説明

ワークの耐食試験方法および耐食試験装置

【課題】高い試験加速性をもって安定した耐食試験を実施することのできるワークの耐食試験方法および耐食試験装置を提供する。
【解決手段】この耐食試験方法は、試験片であるワークWを収容した密閉型の試験容器2に対し、試験容器2内における、薬液雰囲気の圧力および流量を一定に維持し、試験薬液を飽和蒸気圧状態に変化させた薬液雰囲気の送気および排気を行って、ワークWを薬液雰囲気の気流に接触させて耐腐食試験を行い、排気された薬液雰囲気を液化して試験薬液に戻した後、試験薬液を薬液雰囲気に変化させて循環使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型の試験容器に収容したワークに対して、飽和蒸気圧状態に変化させた試験薬液を用いて行われるワークの耐食試験方法および耐食試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、耐食試験に用いる圧力容器(耐食試験装置)として、容器と、容器を閉塞する蓋と、容器を外囲し容器に貯留した溶媒を加熱する電気ヒータと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
この圧力容器では、電気ヒータにより試験温度に加熱した溶媒に、試験片(ワーク)を一定期間浸漬することで、溶媒に対する試験片の耐食試験(加速試験)を行う。
【特許文献1】特開平5−256369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の耐食試験方法は、ワークの素材自体の耐腐食性を評価するには有効であるが、ワークに施された皮膜の剥離や亀裂に対する耐腐食性を評価するには、十分な試験加速性を得ることができないという問題があった。
【0004】
本発明は、高い試験加速性をもって安定した耐食試験を実施することのできるワークの耐食試験方法および耐食試験装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワークの耐食試験方法は、試験片であるワークを収容した密閉型の試験容器に対し、試験薬液を飽和蒸気圧状態に変化させた薬液雰囲気の送気および排気を行って、ワークを薬液雰囲気の気流に接触させて耐腐食試験することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の耐食試験装置は、試験片であるワークを収容する密閉型の試験容器と、試験薬液を飽和蒸気圧状態に変化させて薬液雰囲気を生成する薬液雰囲気生成手段と、試験容器に対し、生成した薬液雰囲気の送気および排気を行って、試験容器内にワークに接触する薬液雰囲気の気流を生じさせる薬液雰囲気送排気手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、飽和蒸気圧状態となった試験薬液(薬液雰囲気)が、試験容器内へと送排気されることで生じた気流中に、ワークが曝されることになる。すなわち、試験容器内のワークに、薬液雰囲気が連続的に吹き付けられる。これにより、試験薬液によるワークへの腐食が格段に進み、耐食試験に要する時間を短縮することができる。したがって、高い試験加速性をもって安定した耐食試験を実施することができる。
【0008】
この場合、薬液雰囲気送排気手段は、試験容器の送気口に連なる送気手段と、試験容器の排気口に連なる排気手段と、を有していることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、送気および排気を強制的に行うことで、試験容器内の圧力損失の影響を排除することができ、試験容器内のワークに接触させる薬液雰囲気の圧力および流量を容易に制御することができ、もって試験容器内の圧力および流量を安定させることができる。
【0010】
また、この場合、送気口と排気口とは、対向して配置されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、送気口から入り込んだ薬液雰囲気を、ワークに均一に接触させることができ、試験の信頼性を高めることができる。
【0012】
この場合、試験容器内における、薬液雰囲気の圧力および流量を一定に維持することが好ましい。
【0013】
この場合、薬液雰囲気送排気手段は、送気手段と送気口とを接続する送気流路に介設され、薬液雰囲気の圧力および流量を一定にコントロールする送気コントローラと、排気手段と排気口とを接続する排気流路に介設され、薬液雰囲気の圧力および流量を一定にコントロールする排気コントローラと、を更に有していることが好ましい。
