説明

ワクチン

本発明の分野は肺炎球菌莢膜サッカリドコンジュゲートワクチンである。具体的には、異なる肺炎球菌血清型由来の様々な(例えば9種以上の)コンジュゲートした莢膜サッカリド類とともに、80、70、60、50、40、30、20、15または10%以下O-アセチル化したコンジュゲートした莢膜サッカリド18Cを含む、多価肺炎球菌免疫原性組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された肺炎球菌(Streptococcus pneumonia)ワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
2歳未満の乳幼児はほとんどの多糖ワクチンに対して免疫応答を示さないために、タンパク質担体との化学的コンジュゲーションによって多糖を免疫原性にする必要があるとされる。T非依存性抗原である多糖とT依存性抗原であるタンパク質とのカップリングは、多糖にアイソタイプスイッチング、親和性成熟、および記憶誘導などのT依存性特性を付与する。
【0003】
しかし、多糖-タンパク質コンジュゲートの反復投与、または多価ワクチンを形成するための多糖-タンパク質コンジュゲートの組合わせには課題がある。例えば、破傷風トキソイド(TT)をタンパク質担体として用いるインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型多糖(PRP)ワクチンを、ある投与量の範囲における(遊離)TTおよび肺炎球菌多糖-TTコンジュゲートワクチンとの同時免疫について、標準乳児免疫スケジュールに従って試験したことが報じられている。肺炎球菌ワクチンの投与量を増加するにつれてHibコンジュゲートワクチンのPRP多糖部分に対する免疫応答が低下し、これは同じ担体タンパク質の使用を介する多糖の免疫干渉を示す(非特許文献1)。
【0004】
担体タンパク質投与量のタンパク質自体に対する体液性応答への影響も多面的であることが証明されている。乳幼児において、4価破傷風トキソイドコンジュゲートの投与量を増すと、破傷風担体に対する応答が低下することが報じられている(非特許文献1)。混合ワクチンのこれらの効果の古典的分析は、担体が誘導するエピトープ抑制として記載されており、十分に理解されていないが、過剰量の担体タンパク質に起因すると考えられている(非特許文献2)。この事実から、担体タンパク質へのB細胞と多糖へのB細胞によるTh-細胞に対する競合が生じると考えられる。担体タンパク質へのB細胞が優勢であれば、多糖特異的なB細胞に必要な助けを与えるのに利用しうる十分なTh-細胞が存在しない。しかし観察された免疫学的効果は一貫性がなく、担体タンパク質の総量が時には免疫応答を上昇し、時には免疫応答を低下する。
【0005】
従って、単一の有効なワクチン製剤に複数の多糖コンジュゲートを組み合わせることには技術的難点がなお存在している。
【0006】
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は、高い罹患率および死亡率(特に若年者および高齢者)に関わるグラム陽性細菌であり、肺炎、菌血症および髄膜炎などの浸潤性疾患、および急性中耳炎などのコロニー形成に関連する疾患の病因である。60歳を超える人の米国における肺炎球菌性肺炎の率は、100,000人当たり3〜8人であると見積もられる。事例の20%において、これは菌血症、および髄膜炎などの他の症状を引き起こし、死亡率は抗生物質治療を行っても30%に近い。
【0007】
肺炎球菌は、血清型特異性を与える化学結合した多糖のカプセルに封入されている。90種の公知の血清型の肺炎球菌が存在し、そのカプセルが肺炎球菌の主要病原性決定因子であって、カプセルは細菌の内部表面を補体から保護するだけでなくそれ自体の免疫原性は乏しい。多糖はT非依存性抗原であり、プロセシングを受けたり、MHC分子上に提示されてT細胞と相互作用したりすることはできない。しかし、これらはB細胞上の表面レセプターの架橋に関わる代わりの機構を介して免疫系を刺激することができる。
【0008】
いくつかの実験において、浸潤性肺炎球菌性疾患に対する保護はカプセル特異的抗体と最も強い相関があり、保護が血清型特異的であることを示している。
【0009】
肺炎球菌は幼児および低年齢小児における浸潤性細菌性疾患および中耳炎の最も一般的な病因である。同様に、高齢者は肺炎球菌ワクチンに対する応答が乏しく(非特許文献3)、従ってこの集団における細菌性肺炎の発生率が高い(非特許文献4)。
【0010】
肺炎球菌により生じる主要な臨床徴候は広く認識されていて、全ての標準的な医学教科書で考察している(非特許文献5)。例えば、浸潤性肺炎球菌性疾患(IPD)は、肺炎球菌が血液または通常無菌の部位から単離されることを特徴とする感染として定義される(非特許文献6)。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、共存することが多いいくつかの症状(気流閉塞、慢性気管支炎、細気管支炎または小気道疾患および気腫)を包含すると認識している。患者は通常関連する息切れの増加を伴う、およびしばしば粘液性または化膿性の痰を生じる咳が増加する症状の悪化に悩まされる。(非特許文献7)。COPDは、慢性気管支炎および/または気腫の患者における、不可逆的または部分可逆的気道閉塞の存在により生理学的に定義される(非特許文献8)。COPDの悪化は細菌性(例えば、肺炎球菌性)感染に起因することが多い(非特許文献9)。
【0011】
全て担体タンパク質CRM197(ジフテリア毒素の無毒性変異体)とコンジュゲートした血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23F由来のサッカリド類を含む市販ワクチンPrevnarが存在するものの、このワクチンを製造する方法またはそのサッカリド類の特徴については少ししか知られていない。
【0012】
O-またはN-アセチル化が様々な抗原性サッカリド類に対する保護エピトープの形成における重要な置換基であることは公知である。アセチル基の存在がエピトープにとって有益であるかまたは有害であるかは一般的に予測できない。
【0013】
従って複数血清型肺炎球菌多糖コンジュゲートワクチンの改良された製剤を開発することが本発明の目的であり、特に有益なアセチル化特性をもつワクチンを開発することが本発明の目的である。特に、本発明者らは、驚くべきことに、血清型18Cの莢膜サッカリドの脱アセチル化が免疫応答を骨格エピトープに集中する上で有益であり、これは高度にO-アセチル化されたおよびO-アセチル化の乏しい両方の18C菌株に対して保護性免疫応答を惹起する上で有益でありうることを見出した。
【非特許文献1】Daganら, Infect. Immun. (1998); 66: 2093-2098
【非特許文献2】Fattom, Vaccine 17: 126 (1999)
【非特許文献3】Roghmannら, 1987, J. Gerontol. 42:265-270
【非特許文献4】VergheseおよびBerk, 1983 Medicine (Baltimore) 62:271-285
【非特許文献5】Fedson DS, Muscher DM. In: Plotkin SA, Orenstein WA, 編者. Vaccines. 第4版 PhiladelphiaWB Saunders Co, 2004a: 529-588
【非特許文献6】Musher DM. 「Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌)」 In Mandell GL, Bennett JE, Dolin R (編). Principles and Practice of Infectious diseases (第5版). New York, Churchill Livingstone, 2001, p2128-2147
【非特許文献7】Wilson, Eur Respir J 2001 17:995-1007
【非特許文献8】「Standards for the diagnosis and care of patients with chronic obstructive pulmonary disease」. American Thoracic Society. Am J Respir Crit Care Med. 1995 Nov;152(5 Pt 2):S77-121
【非特許文献9】Sethi S, Murphy TF. 「Bacterial infection in chronic obstructive pulmonary disease」 in 2000: a state-of-the-art review. Clin Microbiol Rev. 2001 Apr;14(2):336-63
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明の一実施形態においては、担体タンパク質とコンジュゲートしている異なる肺炎球菌血清型由来の9以上、10以上、11以上、または13以上の種類の莢膜サッカリド類を含む肺炎球菌免疫原性組成物であって、80、70、60、50、40、30、20、15または10%未満だけO-アセチル化しているコンジュゲートした莢膜サッカリド18Cを含む前記組成物が提供される。
【0015】
%O-またはN-アセチル化は、100%(各反復ユニットがそのアセチル化構造が全てアセチル化している場合)に対する所与のサッカリドサンプルのアセチル化%を意味する。参照を容易にするため、様々なサッカリド反復ユニットの構造を以下に示す。
【0016】
PS1
【化1】

【0017】
PS1は反復ユニットの中央の糖の第1または第2の-OH基のいずれかがO-アセチル化されるべきであることは公知である。
【0018】
PS4
【化2】

