説明

ワーク回転搬送装置

【課題】比較的簡素な構成で、ワーク保持具が搭載された可動体の回転動作や停止動作の高速化を図るとともに、かかる速度に対応する速度で、ワーク保持具が各エリアでワークの受け渡しを行うことのできるワーク回転搬送装置を提供すること。
【解決手段】ワーク回転搬送装置100では、可動体3の回転駆動にダイレクトドライブモータ4を用いたため、回転動作や停止動作を瞬時に行うことができる。また、可動体3に搭載された複数のワーク保持具6に対しては共通のリニアドライブ機構5が設けられており、かかるリニアドライブ機構5は、固定体2側に設けられている。ダイレクトドライブモータ4の回転軸41は筒状であり、リニアドライブ機構5の直動軸55は、回転軸41の内部に同軸状に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等のワークを回転搬送するワーク回転搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子部品の製造工程において、電気特性の検査等を行う場合、いわゆるターンテーブル装置等と称せられるワーク回転搬送装置が用いられる。かかるワーク回転搬送装置では、可動体の回転中心軸線周りに複数のワーク保持具を搭載しておく一方、可動体の周りには、ローディングエリア、極性検査エリア、検査エリア、アンローディングエリア等の複数のエリアが設定されており、可動体の間欠回転に伴って、ワーク保持具が移動することを利用して、各エリアで所定の処理が行われる。
【0003】
このようなワーク回転搬送装置において、可動体を回転駆動する駆動源としてダイレクトドライブモータを用いる一方、複数のエリアの各々に、ワーク保持具を可動体の回転中心軸線と平行可能な方向に変位させる駆動ユニットを設け、駆動ユニットによってワーク保持具を上下させて、ワーク保持具と各エリアとの間でワークを受け渡し可能にした構成が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、可動体を回転駆動する駆動源としてダイレクトドライブモータを用いる一方、複数のワーク保持具の各々を上下動させるリニアモータを可動体に搭載した構成が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−202851号公報
【特許文献2】特開2006−306617号公報
【特許文献3】特開2002−127064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の構成では、可動体の回転駆動にダイレクトドライブモータを用いたため、回転動作や停止動作を瞬時に行うことができるという利点があるにもかかわらず、処理速度の大幅な向上を実現できないという問題点がある。より具体的には、特許文献1、2に記載の構成では、複数のエリアの各々に駆動ユニットを設けたため、駆動ユニット同士のタイミングのずれや、可動体の回転動作と複数の駆動ユニットの動作とのタイミングのずれを考慮すると、処理速度の大幅な向上を図ることができないのである。
【0007】
また、特許文献3に記載の構成では、複数のワーク保持具の各々にリニアモータを設けたため、リニアモータ同士のタイミングのずれや、可動体の回転動作と複数のリニアモータの動作とのタイミングのずれを考慮すると、処理速度の大幅な向上を図ることができない。さらに、特許文献3に記載の構成では、複数のリニアモータを用いた分、コストが増大するとともに、複数のリニアモータを可動体に搭載したため、可動体の重量が増大するので、処理速度の大幅な向上を図ることができない。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、比較的簡素な構成で、ワーク保持具が搭載された可動体の回転動作や停止動作の高速化を図るとともに、かかる速度に対応する速度で、ワーク保持具が各エリアでワークの受け渡しを行うことのできるワーク回転搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るワーク回転搬送装置は、固定体と、可動体と、前記可動体に接続された回転軸をもって前記固定体に保持され、当該可動体を前記回転軸の回転中心軸線周りに間欠的に回転させるダイレクトドライブモータと、前記可動体の前記回転中心軸線周りの互いに異なる角度位置に前記回転中心軸線に平行に変位可能に搭載された複数のワーク保持具と、前記複数のワーク保持具に前記回転中心軸線方向に平行な往復移動を行わせる直動軸をもって前記固定体に保持され、当該複数のワーク保持具に対して共通の駆動機構としてのリニアドライブ機構と、を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明では、可動体の回転駆動にダイレクトドライブモータを用いたため、カム機構を介して可動体を駆動する場合と違って、可動体の回転動作や停止動作を瞬時に行うことができる。