説明

ワーク搬送装置

【課題】ワーク搬送装置間に通路が存在する場合であっても、極めて低コストにて、通路を挟んだ一方から他方にワークを搬送することができる新規なワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】上流側から搬送されたワークWを支持する一方のワーク支持部材17と、この一方のワーク支持部材17と人や車両等が往来する通路Pを間に介して対峙してなるとともに該一方のワーク支持部材17から供給されたワークWを支持する他方のワーク支持部材43と、上記一方のワーク支持部材17を上記他方のワーク支持部材43方向及びその逆方向に移送する移送装置と、を備え、上記移送装置は、上記他方のワーク支持部材17側及びその逆方向に水平駆動する水平駆動部材26と、この水平駆動部材26の先端側に固定され上記一方のワーク支持部材17を支持してなる伸縮部材3とを有して構成されるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送する際に使用されるワーク搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを搬送するワーク搬送装置は、工場内の様々な場所で使用されているが、工場内には、作業者が移動する通路や、場合によってはフォークリフト等の車両が走行する通路が形成されている場合が多く、こうした通路を間に介してワークを搬送する場合には、上記作業者や車両の走行の妨げとならないように、通路の上方に搬送路を形成する場合が多い。こうした搬送路は、ワークを一旦上昇させる昇降装置や、上昇させたワークを搬送するコンベアが用いられ、また、コンベアの下流側には、ワークを下降させる昇降装置が用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、工場内に設けられている上記通路は、その場所によっては頻繁に作業者や車両が往来することが無い所も存在し、こうした通路においても、上述した昇降装置や通路の上方に配置された搬送路を設けることは、搬送装置全体としては極めて高額な設備費用を要しているのが実情である。
【0004】
そこで、本発明は、上述した従来のワーク搬送装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、間に通路が存在する場合であっても、極めて低コストにて、通路を挟んだ一方から他方にワークを搬送することができる新規なワーク搬送装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、上流側から搬送されたワークを支持する一方のワーク支持部材と、この一方のワーク支持部材と人や車両等が往来する通路を間に介して対峙してなるとともに該一方のワーク支持部材から供給されたワークを支持する他方のワーク支持部材と、上記一方のワーク支持部材を上記他方のワーク支持部材方向及びその逆方向に移送する移送装置と、を備え、上記移送装置は、上記他方のワーク支持部材側及びその逆方向に水平駆動する水平駆動部材と、この水平駆動部材の先端側に固定され上記一方のワーク支持部材を支持してなる伸縮部材と、を有してなり、上記水平駆動部材の駆動に伴う伸縮部材の伸張により他方のワーク支持部材方向に移動した一方のワーク支持部材から、上記他方のワーク支持部材にワークが供給されると、上記移送装置の駆動により上記伸縮部材が縮小し、一方のワーク支持部材が元の位置に復帰するよう構成されてなることを特徴とするものである。
【0006】
上記第1の発明では、間に人や車両等が往来する通路を間に介して一方及び他方のワーク支持部材が対峙している状態において、移送装置を構成する水平駆動部材が駆動すると、伸縮部材の伸張に伴いワークを支持した一方のワーク支持部材は、上記通路を横切って上記他方のワーク支持部材方向に移動し、該一方のワーク支持部材に支持されたワークは、他方のワーク支持部材に供給される。このように、ワーク方のワーク支持部材に供給されると、上記水平駆動部材の駆動により、上記伸縮部材の縮小に伴い一方のワーク支持部材は他方のワーク支持部材から離間する方向に移動し元の状態に復帰する。
【0007】
なお、上記伸縮部材は、先端側に一方のワーク支持部材が固定され、伸縮自在とされてなるものであれば、その具体的構成は特に限定されるものではなく、また、該伸縮部材の伸縮長さは、通路の幅に応じて適宜設定されれば良い。
