説明

ワクチンとして使用するためのハイブリッドベクター系

遺伝子送達系は、酵母ハイブリッド送達系ベクターから構成される。遺伝子型交配により、2つの遺伝子を発現するユニットが、酵母ハイブリッドワクチン送達系を形成する。共刺激因子を構成的に発現するようにユニットの一方を操作し、疾患の原因となる病原体に由来する単一の、融合した、又は複数の抗原を発現するように別のユニットを操作することができる。新規のワクチンを開発するために、この酵母ハイブリッドワクチン簡単送達系のベクターを設計する。候補ワクチンは、AIDS、癌、C型肝炎、パラインフルエンザ、マラリア、自己免疫及びそのほかの感染性疾患を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<本発明の契約の原点>
本研究は、スン・ユアン(Juan Sun)への中国自然科学基金助成金第39800132号により支援された。
<関連出願>
本出願は、その全体を参考により本明細書に組み入れられる米国特許出願第10/350,791号の優先権を主張する。
<発明の分野>
本発明は、一般に、慢性の感染性疾患、癌及び自己免疫疾患を治療する及び/又は予防するための組成物及び方法に関する。さらに具体的には、本発明は、少なくとも2種のポリペプチドユニットを含み、第1のポリペプチドユニットが共刺激因子を発現し、残りのポリペプチドユニットが、疾患の原因となる作用物質に由来する単一の、融合した又は複数の抗原を発現する発現ベクター、並びにワクチン接種、腫瘍治療及び予防における該発現ベクターの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水の衛生化に伴って、ワクチン接種による感染性疾患の予防は、最も効率的な、費用有効性の高い、且つ実用的な疾患の予防方法である。死亡率低下と人口増加にそのような大きな効果を有してきた療法は、抗生物質でさえなく、他にはない。全世界の人々の健康に対するワクチン接種の影響は過大視し難い。世界の少なくとも部分的には、ワクチン接種は、以下の9種の主な疾患:天然痘、ジフテリア、破傷風、黄熱病、百日咳、灰白髄炎、麻疹、おたふく風邪及び風疹を抑えてきた。天然痘の場合、疾患は、世の中から完全に根絶されている。ワクチンの有効性は、一般に以下で説明する防御的免疫応答を引き出す能力に依存する。
【0003】
脊椎動物、特に鳥類や哺乳類が微生物性の病態発生を克服する手段は複雑である。宿主を侵襲する病原体は、多数の高度に多目的の且つ防御的な系を挑発する。微生物病原体又はその毒素が生体の外部防御を上手く貫通し、血流に達すれば、脾臓、肝臓及び骨髄のリンパ組織が、これら臓器を介した血液循環として外来物質を除き、且つ破壊する。リンパ組織は主として、絡み合った細網細胞及び線維の網細工から構成される。組織の隙間に接着するのは、多数の白血球、さらに具体的には、リンパ球細胞、及び種々の分化段階のそのほかの細胞、たとえば、形質細胞、リンパ芽球、単球−マクロファージ、好酸球、及び肥満細胞である。2種の主なリンパ球、T細胞及びB細胞は、抗原特異的免疫応答の介在において異なった且つ相補的な役割を有する。
【0004】
免疫応答は、外来性の病原体を認識する能力を有する非常に複雑で、有益な恒常性維持機構である。外来性の病原体に対する最初の応答は、「自然免疫」と呼ばれ、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球、及びそのほかの白血球の外来性病原体部位への迅速な移動を特徴とする。これらの細胞は、短時間で、病原体を貪食し、消化し、溶解し、又は病原体を溶解するサイトカインを分泌することのいずれかができる。自然免疫応答は抗原特異的ではなく、一般に、「適応免疫応答」が生成しうるまでの外来性病原体に対する防御の第一線とみなされる。T細胞及びB細胞の双方が、適応免疫応答を担う。適応免疫応答の生成には種々のメカニズムが関与する。適応免疫応答を生じる可能性のあるあらゆるメカニズムを議論するのは、この項の範囲を超えているが、十分に特性分析されてきたメカニズムの一部には、B細胞による抗原の認識、それに続く、抗原特異的抗体を分泌する活性化及び抗原提示細胞への結合によるT細胞の活性化が挙げられる。
【0005】
B細胞の認識には、B細胞上の表面免疫グロブリン受容体への、たとえば、細菌細胞壁、細菌毒素又はウイルスの膜に見い出される糖タンパク質のような抗原の結合が関与する。受容体への結合は、B細胞の内部にシグナルを伝達する。これが、当該技術で一般に「第1のシグナル」と呼ばれるものである。場合によっては、B細胞を活性化するのにたった1つのシグナルが必要なこともある。T細胞の助けに頼る必要がなくB細胞を活性化することができるこれらの抗原は、一般にT−非依存性抗原(又は胸腺非依存性抗原)と呼ばれる。そのほかの場合、「第2のシグナル」が必要であり、これは普通、B細胞に結合するTヘルパー細胞により提供される。特定の抗原に対するB細胞の活性化にT細胞の助けが必要である場合、その抗原は、T−依存性抗原(又は胸腺依存性抗原)と呼ばれる。B細胞上の表面受容体に結合することに加えて、抗原はB細胞の中に取り込まれることもでき、次いでB細胞内で小さな断片に消化され、抗原性ペプチド−MHCクラスII分子という状況でB細胞の表面に提示されることができる。これらペプチド−MHCクラスII分子は、B細胞に結合するTヘルパー細胞により認識され、一部の抗原に必要とされる「第2のシグナル」を提供する。いったんB細胞が活性化されると、B細胞は、抗原に対する抗体を分泌し始め、それは最終的には抗原の不活化をもたらす。B細胞が活性化されるもう1つの方法は、リンパ節及び脾臓の胚中心内での濾胞性樹状細胞(FDC)との接触による。リンパ節及び脾臓を通って循環する抗原−抗体(Ag−Ab)複合体を濾胞性樹状細胞が捕捉し、これらをB細胞に提示して活性化する。
【0006】
抗原に対する適応免疫応答のもう1つのよく特性分析されたメカニズムは、マクロファージ及び樹状細胞のような抗原提示細胞への結合によるT細胞の活性化である。マクロファージ及び樹状細胞は強力な抗原提示細胞である。マクロファージは、たとえば、マクロファージマンノース受容体やスカベンジャー受容体のような、微生物構成成分を認識する種々の受容体を有する。これらの受容体が微生物に結合し、マクロファージがそれらを飲み込み、エンドソームやリソソームで微生物を分解する。このように一部の微生物は直接破壊される。そのほかの微生物は、小さなペプチドに消化され、次いで、MHCクラスII−ペプチド複合体という状況で、マクロファージの表面でT細胞に提示される。これらの複合体を結合するT細胞は活性化される。樹状細胞も強力な抗原提示細胞であり、ペプチド−MHCクラスI分子及びペプチド−MHCクラスII分子を提示してT細胞を活性化する。
【0007】
B細胞が今までに遭遇したことのない抗原に結合すると、B細胞は「アイソタイプスイッチ」と呼ばれる発生経路を経験する。発生上の変化の間、形質細胞は、一般的なIgM型抗体を産生することから、さらに特異性の高いIgG型抗体を産生することにスイッチする。細胞のこの集団の中で、一部が「クローン性増殖」と呼ばれる過程で分裂を繰り返す。これらの細胞が成熟して抗体工場となり、血中に免疫グロブリンを放出する。それらは完全に成熟すると、形質細胞として同定されるようになり、一般に成熟に達した後2又は3日以内に死ぬまで、1秒当たり約2,000の同一抗体分子を放出することが可能である。クローンのこの群の中で他の細胞は決して抗体を産生しないが、抗原に遭遇した際、特定の抗原を認識し、結合する記憶細胞として機能する。
