説明

ワイヤー付き縫合糸

【課題】軟組織を骨に取り付ける、改善された方法および装置を提供する。
【解決手段】縫合糸を骨に固定するための方法および装置が提供される。ある例示的な実施形態では、管状縫合糸アンカーが提供され、この縫合糸アンカーは、その縫合糸アンカーに形成された縫合糸係合部材であって、縫合糸の後端部が縫合糸アンカーの中を延びることができるように縫合糸を縫合糸係合部材の周りに納められるように構成されている、縫合糸係合部材を含む。本発明はまた、本明細書に開示したさまざまの方法および装置、または当該技術において既知の他の方法および装置で使用することができる例示的な縫合糸およびドライバーをも提供する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、概して、医療装置および医療処置に関し、より詳しくは、軟組織を骨に取り付けるシステムおよび方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
体内における靱帯、腱、および/またはその他の軟組織の、関連する骨からの完全剥離または部分剥離は、比較的よく見られる損傷であり、特に運動選手の間で比較的よく見られる。このような損傷は、一般的に、これらの組織に過剰な応力がかかった結果である。例えば、組織の剥離は転倒などの事故や、仕事に関連する活動中、競技中、あるいはその他多くの状況および/または活動における過剰な努力(over-exertion)の結果として起こることがある。
【0003】
部分剥離の場合、十分に時間をおき、過度の応力がその損傷にさらにかからないように留意していれば、創傷は、自然に治癒することが多い。しかし、完全剥離の場合、軟組織を、関連する1本の骨または複数の骨に再び取り付けるために手術が必要な場合もある。現在、軟組織の骨への再付着に多くの装置が利用可能である。このような現在利用可能な装置の例としては、ねじ、ステープル、縫合糸アンカーおよび鋲などが含まれる。ねじを利用して軟組織を再び取り付ける方法では、剥離した軟組織を、通常は骨上の元の位置に戻す。次に、ねじのシャンクおよび頭部が軟組織を骨に対して保持した状態で、ねじを、軟組織を通して骨にねじ込む。同様に、ステープルを利用して軟組織を再び取り付ける方法では、剥離した軟組織を典型的には骨上の元の位置に移動させて戻す。次に、ステープルの脚部とブリッジ部が軟組織を骨に対して保持した状態で、ステープルを、軟組織を通して骨中に打ち込む。
【0004】
縫合糸アンカーを利用して軟組織を再び取り付ける方法では、一般的に、まずアンカーを入れる穴が、組織を再び取り付ける所望の点において骨に開けられる。次に、縫合糸アンカーを適切な取付具を用いて穴の中に配置する。これにより、縫合糸の自由端が骨の外に延びた状態で縫合糸が効果的に骨に固定される。縫合糸の自由端は、軟組織の中または周囲を通され、軟組織を骨に確実に縛り付けるのに用いられる。
【0005】
現在の縫合糸アンカーは軟組織を骨に固定するのに効果的であるが、現在の機器の欠点の一つに、縫合糸アンカーが、ドライバーによって加えられるトルクに耐え得るのに十分な長さの頭部を持たなければならないという点がある。長さを長くした結果、縫合糸アンカーは、頭部を骨の外面よりも下に位置させるために、普通、少なくとも部分的に、下の軟らかい海綿骨の中まで延びることになる。このため、縫合糸アンカーの骨と係合する部分は、皮質骨ではなく、主に海綿骨の中に配置され、海綿骨と係合する。これは、皮質骨の長さが約1mm〜3mmしかなく、ドライバーの頭部が多くの場合に3mmよりも長いという事実によるものである。ひとたび植え込まれれば、縫合糸を介してアンカーに加えられた張力によりアンカーが皮質骨内へ移動する場合があり、このため頭部が盛り上がり、この結果、弱い固定、その他の問題を生じる場合がある。
【0006】
従って、軟組織を骨に取り付ける、改善された方法および装置が依然として必要とされている。
【0007】
〔発明の概要〕
ある実施形態では縫合糸アンカーが提供され、この縫合糸アンカーは、近位端、遠位端、および中を延びる内腔部を備えた細長い本体を有する。ねじ山のような少なくとも一つの骨係合面特徴部が、細長い本体の外面の少なくとも一部に、骨と係合するために形成されていてもよい。細長い本体の内腔部は、縫合糸係合部材を含んでもよく、この縫合糸係合部材は、内腔部の軸に対して実質的に横向きに延びており、また、縫合糸が縫合糸係合部材の周りに延びることができ、かつ縫合糸の後端部が内腔部を通り、細長い本体の近位端から出ることができるように、縫合糸を縫合糸係合部材の周りで受けるように構成されている。
【0008】
細長い本体はさまざまな構成を有していてもよい。ある実施形態では、細長い本体は、その細長い本体の対向する側壁部に形成されていて、細長い本体の遠位端から近位へと延びている切欠部を含んでもよい。切欠部は、内腔部と連絡していてもよい。ある例示的な実施形態では、縫合糸係合部材が切欠部の近位端の遠位に位置される。縫合糸係合部材は、例えば、内腔部の対向壁部の間に延在する柱部であってもよい。別の実施形態では、縫合糸係合部材を、細長い本体の最も遠位の端部のすぐ近位に位置させ、細長い本体の遠位端が、その遠位端に形成され、少なくとも一つの縫合糸が設置されるように構成された縫合糸設置溝部を含むようにしてもよい。細長い本体は、他の特徴部を含むこともできる。例えば、内腔部の少なくとも一部は、そこにドライバー工具を入れるために、六角断面形状のような非対称な断面形状を有していてもよい。別の実施形態では、細長い本体の遠位端が丸くなっていてもよい。
【0009】
別の実施形態では、近位端および遠位端のある、ねじ付きで管状の本体を有する縫合糸アンカーが提供される。遠位端は、この遠位端の対向する側壁部に形成された対向する切欠部と、縫合糸係合部材とを含んでいてもよく、縫合糸係合部材は、対向する側壁部の間かつ対向する切欠部の近傍に延びていて、縫合糸が縫合糸係合部材の周りを延びることができ、かつ縫合糸の後端部が本体の中を延びることができるようにしている。ある例示的な実施形態では、縫合糸係合部材が本体の長さ方向軸に対して実質的に垂直に延びている。この装置には、縫合糸係合部材の周りに配置された縫合糸であって、本体の中を延びる後端部を有する、縫合糸がさらに含まれてもよい。
【0010】
さらに別の実施形態では、組織を骨に固定するための装置が提供され、この装置は、縫合糸アンカーであって、このアンカーの近位端と遠位端との間に延在する内腔部を有する、縫合糸アンカーを備えている。遠位端には、その遠位端の対向する側壁部に形成された対向する切欠部と、縫合糸係合部材とが含まれてもよく、縫合糸係合部材は、対向する側壁部の間かつ対向する切欠部の近傍に延びており、縫合糸が縫合糸係合部材の周りを延びることができ、かつ縫合糸の後端部が縫合糸アンカーの内腔部を通って延びることができるようになっている。装置には、ドライバーがさらに含まれてもよく、このドライバーは細長いシャフトと、遠位端とを有し、遠位端は縫合糸アンカーの内腔部の近位部分に入れられ、この近位部分に係合するように構成されている。ある例示的な実施形態では、細長いシャフトが、縫合糸アンカーの内腔部を通って延びる縫合糸を入れるために、その細長いシャフトの中を延びる内腔部を含む。細長いシャフトの遠位端には、縫合糸アンカーから延びる縫合糸をドライバーの細長いシャフトに沿って外側に延ばすことができるように、その遠位端に形成された対向する切欠部が含まれてもよい。他の実施形態では、細長いシャフトの遠位端に六角断面形状が含まれてもよく、また、縫合糸アンカーの内腔部の少なくとも近位部分が相補的な六角断面形状を有してもよい。
【0011】
