説明

ワクチン

ポリオワクチンの標準用量は、D抗原40単位の不活性化ポリオウイルス1型(Mahoney)、D抗原8単位の不活性化ポリオウイルス2型(MEF-1)、およびD抗原32単位の不活性化ポリオウイルス3型(Saukett)を含む。本発明は、低減用量の不活性化ポリオウイルスが、ポリオに対する十分な且つ高められた保護レベルを維持し得ることを教示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオを防御するためのワクチンの分野に関し、特にポリオ、ジフテリア、破傷風、および百日咳疾患を防御するための混合ワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
混合ワクチン(複数の病原体に対する防御を提供する)は、複数の病原体に対する防御を与えるために必要とされる免疫の回数を最小限に抑え、投与コストを低減し、受容率およびカバー率を高めるために極めて望ましい。十分に裏付けられた現象である抗原競合(すなわち干渉)は、多成分ワクチンの開発を困難にする。抗原の干渉は、複数の抗原を投与すると、特定の抗原を個別に投与した場合に観察される免疫応答と比較して、この特定の抗原に対する応答の減弱が生じることが多いという観察結果を指す。
【0003】
混合ワクチンは、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、ならびに場合により不活性化ポリオウイルス(IPV)、および/またはB型肝炎ウイルス、および/またはヘモフィルスB型感染を予防し得ることが知られている(例えば特許文献1〜3を参照)。
【0004】
長年の研究の後、現在のワクチンコミュニティ内で有効であると認められている標準用量のポリオワクチンは、D抗原40単位の不活性化ポリオウイルス1型(Mahoney)、D抗原8単位の不活性化ポリオウイルス2型(MEF-1)およびD抗原32単位の不活性化ポリオウイルス3型(Saukett)(例えば、Infanrix-IPVTM)を含む。
【0005】
本発明は、驚くべきことに、低減用量のIPVが、ポリオに対する防御の十分なまたは高められたレベルを維持し得ることを見出した。かかるワクチンは、それを必要とする個人により多くの用量のIPVワクチンを提供する能力を含む、多数の利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO93/24148
【特許文献2】WO97/00697
【特許文献3】WO2000/030678
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、多様な低用量IPVワクチン(IPV成分のみを含んでいてよく、または他の抗原と組み合わせたIPV成分を含んでいてよい)を提供する。
【0008】
従って、1つの態様において、本発明は、不活性化ポリオウイルス1型を、D抗原10単位超〜D抗原20単位未満(例えばD抗原11、12、13、14、15、16、17、18または19単位)の用量で含む本発明のIPVワクチンを提供する。
【0009】
1つの実施形態において、本発明は、不活性化ポリオウイルス3型をD抗原8〜20単位(例えばD抗原8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20単位)の用量で含む本発明のIPVワクチンを提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、不活性化ポリオウイルス2型をD抗原2〜4単位(例えばD抗原2、3または4単位)の用量で含む本発明のIPVワクチンを提供する。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、ジフテリアトキソイドおよび/または破傷風トキソイドおよび/または百日咳ワクチンを、死菌全細胞(Pw)ワクチンまたは無細胞百日咳抗原の形態でさらに含む、本発明のIPVワクチンを提供する。
【0012】
他の態様において、本発明は、不活性化ポリオウイルス1型をD抗原10〜36単位の用量で含む、チオメルサールを含まないDTP-IPV混合ワクチンである、本発明のIPVワクチンを提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、不活性化ポリオウイルス2型をD抗原2〜7単位(例えばD抗原5、6または7単位)の用量で含む、チオメルサールを含まない本発明のDTP-IPV混合ワクチンを提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、不活性化ポリオウイルス3型をD抗原8〜29単位(例えばD抗原21、22、23、24、25、26、27、28または29単位)の用量で含む、チオメルサールを含まない本発明のDTP-IPV混合ワクチンを提供する。
【0015】
他の実施形態において、本発明のワクチンは、B型肝炎表面抗原、インフルエンザ菌b型抗原、髄膜炎菌A抗原、髄膜炎菌C抗原、髄膜炎菌W抗原、髄膜炎菌Y抗原、髄膜炎菌B小疱または抗原、A型肝炎抗原およびチフス菌抗原、特にこれらの細菌に由来する莢膜糖抗原からなる群から選択される1種以上の抗原も含み得る。
【0016】
本発明のワクチンを作製する方法も提供する。
【0017】
定義
「ワクチン」という用語は、場合により「免疫原性組成物」という用語と互換的に用いることができる。
【0018】
「D抗原単位」(「国際単位(international units)」すなわちIUとも呼ばれる):ポリオウイルスのD抗原形は、防御中和抗体を誘導する。本明細書中で指すD抗原単位(例えば、本発明のワクチン中の)は、製剤化ワクチン(通常は最終容量0.5mL)の各ヒト用量で加えられる未吸着のバルクIPV抗原型それぞれの、最終ワクチンの製剤化前に計測される全D抗原単位である。信頼し得るD抗原単位の測定方法は当技術分野において周知であり、例えば、ヨーロッパ薬局方によって公表されている。例えばD抗原単位は、以下の実施例1に記載するとおり、ELISA試験(「ELISAによるD抗原定量化」)を用いて測定することができる。ヨーロッパ薬局方は、製造者間でのかかる方法の標準化のために試験サンプル(Ph. Eur. Secretariatから入手可能なヨーロッパ薬局方生物学的基準物質(European Pharmacopoeia Biological Reference Preparation)、例えばコードP 216 0000)を提供する(Pharmeuropa Special Issue, Bio 96-2)。このように、D抗原単位値は当技術分野において十分に理解されている。
【0019】
本明細書中の「用量」という用語は、典型的には、本発明のワクチンの1回投与(通常は1回注射)である。典型的なヒト用量は、0.5mLである。当然、ワクチン投与スケジュール中では様々な用量を投与することができる。
【0020】
本明細書中で、用語「IPV」またはこれらの成分を含むワクチンは、不活性化ポリオウイルス1型(例えば、使用することが好ましいMahoney、またはStatens Serum InstitutからDiTeKiPolの名前で市販されているBrunhilde)、2型(例えばMEF-1)、もしくは3型(例えばSaukett)、またはこれらの型のいずれか2つもしくは3つ全ての組み合わせを意味する。本発明の目的用の、全(または標準)用量(IPV1型、2型および3型それぞれD抗原40単位、D抗原8単位、D抗原32単位)IPVワクチンの一例は、Poriorix(登録商標)(GSK Biologicals S.A.)だろう。従って、本明細書中で「IPVの標準用量のX%が本発明のワクチン中に含まれる」と記載される場合、これは、IPV1型、2型および/または3型それぞれD抗原40、8、および/または32単位(各バルクIPV抗原型中で測定されるとおり)のX%に相当するD抗原単位が、上記のワクチンの各用量中に製剤化されていることを意味する。
【0021】
用語「リポ多糖」(LPS)と「リポオリゴ糖」(LOS)は、互換的に使用することができる。
【0022】
「糖」という用語は、本明細書全体を通して、多糖またはオリゴ糖を指し、またその両方を含み得る。本発明の莢膜糖抗原は完全長の多糖であってよく、あるいはこの抗原は、ワクチン分野において周知の細菌の「標準サイズの糖」および「オリゴ糖」(天然に反復単位の数が少ないか、または扱いやすくするためにサイズを低減させたが依然として宿主中で防御免疫応答を誘導し得る多糖)にまで及び得る(例えばEP 497525参照)。
【0023】
本明細書中の「核酸」という用語は、一本鎖もしくは二本鎖のデオキシリボ核酸(DNA)または一本鎖もしくは二本鎖のリボ核酸(RNA)あるいはこれらの混合物を含み得る。
【0024】
本明細書中の、本発明のワクチンの範囲内における、病原体由来の「成分」または「かかる病原体に対する防御を与える成分」という用語は、この病原体に由来する1種以上の抗原を意味する。
【0025】
本明細書中の「約」という用語は、言及される値の±10%を意味すると解されるが、その使用の文脈に沿っていなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】IPV用量を用いたDTPwSF-HB-IPV「製造方法3」の相対効力(RP)の進化を示す。「製造方法3」の製剤の低減用量IPVの効力を、参照製剤(Poliorix製剤およびDTPaIPVHB)と比較してin vivoで試験した。IPVの相対効力(RP)は、標準IPV用量(1/2/3型についてD抗原40/8/32単位)の100%、50%、25%、および12.5%の用量で測定した。
【図2】DTPwSF-HB-IPV製剤の相対効力(RP)の進化のフローシートを示す。「製造方法3」と「製造方法4」の両方の製剤についての低減用量IPVの効力を、参照製剤(Poliorix製剤およびDTPaIPVHB)と比較してin vivoで試験した。「製造方法3」と「製造方法4」の両方について、25%のIPVのみを含むプラセボと比較して、標準IPV用量(1/2/3型についてD抗原40/8/32単位)の25%で相対効力(RP)を測定した。
【図3】0ヵ月および8ヵ月の時点におけるIPV1型、2型および3型の相対効力を示す。IPVの相対効力を(DTPaHBIPV(Pediarix)(図3a)またはPoliorix(図3b)と比較して)測定してHib成分がIPV効力に影響を与えるのか否かを決定し、様々なIPV用量におけるIPVの経時的安定性を評価した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、ポリオウイルス(IPV)および場合によりジフテリア菌(D)、破傷風菌(T)、百日咳菌(P)またはB型肝炎に由来する抗原を含むワクチン(例えば混合ワクチン)を提供する。
【0028】
本発明の抗原
IPVワクチン成分
本発明のワクチンは、IPV1型もしくはIPV2型もしくはIPV3型、またはIPV1型および2型、またはIPV1型および3型、またはIPV2型および3型、またはIPV1型、2型および3型を含み得る。
【0029】
不活性化ポリオウイルス(IPV)の作製方法は、当技術分野において周知である。1つの実施形態において、ワクチン分野において知られているとおり、IPVは1型、2型および3型を含んでいるはずであり、ホルムアルデヒドで不活性化されたSalkポリオワクチンであってよい(例えば、Sutterら, 2000, Pediatr. Clin. North Am. 47:287;ZimmermanおよびSpann 1999, Am Fam Physician 59:113;Salkら, 1954, Official Monthly Publication of the American Public Health Association 44(5):563;Hennesen, 1981, Develop. Biol. Standard 47:139;Budowsky, 1991, Adv. Virus Res. 39:255を参照)。
【0030】
1つの実施形態において、IPVは(例えば他の成分が存在する場合、その成分と混合する前に)吸着されていない。別の実施形態において、本発明のIPV成分は(例えば他の成分が存在する場合、その成分と混合する前または後に)水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明のIPV成分は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、本発明のIPV成分は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。吸着させる場合、1種以上のIPV成分を、個別にまたは混合物として一緒に吸着させることができる。IPVは、WO2004/039417に記載されるとおり特定の乾燥法によって安定化させることができる。
【0031】
ポリオウイルスは、細胞培養液中で増殖させることができる。この細胞培養液は、サルの腎臓に由来する連続細胞株であるVERO細胞株またはPMKCであってよい。VERO細胞は、マイクロキャリアー上で都合良く培養することができる。ウイルス感染の前および最中のVERO細胞の培養は、子牛血清などのウシ由来物質の使用を含み、この物質はウシ海綿状脳炎(BSE)を含まない供給源から取得されなければならない。培養は、ラクトアルブミン加水分解物などの物質も含む。増殖後、限外ろ過、透析ろ過、およびクロマトグラフィーなどの技術を用いてウイルス粒子を精製することができる。患者への投与の前に、ウイルスは不活性化されていなければならず、これはホルムアルデヒドを用いた処理によって達成することができる。
【0032】
ウイルスは、個別に増殖させ、精製し、不活性化させ、その後組み合わせて、IPVワクチンに使用するための、またはDTPw-IPVまたはDTPa-IPV含有ワクチン用の吸着させたジフテリアおよび破傷風抗原および百日咳成分に加えるための濃縮物バルク混合物を得ることができる。
【0033】
本発明のワクチン中の抗原は、「免疫学的有効量」で存在する。免疫学的有効量とは、単回の用量でまたはまたは一連の投与の一部としてのいずれかで個体へ投与されると、疾患の治療または予防に有効である量を意味する。投薬治療は、単回用量スケジュールであっても、複数回用量スケジュール(例えばブースター用量を含む)であってもよい。
【0034】
現在の標準用量のポリオワクチンは、D抗原40単位の不活性化ポリオウイルス1型、D抗原8単位の不活性化ポリオウイルス2型、およびD抗原32単位の不活性化ポリオウイルス3型を含む傾向にある(例えばInfanrix-IPVTM)。
【0035】
しかしながら本発明者らは、驚くべきことに、低減用量のIPVを、良好な免疫応答を得るために用いることができることを見出した。1つの実施形態において、本発明のIPVワクチン用量は、IPV1型のD抗原10〜36単位(例えば、D抗原11〜32、12〜28、13〜24、14〜20または15〜19単位)を含み得る。別の実施形態において、本発明のIPVワクチン用量は、IPV1型を、D抗原10〜20単位、またはD抗原10単位超〜D抗原20単位未満の用量で含み得る。別の実施形態において、本発明のワクチン用量は、IPV1型の標準D抗原40単位の26〜49%、30〜45%、33〜40%、35〜37%、または約もしくはちょうど3分の1(D抗原約10.4〜19.6、12〜18、13.2〜16、14〜14.8または13.3単位に相当)を含み得る。別の実施形態において、本発明のIPVワクチン用量は、IPV1型のD抗原11〜32単位、D抗原12〜28単位、D抗原13〜24単位、またはD抗原14〜20単位を含み得る。
【0036】
あるいは、本発明のIPVワクチン用量は、IPV1型のD抗原10〜19.5単位、D抗原12〜19単位、D抗原14〜18.5単位、またはD抗原15〜17単位;例えば、約もしくはちょうどD抗原16単位を含み得る。
【0037】
他の実施形態において、本発明のワクチンは、IPV2型のD抗原4単位未満、D抗原2〜4単位(標準D抗原8単位用量の25〜50%に相当)または約もしくはちょうどD抗原3単位(標準D抗原8単位用量の37.5%に相当)を含み得る。
【0038】
別の実施形態において、本発明のワクチンは、IPV2型の標準D抗原8単位用量の約またはちょうど3分の1(D抗原約2.7単位に相当)を含み得る。
【0039】
他の実施形態において、本発明のワクチンは、IPV2型のD抗原2〜7単位を含み得る。別の実施形態において、本発明のIPVワクチン用量は、IPV2型のD抗原3〜6単位、またはD抗原4〜5単位を含み得る。
【0040】
あるいは、本発明のIPVワクチン用量は、IPV2型のD抗原2〜4.5単位、D抗原2.5〜4単位またはD抗原3〜3.5単位を含み得る。
【0041】
他の実施形態において、本発明のワクチンは、IPV3型のD抗原8〜20単位、D抗原8単位超20単位未満、D抗原9〜19単位、D抗原10〜18単位、D抗原11〜17単位、D抗原12〜16単位、またはD抗原13〜15単位;例えば約またはちょうどD抗原14単位(標準D抗原32単位用量の25〜62.5%、28.125〜59.375%、31.25〜46.875%、または43.75%に相当)を含み得る。
【0042】
別の実施形態において、本発明のワクチンは、IPV3型の標準D抗原32単位用量の約またはちょうど 3分の1(D抗原約10.7単位に相当)を含み得る。
【0043】
他の実施形態において、本発明のIPVワクチン用量は、IPV3型のD抗原8〜29単位、D抗原9〜26単位、D抗原10〜23単位、D抗原11〜20単位、D抗原12〜17単位、またはD抗原13〜14単位を含み得る。
【0044】
あるいは、本発明のIPVワクチン用量は、D抗原8〜19.5単位、D抗原9〜19単位、D抗原10〜18.5単位、D抗原11〜18単位、D抗原12〜17.5単位、D抗原13〜17単位、またはD抗原14〜16単位;例えば約またはちょうどD抗原15単位を含み得る。
【0045】
DTPワクチン成分
DTPワクチンは、ジフテリア、破傷風および百日咳疾患を予防または治療するための周知のワクチンである。本発明のワクチンは、ジフテリア、破傷風および/または百日咳成分を含み得る。
【0046】
ジフテリア抗原は、典型的にはジフテリアトキソイドである。ジフテリアトキソイド(DT)の調製は、十分に確立されている。任意の好適なジフテリアトキソイドを使用し得る。例えば、DTは、ジフテリア菌の培養物から得られた毒素を精製し、その後化学的に解毒することによって製造することができるるが、別法として、該毒素の組換え体または遺伝学的に解毒されたアナログ(例えばCRM197、またはUS 4,709,017、US 5,843,711、US 5,601,827、およびUS 5,917,017に記載される他の変異体)の精製によって作製される。1つの実施形態において、DTは、0.5mL用量当たり5〜50、7〜30Lfまたは約もしくはちょうど7.5Lfもしくは25Lfの量で存在する。他の実施形態において、DTは、0.5mL用量当たり、5Lf未満、もしくは1〜4Lfまたは約もしくはちょうど2Lfの低用量で存在する。1つの実施形態において、本発明のジフテリアトキソイドは、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明のジフテリアトキソイドは、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、ジフテリアトキソイドは、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。
【0047】
本発明の破傷風抗原は、典型的には破傷風トキソイドである。破傷風トキソイド(TT)の調製法は、当技術分野において周知である。1つの実施形態において、TTは、破傷風菌の培養物から得られた毒素を精製し、その後化学的に解毒することによって製造されるが、別法として、該毒素の組換え体または遺伝学的に解毒されたアナログの精製によって作製される(例えばEP 209281に記載のとおり)。任意の好適な破傷風トキソイドを使用することができる。「破傷風トキソイド」は、完全長タンパク質の免疫原性フラグメント(例えばフラグメントC、EP 478602参照)を包含し得る。1つの実施形態において、TTは、0.5mL用量当たり、2.5〜30Lf、3〜20Lf、5〜15Lfまたはちょうどもしくは約10Lfの量で存在する。1つの実施形態において、本発明の破傷風トキソイドは、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明の破傷風トキソイドは、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、破傷風トキソイドは、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。
【0048】
本発明の百日咳成分は、百日咳成分として、精製百日咳抗原を使用する場合には無細胞(Pa)、または死菌全細胞百日咳を使用する場合には全細胞(Pw)のいずれかであり得る。Pwは、公知の幾つかの方法(水銀を含まない方法など)によって不活性化させることができる。このような方法は、熱(例えば55〜65℃または56〜60℃で5〜60分間または10〜30分間、例えば60℃で30分間)、ホルムアルデヒド(例えば37℃、24時間で0.1%)、グルタルアルデヒド(例えば、室温、10分間で0.05%)、アセトンI(例えば室温で3回処理)またはアセトンII(例えば室温で3回処理および37℃で4回処理)による不活性化を含み得る(例えばGuptaら, 1987, J. Biol. Stand. 15:87;Guptaら, 1986, Vaccine, 4:185参照)。本発明に好適な死菌全細胞百日咳菌(Pw)の調製方法は、DT-TT-Pw-HepBワクチンを製造するための好適な製剤方法としてWO 93/24148に開示されている。従来、死菌全細胞百日咳菌の調製においては、チオメルサールが使用されていた(以下参照)。しかしながら、1つの実施形態において、本発明のワクチンの製剤過程でチオメルサールは使用されない。
【0049】
一般的に、5〜50 IOU、7〜40 IOU、9〜35 IOU、11〜30 IOU、13〜25 IOU、15〜21 IOUまたは約もしくはちょうど20 IOUのPw用量が用いられる。
【0050】
無細胞Paワクチンもよく知られており、百日咳トキソイド(PT)、線維状赤血球凝集素(FHA)、パータクチン(PRN)、凝集原2および3に由来する抗原を2種以上含み得る。1つの実施形態において、Paワクチンは、PT、FHAおよびPRNを含む。本発明のワクチンまたはキットは、ホルムアルデヒド処理の周知の方法によって、または変異体(PT誘導体)を用いて解毒されたPTを含み得る。該タンパク質のS1サブユニット内の残基の置換は、PTの免疫学的特性および防御的特性を保持するが、毒性が低減されているか、または毒性を有さないタンパク質を生じさせることが見出されている(EP 322533)。EP322533の請求項中で論じられている解毒変異体は、本発明のDT解毒変異体の例である。かかる変異体は、20〜25μgよりも低い用量で使用することができる。
【0051】
1つの実施形態において、PTは、0.5mL用量当たり、2〜50μg、5〜40μg、10〜30μgまたはちょうどもしくは約25μgの量で用いられる。別の実施形態において、PTは、0.5mL用量当たり、ちょうどもしくは約2.5または8μgの量で用いられる。
【0052】
1つの実施形態において、FHAは、0.5mL用量当たり、2〜50μg、5〜40μg、10〜30μgまたはちょうどもしくは約25μgの量で用いられる。別の実施形態において、FHAは、0.5mL用量当たり、ちょうどもしくは約2.5または8μgの量で用いられる。
【0053】
1つの実施形態において、PRNは、0.5mL用量当たり、0.5〜20μg、0.8〜15μg、2〜10μgまたはちょうどもしくは約8μgの量で用いられる。別の実施形態において、PRNは、0.5mL当たり、ちょうどもしくは約0.8または2.5μgの量で用いられる。
【0054】
1つの実施形態において、本発明の百日咳成分は、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明の百日咳成分は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、上記の百日咳成分は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。例えば、1つの実施形態において、少なくともPRNを水酸化アルミニウム上に吸着させ、PT/FHAを水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムまたは両者の混合物上に吸着させる。
【0055】
他の抗原
場合によりDTP(DTPwまたはDTPa)も含む本発明のワクチン製剤は、B型肝炎表面抗原、インフルエンザ菌b型抗原、髄膜炎菌A抗原、髄膜炎菌C抗原、髄膜炎菌W-135抗原、髄膜炎菌Y抗原、髄膜炎菌B小疱または精製抗原、A型肝炎抗原、チフス菌抗原およびRTS,Sからなる群から選択される1種以上の抗原をさらに含むことができる。典型的には、これらの病原体の莢膜糖またはLOS抗原を使用することができる。抗原は、通常はそれぞれ1μg/mL以上、例えば1〜20μg/mL、2〜15μg/mL、2.5〜10μg/mL、3〜8μg/mL、または4〜6μg/mLの濃度で存在する。一般に、任意の抗原の濃度は、その抗原に対する免疫応答を誘発するのに十分な濃度である。個々の抗原の防御効力は、実際の免疫原性(例えばELISA力価)が低下する可能性があるとしても、これらを組み合わせることによって除去されないことが好ましい。
【0056】
本発明の1つの実施形態において、他の抗原は、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明の他の抗原は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、他の抗原は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させても、吸着させなくてもよい。
【0057】
莢膜糖またはLOS抗原を使用する場合、免疫原性を増強するために、Tヘルパーエピトープを含む担体タンパク質にコンジュゲートさせることができる。本発明は、遊離の「担体タンパク質」も包含し得る。
【0058】
本発明の組成物において、タンパク質抗原を用いる代わりに、この抗原をコードする核酸を用いることができる。このように、本発明の組成物のタンパク質成分は、このタンパク質をコードする核酸(例えばプラスミドの形態であり得るDNA)で置換することができる。同様に、本発明の組成物は、糖抗原(例えばミモトープまたは抗イディオタイプ抗体)を模倣するタンパク質を含み得る。これらは、個々の糖成分と置き換えることが可能であり、またはこれらの糖成分を補うこともできる。
【0059】
B型肝炎抗原
B型肝炎表面抗原(HBsAg)の調製は、十分に確立されている。例えば、Hartfordら, 1983, Develop. Biol. Standard 54:125、Greggら, 1987, Biotechnology 5:479、EP0226846、EP0299108を参照されたい。この抗原は、以下のとおりに調製することができる。1つの方法は、HBV感染中に大量のHBsAgが肝臓内で合成されて血流中に放出されるため、慢性B型肝炎保因者の血漿から抗原を特定の形態に精製するステップを含む。別の方法は、組換えDNA法によってタンパク質を発現させるステップを含む。HBsAgは、(Saccharomyces cerevisiae)酵母、pichia細胞、昆虫細胞(例えばHi5)または哺乳動物細胞中での発現によって調製することができる。HBsAgはプラスミドに挿入することが可能であり、プラスミドからのHBsAgの発現は、「GAPDH」プロモーター(例えばグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子由来)などのプロモーターによって制御することができる。酵母は、合成培地中で培養することができる。その後、HBsAgは、沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、および限外ろ過などのステップを含む方法によって精製することができる。精製後、HBsAgは透析(例えばシステインを用いる)に供し得る。このHBsAgは、微粒子形態で用いることができる。
【0060】
本明細書中で用いられる「B型肝炎表面抗原」または「HBsAg」という表現は、HBV表面抗原の抗原性を示す任意のHBsAg抗原またはそのフラグメントを含む。HBsAg S抗原の226アミノ酸配列(Tiollaisら, 1985, Nature 317:489およびこの文献中で引用されている参考文献参照)に加えて、本明細書中で説明されるHBsAgは、必要に応じて、上記の参考文献およびEP0278940中に記載されるプレ-S配列の全部または一部を含み得ることが理解されるだろう。特に、このHBsAgは、ad血清型のB型肝炎ウイルス上のオープンリーディングフレームと比較して、133-145残基の後にHBsAgのL-タンパク質の175-400残基を含むアミノ酸配列を含有するポリペプチドを含み得る(このポリペプチドはL*と呼ばれる;EP0414374参照)。本発明の範囲内のHBsAgは、EP0198474(Endotronics)に記載のプレS1-プレS2-SポリペプチドまたはEP0304578(McCormickおよびJones)に記載されるようなその類似体も含み得る。本明細書中に記載されるHBsAgは、変異体(例えば、WO 91/14703またはEP0511855A1に記載の「エスケープ変異体」、特に位置145におけるアミノ酸置換がグリシンからアルギニンに置換されたHBsAg)も指し得る。