【0019】
PS5
【化3】

【0020】
PS9
【化4】

【0021】
PS7F
【化5】

【0022】
PS14
【化6】

【0023】
PS19F
【化7】

【0024】
PS19A
【化8】

【0025】
PS23F
【化9】

【0026】
PS18C
【化10】

【0027】
サッカリド類は当技術分野で公知の様々な方法により脱O-アセチル化することができる。アセチル化の測定は当技術分野で公知の様々な方法により可能であり:例えばNMRを利用することができる。一態様においては、莢膜サッカリド18Cをそのコンジュゲーション前に酸処理を介して脱O-アセチル化する。例えば、1M酢酸による40時間、60℃での処理(WO 96/05859、実施例4を参照)はNMRによりほぼ17%O-アセチル化された18Cサッカリドを生じる。100℃、5〜6時間の同様な処理は30〜50%O-アセチル化された18Cサッカリドを生じる。アセチル化された18C菌株の天然の18Cは高度(>90%)にO-アセチル化している傾向がある。
【0028】
一実施形態においては、本発明の18Cサッカリドを必要に応じて破傷風トキソイド(TT)とコンジュゲートし、この場合、必要に応じて、18CはTTとコンジュゲートした唯一の肺炎球菌莢膜サッカリドである。異なる肺炎球菌血清型由来の莢膜サッカリド類を2以上の異なる担体タンパク質とコンジュゲートすることができる。一実施形態においては、18Cをニューモリシンとコンジュゲートしない。他の実施形態においては、18CをCRM197とコンジュゲートしない。本発明の18C莢膜サッカリドは多くの公知の方法によりコンジュゲートすることができる(下記参照)。一実施形態においては、前記莢膜サッカリドを還元アミノ化化学を用いてコンジュゲートしない。さらなる実施形態においては、前記莢膜サッカリドを還元アミノ化化学を用いてコンジュゲートする(下記参照)。
【0029】
典型的には、本発明の肺炎球菌免疫原性組成物(またはワクチン)は莢膜サッカリド抗原(好ましくはコンジュゲートした)を含み、ここでサッカリド類は少なくとも9種または少なくとも10種の血清型の肺炎球菌由来である。肺炎球菌莢膜サッカリド類の数は9種または10種の異なる血清型(または「価」)〜23種の異なる血清型(23価)であってもよい。一実施形態においては、9、10、11、13または15種の異なる血清型が存在する。本発明の他の実施形態においては、ワクチンはコンジュゲートした肺炎球菌サッカリド類とコンジュゲートしてない肺炎球菌サッカリド類を含んでもよい。好ましくは、サッカリド血清型の全数は23種以下である。例えば、本発明は10種のコンジュゲートした血清型と13種のコンジュゲートしてないサッカリド類を含むことができる。同様に、ワクチンは13種または16種のコンジュゲートしたサッカリド類と10種または7種のそれぞれコンジュゲートしてないサッカリド類を含むことができる。
【0030】
一実施形態においては、本発明の多価肺炎球菌ワクチンは次の血清型1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択しうるが、ワクチンを受けるレシピエントの年齢およびワクチンを投与する地理的位置によって1または2種の他の血清型を置き換えてもよいと理解される。例えば、10価のワクチンは血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F由来の多糖を含んでもよい。11価のワクチンはまた、血清型3由来の莢膜サッカリドを含んでもよい。12または13価の小児(乳児)ワクチンはまた、血清型6Aおよび19A、または6Aおよび22F、または19Aおよび22F、または6Aおよび15B、または19Aおよび15B、または22Fおよび15Bを(それぞれ10または11価の製剤とともに)含んでもよく、13価の高齢者ワクチンは血清型8および12F、または8および15B、または8および19A、または8および22F、または12Fおよび15B、または12Fおよび19A、または12Fおよび22F、または15Bおよび19A、または15Bおよび22Fを(それぞれ11価の製剤とともに)含んでもよい。14価の小児ワクチンは上記の10価製剤を、血清型3、6A、19Aおよび22F;血清型6A、8、19Aおよび22F;血清型6A、12F、19Aおよび22F;血清型6A、15B、19Aおよび22F;血清型3、8、19Aおよび22F;血清型3、12F、19Aおよび22F;血清型3、15B、19Aおよび22F;血清型3、6A、8および22F;血清型3、6A、12Fおよび22F;または血清型3、6A、15Bおよび22Fにより補充したものであってもよい。
【0031】
一実施形態において、本発明の組成物は血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F(好ましくはコンジュゲートしたもの)由来の莢膜サッカリド類を含む。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも11種のサッカリド抗原(好ましくはコンジュゲートしたもの)、例えば血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F由来の莢膜サッカリド類が含まれる。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも12種または13種のサッカリド抗原が含まれ、例えばワクチンは血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび23F由来の莢膜サッカリド類または血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23F由来の莢膜サッカリド類を含んでもよいが、さらなるサッカリド抗原、例えば23価(血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fなど)も本発明では意図している。
【0032】
血清型4由来の莢膜サッカリドが存在する場合、一実施形態においては、50、60、70、80、90%を超えてN-アセチル化している。血清型9V由来の莢膜サッカリドが存在する場合、一実施形態においては、50、60、70、80、90%を越えてN-アセチル化されおよび/または50、60、70、80、90%を超えてO-アセチル化している。血清型14由来の莢膜サッカリドが存在する場合、一実施形態においては、50、60、70、80、90%を超えてN-アセチル化している。血清型1由来の莢膜サッカリドが存在する場合、一実施形態においては、50、60、70、80、90%を超えてN-アセチル化されおよび/または50、60、70、80、90%を超えてO-アセチル化している。血清型5由来の莢膜サッカリドが存在する場合、一実施形態においては、50、60、70、80、90%を超えてN-アセチル化している。血清型7F由来の莢膜サッカリドが存在する場合、一実施形態においては、50、60、70、80、90%を超えてN-アセチル化されおよび/または50、60、70、80、90%を超えてO-アセチル化している。
【0033】
本発明のワクチンはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)(例えばEP 0594610を参照)由来、特に、型を特定できない(non-typable)インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)(ntHi)由来のプロテインD(PD)を含んでもよい。ntHiは中耳炎の病因である重要な有機体であり、本発明者らはこのタンパク質を含む肺炎球菌ワクチンがインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)に関係する中耳炎に対してあるレベルの保護を与えうることを示している(Prymulaら, 2006 The Lancet 367:740-748)。一実施形態において、ワクチン組成物はプロテインDを含む。一態様においては、PDが1以上のサッカリド類に対する担体タンパク質として存在する。他の態様においては、プロテインDが遊離タンパク質としてワクチン組成物中に存在しうる。さらなる態様においては、プロテインDが担体タンパク質と遊離タンパク質の両方として存在する。プロテインDは全長タンパク質としてまたは断片として用いることができる(WO 0056360)。さらなる態様においては、プロテインDが大多数のサッカリド類に対する担体タンパク質として存在し、例えば6、7、8、9種以上のサッカリド類がプロテインDとコンジュゲートしていてもよい。この態様においてはまた、プロテインDが遊離タンパク質として存在してもよい。
【0034】
本発明のワクチンは2以上の異なる型の担体タンパク質を含んでもよい。それぞれの型の担体タンパク質は、同じであっても異なってもよい2以上のサッカリドに対する担体として作用しうる。サッカリド類を同じ担体と同じ反応でコンジュゲートしてもよいしまたは個々に同じ担体タンパク質とコンジュゲートしてもよい。例えば、血清型3および4を同じ担体タンパク質と、担体タンパク質の同じ分子とまたは同じ担体タンパク質の異なる分子とコンジュゲートしてもよい。一実施形態においては、2以上の異なるサッカリド類を同じ担体タンパク質と、担体タンパク質の同じ分子とまたは同じ担体タンパク質の異なる分子とコンジュゲートすることができる。
【0035】
それぞれの/任意の肺炎球菌莢膜サッカリドはTT、DT、CRM197、TTの断片C、PhtD、PhtDE融合体(特にWO 01/98334およびWO 03/54007に記載のもの)、無毒化ニューモリシンおよびプロテインDからなる群より独立して選択することができる。一態様においては、血清型19F由来の莢膜サッカリドをDTもしくはCRM197と、好ましくはDTとコンジュゲートすることができる。本発明のコンジュゲートに用いることができる担体タンパク質のさらに完全なリストを以下に示す。
【0036】
本発明の免疫原性組成物に存在するコンジュゲート中の1以上の肺炎球菌莢膜サッカリド類とコンジュゲートした担体タンパク質は、必要に応じて、ポリヒスチジントリアドファミリー(Pht)タンパク質のメンバー、その断片または融合タンパク質である。PhtA、PhtB、PhtDまたはPhtEタンパク質は、WO 00/37105またはWO 00/39299に開示された配列と(例えば、PhtDについてはWO 00/37105の配列番号4のアミノ酸配列1〜838または21〜838と)80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%同一性を共有するアミノ酸配列を有しうる。例えば、融合タンパク質はPhtA、PhtB、PhtD、PhtEの2、3または4個の全長または断片から構成される。融合タンパク質の例はPhtA/B、PhtA/D、PhtA/E、PhtB/A、PhtB/D、PhtB/E、PhtD/A、PhtD/B、PhtD/E、PhtE/A、PhtE/BおよびPhtE/Dであり、ここで、これらのタンパク質は前者とN末端で連結している(例えば、WO 01/98334を参照)。
【0037】
Phtタンパク質の断片を(別々にまたは融合タンパク質の部分として)用いる場合、それぞれの断片は必要に応じて1以上のヒスチジントリアドモチーフおよび/またはかかるポリペプチドのコイルドコイル領域を含有する。ヒスチジントリアドモチーフは、配列HxxHxH(ここでHはヒスチジンでありかつxはヒスチジン以外のアミノ酸である)を有するポリペプチドの部分である。コイルドコイル領域は「コイル」アルゴリズムにより予想される領域である(Lupus, Aら, (1991) Science 252; 1162-1164)。一実施形態において、そのまたはそれぞれの断片は1以上のヒスチジントリアドモチーフならびに少なくとも1つのコイルドコイル領域を含む。一実施形態において、そのまたはそれぞれの断片は正確にまたは少なくとも2、3、4または5個のヒスチジントリアドモチーフ(必要に応じて、2以上のトリアド間の天然のPht配列、または天然の肺炎球菌のトリアド内Pht配列と50、60、70、80、90もしくは100%以上同一であるトリアド内配列(例えば、PhtDについてWO 00/37105の配列番号4に示されたトリアド内配列)をもつ)を含有する。一実施形態において、そのまたはそれぞれの断片は正確にまたは少なくとも2、3または4個のコイルドコイル領域を含有する。一実施形態において、本明細書に開示されるPhtタンパク質は、シグナル配列が付着した全長タンパク質、シグナルペプチド(例えばN末端の20アミノ酸)が除かれた成熟全長タンパク質、Phtタンパク質の天然変異体、およびPhtタンパク質の免疫原性断片(例えば、前記断片またはWO 00/37105もしくはWO 00/39299のアミノ酸配列由来の少なくとも15または20個の隣接アミノ酸を含むポリペプチドであって、WO 00/37105またはWO 00/39299の前記アミノ酸配列に特異的な免疫応答を惹起できるポリペプチド)を含む。
【0038】
特に、本明細書で用いる用語「PhtD」は、シグナル配列が付着した全長タンパク質、シグナルペプチド(例えばN末端の20アミノ酸)が除かれた成熟全長タンパク質、PhtDの天然変異体およびPhtDの免疫原性断片(例えば、前記断片または、WO 00/37105もしくはWO 00/39299のPhtDアミノ酸配列由来の少なくとも15または20個の隣接アミノ酸を含むポリペプチドであって、WO 00/37105またはWO 00/39299の前記PhtDアミノ酸配列に特異的な免疫応答を惹起できる前記ポリペプチド(例えば、PhtDに対するWO 00/37105の配列番号4))を含む。
【0039】
もしその組成の2以上のサッカリド類に対するタンパク質担体が同じであれば、それらのサッカリド類を同じタンパク質担体分子とコンジュゲートしてもよい(担体分子が2以上の異なるサッカリド類とコンジュゲートする)[例えばWO 04/083251を参照]。あるいはサッカリド類はそれぞれ別々に異なるタンパク質担体分子とコンジュゲートしてもよい(それぞれのタンパク質担体分子が1つの型のサッカリドとだけコンジュゲートする)。
【0040】
本発明で用いることができる担体タンパク質の例は、DT(ジフテリアトキソイド)、TT(破傷風トキソイド)またはTTの断片C、DT CRM197(DT突然変異体)他のDT点突然変異体、例えばCRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら, J. Biol. Chem. 218; 3838-3844、1973);CRM9、CRM45、CRM102、CRM103およびCRM107ならびに他の突然変異(NichollsおよびYoule, in Genetically Engineered Toxins, Ed: Frankel, Maecel Dekker Inc、1992に記載);Glu-148の欠失またはAsp、GlnもしくはSerへの突然変異および/またはAla158のGlyへの突然変異および他の突然変異(US 4709017またはUS 4950740に開示);少なくとも1以上の残基Lys516、Lys526、Phe530および/またはLys534の突然変異および他の突然変異(US 5917017またはUS 6455673に開示); またはUS 5843711に開示された断片、肺炎球菌のニューモリシン[Ply] (Kuoら, (1995) Infect Immun 63; 2706-13)(何らかの方法で、例えば、化学的に解毒したplyが含まれる):dPLY-GMBS(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)またはdPLY-ホルモール;または遺伝的に突然変異して低毒化した(例えば、当技術分野で公知の突然変異を用いて)PhtA、PhtB、PhtD、PhtEを含むPhtXおよびPhtタンパク質の融合体、例えばPhtDE融合体、PhtBE融合体(WO 01/98334およびWO 03/54007)(PhtA〜Eは以下にさらに詳しく記載した);OMPC(通常、N. meningitidis血清群Bから抽出される髄膜炎菌外膜タンパク質、EP 0372501)、PorB(N. meningitidis由来)、PD(インフルエンザ菌プロテインD、例えば、EP 0 594 610 Bを参照)、またはそれらの免疫学的機能対応物、合成ペプチド(EP0378881、EP0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712、WO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668、EP0471177)、サイトカイン、リンホカイン、成長因子またはホルモン(WO 91/01146)、様々な病原体から誘導された抗原由来の多重ヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら,(2001) Eur J Immunol 31; 3816-3824)、例えば、N19タンパク質(Baraldoiら, (2004) Infect Immun 72; 4884-7)肺炎球菌の表面タンパク質PspA(WO 02/091998)、鉄摂取タンパク質(WO 01/72337)、C. difficileの毒素AまたはB(WO 00/61761)である。
【0041】
Nurkkaら, Pediatric Infectious Disease Journal. 23(11):1008-14, 2004 Nov.は、全血清型がPDとコンジュゲートした11価の肺炎球菌ワクチンを記載している。しかし、本発明者はDTとコンジュゲートした19Fを有するコンジュゲートにより誘導された抗体のオプソニン食作用活性が、PDとコンジュゲートした19Fと比較して、改善されることを示した。さらに本発明者らは、より大きい19Aとの交差反応性がDTとコンジュゲートした19Fについて見られることを示した。それ故に、本発明の組成物の特徴は血清型19FがDTもしくはCRM197とコンジュゲートしていることである。一態様において、血清型19FはDTとコンジュゲートしている。免疫原性組成物の残るサッカリド血清型は全て1以上のDTでない担体タンパク質とコンジュゲートしていてもよく(すなわち、19FだけがDTとコンジュゲートしている)、または、DTもしくはCRM197でない1以上の担体タンパク質およびDTもしくはCRM197自体の間に分割されていてもよい。一実施形態において、19FはDTまたはCRM197とコンジュゲートし、残る全ての血清型はPDとコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、19FはDTまたはCRM197とコンジュゲートし、残る血清型はPD、およびTTまたはDTもしくはCRM197の間に分割している。さらなる実施形態において、19FはDTまたはCRM197とコンジュゲートし、1(または2または3)以下のサッカリドはTTとコンジュゲートしている。この実施形態の一態様において、前記1(または2)のサッカリドは18Cおよび/または12Fである。さらなる実施形態において、19FはDTもしくはCRM197とコンジュゲートし、2以下のサッカリド類はTTとコンジュゲートしている。さらなる実施形態において、19FはDTもしくはCRM197とコンジュゲートし、残る血清型はPD、TTおよびDTもしくはCRM197の間に分割している。さらなる実施形態において、19FはDTもしくはCRM197とコンジュゲートし、残る血清型はPD、TTおよびニューモリシンの間に分割している。さらなる実施形態において、19FはDTもしくはCRM197とコンジュゲートし、残る血清型はPD、TTおよびCRM197の間に分割している。さらなる実施形態において、19FはDTもしくはCRM197とコンジュゲートし、残る血清型はPD、TT、ニューモリシンおよび必要に応じてPhtDの間に分割している。本発明のさらなる態様においては、18C莢膜サッカリドはTTとコンジュゲートし[必要に応じてTTとコンジュゲートした1または2の他のサッカリド類とともに]、残る血清型はPD、DT(またはCRM197)、ニューモリシンおよび必要に応じてPhtDの間に分割している。
【0042】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物はインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のプロテインDを含む。この実施形態については、もしPDがいずれかのサッカリド類とコンジュゲートするために用いられる担体タンパク質の1つでなければ、PDはワクチン組成物中に遊離タンパク質として存在してもよい。もしPDが本発明の組成物中のサッカリド類とコンジュゲートするために使われている担体タンパク質の1つであっても、PDは必要に応じてワクチン組成物中に遊離タンパク質として存在することができる。
【0043】
用語「サッカリド類」は本明細書を通じて、多糖またはオリゴサッカリドを示してもよくかつ両方を含む。多糖は細菌から単離し、公知の方法(例えば、EP497524およびEP497525;Szuら, Carbohydrate Research Vol 152 p7-20 (1986)を参照)により、かつ好ましくはマイクロ流体化(microfluidization)により、ある程度までサイジングしてもよい。多糖は、多糖サンプルの粘度を低下するおよび/またはコンジュゲート生成物の濾過性を改善するためにサイジングしてもよい。オリゴサッカリドは小数の反復ユニット(典型的には5〜30反復ユニット)を有し、典型的には加水分解された多糖である。
【0044】
肺炎球菌の莢膜多糖は8つまでのサッカリド残基を含有しうる反復オリゴサッカリドユニットを含む。重要な肺炎球菌血清型のオリゴサッカリドユニットの総括は、JONES, Christopher, 「病原菌の細胞表面サッカリド類に基づくワクチン(Vaccines based on the cell surface carbohydrates of pathogenic bacteria)」. An. Acad. Bras. Cienc., June 2005, vol.77, no.2, p.293-324, ISSN 0001-3765を参照されたい。一実施形態において、莢膜サッカリド抗原は天然のまたは全長多糖(すなわち、サイジングまたは加水分解ステップを経ない肺炎球菌から調製された多糖)であってもよいが、その他に、1またはいくつかの反復ユニット(オリゴサッカリド)、または天然の長さより短い多糖またはオリゴサッカリド鎖の反復ユニットであってもよい。一実施形態において、ワクチン中に存在するすべてのサッカリド類は多糖である。全長多糖は、様々な方法、例えば、酸加水分解処理、過酸化水素処理、EmulsiFlex(登録商標)とその後のオリゴサッカリド断片を作るための過酸化水素処理によるサイジング、またはマイクロ流体化により「サイジング」、すなわち、それらのサイズを低減することができる。
【0045】
本発明者らはまた、当技術分野でコンジュゲート生産を容易にするためオリゴサッカリドを用いることに重点がおかれていることも注目してきた。本発明者らは、天然のまたはわずかにサイジングした多糖コンジュゲートを用いることにより、1以上の次の利点が実現されることを見出した:1)高免疫原性を有して濾過可能なコンジュゲート、2)コンジュゲート中の多糖-対-タンパク質の比を変えて、コンジュゲート中の多糖-対-タンパク質比(w/w)を増加できる(これは担体抑制効果に影響を与えうる)、3)加水分解しがちな免疫原性コンジュゲートは、コンジュゲーション用に大きいサッカリド類を用いることにより安定化できる。大きい多糖を用いるほど、コンジュゲート担体との交差結合が増加してコンジュゲートからの遊離サッカリドの遊離を減少できる。従来の技術で記載されたコンジュゲートワクチンは、コンジュゲーションを改善するために、コンジュゲーション前に多糖を解重合する傾向がある。本発明者らは大きいサイズのサッカリドを保持するサッカリドコンジュゲートワクチンが肺炎球菌性疾患に対して良好な免疫応答を提供できることを見出した。
【0046】
本発明の免疫原性組成物は従って、それぞれのサッカリドのコンジュゲーション前の平均サイズが(例えば重量平均分子量;Mw)80x103、100x103、200x103、300x103、400x103、500x103または1000x103(例えば、80x103〜1000x103;90x103〜500x103;100x103〜400x103;200x103〜300x103)を超える1以上のサッカリドコンジュゲートを含んでもよい。一実施形態において、本発明の1以上のサッカリドコンジュゲートは50〜1600、80〜1400、100〜1000、150〜500、または200〜400kDaのコンジュゲーション前のサッカリドの平均サイズを有しなければならない(平均サイズはMwであり、「kDa」単位はここで「x103」に置き換えられることに注意されたい)。一実施形態において、コンジュゲーション後のコンジュゲートは0.2ミクロンフィルターを通して容易に濾過可能であって、濾過前サンプルと比較して濾過後には50、60、70、80、90または95%を超える収率が得られなければならない。
【0047】
本発明の目的では、「天然の多糖」とは、サッカリドサイズを低下することを目的とするプロセス(例えば、後精製)で処理されてないサッカリドを意味する。多糖は通常の精製工程でサイズがわずかに低下しうる。かかるサッカリドはまだ天然である。ただ、もし多糖がサイジング技法で処理されていれば、その多糖は天然でないとみなしうる。
【0048】
本発明の目的では、「x2までのファクタでサイジングする」とは、サッカリドのサイズを低下することを意図するが天然の多糖の半分のサイズより大きいサイズを保持するプロセスで、サッカリドを処理することを意味する。x3、x4 なども同様に解釈される、すなわち、サッカリドのサイズを低下することを意図するが天然の多糖の3分の1、4分の1などのサイズより大きいサイズを保持するプロセスで、サッカリドを処理すると解釈される。
【0049】
本発明の一態様において、免疫原性組成物は担体タンパク質とコンジュゲートした少なくとも9または10種の血清型由来の肺炎球菌サッカリド類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれぞれの肺炎球菌サッカリドが天然の多糖である前記サッカリド類を含む。
【0050】
本発明の一態様において、免疫原性組成物は担体タンパク質とコンジュゲートした少なくとも9または10種の血清型由来の肺炎球菌サッカリド類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれぞれの肺炎球菌サッカリドがx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10までのファクタでサイジングされている前記サッカリド類を含む。この態様の一実施形態において、サッカリド類の大多数、例えば 6、7、8種以上のサッカリド類はx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10までのファクタでサイジングされている。
【0051】
本明細書において、サッカリドの分子量または平均分子量(またはサイズ)は、コンジュゲーション前にMALLSにより測定したサッカリドの重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0052】
MALLS技法は当技術分野で周知である(例えば、実施例2に記載の通り)。肺炎球菌サッカリド類をMALLS分析するには、2つのカラム(TSKG6000および5000PWxl)を組み合わせて使い、サッカリド類を水に溶出する。サッカリド類を光散乱検出器(例えば、488nmの10mWアルゴンレーザーを備えたWyatt Dawn DSP)および干渉屈折計(例えば、P100セルと498nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP)を用いて検出した。
【0053】
一実施形態において、肺炎球菌サッカリド類は天然の多糖または通常の抽出プロセス中にサイズが低下した天然の多糖である。
【0054】
一実施形態においては、肺炎球菌サッカリド類を機械的切断、例えばマイクロ流体化または超音波処理によりサイジングする。マイクロ流体化および超音波処理は、大きい天然の多糖のサイズを十分に低下して濾過性コンジュゲートを得る利点を有する。サイジングはx20、x10、x8、x6、x5、x4、x3またはx2以下のファクタで行う。
【0055】
一実施形態において、免疫原性組成物は、x20以下のファクタでサイジングした天然の多糖とサッカリド類の混合物から作った肺炎球菌コンジュゲートを含む。この実施形態の一態様においては、サッカリド類の大部分、例えば6、7、8種以上のサッカリド類をx2、x3、x4、x5またはx6までのファクタでサイジングする。
【0056】
一実施形態においては、肺炎球菌サッカリドをリンカー、例えば二官能性のリンカー経由で担体タンパク質とコンジュゲートする。リンカーは必要に応じてヘテロ二官能性またはホモ二官能性であり、例えば反応性アミノ基と反応性カルボン酸基、2つの反応性アミノ基または2つの反応性カルボン酸基を有する。リンカーは例えば、4〜20個、4〜12個、5〜10個の炭素原子を有する。可能なリンカーはADHである。他のリンカーとしては、B-プロピオンアミド(WO 00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Geverら, (1979) Med. Microbiol. Immunol. 165; 171-288)、ハロアルキルハロゲン化物(US 4057685)、グリコシド結合(US 4673574、US 4808700)、ヘキサンジアミンおよび6-アミノカプロン酸(US 4459286)が挙げられる。一実施形態においては、ADHをリンカーとして血清型18C由来のサッカリドをコンジュゲートするために用いる。
【0057】
本発明の免疫原性組成物中に存在するサッカリドコンジュゲートは公知のカップリング技法により調製することができる。コンジュゲーション方法はサッカリドを1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボラート(CDAP)により活性化してシアン酸エステルを形成する方法に依存してもよい。活性化したサッカリドは直接またはスペーサー(リンカー)基経由で担体タンパク質上のアミノ基とカップリングすることができる。例えば、スペーサーはチオール化多糖を得るためのシスタミンまたはシステアミンであってもよく、このチオール化多糖は得たチオエーテル結合経由で担体と、マレイミド活性化担体タンパク質(例えばGMBSを用いて)またはハロアセチル化担体タンパク質(例えばヨードアセチミド[例えば、エチルヨードアセチミド塩酸]またはN-スクシンイミジルブロモアセタートまたはSIAB、またはSIA、またはSBAPを用いて)との反応後に、カップリングすることができる。好ましくは、シアン酸エステル(必要に応じてCDAP化学により作った)をヘキサンジアミンまたはADHとカップリングし、アミノ誘導体化したサッカリドをカルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化学を用いて担体タンパク質のカルボキシル基経由で担体タンパク質とコンジュゲートする。かかるコンジュゲートはPCT公開出願WO 93/15760 Uniformed Services UniversityおよびWO 95/08348およびWO 96/29094に記載されている。
【0058】