【0008】
抗原による最初の暴露の結果として、今や、初代のB細胞又は母型B細胞と同一の細胞が多数存在し、そのそれぞれが、初代のB細胞と同一の方法で抗原に応答することができる。その結果、抗原が2回目に出現すると、それは、より早く適切なB細胞の1つに遭遇し、それらB細胞は特異的なIgG抗体についてプログラムされているので、より早く免疫応答が始まり、さらに早く加速し、さらに特異的であり、さらに多数抗体を産生する。この事象は、二次応答又は既往応答とみなされる。記憶細胞は数ヵ月又は数年生き残り、外来性物質は、いつも低レベルの免疫応答を誘発するのに十分である微量で再導入されることがあるので、免疫は数年間持続することができる。このようにして、記憶細胞は定期的に補充される。
【0009】
抗原への最初の暴露に続いて、抗体を得る応答は緩やかであることが多く、産生される抗体の量は少ない、すなわち、一次応答。同一抗原による2回目の暴露の際、応答、すなわち、二次応答は、さらに迅速且つ大規模であり、それによって、病原性微生物の再注入に続く、ワクチンにより誘導されるように求められる目標である、加速された二次応答と同等の免疫状態を達成する。
【0010】
古典的には活性のあるワクチンは2つの一般的な部類:サブユニットワクチン及び生物丸ごとワクチンに分けられている。サブユニットワクチンは、生物丸ごとの構成成分から調製され、疾患を引き起こす可能性がある生きた生物の使用を回避するために、又は生物丸ごとワクチンに存在する毒性成分を回避するために普通開発される。ヒトにおいてこの生物が起因となる髄膜炎に対するワクチンとしてのH.インフルエンザb型の精製した莢膜多糖類物質の使用は、抗原性成分を基にしたワクチンの一例である。他方、生物丸ごとワクチンは、ワクチン接種に生物を丸ごと利用する。防御免疫を引き出すための必要要件によって、生物を殺してもよいし、生かしてもよい(普通、弱毒化する)。百日咳ワクチンは、たとえば、ボルデテラ・ペルツシス(Bordetella pertussis)の細胞をホルムアルデヒドで処理することにより調製された殺した細胞全体のワクチンである。しかしながら、宿主における特異的抗体の誘導に必要な表面の抗原決定基の多くが、殺す過程で普通、破壊されるか、又は変化させられるので、殺した細胞の使用は、普通、免疫原性の潜在能力の付随する損失を伴う。
【0011】
殺したワクチンとは極めて対照的に、生きた弱毒化したワクチンは、良性であるが、通常宿主組織内で複製でき、且つ、処理され、自然感染と同様の免疫系に提示される多数の天然の標的免疫原をおそらく発現している生きた生物から構成される。免疫された個体があらかじめ疾患に暴露されたことがあれば、この相互作用は、防御免疫を引き出す。生きた細菌ワクチンの構築のための弱毒化突然変異を規定する仕事のほとんどは、それらが、消化管に関連した免疫組織(GALT)との直接的な相互作用によって感染を成立させ、その結果、強力な液性免疫応答を生じるので、S.sppで行われている。それらは、宿主細胞も侵襲するので、強力な細胞性免疫応答を引き出すこともできる。Eisenstein、 細胞内の細菌性ワクチンのベクター(Paterson編、Eiley-Liss社)55〜109ページ(1999年);Hone et al.,細胞内の細菌性ワクチンのベクター(Paterson編、Eiley-Liss社)171〜221ページ(1999年);Sirad et al., Immun. Rev., 171:5-26, 1999。 これら弱毒化した微生物は、毒性因子を産生できず、宿主内できわめて緩慢に増殖するか、又は全く増殖しないので、理想的には、疾患を引き起こすことはできないが、特異的抗体の誘導に必要な細胞表面の構成成分の完全な整合性を維持する。さらに、これら弱毒化株は、毒性の野生型株に戻る可能性を実質的に有さないべきである。伝統的には、他の種から抗原的に関連するウイルスを単離することによって、継代による弱毒及び非標的種又は組織培養における適応を選抜することによって、或いは温度感受性の変異体を選抜することによってのいずれかで生きたワクチンを得てきた。最初のアプローチは、天然痘に対して牛痘ウイルスを用いてヒトにワクチン接種をしたエドワード・ジェンナーにより用いられた。
【0012】
古典的なワクチン理論は、非致死的な又は弱毒化した病原体による予防的接種は、それに続く遭遇における同一の又は類似の病原体による感染に対して防御を提供することができる免疫応答を誘発するという意味を含む。そのようなアプローチは、ウイルスで実現可能であり、より少ない程度に細菌で実現可能であり、規定された数の抗原を処理する。しかしながら、無限の数の抗原を発現する腫瘍細胞ではこれは当てはまらない。さらに、古典的なワクチン戦略と違って、抗癌ワクチンは、抗原暴露の前ではなく後に免疫応答を誘導しなければならない。抗癌ワクチンが成功すべきものであれば、既存の疾患を撲滅できる免疫応答を誘導しなければならず、腫瘍抗原の性質及び宿主−腫瘍の相互作用に関する大きな理解が必要であろう。現在のワクチンの概念は、細胞性免疫の誘導に向けられている。
【0013】
HIV感染に対する防御を付与するのに今のところワクチンは有効ではない。従って、ワクチンを開発する試みは、ずっと失敗している。HIVに反応性の特定の抗体、特に抗GP160/120が、HIV感染の無症状期及び症状期を通して高いレベルで存在するということは、そのような抗体は、防御的役割を担っているのではなく、実際、宿主細胞へのウイルスの結合及び侵入を促進している可能性があることを示唆している。さらに重要なことに、現在のワクチンは、新しく放出されるビリオンの供給源である感染細胞に対する十分な細胞性の応答を誘導しない。
【0014】
免疫系が癌性組織を破壊することが可能であるという科学研究及び臨床研究からの少なからぬ証拠があるが、ほとんどの場合、免疫系は腫瘍を認識することができないか、又は生じる応答が有効であるには弱すぎる。Farzaneh et al., Immunol. Today 19:294, 1998を参照のこと。多くの場合、初期の検出によって腫瘍は治癒する可能性がある一方で、いったん、離れた臓器に疾患が転移すると、ほとんど常に致命的である。さらに、化学療法、放射線療法及び手術の、個々で又は併用で認められた期待はずれの成績は、多数の研究者の注目を免疫作用剤又は生物作用剤に移している。Ockert et al., Immunol. Today, 20:63, 1999を参照のこと。そういうものとして、腫瘍退縮に介在する免疫系の能力の高まりが腫瘍免疫の主要な目標となっている。免疫原性腫瘍抗原の同定及びT細胞介在性の免疫応答と腫瘍エスケープのさらなる理解によって、最近、この目的に向かって進歩している。Boon et al., Immunol. Today, 18:267, 1998;Chen et al., Immunol. Today, 19:27, 1998を参照のこと。
【0015】
