説明

ワイヤレス通信システムにおけるデータ対パイロット比の推定

データ対パイロット比を推定する技法が述べられる。端末は、複数の端末に送出されるパイロットを受信し、特に端末に送出されるデータを受信することができる。端末は、受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を推定することができる。端末は、その後、受信されたデータyならびに推定されたチャネル利得hおよび雑音分散σに基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。1つの設計では、データ対パイロット比を得るために、端末は、尺度(I)/|h|を確定し、複数の受信されたデータシンボルにわたって尺度を平均することができる。端末は、合成されたデータを得るために、複数のアンテナを介してパイロットおよびデータを受信し、これらのアンテナにわたって、受信されたデータを合成することができる。端末は、複数のアンテナからの受信されたパイロットに基づいて信号対干渉雑音比(SINR)を推定し、その後、合成されたデータおよび推定されたSINRに基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、通信に関し、より具体的には、ワイヤレス通信システムにおいてデータ対パイロット比(data-to-pilot ratio)(D2P)を推定する技法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信システムは、音声、ビデオ、パケットデータ、メッセージング、ブロードキャストなどのような種々の通信サービスを提供するために広く展開されている。これらのシステムは、利用可能なシステム資源を共有することによって、複数のユーザをサポートすることが可能な多元接続システムである場合がある。こうした多元接続システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交FDMA(OFDMA)システム、および単一搬送波FDMA(SC−FDMA)システムを含む。
【0003】
ワイヤレス通信システムでは、基地局は、トラフィックデータ、制御データ、およびパイロットを1つまたは複数の端末に送信することができる。本明細書で使用される場合、用語「データ(data)」は、トラフィックデータおよび制御データを指しうる。トラフィックデータは、一般に、ユーザデータ、パケットデータなどとも呼ばれる。制御データは、一般に、オーバヘッドデータ、シグナリングなどとも呼ばれる。パイロットは、基地局と端末の両方によって事前に知られているデータである。端末は、チャネル推定、復調、復号などのような種々の目的でパイロットを使用する可能性がある。
【0004】
基地局は、特定の電力レベルでデータを送信し、同じかまたは異なる電力レベルでパイロットを端末に送信することができる。端末は、データ用の送信電力とパイロット用の送信電力の比であるデータ対パイロット比(D2P)を確認する必要がある場合がある。D2Pは、トラフィックデータ用のトラフィック対パイロット比(T2P)、制御データ用のオーバヘッド対パイロット比(O2P)、データとパイロットとの間の電力オフセットなどと呼ばれることがある。たとえば、D2Pは、両者の決定尺度を計算するために、復調器および/または復号器によって使用することができる。D2Pがわかっていないときに、D2Pを正確に推定することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
受信されたパイロットおよびデータに基づいてデータ対パイロット比を推定する技法が本明細書で述べられる。1つの設計では、端末は、(たとえば、共有チャネル上で複数の端末に送出された)パイロットを受信し、同様に、(たとえば、共有チャネル上でその端末に送出された)データを受信することができる。端末は、受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を推定することができる。端末は、その後、受信されたデータならびに推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。
【0006】
1つの設計では、端末は、受信されたデータyおよび推定された雑音分散σに基づいて第1の量(たとえば、|y|−σ)を確定することができる。端末は、推定されたチャネル利得hに基づいて第2の量(たとえば、|h|)を確定することができる。端末は、その後、第1および第2の量に基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。
【0007】
受信されたデータは、複数の受信されたデータシンボルを含む可能性がある。1つの設計では、端末は、尺度
【数1】

【0008】
を確定することができる。式中、iは、受信されたデータシンボルについての指数である。端末は、複数の受信されたデータシンボルにわたって尺度を平均し、平均された尺度に基づいて前記データ対パイロット比を確定することができる。別の設計では、端末は、受信されたデータシンボルにわたって尺度の分子を平均し、受信されたデータシンボルにわたって尺度の分母を平均し、平均された分子および平均された分母に基づいてデータ対パイロット比を確定することができる。なお別の設計では、端末は、スケーリング係数(たとえば、|h)によって尺度の分子をスケーリングし、スケーリング係数によって尺度の分母をスケーリングし、受信されたデータシンボルにわたってスケーリングされた分子を平均し、受信されたデータシンボルにわたってスケーリングされた分母を平均し、平均されスケーリングされた分子および平均されスケーリングされた分母に基づいてデータ対パイロット比を確定することができる。
【0009】
端末は、合成されたデータを得るために、複数の受信アンテナを介してパイロットおよびデータを受信し、たとえば、最大比合成(maximum ratio combining)(MRC)によって、これらのアンテナにわたって受信されたデータを合成することができる。端末は、そのアンテナを介して受信されるパイロットに基づいて各受信アンテナについてのチャネル利得および雑音分散を推定することができる。端末は、複数の受信アンテナについての推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいて信号対干渉雑音比(signal-to-noise-and-interference ratio)(SINR)を推定することができる。端末は、その後、合成されたデータzおよび推定されたSINRに基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。1つの設計では、端末は、上述した平均化方式のうちの任意の方式を使用して、尺度
【数2】