【0014】
これらの構成によれば、薬液雰囲気の圧力および流量を、同一の試験条件とした上で、耐食試験を実施することができるため、安定した且つ信頼性の高い試験結果を得ることができる。
【0015】
この場合、排気された薬液雰囲気を液化して試験薬液に戻した後、試験薬液を薬液雰囲気に変化させて循環使用することが好ましい。
【0016】
この場合、薬液雰囲気送排気手段により排気された薬液雰囲気を液化して試験薬液に戻す凝集手段と、液化した試験薬液を貯留する薬液タンクと、更に備えていることが好ましい。
【0017】
また、この場合、薬液雰囲気生成手段と薬液タンクとを連通するリターン流路と、リターン流路を介して、薬液タンクから薬液雰囲気生成手段に試験薬液を送液する送液手段を、更に備えていることが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、試験薬液を再使用することができるため、試験薬液を使い捨てにすることがなく、耐食試験のためのコストを削減することができる。なお、試験薬液は、劣化による試験結果への影響を考慮し、一定回数(期間)使用した後に、新たなものと交換することが好ましい。
【0019】
この場合、リターン流路に介設されたフィルタを、更に備えていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、凝集手段により、薬液タンクに戻され、貯留した試験薬液に、凝結した試験薬液等の異物が混入していたとしても、フィルタにより取り除くことができる。これにより、試験容器に適切な薬液雰囲気を送気することができるため、常に適切な耐食試験を実施することができる。
【0021】
また、この場合、ワークは、複数の小孔を有する有孔プレートであり、試験容器は、収容したワークの上流側直近に位置して、薬液雰囲気をワークに向かって均一にダウンフローさせる多孔板を、有していることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、試験容器内のワークに対し、多孔板を通ってきた薬液雰囲気が均一に吹き付けられるため、ワーク全体に対して、均一な耐食試験を実施することができる。
【0023】
さらに、この場合、ワークは、複数の小孔を有する有孔プレートであり、試験容器は、収容したワークの下流側直近に位置して、複数の小孔を有する有孔壁を、更に有していることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、薬液雰囲気送排気手段により生じた気流は、ワークに接触すると共に、ワークの複数の小孔を通じて下流へと流れ、有孔壁の複数の小孔を介して、排気される。これにより、ワークの複数の小孔に対し、薬液雰囲気の流れが均一となり、均一な耐食試験を実施することができる。
【0025】
この場合、試験容器は、有孔壁の下流側直近に位置して、有孔壁の全小孔に連通する排気室を、更に有していることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、排気室を介して、有孔壁の全小孔から均一に薬液雰囲気を排気することができる。これにより、均一な耐食試験を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る耐食試験装置について説明する。この耐食試験装置は、表面に撥水(めっき)処理を施した穴開きのワークを、密閉型の試験容器に収容し、飽和蒸気圧状態に変化させた試験薬液に接触させることで、試験薬液に対する撥水膜の耐食試験を行うものである。
【0028】
図1に示すように、試験片であるワークWは、金属めっきが施された、複数の小孔11(図2参照)を有する金属製の方形プレートであり、その複数個を、ワーク保持具12に保持された状態で試験容器2に収容され耐食試験装置1に導入される。試験薬液による耐食試験は、主としてこの金属めっきの剥離および亀裂に対する耐性を試験する。ワーク保持具12には、ワークWの外形に応じた複数の穴がマトリクス状に形成されており、その穴に各ワークWを嵌め込むことで、これを保持できるようになっている。
【0029】
図1および図2に示すように、耐食試験装置1は、試験片であるワークWを収容する試験容器2と、飽和蒸気圧状態に変化(加熱)させた試験薬液(薬液雰囲気)を試験容器2に送気する送気部3と、試験容器2に送気された薬液雰囲気を排気する排気部4と、排気された薬液雰囲気を液化(冷却)し、送気部3へと試験薬液を循環させる循環部5と、各部3,4,5を制御するメインコントローラ6と、から構成されている。