【0008】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記伸縮部材は、前記一方のワーク支持部材が先端側に固定されてなるとともに前記水平駆動部材の駆動により前記他方のワーク支持部材方向及びその逆方向にスライド自在となされた第1のスライド部材と、この第1のスライド部材のスライドをガイドするとともに該第1のスライド部材と同方向にスライド自在となされた第2のスライド部材と、この第2のスライド部材のスライドをガイドするガイド部材と、上記第1のスライド部材の基端側に形成された第1の係合部と、上記第2のスライド部材の先端側に形成されてなるとともに第1のスライド部材が他方のワーク支持部材方向に移動することにより上記第1の係合部に係合する第2の係合部と、上記第2のスライド部材の基端側に形成されてなるとともに第1のスライド部材が他方のワーク支持部材方向とは逆方向に移動することにより上記第1の係合部に係合する第3の係合部と、を備え、上記第1及び第2のスライド部材は、上記ガイド部材に支持されてなることを特徴とするものである。
【0009】
この第2の発明では、水平駆動部材の駆動が開始すると、一方のワーク支持部材が先端側に固定された第1のスライド部材が通路を隔てて対峙した他方のワーク支持部材方向に第2のスライド部材にガイドされながらスライドし、この第1のスライド部材に形成された第1の係合部と第2のスライド部材に形成された第2の係合部とが互いに係合すると、該第2のスライド部材がガイド部材にガイドされながらスライドする。また、上記一方のワーク支持部材から他方のワーク支持部材にワークが供給されると、上記水平駆動部材方のワーク支持部材と離間する方向に駆動し、これにより第1のスライド部材がガイド部材方向に移動する。そして、上記第1の係合部と第3の係合部とが係合すると、第2のスライド部材がガイド部材にガイドされながら他方のワーク支持部材とは離間する方向にスライドし、一方のワーク支持部材が元の状態に復帰する。
【0010】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の何れかの発明において、前記一方のワーク支持部材は、上流側から搬送されたワークが転動することにより支持されるとともに前方側が低くなるよう傾斜してなる傾斜板部と、この傾斜板部の左右両側から起立してなる起立板部と、上記傾斜板部上に支持されたワークが前方に転動することを規制する規制部材とを備え、前記他方のワーク支持部材には、上記規制部材によるワークの転動の規制を解除する規制解除部材と、この規制解除部材により転動したワークを支持する支持板部と、この支持板部の左右両側から起立してなる起立板部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0011】
この第3の発明では、一方のワーク支持部材を構成する傾斜板部上に支持されたワークは、前記移送装置により他方のワーク支持部材側に移送される途中においては、上記規制部材によりワークが転動し該一方のワーク支持部材から脱落することなく、傾斜板部上で支持される。そして、さらに上記一方のワーク支持部材が他方のワーク支持部材側に移動し、上記規制解除部材によりワークの転動の規制が解除されると、ワークは自重で転動し、上記一方のワーク支持部材を構成する傾斜板部上から上記他方のワーク支持部材を構成する支持板部上に移動する。
【0012】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1,第2又は第3の発明の何れかにおいて、前記水平駆動部材は、細長状に成形された棒体であり、正逆回転するモータの駆動により回転するローラの外周面との接触により水平駆動するように構成されてなるとともに、前記一方のワーク支持部材が他方のワーク支持部材側に移動する際に障害物に当接した場合には、該水平駆動部材と上記ローラの周面とがスリップするよう構成されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第4の発明では、一方のワーク支持部材が他方のワーク支持部材側に移動する際に障害物に当接した場合には、該水平駆動部材と上記ローラの周面とがスリップするよう構成されてなるものであり、したがって、一方のワーク支持部材が障害物に当接した場合には、それ以上他方のワーク支持部材側に移動しない。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明(請求項1記載の発明)によれば、一方のワーク支持部材から他方のワーク支持部材にワークを移送する場合にのみ通路を横断することとなるので、ワークを移送しない状態においては、通路を通路として使用することができ、また、通路の上方を横断するように搬送装置を設けたり、その搬送装置にワークを載置するために昇降装置を設けたりする場合に比べて、設備コストを低減することができる。
