説明

ワクチン

【課題】改良肺炎球菌ワクチン組成物、特に高齢者および幼児における肺炎球菌疾患(特に肺炎)の防止または改善により効果的であるだろう改良肺炎球菌ワクチン組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、肺炎球菌多糖体抗原、典型的には、PhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択されるストレプトコッカス・ニューモニ由来の肺炎球菌多糖体接合物抗原および、所望によりTh1誘導アジュバントを含むワクチンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細菌性多糖体抗原ワクチン、その製造および該多糖体の医薬における使用に関する。
特に、本発明は肺炎球菌多糖体抗原、典型的には、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来の蛋白抗原および、所望によりTh1誘導アジュバントと共に処方される、肺炎球菌多糖体接合抗原を含むワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトコッカス・ニューモニエは、(特に若者および老人において)深刻な罹患率および死亡率の原因となっているグラム陽性菌であり、肺炎、菌血症および髄膜炎のような侵襲性疾患や、急性中耳炎のようにコロニー形成に付随する疾患を引き起こしている。米国での60歳を超える人々における肺炎球菌性肺炎の感染率は、10万人あたり3〜8人と概算されている。これらのケースの20%では、菌血症および髄膜炎のような症状に至り、抗生物質治療を用いているにも関わらず死亡率は30%に近い。
肺炎球菌は、化学結合した多糖体の莢膜に入れられており、この多糖体が血清特異性を決定している。肺炎球菌には90種の血清型が知られており、その莢膜が肺炎球菌の主要な病原性決定因子となっている。というのも、その莢膜は補体から細菌の内面を守るだけでなく、それ自体が殆ど免疫原性を持っていないからである。多糖体はT細胞非依存性抗原であるで、MHC分子上でT細胞と相互作用するように抗原処理や抗原提示され得ない。しかしながら、多糖体はB細胞上の表面レセプターの架橋に関わる別の機構を通して、免疫系を刺激し得る。
侵襲性肺炎球菌による疾患の防御は、莢膜に特異的な抗原と最も強い相関関係があり、血清型に特異的であることがいくつかの実験により示されている。
【0003】
多糖体抗原を用いるワクチンは当該分野でよく知られている。ヒトへの使用を認可されている4つのものとして、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)のVi多糖体、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)由来のPRP多糖体、血清型A、C、W135およびYから成る4価髄膜炎菌ワクチン、ならびに血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33に対応する多糖体から成る23価肺炎球菌ワクチン(少なくとも90%の肺炎球菌を単離することによる)が挙げられる。
【0004】
後者の3つのワクチンは、幼児における深刻な罹患率および死亡率を与える気道感染症を引き起こす細菌から保護するが、これらのワクチンは2歳未満の小児においては、この年齢のグループにおける免疫原性が不完全であるために、その使用が認可されていない[Peltola ら、(1984), N. Engl. J. Med. 310:1561-1566]。ストレプトコッカス・ニューモニエは幼児および小児における侵襲性細菌疾患および中耳炎の最も一般的な原因である。同様に、高齢者は肺炎球菌ワクチンに対する応答が乏しくなっており[Roghmannら、(1987), J. Gerontol. 42:265-270]、したがって、この人々において細菌性肺炎の罹患率が増加する[Verghese and Berk, (1983) Medicine (Baltimore) 62:271-285]。
【0005】
幼児において、この免疫原性の欠損を解決するよう考えられた方法は、多糖体類をラージ免疫原性蛋白に結合させることを含むものである。その蛋白は、バイスタンダー細胞である、T細胞の助けを与え、結合されている多糖体抗原に対する免疫学的記憶を誘導する。肺炎球菌糖蛋白接合ワクチンは、現在、種々の年齢層において、安全性、免疫原性および有効性に関して評価されている。
23価の非結合肺炎球菌ワクチンは0%〜81%という広く多様な範囲で臨床的有効性を示した(Fedsonら、(1994) Arch Intern Med. 154: 2531-2535)。その有効性は年配のホジキン病、脾臓摘出、鎌状赤血球、無ガンマグロブリン血症のような、免疫処理されるべき、危険性のあるグループと関連しているようであり(Fineら、(1994) Arch Intern Med. 154:2666-2677)、更にはその患者の徴候にも関わっているように見える。その23価のワクチンは(高齢者のようなあるハイリスクグループには)肺炎球菌性肺炎や中耳炎に対する防御を示さない。
したがって、改良肺炎球菌ワクチン組成物、特に高齢者および幼児における肺炎球菌疾患(特に肺炎)の防止または改善により効果的であるだろう改良肺炎球菌ワクチン組成物が必要とされている。
本発明は該改良ワクチンを提供する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原(好ましくは、蛋白担体に結合したもの)およびポリヒスチジントライアッドファミリー(Pht;例えば、PhtA、PhtB、PhtDまたはPhtE)、Lytファミリー(例えば、LytA、LytBまたはLytC)、SpsA、Sp128、Sp130、Sp125、Sp101およびSp133から成る群から選択される少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗原、またはその末端切断物もしくは免疫学的機能等価物を、所望によりTh1アジュバント(優先Th1免疫応答を含むアジュバント)と共に含むワクチン組成物を提供する。好ましくは、肺炎球菌蛋白およびTh1アジュバントの両方を含む。また、上記した本発明の肺炎球菌蛋白を互いに、および他の肺炎球菌と組み合わせて含む有利な組成物も記載する。本発明の組成物は、特に高齢者の肺炎の治療に適している。
【0007】
肺炎球菌多糖体ワクチン(結合または非結合)は、肺炎の罹患率が非常に高い高齢者の人々における肺炎に対して保護することができない。肺炎球菌に対する主要な防御機構はオプソニン食菌作用(体液性B細胞/肺炎球菌多糖体に対する抗体の産生により引き起こされる好中球媒介事象、細菌が最終的に食菌される)であるが、オプソニン機構のいくつかの部分、すなわち、PMN(多形核球細胞)、による過酸化物産生、他の活性酸素種産生、PMNの起動、PMNのアポトーシス、PMNの変形性は高齢者において十分に機能を果たさない。また、抗体も高齢者において十分に機能を果たすことができない。
【0008】
通常受け入れられている定説とは反対に、正常なレベルの抗莢膜多糖体抗体は、肺炎球菌が宿主細胞に侵襲し免疫系のブランチを避けることができるので、細菌の完全なクリアランスに効果的でない。
意外にも、本発明は、免疫系の体液性ブランチ(B細胞媒介)に加えて免疫系の細胞媒介ブランチ(例えば、T細胞媒介免疫性)を同時に刺激することによる、相乗作用(または共同作用)により、宿主細胞からの肺炎球菌のクリアランスを増強させることができることを見出した。これは、一般的に肺炎球菌感染症の予防(または治療)を補助するであろうことの知見であるが、多糖体を用いるワクチンが効果を示さない高齢者における肺炎の予防(または治療)に関して特に重要であるだろう。
【0009】
理論に縛られることなく、本発明者らは、肺炎球菌多糖体(好ましくは、蛋白担体に結合したもの)をPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133(感染哺乳類細胞の表面上のクラスIIおよびMHCクラスIに関連して、処理し、与えることができる蛋白)から成る群から選択される肺炎球菌蛋白と共に投与する場合、免疫系の両方の機構がかくのごとく相乗作用を与えることを見出した。1つまたはそれ以上のこれらの肺炎球菌蛋白はそれ自体細胞媒介免疫性を誘発できるが、本発明者らは、ワクチン処方中のTh1含有アジュバントの存在がこの免疫系の機構を補助し、意外にも両方の免疫系の機構間の相乗作用を増強させることも見出した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、特に高齢者(および/または幼児および小児)の肺炎球菌感染症の防止または改善のための改良ワクチンを提供する。
本発明に関連して、患者が55歳以上、典型的には60歳を超える、より一般的には65歳を超える年齢である場合、高齢者とみなす。
かくして、本発明の一の具体例において、高齢者(および/または幼児および小児)における使用に適した、少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130andSp133PhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択される少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗原(複数でも可)を含むワクチン組成物を提供する。ワクチンは、所望によりTh1アジュバントを含んでいてもよい。
【0011】
好ましい第2の具体例において、本発明は、少なくとも1つ(2、3、4、5、6,7、8、9または10)のストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原(複数でも可)およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択される少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗原および好ましくはTh1アジュバントを含むワクチン(高齢者における肺炎の予防に適当な)を提供する。
【0012】
上記具体例において、有利には本発明の上記した肺炎球菌蛋白を互いに、および他の肺炎球菌蛋白と組み合わせて含むワクチンも以下に記載するように想定する。
また、ワクチンは幼児または小児のような他の高い危険性のある人々の群における肺炎球菌感染症(例えば、中耳炎)の治療においても有用であることが想定される。
【0013】
