設定できると共に、該プレイヤ番号IDの表示も同時に実行でき、かつ、設定が感覚的であるので分かりやすいうえに、スイッチの使用により安価に実現できるものである。
【0041】
図1に示すように、ゲーム機本体1とテレビなどのディスプレイ2はAVケーブル3によって接続されている。また、複数のワイヤレスコントローラ4a,4b…4nからゲーム機本体1へ赤外線のゲーム信号が無線で送信されている。さらに、複数のワイヤレスコントローラ4a,4b…4nの中央部には、それぞれ、ソケット5a,5b…5nのオスコネクタが挿入されている。したがって、ワイヤレスコントローラ4aからはソケット5aに対応するプレイヤID“a”が、赤外線のゲーム信号に重畳されて、ゲーム機本体1へ無線で送信される。
【0042】
同様にして、ワイヤレスコントローラ4bからはソケット5bに対応するプレイヤID“b”が赤外線のゲーム信号に重畳されてゲーム機本体1へ無線で送信され、ワイヤレスコントローラ4nからはソケット5nに対応するプレイヤID“n”が赤外線のゲーム信号に重畳されてゲーム機本体1へ無線で送信される。これによって、ワイヤレスコントローラごとのプレイヤIDに対応してゲームが展開される。なお、各ワイヤレスコントローラ4a,4b…4nのプレイヤは、それぞれのソケット5a,5b…5nのオスコネクタ表面の表示部に表示されたプレイヤID“a”、“b” …“n”の表示文字によって、自己のワイヤレスコントローラのプレイヤ番号を目視で確認することができる。
【0043】
以下、ワイヤレスコントローラ4a,4b…4nのメスコネクタに各ソケット5a,5b…5nのオスコネクタが挿入されることによって、対応するプレイヤID“a”、“b” …“n”が設定される過程について、詳細に説明する。
【0044】
図2は、本発明に適用されるワイヤレスコントローラに挿入されるソケットのオスコネクタとメスコネクタの構成を示す断面図であり、(a)はワイヤレスコントローラ側に配置されたメスコネクタ、(b)はワイヤレスコントローラのメスコネクタへ挿入するオスコネクタである。
【0045】
図2(a)において、一部分が描かれているワイヤレスコントローラ4に配置されたメスコネクタ11には、コイルバネによって構成された金属ピンP1,P2,P3,P4,P5が等間隔で配置されている。例えば、金属ピンP3は、図3(a)に示すように、コイルバネ12が筒状ケース13に伸縮自在に挿入されていて、コイルバネ12の一部が筒状ケース13から突出している。他の金属ピンP1,P2,P4,P5も同様の構成になっている。したがって、メスコネクタ11の端面からは、図3(b)に示すように、コイルバネ12からなる金属ピンP1,P2,P3,P4,P5が等間隔で配置され、しかも、金属ピンP1,P2,P3,P4,P5は同じ長さだけメスコネクタ11の筒状ケース13から突出している。
【0046】
また、図2(b)に示すように、メスコネクタ11に対して矢印方向へ挿入される別ピースのオスコネクタ14は、樹脂などの絶縁材料で構成されていて、メスコネクタ11と対向するインサート面には、部分的に穴16が形成された樹脂製の絶縁板15が配置されている。例えば、図2(b)の例では、絶縁板15は、図2(a)のメスコネクタ11における金属ピンP1と金属ピンP3に対応する各位置に、穴16があけられている。また、穴16があけられた絶縁板15の背面側には、金属板17が配置されている。絶縁板15と金属板17は、密着した状態でオスコネクタ14の前面肩部14aと後面肩部14aで挟まれているので、絶縁板15と金属板17が位置ズレするおそれはない。
【0047】
メスコネクタ11に対してオスコネクタ14が正常に挿入されると、コイルバネによって構成された金属ピンP1と金属ピンP3は、その先端部分がオスコネクタ14の穴16を貫通して、金属板17に接触する。つまり、図3(c)に示すように、金属ピンP3は、コイルバネ12の先端がオスコネクタ14の金属板17に接触する。金属ピンP1についても同様である。
