ワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器。
【課題】コネクタの任意の位置でシールドグランド線を基板に接続することができるワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】外側導体21と内側導体23を有する高速信号ケーブル29、30と、高速信号ケーブル29、30の内側導体がそれぞれ接続される複数の信号端子24および高速信号ケーブル29、30の外側導体がそれぞれ接続されるグランド部材26を含むプラグコネクタ部12を備え、少なくとも1つの中心導体31aを有するグランド接続用ケーブル31をプラグコネクタ部12に接続する際に、グランド接続用ケーブル31の中心導体31aを複数の信号端子24のいずれかに接続するとともに、グランド接続用ケーブル31、32の中心導体31a、32aをグランド部材26に接続する。
【解決手段】外側導体21と内側導体23を有する高速信号ケーブル29、30と、高速信号ケーブル29、30の内側導体がそれぞれ接続される複数の信号端子24および高速信号ケーブル29、30の外側導体がそれぞれ接続されるグランド部材26を含むプラグコネクタ部12を備え、少なくとも1つの中心導体31aを有するグランド接続用ケーブル31をプラグコネクタ部12に接続する際に、グランド接続用ケーブル31の中心導体31aを複数の信号端子24のいずれかに接続するとともに、グランド接続用ケーブル31、32の中心導体31a、32aをグランド部材26に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯電話のような携帯機器内部の回路基板同士を、複数の細線同軸ケーブルにより接続する事が出来る多極細線同軸コネクタが広く用いられている。基板間を細線同軸ケーブルにより接続する事で、ディスクリートケーブルを用いて接続する場合に比べて、インピーダンスが管理できるため信号の高速伝送化が可能である。また、シールド効果が得られるため信号線からの不要輻射の抑制が可能であったり、周辺回路から信号線へのノイズのクロストークの抑制が可能であるといった効果がある。
【0003】
従来より広く使用されている多極細線同軸コネクタとして、例えば特許文献1のようなプラグコネクタとリセプタクルコネクタが嵌合することで、ケーブルと基板との間を電気的に接続するように構成されているものが一般的である。このコネクタにおいて、細線同軸ケーブルのシールドグランド線である外側導体、信号線である内側導体の接続はそれぞれ以下の様になっている。
【0004】
まず、複数の細線同軸ケーブルの外側導体はプラグコネクタ内のグランド部材に対して半田接続されていると共に、プラグコネクタ全体を覆うように構成された金属製のシェル部材に対して半田または板バネの圧接により接続されている。そして、プラグコネクタとリセプタクルコネクタが嵌合することで、リセプタクルコネクタに設けられたグランド端子とプラグコネクタのシェルが接触する。グランド端子は基板上のグランドパターンに半田付けされる。
【0005】
次に、細線同軸ケーブルの内側導体は、プラグコネクタ内の信号端子に1本ずつそれぞれ半田接続されている。プラグコネクタの信号端子は、プラグコネクタとリセプタクルコネクタが嵌合することでリセプタクルコネクタの信号端子へ接触する。リセプタクルコネクタの信号端子は基板上の信号パターンと半田付けにより接続される。
【0006】
この構成では、信号線は、プラグコネクタの信号端子、リセプタクルコネクタの信号端子を経由し基板に接続する。一方、シールドグランド線は、プラグコネクタのグランド部材、プラグコネクタのシェル部材、リセプタクルコネクタのグランド端子を経由して基板に接続するため、コネクタ内部で、信号端子に対して迂回して基板と接続する事になる。
【0007】
細線同軸ケーブル内で信号線とシールドグランド線が併走して配線されていても、コネクタ内部では両者を併走させて基板に接続する事ができないため、伝送特性やEMI特性において悪影響を生じてしまう問題がある。また、細線同軸ケーブルのシールドグランド線と基板のグランドの接続を増やす事で伝送特性やEMI特性を向上させる事が可能であるが、接続の経路はコネクタの構造で決まっているため増やす事が出来ないという問題もある。
【0008】
上記の問題に対して、特許文献2では、グランド端子を信号端子の間でも基板へ半田付けするようにした多極細線同軸コネクタが開示されている。
【0009】
また、特許文献3では、複数のケーブルそれぞれに対応した独立したシールドグランド用の端子を設けるようにした多極細線同軸コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−097849号公報
【特許文献2】特開2008−277020号公報
【特許文献3】特開2009−043590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に開示された従来技術では、グランド端子を信号線の間に設ける事で、その近傍の信号線をシールドグランド線にほぼ併走させて基板へ接続する事ができる。また、グランドをより多点で基板へ接続する事が出来る。しかしながら、グランド端子の基板への半田付け位置はコネクタの構造により決まっており、用途に応じて任意の位置にグランド端子を設けることはできない。さらに、グランド端子を信号線の間に設ける為にコネクタの構造が複雑になってしまう。
【0012】
また、特許文献3に開示された従来技術では、複数のケーブルそれぞれに対応した独立したシールドグランド用の端子を設けるようにしたので、全てのケーブルのシールドグランド線は信号線に対して並んで基板に接続する事ができる。しかしながら、グランド端子の部品点数が大幅に増加してしまう。
【0013】