細胞性免疫及び腫瘍免疫の根底にある概念の十分な理解に基づいて、一部の動物が腫瘍を拒絶するが、そのほかの動物は進行性腫瘍の増生を示すメカニズムについての理解が徐々に進んでいる。簡単に言えば、これらは、免疫系により腫瘍細胞を除くことができ、抗腫瘍免疫では細胞傷害活性が主要な役割を担っており、多くの場合、エフェクター細胞は、CD8CTL又はCD4Th細胞であるということである。Denfeld et al., Int. J. Cancer, 62:259; Greten et al., J. Clin. Oncol., 17:1047, 1998; Sampson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:10399, 1996を参照のこと。しかしながら、乏しい免疫原性を特徴とする悪性腫瘍における有効なT細胞介在性の免疫応答の誘導及び増幅は、腫瘍ワクチンの開発で最も困難な側面である(Sampson et al., 1996)。リンパ球活性化の2シグナルモデルは、最適な活性化のために、リンパ球は、TCRを介して送達される抗原特異的シグナル及び抗原非特異的な共刺激シグナルの双方を必要とすることが前提である。van Seventer et al., Curr. Opin. Immunol., 3:294, 1991; Linsley et al., J. Exp. Med., 173:721, 1991を参照のこと。この点で、腫瘍細胞だけに限定されるのではなく、担癌宿主における免疫応答の損なわれた機能に関係してもよいいくつかのメカニズムによって、腫瘍細胞は、効果的に免疫系を逃れてもよい(Gretten & Jaffee, 1999)。これらには、腫瘍細胞上のMHC複合体の不完全な発現、抗原提示の損傷、腫瘍細胞の抗原陰性クローンの増生によるT細胞認識の欠如、腫瘍細胞上の共刺激分子の不適当な発現、腫瘍細胞上の接着分子の不適当な発現、腫瘍細胞上のFas受容体の不適当な発現及び/又はFasの発現、腫瘍の微細環境への免疫抑制性のサイトカインの分泌、及び損傷された免疫細胞機能による宿主防御の失敗が挙げられる(Boon et al., 1997)。
【0016】
従って、大半の場合、免疫系は腫瘍を認識できないか、又は生じた応答が有効であるには弱すぎるかのいずれかである。さらに、残存する及び転移した疾患の管理が腫瘍の治療では中心的な課題である。正常な免疫応答の間、抗原の応答して増殖する、抗原特異的なナイーブT細胞の完全な活性化には、表面受容体からの、少なくとも2つの別個のシグナルが必要である。Young et al., J. Clin. Invest., 90:229, 1992; Allison et al., Science 270:932, 1995を参照のこと。シグナルの1つは、抗原提示細胞(APC)上のペプチド(抗原)を負荷した主要組織適合性複合体(MHC)分子とのT細胞受容体(TCR)の結合によって供給される。第2のシグナルは、現在、あまりよく理解されていないが、T細胞及びAPCの表面上の種々の分子の相互作用により送達されることができ、その1つがCD28とB7−1との相互作用である。Linsley et al., 1991; Young et al., 1992; Bluestone, Immunity, 2:555, 1995を参照のこと。これら2つのシグナルの組み合わせによって、Tリンパ球の活性化、クローン性増殖及びエフェクター細胞への分化が導かれる。Gruerder et al., J. Immunol., 155:167, 1995; Webb et al., Blood, 86:3479, 1995; Thompson, Cell, 81:979, 1995を参照のこと。エフェクターTリンパ球は、ナイーブT細胞とは異なって、抗原を担った標的を認識し、殺すのにもはや、共刺激シグナルを必要としない。免疫応答の後、エフェクター細胞の分画は、同一抗原のその後の提示の際、さらに迅速で且つ強力な免疫応答の基を形成する記憶細胞として残る(Gray, Ann. Rev. Immunol., 11:49, 1993; Ahmed et al., Science, 272:54, 1996)。第2のシグナルの非存在は、結果としてT細胞のクローン性アネルギーを生じるので、Tリンパ球のクローン性増殖を妨げる。Chen, 1998; Gool et al., Res. Immunol., 146:183, 1994を参照のこと。
【0017】
多数の腫瘍細胞が標的抗原を発現するが、それらは一般に免疫応答を刺激することはできない。Boon et al., 1997; Boon et al., J. Exp. Med., 183:725, 1996を参照のこと。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、腫瘍に対する免疫応答の決定的な成分として認識されている。Boon et al., 1996; Chen et al., I. Exp. Med., 179:523, 1994を参照のこと。CTL応答は、腫瘍に対して防御するのに十分であり、マウスのモデルでは、定着した癌でさえ除去することができる。Mogi et al., Clin. Cancer Res., を参照のこと、及びヒトでは、Gong et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97:2715, 2000を参照のこと。強力な抗原特異的CTL応答を誘導することが、現在の多数の癌ワクチン戦略の目標である。
【0018】
CTL依存性の抗腫瘍免疫戦略の開発は、CTLにより認識される腫瘍抗原の同定及び有効な抗原送達方法の開発の双方に依存する。CTLは、自己MHCクラスI分子と、一般に腫瘍細胞内で合成されるタンパク質に由来するペプチド抗原とから成るリガンドの認識を介して腫瘍を標的とする。しかしながら、生じるべきCTLの誘導及び増殖については、普通プロフェッショナルAPCにより提供される共刺激という適当な状況で抗原リガンドがCTLに提示されなければならない。プロフェッショナルAPCの内因性のMHCクラスIに拘束されたプロセッシング経路への外因性の抗原の送達は癌ワクチンの設計において決定的な難題である。現在開発下にある抗原の送達戦略には、規定されたペプチドによる免疫、生体内でプロフェッショナルAPCのクラスI経路にアクセスできる粒子状タンパク質による免疫、腫瘍細胞から単離された熱ショックタンパク質による免疫、又は抗原負荷したAPCの養子免疫伝達が挙げられる。さらに、最近の研究から、ウイルスベクター又はリポソームにより送達される腫瘍抗原をコードしたDNAワクチン又は裸のDNAとしてのDNAワクチンが強力な抗腫瘍免疫を誘導しうることが示唆されている。
【0019】
抗原送達の難題に加えて、現在の腫瘍免疫戦略のほとんどは、適当な腫瘍抗原の同定及び産生に依存している。この限界を克服するには、ACV(自己細胞ワクチン)で記載されるように腫瘍細胞自体を免疫原として用いてもよい。腫瘍細胞を操作してAPC機能を提供することが結果として複数の腫瘍特異性エピトープに多価の免疫を生じる可能性があればよい一方で、特異的腫瘍抗原を同定する必要性があらかじめ避けられる。サイトカインを形質導入された腫瘍細胞を含む多数の腫瘍ワクチン戦略は、一般に遺伝子療法と呼ばれる。Asher et al., J. Immunol., 146:3227, 1991; Tahara et al., Ann. NY Acad. Sci., 796:275, 1996; Lotze et al., Ann. NY Acad. Sci., 795:440, 1996; Rakhmilevich et al., Hum. Gene Ther., 8:1301, 1997; Nawrocki et al., Cancer Treat Rev., 25:29, 1998を参照のこと。