本発明のストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原
典型的には、本発明のストレプトコッカス・ニューモニエワクチンは多糖体抗原(好ましくは、担体蛋白に結合したもの)を含み、ここに多糖体は少なくとも4つの肺炎球菌の血清型から誘導される。好ましくは、4つの血清型は、6B、14、19Fおよび23Fを含む。より好ましくは、少なくとも7つの血清型、例えば血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23F由来のものが組成物に含まれる。さらにより好ましくは、少なくとも11の血清型が組成物に含まれ、例えば一の具体例における組成物は、1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F(好ましくは、担体蛋白に結合したもの)由来の莢膜多糖体を含む。本発明の好ましい具体例において、さらに多糖体抗原、例えば23価(例えば抗原型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33F)も本発明により考えられるが、少なくとも13の多糖体抗原(好ましくは、担体蛋白に結合したもの)が含まれる。
【0014】
高齢者のワクチン接取(例えば、肺炎の予防)に関しては、血清型8および12F(および最も好ましくはさらに15および22)を上記の11価の抗原性組成物に含み、15価ワクチンを形成することが有利であるのに対して、幼児または小児(中耳炎の不安がある)に関しては、有利には抗原型血清型6Aおよび19Aが13価ワクチンを形成するために含まれる。
上記多糖体は全長、天然の形態で用いることができるが、また免疫原性がある大きさを減少させた多糖体も用いることができることは理解されるだろう(例えば、EP497524および497525)。
【0015】
高齢者(+55歳)の人々の肺炎および幼児(18ヶ月まで)ならびに小児(典型的には18ヶ月〜5歳)の中耳炎の予防/改善に関して、上記のような多価ストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体とPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択されるストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白またはその免疫学的機能等価物とを組み合わせることが本発明の好ましい具体例である。また、肺炎球菌蛋白の組み合わせも以下に記載のように有利に利用できる。
【0016】
本発明の肺炎球菌蛋白
本発明の目的に関して、「免疫学的機能等価物」を本発明の蛋白由来の少なくとも1つの防御エピトープを含む蛋白のペプチドとして定義する。該エピトープは、特徴的には、表面が露出し、高保存性であり、宿主細胞の殺菌性抗体応答を誘発するか、または毒性作用を防止することができる。好ましくは、機能等価物は本発明の蛋白由来の少なくとも15個および好ましくは30個またはそれ以上の連続したアミノ酸を有する。最も好ましくは、蛋白のフラグメント、欠失、例えばその膜貫通型欠失変異体(すなわち、蛋白の細胞外ドメインの使用)、融合、化学的または遺伝学的脱毒性誘導体等を用いることができるが、ただし天然の蛋白と同様の免疫応答を実質的に惹起させることができることが条件である。蛋白配列における可能性あるB細胞エピトープの位置は、表面が露出し、抗原性であるペプチドを、2つの方法:2D構造予測および抗原指標予測を組み合わせて用いて同定することにより容易に決定できる。2D構造予測はPSIPREDプログラム(David Jones, Brunel Bioinformatics Group, Dept. Biological Sciences, Brunel University, Uxbridge UB8 3PH, UKから入手)を用いて行うことができる。抗原性指標はJamesonおよびWolf(CABIOS 4:181-186 [1988])により記載された方法に基いて計算できる。
【0017】
本発明の蛋白は以下の蛋白、肺炎球菌の外部表面に曝された全てのもの(肺炎球菌の生活環の少なくとも一部の間に宿主の免疫系により認識され得るもの)または肺炎球菌により分泌されるか、または放出される蛋白である。
本発明のストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白は、好ましくはポリヒスチジントライアッドファミリー(Pht)由来の蛋白、Lytファミリー由来の蛋白、コリン結合蛋白、LPXTFモチーフ(Xはいずれかのアミノ酸)、LXXC(Xはいずれかのアミノ酸)タイプIIシグナル配列モチーフを有する蛋白およびタイプIシグナル配列モチーフを有する蛋白から成る群から選択される。これらのカテゴリー(またはモチーフ)の中の好ましい例は、以下の蛋白(またはその末端切断物もしくは免疫学的機能等価物)である:
【0018】
Pht(ポリヒスチジントライアッド)ファミリーはPhtA、PhtB、PhtD、PhtE蛋白を含む。このファミリーは、脂質化配列、プロリンに富む領域と金属またはヌクレオシドとの結合または酵素活性に関与している可能性のあるいくつかのヒスチジントライアッドにより分けられる二つのドメイン、(3−5)超らせん領域、保存されたN末端と異種C末端により特徴付けられている。これは検査された肺炎球菌の全ての系で存在した。同種の蛋白が、他の肺炎球菌とナイセリア属で発見された。このファミリーの好ましいメンバーはPhtA、PhtB、PhtDを含む。より好ましくはPhtA、PhtDを含む。しかしながら、PhtA、B、D、Eなる語は、下記の引用文献に開示されている配列を有する蛋白、ならびに対象となる蛋白と少なくとも90%同一である配列相同性を有するその天然に存在する(および人工的な)変異体をいう、と解釈される。好ましくは少なくとも95%同一、最も好ましくは97%同一である。
Pht蛋白に関して、PhtAはWO98/18930に開示されており、Sp36とも言う。上記したように、これはポリヒスチジントライアッドファミリー由来の蛋白で、LXXCのタイプIIシグナルモチーフを有する。
【0019】
PhtDはWO00/37105に開示されており、Sp036Dとも言う。上記したように、これもまたポリヒスチジントライアッドファミリー由来の蛋白で、LXXCのタイプIIシグナルモチーフを有する。
PhtBはWO00/37105に開示されており、Sp036Bとも言う。PhtBファミリーのもう1つのメンバーはC3−分解ポリペプチドであり、WO00/17370に開示されている。この蛋白もまたポリヒスチジントライアッドファミリー由来で、LXXCのタイプIIシグナルモチーフを有する。好ましい免疫学的機能等価物は、WO98/18930に開示されているSp42蛋白である。PhtB末端切断物(おおよそ79kD)はWO99/15675に開示されており、PhtXファミリーのメンバーであると考えられる。
PhtEはWO00/30299に開示されており、BVH−3と言う。
SpsAはWO98/39450に開示されているコリン結合蛋白(Cbp)である。
【0020】
Lytファミリーは細胞溶解と関連する細胞膜結合蛋白である。N末端ドメインはコリン結合ドメインを含む。しかしながら、Lytファミリーは、下記のコリン結合蛋白ファミリー(Cbp)ファミリーにおいて見られる特徴をもっておらず、したがって本発明に関して、LytファミリーはCbpファミリーと異なると考えられる。Cbpファミリーとは対照的に、C末端ドメインはLyt蛋白ファミリーの触媒ドメインを含む。このファミリーはLytA、BおよびCを含む。Lytファミリーに関して、LytAはRondaら、Eur J Biochem, 164:621-624 (1987)において開示されている。LytBはWO98/18930に開示されており、Sp46とも言う。LytCもまたWO98/18930に開示されており、Sp91とも言う。ファミリーの好ましいメンバーはLytCである。
【0021】
もう一つの好ましい具体例は、Lyt末端切断物であり、「Lyt」とは上記したとおりであり、「末端切断物」とはコリン結合領域の50%またはそれ以上を欠く蛋白のことである。好ましくはそのような蛋白は全てのコリン結合領域を欠く。
Sp125はLPXTG(Xはいずれかのアミノ酸)の細胞壁固定モチーフを有する肺炎球菌表面蛋白の一例である。このモチーフを有する肺炎球菌表面蛋白のこの種の蛋白は全て、本発明の状況において有用であることが判り、そのため本発明の付加的な蛋白と見なされる。Sp125自体はWO98/18930に開示されており、ZmpB−亜鉛金属プロテイナーゼとして知られている。
Sp101はWO98/06734(整理番号y85993)に開示されている。これはタイプIシグナル配列によって特徴付けられる。
Sp133はWO98/06734(整理番号y85992)に開示されている。これもまたはタイプIシグナル配列によって特徴付けられる。
Sp128およびSp130はWO00/76540に開示されている。
本発明において用いられる蛋白は、好ましくは、PhtDおよびPhtA群、またはこれらの両方の蛋白の組合せから選択される。
【0022】
本発明の1つまたはそれ以上の肺炎球菌蛋白と他の肺炎球菌蛋白との有利な組合せ
本発明のワクチンにおいて、本発明の各々の上記した蛋白(好ましくは、PhtDおよびPhtAのいずれかまたは両方)もまた1つまたはそれ以上の下記リスト:ニューモリシン(また、Plyとも称される;好ましくは、化学処理または変異により弱化させる)[WO96/05859、WO90/06951、WO99/03884]、PsaAおよびその膜貫通型欠失変異体(Berry & Paton, Infect Immun 1996 Dec;64(12):5255-62)、PspAおよびその膜貫通型欠失変異体(米国特許第5804193号、WO92/14488、WO99/53940)、Pspその膜貫通型欠失変異体(WO97/09994、WO99/53940)、コリン結合蛋白(Cbp)ファミリーの一員[例えば、CbpAおよびその膜貫通型欠失変異体(WO97/41151;WO99/51266)]、 グリセルアルデヒド−3−ホスフェート−デヒドロゲナーゼ(Infect. Immun. 1996 64:3544)、HSO70(WO96/40928)、PcpA(Sanchez-Beatoら、FEMS Microbiol Lett 1998, 164:207-14)、M様蛋白(SB特許出願番号EP0837130)および付着因子18627(SB特許出願番号EP0834568)由来の蛋白と有利に組み合わせることができる。また、本発明は該蛋白(上記のような)の免疫学的機能等価物または末端切断物も含む。
