ワクチン
【課題】本発明は、ワクチン中で使用されるために好適であるアジュバント組成物に関する。
【解決手段】特に、本発明のアジュバント組成物は、場合により、担体とともに、サポニンと免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む。本発明により、本発明のアジュバントと抗原を含むワクチンも提供される。さらに、本発明のアジュバントとワクチンの製法、並びに医薬としてのそれらの使用も提供する。疾患にかかり易い又はかかった個体の治療方法であって、本発明のワクチンの投与を含むものも提供される。
【解決手段】特に、本発明のアジュバント組成物は、場合により、担体とともに、サポニンと免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む。本発明により、本発明のアジュバントと抗原を含むワクチンも提供される。さらに、本発明のアジュバントとワクチンの製法、並びに医薬としてのそれらの使用も提供する。疾患にかかり易い又はかかった個体の治療方法であって、本発明のワクチンの投与を含むものも提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワクチン中に使用される新規アジュバント組成物に関する。特に、本発明のアジュバント組成物は、サポニンと免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含み、場合によりさらに担体を含む併合物を含む。本発明により、本発明のアジュバント組成物及び少なくとも1の抗原を含むワクチンも提供される。さらに、本発明のアジュバント組成物及びワクチンの製造方法、並びに医薬としてのそれらの使用も提供される。さらに、本発明は、本発明のワクチンの非経口又は粘膜投与による病気にかかり易い又はかかった個体の治療方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
非メチル化CpGジヌクレオチド(“CpG”)を含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドは全身経路及び粘膜経路により投与されるときアジュバントであるということが、本分野において知られている(WO96/02555, EP 468520, Davis et al., J. Immunol, 1998, 160 (2) : 870-876; McCluskie and Davis, J. Immunol., 1998, 161 (9) : 4463-6)。CpGは、DNA中に存在するシトシン−グアノシン・ジヌクレオチド・モチーフのための略号である。歴史的には、BCGのDNA画分が抗腫瘍効果を発揮することができるということが観察された。さらなる研究において、BCG遺伝子配列由来の合成オリゴヌクレオチドが(インビトロ及びインビボの両者において)免疫刺激効果を誘導することができることが示された。上記研究の著者は、中央CGモチーフを含む特定のパリンドローム配列がこの活性を担持すると結論した。免疫刺激におけるこのCGモチーフの中心的役割は、Kreig, Nature 374, p546 1995により刊行物中に、その後に明らかにされた。詳細な分析は、このCGモチーフが特定の配列文脈内に存在しなければならないこと、そしてこのような配列はバクテリアDNAにおいては一般的であるが脊椎動物DNAにおいては稀であることが示されている。上記免疫刺激性配列は、しばしば:プリン、プリン、C,G、ピリミジン、ピリミジンであり、ここで、上記ジヌクレオチドCGモチーフはメチル化されていないが、他のメチル化されていないCpG配列は免疫刺激性であることが知られており、そして本発明において使用されうる。
【0003】
6ヌクレオチドの特定の組合せ物中に、パリンドローム(palindromic)配列が存在する。これらのモチーフのいくつかは、1のモチーフの反復であるか異なるモチーフの組合せであるかを問わず、同一ヌクレオチド内に存在することができる。オリゴヌクレオチドを含有する上記免疫刺激性配列の中の1以上の存在は、(インターフェロンγを産生し、そして細胞毒性活性をもつ)ナチュラル・キラー細胞、及びマクロファージを含む、さまざまな免疫サブセットを活性化することができる(Wooldrige et al Vol 89 (no. 8), 1977)。但し、このコンセンサス配列をもたない他のメチル化されていないCpG含有配列は今日免疫刺激性であることが示されている。
【0004】
CpGは、ワクチンに配合されるとき、一般に、遊離抗体とともに(WO96/02555; McCluskie and Davis 、前掲)とともに遊離溶液中で投与され、又は抗原と共有結合され(PCT公開番号WO98/16247)、又は水酸化アルミニウムの如き担体と配合される((肝炎表面抗原)Davis et al 、前掲;Brazolot-Millan et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1998, 95 (26), 15553-8)。
【0005】
サポニンは、Lacaille-Dubois, M and Wagner H. (1996, A review of the biological and pharmacological activities of saponins, Phytomedicine vol 2 pp 363-386)中に教示されている。サポニンは、植物及び海洋動物界に広く分布するステロイド又はトリテルペン・グリコシドである。サポニンは、水中コロイド溶液を形成して振とうの間に発泡し、そしてコレステロールを沈澱させることで有名である。サポニンが細胞膜付近にあるとき、それらは、膜が破けることを引き起こす、膜内の多孔様構造を生じさせる。赤血球の溶血は、この現象の一例であり、これは全てではないが特定のサポニンの特性である。
【0006】
サポニンは、全身的投与のためのワクチン中でのワクチンとして知られている。個々のサポニンのアジュバント及び溶血活性は、本分野において詳しく研究されている(Lacaille-Dubois and Wagner、前掲)。例えば、(南アメリカの木、キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮由来の)クイルA(Quil A)、及びその画分が、米国特許第5,057,540号、及び“Saponins as vaccine adjuvants”, Kensil, C.R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2) : 1-55 ;及びEP 0
362 279 B1中に記載されている。
【0007】
Quil Aの画分を含む、免疫刺激性複合体(ISCOMS)といわれる粒子状構造は、溶血性であり、そしてワクチンの製造において使用されてきた(Morein, B., EP 0 109 942 B1)。これらの構造は、アジュバント活性をもつことが報告されている(EP 0
109 942 B1;WO96/11711)。
【0008】
溶血性サポニンQS21とQS17(Quil AのHPLC精製画分)は、強力な全身的アジュバントとして記載されており、そしてそれらの製法は、米国特許第5,057,540号、及びEP 0 362 279 B1中に開示されている。上記文献中には、全身的ワクチンのための強力なアジュバントとして作用するQS7(Quil Aの非溶血性画分)の使用も記載されている。QS21の使用は、さらにKensil et al. (1991. J. Immunology vol 146, 431-437)中に記載されている。QS21とポリソルベート又はシクロデキストリンの併合物も知られている(WO99/10008)。Quil Aの画分、例えば、QS21及びQS7を含む粒子状アジュバント系が、WO96/33739、及びWO96/11711中に記載されている。
【0009】
全身的ワクチン接種において使用されてきた他のサポニンは、他の植物種、例えば、ジプソフィラ(Gypsophila)及びサポナリア(Saponaria)由来のものを含む(Bomford et al., Vaccine, 10 (9) : 572-577, 1992)。
【0010】
サポニンは、粘膜に適用されるワクチン試験において使用されることも知られており、これは、免疫応答の誘導において成功の程度が異なっている。Quil−Aサポニンは、抗原が鼻内に投与されるとき、免疫応答の誘導に対して効果をもたないことが先に示されている(Gizurarson et al. 1994. Vacine Research 3, 23-29)。一方、他の著者は、成功をもって、上記アジュバントを使用している(Maharaj et al., Can. J. Microbiol, 1986, 32 (5) : 414-20; Chavali and Campbell, Immunobiology, 174 (3) : 347-59)。Quil Aサポニンを含むISCOMsは、胃内及び鼻内ワクチン配合物中で使用されており、そしてアジュバント活性を示している(McI Mowat et al., 1991, Immunology, 72, 317-322; McI Mowat and Donachie, Immunology Today, 12, 383-385)。
【0011】
QS21,Quil Aの非毒性画分も、経口又は鼻内アジュバントとして記載されている(Sumino et al., J. Virol., 1998, 72 (6) : 4931-9; WO98/56415)。
【0012】
鼻内ワクチン接種試験における他のサポニンの使用も記載されている。例えば、ケノポジウム・キノア(Chenopodium quinoa)サポニンは、鼻内ワクチン及び胃内ワクチンの両者中で使用されている(Estrada et al., Comp. Immunol. Microbiol. Infect. Dis., 1998, 21 (3) : 225-36)。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、免疫刺激性オリゴヌクレオチド(CpG)とサポニンの併合物が極めて強力なアジュバントであるという驚ろくべき発見に関する。従って、サポニンと免疫刺激性オリゴヌクレオチドの併合物を含むアジュバント組成物が提供される。好ましくは、本発明のアジュバントは、担体をさらに含む。本発明の好ましい形態においては、上記アジュバント及びワクチン組成物中のサポニン及びオリゴヌクレオチドは、抗原特異的抗体の誘導においてシナルジスティックであり、そしてTh1−型免疫系に一般に関係する免疫応答の誘導において強力である。従って、上記アジュバント併合物は、疾患の免疫予防のために好適であるだけでなく、驚ろくべきことに、潜伏期の長いウイルス、バクテリア又は寄生生物感染の如き疾患、そしてまた癌の如き慢性障害の免疫治療のためにも好適である。
【0014】
本発明のアジュバント又はワクチン中での使用のために好ましいオリゴヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも6以上のヌクレオチドにより分離された2以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシヌクレオチドである。好ましい態様においては、上記オリゴヌクレオチド中のインターヌクレオチドは、ホスホロジチオエート、又はより好ましくはホスホロチオエート結合である。但し、ホスホジエステルその他のインターヌクレオチド結合であって、混合インターヌクレオチド結合をもつオリゴヌクレオチドを含むものも本発明の範囲内にある。ホスホロチオエート・オリゴヌクレオチド又はホスホロジチオエートの製造方法は、US 5,666,153、US 5,278,302、及びWO95/26204中に記載されている。
【0015】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列をもつ。上記配列は、好ましくは、ホスホロチオエート修飾インターヌクレオチド結合を含む。
【0016】
オリゴ1(配列番号1):TCC ATG ACG TCC CTG ACG
TT(CpG1826)
オリゴ2(配列番号2):TCT CCC AGC GTG CGC CAT
(CpG1758)
オリゴ3(配列番号3):ACC GAT GAC GTC GCC GGT
GAC GGC ACC ACG
オリゴ4(配列番号4):TCG TCG TTT TGT CGT TTT
GTC GTT(CpG2006)
オリゴ5(配列番号5):TCC ATG ACG TTC CTG ATG
CT(CpG1668)
他のCpGオリゴヌクレオチドは、それらがそれに対する取るに足りない欠失又は付加をもつ点で、上記好ましい配列を含みうる。
【0017】
本発明において使用されるCpGオリゴヌクレオチドは、本分野において知られたいずれかの方法により合成されうる(例えば、EP 468520)。便利には、このようなオリゴヌクレオチドは、自動合成装置を用いて合成されることができる。
【0018】
本発明において用いられるオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシオリゴヌクレオチドである。好ましい態様においては、上記オリゴヌクレオチド内のインターヌクレオチド結合は、ホスホロジチオエート又はより好ましくはホスホロチオエート結合である。但し、ホスホジエステルも本発明の範囲内にある。異なるインターヌクレオチド結合を含むオリゴヌクレオチド、例えば、混合ホスホロチオエート・ホスホジエステルも企図される。上記オリゴヌクレオチドを安定化させる他のインターヌクレオチド結合も使用されうる。
【0019】
本発明のアジュバント併合物中で使用されうるサポニンは、米国特許第5,057,540号及び“Saponins as vaccine adjuvants”, Kensil, C.R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2) : 1-55;及びEP 0 362279 B1中に記載された、Quil Aといわれる、Quillaja Saponaria Molina の樹皮由来のものを含む。Quil Aの特に好ましい画分は、QS21,QS7、及びQS17である。
【0020】
β−エスシン(β−Escin)は、本発明のアジュバント組成物中で使用される他の好ましい溶血性サポニンである。エスシンは、セイヨウトチノキ(horse chestnut tree)、ラテン名:エスキュラス・ヒポカスタナム(Aesculus hippocastanum)の種子中に生じるサポニンの混合物としてthe Merck index (12thed : entry 3737)中に記載されている。その単離は、クロマトグラフィー及び精製(Fiedler, Arzneimittel-Forsch. 4, 213 (1953))、及びイオン交換樹脂(Erbring et al., US 3,238,190)により記載されている。エスシンα及びβの画分は精製されており、そして生物学的に活性であることが示されている(Yoshikawa M, et al. (Chem Pharm Bull (Tokyo) 1996 Aug; 44 (8) : 1454-1464))。β−エスシン(β−escin)は、エスシン(aescin)としても知られている。
【0021】
本発明において使用される他の好ましい溶血性サポニンは、ディギトニン(Digitonin)である。ディギトニンは、ディギタリス・パープレア(Digitalis purpurea)の種子由来であり、そしてGisvold et al., J. Am. Pharm. Assoc., 1934, 23, 664;及びRuhenstroth-Bauer, Physiol. Chem., 1955, 301, 621中に記載される手順に従って精製される、サポニンとしてthe Merck index (12th Edition, entry 3204)中に記載されている。その使用は、コレステロール測定のための臨床試薬として記載されている。
【0022】
本発明のアジュバント併合物は、上記サポニン又はCpG、又は両者が粒子状担体と会合されて上記併合物アジュバント活性を高めることができるように、さらに担体を含むことができる。例えば、特に好ましい全身的ワクチンは、担体分子を含む。
【0023】
本発明のアジュバント併合物中に使用されるCpGは、遊離溶液中にあり、又は粒子状担体、例えば、鉱物塩(例えば、非限定的に、アルミニウム又はカルシウム塩を含む)、リポソーム、ISCOMs、エマルジョン(油/水、水/油、水/油/水)、ポリマー(例えば、非限定的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリホスファジン、ポリアミノ酸、アルギネート、キトサン)又は微粒子に複合体化されることができる。好ましくは、上記担体はカチオン性である。本発明のワクチンは、上記CpG−担体複合体と会合することができ、又は上記CpG−担体複合体と会合することができない抗原をさらに含む。この場合、抗原は、遊離の懸濁液であるか又は別個の担体と会合することができる。
【0024】
本発明の一部を形成するサポニンは、ミセルの形態で別個に存在することができ、又はコレステロール及び脂質と配合されるときISCOMs(EP 0 109 942 B1)又はリポソーム(WO96/33739)の如き大きな次元の構造の形態で存在することができ、又は油/水エマルジョン(WO95/17210)の形態で存在することができる。上記サポニンは、好ましくは、金属塩、例えば水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムと会合されることができる(WO98/15287)。あるいは、上記サポニンは、キトサン(chitosan)の如き粒子状担体と会合されることができる。上記サポニンは、乾燥状態、例えば粉末において存在することもできる。それらが、ワクチン受容者の粘膜表面に投与されるときの形態における最終配合品は、好ましくは、天然において溶血性である。このサポニンは、直接結合を介してか又は同一の粒子状担体分子との共同相互作用(co−interaction)により上記抗原と物理的に会合されてもされなくてもよい(GB9822712.7;WO98/16247)。本発明のアジュバント又はワクチン中の上記CpG及びサポニンは、それ自体、分離され又は会合されることができる。例えば、上記CpG及びサポニンは、遊離懸濁液中にあることができ、又は担体、より好ましくは粒子状担体、例えば、水酸化アルミニウムを介して、又はカチオン・リポソーム又はISCOMにより、会合されることができる。
【0025】
本発明に係る好ましいアジュバント組合せ物は、油/水エマルジョン又はDQを含む群から選ばれる粒子状担体及びQS21と一緒になって、2つの隣接CGモチーフ間に少なくとも3つ、好ましくは少なくとも6つのヌクレオチドを含む1以上のCpGオリゴヌクレオチドから作られる。最も好ましくは、上記アジュバント組合せ物は、QS21、及び油/水エマルジョン又はDQを含む群から選ばれる粒子状担体と混合されて、CpG2006(配列番号4)、又はCpG1758(配列番号2)又はCpG1826(配列番号1)を含む。従って、特に好ましいワクチンは、例えば、上記アジュバント組合せ物及び抗原を含む。本発明の好ましいワクチンは、全身経路を通じて個体に投与された後に全身的免疫応答を生成するために使用される。
【0026】
本発明のアジュバント組合せ物は、全身アジュバント又は粘膜アジュバントの両者として使用されうる。本発明の特別な形態においては、全身的又は非経口経路、例えば、筋中、皮膚内、経皮、皮下、腹腔内又は静血内投与を通じて投与される全身的ワクチンが提供される。好ましい投与経路は、経皮経路を介する、例えば、皮膚パッチによるものである。
【0027】
本発明の全身的ワクチン調製物は、筋中、腹腔内、皮膚内、経皮、静脈内又は皮下投与により上記ワクチンを投与することにより、疾患にかかり易い又はこれにかかった哺乳動物を保護し又は治療するために使用されることができる。上記ワクチン調製物の全身的投与の方法は、慣用のシリンジ及びニードル、又は固体ワクチンの弾道デリバリーのためにデザインされたデバイス(WO99/27961)、又はニードルして圧力液体ジェット・デバイス(US 4,596,556;US 5,993,412)、又は経皮パッチ(WO97/48440;WO98/28037)を含みうる。本発明は、皮膚に適用される抗原の免疫原性を高めるためにも使用されうる(経皮又は(transdermd or transcutaneous)デリバリーWO98/20734;WO98/28037)。それ故、本発明は、本発明のワクチン又はアジュバント組成物で事前に満たされた全身投与のためのデリバリー・デバイスを提供する。従って、個体における免疫応答を誘導する方法であって、投与及び免疫刺激性オリゴヌクレオチド、サポニン、及び担体を含むワクチンを、上記個体に投与することを含み、ここで、上記ワクチンが非経口又は全身的経路を介して投与される、前記方法が提供される。免疫応答を誘導する好ましい方法は、Quil A由来のサポニン、例えば、QS21、及び担体、例えば、油/水エマルジョン、コレステロール含有リポソーム又はアルム(alum)とともに、配列番号1,2,3,4又は5のオリゴヌクレオチドを含むワクチンの投与を含む。
【0028】