他の好適な技法はカルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを用いる。多数の方法がWO 98/42721に記載されている。コンジュゲーションは、サッカリドの遊離ヒドロキシル基のCDIとの反応により形成されるカルボニルリンカー(Bethellら, J. Biol. Chem. 1979, 254; 2572-4, Hearnら, J. Chromatogr. 1981. 218; 509-18)とそれに続くカルバメート結合を形成するタンパク質と反応に関わる。これはアノマー末端の一級ヒドロキシル基への還元、一級ヒドロキシル基の任意の保護/脱保護、一級ヒドロキシル基のCDIカルバメート中間体を形成するCDIとの反応、およびCDIカルバメート中間体のタンパク質のアミノ基とのカップリングに関わりうる。
【0059】
コンジュゲートはまた、US 4365170(Jennings)、US 4673574(Anderson)およびWO 96/05859に記載の直接還元アミノ化法により調製することができる。他の方法はEP-0-161-188、EP-208375およびEP-0-477508に記載されている。
【0060】
さらなる方法は、臭化シアノゲン(またはCDAP)で活性化した、アジピン酸ヒドラジド(ADH)を用いて誘導体化したサッカリドの、カルボジイミド縮合(Chu C.ら、Infect. Immunity、1983 245 256)による、例えばEDACを用いる、タンパク質担体とのカップリングである。
【0061】
一実施形態においては、サッカリドのヒドロキシル基(好ましくは活性化ヒドロキシル基、例えば、活性化されてシアン酸エステルを作るヒドロキシル基[例えば、CDAPにより])をタンパク質のアミノまたはカルボン酸基と直接または間接に(リンカーを通して)連結する。リンカーが存在する場合、サッカリドのヒドロキシル基を好ましくはリンカーのアミノ基と、例えばCDAPコンジュゲーションを用いることにより連結する。リンカー(例えばADH)のさらなるアミノ基をタンパク質のカルボン酸基と、例えばカルボジイミド化学を用いることにより、例えばEDACを用いることによりコンジュゲートしてもよい。一実施形態においては、リンカーを担体タンパク質とコンジュゲートする前に、肺炎球菌莢膜サッカリドを最初にリンカーとコンジュゲートする。あるいは、サッカリドとのコンジュゲーション前に、リンカーを担体とコンジュゲートしてもよい。
【0062】
技法を組合わせて、いくつかのサッカリド-タンパク質コンジュゲートをCDAPにより調製し、そしていくつかを還元アミノ化により調製してもよい。
【0063】
一般的にタンパク質担体の次の型の化学基をカップリング/コンジュゲーションに用いることができる。
【0064】
A)カルボキシル基(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸経由で)。一実施形態においては、この基をサッカリドのアミノ基と直接、またはリンカーのアミノ基と、カルボジイミド化学を用いて、例えばEDACを用いて連結する。
【0065】
B)アミノ基(例えばリシン経由)。一実施形態においては、この基をサッカリドのカルボキシル基と直接、またはリンカーのカルボキシル基と、カルボジイミド化学を用いて、例えば、EDACを用いて連結する。他の実施形態においては、この基をサッカリド類のCDAPまたはCNBrを用いて活性化したヒドロキシル基と直接、またはリンカーのかかる基と;アルデヒド基を有するサッカリド類またはリンカーと;スクシンイミドエステル基を有するサッカリド類またはリンカーと連結する。
【0066】
C)スルフヒドリル基(例えばシステイン経由)。一実施形態においては、この基をブロモまたはクロロアセチル化したサッカリドまたはリンカーとマレイミド化学を用いて連結する。一実施形態においては、この基をビスジアゾベンジジンを用いて活性化/修飾する。
【0067】
D)ヒドロキシル基(例えばチロシン経由)。一実施形態においては、この基をビスジアゾベンジジンを用いて活性化/修飾する。
【0068】
E)イミダゾリル基(例えばヒスチジン経由)。一実施形態においては、この基をビスジアゾベンジジンを用いて活性化/修飾する。
【0069】
F)グアニジル基(例えばアルギニン経由)。
【0070】
G)インドリル基(例えばトリプトファン経由)。
【0071】
サッカリドについては、一般に次の基:OH、COOHまたはNH2をカップリングに用いる。アルデヒド基は当技術分野で公知の色々な処理、例えば:過ヨウ素酸、酸加水分解、過酸化水素などによる処理後に作製できる。
【0072】
直接カップリング手法:
サッカリド-OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2-Prot→コンジュゲート
サッカリド-アルデヒド+NH2-Prot→シッフ(Schiff)塩基+NaCNBH3→コンジュゲート
サッカリド-COOH+NH2-Prot+EDAC→コンジュゲート
サッカリド-NH2+COOH-Prot+EDAC→コンジュゲート
スペーサー(リンカー)経由の間接カップリング手法:
サッカリド-OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2----NH2→サッカリド----NH2+COOH-Prot+EDAC→コンジュゲート
サッカリド-OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2----SH→サッカリド----SH+SH-Prot(曝されたシステインをもつ天然のタンパク質または例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の修飾後に得たタンパク質)→サッカリド-S-S-Prot
サッカリド-OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2----SH→サッカリド----SH+マレイミド-Prot(アミノ基の修飾)→コンジュゲート
サッカリド-OH+CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル+NH2----SH→サッカリド----SH+ハロアセチル化-Prot→コンジュゲート
サッカリド-COOH+EDAC+NH2----NH2→サッカリド----NH2+EDAC+COOH-Prot→コンジュゲート
サッカリド-COOH+EDAC+NH2----SH→サッカリド----SH+SH-Prot(曝されたシステインをもつ天然のタンパク質または例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の修飾後に得たタンパク質)→サッカリド-S-S-Prot
サッカリド-COOH+EDAC+NH2----SH→サッカリド----SH+マレイミド-Prot(アミノ基の修飾)→コンジュゲート
サッカリド-COOH+EDAC+NH2----SH→サッカリド-SH+ハロアセチル化-Prot→コンジュゲート
サッカリド-アルデヒド+NH2----NH2→サッカリド----NH2+EDAC+COOH-Prot→コンジュゲート
注:前記EDACの代わりに、任意の好適なカルボジイミドを用いてもよい。
【0073】
総括すると、一般にサッカリドとのカップリングに利用できるタンパク質担体化学基の型はアミノ基(例えばリシン残基)、COOH基(例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸残基)およびSH基(もしアクセス可能であれば;例えばシステイン残基)である。
【0074】
好ましくは担体タンパク質:肺炎球菌サッカリドの比は1:5〜5:1;例えば、1:0.5〜4:1、1:1〜3.5:1、1.2:1〜3:1、1.5:1〜2.5:1;例えば、1:2〜2.5:1;1:1〜2:1(w/w)である。一実施形態において、大多数のコンジュゲート、例えば6、7、8、9またはそれ以上のコンジュゲートは1:1より大きい担体タンパク質:サッカリドの比を有し、その比は、例えば、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1または1.6:1である。
【0075】
一実施形態においては、少なくとも1つの肺炎球菌サッカリドをリンカー(例えば、ADH)経由でCDAPおよびEDACを用いて担体タンパク質とコンジュゲートする。例えば、18Cをリンカー (例えば、その末端の2つのヒドラジノ基をもつADHなどのリンカー)経由で上記のようにCDAPおよびEDACを用いてタンパク質とコンジュゲートすることができる。リンカーを用いる場合、CDAPを用いてサッカリドをリンカーとコンジュゲートして次いでEDACを用いてリンカーをタンパク質とコンジュゲートしてもよく、または、代わりにEDACを最初に用いてリンカーをタンパク質とコンジュゲートしてその後にCDAPを用いてリンカーをサッカリドとコンジュゲートしてもよい。
【0076】
一般に、本発明の免疫原性組成物は、それぞれのサッカリドコンジュゲートを1用量で0.1〜20μg、1〜10μgまたは1〜3μgのサッカリドだけ含みうる。
【0077】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物はそれぞれの肺炎球菌莢膜サッカリドを1用量で0.1〜20μg;0.5〜10μg;0.5〜5μgまたは1〜3μgのサッカリドだけ含有する。一実施形態において、莢膜サッカリド類は異なる用量で存在してもよく、例えば、いくつかの莢膜サッカリド類は正確に1μgの用量で存在してもよくまたはいくつかの莢膜サッカリド類は正確に3μgの用量で存在してもよい。一実施形態において、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)由来のサッカリド類は他のサッカリド類より高い用量で存在する。この実施形態の一態様において、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび 19F)はほぼまたは正確に3μgの用量で存在するが、本発明の免疫原性組成物中の他のサッカリド類はほぼまたは正確に1μgの用量で存在する。
【0078】
「ほぼ」または「近似的に」は本発明の目的に対する所与の数値の10%以上または以下の範囲内として定義される。
【0079】
一実施形態においては、少なくとも1つの肺炎球菌莢膜サッカリドを担体タンパク質と直接コンジュゲートする(例えば、上記の化学の1つを用いて);好ましくは少なくとも1つの肺炎球菌莢膜サッカリドをCDAPにより直接コンジュゲートする。一実施形態においては、大多数、例えば5、6、7、8、9またはそれ以上の莢膜サッカリドを担体タンパク質とCDAPにより直接結合する(WO 95/08348およびWO 96/29094を参照)。
【0080】
免疫原性組成物は、本明細書で「本発明の肺炎球菌タンパク質」と呼ぶ肺炎球菌タンパク質を含みうる。かかるタンパク質は担体タンパク質として利用されてもよく、または遊離タンパク質として存在してもよく、または担体タンパク質としておよび遊離タンパク質としての両方で存在してもよい。本発明の肺炎球菌タンパク質は、少なくとも肺炎球菌の生活環の一部においては表面に曝されているか、または肺炎球菌により分泌または放出されるタンパク質である。好ましくは、本発明のタンパク質は次のカテゴリーから選択される:例えば、LXXC(ここでXは任意のアミノ酸であり、例えば、ポリヒスチジントリアドファミリー(PhtX))のII型シグナル配列モチーフを有するタンパク質、コリン結合タンパク質(CbpX)、I型シグナル配列モチーフを有するタンパク質(例えば、Sp101)、LPXTGモチーフを有するタンパク質(ここでXは任意のアミノ酸であり、例えば、Sp128、Sp130)、および毒素(例えば、Ply)。これらのカテゴリー(またはモチーフ)内の好ましい例は次のタンパク質、またはその免疫機能の同等体である。
【0081】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物はポリヒスチジントリアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合体)、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133からなる群より選択される少なくとも1つのタンパク質を含む。さらなる実施形態において、免疫原性組成物はポリヒスチジントリアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合体)、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、およびSp128からなる群より選択される2以上のタンパク質を含む。1以上の実施形態において、免疫原性組成物はポリヒスチジントリアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合体)、ニューモリシン(Ply)、およびSp128からなる群より選択される2以上のタンパク質を含む。
【0082】
Pht(ポリヒスチジントリアド)ファミリーはタンパク質PhtA、PhtB、PhtD、およびPhtEを含む。そのファミリーはリピド化配列、プロリン-リッチ領域により分離された2ドメインおよびいくつかのヒスチジントリアド(おそらく金属またはヌクレオシド結合または酵素活性に関わる)、(3〜5の)コイルドコイル領域、保存されたN末端および異種C末端により特徴付けられる。このファミリーは試験した肺炎球菌の全ての菌株に存在する。相同タンパク質はまた、他の連鎖球菌(Streptococci)およびナイセリア菌(Neisseria)にも見出される。本発明の一実施形態において、本発明のPhtタンパク質はPhtDである。しかし、用語PhtA、B、D、およびEは、下記引用に開示した配列を有するタンパク質ならびに参照したタンパク質と少なくとも90%同一である配列相同性を有する天然(および人工)変異体を意味すると解釈される。前記配列相同性は、好ましくは少なくとも95%同一でありかつ最も好ましくは97%同一である。
【0083】
PhtXタンパク質について、PhtAはWO 98/18930に開示されていて、Sp36とも呼ばれる。上記の通り、これはポリヒスチジントリアドファミリー由来のタンパク質であってLXXCのII型シグナルモチーフを有する。PhtDはWO 00/37105に開示されていて、Sp036Dとも呼ばれる。上記の通り、これはポリヒスチジントリアドファミリー由来のタンパク質であってII型LXXCシグナルモチーフを有する。PhtBはWO 00/37105に開示されていて、Sp036Bとも呼ばれる。PhtBファミリーの他のメンバーはWO 00/17370に開示されたC3-分解ポリペプチドである。このタンパク質はまたポリヒスチジントリアドファミリー由来のタンパク質であってII型LXXCシグナルモチーフを有する。好ましい免疫機能同等体はWO 98/18930に開示されたタンパク質 Sp42である。PhtBトランケート(ほぼ79kD)はWO 99/15675に開示され、PhtXファミリーのメンバーともみなされる。PhtEはWO 00/30299に開示されてBVH-3と呼ばれる。本明細書で任意のPhtタンパク質を参照する場合、そのPhtタンパク質の免疫原性断片またはその融合体を用いてもよいことを意味する。例えば、PhtXへの参照は任意のPhtタンパク質由来の免疫原性断片またはその融合体を含む。PhtDまたはPhtBへの参照はまた、例えば、WO 0198334に見出されるPhtDEまたはPhtBE融合体への参照でもある。
【0084】
ニューモリシンは、明確な細胞溶解性(溶血性)および補体活性化活性をもつ多機能性毒素である(Rubinsら, Am . Respi. Cit Care Med, 153:1339-1346 (1996))。この毒素は肺炎球菌により分泌されないが、自己溶解酵素の影響のもとで肺炎球菌が溶解すると放出される。その影響としては、例えば、ヒト単球による炎症性サイトカイン産生の刺激、ヒト呼吸器上皮繊毛振動の阻害、および好中球の殺菌活性および遊走の低下が挙げられる。ニューモリシンの最も明らかな効果は、コレステロールとの結合に関わる赤血球の溶解に見られる。ニューモリシンは毒素であるので、in vivo投与の前に解毒(すなわち、保護に好適な投与量で与えたときにヒトに対して無毒であるように)する必要がある。野生型または天然のニューモリシンの発現およびクローニングは当技術分野で公知である。例えば、Walkerら(Infect Immun, 55:1184-1189 (1987))、Mitchellら(Biochim Biophys Acta, 1007:67-72 (1989))およびMitchellら(NAR, 18:4010 (1990))を参照されたい。plyの解毒は化学的手段、例えば、ホルマリン処理またはグルタルアルデヒド処理または両方の組合わせにより実施できる(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)。かかる方法は様々な毒素の技術分野で周知である。あるいは、plyは遺伝的に解毒できる。従って、本発明は、例えば突然変異タンパク質であってもよい肺炎球菌タンパク質の誘導体を包含する。本明細書で使用する用語「突然変異」は、部位特異的突然変異誘発として周知の技法またはいずれかの他の慣用の方法を用いて1以上のアミノ酸の欠失、付加または置換を行った分子を意味する。例えば、前記の通り、突然変異体plyタンパク質を生物学的に不活性であるがなお免疫原性エピトープを維持するように改変してもよい(例えば、WO 90/06951、Berryら(Infect Immun, 67:981-985 (1999))およびWO 99/03884を参照されたい)。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「Ply」は医学用途に好適な突然変異したまたは解毒した(すなわち、無毒の)ニューモリシンを意味すると理解されたい。
【0086】
コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)については、このファミリーのメンバーは元来、コリンアフィニティクロマトグラフィにより精製しうる肺炎球菌タンパク質として同定されたものである。全てのコリン結合タンパク質は細胞壁タイコ酸および膜結合リポタイコ酸のホスホリルコリン部分と非共有結合している。構造的に、これらは全ファミリーにわたり共通したいくつかの領域を有するが、このタンパク質の正確な性質(アミノ酸配列、長さ、など)は変化しうる。一般的に、コリン結合タンパク質は、N末端領域(N)、保存された反復領域(R1および/またはR2)、プロリンリッチ領域(P)およびほぼタンパク質の半分を含む複数反復配列からなる保存されたコリン結合領域(C)を含む。本出願で使われる、用語「コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)」は、WO 97/41151で特定されたコリン結合タンパク質、PbcA、SpsA、PspC、CbpA、CbpD、および CbpGからなる群より選択される。CbpAはWO 97/41151に開示している。CbpDおよびCbpGはWO 00/29434に開示している。PspCはWO 97/09994に開示している。PbcAはWO 98/21337に開示している。SpsAはWO 98/39450に開示されたコリン結合タンパク質である。好ましくは、コリン結合タンパク質はCbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択される。
【0087】
他の好ましい実施形態はCbpXトランケートであって、ここで「CbpX」は先に定義した通りでありかつ「トランケート」はコリン結合領域(C)の50%以上を欠くCbpXタンパク質を意味する。好ましくはかかるタンパク質は全コリン結合領域を欠く。より好ましくは、かかるタンパク質トランケートは(i)コリン結合領域および(ii)タンパク質のN末端半分の部分も欠くが、なお少なくとも1つの反復領域(R1またはR2)を保持する。より好ましくは、なお、トランケートは2つの反復領域(R1およびR2)を有する。かかる好ましい実施形態の例はWO 99/51266またはWO 99/51188に説明されたNR1xR2およびR1xR2であるが、同様なコリン結合領域を欠く他のコリン結合タンパク質も本発明の範囲内にあると考えられる。
【0088】
LytXファミリーは細胞溶解に関連する膜関連タンパク質である。そのN末端ドメインはコリン結合ドメインを含むが、LytXファミリーは前記CbpAファミリーに見られる特徴の全てを有しないので、本発明にとってCbpXファミリーとは異なるとみなされる。CbpXファミリーとは対照的に、そのC末端ドメインはLytXタンパク質ファミリーの触媒ドメインを含有する。本ファミリーはLytA、BおよびCを含む。LytXファミリーについては、LytAはRondaら, Eur J Biochem, 164:621-624 (1987)に開示している。LytBはWO 98/18930に開示され、Sp46とも呼ばれている。LytCはWO 98/18930に開示され、Sp91とも呼ばれている。このファミリーの好ましいメンバーはLytCである。
【0089】
他の好ましい実施形態はLytXトランケートであり、ここで「LytX」は先に定義した通りであり、かつ「トランケート」はコリン結合領域(C)の50%以上を欠くLytXタンパク質を意味する。好ましくはかかるタンパク質は全コリン結合領域を欠く。本発明のさらに他の好ましい実施形態はCbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合体)である。好ましくは、これはCbpXのNR1xR2(またはR1xR2)およびLytXのC末端部分(Cterm、すなわち、コリン結合ドメインを欠く)(例えば、LytCCtermまたはSp91Cterm)を含む。より好ましくは、CbpXはCbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択される。さらにより好ましくは、CbpXはCbpAである。好ましくは、LytXはLytCである(Sp91とも呼ばれる)。本発明の他の実施形態はPspAまたはコリン結合ドメイン(C)を欠きかつLytXとの融合タンパク質として発現されるPsaAトランケートである。好ましくは、LytXはLytCである。
【0090】
PsaAおよびPspAについては、両方とも当技術分野で公知である。例えば、PsaAとその膜貫通欠失変異体はBerry & Paton, Infect Immun 1996 Dec;64(12):5255-62に記載されている。PspAとその膜貫通欠失変異体は、例えば、US 5804193、WO 92/14488、およびWO 99/53940に開示している。
【0091】
Sp128とSp130はWO00/76540に開示している。Sp125はLPXTG(ここでXは任意のアミノ酸である)の細胞壁固着モチーフをもつ肺炎球菌表面タンパク質の一例である。このモチーフをもつ肺炎球菌表面タンパク質のこのクラス内の任意のタンパク質は本発明に関係して有用であることがわかっており、それ故に本発明のさらなるタンパク質とみなされる。Sp125自体はWO 98/18930に開示され、ZmpB(亜鉛メタロプロテイナーゼ)としても公知である。Sp101はWO 98/06734に開示している(参照番号y85993)。これはI型シグナル配列で特徴付けられる。Sp133はWO 98/06734に開示している(参照番号y85992)。これもI型シグナル配列で特徴付けられる。
【0092】
混合ワクチン(とりわけ中耳炎の予防用)に含むことができる好ましいモラクセラ・カタラーリス菌(Moraxella catarrhalis)タンパク質抗原の例は次の通りである:OMP106[WO 97/41731(Antex)およびWO 96/34960(PMC)];OMP21またはその断片(WO 0018910);LbpAおよび/またはLbpB[WO 98/55606(PMC)];TbpAおよび/またはTbpB[WO 97/13785およびWO 97/32980(PMC)];CopB[HelminenMEら, (1993) Infect.Immun.61:2003-2010];UspA1および/またはUspA2[WO 93/03761(University of Texas)];OmpCD(EP737085);HasR(PCT/EP99/03824);PilQ(PCT/EP99/03823);OMP85(PCT/EP00/01468);lipo06(GB9917977.2);lipo10(GB9918208.1);lipo11(GB9918302.2);lipo18(GB9918038.2);P6(PCT/EP99/03038);D15(PCT/EP99/03822);OmplA1(PCT/EP99/06781);Hly3(PCT/EP99/03257);およびOmpE。混合ワクチン(とりわけ中耳炎の予防用)に挙げることができる、型を特定できない(non-typable)インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)抗原またはその断片の例は次の通りである:Fimbrinタンパク質[(US 5766608 - Ohio State Research Foundation)]およびそれら由来のペプチドを含む融合体[例えば、LB1(f)ペプチド融合体;US 5843464(OSU)またはWO 99/64067];OMP26[WO 97/01638(Cortecs)];P6[EP 281673(State University of New York)];TbpAおよび/またはTbpB;Hia;Hsf;Hin47;Hif;Hmw1;Hmw2;Hmw3;Hmw4;Hap;D15(WO 94/12641);P2;およびP5(WO 94/26304)。
【0093】
本発明のタンパク質はまた、有利に組合わせることができる。組合わせるとは、免疫原性タンパク質が次の組合わせのなかから、担体タンパク質としてまたは遊離タンパク質としてまたはその両方の混合物として全てのタンパク質を含むことを意味する。例えば、次に記載した2つのタンパク質の組合わせで、両タンパク質を担体タンパク質として用いてもよく、または両タンパク質が遊離タンパク質として存在してもよく、または両者が担体としておよび遊離タンパク質として存在してもよくまたは、1つが担体タンパク質および遊離タンパク質として存在し、他の1つが担体タンパク質としてだけもしくは遊離タンパク質としてだけ存在してもよく、または1つが担体タンパク質としてかつ他の1つが遊離タンパク質として存在してもよい。3つのタンパク質の組合わせが与えられる場合、同様な可能性がある。好ましい組合わせとしては、限定されるものでないが、PhtD+NR1xR2、PhtD+NR1xR2-Sp91Ctermキメラまたは融合タンパク質、PhtD+Ply、PhtD+Sp128、PhtD+PsaA、PhtD+PspA、PhtA+NR1xR2、PhtA+NR1xR2-Sp91Ctermキメラまたは融合タンパク質、PhtA+Ply、PhtA+Sp128、PhtA+PsaA、PhtA+PspA、NR1xR2+LytC、NR1xR2+PspA、NR1xR2+PsaA、NR1xR2+Sp128、R1xR2+LytC、R1xR2+PspA、R1xR2+PsaA、R1xR2+Sp128、R1xR2+PhtD、R1xR2+PhtAが挙げられる。好ましくは、NR1xR2(またはR1xR2)はCbpAまたはPspC由来である。より好ましくはCbpA由来である。他の組合わせとしては3つのタンパク質の組合わせ、例えばPhtD+NR1xR2+Ply、およびPhtA+NR1xR2+PhtDが挙げられる。一実施形態において、ワクチン組成物は解毒したニューモリシンおよびPhtDまたはPhtDEを担体タンパク質として含む。さらなる実施形態において、ワクチン組成物は解毒したニューモリシンおよびPhtDまたはPhtDEを遊離タンパク質として含む。
【0094】
本発明はさらに本発明の免疫原性組成物および製薬上許容される賦形剤を含有するワクチンを提供する。
【0095】
特に高齢者集団での使用を意図する場合、本発明のワクチンはアジュバント化することができる。好適なアジュバントとしては、アルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウムが挙げられるが、カルシウム、マグネシウム、鉄または亜鉛の塩であってもよく、またはアシル化チロシン、またはアシル化糖類、カチオンとしてまたはアニオンとして誘導体化した糖類、またはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。
【0096】
アジュバントはTH1型応答の優先的インデューサーであるように選択することが好ましい。かかる高レベルのTh1型サイトカインは所与の抗原に対する細胞介在性免疫応答の誘導に有利な傾向がある一方、高レベルのTh2型サイトカインは抗原に対する体液性免疫応答の誘導に有利な傾向がある。
【0097】
Th1とTh2型免疫応答の区別は絶対的でない。実際、個体は優先的にTh1または優先的にTh2であるとされる免疫応答を維持しうる。しかし、しばしば、MosmannおよびCoffmanがマウスCD4+veT細胞クローンで記載のサイトカインファミリーを考慮するのが好都合である(Mosmann, T.R.およびCoffman, R.L. (1989) 「TH1とTH2細胞:リンホカイン分泌パターンが異なると、異なる機能特性を示す(TH1 and TH2 cells: different patterns of lymphokine secretion lead to different functional properties)」, (Annual Review of Immunology, 7, p145-173)。従来的に、Th1型応答はT-リンパ球によるINF-γおよびIL-2サイトカインの産生と関連づけられている。Th1型免疫応答の誘導に直接関連することの多い他のサイトカインは、IL-12のように、T-細胞により産生されない。対照的に、Th2型応答はIl-4、IL-5、IL-6、IL-10の分泌と関連がある。優先的にTh1応答を促進する好適なアジュバント系としては、モノホスホリルリピドAまたはその誘導体(または一般的に解毒したリピドA、例えば WO 2005107798を参照)、特に3-de-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)(その調製についてはGB 2220211 Aを参照);ならびにモノホスホリルリピドA、好ましくは3-de-O-アシル化モノホスホリルリピドAの、アルミニウム塩(例えばリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)との組合わせまたは水中油型エマルジョンが挙げられる。かかる組合わせは抗原と3D-MPLは同じ微粒構造で含有し、抗原および免疫賦活シグナルのより効率的な送達を可能にする。研究は、3D-MPLがミョウバン吸着された抗原の免疫原性をさらに増強できることを示している[Thoelenら, Vaccine (1998) 16:708-14; EP 689454-B1]。
【0098】
増強された系は、モノホスホリルリピドA(または解毒したリピドA)とサポニン誘導体の組合わせ、特にWO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合わせ、またはWO96/33739に開示されたQS21をコレステロールによりクエンチした低反応原性組成物を含む。水中油型エマルジョン中にQS21、3D-MPL(または解毒したリピドA)およびトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤がWO 95/17210に開示している。一実施形態において、免疫原性組成物はさらに、QS21であってもよいサポニンを含む。製剤はまた水中油型エマルジョンおよびトコフェロールを含んでもよい(WO 95/17210)。オリゴヌクレオチド(WO 96/02555)と他の免疫調節性オリゴヌクレオチド(WO 0226757およびWO 03507822)を含有する非メチル化CpGもTH1応答の優先的インデューサーであって本発明で使用するのに好適である。