また、可動体に搭載された複数のワーク保持具に対しては共通のリニアドライブ機構が設けられているため、リニアドライブ機構とダイレクトドライブモータとに発生するタイミングのずれを最小限に抑えることができる。従って、可動体の回転動作や停止動作の高速化を実現することができる。また、リニアドライブ機構は、複数のワーク保持具に対しては共通の駆動機構であるため、使用部品が少なく済む分、コストを低減することができる。さらに、リニアドライブ機構は固定体側に設けられているので、可動体にリニアドライブ機構を設けた場合と違って、可動体の軽量化を図ることができる。従って、可動体の慣性力を小さくすることができるので、可動体の回転動作や停止動作を高速化するのに適している。
【0011】
本発明において、前記回転軸および前記直動軸のうちの一方の軸は筒状であり、他方の軸は、当該一方の軸の内部に同軸状に設けられていることが好ましい。この場合、例えば、前記一方の軸は前記回転軸であり、前記他方の軸は前記直動軸である構成を採用することができる。かかる構成によれば、リニアドライブ機構とダイレクトドライブモータとを可動体に対して中心に設けることができるので、リニアドライブ機構を複数のワーク保持具に対する共通の駆動機構として設けるのに適している。
【0012】
本発明において、前記リニアドライブ機構は、モータと、該モータの回転動作を直動動作に変換して前記直動軸に伝達する送りねじ機構と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、ダイレクトドライブモータにおける動作開始や動作停止の高速化に対応して、リニアドライブ機構における動作開始や動作停止を高速化することができる。それ故、可動体の回転動作や停止動作の高速化を実現することができる。
【0013】
本発明において、前記直動軸には、前記複数のワーク保持具に対して前記回転中心軸線方向で当接する駆動側伝達部材が取り付けられていることが好ましい。かかる構成によれば、固定体側に設けたリニアドライブ機構によって複数のワーク保持具を駆動する場合でも、ワーク保持具と可動体とがともに回転するのをリニアドライブ機構が妨げることがない。
【0014】
本発明に係るワーク回転搬送装置に対しては、前記可動体の外周側に、前記ワーク保持具にワークを渡すローディングエリアと、当該ローディングエリアと異なる角度位置で前記ワーク保持具からワークが排出されるアンローディングエリアと、が設けられた構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、可動体の回転駆動にダイレクトドライブモータを用いたため、回転動作や停止動作を瞬時に行うことができる。また、可動体に搭載された複数のワーク保持具に対しては共通のリニアドライブ機構が設けられているため、リニアドライブ機構とダイレクトドライブモータとに発生するタイミングのずれを最小限に抑えることができるので、可動体の回転動作や停止動作の高速化に対応することができる。また、リニアドライブ機構は、複数のワーク保持具に対しては共通の駆動機構であるため、使用部品が少なく済む分、コストを低減することができる。さらに、リニアドライブ機構は固定体側に設けられているので、可動体にリニアドライブ機構を設けた場合と違って、可動体の軽量化を図ることができる。従って、可動体の慣性力を小さくすることができるので、可動体の回転動作や停止動作を高速化するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用したワーク回転搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用したワーク回転搬送装置の可動体の説明図である。
【図3】本発明を適用したワーク回転搬送装置の分解斜視図である。
【図4】本発明を適用したワーク回転搬送装置の可動体周辺の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明を適用したワーク回転搬送装置の断面図である。