あるいは、本発明のワクチン調製物は、上記ワクチンを、粘膜経路、例えば、経口/栄養補給の又は鼻内経路を介しての投与により、病気にかかり易い又はかかった哺乳動物を保護又は治療するために使用されうる。他の粘膜経路は、膣内及び直腸内である。投与の好ましい粘膜経路は、鼻腔内ワクチン接種といわれる鼻内経路を介するものである。鼻内ワクチン接種方法は本分野において周知であり、免疫化されるべき個体の上咽頭内への上記ワクチンの滴、スプレー、又は乾燥粉砕形態の投与を含む。噴霧され又はエアロゾル化されたワクチン配合物も、本発明の一部を形成する。腸溶配合物、例えば、経口投与のための胃耐性カプセル及び粒剤、直腸又は膣投与のための坐剤も本発明の一部を形成する。
【0029】
本発明のアジュバント組合せ物は、粘膜ワクチン接種により全身的ワクチン接種を置き換えるために、ヒトにおける適用のために好適な粘膜アジュバントのクラスを表す。本発明の好ましい形態においては、免疫刺激性オリゴヌクレオチドと組合せて、純粋なサポニン、例えば、Quil A、又はその誘導体であってQS21を含むもの;エスシン;ディギトニン;又はギィプソフィラ(Gypsophila)又はケノポジウム・キノア(Chenopodiumu quinoa)のサポニンが、全身的免疫応答を達成するための抗原の粘膜投与のためのアジュバントとして使用されうる。
【0030】
本発明のアジュバント組合せ物は、前記全身的又は粘膜経路を介して投与されることができる、ワクチンの配合物中で使用されうる。好ましくは、上記ワクチンが粘膜投与のために使用されるとき、上記アジュバント組合せ物は、溶血性サポニンを含む。
【0031】
粘膜投与のためには、本発明の組成物は、好ましくは、溶血性サポニンを含む。本発明の意味においては、溶血性サポニン、又はサポニン調製物は、以下のアッセイを参照して測定されるであろう。
【0032】
1.モルモットから新鮮血液を、デスクトップ遠心分離機内で3回リン酸緩衝液化生理食塩水(PBS)で洗浄する。元の容量まで再懸濁させた後、上記血液をPBS中でさらに10倍希釈する。
【0033】
2.上記血液懸濁液50μlを、界面活性剤又はサポニンの2倍希釈物を含むPBS 800μlに添加する。
【0034】
3.8時間後、溶血を視覚的に又は上記上清の光学密度を計測することにより、評価する。570nmにおいて光を吸収する赤上清の存在は、溶血の存在を示す。
【0035】
4.上記結果は、溶血がもはや生じない最初のサポニン希釈の濃度として表される。
【0036】
本発明の目的のためには、上記サポニン・アジュバント調製物は、それが0.1%未満の濃度において赤血球を溶解する場合、溶血性である。参考として、Quil A,QS21,QS7、ディギトニン、及びβ−エスシンの実質的に純粋なサンプルは、上記アッセイにおいて定義されるとき、全て溶血性サポニンである。このような生物学的アッセイの個有の実験バラツキ内で、本発明のサポニンは、好ましくは、約0.5〜0.00001%の間の、より好ましくは0.05〜0.00001%の間の、さらにより好ましくは0.005〜0.00001%の間の、そして最も好ましくは0.001〜0.0004%の間の溶血活性をもつ。理想的には、上記サポニンは、QS21のものと同様の(すなわち、10倍差異内の)溶血活性をもたなければならない。
【0037】
本発明のワクチンは、経口投与を介して投与されることもできる。このような場合、医薬として許容される賦形剤は、アルカリ・バッファー、又は腸溶カプセル又は微粒剤を含むこともできる。本発明のワクチンは、膣経路により投与されることもできる。この場合、医薬として許容される賦形剤は、乳化剤、ポリマー、例えば、カルボポール(CARBOPOL(商標))、膣クリーム及び坐剤の他の知られた安定剤を含むこともできる。本発明のワクチンは、直腸経路により投与されることもできる。この場合、上記賦形剤は、直腸坐剤を形成することが本分野において知られたワックス及びポリマーを含むこともできる。
【0038】
本発明のアジュバント組合せ物中の2以上のサポニンの調製物も、本発明の一部を形成する。例えば、QS21,QS7,Quil A、β−エスシン、又はディギトニンを含む群から成る少なくとも2つの組合せ物である。さらに、本発明の組成物は、2以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドの組合せ物を含みうる。
【0039】
本発明の類似の態様においては、全身的投与及び粘膜投与の両者のためのCpG/サポニン組合せ物は、モノホスホリル・リピドA及びその非毒性誘導体3−脱−O−アシル化モノホスホリル・リピドAを含む他のアジュバントとさらに併合されることができる。あるいは、上記サポニン配合物は、キトサン又は他のポリカチオン・ポリマー、ポリ乳酸及びポリラクチド−I−ポリグリコリド粒子、ポリ−N−アセチル・グルコサミン−ベースのポリマー・マトリックス、多糖又は化学的に修飾された多糖から成る粒子、リポソーム及び脂質ベースの粒子、グリセロール・モノエステルから作られた粒子、などから作られるワクチン媒体と併合されることができる。上記サポニンは、粒子状構造、例えば、リポソーム又はISCOMsを形成するために、コレステロールの存在下で配合されることもできる。さらに、上記サポニンは、ポリオキシエチレン・エーテル又はエステルと一緒になって、非粒子状溶液又は懸濁液、又は粒子状構築、例えば、小ラメラ(paucilamelar)リポソーム又はISCOMにおいて、配合されることができる。上記サポニンは、賦形剤、例えば、カルボポール(商標)と配合されて、粘度を増加されることもでき、又は粉末賦形剤、例えば、ラクトースとともに、乾燥粉末形態で配合されることができる。
【0040】
3−脱−O−アシル化モノホスホリル・リピドAは、Ribi Immunochem, Montanaにより製造された周知のアジュバントである。それは、GB 2122204B中に教示された方法により調製されうる。3−脱−O−アシル化モノホスホリル・リピドAの好ましい形態は、直径0.2μm未満の小さな粒子サイズをもつエマルジョンの形態にある(EP 0 689 454 B1)。特に好ましいアジュバントは、3D−MPL及びQS21の組合せ物(EP 0 671 948 B1)、3D−MPL及びQS21を含む油/水エマルジョン(WO95/17210,WO98/56414)、又は他の担体と配合された3D−MPL(EP 0 689 454 B1)である。
【0041】
好ましくは、本発明中のワクチン配合物は、ヒト病原体に対して免疫応答を引き出すことのできる抗原又は抗原組成物を含む。そのような抗原又は抗原組成物は:HIV抗原(tat,nef,gp120またはgp160など)、ヒトヘルペスウイルス抗原(gDまたはその誘導体あるいはHSV1またはHSV2由来のICP27などの即時初期タンパク)、サイトメガロウイルス抗原(特にヒトgBまたはその誘導体)、ロタウイルス抗原(生減弱ウイルスを含む)、エプスタイン−バーウイルス抗原(gp350又はその誘導体など)、水疱疹ウイルス抗原(gpI,IIおよびIE63など)から、またはB型肝炎ウイルス(例えばB型肝炎表面抗原又はその誘導体)、A型肝炎ウイルス抗原、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルスから、あるいは、他のウイルス性病原体、例えばパラミクソウイルス:呼吸器合胞体ウイルス(プロテインFおよびG又はそれらの誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、おたふくかぜウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス(例えばHPV6,11,16,18)、フラビウイルス属(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)またはインフルエンザウイルス抗原から、(全生又は失活ウイルス、スプリット・インフルエンザ・ウイルスであって卵又はMDCK細胞内で増殖したもの、又は全fluウイロソーム(virosome)(R. Gluck, Vaccine, 1992, 10, 915-920により記載されたもの)又はその精製された又は組換えタンパク質、例えばHA,NP,NA、又はMタンパク質、又はその組合せ物)、またはN.gonorrheaおよびN.meningitidisを含むNaisseria spp.(例えば、夾膜多糖及びそれらのコンジュゲート、トランスフェリン−結合プロテイン、ラクトフェリン結合プロテイン、PilC、付着因子用);S.pneumoniae(ストレプトリジンまたはコリン結合プロテイン)、S.pyogenes(例えば、プロテインM又はその断片、C5Aプロテアーゼ、リポテイコ酸)、S.agalactiae,S.mutansを含むStreptococcus spp.;H.ducreyi;Branhamella catarrhalisとしても知られている(例えば、高分子量および低分子量付着因子およびインベーシン)M.catarrhalisを含むMoraxella spp.;B.pertussis(例えばpertactin,pertussistoxin又はその誘導体filamenteous hemagglutinin,adenylate cyclase,fimbriae),B.parapertussisおよびB.bronchisepticaを含むBordetella spp.;M.tuberculosis(例えばESAT6、抗原85A,BまたはC)、M.bovis,M.leprae,M.avium,M.paratuberculosis,M.smegmatisを含むMycobacterium spp.;L.pneumophilaを含むLegionella spp.;enterotoxic E.coli(例えばコロニー形成因子、熱不安定毒素またはその誘導体、熱安定毒素またはその誘導体)、enterohemorragic E.coli,enteropathogenic E.coli(例えば志賀毒素様毒素またはその誘導体)を含むEscherichia spp.;V.cholera(例えばコレラ毒素またはその誘導体)を含むVibrio spp.;S.sonnei,S.dysenteriae,S.flexneriiを含むShigella spp.;Y.enterocolitica(例えばYopプロテイン)、Y.pestis,Y.pseudotuberculosisを含むYersinia spp.;C.jejuni(例えば毒素、付着因子およびインベーシン)およびC.coliを含むCampylobacter spp.;S.typhi,S.paratyphi,S.choleraesuis,S.enteritidisを含むSalmonella spp.;L.monocytogenesを含むListeria spp.;H.pylori(例えばウレアーゼ、カタラーゼ、空胞毒素)を含むHelicobacter spp.;P.aeruginosaを含むPseudomonas spp.;S.aureus,S.epidermidisを含むStaphylococcus spp.;E.faecalis,E.faeciumを含むEnterococcus spp.;C.tetani(例えば破傷風毒素およびその誘導体)、C.botulinum(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、C.difficile(例えばクロストリジウム毒素AまたはBおよびその誘導体)を含むClostridium spp.;B.anthracis(例えばボツリヌス毒素およびその誘導体)を含むBacillus spp.;C.diphtheriae(例えばジフテリア毒素およびその誘導体)を含むCorynebacterium spp.;B.burgdorferi(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB),B.garinii(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB),B.afzelii(例えば、OspA,OspC,DbpA,DbpB),B.andersonii(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB),B.hermssiを含むBorrelia spp.;E.equiおよびHuman Granulocytic Ehrlichiosisの病原体を含むEhrlichia spp.;R.rickettsiiを含むRichettsia spp.;C.trachomatis(例えばMOMP、ヘパリン結合プロテイン)、C.pneumoniae(例えばMOMP、ヘパリン結合プロテイン)、C.psittaciを含むChlamydia spp.;L.interrogansを含むLeptospira spp.;T.pallidum(例えば希少な外膜プロテイン)、T.denticola,T.hyodysenteriaeを含むTreponema spp.から誘導され;又はP.falciparumを含むPlasmodium spp.;T.gondii(例えばSAG2,SAG3,Tg34)を含むToxoplasma spp.;E.histolyticaを含むEntamoeba spp.;B.microtiを含むBabesia spp.;T.cruziを含むTrypanosoma spp.;G.lambliaを含むGiardia spp.;L.majorを含むLeshmania spp.;P.cariniiを含むPneumocystis spp.;T.vaginalisを含むTrichomonas spp.;S.mansoniを含むSchisostoma spp.;などの寄生生物から誘導され;又はC.albicansを含むCandida spp.;C.neoformansを含むCryptococcus spp.などの酵母から誘導される。
【0042】
M.チュバーキュローシス(M.tuberculosis)のための他の好ましい特異的抗原は、例えば、TbRa12,TbH9,TbRa35,Tb38−1,Erd14,DPV,MTI,MSL,mTTC2、及びhTCC1である(WO99/51748)。M.tuberculosisのためのタンパク質は、少なくとも2つの、好ましくは3つの、M.tuberculosisのポリペプチドがより大きなタンパク質に融合されているような融合タンパク質及びその変異体をも含む。好ましい融合物は、Ra12−TbH9−Ra35,Erd14−DPV−MTI,DPV−MTI−MSL,Erd14−DPV−MTI−MSL−mTCC2,Erd14−DPV−MTI−MSL,DPV−MTI−MSL−mTCC2,TbH9−DPV−MTIを含む(WO99/51748)。
【0043】
クラミジアのための最も好ましい抗原は、例えば、高分子量タンパク質(HWHP)(WO99/17741)、ORF3(EP 366412)、及び推定膜タンパク質(Pmps)を含む。ワクチン配合物の他のクラミジア抗原は、WO99/28475中に記載された群から選ばれることができる。
【0044】
好ましいバクテリアのワクチンは、S.ニューモニエ(S.pneumoniae)を含むストレプトコッカス種由来の抗原(例えば、夾膜多糖及びそのコンジュゲート、PsaA,PsaA、ストレプトリジン、コリン結合性タンパク質)、及びタンパク質抗原ニューモリジン(Pneumolysin)(Biochem Biophys Acta, 1989, 62, 1007; Rubins et al., Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)、及びその突然変異体解毒誘導体(WO90/06951;WO99/03884)由来の抗原を含む。他の好ましいバクテリア・ワクチンは、H.インフルエンザエB型(例えば、PRP及びそのコンジュゲート)、非分類H.インフルエンザエ(H.influenzae)を含むヘモフィラス(Haemophilus)種、例えば、OMP26、高分子量アドヘシン(adhesins)、P5,P6、プロテインD、及びリポプロテインD及びフィンブリン(fimbrin)及びフィンブリン由来ペプチド(US 5,843,464)又は多コピー変異体又はその融合タンパク質由来の抗原を含む。
【0045】
B型肝炎表面抗原の誘導体は、本分野において周知であり、そしてとりわけ、ヨーロッパ特許出願EP−A−414374;EP−A−0304578、及びEP 198−474中に記載されたようなPreS1,PreS2S抗原を含む。1の好ましい局面においては、本発明のワクチン配合物は、特にCHO細胞内で発現されるとき、HIV−1抗原、gp120を含む。さらなる態様においては、本発明のワクチン配合物は、先に定義したようなgD2tを含む。
【0046】
本発明の好ましい態様においては、請求に係るアジュバントを含有するワクチンは、生殖器いぼの原因であると考えられているヒト乳頭腫ウイルス(HPV)由来の抗原(HPV6又はHPV11その他)、子宮頸癌の原因であるHPVウイルス由来の抗原(HPV16,HPV18その他)を含む。
【0047】
生殖器いぼ(genital wart)の予防又は治療用ワクチンの特に好ましい形態は、L1粒子又はキャプソマー(capsomers)、並びにHPV6及びHPV11タンパク質E6,E7,L1、及びL2から選ばれる1以上の抗原を含む融合タンパク質を含む。
【0048】
融合タンパク質の最も好ましい形態は:WO96/26277中に開示されたようなL2E7、及びGB 9717953.5(PCT/EP98/05285)中に開示されたプロテインD(1/3)−E7である。
【0049】
好ましいHPV子宮頸感染又は癌の、予防又は治療用ワクチン、組成物は、HPV16又は18抗原を含むことができる。例えば、L1又はL2抗原モノマー、又はウイルス様粒子(VLP)として一緒に提示されるL1又はL2抗原、又はVLP又はキャプソマー構造中単独で提示されるL1単独タンパク質。このような抗原、ウイルス様粒子及びキャプソマーは、それ自体知られている。例えば、WO94/00152,WO94/20137,WO94/05792、及びWO93/02184を参照のこと。
【0050】
追加の初期タンパク質は、単独で又は融合タンパク質、例えば、E7,E2又は好ましくはE5として含まれることができ;この特に好ましい態様は、L1E7融合タンパク質を含むVLPを含む(WO96/11272)。
【0051】
特に好ましいHPV16抗原は、HPV16からプロテインD−E6又はE7融合物を作るため、プロテインD担体と融合された初期タンパク質E6又はE7、又はその組合せ物;あるいは、E6又はE7とL2との組合せ物を含む(WO96/26277)。
【0052】
あるいは、HPV16又は18初期タンパク質E6及びE7は、単一分子、好ましくはプロテインD−E6/E7融合物中に提示されることができる。このようなワクチンは、場合により、HPV18からE6タンパク質とE7タンパク質のいずれか又は両者を、好ましくは、プロテインD−E6又はプロテインD−E7融合タンパク質又はプロテインD
E6/E7融合タンパク質の形態で含むことができる。
【0053】
本発明のワクチンは、他のHPV株からの、好ましくは、株HPV31又は33からの抗原をさらに含むことができる。
【0054】
本発明のワクチンは、マラリアを引き起こす寄生生物由来の抗原をさらに含む。例えば、プラスモディア・ファルシパラム(Plasmodia falciparum)からの好ましい抗原は、RTS,S、及びTRAPを含む。RTSは、B型肝炎表面抗原のプレS2部分の4つのアミノ酸を介して、B型肝炎ウイルスの表面(S)抗原に連結されたP.falciparumのサーカムスポロゾイト(circumsporozoite(CS))タンパク質のC末端部分の実質的に全てを含むハイブリッド・タンパク質である。その全体構造は、英国特許出願第9124390.7に基づく優先権を主張するWO93/10152の下で公開された、国際特許出願第PCT/EP92/02591号中に開示されている。酵母内で発現されるとき、RTSは、リポタンパク質粒子として製造され、そしてHBVからのS抗原と同時に発現されるとき、それは、RTS,Sとして知られる混合粒子を製造する。TRAP抗原は、WO90/01496の下で公開された、国際特許出願第PCT/GB89/00895号中に記載されている。本発明の好ましい態様は、その抗原性調製物が、上記RTS,SとTRAP抗原の組合せ物を含むところのマラリア・ワクチンである。マルチステージ・マラリア・ワクチンの成分となるべき候補であろう他のプラスモディウム抗原は、P.falciparum MSP1,AMA1,MSP3,EBA,GLURP,RAP1,RAP2、セクエストリン(Sequestrin)、PfEMP1,Pf332,LSA1,LSA3,STARP,SALSA,PfEXP1,Pfs25,Pfs28,PFS27/25,Pfs16,Pfs48/45,Pfs230、及びプラスモディウム種におけるそれらのアナログである。
【0055】