【0015】
また、上記第2の発明(請求項2記載の発明)では、第1及び第2のスライド部材は、上記ガイド部材に支持されてなることから、一方のワーク支持部材により支持されるワークが比較的高荷重である場合であっても安定した状態で移送することができる。
【0016】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、一方のワーク支持部材を構成する傾斜板部上に支持されたワークは、前記移送装置により他方のワーク支持部材側に移送される途中においては、上記規制部材によりワークが転動し該一方のワーク支持部材から脱落することなく、傾斜板部上で支持され、さらに上記一方のワーク支持部材が他方のワーク支持部材側に移動し、上記規制解除部材によりワークの転動の規制が解除されると、ワークは自重で転動し、上記一方のワーク支持部材を構成する傾斜板部上から上記他方のワーク支持部材を構成する支持板部上に移動することから、極めて簡単な構成で一方のワーク支持部材から他方のワーク支持部材にワークを供給することができる。
【0017】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、一方のワーク支持部材が他方のワーク支持部材側に移動する際に障害物に当接した場合には、該水平駆動部材と上記ローラの周面とがスリップするよう構成されてなることから、それ以上一方のワーク支持部材が移動することがない。したがって、この第4の発明によれば、通路を往来する作業者の安全性を確保することができるとともに、このワーク搬送装置が故障し又は破損する危険性を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係るワーク搬送装置(以下、本装置と言うことがある。)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
この実施の形態に係るワーク搬送装置1は、工場等に設置されてなるものであり、図1に示すように、通路Pを間に介して互いに対峙してなる渡し装置2及び受け装置3とから構成されている。上記渡し装置2は、複数の線材4によりガイドされながら上流側から転動してきたワークWを支持するとともに、この支持したワークWを上記受け装置3に渡す機能を有してなるものであり、上記受け装置3は、上記渡し装置2から渡されたワークWを受け取る機能を有してなるものである。
【0020】
そして、上記渡し装置2は、工場等の床上に支持される図示しないベース板と、このベース板から起立してなる2つの支柱11,12と、これらの支柱11,12の上端に支持された伸縮部材13とを備えている。上記伸縮部材13は、図2に示すように、上記受け装置3側に伸張するとともに、元の状態に縮小するものであり、第1のスライド部材14と、この第1のスライド部材14をガイドする第2のスライド部材15と、この第2のスライド部材15をガイドするガイド部材16とから構成されている。上記第1のスライド部材14,第2のスライド部材15及びガイド部材16はそれぞれ略同じ長さに成形されてなるものであり、全体が伸張した場合には、縮小した長さの略二倍の長さとされるものである。そして、上記ガイド部材16は、上記支柱11,12の上端に水平に固定されてなるものであり、上記第2のスライド部材15をスライド可能に支持している。なお、上記ガイド部材16の後端には、第2のスライド部材15の後端が当接する当接片16aが形成されている。また、上記第2のスライド部材15は、上記ガイド部材16の右側にスライド自在に支持されてなるものである。また、上記第1のスライド部材14は、上記第2のスライド部材15の右側にスライド自在に支持されてなるものである。なお、この第1のスライド部材14の後端側には、第1の係合部14aが形成され、上記第2のスライド部材15の前端側には、上記第1のスライド部材14が伸張された際に第1の係合部14aに係合する第2の係合部15aが形成され、また、該第2のスライド部材15の後端側には、第1のスライド部材14が後方にスライドした際に上記第1の係合部14aに係合する第3の係合部14bが形成されている。
【0021】