【図6】本発明を適用したワーク回転搬送装置の可動体周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して本発明を適用したワーク回転搬送装置を説明する。なお、以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸として説明する。また、以下の説明では、X軸方向の一方側を+Xとし、X軸方向の他方側を−Xとし、Y軸方向の一方側を+Yとし、Y軸方向の他方側を−Yとし、Z軸方向(上下方向)の一方側を+Zとし、Z軸の他方側を−Zとして説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したワーク回転搬送装置の要部を示す斜視図である。図2は、本発明を適用したワーク回転搬送装置の可動体の説明図であり、図2(a)、(b)は.可動体の外周側に設定された各エリアの説明図、および可動体の説明図である。図3は、本発明を適用したワーク回転搬送装置の分解斜視図である。
【0019】
図1、図2および図3に示すワーク回転搬送装置100は、概ね、機台等の固定体2の一部として設けられたベース21と、可動体3と、ベース21(固定体2)に固定されたダイレクトドライブモータ4とを有しており、可動体3は、ベース21と、固定体2の一部としてベース21に対して上方位置で対向する円形の固定板23との間において軸線L(回転中心軸線)周りに回転可能に設けられている。ダイレクトドライブモータ4は、サーボモータやステッピングモータ等から構成されており、詳しくは後述するように、可動体3を軸線L周りに間欠回転させるための駆動源として用いられている。本形態において、ダイレクトドライブモータ4にはサーボモータが用いられている。
【0020】
本形態において、可動体3は、上下方向で対向する下側円板31と上側円板32とが複数本の支柱33によって連結された構造になっている。下側円板31と上側円板32との間にはワーク保持具6が配置されている。また、上側円板32の上方にはワーク保持具6の内部に連通するコネクタ68が設けられている。
【0021】
ワーク保持具6は、上下方向に延在する円筒部材60と、円筒部材60の下端部に設けられたワーク吸着部61とを有しており、ワーク吸着部61は、下側円板31の孔から下方に突出している。ここで、円筒部材60の内部およびワーク吸着部61の内部は連通しており、円筒部材60の内部は、ワーク吸着部61においてワークを真空吸着する際の真空経路の一部を構成している。円筒部材60の上端部には、可撓性のチューブ69が連結されており、円筒部材60の内部は、チューブ69を介してコネクタ68の内部に連通している。かかる構成のワーク保持具6では、コネクタ68およびチューブ69等の通路を介して内部が吸引されることにより、ワーク吸着部61においてワークを吸着し、保持する。本形態において、ワークは電子部品W(図2(b)参照)である。
【0022】
ワーク保持具6は、下側円板31に形成された孔および上側円板32に形成された孔を貫通するように設けられており、上下方向に移動可能である。ワーク吸着部61と下側円板31との間には圧縮コイルバネ64が設けられており、ワーク保持具6は、下方に付勢されている。また、ワーク保持具6において、ワーク吸着部61の上端部分にはフランジ部610が形成されており、フランジ部610は、下側円板31に当接することにより、ワーク吸着部61の最下位置を規定するストッパとして機能する。このため、ワーク吸着部61およびワーク保持具6は、後述するリニアドライブ機構5によって上方に押圧されない限り、下方位置にある。ここで、ワーク保持具6の円筒部材60にはL字形の支持板35が連結されているとともに、支持板35の上端部には、径方向内側に突出する従動側伝達部材36が取り付けられている。
【0023】
なお、図1〜図3等には、ワーク保持具6が1つしか図示されていないが、ワーク保持具6は、可動体3の回転中心軸線(軸線L)周りに複数、等角度関係で搭載されている。本形態において、ワーク保持具6の数は12個であり、かかる12個のワーク保持具6はいずれも同一の構成を有している。従って、上側円板32および下側円板31には、12個分のワーク保持具6やコネクタ68等を設けるための孔が形成されている。
【0024】