【0061】
本発明のHBsAgは、粒子形態であり得る。この粒子は、例えばSタンパク質のみを含むものであってよく、または複合粒子(例えばL*,S、ここでL*は上記に定義したとおりであり、SはHBsAgのSタンパク質を表す)であってよい。上記の粒子は、有利には酵母中で発現される形態を採る。
【0062】
1つの実施形態において、HBsAgは、EngerixBTM(GlaxoSmithKline Biologicals S.A.)において用いられる抗原であり、このEngerixBTMはWO93/24148中でさらに説明される。
【0063】
1つの実施形態において、HBsAgは、0.5mL用量当たり5〜20μg、8〜15μgまたは約もしくはちょうど10μgの量で存在する。
【0064】
B型肝炎表面抗原は、リン酸アルミニウム上に吸着させることが可能であり、これは他の成分と混合する前に行うことができる(WO93/24148に記載)。このB型肝炎成分は、実質的にチオメルサールを含まないものでなければならない(チオメルサールを含まないHBsAgを作製する方法は、EP1307473中で以前に公表されている)。
【0065】
インフルエンザ菌b型抗原
インフルエンザ菌b型に由来する抗原を含むワクチンは、WO97/00697中に記載されている。本発明のワクチンは、任意の好適なインフルエンザ菌b型抗原を用いることができる。この抗原は、担体タンパク質にコンジュゲートさせた、インフルエンザ菌b型(Hib)に由来する莢膜糖(PRP)であり得る。この糖は、リボース、リビトールおよびリン酸塩のポリマーである。上記のHib抗原は、場合により、WO97/00697に記載のようにリン酸アルミニウム上に吸着させてよく、もしくはWO02/00249に記載のように吸着させなくてもよく、または特定の吸着過程を経なくてもよい。
【0066】
本明細書中の「アルミニウムアジュバント塩上に吸着させていない」抗原、という表現によって、例えば、本発明の組成物を製剤化する過程には、新たなアルミニウムアジュバント塩上に該抗原を発現させまたは専ら吸着させるステップが含まれないことを意味する。
【0067】
Hibは、1つ以上のTヘルパーエピトープ(その例は以下に記載する)を提供し得る任意の担体にコンジュゲートさせることが可能であり、また破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM-197(ジフテリア毒素変異体)またはプロテインDにコンジュゲートさせることができる。
【0068】
Hibは、凍結乾燥させ、(例えば、場合により本発明のワクチンの他の抗原性成分を含む希釈剤を用いて)即席で再構成することができる。
【0069】
1つの実施形態において、Hibは、0.5mL用量当たり、5〜20μg、8〜15μgまたは約もしくはちょうど10μgの糖の量で存在する。
【0070】
他の実施形態において、Hibは、WO 02/00249に記載のとおり、低用量(例えば1〜6μg、2〜4μgまたは約もしくはちょうど2.5μgの糖)で存在する。
【0071】
髄膜炎菌A型、C型、W型またはY型抗原
本発明のワクチンは、髄膜炎菌(N. meningitidis)A型(MenA、場合により担体タンパク質にコンジュゲートされている)、髄膜炎菌C型(MenC、場合により 担体タンパク質にコンジュゲートされている)、髄膜炎菌W-135型(MenW、場合により担体タンパク質にコンジュゲートされている)、および髄膜炎菌Y型(MenY、場合により担体タンパク質にコンジュゲートされている)からなる群から選択される細菌の莢膜糖をさらに含み得る。
【0072】
本発明のワクチンは、髄膜炎菌の異なる株に由来する抗原を1種以上含むことが可能であり、この抗原は、単独で用いてもよいし、または以下に詳述する2種、3種または4種の成分の任意の組合せ:
MenA、MenC、MenW、MenY、またはMenA+MenC、MenA+MenW、MenA+MenY、MenC+MenW、MenC+MenY、MenW+MenYまたはMenA+MenC+MenW、MenA+MenC+MenY、MenA+MenW+MenY、MenC+MenW+MenYまたはMenA+MenC+MenW+MenY
で用いてもよい。
【0073】
1つの実施形態において、本発明の髄膜炎菌成分は、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明の髄膜炎菌成分は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、髄膜炎菌成分は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。1つの実施形態において、髄膜炎菌成分は、アジュバント(例えばアルミニウムアジュバント塩)上に吸着させなくてもよい。
【0074】
髄膜炎菌B型の小疱または抗原
本発明のワクチンは、WO01/09350、WO03/105890、WO04/014417、もしくはWO04/014418に記載されるような外膜小胞または小疱などのMenB成分、あるいはコンジュゲートされたMenB莢膜糖(もしくはこれらの誘導体)抗原(例えばWO 96/40239参照)または遊離のもしくはコンジュゲートされたL2もしくはL3またはL2およびL3の髄膜炎菌性LOS(WO 2004/014417のとおり)も含み得る。1つの実施形態において、本発明のMenB成分は、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明のMenB成分は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、MenB成分は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。1つの実施形態において、MenB成分は、アジュバント(例えばアルミニウムアジュバント塩)上に吸着させなくてもよい。
【0075】
チフス菌抗原
本発明のワクチンは、チフス菌由来のVi糖(EP1107787に記載される登録製品Typherix(登録商標)であってよい)、またはそのコンジュゲート(例えば、本明細書中に記載される担体タンパク質とのコンジュゲート)をさらに含み得る。このコンジュゲーションの過程は、WO 2007/000343に記載のとおりに行うことができる。1つの実施形態において、本発明のVi糖は、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明のVi糖は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、Vi糖は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。1つの実施形態において、Vi糖は、アジュバント(例えばアルミニウムアジュバント塩)上に吸着させなくてもよい。
【0076】
A型肝炎抗原
A型肝炎に対する防御を付与する成分は、死菌弱毒化A型肝炎ワクチンであってよく、例えば、HavrixTM(GlaxoSmithKline Biologicals S.A.の登録商標)として公知の製品(A型肝炎ウイルス(HAV)のHM-175株由来の死菌弱毒化ワクチン)であってよい(F.E. Andreら著の“Inactivated Candidate Vaccines for Hepatitis A", 1980, Prog. Med. Virol. 37:72およびSmithKline Beecham Biologicalsにより発行された製品モノグラフ“Havrix”1991を参照)。Flehmigら(1990, Prog. Med Virol. 37:56)は、A型肝炎の臨床面、ウイルス学、免疫学および疫学について概説し、この一般的なウイルス感染に対するワクチンの開発への取り組みについて検討している。本明細書において、「HAV抗原」という表現は、ヒトにおいてHAVに対する中和抗体を刺激し得る任意の抗原を指す。1つの実施形態において、HAV抗原は、不活性化弱毒化ウイルス粒子を含み、あるいは別の実施形態において、このウイルス粒子は、組換えDNA技術によって好都合に得られるHAVカプシドまたはHAVウイルスタンパク質であり得る。1つの実施形態において、本発明のA型肝炎成分は、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明のA型肝炎成分は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、A型肝炎成分は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。
【0077】
マラリア抗原
本発明のワクチンは、マラリア抗原をさらに含み得る。このマラリア抗原は、RTS,S(US 6,306,625およびEP 0614465に記載のCSとHBsAgとのハイブリッドタンパク質)であってよい。1つの実施形態において、RTS,Sは、本発明のワクチン中でHBsAgの代わりに用いることができる。他のマラリア抗原も本発明のワクチン中で用いることが可能であり、このような抗原としては、CSタンパク質、RTS、TRAP、B2992の16kDタンパク質、AMA-1、MSP1、場合によりCpG(WO2006/029887、WO98/05355、WO01/00231)が挙げられる。
【0078】
1つの実施形態において、本発明のマラリア抗原は、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。別の実施形態において、本発明のマラリア抗原は、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩上に吸着させることができる。他の実施形態において、このマラリア抗原は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物上に吸着させることができる。1つの実施形態において、上記のマラリア抗原は、水中油型エマルションおよび/またはリピドA誘導体(例えばMPL)および/またはステロール(例えばコレステロール)および/またはトコール(α-トコフェロール)と共にアジュバント化される。別の実施形態において、マラリア抗原は、アジュバント(例えばアルミニウムアジュバント塩)上に吸着させなくてもよい。
【0079】
コンジュゲート
本発明の細菌性莢膜糖のコンジュゲートは、1つ以上のTヘルパーエピトープを含む任意の担体ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含み得る。使用される担体タンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、組換えジフテリア毒素(US 4,709,017、WO 93/25210、WO 95/33481、またはWO 00/48638のいずれかに記載)、肺炎球菌(S. pneumoniae)に由来するニューモリシン(肺炎球菌産生毒素)(場合により化学的に解毒され、または解毒された変異体である)(例えばWO 2004/081515およびこの文献中で引用される参考文献参照)、髄膜炎菌に由来するOMPC(EP 0372501)、およびインフルエンザ菌に由来するプロテインD(PD)(EP 594610)からなる群から選択することができる。他の担体としては、合成ペプチド(EP 0378881;EP 0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712;WO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668;EP 0471177)、サイトカイン(WO 91/01146)、リンホカイン(WO 91/01146)、ホルモン(WO 91/01146)、成長因子(WO 91/01146)、多様な病原体由来抗原から得られた多数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら, 2001, Eur. J. Immunol. 31:3816)、肺炎球菌表面タンパク質PspA(WO 02/091998)、鉄取り込みタンパク質(WO 01/72337)、クロストリジウム・ディフィシレ(C. difficile)に由来する毒素AまたはB(WO 00/61761)、肺炎球菌PhtD(WO 00/37105)、肺炎球菌PhtDE(例えばWO 01/98334およびWO 03/054007)、PhtX、等が挙げられる。
【0080】
糖は全て同一の担体上にあってよく、特にある特定の一つの微生物に由来する全ての糖(例えば、MenA、MenC、MenWおよびMenYの糖)は、全てTT、DTまたはCRM-197にコンジュゲートさせることができる。しかしながら、既知の影響である担体抑制を理由として、本発明の各組成物において、そこに含まれる糖抗原(「n」個の抗原)が2種以上の担体にコンジュゲートされていれば有利であり得る。このように、(n-1)個の糖を1種の担体上で、また1個の糖を別の担体上で、あるいは(n-2)個の糖を1種の担体上で、また2個の糖を2種の異なる担体上で等、(別々に)運ぶことができるだろう。例えば、4種の細菌性糖コンジュゲートを含むワクチンにおいて、1種、2種または4種全てを、別の担体にコンジュゲートさせることができるだろう。しかしながら、プロテインDプロテインDは、担体抑制の顕著な影響を受けることなく組成物中で多様な(2種、3種、4種またはそれ以上の)糖に対して用いることができる。Hibは、TT、DTまたはCRM197とのコンジュゲートとして存在することが可能であり、またMenA、MenC、MenYおよびMenWもまたTT、DT、CRM197またはPDのいずれかとのコンジュゲートとすることができる。Viは、TT、DTまたはCRM197とのコンジュゲートとして存在し得る。プロテインDは、インフルエンザ菌に対する防御を付与し得る他の抗原を提供するため、有用な担体である。1つの実施形態において、全ての糖は、同一の担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0081】
Viは、Vi反復サブユニットがカルボン酸基を含むことを考慮すると、例えばカルボジイミド(例えばEDAC)濃縮化学を用いる方法によって、担体タンパク質にコンジュゲートさせることができる。これは、(i)ViのCOOHとタンパク質のNH2との単一カルボジイミド反応、または(ii)ViのCOOHとホモ二官能性リンカー分子のNH2およびタンパク質のCOOHとホモ二官能性リンカー分子のNH2の間、もしくはViのCOOHとヘテロ二官能性リンカー分子のNH2およびタンパク質のNH2とヘテロ二官能性リンカー分子のCOOHの間のいずれかで起こり得る二重カルボジイミド反応のいずれかによって達成することができるだろう。
【0082】
コンジュゲーションは、遊離担体タンパク質と共に用いることができる。1つの実施形態において、所与の担体タンパク質が、本発明の組成物中で遊離の形態とコンジュゲートされた形態の両方で存在する場合、コンジュゲートされていない形態は、組成物全体に含まれる担体タンパク質の全量のわずか5%にすぎず、または別の実施形態において、コンジュゲートされていない形態は2重量%未満で存在する。
【0083】
本発明の糖は、任意の公知の方法で(例えばLikhiteの米国特許第4,372,945号、およびArmorらの米国特許第4,474,757号)、必要な場合には任意の好適なリンカーを用いて担体タンパク質に結合させることができる。
【0084】
この糖は、通常は、コンジュゲーションの前に活性化されまたは官能化される。活性化は、例えば、CDAP(1-シアノ-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート)などのシアン化剤を含む(WO 95/08348およびWO 96/29094)。このシアン化反応は、アルカリ感受性糖の加水分解を回避する比較的穏やかな条件下で行うことができる。この合成は、担体タンパク質への直接結合を可能とする。他の好適な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDCまたはTSTUを用いる。
【0085】
リンカー基を介した結合は、任意の公知の方法、例えばUS 4,882,317およびUS 4,695,624に記載の方法を用いて作ることができる。ある種の結合は糖の還元的アミノ化を伴い、結果として得られたアミノ基をアジピン酸リンカー基の一端と結合させ(EP 0477508、Porroら, 1985, Mol. Immunol. 22:907, EP 0208375)、その後タンパク質を上記のアジピン酸リンカー基の他端に結合させる。他のリンカーとして、B-プロピオンアミド(WO 00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Geverら, 1979, Med. Microbiol. Immunol. 165:171)、ハロアシルハロゲン化物(US 4,057,685)、グリコシド結合(US 4,673,574;US 4,761,283;US 4,808,700)、6-アミノカプロン酸(US 4,459,286)、ADH(US 4,965,338)、C4〜C12部分(US 4,663,160)等が挙げられる。リンカーを用いる代わりに、直接結合を用いることができる。タンパク質への直接結合は、例えばUS 4,761,283およびUS 4,356,170に記載されるように糖を酸化させてその後上記のタンパク質を用いて還元的アミノ化を行うこと、または直接CDAP反応を含み得る。
【0086】
コンジュゲーション後、遊離の糖とコンジュゲートされた糖は、分離することができる。この分離には、多数の好適な方法があり、例えば疎水性クロマトグラフィー、接線限外ろ過、透析ろ過等が挙げられる(Leiら, 2000, Dev Biol. (Basel). 103:259;WO 00/38711;US 6,146,902も参照)。1つの実施形態において、ワクチンが所与の糖を遊離の形態およびコンジュゲートされた形態の両方の形態で含む場合、コンジュゲートされていない形態は、組成物全体に含まれるその糖の全量の20重量%にすぎない(例えば15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、1%以下)。
【0087】
宿主に防御を付与し得る糖の量(有効量)は、当業者が決定し得る。1つの実施形態において、各用量は0.1〜100μgの糖を含み、別の実施形態において、各用量は0.1〜50μgを含み、他の実施形態において、各用量は0.1〜10μgを含み、さらに別の実施形態においては、各用量は、1〜5μgを含む。
【0088】
アジュバント
本発明のワクチンは、好適なアジュバントなどの製薬上許容される賦形剤を含み得る。好適なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、鉄もしくは亜鉛の塩であってもよく、またはアシル化チロシンの不溶性懸濁液、もしくはアシル化糖であってよく、またはカチオン誘導化糖類もしくはアニオン誘導化糖類、ポリホスファゼン、生分解性ミクロスフェア、モノホスホリルリピドA(MPL)、リピドA誘導体(例えば低毒性リピドA誘導体)、3-O-脱アシル化MPL、quil A、サポニン、QS21、トコール(EP 0382271)、フロイント不完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, MI)、Merckアジュバント65(Merck and Company, Inc., Rahway, NJ)、AS-2(Smith-Kline Beecham, Philadelphia, PA)、CpGオリゴヌクレオチド、生体接着性物質および粘膜付着性物質、微粒子、リポソーム、ポリオキシエチレンエーテル製剤、ポリオキシエチレンエステル製剤、ムラミルペプチドまたはイミダゾキノロン化合物(例えばイミクアモド(imiquamod)およびその同族体)であってよい。本発明におけるアジュバントとしての使用に適したヒト免疫賦活剤としては、インターロイキン(例えばIL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12等)などのサイトカイン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)が挙げられ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)もまたアジュバントとして用いることができる。
【0089】
本発明の1つの実施形態において、本発明の製剤のアジュバント組成物は、主にTH1型の免疫応答を誘導する。高レベルのTH1型サイトカイン(例えばIFN-γ、TNFα、IL-2およびIL-12)は、投与される抗原に対する細胞介在免疫応答の誘導を促進する傾向にある。応答が主にTH1型である1つの実施形態の範囲内において、TH1型サイトカインのレベルは、TH2型サイトカインのレベルを超える程度まで増加するだろう。これらのサイトカインのレベルは、標準アッセイを用いて簡単に評価することができる。サイトカインファミリーの概説については、MosmannおよびCoffman, 1989, Ann. Rev. Immunol. 7:145を参照のこと。
【0090】
従って、主にTH1応答を促進する好適なアジュバント系としては、リピドA誘導体(例えば低毒性リピドA誘導体)、モノホスホリルリピドA(MPL)またはこれらの誘導体、特に3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)、およびモノホスホリルリピドAの組み合わせ、場合によりアルミニウム塩と組み合わせた3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAが挙げられる。増強された系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(特にWO 94/00153に開示されるQS21と3D-MPLとの組み合わせ)を含むか、またはWO 96/33739に開示される、QS21がコレステロールでクエンチされている反応原性の低い組成物を含む。WO 95/17210には、QS21、3D-MPLおよびトコフェロールを水中油型エマルション中に含む特に強力なアジュバント製剤が記載されている。このワクチンは、サポニン(QS21であってよい)をさらに含み得る。本発明の製剤は、水中油型エマルションおよびトコフェロール(WO 95/17210)も含み得る。非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド(WO 96/02555)もまた、TH1応答の選択的誘導剤であり、本発明における使用に適している。
【0091】
本発明のワクチンは、上記で特定された本発明のアジュバントの1種以上の
態様の組み合わせも含み得る。
【0092】
本発明の任意のアジュバントは、本発明のIPV成分に吸着させるか、またはこれと組み合わせることができる。
【0093】
水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムに言及する場合、HemおよびWhiteが記載した(Pharm Biotechnol. 1995;6:249-276)全ての水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントを参照する。
【0094】
1つの実施形態において、リン酸アルミニウムは、アルミニウムヒドロキシホスフェートとも呼ばれる。別の実施形態において、リン酸アルミニウムは、pH7.4において負電荷を有する。典型的には、リン酸アルミニウムの等電点(pI)は、5〜7、もしくは6〜7または約もしくはちょうど5である。他の実施形態において、リン酸アルミニウムは、リン酸:アルミニウムのモル比0.3〜0.9、または0.3〜0.6、または0.8〜0.9を有する。
【0095】
1つの実施形態において、水酸化アルミニウムは、pH7.4において正電荷を有する。典型的には、水酸化アルミニウムのpIは、8〜11、9〜11、10〜11または約もしくはちょうど11である。
【0096】
典型的には、全アルミニウム含量は、0.5mL用量当たり、200〜1000μg、300〜900μg、400〜800μg、500〜700μgまたは約もしくはちょうど630μgのAl3+である。これは、全ての水酸化アルミニウムまたは全てのリン酸アルミニウムについて当てはまり得る。あるいは、Al3+含量は、リン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムが1:8〜8:1、1:4〜4:1、3:8〜8:3、1:2〜2:1または1:1の比で、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムとの混合物に由来し得る。1つの実施形態において、リン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムが12:1〜4:1、11:1〜5:1、10:1〜6:1、9:1〜7:1または8:1の比が用いられる。
【0097】
大半のアルミニウムは、混合して混合ワクチンを形成する前に予め吸着させた抗原によって提供されるが、一部のアルミニウムは、本発明の混合ワクチンの製剤化の間に(例えば本明細書中に記載されるpH調整ステップの前に)遊離の形態で加えることができる。典型的には、0.5mL用量当たりの遊離アルミニウム含量は、0〜300μg、50〜250μg、75〜200μg、100〜150μgまたは約もしくはちょうど115μgのAl3+であり得る。遊離のAl3+は、全Al(OH)3もしくは全AlPO4、または以下の比(w:w Al3+:Al3+): 1:1〜1:6、1:1.1〜1:5、1:1.2〜1:4、1:1.3〜1:3、1:1.4〜1:2、例えば23/92もしくは69/46 、または6:1〜1:1、5:1〜1.1:1、4:1〜1.2:1、3:1〜1.3:1、2:1〜1.4:1、例えば46/69もしくは92/23のAl(OH)3とAlPO4の混合物であり得る。
【0098】
別法として、本発明のワクチンの特定の成分は、アジュバント(特にアルミニウム塩)上に明確に吸着されていなくてもよい。
【0099】
IPVは、Al(OH)3またはAl(OH)3とAlPO4との混合物上に吸着されていなくてもよいし、吸着されていてもよい。DTはAl(OH)3またはAlPO4上に吸着されていてよく、TTはAl(OH)3またはAlPO4上に吸着されていてよく、PwはAlPO4上に吸着されているか、AlPO4と混合されていてよく、PRNはAl(OH)3上に吸着されていてよく、FHAはAl(OH)3上に吸着されていてよく、PTはAl(OH)3上に吸着されていてよく、HBはAlPO4上に吸着されていてよく、HibはAlPO4上に吸着されているかまたは吸着されていなくてよく、Men ACWYはAl(OH)3またはAlPO4上に吸着されているかまたは吸着されていなくてよく、MenB成分はAl(OH)3またはAlPO4上に吸着されているかまたは吸着されていなくてよく、ViはAl(OH)3またはAlPO4上に吸着されているかまたは吸着されていなくてよく、HepAはAl(OH)3またはAlPO4上に吸着されていてよい。
【0100】
アルミニウム塩上に予め吸着させた抗原を、混合の前に個別に予め吸着させることができる。別の実施形態において、抗原の混合物は、他のアジュバントと混合する前に予め吸着させることができる。1つの実施形態において、IPVは、吸着させたD成分およびT成分と混合する場合、個別にまたはIPV1型、2型および3型の混合物として吸着させることができる。
【0101】
「吸着させた抗原」の意味は、例えば20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%超吸着させたことを意味すると解される。
【0102】
本明細書中で用いられる「リン酸アルミニウム」および「水酸化アルミニウム」という用語の意味は、ワクチンをアジュバント化するのに好適な水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムの全ての形態を包含する。例えば、リン酸アルミニウムは、不溶性リン酸アルミニウムの沈殿物(非晶質、半結晶質または結晶質)であってよく、これは、限定するものではないが、場合により可溶性アルミニウム塩とリン酸塩とを混合することによって調製することができる。「水酸化アルミニウム」は、不溶性(非晶質、半結晶質または結晶質)水酸化アルミニウムの沈殿物であってよく、これは、限定するものではないが、場合によりアルミニウム塩の溶液を中和することによって調製することができる。特に好適なのは、商業的供給源から入手可能な多様な形態の水酸化アルミニウムゲルとリン酸アルミニウムゲル、例えばBrenntag Biosector(Denmark)から供給されるAlhydrogel(水酸化アルミニウム、3%水中懸濁液)およびAdjuphos(リン酸アルミニウム、2%生理食塩水中懸濁液)である。
【0103】
本発明のワクチンの非免疫学的成分
