説明

ワーク処理装置

【課題】加圧蒸気の温度を低下させることなく、ワーク表面に均一に噴射することのできる噴射装置を備えたワーク処理装置の提供。
【解決手段】機械方向MD及びそれに直交する交差方向CDと、ワーク11を機械方向へ搬送する搬送手段12と、ワーク11に過熱した加圧蒸気を吹き付ける噴射装置14とを含むワーク処理装置10において、噴射装置12が、交差方向CDへ配列された複数の噴射孔31を有する下面32を有し、搬送手段12は、可撓性を有し、ワーク11を挟持して機械方向MDへ搬送する、ワーク11の上面側に位置する第1メッシュベルト12aとワーク11の下面側に位置する第2メッシュベルト12bとから形成されており、下面32が第1メッシュベルト12aと摺接し、かつ、第1及び第2メッシュベルト12a,12bのうちの少なくとも第1メッシュベルト12aを下方に向かって湾曲させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維ウエブや吸収体等のワークの処理装置に関し、さらに詳しくは、加圧蒸気を噴射する噴射装置を備えたワーク処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、噴射プレートから加圧蒸気をワークに向かって噴射する噴射装置を備えたワーク処理装置は公知である。例えば、特許文献1には、上下の繊維ウエブ間に吸収材料を介在させてなる積層シートに噴射孔から噴射した加圧蒸気を吹き付け、吸収材料を湿潤状態に保ったままプレス加工をするワーク処理装置が開示されている。また、特許文献2には、ワークを上下に位置する2つのメッシュベルトに挟持させた状態で機械方向へ搬送し、ワーク表面に加圧蒸気を噴射する噴射装置を備えたワーク処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−123293号公報
【特許文献2】特開2004−238785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のワーク処理装置では、吸収材料を湿潤状態に保ったままプレス加工をすることができるので、吸収材料の上面に位置する繊維ウエブと吸収材料とが密着し、上面からの粉体の漏れを防止することができるとともに、積層シートが硬化することはない。また、特許文献2に開示のワーク処理装置では、メッシュベルトの開口を通過してワークに加圧蒸気が噴射されるので、ワーク表面を傷めることなく、噴射処理することができる。
【0005】
しかし、特許文献1及び2に開示のワーク処理装置では、噴射孔とワークとが所与寸法離間していることから、加圧蒸気が噴射孔から噴射されてワークに到達するまでの間に冷却され、水玉状となって積層シート上に付着して、繊維ウエブ間に介在された吸収材料に加圧蒸気が到達しないおそれがある。また、特許文献2において、仮に、加圧蒸気の温度低下を防止するために、メッシュベルトと噴射孔とを摺接させた状態でワークに加圧蒸気を噴射しても、メッシュベルトが編み込みによって形成されている場合には、表面に凹凸があるので当接する部位が非均一となり、均一に一定温度の加圧蒸気をワークに吹き付けることができない。
【0006】
本発明の目的は、従来のワーク処理装置の改良にあり、加圧蒸気の温度を低下させることなくワーク表面に均一に噴射することのできる噴射装置を備えたワーク処理装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、機械方向及びそれに直交する交差方向と、ワークを前記機械方向へ搬送する搬送手段と、前記ワークに過熱した加圧蒸気を吹き付ける噴射装置とを含むワーク処理装置である。
【0008】
本発明の特徴とするところは、前記噴射装置が、前記交差方向へ配列された複数の噴射孔を有する下面を有し、前記搬送手段は、可撓性を有し、前記ワークを挟持して前記機械方向へ搬送する、前記ワークの上面側に位置する第1メッシュベルトと前記ワークの下面側に位置する第2メッシュベルトとから形成されており、前記下面が前記第1メッシュベルトと摺接し、かつ、前記第1及び第2メッシュベルトのうちの少なくとも前記第1メッシュベルトを下方に向かって湾曲させていることにある。
【0009】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記第2メッシュベルトの下方における前記噴射装置と対向する部位には、前記機械方向において所与寸法離間して配置された一対の搬送ロールが配置されており、前記一対の搬送ロールによって前記搬送手段が僅かに上方へ持ち上げられ、前記一対の搬送ロール間に位置する領域には他の部位に比して高いテンションがかかるようにされており、前記領域において前記噴射装置の前記下面が前記第1メッシュベルトと摺接している。