【0030】
試験容器2は、耐圧性の密閉容器であり、ワークWを保持したワーク保持具12をセットする下容器21と、下容器21に密着して蓋体となる上容器22と、を備えている。下容器21および上容器22は、平面視矩形の箱状の容器を突き合わせた形態となっており、シール部材23を介設して気密に封止(密閉)されている(図2参照)。そして、下容器21と上容器22とで構成される空間に、ワークWが薬液雰囲気に曝される処理室R2が形成されている。なお、セット可能なワークWの数は任意である。
【0031】
上容器22の上面部には、送気部3が連なる複数(図示では、3個)の送気口24が形成されている。また、上容器22の下部は、複数の送気小孔25aを有する多孔板25で仕切られている。そして、上容器22の上面と多孔板25とで仕切られた空間に、送気された薬液雰囲気を均一に分散させる分散室R1が形成される。送気部3から送気された薬液雰囲気は、上流側から順に、送気口24、分散室R1、送気小孔25aを通過し、均一なダウンフローとなって試験容器2内(処理室R2)に流れて行く。なお、多孔板25は、多孔質プレートやパンチングメタルで構成することが、好ましい。
【0032】
下容器21の底部、すなわち、ワークWがセットされる面は、複数の排気小孔26aを有する有孔壁26からなり、有孔壁26の下流側には、箱状の排気容器27が連なっている。有孔壁26と排気容器27とで構成される空間には、全排気小孔26aに連通する排気室R3が形成されている。複数の排気小孔26aは、その上にセットされたワークWの複数の小孔11に略合致し連通するように形成されている。また、排気室R3の底部(下流)には、排気部4が連なる排気口28が形成されている。処理室R2の薬液雰囲気は、ワークWに接触すると共に、主にワークWの複数の小孔11を通じて下流へと流れ、均一なダウンフローを維持しつつ、上流側から、排気小孔26a、排気室R3、排気口28を介して、排気部4により排気される。これにより、排気室R3を介して有孔壁26の全排気小孔26aから均一に薬液雰囲気を排気することができる。なお、図1では、送気口24、排気小孔26aおよび排気口28は、図示を省略している。また、排気室R3を下容器21に形成してもよい。かかる場合には、上記の有孔壁26を隔壁として構成する。
【0033】
複数の送気口24と排気口28とは、対向して配設されており、強制的に薬液雰囲気の送気および排気が行われることで、送気口24から排気口28へと気流が生じることとなる。この気流は、処理室R2においてワークWに対し、均一に吹き付けられると共に、ワークWの複数の小孔11に対しても均一に流れて、均一に排気される。これにより、ワークW全体に対し均一な耐食試験を実施することができ、且つワークWの各小孔11の内周面に対する耐食試験を行うこともできる。なお、送気口24、排気口28、送気小孔25aおよび排気小孔26aの形状、形成数等は任意である。また、小孔11の内周面の耐食試験が不要であれば、複数の排気小孔26aと複数の小孔11とは、合致していなくてもかまわない。
【0034】
送気部3は、循環部5から供給された試験薬液を飽和蒸気圧状態に変化(加熱)させ薬液雰囲気を生成する薬液雰囲気生成手段31と、薬液雰囲気生成手段31により生成した薬液雰囲気を試験容器2内へと送気する経路となる送気流路32と、送気流路32に介設された送気コントローラ33と、から構成されている。送気コントローラ33は、例えば電動弁等で構成されている。
【0035】
薬液雰囲気生成手段31は、循環部5により供給された試験薬液を加熱する加熱器であり、試験薬液を加熱することで飽和蒸気圧状態に変化させ薬液雰囲気を生成する。送気流路32は、上流端を薬液雰囲気生成手段31に接続し、下流側を試験容器2の送気口24の数に応じて複数に分岐し、その分岐した下流端を、それぞれ送気口24に接続している。送気コントローラ33は、送気流路32の分岐した部分よりも上流側に介設されており、メインコントローラ6から送られた制御信号により、送気流路32を流れる薬液雰囲気の圧力および流量を制御する。これにより、所望の圧力および流量の薬液雰囲気を、試験容器2内に送り込むことができる。
【0036】
排気部4は、試験容器2内から薬液雰囲気を排気する経路となる排気流路41と、排気流路41に介設された排気コントローラ42と、排気コントローラ42の下流側の排気流路41に介設され、排気流路41内を負圧にして吸引力を発生させる真空吸引源43と、から構成されている。真空吸引源43は、真空ポンプやエジェクタ等により構成されている。また、排気コントローラ42は、例えば電動弁等で構成されている。