本発明のワクチンは、典型的には、上記の抗原性成分およびアジュバント成分に加えて、1種以上の「製薬上許容される担体または賦形剤」を含み、これらは、該組成物の投与を受ける個人に対して有害な抗体の産生をそれ自体では誘導しない任意の賦形剤を包含する。好適な賦形剤は、典型的には、大きく、ゆっくりと代謝される高分子、例えばタンパク質、糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、スクロース(Paolettiら, 2001, Vaccine, 19:2118)、トレハロース(WO 00/56365)、ラクトースおよび脂質凝集体(油滴またはリポソームなど)である。かかる担体は、当業者に周知である。本発明のワクチンは、希釈剤(例えば水、生理食塩水、グリセロール等)も含む。さらに、補助物質(例えば湿潤剤または乳化剤)、pH緩衝物質等が含まれ得る。滅菌発熱物質非含有リン酸緩衝生理食塩水は、一般的な担体である。製薬上許容される賦形剤の詳細な検討は、参考文献Gennaro, 2000, Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, ISBN:0683306472中に見ることができる。
【0104】
本発明の組成物は凍結乾燥させることが可能であり、または水性形態(すなわち溶液または懸濁液)であってよい。この種の液体製剤は、水性溶媒中に再構成する必要なく、パッケージされた形態から組成物を直接投与することを可能とし、これにより注射に最適となる。組成物はバイアル中に含めることができ、または簡単に充填される注射器中に含めることができる。この注射器には、針が備えられていても、備えられていなくてもよい。注射器は本発明の組成物の単回用量を含むが、バイアルは単回用量または複数回用量(例えば2回用量)を含むことができる。1つの実施形態において、上記の用量は、ヒト用の用量である。他の実施形態において、上記の用量は、成人、青少年、幼児、乳児または1歳未満のヒト用の用量であり、注射によって投与することができる。
【0105】
本発明の液体ワクチンは、他のワクチンを凍結乾燥形態から再構成するためにも適している。ワクチンをこのような即席の再構成用に用いる場合、本発明は、2つのバイアルを含み得る、または1つの既に充填された注射器と1つのバイアル(この注射器の内容物は、注射前に該バイアルの内容物を再構成するために用いられる)を含み得るキットを提供する。
【0106】
本発明のワクチンは、単位用量形態または複数回用量形態(例えば2回用量)でパッケージすることができる。複数回用量形態用には、バイアルは予め充填された注射器であることが好ましい。有効用量の量は慣用的に確立することができるが、典型的な注射用組成物のヒト用量は、0.5mL量である。
【0107】
1つの実施形態において、本発明のワクチンは6.0〜8.0のpHを有し、別の実施形態において、本発明のワクチンは、6.3〜6.9(例えば6.6±0.2)のpHを有する。ワクチンは、このpHで緩衝することができる。安定なpHは、緩衝液の使用によって維持することができる。組成物が水酸化アルミニウム塩を含む場合、ヒスチジン緩衝液を使用し得る(WO03/009869)。組成物は、滅菌および/または発熱原非含有でなければならない。
【0108】
本発明の組成物は、ヒトに関して等張性であり得る。
【0109】
本発明のワクチンは、特に複数回用量形態でパッケージされている場合、抗菌剤を含み得る。チオメルサールはIPV成分の効力の損失をもたらすため、その使用は避けるべきである。2-フェノキシエタノールまたはパラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン)などの他の抗菌剤を使用することができる。任意の保存剤は、低レベルで存在することが好ましい。保存剤は外から加えることができ、および/または本発明の組成物を形成するために混合されるバルク抗原の一成分であり得る(例えば百日咳抗原中に保存剤として含まれる)。
【0110】
1つの実施形態において、本発明のワクチンは、チオメルサールを含まないか、実質的にチオメルサールを含まない。「チオメルサールを含まない」または「実質的にチオメルサールを含まない」という用語は、最終製剤中に、IPV成分の効力に悪影響を与えるのに十分なチオメルサールは含まれていないことを意味する。例えば、チオメルサールがPwまたはB型肝炎表面抗原の精製過程中に用いられる場合、IPVと混合する前に、チオメルサールを実質的に除去しなければならない。最終ワクチン中のチオメルサール含量は、タンパク質1μg当たり、0.025μg、0.02μg、0.01μgまたは0.001μg、例えば0μg未満でなければならない。1つの実施形態において、チオメルサールは、任意の成分の精製において添加されず、使用もされない。例えば、B型肝炎に関するEP1307473、およびチオメルサールの存在下では死菌が達成されないPw過程に関する上記を参照されたい。
【0111】
本発明のワクチンは、洗浄剤(例えばTween80などのTween(ポリソルベート))を含み得る。洗浄剤は、通常、低レベル(例えば0.01%未満)で存在する。
【0112】
本発明のワクチンは、張度を与えるためのナトリウム塩(例えば塩化ナトリウム)を含み得る。本発明の組成物は塩化ナトリウムを含むことができる。1つの実施形態において、本発明の組成物中の塩化ナトリウムの濃度は、0.1〜100mg/mL(例えば1〜50mg/mL、2〜20mg/mL、5〜15mg/mL)の範囲内であり、また他の実施形態において、塩化ナトリウムの濃度は、10±2mμg/mL NaCl(例えば約9mμg/mL)である。
【0113】
本発明のワクチンは、通常は緩衝液を含む。リン酸緩衝液またはヒスチジン緩衝液が典型的である。
【0114】
本発明のワクチンは、抗原の非吸着を促進するために(例えばリン酸緩衝液の使用によって)溶液中に遊離のリン酸イオンを含み得る。本発明の組成物中の遊離リン酸イオンの濃度は、1つの実施形態において0.1〜10.0mMであり、または別の実施形態において1〜5mMであり、または他の実施形態において約2.5mMである、
本発明のワクチンの特性
1つの実施形態において、本発明のワクチンは、個々の成分の免疫原性が、本発明の組成物の他の個別の成分によって実質的に損なわれないように組成物の個々の成分が製剤化されるように、宿主にin vivo投与するためのワクチンとして製剤化される。「実質的に損なわれない」という語句は、免疫接種すると、抗原が単独で投与される場合に得られる力価の60%、70%、80%、もしくは90%、または95〜100%超の、各成分に対する抗体力価が得られることを意味する。このように、好適な実施形態において、単独投与と比較すると、組み合わせ中の他の成分に対しては、防御効力の点において著しく有害な影響は生じない。
【0115】
ワクチン製剤
1つの実施形態において、本発明のワクチンは、許容可能な割合のヒト被験体に対して各抗原成分の血清防御の基準より優れた抗体力価を与えるように、宿主に対するin vivo投与用のワクチンとして製剤化される。これは、集団中のワクチンの有効性の評価において重要な試験である。関連抗体の力価を有する抗原であって、当該力価を上回るときにはその抗原に対して宿主を血清転換すべきであると考えられる上記の抗原がよく知られており、またかかる力価はWHOなどの機関によって公表されている。1つの実施形態においては80%超の統計的に有意な被験体のサンプルが血清転換され、別の実施形態においては90%超の統計的に有意な被験体のサンプルが血清転換され、他の実施形態においては93%超の統計的に有意な被験体のサンプルが血清転換され、さらに別の実施形態においては96〜100%の統計的に有意な被験体のサンプルが血清転換される。
【0116】
各ワクチン用量中の抗原の量は、典型的なワクチンにおいて顕著な副作用を伴うことなく免疫防御応答を誘導する量として選択される。かかる量は、どの特異的免疫原を用いるかによって異なる。通常、各用量は、1〜1000μg、または1〜100μg、または1〜40μg、または1〜5μgの全免疫原を含むことが期待される。特定のワクチンの最適量は、被験体における抗体力価および他の応答の観察を含む研究によって確定することができる。一次ワクチン接種の過程は、例えばDTP免疫接種に関するWHOの提言に従って(すなわち0歳の間に)、1〜2ヶ月離すことを前提として2〜3回用量のワクチンを含み得る。ブースター用量は、2歳および/またはそれ以降の歳に接種することができる。
【0117】
ラットでの血清中和試験によって測定したポリオの効力
本発明の目的のため、本発明のIPV含有ワクチンのワクチン効力をIPV定量的に評価するためのアッセイは、ワクチンの単回用量を用いて行わなければならず、また参照ワクチンの幾何平均力価(GMT)に対する試験ワクチンのGMTの割合を決定することによって行わなければならず、この割合は相対応答(RR)または相対効力(RP)として報告される。参照GMTは、IPV1型、2型、3型それぞれのD抗原40単位、D抗原8単位、D抗原32単位を含むIPVワクチンのいずれかを用いて得られるGMTであってよく、既知のワクチンPoliorix(登録商標)を用いて得られるGMTであってよい。典型的には、RP試験は以下のとおりに行う:
ポリオウイルス1型、2型および3型の効力は、血清中和によってラット上で測定する:
10匹の健康なラット(Sprague-Dawley(OFA)または任意の予め確立された系統)を1グループとした複数のグループの筋肉内に、試験サンプルの希釈液(1/1.25;1/3.125;1/7.81)またはリン酸緩衝生理食塩水に溶解させた参照物質を接種する。必要であれば、この希釈液の範囲は、希釈していないワクチンと上記の3種類の希釈液とを接種することにより4倍希釈まで広げることができる。希釈剤を接種された10匹のラットは、陰性対照として用いられる。ラットは1週間に1回、何らかの異常な反応を検出するために観察される。接種の20〜22日後、各動物を深く麻酔し、出血させ血清を回収して血清中和試験によって分析する。
【0118】
血清中和試験について、血清は、ウォーターバス中で56℃で30分間のインキュベーションによって不活性化される。この血清の3種類の希釈液シリーズ(各ポリオ型に1種)は、適当な希釈媒体を用いてマイクロプレート中に調製する。プレートは+4℃で保存する。
【0119】
3種類のポリオウイルス型について、所定量のウイルス(30〜300 CCID50)を血清希釈液に加える。3種類のウイルス懸濁液を、それぞれの力価を考慮しながら希釈する。最終希釈液を「作用希釈液」と呼ぶ。各作用希釈液を対応するマイクロプレートに添加する。その後プレートを密閉し、37℃±1℃で16時間インキュベートする。次いで、Hep-2細胞を加えてマイクロプレートを37℃±1℃で7日間インキュベートする。クーマシーブルー染色後に倒立顕微鏡を使用してウイルスの細胞変性効果(CPE)を読み取る。抗ポリオ抗体の存在により、ウイルスの増殖およびそれに対応するCPEの出現を抑制する。抗ポリオウイルス力価(1、2および3型)は、細胞変性効果(CPE)を全く伴わない最後の希釈の逆数と一致する。各グループにおいて、中和抗体を有する動物が記録され、異なる型のポリオウイルスについて各血清サンプルの抗体力価を測定する。この中和抗体力価は、Hep-2細胞上でポリオウイルスの細胞変性効果を完全に抑制する血清サンプルの最高希釈の逆数のlog2として表わされる。
【0120】
ラットの各グループについて、希釈液当たりおよびウイルス型当たりの幾何平均力価(GMT)も測定する。
【0121】
本発明のワクチンのパッケージング
本発明のワクチンは、様々な種類の容器中(例えばバイアル中、注射器中等)にパッケージすることができる。多用量バイアルは、典型的には、1回用量のワクチンを取り出すために滅菌針を通して挿入することができ、この針が取り除かれると再密封する、再密封可能なプラスチックポートを含む。
【0122】
ワクチンは、各種の容器(例えば2個または3個)に入れて提供することができる。これらの容器の内容物は、単回注射で宿主に投与する前に即席で混合することが可能であり、または異なる部位に同時に投与することができる。このワクチンまたは、キットを同時に投与する場合の(2つ以上の容器中の)各ワクチンの用量は、典型的には、0.5mLである。
【0123】
本発明のこの態様の1つの実施形態において、ポリオウイルス、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、および場合によりB型肝炎、インフルエンザ菌B型、髄膜炎菌A型、髄膜炎菌C型、髄膜炎菌W型、髄膜炎菌Y型、髄膜炎菌B型、チフス菌、A型肝炎またはマラリアの1種以上によって引き起こされる疾患に対する防御を宿主に付与する2種類の多価ワクチンを含むキットが提供される。
【0124】
上記のキットは:
(1) (a)本発明の不活性化ポリオウイルス(IPV)、
(b)ジフテリアトキソイド(DTまたはD)(上記参照)、
(c)破傷風トキソイド(TTまたはT)(上記参照)、
(d)死菌全細胞百日咳菌(Pw)または2種以上の無細胞百日咳成分(Pa)(上記参照)、
(e)場合によりB型肝炎表面抗原(HepBまたはHB)(上記参照)、
(f)場合により担体タンパク質とインフルエンザ菌B型(Hib)の莢膜糖とのコンジュゲート(上記参照)、
(g)場合により担体タンパク質と、髄膜炎菌A型(MenA)または膜炎菌C型(MenC)の莢膜糖のいずれかまたは両方とのコンジュゲート(上記参照)、
を含む第1の容器、ならびに
(2A) (a)担体タンパク質と、髄膜炎菌A型(MenA)、髄膜炎菌C型(MenC)、髄膜炎菌W型(MenW)および/または髄膜炎菌Y型(MenY)の莢膜糖とのコンジュゲート(本発明の多様なMen糖の組み合わせについて上記参照)、および
(b)場合により担体タンパク質とインフルエンザ菌B型(Hib)の莢膜糖とのコンジュゲート;または
(2B) (a)担体タンパク質とインフルエンザ菌B型(Hib)の莢膜糖とのコンジュゲート、および
(b)場合により担体タンパク質とチフス菌のVi糖とのコンジュゲート
を含む第2の容器
を含む。
【0125】
上記のキットは、場合により:
(3) (a)場合によりB型肝炎表面抗原
(b)場合により担体タンパク質とチフス菌のVi糖とのコンジュゲート
を含む第3の容器を含み得る。
【0126】
これらの容器は、いずれの場合も、HepA抗原および/またはMenB抗原および/またはRTS,Sおよび/または肺炎連鎖球菌抗原をさらに含み得る。
【0127】
いずれの場合も、同じ抗原が二つの容器に含まれていてはならない。
【0128】
1つの実施形態において、第1の容器は、成分a)、b)、c)、d)に加えて、成分e)、f)、g)、e)+f)、e)+g)、f)+g)またはe)+f)+g)も含む。
【0129】
1つの実施形態において、第1の容器のワクチンは液体であってよく、第2の容器のワクチンは液体であっても、または(例えば、スクロースまたはトレハロースなどの公知の安定化賦形剤の存在下で)凍結乾燥されていてもいずれでもよい。
【0130】
本発明のキットの容器は、別々にパッケージすることが可能であり、または場合により一緒に詰めることができる。1つの実施形態において、本発明のキットは、2つ以上の容器中のワクチンの投与のための使用説明書のリストと共に提供される。
【0131】
キット中の容器が特定の糖コンジュゲートを含む1つの実施形態において、
これと同じコンジュゲートは該キットの他の容器中には含まれない。
【0132】
本発明者らは、上記の方法で提供されるキットは、多様な抗原を宿主の免疫系に対して最適な方法で有利に提示すると考えられる。このキットは、医師に、全抗原に対する防御効果、最小限の反応原性、最小限の担体抑制干渉、最小限のアジュバント/抗原干渉、または最小限の抗原/抗原干渉という利点を1つ以上有する、宿主を免疫する最適な方法を提供し得る。このような方法で、これらの目的は、場合により医師の診察と同時に、最小限の回数(2回)の投与で達成することができる。
【0133】
1つの実施形態において、第1の容器および第2の容器のワクチンは、異なる部位に同時に投与され(以下の「本発明のワクチンの投与」の下に記載のとおり)、また別の実施形態において、本発明者らは、第1の容器と第2の容器の内容物を、単一のワクチンとして投与する前に(場合により即席で)混合し得ることを想定する。
【0134】
本発明のワクチンの作製
本発明はまた、ワクチンの成分を製薬上許容される賦形剤と共に混合するステップを含んでなる、ワクチン製剤を製造する方法も提供する。
【0135】
本発明の1つの実施形態において、ポリオウイルスおよび場合により百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、インフルエンザ菌、髄膜炎菌A型、髄膜炎菌C型、髄膜炎菌W型、髄膜炎菌Y型、チフス菌またはA型肝炎による感染によって引き起こされる疾患の治療用または予防用医薬において使用するための、本明細書中に記載のワクチンが提供される。
【0136】
本発明の別の実施形態において、ポリオウイルスおよび場合により百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、インフルエンザ菌、髄膜炎菌A型、髄膜炎菌C型、髄膜炎菌W型、髄膜炎菌Y型、チフス菌またはA型肝炎による感染によって引き起こされる疾患の治療用または予防用医薬の製造における本発明のワクチンの使用が提供される。
【0137】
さらに、ポリオウイルスおよび場合により百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、B型肝炎ウイルス、インフルエンザ菌、髄膜炎菌A型、髄膜炎菌C型、髄膜炎菌W型、髄膜炎菌Y型、チフス菌またはA型肝炎によって引き起こされる疾患に対してヒト宿主を免疫する方法であって、免疫防御量の本発明のワクチンを宿主に投与するステップを含んでなる上記方法も提供される。
【0138】
各ワクチン用量中の抗原の量は、典型的なワクチン中で顕著な副作用を伴うことなく免疫防御応答を誘導する量として選択される。かかる量は、どの特異的免疫原を用いるかおよびそれをどのように提供するかによって異なる。1つの実施形態において、各用量は0.1〜100μgの糖を含み、別の実施形態において、各用量は0.1〜50μgの糖を含み、他の実施形態において、各用量は0.1〜10μgの糖を含み、さらに別の実施形態において、各用量は1〜5μgの糖を含む。
【0139】
1つの実施形態において、ワクチン中のタンパク質抗原の含有量は1〜100μgの範囲内であり、別の実施形態において、ワクチン中のタンパク質抗原の含有量は5〜50μgの範囲内であり、他の実施形態において、ワクチン中のタンパク質抗原の含有量は5〜25μgの範囲内である。
【0140】
ワクチンの作製は、通常、Vaccine Design(“The subunit and adjuvant approach”(Powell M.F.およびNewman M.J.編)(1995) Plenum Press New York)に記載されている。リポソーム内へのカプセル化は、Fullertonによって米国特許第4,235,877号に記載されている。高分子へのタンパク質のコンジュゲーションは、例えば、Likhiteによって米国特許第4,372,945号に、またArmorらによって米国特許第4,474,757号に開示されている。Quil Aの使用は、Dalsgaardらによって1977, Acta Vet Scand. 18:349に開示されている。3D-MPLは、Ribi immunochem, USAから入手可能であり、英国特許出願第2220211号および米国特許第4,912,094号に開示されている。QS21は、米国特許第5,057,540号に開示されている。
【0141】
本発明の他の実施形態において、本発明の不活性化ポリオウイルス(IPV)および場合により死菌全細胞百日咳菌(Pw)、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、担体タンパク質とインフルエンザ菌B型(Hib、場合によりTT、DTまたはCRM197にコンジュゲートされている)の莢膜糖とのコンジュゲートを含む多価ワクチンであって、バルクワクチンの0.5 mL用量当たりのコンジュゲートの量が1〜8μgであり、またこのコンジュゲートの免疫原性がより大量のコンジュゲートを含むかかる組成物と同等かまたはそれより高められている、上記ワクチンが提供される。場合によりB型肝炎表面抗原も含めることができる。
【0142】
1つの実施形態において、バルクワクチンの0.5mL用量当たりのコンジュゲートの量は10μg未満(のコンジュゲート中の糖)であり、別の実施形態において、コンジュゲートの量は1〜7μgであり、別の実施形態において、コンジュゲートの量は2〜6μgであり、または他の実施形態において、約2.5、3、4または5μgである。
【0143】
特定の成分、例えばDTPw成分は、吸着させたHBsAgまたは他の成分を加える前に、個別に組み合わせ得ることが理解されるだろう。
【0144】
IPV1型、IPV2型および/またはIPV3型を製薬上許容される賦形剤と混合するステップを含んでなる、本発明のワクチンを作製する方法も提供される。他の抗原を含む本発明のバルクワクチンを作製するための典型的な方法では、IPV成分をD成分とT成分との混合物に加える。すなわち、DT成分をIPV成分と混合する。この混合の順序は、PaまたはPw成分を添加する前に組成物のイオン強度および/またはpHを調整する(例えばpH7未満)ことを可能とする。典型的には、AlPO4上に予め吸着させたHBを最初に加え(この組成物にHBを含める場合)、その後Al(OH)3またはAlPO4上に予め吸着させたDTを加え、その後Al(OH)3またはAlPO4上に予め吸着させたTTを加え、その後場合によりAl(OH)3上に予め吸着させたIPVを加え、その後pHを例えばpH5.9〜7.2、またはpH6〜7、またはpH6.2〜6.8、またはpH6.4〜6.6に調整し、次いでAlPO4上に予め吸着させたPwを加える。場合により、Hib、Vi、MenA、MenC、MenW、MenY、MenBおよび/またはHepA抗原を、この方法の任意の時点で加えることができる。1つの実施形態において、Hib、Vi、MenA、MenC、MenW、MenY、MenBおよび/またはHepA抗原は、pH調整の前に加えられる。1つの実施形態において、本発明の1種以上の抗原は、リン酸アルミニウムもしくは水酸化アルミニウムまたは両者の混合物上に吸着される。別の実施形態において、本発明の抗原は、製薬上許容される賦形剤および/またはアジュバントと混合される。
【0145】
1つの実施形態において、本発明のワクチン組成物は、以下の順序で調製することができる:予め吸着させたHBsAgを加え、その後予め吸着させたジフテリアトキソイドを加え、その後予め吸着させた破傷風トキソイドおよびIPVを加え、次いでpHを約6.5に調整した後に、予め吸着させたPwを加える。
【0146】
別の実施形態において、本発明のワクチン組成物は、以下の順序で調製することができる:予め吸着させた破傷風トキソイドを加え、その後IPVを加え、その後予め吸着させたHBsAgを加え、その後予め吸着させたジフテリアトキソイドを加え、次いでpHを約6.5に調整した後に予め吸着させたPwを加える。
【0147】
一般的に、本発明の任意の態様による混合ワクチン組成物は、以下のとおりに調製することができる:IPV、DTPw、HepB、MenA、MenC、MenW、MenY、MenB、Vi、A型肝炎または他の成分を、好適なアジュバント(特に水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたは両者の混合物)上に予め吸着させる。各成分の完全且つ安定した吸着に必要な時間の後、適切な条件下で異なる成分を組み合わせる。Hib、Vi、MenA、MenC、MenWおよび/またはMenYコンジュゲートは、DTPwワクチンと混合する前にアルミニウムアジュバント塩上に吸着させてもよいし、吸着させなくてもよい。
【0148】
1つの実施形態において、本発明のワクチンは、15℃〜30℃で(例えば19℃〜27℃、または23±4℃で)作製される。
【0149】
本発明のワクチンの投与
本発明は、本発明のワクチンの有効量を投与するステップを含んでなる、哺乳動物において免疫応答を高める方法を提供する。このワクチンは、予防的に(すなわち感染を予防するために)投与することができる。上記の免疫応答は、防御的であることが好ましく、また好ましくは抗体を含む。この方法は、ブースター応答を高めることができる。
【0150】
最初のワクチン接種の後、被験体は、十分に間隔を開けて1回または数回のブースター(追加)免疫を受けることができる。投与治療は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであり得る。複数回用量は、一次免疫スケジュールおよび/またはブースター免疫スケジュールにおいて用いることができる。一次投与スケジュール(生後1年以内であってよい)を実施し、その後ブースター投与スケジュールを実施することができる。プライミング投与間(例えば4〜16週間)、およびプライミングとブースティング間の適切なタイミングは、慣用的に決定し得る。
【0151】
1つの実施形態において、哺乳動物はヒトである。本発明のワクチンを予防的に使用する場合、上記のヒトは、子供(例えば幼児もしくは乳児)または10代の若者であることが好ましく、このワクチンを治療的に使用する場合、上記のヒトは成人であることが好ましい。例えば安全性、用量、免疫原性等を評価するために子供向けワクチンを成人に投与することもできる。
【0152】
本発明のワクチン製剤は、このワクチンを患者に直接投与することにより、感染に感受性の哺乳動物を防御または治療するために使用することができる。直接送達は、非経口投与(筋肉内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、もしくは組織の間質腔)により;または直腸、経口、膣、局所、経皮、鼻腔内、眼、耳、肺もしくは他の粘膜投与によって達成し得る。1つの実施形態において、投与は、大腿または上腕への筋肉内注射によって行う。注射は針(例えば皮下注射針)によって行うことができるが、代わりに無針注射を用いてもよい。典型的な筋肉内用量は0.5mLである。
【0153】
細菌性感染は、身体の様々な領域に影響を及ぼすため、本発明の組成物は多様な形態で調製することができる。例えば、この組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとして、注射剤として調製し得る。組成物は、微粉末またはスプレーを用いて肺投与用に(例えば吸入剤として)調製することができる。組成物は、坐薬またはペッサリーとして調製し得る。この組成物は、鼻、耳または眼への投与用に(例えばスプレー、液滴、ゲルまたは粉末として)調製することができる。(例えばAlmeida & Alpar, 1996, J Drug Targeting, 3:455; Bergquistら, 1998, APMIS, 106:800参照)。DTPワクチンの鼻腔内投与に成功したことが報告されている(Ryanら, 1999, Infect. Immun., 67:6270;Nagaiら, 2001, Vaccine, 19:4824)。
【0154】
1つの実施形態において、第1および第2(ならびに当てはまる場合、第3)の容器のワクチンを異なる部位に同時に投与し、また別の実施形態において、本発明者らは、第1の容器と第2の容器の内容物を、単一のワクチンとして投与する前に(場合により即席で)混合し得ることを想定する。
【0155】
本発明は、全身性免疫および/または粘膜免疫を誘発するために用いることができる。
【0156】
治療処置の有効性を確認するための1つの方法は、本発明の組成物の投与後の細菌性感染をモニタリングするステップを含んでなる。予防的治療の有効性を確認するための1つの方法は、本発明の組成物の投与後の抗原に対する免疫応答をモニタリングするステップを含んでなる。本発明の組成物の免疫原性は、この組成物を試験被験体(例えば生後12〜16ヵ月の子供、または動物モデル-WO 01/30390)に投与し、その後標準的な免疫学的パラメータを測定することによって測定することができる。これらの免疫応答は、通常、組成物の投与後約4週間後に測定し、この組成物の投与前に測定した値と比較する。患者における実際の防御効力を評価するよりもむしろ、DTPワクチンの有効性を評価するための標準的な動物モデルおよびin vitroモデルならびに防御の相関の方がよく知られている。
【0157】
本発明者らは、本明細書中の「含む」という用語を、全ての場合において、「からなる」という用語とそれぞれ随意に置換し得ることを意図する。このことは、これらの用語の通常の意味を変えるものではなく、置換の根拠を提供することを意図するにすぎず、これらの意味が同等であることを意図するものではない。
【0158】
引用した参考文献および刊行物は全て、参照により本明細書に援用される。
【実施例】
【0159】
実施例は例示の目的のためにのみ提供され、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0160】
(実施例1)低用量IPV製剤の試験
実施例1の全ての製剤について、吸着させずに加えるIPV(不活性化ポリオウイルス)を除き、抗原は、製剤化前にアルミニウム塩を添加することによって吸着させる。
【0161】
以下の表は、D(ジフテリアトキソイド)、T(破傷風トキソイド)、Pw(百日咳全細胞)およびHBsAg(B型肝炎表面抗原)の吸着方法を示す。
【0162】