上記配合物は、抗腫瘍抗原を含み、そして癌の免疫療法処理のために有用であることもできる。例えば、上記アジュバントは、腫瘍拒絶抗原、例えば、前立腺、乳房、結腸直腸、肺、膵臓、腎臓又はメラノーマ癌腫とともに利用される。例示的な抗原は、MAGE1及びMAGE3又は他のMAGE抗原(メラノーマの治療のためのもの)、PRAME,BAGE、又はGAGEを含む(Robbins and Kawakami, 1996, Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636; Van den Eynde et al., International Journal of Clinical & Laboratory Research(寄稿1993);Correale et al. (1997), Journal of the National Cancer Institute 89, p293)。実際、これらの抗原は、広い範囲の腫瘍タイプ、例えば、メラノーマ、肺癌、肉腫、及び膀胱癌において発現されている。他の腫瘍特異的抗原が、本発明のアジュバントと共に使用されるために好適であり、そして非限定的に、腫瘍特異的ガングリオシド(gangliosides)、前立腺特異的抗原(PSA)又はHer−2/neu,KSA(GA733),PAP、マンマグロビン(mammaglobin)、MUC−1、癌胎児性抗原(CEA)を含む。従って、本発明の1の局面においては、本発明に係るアジュバント組成物及び腫瘍拒絶抗原を含むワクチンが提供される。
【0056】
本発明の特に好ましい局面は、上記ワクチンが腫瘍抗原を含むということであり;このようなワクチンは、驚ろくべきことに、前立腺、乳、結腸直腸、肺、膵臓、腎臓、卵巣又はメラノーマ癌腫の治療において有用である。従って、配合は、腫瘍関連抗原、並びに腫瘍支持メカニズム(例えば、血管形成、腫瘍浸潤)に関連する抗原を含むことができる。さらに、癌の治療におけるワクチンのための特に関連する抗原は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、チロシナーゼ、スルビビン(survivin)、NY−ESO1、プロスターゼ(prostase)、PS108(WO98/50567),RAGE,LAGE,HAGE、を含むこともできる。さらに、上記抗原は、多くの癌の治療において、又は免疫弱化(immunocastration)において有用である、全長ゴナドトロフィン(Gonadotrophin)ホルモン放出ホルモン(GnRH,WO95/20600)、短い長さ10アミノ酸のペプチドの如き自己ペプチド・ホルモンであることができる。
【0057】
本発明の組成物は、ボレリア種由来の抗原を含有するワクチンを配合するために使用されるであろう。例えば、抗原は、核酸、病原体由来抗原又は抗原性調製物、組換えにより製造されたタンパク質又はペプチド、及びキメラ融合タンパク質を含む。特に、上記抗原はOspAである。上記OspAは、(Lipo−OspA)といわれる宿主細胞(E.coli)による脂質化形態における完全成熟タンパク質又は脂質化されていない誘導体であることができる。このような非脂質化誘導体は、インフルエンザ・ウイルスの非構造タンパク質の最初の81のN末端アミノ酸、及び完全OspAタンパク質、を含む非脂質化NS1−OspA融合タンパク質を含み、そして他のMDP−OspAは、3つの追加のN−末端アミノ酸を担持するOspAの非脂質化形態である。
【0058】
本発明のワクチンは、アレルギーの予防又は治療のために使用されうる。このようなワクチンは、アレルゲン特異的(例えば、DerP1)及びアレルゲン非特異的抗原(例えば、ヒトIgE由来のペプチドであって非限定的にスタンワース・デカペプチド(stanworth decapeptide)を含むもの(EP 0 447 231 B1))を含むであろう。
【0059】
本発明のワクチンは、アレルギー、癌又は感染性疾患以外の慢性障害の予防又は治療のために使用されることもできる。このような慢性障害は、アテローム性動脈硬化症及びアルツハイマー病の如き疾患である。
【0060】
アルツハイマー神経変性疾患にかかり易い又はかかった患者の予防及び治療に関連する抗原は、特に、アミロイド前駆タンパク質のN末端39〜43アミノ酸断片(Aβ)及びより小さな断片である。この抗原は、国際特許出願第WO99/27944−(Athena Neurosciences)中に開示されている。
【0061】
各ワクチン投与量中のタンパク質の量は、典型的なワクチン受容者において、有意な、悪い副作用を伴わずに免疫保護応答を誘導する量として選択される。このような量は、どの特異的免疫原が使用されるか、及びどのようにそれが提示されるかに依存して変動するであろう。一般に、各投与量は、1〜1000μgのタンパク質、好ましくは1〜500μg、好ましくは1〜100μg、最も好ましくは1〜50μgを含むであろうと予想される。特別なワクチンの最適量は、ワクチン接種された対象における適当な免疫応答の観察を含む標準的な試験により確かめられることができる。最初のワクチン接種の後、被験体は、適当に間隔をあけて、1又は数回のブースター免疫感作を受容することができる。このようなワクチン配合物は、プライミング又はブースティング・ワクチン接種処方において哺乳動物の粘膜表面に適用されることができ;又はあるいは、全身的に、例えば、経皮、皮下又は筋中経路を介して、投与されることができる。
【0062】
本発明のアジュバント又はワクチン中のCpG又は免疫刺激性オリゴヌクレオチドの量は、一般に少ないが、そのワクチンの配合に依存して、1〜1000μg/投与、好ましくは1〜500μg/投与、そしてより好ましくは1〜100μg/投与の間の範囲にあることができる。
【0063】
本発明のアジュバント中で使用されるサポニンの量は、1〜1000μg/投与、好ましくは1〜500μg/投与、より好ましくは1〜250μg/投与、そして最も好ましくは1〜100μg/投与の間の範囲内にあることができる。それ故、CpG:サポニンの比(w/w)は、1:1000〜1000:1の範囲内、そして典型的には、1:100〜100:1の範囲内、そして好ましくは、1:10〜1:1又は1:1〜10:1の、そして最も好ましくは1:1,4:1又は10:1の範囲内にあるであろう。
【0064】
本発明の配合物は、両予防及び治療目的のために使用されることができる。従って、ウイルス、バクテリア、寄生生物感染、アレルギー、癌その他の非慢性疾患の予防及び治療のためのワクチンの製造におけるサポニン及びCpG分子の組合せ物の使用が提供される。従って、本発明は、感染性疾患又は癌、又はアレルギー、又は自己免疫疾患にかかり易い又はかかった哺乳動物の治療方法を提供する。本発明のさらなる局面においては、薬物としての使用について本明細書中に記載されるとき、サポニンとCpGを含む、ワクチン又はアジュバント組合せ物が提供される。ワクチン調製物は、一般に、New Trends and Developments in Vaccines, edited by Voller et al., University Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A. 1978 中に記載されている。
【0065】
本発明の組成物は、多種多様な源に由来する抗原を含むワクチンを配合するために使用されるであろうと予想される。例えば、抗原は、ヒト、バクテリア、又はウイルスの核酸、病原体由来抗原又は抗原性調製物、宿主由来抗原であって、IgE由来のペプチド・例えば、IgEのヒスタミン放出性デカペプチド(Stanwarthデカペプチドとして知られるもの)を含むもの、組換え製造タンパク質又はペプチド、及びキメラ融合タンパク質を含む。
【0066】
本発明により、抗原、サポニン、及び免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む全身性ワクチン組成物が提供される。従って、疾患にかかり易い又はかかった個体の全身的経路を通じて本明細書中に実質的に記載するような組成物の投与による上記個体の治療方法が提供される。また、個体が、感染性バクテリア及びウイルス性疾患、寄生生物疾患、前立腺、乳、結腸直腸、肺、膵臓、腎臓、卵巣又はメラノーマ癌;非癌性慢性障害、アレルギー、アルツハイマー、アテローム性動脈硬化症を含む群から選ばれる疾患にかかることを防ぐ方法であって、上記個体の全身的経路を通じて本明細書中に実質的に記載するような組成物の投与を含む前記方法も提供される。
【0067】
あるいは、本発明により、抗原、及び溶血性サポニンを含む粘膜ワクチン組成物が提供される。従って、疾患にかかり易い又はかかった個体の粘膜表面に本明細書中に実質的に記載したような組成物を投与することにより上記個体を治療する方法が提供される。
【0068】
さらに、哺乳動物における全身的な抗原特異的免疫応答を誘導する方法であって、上記哺乳動物の粘膜表面に、抗原及び溶血性サポニンを含む組成物を投与することを含む方法が提供される。さらに、ワクチン又はアジュバントの製造方法であって、サポニンを取り込み、そしてCpG分子を取り込み、そしてそれらを抗原と混合することを含む前記方法も提供される。
【0069】
本発明の組成物中で使用される好適な医薬として許容される賦形剤の例は、水、リン酸緩衝液化生理食塩水、等張性バッファー溶液を含む。
【実施例】
【0070】
本発明は、以下の実施例により説明されるが、これに限定されるものではない。
【0071】
実施例1 リポ−OspAに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングのためのQS21とCpGの使用
本実施例において、我々は、溶解性サポニン、例えば、QS21と免疫刺激剤、例えば、CpGが、シナルジスティックなやり方で、マウスの鼻腔内ブースティング・ワクチン接種に対する全身的免疫学的応答を高めることができたかどうかを調べた。8週齢の雌Balb/cマウス(群当り5動物)を、アルム(alum)(50μg)上に配合されたリポ−OspA(1μg)で筋中免疫化した。3ヶ月後、このマウスを、A:PBS;B:20μg CpG1001(TCC ATG AGC TTC CTG ACG TT,Krieg 1826);C:5μg QS21(Cambridge Biotech, USAから得たもの);D:20μg CpG1001+5μg QS21のいずれかの中に5μgリポ−OspAを含む10μlの溶液(鼻孔当り5μl、ピペットにより滴としてデリバリーされる)を(麻酔下で)鼻腔内で;又はE;アルム(50μg)上に吸着された1μgのリポ−OspAの筋肉内注射により、ブーストした。
【0072】
方法
マウスにおけるOspA−特異的血清IgGの計測のためのELISA
Maxisorp Nuncイムノプレートを、PBS中に希釈した1μg/ml OspA 50μl/ウェル(プレートのB〜H列内)で、又はPBS中5μg/ml精製ヤギ抗−マウスIg(Boerhinger)50μl(A列)で、一夜コートする。上記プレートの空いた場所を、飽和バッファー:1%BSA、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20)、及び4%正常ウシ血清(NBS)を含むPBSを用いて、ブロックする(1時間、37℃)。次に、飽和バッファー(ウェル当り50μl)中で希釈され、そして標準曲線として添加されたIgGアイソタイプ混合物の逐次的2倍希釈物(200ng/mlから出発し、そしてA列内に入れられたSigmaからのマウス・モノクローナル抗体IgG1,IgG2a、及びIgG2bの混合物)、及び(1/100希釈から出発し、そしてB〜H列内に入れられた)血清サンプルを、37℃で1時間30分の間インキュベートする。次に、上記プレートを、洗浄バッファー(PBS、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20))で(3回)洗浄する。次に、飽和バッファー中で1/5000希釈されたビオチニル化ヤギ抗−マウスIgG(Amersham)を、37℃で、1時間30分の間インキュベートする(50μl/ウェル)。3回の洗浄、その後のストレプトアビジン−ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ・コンジュゲート(Amersham)の添加の後、プレートを5回洗浄し、そして顕色バッファー(50mM pH4.5クエン酸バッファー中OPDA 0.4mg/ml(Sigma)及びH2 O2 0.03%)50μl/ウェルとともに、室温で20分間インキュベートする。顕色を、50μl/ウェルH2 SO4 2Nの添加により停止する。光学密度を、Biorad 3550イムノリーダーを用いて492nmと630nmで読む。抗体力価を、SoftMaxProソフトウェアを用いて4変数計算法により計算する。
【0073】
リポ−OspAに対する血清LA2−様抗体力価の計測のための阻害アッセイ
ワクチン受容者における抗体力価を、彼(女)らのLA2−様特異性に関して試験した。LA2は、バクテリアの表面にあるコンホメーショナルなOspAエピトープを認識し、そしてインビトロにおいてB.burgdorferiを殺すことができ、そして実験室で培養されたスピロヘータによる感染に対してマウスを保護することができることが示されているネズミのモノクローナル抗体である(Schaible UE et al. 1990. Proc Natl Acad Sci USA 87 : 3768-3772)。さらに、LA−2 mabは、殺バクテリア抗体と相関することが示されており、そしてヒト血清についての研究は、(ELISAにより計測されるとき)合計抗−OspA IgG力価とLA2力価との間の良い相関をも示している。Maxisorp Nuncイムノプレートを、PBS水で希釈した0.5μg/mlリポOspA 50μl/ウェルで4℃において一夜コートする。空いた場所を、飽和バッファー(100μl/ウェルの飽和バッファー:PBS/BSA 1%/Tween20
0.1%/NBS 4%)で、37℃において1時間ブロックした。4μg/mlから開始するLA2モノクローナルAb(mAb)の逐次的2倍希釈物を、標準曲線を作るために、飽和バッファー中で希釈した(ウェル当り50μl)。(1/10希釈から開始する)ワクチン受容者からの血清サンプルの希釈物も添加し、そして上記プレートを37℃で2時間インキュベートした。上記プレートを、PBS/TWEEN20(0.1%)で3回のインキュベーションの後に洗浄した。飽和バッファー中で希釈したLA2 mAb−ペルオキシダーゼ・コンジュゲート(1/10,000)を、各ウェルに添加し(50μl/ウェル)、そして37℃で1時間インキュベートした。5回の洗浄後、プレートを、50μl/ウェルの顕色バッファー(50mM pH4.5クエン酸バッファー中OPDA 0.4mg/ml及びH2 O2 0.03%)で、(暗所で)室温において20分間インキュベートする。上記反応及び色の形成を、H2 SO4 2Nで停止した。光学密度を、Biorad 3550イムノリーダーを用いて、492nmと630nmで読む。LA2−様Ab力価を、SoftMaxProソフトウェアを用いて4変数計算方法により計算する。LA2−様抗体力価を、上記標準曲線との比較により測定した。
【0074】
結果
CpGとQS21は、リポ−OspAに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングを有意に改善する。さらに、両アジュバントが併合されるとき、特に、LA2抗体に関して、上記応答に対するシナルジスティックな効果が明らかに証明される。QS21とCpGの存在下で顕出される体液性応答は、非経口的ブースターにより誘導されたものよりも有意に高い。これらの結果を総合すると、上記結果は、溶解性サポニンと免疫刺激剤を併合する鼻腔内配合物の能力をはっきりと示している。
【0075】
実施例2.インフルエンザ・ウイルスに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングを強化するためのQS21とCpGのシナルジスティックな組合せ
本実施例において、我々は、溶血性サポニン、例えば、QS21(実施例を参照のこと)、及び免疫刺激剤、例えば、CpGが、失活全インフルエンザ・ウイルスで鼻腔内プライムされたマウスにおける全身的抗体の鼻腔内ブーストをシナルジスティックなやり方で高めることができたかどうかを調べた。
【0076】
8週齢の雌Balb/cマウス(群当り10動物)を、ヒトにおいて生じる天然のプライミングを真似るために、β−プロピオラクトン失活3価全インフルエンザ・ウイルス(A/北京/262/95;A/ヨハネスブルグ/33/94;B/パナマ/45/90;5μgHA/株)で鼻腔内プライムした。28日後、上記マウスを、A:PBS;B:50μg CpG(TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT,Krieg 2006);C:4.5μg QS21(Cambridge Biotech, USAから得られたもの);D:50μg CpG+4.5μg QS21のいずれかの中に1.5μgHA/株の、β−プロピオラクトン失活3価全インフルエンザ・ウイルス(上記プライミング免疫化におけるものと同一のもの)を含む20μlの溶液(鼻孔当り10μl、ピペットにより滴としてデリバリーされたもの)で;又は、E:1.5μgHA/株の3価スプリット・インフルエンザ・ウイルスの筋中注射(上記プライミング免疫化におけるものと同一の株)により、(麻酔下で)鼻腔内ブーストした。Flu抗原は、SSD GmBH製造者(Dresden,Germany)により供給された。
【0077】
図3と図4は、上記鼻腔内ブースティングから14日後における、上記血清Flu株特異的IgG力価及び血液凝集阻害(HAI)力価を示す。
【0078】
方法
マウスにおける抗−インフルエンザIgG力価の計測のためのELISA
Maxisorp Nuncイムノプレートを、PBS中に希釈した50μl/ウェルの、1μg/mlの全インフルエンザ・ウイルス抗原(プレートのB〜H列内)で、又はPBS中5μg/ml精製ヤギ抗−マウスIg(Boerhinger)50μl(A列)で、一夜コートする。上記プレートの空いた場所を、飽和バッファー:1%BSA、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20)、及び4%正常ウシ血清(NBS)を含むPBSを用いて、ブロックする(1時間、37℃)。次に、飽和バッファー(ウェル当り50μl)中で希釈され、そして標準曲線として添加されたIgGアイソタイプ混合物の逐次的2倍希釈物(200ng/mlから出発し、そしてA列内に入れられたSigmaからのマウス・モノクローナル抗体IgG1,IgG2a、及びIgG2bの混合物)、及び(1/100希釈から出発し、そしてB〜H列内に入れられた)血清サンプルを、37℃で1時間30分の間インキュベートする。次に、上記プレートを、洗浄バッファー(PBS、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20))で(3回)洗浄する。次に、飽和バッファー中で1/5000希釈されたビオチニル化ヤギ抗−マウスIgG(Amersham)を、37℃で、1時間30分の間インキュベートする(50μl/ウェル)。3回の洗浄、その後のストレプトアビジン−ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ・コンジュゲート(Amersham)の添加の後、プレートを5回洗浄し、そして顕色バッファー(50mM pH4.5クエン酸バッファー中OPDA 0.4mg/ml(Sigma)及びH2 O2 0.03%)50μl/ウェルとともに、室温で20分間インキュベートする。顕色を、50μl/ウェルH2 SO4 2Nの添加により停止する。光学密度を、Biorad 3550イムノリーダーを用いて492nmと630nmで読む。抗体力価を、SoftMaxProソフトウェアを用いて4変数計算法により計算する。β−プロピオラクトン(BPL)で失活させた、上記コーティングのために使用された全インフルエンザ・ウイルス(株A/北京/262/95)は、SSD GmBH製造者(Dresden,Germany)により供給される。
【0079】
マウスにおけるFlu−特異的血清Absの血液凝集阻害(HemAgglutination Inhibition(HAI)活性)
血清(25μl)を、室温(RT)で20分間、100μlのボレート0.5Mバッファー(pH9)及び125μl Dade Behring−購入カオリン(kaolin)でまず処理する。遠心分離(30分間、3000RPM又は860g)の後、(上記血清の1/10希釈物に対応する)100μl上清を取り、そして0.5%ニワトリ赤血球とともに4℃で1時間インキュベートする。上清を、3200RPMで10分間の遠心分離の後に集める(970g)。両操作を、上記血清中に含まれる天然の血液凝集性因子を除去するために行う。次に、25μlの処理された血清を、96ウェルGreinerプレート内の25μl PBS中で希釈する(1/20から出発する逐次的2倍希釈物)。BPL失活全ウイルスを、撹乱下RTにおいて30分間、4血清凝集ユニットの濃度において(すなわち、赤血球の凝集を引き起こす最後のものよりも4倍低い希釈において)添加する(25μl/ウェル)。次にニワトリの赤血球をRTで1時間添加する(25μl/ウェル)。最後に、プレートを、読む前に4℃で一夜保つ。HAI力価は、上記ウイルス誘導血液凝集を阻害する最後の血清希釈に対応する。
【0080】
結果
CpGとQS21は、Flu株に対するIgG又はHAI抗体の鼻腔内ブースティングを改善しない。しかしながら、両アジュバントが併合されるとき、上記応答に対するシナルジスティックな効果が明らかに証明される。QS21とCpGの存在下で顕出されるHAI応答は、非経口ブースターにより誘導されるものよりもさらに類似する。これらの結果は、溶血性サポニン及び免疫刺激剤を併合する鼻腔内配合物の能力を確認する。それらは、また、いくつかのCpG配列がこの文脈において効率的であることができるということをも示す(本実施例におけるKrieg 2006、及び実施例3と5におけるKrieg 1826)。