【0048】
ところが、図2(b)に示すように、オスコネクタ14に絶縁板15がある部分、つまり、穴16のあいていない部分に対応する金属ピンP2,P4,P5は、コイルバネの先端が絶縁板15の表面に押し当てられて、コイルバネが圧縮する。すなわち、金属ピンP2,P4,P5は金属板17に接触することなく、コイルバネが圧縮された状態を保持している。したがって、金属板17に接触しない金属ピンP2,P4,P5が破損するおそれはない。このようにして、金属ピンP1,P2,P3,P4,P5のそれぞれに接続された抵抗値の異なる抵抗(図示せず)のうち、金属ピンP1に接続された抵抗と、金属ピ
ンP2に接続された抵抗とが、金属板17を通して接続される。
【0049】
図2(b)に示すオスコネクタ14では、絶縁板15は、金属ピンP1と金属ピンP3に対応する位置に穴16を有しているが、絶縁板15において穴16をあける位置を変えれば、金属板17に接触する金属ピンの種類を金属ピンP2,P4,P5などに適宜に変えることができる。言い換えれば、絶縁板15で穴16をあける位置を変えれば、金属板17に接続される抵抗の種類、つまり、抵抗の値を変えることができる。
【0050】
図4は、図2(b)に示す各オスコネクタ14において、絶縁板15の穴あけ位置を変えた状態を示す概念図である。例えば、No.1(プレイヤ番号1)のオスコネクタ14の絶縁板15には、金属ピンP2及び金属ピンP3と対応する各位置に穴6,6があけられ、金属ピンP2、P3が穴6,6を貫通することで、金属板17に接触して導通される。また、No.2(プレイヤ番号2)の絶縁板15については、金属ピンP1及び金属ピンP3と対応する位置に、No.3(プレイヤ番号3)の絶縁板15については、金属ピンP3及び金属ピンP4と対応する位置に、No.4(プレイヤ番号4)の絶縁板15については、金属ピンP3及び金属ピンP5と対応する位置にそれぞれ穴6,6があけられている。
【0051】
すなわち、金属ピンP3をコモンとして、No.1のオスコネクタ14は金属ピンP2が、No.2のオスコネクタ14は金属ピンP1が、No.3のオスコネクタ14は金属ピンP4が、No.4のオスコネクタ14は金属ピンP5が、それぞれ金属板17によって接続される。
【0052】
また、絶縁板15のそれぞれの位置に穴があけられたオスコネクタ14は、プレイヤIDに対応するプレイヤ番号が表示される表示部を背面に有する。すなわち、図5(a)に示すようなNo.1のオスコネクタ14は、同図(b)に示すように、その背面にプレイヤ番号1を表わす“1”が表示されている。同様にして、No.2のオスコネクタ14の背面には“2”が、No.3のオスコネクタ14の背面には“3”が、No.4のオスコネクタ14の背面には“4”が、それぞれ表示されている。
【0053】
No.1のオスコネクタ14をワイヤレスコントローラ4に挿入したときは、つまり、No.1のオスコネクタ14を図2のメスコネクタ11に挿入したときは、図6に示すように、ワイヤレスコントローラ4にソケット5がゲーム可能なセット状態に装着される。なお、ソケット5は、メスコネクタ11とオスコネクタ14とから構成される。
【0054】
したがって、プレイヤは、ワイヤレスコントローラ4に装着されたオスコネクタ14の表示文字によって、自己のワイヤレスコントローラ4がNo.1のワイヤレスコントローラ4であることを視覚的に認識することができる。同様にして、No.2のワイヤレスコントローラ4には背面に“2”と記録されたオスコネクタ14が装着されるので、そのワイヤレスコントローラ4のプレイヤは、自己のワイヤレスコントローラ4がNo.2のワイヤレスコントローラ4であることを視覚的に認識することができる。
【0055】
次に、プレイヤ番号の異なるソケット5のオスコネクタ14をワイヤレスコントローラ4に装着した場合、より具体的には、接続される金属ピンが異なるオスコネクタ14を、ワイヤレスコントローラ4側のメスコネクタ11に挿入した場合、ワイヤレスコントローラ4からゲーム機本体へプレイヤ番号に対応する信号が、どのようにして送信されるかについて、回路的に詳細に説明する。
