説明

ワークの搬送装置

【課題】搬送装置によって形成される搬送経路と作業者の移動経路とを交差可能にし、搬送装置の設置自由度を向上させる。
【解決手段】ワークの搬送装置は、基台30と、ワークを載置するテーブル34と、基台30に揺動自在に支持される傾斜フレーム31と、傾斜フレーム31にスライド自在に係合し、テーブル34を支持するスライドフレーム32、33と、傾斜フレーム31に外力を加えて基台30に対する傾斜フレーム31の傾斜角度を変更するフレーム傾斜角度変更手段(例えば、伸縮シリンダ36)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ラインにおいて部品、半製品等を次工程に搬送する搬送装置には、コンベアやガイドレールが広く利用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−255319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような搬送装置は、基本的に、搬送装置によって形成される搬送経路と作業者の移動経路とを交差しないように設ける必要があり、搬送装置の設置自由度が低い。
【0005】
搬送経路と作業者の移動経路とを交差させざるを得ない場合は、搬送装置の途中を跳ね上げ式にして作業者の移動経路を確保したり、搬送装置を跨ぐための昇降階段を設けたりする必要があり、製造ラインの設置コストを増大させる原因となる。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、搬送装置によって形成される搬送経路と作業者の移動経路と交差可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、ワークの搬送装置であって、基台と、前記ワークを載置するテーブルと、前記基台に揺動自在に支持される傾斜フレームと、前記傾斜フレームにスライド自在に係合し、前記テーブルを支持するスライドフレームと、前記傾斜フレームに外力を加えて前記基台に対する前記傾斜フレームの傾斜角度を変更するフレーム傾斜角度変更手段と、を備えたことを特徴とするワークの搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、傾斜フレームの傾斜に応じてスライドフレームが伸張・後退し、搬送経路が形成される空間を搬送装置が常時占有することがないので、搬送経路と交差する作業者の移動経路を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るワークの搬送装置を備えた製造ラインの平面図である。
【図2A】回収側パレット搬送装置の平面図である。
【図2B】回収側パレット搬送装置の正面図である。
【図3】回収側パレット搬送装置の動作を説明するための図である。
【図4】供給側パレット搬送装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るワークの搬送装置を備えた製造ライン100の平面図である。まず、これを参照しながら製造ライン100の全体構成について説明する。
【0012】
製造ライン100は、マーシャリングライン10と、メイン組み立てライン20と、回収側パレット搬送装置30Aと、供給側パレット搬送装置30Bと、を備える。本実施形態において搬送対象となるワークは、回収側パレット搬送装置30Aにおいては空のパレット60、供給側パレット搬送装置30Bにおいては複数の部品が載置されたパレット60である。
【0013】
マーシャリングライン10は、完成品の組み立てに必要な複数の部品を空のパレット60に載置する準備ラインである。マーシャリングライン10の脇には複数の部品箱50が配置され、部品箱50には完成品の組み立てに必要な複数の部品がそれぞれ複数個ストックされている。メイン組み立てライン20は、パレット60に載置された複数の部品を組み立てて完成品(最終的な製品だけでなく、半製品であってもよい。)にする組み立てラインである。回収側パレット搬送装置30Aは、載置された部品の組み立てが終了して空になったパレット60をマーシャリングライン10に搬送する搬送装置である。供給側パレット搬送装置30Bは、マーシャリングライン10で複数の部品が載置されたパレット60をメイン組み立てライン20に搬送する搬送装置である。
【0014】
回収側パレット搬送装置30A及び供給側パレット搬送装置30Bは、いずれも伸縮自在なフレームアセンブリ35を有し、フレームアセンブリ35の動きを利用してテーブル34に載置されたワークを搬送する。
【0015】