そこで、本発明の目的は、コネクタの任意の位置でシールドグランド線を基板に接続することができるワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのワイヤーハーネスは、外側導体と内側導体を有する複数の第1のケーブルと、前記第1のケーブルの前記内側導体がそれぞれ接続される複数の信号端子および前記第1のケーブルの前記外側導体がそれぞれ接続されるグランド部材を含むコネクタとを備え、少なくとも1つの導体を有する第2のケーブルを前記コネクタに接続する際に、前記第2のケーブルの前記導体を前記複数の信号端子のいずれかに接続するとともに、前記第2のケーブルの前記導体を前記グランド部材に接続することを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明の他の側面としてのコネクタは、複数の細線同軸ケーブルに接続されるように構成されたコネクタであって、前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の外側導体に接続されるグランド部材と、前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の内側導体とそれぞれ接続される複数の信号端子と、を有し、前記グランド部材には、前記複数の信号端子の一部に接続される凸形状部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、コネクタの任意の位置でシールドグランド線を基板に接続することができるワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例である撮像装置の一構成例を示した外観斜視図である。
【図2】図1の撮像装置における表示部筐体の状態の遷移の一例を示した斜視図である。
【図3】図1の撮像装置の表示部筐体を開いて表示パネル面を被写体側へ向けた状態でのカメラ背面から見た分解斜視図である。
【図4】細線同軸ケーブルの構成を示す図である。
【図5】図3の細線同軸コネクタのケーブル接続構成を示す分解斜視図である。
【図6】図5の細線同軸コネクタのケーブル接続構成のケーブル接続部の拡大図である。
【図7】コネクタの嵌合状態における接続状態を示す断面図である。
【図8】高速信号ケーブルの信号線とシールドグランド線の基板までの接続経路を示す図である。
【図9】グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを用いたケーブル接続構成を示す分解斜視図である。
【図10】グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを用いた別のケーブル接続構成を示す分解斜視図である。
【図11】グランド部材に凹形状を設けた変形例を示す分解斜視図である。
【図12】グランド部材に凸形状を設けた別の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明を実施した電子機器としての一例である撮像装置の外観斜視図であり、図1(a)は正面側から見た外観斜視図、図1(b)は背面から見た外観斜視図である。デジタルカメラ1は、表示パネル5を有する表示部筐体2と、カメラ本体側の本体筐体3と、表示部筐体2と本体筐体3を連結するヒンジ部4からなる。ヒンジ部4はいわゆる2軸ヒンジ機構を有しており、表示部筐体2は本体筐体3に対して、開閉及び回転可能に連結されている。本体筐体3と表示部筐体2とがヒンジ部4によって連結されている事で、撮影者は撮影を行う姿勢に応じて表示部筐体2の角度を自由に変えることが出来、ハイアングルやローアングルでも被写体を確認しながら撮影を行う事が出来る。
【0020】
図2(a)〜(d)は、図1のデジタルカメラ1における表示部筐体2の状態の遷移の一例を示した斜視図である。デジタルカメラ1の本体筐体3には、表示部筐体2を閉じた状態で収納される表示部筐体収納部6が設けられており、図2(a)は表示パネル5の面を撮影者側に向けた状態で表示部筐体2を本体筐体3側に閉じ、表示部筐体収納部6に収めた状態を示す図である。この状態はバリアングル型の表示部を持たない一般的なデジタルカメラと同じ使い方をする場合に適している。図2(b)は、表示パネル5の面を隠した状態で表示部筐体2を本体筐体3側に閉じた状態を示す図である。表示パネル5の面がカメラの外側に露出しないのでパネル面を傷つける事が無く、カメラを使用しないときなどに表示パネル5の面を保護したい場合に適している。図2(c)は、表示部筐体2を開いた状態で表示パネル5の面を撮影者側へ向けた状態を示す図である。撮影者がカメラアングルに応じて表示パネル5の面の角度を自由に変えられるため、様々な状況に適している。図2(d)は、表示部筐体2を開いた状態で表示パネル5の面を被写体側へ向けた状態を示す図である。被写体側から表示パネル5の面を確認しながら撮影する事が出来るため、自分撮りやセルフタイマー撮影などを行う際に適している。
【0021】
次に、表示部筐体2側と本体筐体3側の内部接続の構成について説明を行う。
【0022】
図3は、表示部筐体2を開いて表示パネル5の面を被写体側へ向けた状態でのカメラ背面から見た分解斜視図である。
【0023】
表示部筐体2内部には、表示パネル5および、バックライトユニットからなる表示パネルユニット15及び、表示パネル5の駆動に関連する回路が実装された表示部回路基板7が配置されている。表示パネルユニット15は、表示パネル5に接続している表示パネルFPC8とバックライトユニットに接続しているバックライトFPC9によって、表示部回路基板7に実装されたコネクタ10a、10bに接続している。
【0024】
表示部筐体2と本体筐体3はヒンジユニット13により連結されており、本体筐体3側でヒンジユニット13はメインシャーシ14にビス止め固定されている。
【0025】
本体筐体3内部には、カメラ全体の制御および信号処理を行うメイン回路基板16が配置されており、表示部回路基板7とメイン回路基板16とはヒンジユニット13を通るワイヤーハーネス19と多極細線同軸コネクタによって接続されている。ワイヤーハーネス19は両端にそれぞれの基板と接続する為のプラグコネクタ部12、18を有し、メイン回路基板16に実装されたリセプタクルコネクタ11及び表示部回路基板7に実装されたリセプタクルコネクタ17と接続している。上記構成により、表示部筐体2と本体筐体3は電気的に接続されつつ、ヒンジ部4によって開閉及び回転可能に連結されている。
【0026】
次に、ワイヤーハーネス19とメイン回路基板16との接続部である細線同軸コネクタのケーブル接続構成を図4、図5、図6を用いて説明する。
【0027】
図4は、細線同軸ケーブルの構成を示す図である。
【0028】