【0023】
コリン結合蛋白ファミリーに関して、このファミリーのメンバーは、コリンアフィニティクロマトグラフィーによって精製されることができた肺炎球菌蛋白として初めて同定された。コリン結合蛋白は全て、細胞壁のタイコ酸および細胞膜結合リポタイコ酸のホスホリルコリン部分と共有結合していない。構造的にこれらは、蛋白の正確な性質(アミノ酸配列、長さなど)は多様であるが、全てのファミリーに共通したいくつかの領域を有している。一般的に、コリン結合蛋白は、N末端領域、保存反復領域(R1および/またはR2)、プロリンに富む領域(P)、複数の反復配列で形成されており、この蛋白のおよそ二分の一を構成する保存コリン結合領域(C)を含む。本願明細書において使用されている「コリン結合蛋白ファミリー(Cbp)」なる語は、WO97/41151で同定されているコリン結合蛋白であるPbcA、SpsA、PspC、CbpA、CbpD、CbpGからなる群より選択される。CbpAはWO97/41151に開示されている。CbpDとCbpGはWO00/29434に開示されている。PspCはWO97/09994に開示されている。PbcAはWO98/21337に開示されている。好ましくは、コリン結合蛋白はCbpA、PbcA、SpsA、PspCからなる群より選択される。
【0024】
Cbpが利用できるさらなる蛋白である場合、これはCbp末端切断物であってもよく、ここに「Cbp」は上記と同意義であり、「末端切断物」はコリン結合領域(C)の50%またはそれ以上が欠失している蛋白を意味する。好ましくは、該蛋白は完全なコリン結合領域が欠失している。より好ましくは、該末端切断蛋白は(i)コリン結合領域および(ii)蛋白のN末端の半分の一部を欠失しているが、少なくとも一つの反復領域を保持する(R1またはR2)。さらにより好ましくは、末端切断物は2つの反復領域を有する(R1とR2)。該好ましい具体例は、WO99/51266またはWO99/51188に記載のようにNR1xR2およびR1xR2であるが、類似のコリン結合領域が欠失している他のコリン結合蛋白もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0025】
また、Cbp末端切断物−Lyt末端切断物キメラ蛋白(または融合蛋白)も本発明のワクチンに用いることができる。好ましくは、これはCbpのNR1xR2(またはR1xR2)およびLyt(例えば、LytCC末端またはSp91C末端)のC末端部(C末端、すなわちコリン結合領域が欠失している)を含む。より好ましくは、CbpはCbpA、PbcA、SpsAおよびPspCから成る群から選択される。さらにより好ましくはCbpAである。好ましくは、LytはLytC(Sp91とも言う)である。
コリン結合領域(C)が欠失しており、Lytとの融合蛋白として発現されるPspAまたはPsaA末端切断物も用いることができる。好ましくは、LytはLytCである。
【0026】
本発明の目的の肺炎球菌蛋白の好ましい組合せ
好ましくは、本発明の蛋白の組合せは、2またはそれ以上(3または4)の異なるカテゴリー、例えばLXXC(Xはいずれかのアミノ酸、例えばポリヒスチジントライアッドファミリー(Pht))のタイプIIシグナル配列モチーフ、コリン結合蛋白(Cbp)、タイプIシグナル配列モチーフ(例えば、Sp101)を有する蛋白、LPXTGモチーフ(Xはいずれかのアミノ酸、例えばSp128、Sp130)を有する蛋白、毒素(例えばPly)等から選択される。これらのカテゴリー(またはモチーフ)の中の好ましい例は、上記した蛋白、またはその免疫学的機能等価物である。毒素+Pht、毒素+Cbp、Pht+Cbpおよび毒素+Pht+Cbpが好ましいカテゴリーの組合わせである。
【0027】
好ましい有利な組合せは、限定するものではないが、PhtD+NR1xR2、PhtD+NR1xR2−Sp91C末端キメラまたは融合蛋白、PhtD+Ply、PhtD+Sp128、PhtD+PsaA、PhtD+PspA、PhtA+NR1xR2、PhtA+NR1xR2−Sp91C末端キメラまたは融合蛋白、PhtA+Ply、PhtA+Sp128、PhtA+PsaA、PhtA+PspA、NR1xR2+LytC、NR1xR2+PspA、NR1xR2+PsaA、NR1xR2+Sp128、R1xR2+LytC、R1xR2+PspA、R1xR2+PsaA、R1xR2+Sp128、R1xR2+PhtD、R1xR2+PhtAを含む。好ましくは、NR1xR2(またはR1xR2)はCbpAまたはPspC由来である。より好ましくは、CbpA由来である。
肺炎球菌蛋白の特に好ましい組合せは、Ply(またはその末端切断物もしくは免疫学的機能等価物)+PhtD(またはその末端切断物もしくは免疫学的機能等価物)+NR1xR2(またはR1xR2)を含む。好ましくは、NR1xR2(またはR1xR2)はCbpAまたはPspC由来である。より好ましくは、CbpA由来である。
【0028】
理論に縛られることなく、組成物中の本発明の肺炎球菌蛋白(または上記した組合せ)は、肺炎球菌による侵襲を阻害するための免疫系の体液性ブランチと協力する、肺炎球菌疾患−特に肺炎に対する保護を必要とする−に対するT細胞媒介応答を誘発すること、およびオプソニン食菌作用を刺激することに役立ち得る。蛋白抗原を含むことのさらなる利点は、オプソニン食菌作用プロセスに関するさらなる抗原を提示することである。
【0029】
したがって、本発明の具体例において、少なくとも4の血清型、好ましくは少なくとも7の血清型、より好ましくは少なくとも11の血清型由来の多糖体抗原を含む肺炎球菌多糖体接合ワクチン、およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133(または上記のような肺炎球菌蛋白組合せ)から成る群から選択される少なくとも1つ(好ましくは2、3または4)のストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白を含むストレプトコッカス・ニューモニエワクチンを提供する。好ましくは、蛋白の1つはPhtA(またはその免疫学的機能等価物)である。最も好ましくは、蛋白の1つはPhtD(またはその免疫学的機能等価物である。
【0030】
上記したように、ワクチン接種への多糖体の用い方に関連した問題は、多糖体それ自体は免疫原性に乏しいという事実である。これを解決するため、多糖体をバイスタンダー細胞であるT細胞の助けを付与する蛋白キャリアに結合させてもよい。そのため、本発明で利用される多糖体はそのような蛋白キャリアに結合されていることが好ましい。現在、一般的に多糖体の免疫原性を生むために使われる、そのような蛋白の例として、ジフテリアとテターヌストキソイド(DT、DT CRM197、他のDT変異体)、キーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)、エヌ・メニンジティディス由来のOMPC、ツボクラリンの精製蛋白誘導体(PPD)が挙げられる。
【0031】
肺炎球菌多糖体を用いる免疫原性組成物(またはワクチン)のための他の担体は、ヘモフィルス・インフルエンザ(EP594610−B)由来の蛋白D、またはそのフラグメントである。使用に適したフラグメントはヘルパーT細胞エピトープを含むフラグメントである。特に、蛋白Dフラグメントは、好ましくは、蛋白のN末端3分の1を含むであろう。蛋白D担体は、意外にも、多肺炎球菌多糖体抗原が結合しているワクチンにおける担体として有用である。エピトープ抑制は、通常には、同様の担体が各々の多糖体に対して用いられる場合に生じやすい。意外にも、本発明者らは、蛋白Dが、特に、組合せワクチンにおける該エピトープ抑制効果を最小限にするのに適していることを見出した。組合せ中の1つまたはそれ以上の肺炎球菌多糖体は、蛋白D上に有利に結合でき、好ましくはすべての抗原は、該組合せワクチンにおいて蛋白Dに結合している。
肺炎球菌多糖体に関するさらに好ましい担体は、肺炎球菌蛋白それ自体(「本発明の肺炎球菌蛋白」の節に上記したような)である。
多糖体は、あらゆる既知の方法(例えば、Likhiteによる米国特許第4,372,945号およびArmorらによる米国特許第4,474,757号)によって、キャリア蛋白に結合させることができる。好ましくは、CDPA結合を行う(WO95/08348)。
好ましくは、結合の蛋白:多糖体(重量:重量)比は、0.3:1〜1:1、より好ましくは0.6:1〜0.8:1および、最も好ましくは約0.7:1である。
本発明のワクチンはアジュバント処理されていることが好ましい。適当なアジュバントは水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を含むが、カルシウム、マグネシウム、鉄または亜鉛の塩であってもよく、またはアシル化されたチロシン、アシル化された糖、陽イオンまたは陰イオンに誘導された多糖体、ポリフォスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。
アジュバントは、免疫応答の細胞媒介ブランチを補助するためにTH1型反応の優先的誘発因子であるように選ばれることが好ましい。
【0032】
本発明のTH1アジュバント
高レベルなTh1型サイトカインは、与えられた抗原に対して細胞性免疫反応の誘発を引き起こす傾向にあるが、高レベルなTH2型サイトカインは、抗原に対して体液性免疫反応の誘発を引き起こす傾向にある。
Th1型、Th2型免疫反応の区別は確固としたものでないことを認識することが重要である。現実には、個人は、優勢的にTh1であると、または優勢的にTh2であるとして記載される免疫反応を支持する。しかしながら、MosmannとCoffmanにより、ネズミCD4+veT細胞クローンに記載されているサイトカインである点から、サイトカインファミリーを考察することが好都合であることが多い(Mosmann,T.RおよびCoffman,R.L (1989) TH1 and TH2 cells: different patterns of lympholine secretion lead to different functional properties. Annual Review of Immunology,7、145‐173頁)。伝統的に、Th1型反応は、Tリンパ球によるINF−γとIL−2サイトカインの産生と関連している。Th1型免疫反応の誘発としばしば直接的に関連している、IL−12のような他のサイトカインは、T細胞によって産生されない。対照的に、Th2型反応は、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10の分泌と関連している。Th1反応を優勢的に促進する適当なアジュバントは、モノホスホリル脂質Aまたはその誘導体、特に3−デ−O−アシル化モノホスホリル脂質A(3D−MPL)(その調製についてのGB2220211Aを参考のこと)、およびモノホスホリル脂質A、好ましくは3−デ−O−アシル化モノホスホリル脂質Aと、アルミニウム塩(例えばリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)または水中油型エマルジョンの一方との組み合わせを包含する。そのような組み合わせにおいては、抗原と3D−MPLは同じ粒状構造物中に含まれ、抗原性シグナルと免疫刺激シグナルのより効率的なデリバリーを可能とする。研究によると、3D−MPLはミョウバン吸着抗原の免疫原性を一層亢進することができる。[Thoelenら、Vaccine(1998)16:708-14;EP689454−B1]