縫合糸を骨に固定するための方法も提供される。ある例示的な実施形態では、この方法は、縫合糸アンカーの遠位端に形成した縫合糸係合部材の周りを縫合糸が延び、かつ縫合糸の後端部が縫合糸アンカーの中を延びる内腔部を通って延びるように、縫合糸を縫合糸アンカーに連結する段階を含むことができる。ドライバーを縫合糸アンカーの近位端に挿入してもよく、そして、縫合糸アンカーの後端部は、ドライバーに形成した内腔部を通って延びてもよい。次に、ドライバーを作動させて、縫合糸アンカーを骨に挿入し、縫合糸を骨に固定してもよい。縫合糸は、さまざまな構成を有していてもよいが、ある実施形態では、縫合糸が第一および第二の縫合糸ストランド(suture strands)を含むことができ、この縫合糸ストランドは、縫合糸係合部材の周りを延び、縫合糸アンカーの内腔部およびドライバーの内腔部を通って延びる後端部を有する。他の態様では、縫合糸アンカーは、そのアンカーに形成されたねじ山を含んでいてもよく、そして、ドライバーを回して縫合糸アンカーを骨に打ち込むことができる。ある例示的な実施形態では、ねじ山は、縫合糸アンカーが骨に完全にねじ込まれるように、縫合糸アンカーの近位端から縫合糸アンカーの遠位端まで延びている。
【0012】
さらに別の実施形態では、近位端、遠位端、および中を延びる内腔部を備えた細長い本体を有する縫合糸アンカーが提供される。少なくとも一つの骨係合面特徴部が、骨と係合するために縫合糸アンカーの外面に形成されてもよい。縫合糸アンカーには、内腔部の対向する側壁部の間に延在しており、細長い本体に対して回転するように構成された回転可能部材がさらに含まれてもよい。ある実施形態では、回転可能部材を細長い本体の遠位端近傍に配置してもよく、また、回転可能部材は縫合糸アンカーの長さ方向軸に対して実質的に垂直に延びていてもよい。回転可能部材は、例えば、内腔部の対向する壁部の間に延在する柱部であってもよい。別の実施形態では、細長い本体に、その細長い本体の対向する側壁部に形成されており、細長い本体の遠位端から近位へ延びており、内腔部と連絡している切欠部が含まれてもよい。回転可能部材は、切欠部の近位端の遠位に位置されてもよい。別の実施形態では、回転可能部材を、細長い本体の最も遠位の端部のすぐ近位に位置させ、細長い本体の遠位端が、その遠位端に形成され、少なくとも一つの縫合糸が設置されるように構成された縫合糸設置溝部を含むようにしてもよい。この装置はまた、回転可能部材の周りに配置された縫合糸であって、縫合糸アンカーの中を延びる後端部を有する、縫合糸をさらに含んでもよい。
【0013】
別の態様では、組織を骨に固定するための装置が提供され、この装置は縫合糸アンカーを含み、縫合糸アンカーは、その縫合糸アンカーの外面に形成され、骨と係合するように構成された少なくとも一つの面特徴部と、その縫合糸アンカーの近位端と遠位端との間で縫合糸アンカーの中を延びる内腔部と、その内腔部の対向する側壁部を横切るように延びる回転可能部材であって、縫合糸がその回転可能部材の周りを延びることができ、かつ縫合糸の後端部が縫合糸アンカーの内腔部を通って延びることができるようにしている、回転可能部材と、を有する。この装置は、ドライバーをさらに備えていてもよく、このドライバーは、細長いシャフトと、遠位端とを有し、遠位端は、縫合糸アンカーの内腔部の近位部分に入り、その近位部分と係合するように構成されている。
【0014】
縫合糸を骨に固定するための例示的な方法も提供され、ある実施形態では、この方法は、縫合糸アンカーの遠位端の中に回転可能に配置された回転可能部材の周りを縫合糸が延び、かつその縫合糸の後端部が縫合糸アンカーの中を延びる内腔部を通って延びるように、縫合糸アンカーに縫合糸を連結する段階を含んでいてもよい。ドライバーを縫合糸アンカーの近位端に挿入してもよく、また、そのドライバーを作動させて縫合糸アンカーを骨に挿入し、これにより縫合糸を骨に固定してもよい。この方法はまた、回転可能部材を回転させるために、縫合糸の後端部の一方を引っ張る段階をさらに含んでいてもよい。ある実施形態では、縫合糸の後端部の一方を引っ張る前に、ドライバーを縫合糸アンカーから取り去ってもよい。ある例示的な実施形態では、縫合糸は、その縫合糸に取り付けられたワイヤーを備えていてもよく、縫合糸を引っ張る段階は、そのワイヤーを引っ張ることを含んでいてもよい。他の実施形態では、第二の縫合糸をワイヤーに連結し、ワイヤーを引っ張ると、回転可能部材の周りを、縫合糸アンカーの内腔部を通して両方の縫合糸が引っ張られるようにしてもよい。
【0015】
さらに別の実施形態では、縫合糸固定システムが提供され、このシステムは、中を延びる内腔部およびその内腔部の対向する側壁部を横切るように延びた縫合糸係合部材を有する縫合糸アンカーと、少なくとも一つの縫合糸であって、縫合糸アンカーの内腔部内を通り、かつ縫合糸係合部材の周りを延びる少なくとも一つのワイヤーに連結された末端部を有する、縫合糸とを備えている。ある例示的な実施形態では、ワイヤーが、そのワイヤーに連結された縫合糸の直径よりも小さな直径を有する。ワイヤーは、さまざまな方法を用いて縫合糸に接続することができ、例えば、ワイヤーを縫合糸の末端部に通す、縫合糸の末端部の周りでワイヤーを輪にする、ワイヤーを縫合糸の末端部に溶接する、クリンプバンド(crimp band)を用いてワイヤーを少なくとも一つの縫合糸の末端部に結合する、ワイヤーのコイル状の部分を縫合糸の末端部の周りに巻くことなどによって接続することができる。縫合糸固定システムはドライバーをさらに備えていてもよく、このドライバーは、縫合糸アンカーの内腔部に入ってその内腔部と係合するように構成された遠位端を有している。ワイヤーには、縫合糸の末端部に連結された第一の末端部と、ドライバーに連結された第二の末端部とが含まれてもよい。
【0016】
さらに別の実施形態では縫合糸固定システムが提供され、このシステムは、ねじ付きで管状の縫合糸アンカーであって、近位端および遠位端、ならびにその縫合糸アンカーの遠位端内に配置された縫合糸係合部材を備える、縫合糸アンカーと、少なくとも一つの縫合糸であって、縫合糸アンカーの中を延びており、かつ、縫合糸係合部材の周りを延びているワイヤーに連結された末端部を有する縫合糸とを有する。このシステムは、ドライバーをさらに備えていてもよく、このドライバーは、縫合糸アンカーの近位端に入り、その近位端と係合するように構成された遠位端を有する。
【0017】
別の態様では、縫合糸を骨に固定するための方法が提供され、この方法は、ワイヤーが、縫合糸アンカーの内腔部の対向する側壁部を横切るように延びている縫合糸係合部材の周りを延び、かつそのワイヤーの第一および第二の末端部が縫合糸アンカーの内腔部を通って延びるように、ワイヤーを縫合糸アンカーに連結する段階と、縫合糸アンカーを骨に挿入する段階と、ワイヤーの第一の末端部を引っ張って、ワイヤーの第二の末端部に連結されている少なくとも1つの縫合糸ストランドを、縫合糸アンカーの内腔部内を通して、かつ縫合糸係合部材の周りで引っ張る段階と、を含む。ある実施形態では、ワイヤーを第一および第二の縫合糸ストランドに連結し、ワイヤーの第一の末端部を引っ張ると、第一および第二の縫合糸ストランドが、縫合糸アンカーの内腔部内を通して、かつ縫合糸係合部材の周りを引っ張られるようにしてもよい。あるいは、ワイヤーがドライバーに連結され、このドライバーが、縫合糸アンカーの内腔部に挿入され、縫合糸アンカーを骨に押し込むように作動されてもよい。ドライバーを縫合糸アンカーから取り去ることが、ワイヤーが引っ張られるのに効果的である場合がある。この方法はまた、ドライバーの内腔部を通して、縫合糸アンカーの内腔部に物質を注入する段階をさらに含んでもよい。物質は、例えば、骨成長促進物質、シーラント、接着剤、およびこれらの組合せであってもよい。この方法はまた、組織を骨に固定するために縫合糸を組織に取り付ける段階をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面とともに検討することによってよりよく分かるであろう。