【0099】
特定のアジュバントは金属塩、水中油型エマルジョン、Toll様レセプターアゴニスト、(特にToll様レセプター2アゴニスト、Toll様レセプター3アゴニスト、Toll様レセプター4アゴニスト、Toll様レセプター7アゴニスト、Toll様レセプター8アゴニストおよびToll様レセプター9アゴニスト)、サポニンまたはそれらの組合わせからなる群より選択される。
【0100】
本発明のワクチン組成物とともに使用できるアジュバントは、WO 02/09746に教示されたようなグラム陰性菌株由来のブレブ(bleb)または外膜小胞調製物、特に髄膜炎菌(N. meningitidis)ブレブである。ブレブのアジュバント特性はLOS(リポオリゴサッカリド)をその表面に保持する(例えば、低濃度の界面活性剤[例えば0〜0.1%デオキシコール酸]による抽出を介して)ことにより改善できる。LOSはWO 02/09746に考察されたmsbB(-)またはhtrB(-)突然変異を介して解毒することができる。アジュバント特性はまた、髄膜炎菌ブレブ由来のPorBを保持する(および必要に応じてPorAを取り除く)ことによっても改善できる。アジュバント特性はまた、髄膜炎菌ブレブ上のLOSの外側コアサッカリド構造を切り詰めることによっても改善できる(例えば、WO 2004/014417に考察されたlgtB(-)突然変異を介して)。あるいは、前記LOS(例えば、msbB(-)および/またはlgtB(-)菌株から単離された)を精製して本発明の組成物におけるアジュバントとして用いることができる。
【0101】
本発明の組成物とともに使用できるさらなるアジュバントは次のグループから選択することができる:サポニン、リピドAもしくはその誘導体、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、リン酸アルキルグルコサミニド、水中油型エマルジョンまたはそれらの組合わせ。さらなる好ましいアジュバントは他のアジュバントと組合わせた金属塩である。アジュバントはToll様レセプターアゴニスト、特にToll様レセプター2、3、4、7、8もしくは9のアゴニスト、またはサポニン、特にQs21であることが好ましい。アジュバント系は前記リストからの2以上のアジュバントを含むことがさらに好ましい。特にその組合わせは、好ましくはサポニン(特にQs21)アジュバントおよび/またはToll様レセプター9アゴニスト、例えば免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含有するCpGを含有する。他の好ましい組合わせはサポニン(特にQS21)およびToll様レセプター4アゴニスト、例えばモノホスホリルリピドAまたはその3-脱アセチル化誘導体、3D-MPL、またはサポニン(特にQS21)およびToll様レセプター4リガンド、例えばリン酸アルキルグルコサミニドを含む。
【0102】
特に好ましいアジュバントは、3D-MPLとQS21の組合わせ(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLおよびQS21を含む水中油型エマルジョン(WO 95/17210、WO 98/56414)、または他の担体とともに製剤した3D-MPL(EP 0 689 454 B1)である。他の好ましいアジュバント系は、US6558670、US6544518に記載された3DMPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組合わせを含む。
【0103】
一実施形態において、アジュバントはToll様レセプター(TLR)4リガンド、好ましくはリピドA誘導体などのアゴニスト、特にモノホスホリルリピドA、またはさらに特に3-脱アセチル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)であるかまたはそれらを含む。
【0104】
3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals North Americaから市販されていて、主にIFN-g(Th1)表現型によるCD4+T細胞応答を促進する。これはGB 2 220 211 Aに開示された方法に従って生産することができる。化学的に3D-MPLは、3、4、5または6アシル化鎖をもつ3-脱アセチル化モノホスホリルリピドAの混合物である。本発明の組成物では小粒子3D-MPLを用いることが好ましい。小粒子3D-MPLは0.22μmフィルターを通して滅菌濾過できる粒子径を有する。かかる調製物は国際特許出願第WO 94/21292号に記載されている。リピドAの合成誘導体は公知であり、TLR 4 アゴニストであると考えられており、それには、限定されるものでないが、次が含まれる:
OM174 (2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシル二水素リン酸)(WO 95/14026)、
OM294 DP (3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(二水素リン酸)(WO 99/64301およびWO 00/0462)
OM197 MP-Ac DP (3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-二水素リン酸-10-(6-アミノヘキサノアート)(WO 01/46127)。
【0105】
使用しうる他のTLR4リガンドはアルキルグルコサミニドリン酸(AGP)、例えばWO 9850399もしくはUS 6303347に開示されたもの(AGPを調製する方法も開示している)、またはUS 6764840に開示されたAGPの製薬上許容される塩である。いくつかのAGPはTLR4アゴニストであり、そしていくつかはTLR4アンタゴニストである。両方ともアジュバントとして有用であると考えられる。
【0106】
本発明に使用するための他の好ましい免疫賦活薬はQuil Aとその誘導体である。Quil Aは南米の樹木Quilaja Saponaria Molinaから単離されたサポニン調製物であり、初めてDalsgaardらによりアジュバント活性を有することが1974年に記載された(「サポニン アジュバント(Saponin adjuvants)」, Archiv. fuer die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。アジュバント活性を保持してQuil Aに関連する毒性を有しないQuil Aの精製断片、例えばQS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られる)がHPLCにより単離している(EP 0362278)。QS-21はQuillaja saponaria Molinaの樹皮由来の天然サポニンであってCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および優勢なIgG2a抗体応答を誘導し、本発明に関係する好ましいサポニンである。
【0107】
QS21の特に好ましい特定の製剤が記載されていて、これらの製剤はさらにステロールを含む(WO96/33739)。本発明の一部分を形成するサポニンはミセル、混合ミセル(胆汁塩と優先的に、しかし非独占的に)の形態で別々であってもよく、またはISCOMマトリックス(EP 0 109 942 B1)、リポソームもしくは関係コロイド構造、例えばワーム様または環様多量体複合体またはリピド/層状構造およびラメラの形態(コレステロールおよび脂質とともに製剤したとき)、または水中油型エマルジョンの形態(例えばWO 95/17210)であってもよい。サポニンは好ましくは、金属塩、例えば水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム(WO 98/15287)と関連していてもよい。好ましくは、サポニンはリポソーム、ISCOMまたは水中油型エマルジョンの形態で提示される。
【0108】
増強された系はモノホスホリルリピドA(または解毒したリピドA)とサポニン誘導体の組合わせ、特にWO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合わせ、またはWO 96/33739に開示されたQS21をコレステロールでクエンチした低反応原性組成物に関わる。特に有効なアジュバント製剤として、水中油型エマルジョン中のQS21および/または3D-MPLを伴うまたは伴わないトコフェロールを含む製剤がWO 95/17210に記載されている。一実施形態において、免疫原性組成物はさらにQS21であってもよいサポニンを含む。
【0109】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドまたは任意の他のToll-様レセプター(TLR)9アゴニストを用いてもよい。本発明のアジュバントまたはワクチンに使用する好ましいオリゴヌクレオチドはCpGを含有するオリゴヌクレオチドであって、好ましくは少なくとも3、より好ましい少なくとも6またはそれ以上のヌクレオチドにより分離された2以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含有する。CpGモチーフはシトシンヌクレオチドとそれに続くグアニンヌクレオチドである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは典型的にはデオキシヌクレオチドである。ある好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド中の中間ヌクレオチドはホスホロジチオエート、またはより好ましくはホスホロチオエート結合であるが、リン酸ジエステルおよび他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲に包含される。また本発明の範囲には混合したヌクレオチド間結合をもつオリゴヌクレオチドも含まれる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートを作る方法はUS 5,666,153、US 5,278,302およびWO 95/26204に記載されている。
【0110】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は次の配列を有する。その配列は好ましくはホスホロチオエート改変したヌクレオチド間結合を含有する。
【0111】
オリゴ1(配列番号1): TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
オリゴ2 (配列番号2): TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
オリゴ3(配列番号3): ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
オリゴ4 (配列番号4): TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
オリゴ5 (配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
オリゴ6 (配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)
代わりのCpGオリゴヌクレオチドは上記の好ましい配列中に、重大ではない欠失または付加を有してもよい。本発明で利用されるCpGオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の方法(例えばEP 468520を参照)により合成することができる。好都合なことに、かかるオリゴヌクレオチドは自動合成機を利用して合成することができる。
【0112】
アジュバントは水中油型エマルジョンであってもよくまたは水中油型エマルジョンを他のアジュバントと組合わせて含んでもよい。エマルジョン系の油相は好ましくは代謝性油を含む。用語「代謝性油」の意味は当技術分野で周知である。代謝性は「代謝により変換されうる」と定義することができる(Dorland’s Illustrated Medical Dictionary、W.B. Sanders Company、25版 (1974))。油は任意の植物油、魚油、動物油または合成油であって、レシピエントに無毒でありかつ代謝により変換されうる油である。堅果、種子、および穀粒が植物油の一般的な供給源である。合成油も本発明の一部分であって、市販の油、例えばNEOBEE(登録商標)などを含みうる。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサン)はサメ肝油中に大量に、またオリーブ油、コムギ胚油、イネヌカ油、および酵母中に小量見出される不飽和油であり、本発明で使用するのに特に好ましい油である。スクアレンはコレステロール生合成の中間体である事実によって代謝性油である(Merck index, 10版, entry no.8619)。
【0113】
トコール(例えば、ビタミンE)もしばしば油エマルジョンアジュバントに用いられる(EP 0 382 271 B1; US 5667784; WO 95/17210)。本発明の油エマルジョン(好ましくは水中油型エマルジョン)に使用されるトコールはEP 0 382 271 B1に記載の通り製剤することができ、その場合トコールは必要に応じて、好ましくは直径1ミクロン未満の乳化剤を含むトコール液滴で懸濁していてもよい。あるいはトコールを他の油と組合わせて用い、油エマルジョンの油相を形成してもよい。トコールと組合わせて用いることができる油エマルジョンの例は本明細書に記載されていて、例えば、前記の代謝性油である。
【0114】
水中油型エマルジョンアジュバント自体がアジュバント組成物として有用であることが示唆されていて(EP 0 399 843B)、また、水中油型エマルジョンと他の活性剤の組合わせもワクチンのアジュバントとして記載されている(WO 95/17210;WO 98/56414;WO 99/12565;WO 99/11241)。他の油エマルジョンアジュバント、例えば、油中水型エマルジョン(US 5,422,109;EP 0 480 982 B2)および水中油中水型(water in oil in water)のエマルジョン(US 5,424,067;EP 0 480 981 B)が記載されている。これらは全て好ましい油エマルジョン系を形成し(特にトコールを組み込むとき)、本発明のアジュバントおよび組成物を形成する。
【0115】
最も好ましくは、油エマルジョン(例えば水中油型エマルジョン)はさらにTWEEN80などの乳化剤および/またはコレステロールなどのステロールを含む。好ましい油エマルジョン(好ましくは水中油型エマルジョン)はスクアラン、スクアレンなどの代謝性、無毒性油、またはαトコフェロールなどのトコフェロール(そして好ましくはスクアレンとαトコフェロールの両方)および必要に応じてTween 80などの乳化剤(または界面活性剤)を含む。ステロール(好ましくはコレステロール)も含んでよい。水中油型エマルジョンを作る方法は当業者に周知である。一般的に、その方法はトコールを含有する油相をPBS/TWEEN80TMなどの界面活性剤溶液と混合するステップと次いでホモジナイザーを用いて均質化するステップから成り、混合物を2回シリンジ針を通過させる方法が小体積の液体を均質化するのに好適であることは当業者には明らかであろう。同様に、当業者は、マイクロ流体化装置による乳化プロセス(M110S Microfluidics machine、最大50回通過、2分間、最大入口圧力6bar(出口圧力約850bar))を適合させて小または大容積のエマルジョンを作ることができる。この適合は、所望の直径の油滴をもつ調製物ができるまで、得られるエマルジョンの測定を含む慣用的な実験により達成することができる。水中油型エマルジョンでは、油と乳化剤は水性担体中にあるに違いない。水性担体は例えば、リン酸緩衝化生理食塩水であってもよい。
【0116】
安定な水中油型エマルジョン内に見出される油滴のサイズは、光子相関分光法により測定した直径が好ましくは1ミクロン未満であり、実質的に30〜600nm、好ましくは実質的にほぼ30〜500nm、そして最も好ましくは実質的に150-500nm、そして特にほぼ150nmであってもよい。この点について、数基準で油滴の80%は好ましい範囲内になければならず、数基準で油滴のより好ましくは90%以上そして最も好ましくは95%以上が規定したサイズ範囲内にある。本発明の油エマルジョン中に存在する成分の量は、好都合なのは(全用量容積の)0.5〜20%または2〜10%の油、例えばスクアレン;および、存在する場合、2〜10%のαトコフェロール;および0.3〜3%の界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。好ましくは、油(好ましくはスクアレン):トコール(好ましくはα-トコフェロール)の比は等しいかまたは1未満であってこれがより安定なエマルジョンをもたらす。Tween80またはSpan85などの乳化剤も約1%のレベルで存在してよい。いくつかの事例では、本発明のワクチンがさらに安定剤を含有すると有利でありうる。
【0117】
好ましいエマルジョン系の例がWO95/17210、WO99/11241およびWO99/12565に記載されており、スクアレン、αトコフェロール、およびTWEEN80に基づき、必要に応じて免疫賦活薬QS21および/または3D-MPLとともに製剤したエマルジョンアジュバントが開示している。従って、本発明の特に好ましい実施形態において、本発明のアジュバントはそのうえ、さらなる免疫賦活薬、例えばLPSまたはその誘導体、および/またはサポニンを含んでもよい。さらなる免疫賦活薬の例は、本明細書におよび「ワクチン設計;サブユニットとアジュバント手法(Vaccine Design - The Subunit and Adjuvant Approach)」 1995, Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, 編 Powell, M.F.,およびNewman, M.J., Plenum Press, New York and London, ISBN 0-306-44867-Xに記載されている。
【0118】
好ましい態様において、本発明によるアジュバントおよび免疫原性組成物は前記の油エマルジョン中のサポニン(好ましくはQS21)および/またはLPS誘導体(好ましくは3D-MPL)を、必要に応じてステロール(好ましくはコレステロール)とともに含む。さらに油エマルジョン(好ましくは水中油型エマルジョン)はspan85および/またはレシチンおよび/またはトリカプリリンを含有しうる。水中油型エマルジョン、ステロールおよびサポニンを含むアジュバントはWO 99/12565に記載されている。
【0119】
典型的には、ヒト投与について、サポニン(好ましくはQS21)および/またはLPS誘導体(好ましくは3D-MPL)が、免疫原性組成物のヒト用量中に1用量当たり1〜200μg、例えば10〜100μg、好ましくは10〜50μgの範囲で存在しうる。典型的には、油エマルジョン(好ましくは水中油型エマルジョン)は2〜10%の代謝性油を含む。好ましくは、2〜10%スクアレン、2〜10%αトコフェロールおよび0.3〜3%(好ましくは0.4〜2%)乳化剤(好ましくはtween80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート])を含みうる。スクアレンとαトコフェロールの両方が存在する場合、好ましくはスクアレン:αトコフェロールの比は1以下であり、これはより安定なエマルジョンをもたらす。Span85(ソルビタントリオレエート)も本発明に使用されるエマルジョン中に0.5〜1%のレベルで存在しうる。いくつかの事例では、本発明の免疫原性組成物とワクチンはさらに安定剤、例えば他の乳化剤/界面活性剤を含有しうるのであって、それにはカプリル酸(merck index 10版、entry no. 1739)が含まれ、なかでもトリカプリリンが特に好ましい。
【0120】
スクアレンとサポニン(好ましくはQS21)が含まれる場合、製剤にステロール(好ましくはコレステロール)も含むのが有利であり、これはエマルジョン中の油の全レベルの低下を可能にする。これによって、製造費の削減、ワクチンの全体の快適性の改善、および得られる免疫応答の定量的かつ定性的改善、例えばIFN-γ産生の改善がもたらされる。従って、本発明のアジュバント系は、典型的には、200:1〜300:1の範囲の比の代謝性油:サポニン(w/w)を含むが、本発明はまた、「低油(low oil)」型で用いることもでき、その場合の好ましい範囲は1:1〜200:1、好ましくは 20:1〜100:1、そして最も好ましくは実質的に48:1であり、このワクチンは全成分の有利なアジュバント特性を保持しかつ大きく低下した反応原性プロファイルをもつ。従って、特に好ましい実施形態は、スクアレン:QS21 (w/w)の比が1:1〜250:1であり、また好ましいのは20:1〜200:1、好ましくは 20:1〜100:1、そして最も好ましくは実質的に 48:1である。好ましくはステロール(最も好ましくはコレステロール)も本明細書に記載のサポニン:ステロールの比で含まれる。
【0121】
本発明のエマルジョン系は好ましくは、サブミクロン範囲の小油滴サイズを有する。最も好ましくは、油滴サイズは直径で120〜750nm、そして最も好ましくは120〜600nmである。
【0122】
特に有効なアジュバント製剤(本発明の免疫原性組成物におけるAlPO4との究極の組合わせとして)は、WO 95/17210またはWO 99/12565に記載されたサポニン(好ましくはQS21)、LPS誘導体(好ましくは3D-MPL)および油エマルジョン(好ましくは水中油型エマルジョン中のスクアレンおよびαトコフェロール)(特に実施例2、表1のアジュバント製剤11)に関わる。
【0123】
TLR2アゴニストの例には、ペプチドグリカンまたはリポタンパク質が含まれる。イミダゾキノリン、例えば、イミキモド(Imiquimod)およびレジキモド(Resiquimod)は公知のTLR7アゴニストである。1本鎖RNAも公知のTLRアゴニスト(ヒトのTLR8およびマウスのTLR7)であるが、2本鎖RNAおよびポリIC(ポリイノシン-ポリシチジル酸-ウイルスRNAの市販の合成模倣物)はTLR3アゴニストの例である。3D-MPLはTLR4アゴニストの一例である一方、CPGはTLR9アゴニストの一例である。
【0124】
免疫原性組成物は金属塩上に吸着された抗原および免疫賦活薬を含んでもよい。抗原と免疫賦活薬3-de-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)が同じ粒子上に吸着されたアルミニウム系のワクチン製剤はEP 0 576 478 B1、EP 0 689 454 B1、およびEP 0 633 784 B1に記載されている。これらの事例においては、抗原を最初にアルミニウム塩上に吸着させ、次いで免疫賦活薬3D-MPLを同じアルミニウム塩粒子上に吸着させる。かかるプロセスは最初に3D-MPLを水浴中の超音波処理により粒子が80〜500nmのサイズに到達するまで懸濁させる。典型的には抗原をアルミニウム塩上に1時間、室温にて攪拌下で吸着させる。次いで3D-MPL懸濁液を吸着した抗原に加え、製剤を室温にて1時間インキュベートして、その後、使用するまで4℃に保つ。
【0125】
他のプロセスでは、EP 1126876に記載のように、免疫賦活薬と抗原は別々の金属粒子上にある。この改善されたプロセスは、免疫賦活薬を金属塩粒子上へ吸着させるステップ、次いで抗原を他の金属塩粒子上へ吸着させるステップ、次いで異なる金属粒子を混合してワクチンを形成するステップから成る。本発明に用いるアジュバントは金属塩粒子上に吸着された免疫賦活薬を含み、その金属塩粒子が実質的に他の抗原を含まないことで特徴付けられるアジュバント組成物であってもよい。さらに、本発明によりワクチンが提供され、そのワクチンはその免疫賦活薬が実質的に他の抗原を含まない金属塩粒子上に吸着していること、および抗原に吸着された金属塩粒子が実質的に他の免疫賦活薬を含まないことを特徴とする。
【0126】
従って本発明は、金属塩の粒子上に吸着している免疫賦活薬を含み、その組成が実質的に他の抗原を含まないことを特徴とするアジュバント製剤を提供する。さらに、このアジュバント製剤は、もしかかるアジュバントが使われるのであれば、ワクチン製造に必要な中間体であってもよい。従って、ワクチンを製造する方法であって、金属粒子上に吸着された1以上の免疫賦活薬であるアジュバント組成物を抗原と混合するステップを含んでなる前記方法を提供する。好ましくは、その抗原は金属塩上に予め吸着している。前記金属塩は免疫賦活薬上に吸着された金属塩と同一または類似であってもよい。好ましくは金属塩はアルミニウム塩、例えばリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムである。本発明はさらに、金属塩の第1粒子上に吸着された免疫賦活薬および金属塩上に吸着された抗原を含むワクチン組成物であって、第1と第2の金属塩の粒子が別個の粒子であることを特徴とする前記ワクチン組成物を提供する。
【0127】
本明細書に記載のLPSまたはLOS誘導体または突然変異体またはリピドA誘導体は天然のリポ多糖より低毒性であるように設計され(例えば、3D-MPL)、かつ本明細書に記載のこれらの部分の任意の用途について互換性のある等価物である。これらは前記のTLR4リガンドであってもよい。他のかかる誘導体はWO 020786737、WO 9850399、WO 0134617、WO 0212258、WO 03065806に記載されている。
【0128】
一実施形態において、本発明の組成物に使われるアジュバントはリポソーム担体(リン脂質(例えばジオレオイルホスファチジルコリン[DOPC])および必要に応じてステロール[例えばコレステロール]から公知の技法により作られる))を含む。かかるリポソーム担体はリピドA誘導体[例えば3D-MPL、前記参照]および/またはサポニン(例えばQS21、前記参照)を含んでもよい。一実施形態において、アジュバントは、(0.5mL用量当たり)0.1〜10mg、0.2〜7、0.3〜5、0.4〜2、または0.5〜1mg(例えば、0.4〜0.6、0.9〜1.1、0.5または1mg)リン脂質(例えばDOPC)、0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125mg)ステロール(例えばコレステロール)、5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)リピドA誘導体(例えば3D-MPL)、および5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)サポニン(例えばQS21)を含む。
【0129】
このアジュバントは特に高齢者ワクチン製剤用に好適である。一実施形態において、このアジュバントを含むワクチン組成物は少なくとも以下の全ての血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7F(および血清型3、6A、19A、および22F由来の1以上を含んでもよい)由来のサッカリドコンジュゲートを含み、ここで1以上(または全て)のワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fに対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチンのPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導される抗体力価に対して有意に劣ることはない。
【0130】
一実施形態において、本発明の組成物に使用されるアジュバントは代謝性油(例えばスクアレン)、乳化剤(例えばTween80)および必要に応じてトコール(例えばαトコフェロール)から調製した水中油型エマルジョンを含む。一実施形態において、アジュバントは(0.5mL用量当たり)0.5〜15、1〜13、2〜11、4〜8、または5〜6mg(例えば、2〜3、5〜6、または10〜11mg)代謝性油(例えばスクアレン)、0.1〜10、0.3〜8、0.6〜6、0.9〜5、1〜4、または2〜3mg(例えば、0.9〜1.1、2〜3または4〜5mg)乳化剤(例えばTween80)および必要に応じて0.5〜20、1〜15、2〜12、4〜10、5〜7mg(例えば、11〜13、5〜6、または2〜3mg)トコール(例えばαトコフェロール)を含む。
【0131】
このアジュバントは必要に応じてさらに5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば3D-MPL)を含んでもよい。
【0132】
これらのアジュバントは特に乳児または高齢者ワクチン製剤用に好適である。一実施形態において、このアジュバントを含むワクチン組成物は少なくとも以下の全ての血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7F(および血清型3、6A、19A、および22F由来の1以上を含んでもよい)由来のサッカリドコンジュゲートを含み、ここで1以上(または全て)のワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fに対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチンのPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導される抗体力価に対して有意に劣ることはない。
【0133】
このアジュバントは必要に応じて0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125mg)ステロール(例えばコレステロール)、5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)リピドA誘導体(例えば3D-MPL)、および5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)サポニン(例えばQS21)を含有してもよい。
【0134】
このアジュバントは特に高齢者ワクチン製剤用に好適である。一実施形態において、このアジュバントを含むワクチン組成物は少なくとも以下の全ての血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7F(および血清型3、6A、19A、および22F由来の1以上を含んでもよい)由来のサッカリドコンジュゲートを含み、ここで1以上(または全て)のワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fに対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチンのPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導される抗体力価に対して有意に劣ることはない。
【0135】
一実施形態において、本発明の組成物に使用されるアジュバントはリン酸アルミニウムおよびリピドA誘導体(例えば3D-MPL)を含む。このアジュバントは(0.5mL用量当たり)100〜750、200〜500、または300〜400μgのAlをリン酸アルミニウムとして、および5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)リピドA誘導体(例えば3D-MPL)を含んでもよい。