【0010】
に基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。
【0011】
端末は、変調および復号などの種々の目的でデータ対パイロット比を使用することができる。本開示の種々の態様および特徴は、以下でさらに詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ワイヤレス通信システムを示す図。
【図2】複数の端末への共有チャネルの送信を示す図。
【図3】データおよびパイロットを受信するプロセスを示す図。
【図4】データおよびパイロットを受信する装置を示す図。
【図5】データおよびパイロットを送信するプロセスを示す図。
【図6】データおよびパイロットを送信する装置を示す図。
【図7】基地局および端末のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で述べる技法は、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、およびSC−FDMAシステムなどの種々のワイヤレス通信システムのために使用することができる。用語「システム(system)」および「ネットワーク(network)」は、交換可能に使用されることが多い。CDMAシステムは、cdma2000、ユニバーサル陸上無線アクセス(Universal Terrestrial Radio Access)(UTRA)などのような無線技術を実装することができる。OFDMAシステムは、ウルトラモバイルブロードバンド(Ultra Mobile Broadband)(UMB)、Evolved UTRA(E−UTRA)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、Flash−OFDM(登録商標)などのような無線技術を実装することができる。ロングタームエボリューション(Long Term Evolution)(LTE)は、ダウンリンク上でOFDMAを、アップリンク上でSC−FDMAを使用するE−UTRAを使用する。UTRA、E−UTRA、およびLTEは、「第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project)」(3GPP)と名付けられた組織からの文書に記載されている。cdma2000およびUMBは、「第3世代パートナーシッププロジェクト2(3rd Generation Partnership Project 2)」(3GPP2)と名付けられた組織からの文書に記載されている。明確にするために、技法のいくつかの態様が、UMBについて以下で述べられ、UMB用語が、以下の説明の多くにおいて使用される。UMBは、公的に入手可能である、「Physical Layer for Ultra Mobile Broadband(UMB)Air Interface Specification」(August 2007)という名称の3GPP2 C.S0084−001に記載される。
【0014】
図1は、アクセスネットワーク(access network)(AN)と呼ばれることもあるワイヤレス通信システム100を示す。簡潔にするために、1つだけの基地局110、3つの端末120a、120b、および120c、ならびに、1つのネットワークコントローラ130が、図1に示される。基地局は、端末と通信する局である。基地局はまた、アクセス点、ノードB、発展型ノードBなどとも呼ばれることがある。ネットワークコントローラ130は、一組の基地局に結合し、これらの基地局について協調および制御を提供することができる。ネットワークコントローラ130は、単一ネットワークエンティティまたはネットワークエンティティの集合体とすることができる。
【0015】
端末は、固定型または移動型であってよく、アクセス端末(access terminal)(AT)、移動局、ユーザ機器、加入者ユニット、局などと呼ばれることがある。端末は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ワイヤレス通信デバイス、無線モデム、携帯式デバイス、ラップトップコンピュータ、コードレスフォンなどであってよい。端末は、フォワードリンクおよび/またはリバースリンク上で基地局と通信することができる。フォワードリンク(またはダウンリンク)は、基地局から端末への通信リンクを指し、リバースリンク(またはアップリンク)は、端末から基地局への通信リンクを指す。本明細書に述べる技法は、フォワードリンク用のD2Pを推定するために端末によって使用されると共に、リバースリンク用のD2Pを推定するために基地局によって使用することができる。明確にするために、以下の説明の多くは、端末によるD2Pの推定のためのものである。
【0016】
基地局は、データおよび専用パイロットを各端末に送信することができる。各端末は、チャネル推定のため、また、そのデータの復調および復号のために、専用パイロットを使用することができる。異なる端末は、異なる場所にあってもよく、異なるチャネル状態を観測することができる。基地局は、データおよびパイロットが十分な強度を持ってその端末で受信されることができるように、各端末についてデータおよびパイロットの電力レベルを設定することができる。各端末用のD2Pは、一定であってもよく、また、端末に信号送信され、端末によって知られてもよい。
【0017】
システムは、制御データを端末に送出するために、フォワードリンク制御チャネルをサポートすることができる。制御チャネルが、個々の端末に送出されるユニキャストチャネルである場合、別個の制御チャネル上で小さなペイロードおよび専用パイロットを各端末に送出することは、恐ろしく費用がかかり、利用可能な無線資源の非効率的な使用を示す可能性がある。
【0018】
効率を改善するために、基地局は、各端末にデータを、複数の端末に共通パイロットを送信することができる。たとえば、共有制御チャネルは、制御データをユニキャスト方式で各端末に、また、共通パイロットをマルチキャストまたはブロードキャスト方式で共有制御チャネルを受信するすべての端末に送出するために使用することができる。各端末は、チャネル推定のため、また、そのユニキャスト制御データの復調および復号のために共通パイロットを使用することができる。共通パイロットの電力レベルは、最悪のチャネル状態を有する端末でも、十分な強度を有するパイロットを受信できるように設定することができる。各端末用の制御データの電力レベルは、その端末のチャネル状態に基づいて別々に設定することができる。同様に、共有データチャネルは、トラフィックデータをユニキャスト方式で各端末に、また、共通パイロットをマルチキャストまたはブロードキャスト方式で共有データチャネルを受信するすべての端末に送出するために使用することができる。
【0019】
図2は、複数の端末への共有チャネルの例示的な送信を示す。データシンボルおよびパイロットシンボルは、共有チャネルのために使用される無線資源上で端末に送出することができる。無線資源は、直交周波数分割多重化(OFDM)または単一搬送波周波数分割多重化(SC−FDM)を利用するシステムにおける資源要素を備えることができる。各資源要素は、1つのシンボル周期内の1つの副搬送波に相当することができる。無線資源はまた、他の多重化方式用の他のタイプの資源に相当することができる。
【0020】
図2に示す実施例では、(「P」で表示された)パイロットシンボルは、所定の電力レベルで送出され、共有チャネルのために使用される無線資源にわたって配信することができる。各端末用のデータシンボルは、その端末のために選択された電力レベルで送出することができる、また同様に、無線資源にわたって配信することができる。図2に示すように、異なる電力レベルを、異なる端末用のデータシンボルのために使用することができる。各端末用のD2Pは、その端末用のデータシンボルの電力レベルおよび共有チャネルを受信するすべての端末に共通のパイロットシンボルの電力レベルに依存する可能性がある。
【0021】
別の設計では、パイロットシンボルの異なるグループは、端末の異なるグループのために使用することができる。基地局は、良好な復調性能を保証し、かつ、電力効率を改善するために、そのパイロットシンボルのグループを使用するすべての端末の中の許容可能最大D2Pに基づいてパイロットシンボルの各グループの電力レベルを設定することができる。異なる電力レベルを、パイロットシンボルの異なるグループのために使用することができる、パイロット電力レベルは、共有チャネルのために使用される無線資源にわたって変動することができる。
【0022】
各端末用のデータ電力レベルは、その端末のチャネル状態に基づいて調整することができ、また、その端末のD2Pは、相応して変化することができる。チャネル状態が高速に変化する移動体環境では、各端末のD2Pは、変化するチャネル状態に追従するために迅速に変わる可能性がある。D2Pの変動は、比較的速い可能性があり、速いレートでD2P値を信号送信することは、過剰な無線資源を消費する可能性がある。
【0023】
ある態様では、D2Pは、受信されたパイロットおよびデータに基づいて推定することができる。受信されたデータは、トラフィックデータおよび/または制御データを備えることができ、また、特定の端末に送出することができる。パイロットは、複数の端末に送出された共通パイロットおよび/または特定の端末に送出された専用パイロットを備えることができる。D2Pは、以下に述べるように、種々の方式に基づいて推定することができる。
【0024】
端末における受信されたデータシンボルは、
【数3】