幾つかの異なる製剤を試験した:
ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳全細胞およびB型肝炎表面抗原の組み合わせ:製造方法1で製剤化する、参照としてのDTPwSF-HB(DTPwSFは、これがチオメルサールを含まない製剤であることを意味する)(表5)。
【0163】
製造方法2で製剤化する、標準用量の未吸着の参照としてのGlaxoSmithKline Biologicals S.A.の製品であるPoliorix(登録商標)(IPVだけ吸着されていない)(表5)。
【0164】
ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳全細胞、B型肝炎表面抗原および不活性化ポリオウイルスの組み合わせ:Pwの前にIPVを添加し、製造方法3で製剤化するDTPwSF-HB-IPV(表5)。
【0165】
ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、百日咳全細胞、B型肝炎表面抗原および不活性化ポリオウイルスの組み合わせ:Tを吸着させた直後にIPVを添加したDTPwSF-HB-IPV。この添加方法は、Al(OH)3上へのIPVの吸着を可能とする。このワクチンは、製造方法4で製剤化する(表5)。
【0166】
プラセボは、アルミニウム塩、IPVおよび他の抗原の緩衝剤のみを含む。このプラセボではIPVが唯一の抗原であるため、吸着の競合は生じない。このためIPVは完全に吸着される。このワクチンは、製造方法5で製剤化する(表5)。
【0167】
製造方法2、3、4および5で製剤化したワクチンは、標準IPV用量である0.5mL当たり40/8/32 IUの12.5%〜100%のIPV用量範囲で製造した。
【0168】