【0136】
このアジュバントは特に高齢者または乳児ワクチン製剤用に好適である。一実施形態において、このアジュバントを含むワクチン組成物は少なくとも以下の全ての血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7F(および血清型3、6A、19A、および22F由来の1以上を含んでもよい)由来のサッカリドコンジュゲートを含み、ここで1以上(または全て)のワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fに対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチンのPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導される抗体力価に対して有意に劣ることはない。
【0137】
本発明の免疫原性組成物を含有するワクチン調製物は、前記ワクチンを全身または粘膜経路経由で投与する方法により、感染に感受性の哺乳動物を保護または治療するために用いることができる。これらの投与には筋肉内、腹腔内、皮内または皮下経路経由;または経口/食事、呼吸器、尿生殖器官への粘膜投与経由の注入を含みうる。肺炎または中耳炎を治療するためのワクチンを鼻腔内投与してもよい(肺炎球菌の鼻咽頭保有を効果的に予防し、感染をその最初期段階で減弱できるので)。本発明のワクチンは単一用量で投与してもよいが、同時にまたは異なる時にそれらの成分を一緒に共投与することもできる(例えば肺炎球菌のサッカリドコンジュゲートを、同時に、またはワクチンのいずれかの細菌タンパク質成分を投与してから1〜2週間後にいずれの免疫応答も最適となるように別に投与してもよい)。同時投与については、任意のTh1アジュバントがいずれかのまたは全ての異なる投与物中に存在してもよい。単一経路の投与だけでなく、2つの異なる投与経路を用いてもよい。例えば、サッカリド類またはサッカリドコンジュゲートをIM(またはID)投与してもよくかつ細菌タンパク質をIN(またはID)投与してもよい。さらに、本発明のワクチンを初回刺激のためにIM投与および追加免疫のためにIN投与してもよい。
【0138】
ワクチン中のタンパク質抗原の含量は典型的には1〜100μg、好ましくは5〜50μg、最も典型的には5〜25μgの範囲であろう。被験者は最初のワクチン接種の後、十分に間をおいて1または数回の追加免疫を受けることができる。
【0139】
ワクチン調製はVaccine Design (「サブユニットとアジュバント手法(The subunit and adjuvant approach)」 (Powell M.F.およびNewman M.J.編) (1995) Plenum Press New York)に一般的に記載されている。リポソーム内の封入はFullerton、米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0140】
本発明のワクチンは溶液でまたは凍結乾燥して貯蔵することができる。好ましくは、溶液をスクロースまたはラクトースなどの糖の存在のもとで凍結乾燥する。これらを凍結乾燥して用事調製として使用前に再構成することがさらに好ましい。凍結乾燥によって一層安定な組成物(ワクチン)を得ることができ、そしておそらく3D-MPLの存在とアルミニウム系アジュバントの非存在のもとでより高い抗体力価を得ることができる。
【0141】
本発明の一態様においては、ワクチンキットであって、本発明の免疫原性組成物を(必要に応じて凍結乾燥した形態で)含有するバイアルを含みかつさらに本明細書に記載のアジュバントを含有するバイアルを含む前記ワクチンキットを提供する。本発明のこの態様においては、アジュバントを用いて凍結乾燥した免疫原性組成物を再構成しうることを考えられる。
【0142】
本発明のワクチンは任意の経路で投与しうるが、前記ワクチンの皮膚中への投与(ID)は本発明の一実施形態を形成する。ヒトの皮膚は角質層(stratum corneum)と呼ばれる外側の「角質(horny)」小皮を含み、これが表皮(epidermis)を覆っている。この表皮の下に真皮(dermis)と呼ばれる層があり、順に皮下組織を覆っている。研究者はワクチンの皮膚、特に真皮内に注入すると免疫応答を刺激し、さらなる数多くの利点にも関連しうることを示している。本明細書に記載したワクチンによる皮内ワクチン接種は本発明の好ましい特徴を形成する。
【0143】
従来の皮内注入技法(「マントー(mantoux)法」)は、皮膚を清浄し、次に片方の手を伸ばし、細いゲージ針(26〜31ゲージ)の斜面を上側に向けて、針を10〜15°の角度で挿入するステップを含む。針の斜面が挿入されたら、針の外筒を下げてさらに進入させるとともに、僅かな圧力をかけてそれを皮膚下で持ち上げる。次いで、液体を非常にゆっくりと注入し、それにより皮膚表面上にブレブまたは隆起を形成し、その後、針をゆっくりと引き出す。
【0144】
さらに最近、液剤を皮膚中にまたは皮膚を横切って投与するよう特別に設計したデバイスが記載されていて、例えばWO 99/34850およびEP 1092444に記載のデバイス、また例えばWO 01/13977; US 5,480,381、US 5,599,302、US 5,334,144、US 5,993,412、US 5,649,912、US 5,569,189、US 5,704,911、US 5,383,851、US 5,893,397、US 5,466,220、US 5,339,163、US 5,312,335、US 5,503,627、US 5,064,413、US 5,520,639、US 4,596,556、US 4,790,824、US 4,941,880、US 4,940,460、WO 97/37705およびWO 97/13537に記載されたジェット注入デバイスがある。ワクチン調製物の皮内投与の代わりの方法としては、慣用のシリンジおよび針、または固体ワクチンの衝撃送達(ballistic delilvery)用に設計されたデバイス(WO 99/27961)、または経皮パッチ(WO 97/48440; WO 98/28037);または皮膚の表面への塗布(経皮(transdermalまたはtranscutaneous)送達、WO 98/20734;WO 98/28037)を含みうる。
【0145】
本発明のワクチンを皮膚、またはより具体的には真皮中に投与する場合、ワクチンは低液容量、特に約0.05ml〜0.2mlの容量である。
【0146】
本発明の皮膚または皮内ワクチン中の抗原の含量は、筋肉内ワクチンで見られる慣用の用量とほぼ同じであってよい(前記参照)。しかし、製剤が「低用量」であることが皮膚または皮内ワクチンの特徴である。したがって、「低用量」ワクチン中のタンパク質抗原は1用量当たり好ましくはわずか0.1〜10μg、好ましくは0.1〜5μgが存在し;かつ(好ましくはコンジュゲートした)サッカリド抗原は1用量当たり0.01〜1μgの範囲で、好ましくは0.01〜0.5μgが存在する。
【0147】
本明細書で使用する用語「皮内送達」は、ワクチンを皮膚の真皮の領域へ送達することを意味する。しかし、ワクチンは必ずしも専ら真皮に位置させなくてもよい。真皮は、ヒトの皮膚表面から約1.0〜約2.0mmに位置する層であるが、個人間でおよび身体の異なる部分である程度の量の変動がある。一般的に、皮膚表面下1.5mm行くと真皮に到達すると予想しうる。真皮は、表面の角質層および表皮と下側の皮下層との間に位置する。ワクチンは、送達様式に応じて、最終的に真皮内だけにまたは主に真皮内に存在してもよいし、または、最終的に表皮および真皮内に分布していてもよい。
【0148】
本発明はさらに、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)タンパク質、例えば遊離またはコンジュゲートした形のプロテインDの付加により(前記参照)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)が病因である中耳炎を予防または改善するための改良されたワクチンを提供する。加えて、本発明はさらに、1または2つの肺炎球菌タンパク質(前記参照)を遊離またはコンジュゲートしたタンパク質として本発明の肺炎球菌コンジュゲート組成物に付加することに依存して、乳児における肺炎球菌感染(例えば、中耳炎)を予防または改善するための改良されたワクチンも提供する。前記肺炎球菌の遊離タンパク質は担体タンパク質として使う任意の肺炎球菌タンパク質と同じであっても、異なってもよい。1以上のモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)タンパク質抗原(前記参照)も混合ワクチンに遊離またはコンジュゲート型で含みうる。このように、本発明は乳児の中耳炎に対する(保護)免疫応答を惹起する改善された方法である。
【0149】
他の実施形態において、本発明は本発明のワクチンの安全かつ有効な量を投与することにより、乳児(0〜2歳)に(保護)免疫応答を惹起する改善された方法である。本発明のさらなる実施形態には、医薬に使用するための本発明の抗原性肺炎球菌コンジュゲート組成物の提供および肺炎球菌性疾患の予防(または治療)用医薬品の製造における本発明の肺炎球菌コンジュゲートの使用が含まれる。
【0150】
さらに他の実施形態において、本発明は本発明のワクチンの安全かつ有効な量を、好ましくは遊離またはコンジュゲートしたタンパク質(ここで遊離肺炎球菌タンパク質は担体タンパク質として使われるいずれかの肺炎球菌タンパク質と同じかまたは異なってもよい)として存在する1または2種の肺炎球菌タンパク質と組合わせて投与することにより、高齢者集団(本発明に関しては、患者がもし50歳以上、典型的に55歳超の、およびもっと一般的に60歳超の年齢であれば高齢者とみなす)の(保護)免疫応答を惹起するための改善された方法である。
【0151】
本発明のさらなる態様は、ヒト宿主を肺炎球菌および場合によってはインフルエンザ菌感染が病因である疾患に対して免疫感作する方法であって、宿主に本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットの免疫保護用量を投与するステップを含んでなる前記方法である。
【0152】
本発明のさらなる態様は、肺炎球菌および場合によってはインフルエンザ菌感染が病因である疾患の治療または予防に使用するための本発明の免疫原性組成物である。
【0153】
本発明のさらなる態様は、肺炎球菌および場合によってはインフルエンザ菌感染が病因である疾患を治療または予防するための医薬品の製造における、本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットの使用である。
【0154】
本発明のさらなる態様においては、O-アセチル化血清型18C菌株および脱-O-アセチル化血清型18C菌株による肺炎球菌感染が病因である疾患を治療または予防するための医薬品の製造における、本発明の免疫原性組成物またはワクチンの使用を提供する。
【0155】
本発明のさらなる態様においては、血清型19A菌株による肺炎球菌感染が病因である疾患を治療または予防するための医薬品の製造における、血清型19Fの莢膜サッカリドコンジュゲートを含むが血清型19A由来の莢膜サッカリドは含まない本発明の免疫原性組成物またはワクチンの使用を提供する。
【0156】
本発明者らは本明細書中の用語「含む」は用語「から成る」と全ての場合に必要に応じて置換しうると考えている。
【0157】
本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書の実施形態は本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態にも適用可能であり、そして逆も成立する。
【0158】
本特許明細書内に引用した全ての参考文献または特許出願は参照により本明細書に組み入れられる
本発明がさらによく理解されるように、次の実施例を記載した。これらの実施例は説明を目的とするだけであって、本発明の範囲をいずれかの方法で限定すると解釈してはならない。
【実施例】
【0159】
実施例1:プロテインDの発現
インフルエンザ菌プロテインD
プロテインD発現のための遺伝子構築物
出発物質
プロテインDをコードするDNA
プロテインDは全ての血清型および型を特定できない菌株のインフルエンザ菌(H. influenzae)間で高度に保存している。全プロテインD遺伝子をコードするDNA配列を含有するベクターpHIC348は、Dr. A. Forsgren(Department of Medical Microbiology, University of Lund, Malmoe General Hospital, Malmoe, Sweden)から得たものである。プロテインDのDNA配列はJansonら, (1991) Infect. Immun. 59: 119-125に開示している。
【0160】
発現ベクターpMG1
発現ベクターpMG1はpBR322の誘導体(Grossら、1985)であり、これに外来の挿入された遺伝子の転写および翻訳をするためのバクテリオファージλ由来の制御エレメントが導入された(Shatzmanら,1983)。さらに、アンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子と交換した。
【0161】
大腸菌株AR58
大腸菌株AR58は、N99の形質導入により、SA500誘導体(galE::TN10, λKil- cI857 ΔH1)で先に増殖したP1ファージストックを用いて作製した。N99とSA500は、Dr. Martin Rosenbergの研究室(National Institute of Health)由来の大腸菌K12菌株である。
【0162】
発現ベクターpMG1
プロテインDを産生するために、当該タンパク質をコードするDNAを発現ベクターpMG1中にクローニングした。このプラスミドはλファージDNAからのシグナルを利用して挿入された外来遺伝子の転写と翻訳を駆動する。このベクターはプロモーターPL、オペレーターOLおよび2つの利用部位(NutLおよびNutR)を含有し、Nタンパク質が与えられると転写の極性効果を軽減する(Grossら、1985)。PLプロモーターを含有するベクターはプラスミドDNAを安定化するために大腸菌溶原性宿主中に導入される。溶原性宿主菌株はゲノム中に組込まれた複製欠陥λファージDNAを含有する(Shatzman ら、1983)。染色体のλファージDNAは、ベクターのOLリプレッサーと結合するcIリプレッサータンパク質の合成を指令し、RNAポリメラーゼのPLプロモーターとの結合およびそれにより挿入された遺伝子の転写を防止する。発現菌株AR58のcI遺伝子は温度感受性突然変異体を含有して、PLが指令する転写を温度シフトにより制御することができる、すなわち、培養温度の上昇はリプレッサーを不活性化して外来タンパク質の合成を開始する。この発現系は外来タンパク質、とりわけ細胞に毒性でありうる外来タンパク質の合成の制御を可能にする(ShimatakaおよびRosenberg、1981)。
【0163】
大腸菌株AR58
プロテインD担体を産生するために用いるAR58溶原性大腸菌株は標準NIH大腸菌K12菌株N99(F- su- galK2、lacZ- thr-)の誘導体である。これは欠陥溶原性λファージ(galE::TN10, λKil- cI857 ΔH1)を含有する。Kil-表現型は宿主高分子合成のシャットオフを阻止する。cI857突然変異はcIリプレッサーに温度感受性障害を与える。ΔH1欠失はλファージ右オペロンおよび宿主bio、uvr3、およびchlA遺伝子座を除去する。AR58菌株は、N99の形質導入によりSA500誘導体(galE::TN10, λKil- cI857 ΔH1)上で先に増殖したP1ファージストックを用いて作製した。欠陥溶原のN99中への導入は、隣接galE遺伝子中のテトラサイクリン耐性をコードするTN10トランスポゾンの存在の効果により、テトラサイクリンを用いて選択した。
【0164】
ベクターpMGMDPPrDの構築
インフルエンザウイルスの非構造S1タンパク質をコードする遺伝子を含有するpMG1ベクター(pMGNSI)を用いてpMGMDPPrDを構築した。プロテインD遺伝子はpHIC348ベクター(Jansonら, 1991 Infect.Immun. 59:119-125)から、NcoIおよびXbaI制限部位を5'および3'末端にそれぞれ含有するPCRプライマーを用いてPCRにより増幅した。次いでNcoI/XbaI断片をpMGNSI中にNcoIとXbaIの間に導入し、こうしてNS1タンパク質のN-端末81アミノ酸と続いてPDタンパク質を含有する融合タンパク質を作製した。このベクターが標識したpMGNS1PrDであった。
【0165】
上記構築物に基づいてプロテインD発現用の最終構築物を作製した。BamHI/BamHI断片をpMGNS1PrDから取り出した。このDNA加水分解は、最初の3つのN末端残基を除くNS1コード領域を取り出す。ベクターを再ライゲーションすると、次のN末端アミノ酸配列をもつ融合タンパク質をコードする遺伝子が作製される:
----MDP SSHSSNMANT----
NS1 プロテインD
プロテインDは、脂質鎖が通常結合するリーダーペプチドまたはN末端システインを含有しない。従って、このタンパク質は周辺質に排出もされないしリピド化もされないで細胞質中に可溶型で残る。
【0166】
最終構築物pMG-MDPPrDをAR58宿主菌株中に37℃の熱ショックにより導入した。細菌を含有するプラスミドをカナマイシンの存在のもとで選択した。プロテインDをコードするDNAインサートの存在を、単離したプラスミドDNAを選択したエンドヌクレアーゼを用いて消化することにより実証した。この組換え大腸菌株をECD4と呼ぶことにする。
【0167】
プロテインDの発現はλPLプロモーター/OLオペレーターの制御下にある。宿主菌株AR58は温度感受性cI遺伝子をゲノム中に含有し、これがOLと結合することにより低温ではλPLからの発現をブロックする。温度が上昇するとcIがOLから遊離してプロテインDが発現される。
【0168】
小規模調製
発酵が終わると細胞を濃縮して凍結する。
【0169】
回収した細胞からの抽出およびプロテインDの精製を次の通り実施した。凍結した細胞培養ペレットを溶解して細胞破壊溶液(クエン酸バッファーpH6.0)中に再懸濁して最終OD650=60にした。懸濁液を2回、P=1000barで高圧ホモジナイザーを通過させる。細胞培養ホモジネートを遠心分離により清澄化し、細胞細片を濾過して除去する。最初の精製ステップで、濾過した溶菌液をカチオン交換クロマトグラフィカラム(SPセファロースFast Flow)にアプライする。PDをイオン相互作用によりゲルマトリックスと結合させ、溶出バッファーのイオン強度を段階的に増加して溶出する。
【0170】
第2精製ステップでは、不純物をアニオン交換マトリックス(QセファロースFast Flow)上に保持させる。PDはゲルと結合しないので通過液中に回収することができる。
【0171】
両方のカラムクロマトグラフィステップにおいて、画分回収をODによりモニターする。精製プロテインDを含有するアニオン交換カラムクロマトグラフィの通過液を限外濾過により濃縮する。
【0172】
プロテインDを含有する限外濾過保持画分は最後に0.2μm膜を通過させる。
【0173】
大規模調製
回収した細胞からの抽出とプロテインDの精製を次の通り実施した。回収したブロスを冷却し、2回、ほぼ800barの圧力で高圧ホモジナイザーを直接通過させた。
【0174】
最初の精製ステップで、細胞培養ホモジネートを希釈してカチオン交換クロマトグラフィカラム(SPセファロース 大ビーズ)に適用した。PDをゲルマトリックスとイオン相互作用により結合させ、溶出バッファーのイオン強度の段階的増加により溶出して濾過する。
【0175】
第2の精製ステップでは、不純物をアニオン交換マトリックス(QセファロースFast Flow)上に保持させる。PDはゲルと結合しないので通過液中に回収することができる。
【0176】
両方のカラムクロマトグラフィステップにおいて、画分回収をODによりモニターする。精製プロテインDを含有するアニオン交換カラムクロマトグラフィの通過液を限外濾過により濃縮しかつ透析濾過する。
【0177】
プロテインDを含有する限外濾過保持画分は最後に0.2μm膜を通過させる。
【0178】
実施例1b:PhtDの発現
PhtDタンパク質は、ヒスチジン-トリアド(HXXHXHモチーフ)の存在により特徴付けられる肺炎球菌ヒスチジン-トリアド(Pht)タンパク質ファミリーのメンバーである。PhtDは838aa-分子であり、5ヒスチジントリアドを保有する(MedImmune、WO 00/37105;アミノ酸配列は配列番号4を、DNA配列は配列番号5を参照)。PhtDはまた、プロリンリッチ領域を中部(アミノ酸位置348-380)に含有する。PhtDはLXXCモチーフをもつ20aa-N末端シグナル配列を有する。
【0179】
遺伝構築物
成熟MedImmune PhtDタンパク質(aa21〜aa838)の遺伝子配列を遺伝子組換えにより、pλプロモーターを保有するインハウスpTCMP14ベクターを用いて大腸菌に移した。大腸菌宿主菌株は、cI857熱感受性リプレッサーを保有してプロモーターの熱誘導を可能にするAR58である。
【0180】
ポリメラーゼ連鎖反応を行ってMedImmuneプラスミド(肺炎球菌株Norway4(血清型4)由来のphtD遺伝子(WO00/37105に記載の配列番号5)を保有する)からphtD遺伝子を増幅した。phtD遺伝子だけに特異的なプライマーを用いて2つの断片でphtD 遺伝子を増幅した。プライマーはNdeIおよびKpnIまたはKpnIおよびXbaI制限部位を保有する。これらのプライマーはphtD特異的遺伝子配列とだけハイブリダイズし、他のいずれのヌクレオチドともハイブリダイズしない。人工のATG開始コドンを、Ndel制限部位を保有する第1プライマーを用いて挿入した。作製したPCR産物を次いでpGEM-Tクローニングベクター(Promega)中に挿入し、そのDNA配列を確認した。次いで、TCMP14発現ベクター中の断片のサブクローニングを標準技法を用いて行い、そのベクターをAR58大腸菌中に形質転換した。
【0181】
PhtD精製
PhtD精製を次の通り実施した:
・カナマイシンの存在のもとで大腸菌細胞の増殖:30℃で30時間増殖、次いで39.5℃で18時間誘導。
【0182】
・EDTA 5mMおよびプロテアーゼインヒビターとしてのPMSF 2mMの存在のもとで、OD±115の全培養由来の大腸菌細胞の破壊:Rannie、2回通過、1000bar。
【0183】
・拡大ベッドモードのStreamline QXLクロマトグラフィで室温(20℃)にて抗原捕捉および細胞残屑除去;カラムをNaCl 150mM+Empigen 0.25% pH6.5を用いて洗浄し、NaC l400mM+Empigen 0.25%を含む25mMリン酸カリウムバッファーpH7.4を用いて溶出する。
【0184】
・Sartobran 150カートリッジ(0.45+0.2 μm)上で濾過。
【0185】
・pH7.4にて5mMイミダゾールの存在のもとで4℃にてZn++キレート化セファロースFF IMACクロマトグラフィ上に抗原結合;カラムをイミダゾール5mMおよびEmpigen 1%を用いて洗浄し、かつ50mMイミダゾールを用いて溶出する(両方とも25mMリン酸カリウムバッファーpH8.0中)。
【0186】
・ポジティブモードのFractogel EMD DEAE上でpH8.0(25mMリン酸カリウム)、4℃における弱アニオン交換クロマトグラフィ;カラムを140mM NaClを用いて洗浄し、200mM NaClにて溶出すると、夾雑物(タンパク質とDNA)は交換器上に吸着されて残る。
【0187】
・濃縮および2mM Na/Kリン酸塩、pH 7.15による50kDa膜での限外濾過。
【0188】
・精製バルクのMillipak-20 0.2μmフィルターカートリッジ上での滅菌濾過。
【0189】
実施例1c:ニューモリシンの発現
肺炎球菌ニューモリシンを調製し、WO 2004/081515およびWO 2006/032499に記載の通り解毒した。
【0190】
実施例2:
コンジュゲートの調製
当技術分野で、精製した肺炎球菌多糖の作り方は周知である。これらの実施例のために、多糖を本質的にEP 072513に記載の通りまたは密接に関係する方法で作った。コンジュゲーション前に多糖をマイクロ流体化によって以下に記載のようにサイジングしてもよい。
【0191】
活性化およびカップリング条件はそれぞれの多糖に特異的である。これらの条件を表1に掲げる。サイジングした多糖(PS5、6Bおよび23Fを除く)をNaCl 2M、NaCl 0.2Mにまたは注入用水(WFI)に溶解した。最適な多糖濃度を全ての血清型に対して評価した。血清型18Cを除く全ての血清型は、以下に詳述するように、担体タンパク質と直接コンジュゲートした。2つの代わりの血清型22Fコンジュゲート;1つは直接コンジュゲートしたもの、1つはADHリンカーを介するものを作った。
【0192】
アセトニトリルまたはアセトニトリル/水(50%/50%)溶液中の100mg/mlストック溶液から、CDAPを多糖溶液に加えた(CDAP/PS比=0.5〜1.5mg/mgPS)。1.5分後、0.2M〜0.3M NaOHを加えて特定の活性化pHを得た。多糖の活性化はこのpHで3分間25℃にて実施した。精製タンパク質(プロテインD、PhtD、ニューモリシンまたはDT)(その量は最初のPS/担体タンパク質比に依存する)を活性化した多糖に加え、カップリング反応を特定のpHで2時間まで(血清型に依存して)pH調節のもとで行った。未反応シアン酸エステル基をクエンチするために、次いで2Mグリシン溶液をその混合物に加えた。pHをクエンチングpH(pH 9.0)に調節した。溶液を30分間25℃にて攪拌し次いで一晩2〜8℃にて連続してゆっくりと攪拌した。
【0193】
18Cの調製
18Cを担体タンパク質とリンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))経由で連結した。多糖血清型18Cはコンジュゲートする前にマイクロ流体化した。
【0194】
破傷風トキソイドのEDACによる誘導体化
破傷風トキソイドを誘導体化するために、精製したTTを0.2M NaCl中に25mg/mlで希釈し、ADHスペーサーを最終濃度0.2Mとなるように加えた。スペーサーの溶解が完了すると、pHを6.2に調節した。次いでEDAC(1-エチル-3-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド)を加えて最終濃度0.02Mとし、その混合物を1時間、pH調節のもとで攪拌した。縮合反応を少なくとも30分間25℃でpHを9.0まで増加することにより停止した。次いで誘導体化したTTを、残留ADHおよびEDAC試薬を除くために限外濾過した(10kDa CO膜)。TTAHバルクを最後に滅菌濾過し、カップリングステップまで-70℃にて貯蔵した。
【0195】
TTAHのPS 18Cとの化学カップリング
コンジュゲーションパラメーターの詳細は表1を参照されたい。
【0196】
2グラムのマイクロ流体化したPSを規定した濃度で水に希釈し、NaCl粉末を加えて2M NaClに調節した。
【0197】
CDAP溶液(100mg/ml、50/50、アセトニトリル/WFI中に新しく調製した)を適当なCDAP/PS比となるように加えた。
【0198】
pHを0.3M NaOHを加えることにより活性化pH 9.0まで上昇させ、TTAHを加えるまでこのpHで安定化した。
【0199】
3分後、誘導体化したTTAH(20mg/ml、0.2M NaCl中)を加えてTTAH /PS比を2とし;pHをカップリングpH 9.0に調節した。その溶液を1時間、pH調節のもとで放置した。
【0200】
クエンチングのために、2Mグリシン溶液を混合液PS/TTAH/CDAPに加えた。
【0201】
pHをクエンチングpH(pH 9.0)に調節した。
【0202】
溶液を30分間25℃にて攪拌し、次いで一晩2〜8℃で連続してゆっくり攪拌しながら放置した。
【0203】
PS22FAH-PhtDコンジュゲート
このサッカリドの第2のコンジュゲーション方法(第1の方法は表1に示した直接PS22-PhtDコンジュゲーション方法である)においては、22Fをリンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))経由で担体タンパク質に連結した。多糖血清型22Fをコンジュゲーション前にマイクロ流体化した。
【0204】
PS22F誘導体化
活性化とカップリングは温度制御した水浴中で連続攪拌しながら25℃にて実施した。
【0205】
マイクロ流体化したPS22Fを0.2M NaCl中に希釈して最終PS 濃度6mg/mlとして、その溶液を0.1N HClによりpH 6.05±0.2に調節した。
【0206】
CDAP溶液(100mg/ml、50/50v/vアセトニトリル/WFI中に新しく調製した)を加えて適当なCDAP/PS比(1.5/1ww)とした。
【0207】
pHを0.5M NaOHを加えることにより活性化pH 9.00±0.05に上昇し、このpHでADHを加えるまで安定化した。
【0208】
3分後、ADHを加えて適当なADH/PS比(8.9/1 w/w)として;PHをカップリングpH 9.0に調節した。その溶液を1時間、pH調節のもとで放置した。
【0209】
PSAH誘導体を濃縮して限外濾過した。
【0210】
カップリング
4/1(w/w)のPhtD/PS22FAH比にするために、0.2M NaCl中の10mg/mlのPhtDをPS22FAH誘導体に加えた。pHをHClにより5.0±0.05に調節した。EDAC溶液(20mg/ml、0.1M Tris-HCl pH 7.5中に)を手作業で10分間に加え(250ml/min)、1mg EDAC/mg PS22FAHとした。得られる溶液を150分間(60分間も行ったが)、25℃で攪拌しかつpHを調節しながらインキュベートした。その溶液を、1M tris-HCl pH 7.5 (最終体積の1/10)を加えることにより中和して30分間25℃とした。
【0211】
Sephacryl S400HR上で溶出する前に、コンジュゲートを5μm Minisartフィルターを用いて清澄化した。
【0212】
得られるコンジュゲートは4.1(w/w)のPhtD/PS最終比、1%未満の遊離PS含量ならびに36.3%の抗原性(α-PS/α-PS)および7.4%の抗PhtD抗原性を有する。
【0213】
コンジュゲートの精製:
コンジュゲートを、0.15M NaClで平衡化したSephacryl S400HRゲル濾過カラム(18Cに対してはS500HR)を用いてゲル濾過により精製し、小分子(DMAPを含む)ならびにコンジュゲートしなかったPSおよびタンパク質を除去した。色々な反応成分の分子サイズに基づいて、PS-PD、PS-TT、PS-PhtD、PS-ニューモリシンまたはPS-DTコンジュゲートを最初に、続いて遊離PS、次いで遊離PDまたは遊離DT、そして最後にDMAPおよび他の塩(NaCl、グリシン)を溶出した。
【0214】
コンジュゲートを含有する画分をUV280 nmにより検出する。画分をそのKdによってプールし、滅菌濾過し(0.22mm)、そして+2〜8℃にて貯蔵した。調製物中のPS/タンパク質比を決定した。
【0215】
PS肺炎球菌-プロテインD/TT/DT/PhtD/Plyコンジュゲートの具体的な活性化/カップリング/クエンチング条件
行ヘッダーに「マイクロ流体化(μfluid)」と記載している場合、そのサッカリドはコンジュゲートする前にマイクロ流体化によりサイジングされたことを示す。マイクロ流体化後のサッカリドのサイズは表2に掲げた。
【表1】