【0033】
亢進された系は、モノホスホリル脂質Aとサポニン誘導体の組み合わせ、特にWO94/00153に開示されているようにQS21と3D−MPLの組み合わせ、またはWO96/33739に開示されているようにQS21がコレステロールでクエンチされた小さい反応原性組成物を包含する。
水中油型エマルジョン中にQS21、3D−MPLおよびトコフェロールを含む特に効力のあるアジュバントの処方は、WO95/17210に記載されており、好ましい処方である。
好ましくは、ワクチンは付加的にサポニン、より好ましくはQS21を含む。処方はまた、水中油型エマルジョンとトコフェロールを含む(WO95/17210)。
本発明はまた、本発明の蛋白と3D−MPLのような医薬上許容される賦形剤との混合よりなるワクチンの産生の方法を与える。
オリゴヌクレオチドを含む非メチル化CpG(WO96/02555)はまた、TH1反応の優先誘発因子であり、本発明の利用に適している。
【0034】
本発明の特に好ましい組成物は、1つまたはそれ以上の結合肺炎球菌多糖体、1つまたはそれ以上の本発明の肺炎球菌蛋白およびTh1アジュバントを含む。理論に縛られることなく、肺炎球菌蛋白(上記した)による細胞媒介応答の惹起および両免疫系の機構の間の共同作用はTh−1アジュバントを用いて補助することができ、その結果、高齢者における、一般的には肺炎球菌疾患に対して、および重要には、肺炎球菌ニューモニエに対して特に効果的なワクチンを与える。
【0035】
本発明のさらなる態様において、医薬において用いるためのイムノゲンまたは上記したワクチンを提供する。
一の具体例において、高齢者(+55歳)における肺炎の防止または改善方法であって、安全かつ有効な量の本明細書に記載のストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択される肺炎球菌蛋白および所望によりTh1アジュバントを含むワクチンを該高齢者に投与することを含む方法を提供する。
さらなる具体例において、幼児(18ヶ月まで)または小児(典型的には18ヶ月〜5歳)における中耳炎の防止または改善方法であって、安全かつ有効な量のストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択されるストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗原、ならびに所望によりTh1アジュバントを含むワクチンを該幼児または小児に投与することを含む方法を提供する。
好ましくは、上記したような本明細書の方法において、多糖体抗原は多糖体蛋白接合物として存在する。
【0036】
本発明のワクチンの調製法
本発明のワクチン調製物は、当該ワクチンを全身性または粘膜性経路を介して投与することにより、感染に感受性の哺乳類(好ましくはヒト患者)を保護または治療するために使われる。これらの投与は、筋肉内、腹腔内、皮内または皮下経路を介する注射、経口/食事、呼吸、尿生殖器への粘膜投与を含む。(肺炎球菌の鼻咽頭での運搬はより効果的に妨げられ、そのためその初期段階で感染を減衰できるため)肺炎または中耳炎を治療するのにワクチンを鼻内投与することが好ましい。本発明のワクチンは単回用量として投与されるが、その成分はまた同時に、または違う時に投与することもできる(例えば、肺炎球菌多糖体は、同時に、または互いに関して免疫反応が最も良く協調するワクチンの細菌蛋白成分を投与した後1−2週間で別個に投与できる)。共投与に関しては、所望によるTh1アジュバントは、異なる投与のいずれかまたはすべてにおいて存在できるが、ワクチンの細菌蛋白成分との組み合わせで存在することが好ましい。単一の投与経路に加えて、2つの異なる投与経路を利用してもよい。例えば、ウイルス性抗原はID(皮内)投与され、一方細菌蛋白はIM(筋肉内)またはIN(鼻内)投与することができる。多糖体はIM(またはID)投与され、細菌蛋白はIN(またはID)投与することができる。加えて、本発明のワクチンは、初回抗原用量としてIM投与され、追加抗原用量としてIN投与され得る。
【0037】
各ワクチン中の結合抗原の量は、典型的なワクチン中で有意な副作用がなく免疫防御反応を誘発する量として選ばれる。そのような量は、どの特定の免疫原が利用され、どのように提示されたかによって異なる。一般的には、各々の投与量は、0.1〜100μgの多糖体、好ましくは0.1〜50μg、好ましくは0.1〜10μgを含み、1〜5μgが最も好ましい範囲であるだろうことが考えられる。
ワクチン中の蛋白抗原の含有量は、典型的には1〜100μg、好ましくは5〜50μg、最も典型的には5〜25μgの範囲である。
特定のワクチンの成分の最適量は、対象での適当な免疫反応を観察することを含む標準的な実験で確かめることができる。最初のワクチン接種に続いて、対象は適当に時間を置いて一つまたはいくつかの追加抗原免疫処置を受ける。
ワクチン調製物は一般的にVaccine Designに記載されている(「The subunit and adjuvant approach」(Power M.F.およびNewman M.J.編)(1995)Plenum Press New York)。リポソーム内での莢膜化はFullertonの米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0038】
本発明のワクチンはどんな経路でも投与されるが、本発明のワクチンの皮膚への投与(ID)は、本発明の一つの具体例を形成している。ヒトの皮膚は、角質層と呼ばれる、外側の「角質」表皮を含み、それが表皮の表面を覆っている。この表皮の真下が真皮と呼ばれる層で、これが順次皮下組織を覆っている。研究者は、皮膚、特に真皮へのワクチンの注射は免疫反応を刺激し、それは多くの付加的な有利性と関連していることを示している。本明細書に記載のワクチンでの皮内へのワクチン接種は、本発明の好ましい特徴を形成している。
皮内注射の従来の技術である「マントー処置」は、皮膚の洗浄、そして一方の手を伸ばし、狭いゲージの針(26−31ゲージ)の斜面を上に向けて、10−15°の間の角度で針を挿入するという工程を含む。いったん針の斜面が挿入されたら、針の筒は押し下げ、針が皮下に入っていくように小さい圧力を与えつつさらに押し進める。それから液体を極めてゆっくりと注入し、それによって皮膚の表面に小気泡または衝撃を形成させ、続いて針をゆっくりと抜く。
【0039】
さらに最近では、液体作用薬を皮膚中または皮膚を横切って投与するよう特別に設計された装置が記載されており、例えばWO99/34850とEP1092444で記載されている装置や、また例えばWO01/13977、米国特許第5,480,381号、米国特許第5,599,302号、米国特許第5,334,144号、米国特許第5,993,412号、米国特許第5,649,912号、米国特許第5,569,189号、米国特許第5,704,911号、米国特許第5,383,851号、米国特許第5,893,397号、米国特許第5,466,220号、米国特許第5,339,163号、米国特許第5,312,335号、米国特許第5,503,627号、米国特許第5,064,413号、米国特許第5,520,639号、米国特許第4,596,556号、米国特許第4,790,824号、米国特許第4,941,880号、米国特許第4,940,460号、WO97/37705、WO97/13537で記載されているジェット式注射装置である。ワクチン調製物の皮内投与の代替的な方法は、従来のシリンジと針、固形ワクチンの弾道デリバリー(WO99/27961)のために設計された装置、経皮的なパッチ(WO 97/48440、WO98/28037)、皮膚の表面への塗布(経皮的デリバリー、WO98/20734、WO98/28037)を含む。
【0040】
本発明のワクチンが皮膚に投与された場合、またはより具体的には真皮に投与された場合、ワクチンは、液体容量が小さく、特に約0.05mlと0.2mlの間の容量である。
皮膚にある抗原の含量、または本発明の皮内用ワクチンの含量は、筋肉内ワクチン(上記参照)で見られる従来の用量と類似していてもよい。しかしながら、処方を「低用量」としうることが皮膚または皮内用ワクチンの特徴である。そのため、好ましくは「低用量」のワクチン中の蛋白抗原は、用量当たり0.1から10μg、好ましくは0.1から5μgとほとんど配合されない。多糖体(好ましくは接合体)抗原は用量当たり多糖体が0.01〜1μg、そして好ましくは0.01μgと0.5μgの間の範囲で存在する。
本明細書で使用されるように、「皮内デリバリー」なる語は、皮膚の真皮の領域にワクチンをデリバリーすることを意味する。しかしながら、ワクチンは必ずしも真皮に独占的にある必要はない。真皮は、ヒトの皮膚の表面から約1.0mmと約2.0mmの間に位置する皮膚の層であるが、個体によって、および体の異なる部位によってある程度の違いがある。一般的に、皮膚の表面の下1.5mm行くことで真皮に達すると考えられる。真皮は、表面の角質層、表皮と下にある皮下層の間に位置する。デリバリーの形態によって、ワクチンは最終的に単独でまたは優位的に真皮内に位置し、または最終的に表皮と真皮内において分配される。
【0041】