図5は、ワイヤーハーネス19とメイン回路基板16との接続部である細線同軸コネクタのケーブル接続構成を示す分解斜視図である。図5(a)は、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリ前の分解斜視図である。図5(b)は、プラグコネクタのカバー取り付け前の状態を示す分解斜視図である。なお、図5(a)および図5(b)には、プラグコネクタ部12と嵌合可能なリセプタクルコネクタ11も描かれている。図5(c)は、ケーブルアッセンブリ後のプラグコネクタ部12とリセプタクルコネクタ11の嵌合状態を示す図である。
【0029】
図6は、図5(b)のAの範囲で示すプラグコネクタ部12とケーブル接続部の拡大図である。
【0030】
細線同軸ケーブルは図4に示す通り、外皮20、シールドグランド線である外側導体21、絶縁体22、信号線である内側導体23からなる。
【0031】
図5(a)、図5(b)に示す通り、プラグコネクタ部12は、ハウジング25とグランド部材26とシェル部材27とからなる。ハウジング25は、各細線同軸ケーブルの内側導体23に対応した信号端子24がインサート成型されたハウジングである。グランド部材26は、細線同軸ケーブルの外側導体21に半田付け接続されるグランド部材である。シェル部材27は、グランド部材26に半田付けされ、プラグコネクタ部12を覆うシェル部材である。プラグコネクタ部12にアッセンブリされる複数のケーブル28は、信号接続用の細線同軸ケーブルの他に、一部にグランド接続用のディスクリートケーブルを用いて構成されている。高速信号ケーブル(第1のケーブル)29、30は、細線同軸ケーブルであり、例えば差動伝送ラインとして使用されている。高速信号ケーブル29、30の両隣には、ディスクリートケーブルであるグランド接続用ケーブル(第2のケーブル)31、32を配置してある。その他のケーブルは、全て細線同軸ケーブルである。
【0032】
各ケーブルの接続は、図6に示す通り、グランド部材26には全ての細線同軸ケーブルの外側導体21および、グランド接続用ケーブル31、32の中心導体31a、32aが半田付け接続される。また、信号端子24には各細線同軸ケーブルの内側導体23が半田付け接続され、グランド接続用ケーブル31、32は中心導体31a、32aが半田付け接続される。
【0033】
そして、図5(b)に示す通りこれらを覆うように金属製のシェル部材27をハウジング25に組み付け、シェル部材27に設けられた開口部27aでグランド部材26とシェル部材27を半田付けにより接続する。以上でプラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリが完了する。
【0034】
図5(a)および図5(b)に図示するように、一方のリセプタクルコネクタ11のハウジング34には、プラグコネクタ部12の信号端子24に対応した信号端子35が設けられている。また、プラグコネクタ部12のシェル部材27の両端に設けられたグランド接続片27bに対応したグランド端子36が圧入されている。
【0035】
そして、プラグコネクタ部12とリセプタクルコネクタ11を図5(c)に示すように嵌合させることで、ワイヤーハーネス19とメイン回路基板16とが接続される。
【0036】
ここで、ケーブル28、プラグコネクタ部12、リセプタクルコネクタ11、メイン回路基板16の接続について、図7を用いてより詳細に説明する。
【0037】
図7(a)は、プラグコネクタ部12とリセプタクルコネクタ11の嵌合状態における接続状態を示す断面図である。図7(b)は、グランド接続用ケーブル32部の接続状態を示す断面図である。図7(c)は、信号接続用の細線同軸ケーブル部の接続状態を示す断面図である。図7(d)は、シェル部材27とグランド端子36の接続状態を示す断面図である。
【0038】
まず、信号接続用の細線同軸ケーブル部の接続について説明する。
【0039】
図7(c)に示す通り、細線同軸ケーブルの信号線である内側導体23は、プラグコネクタ部12の信号端子24に半田付け接続されている。信号端子24は、リセプタクルコネクタ11の対応する信号端子35に接触して接続している。信号端子35は、メイン回路基板16にリセプタクルコネクタ11がリフロー実装されて半田接続している。また、細線同軸ケーブルのシールドグランド線である外側導体21とグランド部材26が半田付け接続されている。さらに、そのグランド部材26とシェル部材27を半田接続することで、ケーブルのシールドグランド線とシェル部材27が接続している。シェル部材27は、図7(d)に示す通り、シェル部材27に設けられたグランド接続片27bとリセプタクルコネクタ11のグランド端子36が接触している。グランド端子36は、信号端子35と同様にメイン回路基板へ半田接続している。
【0040】
次に、グランド接続用ケーブル部の接続について説明する。
【0041】
グランド接続用ケーブル32は上述の通りディスクリートケーブルである。その接続は図7(b)に示す通り、中心導体32aがグランド部材26に半田付けされているとともに、信号端子24にも半田付けされている。グランド部材26は上述の通りシェル部材27に半田接続している。つまり、グランド接続用ケーブル31、32により、グランド部材26、シェル部材27と信号端子24とを接続している。
【0042】
これまで説明した構成から得られる高速信号ケーブル29、30の信号線とシールドグランド線の基板までの接続経路について図8により説明する。
【0043】
図8は、高速信号ケーブル29、30の信号線とシールドグランド線の基板までの接続経路を示す図である。図8(a)はグランド接続用ケーブルを用いない場合の接続経路を示す図であり、図8(b)はグランド接続用ケーブルを用いた場合の接続経路を示す図である。
【0044】
まず、グランド接続用ケーブルを用いない場合、図8(a)に示す通り、高速信号ケーブルの29、30の信号線は接続経路37、38のように接続され、高速信号ケーブルの29、30のシールドグランド線は接続経路39のように接続される。
【0045】
一方、グランド接続用ケーブルを用いた構成では、図8(b)に示す通り、高速信号ケーブルの29、30のシールドグランド線は、グランド接続用ケーブル31、32によりグランド部材26と隣の信号端子24が接続されているため、接続経路40のとおりとなる。
【0046】
つまり、グランド接続用ケーブルを用いない場合、シールドグランド線の接続経路39は、コネクタ部で、信号線の接続経路37、38に対して大きく迂回している。これに対し、グランド接続用ケーブルを用いた場合、シールドグランド線の接続経路40は、コネクタ部で、信号線の接続経路37、38に対して迂回することなく、隣接している。
【0047】