【0216】

【0217】
特徴付け:
それぞのコンジュゲートを特徴付けると、表2に記載の仕様を満たした。多糖含量(μg/ml)はレゾルシノール試験により、タンパク質含量(μg/ml)はLowry試験により測定した。最終PS/PD比(w/w)は濃度比により決定した。
【0218】
遊離多糖含量(%):
4℃で保つかまたは37℃で7日間貯蔵したコンジュゲートの遊離多糖含量は、α担体タンパク質抗体および飽和硫酸アンモニウムとのインキュベーションと次いで遠心分離の後に得た上清で定量した。
【0219】
α-PS/α-PS ELISAを用いて上清中の遊離多糖を定量した。コンジュゲートの非存在もα-担体タンパク質/α-PS ELISAにより制御した。
【0220】
抗原性:
前記コンジュゲート上の抗原性はサンドイッチ型ELISAで分析し、ここで抗体の捕捉および検出はそれぞれα-PSおよびα-タンパク質によった。
【0221】
遊離タンパク質含量(%):
コンジュゲートしなかった担体タンパク質は精製ステップ中にコンジュゲートから分離することができる。遊離タンパク質の含量はサイズ排除クロマトグラフィ(TSK 5000-PWXL)と次いでUV検出(214nm)により定量した。溶出条件によって遊離担体タンパク質とそのコンジュゲートの分離が可能である。コンジュゲートバルク中の遊離タンパク質含量を次いで較正曲線を介して決定した(0〜50mg/mlの担体タンパク質)。%遊離担体タンパク質は次式で求めた:%遊離担体=(遊離担体(μg/ml)/(Lowryにより測定した対応する担体タンパク質の全濃度(μg/ml)*100%)。
【0222】
安定性:
分子量分布(Kav)と安定性は4℃で保持しかつ37℃で7日間貯蔵したコンジュゲートについてHPLC-SECゲル濾過(TSK5000-PWXL)で測定した。
【0223】
10/11/13/14価の特徴付けを表2に掲げた(下記コメントを参照されたい)。タンパク質コンジュゲートをリン酸アルミニウム上に吸着させてプールし、最終ワクチンを形成することができる。
【0224】
結論:
作製した免疫原性コンジュゲートは期待されるワクチンの成分であることが示された。
【表2】