【0019】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書に開示する装置および方法の構造、機能、製造、および使い方の原理を総合的に理解するため、以下、特定の例示的な実施形態について説明する。これらの実施形態の一つ以上の例が添付図面に示されている。当業者には分かるであろうが、本明細書に具体的に記載し、添付図面に図示した装置および方法は非限定的で例示的な実施形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲だけで定められる。例示的な一実施形態に関連して図示または記載した特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。このような変更および変形は、本発明の範囲に含まれることが予定されている。
【0020】
本発明は、概して、縫合糸を骨に固定する方法および装置を提供するものである。ある例示的な実施形態では管状の縫合糸アンカー(cannulated suture anchor)が提供され、この管状の縫合糸アンカーは、その管状の縫合糸アンカーの中に形成された縫合糸係合部材(suture-engaging member)であって、縫合糸の後端部(trailing ends)が縫合糸アンカーの中に延びることができるように、周囲で縫合糸を受け入れるように構成された、縫合糸係合部材を含む。管状の縫合糸アンカーを使用すると、ドライバーを縫合糸アンカーの内腔部に挿入し、縫合糸アンカーを骨に打ち込むこともできる。このように構成すると、縫合糸アンカーとドライバーとの間の増大された係合により、縫合糸アンカーのトルク強度を最大にすることができる。これはさらに、生体吸収性および/または骨伝導性の材料を含む幅広い材料から縫合糸アンカーを形成することを可能にする。管状の縫合糸アンカーを使用すると、縫合糸アンカーに形成されたドライバーの頭部に対する必要もなくなり、結果として、縫合糸アンカーの全長を、硬い皮質骨の厚さを貫いて十分に係合するように構成でき、これにより、固定がより強固になるように、皮質骨の固定を最適化する。このことは、縫合糸アンカーの移動を防ぐのに役立つ。管状の縫合糸アンカーは、固定を促進するために骨成長促進材、シーラント、接着剤などの材料をアンカーに入れることができるので、とりわけ有益である。本発明は、本明細書に開示したさまざまな方法および装置、または当該技術で既知の方法および装置に用いることができる例示的な縫合糸およびドライバーをも提供する。当業者には分かるであろうが、本明細書では軟組織(soft tissue)を骨に固定する方法および装置が開示されているが、この方法および装置は、さまざまな物体を互いに固定するための他のさまざまな医療処置に用いることもできる。
【0021】
図1A〜図1Cは、軟組織を骨に固定するための、管状の縫合糸アンカー10の例示的な一実施形態を示している。図示のように、縫合糸アンカー10は、ほぼ細長い本体という形態をしており、この細長い本体は、近位端10aと、遠位端10bとを有し、細長い本体の中を延びる内腔部10cを備えている。少なくとも一つの骨係合面特徴部(bone-engaging surface feature)12が、細長い本体の外面の少なくとも一部分に、骨と係合するために形成されることができる。縫合糸アンカー10は、縫合糸係合部材(suture-engaging member)14をも含み、この縫合糸係合部材14は、内腔部10cの中に、縫合糸アンカー10の遠位端10bの近傍において配置されている。図1Cに示すように、縫合糸係合部材14は、縫合糸が縫合糸係合部材14の周囲を延びることができ、かつ縫合糸の後端部が縫合糸アンカー10の内腔部10cの中を通って近位端10aから出ることができるように、一本以上の縫合糸(2本の縫合糸16、18が示されている)をその縫合糸係合部材の周囲で受けるように構成されている。
【0022】
縫合糸アンカー10の本体は、さまざまな構成、形状、および大きさを有することができる。ある例示的な実施形態において、本体は骨に形成された骨トンネルに植え込まれるよう構成されており、より好ましくは、皮質骨の厚さを貫いて十分に係合することができる大きさおよび形状を有する。図示の実施形態では、本体がほぼ細長い円筒形状を有しており、骨トンネル内に導入しやすいように、尖っていない、すなわち丸くした遠位端10bを備えている。本体の近位端10aに頭部はないが、これは、本体が管状の構成をしているため、ドライバーを内腔部10cに挿入して縫合糸アンカー10を骨の中に打ち込むことができるからである。前述したように、縫合糸アンカー10は、その縫合糸アンカー10に形成され、骨と係合するように構成された一つ以上の骨係合面特徴部を含むこともできる。さまざまな面特徴部を用いることができ、例えば歯部、隆起部、突起部などを用いることができるが、ある例示的な実施形態では、本体はその周囲に延びる一つ以上のねじ山を含むことができる。図示の実施形態では、一つのねじ山が本体の周囲を近位端10aから延びていて、そのねじ山は遠位端10bの近位で終端する。ねじ山が終端する具体的な位置は、縫合糸アンカー10の具体的な構成によりいろいろであってもよい。以下により詳細に述べるように、図示の縫合糸アンカー10には、このアンカーの遠位端に形成された、対向する切欠部が含まれてもよく、ねじ山は、その切欠部の近位端のすぐ近位で終端してもよい。
【0023】
縫合糸アンカー10は、さまざまな材料から形成してもよい。ある例示的な実施形態では、この材料は、ドライバーを縫合糸アンカー10の内腔部10cに挿入することができ、縫合糸アンカー10を傷つけることなく、縫合糸アンカー10を骨に打ち込むのに用いられるのに十分な物理的特性を有する。もちろん、材料の特性は、縫合糸アンカー10の具体的な構成によって決まる。例えば、縫合糸アンカー10の内腔部10cは、縫合糸アンカー10のトルク強度、およびドライバーと縫合糸アンカー10との間の面接触量を最大にし、これにより生体吸収性材料および/または骨伝導性材料のようなより弱い材料を用いることを可能にする長さを有してよい。当業者には分かるであろうが、プラスチックおよび金属を含む他のさまざまな材料を用いて縫合糸アンカー10を形成することもできる。
【0024】
前述したように、縫合糸アンカー10は、この縫合糸アンカー10の中に形成された縫合糸係合部材14を含むこともできる。縫合糸係合部材14はさまざまな構成を有することができるが、ある例示的な実施形態では、縫合糸アンカー10の内腔部10cを通って延びる一本以上の縫合糸と係合するように構成されている。図1Aおよび図1Bに示すように、縫合糸係合部材14は、内腔部10cを横切るように、縫合糸アンカー10の対向する内側側壁部の間を横向きに延びる柱形状をしている。内腔部10cの長さ方向軸Aに対する縫合糸係合部材14の角度方向はさまざまであってもよいが、ある例示的な実施形態では、縫合糸係合部材14が内腔部10cの長さ方向軸Aに対して実質的に直角に延びている。縫合糸係合部材14の位置もまたいろいろであってよいが、ある例示的な実施形態では、縫合糸係合部材14が縫合糸アンカー10の遠位端10bに、またはその近傍に位置される。図1Aおよび図1Bに示す実施形態では、縫合糸係合部材14が、縫合糸アンカー10の最も遠位の端部に縫合糸設置溝部22aを形成するように、縫合糸アンカー10の最も遠位の端部10bのすぐ近位に位置する。縫合糸係合部材14のこのような凹状の構成により、縫合糸係合部材14の周囲に配置した縫合糸が縫合糸アンカー10の遠位端10bと同一平面、または同一平面より内側(flush or sub-flush)に位置し、縫合糸が、縫合糸アンカー10の骨への挿入を妨げないようにすることができる。当業者には分かるであろうが、縫合糸係合部材14は縫合糸アンカー10と一体的に形成することができる。すなわち、縫合糸アンカー10と縫合糸係合部材14とを単体として成型できるか、もしくは単一の材料片から形成でき、または縫合糸係合部材14を縫合糸アンカー10に、固定するように、もしくは取り外し可能に結合してもよい。
【0025】