これにより、信号の伝送特性やEMI特性において良好な特性を得る事が出来る。
【0048】
また、グランド接続用ケーブルはコネクタの任意の端子位置に設定できるため、シールドグランド線を隣接させたい高速信号線をどの端子位置に設定した場合にも適用が可能である。
【0049】
そして、グランド接続用ケーブルの配置個所を増やす事によって、容易にシールドグランド線と基板との接続を増やす事が可能であり、信号の伝送特性やEMI特性において良好な特性を得る事が出来る。この際、グランド接続用ケーブルを等間隔に配置することで安定した特性を得る事が出来る。
【0050】
さらに、本構成は、コネクタ側に特別な構造を必要とせず、一般的な多極細線同軸コネクタにおいて適用が可能である。
【0051】
上述した実施例では、グランド接続用ケーブルとして、ディスクリートケーブルを用いた構成を説明したが、第1の変形例として、図9に示す様に、グランド接続用ケーブル131、132として細線同軸ケーブルを用いてもよい。第1の変形例では、外側導体131a、132a、グランド部材126、信号端子124とを半田接続する。すなわち、グランド部材126が細線同軸ケーブルの外側導体131a、132aと信号端子124とを接続する。この様に構成しても、上述した実施例と同様の作用効果が得られる。第1の変形例では、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリの際に、細線同軸ケーブルとディスクリートケーブルとを決められた順番に並べる必要がない。
【0052】
また、第2の変形例として、図10に示す様に、グランド接続用ケーブル231、232として細線同軸ケーブルを用いてもよい。第2の変形例では、内側導体231a、232a、グランド部材226、信号端子224とを半田接続する。すなわち、グランド部材226が細線同軸ケーブルの内側導体231a、232aと信号端子224を接続する。この様に構成しても、上述した実施例と同様の作用効果が得られる。第2の変形例では、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリの際に、細線同軸ケーブルとディスクリートケーブルとを決められた順番に並べる必要がない。
【0053】
また、ここで、図11に示す通り、グランド接続部材326に、グランド接続用ケーブル331、332に対応する位置に凹形状326aを形成しておく事で、半田付けする部分の導体径に違いがあった場合でも良好な半田付けの状態を得る事が出来る。
【0054】
さらに、第3の変形例として、図12に示す通り、グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを用いて、グランド部材426に凸形状426aを形成している。凸形状426aが細線同軸ケーブルの内側導体423と信号端子424とにそれぞれ半田接続される。このように構成することで、凸形状426aが細線同軸ケーブルの内側導体423と信号端子424とを接続する。この構成によっても、上述した実施例と同様の効果が得られる。第3の変形例では、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリの際に、細線同軸ケーブルとディスクリートケーブルとを決められた順番に並べる必要がない。そして、コネクタ側はグランド部材426の変更だけで実現可能である。
【0055】
また、グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを廃止し、凸形状426aが対応する信号端子424に半田接続されるだけでも、上述した実施例と同様の効果が得られる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
21 外側導体
23 内側導体
24 信号端子
26 グランド部材
29、30 高速信号ケーブル
31、32 グランド接続用ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯電話のような携帯機器内部の回路基板同士を、複数の細線同軸ケーブルにより接続する事が出来る多極細線同軸コネクタが広く用いられている。基板間を細線同軸ケーブルにより接続する事で、ディスクリートケーブルを用いて接続する場合に比べて、インピーダンスが管理できるため信号の高速伝送化が可能である。また、シールド効果が得られるため信号線からの不要輻射の抑制が可能であったり、周辺回路から信号線へのノイズのクロストークの抑制が可能であるといった効果がある。
【0003】
従来より広く使用されている多極細線同軸コネクタとして、例えば特許文献1のようなプラグコネクタとリセプタクルコネクタが嵌合することで、ケーブルと基板との間を電気的に接続するように構成されているものが一般的である。このコネクタにおいて、細線同軸ケーブルのシールドグランド線である外側導体、信号線である内側導体の接続はそれぞれ以下の様になっている。
【0004】
まず、複数の細線同軸ケーブルの外側導体はプラグコネクタ内のグランド部材に対して半田接続されていると共に、プラグコネクタ全体を覆うように構成された金属製のシェル部材に対して半田または板バネの圧接により接続されている。そして、プラグコネクタとリセプタクルコネクタが嵌合することで、リセプタクルコネクタに設けられたグランド端子とプラグコネクタのシェルが接触する。グランド端子は基板上のグランドパターンに半田付けされる。
【0005】
次に、細線同軸ケーブルの内側導体は、プラグコネクタ内の信号端子に1本ずつそれぞれ半田接続されている。プラグコネクタの信号端子は、プラグコネクタとリセプタクルコネクタが嵌合することでリセプタクルコネクタの信号端子へ接触する。リセプタクルコネクタの信号端子は基板上の信号パターンと半田付けにより接続される。
【0006】
この構成では、信号線は、プラグコネクタの信号端子、リセプタクルコネクタの信号端子を経由し基板に接続する。一方、シールドグランド線は、プラグコネクタのグランド部材、プラグコネクタのシェル部材、リセプタクルコネクタのグランド端子を経由して基板に接続するため、コネクタ内部で、信号端子に対して迂回して基板と接続する事になる。
【0007】
細線同軸ケーブル内で信号線とシールドグランド線が併走して配線されていても、コネクタ内部では両者を併走させて基板に接続する事ができないため、伝送特性やEMI特性において悪影響を生じてしまう問題がある。また、細線同軸ケーブルのシールドグランド線と基板のグランドの接続を増やす事で伝送特性やEMI特性を向上させる事が可能であるが、接続の経路はコネクタの構造で決まっているため増やす事が出来ないという問題もある。