【0081】
実施例3.リポ−OspAに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングを高めるためのβ−エスシンとCpGのシナルジスティックな併合
我々は本実施例において、QS21とCpGの間に観察されるものよりも類似するシナジーが、他の溶血性サポニン(実施例参照)、例えば、β−エスシンとともに観察されることができる可能性を評価する。非溶血性サポニン、グリチルリジン酸(glycyrrhizic acid)もテストする。
【0082】
8週齢の雌Balb/cマウス(群当り6動物)を、アルム(50μg)上に配合されたリポ−OspA(1μg)で筋肉内にプライムした。3ヶ月後、上記マウスを、A:PBS;B:50μg CpG1001(TCC ATG AGC TTC CTG ACG TT,Krieg 1826);C:5μg β−エスシン(Sigmaから購入);D:50μg CpG1001+5μg β−エスシン;E:5μgグリチルリジン酸(Sigmaから購入);F:50μg CpG1001+5μgグリチルリジン酸中のいずれかに5μgリポ−OspAを含む10μlの溶液(鼻孔当り5μl、ピペットにより滴としてデリバリーされたもの)で、又はG:アルム(50μg)上に吸着された1μgリポ−OspAの筋肉内注射により、(麻酔下で)鼻腔内ブーストした。図5は、上記鼻腔内ブースティングから14日後のOspA特異的−LA2力価を示す。
【0083】
方法
本方法は、実施例1に詳述したものと同じである。
【0084】
結果
β−エスシンとCpGは、全身的LA2 Absの鼻腔内ブースティングを高めるためにシナルジスティックに作用する。この併合は、非経口ブースターよりも高められたAb応答を顕出する。他方において、このようなシナジーは、グリチルリジン酸とCpGの併合によっては得られない。
【0085】
上記の結果及び本特許の先の結果を総合すると、シナルジスティックなやり方で免疫応答を強化するCpG及び異なる溶血性サポニンの能力が示される。
【0086】
実施例4.CpG及び/又はDQS21と配合されたP.falciparum RTS,S及びHIV−1 gp120を用いた免疫原性試験
1.実験概要
2つのマウス免疫原性試験を、CpGオリゴヌクレオチド(CpG)及びQS21の潜在的な付加的又はシナルジスティックな効果を評価するために行った。マウスの群を、CpGとQS21を単独で又は併合して配合されたRTS,Sとgp120で免疫化した。これらのアジュバント併合物を、担体Al(OH)3 又は油/水(o/w)エマルジョンの存在下でもテストした。
【0087】
上記配合物の免疫原性を、2つの非経口免疫化の後に検査した。血清を、抗原−特異的抗体の存在について、及び抗体アイソタイプの分布について分析した。細胞仲介免疫応答を評価するために脾臓細胞を使用した。これらの細胞を、細胞毒性Tリンパ球(CTL)及びリンパ球増殖性(リンパ球増殖)細胞の存在についてテストした。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
2.配合
2.1.実験1
配合方法:
配合物を、各注射の3日前に調製した。必要なとき、RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、100μgのAL(OH)3 上に吸着させた。必要なとき、MPL(5μg)を添加し、そして10倍濃縮PBS pH7.4とH2 Oのミックスとして、バッファー添加の30分前にインキュベートした。但し、それに関してそのバッファーがPO4 ,NaCl 10/150 pH6.8であるところのDQを含まない群を除く。30分後、必要な場合、1/5のQS21/コレステロールの重量比においてリポソームと混合されたQS21(5μg)(DQという)を、上記配合物に添加した。30分後、上記オリゴとの配合のために、100μgのCpGを、保存料として50μg/mlのチオメルサールの添加の30分前に添加した。
【0091】
【表3】
【0092】
インキュベーションは全て、撹乱しながら室温で行った。
【0093】
2.2.実験2
配合方法:
配合を、両注射と同時に行う。1のマウスのための注射の容量は100μlである。50μg/mlのチオメルサールを保存料として添加する。
【0094】
群1:RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH6.8で希釈する。5分後、上記配合物を、CpG1856(100μg)上に吸着させる。
【0095】
群2:RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH7.4で希釈する。30分後、RTS,Sとgp120を、DQ(5μg)上に吸着させる。吸着から30分後、上記配合物をCpG1856(100μg)上に吸着させる。
【0096】
群3:RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH6.8で希釈する。5分後に、上記配合物を、o/wエマルジョン上に吸着させる。吸着から5分後に、上記配合物を、CpG(100μg)の添加前にQS21(5μg)上に吸着させる。
【0097】
3.免疫学的方法
群当り9匹の(Balb/c×C57B1/6)F1マウスが、後肢に、2週間の間隔をあけて2回、2×50μlのワクチンを受容した。2週間後、抗体応答を評価するために血清を得、そして脾臓細胞を収獲して、細胞−仲介免疫応答を測定した。
【0098】
リンパ球増殖分析のために、細胞を、1ml当り2×106 の濃度において96−ウェル丸底マイクロタイター・プレート内で4連で植菌した。細胞を、RTS,S又はgp120抗原の異なる濃度の存在下で、抗生物質、グルタミン、及び1%(v/v)正常マウス血清を補ったRPMI−1640中で72又は96時間培養した。対照細胞を、抗原を伴わずに培養した。次に、上記細胞を、1μCi/ウェルの〔 3H〕−チミジンで一夜パルスし、収獲し、そして取り込まれた放射能を、ベーターカウンター内で測定した。結果を、1分当りの平均カウント数(cpm)として表す。
【0099】
CTL分析のために、細胞を、10μg/mlの、HBsAg CTLエピトープ(Schirmbeck et al., 1995)に対応する合成ペプチドpCMI003(IPQSLDSWWTSL)、又はgp120 CTLエピトープ(Casement et al., 1995)を提示するペプチドpCMI007(GIHIGPGRAFYAARK)の存在下で、6−ウェル・プレート内で7日間培養した。上記培養期間の終わりに、対照細胞とS−トランスフェクトP815細胞を用いて標準的な〔51Cr〕−放出アッセイにおいてHBsAg−特異的細胞溶解活性について2連で、エフェクター細胞を評価した。Gp120−特異的細胞毒性を、未処理で残ったか又はペプチドpCMI007で1時間パルスされたP815標的細胞を用いて、測定した。最小及び最大放出を、それぞれ、エフェクター細胞を伴わない標的細胞を用いて、そして3%(v/v)Triton X−100の添加により、測定した。結果を、%〔51Cr〕−放出((実験培養物のcpm−自然放出のcpm)/(最大放出のcpm−自然放出のcpm))として表す。
【0100】
プールされた血清の滴定及びアイソタイピングを、HbsAgでコートされたプレートを用いて標準的な酵素結合イムノソルベント・アッセイ(ELISA)において行った。血清を1:400から開始してPBS/BSA中で希釈した。Igに特異的なビオチニル化第2抗体又はアイソタイプIgG1,IgG2a、及びIgG2b、その後のホースラディシュ・ペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン・コンジュゲートを、結合抗体の検出のために使用した。ELISA力価を、SoftmaxProによる照会から計算し、そしてELISAユニット(EU/ml)で表した。Gp120−特異的抗体力価を、gp120タンパク質でコートしたプレートを用いて標準的なELISAにおいて測定した。血清を、1:100から開始してPBS/Tween20/BSA中で希釈した。Igについて特異的なビオチニル化第2抗体又はアイソタイプIgG1,IgG2a、及びIgG2b、その後のホースラディシュ・ペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン・コンジュゲートを、結合した抗体の検出のために使用した。力価を、標準的なマウスに関して計算し、そしてμg/mlとして表した。
【0101】
4.結果
実験1
リンパ球増殖応答の分析は、上記群間でRTS,Sに関して有意差を示さなかった。これに反し、両CpGとDQS21を含む群1と3は、CpG又はDQ21単独を含む群よりも良好なgp120−特異的リンパ球増殖応答を示した(図6)。
【0102】
本実験においては、HBsAg−特異的CTLだけが計測された。上記2つのアジュバント成分の中の1だけにより免疫化させた群2及び4と、CpGとDQ21を受容している群1及び3の間に、CTL導入における目立った差異は存在しなかったが、Al(OH)3 の存在は、群1におけるCpGとDQS21の組合せについて観察されたCTL活性を低下させた(図7)。しかしながら、CpGとDQS21がDQS21単独よりも良好であり、そして上記組合せが、CpG単独よりも、Al(OH)3 の存在下でより多くのCTLを誘導したという傾向が存在した(図7)。
【0103】
上記マウスの体液性免疫応答を、HBsAg−特異的抗体の存在についてのみ調べた。力価は、約3倍の増加を示した群3を除く全ての群において類似であった。このことは、Al(OH)3 の存在下、DQS21とCpGの組合せが、CpG単独よりも免疫原性であることを示している(図8)。アイソタイプ分布は、Al(OH)3 −含有群3と4について類似していたが、Al(OH)3 の存在下では、CpGとDQS21の組合せは、DQS単独よりも強いTH1−様アイソタイプ・パターンを誘導した(図8)。
【0104】
実験2
RTS,Sとgp120に特異的なリンパ球増殖応答は、本実験において酷似していた。このデータは、(単独又はo/wエマルジョンとともにある)DQS21の添加が、両抗原に対するリンパ球増殖応答を高めるということを示している(図9)。
【0105】
CTL応答を、両HBsAgとgp120 CTLエピトープ・ペプチドを使用して評価した。両ケースにおいて、CTLは、CpG単独での群1の免疫化の後に検出されることができた(図10)。しかしながら、DQS21の添加は、両抗原についてCTLにおけるかなりの増加をもたらした(図10)。o/wエマルジョンの存在は、DQS21正の効果を中和するか(gp120)又はインビトロ・アッセイのバックグラウンドを増加させた(HBsAg)。
【0106】
HBsAgとgp120に対する抗体応答は、CpGアジュバントへのDQS21の添加により高められた(図11A)。さらなる増加が、o/wエマルジョンが上記配合物中に含まれるときに、観察された(図11A)。CpGへのDQS21の添加は、より顕著なTH1バイアスの方向に、gp120アイソタイプ特性をシフトさせた(図11B)が、HBsAgアイソタイプ特性に対するインパクトは、本実験においてはより目立っていなかった。
【0107】
5.結論
CpGとDQS21の組合せにより配合されたRTS,Sとgp120による免疫化は、強い抗原特異的免疫応答をもたらす。アジュバント成分CpGとDQS21の組合せは、その単一成分に比較して、
−リンパ球増殖応答を高め、
−CTL活性を高め、
−抗体力価及びTH1アイソタイプ・パターンを強化する。
【0108】
実施例5.TCI腫瘍モデルにおけるCpG及び/又はDQS21配合物の治療的能力
1.実験デザイン
4群の、10匹のマウスC57b1/6は、脇腹に0日目に皮下に、10e6(200μl)TCI細胞(E7発現腫瘍細胞)を受容した。
【0109】
次に、マウスは、腫瘍接種後14及び21日目に、2回ワクチン接種され、5μgの配合されたPD1/3E7 HPV16が足部に注射された。腫瘍増殖を個々に週2回計測した。
【0110】
マウスの群:
1.ワクチンなし
2.PD1/3E7+CPG(10μg ODN2006)
3.PD1/3E7+DQS21(0.5μg)
4.PD1/3E7+CPG+DQS21
上記腫瘍増殖を、1周間に2回、個々の腫瘍を計測することによりモニターした。
【0111】
2.配合
配合を、注射の日に行った。1匹のマウスについての注射の容量は100μlであった。必要な場合、PD1/3E7(5μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH7.4で希釈した。5分後、必要な場合、1/5のQS21/コレステロール重量比でリポソームと混合されたQS21(0.5μg)(DQという)を、上記配合物に添加した。30分後、上記オリゴとの配合のために、保存料としての1μg/mlのチオメルサールの添加の30分前に、10μgのCpG(ODN2006)を添加した。
【0112】
【表4】
【0113】
3.結果
時間にわたる10動物の群当りの平均腫瘍成長の評価を図12に示す。10e6 TCI細胞の腫瘍接種を受容した動物の100%が、増殖性の腫瘍を進行性に顕出した。
【0114】
ワクチン接種されていない動物の70〜80%又は、DQS21中のE7タンパク質でワクチン接種された動物が、35日目までに死んだ。
【0115】
DQS21中に配合されたE7タンパク質による2つのワクチン接種は、腫瘍成長に対してほとんど効果をもっていなかった。反対に、2つのワクチン接種、CpGアジュバント中の5μg ProtD 1/3 E7 HPV16によるIFP(14日目と21日目)は、上記の樹立された腫瘍の反転を誘導し、そしてマウスを死から保護した:上記マウスの70〜80%が35日目においてさえ生存していた。
【0116】
2つの免疫刺激剤CPGとDQS21の組合せは、単独で使用されたCpGを僅かに上廻る有益な効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】鼻腔内ブースティングから14日後のOspA特異的IgG力価。
【図2】鼻腔内ブースティングから14日後のOspA特異的LA2力価。
【図3】鼻腔内ブースティングから14日後の血清Flu株特異的IgG力価。
【図4】鼻腔内ブースティングから14日後の血清Flu株特異的血液凝集阻害(HAI)力価。
【図5】マウスにおけるOspA特異的LA2力価。
【図6】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のgp120−特異的リンパ球増殖活性。抗原特異的活性は、全4実験群について異なる抗原濃度についてSIとして表される。
【図7】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−特異的CTL活性。エフェクター細胞活性を、P815細胞(白丸)又はS−トランスフェクトされたP815細胞(黒丸)の51Cr放出を調べることにより評価した。
【図8】免疫化されたマウスにおけるHBsAg−特異的抗体応答。特異的抗体力価(EU/mlとして表す)及びアイソタイプ・プロフィールを、ELISAテストを用いて評価した。プールされた血清からの値を表中に示す。そしてアイソタイプ分布を図に示す。
【図9A】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的リンパ球増殖活性。抗原特異的活性を、全4実験群について異なる抗原濃度として表す。
【図9B】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的リンパ球増殖活性。抗原特異的活性を、全4実験群について異なる抗原濃度として表す。
【図10A】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的CTL活性。エフェクター細胞活性を、対照P815細胞(白記号)又はHBsAg又はgp120 CTLエピトープを提示するP815細胞(黒記号)の51Cr放出を調べることにより評価した。
【図10B】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的CTL活性。エフェクター細胞活性を、対照P815細胞(白記号)又はHBsAg又はgp120 CTLエピトープを提示するP815細胞(黒記号)の51Cr放出を調べることにより評価した。
【図11A】免疫化されたマウスにおけるGp120−特異的及びHbsAg特異的抗体応答。特異的抗体力価(μg/mlで表す)(図11A)及びアイソタイプ・プロフィールをELISAテストを用いて評価した。プールされた血清からの値を表中に示す。そしてアイソタイプ分布を図中に示す。
【図11B】gp120−特異的抗体のアイソタイプ・パターンを示す。
【図12】時間にわたる10動物の群当りの平均腫瘍成長の評価。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワクチン中に使用される新規アジュバント組成物に関する。特に、本発明のアジュバント組成物は、サポニンと免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含み、場合によりさらに担体を含む併合物を含む。本発明により、本発明のアジュバント組成物及び少なくとも1の抗原を含むワクチンも提供される。さらに、本発明のアジュバント組成物及びワクチンの製造方法、並びに医薬としてのそれらの使用も提供される。さらに、本発明は、本発明のワクチンの非経口又は粘膜投与による病気にかかり易い又はかかった個体の治療方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
非メチル化CpGジヌクレオチド(“CpG”)を含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドは全身経路及び粘膜経路により投与されるときアジュバントであるということが、本分野において知られている(WO96/02555, EP 468520, Davis et al., J. Immunol, 1998, 160 (2) : 870-876; McCluskie and Davis, J. Immunol., 1998, 161 (9) : 4463-6)。CpGは、DNA中に存在するシトシン−グアノシン・ジヌクレオチド・モチーフのための略号である。歴史的には、BCGのDNA画分が抗腫瘍効果を発揮することができるということが観察された。さらなる研究において、BCG遺伝子配列由来の合成オリゴヌクレオチドが(インビトロ及びインビボの両者において)免疫刺激効果を誘導することができることが示された。上記研究の著者は、中央CGモチーフを含む特定のパリンドローム配列がこの活性を担持すると結論した。免疫刺激におけるこのCGモチーフの中心的役割は、Kreig, Nature 374, p546 1995により刊行物中に、その後に明らかにされた。詳細な分析は、このCGモチーフが特定の配列文脈内に存在しなければならないこと、そしてこのような配列はバクテリアDNAにおいては一般的であるが脊椎動物DNAにおいては稀であることが示されている。上記免疫刺激性配列は、しばしば:プリン、プリン、C,G、ピリミジン、ピリミジンであり、ここで、上記ジヌクレオチドCGモチーフはメチル化されていないが、他のメチル化されていないCpG配列は免疫刺激性であることが知られており、そして本発明において使用されうる。
【0003】
6ヌクレオチドの特定の組合せ物中に、パリンドローム(palindromic)配列が存在する。これらのモチーフのいくつかは、1のモチーフの反復であるか異なるモチーフの組合せであるかを問わず、同一ヌクレオチド内に存在することができる。オリゴヌクレオチドを含有する上記免疫刺激性配列の中の1以上の存在は、(インターフェロンγを産生し、そして細胞毒性活性をもつ)ナチュラル・キラー細胞、及びマクロファージを含む、さまざまな免疫サブセットを活性化することができる(Wooldrige et al Vol 89 (no. 8), 1977)。但し、このコンセンサス配列をもたない他のメチル化されていないCpG含有配列は今日免疫刺激性であることが示されている。
【0004】
CpGは、ワクチンに配合されるとき、一般に、遊離抗体とともに(WO96/02555; McCluskie and Davis 、前掲)とともに遊離溶液中で投与され、又は抗原と共有結合され(PCT公開番号WO98/16247)、又は水酸化アルミニウムの如き担体と配合される((肝炎表面抗原)Davis et al 、前掲;Brazolot-Millan et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1998, 95 (26), 15553-8)。
【0005】
サポニンは、Lacaille-Dubois, M and Wagner H. (1996, A review of the biological and pharmacological activities of saponins, Phytomedicine vol 2 pp 363-386)中に教示されている。サポニンは、植物及び海洋動物界に広く分布するステロイド又はトリテルペン・グリコシドである。サポニンは、水中コロイド溶液を形成して振とうの間に発泡し、そしてコレステロールを沈澱させることで有名である。サポニンが細胞膜付近にあるとき、それらは、膜が破けることを引き起こす、膜内の多孔様構造を生じさせる。赤血球の溶血は、この現象の一例であり、これは全てではないが特定のサポニンの特性である。