この製造ライン100では、マーシャリングライン10と、メイン組み立てライン20と、回収側パレット搬送装置30Aと、供給側パレット搬送装置30Bとによって囲まれたスペースに作業者A〜Cが配置される。
【0016】
作業者A〜Cの作業内容は次の通りである。
【0017】
作業者Aは、マーシャリングライン10を流れるパレット60上にメイン組み立てライン20で必要となる部品を部品箱50から取り出し、取り出した複数の部品をパレット60の所定の位置に載置する。
【0018】
作業者Bは、複数の部品が載置されたパレット60を供給側パレット搬送装置30Bから受け取ってメイン組み立てライン20に移し、パレット60に載置された複数の部品を組み立てる。
【0019】
作業者Cは、パレット60に載置された複数の部品の最終組み立てを行って完成品にし、図示しない次工程に完成品を払い出すとともに、空になったパレット60をメイン組み立てライン20から回収して回収側パレット搬送装置30Aのテーブル34に載置する。
【0020】
次に、回収側パレット搬送装置30A及び供給側パレット搬送装置30Bの細部構成について説明する。回収側パレット搬送装置30Aと供給側パレット搬送装置30Bとは略同じ構成なので、ここでは回収側パレット搬送装置30Aについて説明し、回収側パレット搬送装置30Aと供給側パレット搬送装置30Bとの相違については、後述の供給側パレット搬送装置30Bの動作説明において補足する。
【0021】
図2Aは、回収側パレット搬送装置30Aの平面図、図2Bは回収側パレット搬送装置30Aの正面図である。
【0022】
回収側パレット搬送装置30Aは、基台30と、テーブル34と、フレームアセンブリ35と、伸縮シリンダ36と、ショックアブソーバ37と、ロータリダンパ38とを備える。
【0023】
フレームアセンブリ35は、傾斜フレーム31、第1スライドフレーム32及び第2スライドフレーム33からなる伸縮梯子状の構造を有している。傾斜フレーム31の長手方向に延びる2本の平行な部材は内側が開いた断面コの字状の部材であり、この内側に第1スライドフレーム32がスライド自在に係合している。同様に、第1スライドフレーム32の長手方向に延びる2本の平行な部材は内側が開いた断面コの字状の部材であり、この内側に第2スライドフレーム33がスライド自在に係合している。
【0024】
傾斜フレーム31の端部は、連結部材を介して基台30に軸支されている。傾斜フレーム31は、連結部材に挿通される軸31sを中心として自由に揺動することができ、揺動することによって基台30に対して傾斜することができる。
【0025】
スライドフレーム32、33の伸張・後退は、傾斜フレーム31の傾斜角度を変更することによって行われる。
【0026】
すなわち、搬送方向側が上になるように傾斜フレーム31を傾斜させると、スライドフレーム32、33を傾斜フレーム31から伸張させることができる。逆に、搬送方向側が下になるように傾斜フレーム31を傾斜させると、スライドフレーム32、33を傾斜フレーム31内に後退させることができる。伸張・後退いずれも、スライドフレーム32、33及びテーブル34の重さ(テーブル34にパレット60等が載置されている時はそれらの重さを加えたもの)を利用して行われる。スライドフレーム32、33が伸張・後退すると、これに合わせて第2スライドフレーム33に連結されるテーブル34も移動し、これによってテーブル34に載置されたワークを搬送する。
【0027】
なお、各フレームには図示しないストッパが設けられており、スライドフレーム32、33が最伸張位置、最後退位置まで移動した時にスライドフレーム32、33が停止するようになっている。
【0028】
テーブル34は、パレット60を載置するためのテーブルである。テーブル34上面にはローラコンベア70が設けられている。ローラコンベア70は、搬送方向に対して直角方向に延び、パレット60をマーシャリングライン10に払い出すために用いられる。また、テーブル34は、連結部材を介して端部が第2スライドフレーム33に軸支されている。テーブル34は、テーブル34の端部に挿通される軸34sを中心として自由に揺動することができ、揺動することによって第2スライドフレーム33に対して傾斜することができる。
【0029】
傾斜フレーム31の両側にはガイド40が取り付けられている。ガイド40は、搬送方向側がせり上がった傾斜面を有する。スライドフレーム32、33が傾斜フレーム31内に後退するときに、テーブル34がピン34pを介してこのガイド40の傾斜面に接触し、第2スライドフレーム33に対して傾斜する。これにより、スライドフレーム32、33が最後退位置まで後退した状態では、テーブル34が水平になる。なお、この例ではピン34pを介してテーブル34がガイド40に接触するが、テーブル34が直接ガイド40に接触する構成であってもよい。