図1A〜図1Cにさらに示すように、縫合糸を縫合糸係合部材14の周囲に位置させやすいように、縫合糸アンカー10には、縫合糸係合部材14の近傍において縫合糸アンカー10の側壁に形成された一つ以上の切欠部が含まれてもよい。図1Aに最もよく示されているように、ある例示的な実施形態では、縫合糸アンカー10に切欠部22が含まれ、この切欠部22は、縫合糸係合部材14の位置のすぐ近位で始まっており、縫合糸アンカー10の遠位端10bの周囲に延びていて、縫合糸アンカー10が、縫合糸係合部材14の対向する側面に形成された、対向する切欠部または対向する開口部と、縫合糸を設置するための縫合糸設置溝部22aを画定する遠位切欠部とを含むようになっている。また、切欠部22は、縫合糸アンカー10の対向する遠位アーム部11a、11bであって、互いに間隔を開けて配置されており、また、それらアームの間に延在する縫合糸係合部材14を有する、遠位アーム部11a、11bをさらに画定していてもよい。
【0026】
当業者には分かるであろうが、切欠部22の具体的な位置および構成により、縫合糸係合部材14の具体的な位置および構成を定めることができる。これは、切欠部22が、縫合糸係合部材14を作るために製造中に形成されることができるからである。あるいは、対向するアーム部11a、11bの具体的な位置および構成により、切欠部22の具体的な位置および構成を定めることができる。これは、アーム部11a、11bの形状および大きさで切欠部22の形状および大きさが定まるからである。さらに、切欠部22および/またはアーム部11a、11bに対する縫合糸係合部材14の位置によっても縫合糸アンカー10の遠位端の構成、および、縫合糸アンカー10に縫合糸を設置するための遠位溝部22aが含まれるか否かが定まる。
【0027】
図1Aおよび図1Bでさらに示すように、縫合糸アンカー10の内腔部10cは、縫合糸アンカー10を骨に打ち込むためのドライバーを中に入れるように構成できる。さまざまな方法を用いて内腔部10cとドライバー機構との間の係合を促進することができるが、ある例示的な実施形態では、内腔部10c、または少なくともその一部分が非対称な形状を有しており、この非対称な形状は、ドライバーの対応する非対称形状を補完するものとなっている。この非対称部分は、ドライバーと縫合糸アンカーとの間の面接触を最大限にするように、好ましくは内腔部10cのかなりの長さに沿って延びる。非限定的な例であるが、図1Aおよび図1Bには、後でより詳しく述べるように、対応する六角形の打ち込み用先端部(corresponding hexagonal drive tip)を有するドライバーが入るように、内腔部10cの近位部分に形成された六角断面形状が示されている。六角断面部は、縫合糸アンカー10の最も近位の端部10aから延び、切欠部22の近位端のすぐ近位で終端する。
【0028】
別の実施形態では、縫合糸アンカーは、固定された縫合糸係合部材14を有するのではなく、縫合糸アンカー内に回転可能に配置された縫合糸係合部材を含むことができる。このような構成により縫合糸はスライド可能になり、縫合糸アンカーの内腔部を通して縫合糸を長さ方向に動かしやすくするための滑車システム(pulley system)が得られる。具体的には、縫合糸係合部材の周りに配置した一本以上の縫合糸における一つ以上の末端部を引っ張って、縫合糸を縫合糸アンカーの内腔部内で長さ方向にスライドさせることができ、縫合糸係合部材は、回転して、このような長さ方向の動きを容易にすることができる。
【0029】
回転可能な縫合糸係合部材はさまざまな構成を有してもよいが、図2は、縫合糸アンカー10’の内腔部10c’内に配置された回転可能な縫合糸係合部材14’の例示的な一実施形態を示す。図示のように、縫合糸係合部材14’は、ほぼ円筒形の本体という形態をしていて、対向する側壁部15a’、15b’と、本体の周囲かつ対向する側壁部15a’、15b’の間に延びる、連続的に湾曲した外壁部15c’を有する。外壁部15c’には、一本以上の縫合糸、例えば縫合糸16’などを設置するための溝部15d’が形成されている。縫合糸係合部材14’は、ピン部材20’が入るように対向する側壁部15a’、15b’の間において縫合糸係合部材14’の中を延びる孔部15e’をさらに含む。ピン部材20’は、縫合糸係合部材14’がそのピンの周りを回転できるようにする。ピン部材20’は、縫合糸アンカー10の対向するアーム部11a’、11b’の内面に形成された対向する孔部または開口部9a’、9b’の中まで延びていてもよい。当業者には分かるであろうが、縫合糸係合部材14’を縫合糸アンカー10’に回転可能に結合するには、さまざまな他の方法を用いることもできる。あるいは、縫合糸係合部材に塗布された滑らかなコーティングなど、縫合糸をスライドしやすくするためのさまざまな他の方法を用いることもできる。
【0030】
前述のように、本明細書に開示した縫合糸アンカーは、ドライバーが入るように管状にすることができる。当該技術において既知のさまざまなドライバーを用いることができるが、図3Aおよび図3Bは、縫合糸アンカーを骨に打ち込むためのドライバー30の例示的な一実施形態を示している。この実施形態において、ドライバー30は、縫合糸アンカーに通した縫合糸の末端部をドライバー30の外面に沿って延ばすことができるように構成されている。図示のように、ドライバー30は、近位端30aと、遠位端30bとを有するほぼ細長いシャフトという形態をしている。図示されていないが、近位端30aには、装置を把持および操作しやすいように、この近位端に形成されたハンドルまたは他の把持機構が含まれていてもよい。遠位端30bは、縫合糸アンカーの内腔部、例えば縫合糸アンカー10の内腔部10cの中に合うように構成された小径部(reduced diameter portion)、すなわち、先端部32を含む。先端部32の形状はさまざまであってもよいが、ある例示的な実施形態では、先端部32が、縫合糸アンカー10の内腔部10cと係合することを可能にする非対称な形状を有する。図示の実施形態において、先端部32は、アンカーの内腔部10cのほぼ六角形の断面形状を補完するほぼ六角形の断面形状を有する。先端部32の長さもさまざまでありうるが、ある例示的な実施形態において先端部32は、先端部32とアンカー10との間の面接触を最大にするように、先端部32がアンカー10の内腔部10cのかなりの部分を貫通することを可能にする長さを有する。例えば、長さ32は、アンカーの内腔部10cの六角部分の長さに相当していてもよい。当業者には分かるであろうが、先端部32は、さまざまな他の形状、大きさ、および構成を有していてもよい。
【0031】
図3Aおよび図3Bにさらに示すように、先端部は、先端部に形成され、一本以上の縫合糸を設置するために先端部32の長さ全体に沿って長さ方向に延びる一つ以上の縫合糸収容凹部、すなわち、溝部を含んでいてもよい。図示の実施形態では、第一および第二の対向する縫合糸収容溝部34a、34bが先端部32に形成されていて、先端部32の長さ全体に沿って延びている。溝部34a、34bは、オプションとして、縫合糸が縫合糸アンカー10の挿入を妨げることをも防ぐように、図示のように、先端部32の近位端を越えて所与の距離を延びていてもよいし、ドライバー30の長さ全体に沿って延びていてもよい。
【0032】
図3Cは、縫合糸アンカー10と同様である縫合糸アンカー100の内部に配置されたドライバー30の切り取り図を示している。図示のように、縫合糸36は、縫合糸36の第一および第二の後端部36a、36bが縫合糸アンカー100の近位端100aから近位へと延びるように、縫合糸アンカー100の内腔部100cを通って、縫合糸係合部材114の周りに配置されている。ドライバー30の遠位先端部32が縫合糸アンカー100の内腔部100cの中に嵌まり、この内腔部100cに係合するように、縫合糸係合部材14から延びている縫合糸36の対向する端部は、先端部32に形成した対向する溝部(溝部34aのみ図示)の中に置かれることができる。
【0033】