【0010】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記噴射装置の前記下面は、前記機械方向の上流側の側縁から前記機械方向の中央部に向って下り勾配であって、かつ、前記中央部はほぼ水平に形成されており、前記中央部の前記上流側の縁部が曲状である。
【0011】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記噴射装置の前記機械方向における両側のうちの少なくとも上流側において、前記領域に前記上流側からの空気が流入することを防止するための隔離壁が設けられている。
【0012】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記隔離壁が前記搬送手段に摺接している。
【0013】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記噴射装置および前記搬送手段の前記領域を取り囲む加熱ボックスが配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るワーク処理装置によれば、噴射装置の下面が第1メッシュベルトに摺接し、かつ、第1メッシュベルトを下方に向かって湾曲させることから、噴射孔とワークとの離間距離が実質的になく、加圧蒸気の温度を低下させることがないとともに、噴射効率に優れている。また、単に摺接するのみならず、噴射装置の下面が第1メッシュベルトを下方に向かって湾曲状に変形させる程度に第1メッシュベルトに摺接するので、メッシュベルトの表面に凹凸があっても、一定温度の加圧蒸気を均一にワーク表面に噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態におけるワーク処理装置の一部を示す斜視図。
【図2】蒸気誘導部の斜視図。
【図3】噴射プレートの斜視図。
【図4】図3のIV−IV線断面図。
【図5】図4の一点鎖線Vで囲んだ領域の部分拡大図。
【図6】図3のVI−VI線断面図。
【図7】図1のVII−VII線断面図。
【図8】本発明の第2実施形態におけるワーク処理装置の一部側面図。
【図9】本発明の第3実施形態におけるワーク処理装置の一部側面図。
【図10】本発明の第4実施形態におけるワーク処理装置の一部側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態におけるワーク処理装置10の一部を示す斜視図、図2は、蒸気誘導部20の斜視図、図3は、噴射プレート21の斜視図、図4は、図3のIV−IV線断面図、図5は、図4の一点鎖線Vで囲んだ領域の部分拡大図、図6は、図3のVI−VI線断面図、図7は、図1のVII−VII線断面図である。
【0017】
各図において、ワーク処理装置10の機械方向をMD、機械方向MDに直交する交差方向をCDで示している。
【0018】
図1〜3に示すとおり、ワーク処理装置10は、繊維ウエブ等のワーク11を機械方向MDに搬送する搬送手段12と、複数の噴射孔31(図3)を有し、搬送手段12に向かって過熱された加圧蒸気を噴出する噴射装置14とを含む。噴射装置14と対向する搬送手段12の下方には、噴射装置14から噴射されて搬送手段12及びワーク11を通過した加圧蒸気を吸引するためのサクション手段15が設けられている。ここに、ワーク11とは、処理又は加工の対象である被処理物又は被加工物を意味し、本発明の実施形態では、例えば、熱可塑性の繊維ウエブ及び繊維ウエブ層に吸収材料を介在させてなる積層シートなど、おむつやナプキンなどの衛生用品の素材として用いられる公知の各種のシート材料を含む。
【0019】
搬送手段12は、一方向へ回転するエンドレスベルトであって、ワーク11を上下面から挟み込んだ状態で機械方向MDへ搬送する第1メッシュベルト12aと第2メッシュベルト12bとによって構成されており、複数の搬送ロールによって駆動支持されて機械方向MDへ走行している。具体的には、搬送手段12は、その下方において、少なくとも噴射装置14の機械方向MDにおける両側に位置する一対の第1及び第2搬送ロール16,17によって駆動支持されている。なお、搬送手段12によってワーク11を挟持するだけでなく、それを厚さ方向に圧縮した状態で機械方向MDへ搬送してもよい。
【0020】