そして、上記第1のスライド部材14の先端には、固定金具10を介して、一方のワーク支持部材17が固定されている。この一方のワーク支持部材17は、上記複数の線材4によりガイドされながら上流側から転動してきたリング状のワークWを支持する部材である。そして、上記一方のワーク支持部材17は、図1又は図3に示すように、上面で上記ワークWを支持する底板18と、この底板18の左側から起立してなる左起立板19と、上記底板18の右側から起立してなる右起立板20と、上記底板18の上方に固定されてなる天板21を備えている。すなわち、上記一方のワーク支持部材17には、上記底板18,左起立板19,右起立板20及び天板21により内部に上流側から転動してきたワークWが背面側から収容される収容空間が形成されており、正面側及び背面側は開放されている。なお、上記ワークWが収容される上記底板18は、上記線材4によりガイドされながら上流側から転動してきた上記ワークWが支持される部位であり、該底板18の上面には、後端側よりも前端側が低くなるよう傾斜してなる傾斜面18aが形成されている(図3又は図4参照)。そして、上記天板21の正面には、図4に示すように、L字状に成形された固定金具22を介して規制部材23が支軸24を中心に回動自在に配置されている。この規制部材23は、平常時においては、上記傾斜した底板18上に支持されたワークWの正面側に位置し、該ワークWが上記一方のワーク支持部材17から転動して脱落することを規制するものである。
【0022】
また、上記固定金具10の左側面には、先端が上記第1のスライド部材14の先端よりもさらに受け装置3側に突出してなる位置決め棒25と、該第1のスライド部材14と平行に配置されたスライド駆動軸26の先端とが固定されている。なお、このスライド駆動軸26は、本発明を構成する水平駆動部材である。一方、上記ガイド部材16には、固定板27を介して駆動モータ28が固定されている。上記固定板27は、図3又は図5に示すように、上記ガイド部材16の下方に位置してなる水平板部27aと、この水平板部27aの左端から垂直に折曲されてなる2つの垂直板部27b,27cとから構成され、上記2つの垂直板部27b,27cの上端側が上記ガイド部材16の左側面に固定されている。また、この固定板27を構成する水平板部27aには、図6に示すように、円形状の開口27dが穿設され、上記駆動モータ28は、減速機29を介して水平板部27aに固定されてなるとともに、該減速機29を構成する駆動軸29aは、この開口27dの下側から上側に挿通されている(図6参照)。また、上記駆動モータ28は、正転及び逆転するモータであり、上記駆動軸29aには、駆動ローラ30が固定されており、この駆動ローラ30の周面は上記スライド駆動軸26の左側面に接触している。
【0023】
また、上記固定板27を構成する水平板部27a上には、図4に示すように、第1の従動ローラ31が、該水平板部27aに下端が固定された支軸32に回動自在に軸支されており、この第1の従動ローラ31の後方には、第2の従動ローラ33が該水平板部27aに下端が固定された支軸32に回動自在に軸支されている。そして、これら第1及び第2の従動ローラ31,33の外周面は、上記スライド駆動軸26の右側面に接触している。すなわち、上記スライド駆動軸26は、該スライド駆動軸26の左側に配置された駆動ローラ30と、右側に配置された第1及び第2の従動ローラ31,33とにより挟まれた状態とされている。また、上記駆動モータ28の上方には、図3に示すように、上記一方のワーク支持部材17内にワークWが収容されたことを検出する第1のセンサ36が配置されている。また、上記水平板部27aであって、上記第1の従動ローラ31の隣には、後述するよう示すように、受け装置3側に移動した状態から再び図1に示す状態に復帰したことを検出する第2のセンサ37が配置され、また、上記第2の従動ローラ33の隣には、図1に示す状態から一方のワーク支持部材17が受け部材3側に移動し、図2に示す状態となったことを検出する第3のセンサ38が配置されている。なお、本装置1では、上記第1ないし第3のセンサ36,37,38及び上記駆動モータ28は、図示しない制御盤に接続され、該第1ないし第3のセンサ36,37,38による各種の検出により上記駆動モータ28の制御がされるように構成されている。
【0024】
したがって、上記多数の線材4によりガイドされながら上流側から転動してきたワークWが、上記一方のワーク支持部材17内に収容され、そのことが上記第1のセンサ36により検出されると、上記駆動モータ28が正転駆動する。なお、この状態においては、上記一方のワーク支持部材17内に収容されたワークWは、上記規制部材23の裏面に当接している。そして、上記駆動モータ28が正転駆動すると、上記スライド駆動軸26が図1に示す受け装置3側に前進移動することから、該スライド駆動軸26の先端が固定されている上記第1のスライド部材14も上記第2のスライド部材15にガイドされながら前方に移動する。