【0006】
サポニンは、全身的投与のためのワクチン中でのワクチンとして知られている。個々のサポニンのアジュバント及び溶血活性は、本分野において詳しく研究されている(Lacaille-Dubois and Wagner、前掲)。例えば、(南アメリカの木、キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮由来の)クイルA(Quil A)、及びその画分が、米国特許第5,057,540号、及び“Saponins as vaccine adjuvants”, Kensil, C.R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2) : 1-55 ;及びEP 0
362 279 B1中に記載されている。
【0007】
Quil Aの画分を含む、免疫刺激性複合体(ISCOMS)といわれる粒子状構造は、溶血性であり、そしてワクチンの製造において使用されてきた(Morein, B., EP 0 109 942 B1)。これらの構造は、アジュバント活性をもつことが報告されている(EP 0
109 942 B1;WO96/11711)。
【0008】
溶血性サポニンQS21とQS17(Quil AのHPLC精製画分)は、強力な全身的アジュバントとして記載されており、そしてそれらの製法は、米国特許第5,057,540号、及びEP 0 362 279 B1中に開示されている。上記文献中には、全身的ワクチンのための強力なアジュバントとして作用するQS7(Quil Aの非溶血性画分)の使用も記載されている。QS21の使用は、さらにKensil et al. (1991. J. Immunology vol 146, 431-437)中に記載されている。QS21とポリソルベート又はシクロデキストリンの併合物も知られている(WO99/10008)。Quil Aの画分、例えば、QS21及びQS7を含む粒子状アジュバント系が、WO96/33739、及びWO96/11711中に記載されている。
【0009】
全身的ワクチン接種において使用されてきた他のサポニンは、他の植物種、例えば、ジプソフィラ(Gypsophila)及びサポナリア(Saponaria)由来のものを含む(Bomford et al., Vaccine, 10 (9) : 572-577, 1992)。
【0010】
サポニンは、粘膜に適用されるワクチン試験において使用されることも知られており、これは、免疫応答の誘導において成功の程度が異なっている。Quil−Aサポニンは、抗原が鼻内に投与されるとき、免疫応答の誘導に対して効果をもたないことが先に示されている(Gizurarson et al. 1994. Vacine Research 3, 23-29)。一方、他の著者は、成功をもって、上記アジュバントを使用している(Maharaj et al., Can. J. Microbiol, 1986, 32 (5) : 414-20; Chavali and Campbell, Immunobiology, 174 (3) : 347-59)。Quil Aサポニンを含むISCOMsは、胃内及び鼻内ワクチン配合物中で使用されており、そしてアジュバント活性を示している(McI Mowat et al., 1991, Immunology, 72, 317-322; McI Mowat and Donachie, Immunology Today, 12, 383-385)。
【0011】
QS21,Quil Aの非毒性画分も、経口又は鼻内アジュバントとして記載されている(Sumino et al., J. Virol., 1998, 72 (6) : 4931-9; WO98/56415)。
【0012】
鼻内ワクチン接種試験における他のサポニンの使用も記載されている。例えば、ケノポジウム・キノア(Chenopodium quinoa)サポニンは、鼻内ワクチン及び胃内ワクチンの両者中で使用されている(Estrada et al., Comp. Immunol. Microbiol. Infect. Dis., 1998, 21 (3) : 225-36)。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、免疫刺激性オリゴヌクレオチド(CpG)とサポニンの併合物が極めて強力なアジュバントであるという驚ろくべき発見に関する。従って、サポニンと免疫刺激性オリゴヌクレオチドの併合物を含むアジュバント組成物が提供される。好ましくは、本発明のアジュバントは、担体をさらに含む。本発明の好ましい形態においては、上記アジュバント及びワクチン組成物中のサポニン及びオリゴヌクレオチドは、抗原特異的抗体の誘導においてシナルジスティックであり、そしてTh1−型免疫系に一般に関係する免疫応答の誘導において強力である。従って、上記アジュバント併合物は、疾患の免疫予防のために好適であるだけでなく、驚ろくべきことに、潜伏期の長いウイルス、バクテリア又は寄生生物感染の如き疾患、そしてまた癌の如き慢性障害の免疫治療のためにも好適である。
【0014】
本発明のアジュバント又はワクチン中での使用のために好ましいオリゴヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも6以上のヌクレオチドにより分離された2以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシヌクレオチドである。好ましい態様においては、上記オリゴヌクレオチド中のインターヌクレオチドは、ホスホロジチオエート、又はより好ましくはホスホロチオエート結合である。但し、ホスホジエステルその他のインターヌクレオチド結合であって、混合インターヌクレオチド結合をもつオリゴヌクレオチドを含むものも本発明の範囲内にある。ホスホロチオエート・オリゴヌクレオチド又はホスホロジチオエートの製造方法は、US 5,666,153、US 5,278,302、及びWO95/26204中に記載されている。
【0015】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列をもつ。上記配列は、好ましくは、ホスホロチオエート修飾インターヌクレオチド結合を含む。
【0016】
オリゴ1(配列番号1):TCC ATG ACG TCC CTG ACG
TT(CpG1826)
オリゴ2(配列番号2):TCT CCC AGC GTG CGC CAT
(CpG1758)
オリゴ3(配列番号3):ACC GAT GAC GTC GCC GGT
GAC GGC ACC ACG
オリゴ4(配列番号4):TCG TCG TTT TGT CGT TTT
GTC GTT(CpG2006)
オリゴ5(配列番号5):TCC ATG ACG TTC CTG ATG
CT(CpG1668)
他のCpGオリゴヌクレオチドは、それらがそれに対する取るに足りない欠失又は付加をもつ点で、上記好ましい配列を含みうる。
【0017】
本発明において使用されるCpGオリゴヌクレオチドは、本分野において知られたいずれかの方法により合成されうる(例えば、EP 468520)。便利には、このようなオリゴヌクレオチドは、自動合成装置を用いて合成されることができる。
【0018】
本発明において用いられるオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシオリゴヌクレオチドである。好ましい態様においては、上記オリゴヌクレオチド内のインターヌクレオチド結合は、ホスホロジチオエート又はより好ましくはホスホロチオエート結合である。但し、ホスホジエステルも本発明の範囲内にある。異なるインターヌクレオチド結合を含むオリゴヌクレオチド、例えば、混合ホスホロチオエート・ホスホジエステルも企図される。上記オリゴヌクレオチドを安定化させる他のインターヌクレオチド結合も使用されうる。
【0019】
本発明のアジュバント併合物中で使用されうるサポニンは、米国特許第5,057,540号及び“Saponins as vaccine adjuvants”, Kensil, C.R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2) : 1-55;及びEP 0 362279 B1中に記載された、Quil Aといわれる、Quillaja Saponaria Molina の樹皮由来のものを含む。Quil Aの特に好ましい画分は、QS21,QS7、及びQS17である。
【0020】
β−エスシン(β−Escin)は、本発明のアジュバント組成物中で使用される他の好ましい溶血性サポニンである。エスシンは、セイヨウトチノキ(horse chestnut tree)、ラテン名:エスキュラス・ヒポカスタナム(Aesculus hippocastanum)の種子中に生じるサポニンの混合物としてthe Merck index (12thed : entry 3737)中に記載されている。その単離は、クロマトグラフィー及び精製(Fiedler, Arzneimittel-Forsch. 4, 213 (1953))、及びイオン交換樹脂(Erbring et al., US 3,238,190)により記載されている。エスシンα及びβの画分は精製されており、そして生物学的に活性であることが示されている(Yoshikawa M, et al. (Chem Pharm Bull (Tokyo) 1996 Aug; 44 (8) : 1454-1464))。β−エスシン(β−escin)は、エスシン(aescin)としても知られている。
【0021】
本発明において使用される他の好ましい溶血性サポニンは、ディギトニン(Digitonin)である。ディギトニンは、ディギタリス・パープレア(Digitalis purpurea)の種子由来であり、そしてGisvold et al., J. Am. Pharm. Assoc., 1934, 23, 664;及びRuhenstroth-Bauer, Physiol. Chem., 1955, 301, 621中に記載される手順に従って精製される、サポニンとしてthe Merck index (12th Edition, entry 3204)中に記載されている。その使用は、コレステロール測定のための臨床試薬として記載されている。
【0022】
本発明のアジュバント併合物は、上記サポニン又はCpG、又は両者が粒子状担体と会合されて上記併合物アジュバント活性を高めることができるように、さらに担体を含むことができる。例えば、特に好ましい全身的ワクチンは、担体分子を含む。
【0023】
本発明のアジュバント併合物中に使用されるCpGは、遊離溶液中にあり、又は粒子状担体、例えば、鉱物塩(例えば、非限定的に、アルミニウム又はカルシウム塩を含む)、リポソーム、ISCOMs、エマルジョン(油/水、水/油、水/油/水)、ポリマー(例えば、非限定的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリホスファジン、ポリアミノ酸、アルギネート、キトサン)又は微粒子に複合体化されることができる。好ましくは、上記担体はカチオン性である。本発明のワクチンは、上記CpG−担体複合体と会合することができ、又は上記CpG−担体複合体と会合することができない抗原をさらに含む。この場合、抗原は、遊離の懸濁液であるか又は別個の担体と会合することができる。
【0024】
本発明の一部を形成するサポニンは、ミセルの形態で別個に存在することができ、又はコレステロール及び脂質と配合されるときISCOMs(EP 0 109 942 B1)又はリポソーム(WO96/33739)の如き大きな次元の構造の形態で存在することができ、又は油/水エマルジョン(WO95/17210)の形態で存在することができる。上記サポニンは、好ましくは、金属塩、例えば水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムと会合されることができる(WO98/15287)。あるいは、上記サポニンは、キトサン(chitosan)の如き粒子状担体と会合されることができる。上記サポニンは、乾燥状態、例えば粉末において存在することもできる。それらが、ワクチン受容者の粘膜表面に投与されるときの形態における最終配合品は、好ましくは、天然において溶血性である。このサポニンは、直接結合を介してか又は同一の粒子状担体分子との共同相互作用(co−interaction)により上記抗原と物理的に会合されてもされなくてもよい(GB9822712.7;WO98/16247)。本発明のアジュバント又はワクチン中の上記CpG及びサポニンは、それ自体、分離され又は会合されることができる。例えば、上記CpG及びサポニンは、遊離懸濁液中にあることができ、又は担体、より好ましくは粒子状担体、例えば、水酸化アルミニウムを介して、又はカチオン・リポソーム又はISCOMにより、会合されることができる。
【0025】
本発明に係る好ましいアジュバント組合せ物は、油/水エマルジョン又はDQを含む群から選ばれる粒子状担体及びQS21と一緒になって、2つの隣接CGモチーフ間に少なくとも3つ、好ましくは少なくとも6つのヌクレオチドを含む1以上のCpGオリゴヌクレオチドから作られる。最も好ましくは、上記アジュバント組合せ物は、QS21、及び油/水エマルジョン又はDQを含む群から選ばれる粒子状担体と混合されて、CpG2006(配列番号4)、又はCpG1758(配列番号2)又はCpG1826(配列番号1)を含む。従って、特に好ましいワクチンは、例えば、上記アジュバント組合せ物及び抗原を含む。本発明の好ましいワクチンは、全身経路を通じて個体に投与された後に全身的免疫応答を生成するために使用される。
【0026】
本発明のアジュバント組合せ物は、全身アジュバント又は粘膜アジュバントの両者として使用されうる。本発明の特別な形態においては、全身的又は非経口経路、例えば、筋中、皮膚内、経皮、皮下、腹腔内又は静血内投与を通じて投与される全身的ワクチンが提供される。好ましい投与経路は、経皮経路を介する、例えば、皮膚パッチによるものである。
【0027】
本発明の全身的ワクチン調製物は、筋中、腹腔内、皮膚内、経皮、静脈内又は皮下投与により上記ワクチンを投与することにより、疾患にかかり易い又はこれにかかった哺乳動物を保護し又は治療するために使用されることができる。上記ワクチン調製物の全身的投与の方法は、慣用のシリンジ及びニードル、又は固体ワクチンの弾道デリバリーのためにデザインされたデバイス(WO99/27961)、又はニードルして圧力液体ジェット・デバイス(US 4,596,556;US 5,993,412)、又は経皮パッチ(WO97/48440;WO98/28037)を含みうる。本発明は、皮膚に適用される抗原の免疫原性を高めるためにも使用されうる(経皮又は(transdermd or transcutaneous)デリバリーWO98/20734;WO98/28037)。それ故、本発明は、本発明のワクチン又はアジュバント組成物で事前に満たされた全身投与のためのデリバリー・デバイスを提供する。従って、個体における免疫応答を誘導する方法であって、投与及び免疫刺激性オリゴヌクレオチド、サポニン、及び担体を含むワクチンを、上記個体に投与することを含み、ここで、上記ワクチンが非経口又は全身的経路を介して投与される、前記方法が提供される。免疫応答を誘導する好ましい方法は、Quil A由来のサポニン、例えば、QS21、及び担体、例えば、油/水エマルジョン、コレステロール含有リポソーム又はアルム(alum)とともに、配列番号1,2,3,4又は5のオリゴヌクレオチドを含むワクチンの投与を含む。
【0028】
あるいは、本発明のワクチン調製物は、上記ワクチンを、粘膜経路、例えば、経口/栄養補給の又は鼻内経路を介しての投与により、病気にかかり易い又はかかった哺乳動物を保護又は治療するために使用されうる。他の粘膜経路は、膣内及び直腸内である。投与の好ましい粘膜経路は、鼻腔内ワクチン接種といわれる鼻内経路を介するものである。鼻内ワクチン接種方法は本分野において周知であり、免疫化されるべき個体の上咽頭内への上記ワクチンの滴、スプレー、又は乾燥粉砕形態の投与を含む。噴霧され又はエアロゾル化されたワクチン配合物も、本発明の一部を形成する。腸溶配合物、例えば、経口投与のための胃耐性カプセル及び粒剤、直腸又は膣投与のための坐剤も本発明の一部を形成する。
【0029】
本発明のアジュバント組合せ物は、粘膜ワクチン接種により全身的ワクチン接種を置き換えるために、ヒトにおける適用のために好適な粘膜アジュバントのクラスを表す。本発明の好ましい形態においては、免疫刺激性オリゴヌクレオチドと組合せて、純粋なサポニン、例えば、Quil A、又はその誘導体であってQS21を含むもの;エスシン;ディギトニン;又はギィプソフィラ(Gypsophila)又はケノポジウム・キノア(Chenopodiumu quinoa)のサポニンが、全身的免疫応答を達成するための抗原の粘膜投与のためのアジュバントとして使用されうる。
【0030】
本発明のアジュバント組合せ物は、前記全身的又は粘膜経路を介して投与されることができる、ワクチンの配合物中で使用されうる。好ましくは、上記ワクチンが粘膜投与のために使用されるとき、上記アジュバント組合せ物は、溶血性サポニンを含む。
【0031】
粘膜投与のためには、本発明の組成物は、好ましくは、溶血性サポニンを含む。本発明の意味においては、溶血性サポニン、又はサポニン調製物は、以下のアッセイを参照して測定されるであろう。
【0032】
1.モルモットから新鮮血液を、デスクトップ遠心分離機内で3回リン酸緩衝液化生理食塩水(PBS)で洗浄する。元の容量まで再懸濁させた後、上記血液をPBS中でさらに10倍希釈する。
【0033】
2.上記血液懸濁液50μlを、界面活性剤又はサポニンの2倍希釈物を含むPBS 800μlに添加する。
【0034】
3.8時間後、溶血を視覚的に又は上記上清の光学密度を計測することにより、評価する。570nmにおいて光を吸収する赤上清の存在は、溶血の存在を示す。
【0035】
4.上記結果は、溶血がもはや生じない最初のサポニン希釈の濃度として表される。
【0036】
本発明の目的のためには、上記サポニン・アジュバント調製物は、それが0.1%未満の濃度において赤血球を溶解する場合、溶血性である。参考として、Quil A,QS21,QS7、ディギトニン、及びβ−エスシンの実質的に純粋なサンプルは、上記アッセイにおいて定義されるとき、全て溶血性サポニンである。このような生物学的アッセイの個有の実験バラツキ内で、本発明のサポニンは、好ましくは、約0.5〜0.00001%の間の、より好ましくは0.05〜0.00001%の間の、さらにより好ましくは0.005〜0.00001%の間の、そして最も好ましくは0.001〜0.0004%の間の溶血活性をもつ。理想的には、上記サポニンは、QS21のものと同様の(すなわち、10倍差異内の)溶血活性をもたなければならない。
【0037】
本発明のワクチンは、経口投与を介して投与されることもできる。このような場合、医薬として許容される賦形剤は、アルカリ・バッファー、又は腸溶カプセル又は微粒剤を含むこともできる。本発明のワクチンは、膣経路により投与されることもできる。この場合、医薬として許容される賦形剤は、乳化剤、ポリマー、例えば、カルボポール(CARBOPOL(商標))、膣クリーム及び坐剤の他の知られた安定剤を含むこともできる。本発明のワクチンは、直腸経路により投与されることもできる。この場合、上記賦形剤は、直腸坐剤を形成することが本分野において知られたワックス及びポリマーを含むこともできる。
【0038】
本発明のアジュバント組合せ物中の2以上のサポニンの調製物も、本発明の一部を形成する。例えば、QS21,QS7,Quil A、β−エスシン、又はディギトニンを含む群から成る少なくとも2つの組合せ物である。さらに、本発明の組成物は、2以上の免疫刺激性オリゴヌクレオチドの組合せ物を含みうる。
【0039】
本発明の類似の態様においては、全身的投与及び粘膜投与の両者のためのCpG/サポニン組合せ物は、モノホスホリル・リピドA及びその非毒性誘導体3−脱−O−アシル化モノホスホリル・リピドAを含む他のアジュバントとさらに併合されることができる。あるいは、上記サポニン配合物は、キトサン又は他のポリカチオン・ポリマー、ポリ乳酸及びポリラクチド−I−ポリグリコリド粒子、ポリ−N−アセチル・グルコサミン−ベースのポリマー・マトリックス、多糖又は化学的に修飾された多糖から成る粒子、リポソーム及び脂質ベースの粒子、グリセロール・モノエステルから作られた粒子、などから作られるワクチン媒体と併合されることができる。上記サポニンは、粒子状構造、例えば、リポソーム又はISCOMsを形成するために、コレステロールの存在下で配合されることもできる。さらに、上記サポニンは、ポリオキシエチレン・エーテル又はエステルと一緒になって、非粒子状溶液又は懸濁液、又は粒子状構築、例えば、小ラメラ(paucilamelar)リポソーム又はISCOMにおいて、配合されることができる。上記サポニンは、賦形剤、例えば、カルボポール(商標)と配合されて、粘度を増加されることもでき、又は粉末賦形剤、例えば、ラクトースとともに、乾燥粉末形態で配合されることができる。
【0040】