第1及び第2メッシュベルト12a,12bは、可撓性を有しており、例えば、ステンレス合金や青銅等で形成された金属製線材のメッシュベルト、ポリエステル繊維やアラミド繊維等を織り込んで形成されたプラスチック製のメッシュベルト、開口金属プレートで形成された金属製のベルト等を使用することができる。第1及び第2メッシュベルト12a,12bの開口率、線径、メッシュ度は、加圧蒸気の蒸気圧力、ワーク11の種類、ワーク11が繊維ウエブである場合には、その繊維密度などによって任意に設定しうるものであるが、本実施形態では、開口率が10〜85%、線径が0.03〜5.0mm、メッシュ度が2〜600のものを用いることができる。なお、第1及び第2メッシュベルト12a,12bは、その開口率及びメッシュ度が異なるものであってもよく、例えば、第1メッシュベルト12aのメッシュ度が第2メッシュベルト12bのそれよりも高いものであってもよい。
【0021】
噴射装置14は、ボイラーなどの蒸気供給装置18から送られた過熱された加圧蒸気が導入される蒸気供給管19を有する蒸気誘導部20と、蒸気誘導部20に固定された噴射プレート21とを含む。なお、所要の過熱された加圧蒸気を噴射する限りにおいて、噴射装置14は、蒸気誘導部20と噴射プレート21とに分離されているものではなく、単一の部材で形成されていてもよい。
【0022】
図2に示すとおり、蒸気誘導部20は、略直方体状であって、その内部において加圧蒸気供給管19が交差方向CDに延びており、加圧蒸気供給管19には、交差方向CDにおいて所与寸法離間して並ぶ複数の管路22が連通している。管路22は、蒸気供給管19の中心軸線よりも高い位置において連通されており、機械方向MDの上流側に屈曲して下方へ延びている。蒸気誘導部20の下面23には、その周縁部に沿ってほぼ等間隔に螺子孔24が設けられており、その中央部には、複数の管路22の開口端22a群の周縁部を囲繞する交差方向CDへ長い凹条溝25が形成されている。凹条溝25には、加圧蒸気の漏出を防ぐためのOリング26が装着されている。
【0023】
図3に示すとおり、噴射プレート21は、矩形の板状であって、その上面、すなわち、蒸気誘導部20の下面23と対向する側には、その周縁部に沿って蒸気誘導部20の螺子孔24に対応する複数の開口28が設けられており、蒸気誘導部20と噴射プレート21とが、それぞれの螺子孔24及び開口28を貫通するボルト(図示せず)によって固定されている。噴射プレート21の中央部には、各管路22の開口端22aと連通する凹陥状の蒸気流入部30が設けられており、加圧蒸気が管路22の開口端22aから蒸気流入部30に流れ込んでいる。
【0024】
図4〜6に示すとおり、蒸気流入部30の底面には、交差方向CDにほぼ千鳥状に並んだ複数の噴射孔31が形成されている。また、噴射プレート21の下面32は、機械方向MDの両側縁21a,21bから該方向の中央部に向かって延びる下り勾配であって、かつ、該中央部33において略水平に形成されている。また、下面32は、交差方向CDの両側縁21c,21dから段差状に延びており、下方へ凸となっている。噴射プレート21の噴射孔31の孔径、噴射孔31間のピッチ等は、ワークの種類、加圧蒸気の所要の噴射力などによって任意に設定しうるものであるが、例えば、噴射孔31の孔径は0.1〜0.2mm、噴射孔31間のピッチは、0.5〜10.0mmであることが好ましい。噴射孔31の形状は、断面円形のみならず、各種の断面角形状であってもよいし、噴射される加圧蒸気の収束性の向上と加工の容易化のために上部又は下部のうちのいずれか一方を逆円錐又は角錐形状にしてもよい。
【0025】
図5に示すとおり、噴射プレート21の下面32では、中央部33の上流側の縁部33aが曲状を有していることから、下面32と第1メッシュベルト12aとの摩擦によるそれらの摩耗を抑えることができ、また、第1メッシュベルト12aの網目に中央部33の縁部33aが引っ掛かって搬送できなくなるおそれもない。
【0026】
図7に示すとおり、噴射装置14の噴射プレート21の下面32は、第1メッシュベルト12aに摺接可能な状態でワーク11に向かって加圧蒸気が噴射されている。具体的には、機械方向MDにおいて、噴射装置14の両側に位置する第1搬送ロール16と第2搬送ロール17とが搬送手段12の所与部位をわずかに押し上げるように配置されており、噴射プレート21の下面32の直下に位置する、第1及び第2搬送ロール16,17間の領域Rに他の部位に比べて高いテンションがかけられるようになっている。噴射プレート21の下面32は、領域Rを下方へわずかに又は緩やかに湾曲させるように摺接しており、第1メッシュベルト12aはその一部が湾曲状に変形している。なお、図示するように、下面32によって、通常、領域Rの全体、すなわち、第1メッシュベルト12a、ワーク11及び第2メッシュベルト12bが下方へ湾曲するが、第1メッシュベルト12aの硬度よりも高い硬度を有する第2メッシュベルト12bを用いることによって、第1及び第2メッシュベルト12a,12bのうちの少なくとも第1メッシュベルト12aのみが湾曲変形するようにしてもよい。また、図示していないが、噴射プレート21の下面32を第1及び第2搬送ロール16,17の中心軸16a,17aよりも下方に位置させることによって、下面32を第1メッシュベルト12aにさらに食い込むように摺接させることもできる。