別の実施形態では、図4Aおよび図4Bに示すように、ドライバー40を管状にし、縫合糸アンカーの中を延びている縫合糸の末端部がドライバーの外部を延びるのではなく、ドライバーの中を延びることができるようにしてもよい。具体的には、ドライバー40が遠位先端部に形成された縫合糸収容溝部を有する代わりに、一本以上の縫合糸を入れるために、ドライバー40の全長を通って延びる内腔部40cを含む点を除けば、ドライバー40はドライバー30と同様である。図4Aは、縫合糸アンカー10の内腔部10c内に配置され、その内腔部10cに係合しているドライバー40の遠位先端部42を図示している。図示のように、ドライバー40の残りの部分の直径は、遠位先端部42の小径と比べると、遠位先端部42をアンカー10の内腔部10cに挿入する深さを制限する停止面44をもたらすことができる。前述したように、遠位先端部42の長さ、そしてそれ故にアンカー10の内腔部10cに遠位先端部42を挿入する深さは、縫合糸アンカー10の大きさおよび形状しだいでさまざまでありうる。ある例示的な実施形態では、先端部42が、縫合糸アンカー10とドライバー40との間の面接触を最大にするように、内腔部10cのかなりの部分に挿入されるように構成される。他の実施形態では、骨成長促進材、接着剤、生物製剤、その他の注入可能な材料など、他の材料を、ドライバーを介して縫合糸アンカーに導入するのに、管状のドライバー40をオプションとして用いることもできる。
【0034】
前述したように、本明細書に開示した縫合糸アンカーおよびドライバーは、一本以上の縫合糸とともに用いるように構成することもできる。縫合糸アンカーおよびドライバーとともに用いられる縫合糸の具体的な数量は、縫合糸アンカーおよびドライバーの大きさによって決まることがあり、特に縫合糸アンカーの内腔部の直径、および(ドライバー30の場合は)ドライバーに形成された縫合糸係合溝部の大きさまたは(ドライバー40の場合は)ドライバーの内腔部の直径によって決まることがある。例えば、縫合糸アンカーが比較的小さい内腔部を有する場合、ドライバーは必然的に比較的小さな直径を有し、したがって(ドライバー30の場合)小さい縫合糸係合溝部、または(ドライバー40の場合)小さい内腔部を有する。このため、縫合糸アンカーの縫合糸係合部材の周りに位置された一本の縫合糸であって、縫合糸収容溝部を通っているか(ドライバー30の場合)、もしくはドライバーの内腔部を通っている(ドライバー40の場合)二つの後端部を有する、一本の縫合糸しか使用することができないであろう。一本の縫合糸が組織を骨に固定するのに十分のこともあるが、二本以上の縫合糸を用いることが好ましく、2本の縫合糸を用いることがより好ましい。そこで、縫合糸アンカーおよび/またはドライバーの大きさを大きくする代わりに、本発明は、縫合糸を一本だけ設置するように構成された縫合糸アンカーおよびドライバーで二本の縫合糸を利用するさまざまな例示的な方法を提供する。これがとりわけ有益であるのは、縫合糸アンカーは完全に皮質骨内に配置できる大きさであってよく、一方、縫合糸アンカーの内腔部の直径およびドライバーの遠位先端部の直径を最大にして、トルク異常評価(torque failure rating)を向上させるからである。このことはまた、アンカーを、本明細書で既に開示したような脆いまたは弱い材料を含むさまざまな材料から作ることを可能にする。
【0035】
ある実施形態では、一本以上の縫合糸を、細いワイヤー、糸、ひも(string)、小径縫合糸など(以下、ワイヤーと総称する)と連結することができ、そしてこのワイヤーをドライバーの縫合糸収容溝部または内腔部に通すことができる。ワイヤーは、縫合糸の直径よりも非常に小さい直径を有するので、一本以上のワイヤーを一本以上の縫合糸の後端部の代わりとして用いることができ、これにより、複数の縫合糸を使用可能にすることができる。このことは、非限定的な例として、図5Aおよび図5Bに図示した。
【0036】
図5Aは、縫合糸アンカー10の中を通り、(不図示の)縫合糸係合部材の周りを延びる第一および第二の縫合糸16、18を有する縫合糸アンカー10を示す。縫合糸16、18の4本の後端部(つまり、縫合糸係合部材から延びている端部)が全てドライバー30の縫合糸収容溝部(不図示)またはドライバー40の内腔部(不図示)にぴったり入らないので、各縫合糸16、18の後端部の一方のみをドライバーに通すことができ、各縫合糸16、18の他方の後端部の末端部16b、18bは、切欠部22の近位端のすぐ遠位に位置されることができる。ワイヤー50は、各末端部16b、18bに結合でき、また、このワイヤーは、末端部16b、18bから近位へとドライバーの中を延びることができる。使用時には、縫合糸アンカー10を骨に植え込むと、ドライバーを取り去ることができ、そしてワイヤー50を引っ張って、縫合糸16、18の末端部16b、18bを、縫合糸係合部材の周りおよび縫合糸アンカー10の中を通すように近位へ引っ張ることができる。末端部は、この後、組織を骨に固定するのに用いることができる。当業者には分かるであろうが、縫合糸をドライバーおよびアンカーの外部に残しつつ、ワイヤーのみをドライバーおよびアンカーに通すことができ、そして、縫合糸は、縫合糸アンカーを配置した後に、アンカーに引き込むことができる。
【0037】
図5Bに示す別の実施形態では、縫合糸16、18の末端部16b、18bを、ドライバーの内腔部を通って延びる別個のワイヤー52、54に結合してもよい。図5Bは縫合糸アンカー10の部分切り取り図であり、縫合糸アンカー10の中に配置されたドライバー40の遠位先端部42であって、その遠位先端部の中を延びるワイヤー52、54を有する、ドライバー40の遠位先端部42を示している。図5Aに示す実施形態と同様に、各縫合糸16、18の一方の後端部とワイヤー52、54とをドライバー40に通すことができ、これにより、二本の縫合糸16、18を縫合糸アンカー10で用いることが可能になる。縫合糸アンカーを植え込んだ後、ドライバー40を取り外すことができ、また、図5Cに示すように、ワイヤー52、54を用いて、縫合糸16、18の末端部16b、18bを、縫合糸係合部材の周りに近位方向に引っ張ることができる。当業者には分かるであろうが、図5Bにはドライバー40を示したが、ワイヤーは、ドライバー30と共に、あるいは、当該技術で既知のあらゆる他のドライバーと共に使用することができる。
【0038】
管状のドライバーを通っているワイヤーを使用することは、ワイヤーが同じ場所にあるままで、前述した材料のようなさまざまな材料をドライバーの内腔部を通して導入することができる点でも有益である場合がある。例えば、縫合糸16、18の末端部16b、18bを近位に引っ張る前にドライバーの内腔部を通して接着剤を注入することができ、これにより縫合糸16、18を縫合糸アンカー10に固定することができる。
【0039】
当業者には分かるであろうが、さまざまな方法を用いてワイヤーを一本以上の縫合糸に結合することができる。非限定的な例ではあるが、図6〜図10は、さまざまな例示的な結合方法を示す。図6に示す実施形態では、一本のワイヤー60を第一の縫合糸62の末端部62aに通し、次に第二の縫合糸64の末端部64aに通して戻すことで、ワイヤー60の後端部60a、60bが、縫合糸62、64の末端部62a、64aから延びるようにしている。図7に示す別の実施形態では、ワイヤー70を二本の縫合糸72、74の末端部72a、74aの周囲にループ状にする、つまり、結び目を形成し、ワイヤー70の後端部70a、70bが縫合糸72、74の末端部72a、74aから延びるようにしている。図8に示す実施形態では、ワイヤー80を、二本の縫合糸82、84の間に位置させ、超音波溶接機86を用いて、または当該技術で既知の他の溶接技術を用いて縫合糸82、84に溶接する。図9に示す別の実施形態では、ワイヤー90をクランプバンドまたはクリンプバンド(clamp or crimp band)96に取り付け、このクランプバンドまたはクリンプバンド96は、二本の縫合糸92、94の末端部92a、94aの周囲に配置され、これらの末端部92a、94aに係合するように閉じている。図10に示すさらに別の実施形態では、ワイヤー110は、その末端部に形成されたバネまたはコイル部110cを含んでもよい。このコイル部110cは、縫合糸112の末端部112aの周りに位置されてよく、また、このコイル部110cが縫合糸112と係合する形状にバイアスを加えられてもよい。ワイヤー110を引っ張って縫合糸112を引くと、オプションとして、コイル部110の直径が小さくなり、ワイヤー110と縫合糸112との間がよりしっかりと係合することができる。当業者には分かるであろうが、上述した結合方法は、一本のワイヤーを一本以上の縫合糸に結合するのに、または複数のワイヤーを一本の縫合糸に結合するのにも用いることができる。さらに、接着剤等を含むさまざまな他の結合方法を用いることもできる。