【0008】
上記の問題に対して、特許文献2では、グランド端子を信号端子の間でも基板へ半田付けするようにした多極細線同軸コネクタが開示されている。
【0009】
また、特許文献3では、複数のケーブルそれぞれに対応した独立したシールドグランド用の端子を設けるようにした多極細線同軸コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−097849号公報
【特許文献2】特開2008−277020号公報
【特許文献3】特開2009−043590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に開示された従来技術では、グランド端子を信号線の間に設ける事で、その近傍の信号線をシールドグランド線にほぼ併走させて基板へ接続する事ができる。また、グランドをより多点で基板へ接続する事が出来る。しかしながら、グランド端子の基板への半田付け位置はコネクタの構造により決まっており、用途に応じて任意の位置にグランド端子を設けることはできない。さらに、グランド端子を信号線の間に設ける為にコネクタの構造が複雑になってしまう。
【0012】
また、特許文献3に開示された従来技術では、複数のケーブルそれぞれに対応した独立したシールドグランド用の端子を設けるようにしたので、全てのケーブルのシールドグランド線は信号線に対して並んで基板に接続する事ができる。しかしながら、グランド端子の部品点数が大幅に増加してしまう。
【0013】
そこで、本発明の目的は、コネクタの任意の位置でシールドグランド線を基板に接続することができるワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのワイヤーハーネスは、外側導体と内側導体を有する複数の第1のケーブルと、前記第1のケーブルの前記内側導体がそれぞれ接続される複数の信号端子および前記第1のケーブルの前記外側導体がそれぞれ接続されるグランド部材を含むコネクタとを備え、少なくとも1つの導体を有する第2のケーブルを前記コネクタに接続する際に、前記第2のケーブルの前記導体を前記複数の信号端子のいずれかに接続するとともに、前記第2のケーブルの前記導体を前記グランド部材に接続することを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明の他の側面としてのコネクタは、複数の細線同軸ケーブルに接続されるように構成されたコネクタであって、前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の外側導体に接続されるグランド部材と、前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の内側導体とそれぞれ接続される複数の信号端子と、を有し、前記グランド部材には、前記複数の信号端子の一部に接続される凸形状部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、コネクタの任意の位置でシールドグランド線を基板に接続することができるワイヤーハーネスとコネクタ及びそれらを用いた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例である撮像装置の一構成例を示した外観斜視図である。
【図2】図1の撮像装置における表示部筐体の状態の遷移の一例を示した斜視図である。
【図3】図1の撮像装置の表示部筐体を開いて表示パネル面を被写体側へ向けた状態でのカメラ背面から見た分解斜視図である。
【図4】細線同軸ケーブルの構成を示す図である。
【図5】図3の細線同軸コネクタのケーブル接続構成を示す分解斜視図である。
【図6】図5の細線同軸コネクタのケーブル接続構成のケーブル接続部の拡大図である。
【図7】コネクタの嵌合状態における接続状態を示す断面図である。
【図8】高速信号ケーブルの信号線とシールドグランド線の基板までの接続経路を示す図である。
【図9】グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを用いたケーブル接続構成を示す分解斜視図である。
【図10】グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを用いた別のケーブル接続構成を示す分解斜視図である。
【図11】グランド部材に凹形状を設けた変形例を示す分解斜視図である。
【図12】グランド部材に凸形状を設けた別の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明を実施した電子機器としての一例である撮像装置の外観斜視図であり、図1(a)は正面側から見た外観斜視図、図1(b)は背面から見た外観斜視図である。デジタルカメラ1は、表示パネル5を有する表示部筐体2と、カメラ本体側の本体筐体3と、表示部筐体2と本体筐体3を連結するヒンジ部4からなる。ヒンジ部4はいわゆる2軸ヒンジ機構を有しており、表示部筐体2は本体筐体3に対して、開閉及び回転可能に連結されている。本体筐体3と表示部筐体2とがヒンジ部4によって連結されている事で、撮影者は撮影を行う姿勢に応じて表示部筐体2の角度を自由に変えることが出来、ハイアングルやローアングルでも被写体を確認しながら撮影を行う事が出来る。
【0020】
図2(a)〜(d)は、図1のデジタルカメラ1における表示部筐体2の状態の遷移の一例を示した斜視図である。デジタルカメラ1の本体筐体3には、表示部筐体2を閉じた状態で収納される表示部筐体収納部6が設けられており、図2(a)は表示パネル5の面を撮影者側に向けた状態で表示部筐体2を本体筐体3側に閉じ、表示部筐体収納部6に収めた状態を示す図である。この状態はバリアングル型の表示部を持たない一般的なデジタルカメラと同じ使い方をする場合に適している。図2(b)は、表示パネル5の面を隠した状態で表示部筐体2を本体筐体3側に閉じた状態を示す図である。表示パネル5の面がカメラの外側に露出しないのでパネル面を傷つける事が無く、カメラを使用しないときなどに表示パネル5の面を保護したい場合に適している。図2(c)は、表示部筐体2を開いた状態で表示パネル5の面を撮影者側へ向けた状態を示す図である。撮影者がカメラアングルに応じて表示パネル5の面の角度を自由に変えられるため、様々な状況に適している。図2(d)は、表示部筐体2を開いた状態で表示パネル5の面を被写体側へ向けた状態を示す図である。被写体側から表示パネル5の面を確認しながら撮影する事が出来るため、自分撮りやセルフタイマー撮影などを行う際に適している。