製造方法1の製剤について:HBsAg、DおよびTを、AlPO4、AlPO4およびAl(OH)3上にそれぞれ別々に吸着させる。この3種類の抗原を、水、NaClおよび遊離AlPO4を含む懸濁液に順次加える。この混合物を60〜75分間攪拌する。次いでpHを6.5に調整し、その後吸着させたPwを加える。
【0169】
製造方法3の製剤について:上記の3種類の吸着させた抗原を、水、NaClおよび遊離AlPO4を含む懸濁液に順次加える。この混合物を60〜75分間攪拌した後IPVを加える。pHを6.5に調整した後、Pw抗原を加える。
【0170】
製造方法4の製剤について:T抗原をAl(OH)3上に吸着させる。予め吸着させたT抗原を、水とNaClを含む懸濁液に加え、その後IPV1型、2型および3型を加える。この混合物を60〜75分間攪拌した後、遊離AlPO4を加える。次いで予め吸着させたHBsAgを加え、その後予め吸着させたD抗原を加え、次いでこの混合物をさらに60〜75分間攪拌する。pHを6.5に調整した後、Pw抗原を加える。
【0171】
製造方法3のプロトコルは、攪拌ステップを1回しか含まず製造が容易であるため、最終的に製造方法3を選択した。本発明のワクチンの製造過程中、チオメルサールは使用せず、また最終ワクチン製品にも添加しない。
【0172】
以下の表は、0.5mL用量の製剤の組成を示す。
【0173】