【0030】
ショックアブソーバ37は、傾斜フレーム31の端部、かつ、第1スライドフレーム32の長手方向に延びる部材の延長線上に設けられている。ショックアブソーバ37は、スライドフレーム32、33が傾斜フレーム31内に後退するときに第1スライドフレーム32の端部に接触し、スライドフレーム32、33が最後退位置まで後退して停止する時に発生する振動、騒音が抑えられる。
【0031】
ロータリダンパ38は、基台30に取り付けられている。ロータリダンパ38は、ピニオン38pと、ピニオン38pを軸支する本体38bと、本体38bに封入されるオイルの粘性抵抗等を利用してピニオン38pの回転軸に抵抗を加え、その回転を制動する制動機構と、で構成される。また、第1スライドフレーム32には、これに対応して、スライド方向に延びるラック32rが取り付けられている。
【0032】
スライドフレーム32、33が傾斜フレーム31から伸張し、伸張量が最大伸張量に近づくと、伸張量が最大伸張量になる手前でロータリダンパ38のピニオン38pが第1スライドフレーム32に取り付けられたラック32rに係合する。この状態から第1スライドフレーム32がさらに伸張しようとすると、ロータリダンパ38による制動力がピニオン38pを介してラック32rに伝達され、第1スライドフレーム32の伸張速度が減少する。これにより、スライドフレーム32、33が最伸張位置まで伸張して停止する時に発生する振動、騒音が抑えられる。
【0033】
伸縮シリンダ36は、シリンダと、シリンダ内にスライド自在に収装されたピストンと、ピストンから延出するロッドとで構成されるエアシリンダである。伸縮シリンダ36はロッドを上に向けた状態で配置され、シリンダが基台30に固定されている。ロッドの先端は傾斜フレーム31の長手方向に延びる2本の平行な部材の中央を連結する部材31cに接触しているだけで、傾斜フレーム31には連結されていない。伸縮シリンダ36は、ピストンとシリンダとの間に画成される気室へのエアの供給状態を切り換えることによってロッドを伸縮させることができ、伸張時はロッドが部材31cを押し上げ、収縮時は部材31がロッドに追従して下降し、これによって基台30に対する傾斜フレーム31の傾斜角度を変更することができる。
【0034】
伸縮シリンダ36のエアの給排は、テーブル34に取り付けられているプッシュスイッチ41の状態、及び、マーシャリングライン10の入口に取り付けられている接触式又は非接触式のパレット通過検出センサ42(図1参照)の状態に応じて切り換えられる。プッシュスイッチ41がONになると、図示しないコンプレッサによって圧縮されたエアが伸縮シリンダ36に供給される。パレット通過検出センサ42がONになると、伸縮シリンダ36内のエアが排出される。
【0035】
続いて、回収側パレット搬送装置30A及び供給側パレット搬送装置30Bの動作について説明する。
【0036】
図3は回収側パレット搬送装置30Aの動作を示している。
【0037】
回収側パレット搬送装置30Aは、以下の(a)〜(e)の状態を繰り返すことで、メイン組み立てライン20からマーシャリングライン10へとパレット60を搬送する。以下、各状態について説明する。
【0038】
(a):伸縮シリンダ36のエアが排出され伸縮シリンダ36が収縮している。搬送方向側が下になるように傾斜フレーム31が傾斜しているので、スライドフレーム32、33及びテーブル34の重さによってスライドフレーム32、33が傾斜フレーム31から伸張する。
【0039】
スライドフレーム32、33の伸張量が最大伸張量に近づくと、ロータリダンパ38が第1スライドフレーム32に作用し、第1スライドフレーム32の伸張速度を減少させる。これにより、スライドフレーム32、33が最伸張位置まで伸張して停止する時に発生する振動、騒音が抑えられる。
【0040】
スライドフレーム32、33の伸張量が最大伸張量になったら作業者Cがテーブル34に空のパレット60を載置する。すなわち、この時のテーブル34の位置がワーク搬入位置である。
【0041】
(b):作業者Cがプッシュスイッチ41をONにする。これにより、伸縮シリンダ36にエアが供給され、伸縮シリンダ36が伸張する。これにより、傾斜フレーム31は、搬送方向側が下になるように傾斜する。
【0042】
(c):スライドフレーム32、33、テーブル34及びパレット60の重さによってスライドフレーム32、33が傾斜フレーム31内に後退する。これにより、パレット60が傾斜フレーム31上まで搬送される。
【0043】
スライドフレーム32、33が最後退位置まで後退すると、第1スライドフレーム32の端部がショックアブソーバ37に接触し、スライドフレーム32、33が停止する時に発生する振動、騒音が抑えられる。また、テーブル34がピン34pを介してガイド40に接触することで水平になる。