【0225】
10価ワクチンを血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fコンジュゲート(例えば、それぞれヒト1用量当たりサッカリド1、3、1、1、1、1、1、3、3、1μgの用量で)を混合することにより作った。11価ワクチンをさらに表5の血清型3コンジュゲート(例えば、ヒト1用量当たりサッカリド1μg)を加えることにより作った。13価ワクチンをさらに上記血清型19Aおよび22Fコンジュゲート(PhtDと直接、またはあるいはADHリンカー経由で連結した22Fを用いて)[例えば、ヒト1用量当たりそれぞれのサッカリド3μgの用量で]を加えることにより作った。14価ワクチンをさらに上記血清型6Aコンジュゲート[例えば、ヒト1用量当たりサッカリド1μgの用量で]を加えることにより作ることができる。
【0226】
実施例3:本発明の免疫原性組成物中にHaemphilus influenzaeプロテインDを封入することにより急性中耳炎(AOM)に対する保護を改善できることの確証
研究計画
本研究は、インフルエンザ菌由来のプロテインDとそれぞれコンジュゲートした血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fを含む11Pn-PDワクチンを用いた(実施例4の表5を参照されたい)。被験者を無作為化して2グループを作って11Pn-PDワクチンまたはHavrixいずれかの4用量をほぼ3、4、5および12-15月齢に受けた。全被験者はGSK BiologicalsのInfanrix-hexa(DTPa-HBV-IPV/Hib)ワクチンを同時に3、4および5月齢に受けた。Infanrix- hexaは投与前に混合したPediarixとHibの組合わせである。「プロトコルによる」分析の有効性フォローアップは第3ワクチン用量の投与後2週に開始し、24〜27月齢まで続けた。肺炎球菌およびインフルエンザ菌の鼻咽頭保有は選択した被験者サブセットで評価した。
【0227】
両親には、もし幼児が病気になり、耳疼痛、鼓膜の自然の穿孔または自然の耳分泌物があれば、研究者に相談するよう助言した。もし研究者がAOMの発症を疑えば、幼児を耳鼻咽頭(ENT)専門医に直ぐ紹介して診断確認を行った。
【0228】
AOMの臨床診断は、鼓膜の目視外見(すなわち、赤み、腫れ、対光反射の喪失)または中耳液浸出の存在(単純なまたは 気密耳鏡検査法 によりまたは 顕微鏡により実証される)に基づく。さらに、次の兆候または症候群の少なくとも2つが存在しなければならない:耳疼痛、耳浸出液、聴力喪失、熱、嗜眠、被刺激性、摂食障害、嘔吐、または下痢。もしENT専門医が当該臨床診断を確認すれば、中耳液の検体を鼓室穿刺により採取して細菌試験を行う。
【0229】
繰り返して病院を訪問する患者については、もし先の異常事象の開始から30日以上経過していれば、新しいAOM発症が始まったとみなした。さらに、2つの連続発症の間隔に関わらず、もし単離した細菌/血清型が先の単離体と異なればAOM発症は新しい細菌の発症であるとみなした。
【0230】
試験結果
全部で4968人の乳児を、2489人を11Pn-PDグループにかつ2479人を対照グループに登録した。2グループ間に、個体群統計学的特徴またはリスク因子の大きな相違はなかった。
【0231】
臨床上の発症とAOM事例の定義
プロトコル毎のフォローアップ期間中に、11Pn-PDグループでは全部で臨床AOMの333発症、そして対照グループでは499発症が記録された。表3は11Pn-PDワクチンと先にフィンランドで試験された7価ワクチン(Eskolaら, N Engl J Med 2001; 344: 403-409 および Kilpiら, Clin Infect Dis 2003 37:1155-64)の両方の、AOMならびに色々な肺炎球菌血清型、インフルエンザ菌、NTHi、およびモラクセラ・カタラーリス菌が病因であるAOMのいずれかの発症に対する保護効能を提示する。全AOM疾患負荷の33.6%の統計的に有意なかつ臨床的に関連する減少が11Pn-PDにより病因に関係なく達成された(表3)。11Pn-PDワクチンに含有される11肺炎球菌の血清型のいずれかによるAOM発症に対する全効能は57.6%であった(表3)。
【0232】
本研究における他の重要な発見は、11Pn-PDワクチンによりインフルエンザ菌が病因であるAOMに対して与えられる35.6%保護(およびNTHiにより与えられる具体的に35.3%保護)である。AOMの主な病因としてインフルエンザ菌の重要性が高まるとすれば、この発見は肺炎球菌コンジュゲートワクチン時代に大きな臨床上の意味をもつ。AOMに対して与える保護とともに、11Pn-PDワクチンはまた、生涯の第2年目における追加免疫後のインフルエンザ菌の鼻咽頭保有も低減した。これらの発見は、両方の7価肺炎球菌コンジュゲートワクチンについてインフルエンザ菌によるAOM発症の増加が病因交代の確証として観察された(Eskolaらおよび Kilpiら)とするフィンランドにおける従来の観察と対照的である。
【0233】
HiによるAOM発症に対する保護と担体プロテインDに対する抗体レベルとの間の明らかな相関を確立することはできなかった、というのは、Hi AOM発症の無かった11Pn-PDワクチン被接種者における初回免疫後の抗-PD IgG抗体濃度は本質的に、効能フォローアップ期間中に少なくとも1つのHi AOM発症のあった11Pn-PDワクチン被接種者における初回免疫後の抗-PD IgG抗体濃度と同じであったからである。しかし、ワクチンの生物学的影響と初回免疫後のIgG抗-PD免疫原性との間に相関を確立できなかったが、インフルエンザ菌株の間に高度に保存しているPD担体タンパク質はHiに対する保護の誘導に大きく寄与していると仮定することは合理的である。
【0234】
AOM疾患に対する効果には鼻咽頭保有に対する効果が伴い、それはワクチン血清型肺炎球菌およびインフルエンザ菌に対して類似した量である(図1)。PDコンジュゲートワクチン被接種者におけるインフルエンザ菌の鼻咽頭保有のこの低下は、たとえ、その保護効能がELISAにより測定した抗-PD IgG免疫応答と相関がなくても、インフルエンザ菌に対するPD-コンジュゲートワクチンの直接保護効果の仮説を支持する。
【0235】
次の実験においてはチンチラ中耳炎モデルを、本実施例の11価製剤によりまたは実施例2の10価ワクチンにより免疫感作した乳児から得た血清プールと共に用いた(表1および表2ならびに表1の下のコメントも参照されたい)。両方のプールは、免疫前血清プールと対比して、中耳炎の動物のパーセントの有意な低減を誘導する。10と11価免疫プールの間に有意差はない。この結果は、両方のワクチンがこのモデルにおける型を特定できないインフルエンザ菌が病因である中耳炎に対する保護を誘導する同様な能力を有することを実証する。
【表3】

【0236】
実施例4:
血清型19Fに対する担体タンパク質の選択
使ったELISAアッセイ
22F阻害ELISA法は本質的に2001年、ConcepcionおよびFraschが提案し、そしてHenckaertsら(2006, Clinical and Vaccine Immunology 13:356-360)が報じたアッセイに基づく。概要を説明すると、精製した肺炎球菌多糖をメチル化ヒト血清アルブミンと混合し、Nunc MaxisorpTM(Roskilde、DK)高結合マイクロタイタープレート上で一晩4℃にて吸着させた。プレートをPBS中の10%ウシ胎児血清(FBS)により1時間室温にて攪拌しながらブロックした。血清サンプルを10%FBS、10μg/mL細胞壁多糖(SSI)および2μg/mLの肺炎球菌多糖血清型22F(ATCC)を含有するPBS中に希釈し、そして同じバッファーを用いてマイクロタイタープレート上にさらに希釈した。標準血清89-SFに対して89-SF中の血清型特異的IgG濃縮物を用いて較正した内部参照を、同じ方法で処理して全てのプレートに含ませた。洗浄後、結合した抗体を、ペルオキシダーゼとコンジュゲートした抗-ヒトIgGモノクローナル抗体(Stratech Scientific Ltd.、Soham、UK)を用いて検出し、10%FBS(PBS中の)に希釈し、そして1時間、室温にて攪拌しながらインキュベートした。発色は既製の単一成分テトラメチルベンジジンペルオキシダーゼ酵素イムノアッセイ基質キット(BioRad、Hercules、CA、US)を用いて暗所で室温にて行った。反応をH2SO4 0.18 Mを用いて停止し、光学密度を450nmで読み取った。サンプル中の血清型特異的IgG濃度(μg/mL)を内部参照血清曲線に対する規定限界内の光学密度点を参照することにより計算した(前記内部参照血清曲線はSoftMax ProTM(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)ソフトウエアを用いて計算した4パラメーターロジスチック対数式によりモデル化したものである)。ELISAに対するカットオフは検出限界と定量化限界を考慮すると全血清型に対して0.05μg/mL IgGであった。
【0237】
オプソニン食作用アッセイ
2003年6月のWHO諮問会議において、Romero-Steinerら, Clin Diagn Lab Immunol 2003 10 (6): pp1019-1024に記載のOPAアッセイを用いることが推奨された。このプロトコルを用いて、次の試験における血清型のOPA活性を試験した。
【0238】
コンジュゲートの調製
研究11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007は3種の11価ワクチン製剤(表4)を含み、ここで1μgの多糖をプロテインDとコンジュゲートした(19F-PD)代わりに、3μgの19F多糖をジフテリアトキソイドとコンジュゲートした(19F-DT)。研究11Pn-PD、11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007用のコンジュゲーションパラメーターを表5、6および7にそれぞれ開示する。
【0239】
これらの19F-DT製剤による初回ワクチン接種後1か月の血清型19Fに対する抗-肺炎球菌抗体応答およびOPA活性を表8および9にそれぞれ示す。
【0240】
表10は22F-ELISA抗体濃度と23価単味多糖追加免疫ワクチン接種前後に0.2μg/mL閾値に到達する被験者のパーセントを示す。
【0241】
これらの19F-DT製剤を用いて誘導した抗体では、オプソニン食作用活性が明らかに改善され、これは初回ワクチン接種後1か月のさらに高い血清陽性率(オプソニン食作用力価≧1:8)およびOPA GMT(表9)によって実証された。19F-DT製剤で初回免疫した小児については、23価単味(plain)多糖追加免疫ワクチン接種後1か月に19F抗体のオプソニン食作用活性は有意に優れたまま留まった(表11)。
【0242】
表12は、19F-DTまたは19F-PDコンジュゲートを用いて先に初回免疫をした歩き始めの幼児における11Pn-PD追加免疫用量後の免疫原性データをPrevnar(登録商標)の第4回連続用量と比較して示す。米国におけるPrevnar(登録商標)導入後に報じられた大きな進歩の事例があるので、DT担体タンパク質とコンジュゲートしたときの血清型19Fに対する改善されたオプソニン食作用活性はワクチン候補に有利でありうる。
【0243】
表13は交差反応血清型19Aについて、19F-DTコンジュゲートに対するELISA および OPA データを提供する。19F-DTは19Aに対して低いが有意なOPA活性を誘導することがわかった。
【表4】