【0037】
排気流路41は、上流端を排気室R3の排気口28に接続し、下流端を循環部5(正確には、後述する凝集手段51)に接続している。排気コントローラ42は、メインコントローラ6から送られた制御信号により、排気流路41を流れる薬液雰囲気の圧力および流量を制御する。これにより、試験容器2内から、所望の圧力および流量で、薬液雰囲気を排気することができる。なお、送気および排気の圧力および流量は、試験容器2内(処理室R2)が飽和蒸気圧状態を維持することのできるように調整される。
【0038】
以上のように、送気部3および排気部4により、送気および排気を強制的に行うことで、試験容器2内の圧力損失の影響を排除することができる。また、送気コントローラ33および排気コントローラ42により、処理室R2の薬液雰囲気の圧力および流量を容易に制御することができ、且つ安定させることができる。また、薬液雰囲気の圧力および流量を、同一の試験条件とした上で、耐食試験を実施することができるため、安定した試験結果を得ることもできる。なお、請求項にいう「薬液雰囲気送排気手段」とは、送気部3および排気部4を指す。
【0039】
循環部5は、排気流路41に介設され、排気された薬液雰囲気を液化する凝集手段51と、試験薬液を貯留する薬液タンク52と、薬液タンク52に連通し圧縮エアー(圧空)を供給する圧空源53と、薬液タンク52と薬液雰囲気生成手段31とを連通するリターン流路54と、から構成されている。なお、薬液タンク52の圧空源53による加圧は、窒素ガス等の不活性ガスを用いてもよい。
【0040】
凝集手段51は、排気部4により排気された薬液雰囲気を冷却する冷却器(クーラー)であり、真空吸引源43の下流側において排気流路41に介設されている。凝集手段51は、排気流路41内の薬液雰囲気を冷却することで、液化して再び試験薬液に変化させる。この試験薬液は、再び薬液タンク52に貯留される。これにより、試験薬液を循環使用することができるため、試験薬液を使い捨てにすることながなく、耐食試験にかかるコストを削減することができる。なお、試験薬液は、劣化による試験結果への影響を考慮し、一定回数(期間)使用した後に、新たなものと交換することが好ましい。
【0041】
圧空源53で生じた圧空は、圧力調整弁55を通じ、圧力検出器56を介して、所望の圧力で薬液タンク52に供給される(送液手段)。薬液タンク52は、密閉されたタンクであり、その内部を圧空源53により加圧され、貯留した試験薬液を、リターン流路54を介して、送気部3の薬液雰囲気生成手段31へと送液するようになっている。なお、薬液タンク52は、試験薬液の廃棄するための廃液タンク61に連通する廃液バルブ62が開設された廃液流路63を有している。
【0042】
リターン流路54には、薬液タンク52側(下流側)から順に、試験薬液内の異物除去用のフィルタ57と、試験薬液の供給流量を制御する流量制御装置58と、が開設されている。これにより、薬液タンク52に貯留した試験薬液に、凝結した試験薬液等の異物が混入していたとしても、フィルタ57により取り除くことができ、且つクリーンな試験薬液を、所望の流量で薬液雰囲気生成手段31に供給することができる。
【0043】
ここで、本実施形態に係る耐食試験装置1のメインコントローラ6による耐食試験装置1の制御方法(耐食試験方法)について説明する。なお、試験片である複数のワークWは、試験容器2に収容されているものとする。
薬液タンク52を加圧して薬液雰囲気生成手段31に送液された試験薬液は、飽和蒸気圧状態にまで加熱され、薬液雰囲気が生成される。この薬液雰囲気は、送気コントローラ33により所望の圧力および流量に調整され、処理室R2に送気されると同時に、真空吸引源43を駆動し、排気コントローラ42により所望の圧力および流量に調整された吸引力を発生させ、排気を行う(同期駆動)。排気された薬液雰囲気は、凝集手段51により冷却されて、液化し再び薬液タンク52に貯留される。以上を繰り返し、処理室R2のワークWを、薬液雰囲気の気流に一定時間曝すことで、ワークWに対する耐食試験が行われる。
【0044】
以上の構成によれば、強制的な送排気により、送気口24から排気口28へと薬液雰囲気の気流が生じ、この気流が、ワークWに対し連続的に吹き付けられる。これにより、試験薬液によるワークWへの腐食が格段に進み、耐食試験に要する時間を短縮することができると共に、薬液雰囲気の圧力および流量を制御しつつ、薬液雰囲気の流れを均一とすることができる。したがって、高い試験加速性をもって安定した耐食試験を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る耐食試験に用いる試験容器の模式図である。