かかる可動体3を有するワーク回転搬送装置100は、電子部品製造装置や電子部品検査装置等に搭載される際、図2(a)に示すように、可動体3の外周側には複数のエリア101が等角度間隔に設定される。例えば、ワーク回転搬送装置100が電子部品検査装置等に搭載される場合、複数のエリア101には、ワークがワーク回転搬送装置100に投入されるローディングエリア102、位置決めエリア103、極性測定エリア104、反転エリア105、電気特性の検査エリア106、ワークがワーク回転搬送装置100から排出されるアンローディングエリア107、強制排出エリア108等がこの順に周方向に設定される。本形態では、アンローディングエリア107にはテーピング装置110が接続されており、ワーク回転搬送装置100から排出されたワークは、順次テーピング装置110によってテーピングされる。
【0025】
本形態のワーク回転搬送装置100においては、ワーク保持具6が各エリア101でワークの受け渡しを行う際に、ワーク保持具6が下方に位置し、各エリア101でワークの受け渡しを終えた後、ワーク保持具6を元の上方位置に移動させる。かかる往復動作をワーク保持具6に行わせるにあたって、本形態では、リニアドライブ機構5が設けられており、本形態において、リニアドライブ機構5は、詳しくは後述するように、固定体2の一部としてベース21に固定されたケーシング25の内側などを利用して設けられている。
【0026】
(ダイレクトドライブモータ4等の詳細構成)
図4は、本発明を適用したワーク回転搬送装置の可動体周辺の構成を示す斜視図である。図5は、本発明を適用したワーク回転搬送装置の断面図であり、図5(a)、(b)は、YZ断面図およびXZ断面図である。図6は、本発明を適用したワーク回転搬送装置の可動体周辺の断面図であり、図6(a)、(b)は、YZ断面図およびXZ断面図である。
【0027】
図1、図3、図4、図5および図6に示すように、本形態のワーク回転搬送装置100において、ダイレクトドライブモータ4のモータ本体45(ステータ)は、ベース21に固定されており、かかるダイレクトドライブモータ4のロータ40には出力部材46が連結されている。本形態において、出力部材46は、ロータ40に連結されたフランジ部42と、フランジ部42から上方に延在する回転軸41とを備えている。
【0028】
回転軸41およびモータ本体45は円筒状であり、かかる回転軸41およびモータ本体45の内側には、円筒状のスリーブ26が通されている。ここで、スリーブ26は、固定体2の一部として、下方側の端部がベース21にブシュ270およびブシュ取り付け部材27を介して固定されている。また、スリーブ26の上方側の端部外周面と回転軸41の上方側の端部内周面との間には軸受401が設けられており、回転軸41は、軸受401を介してスリーブ26に回転可能に支持されている。
【0029】
回転軸41の上端部は、可動体3の下側円板31にボルト等により連結されている。このため、可動体3はダイレクトドライブモータ4によって回転駆動される。その際、モータ4は、ワーク保持具6が各エリア101の上方に位置した際に可動体3が停止するように間欠的に回転駆動する。
【0030】
なお、本形態では、可動体3の上方に配置された固定板23は、円筒状の固定テーブル235を備えている。固定テーブル235の上端部では円板部236が拡径しており、かかる円板部236には、回り止め金具237とグロメット239とが設けられている。回り止め金具237は、固定体2の他の部分に結合されて、固定板23の回転を防止する。固定テーブル235の下端部には円筒状のソレノイドテーブル234が設けられており、ソレノイドテーブル234の内側には軸受238が設けられている。かかる軸受238は、可動体3において上側円板32から上方に突出する円筒部320を回転可能に支持している。
【0031】
本形態において、ソレノイドテーブル234の外周面は多角形になっており、かかる多角形の各面には、L字形の取り付け板79を介してソレノイド7が設けられている。ソレノイド7は、ワーク保持具6の停止位置に対して1対1の関係をもって設けられている。また、ソレノイド7は、ソレノイドテーブル234に複数搭載されており、本形態において、ソレノイド7の数は、ワーク保持具6と同様、12個である。ここで、ソレノイド7は、固定体2(固定板23)の側に設けられており、対応する位置に到来したワーク保持具6における吸着動作を制御する。