【0044】
(d):テーブル34に載置されたパレット60がマーシャリングライン10に払い出される。すなわち、この時のテーブル34の位置が、ワーク退出位置である。
【0045】
(e):パレット60がマーシャリングライン10に払い出されたことがパレット通過検出センサ42(図1参照)によって検出され、パレット通過検出センサ42がONになると、伸縮シリンダ36のエアが排出され、伸縮シリンダ36が収縮し、搬送方向側が上になるように傾斜フレーム31が傾斜する。これにより、回収側パレット搬送装置30Aは(a)の状態に復帰する。
【0046】
図4は、供給側パレット搬送装置30Bの動作を示している。
【0047】
供給側パレット搬送装置30Bは、以下の(a)〜(e)の状態を繰り返すことで、マーシャリングライン10からメイン組み立てライン20へと複数の部品を載置したパレット60を搬送する。以下、各状態について説明する。
【0048】
(a):伸縮シリンダ36にエアが供給され伸縮シリンダ36が伸張している。傾斜フレーム31は、搬送方向側が上になるように傾斜し、テーブル34には複数の部品を載置したパレット60が載置される。
【0049】
(b):作業者Bがプッシュスイッチ43をONにすると、伸縮シリンダ36のエアが排出され、伸縮シリンダ36が収縮し、搬送方向側が下になるように傾斜フレーム31が傾斜する。
【0050】
(c):スライドフレーム32、33、テーブル34、パレット60及びパレット60に載置された複数の部品の重さによってスライドフレーム32、33が傾斜フレーム31から伸張する。これにより、複数の部品が載置されたパレット60がメイン組み立てライン20近くまで搬送される。
【0051】
スライドフレーム32、33の伸張量が最大伸張量に近づくと、ロータリダンパ38が第1スライドフレーム32に作用して第1スライドフレーム32の伸張速度を減少させる。これにより、スライドフレーム32、33が最伸張位置まで伸張して停止する時に発生する振動、騒音が抑えられる。
【0052】
スライドフレーム32、33が最伸張位置まで伸張すると、第2スライドフレーム33の端部がプッシュスイッチ44に接触してプッシュスイッチ44がONになり、伸縮シリンダ36へのエアの供給が開始される。但し、パレット60がテーブル34に載置されている間は、パレット60及びその上に載置されている複数の部品の重さにより傾斜フレーム31は搬送方向側が下になった状態を維持する。
【0053】
また、供給側パレット搬送装置30Bは、第2スライドフレーム33から上に向けて突出する受け部33rを備えている。テーブル34は、テーブル34の中央に挿通される軸34sを中心として揺動し、受け部33rがテーブル34の下面に接触することで水平になる。
【0054】
(d)作業者Bがテーブル34から複数の部品が載置されたパレット60をメイン組み立てライン20に移送する。すなわち、この時のテーブル34の位置がワーク退出位置である。パレット60がメイン組み立てライン20に移送されると、傾斜フレーム31、スライドフレーム32、33及びテーブル34の重さに打ち勝って伸縮シリンダ36が伸張し、傾斜フレーム31は搬送方向側が上になるように傾斜する。
【0055】
(e)スライドフレーム32、33及びテーブル34の重さによりスライドフレーム32、33が傾斜フレーム31内に後退する。スライドフレーム32、33が最後退位置まで移動すると、第1スライドフレーム32の端部がショックアブソーバ37に接触し、スライドフレーム32、33が停止する時に発生する振動、騒音が抑えられる。また、テーブル34から突出するピン34pがガイド40に接触し、テーブル34が水平になる。そして、複数の部品が載置されたパレット60がマーシャリングライン10からテーブル34に移送される。すなわち、この時のテーブル34の位置がワーク搬入位置である。これにより、供給側パレット搬送装置30Bは(a)の状態に復帰する。
【0056】
続いて、上記実施形態の作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態に係る搬送装置(回収側パレット搬送装置30A、供給側パレット搬送装置30B)は、基台30に対する傾斜フレーム31の傾斜角度を変更することでスライドフレーム32、33を伸張・後退させ、この動きを利用してワーク(本実施形態では、テーブル34に載置されるパレット60等)を搬送する。スライドフレーム32、33は搬送の過程で伸張・後退を繰り返し、搬送経路が形成される空間を搬送装置が常時占有することがなくスライドフレーム32、33の後退時には当該空間の一部が解放されるので、搬送経路と交差する作業者の移動経路を確保することができる(請求項1に記載の発明の作用効果)。