合成ペプチドワクチン(Resenberg et al., Nature Med., 4:321, 1998)、腫瘍−抗原(ペプチド)を感作した樹状細胞(Flamand et al., Eur. J. Immunol., 24:605, 1994; Bianchi et al., J. Immunol., 157:1589, 1996; Ashley et al., J. Exp. Med., 186:1177, 1997; Yang et al., Cell Immunol., 179:84, 1997; Thurner et al., J. Exp. Med., 190:1669, 1999)、及びDNAワクチン(Leclerc et al., Immunol. Today, 19:300, 1998; Akbari et al., J. Exp. Med., 189:169, 1999)は、現在、前臨床研究及び臨床研究のもとにあるが、今日まで取るに足りない免疫応答及び臨床応答が得られているにすぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上で議論したように、ペプチド又はタンパク質の投与を必要とする方法は、代謝回転及び分解のために本来備わっている限界を有する。さらに、CTL前駆体(CTL−P)からのCTLの生成には、IL−2と高親和性IL−2受容体との相互作用が必要であると思われ、結果として、抗原で活性化されたCTL−PのエフェクターCTLへの増殖及び分化を生じる。IL−2の不適な点は、Th1細胞を誘導し、CTLがアポトーシスによるプログラム細胞死を受けることである。このように、免疫応答は急速に終了し、炎症性応答による組織の非特異的損傷の可能性を少なくする。
【0021】
HIVや癌に対する現在のCTLのアプローチの限界性を克服するために、新しい且つ改善されたワクチン送達系の開発に対して緊急のニーズがある。新しい且つ改善されたワクチンのたぶん理想的な成分は、さらに強力なワクチンアジュバントであろう。これらワクチンで使用されるべきアジュバントは、感染を綿密に模倣して、及び/又は局在する組織の損傷を誘導して防御免疫を引き出すべきであってもよい。病原体に類似の適合性を有し、抗原をマクロファージ及びDCの標的にすることができる特定の送達系の使用を介して、このことを達成してもよい。さらに、自然応答をさらに完全に活性化し、結果として所望の型の適応免疫を生じてもよい、1以上の病原体関連の分子パターン(PAMP)を送達することが必要であってもよい。さらに、T細胞活性化の2シグナルモデルと記憶T細胞活性の長期の維持との間で、精巧な均衡が達成されてもよい。これら新世代のワクチンの多数は、CTL応答を含む強力な細胞性免疫(CMI)の誘導を必要とするであろう。蓄積された研究は、タンパク質によるCTLの誘導は困難であり、通常、液性の応答に必要とされるよりもはるかに強力な免疫系の刺激を必要としてもよいことを示している。従って、DNAは多数の病原体に対して、依然として魅力的なアプローチであるが、ヒトにおいて有効性を改善するためにさらに効果的に送達される必要がある。最先端のワクチン送達系である、酵母ハイブリッドワクチンは、MHCクラスI及びII依存性の防御免疫を発動するための強力で長期のCTLの記憶を発揮するように構築されている。それは、最適の有効性で、関連細胞による送達系の取り込みを促進する手段である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の側面によれば、操作可能にプロモータに連結したサイトカインのような共刺激因子をコードするDNA分子及び操作可能にプロモータに連結した少なくとも1種の抗原をコードするDNA分子を含む遺伝子送達系が提供される。
【0023】
本発明の第2の側面によれば、患者において抗腫瘍免疫応答を引き出す方法が提供され、該方法は、患者から癌性細胞を単離すること;前記癌性細胞でDNA分子の発現を指向することが可能であるプロモータに操作可能に連結された、IL−2のような共刺激因子をコードするDNA分子及び少なくとも1種の抗原をコードするDNA分子を含む遺伝子送達系で癌性細胞に形質移入すること;それによって共刺激因子及び抗原が発現される条件下で前記形質移入した細胞をインキュベートすること;及び前記形質移入した細胞を患者に注射することによって患者において抗腫瘍免疫応答を引き出すことを含む。
【0024】
本発明の第3の側面によれば、ウイルスのような病原性微生物に対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の応答を引き出す方法が提供される。本発明の第4の側面に従って、それぞれ独立したプロモータに操作可能に連結されたIL−2及び抗原をコードするDNA分子を含む発現系が提供される。本発明の第5の側面に従って、それに対する免疫応答が所望される抗原をコードする、本発明の遺伝子送達系を脊椎動物に導入することを含む、脊椎動物において免疫応答を引き出す方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る本発明の遺伝子送達系は、主要組織適合性(MHC)クラスI及びクラスII依存性の防御免疫を発動するための強力な、長期間の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の記憶を発揮することが可能である。図1に示すプラスミド又は発現ベクターは、本発明の目的に対して幾つかの有意な機能を提供する。プラスミド10は、抗原遺伝子(単数)又は遺伝子(複数)及び共刺激因子の双方を、独立した様式で導入し、発現させる方法を提供する。従って、発現されるいずれの抗原も防御免疫を共刺激する完全なパートナーを有することができる。抗原は、同時に送達されるその共刺激因子との反応よりも反応発生性は低くてよいという可能性は極めて高い。抗原の例は、単一の、複数の又は組み合わせた様式にて、ウイルス、細菌、寄生虫及び癌の細胞の一部、たとえば、破傷風毒素のフラグメントC、コレラ毒素のBサブユニット、B型肝炎の表面抗原、コレラ菌のLPS、HIV抗原及び/又は赤痢菌のLPSであるが、これらに限定されない。そのほかの抗原は、真菌の抗原、原生動物の抗原、蠕虫の抗原、外部寄生虫の抗原及び癌抗原であってもよい。たとえば、K−ras、EGFR、HER2、PSMA、CEA、MAGE、MART−1のような、しかし、これらに限定されない癌抗原も使用してもよい。共刺激因子の例は、たとえば、IL−2、TNF、IFN、B7−1、GM−CSF、IL−12、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−14、IL−14、IL−18、B7−2、CD28、CD40、TNFR、リンホトキシン−ベータR、NF−カッパB、ICAM−1、LFA−3、M−CSFR、mM−CSF、Flt3−L、SCF、TPO、CD80及びCD58のような、しかし、これらに限定されないサイトカインであるが、これらに限定されない。
【0026】