【0056】
図7は、本発明のワイヤレスコントローラにおける実施例1のプレイヤID送信回路である。ソケット5と電圧レベル検出回路(ID設定回路)19との間は、図に示すように
、それぞれ値の異なる抵抗及び短絡線によって接続されている。電圧レベル検出回路19のHigh Out端子からは電源電圧Voutが出力される。また、電圧レベル検出回路19のA/D
In端子には各金属ピンの接続状態によって決定される電圧Vinが入力される。
【0057】
実施例1では2個の金属ピンの接続位置を変えることにより、電圧レベル検出回路19で検出される電圧レベルに対応して、ワイヤレスコントローラ4のプレイヤ番号を設定している。この場合は、ソケット5に5個の金属ピンを用意し、金属ピンP3をコモンとして他のいずれかの金属ピンを接続することによって、ワイヤレスコントローラ4のプレイヤ番号を設定することができる。
【0058】
たとえば、金属ピンP2,P3が接続されたNo.1のオスコネクタ14が、ワイヤレスコントローラ4に挿入されると、電圧レベル検出回路19のA/D In端子に入力される電圧Vinは、Vout×R4/(R1+R4)となる。また、金属ピンP1,P3が接続されたNo.2のオスコネクタ14が、ワイヤレスコントローラ4に挿入されると、電圧レベル検出回路19のA/D In端子に入力される電圧VinはVoutとなる。
【0059】
このようにして、プレイヤ番号に対応して2個の金属ピンの接続位置を変えることにより、電圧レベル検出回路19はそれぞれ異なった電圧を検出する。よって、ワイヤレスコントローラ4は、電圧レベル検出回路19で検出された電圧レベル信号を、プレイヤIDとしてゲーム信号に重畳してゲーム機本体へ無線で送信すれば、ゲーム機本体はワイヤレスコントローラ4のプレイヤ番号に対応したゲームを実行することができる。また、各ワイヤレスコントローラ4のプレイヤは、自己のワイヤレスコントローラ4に装着されたオスコネクタ14の表面に表示された番号からプレイヤ番号を視覚的に知ることができる。したがって、このような機能を備える電圧レベル検出回路19は、ID設定回路と呼ぶことができる。
【0060】
図8は、本発明のワイヤレスコントローラ4における実施例1の変形例を示すもので、この変形例では、2個及び3個の金属ピンの接続位置を変えることにより、電圧レベル検出回路19で検出される電圧レベルに対応して、ワイヤレスコントローラ4のプレイヤ番号を設定している。この場合は、メスコネクタ11に4個の金属ピンを用意することによって、ワイヤレスコントローラ4のプレイヤ番号を設定することができる。
【0061】
たとえば、金属ピンP1,P4,P3が接続されたNo.1のソケット5aがワイヤレスコントローラ4に挿入されると、電圧レベル検出回路19のA/D In端子に入力される電圧Vinは、Vout×R4/[〔R1×R2/(R1+R2)〕+R4]となる。また、金属ピンP1,P2,P3が接続されたNo.2のソケット5aがワイヤレスコントローラに挿入されると、電圧レベル検出回路19のA/D In端子に入力される電圧Vinは、Vout×R4/[〔R1×R3/(R1+R3)〕+R4]となる。
【0062】
このようにして、プレイヤ番号に対応して2個又は3個の金属ピンの接続位置を変えることにより、電圧レベル検出回路19はそれぞれ異なった電圧を検出する。よって、ワイヤレスコントローラ4は、電圧レベル検出回路19で検出された電圧レベル信号を、プレイヤIDとしてゲーム信号に重畳してゲーム機本体へ無線送信すれば、ゲーム機本体はワイヤレスコントローラ4のプレイヤ番号に対応してゲームを実行する。また、各ワイヤレスコントローラ4のプレイヤは、自己のワイヤレスコントローラ4に装着されたソケットに表示された番号から、プレイヤ番号を視覚的に知ることができる。
【0063】