【0025】
として表すことができる。
【0026】
式中、iは、端末に同じD2Pで送信されたデータシンボルについての指数であり、
は、i番目の送信されたデータシンボルであり、
は、送信されたデータシンボルxについての複素チャネル利得であり、
D2Pは、データ電力とパイロット電力の比であり、
は、xと相関がなく、かつ、
【数4】

【0027】
の分散を有する加法的ランダム雑音であり、
は、受信されたデータシンボルである。
【0028】
送信されたデータシンボルは、M−ary位相偏移変調(M-ary phase shift keying)(M−PSK)用のパイロット電力のD2P倍に等しい電力を有することができる。送信されたデータシンボルは、直交振幅変調(quadrature amplitude modulation)(QAM)用のパイロット電力のD2P倍に等しい平均電力を有することができる。
【0029】
端末は、当技術分野で知られている種々のチャネル推定技法を使用して、受信されたパイロットシンボルに基づくチャネル利得hおよび雑音分散
【数5】

【0030】
を推定することができる。簡潔にするために、以下の説明は、推定されたチャネル利得および雑音分散が、実際のチャネル利得および雑音分散に等しくなるように、チャネル推定誤差が全くないと仮定する。
【0031】
1つの設計では、D2Pは、
【数6】

【0032】
として、受信されたデータシンボルならびに推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいて推定することができる。式中、D2P_estは、D2P_estの期待値がD2Pに等しくなるような、D2Pの無バイアスの推定値である。推定された
【数7】

【0033】
が、|yより大きい可能性があるため、式(2)の分子の項は、ゼロ以上になるように制約することができ、また、max{
【数8】

【0034】
,0}として与えることができる。
【0035】
式(2)は、1つだけの送信されたデータシンボルが存在するとき(その場合、指数iは1つの値だけをとる)でも、D2Pを推定するために使用することができる。式(2)は、チャネル推定誤差が全くないと仮定する。実際には、推定されたチャネル利得および雑音分散は、通常、ある程度の誤差を有する。式(2)からのD2P推定値は、チャネル推定誤差が小さい場合、比較的正確である可能性がある。
【0036】
複数のデータシンボルを、端末に送信することができる。より正確なD2P推定値は、これらの複数のデータシンボルにわたって平均することによって得られる可能性がある。1つの設計では、D2Pは、
【数9】

【0037】
として複数の受信されたデータシンボルに基づいて推定することができる。
【0038】
別の設計では、D2Pは、
【数10】

【0039】
として複数の受信されたデータシンボルに基づいて推定することができる。
【0040】
なお別の設計では、D2Pは、
【数11】

【0041】
として複数の受信されたデータシンボルに基づいて推定することができる。
【0042】
式(3)〜(5)のそれぞれの分子の項は、いくつかの方法で非負である(すなわち、ゼロ以上である)ように制約することができる。1つの設計では、平均化は、式(3)〜(5)に示すように実施することができ、結果は、非負であるように制約することができる、たとえば、負である場合、ゼロに設定することができる。別の設計では、指数iの各値についての分子の項は、非負になるように制約することができ、平均化は、非負の量について実施することができる。分子の項はまた、他の方法で非負になるように制約することができる。
【0043】
式(3)〜(5)からのD2P推定値は、推定されたチャネル利得および雑音分散が誤差を全く持たないときに無バイアスである。式(5)は、チャネル品質が高い受信されたデータシンボル(または観測)により大きな重みを与える。したがって、式(5)からのD2P推定値は、より低い誤差分散およびより良好な性能を有する可能性がある。分母におけるチャネル利得の4乗を計算することに関連する急速なビット成長を反映するために、十分な算術範囲と精度が使用されるべきである。式(4)は、式(5)に比べて計算の複雑さが低く、また、特にチャネル利得間にそれほど大きな変動が存在しない場合、匹敵する性能を提供する可能性がある。
【0044】
式(3)〜(5)は、複数のデータシンボルにわたって平均することによってD2Pを推定する3つの設計を示す。平均化は、他の方法で実施することができる。たとえば、分子の項
【数12】

【0045】
および分母の項|h)が、|h|の他の累乗によって、他のスケーリング係数によってなどでスケーリングすることができる。さらに、平均化は、同じD2Pを有する任意の数のデータシンボルにわたって実施することができる。たとえば、基地局は、異なるタイル上で同じ電力レベルの複数のデータシンボルを搬送するフォワードリンク制御チャネル(たとえば、CQIチャネル)を端末に送出することができる。異なるタイル内のパイロットは、異なる電力レベルを有する可能性がある。各タイル内のデータシンボルは、同じD2Pを有することができ、一方、異なるタイル内のデータシンボルは、異なるD2Pを有することができる。平均化は、相応して実施することができる。
【0046】
式(2)〜(5)は、各データシンボルに固有であり、添え字iで示される雑音分散
【数13】

【0047】
を示す。雑音分散は、すべてのデータシンボルについて推定され、σとして与えられてもよい。この雑音分散は、iのすべての値について
【数14】

【0048】
であるように、式(2)〜(5)内の各データシンボルについて使用することができる。一般に、雑音分散は、それぞれの受信されたデータシンボル、すべての受信されたデータシンボル、または受信されたデータシンボルのそれぞれの部分集合について推定することができる。
【0049】
端末は、複数の受信アンテナを有することができ、また、これらの複数の受信アンテナを介して、送信されたデータシンボルを受信することができる。各受信アンテナからの受信されたデータシンボルは、
【数15】