図1で示される本発明の遺伝子送達系又はプラスミド10は本質的に、サッカロマイセス(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)、ヤロイア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)及びハンセヌラ(Hansenula)のような酵母のような、しかし、これらに限定されない真核生物を用いた交差遺伝子型交配により交配される2種の別個のプラスミドに端を発する。又は、本発明の遺伝子送達系は、大腸菌及びウイルスプラスミドのような、しかし、これらに限定されない原核生物を用いて形成することができる。従って、真核生物又は原核生物のどちらかを利用して、誘導性であっても、構成的であってもよいプロモータの制御下での共刺激因子のコーディング配列及び誘導性であっても、構成的であってもよいプロモータの制御下での種々の抗原の挿入のための第1のポリリンカーマルチコーディング部位を含む最終生成物が製造される。指向性ライゲーションに合わせたヌクレオチドの配列、すなわち、ポリリンカーは、(1)上流及び下流の翻訳可能なDNA配列の複製及び移動のために操作可能に連結する、及び(2)ベクターへのDNA配列の指向性ライゲーションのための部位を提供するDNA発現ベクターの領域である。通常、指向性ポリリンカーは、2以上の制限エンドヌクレアーゼの認識配列を定義するヌクレオチドの配列である。制限切断の際、2つの部位により、翻訳可能なDNA配列をDNA発現ベクターにライゲーションすることができる付着末端が得られる。好ましくは、制限切断の際、2つの制限部位は、相補性ではないので、翻訳可能な配列をカセットに指向的に挿入することができる付着末端を提供する。指向性のライゲーションに合わせたヌクレオチドの配列が多数の制限部位を規定する場合、それはマルチクローニング部位と呼ばれる。さらに、ベクターは、発現ベクターを含有する宿主細胞を同定するための、選択可能なマーカー遺伝子、複製開始点及び表現型で選択可能なメーカー遺伝子の挿入のための第2のポリリンカーマルチクローニング部位を含有してもよい。真核生物の発現ベクターで通常使用されるマーカーの例には、neo、leu2、ura3、trp1、ade1、his3が挙げられる。次いで、治療の必要に応じて、本発明の遺伝子送達系を宿主に投与する。
【0027】
図1に模式的に示すように、上述の本発明の遺伝子送達系を構築する。先ず、上で議論した共刺激因子を発現する機能的ポリヌクレオチドを有するプラスミドを構築する。本プラスミドにおけるそのほかの特徴は図2に示す。好ましくは、機能的ポリヌクレオチドのプロモータ領域は、たとえば酵母、サッカロマイセス・セレビシン(Saccharomyces cerevisine)又は病原性酵母、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)のような、しかし、これらに限定されない真核生物のプロモータ領域である。本発明の方法により同定されるプロモータは誘導可能なプロモータ又は構成的なプロモータであることができる。誘導可能なプロモータは、たとえば、栄養物(たとえば、炭素源、窒素源など)、薬剤(たとえば、薬剤耐性)、感染過程に特異的である環境の作用物質(たとえば、血清反応)及び温度(たとえば、熱ショック、寒冷ショック)によって調節することができる。所望の抗原の挿入のために、プロモータ領域の通常の制御下でマルチクローニング部位を有する第2のプラスミドを構築する。次いで、得られたプラスミドで、半数体酵母株のような2種の別個の真核生物を個々に形質転換する。宿主細胞が真核生物の場合、DNA転移の種々の方法を使用することができる。これらには、リン酸カルシウム沈殿によるDNAの形質移入、微量注入のような従来の機械的手順、リポソームに封入したプラスミドの挿入、スフェロプラスト法、エレクトロポレーション法、単細胞生物の塩介在性の形質転換又はウイルスベクターの使用が挙げられる。上の記載によるベクターを各宿主細胞が含有する宿主細胞のライブラリも本発明に包含される。
【0028】
又は、発現ベクター10は、免疫応答が引き出される脊椎動物に発現ベクター10を送達するために宿主生物として原核生物が使用される場合において、原核細胞のプロモータを用いて構築してもよい。宿主生物が原核生物である場合、発現ベクター10は、多数の周知の方法、たとえば、形質導入、接合、形質転換、エレクトロポレーション、形質移入などを介して宿主株に導入されてもよい。
【0029】
酵母を宿主生物として使用する場合、いったん、各プラスミドで各生物を上手く形質転換したら、アミノ酸脱落培地で形質転換体を選抜し、次いで交差遺伝子型交配によって交配する。Guthrie Fink、酵母の遺伝学及び分子生物学への指針、Method in Enzymology, 194:2-231, 1999を参照のこと。交配したプラスミド10は、独立した様式で、共刺激因子及び抗原の双方を発現することができる。二重アミノ酸脱落(各株1つずつ)選抜培地で最終的な株を選抜する。酵母を宿主生物として用いない場合、発現ベクター10を有する形質転換体の同定の成功は、所望の選択可能なマーカーの存在について単に選択することによって達成される。
【0030】
本発明は、たとえば、インフルエンザ、白血病、HIV、C型肝炎、B型肝炎、ヒトパピローマウイルス、性器ヘルペス、自己免疫疾患、マラリア、肺癌、肝癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、薬効期の関節リウマチ、及びそのほかの細菌感染疾患、ウイルス感染疾患、寄生虫感染疾患のような、しかし、これらに限定されない多数の疾患状態に対する治療及び/又は予防として、ヒト又は家畜のワクチンの双方に使用されてもよい。
【0031】
実施態様の1つでは、ワクチンの使用方法は、ドナー又は治療されるべき患者からマクロファージを単離することを含む。単離されたマクロファージは、本発明のベクターで形質移入され、共刺激因子及び抗原が発現するような条件下で増殖させる。
【0032】
肺癌ワクチンを構築するために、構成的酵母プロモータADCの制御下で酵母ベクターα上にて顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)を操作する。酵母ベクターa上で肺癌抗原、上皮増殖因子受容体(EGFR)を操作する。得られる半数体酵母プラスミドで酵母宿主株W303αをそれぞれ形質転換する。2種の選抜された形質転換体を遺伝子型交差交配によって交配し、leu2/ura3二重アミノ酸脱落選抜によって選抜する。得られる二倍体形質転換体が、最終的な肺癌ワクチンの生成物となる。
【0033】
本発明のワクチンは通常、注射によって、たとえば、皮下に、筋肉内に、腹腔内に、又は皮内に、非経口的に投与される。投与はまた、鼻内、肺内(すなわち、噴霧器により)、経口及び静脈内であることができる。投与のそのほかの様式に好適である追加の剤形には座薬が挙げられ、場合によっては、経口剤形が挙げられる。投与経路は、個体の症状及び所望の臨床効果に依存する。ニワトリのような家畜への投与については、好ましい投与は、経口剤形である。ワクチンは、単位投与量形態、無菌の非経口溶液又は懸濁液、無菌の非経口ではない溶液又は経口溶液又は懸濁液、水中油又は油中水のエマルションなどで個体への全身性の投与に好適である。処方又は非経口及び経口の薬剤送達は当該技術で既知であり、Remingtonの薬学(19版、Mack Publishing、1995年)に述べられている。ワクチンの投与量は、とりわけ、投与経路に依存し、防御される種によって異なる。1以上の追加の投与が、普通、好都合な間隔、たとえば、2〜3週の間隔で追加免疫用量として提供されてもよい。
【0034】