本発明はまた、一連の異なる病原体に対して防御を与える混合ワクチンを意図する。多くの小児ワクチンは、現在、子供が受けねばならない注射の数を減らすために混合型ワクチンとして投与される。かくして、小児用ワクチンの場合、他の病原体由来の他の抗原を本発明のワクチンと共に処方することができる。例えば、本発明のワクチンは、ジフテリアトキソイド(DT)、テターヌストキソイド(TT)、百日咳菌成分[典型的には任意のペルタクチン(PRN)および/または凝集素1+2により無毒化された百日咳菌毒素(PT)と糸状赤血球凝集素(FHA)]を含む、例えばDT、TT、PT、FHAおよびPRN抗原を含む市販ワクチンINFANRIX−DTPa(登録商標)(SmithKlineBeecham Biologicals)などの、周知の3価混合ワクチンと共に、または例えば、Tritanrix(登録商標)SmithKlineBeecham Biologicalsにより市販されているような全細胞百日咳菌ワクチンと共に、処方(または別々ではあるが同時に投与)され得る。混合ワクチンはまた、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、ポリオウイルス抗原(例えば不活化3価ポリオウイルスであるIPV)、モラクセラ・カタラーリス膜外蛋白、分類不可能な特異的ヘモフィルス・インフルエンザ蛋白、髄膜炎菌B膜外蛋白のような他の抗原も含むことができる。
【0042】
(特に中耳炎の予防の為の)混合ワクチンに配合することができるモラクセラ カタラーリス蛋白抗原の好ましい例は、OMP106[WO 97/41731(Antex)とWO 96/34960(PMC)]、OMP21、LbpAおよび、またはLbpB[WO 98/55606(PMC)]、TbpAおよび、またはTbpB[WO 97/13785とWO 97/32980(PMC)]、CopB[Helminen MEら(1993)Infect Immun61:2003−2010]、OmpCD、HasR(PCT/EP99/03824)、PilQ(PCT/EP99/03823)、OMP85(PCT/EP00/01468)、lipo06(GB9917977.2)、lipo10(GB9918208.1)、lipo11(GB9918302.2)、lipo18(GB9918038.2)、P6(PCT/EP99/03257)、D15(PCT/EP99/03822)、Omp1A1(PCT/EP99/06781)、Hly3(PCT/EP99/03257)、OmpEである。(特に中耳炎の予防の為の)混合ワクチンに配合することができる非特異的ヘモフィルス インフルエンザ抗原の例は、フィンブリン蛋白[(US5766608−オハイオ州研究財団)]とそこから得られるペプチドよりなる融合蛋白[例えばLB1(f)ペプチド融合蛋白;US5843464(OSU)またはWO 99/64067]、OMP26[WO 97/01638(Cortex)]、P6[EP281673(ニューヨーク州立大学)]、TbpAおよび、またはTbpB、Hia、Hsf、Hin47、Hif、Hmw1、Hmw2、Hmw3、Hmw4、Hap、D15(WO 94/12641)、蛋白D(EP594610)、P2、P5(WO 94/26304)である。
【0043】
意図される他の組み合わせは、本発明の肺炎球菌PS&蛋白と、例えばインフルエンザ(弱毒化された、スプリットまたはそのサブユニット[例えば、表面糖蛋白ノイラミニダーゼ(NA)と赤血球凝集素(HA)。例えばChaloupka IらEur.Journal Clin.Microbiol.Infect.Dis.1996,15:121−127を参考のこと])、RSV(例えば、FとG抗原またはF/G融合蛋白。例えばSchmidt A.Cら、J Virol,May2001,P4594-4603を参考のこと)、PIV3(例えば、HNとF蛋白。前掲のSchmidtらを参考のこと)、水痘ウイルス(例えば弱毒化されたもの、糖蛋白I―Vなど)、MMR(麻疹、おたふく風邪、風疹)のいずれかの(または全ての)成分からのウイルス性抗原との組合せである。
【0044】
中耳炎の治療または予防に関して本発明により意図される好ましい小児用組合せは、1つまたはそれ以上のストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原(複数でも可)(好ましくは蛋白Dに結合したもの)、PhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択される1つまたはそれ以上の肺炎球菌(またはその免疫学的機能等価物)、および1つまたはそれ以上のモラクセラ・カタラーリスおよび/または分類不可能なヘモフィルス・インフルエンザからの表面露出抗原を含む。蛋白Dは、それ自体、分類不可能なエイチ・インフルエンザ(ntHi)に対するB細胞媒介保護を産生できるイムノゲンであるので、有利には、肺炎球菌多糖体に関する蛋白担体として用いることができ、エピトープ抑制問題(上記した)を解決できる。モラクセラ・カタラーリスおよび/または分類不可能なヘモフィルス・インフルエンザ抗原は、サブユニット形態のワクチンに含まれることができ、または細菌由来の外膜小胞(blebs)の表面に存在する抗原として添加してもよい。
【0045】
好ましくは、上記した抗原性組成物(およびワクチン)は、使用直前まで凍結乾燥され、その時点で即時に希釈剤で復元される。より好ましくは、3D−MPLの存在下で凍結乾燥され、即時に食塩水溶液で復元される。別法として、蛋白および多糖体は、ワクチン接取キット(成分のいずれか、または両方を凍結乾燥する)中に別個に貯蔵してもよく、使用前に復元して混合してもよく、または患者に別に投与してもよい。Th1アジュバント(好ましくは3D−MPL)は、成分のいずれかまたは両方と共に存在できる。
【0046】
ワクチンの凍結乾燥は、当該分野においてよく知られている。典型的には、液体ワクチンは、例えばシュークロースやラクトースのような糖(初期濃度は10〜200mg/mL)などの固化防止剤の存在下で凍結乾燥される。凍結乾燥は、典型的には、一連の工程、例えば、69℃で始まり、徐々に3時間かけて−24℃とし、それからこの温度を18時間保持し、徐々に1時間かけて−16℃とし、この温度を6時間保持し、徐々に3時間かけて+34℃とし、最終的にこの温度を9時間保持する、一のサイクルで起る。
組成物を凍結乾燥するとより安定な組成物(例えば、多糖体抗原の崩壊が防止される)となる。また、意外にも、この処理は肺炎球菌多糖体に対する高い抗体力価の原因である。このことは、特にPS 6B結合が十分であることを示している。したがって、本発明の別の態様は、3D−MPLとのPS 6B接合アジュバント(好ましくは、アルミニウム基材アジュバントを避ける)およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択される肺炎球菌蛋白を含む凍結乾燥した抗原性組成物である。
【実施例】
【0047】
実施例は本発明を説明するためのものであって、限定するものではない。
【0048】
実施例1
エス・ニューモニエ莢膜多糖体
11価の候補ワクチンは、実質的にEP72513に記載されているように調製した莢膜多糖体血清型1、3、4、5、6B,7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fを含む。各々の多糖体を活性化し、CDAP化学(WO98/08348)を用いて誘導体化し、蛋白担体に結合させる。すべての多糖体は、血清型3(これはその粘度を減少させるために大きさを小さくした)を除いてそれらの天然の形態で結合する。
【0049】
蛋白担体:
選択した蛋白担体は分類不可能なヘモフィルス・インフルエンザから、イー・コリで発現した組換え蛋白D(PD)である。
【0050】
蛋白Dの発現
ヘモフィルス・インフルエンザD
蛋白D発現に関する遺伝学的構築
出発物質
DNAをコードする蛋白D
蛋白Dはすべての血清型および分類不可能な株のエイチ・インフルエンザの中に多く貯蔵される。完全な蛋白D遺伝子をDNA配列を含むpHIC348ベクターは、Dr. A. Forsgren, Department of Medical Microbiology, University of Lund, Malmo General Hospital, Malmo, Swedenから得る。蛋白DのDNA配列は、Janson ら(1991) Infect. Immun. 59: 119-125により公にされている。
【0051】
発現ベクターpMG1
発現ベクターpMG1は異質挿入遺伝子の転写および翻訳に関する制御要素由来のバクテリオファージλを取り込んだpBR322の誘導体(Grossら、1985)である。加えて、アンピシリン耐性遺伝子はカナマイシン耐性遺伝子と交換された。
【0052】
イー・コリ株AR58
イー・コリ株AR58N99をSA500誘導体(galE::TN10、ラムダKil- cI857 ΔH1)でのP1ファージストック予備増殖で形質導入することにより生産した。N99およびSA500は国立保健研究所のDr. Martin Rosenbergの研究室から由来のイー・コリK12株である。
【0053】
発現ベクターpMG1
蛋白Dの産生に関して、蛋白をコードするDNAは発現ベクターpMG1にクローン化される。このプラスミドは挿入された異質遺伝子の複写および翻訳を誘発するラムダファージDNAからのシグナルを利用する。ベクターはプロモーターPL、オペレーターOLおよび2つの利用部位(NutLおよびNutR)を含み、N蛋白が供給される場合、転写極性効果を軽減する(Grossら、1985)。PLプロモーターを含むベクターはイー・コリ溶原性宿主に誘導され、プラスミドDNAを安定化させる。溶原性宿主株はゲノムを取り入れた複製欠損ラムダファージDNAを含む(Shatzmanら、1983)。染色体ラムダファージDNAは、ベクターのOLリプレッサーに結合しリプレッサー蛋白の合成を導き、RNAポリメラーゼがPLプロモーターに結合して、それにより挿入された遺伝子の転写を防止する。発現株AR58のcI遺伝子は、温度感受性変異体を含み、したがって、転写を指示されるPLは温度変化により制御することができ、すなわち、培養温度を増加させることによりリプレッサーを不活性化し、異質蛋白の合成が開始される。この発現系は、特に、細胞への毒性があり得るこれらの異質蛋白の制御された合成を可能にする(Shimataka & Rosenberg, 1981)。
【0054】
イー・コリ株AR58
蛋白D担体の産生に用いられるAR58溶原性イー・コリ株は、標準NIEイー・コリK12株N99(F- su- galK2、lacZ- thr-)の誘導体である。これは欠損溶原性ラムダファージ(galE::TN10、ラムダKil- cI857 ΔH1)を含む。Kil表現型は宿主マクロ分子合成の遮断を妨げる。cI857変異体は、温度感受性障害をcIリプレッサーに与える。ΔH1欠失は、ラムダファージライトオペロンおよび宿主バイオ、uvr3、およびchlA座を排除する。AR58株をSA500誘導体(galE::TN10、ラムダKil- cI857 ΔH1)でのP1ファージストック予備増殖で形質導入することにより生産した。欠損溶原のN99への導入は、近接したgalE遺伝子にテトラサイクリン耐性に関するTN10トランスポゾンコーディングの存在の効力によりテトラサイクリンで選択された。