【0021】
次に、表示部筐体2側と本体筐体3側の内部接続の構成について説明を行う。
【0022】
図3は、表示部筐体2を開いて表示パネル5の面を被写体側へ向けた状態でのカメラ背面から見た分解斜視図である。
【0023】
表示部筐体2内部には、表示パネル5および、バックライトユニットからなる表示パネルユニット15及び、表示パネル5の駆動に関連する回路が実装された表示部回路基板7が配置されている。表示パネルユニット15は、表示パネル5に接続している表示パネルFPC8とバックライトユニットに接続しているバックライトFPC9によって、表示部回路基板7に実装されたコネクタ10a、10bに接続している。
【0024】
表示部筐体2と本体筐体3はヒンジユニット13により連結されており、本体筐体3側でヒンジユニット13はメインシャーシ14にビス止め固定されている。
【0025】
本体筐体3内部には、カメラ全体の制御および信号処理を行うメイン回路基板16が配置されており、表示部回路基板7とメイン回路基板16とはヒンジユニット13を通るワイヤーハーネス19と多極細線同軸コネクタによって接続されている。ワイヤーハーネス19は両端にそれぞれの基板と接続する為のプラグコネクタ部12、18を有し、メイン回路基板16に実装されたリセプタクルコネクタ11及び表示部回路基板7に実装されたリセプタクルコネクタ17と接続している。上記構成により、表示部筐体2と本体筐体3は電気的に接続されつつ、ヒンジ部4によって開閉及び回転可能に連結されている。
【0026】
次に、ワイヤーハーネス19とメイン回路基板16との接続部である細線同軸コネクタのケーブル接続構成を図4、図5、図6を用いて説明する。
【0027】
図4は、細線同軸ケーブルの構成を示す図である。
【0028】
図5は、ワイヤーハーネス19とメイン回路基板16との接続部である細線同軸コネクタのケーブル接続構成を示す分解斜視図である。図5(a)は、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリ前の分解斜視図である。図5(b)は、プラグコネクタのカバー取り付け前の状態を示す分解斜視図である。なお、図5(a)および図5(b)には、プラグコネクタ部12と嵌合可能なリセプタクルコネクタ11も描かれている。図5(c)は、ケーブルアッセンブリ後のプラグコネクタ部12とリセプタクルコネクタ11の嵌合状態を示す図である。
【0029】
図6は、図5(b)のAの範囲で示すプラグコネクタ部12とケーブル接続部の拡大図である。
【0030】
細線同軸ケーブルは図4に示す通り、外皮20、シールドグランド線である外側導体21、絶縁体22、信号線である内側導体23からなる。
【0031】
図5(a)、図5(b)に示す通り、プラグコネクタ部12は、ハウジング25とグランド部材26とシェル部材27とからなる。ハウジング25は、各細線同軸ケーブルの内側導体23に対応した信号端子24がインサート成型されたハウジングである。グランド部材26は、細線同軸ケーブルの外側導体21に半田付け接続されるグランド部材である。シェル部材27は、グランド部材26に半田付けされ、プラグコネクタ部12を覆うシェル部材である。プラグコネクタ部12にアッセンブリされる複数のケーブル28は、信号接続用の細線同軸ケーブルの他に、一部にグランド接続用のディスクリートケーブルを用いて構成されている。高速信号ケーブル(第1のケーブル)29、30は、細線同軸ケーブルであり、例えば差動伝送ラインとして使用されている。高速信号ケーブル29、30の両隣には、ディスクリートケーブルであるグランド接続用ケーブル(第2のケーブル)31、32を配置してある。その他のケーブルは、全て細線同軸ケーブルである。
【0032】
各ケーブルの接続は、図6に示す通り、グランド部材26には全ての細線同軸ケーブルの外側導体21および、グランド接続用ケーブル31、32の中心導体31a、32aが半田付け接続される。また、信号端子24には各細線同軸ケーブルの内側導体23が半田付け接続され、グランド接続用ケーブル31、32は中心導体31a、32aが半田付け接続される。
【0033】
そして、図5(b)に示す通りこれらを覆うように金属製のシェル部材27をハウジング25に組み付け、シェル部材27に設けられた開口部27aでグランド部材26とシェル部材27を半田付けにより接続する。以上でプラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリが完了する。
【0034】
図5(a)および図5(b)に図示するように、一方のリセプタクルコネクタ11のハウジング34には、プラグコネクタ部12の信号端子24に対応した信号端子35が設けられている。また、プラグコネクタ部12のシェル部材27の両端に設けられたグランド接続片27bに対応したグランド端子36が圧入されている。
【0035】
そして、プラグコネクタ部12とリセプタクルコネクタ11を図5(c)に示すように嵌合させることで、ワイヤーハーネス19とメイン回路基板16とが接続される。
【0036】
ここで、ケーブル28、プラグコネクタ部12、リセプタクルコネクタ11、メイン回路基板16の接続について、図7を用いてより詳細に説明する。
【0037】
図7(a)は、プラグコネクタ部12とリセプタクルコネクタ11の嵌合状態における接続状態を示す断面図である。図7(b)は、グランド接続用ケーブル32部の接続状態を示す断面図である。図7(c)は、信号接続用の細線同軸ケーブル部の接続状態を示す断面図である。図7(d)は、シェル部材27とグランド端子36の接続状態を示す断面図である。
【0038】
まず、信号接続用の細線同軸ケーブル部の接続について説明する。
【0039】