【0040】
別の実施形態では、縫合糸またはワイヤーの後端部の一方をドライバーに結合してもよい。縫合糸アンカーからドライバーを外すと、ドライバーは、ドライバーに取り付けられている縫合糸またはワイヤーを縫合糸係合部材の周りで引っ張る。このことは図11Aおよび図11Bに示されている。図11Aに示す実施形態では、ワイヤー132の第一端部132aがドライバー130の遠位端130dに取り付けられている。ワイヤー132の第二端部132bは、縫合糸アンカー10の中を通って、ドライバー130から近位へと延び、そこで縫合糸と連結されていてもよい。ドライバー130を取り外したときに、ワイヤー132を、縫合糸アンカー10内に、かつ縫合糸係合部材14の周りに引っ張ることができる。図11Bに示す別の実施形態では、ワイヤー132’の第一端部132a’をドライバー130’の近位端130p’に取り付けることができる。当業者には分かるであろうが、ワイヤーのドライバーへの具体的な取り付け場所はさまざまであってもよい。さらに、さまざまな方法を用いて、縫合糸またはワイヤーをドライバーに取り付けることができる。非限定的な例であるが、図11Cは、取り付け方法の例示的な一実施形態を示している。図示のように、ドライバーの遠位先端部152には、その遠位先端部152に形成された第一および第二の孔部152a、152bが含まれ、第一および第二のワイヤー154、156の後端部が孔部152a、152bを通して挿入されている。ワイヤー154、156を孔部152a、152b内に保持するため、結び目が各ワイヤー154、156の末端部に形成される。使用時には、二本の縫合糸の四つの後端部をドライバーに通しておく代わりに、各縫合糸またはワイヤーの後端部の一方のみをドライバーに通すようにして、他方の端部は、遠位端152に取り付けたままにするようにする。あるいは、二本のワイヤーの後端部をドライバーに通し、ドライバーの外部に位置された縫合糸に取り付けてもよい。ドライバーを取り外したら、ドライバーが縫合糸を縫合糸係合部材の周りに引っ張り、縫合糸の後端部を、組織を骨に固定するのに使えるようにする。結び目は切断されるか、または他の方法で取り去られて、縫合糸をドライバーから取り外すことができる。
【0041】
図12A〜図12Dに示す他の実施形態では、本明細書に開示した縫合糸アンカーで二本の縫合糸を使用できるようにするために、糸を通すさまざまな方法(various threading techniques)を利用することができる。図12Aは、縫合糸アンカー10の内腔部10cを通り、縫合糸係合部材14の周りに輪を形成している二本の縫合糸16、18を有する縫合糸アンカー10を示す。逆に、縫合糸の一方、例えば縫合糸18は、図12Bに示すように、縫合糸アンカー10の外面に沿って延びてもよい。同様に、一本の縫合糸を使用してもよく、この一本の縫合糸は、縫合糸アンカー10の内腔部10cに通るとともに、縫合糸アンカー10の外面に沿って延びてもよい。これは、図12Cに図示されている。図示のように、縫合糸16の第一の後端部16aは、縫合糸アンカー10の外面に沿って位置され、縫合糸16の第二の後端部16bは、縫合糸係合部材14の周りを進んで内腔部10cを上へと通され、そこで第1のループを形成する。次に、縫合糸16の第二の後端部16bは、内腔部10cを通して戻され、縫合糸アンカー10の長さに沿って外側を延びるように位置される。図12Cは、縫合糸16の後端部16a、16bの両方が縫合糸アンカー10に沿って外側を延びているところを示しているが、別の実施形態では、一方の後端部が縫合糸アンカー10に沿って外側を延びてよく、他方の後端部が縫合糸アンカー10の内腔部10cを通って延びてもよい。これは図12Dに示されており、図12Dは、縫合糸アンカー10の内腔部10cを通って、縫合糸アンカー10の近位端10aを越えて近位へ延びている第一の後端部16aを有する縫合糸16を示している。第二の後端部16bは、内腔部10に通され、縫合糸係合部材14の周りに通され、そして、縫合糸アンカー10の周りで外側を通されている。次に、後端部16bは、縫合糸アンカーの近位端10aに戻され、内腔部10cに通され、ここで縫合糸係合部材14の周りに、かつ縫合糸アンカー10に沿って外側に位置される。当業者には分かるであろうが、糸を通すさまざまな他の方法を用いて、一本以上の縫合糸を、本明細書に開示したさまざまな縫合糸アンカーおよび/またはドライバーで使用することができる。
【0042】
本発明はまた、組織を骨に固定するための例示的な方法も提供する。この方法は、軟組織を骨に取り付けることに関連して説明するが、本明細書に開示する方法および装置は、ある構造を別の構造に固定するためのさまざまな医療処置に用いることができる。通例、孔が患者の骨に形成される。孔の直径は、好ましくは縫合糸アンカーの最大外径よりもわずかに小さく、孔の長さは、好ましくは縫合糸アンカーの長さと同じか、またはわずかに長い。孔は、皮質骨を完全に貫通し、縫合糸アンカーが皮質骨の厚さの端から端まで十分に係合することができるようにする。縫合糸アンカーの長さによっては、孔は、海綿骨内に延びてもよい。(ワイヤーが連結された縫合糸を含む)一本以上の縫合糸を、本明細書で前述したように、さまざまな方法を用いて縫合糸アンカーに連結してもよく、ドライバーの遠位先端部を縫合糸アンカーの内腔部に挿入してもよい。縫合糸またはワイヤーの後端部はドライバーに沿って外側を延びてもよいし、あるいは、ドライバーの内腔部を通って延びてもよい。次に、ドライバーを用いて、縫合糸アンカーを骨トンネルへ挿入することができる。例えば、縫合糸アンカーが、そのアンカーに形成されたねじ山を含む場合、ドライバーを回転させて、縫合糸アンカーを骨穴にねじ込んでもよい。ねじ山が骨穴と係合することで縫合糸アンカーが外れることを防止する。他の実施形態では、ドライバーを用いて骨アンカーをたたいて骨穴に入れ、締まりばめ、圧縮嵌め(compression fit)、および/または縫合糸アンカーに形成されたリブまたは突起などの面特徴部を用いて骨穴の中に縫合糸アンカーを保持してもよい。ドライバーはまた、オプションとして、ねじ付き縫合糸アンカーを骨穴にはめ込むのに用いることもできる。ねじ山は、後で縫合糸アンカーを取り外すことを可能にする。
【0043】
骨アンカーを適切に骨穴の中に固定したら、本明細書において前述した材料のようなさまざまな材料を、ドライバーを介して縫合糸アンカーの中に、またはアンカーの周囲に導入できる。ドライバーは、その後、取り外してもよい。縫合糸がその縫合糸に取り付けられたワイヤーを有する場合、ワイヤーを引くことで、縫合糸アンカーの縫合糸係合部材の周りの縫合糸を引くことができる。縫合糸アンカーが回転可能な縫合糸係合部材を含む場合、縫合糸係合部材は、縫合糸が縫合糸係合部材の周りで引っ張られたときに回転する。その後、縫合糸の後端部は、軟組織を骨に固定するのに使用することができる。例えば、縫合糸の一方または両方の後端部を針に取り付け、その針を用いて、骨に固定すべき組織に縫合糸を通すことを可能にすることができる。縫合糸は、縫合糸アンカーを骨に挿入する前または後のいずれかに、組織に通されることができる。軟組織を骨の方へ近づけたら、手術を終了させるのにこのような状況では典型的だが、縫合糸の後端部を互いに固定し、余分を切り取ってもよい。