【0055】
pMGMDPPrDベクターの構築
インフルエンザウイルス(pMGNSI)の非構造的S1蛋白をコードする遺伝子を含むpMG1ベクターをpMGMDPPrDを構築するために用いた。蛋白D遺伝子は、pHIC348ベクター(Jansonら、1991)から各々5’および3’末端でのNcoIおよびXbaI制限部位を含むPCRプライマーでPCRすることにより増幅させた。ついで、NcoI/XbaIフラグメントをNcoIとXbaIの間のpMGNS1に導入し、かくしてNS1蛋白のN末端の81個のアミノ酸ついでPD蛋白を含む融合蛋白を作成した。このベクターは標識pMGNS1PrDである。
【0056】
上記した構築物に基いて、蛋白D発現の最終的な構築物を生成した。BamHI/BamHIフラグメントをpMGNS1PrDから除去した。このDNA加水分解は、最初の3つのN末端残基意外のNS1コーディング領域を除去した。ベクターの再ライゲーションで、続くN末端アミノ酸配列で融合蛋白をコードする遺伝子を生成した:
-----MDP SSHSSNMANT-----
NS1 蛋白D
【0057】
蛋白Dは脂質鎖が正常に結合しているリーダーペプチドまたはN末端システインを含まない。したがって、該蛋白はペリプラズムに排泄されることも、脂質化されることもなく、可溶性形態の細胞質中に保持される。
最終構築物pMG−MDPPrDをAR58宿主株に、37℃で貯蔵物を加熱することより導入する。細菌を含むプラスミドをカナマイシンの存在下で選択した。蛋白DコーディングDNA挿入の存在が、単離されたプラスミドDNAを選択されたエンドヌクレアーゼで消化することにより示された。組換えイー・コリ株はECD4として称される。
蛋白Dの発現はラムダPプロモーター/Oオペレーターの制御下で行う。宿主株AR58は、温度感受性cI遺伝子を、Oに結合することによる低温度でのラムダPからの発現を遮断するゲノム中に含む。一旦温度を上げると、cIはOから放出され、蛋白Dが発現される。発酵の最後で、細胞を濃縮し、冷凍する。
【0058】
収穫した細胞からの抽出および蛋白Dの精製は以下のように行った。冷凍細胞培養ペレットを解凍し、細胞破壊溶液中(クエン酸緩衝液、pH6.0)に再懸濁させ、最終的なOD650=60とした。懸濁液をP=1000バールで高圧ホモジナイザーに2回通した。細胞培養ホモジネートを遠心分離により浄化し、細胞の破片を濾過により除去する。第1の精製工程において、濾過した溶解物をカチオン交換クロマトグラフィーカラム(SP Sepharose Fast Flow)に付す。PDをゲルマトリックスにイオン相互作用により結合させ、溶出緩衝液のイオン強度を増加させる工程により溶出する。
第2の精製工程において、不純物をアニオン交換マトリックス(Q Sepharose Fast Flow)に保持させる。PDはゲルに結合せず、通りぬけた液体中に回収することができる。
両方のカラムクロマトグラフィー工程において、フラクション回収物をODによりモニターする。アニオン交換カラムクロマトグラフィーの精製蛋白Dを含む通りぬけた液体を限外濾過により濃縮する。
限外濾過保有物を含む蛋白Dを最終的に0.2μmの膜に通す。
【0059】
化学:
活性化およびカップリング化学:
活性化およびカップリング化学は各々の多糖体に固有のものである。これらを表1に示す。天然の多糖体(PS3を除く)を2MのNaClまたは注射用水に溶解した。最適多糖体濃度をすべての血清型に関して評価した。
アセトニトリル中の100mg/mlの貯蔵物から、CDAP(CDAP/PS比0.75mg/mg PS)を多糖体溶液に加えた。1.5分後、0.2Mのトリエチルアミンを加え、特定の活性化pHを得た。多糖体の活性化は、このpHで2分間25℃で行った。蛋白D(質量は初期PS/PD比に依存する)を活性化多糖体に加え、カップリング反応を特定のpHで1時間行った。ついで、反応を、グリシンで30分間25℃および4℃で一晩でクエンチした。
結合物を2MのNaClで平衡化したSephacryl 500HRゲル濾過カラムを用いてゲル濾過により精製した。
溶出したフラクションの炭水化物および蛋白含有量を測定した。結合物をプールし、0.22μmの滅菌膜で滅菌濾過した。結合調製物のPS/蛋白比を測定した。
【0060】
特徴付け:
各々の結合物を特徴付け、表2に記載した詳細に対応させた。多糖体含有量(μg/ml)をResorcinol試験により、および蛋白含有量(μg/ml)をLowly試験により測定した。最終PS/PD比(w/w)を濃度の比により測定する。
【0061】
残余DMAP含有量(ng/ng PS):
多糖体のCDAPでの活性化は多糖体中のシアネート基を誘導し、DMAP(4−ジメチルアミノ−ピリジン)を遊離させる。残余DMAP含有量をSBで開発された特定のアッセイにより測定した。
【0062】
遊離多糖体含有量(%):
4℃に維持するか、または37℃で7日保存した結合物の遊離多糖体含有量を、α−PD抗体および飽和硫酸アンモニウムでインキュベートし、ついで遠心分離して得られた上清で測定した。
α−PS/α−PS ELISAを上清中の遊離多糖体の定量化に用いた。また、結合物の欠乏をα−PD/α−PS ELISAにより制御した。遊離多糖体の量を減少させて改善結合ワクチンを得る。
【0063】
抗原性:
同様の結合物における抗原性を、抗体の捕獲および検出が、各々α−PSおよびα−PDであるサンドイッチ型ELISAで分析した。
【0064】
遊離蛋白含有量(%):
「遊離」残余蛋白Dのレベルを試料のSDS処理が有る方法を用いて測定した。結合物を10分間100℃に、SDS0.1%の存在下加熱し、SEC−HPLCゲル濾過カラム(TSK 3000-PWXL)に注入した。蛋白Dは二量体であるので、SDSとの構築物を分離することによる「遊離」蛋白Dのレベルを過大評価する危険性がある。
【0065】
分子の大きさ(Kav):
分子の大きさはSEC−HPLCゲル濾過カラム(TSK 5000-PWXL)で測定した。
【0066】
安定性:
安定性を4℃に維持した結合物および37℃で7日間貯蔵した結合物に関してHPLC−SECゲル濾過(TSK 6000-PWXL)で測定した。
11価特徴付けを表2に示す。
蛋白結合物をリン酸アルミニウムに吸着させ、プールして最終ワクチンを形成できる。
【0067】
結論:
免疫原性結合物は生産せ、有望なワクチンの成分であることが示されている。最良の性質の最終結合肺炎球菌多糖体生成物に関する最適化CDAP条件が11のワクチンの各々に関して見出された。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
実施例2−本発明の1またはそれ以上の肺炎球菌蛋白+/−3D−MPLの添加の、マウスでの肺炎球菌肺コロニー形成に対するPD−接合した11−価の多糖体ワクチンの防御的効能における有益な効果
【0072】
免疫学的表示
肺炎球菌特異的血清IgGのエライザ投与量
Maxisorp Nuncイムノプレートを、37℃で2時間、PBSで希釈した2μg/mlの蛋白で、100μl/ウェルにてコーティングする。プレートをNaCl(0.9%)ツィーン−20(0.05%)バッファーで3回洗浄する。ついで、標準曲線物として加えられた抗−蛋白血清対照(670ng/mlのIgGで開始する)および血清サンプル(1/10の希釈度で開始する)の連続的な二倍希釈体(PBS/ツィーン−20(0.05%)中、ウェル当たり100μl)を攪拌しながら20℃で30分間インキュベートする。上記したように洗浄した後、PBS/ツィーン−20(0.05%)中5000倍に希釈したペルオキシダーゼ接合ヤギ抗−マウスIgG(Jackson)を攪拌しながら20℃で30分間インキュベート(100μl/ウェル)する。洗浄後、プレートを室温で100μl/ウェルのレベレーション(revelation)バッファー(100mMのクエン酸バッファー(pH4.5)中のOPDA 0.4mg/mlおよびH2O2 0.05%)と一緒にインキュベートする。50μl/ウェルの1N塩酸を添加することでレベレーションを止める。光学濃度をEmaxイムノリーダー(Molecular Devices)を用いて490および620nmで読み取る。抗体力価をSoftMaxProソフトウェアを用いる4変数の数学的方法により算定する。
【0073】
オプソニン食菌作用アッセイ
このアッセイの目的は、CDCの公開されている標準的方法に適合する方法(Steinerら、Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology 4:415、1997)を用いて、試験血清サンプルの、ストレプトコッカス・ニュモニエ血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fまたは23Fに拮抗するオプソニンの作用能を再現的に測定することである。
このアッセイは侵入するストレプトコッカス・ニュモニエまたはニュモコッカスを排除する第一機構としてインビボにて起ることをインビトロにて再現する。それはニュモコッカスをオプソニン化し、つづいて食作用に付し、ついで殺菌するものである。「食作用」とは細胞が物質を飲み込み、細胞質にある小胞(ファゴソーム)中にそれを取り囲む過程である。肺炎球菌は健康な哺乳動物の食細胞によって食菌されると、当該細菌は死滅する。「オプソニン化」とは、オプソニン、例えば、抗体および補体を抗原上に堆積させることにより食作用が促進される過程である。
【0074】
文献にて報告されている多数のオプソニン食菌作用アッセイがある。CDCの標準的方法はマルチ−ラブセッティングにて試験される(Steinerら、ICAAC、トロント、2000年9月16日−20日)。この後者のアッセイはSBで適合された。というのも、他の実験室にて比較するための基礎を提供し、それは一般に入手可能な試薬および対照を用い、生存肺炎球菌の50%の死滅を促進する能力のある血清の力価(希釈度)、この型のアッセイに一般に使用される単位としての結果を表すからである。実際、その使用されたアッセイが4ヵ所の別の実験室で十分によく対応する結果を形成しうることが明らかにされた(Steinerら、ICAAC、トロント、2000年9月16日−20日)。
【0075】