【0050】
として表すことができる。
【0051】
式中、jは、端末における受信アンテナについての指数であり、
ijは、受信アンテナjにおけるデータシンボルxについての複素チャネル利得であり、
ijは、受信アンテナjにおけるデータシンボルxについての加法的ランダム雑音であり、
ijは、受信アンテナjからの、受信されたデータシンボルである。
【0052】
端末は、すべての受信アンテナからの、受信されたデータシンボルを
【数16】

【0053】
として、最大比合成(MRC)によって合成することができる。
【0054】
式中、
【数17】

【0055】
は、受信アンテナjについての雑音の分散nijであり、
【数18】

【0056】
は、受信アンテナjについてのスケーリング係数であり、
」は、複素共役を示し、
は、合成されたデータシンボルである。
【0057】
端末は、当技術分野で知られている種々のチャネル推定技法を使用して、そのアンテナからの、受信されたパイロットシンボルに基づく各受信アンテナについてのチャネル利得hijおよび雑音分散
【数19】

【0058】
を推定することができる。スケーリング係数
【数20】

【0059】
は、受信アンテナjについての、受信された信号の品質を示す。
【0060】
基地局は、タイル内でデータおよびパイロットを送信することができる。タイルは、Nのシンボル周期内のMの副搬送波のブロックとすることができ、また、資源ブロック、時間周波数ブロックなどと呼ぶことができる。UMBの場合、タイルは、8のシンボル周期内の16の副搬送波をカバーする。LTEの場合、資源ブロックは、6または7のシンボル周期内の12の副搬送波をカバーする。端末は、各タイルについて、すべての受信アンテナにわたって、受信されたデータシンボルを合成することができる。端末は、その後、合成されたデータシンボルを、まるで1つのアンテナから得られるように処理することができる。受信されたデータシンボルyij、チャネル利得hij、および雑音分散
【数21】

【0061】
などの、アンテナ固有である量は、入手可能でない可能性がある。代わりに、合成されたデータシンボルzおよびSINR推定値が入手可能である可能性がある。SINR推定値は、
【数22】

【0062】
として表すことができる。式中、SINRは、送信されたデータシンボルxについてのSINR推定値である。SINRは、信号対雑音比(SNR)、受信された信号品質などと呼ぶことができる。
【0063】
合成されたデータシンボルは、
【数23】

【0064】
として、SINRの関数として表すことができる。式中、
【数24】

【0065】
は、SINRの分散を有するデータシンボルxについての総合雑音である。
【0066】
式(9)の合成されたデータシンボルは、式(1)の受信されたデータシンボルと同じ形態を有する。特に、式(1)のhは、式(9)のSINRと置換することができる。式(1)の雑音nは、
【数25】

【0067】
の分散を有し、一方、式(9)の雑音
【数26】

【0068】
は、SINRの分散を有する。こうして、D2Pは、式(2)〜(5)に示す設計のうちの任意の設計を使用して推定することができる。たとえば、D2Pは、
【数27】

【0069】
として、式(4)に示す設計を使用して、合成されたデータシンボルに基づいて推定することができる。
【0070】
D2Pは、式(2)、(3)、または(5)、あるいは何らかの他の式に示す設計を使用して、合成されたデータシンボルに基づいて推定することができる。分子の項は、上述した設計のうちの任意の設計に基づいて、非負であるように制約することができる。
【0071】
式(3)、(4)、(5)、および(10)は、同じD2Pを有する送信についてD2Pを推定するために使用することができる。共有制御チャネルは、複数のタイル上で送出することができ、また、端末についてのD2Pは、異なるタイルにおいて異なる可能性がある。たとえば、異なるパイロット電力レベルは、異なるタイルにおいて使用することができ、一方、端末についてのデータ電力レベルは、すべてのタイルにおいて同じであってもよい。1つの設計では、D2Pは、そのタイルからのデータシンボルおよびパイロットシンボルに基づいて、各タイルについて推定することができる。別の設計では、単一のD2Pは、すべてのタイルからのすべてのデータシンボルおよびすべてのパイロットシンボルに基づいて推定することができる。なお別の設計では、D2Pは、
【数28】

【0072】
として、そのタイルからのパイロットシンボルおよびすべてのタイルからのデータシンボルに基づいて、各タイルについて推定することができる。
【0073】
式中、kは、タイル指数であり、iは、あるタイル内のシンボル指数であり、
Tは、タイルの数であり、各タイルは、同じパイロット電力レベルを有し、
kiは、タイルkからの合成されたデータシンボルであり、
SINRkiは、合成されたデータシンボルzkiについてのSINR推定値である。式(11)の設計は、より良い平均化のために分子の項についてより多くのデータシンボルを使用することによって、また、各タイルからのパイロットシンボルを使用することによって、各タイルについてより正確なD2P推定値を提供する可能性がある。
【0074】
端末は、復調、復号などのような種々の目的でD2P推定値を使用することができる。たとえば、D2P推定値は、ターボエンコーダまたはある他のタイプのエンコーダによって生成されるコードビットについて事前対数尤度比(a priori log-likelihood ratio)(LLR)を計算するために使用することができる。LLRは、その後、ターボデコーダへの入力として提供され、復号データを導出するために使用される。D2P推定値はまた、他の決定尺度を計算するために、復調器および復号器によって使用することができる。
【0075】
図3は、ワイヤレス通信システムにおいてデータおよびパイロットを受信するプロセス300の設計を示す。プロセス300は、端末(以下で述べる)によって、または、ある他のエンティティによって実施することができる。端末は、たとえば、共有チャネル上で複数の端末に送出された、パイロットを受信することができる(ブロック312)。端末はまた、共有チャネル上でその端末に送出された、データを受信することができる(ブロック314)。ブロック312および314の場合、端末は、OFDMによって複数の副搬送波上で送出された少なくとも1つのパイロットシンボルおよび少なくとも1つのデータシンボルを受信することができる。端末はまた、ある他の多重化方式を介してパイロットおよびデータシンボルを受信することができる。いずれにしても、端末は、受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を推定することができる(ブロック316)。端末は、その後、受信されたデータならびに推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてデータ対パイロット比を推定することができる(ブロック318)。ブロック318の1つの設計では、端末は、受信されたデータyおよび推定された雑音分散σに基づいて第1の量(たとえば、|y|−σ)を確定することができる。端末は、推定されたチャネル利得hに基づいて第2の量(たとえば、|h|)を確定することができる。端末は、その後、第1および第2の量に基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。
【0076】
受信されたデータは、複数の受信されたデータシンボルを含む可能性がある。データ対パイロット比は、尺度
【数29】