3−脱−O−アシル化モノホスホリル・リピドAは、Ribi Immunochem, Montanaにより製造された周知のアジュバントである。それは、GB 2122204B中に教示された方法により調製されうる。3−脱−O−アシル化モノホスホリル・リピドAの好ましい形態は、直径0.2μm未満の小さな粒子サイズをもつエマルジョンの形態にある(EP 0 689 454 B1)。特に好ましいアジュバントは、3D−MPL及びQS21の組合せ物(EP 0 671 948 B1)、3D−MPL及びQS21を含む油/水エマルジョン(WO95/17210,WO98/56414)、又は他の担体と配合された3D−MPL(EP 0 689 454 B1)である。
【0041】
好ましくは、本発明中のワクチン配合物は、ヒト病原体に対して免疫応答を引き出すことのできる抗原又は抗原組成物を含む。そのような抗原又は抗原組成物は:HIV抗原(tat,nef,gp120またはgp160など)、ヒトヘルペスウイルス抗原(gDまたはその誘導体あるいはHSV1またはHSV2由来のICP27などの即時初期タンパク)、サイトメガロウイルス抗原(特にヒトgBまたはその誘導体)、ロタウイルス抗原(生減弱ウイルスを含む)、エプスタイン−バーウイルス抗原(gp350又はその誘導体など)、水疱疹ウイルス抗原(gpI,IIおよびIE63など)から、またはB型肝炎ウイルス(例えばB型肝炎表面抗原又はその誘導体)、A型肝炎ウイルス抗原、C型肝炎ウイルスおよびE型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルスから、あるいは、他のウイルス性病原体、例えばパラミクソウイルス:呼吸器合胞体ウイルス(プロテインFおよびG又はそれらの誘導体など)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、おたふくかぜウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス(例えばHPV6,11,16,18)、フラビウイルス属(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス)またはインフルエンザウイルス抗原から、(全生又は失活ウイルス、スプリット・インフルエンザ・ウイルスであって卵又はMDCK細胞内で増殖したもの、又は全fluウイロソーム(virosome)(R. Gluck, Vaccine, 1992, 10, 915-920により記載されたもの)又はその精製された又は組換えタンパク質、例えばHA,NP,NA、又はMタンパク質、又はその組合せ物)、またはN.gonorrheaおよびN.meningitidisを含むNaisseria spp.(例えば、夾膜多糖及びそれらのコンジュゲート、トランスフェリン−結合プロテイン、ラクトフェリン結合プロテイン、PilC、付着因子用);S.pneumoniae(ストレプトリジンまたはコリン結合プロテイン)、S.pyogenes(例えば、プロテインM又はその断片、C5Aプロテアーゼ、リポテイコ酸)、S.agalactiae,S.mutansを含むStreptococcus spp.;H.ducreyi;Branhamella catarrhalisとしても知られている(例えば、高分子量および低分子量付着因子およびインベーシン)M.catarrhalisを含むMoraxella spp.;B.pertussis(例えばpertactin,pertussistoxin又はその誘導体filamenteous hemagglutinin,adenylate cyclase,fimbriae),B.parapertussisおよびB.bronchisepticaを含むBordetella spp.;M.tuberculosis(例えばESAT6、抗原85A,BまたはC)、M.bovis,M.leprae,M.avium,M.paratuberculosis,M.smegmatisを含むMycobacterium spp.;L.pneumophilaを含むLegionella spp.;enterotoxic E.coli(例えばコロニー形成因子、熱不安定毒素またはその誘導体、熱安定毒素またはその誘導体)、enterohemorragic E.coli,enteropathogenic E.coli(例えば志賀毒素様毒素またはその誘導体)を含むEscherichia spp.;V.cholera(例えばコレラ毒素またはその誘導体)を含むVibrio spp.;S.sonnei,S.dysenteriae,S.flexneriiを含むShigella spp.;Y.enterocolitica(例えばYopプロテイン)、Y.pestis,Y.pseudotuberculosisを含むYersinia spp.;C.jejuni(例えば毒素、付着因子およびインベーシン)およびC.coliを含むCampylobacter spp.;S.typhi,S.paratyphi,S.choleraesuis,S.enteritidisを含むSalmonella spp.;L.monocytogenesを含むListeria spp.;H.pylori(例えばウレアーゼ、カタラーゼ、空胞毒素)を含むHelicobacter spp.;P.aeruginosaを含むPseudomonas spp.;S.aureus,S.epidermidisを含むStaphylococcus spp.;E.faecalis,E.faeciumを含むEnterococcus spp.;C.tetani(例えば破傷風毒素およびその誘導体)、C.botulinum(例えば、ボツリヌス毒素およびその誘導体)、C.difficile(例えばクロストリジウム毒素AまたはBおよびその誘導体)を含むClostridium spp.;B.anthracis(例えばボツリヌス毒素およびその誘導体)を含むBacillus spp.;C.diphtheriae(例えばジフテリア毒素およびその誘導体)を含むCorynebacterium spp.;B.burgdorferi(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB),B.garinii(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB),B.afzelii(例えば、OspA,OspC,DbpA,DbpB),B.andersonii(例えばOspA,OspC,DbpA,DbpB),B.hermssiを含むBorrelia spp.;E.equiおよびHuman Granulocytic Ehrlichiosisの病原体を含むEhrlichia spp.;R.rickettsiiを含むRichettsia spp.;C.trachomatis(例えばMOMP、ヘパリン結合プロテイン)、C.pneumoniae(例えばMOMP、ヘパリン結合プロテイン)、C.psittaciを含むChlamydia spp.;L.interrogansを含むLeptospira spp.;T.pallidum(例えば希少な外膜プロテイン)、T.denticola,T.hyodysenteriaeを含むTreponema spp.から誘導され;又はP.falciparumを含むPlasmodium spp.;T.gondii(例えばSAG2,SAG3,Tg34)を含むToxoplasma spp.;E.histolyticaを含むEntamoeba spp.;B.microtiを含むBabesia spp.;T.cruziを含むTrypanosoma spp.;G.lambliaを含むGiardia spp.;L.majorを含むLeshmania spp.;P.cariniiを含むPneumocystis spp.;T.vaginalisを含むTrichomonas spp.;S.mansoniを含むSchisostoma spp.;などの寄生生物から誘導され;又はC.albicansを含むCandida spp.;C.neoformansを含むCryptococcus spp.などの酵母から誘導される。
【0042】
M.チュバーキュローシス(M.tuberculosis)のための他の好ましい特異的抗原は、例えば、TbRa12,TbH9,TbRa35,Tb38−1,Erd14,DPV,MTI,MSL,mTTC2、及びhTCC1である(WO99/51748)。M.tuberculosisのためのタンパク質は、少なくとも2つの、好ましくは3つの、M.tuberculosisのポリペプチドがより大きなタンパク質に融合されているような融合タンパク質及びその変異体をも含む。好ましい融合物は、Ra12−TbH9−Ra35,Erd14−DPV−MTI,DPV−MTI−MSL,Erd14−DPV−MTI−MSL−mTCC2,Erd14−DPV−MTI−MSL,DPV−MTI−MSL−mTCC2,TbH9−DPV−MTIを含む(WO99/51748)。
【0043】
クラミジアのための最も好ましい抗原は、例えば、高分子量タンパク質(HWHP)(WO99/17741)、ORF3(EP 366412)、及び推定膜タンパク質(Pmps)を含む。ワクチン配合物の他のクラミジア抗原は、WO99/28475中に記載された群から選ばれることができる。
【0044】
好ましいバクテリアのワクチンは、S.ニューモニエ(S.pneumoniae)を含むストレプトコッカス種由来の抗原(例えば、夾膜多糖及びそのコンジュゲート、PsaA,PsaA、ストレプトリジン、コリン結合性タンパク質)、及びタンパク質抗原ニューモリジン(Pneumolysin)(Biochem Biophys Acta, 1989, 62, 1007; Rubins et al., Microbial Pathogenesis, 25, 337-342)、及びその突然変異体解毒誘導体(WO90/06951;WO99/03884)由来の抗原を含む。他の好ましいバクテリア・ワクチンは、H.インフルエンザエB型(例えば、PRP及びそのコンジュゲート)、非分類H.インフルエンザエ(H.influenzae)を含むヘモフィラス(Haemophilus)種、例えば、OMP26、高分子量アドヘシン(adhesins)、P5,P6、プロテインD、及びリポプロテインD及びフィンブリン(fimbrin)及びフィンブリン由来ペプチド(US 5,843,464)又は多コピー変異体又はその融合タンパク質由来の抗原を含む。
【0045】
B型肝炎表面抗原の誘導体は、本分野において周知であり、そしてとりわけ、ヨーロッパ特許出願EP−A−414374;EP−A−0304578、及びEP 198−474中に記載されたようなPreS1,PreS2S抗原を含む。1の好ましい局面においては、本発明のワクチン配合物は、特にCHO細胞内で発現されるとき、HIV−1抗原、gp120を含む。さらなる態様においては、本発明のワクチン配合物は、先に定義したようなgD2tを含む。
【0046】
本発明の好ましい態様においては、請求に係るアジュバントを含有するワクチンは、生殖器いぼの原因であると考えられているヒト乳頭腫ウイルス(HPV)由来の抗原(HPV6又はHPV11その他)、子宮頸癌の原因であるHPVウイルス由来の抗原(HPV16,HPV18その他)を含む。
【0047】
生殖器いぼ(genital wart)の予防又は治療用ワクチンの特に好ましい形態は、L1粒子又はキャプソマー(capsomers)、並びにHPV6及びHPV11タンパク質E6,E7,L1、及びL2から選ばれる1以上の抗原を含む融合タンパク質を含む。
【0048】
融合タンパク質の最も好ましい形態は:WO96/26277中に開示されたようなL2E7、及びGB 9717953.5(PCT/EP98/05285)中に開示されたプロテインD(1/3)−E7である。
【0049】
好ましいHPV子宮頸感染又は癌の、予防又は治療用ワクチン、組成物は、HPV16又は18抗原を含むことができる。例えば、L1又はL2抗原モノマー、又はウイルス様粒子(VLP)として一緒に提示されるL1又はL2抗原、又はVLP又はキャプソマー構造中単独で提示されるL1単独タンパク質。このような抗原、ウイルス様粒子及びキャプソマーは、それ自体知られている。例えば、WO94/00152,WO94/20137,WO94/05792、及びWO93/02184を参照のこと。
【0050】
追加の初期タンパク質は、単独で又は融合タンパク質、例えば、E7,E2又は好ましくはE5として含まれることができ;この特に好ましい態様は、L1E7融合タンパク質を含むVLPを含む(WO96/11272)。
【0051】
特に好ましいHPV16抗原は、HPV16からプロテインD−E6又はE7融合物を作るため、プロテインD担体と融合された初期タンパク質E6又はE7、又はその組合せ物;あるいは、E6又はE7とL2との組合せ物を含む(WO96/26277)。
【0052】
あるいは、HPV16又は18初期タンパク質E6及びE7は、単一分子、好ましくはプロテインD−E6/E7融合物中に提示されることができる。このようなワクチンは、場合により、HPV18からE6タンパク質とE7タンパク質のいずれか又は両者を、好ましくは、プロテインD−E6又はプロテインD−E7融合タンパク質又はプロテインD
E6/E7融合タンパク質の形態で含むことができる。
【0053】
本発明のワクチンは、他のHPV株からの、好ましくは、株HPV31又は33からの抗原をさらに含むことができる。
【0054】
本発明のワクチンは、マラリアを引き起こす寄生生物由来の抗原をさらに含む。例えば、プラスモディア・ファルシパラム(Plasmodia falciparum)からの好ましい抗原は、RTS,S、及びTRAPを含む。RTSは、B型肝炎表面抗原のプレS2部分の4つのアミノ酸を介して、B型肝炎ウイルスの表面(S)抗原に連結されたP.falciparumのサーカムスポロゾイト(circumsporozoite(CS))タンパク質のC末端部分の実質的に全てを含むハイブリッド・タンパク質である。その全体構造は、英国特許出願第9124390.7に基づく優先権を主張するWO93/10152の下で公開された、国際特許出願第PCT/EP92/02591号中に開示されている。酵母内で発現されるとき、RTSは、リポタンパク質粒子として製造され、そしてHBVからのS抗原と同時に発現されるとき、それは、RTS,Sとして知られる混合粒子を製造する。TRAP抗原は、WO90/01496の下で公開された、国際特許出願第PCT/GB89/00895号中に記載されている。本発明の好ましい態様は、その抗原性調製物が、上記RTS,SとTRAP抗原の組合せ物を含むところのマラリア・ワクチンである。マルチステージ・マラリア・ワクチンの成分となるべき候補であろう他のプラスモディウム抗原は、P.falciparum MSP1,AMA1,MSP3,EBA,GLURP,RAP1,RAP2、セクエストリン(Sequestrin)、PfEMP1,Pf332,LSA1,LSA3,STARP,SALSA,PfEXP1,Pfs25,Pfs28,PFS27/25,Pfs16,Pfs48/45,Pfs230、及びプラスモディウム種におけるそれらのアナログである。
【0055】
上記配合物は、抗腫瘍抗原を含み、そして癌の免疫療法処理のために有用であることもできる。例えば、上記アジュバントは、腫瘍拒絶抗原、例えば、前立腺、乳房、結腸直腸、肺、膵臓、腎臓又はメラノーマ癌腫とともに利用される。例示的な抗原は、MAGE1及びMAGE3又は他のMAGE抗原(メラノーマの治療のためのもの)、PRAME,BAGE、又はGAGEを含む(Robbins and Kawakami, 1996, Current Opinions in Immunology 8, pps 628-636; Van den Eynde et al., International Journal of Clinical & Laboratory Research(寄稿1993);Correale et al. (1997), Journal of the National Cancer Institute 89, p293)。実際、これらの抗原は、広い範囲の腫瘍タイプ、例えば、メラノーマ、肺癌、肉腫、及び膀胱癌において発現されている。他の腫瘍特異的抗原が、本発明のアジュバントと共に使用されるために好適であり、そして非限定的に、腫瘍特異的ガングリオシド(gangliosides)、前立腺特異的抗原(PSA)又はHer−2/neu,KSA(GA733),PAP、マンマグロビン(mammaglobin)、MUC−1、癌胎児性抗原(CEA)を含む。従って、本発明の1の局面においては、本発明に係るアジュバント組成物及び腫瘍拒絶抗原を含むワクチンが提供される。
【0056】
本発明の特に好ましい局面は、上記ワクチンが腫瘍抗原を含むということであり;このようなワクチンは、驚ろくべきことに、前立腺、乳、結腸直腸、肺、膵臓、腎臓、卵巣又はメラノーマ癌腫の治療において有用である。従って、配合は、腫瘍関連抗原、並びに腫瘍支持メカニズム(例えば、血管形成、腫瘍浸潤)に関連する抗原を含むことができる。さらに、癌の治療におけるワクチンのための特に関連する抗原は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、チロシナーゼ、スルビビン(survivin)、NY−ESO1、プロスターゼ(prostase)、PS108(WO98/50567),RAGE,LAGE,HAGE、を含むこともできる。さらに、上記抗原は、多くの癌の治療において、又は免疫弱化(immunocastration)において有用である、全長ゴナドトロフィン(Gonadotrophin)ホルモン放出ホルモン(GnRH,WO95/20600)、短い長さ10アミノ酸のペプチドの如き自己ペプチド・ホルモンであることができる。
【0057】
本発明の組成物は、ボレリア種由来の抗原を含有するワクチンを配合するために使用されるであろう。例えば、抗原は、核酸、病原体由来抗原又は抗原性調製物、組換えにより製造されたタンパク質又はペプチド、及びキメラ融合タンパク質を含む。特に、上記抗原はOspAである。上記OspAは、(Lipo−OspA)といわれる宿主細胞(E.coli)による脂質化形態における完全成熟タンパク質又は脂質化されていない誘導体であることができる。このような非脂質化誘導体は、インフルエンザ・ウイルスの非構造タンパク質の最初の81のN末端アミノ酸、及び完全OspAタンパク質、を含む非脂質化NS1−OspA融合タンパク質を含み、そして他のMDP−OspAは、3つの追加のN−末端アミノ酸を担持するOspAの非脂質化形態である。
【0058】
本発明のワクチンは、アレルギーの予防又は治療のために使用されうる。このようなワクチンは、アレルゲン特異的(例えば、DerP1)及びアレルゲン非特異的抗原(例えば、ヒトIgE由来のペプチドであって非限定的にスタンワース・デカペプチド(stanworth decapeptide)を含むもの(EP 0 447 231 B1))を含むであろう。
【0059】
本発明のワクチンは、アレルギー、癌又は感染性疾患以外の慢性障害の予防又は治療のために使用されることもできる。このような慢性障害は、アテローム性動脈硬化症及びアルツハイマー病の如き疾患である。
【0060】
アルツハイマー神経変性疾患にかかり易い又はかかった患者の予防及び治療に関連する抗原は、特に、アミロイド前駆タンパク質のN末端39〜43アミノ酸断片(Aβ)及びより小さな断片である。この抗原は、国際特許出願第WO99/27944−(Athena Neurosciences)中に開示されている。
【0061】
各ワクチン投与量中のタンパク質の量は、典型的なワクチン受容者において、有意な、悪い副作用を伴わずに免疫保護応答を誘導する量として選択される。このような量は、どの特異的免疫原が使用されるか、及びどのようにそれが提示されるかに依存して変動するであろう。一般に、各投与量は、1〜1000μgのタンパク質、好ましくは1〜500μg、好ましくは1〜100μg、最も好ましくは1〜50μgを含むであろうと予想される。特別なワクチンの最適量は、ワクチン接種された対象における適当な免疫応答の観察を含む標準的な試験により確かめられることができる。最初のワクチン接種の後、被験体は、適当に間隔をあけて、1又は数回のブースター免疫感作を受容することができる。このようなワクチン配合物は、プライミング又はブースティング・ワクチン接種処方において哺乳動物の粘膜表面に適用されることができ;又はあるいは、全身的に、例えば、経皮、皮下又は筋中経路を介して、投与されることができる。
【0062】
本発明のアジュバント又はワクチン中のCpG又は免疫刺激性オリゴヌクレオチドの量は、一般に少ないが、そのワクチンの配合に依存して、1〜1000μg/投与、好ましくは1〜500μg/投与、そしてより好ましくは1〜100μg/投与の間の範囲にあることができる。
【0063】
本発明のアジュバント中で使用されるサポニンの量は、1〜1000μg/投与、好ましくは1〜500μg/投与、より好ましくは1〜250μg/投与、そして最も好ましくは1〜100μg/投与の間の範囲内にあることができる。それ故、CpG:サポニンの比(w/w)は、1:1000〜1000:1の範囲内、そして典型的には、1:100〜100:1の範囲内、そして好ましくは、1:10〜1:1又は1:1〜10:1の、そして最も好ましくは1:1,4:1又は10:1の範囲内にあるであろう。
【0064】