図7(c)に示す通り、細線同軸ケーブルの信号線である内側導体23は、プラグコネクタ部12の信号端子24に半田付け接続されている。信号端子24は、リセプタクルコネクタ11の対応する信号端子35に接触して接続している。信号端子35は、メイン回路基板16にリセプタクルコネクタ11がリフロー実装されて半田接続している。また、細線同軸ケーブルのシールドグランド線である外側導体21とグランド部材26が半田付け接続されている。さらに、そのグランド部材26とシェル部材27を半田接続することで、ケーブルのシールドグランド線とシェル部材27が接続している。シェル部材27は、図7(d)に示す通り、シェル部材27に設けられたグランド接続片27bとリセプタクルコネクタ11のグランド端子36が接触している。グランド端子36は、信号端子35と同様にメイン回路基板へ半田接続している。
【0040】
次に、グランド接続用ケーブル部の接続について説明する。
【0041】
グランド接続用ケーブル32は上述の通りディスクリートケーブルである。その接続は図7(b)に示す通り、中心導体32aがグランド部材26に半田付けされているとともに、信号端子24にも半田付けされている。グランド部材26は上述の通りシェル部材27に半田接続している。つまり、グランド接続用ケーブル31、32により、グランド部材26、シェル部材27と信号端子24とを接続している。
【0042】
これまで説明した構成から得られる高速信号ケーブル29、30の信号線とシールドグランド線の基板までの接続経路について図8により説明する。
【0043】
図8は、高速信号ケーブル29、30の信号線とシールドグランド線の基板までの接続経路を示す図である。図8(a)はグランド接続用ケーブルを用いない場合の接続経路を示す図であり、図8(b)はグランド接続用ケーブルを用いた場合の接続経路を示す図である。
【0044】
まず、グランド接続用ケーブルを用いない場合、図8(a)に示す通り、高速信号ケーブルの29、30の信号線は接続経路37、38のように接続され、高速信号ケーブルの29、30のシールドグランド線は接続経路39のように接続される。
【0045】
一方、グランド接続用ケーブルを用いた構成では、図8(b)に示す通り、高速信号ケーブルの29、30のシールドグランド線は、グランド接続用ケーブル31、32によりグランド部材26と隣の信号端子24が接続されているため、接続経路40のとおりとなる。
【0046】
つまり、グランド接続用ケーブルを用いない場合、シールドグランド線の接続経路39は、コネクタ部で、信号線の接続経路37、38に対して大きく迂回している。これに対し、グランド接続用ケーブルを用いた場合、シールドグランド線の接続経路40は、コネクタ部で、信号線の接続経路37、38に対して迂回することなく、隣接している。
【0047】
これにより、信号の伝送特性やEMI特性において良好な特性を得る事が出来る。
【0048】
また、グランド接続用ケーブルはコネクタの任意の端子位置に設定できるため、シールドグランド線を隣接させたい高速信号線をどの端子位置に設定した場合にも適用が可能である。
【0049】
そして、グランド接続用ケーブルの配置個所を増やす事によって、容易にシールドグランド線と基板との接続を増やす事が可能であり、信号の伝送特性やEMI特性において良好な特性を得る事が出来る。この際、グランド接続用ケーブルを等間隔に配置することで安定した特性を得る事が出来る。
【0050】
さらに、本構成は、コネクタ側に特別な構造を必要とせず、一般的な多極細線同軸コネクタにおいて適用が可能である。
【0051】
上述した実施例では、グランド接続用ケーブルとして、ディスクリートケーブルを用いた構成を説明したが、第1の変形例として、図9に示す様に、グランド接続用ケーブル131、132として細線同軸ケーブルを用いてもよい。第1の変形例では、外側導体131a、132a、グランド部材126、信号端子124とを半田接続する。すなわち、グランド部材126が細線同軸ケーブルの外側導体131a、132aと信号端子124とを接続する。この様に構成しても、上述した実施例と同様の作用効果が得られる。第1の変形例では、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリの際に、細線同軸ケーブルとディスクリートケーブルとを決められた順番に並べる必要がない。
【0052】
また、第2の変形例として、図10に示す様に、グランド接続用ケーブル231、232として細線同軸ケーブルを用いてもよい。第2の変形例では、内側導体231a、232a、グランド部材226、信号端子224とを半田接続する。すなわち、グランド部材226が細線同軸ケーブルの内側導体231a、232aと信号端子224を接続する。この様に構成しても、上述した実施例と同様の作用効果が得られる。第2の変形例では、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリの際に、細線同軸ケーブルとディスクリートケーブルとを決められた順番に並べる必要がない。
【0053】
また、ここで、図11に示す通り、グランド接続部材326に、グランド接続用ケーブル331、332に対応する位置に凹形状326aを形成しておく事で、半田付けする部分の導体径に違いがあった場合でも良好な半田付けの状態を得る事が出来る。
【0054】
さらに、第3の変形例として、図12に示す通り、グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを用いて、グランド部材426に凸形状426aを形成している。凸形状426aが細線同軸ケーブルの内側導体423と信号端子424とにそれぞれ半田接続される。このように構成することで、凸形状426aが細線同軸ケーブルの内側導体423と信号端子424とを接続する。この構成によっても、上述した実施例と同様の効果が得られる。第3の変形例では、プラグコネクタ部12のケーブルアッセンブリの際に、細線同軸ケーブルとディスクリートケーブルとを決められた順番に並べる必要がない。そして、コネクタ側はグランド部材426の変更だけで実現可能である。
【0055】
また、グランド接続用ケーブルとして細線同軸ケーブルを廃止し、凸形状426aが対応する信号端子424に半田接続されるだけでも、上述した実施例と同様の効果が得られる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
21 外側導体
23 内側導体
24 信号端子
26 グランド部材
29、30 高速信号ケーブル
31、32 グランド接続用ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側導体と内側導体を有する複数の第1のケーブルと、