別の実施態様では、ワクチンの使用方法は、以下に記載するように、ドナー又は治療されるべき患者のいずれかから腫瘍細胞又は癌細胞を単離することを含む。単離される癌細胞に上述の発現ベクターで形質移入し、共刺激分子及び抗原が発現されるような条件下で増殖させる。この処理の結果、癌細胞は効果的に抗原提示細胞(APC)に変換される。次いで、in vivo又はex vivoのいずれかにて患者から単離されたT細胞にAPC癌細胞を暴露する。すなわち、実施態様の1つでは、患者にAPC癌細胞を注射するのに先立って、APC癌細胞に放射線を照射してAPC癌細胞の増殖を妨げる。別の実施態様では、患者から単離したT細胞をAPC癌細胞に暴露し、次いで患者に注射する前にAPC癌細胞から単離する。双方の実施態様では、T細胞の応答、言い換えれば、腫瘍に対する免疫応答を引き出すT細胞の応答が活性化される。さらに、いったん腫瘍が破壊されると、記憶細胞が残るということは、患者が腫瘍に対して有効に免疫されていることを意味しており、その後の免疫応答はさらに迅速で且つさらに強力であろう。
【0035】
従って、上で議論したように、本発明は、癌免疫療法の新しい方法の開発及びそのin vitro、ex vivo及びin vivoでの使用に関する。さらに具体的には、本発明は、共刺激分子及び抗原を含むDNAベクターの開発及び癌治療のための遺伝的に改変されたヒト癌細胞のin vitroでの生成に好適なプロトコールに関する。これらの細胞は、抗原提示細胞及び癌細胞の双方の表現型を共有し、特定の型の癌の細胞性ワクチンとして好適である。
【0036】
本発明は、原発又は転移の癌に対する免疫療法的な応答のためにT細胞を活性化する遺伝的に改変された癌細胞の使用のための方法及び組成物を提供する。ヒトのドナーから得られた癌細胞は、上述のように共刺激因子及び抗原の発現ベクターで形質移入又は形質導入された後、癌患者に投与されて、in vivoで関連するT細胞の応答を活性化する。又は、患者からのT細胞をin vitroで遺伝的に改変された癌細胞に暴露し、in vitroで関連するT細胞の応答を活性化する。次いで、活性化したT細胞を癌患者に投与する。いずれの場合も、遺伝的に改変された癌細胞が有利に利用されて、原発又は転移の癌に対して免疫療法的な増殖阻害の応答を引き出す。
【0037】
本発明はさらに以下の非限定的実施例によって説明される。科学的及び技術的な用語はすべて当業者によって理解される意味を有する。後に続く具体的な実施例は、本発明の組成物が調製されてもよい方法を説明するのであって、領域や範囲において本発明を限定すると解釈されるものではない。本方法は、本発明により包含される組成物を製造するための変更に合わせてもよいが、具体的に開示されなくてもよい。さらに、幾分異なった様式で同一の組成物を製造するための本方法の変更は当業者に明らかであろう。
【0038】
本明細書における実施例は本発明を実施することの種々の側面を例示することを意味するのであって、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0039】
<IL−2及び疾患の病原体に由来する抗原遺伝子用汎用ベクターのための酵母ハイブリッド簡単送達系の発現ベクタープラスミドの構築>
ヒトのインターロイキン−2(IL−2)から成るプラスミド、pcDNA3.IL−2(図2に示す)は、中国、上海医科大学のHe P.博士から供与された。pcDNA3.IL−2プラスミド中のIL−2遺伝子を制限酵素samlI/NotIにより消化し、そのMCSでsamlI/NotIによりpYES3/CT(インビトロゲン)にクローニングした。汎用ベクター、pYEX.UIGとして簡単にクローニングするためにMCSにさらに制限部位を導入することによってプラスミドpYEX−BX(クロンテック)を改変した。
【0040】
疾患の原因となる病原体からの抗原遺伝子を発現するように、得られた汎用ベクターを操作することができる。この場合、EcoRI/Xhoでのライゲーションにより、HIV−1融合抗原−1(gp41、gp36)(中国、AID研究センターのHo Min博士より供与)をpYEX.UIGにクローニングした。
【実施例2】
【0041】
<酵母ハイブリッドワクチン簡単送達系の構築>
図2に示すように、TE/LiOAc法を用いて、得られたプラスミドpYES3/CT.IL−2により真菌株W303−1Aa(ATCC)を形質転換した。Leu脱落栄養素要求性の寒天培地を含有する選抜プレートに形質転換溶液を播くことにより形質転換体を選抜した。同様の形質転換法により、得られたプラスミドpYEX.UIG.gp41でW303−1Aα(ATCC)を形質転換した。URA3脱落寒天培地で形質転換体を選抜した。交差遺伝子型交配により、選抜された2つ、IGV.IL−2(a)とIGV.gp41.36(α)とを交配した。挿入物を持つ、交配したベクターは、独立した様式にて、IL−2及び抗原の双方を発現することができる。この酵母ハイブリッド遺伝子発現ユニットが最終的なワクチン生成物となる。
【実施例3】
【0042】
<hIL−2のアッセイ>
一方の酵母ベクターを共刺激因子としてのIL−2で操作し、別の酵母ベクターをHIV融合抗原、gp41.36で操作した。TE/LiOAc法により酵母の形質転換を行った。交差プレーティングにより両親の半数体酵母の交配を行った。8ヵ月令のDBA/Jメスマウスに鉱油1mLを腹腔内注射した。注射の24時間後、無血清のハンクスPBS(HPBS)で洗浄することにより、腹腔滲出液からマクロファージを得た。1〜6x10個のマクロファージを2群に調整し、IGV.gp41.36及びIGV.因子と共にインキュベートした。示した日に200mLの部分試料を取り出し、定量のために−70℃に保存した。hIL−2DuoSetキット(マサチューセッツ州、ケンブリッジ、Genzyme Diagnostics)を用いて分泌されたhIL−2を定量した。
【実施例4】
【0043】
<CTLアッセイ>
各群のマウスから脾細胞を得、100μCiの51Crで標識したB16.gp41.36細胞と共に種々のE:T比で共培養した。自然に生じるcpmを差し引いた実験時cpmとして特異的溶解のパーセントを算出した。
【実施例5】
【0044】
<動物モデルにおけるワクチン接種>
ジャクソン研究所(メイン州、バーハーバー)から得た4〜6週令のメスC57BL/6マウス(H−2)に、安定して形質移入され、HIV.gp41.36を発現しているB16メラノーマ100万個をS.C.により注射した。生理食塩水200μLに懸濁したワクチン生成物2mgを7日目及び14日目の2回、マウス(一群当たり10匹)に皮下でワクチン接種した。対照のマウスには、IL−2を伴うがHIVgp41.36を伴わないベクター生成物及び生理食塩水でワクチン接種した。28日目、腫瘍の容積をデジタルのノギスを用いて測定した。
【実施例6】
【0045】
<hIL−2の発現>
図3に示すように、IL−2及びgp41.36の挿入物双方を含有するIGV.因子に由来するhIL−2の発現レベルは、6〜67ng/mLの間であったのに比べて、IL−2なしのIGV.gp41.36に由来するhIL−2のレベルは1〜3ng/mLだった。IGV.gp41.36及びIGV.IL−2で刺激されたマクロファージのhIL−2の産生。指示した日で細胞をインキュベートした。部分試料を取り出した後、hIL−2用のELISAで分析した。
【実施例7】
【0046】
<治癒したマウスにおけるCTL活性>