【0027】
かかる状態において、噴射プレート21の下面32の噴射孔31から加圧蒸気をワーク11に噴射するときには、噴射孔31の開口端とワーク11との離間距離が実質的にないので、噴射孔31から噴射された加圧蒸気を漏らすことなくワーク11に噴射でき、噴射効率が高い。また、ワーク11の連続処理工程においては、搬送手段12の移動によって機械方向MDに空気が流れており、下面32の噴射孔31付近が冷却されやすく、かつ、噴射孔31とワーク11との間に離間距離がある場合には、加圧蒸気が冷却されて水滴となりワーク11の表面に付着するおそれがあるが、本実施形態では、加圧蒸気が外気に接することなく直接ワーク11に噴射されるので、加圧蒸気が冷却されて水滴となり、水滴がワーク11表面に付着することはない。また、ワーク処理装置10では、第1メッシュベルト12aを介して加圧蒸気をワーク11に吹き付けているので、ワーク11の形状や性状の変化に拘わらず、同一条件において、すなわち、噴射孔31とワーク11までの離間距離、加圧蒸気の温度、単位時間当たりの蒸気の噴射量を一定にして噴射処理をすることができる。なお、第1メッシュベルト12aを設けずに、噴射孔31とワーク11とを直接的に摺接させることによってワーク11に水滴が付着するなどの事態を避けることも可能であるが、噴射プレート21の噴射孔31付近の温度がワーク11の融点以上の場合にはワーク11の一部が融着するおそれがあり、また、ワーク11の厚さが一定でない場合には、一部において噴射プレート21が摺接せず、加圧蒸気を安定的に吹き付けることができない。さらに、噴射プレート21と摺接する部位の表面繊維が乱れ、製品の質が低下するおそれがある。
【0028】
また、本実施形態では、前述のとおり、噴射プレート21の下面32を第1メッシュベルト12aに摺接させているのみならず、下面32が、第1及び第2搬送ロール16,17間に位置する、他の部位に比して比較的にテンションの高い領域Rにおいて、第1メッシュベルト12aと摺接し、かつ、それを下方へわずかに湾曲するように変形させた状態で加圧蒸気を噴射しているので、たとえ第1メッシュベルト12aがポリエステル繊維等を編み込んで形成されており、その表面に凹凸があっても、ワーク11に対して均一かつ確実に加圧蒸気を噴射することができる。噴射プレート21の下面32によって、搬送手段12において少なくとも第1メッシュベルト12aを湾曲状に変形させるために、第1メッシュベルト12aの硬度は、噴射プレート21の下面32の剛性よりも低いことが好ましく、具体的には、噴射プレート21の下面32の硬度はHv300〜1200であって、第1メッシュベルト12aの硬度は、それ以下であることが好ましい。
【0029】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態を示すワーク処理装置10の一部側面図である。なお、第2実施形態のワーク処理装置10は、第1実施形態とそれと基本的構成においてほぼ同様であるので、相違する点についてのみ以下に述べる。
【0030】
図8に示すとおり、本実施形態では、噴射装置14の機械方向MDにおける両側には、一対の隔離壁40a,40bが搬送手段12から離間した状態で配設されている。隔離壁40a,40bが設けられていることによって、領域R近傍に滞留する空気の領域Rへの流入が妨げられ、下面32の噴射孔32付近の温度低下を抑えるとともに、噴射孔31から噴射される加圧蒸気の温度の低下を抑えることができ、加圧蒸気を一定の温度に保った状態のままワーク11に吹き付けることができる。なお、隔離壁40a,40bは、機械方向MDの上流側または下流側のいずれか一方のみに配設されていてもよいが、ワーク11の搬送される方向から空気が領域Rへ流入されやすいので、少なくとも上流側に位置する隔離壁40aを配設することが好ましい。
【0031】
<第3実施形態>
図9は、本発明の第3実施形態を示すワーク処理装置10の一部側面図である。なお、第3実施形態のワーク処理装置10は、第1実施形態とそれと基本的構成においてほぼ同様であるので、相違する点についてのみ以下に述べる。