前記第1のケーブルの前記内側導体がそれぞれ接続される複数の信号端子および前記第1のケーブルの前記外側導体がそれぞれ接続されるグランド部材を含むコネクタとを備えるワイヤーハーネスであって、
少なくとも1つの導体を有する第2のケーブルを前記コネクタに接続する際に、前記第2のケーブルの前記導体を前記複数の信号端子のいずれかに接続するとともに、前記第2のケーブルの前記導体を前記グランド部材に接続することを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項2】
前記第2のケーブルが前記複数の第1のケーブルの間で等間隔に位置するように、前記コネクタに接続されることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス。
【請求項3】
前記第2のケーブルは、ディスクリートケーブルであることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項4】
前記第2のケーブルは、外側導体と内側導体を備えた細線同軸ケーブルであり、前記外側導体を前記第2のケーブルの前記導体として使用することを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項5】
前記第2のケーブルは、外側導体と内側導体を備えた細線同軸ケーブルであり、前記内側導体を前記第2のケーブルの前記導体として使用することを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項6】
前記グランド部材は、前記第2のケーブルに対応する部分に凹形状が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスを有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記第2のケーブルは、前記複数の第1のケーブルのうち差動伝送ラインとして使用されるケーブルの隣に配置されることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
複数の細線同軸ケーブルに接続されるように構成されたコネクタであって、
前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の外側導体に接続されるグランド部材と、
前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の内側導体とそれぞれ接続される複数の信号端子と、を有し、
前記グランド部材には、前記複数の信号端子の一部に接続される凸形状部が形成されることを特徴とするコネクタ。
【請求項10】
前記凸形状は、等間隔に形成されていること特徴とする請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
請求項9または10に記載のコネクタを有することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
外側導体と内側導体を有する複数の第1のケーブルと、
前記第1のケーブルの前記内側導体がそれぞれ接続される複数の信号端子および前記第1のケーブルの前記外側導体がそれぞれ接続されるグランド部材を含むコネクタとを備えるワイヤーハーネスであって、
少なくとも1つの導体を有する第2のケーブルを前記コネクタに接続する際に、前記第2のケーブルの前記導体を前記複数の信号端子のいずれかに接続するとともに、前記第2のケーブルの前記導体を前記グランド部材に接続することを特徴とするワイヤーハーネス。
【請求項2】
前記第2のケーブルが前記複数の第1のケーブルの間で等間隔に位置するように、前記コネクタに接続されることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス。
【請求項3】
前記第2のケーブルは、ディスクリートケーブルであることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項4】
前記第2のケーブルは、外側導体と内側導体を備えた細線同軸ケーブルであり、前記外側導体を前記第2のケーブルの前記導体として使用することを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項5】
前記第2のケーブルは、外側導体と内側導体を備えた細線同軸ケーブルであり、前記内側導体を前記第2のケーブルの前記導体として使用することを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項6】
前記グランド部材は、前記第2のケーブルに対応する部分に凹形状が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスを有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記第2のケーブルは、前記複数の第1のケーブルのうち差動伝送ラインとして使用されるケーブルの隣に配置されることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
複数の細線同軸ケーブルに接続されるように構成されたコネクタであって、
前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の外側導体に接続されるグランド部材と、
前記複数の細線同軸ケーブルがそれぞれ備える複数の内側導体とそれぞれ接続される複数の信号端子と、を有し、
前記グランド部材には、前記複数の信号端子の一部に接続される凸形状部が形成されることを特徴とするコネクタ。
【請求項10】
前記凸形状は、等間隔に形成されていること特徴とする請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
請求項9または10に記載のコネクタを有することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−26076(P2013−26076A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161060(P2011−161060)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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