【図2】本実施形態に係る耐食試験装置を模式的に示した系統図である。
【符号の説明】
【0046】
1:耐食試験装置、2:試験容器、3:送気部、4:排気部、5:循環部、24:送気口、25:多孔板、25a:送気小孔、26:有孔壁、26a:排気小孔、28:排気口、31:薬液雰囲気生成手段、32:送気流路、33:送気コントローラ、41:排気流路、42:排気コントローラ、51:凝集手段、52:薬液タンク、53:圧空源、54:リターン流路、57:フィルタ、R3:排気室、W:ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片であるワークを収容した密閉型の試験容器に対し、試験薬液を飽和蒸気圧状態に変化させた薬液雰囲気の送気および排気を行って、前記ワークを前記薬液雰囲気の気流に接触させて耐食試験することを特徴とするワークの耐食試験方法。
【請求項2】
前記試験容器内における、前記薬液雰囲気の圧力および流量を一定に維持することを特徴とする請求項1に記載のワークの耐食試験方法。
【請求項3】
排気された前記薬液雰囲気を液化して前記試験薬液に戻した後、前記試験薬液を前記薬液雰囲気に変化させて循環使用することを特徴とする請求項1または2に記載のワークの耐食試験方法。
【請求項4】
試験片であるワークを収容する密閉型の試験容器と、
試験薬液を飽和蒸気圧状態に変化させて薬液雰囲気を生成する薬液雰囲気生成手段と、
前記試験容器に対し、生成した前記薬液雰囲気の送気および排気を行って、前記試験容器内に前記ワークに接触する前記薬液雰囲気の気流を生じさせる薬液雰囲気送排気手段と、を備えたことを特徴とする耐食試験装置。
【請求項5】
前記薬液雰囲気送排気手段は、前記試験容器の送気口に連なる送気手段と、
前記試験容器の排気口に連なる排気手段と、を有していることを特徴とする請求項4に記載の耐食試験装置。
【請求項6】
前記送気口と前記排気口とは、対向して配置されていることを特徴とする請求項5に記載の耐食試験装置。
【請求項7】
前記薬液雰囲気送排気手段は、前記送気手段と前記送気口とを接続する送気流路に介設され、前記薬液雰囲気の圧力および流量を一定にコントロールする送気コントローラと、
前記排気手段と前記排気口とを接続する排気流路に介設され、前記薬液雰囲気の圧力および流量を一定にコントロールする排気コントローラと、を更に有していることを特徴とする請求項5または6に記載の耐食試験装置。
【請求項8】
前記薬液雰囲気送排気手段により排気された前記薬液雰囲気を液化して前記試験薬液に戻す凝集手段と、
液化した前記試験薬液を貯留する薬液タンクと、更に備えたことを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の耐食試験装置。
【請求項9】
前記薬液雰囲気生成手段と前記薬液タンクとを連通するリターン流路と、
前記リターン流路を介して、前記薬液タンクから前記薬液雰囲気生成手段に前記試験薬液を送液する送液手段を、更に備えたことを特徴とする請求項8に記載の耐食試験装置。
【請求項10】
前記リターン流路に介設されたフィルタを、更に備えたことを特徴とする請求項9に記載の耐食試験装置。
【請求項11】
前記ワークは、複数の小孔を有する有孔プレートであり、
前記試験容器は、収容した前記ワークの上流側直近に位置して、前記薬液雰囲気を前記ワークに向かって均一にダウンフローさせる多孔板を、有していることを特徴とする請求項4ないし10のいずれかに記載の耐食試験装置。
【請求項12】
前記ワークは、複数の小孔を有する有孔プレートであり、
前記試験容器は、収容した前記ワークの下流側直近に位置して、複数の小孔を有する有孔壁を、更に有していることを特徴とする請求項4ないし11のいずれかに記載の耐食試験装置。
【請求項13】
前記試験容器は、前記有孔壁の下流側直近に位置して、前記有孔壁の全小孔に連通する排気室を、更に有していることを特徴とする請求項12に記載の耐食試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−71919(P2010−71919A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242255(P2008−242255)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】