より具体的には、可動体3において円筒部320にはジョイント39が連結されており、かかるジョイント39は、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。また、上側円板32において、その肉厚部分には、複数のワーク保持具6に接続された複数の流路329が形成されており、かかる流路329は、真空バルブ9を介してワーク保持具6のワーク吸着部61に接続されている。真空バルブ9は、上側円板32の下面側に設けられており、可動体3と一体に回転する。また、真空バルブ9は、上側円板32から上方に突出した作動ピン90を有しており、作動ピン90がソレノイド7によって下方に押圧されると、流路329とワーク吸着部61と連通が遮断され、ワーク吸着部61は大気開放状態となる。このため、可動体3が停止した際、図2(a)に示す複数のエリア101のうち、ソレノイド7が作動ピン90を押圧しないエリアでは、ワーク保持具6は吸引状態にあるので、ワーク保持具6はワーク吸着部61においてワークを吸着可能である。これに対して、ソレノイド7が、対応する位置に到来した真空バルブ9の作動ピン90を押し下げると、流路329とワーク吸着部61との連通が遮断され、ワーク吸着部61は大気開放状態となるため、ワーク保持具6での吸引が停止されるので、ワーク吸着部61はワークを解放することになる。
【0032】
(リニアドライブ機構5等の詳細構成)
図1、図3、図4、図5および図6に示すように、本形態のワーク回転搬送装置100においては、ケーシング25の内部等を利用してリニアドライブ機構5が設けられている。より具体的には、まず、ケーシング25の下端部には、サーボモータ50が設けられており、サーボモータ50のモータ軸51にはカップリング52を介してボールネジ53が連結されている。ボールネジ53は、ケーシング25にサポートベース580を介して保持されたサポートユニット58によって回転可能に支持されている。また、ボールネジ53には、ナットホルダー54が設けられており、かかるナットホルダー54内のボールおよびボールネジ53により、サーボモータ50の回転駆動力を直線駆動力に変換する機構が構成されている。
【0033】
ここで、ナットホルダー54は筒状であり、ナットホルダー54の内側にボールネジ53が配置されている。このため、リニアドライブ機構5は、サーボモータ50のモータ軸51、ボールネジ53、およびナットホルダー54が同軸状に配置されている。
【0034】
ケーシング25には、回り止めベース551が取り付けられている一方、ナットホルダー54には、孔が形成されたクランプ板56が設けられており、かかるクランプ板56は、ケーシング25の側面に形成された開口部250から外側に突出している。また、クランプ板56に形成されている孔には、回り止めベース551から下方に延びたリニアシャフト552が遊びをもって嵌っている。このため、ナットホルダー54は上下方向には移動可能であるが、回転することはない。
【0035】
このようにして、ナットホルダー54には供回り防止機構が構成されているので、サーボモータ50が回転した際、ナットホルダー54はZ軸方向(上下方向)に直動する。また、ナットホルダー54には直動軸55が連結されており、ナットホルダー54が直動した際、直動軸55も直動する。かかる直動軸5は、ナットホルダー54と同様、上下方向には移動するが、回転することはない。
【0036】
なお、ナットホルダー54の外周面において、ケーシング25の開口部250と重なる位置には検出板91が固定されている。検出板91においてケーシング25の側面に回り込んだ部分にはフォトマイクロスイッチ92が取り付けられており、かかるフォトマイクロスイッチ92によってナットホルダー54の位置が検出されるようになっている。
【0037】
(ワーク保持具6と直動軸55との機構的な接続構造)
図4および図6を参照して説明したように、ワーク保持具6の円筒部材60にはL字形の支持板35が連結されており、かかる支持板35の上端側には、径方向内側に突出するように、従動側伝達部材36が取り付けられている。
【0038】
また、図5等に示すように、直動軸55は、上端部が可動体3の内側(下側円板31と上側円板32との間)まで延在しており、かかる直動軸55の上端部には、上下方向で対向するように2枚の円形の支持板591、592が連結されている。
【0039】