免疫の120日後、CO吸入によりマウスを安楽死させ、その脾臓を取り出した。脾細胞を調製し、E:T比40:1にてIGV.因子でワクチン接種したマウスは特異的溶解、85%を示したのに比べて、対照のワクチン接種、IGV.gp41.36では34%、IGV.IL−2では16%、PBSでは4%だった。図4は、指示したワクチンでワクチン接種したマウスにおける細胞傷害性Tリンパ球の活性を示す。脾細胞をB16.gp41.36細胞と共に5日間、共培養し、次いで、材料及び方法に記載したようにCTL活性を測定した。
【実施例8】
【0047】
<全身性の防御免疫の生成>
腫瘍が触知できるサイズ(通常、50〜70mm)に達した後、IGV.因子及びそのほかの対照ワクチンでワクチン接種したマウスを120日間にわたり、腫瘍の退縮についてモニターした。完全な防御免疫は、腫瘍が完全に退縮した後、マウスが21日を超えて無腫瘍のままであるとして定義される。さもなければ、防御無しとみなされる。そのほかの対照ワクチンが低い割合であったのに比べて、IGV.因子で処理したマウスは、93%の防御免疫を示した。表1を参照のこと。
【0048】
【表1】

【0049】
図5は、対照としてPBS、免疫としてIGV.gp41.36+IL−2及びIGV.因子で処理したマウスを示す。IGV.因子でワクチン接種したマウスで腫瘍が完全に退縮したのに比べて、PBSを与えたマウスは、腫瘍増殖を継続している。IGV.gp41.36に加えて組換えIL−2で処理したマウスは、防御を示すが、IGV.因子群に比べて十分ではない。上で議論した実験はすべて3回を超えて反復し、同様の結果を得た。驚くべきことに、本発明のワクチンは、そのほかの対照ワクチンに比べて93%の防御免疫を実証した。このレベルの防御はワクチンでは滅多に見られない。
【0050】
新世代のワクチン、特に組換えタンパク質及びDNAに基づいたものは、伝統的なワクチンよりも免疫原性が低い。従って、新しい且つ改善されたワクチン送達系の開発に対する緊急のニーズがある。現在のワクチン技術、特に細胞性の免疫応答を誘導する技術は、種々の効率的な送達系を介して体内に抗原を導入することに焦点が当てられている。これらの技術はすべて、1つの送達系であるが、遺伝的に独立した様式で発現される強力なパートナー因子の送達を欠いている。
【0051】
本発明の概念は、あらゆる抗原は、防御免疫を共刺激する最適のパートナーを必要とするということである。抗原の反応発生性が、同時に送達される共刺激因子を伴うよりも低いという可能性は高い。本概念は、生体内に送達されるあらゆる分子又は因子が、最大限の生物機能を達成するために理想的な比率で存在するそのパートナー増殖因子を必要としてもよい遺伝子治療領域すべてに広げてもよい。
【0052】
この新規で革新的なワクチン技術の基本骨格は、特にCTLが介在する免疫応答の刺激において、予防的及び治療的双方の疾患ワクチンを開発する幅広い概念を提供する。
【0053】
従って、本発明は、多数のヒト又は家畜の治療のための本発明の方法に従って製造される本発明の発現ベクター10を運ぶ生物の使用を包含する。たとえば、遺伝子の上述の組み合わせ以外のベクター型を本明細書に記載されるように製造してもよく、種々のヒトの疾患、たとえば、免疫系の障害の治療のためのex vivo細胞移植療法に使用することができる。従って、そのような細胞は、自己免疫を調節する、及び種々の自己免疫疾患を抑えるのに有用である。
【0054】
主題のワクチン及び抗微生物薬剤は、多種多様な脊椎動物で使用してもよく、ヒト及び家畜のような哺乳類での特定の使用が見い出されるだろう。家畜には、鳥類種、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ、ウサギ、たとえばウサギ、又は腔に保持されてもよいそのほか動物又は家畜を冒す疾患に対するベクターであってもよいそのほかの動物が挙げられる。投与のための好適な個体には、細菌、ウイルス又はそのほかの病原性疾患のリスクにある又はそれが疑われる、或いはそれにさらされている又はさらされていると疑われるもの、並びにそれにさらされてきた及び/又は感染しているものが挙げられる。
【0055】
遺伝子を改変した癌細胞は、T細胞、たとえば、CD4細胞又はCD8細胞又は両方のex vivoでの増殖にもその用途が見い出される。従って、そのような細胞は、免疫障害を有するヒトにおいてCD4細胞又はCD8細胞又は両方の増殖及び再構築を刺激するのに有用である。免疫系、たとえば、患者のCD4細胞の再構築は、たとえば、HIV感染で見られるような広範な免疫障害を防ぐ、抑制する又は阻害するのに有用である。
【0056】
本明細書に記載される癌細胞もワクチン開発に有用である。たとえば、抗原(細胞溶解物の形態として)の免疫応答性宿主への投与は、in situでの活性のある免疫のためのこれら細胞の使用をさらに促進する。
【0057】
さらに、遺伝子を改変した癌細胞は、癌細胞特異的なマーカーを認識する抗体(たとえば、モノクローナル抗体)の生成に有用である。抗癌細胞抗体は、標準的なハイブリドーマ技術に従って製造される。そのような抗体は、種々の免疫障害の評価及び診断に有用である。
【0058】
幾つかの実施態様では、治療上有効な濃度又は投与量における本明細書に記載されるような遺伝子送達系は、薬学上又は薬理学上許容可能な、生分解性又は非生分解性のいずれかのキャリア、賦形剤又は希釈剤と組み合わせてもよい。キャリアの例示となる例には、たとえば、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、乳酸とグリコール酸のコポリマー類、ポリ(乳酸)、ゼラチン、コラーゲン基質、多糖類、ポリ(D、Lラクチド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(カプロラクトン)、セルロース類、アルブミン、デンプン、カゼイン、デキストラン、ポリエステル類、エタノール、メタクリレート、ポリウレタン、ポリエチレン、ビニルポリマー類、グリコール類、及びこれらの混合物などが挙げられるが、決してこれらに限定されない。標準的な賦形剤には、ゼラチン、カゼイン、レシチン、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール類、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化珪素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、非結晶性セルロース、珪酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、糖類及びデンプン類が挙げられる。Remingtonの調剤の科学と実践(2000年、Gennaro AR編、Eaton, Pa., Mack Publishing Co.)を参照のこと。
【0059】
本発明は、本発明の方法を実行するためのキットを提供する。従って、種々のキットが提供される。キットは、以下の:ウイルス、真菌又は細菌の感染のような病原性生物に対して個体を治療的に又は予防的に処理するための使用;個体におけるある種の形態の癌を治療するための使用;ある種の形態の癌の広がり又は転移を防ぐための使用;ある種の形態の癌の1以上の症状を防ぐための使用;癌に関連した1以上の症状の重症度を軽減するための使用;個体において癌の発生を遅らせるための使用;或いはある種の形態の癌に対して個体にワクチン接種するための使用の1以上のいずれか(及び従って、以上の1以上のいずれかの使用に関する指示書を含有してもよい)に使用してもよい。
【0060】