【0077】
に基づいて推定することができる。式中、yは、i番目の受信されたデータシンボルを表し、hは、i番目の受信されたデータシンボルについての推定されたチャネル利得を表し、
【数30】

【0078】
は、i番目の受信されたデータシンボルについての推定された雑音分散を表す。1つの設計では、端末は、たとえば式(3)に示すように、複数の受信されたデータシンボルにわたって尺度を平均し、平均された尺度に基づいてデータ対パイロット比を確定することができる。別の設計では、端末は、たとえば式(4)に示すように、複数の受信されたデータシンボルにわたって尺度の分子を平均し、複数の受信されたデータシンボルにわたって尺度の分母を平均し、平均された分子および平均された分母に基づいてデータ対パイロット比を確定することができる。なお別の設計では、端末は、たとえば式(5)に示すように、推定されたチャネル利得に基づいて確定されたスケーリング係数(たとえば、|h)によって尺度の分子をスケーリングし、スケーリング係数によって尺度の分母をスケーリングし、複数の受信されたデータシンボルにわたって、スケーリングされた分子を平均し、複数の受信されたデータシンボルにわたってスケーリングされた分母を平均し、平均されスケーリングされた分子および平均されスケーリングされた分母に基づいてデータ対パイロット比を確定することができる。尺度の分子または尺度の分子に基づいて導出される量は、非負であるように制約することができる。
【0079】
端末は、複数の受信アンテナを介してパイロットおよびデータを受信し、合成されたデータを得るために、(たとえば、MRCによって)複数の受信アンテナにわたって受信されたデータを合成することができる。ブロック316について、端末は、そのアンテナを介して受信されるパイロットに基づいて各受信アンテナについてのチャネル利得hijおよび雑音分散
【数31】

【0080】
を推定することができる。端末は、その後、たとえば式(8)に示すように、複数の受信アンテナについての推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてSINRを推定することができる。ブロック318について、端末は、合成されたデータおよび推定されたSINRに基づいてデータ対パイロット比を推定することができる。合成されたデータは、複数の合成されたデータシンボルを備えることができる。データ対パイロット比は、その後、尺度
【数32】