血清中和によるラットにおけるポリオの効力の測定
ラット(Sprague-Dawley(OFA)または任意の予め確立された系統)への筋肉内接種後、血清中和試験により、本発明のワクチンの効力を測定した。実験に使用されたことのない10匹の健康なラットの複数のグループの筋肉内に、試験サンプルの希釈液、リン酸緩衝生理食塩水に溶解させた参照物質、または希釈剤(リン酸緩衝生理食塩水)を接種した(0.5 mL)。希釈剤を接種した10匹のラットは、陰性対照として用いた。接種の20〜22日後(免疫期間)、各動物を深く麻酔し、心穿刺により採血した。血液サンプルを(約800gで)遠心分離し、血清を分析した。
【0174】
血清中和試験:
血清を、56℃で30分間のインキュベーションによって不活性化させた。この血清の3種類の希釈シリーズ(各ポリオ型について1種類)を、適当な希釈媒体を用いてマイクロプレート中で調製した。3種類のポリオウイルス型について、所定量のウイルスを血清希釈液に加えた。3種類のウイルス懸濁液を、各々の力価を考慮に入れて希釈した。最終希釈液は「作用希釈液」と呼ぶ。各作用希釈液を対応するマイクロプレートに添加した。その後プレートを密閉し、37℃±1℃で16時間インキュベートした。次いでHep-2細胞を添加し、マイクロプレートを37℃±1℃で7日間インキュベートした。クーマシーブルー染色後に倒立顕微鏡を使用してウイルスの細胞変性効果(CPE)を読み取った。
【0175】
抗ポリオ抗体の存在によって、ウイルスの増殖およびそれに対応するCPEの出現を抑制する。抗ポリオウイルス力価(1、2および3型)は、細胞変性効果(CPE)を全く伴わない最終希釈の逆数と一致する。
【0176】
各グループにおいて、中和抗体を有する動物を記録し、異なるポリオウイルス型について各血清サンプルの抗体力価を測定する。この中和抗体力価は、Hep-2細胞上でポリオウイルスの細胞変性効果を完全に抑制する血清サンプルの最高希釈の逆数であるlog2として表わされる。その後ラットの各グループについて、希釈液当たりおよびウイルス型当たりの幾何平均力価(GMT)を測定する。
【0177】
ウイルスの各型について、50%のラットに中和抗体を誘導(ED50)したワクチンの希釈およびそれに続いてD抗原の量も、プロビット分析によって算出した。ED50はD抗原単位で表した。
【0178】
参照ワクチン(通常はPoliorix(登録商標)であるが、Pediarix(登録商標)などのDTPaHBIPVワクチンであってもよい)の効力と比較した効力を定量化するため、多重用量試験における2つの等価用量の応答の比として定義される相対効力(RP)を測定した。この方法において、試験ワクチンの効力は、Finney, 1978(Statistical Method in Biological Assay, Charles Griffin & Company Ltd, London, 1978)中に記載される平行線定量法によって算出される。
【0179】
ELISAによるポリオ1型、2型および3型の効力の測定
ELISAによるポリオの効力の測定は、その計測が、製剤化ワクチンそれぞれに対してバルク未吸着IPV上で行われるか否かによって、1ステップまたは2ステップで実施した:
1. 最終的に吸着させたワクチンの脱着(製剤化ワクチン中でD抗原単位を測定するため。未吸着IPV抗原バルク中での測定には不要);
2. 脱着した、また未吸着のワクチンおよび/またはポリオバルクのD抗原含量の定量化のためのELISA試験
脱着ステップ
試験下での、吸着させたワクチンの10分間の遠心分離後、ペレットに脱着リン酸緩衝液を加えて、混合して室温でインキュベートすることにより、3回の連続脱着を行う。第1の脱着期間と第2の脱着期間は2時間であり、第3の抽出のためのインキュベーション期間は、室温で一晩である。上記の3回の抽出から得られた回収物をプールし、CaとMgは含まないがウシ血清アルブミン(BSA)とTween20を含むリン酸緩衝溶液(PBS)で希釈する。
【0180】
3種類のポリオウイルス抗原を、ELISAによって以下のとおりに定量化する。
【0181】
ELISAによるD抗原定量化
マイクロタイタープレートを、特異的ウサギ抗ポリオウイルス(1、2または3型)IgGでコーティングし、炭酸塩/重炭酸塩緩衝液(pH9.6)で希釈し、4℃で一晩インキュベートする。洗浄後、飽和溶液(CaとMgは含まず、1%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水)を加える。ブランク(リン酸緩衝生理食塩水(PBS))およびワクチンサンプルの連続希釈液ならびに内部(in-house)未吸着標準を二重に添加する。三価標準製剤は、較正された1、2および3型抗原を含む。この標準物質は、ヨーロッパ薬局方生物学的参照(European Pharmacopoeia Biological reference (EPBRP))である。
【0182】
以下の全てのステップについて、マイクロタイタープレートを37℃で1時間30分インキュベートし、洗浄する。ペルオキシダーゼにコンジュゲートさせ、BSA含有リン酸緩衝液(CaとMgは含まず、Tween20を含む)で希釈したウサギ抗ポリオウイルス(1、2または3型)IgGを加える。ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させて0.003%H2O2を含む酢酸緩衝液中で希釈したテトラメチルベンジジンを含む基質溶液を加え、その後暗所にて15〜30分間インキュベーションする。次いでH2SO4を含むブロッキング溶液を加える。1時間以内に、各ウェルの光学密度(O.D.)を、測定光線を450 nmに、基準光線を620 nmに設定した光度計を用いて読み取る。
【0183】
試験サンプル中のD抗原濃度は、標準抗原濃度に対するO.D.値をプロットすることによって得られる標準曲線から算出する。
【0184】
ELISAによる効力に加えて、完全性について方法により任意の未吸着のIPV抗原を検出することができる。
【0185】
Elisaによる、未吸着ポリオ1、2および3型のアジュバントへの吸着の完全性
遠心分離を2回連続的に行う。その後上清を回収し、ELISAによりマイクロプレート上で希釈せずに二重に試験する。マイクロタイタープレートは、特異的ウサギ抗ポリオウイルス(1、2または3型)IgGでコーティングし、炭酸塩/重炭酸塩緩衝液(pH 9.6)で希釈し、4℃で一晩インキュベートする。洗浄後、飽和溶液(CaとMgは含まず、1%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水)を加える。ブランク(リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、上清および内部未吸着標準を二重に添加する。
【0186】
以下の全てのステップについて、マイクロタイタープレートを37℃で1時間30分インキュベートし、洗浄する。ペルオキシダーゼにコンジュゲートさせ、BSA含有リン酸緩衝液(CaとMgは含まず、Tween20を含む)で希釈したウサギ抗ポリオウイルス(1、2または3型)IgGを加える。ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させて0.003%H2O2を含む酢酸緩衝液中で希釈したテトラメチルベンジジンを含む基質溶液を加え、その後暗所にて15〜30分間インキュベーションする。次いでH2SO4を含むブロッキング溶液を加える。1時間以内に、各ウェルの光学密度(O.D.)を、測定光線を450 nmに、基準光線を620 nmに設定した光度計を用いて読み取る。
【0187】
サンプルの平均ODがブランク+3標準偏差の平均OD値よりも高く、またサンプルの平均ODが0.1より高い場合、完全性が肯定される(上清中に抗原が存在する)と考えられる。
【0188】
完全性が肯定される場合、上記の抗原含量を、ELISAによるポリオ1、2および3型の効力の測定の第2ステップに記載のとおりにELISA法によって測定する。
【0189】
国際不透明単位(IOU)の測定方法
細胞濃度(IOU)は、視覚IRPO(International Reference Preparation of Opacity:不透明度の国際参照物質)標準溶液を用いて、または660 nmにおける吸光度測定のいずれかによって測定することができる。
【0190】
次いで、以下の「指定不透明度(assigned opacity)」式を適用することにより、単一株懸濁液(Single Strain Suspension)の不透明度を測定する。
【0191】
AO= LO/KOxCO;
(式中、AO =指定不透明度、LO = 生存回収物不透明度(live harvest opacity)、KO = 死菌回収物不透明度(killed harvest opacity)、およびCO = 濃縮物不透明度(concentrate opacity))。
【0192】
結果
標準の40:8:32用量での血清中和によるラットにおけるポリオの効力の測定
IPV1型、2型および3型の抗力を測定するために実験を行った。結果は、以下の表8に示す(本明細書中では、IPV1型、2型および3型それぞれのD抗原40:8:32単位は、100%IPV用量に相当する)。
【0193】

DTPwSF-HB-IPV製剤(100%IPV)は、参照Poliorixより優れた、また参照DTPaHBIPVと同様のまたはこれより優れたIPV効力を示す。
【0194】
低減IPV用量を用いたIPV効力の評価
この効力は、上記のin vitroおよびin vivo 方法によって測定する。
【0195】
Elisaにより、製造方法3および4の両方の製剤について低減用量IPVの効力をin vitroで試験し、表9に示すように参照DTPaIPVHBと比較した。製造方法3については、各製剤について2回のバッチを試験した。
【0196】
各製剤のIPVバルクから得られた抗原含量について回収率を計算した(例えば、100%IPV含有製剤については40/8/32;50%IPV含有製剤については20/8/16;25%IPV含有製剤については10/4/8;12.5%IPV含有製剤については5/2/4)。
【0197】

表9は、全IPV用量について、吸着の完全性が類似していることを示す。1型と3型は強く脱着されているが(17%〜74%)、2型は十分に吸着されたままである。3種類のウイルス型は、全IPV用量のプラセボ製剤について十分に吸着されている。この吸着は、DTPaIPVHB参照ワクチンと類似している。
【0198】
完全性の定量化法では、DTPwHB IPV製剤についても、低IPV濃度(0.5 ml当たりD抗原40/8/32単位未満)についても確認されていないという事実があるため、IPVの完全性にはばらつきがある。
【0199】
製造方法3および製造方法4の両方の製剤についての低減用量IPVの相対効力(参照poliorixワクチンとの比較で表す)は、図1および図2に示すとおり、参照製剤と比較してin vivoで試験した。製造方法3については、各製剤について2回のバッチを試験した。
【0200】
図1は、100%IPVのDTPwSF-HB-IPVのIPV効力が、DTPaHBIPVにおけるIPVの効力よりもわずかに上回っていることを示す。製造方法3の製剤から得られるDTPwSF-HB-IPV50%のIPV効力は、DTPaHBIPV 100%と同様であることが理解できる。製造方法3の製剤から得られるDTPwSF-HB-IPV25%のIPV効力は、Poliorix(登録商標)よりわずかに低い。12.5%のIPV用量は、優れたIPV効力を得るのに十分ではなかったということも見出された。
【0201】
図2は、IPV効力が、製造方法3の製剤および製造方法4の製剤と同様であることを示す。プラセボに対する効力の方がDTPwSF-HB-IPVに対する効力よりも優れている傾向にあることも示す。
【0202】
このように、これらのデータは、低減用量のIPVが、in vivoで優れた効力を得るのに十分であることを裏付ける。
【0203】
(実施例2)本発明のワクチンにおいてチオメルサールを使用しないことの可能性
保存剤効力試験(PET)は、試験ワクチンの抗菌活性を示すことを可能とする。この試験は、
ワクチン製剤を最終的に容器に入れるステップにおいて、好適な微生物の所定の接種材料をワクチン製剤にチャレンジ接種するステップ、
上記の接種された製剤を所定の温度で保存するステップ、
上記の容器から所定の時間間隔でサンプルを採取し、採取されたサンプル中の微生物を計数するステップ、
で構成される。
【0204】
上記のPET試験手順は、ヨーロッパ薬局方(5.1.3)および米国薬局方(USP)(<51>)に記載されている。これらの指針に従って、抗菌活性は、生存微生物数の減少を、以下の表(表7)に示す基準と比較することによって評価される。
【0205】

(実施例3)Hib成分がIPVの効力およびIPVの経時的安定性に及ぼす影響
実施例1に記載のとおりにIPVの相対効力を計測してHib成分がIPV効力に及ぼし得る影響を測定し、また異なるIPV用量におけるIPVの安定性を経時的に評価した。研究対象のワクチンは、DTPwHBIPV(40-8-32)、再構成したHibを含み8ヶ月間保存したDTPwHBIPV、DTPwHBIPV(20-4-16)、再構成したHibを含み8ヶ月間保存したDTPwHBIPV(20-4-16)、8ヶ月間保存したDTPwHBIPV(20-4-16)、DTPwHBIPV(10-2-8)、および再構成したHibを含み8ヶ月間保存したDTPwHBIPV(10-2-8)であった。相対効力(RP)値は、DTPaIPVHB(Pediarix)(図3a)またはPoliorix(図3b)と比較して計測した。Hib成分はIPV効力に影響を及ぼさないということが見出された。IPVの相対効力は、8ヶ月の時点で維持されていることが分かった(図3)。
【0206】
(実施例4)AlPO4/Al(OH)3比が、視覚的態様、DおよびTの吸着、およびIPVの効力に及ぼす影響
アルミニウムの組成を変えて製剤化を行った。
【0207】
製剤DTPwSF-HB-IPVは、通常、630μgのアルミニウム:AlPO4としての560μgのAl3+、Al(OH)3としての70μgのAl3+を含む。アルミニウム塩は、D、T、PwおよびHBsAgを吸着させるために用いる。製剤化中に、遊離AlPO4の115μg Al3+を加える。
【0208】
製剤化は以下の比率で遊離Al3+を用いて行う。
【0209】