【0044】
当業者には、上記の実施形態に基づいて、本発明の他の特徴および利点が分かるであろう。したがって、本発明は、添付した特許請求の範囲で指摘する場合を除き、具体的に示され記載された事柄で限定はされない。本明細書に引用した全ての刊行物および参考文献は、参照することにより、その全内容が本明細書に特に組み込まれる。
【0045】
〔実施の態様〕
(1)縫合糸固定システムにおいて、
縫合糸アンカーであって、前記縫合糸アンカーの中を延びる内腔部、および前記内腔部の対向する側壁部を横切るように延びる縫合糸係合部材を有する、縫合糸アンカーと、
前記縫合糸アンカーの前記内腔部を通り、前記縫合糸係合部材の周りを延びているワイヤーに連結された末端部を有する、少なくとも一つの縫合糸と、
を備える、縫合糸固定システム。
(2)実施態様1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に通されている、縫合糸固定システム。
(3)実施態様1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部の周りに輪を形成している、縫合糸固定システム。
(4)実施態様1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に溶接されている、縫合糸固定システム。
(5)実施態様1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、コイルに連結されており、
前記コイルは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部の周りに巻かれており、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部と係合するように構成されている、縫合糸固定システム。
【0046】
(6)実施態様1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記縫合糸アンカーの前記内腔部内に延びて前記内腔部に係合するように構成された遠位端を有する、ドライバー、
をさらに備える、縫合糸固定システム。
(7)実施態様6に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、
前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に連結された第一の末端部と、
前記ドライバーに連結された第二の末端部と、
を含む、縫合糸固定システム。
(8)実施態様1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つのワイヤーに連結された前記少なくとも一つの縫合糸の直径よりも小さい直径を有する、縫合糸固定システム。
(9)縫合糸固定システムにおいて、
ねじ山付きで、管状の縫合糸アンカーであって、近位端および遠位端、ならびに、前記縫合糸アンカーの前記遠位端内に配置された縫合糸係合部材を有する、縫合糸アンカーと、
前記縫合糸アンカーの中を延びており、前記縫合糸係合部材の周りを延びているワイヤーに連結された末端部を有する、少なくとも一つの縫合糸と、
を備える、縫合糸固定システム。
【0047】
(10)実施態様9に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記ワイヤーは、前記ワイヤーを前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に通すこと、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部の周りで前記ワイヤーを輪にすること、前記ワイヤーを前記少なくとも一つの縫合糸に溶接すること、クリンプバンドを用いて前記ワイヤーを前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に結合すること、および、前記ワイヤーに連結されたコイルを前記少なくとも一つの縫合糸の周りに巻くことからなる群から選択された結合方法を用いて、前記少なくとも一つの縫合糸に連結される、縫合糸固定システム。
(11)実施態様9に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記縫合糸アンカーの前記近位端内に延びて前記近位端に係合するように構成された遠位端を有する、ドライバー、
をさらに備える、縫合糸固定システム。
(12)実施態様11に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記ワイヤーは、
前記少なくとも一つの縫合糸に連結された第一の末端部と、
前記ドライバーに連結された第二の末端部と、
を含む、縫合糸固定システム。
(13)縫合糸を骨に固定する方法において、
縫合糸アンカーの内腔部の対向する側壁部を横切るように延びている縫合糸係合部材の周りをワイヤーが延び、かつ前記ワイヤーの第一の末端部および第二の末端部が前記縫合糸アンカーの前記内腔部を通って延びるように、前記ワイヤーを前記縫合糸アンカーに連結する段階と、
前記縫合糸アンカーを前記骨に挿入する段階と、
前記ワイヤーの前記第一の末端部を引っ張って、前記縫合糸アンカーの前記内腔部の中、および前記縫合糸係合部材の周りで、前記ワイヤーの前記第二の末端部に連結された少なくとも一つの縫合糸ストランドを引っ張る段階と、
を含む、方法。
【0048】
(14)実施態様13に記載の方法において、
前記ワイヤーは、第一の縫合糸ストランドおよび第二の縫合糸ストランドに連結されており、
前記ワイヤーの前記第一の末端部を引っ張る段階が、前記縫合糸アンカーの前記内腔部の中、および前記縫合糸係合部材の周りで、前記第一および第二の縫合糸ストランドを引っ張る、方法。
(15)実施態様13に記載の方法において、
前記縫合糸アンカーを前記骨に挿入する段階は、
ドライバーを前記縫合糸アンカーの前記内腔部に挿入する段階と、
前記ドライバーを作動させて前記縫合糸アンカーを前記骨に打ち込む段階と、
を含む、方法。
(16)実施態様15に記載の方法において、
前記ワイヤーの前記第一の末端部は、前記ドライバーに連結されており、
前記方法は、
前記ドライバーを前記縫合糸アンカーから取り外して前記ワイヤーの前記第一末端部を引っ張る段階、
をさらに含む、方法。
(17)実施態様15に記載の方法において、
前記ドライバーの前記内腔部を通して前記縫合糸アンカーの前記内腔部に材料を注入する段階、
をさらに含む、方法。
(18)実施態様15に記載の方法において、
前記縫合糸アンカーは、前記縫合糸アンカーに形成されたねじ山を含み、
前記ドライバーを作動させる段階は、前記ドライバーを回して前記縫合糸アンカーを前記骨にねじ込む段階を含む、方法。
(19)実施態様15に記載の方法において、
前記ワイヤーの前記第一末端部を引っ張る前に、前記ドライバーを前記縫合糸アンカーから取り外す段階、
をさらに含む、方法。
【0049】
(20)実施態様13に記載の方法において、
前記縫合糸アンカーの前記内腔部に材料を注入する段階、
をさらに含む、方法。
(21)実施態様20に記載の方法において、
前記材料は、骨成長促進材、シーラント、接着剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法。
(22)実施態様13に記載の方法において、
前記少なくとも一つの縫合糸を組織に取り付けて、前記組織を前記骨に固定する段階、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】管状縫合糸アンカーの一実施形態の斜視図である。
【図1B】図1Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【図1C】第一および第二の縫合糸が連結されている図1Aの縫合糸アンカーの斜視図である。