【0058】
また、スライドフレーム32、33の伸張・後退は、強制駆動ではなく、スライドフレーム32、33及びテーブル34の重さ(場合によっては、テーブル34上に載置されるパレット60等を加えた重さ)を利用して行われる。これにより、スライドフレーム32、33が伸張・後退する時にスライドフレーム32、33が作業者に接触してもスライドフレーム32、33の伸張・後退が直ちに停止し、作業者の安全を確保することができる。
【0059】
本実施形態に係る搬送装置は、ワークの搬送方向に応じて傾斜フレーム31の傾斜させ方を変えることにより、回収側パレット搬送装置30Aのようにスライドフレーム32、33の後退方向にワークを搬送する態様、逆に、供給側パレット搬送装置30Bのようにスライドフレーム32、33の伸張方向にワークを搬送する態様、いずれの態様でも使用することができる(請求項2、3に記載の発明の作用効果)。
【0060】
また、上記実施形態では、傾斜フレーム31の傾斜角度を変更する手段として傾斜フレーム31と基台30の間に伸縮シリンダ36を配置し、伸縮シリンダ36を基台30にのみ連結するようにした。すなわち、伸縮シリンダ36と傾斜フレーム31とは連結されない。これにより、スライドフレーム32、33が下がる時に作業者と接触しても、スライドフレーム32、33が上に逃げるので、作業者の安全を確保することができる(請求項4に記載の発明の作用効果)。なお、上記実施形態とは逆に、ロッドが下になるように伸縮シリンダ36を配置し、伸縮シリンダ36を傾斜フレーム31にのみ連結する構成であってもよい。
【0061】
また、傾斜フレーム31の傾斜角度を変更する手段としては、伸縮シリンダ36に代えて、傾斜フレーム31を揺動させるトルクを軸支位置に加えるモータであってもよい。また、錘(バランスウェイト)を用いる構成、スプリング等の弾性部材を用いる構成も可能である。例えば、供給側パレット搬送装置30Bにおいて伸縮シリンダ36の代わりにスプリングを配置する場合は、傾斜フレーム31を上向きに付勢する態様でスプリングを配置する。そして、スプリングによる付勢力を、パレット60をテーブル34に載置すると搬送方向側が下がり、パレット60をテーブル34から払い出すと搬送方向側が上がるような付勢力に設定する。これにより、伸縮シリンダ36がなくても同じ動作を実現することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、スライドフレーム32、33の伸張量が最大伸張量になる時のスライドフレーム32、33の伸張速度を減少させる緩衝装置として、ロータリダンパ38を備えた。これにより、第1スライドフレーム32周辺の限られたスペースに緩衝機構を設けることを可能にするとともに、スライドフレーム32、33が最伸張位置まで伸張して停止する時に発生する振動、騒音を抑えることができる(請求項5に記載の発明の作用効果)。
【0063】
また、上記実施形態では、テーブル34を第2スライドフレーム33に対して揺動自在に支持し、スライドフレーム32、33が後退する時にテーブル34に接触してテーブル34を第2スライドフレーム33に対して傾斜させ、テーブル34を水平にするガイド40をさらに備えた。これにより、スライドフレーム32、33の最後退位置においてテーブル34を水平にし、テーブル34に載置されるパレット60、さらにその上に載置される部品等を水平にすることができる(請求項6に記載の発明の作用効果)。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0065】
上記実施形態では、一つの製造ライン100に本発明の実施形態に係る搬送装置を2つ配置しているが、製造ラインによって1つ、又は、3つ以上の搬送装置が配置される。
【0066】
また、上記実施形態では、フレームアセンブリはスライドフレームを2つ有する二段構成であるが、スライドフレームを1つ有する単段構成、スライドフレームを3つ以上有する多段構成であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、テーブル34と第2スライドフレーム33とが別部材として設けられているが、第2スライドフレーム33に対してテーブル34を傾斜させる必要がなければ、テーブル34と第2スライドフレーム33とを単一の部材としてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、供給側パレット搬送装置30Bにおいては、スライドフレーム32、33が最伸張位置まで伸張した状態でテーブル34が水平にならないが、テーブル34の軸支位置を変更し、第2スライドフレーム33から上に向けて突出する受け部を設ければ、供給側パレット搬送装置30Bと同様にテーブル34を水平にすることができる。