視覚的態様を観察し、比率69/46までの許容し得る凝集を得る。製剤化は、同一の製法および通常のIPV用量の0〜100%のIPV用量範囲を用いて行った。
【0210】
DトキソイドおよびTトキソイドの吸着率は、ELISAによって測定した。37℃で7日間の処理によって吸着の安定性を追跡した。結果は表12および13に示す。
【0211】


IPVの吸着を追跡した。25℃で21日間の処理によって吸着の安定性を追跡した。
【0212】

これらの製剤中のAl(OH)3含量の増大は、D、TおよびIPVの吸着の改善を可能とする。
【0213】
これによって得られた、より優れた吸着比はAl(OH)3/AlPO4比が46/69であった。
【0214】
この比において:
TおよびDの吸着は、0時点において完全である。37℃で7日間の加速安定性研究後の脱着は、Dについて20%未満の脱着、Tについて30%未満の脱着を示す。
【0215】
各IPV型を吸着させる。3型の脱着は、25℃において21日間で起こる。
【0216】
比46/69の製剤をin vivoで試験し、Tetravac、PoliorixおよびDTPaIPVワクチンと比較した。
【0217】

DTPw-HB-IPV製剤間で(ED50の)顕著な相違は存在しない。DTPaHBIPV、TetravacおよびPoliorixは、DTPw-HB-IPV製剤に対して劣る、同様の結果を生じた(全製剤が同等であった2型を除く)。
【0218】
(実施例5)低減IPV用量の治験用DTPw-HBV-IPV/Hibワクチンの臨床評価
GSK Biologicalsの治験用DTPw-HBV-IPV/Hibワクチンの3種類の異なる製剤の免疫原性、反応原性および安全性を、同時投与される市販のDTPw-HBV/HibおよびIPVワクチンと比較して評価するために、フェーズII、実現可能性研究を計画する。
【0219】
適応/母集団:
ジフテリア、破傷風、百日咳、B型肝炎、ポリオおよびインフルエンザ菌b型疾患に対する生後1週間の健康な乳児の一次免疫。
【0220】
調査群:
DTPw-HBV-IPV(標準用量)/Hibのワクチン
DTPw-HBV-IPV(標準用量の49%)/Hibのワクチン
DTPw-HBV-IPV(標準用量の26%)/Hibのワクチン
DTPw-HBV/Hib+IPVのワクチン
共通の第1目的:
共通の第1目的は順次評価する:すなわち、第2および第3の目的は、先行する目的が達成された場合にのみ評価する。
【0221】
DTPw-HBV-IPV(標準用量)/Hibワクチンが、DTPw-HBV/Hibワクチンと共投与されるIPVワクチンに対して、3つのポリオウイルス型に対する抗体応答の点で劣るものではないことを、一次ワクチン接種コースの1ヶ月後に示すこと。
【0222】
上記の「劣るものではないことを示す」との目的は、3つのポリオウイルス型各々の血清防御率について、調査群間の差(DTPw-HBV/Hib+IPVマイナスDTPw-HBV-IPV(標準用量)/Hib)の標準化漸近95%信頼区間(CI)の上限が10%以下である場合に達成される。
【0223】
DTPw-HBV-IPV(標準用量の49%)/Hibワクチンが、DTPw-HBV/Hibワクチンと共投与されるIPVワクチンに対して、3つのポリオウイルス型に対する抗体応答の点で劣るものではないことを、一次ワクチン接種コースの1ヶ月後に示すこと。
【0224】
上記の「劣るものではないことを示す」との目的は、3つのポリオウイルス型各々の血清防御率について、調査群間の差(DTPw-HBV/Hib+IPVマイナスDTPw-HBV-IPV(標準用量の49%)/Hib)の標準化漸近95%信頼区間(CI)の上限が10%以下である場合に達成される。
【0225】
DTPw-HBV-IPV(標準用量の26%)/Hibワクチンが、DTPw-HBV/Hibワクチンと共投与されるIPVワクチンに対して、3つのポリオウイルス型に対する抗体応答の点で劣るものではないことを、一次ワクチン接種コースの1ヶ月後に示すこと。
【0226】
上記の「劣るものではないことを示す」との目的は、3つのポリオウイルス型各々の血清防御率について、調査群間の差(DTPw-HBV/Hib+IPVマイナスDTPw-HBV-IPV(標準用量の26%)/Hib)の標準化漸近95%信頼区間(CI)の上限が10%以下である場合に達成される。
【0227】
第2目的:
免疫原性
全てのワクチン抗原に対する応答について、DTPw-HBV/Hibおよび共投与されるIPVワクチンと比較して、DTPw-HBV-IPV/Hib候補ワクチンの免疫原性を評価すること。
【0228】
反応原性
応答性症状、非応答性症状および重篤な有害事象について、研究対象のワクチンの反応原性および安全性を評価すること。
【0229】
ワクチン接種スケジュール
6、10および14週齢における3回用量の一次ワクチン接種スケジュール。全被験体は、B型肝炎の出生時接種の投与を受ける。
【0230】
国:
フィリピン
血液採取:
ワクチン接種前およびワクチン接種後3回
ワクチン製剤:

抗原の吸着前
DTPw-HBV-IPV製剤は、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、3種類の百日咳菌株、B型肝炎ウイルス(HBV)の精製された主要表面抗原(HBsAg)、および不活性化ポリオウイルス(IPV)を組み合わせたものである。これらの抗原は、IPVを除いて、最初にアルミニウム塩上に予め吸着させ、その後アルミニウム塩、塩化ナトリウム緩衝液および注射用水と混合した。
【0231】
ジフテリアトキソイドの吸着
ジフテリアトキソイド精製濃縮液を、15 Lf ジフテリアトキソイド/0.15mg Al3+の比でリン酸アルミニウム上に吸着させた。この2つの成分を、室温で15〜45分間攪拌した。pHをpH5.1±0.1に調整し、その後15〜45分間攪拌した。この混合物を37℃で1週間保存した。室温で15〜45分間攪拌した後、pHをpH6.1±0.1に調整した。上記の吸着させた濃縮物を+2℃〜+8℃で7日間以上保存した後、DTPw-HB-IPVワクチンの最終製剤とした。本明細書の以下の図1は、予め吸着させたジフテリアバルクの吸着製造過程を明らかにする。
【0232】

破傷風トキソイドの吸着
精製した破傷風トキソイド濃縮物を、3.25 Lf/0.07 mg Al3+の比で水酸化アルミニウム上に吸着させた。この2つの成分を、15〜20分間攪拌した。pHをpH6.1±0.1に調整した。この混合物を室温で16〜24時間攪拌下で保存した。1500 mMの規定濃度の塩化ナトリウム溶液を加えた(150 mM添加)。室温で15〜45分間攪拌した後、pHをpH6.1±0.1に調整した。上記の吸着させた濃縮物を+2℃〜+8℃で14日間以上保存した後、DTPw-HB-IPVワクチンの最終製剤とした。
【0233】

B型肝炎抗原の吸着
滅菌精製HBsAgバルクをリン酸アルミニウムの滅菌懸濁液と混合し、最終容量の約50μl当たり、10μg HBsAg、0.2mg Al3+(リン酸アルミニウムとして)、150mM NaClを含む懸濁液を得た。
【0234】

Pw抗原の吸着
AlPO4溶液を、滅菌容器中に無菌的に移した。この溶液を5〜10分間攪拌し、1M HClまたは0.5M NaOHを直接容器に入れることによってpHを6.5+/-0.1に調整した。この溶液を15〜20分間攪拌した。pHを確認し(6.5+/-0.1)、必要であれば調整した。
【0235】
吸着の前に、プールされた百日咳菌(pertussis pooled harvest:PPH)を使用に先立って最低15分間混合し、次いでこのPPHを、AlPO4を含む滅菌容器に加えた。上記の懸濁液は室温で最低15分間攪拌し、室温で一晩保存することができた。この生成物を室温で一晩保存した場合、分配の前に最低30分間再懸濁しなければならない。試験用にサンプルを採取した。
【0236】
Pwを吸着させたバルクは、滅菌ガラス瓶に分配し、2〜8℃で保存した。
【0237】

DTPW-HBV-IPV最終製剤
この過程は、以下のとおりに行った:
塩化ナトリウム溶液と水を注射用に混合し、150mM NaClの最終濃度を達成した。
【0238】
AlPO4を加え、1回用量当たり0.115 mgの遊離Al3+濃縮物を得た。
【0239】
吸着させたHEF、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイド濃縮物を加え、0.5 ml用量当たり、10μgのHBsAg、7.5 Lfジフテリアトキソイドおよび3.25 Lf破傷風トキソイドの最終濃度を得た。
【0240】
IPVを加え、1回用量当たり40/8/32または19.6/3.9/15.7または10.4/2.1/8.3 UIの最終濃度を得た。
【0241】
室温で60〜120分間穏やかに攪拌する。
【0242】
pHを6.5+/-0.1に調整した。
【0243】
室温で15〜20分間攪拌した。
【0244】
pHが6.5+/-0.1であることを確認した。
【0245】
吸着させたPw濃縮物を加え、0.5 ml用量当たり20 IOUの最終濃度を得た。
【0246】
室温で15〜45分間攪拌した。
【0247】
pHを測定した。
【0248】
最終バルクは、充填するまで+2℃〜8℃で保存した。
【0249】

(実施例6)低減HibおよびIPV用量の治験用DTPa-HBV-IPV/Hibワクチンの臨床評価
市販のDTPa-HBV-IPV/Hibワクチンならびに市販のDTPw-HBV/Hibおよび同時に投与されるIPVワクチンと対比して、GSK Biologicalsの治験用DTPa-HBV-IPV/Hibワクチンの4つの異なる製剤の免疫原性、反応原性および安全性を評価するため、フェーズII、探索研究を計画する。
【0250】
適応/母集団:
ジフテリア、破傷風、百日咳、B型肝炎、ポリオおよびインフルエンザ菌b型疾患に対する生後1週間の健康な乳児の一次免疫
調査群:
DTPa-HBV-IPV(標準用量の49%)/Hib 5μg ワクチン
DTPa-HBV-IPV(標準用量の49%)/Hib 2.5μg ワクチン
DTPa-HBV-IPV(標準用量の26%)/Hib 5μg ワクチン
DTPa-HBV-IPV(標準用量の26%)/Hib 2.5μg ワクチン
DTPa-HBV-IPV/Hib ワクチン
DTPw-HBV/Hib+IPVワクチン
第1目的:
PRPおよび3種類のポリオ抗原(ポリオ1、2および3)に対する応答について、DTPa-HBV-IPV/Hib候補ワクチンの免疫原性を評価すること。
【0251】
第2目的:
免疫原性
全てのワクチン抗原に対する応答について、全ての研究対象のワクチンの免疫原性を評価すること。
【0252】
反応原性
応答性症状、非応答性症状および重篤な有害事象について、研究対象のワクチンの反応原性および安全性を評価すること。
【0253】
ワクチン接種スケジュール
6週齢における3回用量の一次ワクチン接種スケジュール。全被験体は、B型肝炎の出生時接種の投与を受ける。
【0254】
国:
TBC
血液採取:
ワクチン接種前およびワクチン接種後3回
ワクチン製剤:
本発明のワクチンは、液体部(DTPa-HB-IPV)と凍結乾燥部(Hib)との2つの部分で構成される:
D、T、PT、FHA、PRNおよびHBsAgは、前もって予め吸着させる。水とNaClを様々な抗原と混合する。この混合物を攪拌して均一にし、pHを調整する。本発明のワクチンのDTPa-HB-IPV部分の最終組成は以下の表に示す。
【0255】