【0081】
に基づいて推定することができる。式中、zは、i番目の合成されたデータシンボルを表し、SINRは、i番目の合成されたデータシンボルについての推定されたSINRを表す。端末は、データ対パイロット比を得るために、上述した平均化方式のうちの任意の方式を使用して、尺度を平均することができる。尺度の分子または尺度の分子に基づいて導出される量は、非負であるように制約することができる。
【0082】
端末は、受信されたデータおよび推定されたデータ対パイロット比に基づいて、コードビットについてLLRを導出することができる(ブロック320)。端末は、その後、復号されたデータを得るために、LLRを復号することができる(ブロック322)。
【0083】
図4は、ワイヤレス通信システムにおいてデータおよびパイロットを受信する装置400の設計を示す。装置400は、たとえば共有チャネル上で複数の端末に送出されたパイロットを受信するモジュール412、たとえば共有チャネル上で特定の端末に送出されたデータを受信するモジュール414、受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を推定するモジュール416、受信されたデータならびに推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてデータ対パイロット比を推定するモジュール418、受信されたデータおよび推定されたデータ対パイロット比に基づいて、コードビットについてLLRを導出するモジュール420、および復号されたデータを得るためにLLRを復号するモジュール422を含む。
【0084】
図5は、ワイヤレス通信システムにおいてデータおよびパイロットを送信するプロセス500の設計を示す。プロセス500は、基地局(以下で述べる)によって、または、ある他のエンティティによって実施することができる。基地局は、複数の端末に、所定の電力レベルでパイロットを送出することができる(ブロック512)。基地局は、その端末についてデータ対パイロット比に基づいて確定された電力レベルで複数の端末のそれぞれにデータを送出してもよい(ブロック514)。各端末は、その端末に送出されたデータと複数の端末に送出されたパイロットに基づいてそのデータ対パイロット比を推定することができる。ブロック514について、基地局は、各端末からチャネル量インジケータ(channel quantity indicator)(CQI)情報を受信することができる。基地局は、その端末から受信されたCQI情報に基づいて各端末に送出されるデータの電力レベルを確定することができる。基地局は、電力レベルに対する変更を端末に知らせることなく、各端末に送出されるデータの電力レベルを変動させることができる(ブロック516)。
【0085】
別の設計では、基地局は、その端末から受信されたCQI情報に基づいて各端末に送出されるデータの電力レベルおよび目標電力レベルを確定することができる。基地局は、その後、パイロットを使用した複数の端末間でのデータ送信電力の最も高いブーストを必要とする端末のD2Pを満たすように、パイロットの電力レベルを選択することができる。この設計は、ブロック512および514に示す設計と同等であると考えることができる。一般に、各端末に送出されるデータの電力レベルおよびパイロットの電力レベルは、各端末について所望の性能を達成するために種々の方法で設定することができる。
【0086】
1つの設計では、各端末に送出されるデータは、制御データを含むことができる。基地局は、パイロットおよび制御データを共有制御チャネル上で複数の端末に送出することができる。別の設計では、各端末に送出されるデータは、トラフィックデータを備えることができる。基地局は、パイロットおよびトラフィックデータを共有データチャネル上で複数の端末に送出することができる。
【0087】
図6は、ワイヤレス通信システムにおいてデータおよびパイロットを送信する装置600の設計を示す。装置600は、複数の端末に所定の電力レベルでパイロットを送出するモジュール612、その端末についてのデータ対パイロット比に基づいて確定された電力レベルで複数の端末のそれぞれにデータを送出するモジュール614、および電力レベルに対する変更を端末に知らせることなく、各端末に送出されるデータの電力レベルを変動させるモジュール616を含む。
【0088】
図4および6のモジュールは、プロセッサ、電子デバイス、ハードウェアデバイス、電子コンポーネント、ロジック回路、メモリなど、または、その任意の組合せを備えることができる。
【0089】
図7は、基地局110および端末120(図1の端末の1つである)の設計のブロック図である。この設計では、基地局110は、Tアンテナ734a〜734tを装備し、端末120は、Rアンテナ752a〜752rを装備している。ここで、一般に、T≧1であり、かつ、R≧1である。
【0090】
基地局110において、送信プロセッサ720は、端末用のトラフィックデータをデータソース712から受信し、端末用の制御データをコントローラ/プロセッサ740から受信することができる。送信プロセッサ720は、その端末について選択された1つまたは複数の変調および符合化方式に基づいて、各端末についてデータを処理し、すべての端末についてデータシンボルを提供することができる。送信プロセッサ720はまた、パイロットシンボルを生成することができる。送信(TX)複数入力複数出力(multiple-input multiple-output)(MIMO)プロセッサ730は、データシンボルおよびパイロットシンボルを多重化し、適用可能である場合、多重化されたシンボルについて空間処理(たとえば、プリコーディング)を実施し、T出力シンボルストリームを、T変調器(MOD)732a〜732tに提供してもよい。各変調器732は、出力チップストリームを得るために、(たとえば、OFDMの場合)それぞれの出力シンボルストリームを処理することができる。各変調器732は、さらに、フォワードリンク信号を得るために、出力チップストリームを処理することができる(たとえば、アナログに変換し、増幅し、フィルタリングし、アップコンバートすることができる)。変調器732a〜732tからのTフォワードリンク信号は、Tアンテナ734a〜734tを介してそれぞれ送信することができる。
【0091】
端末120において、アンテナ752a〜752rは、基地局110からフォワードリンク信号を受信し、受信された信号を復調器(DEMOD)754a〜754rにそれぞれ提供することができる。各復調器754は、サンプルを得るために、それぞれの受信された信号を調節すること(たとえば、フィルタリングすること、増幅すること、ダウンコンバートすること、デジタル化すること)ができ、また、さらに、受信されたパイロットシンボルおよび受信されたデータシンボルを得るために、(たとえば、OFDMの場合)サンプルを処理することができる。チャネル推定器794は、すべてのR復調器754a〜754rから、受信されたパイロットシンボルを得ることができ、また、受信されたパイロットシンボルに基づいてチャネル利得、雑音分散、および/またはSINRを推定することができる。MIMO検出器/合成器760は、すべてのR復調器754a〜754rから、受信されたデータシンボルを得、受信されたデータシンボルについてMIMO検出またはMRC合成を実施し、合成されたデータシンボルを提供することができる。受信プロセッサ770は、合成されたデータシンボルを処理し(たとえば、復調し、インタリーブ解除し、復号し)、データシンク772に端末120用の復号されたトラフィックデータを提供し、コントローラ/プロセッサ790に端末120用の復号された制御データを提供することができる。
【0092】
リバースリンク上で、端末120において、データソース778からのトラフィックデータおよびコントローラ/プロセッサ79からの制御データ(たとえば、CQI情報)は、送信プロセッサ780によって処理し、適用可能である場合、TX MIMOプロセッサ782によってさらに処理し、変調器754a〜754rによって調節し、基地局110に送信することができる。基地局110において、端末120によって送信されたトラフィックデータおよび制御データを得るために、端末120からのリバースリンク信号は、アンテナ734によって受信し、復調器732によって調節し、MIMO検出器/合成器736によって処理し、受信プロセッサ738によってさらに処理することができる。
【0093】
コントローラ/プロセッサ740および790は、基地局110および端末120における動作をそれぞれ指示することができる。コントローラ/プロセッサ790は、図3のプロセス300および/または本明細書で述べる技法のための他のプロセスを実施することができ、または、プロセスに指示することができる。コントローラ/プロセッサ740は、図5のプロセス500および/または本明細書で述べる技法のための他のプロセスを実施することができ、または、プロセスに指示することができる。メモリ742および792は、基地局110および端末120用のデータおよびプログラムコードをそれぞれ格納することができる。スケジューラ744は、フォワードリンクおよび/またはリバースリンクに関するデータ送信について端末をスケジューリングすることができ、また、スケジュールされた端末のために資源の割当てを提供することができる。
【0094】
情報および信号が、種々の異なる技術および技法のうちの任意のものを使用して表されてもよいことを当業者は理解するであろう。たとえば、先の説明全体を通して参照されてもよいデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁気粒子、光学場または光学粒子、あるいはその任意の組合せによって表されてもよい。
【0095】
本明細書の開示と共に述べられる種々の例証的なロジカルブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両者の組合せとして実装できることを当業者はさらに理解するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの交換可能性を明確に示すために、種々の例証的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能の点から一般に上述された。こうした機能が、ハードウェアとして実装されるか、ソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途および全体システムに課される設計制約に依存する。当業者は、それぞれの特定の用途についていろいろな方法で、述べた機能を実装することができるが、こうした実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱をもたらすものとして解釈されるべきでない。
【0096】
本明細書の開示と共に述べられる種々の例証的なロジカルブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいは、本明細書で述べる機能を実施するように設計されたその任意の組合せによって実装することができ、または、実施することができる。汎用プロセッサは、マイクロコントローラとすることができるが、代替法では、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械とすることができる。プロセッサはまた、コンピューティグデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと一緒の1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のこうした構成として実装することができる。
【0097】
本明細書の開示と共に述べられる方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、または、2つの組合せで具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取外し可能ディスク、CD−ROM、または当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体内に存在することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが、記憶媒体から情報を読出し、記憶媒体に情報を書込むことができるようにプロセッサに結合される。代替法では、記憶媒体は、プロセッサと一体とすることができる。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することができる。代替法では、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内でディスクリートコンポーネントとして存在することができる。
【0098】
1つまたは複数の例示的な設計では、述べた機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその任意の組合せで実装することができる。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ読取り可能媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして、格納するか、または、送信することができる。コンピュータ読取り可能媒体は、コンピュータ記憶媒体と、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータによってアクセスされうる任意の利用可能な媒体とすることができる。制限するのではなく、例を挙げると、こうしたコンピュータ読取り可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは、所望のプログラムコードを、命令またはデータ構造の形態で搬送するかまたは格納するために使用されることができ、かつ、汎用または専用コンピュータあるいは汎用または専用プロセッサによってアクセスされることができる任意の他の媒体を含みうる。同様に、任意の接続は、当然、コンピュータ読取り可能媒体と呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者ライン(DSL)、または、赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または、赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイ(登録商標)ディスクを含み、ディスク(disks)は、通常、データを磁気的に再生し、一方、ディスク(discs)は、レーザによってデータを光学的に再生する。上記の組合せもまた、コンピュータ読取り可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0099】
本開示の先の説明は、当業者が本開示を作るかまたは使用することを可能にするために提供される。本開示に対する種々の変更が、当業者に容易に明らかになることになり、また、本明細書で規定される一般的な原理を、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の変形に適用することができる。したがって、本開示は、本明細書で述べる実施例および設計に限定されることを意図されるのではなく、本明細書で開示される原理および新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲に一致する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信方法であって、
受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を推定すること;および、
受信されたデータおよび前記推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてデータ対パイロット比を推定することを備える方法。
【請求項2】
共有チャネル上で複数の端末に送出されるパイロットを受信すること;および、
前記共有チャネル上で特定の端末に送出されるデータを受信することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ対パイロット比を前記推定することは、
前記受信されたデータおよび前記推定された雑音分散に基づいて第1の量を確定すること、
前記推定されたチャネル利得に基づいて第2の量を確定すること、および、
前記第1および第2の量に基づいて前記データ対パイロット比を推定することを備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記受信されたデータは、複数の受信されたデータシンボルを備え、ここにおいて、前記データ対パイロット比は、尺度
【数1】