【図2】本発明の他の実施形態による回転可能縫合糸係合部材を有する縫合糸アンカーの遠位部分の断面図である。
【図3A】ドライバー工具の一実施形態の断面図である。
【図3B】図3Aのドライバー工具の斜視図である。
【図3C】縫合糸アンカーに連結されており、縫合糸が中を延びている図3Aのドライバー工具の斜視図である。
【図4A】ドライバー工具の他の実施形態が中に配置された図1Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【図4B】線B−Bに沿った図4Aのドライバー工具の断面図である。
【図5A】第一および第二の縫合糸が連結された図1Aの縫合糸アンカーの斜視図であって、各縫合糸の末端に連結されたワイヤーを示す図である。
【図5B】第一および第二の縫合糸が連結された図1Aの縫合糸アンカーの斜視図であって、第一および第二の縫合糸の末端部にそれぞれ連結された第一および第二のワイヤーを示す図である。
【図5C】図5Bの縫合糸アンカーおよび縫合糸の斜視図であって、ワイヤーが、縫合糸アンカーを通る縫合糸を引っ張っているところを示す図である。
【図6】ワイヤーを縫合糸に通す方法の側面図である。
【図7】ワイヤーを縫合糸に結ぶ方法の側面図である。
【図8】ワイヤーを縫合糸に溶接する方法の側面図である。
【図9】クランプを用いてワイヤーを縫合糸に結合する方法の側面図である。
【図10】ワイヤーに形成されたコイルを用いてワイヤーを縫合糸に結合する方法の側面図である。
【図11A】ワイヤーが中を延びドライバーの遠位端に連結されている、図1Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【図11B】ワイヤーが中を延びドライバーの近位端に連結されている、図1Aの縫合糸アンカーの断面図である。
【図11C】ドライバー工具の一部の断面図であって、ワイヤーをそのドライバー工具に結合する方法を示す図である。
【図12A】図1Aの縫合糸アンカーの断面図であって、二つの縫合糸をその縫合糸アンカーに連結する、一方法を示す図である。
【図12B】図1Aの縫合糸アンカーの断面図であって、二つの縫合糸を縫合糸アンカーに連結する別の方法示す図である。
【図12C】図1Aの縫合糸アンカーの断面図であって、縫合糸を縫合糸アンカーに連結するさらに別の方法示す図である。
【図12D】図1Aの縫合糸アンカーの断面図であって、縫合糸を縫合糸アンカーに連結するさらに別の方法示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸固定システムにおいて、
縫合糸アンカーであって、前記縫合糸アンカーの中を延びる内腔部、および前記内腔部の対向する側壁部を横切るように延びる縫合糸係合部材を有する、縫合糸アンカーと、
前記縫合糸アンカーの前記内腔部を通り、前記縫合糸係合部材の周りを延びているワイヤーに連結された末端部を有する、少なくとも一つの縫合糸と、
を備える、縫合糸固定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に通されている、縫合糸固定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部の周りに輪を形成している、縫合糸固定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に溶接されている、縫合糸固定システム。
【請求項5】
請求項1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、コイルに連結されており、
前記コイルは、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部の周りに巻かれており、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部と係合するように構成されている、縫合糸固定システム。
【請求項6】
請求項1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記縫合糸アンカーの前記内腔部内に延びて前記内腔部に係合するように構成された遠位端を有する、ドライバー、
をさらに備える、縫合糸固定システム。
【請求項7】
請求項6に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、
前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に連結された第一の末端部と、
前記ドライバーに連結された第二の末端部と、
を含む、縫合糸固定システム。
【請求項8】
請求項1に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記少なくとも一つのワイヤーは、前記少なくとも一つのワイヤーに連結された前記少なくとも一つの縫合糸の直径よりも小さい直径を有する、縫合糸固定システム。
【請求項9】
縫合糸固定システムにおいて、
ねじ山付きで、管状の縫合糸アンカーであって、近位端および遠位端、ならびに、前記縫合糸アンカーの前記遠位端内に配置された縫合糸係合部材を有する、縫合糸アンカーと、
前記縫合糸アンカーの中を延びており、前記縫合糸係合部材の周りを延びているワイヤーに連結された末端部を有する、少なくとも一つの縫合糸と、
を備える、縫合糸固定システム。
【請求項10】
請求項9に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記ワイヤーは、前記ワイヤーを前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に通すこと、前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部の周りで前記ワイヤーを輪にすること、前記ワイヤーを前記少なくとも一つの縫合糸に溶接すること、クリンプバンドを用いて前記ワイヤーを前記少なくとも一つの縫合糸の前記末端部に結合すること、および、前記ワイヤーに連結されたコイルを前記少なくとも一つの縫合糸の周りに巻くことからなる群から選択された結合方法を用いて、前記少なくとも一つの縫合糸に連結される、縫合糸固定システム。
【請求項11】
請求項9に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記縫合糸アンカーの前記近位端内に延びて前記近位端に係合するように構成された遠位端を有する、ドライバー、
をさらに備える、縫合糸固定システム。
【請求項12】
請求項11に記載の縫合糸固定システムにおいて、
前記ワイヤーは、
前記少なくとも一つの縫合糸に連結された第一の末端部と、
前記ドライバーに連結された第二の末端部と、
を含む、縫合糸固定システム。
【請求項13】
縫合糸を骨に固定する方法において、
縫合糸アンカーの内腔部の対向する側壁部を横切るように延びている縫合糸係合部材の周りをワイヤーが延び、かつ前記ワイヤーの第一の末端部および第二の末端部が前記縫合糸アンカーの前記内腔部を通って延びるように、前記ワイヤーを前記縫合糸アンカーに連結する段階と、
前記縫合糸アンカーを前記骨に挿入する段階と、
前記ワイヤーの前記第一の末端部を引っ張って、前記縫合糸アンカーの前記内腔部の中、および前記縫合糸係合部材の周りで、前記ワイヤーの前記第二の末端部に連結された少なくとも一つの縫合糸ストランドを引っ張る段階と、
を含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【公開番号】特開2008−132329(P2008−132329A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−283568(P2007−283568)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】