Hibは予め吸着させる。予め吸着させたHibを、スクロースまたはラクトースと混合し、凍結乾燥させる。上記のHibの量は、ヒト用量当たり2.5または5または10μgである。アルミニウム含量は、ヒト用量当たりAlPO4として30〜120μg Al3+である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性化ポリオウイルス1型を含むワクチン(すなわち、混合ワクチン)の製造方法であって、以下の工程:ジフテリアトキソイドと破傷風トキソイドとを混合して、その後、D抗原10単位超かつD抗原20単位未満の用量で不活性化ポリオウイルス1型を添加し、必要に応じてIPV2型および/またはIPV3型を添加する工程、
を含む、上記方法。
【請求項2】
不活性化ポリオウイルス1型を含むワクチン(すなわち、混合ワクチン)の製造方法であって、以下の工程:ジフテリアトキソイドと破傷風トキソイドとを混合して、その後、0.5mLあたりD抗原10単位超かつD抗原20単位未満の量で不活性化ポリオウイルス1型を添加し、必要に応じてIPV2型および/またはIPV3型を添加する工程、
を含む、上記方法。
【請求項3】
ワクチンが、標準D抗原40単位用量の26〜49%、30〜45%、33〜40%、または35〜37%の不活性化ポリオウイルス1型を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ワクチンが、0.5mLあたり標準D抗原40単位用量の26〜49%、30〜45%、33〜40%、または35〜37%の不活性化ポリオウイルス1型を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
ワクチンがさらに、D抗原8〜20単位、D抗原9〜19単位、D抗原10〜18単位、D抗原11〜17単位、D抗原12〜16単位、またはD抗原13〜15単位、例えば、約またはちょうどD抗原14単位の用量で、不活性化したポリオウイルス3型を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ワクチンがさらに、0.5mLあたり、D抗原8〜20単位、D抗原9〜19単位、D抗原10〜18単位、D抗原11〜17単位、D抗原12〜16単位、またはD抗原13〜15単位、例えば、約またはちょうどD抗原14単位の量で、不活性化したポリオウイルス3型を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ワクチンが、D抗原8単位超かつD抗原20単位未満の用量で不活性化したポリオウイルス3型を含む、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
ワクチンが、0.5mLあたりD抗原8単位超かつD抗原20単位未満の量にて不活性化したポリオウイルス3型を含む、請求項5または6記載の方法。
【請求項9】
不活性化したポリオウイルス3型を含むワクチン(すなわち、混合ワクチン)の製造方法であって、以下の工程:ジフテリアトキソイドと破傷風トキソイドとを混合して、その後、D抗原8単位超かつD抗原20単位未満の用量で、D抗原9〜19単位、D抗原10〜18単位、D抗原11〜17単位、D抗原12〜16単位、またはD抗原13〜15単位、例えば、約またはちょうどD抗原14単位の用量で不活性化したポリオウイルス3型を添加し、必要に応じてIPV1型および/またはIPV3型を添加する工程、
を含む、上記方法。
【請求項10】
不活性化したポリオウイルス3型を含むワクチン(すなわち、混合ワクチン)の製造方法であって、以下の工程:ジフテリアトキソイドと破傷風トキソイドとを混合して、その後、0.5mLあたりD抗原8単位超かつD抗原20単位未満の量、D抗原9〜19単位、D抗原10〜18単位、D抗原11〜17単位、D抗原12〜16単位、またはD抗原13〜15単位の量、例えば、0.5mLあたり約またはちょうどD抗原14単位の量で不活性化したポリオウイルス3型を添加し、必要に応じてIPV1型および/またはIPV3型を添加する工程、
を含む、上記方法。
【請求項11】
ワクチンがさらに、D抗原10〜20単位、D抗原11〜19単位、D抗原12〜18単位、D抗原13〜17単位、D抗原14〜16単位、例えば、約またはちょうどD抗原15単位の用量で不活性化ポリオウイルス1型を含む、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
ワクチンがさらに、0.5mLあたり、D抗原10〜20単位、D抗原11〜19単位、D抗原12〜18単位、D抗原13〜17単位、D抗原14〜16単位の量で、例えば、0.5mLあたり約またはちょうどD抗原15単位の量で、不活性化ポリオウイルス1型を含む、請求項9または10記載の方法。
【請求項13】
ワクチンがさらに、D抗原2〜4単位の用量で不活性化したポリオウイルス2型を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
ワクチンがさらに、0.5mLあたりD抗原2〜4単位の量で不活性化したポリオウイルス2型を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
ワクチンが、D抗原2単位超かつD抗原4単位未満の用量、または約もしくはちょうどD抗原3単位にて、不活性化したポリオウイルス2型を含む、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
ワクチンが、0.5mLあたりD抗原2単位超かつD抗原4単位未満の量、0.5mLあたり約またはちょうどD抗原3単位の量で不活性化したポリオウイルス2型を含む、請求項13または14記載の方法。
【請求項17】
ワクチンの相対効力が、IPV1型のD抗原40単位を含むワクチンと比べて、少なくとも0.85, 0.9, 0.95または1である、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
ワクチンの相対効力が、IPV2型のD抗原8単位を含むワクチンと比べて、少なくとも0.85, 0.9, 0.95または1である、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ワクチンの相対効力が、IPV3型のD抗原32単位を含むワクチンと比べて、少なくとも0.85, 0.9, 0.95または1である、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
続いて、pHを、pH 6.5±0.5に、またはpH5.9〜7.2、またはpH6〜7、またはpH6.2〜6.8、またはpH6.4〜6.6に調整する工程を含む、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
続いて、死滅全細胞または無細胞百日咳成分および製薬上許容される賦形剤を添加する工程であって、必要に応じて、抗原を添加する前に遊離リン酸アルミニウムが存在している、上記工程を含む、請求項1〜20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
pH調整前、またはIPVの添加前に、B型肝炎表面抗原を添加するさらなる工程を含む、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
インフルエンザ菌b型、髄膜炎菌A型、髄膜炎菌C型、髄膜炎菌W型、髄膜炎菌Y型、髄膜炎菌B型、チフス菌およびA型肝炎からなる群から選択される病原体に由来する1または複数の抗原と、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、不活性化したポリオウイルス1型、2型および/または3型、必要に応じて、B型肝炎表面抗原とをpH調整前に混合するさらなる工程を含む、請求項1〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
実質的にチオメルサールを含まず、かつ以下:
a.D抗原10〜36単位、D抗原11〜32単位、D抗原12〜28単位、D抗原13〜24単位、D抗原14〜20単位もしくはD抗原15〜19単位、または約もしくはちょうどD抗原18単位用量のIPV1型;
b.D抗原2〜7単位、D抗原3〜6単位、またはD抗原4〜5単位用量のIPV2型;
c.D抗原8〜29単位、D抗原9〜26単位、D抗原10〜23単位、D抗原11〜20単位、D抗原12〜17単位、またはD抗原13〜14単位用量のIPV3型、
からなる群から選択される1または複数のIPV成分を含むDTPワクチンの製造方法であって、
ジフテリアトキソイドと破傷風トキソイドとを混合して、その後、不活性化したポリオウイルス成分を添加する工程を含む、上記方法。
【請求項25】
ワクチンがD抗原10〜36単位、D抗原11〜32単位、D抗原12〜28単位、D抗原13〜24単位、D抗原14〜20単位もしくはD抗原15〜19単位、または約もしくはちょうどD抗原18単位の用量で、不活性化ポリオウイルス1型を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
ワクチンがD抗原2〜7単位、D抗原3〜6単位、またはD抗原4〜5単位の用量で不活性化したポリオウイルス2型を含む、請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
ワクチンが、D抗原8〜29単位、D抗原9〜26単位、D抗原10〜23単位、D抗原11〜20単位、D抗原12〜17単位、またはD抗原13〜14単位の用量で不活性化したポリオウイルス3型を含む、請求項24〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
ワクチンが水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されている不活性化ポリオウイルス1型を含む(IPV以外の抗原と混合する前か、またはIPV以外の抗原と混合した後に吸着されている)、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
IPV1型を、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
ワクチンが、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されている不活性化したポリオウイルス2型を含む(IPV以外の抗原と混合する前か、またはIPV以外の抗原と混合した後に吸着されている)、請求項1〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
IPV2型を、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
ワクチンが、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されている不活性化したポリオウイルス3型を含む(IPV以外の抗原と混合する前か、またはIPV以外の抗原と混合した後に吸着されている)、請求項1〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
IPV3型を請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ワクチンが、アルミニウム塩上の吸着されているIPV1型、2型および3型を含む(IPV以外の抗原と混合する前か、またはIPV以外の抗原と混合した後に吸着されている)、請求項1〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
ワクチンが、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されているIPV1型、2型および3型を含む(IPV以外の抗原と混合する前か、またはIPV以外の抗原と混合した後に吸着されている)、請求項1〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
ワクチンが、必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されているジフテリアトキソイドを含む(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)、請求項1〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
ジフテリアトキソイドを、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
ワクチンが、必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されている破傷風トキソイドを含む(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)、請求項1〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
破傷風トキソイドを、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
ワクチンが、必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されている死滅全細胞百日咳菌(Pw)を含む(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)、請求項1〜39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
Pwを請求項20記載のpH調整の工程の後に添加する、請求項40記載の方法。
【請求項42】
死滅全細胞百日咳菌が、リン酸アルミニウム上に吸着されている(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)、請求項41記載の方法。
【請求項43】
Pwを請求項20記載のpH調整の工程の後に添加する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
ワクチンが、必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されている2もしくは複数の無細胞百日咳成分(Pa) (例えば、百日咳トキソイド(PT)、線維状赤血球凝集素(FHA)およびパータクチン(PRN))を含む(無細胞百日咳抗原以外の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)、請求項1〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
Paを請求項20記載のpH調整の工程の後に添加する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
2または複数の無細胞百日咳成分(Pa)が、リン酸アルミニウム上に吸着されている(無細胞百日咳抗原以外の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)、請求項45記載の方法。
【請求項47】
Paを請求項20記載のpH調整の工程の後に添加する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
ワクチンが、必要に応じて、リン酸アルミニウム上に吸着されているB型肝炎表面抗原(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)を含む、請求項1〜47のいずれか1項記載の方法。
【請求項49】
B型肝炎表面抗原を、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項48記載の方法。
【請求項50】
ワクチンが、担体タンパク質およびインフルエンザ菌b型 (Hib)の莢膜糖のコンジュゲート[必要に応じて、リン酸アルミニウム上に吸着されているか、またはアジュバント上に吸着されていない(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)]を含む、請求項1〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
Hibを請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
ワクチンが、担体タンパク質ならびに髄膜炎菌A型、髄膜炎菌C型、髄膜炎菌W型、および髄膜炎菌Y型からなる群から選択される細菌の莢膜糖の1あるいは複数のコンジュゲート[必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されているか、アジュバント上に吸着されていない(髄膜炎菌A型、C型、W型もしくはY型の莢膜糖抗原以外の抗原と混合する前または混合した後に吸着されている)]を含む、請求項1〜51のいずれか1項記載の方法。
【請求項53】
担体タンパク質ならびに髄膜炎菌A型、髄膜炎菌C型、髄膜炎菌W型、および髄膜炎菌Y型からなる群から選択される細菌の莢膜糖の1または複数のコンジュゲートを、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
ワクチンが、必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されているか、もしくはアジュバント上に吸着されていない(MenB抗原以外の抗原と混合する前もしくは混合した後に吸着されている) 髄膜炎菌B型 (MenB)外膜小胞もしくはLOS、またはコンジュゲート化MenB 莢膜糖、あるいはそれらの誘導体を含む、請求項1〜53のいずれか1項記載の方法。
【請求項55】
MenB外膜小胞もしくはLOSまたはコンジュゲート化MenB 莢膜糖を、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項55記載の方法。
【請求項56】
ワクチンが、担体タンパク質にコンジュゲートされているチフス菌由来のVi糖[必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されているかアジュバント上に吸着されていない(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)]を含む、請求項1〜55のいずれか1項記載の方法。
【請求項57】
担体タンパク質にコンジュゲートされているチフス菌由来のVi糖を、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項56記載の方法。
【請求項58】
ワクチンが、A型肝炎由来の抗原[必要に応じて、水酸化アルミニウムもしくはリン酸アルミニウムまたはそれらの混合物上に吸着されている(他の抗原と混合する前か、または混合した後に吸着されている)]を含む、請求項1〜57のいずれか1項記載の方法。
【請求項59】
A型肝炎由来の抗原を、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項58記載の方法。
【請求項60】
ワクチンがDTを0.5mL用量あたり5〜50、7〜30Lfまたは約もしくはちょうど7.5Lfもしくは25Lfの量で含む、請求項1〜59のいずれか1項記載の方法。
【請求項61】
ワクチンがDTを0.5mL用量あたり5Lfもしくは1〜4Lfまたは約もしくはちょうど2Lf未満の量で含む、請求項1〜59のいずれか1項記載の方法。
【請求項62】
ワクチンがTTを0.5mL用量あたり2.5〜30Lf、3〜20 Lf、5〜15Lfまたは約もしくはちょうど10Lfの量で含む、請求項1〜61のいずれか1項記載の方法。
【請求項63】
Paがワクチン中に存在する場合、0.5mL用量あたり2〜50μg、5〜40μg、10〜30μgまたは約もしくはちょうど25μgの量でPTを含む、請求項1〜62のいずれか1項記載の方法。
【請求項64】
ワクチンが、0.5mL用量あたりちょうどまたは約2.5または8μgの量でPTを含むPaを含む、請求項1〜63のいずれか1項記載の方法。
【請求項65】
ワクチンが、0.5mL用量あたり2〜50μg、5〜40μg、10〜30μgまたは約もしくはちょうど25μgの量でFHAを含むPaを含む、請求項1〜64のいずれか1項記載の方法。
【請求項66】
ワクチンが、0.5mL用量あたりちょうどまたは約2.5または8μgの量でFHAを含むPaを含む、請求項1〜65のいずれか1項記載の方法。
【請求項67】
ワクチンが、0.5mL用量あたり0.5〜20μg、0.8〜15μg、2〜10μgまたは約もしくはちょうど8μgの量でPRNを含むPaを含む、請求項1〜66のいずれか1項記載の方法。
【請求項68】
ワクチンがPaを含み、0.5mLあたりちょうどまたは約0.8または2.5μgの量でPRNを含む、請求項1〜67のいずれか1項記載の方法。
【請求項69】
ワクチンが、0.5mL用量あたり5〜50 IOU、7〜40 IOU、9〜35 IOU、11〜30 IOU、13〜25 IOU、15〜21 IOU または約もしくはちょうど20 IOUの量でPwを含む、請求項1〜68のいずれか1項記載の方法。
【請求項70】
ワクチンが、0.5mLあたり5〜20μg、8〜15μgまたは約もしくはちょうど10μgの量でHBを含む、請求項1〜69のいずれか1項記載の方法。
【請求項71】
ワクチンが、0.5mL用量あたり5〜20μg、8〜15μgまたは約もしくはちょうど10μgの量でHibを含む、請求項1〜70のいずれか1項記載の方法。
【請求項72】
ワクチンが、0.5mL用量あたり1〜6μg、2〜4μg または約もしくはちょうど2.5μgの量でHibを含む、請求項1〜70のいずれか1項記載の方法。
【請求項73】
アジュバントを添加するさらなる工程を含む、請求項1〜72のいずれか1項記載の方法。
【請求項74】
ワクチンが、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩、カルシウム、鉄、または亜鉛の塩、アシル化チロシンまたはアシル化糖類の不溶性懸濁液、カチオンまたはアニオン誘導体化されたサッカライド、ポリホスファゼン、生分解性ミクロスフェア、モノホスホリルリピドA (MPL)、毒性が低減したリピドA誘導体、3-O-脱アシル化MPL、クイルA、サポニン、QS21、トーコル、AS-2、CpGオリゴヌクレオチド、生体接着剤、粘膜接着剤、微粒子、リポソーム、ポリオキシエチレンエーテル製剤、ポリオキシエチレンエステル製剤、ムラミルペプチド、イミダゾキノロン化合物、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、ならびに顆粒球およびマクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)からなる群から選択される1あるいは複数のアジュバントを含む、請求項1〜73のいずれか1項記載の方法。
【請求項75】
アジュバントが、選択的TH1誘導剤である、請求項73記載の方法。
【請求項76】
ワクチンにおけるアルミニウムの総含有量が、0.5mL用量あたり200〜1000μg、300〜900μg、400〜800μg、500〜700μg または約もしくはちょうど630μgのAl3+である、請求項1〜75のいずれか1項記載の方法。
【請求項77】
ワクチン中のAl3+含有物が、全て水酸化アルミニウムであるか、または全てリン酸アルミニウムである、請求項76記載の方法。
【請求項78】
ワクチン中のAl3+含有物が、リン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムの比率が1:8〜8:1、1:4〜4:1、3:8〜8:3、1:2〜2:1または1:1 (w:w Al3+:Al3+)である水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムとの混合物である、請求項76記載の方法。
【請求項79】
ワクチン中のAl3+含有物が、リン酸アルミニウム:水酸化アルミニウムの比率が12:1〜4:1、11:1〜5:1、10:1〜6:1、9:1〜7:1または8:1 (w:w Al3+:Al3+)である水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムとの混合物である、請求項76記載の方法。
【請求項80】
ワクチンに遊離アルミニウム塩アジュバントを、0.5mL用量あたり0〜300μg、50〜250μg、75〜200μg、100〜150μgまたは約もしくはちょうど115μgのAl3+の量まで添加するステップを含む、請求項1〜79のいずれか1項記載の方法。
【請求項81】
遊離アルミニウム塩アジュバントが全てAl(OH)3であるか、または全てAlPO4である、請求項80記載の方法。
【請求項82】
遊離アルミニウム塩アジュバントが、Al(OH)3およびAlPO4の比率が1:1〜1:6、1:1.1〜1:5、1:1.2〜1:4、1:1.3〜1:3、1:1.4〜1:2、例えば、23/92または69/46(w:w Al3+:Al3+)の混合物である、請求項80記載の方法。
【請求項83】
遊離アルミニウム塩アジュバントが、Al(OH)3およびAlPO4の比率が6:1〜1:1、5:1〜1.1:1、4:1〜1.2:1、3:1〜1.3:1、2:1〜1.4:1、例えば、46/69または92/23(w:w Al3+:Al3+)の混合物である、請求項80記載の方法。
【請求項84】
遊離アルミニウム塩アジュバントを、請求項20記載のpH調整の工程の前に添加する、請求項80〜83のいずれか1項記載の方法。
【請求項85】
IPV1型がワクチン中に存在する場合、該IPV1型はMahoney株である、請求項1〜84のいずれか1項記載の方法。
【請求項86】
IPV2型がワクチン中に存在する場合、該IPV2型はMEF-1株である、請求項1〜85のいずれか1項記載の方法。
【請求項87】
IPV3型がワクチン中に存在する場合、該IPV3型はSaukett株である、請求項1〜86のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−502679(P2010−502679A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527148(P2009−527148)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059391
【国際公開番号】WO2008/028957
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】