このアッセイで使用される食作用細胞はHL60細胞系であり、それは前骨髄球性白血病の個体から由来するものであり、Collinsらにより、1977年(Nature 270:347−9)にて連続する細胞系として確立された。この細胞系は、未分化の造血細胞、すなわち、85%の芽細胞および前骨髄球、6%の骨髄球および9%の分化細胞からなる。極性化合物は該細胞の分化を少なくとも2つの異なる系統で誘発させることができる。N,N−ジメチルホルムアミドは顆粒細胞の分化を誘発し、多形核様細胞(44%の骨髄球およびメタ骨髄球ならびに53%バンドおよびセグメントのPMN)を生成する。
該アッセイにおけるバージョンA2において、試験すべき血清を熱不活化し、1/4で開始して連続的2倍希釈を8回、96−ウェルマイクロプレートのHBSS培地(0.3%BSAを含有する)にて行った。各ウェルにおける希釈された血清の最終容量は25μlである。
【0076】
10個の細胞/mlの4容量のHL60細胞(ジメチルホルムアミドで分化した5または6日後)、2容量のエス・ニュモニエ菌(適当な希釈度)および1容量の新生児ウサギの補体を使用直前に混合し、その25μlの混合物を96−ウェルのマイクロプレートの希釈血清を含有する各ウェルに加える。血清型1および6Bでは、補体の量を最終濃度12.5%にまで上げ、該アッセイのバージョンA3を得る。
軌道振盪の下、37℃で2時間インキュベーションした後、プレートを氷上に置き、オプソニン食菌反応を停止させる。
【0077】
37℃で一夜インキュベートすることで、各ウェルにおけるコロニー形成単位(CFU)を評価する。「オプソニン力価」(OT)をウェル中のエス・ニュモニエ菌の数を少なくとも50%まで減少させることができる血清の相互希釈度(reciprocal dilution)として(すなわち、50%死菌)として定義する。
%死菌=(対照ウェルの平均CFU−サンプルのCFU)/対照ウェルの平均CFU
x100
【0078】
OF1マウスにおける肺炎球菌鼻腔内攻撃
7週齢の雌のOF1マウスに、麻酔状態の下、5x10個のCFUのマウス適合エス・ニュモニエ血清型2、4または6Bを鼻腔内に接種する。肺を攻撃の6時間後に摘出し、Todd Hewith Broth(THB、Gibco)培地にて均質化する。肺ホモジネートの連続した10倍希釈体を、酵母抽出物補足THB寒天上、37℃で一夜平板培養する。肺炎球菌肺感染を、対数加重平均値として表される、CFU/マウスの数として測定する。
【0079】
実施例2A 3D−MPLアジュバントの抗蛋白免疫反応についての効果
この実施例において、本発明者らは3D−MPLアジュバント処理の本発明の蛋白に対する免疫応答の効果を評価することができる。
一群10匹の雌の6週齢のBalb/cマウスを、A:AIPO4 100μg;またはB:AIPO4 100μg+5μg 3D−MPL(3デ−O−アシル化モノホスホリル脂質A、Ribi Immunochemから購入)のいずれかを含有する1μgの蛋白で0、14および21日目に筋肉内に免疫処理する。エライザIgGをポスト−III血清にて測定する。
いずれの抗原であっても、3D−MPLを補足した処方でワクチン処理した動物にて最良の免疫応答が誘発されることがわかる。
【0080】
実施例2B 本発明の蛋白+/−3D−MPLアジュバントを添加した、血清型2、4または6Bで鼻腔内攻撃したOF1マウスにおける肺炎球菌肺コロニー形成に対するPD−接合の11−価の多糖体ワクチンの防御作用に対する有利な効果
この実施例において、本発明者らは、古典的なAIPO4吸着の11−価の多糖体−蛋白D接合体処方と比べて、11−価の多糖体−蛋白D接合体、本発明の蛋白およびAIPO4+3D−MPLアジュバントを含有するワクチンの予防的効能を評価することができる。
一群12匹の雌の4週齢のOF1マウスを、A:50μgのAIPO4;B:0.1μgのPS/PD−接合した11−価の多糖体ワクチンの血清型+50μgのAIPO4;またはC:0.1μgのPS/PD−接合した11−価の多糖体ワクチンの血清型+10μgの本発明の蛋白+50μgのAIPO4+5μgの3D−MPL(Ribi Immunochemから購入)を含有する処方で0および14日目に皮下的に免疫処理する。攻撃を上記したように21日目に行う。
この方法から判るように、本発明の蛋白を補足し、AIPO4+MPLでアジュバント処理した11−価の多糖体接合体ワクチンで有意な防御が得られる。反対に、11−価の多糖体接合体/AIPO4処方で免疫処理した動物では有意な防御は観察されない。この結果により、本発明の蛋白および3D−MPLアジュバントの添加が11−価の多糖体接合体ワクチンの肺炎に対する効力を亢進することを明らかにすることができる。
【0081】
実施例2C 実施例2Bに示される防御の免疫相関性
本発明の蛋白および3D−MPLを補足した11−価の多糖体接合体ワクチンによる、実施例2Bで得られた防御の免疫相関性を確立するために、上記したように、多糖体2、4または6Bおよび本発明の蛋白に対する攻撃前の血清抗体反応を測定することができる。
ついで、抗体力価を、攻撃の6時間後に集めた対応する動物の肺で測定された細菌性コロニーの数と比較する。Log/Logの直線回帰上でRを算定する。
算定されたRから、体液性免疫応答と両抗原の防御との間に相関関係のないことが判る。抗−6B(あるいは2または4)抗体価は、11−価の接合体ワクチンで、あるいは本発明の蛋白および3D−MPLを補足した同じワクチンで免疫処理した群にてあまり違わない。したがって、処方Cで認められる防御の改善は、多糖体6B(あるいは2または4)に対するより高い抗体力価によるだけではない。
総合すれば、これらの結果は、防御が体液性免疫応答だけで媒介されるものではなく、むしろ蛋白抗原(好ましくは3−MPLの存在下で)誘発される細胞介在免疫性によっても媒介されることを示唆しうる。このことは、免疫系の両腕が協調して最適な防御を得るのに、肺炎球菌多糖体接合体ワクチンに蛋白抗原(複数でも可)および強力なアジュバントを添加することにさらなる支持を与えることができる。
【0082】
実施例3−本発明の蛋白で能動的に免疫処理され、肺炎球菌PSに対する抗体で受動的に免疫処理されたマウスにおける免疫系の両腕の協調
実施例3A−肺炎に拮抗して保護する受動的に投与される抗−6B−多糖体(抗−PS)の濃度の測定
方法
ワクチン群:一群16匹の4群のマウスを−1日目に以下に詳説した群に従って希釈されていないラット抗−多糖体抗血清(100μl)で受動的免疫処理(i.p.)に付した(合計64匹のマウス)。
【0083】
【表4】

【0084】
動物:カナダ、Charles Riverから由来の64匹の雄のCD−1マウスであり、体重は約35g(約10週齢)である。
麻酔状態:イソフルラン(3%)+O2(1L/分)でマウスを麻酔に付した。
生物:エス・ニュモニエN1387(血清型6)を5%ウマ血を補足したトリプチケース大豆寒天(TSA)プレートから収穫し、6mlのPBSに懸濁させた。感染の直前に1mlの細菌懸濁液を9mlの冷却した融解滋養寒天(BBL)中に希釈し、41℃で保持した。マウスに50μlの容量にて約6.0対数10cfu/マウスを投与した。
感染:0日目に、マウスを上記したように麻酔処理に付し、手術を伴わない気管内挿管を介する気管支内注入によりエス・ニュモニエN1387(50μlの冷却細菌懸濁液)に感染させた。この方法はWooduntおよびBerryによって記載されている(Antimicrob. Ag. Chemotherap. 43:29(1999))。
サンプル:感染の3日目に、8匹のマウス/群をCO2を過剰に摂取させて殺し、肺を摘出して1mlのPBSにホモジネートさせた。PBSの10倍連続希釈体を調製し、生存している細菌の数を数えた。サンプルを5%ウマ血を補足したTSAプレート上に3通りにて播種(20μl)し、37℃で一夜インキュベートし、評価した。さらに一連のマウスを7日目に殺し、上記したようにサンプリングした。
【0085】
結果:
【表5】

括弧内の数字はサンプリング時間の前に死んだ動物の数である。
【0086】
結論:一般に、いずれかの処理群より単離した細菌数には有意な違いはない。これは測定可能な防御が5μg/mlを含むそれまでの濃度の抗−多糖体抗体で得られなかったことを示す。
これは数人のヒト臨床実験で観察されたことと類似しており、すなわち、抗−多糖体抗体はある集団におけるニュモコッカス肺炎に対する保護を付与するのに十分ではない。
【0087】
実施例3B−本発明の蛋白をアジュバントと共にまたは無しで能動的に投与することにより得られる肺炎からの防御、および最適下限の抗−PS抗体との相乗作用の測定
方法
動物:カナダ、ケベック州、セント・コンスタント、Charles Riverからの128匹の雄のCD−1マウス(免疫処理の際に6週齢で、感染の際に10週齢である)であり、体重は6週で約20gであり、10週で約38gであった。
免疫処理:一群16匹のマウス6群を、−22日目および−14日目に、以下に詳説する100μlのワクチンで皮下注射して免疫処理する。(合計128匹のマウス)。3D−MPLをRibi/Corixaから入手する。
−1日目に、特定の群(以下の表を参照のこと)を4.26μg/ml(4mlの5μg/ml+1.3mlの2μg/ml)の濃度のマウス抗−多糖体抗体で受動的に免疫処理(i.p.100μl)する。
【0088】
【表6】

【0089】
感染: 0日目に、マウスを上記したように麻酔処理(3%イソフルラン+1L/分のO)に付す。エス・ニュモニエN1387(血清型6)の培養体を5%ウマ血を補足したトリプチケース大豆寒天(TSA)プレートから収穫し、6mlのPBSに懸濁させることにより細菌接種体を調製する。感染直前に、冷却した溶融滋養寒天(41℃に保持)にて10倍希釈体(1ml+9ml)を調製する。マウスを気管内挿管を介する気管支内注入により感染させ、50μlの容量にて約6.0対数10cfu/マウスを投与する。この方法はWooduntおよびBerryによって記載されている(Antimicrob. Ag. Chemotherap. 43:29(1999))。
サンプル:感染後72時間で、8匹のマウス/群をCOを過剰に摂取させて殺し、肺を摘出して1mlのPBSにホモジネートさせた。PBSの10倍連続希釈体を調製し、生存している細菌の数を数えた。サンプルを5%ウマ血を補足したTSAプレート上に3通りにて播種(20μl)し、37℃で一夜インキュベートし、評価した。さらに一連のマウスを8日目に殺し、上記したようにサンプリングした。
【0090】
データ分析
治療効果を比較するための指標が感染した3および7日目に肺に存在する細菌の数である。結果を平均値と標準偏差として表すことができる。統計学的分析はスチューデントt−試験(P値が<0.05で有意であると考えられる)を用いて行うことができる。