に基づいて推定され、
式中、iは、前記受信されたデータシンボルについての指数であり、yは、i番目の受信されたデータシンボルを表し、hは、前記i番目の受信されたデータシンボルについての推定されたチャネル利得を表し、
【数2】

は、前記i番目の受信されたデータシンボルについての推定された雑音分散を表す請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データ対パイロット比を前記推定することは、
前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記尺度を平均すること、および、
前記平均された尺度に基づいて前記データ対パイロット比を確定することを備える請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記データ対パイロット比を前記推定することは、
前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記尺度の分子を平均すること、
前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記尺度の分母を平均すること、および、
前記平均された分子および前記平均された分母に基づいて前記データ対パイロット比を確定することを備える請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記データ対パイロット比を前記推定することは、
前記推定されたチャネル利得に基づいて確定されるスケーリング係数によって前記尺度の分子をスケーリングすること、
前記スケーリング係数によって前記尺度の分母をスケーリングすること、
前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記スケーリングされた分子を平均すること、
前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記スケーリングされた分母を平均すること、および、
前記平均されスケーリングされた分子および前記平均されスケーリングされた分母に基づいて前記データ対パイロット比を確定することを備える請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記データ対パイロット比を前記推定することは、前記尺度の分子または前記尺度の前記分子に基づいて導出された量を、非負であるように制約することを備える請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記受信されたデータおよび前記推定されたデータ対パイロット比に基づいてコードビットについて対数尤度比(LLR)を導出すること;および、
復号されたデータを得るために前記LLRを復号することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の副搬送波上で送出される少なくとも1つのパイロットシンボルおよび少なくとも1つのデータシンボルを、直交周波数分割多重(OFDM)によって受信することをさらに備え、ここにおいて、前記受信されたパイロットは、前記少なくとも1つの受信されたパイロットシンボルを備え、前記受信されたデータは、前記少なくとも1つの受信されたデータシンボルを備える請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ワイヤレス通信方法であって、
複数の受信アンテナを介してパイロットを受信すること;
前記複数の受信アンテナを介してデータを受信すること;
合成されたデータを得るために、前記複数の受信アンテナにわたって前記受信されたデータを合成すること;
前記複数の受信アンテナからの前記受信されたパイロットに基づいて信号対干渉雑音比(SINR)を推定すること;および、
前記合成されたデータおよび前記推定されたSINRに基づいてデータ対パイロット比を推定することを備える方法。
【請求項12】
前記SINRを前記推定することは、
各受信アンテナについてのチャネル利得および雑音分散を、前記受信アンテナを介して受信される前記パイロットに基づいて推定すること、および、
前記複数の受信アンテナについて、推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいて前記SINRを推定することを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記受信されたデータを前記合成することは、前記合成されたデータを得るために、最大比合成(MRC)によって、前記複数の受信アンテナにわたって前記受信されたデータを合成することを備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記合成されたデータは、複数の合成されたデータシンボルを備え、ここにおいて、前記データ対パイロット比は、尺度
【数3】

に基づいて推定され、
式中、iは、前記合成されたデータシンボルについての指数であり、zは、i番目の合成されたデータシンボルを表し、SINRは、前記i番目の合成されたデータシンボルについての推定されたSINRを表す請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記データ対パイロット比を前記推定することは、前記尺度の分子または前記尺度の前記分子に基づいて導出された量を、非負であるように制約することを備える請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記合成されたデータは、複数のタイルからの合成されたデータシンボルを備え、前記データ対パイロット比は、前記タイルからのパイロットシンボルおよび前記複数のタイルからの合成されたデータシンボルに基づいて、各タイルについて推定される請求項11に記載の方法。
【請求項17】
ワイヤレス通信装置であって、
受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を推定し、受信されたデータおよび前記推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてデータ対パイロット比を推定するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記受信されたデータおよび前記推定された雑音分散に基づいて第1の量を確定し、前記推定されたチャネル利得に基づいて第2の量を確定し、前記第1および第2の量に基づいて前記データ対パイロット比を推定するように構成される請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記受信されたデータは、複数の受信されたデータシンボルを備え、ここにおいて、前記データ対パイロット比は、尺度
【数4】