【0032】
図9に示すとおり、本実施形態では、隔離壁40a,40bの下面が搬送手段12である第1メッシュベルト12aに接した状態で配設されている。本実施形態の場合には、搬送手段12の移動によって機械方向MDから領域Rへ流れ込む空気を遮断することができるので、下面32の噴射孔31付近の温度低下を抑え、噴射孔31から噴射される加圧蒸気の温度の低下をさらに抑えることができる。
【0033】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態を示すワーク処理装置10の一部側面である。なお、第4実施形態のワーク処理装置10は、第1実施形態とそれと基本的構成においてほぼ同様であるので、相違する点についてのみ以下に述べる。
【0034】
図10に示すとおり、本実施形態では、ワーク処理装置10には、噴射装置14全体及び搬送手段12の領域Rを取り囲む加熱ボックス50が配置されている。加熱ボックス50は、ヒーター51によってその内部が所定温度に維持されるように設定されており、搬送手段12が通過するための一対のスロット52が形成されている。噴射装置14全体及び搬送手段12の領域Rは、加熱ボックス50によって外気が遮断され、加熱ボックス50内部が一定の温度に維持されていることから、下面32の噴射孔31付近を所要の温度に一定に保つことができるとともに、噴射孔31から噴射される加圧蒸気の温度が低下するおそれはなく、所与温度の加圧蒸気をワーク11に吹き付けることができる。
【0035】
なお、既述したように、本発明の処理装置10は、特定の処理加工にのみ用いられるものではなく、比較的に融点の低い繊維どうしの融着加工、不織布シートの風合い加工や繊維油剤などの洗浄加工などの各種加工処理に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 ワーク処理装置
11 ワーク
12 搬送手段
12a 第1メッシュベルト
12b 第2メッシュベルト
14 噴射装置
16 第1搬送ロール
17 第2搬送ロール
31 噴射孔
32 下面
40a,40b 隔離壁
50 加熱ボックス
CD 交差方向
MD 機械方向
R 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械方向及びそれに直交する交差方向と、ワークを前記機械方向へ搬送する搬送手段と、前記ワークに過熱した加圧蒸気を吹き付ける噴射装置とを含むワーク処理装置において、
前記噴射装置が、前記交差方向へ配列された複数の噴射孔を有する下面を有し、
前記搬送手段は、可撓性を有し、前記ワークを挟持して前記機械方向へ搬送する、前記ワークの上面側に位置する第1メッシュベルトと前記ワークの下面側に位置する第2メッシュベルトとから形成されており、
前記下面が前記第1メッシュベルトと摺接し、かつ、前記第1及び第2メッシュベルトのうちの少なくとも前記第1メッシュベルトを下方に向かって湾曲させていることを特徴とする前記ワーク処理装置。
【請求項2】
前記第2メッシュベルトの下方における前記噴射装置と対向する部位には、前記機械方向において所与寸法離間して配置された一対の搬送ロールが配置されており、前記一対の搬送ロールによって前記搬送手段が僅かに上方へ持ち上げられ、前記一対の搬送ロール間に位置する領域には他の部位に比して高いテンションがかかるようにされており、前記領域において前記噴射装置の前記下面が前記第1メッシュベルトと摺接している請求項1に記載のワーク処理装置。
【請求項3】
前記噴射装置の前記下面は、前記機械方向の上流側の側縁から前記機械方向の中央部に向って下り勾配であって、かつ、前記中央部は略水平に形成されており、前記中央部の前記上流側の縁部が曲状である請求項1又は2に記載のワーク処理装置。
【請求項4】
前記噴射装置の前記機械方向における両側のうちの少なくとも上流側において、前記領域に前記上流側からの空気が流入することを防止するための隔離壁が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のワーク処理装置。
【請求項5】
前記隔離壁が前記搬送手段に摺接している請求項4に記載のワーク処理装置。
【請求項6】
前記噴射装置および前記搬送手段の前記領域を取り囲む加熱ボックスが配置されている請求項1〜5のいずれかに記載のワーク処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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