【0069】
また、上記実施形態は、パレット60又は部品が載置されたパレット60を搬送する搬送装置であるが、搬送対象であるワークはこれに限定されず、部品等をテーブル34に直接載置して搬送する構成であってもよい。搬送元、搬送先もワークに応じて任意に選択され、マーシャリングライン10、メイン組み立てライン20に限定されない。また、上記実施形態では、パレット60上で部品の組み立てを行っているが、メイン組み立てライン20を流れる別部品に対してパレット60に載置されている部品を組み付ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
30A 回収側パレット搬送装置
30B 供給側パレット搬送装置
30 基台
31 傾斜フレーム
32 第1スライドフレーム
33 第2スライドフレーム
34 テーブル
36 伸縮シリンダ(フレーム傾斜角度変更手段)
38 ロータリダンパ(緩衝機構)
40 ガイド
60 パレット(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの搬送装置であって、
基台と、
前記ワークを載置するテーブルと、
前記基台に揺動自在に支持される傾斜フレームと、
前記傾斜フレームにスライド自在に係合し、前記テーブルを支持するスライドフレームと、
前記傾斜フレームに外力を加えて前記基台に対する前記傾斜フレームの傾斜角度を変更するフレーム傾斜角度変更手段と、
を備えたことを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワークの搬送装置であって、
前記スライドフレームが最伸張位置にある時の前記テーブルの位置がワーク搬入位置、前記スライドフレームが最後退位置にある時の前記テーブルの位置がワーク退出位置であり、
前記フレーム傾斜角度変更手段は、搬送方向側が上になるように前記傾斜フレームを傾斜させて前記スライドフレームを前記ワーク搬入位置まで伸張させ、搬送方向側が下になるように前記傾斜フレームを傾斜させて前記スライドフレームを前記ワーク退出位置まで後退させる、
ことを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のワークの搬送装置であって、
前記スライドフレームが最後退位置にある時の前記テーブルの位置がワーク搬入位置、前記スライドフレームが最伸張位置にある時の前記テーブルの位置がワーク退出位置であり、
前記フレーム傾斜角度変更手段は、搬送方向側が上になるように前記傾斜フレームを傾斜させて前記スライドフレームを前記ワーク搬入位置まで後退させ、搬送方向側が下になるように前記傾斜フレームを傾斜させて前記スライドフレームを前記ワーク退出位置まで伸張させる、
ことを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のワークの搬送装置であって、
前記フレーム傾斜角度変更手段は、前記傾斜フレームと前記基台との間に配置される伸縮シリンダであり、
前記伸縮シリンダは、前記傾斜フレーム及び前記基台のいずれか一方にのみ連結される、
ことを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のワークの搬送装置であって、
前記スライドフレームに取り付けられたラックと、
前記スライドフレームの伸張量が最大になる手前で前記ラックに係合するピニオン、及び、前記ピニオンの回転を制動する制動機構を有するロータリダンパと、
をさらに備えたことを特徴とするワークの搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のワークの搬送装置であって、
前記テーブルは、前記スライドフレームに揺動自在に支持されており、
前記スライドフレームの後退量が最大になる時に前記テーブルに接触して前記テーブルを前記スライドフレームに対して傾斜させ、前記テーブルを水平にするガイドをさらに備えた、
ことを特徴とするワークの搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−251796(P2011−251796A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125634(P2010−125634)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】