上記したように、抗−多糖体抗体単独(群1−5)では肺における肺炎球菌の増殖に対する防御を付与できないことがわかる。AlPO4でアジュバント処理した肺炎球菌蛋白(群1−1)は保護を与えることができないが、蛋白を3D−MPLと組み合わせた場合(群1−2)ではその効果はよくなるであろう。
最も有意な防御が抗−多糖体抗体と蛋白の両方の群で、特に3つのすべての要素、蛋白、3D−MPLおよび受動的に投与された抗−多糖体抗体を有する群(群1−4)で認められる。この結論はまた、死亡率でも支持され得る。群1−3、特に1−4は他の群と比べて死亡率が低いであろう。
【0091】
結論:受動的に免疫処理した動物を用いて実験するため、さらに蛋白(+/−MPL)を用いて能動的に免疫処理することによる相乗作用は、多糖体抗原に対する抗体のレベルの増加によるものとすることができない。
肺炎球菌肺炎に対する有意な防御が、蛋白と受動的投与した抗−多糖体抗体の両方で免疫処理した群で観察され、特に3D−MPLも存在する場合に、この組み合わせが相乗作用を示すことがわかる。
抗−多糖体免疫処理を(好ましくは、多糖体との接合体を用いて)能動的に行うならば、この効果は、B−細胞記憶の効果として、さらに著しくなるであろうし、実験全体を通して抗−PS抗体の定常レベルが免疫反応協調に寄与するであろう。
【0092】
実施例4−防御の相互作用による相乗効果の測定方法
人体が感染性肺炎球菌を排除するのに用いる原理機構は抗体介在のオプソニン食菌作用である(Bruynら、Clin. Infect. Dis. 14:251(1992))。防御との相関関数として莢膜多糖体に対する抗体濃度を測定するための、数種のエライザ法が開発されており、インビトロでのオプソニン食菌作用アッセイが防御とより相関していることが明らかとなった(Musherら、J. Infect. Dis. 182:158(2000))。
本発明の肺炎球菌蛋白は、抗体介在のオプソニン食菌作用とは異なる機構により肺炎球菌感染に対する防御を提供する。実施例2において、接合体および蛋白の両方での能動的免疫処理が、抗体濃度が両方の群で同じであるため、その違いで説明できない、相乗効果を示し得る。すなわち、観察され得る残りの防御作用は相乗作用に由来するものでなければならない。同様に、抗体が能動的に投与されているため、実施例3において同じ結論に到達することができる。
【0093】
多くの場合において、本発明の肺炎球菌蛋白は表面に結合し、それ自体がオプソニン活性を提供すると考えられる。この場合、オプソニン活性の他の防御の相乗的機構に対する相対的寄与を評価するのに用いることができる、抗−肺炎球菌蛋白のオプソニン作用能を定量的に測定することで防御機構を区別することが可能である。
マウス肺コロニー形成モデルにおいて、各ワクチンの相対的保護を細菌の肺からのクリアランスで評価することができる。あるいは別法として、ワクチンの効力を、ワクチンで一般に測定される、症状率から評価することもできる。
%防御=(CFU/対照となる肺−CFU/ワクチン処理した肺)/(CFU/対照となる肺)
%効力=(対照となる症状−ワクチン処理した症状)/(対照となる症状)
相乗作用に由来する防御または効力の部分を測定するために、オプソニン力価の割合に基づき、効力の部分と考えられる部分を決定することが問題である。
【0094】
上記した実施例3において、蛋白または抗−多糖体単独ではそれ自体大きな防御を提供できないため、組み合わせたことによる%防御は、蛋白/抗体成分の間の相乗作用によるものである。
オプソニンの相対活性に基づいて、相乗作用の防御の量を評価することが可能である。抗−莢膜多糖体抗体により得られるオプソニン活性がXであり、抗−肺炎球菌蛋白抗体により得られるオプソニン活性がYであるとしたならば、オプソニン活性の合計はX+Yであることがわかり、蛋白のオプソニン活性の相対的部分はY/X+Yである。これをワクチンの相対的防御効力(ワクチンの抗−多糖体部分がA%の防御効力を提供し、ワクチンの多糖体+蛋白の防御効力がB%である)と比較する。そして、オプソニン活性により説明することができない付加的な効力を残りの防御活性(相乗作用)=B%−A%−B%*(Y/X+Y)として評価する。
この実施例は相乗効果を評価するための方法を限定するものではない。防御との他の相関関係が同定されれば、この相乗作用を評価するのにその相関性を用いることができる。
【0095】
本明細書に引用されている、特許および特許出願(これらの限定されない)を含め、すべての刊行物は、たとえ、個々の刊行物が、その内容を十分に開示している場合に、出典を明示することにより明細書の一部とすることを、具体的かつ個別的に意図するものであったとしても、その出典を明示することにより本明細書の一部とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原と、PhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択される少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗原またはその免疫学的機能等価物とを含んで成る免疫原性組成物。
【請求項2】
多糖体抗原が多糖体蛋白担体接合物の形態で提供される請求項1記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
担体蛋白がジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、CRM197、キーホール・リンペットヘモシアニン(KLH)、ツベルクリンの蛋白誘導体およびH.インフルエンザ由来の蛋白Dから成る群から選択される請求項2記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
ワクチンが少なくとも4つの別の血清型由来の肺炎球菌多糖体抗原を含む請求項1〜3いずれか1項記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
さらにアジュバントを含む前記請求項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
アジュバントがアルミニウム塩を含む請求項5記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
アジュバントがTH1応答の優先的誘導物質である請求項5記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
アジュバントが少なくとも1つの3D−MPL、サポニン免疫活性化剤または免疫活性化CpGオリゴヌクレオチドを含む請求項7記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
アジュバントが水中油型エマルジョン、リポソームおよびアルミニウム塩から成る群から選択される担体を含む請求項8記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
医薬として用いる前記請求項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
請求項1〜9の免疫原性組成物を含んで成るワクチン。
【請求項12】
55歳を超える患者におけるストレプトコッカス・ニューモニエ感染症の防止または改善方法であって、有効量の、ストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択される少なくとも1つのストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白、および任意にTH1誘発アジュバントを含むワクチンを投与することを特徴とする方法。
【請求項13】
55歳を超える患者における肺炎の予防または治療のための医薬の製造における、肺炎球菌多糖体抗原のPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択されるストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗原、および任意のTH1誘発アジュバントとの組み合わせにおける使用。
【請求項14】
幼児または小児の中耳炎の予防または治療のための医薬の製造における、肺炎球菌多糖体抗原のPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択されるストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗原、および任意のTH1誘発アジュバントとの組み合わせにおける使用。
【請求項15】
1つまたはそれ以上の肺炎球菌多糖体抗原(複数でも可)を選択する工程;
1つまたはそれ以上のPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択されるストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白を選択する工程;および
上記多糖体および蛋白抗原を適当な賦形剤と混合する工程;
を含む前記請求項記載の免疫原性組成物の製造方法。
【請求項16】
幼児における中耳炎の防止または改善方法であって、安全かつ有効な量の、ストレプトコッカス・ニューモニエ多糖体抗原およびPhtA、PhtD、PhtB、PhtE、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、Sp130およびSp133から成る群から選択されるストレプトコッカス・ニューモニエ蛋白抗体と、任意にTH1アジュバントと共に含むワクチンを幼児に投与することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2012−6969(P2012−6969A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−198277(P2011−198277)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【分割の表示】特願2002−526416(P2002−526416)の分割
【原出願日】平成13年9月12日(2001.9.12)
【出願人】(595136380)グラクソスミスクライン・バイオロジカルス・ソシエテ・アノニム (10)
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE BIOLOGICALS S.A.
【Fターム(参考)】