本発明の配合物は、両予防及び治療目的のために使用されることができる。従って、ウイルス、バクテリア、寄生生物感染、アレルギー、癌その他の非慢性疾患の予防及び治療のためのワクチンの製造におけるサポニン及びCpG分子の組合せ物の使用が提供される。従って、本発明は、感染性疾患又は癌、又はアレルギー、又は自己免疫疾患にかかり易い又はかかった哺乳動物の治療方法を提供する。本発明のさらなる局面においては、薬物としての使用について本明細書中に記載されるとき、サポニンとCpGを含む、ワクチン又はアジュバント組合せ物が提供される。ワクチン調製物は、一般に、New Trends and Developments in Vaccines, edited by Voller et al., University Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A. 1978 中に記載されている。
【0065】
本発明の組成物は、多種多様な源に由来する抗原を含むワクチンを配合するために使用されるであろうと予想される。例えば、抗原は、ヒト、バクテリア、又はウイルスの核酸、病原体由来抗原又は抗原性調製物、宿主由来抗原であって、IgE由来のペプチド・例えば、IgEのヒスタミン放出性デカペプチド(Stanwarthデカペプチドとして知られるもの)を含むもの、組換え製造タンパク質又はペプチド、及びキメラ融合タンパク質を含む。
【0066】
本発明により、抗原、サポニン、及び免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む全身性ワクチン組成物が提供される。従って、疾患にかかり易い又はかかった個体の全身的経路を通じて本明細書中に実質的に記載するような組成物の投与による上記個体の治療方法が提供される。また、個体が、感染性バクテリア及びウイルス性疾患、寄生生物疾患、前立腺、乳、結腸直腸、肺、膵臓、腎臓、卵巣又はメラノーマ癌;非癌性慢性障害、アレルギー、アルツハイマー、アテローム性動脈硬化症を含む群から選ばれる疾患にかかることを防ぐ方法であって、上記個体の全身的経路を通じて本明細書中に実質的に記載するような組成物の投与を含む前記方法も提供される。
【0067】
あるいは、本発明により、抗原、及び溶血性サポニンを含む粘膜ワクチン組成物が提供される。従って、疾患にかかり易い又はかかった個体の粘膜表面に本明細書中に実質的に記載したような組成物を投与することにより上記個体を治療する方法が提供される。
【0068】
さらに、哺乳動物における全身的な抗原特異的免疫応答を誘導する方法であって、上記哺乳動物の粘膜表面に、抗原及び溶血性サポニンを含む組成物を投与することを含む方法が提供される。さらに、ワクチン又はアジュバントの製造方法であって、サポニンを取り込み、そしてCpG分子を取り込み、そしてそれらを抗原と混合することを含む前記方法も提供される。
【0069】
本発明の組成物中で使用される好適な医薬として許容される賦形剤の例は、水、リン酸緩衝液化生理食塩水、等張性バッファー溶液を含む。
【実施例】
【0070】
本発明は、以下の実施例により説明されるが、これに限定されるものではない。
【0071】
実施例1 リポ−OspAに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングのためのQS21とCpGの使用
本実施例において、我々は、溶解性サポニン、例えば、QS21と免疫刺激剤、例えば、CpGが、シナルジスティックなやり方で、マウスの鼻腔内ブースティング・ワクチン接種に対する全身的免疫学的応答を高めることができたかどうかを調べた。8週齢の雌Balb/cマウス(群当り5動物)を、アルム(alum)(50μg)上に配合されたリポ−OspA(1μg)で筋中免疫化した。3ヶ月後、このマウスを、A:PBS;B:20μg CpG1001(TCC ATG AGC TTC CTG ACG TT,Krieg 1826);C:5μg QS21(Cambridge Biotech, USAから得たもの);D:20μg CpG1001+5μg QS21のいずれかの中に5μgリポ−OspAを含む10μlの溶液(鼻孔当り5μl、ピペットにより滴としてデリバリーされる)を(麻酔下で)鼻腔内で;又はE;アルム(50μg)上に吸着された1μgのリポ−OspAの筋肉内注射により、ブーストした。
【0072】
方法
マウスにおけるOspA−特異的血清IgGの計測のためのELISA
Maxisorp Nuncイムノプレートを、PBS中に希釈した1μg/ml OspA 50μl/ウェル(プレートのB〜H列内)で、又はPBS中5μg/ml精製ヤギ抗−マウスIg(Boerhinger)50μl(A列)で、一夜コートする。上記プレートの空いた場所を、飽和バッファー:1%BSA、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20)、及び4%正常ウシ血清(NBS)を含むPBSを用いて、ブロックする(1時間、37℃)。次に、飽和バッファー(ウェル当り50μl)中で希釈され、そして標準曲線として添加されたIgGアイソタイプ混合物の逐次的2倍希釈物(200ng/mlから出発し、そしてA列内に入れられたSigmaからのマウス・モノクローナル抗体IgG1,IgG2a、及びIgG2bの混合物)、及び(1/100希釈から出発し、そしてB〜H列内に入れられた)血清サンプルを、37℃で1時間30分の間インキュベートする。次に、上記プレートを、洗浄バッファー(PBS、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20))で(3回)洗浄する。次に、飽和バッファー中で1/5000希釈されたビオチニル化ヤギ抗−マウスIgG(Amersham)を、37℃で、1時間30分の間インキュベートする(50μl/ウェル)。3回の洗浄、その後のストレプトアビジン−ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ・コンジュゲート(Amersham)の添加の後、プレートを5回洗浄し、そして顕色バッファー(50mM pH4.5クエン酸バッファー中OPDA 0.4mg/ml(Sigma)及びH2 O2 0.03%)50μl/ウェルとともに、室温で20分間インキュベートする。顕色を、50μl/ウェルH2 SO4 2Nの添加により停止する。光学密度を、Biorad 3550イムノリーダーを用いて492nmと630nmで読む。抗体力価を、SoftMaxProソフトウェアを用いて4変数計算法により計算する。
【0073】
リポ−OspAに対する血清LA2−様抗体力価の計測のための阻害アッセイ
ワクチン受容者における抗体力価を、彼(女)らのLA2−様特異性に関して試験した。LA2は、バクテリアの表面にあるコンホメーショナルなOspAエピトープを認識し、そしてインビトロにおいてB.burgdorferiを殺すことができ、そして実験室で培養されたスピロヘータによる感染に対してマウスを保護することができることが示されているネズミのモノクローナル抗体である(Schaible UE et al. 1990. Proc Natl Acad Sci USA 87 : 3768-3772)。さらに、LA−2 mabは、殺バクテリア抗体と相関することが示されており、そしてヒト血清についての研究は、(ELISAにより計測されるとき)合計抗−OspA IgG力価とLA2力価との間の良い相関をも示している。Maxisorp Nuncイムノプレートを、PBS水で希釈した0.5μg/mlリポOspA 50μl/ウェルで4℃において一夜コートする。空いた場所を、飽和バッファー(100μl/ウェルの飽和バッファー:PBS/BSA 1%/Tween20
0.1%/NBS 4%)で、37℃において1時間ブロックした。4μg/mlから開始するLA2モノクローナルAb(mAb)の逐次的2倍希釈物を、標準曲線を作るために、飽和バッファー中で希釈した(ウェル当り50μl)。(1/10希釈から開始する)ワクチン受容者からの血清サンプルの希釈物も添加し、そして上記プレートを37℃で2時間インキュベートした。上記プレートを、PBS/TWEEN20(0.1%)で3回のインキュベーションの後に洗浄した。飽和バッファー中で希釈したLA2 mAb−ペルオキシダーゼ・コンジュゲート(1/10,000)を、各ウェルに添加し(50μl/ウェル)、そして37℃で1時間インキュベートした。5回の洗浄後、プレートを、50μl/ウェルの顕色バッファー(50mM pH4.5クエン酸バッファー中OPDA 0.4mg/ml及びH2 O2 0.03%)で、(暗所で)室温において20分間インキュベートする。上記反応及び色の形成を、H2 SO4 2Nで停止した。光学密度を、Biorad 3550イムノリーダーを用いて、492nmと630nmで読む。LA2−様Ab力価を、SoftMaxProソフトウェアを用いて4変数計算方法により計算する。LA2−様抗体力価を、上記標準曲線との比較により測定した。
【0074】
結果
CpGとQS21は、リポ−OspAに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングを有意に改善する。さらに、両アジュバントが併合されるとき、特に、LA2抗体に関して、上記応答に対するシナルジスティックな効果が明らかに証明される。QS21とCpGの存在下で顕出される体液性応答は、非経口的ブースターにより誘導されたものよりも有意に高い。これらの結果を総合すると、上記結果は、溶解性サポニンと免疫刺激剤を併合する鼻腔内配合物の能力をはっきりと示している。
【0075】
実施例2.インフルエンザ・ウイルスに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングを強化するためのQS21とCpGのシナルジスティックな組合せ
本実施例において、我々は、溶血性サポニン、例えば、QS21(実施例を参照のこと)、及び免疫刺激剤、例えば、CpGが、失活全インフルエンザ・ウイルスで鼻腔内プライムされたマウスにおける全身的抗体の鼻腔内ブーストをシナルジスティックなやり方で高めることができたかどうかを調べた。
【0076】
8週齢の雌Balb/cマウス(群当り10動物)を、ヒトにおいて生じる天然のプライミングを真似るために、β−プロピオラクトン失活3価全インフルエンザ・ウイルス(A/北京/262/95;A/ヨハネスブルグ/33/94;B/パナマ/45/90;5μgHA/株)で鼻腔内プライムした。28日後、上記マウスを、A:PBS;B:50μg CpG(TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT,Krieg 2006);C:4.5μg QS21(Cambridge Biotech, USAから得られたもの);D:50μg CpG+4.5μg QS21のいずれかの中に1.5μgHA/株の、β−プロピオラクトン失活3価全インフルエンザ・ウイルス(上記プライミング免疫化におけるものと同一のもの)を含む20μlの溶液(鼻孔当り10μl、ピペットにより滴としてデリバリーされたもの)で;又は、E:1.5μgHA/株の3価スプリット・インフルエンザ・ウイルスの筋中注射(上記プライミング免疫化におけるものと同一の株)により、(麻酔下で)鼻腔内ブーストした。Flu抗原は、SSD GmBH製造者(Dresden,Germany)により供給された。
【0077】
図3と図4は、上記鼻腔内ブースティングから14日後における、上記血清Flu株特異的IgG力価及び血液凝集阻害(HAI)力価を示す。
【0078】
方法
マウスにおける抗−インフルエンザIgG力価の計測のためのELISA
Maxisorp Nuncイムノプレートを、PBS中に希釈した50μl/ウェルの、1μg/mlの全インフルエンザ・ウイルス抗原(プレートのB〜H列内)で、又はPBS中5μg/ml精製ヤギ抗−マウスIg(Boerhinger)50μl(A列)で、一夜コートする。上記プレートの空いた場所を、飽和バッファー:1%BSA、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20)、及び4%正常ウシ血清(NBS)を含むPBSを用いて、ブロックする(1時間、37℃)。次に、飽和バッファー(ウェル当り50μl)中で希釈され、そして標準曲線として添加されたIgGアイソタイプ混合物の逐次的2倍希釈物(200ng/mlから出発し、そしてA列内に入れられたSigmaからのマウス・モノクローナル抗体IgG1,IgG2a、及びIgG2bの混合物)、及び(1/100希釈から出発し、そしてB〜H列内に入れられた)血清サンプルを、37℃で1時間30分の間インキュベートする。次に、上記プレートを、洗浄バッファー(PBS、0.1%ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(TWEEN20))で(3回)洗浄する。次に、飽和バッファー中で1/5000希釈されたビオチニル化ヤギ抗−マウスIgG(Amersham)を、37℃で、1時間30分の間インキュベートする(50μl/ウェル)。3回の洗浄、その後のストレプトアビジン−ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ・コンジュゲート(Amersham)の添加の後、プレートを5回洗浄し、そして顕色バッファー(50mM pH4.5クエン酸バッファー中OPDA 0.4mg/ml(Sigma)及びH2 O2 0.03%)50μl/ウェルとともに、室温で20分間インキュベートする。顕色を、50μl/ウェルH2 SO4 2Nの添加により停止する。光学密度を、Biorad 3550イムノリーダーを用いて492nmと630nmで読む。抗体力価を、SoftMaxProソフトウェアを用いて4変数計算法により計算する。β−プロピオラクトン(BPL)で失活させた、上記コーティングのために使用された全インフルエンザ・ウイルス(株A/北京/262/95)は、SSD GmBH製造者(Dresden,Germany)により供給される。
【0079】
マウスにおけるFlu−特異的血清Absの血液凝集阻害(HemAgglutination Inhibition(HAI)活性)
血清(25μl)を、室温(RT)で20分間、100μlのボレート0.5Mバッファー(pH9)及び125μl Dade Behring−購入カオリン(kaolin)でまず処理する。遠心分離(30分間、3000RPM又は860g)の後、(上記血清の1/10希釈物に対応する)100μl上清を取り、そして0.5%ニワトリ赤血球とともに4℃で1時間インキュベートする。上清を、3200RPMで10分間の遠心分離の後に集める(970g)。両操作を、上記血清中に含まれる天然の血液凝集性因子を除去するために行う。次に、25μlの処理された血清を、96ウェルGreinerプレート内の25μl PBS中で希釈する(1/20から出発する逐次的2倍希釈物)。BPL失活全ウイルスを、撹乱下RTにおいて30分間、4血清凝集ユニットの濃度において(すなわち、赤血球の凝集を引き起こす最後のものよりも4倍低い希釈において)添加する(25μl/ウェル)。次にニワトリの赤血球をRTで1時間添加する(25μl/ウェル)。最後に、プレートを、読む前に4℃で一夜保つ。HAI力価は、上記ウイルス誘導血液凝集を阻害する最後の血清希釈に対応する。
【0080】
結果
CpGとQS21は、Flu株に対するIgG又はHAI抗体の鼻腔内ブースティングを改善しない。しかしながら、両アジュバントが併合されるとき、上記応答に対するシナルジスティックな効果が明らかに証明される。QS21とCpGの存在下で顕出されるHAI応答は、非経口ブースターにより誘導されるものよりもさらに類似する。これらの結果は、溶血性サポニン及び免疫刺激剤を併合する鼻腔内配合物の能力を確認する。それらは、また、いくつかのCpG配列がこの文脈において効率的であることができるということをも示す(本実施例におけるKrieg 2006、及び実施例3と5におけるKrieg 1826)。
【0081】
実施例3.リポ−OspAに対する全身的抗体の鼻腔内ブースティングを高めるためのβ−エスシンとCpGのシナルジスティックな併合
我々は本実施例において、QS21とCpGの間に観察されるものよりも類似するシナジーが、他の溶血性サポニン(実施例参照)、例えば、β−エスシンとともに観察されることができる可能性を評価する。非溶血性サポニン、グリチルリジン酸(glycyrrhizic acid)もテストする。
【0082】
8週齢の雌Balb/cマウス(群当り6動物)を、アルム(50μg)上に配合されたリポ−OspA(1μg)で筋肉内にプライムした。3ヶ月後、上記マウスを、A:PBS;B:50μg CpG1001(TCC ATG AGC TTC CTG ACG TT,Krieg 1826);C:5μg β−エスシン(Sigmaから購入);D:50μg CpG1001+5μg β−エスシン;E:5μgグリチルリジン酸(Sigmaから購入);F:50μg CpG1001+5μgグリチルリジン酸中のいずれかに5μgリポ−OspAを含む10μlの溶液(鼻孔当り5μl、ピペットにより滴としてデリバリーされたもの)で、又はG:アルム(50μg)上に吸着された1μgリポ−OspAの筋肉内注射により、(麻酔下で)鼻腔内ブーストした。図5は、上記鼻腔内ブースティングから14日後のOspA特異的−LA2力価を示す。
【0083】
方法
本方法は、実施例1に詳述したものと同じである。
【0084】
結果
β−エスシンとCpGは、全身的LA2 Absの鼻腔内ブースティングを高めるためにシナルジスティックに作用する。この併合は、非経口ブースターよりも高められたAb応答を顕出する。他方において、このようなシナジーは、グリチルリジン酸とCpGの併合によっては得られない。
【0085】
上記の結果及び本特許の先の結果を総合すると、シナルジスティックなやり方で免疫応答を強化するCpG及び異なる溶血性サポニンの能力が示される。
【0086】
実施例4.CpG及び/又はDQS21と配合されたP.falciparum RTS,S及びHIV−1 gp120を用いた免疫原性試験
1.実験概要
2つのマウス免疫原性試験を、CpGオリゴヌクレオチド(CpG)及びQS21の潜在的な付加的又はシナルジスティックな効果を評価するために行った。マウスの群を、CpGとQS21を単独で又は併合して配合されたRTS,Sとgp120で免疫化した。これらのアジュバント併合物を、担体Al(OH)3 又は油/水(o/w)エマルジョンの存在下でもテストした。
【0087】
上記配合物の免疫原性を、2つの非経口免疫化の後に検査した。血清を、抗原−特異的抗体の存在について、及び抗体アイソタイプの分布について分析した。細胞仲介免疫応答を評価するために脾臓細胞を使用した。これらの細胞を、細胞毒性Tリンパ球(CTL)及びリンパ球増殖性(リンパ球増殖)細胞の存在についてテストした。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
2.配合
2.1.実験1
配合方法:
配合物を、各注射の3日前に調製した。必要なとき、RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、100μgのAL(OH)3 上に吸着させた。必要なとき、MPL(5μg)を添加し、そして10倍濃縮PBS pH7.4とH2 Oのミックスとして、バッファー添加の30分前にインキュベートした。但し、それに関してそのバッファーがPO4 ,NaCl 10/150 pH6.8であるところのDQを含まない群を除く。30分後、必要な場合、1/5のQS21/コレステロールの重量比においてリポソームと混合されたQS21(5μg)(DQという)を、上記配合物に添加した。30分後、上記オリゴとの配合のために、100μgのCpGを、保存料として50μg/mlのチオメルサールの添加の30分前に添加した。
【0091】
【表3】
【0092】
インキュベーションは全て、撹乱しながら室温で行った。
【0093】
2.2.実験2
配合方法:
配合を、両注射と同時に行う。1のマウスのための注射の容量は100μlである。50μg/mlのチオメルサールを保存料として添加する。
【0094】
群1:RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH6.8で希釈する。5分後、上記配合物を、CpG1856(100μg)上に吸着させる。
【0095】
群2:RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH7.4で希釈する。30分後、RTS,Sとgp120を、DQ(5μg)上に吸着させる。吸着から30分後、上記配合物をCpG1856(100μg)上に吸着させる。
【0096】
群3:RTS,S(10μg)とgp120(10μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH6.8で希釈する。5分後に、上記配合物を、o/wエマルジョン上に吸着させる。吸着から5分後に、上記配合物を、CpG(100μg)の添加前にQS21(5μg)上に吸着させる。
【0097】
3.免疫学的方法
群当り9匹の(Balb/c×C57B1/6)F1マウスが、後肢に、2週間の間隔をあけて2回、2×50μlのワクチンを受容した。2週間後、抗体応答を評価するために血清を得、そして脾臓細胞を収獲して、細胞−仲介免疫応答を測定した。
【0098】