すなわち、本発明のワイヤレスコントローラは、自己の電源ラインとグランドとの間に値の異なる複数の抵抗回路を備え、複数の設定ピン(金属ピン)が挿入されたソケットによって、複数の抵抗回路の各端子を変えながら接続する。このことにより、電圧レベル検
出回路がそれぞれ異なる電圧レベルを検出し、検出された電圧レベルとワイヤレスコントローラのプレイヤIDとを対応付けている。よって、スイッチを設けたり複雑な回路を構成したりすることなく、ワイヤレスコントローラに固有な情報(プレイヤ番号)を簡単に設定することができる。
【0064】
つまり、ソケットに挿入される複数の設定ピンはコイルバネ形状の端子構造となっていて、所望の設定ピンが絶縁板にあけられた穴を貫通して金属板に接触することにより、電源ラインとグランドとの間で所望の抵抗回路が形成される。そして、ワイヤレスコントローラは、電源投入後において、接続された抵抗回路の抵抗分圧比によって検出されて電圧レベルにより、いずれの設定ピンが差し込まれたかを認識して、ワイヤレスコントローラごとのプレイヤIDを認識する。
【0065】
このとき、各ワイヤレスコントローラのプレイヤは、設定ピンが差し込まれたソケットの背面に表示された番号によって、プレイヤIDを視覚的に確認することができる。なお、ワイヤレスコントローラは、設定ピンが差し込まれた場合には、変換された電圧値に基づいてプレイヤ番号を設定するが、設定ピンが差し込まれていない場合には、プレイヤ番号が規定されていないために、ゲーム動作を行わないように構成されている。
【0066】
なお、上記の実施例では、ワイヤレスコントローラが電圧レベル検出回路19を備えて、検出された電圧レベルに応じて、プレイヤIDを認識したが、これに限定されるものではない。例えば、ワイヤレスコントローラにおいて電圧レベル検出回路19の代わりにA/D変換回路を備えてもよい。その場合は、A/D変換回路が、設定ピンの差し込み状態によって、接続された抵抗回路の電圧検出信号をアナログ信号からディジタル信号に変換し、そのディジタル信号のパルスによって、プレイヤID(プレイヤ番号)を認識するように動作する。
【実施例2】
【0067】
次に、図9を参照しながら、本発明の第2の実施例におけるワイヤレスコントローラについて説明する。図9は、本発明のワイヤレスコントローラにおける実施例2のプレイヤID送信回路である。図9のプレイヤID送信回路では、電圧レベル検出回路19にはそれぞれ電圧レベルの異なる端子が多数接続されている。
【0068】
すなわち、金属ピンP1,P5が接続されたNo.1(プレイヤ番号1)のソケット5が、ワイヤレスコントローラに挿入されると、抵抗R1の両端電圧が電圧レベル検出回路19に入力され、金属ピンP1,P4が接続されたNo.2(プレイヤ番号2)のソケット5bが、ワイヤレスコントローラに挿入されると、抵抗R2の両端電圧が電圧レベル検出回路19に入力される。また、金属ピンP1,P3が接続されたNo.3(プレイヤ番号3)のソケット5bが、ワイヤレスコントローラに挿入されると、抵抗R3の両端電圧が電圧レベル検出回路19に入力され、金属ピンP1,P2が接続されたNo.4(プレイヤ番号4)のソケット5bがワイヤレスコントローラに挿入されると、抵抗R4の両端電圧が電圧レベル検出回路19に入力される。
【0069】
つまり、図9の実施例のワイヤレスコントローラの回路では、接続された金属ピンごとに異なる電圧が、それぞれ個別の端子よって電圧レベル検出回路19に入力される。したがって、電圧レベル検出回路19は、電圧レベルの判別機能やA/D変換機能を持たなくても、入力された電圧に対応して一義的にプレイヤIDを設定することができる。
【0070】
なお、上記の図7、図8及び図9の各回路において、抵抗はピン側に設けてもよく、電圧レベル検出回路19とソケット5との間にいずれの位置に抵抗を設けても、本発明が実現されることは言うまでない。
【0071】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に適用されるゲーム機全体のシステム構成図。