本発明のキットは、意図する治療に関する遺伝子送達系の使用及び投与量に関する指示書を含有する電子保存媒体(たとえば、磁気ディスケット又は光ディスク)も許容可能ではあるが、遺伝子送達系、本明細書で記載したような好適な賦形剤及び一般に書面による指示書である一揃いの指示書を含む1以上の容器を含む。キットに含まれる指示書は一般に、意図した治療についての投与量、投与計画及び投与経路を含む。遺伝子送達系の容器は、単位用量、バルク包装(たとえば、複数用量包装)、又は副単位用量であってもよい。
【0061】
遺伝子送達系は、いかなる好都合の適当な包装に包装されてもよい。
【0062】
当該技術の知識人によって十分理解されるように、ワクチンは、当該技術で既知のそのほかの治療と組み合わせてもよいし、又はそれとの組み合わせで使用してもよい。
【0063】
前述の記載は、本発明の原理の単なる説明とみなされる。さらに、多数の修正や変更が当業者に容易に生じるので、上述のように示される精密な構築及び過程に本発明を限定することは所望ではない。従って、修正や同等物はすべて、以下のクレームにより定義されるような本発明の範囲に入るように再分類してもよい。本明細書及び以下のクレームで使用されるとき、単語、「含む」、「含むこと」、「包含する」、「包含すること」及び「包含する(3人称単数形)」は、述べられた特徴、完成体、成分、又は工程の存在を特定することを意図するが、1以上のそのほかの特徴、完成体、成分、工程又はその群の存在又は添加を除外しない。
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明の好ましい実施態様を説明し、本文の説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の操作原理の模式的説明である。
【図2】本発明のDNAベクターの実施態様の1つの模式的説明である。
【図3】hIL−2の発現レベルを比較するグラフを示す。
【図4】指示したワクチンでワクチン接種したマウスにおける細胞傷害性Tリンパ球の活性を示す棒グラフである。
【図5】PB5又はJ6V因子のいずれかで処理したマウスの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワクチン接種を受ける宿主において免疫応答を誘発するワクチンであって、プロモータに操作可能に連結された共刺激因子分子及びプロモータに操作可能に連結された少なくとも1種の抗原をコードするDNA分子を有するプラスミドと、前記プラスミドを運ぶための生物とを含むワクチン。
【請求項2】
前記共刺激因子分子が、IL−2、TNF、IFN、B7−1、GM−CSF、IL−12、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−14、IL−14、IL−18、B7−2、CD28、CD40、TNFR、リンホトキシン−ベータR、NF−カッパB、ICAM−1、LFA−3、M−CSFR、mM−CSF、Flt3−L、SCF、TPO、CD80、CD58、6M−CSF及びB−7から成る群から選択される請求項1のワクチン。
【請求項3】
前記共刺激因子分子がIL−2である請求項1のワクチン。
【請求項4】
前記共刺激因子分子がB7−1である請求項1のワクチン。
【請求項5】
前記抗原が、ウイルス、細菌、真菌、蠕虫、外部寄生虫、又は癌の細胞に由来する請求項1に記載の発現系。
【請求項6】
前記宿主が脊椎動物である請求項1のワクチン。
【請求項7】
前記脊椎動物が哺乳類である請求項6のワクチン。
【請求項8】
前記脊椎動物がヒトである請求項6のワクチン。
【請求項9】
前記脊椎動物が家畜である請求項6のワクチン。
【請求項10】
前記脊椎動物がニワトリである請求項6のワクチン。
【請求項11】
前記微生物が原核生物である請求項1のワクチン。
【請求項12】
前記微生物が真核生物である請求項1のワクチン。
【請求項13】
前記原核微生物が細菌である請求項11のワクチン。
【請求項14】
前記原核微生物がウイルスである請求項11のワクチン。
【請求項15】
前記真核微生物が真菌である請求項12のワクチン。
【請求項16】
前記真菌が酵母である請求項15のワクチン。
【請求項17】
ワクチン接種を受ける宿主において免疫応答を誘発するワクチンであって、ゲノムにおける少なくとも1回の突然変異の結果として弱毒化される微生物を含み、前記微生物が共刺激因子分子及び少なくとも1種の抗原を発現することができるプラスミドを運ぶワクチン。
【請求項18】
宿主にワクチン接種するために使用されるワクチンであって、薬学上許容可能な賦形剤、並びに共刺激因子分子及び少なくとも1種の抗原を独立して発現することができるプラスミドを運ぶ生物を含むワクチン。
【請求項19】
疾患に感受性のある宿主による免疫応答を引き出すことができる微生物の調製方法であって、2種の別個の半数体酵母株を交配することを含み、その際、前記半数体酵母株の一方が共刺激因子分子を発現することができるプラスミドを含み、他方の半数体酵母株が少なくとも1種の抗原を発現することができるプラスミドを含む方法。
【請求項20】
前記宿主が脊椎動物である請求項19の方法。
【請求項21】
前記脊椎動物が哺乳類である請求項19の方法。
【請求項22】
前記哺乳類がヒトである請求項21の方法。
【請求項23】
前記哺乳類が家畜である請求項21の方法。
【請求項24】
前記脊椎動物がニワトリである請求項20の方法。
【請求項25】
前記所望の抗原(単数)又は抗原(複数)が、ウイルス、細菌、原生動物、蠕虫、外部寄生虫及び癌に由来する作用物質を含む群から選択される請求項19の方法。
【請求項26】
前記細菌に由来する作用物質が、破傷風毒素のフラグメントC、コレラ毒素のBサブユニット、B型肝炎表面抗原、コレラ菌LPS、HIV抗原及び/又は赤痢菌LPSである請求項25の方法。
【請求項27】
前記癌の作用物質が、K−ras、EGFR、HER2、PSMA、CEA、MAGE及びMART−1である請求項25の方法。
【請求項28】
病原性微生物に感染した宿主を治療する方法であって、共刺激因子分子及び少なくとも1種の抗原を独立して発現することができるプラスミドを運ぶ生物を含む組成物を宿主に投与することを含む方法。
【請求項29】
個体において免疫応答を引き出す方法であって、免疫応答を引き出すのに十分な量で、請求項1の免疫原性組成物を個体に投与することを含む方法。
【請求項30】
前記免疫応答が、投与後約4週間を超えて持続する請求項29の方法。
【請求項31】
プロモータに操作可能に連結された共刺激因子分子及びプロモータに操作可能に連結された少なくとも1種の抗原をコードするDNA分子を含む発現ベクター。
【請求項32】
請求項31の発現ベクターで形質移入された癌性細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−515608(P2006−515608A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500368(P2006−500368)
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/IE2004/000010
【国際公開番号】WO2004/064859
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(505275527)
【Fターム(参考)】