【表5】

【0244】

【表6】

【0245】

【表7】

【0246】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【0247】
実施例5:異なるO-アセチル化レベルの多糖による抗-PS18C抗体の阻害
1 はじめに
天然の型またはコンジュゲーション用にプロセシングした後の肺炎球菌の莢膜多糖(PS)のエピトープを比較するために、肺炎球菌莢膜型特異的抗体(抗-PnPS Ab)阻害アッセイを開発した。本発明者らのコンジュゲートの特徴付けだけでなく、これらの試験を用いてPrevnar 18C(-CRM)コンジュゲートに存在するO-アセチル化のレベルも研究した。
【0248】
本明細書に報じた実験の目的は天然の多糖18CロットとPS上に存在するO-アセチル基のレベルが異なる他の18C PSとをこれらのアッセイで比較することであった。抗-SP1008(実施例3)、18C-TT(実施例2)、18C-DTおよびPrevnar血清を用いた。
【0249】
2. 材料と方法
多糖
・PS18C ox 007:17% O-アセチル含量(NMRによる)
WO 96/05859の実施例4(酢酸による加水分解)に記載の方法と次いで過ヨウ素酸を用いる酸化によって調製した。
【0250】
・PS18C ox 011 : 79%O-アセチル含量(NMRによる)
マイクロ流体化したPSと続いて過酸化水素による穏やかな加水分解と過ヨウ素酸による酸化によって調製した。
【0251】
血清
型特異的抗体は、SP1008(11Pn-PD)によりまたはPrevnarにより免疫感作した研究11PnPD&Di007から得た乳児血清をプールすることにより得た。マウスおよびモルモットのプールした血清は、SP1008、PrevnarまたはPS18-DTAHまたはPS18-TTAHコンジュゲート(AH=ADHリンカーをもつ)を含有する実験製剤を用いて免疫感作した動物から得た。
【0252】
方法
ELISA:
・マイクロプレートを天然の18C PSによりコーティングした。
【0253】
・抗-PnPS 18C Abを、79%O-アセチル化または脱-O-アセチル化したPSの連続2倍希釈液とともにプレインキュベーションにより阻害し、次いでコーティングしたマイクロプレートに加えた。
【0254】
・次いでプレートを通常の抗PnPS Elisaアッセイ手順の通り処理した。
【0255】
・抗-PnPS血清の阻害パーセント(阻害-対-非阻害)を計算して、インヒビター濃度に対してプロットした。
【0256】
オプソニン食作用
・古典的オプソニン食作用アッセイで肺炎球菌18C菌株に対して95〜100%死滅を得るように希釈した抗-PnPS 18C Abを、79%O-アセチル化または脱-O-アセチル化したPSの連続2倍希釈液とのプレインキュベーションにより阻害し、そしてオプソニン食作用反応混合物中に導入した。
【0257】
・次いで、肺炎球菌に対するオプソニン食作用試験を通常通り行った。
【0258】
・抗-PnPS血清の阻害パーセント(阻害-対-非阻害)を計算して、インヒビター濃度に対してプロットした。
【0259】
結果
18C PSのO-アセチル化レベルの重要性を確認する目的で、阻害ELISAおよびオプソニン食作用実験を行った。O-アセチル化の乏しい18C PSは酢酸加水分解および過ヨウ素酸酸化によって得た。阻害ELISAおよびOPAで試験した2つのPSは、PS18C007=17%O-アセチルおよびPS18C011=79%O-アセチルであった。
【0260】
3.1 マウスELISAおよびオプソニン食作用実験
・SP1008またはPrevnarを用いて免疫感作したマウス由来のプールした血清のELISA阻害(図1)
・SP1008またはPS18-DTAHまたはPS18-TTAHコンジュゲートを含有する実験製剤を用いて免疫感作したマウス由来のプールした血清のELISA阻害(図2)
ELISAはO-アセチル化「天然の」PSをコーティング抗原として、かつ増加する濃度のPS OAc(011)または脱-OAc PS(007)をインヒビターとして使用した。抗-Prevnar Abが79%O-アセチル化または脱-OAcしたPS18Cによって等しく阻害される一方、対照的に、抗-18C-PD、18C-TTAHおよび18C-DTAH血清は脱-OAc PS18Cよりも79%O-アセチル化PS18Cによって容易に阻害されることが印象的であった。
【0261】
これはPS18C-PDコンジュゲートを用いて免疫感作したマウスがPSのO-アセチル化されたエピトープおよび骨格エピトープと反応する抗体を産生することを示唆する。この発見は、このコンジュゲートの18C PSが高度にO-アセチル化されていることおよびO-アセチル化されたエピトープと反応するBalb/cマウスB細胞レパートリーの素因を考えれば筋が通っている。
【0262】
この優先性にも関わらず、Prevnarを用いて免疫感作したマウスはO-アセチル化されたエピトープと反応する抗体をほとんど産生しない(79%および脱-O-アセチル化されたPSは同様に抗Prevnar抗体と天然のPSとの結合を阻害する)、このことはPrevnar PS18C(-CRM)はO-アセチル化されてないかまたはほとんどO-アセチル化されてないことを強く示唆する。
【0263】
・SP1008またはPS18-DTAHまたはPS18-TTAHコンジュゲートを含有する実験製剤を用いて免疫感作したマウス由来のプールした血清のオプソニン食作用阻害(図3)。
【0264】
OPAアッセイにおいて、抗体が介在する高い死滅の阻害はまた、高度にO-アセチル化した多糖についても観察された。それにも関らず、オプソニン食作用アッセイに使われたその菌株のO-アセチル含量は未知である。
【0265】
3.2 モルモットELISAおよびオプソニン食作用実験
・SP1008またはPrevnarを用いて免疫感作したモルモット由来のプールした血清のELISA 阻害(図4)。
【0266】
・SP1008またはPS18-DTAHまたはPS18-TTAHコンジュゲートを含有する実験製剤を用いて免疫感作したモルモット由来のプールした血清のELISA阻害(図5)。
【0267】
・SP1008またはPS18-DTAHまたはPS18-TTAH コンジュゲートを含有する実験製剤を用いて免疫感作したモルモット由来のプールした血清のオプソニン食作用阻害(図6)。
【0268】
モルモットにおいて、阻害ELISAまたはOPAで明らかな相違は観察されなかったので、モルモットはほとんど多糖18Cの骨格エピトープに対する抗体を産生しこの抗原のO-アセチル含量による影響を受けないことを示唆した。
【0269】
3.3 ヒト血清実験
SP1008 または Prevnarを用いて免疫感作した11PnPD&Di007乳児由来のプールした血清の阻害(図7)。
【0270】
マウス抗血清で観察されたように、乳児抗-18C-PD抗体の強い阻害が79%O-アセチル化PSについて観察される。SP1008コンジュゲートを作るのに用いた18C PSは高度にO-アセチル化している(90%超)。
【0271】
これは、乳児が18C PSの骨格に対してだけでなくO-アセチル化したエピトープに対しても両方に抗体を産生していることを示す。抗-prevnar(18C-CRM)血清が79%O-アセチル化と脱O-アセチル化PSにより同様に阻害されるという観察は、抗-Prevnar抗体がほとんど骨格PSエピトープとだけ反応していることを示す。これは、マウス血清観察結果と一緒に、Prevnar 18C-CRMコンジュゲートに存在する18C PSがO-アセチル化されてないかまたはほとんどO-アセチル化されてないことを示唆する。
【0272】
4 考察
・ELISAおよびオプソニン食作用アッセイの両方において、79%O-アセチル化PS 18Cは、17%O-アセチル化PS 18Cより、11Pn-PD(SP1008)に対するマウスおよび乳児抗体を中和化する優れた能力を示した。
【0273】
・79%O-アセチル化したPS 18Cと17% O-アセチル化したPS 18Cの両方ともに、同じPrevnar血清を中和化する能力を示した。
【0274】
・これは、GSK 18Cコンジュゲートワクチンと比較して、PrevnarワクチンのPS 18Cのアセチル化が非常に低いかまたはアセチル化されていないことを示唆する。
【0275】
・骨格エピトープに対する免疫応答に集中することは、高度にO-アセチル化されたおよび低度にしかO-アセチル化されてない両方の18C菌株に対する抗体応答を惹起するために有利でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0276】
【図1】図1は、SP1008またはPrevnarにより免疫感作したマウス由来のプールした血清のELISA阻害を示す。
【図2】図2は、SP1008またはPS18-DTAHもしくはPS18-TTAHコンジュゲートを含有する実験製剤により免疫感作したマウス由来のプールした血清のELISA阻害を示す。
【図3】図3は、SP1008またはPS18-DTAHもしくはPS18-TTAHコンジュゲートを含有する実験製剤により免疫感作したマウス由来のプールした血清のオプソニン食作用阻害を示す。
【図4】図4は、SP1008またはPrevnarにより免疫感作したモルモット由来のプールした血清のELISA阻害を示す。
【図5】図5は、SP1008またはPS18-DTAHもしくはPS18-TTAHコンジュゲートを含有する実験製剤により免疫感作したモルモット由来のプールした血清のELISA阻害を示す。
【図6】図6は、SP1008またはPS18-DTAHもしくはPS18-TTAHコンジュゲートを含有する実験製剤により免疫感作したモルモット由来のプールした血清のオプソニン食作用阻害を示す。
【図7】図7は、SP1008またはPrevnarにより免疫感作した11PnPD&Di007乳児由来のプールした血清の阻害を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体タンパク質とコンジュゲートした9種以上、10種以上、11種以上、または13種以上の異なる肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型由来の莢膜サッカリド類を含む肺炎球菌免疫原性組成物であって、80、70、60、50、40、30、20、15または10%以下O-アセチル化しているコンジュゲートした莢膜サッカリド18Cを含んでなる前記免疫原性組成物。
【請求項2】
コンジュゲートした莢膜サッカリド18Cがニューモリシンとコンジュゲートしていない、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
コンジュゲートした莢膜サッカリド18CがCRM197とコンジュゲートしていない、請求項1または2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
コンジュゲートした莢膜サッカリド18Cが還元アミノ化化学によってコンジュゲートしていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
コンジュゲートした莢膜サッカリド18Cが還元アミノ化化学によってコンジュゲートしている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
莢膜サッカリド18Cがそのコンジュゲーション前に酸による処理を介して脱O-アセチル化している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
莢膜サッカリド18CがTTとコンジュゲートしていて、必要に応じて、18CがTTとコンジュゲートしている唯一の肺炎球菌莢膜サッカリドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
異なる肺炎球菌血清型由来の莢膜サッカリド類が2種以上の異なる担体タンパク質とコンジュゲートしている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
18C莢膜サッカリドが担体タンパク質と直接コンジュゲートしている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
18C莢膜サッカリドが担体タンパク質とリンカー経由でコンジュゲートしている、請求項1〜8に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
リンカーが二官能性である、請求項10に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
リンカーがADHである、請求項10または11に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
リンカーが担体タンパク質とカルボジイミド化学により、好ましくはEDACを用いて結合している、請求項10〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
担体タンパク質がリンカーとコンジュゲートする前に、サッカリドがリンカーとコンジュゲートしている、請求項10〜13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
サッカリドがリンカーとコンジュゲートする前に、担体タンパク質がリンカーとコンジュゲートしている、請求項10〜13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
18Cサッカリドが担体タンパク質またはリンカーとCDAP化学を用いてコンジュゲートしている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
18Cサッカリドが担体タンパク質またはリンカーと還元アミノ化を用いてコンジュゲートしている、請求項1〜16のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
担体タンパク質:18Cサッカリドの比が1:5〜5:1、1:1〜4:1、1.5:1〜3:1、または2:1〜2.5:1(w/w)である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
18CサッカリドのMwが20x103以上、必要に応じて5x105以下である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
18CサッカリドのMwが20x103〜100x103である、請求項19に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
18Cサッカリドが天然の多糖であるかまたはサイジングされている、請求項1〜20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
18Cサッカリドがマイクロ流体化によりサイジングされている、請求項21に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
18Cサッカリドが酸加水分解によりサイジングされている、請求項21に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
18Cサッカリドコンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgのサッカリドである、請求項1〜23のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
18Cサッカリドコンジュゲートの用量が3μgのサッカリドである、請求項24に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
さらにインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のプロテインDを、必要に応じて、肺炎球菌莢膜サッカリドの担体タンパク質として含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
ワクチンがジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197とコンジュゲートした血清型19F莢膜サッカリドを含み、必要に応じて19Fがジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197とコンジュゲートしている組成物中の唯一のサッカリドである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の肺炎球菌免疫原性組成物。
【請求項28】
血清型19F莢膜サッカリドがジフテリアトキソイドとコンジュゲートしている、請求項27に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
19F莢膜サッカリドが担体タンパク質と直接コンジュゲートしている、請求項27または28に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
19F莢膜サッカリドが担体タンパク質とリンカー経由でコンジュゲートしている、請求項27または28に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
リンカーが二官能性である、請求項30に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
リンカーがADHである、請求項30または31に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
リンカーが担体タンパク質とカルボジイミド化学により、好ましくはEDACを用いて結合している、請求項30〜32のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
サッカリドがリンカーとコンジュゲートされた後に、担体タンパク質がリンカーとコンジュゲートしている、請求項30〜33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
担体タンパク質がリンカーとコンジュゲートされた後に、サッカリドがリンカーとコンジュゲートしている、請求項30〜33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項36】
19FサッカリドがCDAP化学を用いて担体タンパク質またはリンカーとコンジュゲートしている、請求項27〜35のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項37】
担体タンパク質:19Fサッカリドの比が1.4〜1.5:1(w/w)である、請求項27〜36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項38】
19FサッカリドのMwが100x103以上、そして必要に応じて5x105以下である、請求項27〜37のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
19FサッカリドのMwが125x103〜150x103である、請求項38に記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
19Fサッカリドが天然の多糖であるかまたはx5以下のファクタでサイジングされている、請求項27〜39のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項41】
19Fサッカリドがマイクロ流体化によりサイジングされている、請求項27〜40のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項42】
19Fサッカリドコンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgのサッカリドである、請求項27〜41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項43】
19F莢膜サッカリドが50、60、70、80、または90%を越えてN-アセチル化している、請求項27〜42のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項44】
少なくとも8種の莢膜サッカリド類が担体タンパク質とコンジュゲートしている、請求項1〜43のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項45】
担体タンパク質がジフテリアトキソイドでなくおよび/または破傷風トキソイドでもない、請求項44に記載の免疫原性組成物。
【請求項46】
担体タンパク質がインフルエンザ菌プロテインDである、請求項44または45に記載の免疫原性組成物。
【請求項47】
2種の異なる担体タンパク質を含む、請求項1〜46のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項48】
3種、4種または5種の異なる担体タンパク質を含む、請求項1〜47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項49】
DT、CRM197、TT、断片C、dPly、PhtA、PhyB、PhtD、PhtE、PhtDE、OmpC、PsaA、PspC、CbpA、PorBおよびインフルエンザ菌プロテインDからなる群より選択される1以上のまたは全ての担体タンパク質を含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項50】
DTまたはCRM197を担体タンパク質として含む、請求項1〜49のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項51】
TTを担体タンパク質として含む、請求項1〜50のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項52】
PDを担体タンパク質として含む、請求項1〜51のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項53】
ニューモリシンを担体タンパク質として、または代わりに遊離タンパク質として含む、請求項1〜52のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項54】
PhtA、PhtB、PhtD、PhtEまたはPhtDEを担体タンパク質として、または代わりに遊離タンパク質として含む、請求項1〜53のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項55】
少なくとも血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23F由来の莢膜サッカリド類がコンジュゲートした莢膜サッカリド類として存在する、請求項1〜54のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項56】
血清型4由来の莢膜サッカリドが50、60、70、80、90%を越えてN-アセチル化している、請求項55に記載の免疫原性組成物。
【請求項57】
血清型9V由来の莢膜サッカリドが50、60、70、80、90%を越えてN-アセチル化されおよび/または50、60、70、80、90%を越えてO-アセチル化している、請求項55または56に記載の免疫原性組成物。
【請求項58】
血清型14由来の莢膜サッカリドが50、60、70、80、90%を越えてN-アセチル化されている、請求項55〜57のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項59】
さらに血清型1由来の莢膜サッカリドをコンジュゲートした莢膜サッカリドとして含む、請求項55〜58のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項60】
血清型1由来の莢膜サッカリドが50、60、70、80、90%を越えてN-アセチル化している、請求項59に記載の免疫原性組成物。
【請求項61】
血清型1由来の莢膜サッカリドが50、60、70、80、90%を越えてO-アセチル化している、請求項59または60に記載の免疫原性組成物。
【請求項62】
さらに血清型5由来の莢膜サッカリドをコンジュゲートした莢膜サッカリドとして含む、請求項55〜61のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項63】
血清型5由来の莢膜サッカリドが50、60、70、80、90%を越えてN-アセチル化している、請求項62に記載の免疫原性組成物。
【請求項64】
さらに血清型7F由来の莢膜サッカリドをコンジュゲートした莢膜サッカリドとして含む、請求項55〜63のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項65】
血清型7F由来の莢膜サッカリドが50、60、70、80、90%を越えてN-アセチル化されおよび/または50、60、70、80、90%を越えてO-アセチル化している、請求項64に記載の免疫原性組成物。
【請求項66】
血清型1、4、5、6B、7F、9V、14および23F由来の莢膜サッカリド類が全てプロテインDとコンジュゲートしている、請求項55〜65のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項67】
さらにコンジュゲートしたサッカリドとして存在する血清型3由来の莢膜サッカリドを含む、請求項55または66に記載の免疫原性組成物。
【請求項68】
血清型3由来の莢膜サッカリドがプロテインDとコンジュゲートしている、請求項67に記載の免疫原性組成物。
【請求項69】
血清型6Aおよび/または15B由来のコンジュゲートした莢膜サッカリドをさらに含む、請求項55〜68のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項70】
コンジュゲートした血清型19A由来の莢膜サッカリドをさらに含む、請求項55〜69のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項71】
コンジュゲートした血清型22F由来の莢膜サッカリドをさらに含む、請求項55〜70のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項72】
コンジュゲートした血清型8由来の莢膜サッカリドをさらに含む、請求項55〜71のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項73】
コンジュゲートした血清型12F由来の莢膜サッカリドをさらに含む、請求項55〜72のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項74】
少なくとも1つの莢膜サッカリド類が担体タンパク質と直接コンジュゲートしている、請求項55〜73のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項75】
少なくとも1つの莢膜サッカリド類が担体タンパク質とリンカー経由でコンジュゲートしている、請求項55〜74のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項76】
リンカーが二官能性である、請求項75に記載の免疫原性組成物。
【請求項77】
リンカーがADHである、請求項75または76に記載の免疫原性組成物。
【請求項78】
リンカーが担体タンパク質とカルボジイミド化学により、好ましくはEDACを用いて結合している、請求項75〜77のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項79】
サッカリドがリンカーとコンジュゲートされた後に、担体タンパク質がリンカーとコンジュゲートしている、請求項75〜78のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項80】
担体タンパク質がリンカーとコンジュゲートされた後に、サッカリドがリンカーとコンジュゲートしている、請求項75〜78のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項81】
少なくとも1つの莢膜サッカリド類がCDAP化学を用いて担体タンパク質および/またはリンカーと結合している、請求項1〜80のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項82】
少なくとも1つの莢膜サッカリド類が担体タンパク質および/またはリンカーと還元アミノ化を用いてコンジュゲートしている、請求項1〜81のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項83】
莢膜サッカリド3が担体タンパク質および/またはリンカーと還元アミノ化を用いてコンジュゲートしている、請求項82に記載の免疫原性組成物。
【請求項84】
莢膜サッカリド1が担体タンパク質および/またはリンカーと還元アミノ化を用いてコンジュゲートしている、請求項82または83に記載の免疫原性組成物。
【請求項85】
担体タンパク質:サッカリド類の比が1:2〜2.5:1(w/w)である、請求項1〜84のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項86】
サッカリド類のMwが50x103を越えて、必要に応じて1x106を下回る、請求項1〜85のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項87】
300x103〜400x103のMwを有する血清型1莢膜サッカリドを含む、請求項86に記載の免疫原性組成物。
【請求項88】
75x103〜125x103のMwを有する血清型4莢膜サッカリドを含む、請求項86または87に記載の免疫原性組成物。
【請求項89】
350x103〜450x103のMwを有する血清型5莢膜サッカリドを含む、請求項86〜88のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項90】
1000x103〜1400x103のMwを有する血清型6B莢膜サッカリドを含む、請求項86〜89のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項91】
200x103〜300x103のMwを有する血清型7F莢膜サッカリドを含む、請求項86〜90のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項92】
250x103〜300x103のMwを有する血清型9V莢膜サッカリドを含む、請求項86〜91のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項93】
200x103〜250x103のMwを有する血清型14莢膜サッカリドを含む、請求項86〜92のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項94】
900x103〜1000x103のMwを有する血清型23F莢膜サッカリドを含む、請求項86〜93のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項95】
血清型5、6Bおよび23Fを天然の莢膜サッカリドコンジュゲートとして含む、請求項1〜94のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項96】
莢膜サッカリドコンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgのサッカリド/コンジュゲートである、請求項1〜95のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項97】
血清型4、18Cおよび19F由来の莢膜サッカリド類のコンジュゲートを3μgのサッカリド/コンジュゲートの用量で含む、請求項1〜96のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項98】
血清型1、5、6B、7F、9V、14および23Fのコンジュゲートを1μgのサッカリド/コンジュゲートの用量で含む、請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項99】
さらにコンジュゲートしている肺炎球菌サッカリド類の血清型と異なる血清型のコンジュゲートしていない肺炎球菌サッカリド類を含み、コンジュゲートしているおよびコンジュゲートしていないサッカリド血清型の数が23以下である、請求項1〜98のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項100】
さらに1以上のコンジュゲートしていないまたはコンジュゲートしている肺炎球菌タンパク質を含む、請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項101】
1以上のコンジュゲートしていない肺炎球菌タンパク質を含む、請求項100に記載の免疫原性組成物。
【請求項102】
前記1以上の肺炎球菌タンパク質がポリヒスチジントリアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、解毒したニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133から選択される、請求項100または101に記載の免疫原性組成物。
【請求項103】
ニューモリシンを含む、請求項100〜102のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項104】
PhtXタンパク質を含む、請求項101〜103のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項105】
ニューモリシンを遊離または担体タンパク質(例えば肺炎球菌莢膜サッカリドに対する)として含む、請求項1〜104のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項106】
PhtXタンパク質を遊離または担体タンパク質(例えば肺炎球菌莢膜サッカリドに対する)として含む、請求項1〜105のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項107】
前記PhtXタンパク質がPhtDまたはPhtBDまたはPhtDE融合タンパク質である、請求項106に記載の免疫原性組成物。
【請求項108】
さらにアジュバントを含む、請求項1〜107のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項109】
アジュバントがTh1応答の優先インデューサーである、請求項108に記載の免疫原性組成物。
【請求項110】
アジュバントがQS21、MPL(登録商標)または免疫賦活性オリゴヌクレオチドから選択される1以上の成分を含む、請求項108または109に記載の免疫原性組成物。
【請求項111】
アジュバントがQS21およびMPLを含む、請求項108〜110のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項112】
アジュバントがリポソーム製剤である、請求項111に記載の免疫原性組成物。
【請求項113】
アジュバント水中油型製剤である、請求項111に記載の免疫原性組成物。
【請求項114】
請求項1〜107のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含み、かつさらに請求項109〜113のいずれか1項に記載のアジュバントを同時または逐次投与のために含むワクチンキット。
【請求項115】
請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物および製薬上許容される賦形剤を含むワクチン。
【請求項116】
請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を製薬上許容される賦形剤と混合するステップを含んでなる、請求項115に記載のワクチンの製造方法。
【請求項117】
ヒト宿主を肺炎球菌感染が病因である疾患に対して免疫感作する方法であって、該宿主に請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチンの免疫保護用量を投与するステップを含んでなる前記方法。
【請求項118】
肺炎球菌感染が病因である疾患の治療または予防に使用する、請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチン。
【請求項119】
肺炎球菌感染が病因である疾患を治療または予防するための医薬品の製造における、請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチンの使用。
【請求項120】
O-アセチル化血清型18C菌株および脱-O-アセチル化血清型18C菌株による肺炎球菌感染が病因である疾患を治療または予防するための医薬品の製造における、請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチンの使用。
【請求項121】
血清型19A菌株による肺炎球菌感染が病因である疾患を治療または予防するための医薬品の製造における、血清型19Fの莢膜サッカリドコンジュゲートを含むが血清型19A由来の莢膜サッカリドを含まない請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチンの使用。
【請求項122】
乳児に中耳炎に対する保護免疫応答を惹起する方法であって、別々のまたは組合わせた成分として、逐次的にまたは同時に、(i)請求項1〜115のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンおよび(ii)遊離であってもまたはコンジュゲートしていてもよいインフルエンザ菌由来のプロテインDの投与を含んでなる前記方法。
【請求項123】
請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチンを投与することにより乳児に肺炎球菌に対する保護免疫応答を惹起する方法。
【請求項124】
高齢者に肺炎球菌に対する保護免疫応答を惹起する方法であって、逐次的にまたは同時に、(i)請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチン、(ii)PhtXファミリーおよびニューモリシンからなる群より選択される1以上の肺炎球菌表面タンパク質を投与することによる前記方法。
【請求項125】
請求項1〜113のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項115に記載のワクチンを投与することにより、乳児に中耳炎に対する保護免疫応答を惹起する方法。
【請求項126】
乳児に中耳炎に対する保護免疫応答を惹起する方法であって、別々のまたは組合わせた成分として、逐次的にまたは同時に、(i) 請求項115に記載のワクチン、(ii)PhtXファミリーおよびニューモリシンからなる群より選択される1以上の肺炎球菌表面タンパク質を投与することによる前記方法。
【請求項127】
9種以上、10種以上、11種以上、または13種以上の異なる肺炎球菌血清型由来であって、担体タンパク質とコンジュゲートした莢膜サッカリド類(ここで、1(または2または3)以下でも以上でもない莢膜サッカリドは破傷風トキソイドとコンジュゲートしている)を含む肺炎球菌免疫原性組成物を含む第1容器、およびDTPaまたはDTPwワクチンを含む第2容器を含むワクチンキット。
【請求項128】
9種以上、10種以上、11種以上、または13種以上の異なる肺炎球菌血清型由来であって、担体タンパク質とコンジュゲートしている莢膜サッカリド類(ここで、1(または2または3)以下でも以上でもない莢膜サッカリドは破傷風トキソイドとコンジュゲートしている)を含む肺炎球菌免疫原性組成物を含む第1容器、およびMenACWY(コンジュゲートした髄膜炎菌(N. meningitidis)A、C、W135およびYの莢膜サッカリド類)を含む第2容器(ここで、第2容器中の1以上または全てのコンジュゲートした莢膜サッカリド類は破傷風トキソイドとコンジュゲートしている)を含むワクチンキット。
【請求項129】
第1容器中の血清型18Cの莢膜サッカリドが破傷風トキソイドとコンジュゲートしている、請求項127または128のワクチンキット。
【請求項130】
第1容器中の免疫原性組成物が請求項1〜113に記載の免疫原性組成物である、請求項127〜129のいずれか1項に記載のワクチンキット。
【請求項131】
第1および第2容器のワクチンの免疫保護量を同時に投与するステップを含んでなる、患者に請求項127〜130のいずれか1項に記載のワクチンキットを用いて免疫感作する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−532439(P2009−532439A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503594(P2009−503594)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053412
【国際公開番号】WO2007/116028
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】