リンパ球増殖分析のために、細胞を、1ml当り2×106 の濃度において96−ウェル丸底マイクロタイター・プレート内で4連で植菌した。細胞を、RTS,S又はgp120抗原の異なる濃度の存在下で、抗生物質、グルタミン、及び1%(v/v)正常マウス血清を補ったRPMI−1640中で72又は96時間培養した。対照細胞を、抗原を伴わずに培養した。次に、上記細胞を、1μCi/ウェルの〔 3H〕−チミジンで一夜パルスし、収獲し、そして取り込まれた放射能を、ベーターカウンター内で測定した。結果を、1分当りの平均カウント数(cpm)として表す。
【0099】
CTL分析のために、細胞を、10μg/mlの、HBsAg CTLエピトープ(Schirmbeck et al., 1995)に対応する合成ペプチドpCMI003(IPQSLDSWWTSL)、又はgp120 CTLエピトープ(Casement et al., 1995)を提示するペプチドpCMI007(GIHIGPGRAFYAARK)の存在下で、6−ウェル・プレート内で7日間培養した。上記培養期間の終わりに、対照細胞とS−トランスフェクトP815細胞を用いて標準的な〔51Cr〕−放出アッセイにおいてHBsAg−特異的細胞溶解活性について2連で、エフェクター細胞を評価した。Gp120−特異的細胞毒性を、未処理で残ったか又はペプチドpCMI007で1時間パルスされたP815標的細胞を用いて、測定した。最小及び最大放出を、それぞれ、エフェクター細胞を伴わない標的細胞を用いて、そして3%(v/v)Triton X−100の添加により、測定した。結果を、%〔51Cr〕−放出((実験培養物のcpm−自然放出のcpm)/(最大放出のcpm−自然放出のcpm))として表す。
【0100】
プールされた血清の滴定及びアイソタイピングを、HbsAgでコートされたプレートを用いて標準的な酵素結合イムノソルベント・アッセイ(ELISA)において行った。血清を1:400から開始してPBS/BSA中で希釈した。Igに特異的なビオチニル化第2抗体又はアイソタイプIgG1,IgG2a、及びIgG2b、その後のホースラディシュ・ペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン・コンジュゲートを、結合抗体の検出のために使用した。ELISA力価を、SoftmaxProによる照会から計算し、そしてELISAユニット(EU/ml)で表した。Gp120−特異的抗体力価を、gp120タンパク質でコートしたプレートを用いて標準的なELISAにおいて測定した。血清を、1:100から開始してPBS/Tween20/BSA中で希釈した。Igについて特異的なビオチニル化第2抗体又はアイソタイプIgG1,IgG2a、及びIgG2b、その後のホースラディシュ・ペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン・コンジュゲートを、結合した抗体の検出のために使用した。力価を、標準的なマウスに関して計算し、そしてμg/mlとして表した。
【0101】
4.結果
実験1
リンパ球増殖応答の分析は、上記群間でRTS,Sに関して有意差を示さなかった。これに反し、両CpGとDQS21を含む群1と3は、CpG又はDQ21単独を含む群よりも良好なgp120−特異的リンパ球増殖応答を示した(図6)。
【0102】
本実験においては、HBsAg−特異的CTLだけが計測された。上記2つのアジュバント成分の中の1だけにより免疫化させた群2及び4と、CpGとDQ21を受容している群1及び3の間に、CTL導入における目立った差異は存在しなかったが、Al(OH)3 の存在は、群1におけるCpGとDQS21の組合せについて観察されたCTL活性を低下させた(図7)。しかしながら、CpGとDQS21がDQS21単独よりも良好であり、そして上記組合せが、CpG単独よりも、Al(OH)3 の存在下でより多くのCTLを誘導したという傾向が存在した(図7)。
【0103】
上記マウスの体液性免疫応答を、HBsAg−特異的抗体の存在についてのみ調べた。力価は、約3倍の増加を示した群3を除く全ての群において類似であった。このことは、Al(OH)3 の存在下、DQS21とCpGの組合せが、CpG単独よりも免疫原性であることを示している(図8)。アイソタイプ分布は、Al(OH)3 −含有群3と4について類似していたが、Al(OH)3 の存在下では、CpGとDQS21の組合せは、DQS単独よりも強いTH1−様アイソタイプ・パターンを誘導した(図8)。
【0104】
実験2
RTS,Sとgp120に特異的なリンパ球増殖応答は、本実験において酷似していた。このデータは、(単独又はo/wエマルジョンとともにある)DQS21の添加が、両抗原に対するリンパ球増殖応答を高めるということを示している(図9)。
【0105】
CTL応答を、両HBsAgとgp120 CTLエピトープ・ペプチドを使用して評価した。両ケースにおいて、CTLは、CpG単独での群1の免疫化の後に検出されることができた(図10)。しかしながら、DQS21の添加は、両抗原についてCTLにおけるかなりの増加をもたらした(図10)。o/wエマルジョンの存在は、DQS21正の効果を中和するか(gp120)又はインビトロ・アッセイのバックグラウンドを増加させた(HBsAg)。
【0106】
HBsAgとgp120に対する抗体応答は、CpGアジュバントへのDQS21の添加により高められた(図11A)。さらなる増加が、o/wエマルジョンが上記配合物中に含まれるときに、観察された(図11A)。CpGへのDQS21の添加は、より顕著なTH1バイアスの方向に、gp120アイソタイプ特性をシフトさせた(図11B)が、HBsAgアイソタイプ特性に対するインパクトは、本実験においてはより目立っていなかった。
【0107】
5.結論
CpGとDQS21の組合せにより配合されたRTS,Sとgp120による免疫化は、強い抗原特異的免疫応答をもたらす。アジュバント成分CpGとDQS21の組合せは、その単一成分に比較して、
−リンパ球増殖応答を高め、
−CTL活性を高め、
−抗体力価及びTH1アイソタイプ・パターンを強化する。
【0108】
実施例5.TCI腫瘍モデルにおけるCpG及び/又はDQS21配合物の治療的能力
1.実験デザイン
4群の、10匹のマウスC57b1/6は、脇腹に0日目に皮下に、10e6(200μl)TCI細胞(E7発現腫瘍細胞)を受容した。
【0109】
次に、マウスは、腫瘍接種後14及び21日目に、2回ワクチン接種され、5μgの配合されたPD1/3E7 HPV16が足部に注射された。腫瘍増殖を個々に週2回計測した。
【0110】
マウスの群:
1.ワクチンなし
2.PD1/3E7+CPG(10μg ODN2006)
3.PD1/3E7+DQS21(0.5μg)
4.PD1/3E7+CPG+DQS21
上記腫瘍増殖を、1周間に2回、個々の腫瘍を計測することによりモニターした。
【0111】
2.配合
配合を、注射の日に行った。1匹のマウスについての注射の容量は100μlであった。必要な場合、PD1/3E7(5μg)を、等張性のためにH2 OとPBS pH7.4で希釈した。5分後、必要な場合、1/5のQS21/コレステロール重量比でリポソームと混合されたQS21(0.5μg)(DQという)を、上記配合物に添加した。30分後、上記オリゴとの配合のために、保存料としての1μg/mlのチオメルサールの添加の30分前に、10μgのCpG(ODN2006)を添加した。
【0112】
【表4】
【0113】
3.結果
時間にわたる10動物の群当りの平均腫瘍成長の評価を図12に示す。10e6 TCI細胞の腫瘍接種を受容した動物の100%が、増殖性の腫瘍を進行性に顕出した。
【0114】
ワクチン接種されていない動物の70〜80%又は、DQS21中のE7タンパク質でワクチン接種された動物が、35日目までに死んだ。
【0115】
DQS21中に配合されたE7タンパク質による2つのワクチン接種は、腫瘍成長に対してほとんど効果をもっていなかった。反対に、2つのワクチン接種、CpGアジュバント中の5μg ProtD 1/3 E7 HPV16によるIFP(14日目と21日目)は、上記の樹立された腫瘍の反転を誘導し、そしてマウスを死から保護した:上記マウスの70〜80%が35日目においてさえ生存していた。
【0116】
2つの免疫刺激剤CPGとDQS21の組合せは、単独で使用されたCpGを僅かに上廻る有益な効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】鼻腔内ブースティングから14日後のOspA特異的IgG力価。
【図2】鼻腔内ブースティングから14日後のOspA特異的LA2力価。
【図3】鼻腔内ブースティングから14日後の血清Flu株特異的IgG力価。
【図4】鼻腔内ブースティングから14日後の血清Flu株特異的血液凝集阻害(HAI)力価。
【図5】マウスにおけるOspA特異的LA2力価。
【図6】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のgp120−特異的リンパ球増殖活性。抗原特異的活性は、全4実験群について異なる抗原濃度についてSIとして表される。
【図7】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−特異的CTL活性。エフェクター細胞活性を、P815細胞(白丸)又はS−トランスフェクトされたP815細胞(黒丸)の51Cr放出を調べることにより評価した。
【図8】免疫化されたマウスにおけるHBsAg−特異的抗体応答。特異的抗体力価(EU/mlとして表す)及びアイソタイプ・プロフィールを、ELISAテストを用いて評価した。プールされた血清からの値を表中に示す。そしてアイソタイプ分布を図に示す。
【図9A】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的リンパ球増殖活性。抗原特異的活性を、全4実験群について異なる抗原濃度として表す。
【図9B】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的リンパ球増殖活性。抗原特異的活性を、全4実験群について異なる抗原濃度として表す。
【図10A】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的CTL活性。エフェクター細胞活性を、対照P815細胞(白記号)又はHBsAg又はgp120 CTLエピトープを提示するP815細胞(黒記号)の51Cr放出を調べることにより評価した。
【図10B】免疫化されたマウスからの脾臓細胞のHBsAg−及びgp120−特異的CTL活性。エフェクター細胞活性を、対照P815細胞(白記号)又はHBsAg又はgp120 CTLエピトープを提示するP815細胞(黒記号)の51Cr放出を調べることにより評価した。
【図11A】免疫化されたマウスにおけるGp120−特異的及びHbsAg特異的抗体応答。特異的抗体力価(μg/mlで表す)(図11A)及びアイソタイプ・プロフィールをELISAテストを用いて評価した。プールされた血清からの値を表中に示す。そしてアイソタイプ分布を図中に示す。
【図11B】gp120−特異的抗体のアイソタイプ・パターンを示す。
【図12】時間にわたる10動物の群当りの平均腫瘍成長の評価。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
QS21,3D−MPL、及び免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってプリン、プリン、C,G、ピリミジン、ピリミジンの配列を含むものを含むアジュバント組成物。
【請求項2】
前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT(配列番号1);TCT CCC AGC GTG CGC CAT(配列番号2);ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG(配列番号3);TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT(配列番号4);TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT(配列番号5)から成る群から選ばれる、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項3】
前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、少なくとも3つのヌクレオチドにより分離された少なくとも2つのメチル化されていないCGリピートを含む、請求項1又は2に記載のアジュバント組成物。
【請求項4】
前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、少なくとも2つのメチル化されていないCGリピートであって6つのヌクレオチドにより分離されているものを含む、請求項3に記載のアジュバント組成物。
【請求項5】
担体をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項6】
前記担体が、無機塩、エマルジョン、ポリマー、リポソーム、ISCOMsから選ばれる粒子状担体である、請求項5に記載のアジュバント組成物。
【請求項7】
抗原をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアジュバント組成物を含むワクチン組成物。
【請求項8】
前記抗原が、ヒト免疫不全ウイルス、水疱瘡ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒト・サイトメガロウイルス、デング病(Dengue)ウイルス、A型、B型、C型又はE型肝炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、インフルエンザ・ウイルス、Hib、髄膜炎ウイルス、サルモネラ、ナイセリア、ボレリア、クラミジア、ボルデテラ、ストレプトコッカス、マイコプラズマ、マイコバクテリア、ヘモフィラス、プラスモディウム又はトキソプラズマ、スタンワース(stanworth)デカペプチドから成る群から選ばれる生物由来;又は腫瘍関連抗原(TAA)、MAGE,BAGE,GAGE,MUC−1,Her−2−neu,CEA,PSA,KSA、又はPRAME;又は自己ペプチド・ホルモン、GnRHである、請求項7に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記抗原が、(a)腫瘍関連抗原PSMA,PSCA、チロシナーゼ、スルビビン(survivin)、NY−ESO1、プロスターゼ(prostase)、PS108,RAGE,LAGE,HAGE;(b)ミエロイド前駆タンパク質のN末端39〜43アミノ酸断片(Aβ);又は(c)アテローム性動脈硬化症に関連する抗原、から成る群に由来する、請求項7に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
前記ワクチンが全身的に投与される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記ワクチンが粘膜に投与される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物を予め充填されたデリバリー・デバイスであって、当該ワクチン組成物を全身的に投与するように設計されているもの。
【請求項13】
医薬として使用される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項14】
ウイルス、バクテリア、寄生生物感染、アレルギー、癌又は他の慢性失調の予防又は治療のためのワクチンの製造における、QS21と、3D−MPLと、免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってプリン、プリン、C,G、ピリミジン、ピリミジンの配列を含むものとの組合せ使用。
【請求項1】
QS21,3D−MPL、及び免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってプリン、プリン、C,G、ピリミジン、ピリミジンの配列を含むものを含むアジュバント組成物。
【請求項2】
前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT(配列番号1);TCT CCC AGC GTG CGC CAT(配列番号2);ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG(配列番号3);TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT(配列番号4);TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT(配列番号5)から成る群から選ばれる、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項3】
前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、少なくとも3つのヌクレオチドにより分離された少なくとも2つのメチル化されていないCGリピートを含む、請求項1又は2に記載のアジュバント組成物。
【請求項4】
前記免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、少なくとも2つのメチル化されていないCGリピートであって6つのヌクレオチドにより分離されているものを含む、請求項3に記載のアジュバント組成物。
【請求項5】
担体をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項6】
前記担体が、無機塩、エマルジョン、ポリマー、リポソーム、ISCOMsから選ばれる粒子状担体である、請求項5に記載のアジュバント組成物。
【請求項7】
抗原をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアジュバント組成物を含むワクチン組成物。
【請求項8】
前記抗原が、ヒト免疫不全ウイルス、水疱瘡ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒト・サイトメガロウイルス、デング病(Dengue)ウイルス、A型、B型、C型又はE型肝炎ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、インフルエンザ・ウイルス、Hib、髄膜炎ウイルス、サルモネラ、ナイセリア、ボレリア、クラミジア、ボルデテラ、ストレプトコッカス、マイコプラズマ、マイコバクテリア、ヘモフィラス、プラスモディウム又はトキソプラズマ、スタンワース(stanworth)デカペプチドから成る群から選ばれる生物由来;又は腫瘍関連抗原(TAA)、MAGE,BAGE,GAGE,MUC−1,Her−2−neu,CEA,PSA,KSA、又はPRAME;又は自己ペプチド・ホルモン、GnRHである、請求項7に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記抗原が、(a)腫瘍関連抗原PSMA,PSCA、チロシナーゼ、スルビビン(survivin)、NY−ESO1、プロスターゼ(prostase)、PS108,RAGE,LAGE,HAGE;(b)ミエロイド前駆タンパク質のN末端39〜43アミノ酸断片(Aβ);又は(c)アテローム性動脈硬化症に関連する抗原、から成る群に由来する、請求項7に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
前記ワクチンが全身的に投与される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記ワクチンが粘膜に投与される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン組成物を予め充填されたデリバリー・デバイスであって、当該ワクチン組成物を全身的に投与するように設計されているもの。
【請求項13】
医薬として使用される、請求項7〜9のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項14】
ウイルス、バクテリア、寄生生物感染、アレルギー、癌又は他の慢性失調の予防又は治療のためのワクチンの製造における、QS21と、3D−MPLと、免疫刺激性オリゴヌクレオチドであってプリン、プリン、C,G、ピリミジン、ピリミジンの配列を含むものとの組合せ使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公開番号】特開2008−63342(P2008−63342A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291459(P2007−291459)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【分割の表示】特願2000−611936(P2000−611936)の分割
【原出願日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【分割の表示】特願2000−611936(P2000−611936)の分割
【原出願日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]