図4、図5および図6に示すように、支持板591、592の間にはカム部材としての駆動側伝達部材590が固定されており、かかる駆動側伝達部材590は、可動体3の従動側伝達部材36に対して下側で重なる位置にある。このため、直動軸55が上方に移動すると、駆動側伝達部材590は、可動体3の従動側伝達部材36を上方に押圧することになる。なお、支持板591、592の間のうち、所定の位置のみに駆動側伝達部材590を設ければ、駆動側伝達部材590が設けられている位置のみで可動体3の従動側伝達部材36を上方に押圧し、駆動側伝達部材590が設けられていない位置では可動体3の従動側伝達部材36に対する押し上げは行われないことになる。
【0040】
(動作)
本形態のワーク回転搬送装置100では、ダイレクトドライブモータ4によって、可動体3が回転している際、ワーク保持具6は、リニアドライブ機構5によって上方に変位している駆動側伝達部材590によって上方に押圧されて上方に位置する。そして、ダイレクトドライブモータ4による駆動が休止して、可動体3が停止すると、リニアドライブ機構5では、駆動側伝達部材590を下方に変位させる。その結果、ワーク保持具6は、圧縮コイルバネ64の付勢力によって下方に変位する。その際、各エリア101では各処理が行われる。
【0041】
例えば、ローディングエリア102に位置するワーク保持具6は、ワーク供給装置(図示せず)から供給されたワークを受け取る。また、極性測定エリア104に位置するワーク保持具6はワークを極性検査端子に当接させ、ワークの極性判定が行われる。反転エリア105に位置するワーク保持具6は、現在保持しているワークの極性が反対である場合には、ワークを反転装置にワークを渡し、ワークの反転が行われる。なお、反転エリア105に位置するワーク保持具6は、現在保持しているワークの極性が正常である場合には、ワークを反転装置に渡さない。なお、反転エリア105に位置するワーク保持具6は、現在保持しているワークの極性が正常である場合も、ワークを反転装置に渡すが、反転装置ではワークの反転が行われない構成を採用してもよい。電気特性の検査エリア106に位置するワーク保持具6は、ワークを電気特性検査端子に当接させ、ワークの電気特性検査が行われる。アンローディングエリア107に位置するワーク保持具6は、現在保持しているワークの電気特性が正常な場合、ワークをテーピング装置に渡す一方、現在保持しているワークの電気特性に不具合がある場合、ワークを保持し続け、次の強制排出エリア108に到達した際に排出する。
【0042】
なお、各ワーク保持具6でのワークの吸着や解放は、ソレノイド7が真空バルブ9を制御することによってワーク保持具6のワーク吸着部61を負圧状態とするか、あるいは大気開放した状態とするかによって制御される。
【0043】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のワーク回転搬送装置100では、可動体3の回転駆動にダイレクトドライブモータ4を用いたため、回転動作や停止動作を瞬時に行うことができる。また、可動体3に搭載された複数のワーク保持具6に対しては共通のリニアドライブ機構5が設けられているため、リニアドライブ機構5とダイレクトドライブモータ4とに発生するタイミングのずれを最小限に抑えることができる。それ故、可動体3の回転動作や停止動作の高速化を実現することができる。
【0044】
また、リニアドライブ機構5は、複数のワーク保持具6に対しては共通の駆動機構であるため、使用部品が少なく済む分、コストを低減することができる。さらに、リニアドライブ機構5は固定体2側に設けられているので、可動体3にリニアドライブ機構を設けた場合と違って、可動体3の軽量化を図ることができる。従って、可動体3の慣性力を小さくすることができるので、可動体3の回転動作や停止動作を高速化するのに適している。
【0045】
また、本形態において、回転軸41および直動軸55のうち、回転軸41(一方の軸)は筒状であり、直動軸55(他方の軸)は、回転軸41の内部に同軸状に設けられている。このため、リニアドライブ機構5とダイレクトドライブモータ4とを可動体3の中心に設けることができるので、リニアドライブ機構5を複数のワーク保持具6に対する共通の駆動機構として設けるのに適している。
【0046】
また、リニアドライブ機構5は、サーボモータ50と、サーボモータ50の回転動作を直動動作に変換して直動軸55に伝達する送りねじ機構(ボールネジ53およびナットホルダー54とを備えているため、ダイレクトドライブモータ4における動作開始や動作停止の高速化に対応して、リニアドライブ機構5における動作開始や動作停止を高速化することができる。それ故、可動体3の回転動作や停止動作の高速化を実現することができる。