【図2】本発明のワイヤレスコントローラに挿入されるソケットのオスコネクタとメスコネクタの構成を示し、(a)はワイヤレスコントローラ側のメスコネクタの断面図、(b)はオスコネクタの断面図。
【図3】(a)は図2のA−A断面図、(b)はソケットの縦断面図、(c)はメスコネクタの前面図。
【図4】図2(b)に示すオスコネクタにおいて絶縁板の穴あけ位置を変えた状態を示す概念図。
【図5】図4のNo.1のオスコネクタの概念図を示し、(a)は斜視図、(b)は背面図。
【図6】本発明に適用されるワイヤレスコントローラの上面図。
【図7】本発明の実施例1のプレイヤID送信回路。
【図8】本発明の実施例1の変形例を示コイルスプレイヤID送信回路。
【図9】本発明の実施例2のプレイヤID送信回路。
【符号の説明】
【0073】
1 ゲーム機本体
2 ディスプレイ
3 AVケーブル
4,4a〜4n ワイヤレスコントローラ
5,5a〜5n ソケット
11 メスコネクタ
12 コイルバネ
13 筒状ケース
14 オスコネクタ(アダプタ)
14a 前面肩部
14b 後面肩部
15 絶縁板
16 穴
17 金属板
19 電圧レベル検出回路(ID設定回路)
P1〜P5 金属ピン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機本体へゲーム信号を無線で送信してゲームを実行させるワイヤレスコントローラであって、
電源ライン及びグランドにそれぞれ接続された抵抗値の異なる複数の抵抗と、
前記複数の抵抗のうち、所望の抵抗を前記電源ラインと前記グランドとの間で選択的に接続させる設定ピンと、
該選択的に接続された抵抗の値に対応した分圧電圧に基づいてプレイヤIDを設定するID設定回路と、
を備えることを特徴とするワイヤレスコントローラ。
【請求項2】
上記設定ピンは一端に抵抗が接続された複数の金属ピンであって、該複数の金属ピンのいずれか2個又は3個を導通させる金属板が内蔵されたオスコネクタの装着により、所望の抵抗を上記電源ラインとグランドとの間で選択的に接続させることを特徴とする請求項1記載のワイヤレスコントローラ。
【請求項3】
上記複数の金属ピンのうちいずれか2個又は3個は、絶縁板に形成された2箇所または3箇所の穴を貫通して上記金属板に接続されることを特徴とする請求項2記載のワイヤレスコントローラ。
【請求項4】
上記金属ピンはコイルバネ形状に形成され、上記穴に貫通されない前記金属ピンは上記絶縁板の表面で圧縮されることを特徴とする請求項3記載のワイヤレスコントローラ。
【請求項5】
上記オスコネクタは、上記プレイヤIDに対応した文字または図柄を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項2、3または4記載のワイヤレスコントローラ。
【請求項6】
上記表示部は、上記オスコネクタが正常に装着されたとき、上記プレイヤIDに対応した文字または図柄を表示することを特徴とする請求項5記載のワイヤレスコントローラ。
【請求項7】
上記オスコネクタが装着されないときはゲームを実行させないことを特徴とする請求項2、3、4、5または6記載のワイヤレスコントローラ。
【請求項8】
上記分圧電圧をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換回路を備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のワイヤレスコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−61449(P2007−61449A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252830(P2005−252830)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】