に基づいて推定され、
式中、iは、前記受信されたデータシンボルについての指数であり、yは、i番目の受信されたデータシンボルを表し,hは、前記i番目の受信されたデータシンボルについての推定されたチャネル利得を表し、
【数5】

は、前記i番目の受信されたデータシンボルについての推定された雑音分散を表す請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記尺度の分子を平均し、前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記尺度の分母を平均し、前記平均された分子および前記平均された分母に基づいて前記データ対パイロット比を確定するように構成される請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つのプロセッサは、複数の受信アンテナを介してパイロットを受信し、前記複数の受信アンテナを介してデータを受信し、合成されたデータを得るために、前記複数の受信アンテナにわたって前記受信されたデータを合成し、前記複数の受信アンテナからの前記受信されたパイロットに基づいて信号対干渉雑音比(SINR)を推定し、前記合成されたデータおよび前記推定されたSINRに基づいて前記データ対パイロット比を推定するように構成される請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記合成されたデータは、複数の合成されたデータシンボルを備え、ここにおいて、前記データ対パイロット比は、尺度
【数6】

に基づいて推定され、
式中、iは、前記合成されたデータシンボルについての指数であり、zは、i番目の合成されたデータシンボルを表し、SINRは、前記i番目の合成されたデータシンボルについての推定されたSINRを表す請求項21に記載の装置。
【請求項23】
ワイヤレス通信装置であって、
受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を推定する手段と;
受信されたデータおよび前記推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてデータ対パイロット比を推定する手段とを備える装置。
【請求項24】
前記データ対パイロット比を推定する前記手段は、
前記受信されたデータおよび前記推定された雑音分散に基づいて第1の量を確定する手段と、
前記推定されたチャネル利得に基づいて第2の量を確定する手段と、
前記第1および第2の量に基づいて前記データ対パイロット比を推定する手段とを備える請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記受信されたデータは、複数の受信されたデータシンボルを備え、ここにおいて、前記データ対パイロット比は、尺度
【数7】

に基づいて推定され、
式中、iは、前記受信されたデータシンボルについての指数であり、yは、i番目の受信されたデータシンボルを表し、hは、前記i番目の受信されたデータシンボルについての推定されたチャネル利得を表し、
【数8】

は、前記i番目の受信されたデータシンボルについての推定された雑音分散を表す請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記データ対パイロット比を推定する前記手段は、
前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記尺度の分子を平均する手段と、
前記複数の受信されたデータシンボルにわたって前記尺度の分母を平均する手段と、
前記平均された分子および前記平均された分母に基づいて前記データ対パイロット比を確定する手段とを備える請求項25に記載の装置。
【請求項27】
複数の受信アンテナを介してパイロットを受信する手段と;
前記複数の受信アンテナを介してデータを受信する手段と;
合成されたデータを得るために、前記複数の受信アンテナにわたって前記受信されたデータを合成する手段と;
前記複数の受信アンテナからの前記受信されたパイロットに基づいて信号対干渉雑音比(SINR)を推定する手段とをさらに備え、
ここにおいて、前記データ対パイロット比を推定する前記手段は、前記合成されたデータおよび前記推定されたSINRに基づいてデータ対パイロット比を推定する手段を備える請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記合成されたデータは、複数の合成されたデータシンボルを備え、ここにおいて、前記データ対パイロット比は、尺度
【数9】

に基づいて推定され、
式中、iは、前記合成されたデータシンボルについての指数であり、zは、i番目の合成されたデータシンボルを表し、SINRは、前記i番目の合成されたデータシンボルについての推定されたSINRを表す請求項27に記載の装置。
【請求項29】
コンピュータプログラム製品であって、
受信されたパイロットに基づいてチャネル利得および雑音分散を少なくとも1つのコンピュータに推定させるコードと;
受信されたデータおよび前記推定されたチャネル利得および雑音分散に基づいてデータ対パイロット比を少なくとも1つのコンピュータに推定させるコードとを備えるコンピュータ読取り可能媒体、
を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
ワイヤレス通信用のデータおよびパイロットを送信する方法であって、
複数の端末に、所定の電力レベルでパイロットを送出すること;および、
各端末についてのデータ対パイロット比に基づいて確定される電力レベルで前記複数の端末の各端末にデータを送出することを備え、各端末は、端末についての前記データ対パイロット比を、前記端末に送出される前記データおよび前記複数の端末に送出される前記パイロットに基づいて推定する方法。
【請求項31】
前記複数の端末に送出される前記データの電力レベルおよび前記複数の端末についての目標データ対パイロット比に基づいて前記パイロットの前記所定の電力レベルを確定することをさらに備える請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記電力レベルに対する変更を前記端末に知らせることなく、各端末に送出される前記データの前記電力レベルを変動させることをさらに備える請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記複数の端末のそれぞれからチャネル量インジケータ(CQI)情報を受信すること;および、ここにおいて、
前記端末から受信される前記CQI情報に基づいて、各端末に送出される前記データの前記電力レベルを確定することをさらに含む請求項30に記載の方法。
【請求項34】
各端末に送出される前記データは、制御データを備え、前記パイロットおよび制御データは、共有制御チャネル上で前記複数の端末に送出される請求項30に記載の方法。
【請求項35】
ワイヤレス通信装置であって、
複数の端末に、所定の電力レベルでパイロットを送出し、
1端末についてのデータ対パイロット比に基づいて確定される電力レベルで前記複数の端末の各端末にデータを送出するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備え、各端末は、前記端末についての前記データ対パイロット比を、前記端末に送出される前記データおよび前記複数の端末に送出される前記パイロットに基づいて推定する装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記電力レベルに対する変更を前記端末に知らせることなく、各端末に送出される前記データの前記電力レベルを変動させるように構成される請求項35に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−523278(P2011−523278A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510481(P2011−510481)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/077194
【国際公開番号】WO2009/142654
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】