【0047】
また、直動軸55には、複数のワーク保持具6に対して回転中心軸線方向で当接する駆動側伝達部材590が取り付けられているため、固定体2側に設けたリニアドライブ機構5によって複数のワーク保持具6を駆動する場合でも、リニアドライブ機構5がワーク保持具6と可動体3とがともに回転するのを妨げることがない。
【0048】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、圧縮コイルバネ64の付勢力によってワーク保持具6を下方に付勢したが、圧縮コイルバネ64の付勢力によってワーク保持具6を上方に付勢し、直動軸55の下方向への移動によって、ワーク保持具6が下方に移動する構成を採用してもよい。また、直動軸55の上下方向への移動によって、ワーク保持具6が上下方向に移動する構成を採用してもよい。
【0049】
上記実施の形態では、可動体3に対して下方側にダイレクトドライブモータ4およびリニアドライブ機構5を設けたが、可動体3に対する上方側および下方側のうちの一方にダイレクトドライブモータ4を設け、他方にリニアドライブ機構5を設けてもよい。
【0050】
上記実施の形態において、リニアドライブ機構5は、全てのワーク保持具6を上下方向に駆動したが、駆動側伝達部材590の形状等をカム形状とし、複数のエリア101の一部のエリア101に到達したワーク保持具6については上方向あるいは下方向に移動させ、他のエリア101に到達したワーク保持具6については上下方向に移動させない構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
2・・固定体、3・・可動体、4・・ダイレクトドライブモータ、5・・リニアドライブ機構、6・・ワーク保持具、7・・ソレノイド、9・・真空バルブ、36・・従動側伝達部材、41・・回転軸、50・・サーボモータ、53・・ボールネジ、54・・ナットホルダー、55・・直動軸、61・・ワーク吸着部、64・・圧縮コイルバネ、100・・ワーク回転搬送装置、101・・エリア、590・・駆動側伝達部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体と、
可動体と、
前記可動体に接続された回転軸をもって前記固定体に保持され、当該可動体を前記回転軸の回転中心軸線周りに間欠的に回転させるダイレクトドライブモータと、
前記可動体の前記回転中心軸線周りの互いに異なる角度位置に前記回転中心軸線に平行に変位可能に搭載された複数のワーク保持具と、
前記複数のワーク保持具に前記回転中心軸線方向に平行な往復移動を行わせる直動軸をもって前記固定体に保持され、当該複数のワーク保持具に対して共通の駆動機構としてのリニアドライブ機構と、を有していることを特徴とするワーク回転搬送装置。
【請求項2】
前記回転軸および前記直動軸のうちの一方の軸は筒状であり、
他方の軸は、当該一方の軸の内部に同軸状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワーク回転搬送装置。
【請求項3】
前記一方の軸は前記回転軸であり、
前記他方の軸は前記直動軸であることを特徴とする請求項2に記載のワーク回転搬送装置。
【請求項4】
前記リニアドライブ機構は、モータと、該モータの回転動作を直動動作に変換して前記直動軸に伝達する送りねじ機構と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のワーク回転搬送装置。
【請求項5】
前記直動軸には、前記複数のワーク保持具に対して前記回転中心軸線方向で当接する駆動側伝達部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のワーク回転搬送装置。
【請求項6】
前記可動体の外周側には、前記ワーク保持具にワークを渡すローディングエリアと、当該ローディングエリアと異なる角度位置で前記ワーク保持具からワークが排出されるアンローディングエリアと、が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のワーク回転搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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