そして、上記第1のスライド部材14が前方に移動することによって、該第1のスライド部材14の後端側に形成された第1の係合片14aと、第2のスライド部材15の前端側に形成された第2の係合片15aとが係合すると、該第2のスライド部材15も前方に移動する。言うまでもなく、このように第1のスライド部材14の移動により、図2に示すように、内部にワークWが収容された一方のワーク支持部材17も上記受け装置3側に移動する。このようにして、図1に示す状態から図2に示す状態までスライド駆動軸26が移動し、上記第3のセンサ38により該スライド駆動軸26の後端が検出されると、それまで正転駆動していた駆動モータ28は、逆転駆動する。この駆動モータ28の逆転駆動により、上記スライド駆動軸26は徐々に後方に移動し、やがて図1に示す状態まで移動し、上記第2のセンサ37により該スライド駆動軸26の先端側が検出されると、上記駆動モータ28は停止する。
【0025】
次に、上記受け装置3に付いて詳細に説明する。この受け装置3は、工場等の床上に支持される図示しないベース板と、このベース板から起立してなる支柱41(図1参照)と、この支柱41の上端に固定された固定部材42と、この固定部材42に固定された他方のワーク支持部材43とを備えている。上記他方のワーク支持部材43は、ワークWを支持する支持部材44(図8参照)と、この支持部材44の左側から起立してなる左起立板45と、該支持部材44の右側から起立してなる右起立板46とから構成されている。なお、上記支持部材44は、下流側が低くなるよう傾斜している。そして、上記左起立板45には、上記動作により徐々に接近してくる一方のワーク支持部材17に配置された規制部材23を回動させる規制解除部材48が固定されている。また、上記左起立板45の近傍には、上記位置決め棒25が挿入される挿入空間が形成された筒状位置決め部材49が固定されている。なお、本装置1では、上記筒状位置決め部材49の先端側はラッパ状に成形され、上記位置決め棒25の先端がこの筒状位置決め部材49内に確実に挿入されるように構成されている。
【0026】
したがって、上述した動作により上記一方のワーク支持部材17が、図1に示す通路Pを横断するように、他方のワーク支持部材43方向に接近(前進)し、図9に示す位置に到達し、さらに前進すると、先ず、上記規制解除部材48の先端側により、それまで垂下した状態とされていた規制部材23が回動され、さらに上記一方のワーク支持部材17が他方のワーク支持部材43に近接すると、図10に示すように、上記規制部材23は完全にワークWの前方から逃げた状態となり、これによりワークWは上記傾斜した底板18の傾斜面18a上から上記他方のワーク支持部材43を構成する支持部材44上に転動する。すなわち、ワークWは、上記渡し装置2を構成する一方のワーク支持部材17から、受け装置3を構成する他方のワーク支持部材43に渡される。そして、上記第3のセンサ38によりスライド駆動軸26の後端が検出されると、前述した通り、駆動モータ28はそれまで正転駆動していた状態から逆転駆動し、これによって、上記一方のワーク支持部材17は、他方のワーク支持部材43から離間する。このとき、それまで上記規制解除部材48の先端側により回動され逃がされていた規制部材23は、自重により上記支軸24を中心に再び回動し、図9に示す状態に復帰する。また、上記一方のワーク支持部材17の後退、すなわち第1のスライド部材14の後退が進み、やがて該第1のスライド部材14の後端側に形成された第2の係合部材14bと、第2のスライド部材15後端側に形成されている第3の係合部材15aとが係合することにより、第1のスライド部材14と第2のスライド部材15とは一緒にガイド部材16にガイドされながら後退する。そして、上記第2のスライド部材15の後端とガイド部材16に形成された当接片16aとが当接すると同時に上記第2のセンサ37により上記スライド駆動軸26の先端側が検出されると、それまで逆転駆動していた駆動モータ28が停止し、本装置1全体が図1に示す初期状態に復帰する。
【0027】
したがって、上述した実施の形態に係るワーク搬送装置1によれば、上記渡し装置2を構成する一方のワーク支持部材17から受け装置3を構成する他方のワーク支持部材43にワークWを移送する場合にのみ通路Pを横断することとなるので、ワークWを移送しない状態においては、通路Pを通路Pとして使用することができ、また、通路Pの上方を横断するように搬送装置を設けたり、その搬送装置にワークを載置するために昇降装置を設けたりする場合に比べて、設備コストを大幅に低減することができる。特に、本装置1では、ガイド部材16,第1のスライド部材14及び第2のスライド部材15からなる伸縮部材13を構成要素としていることから、通路Pの幅が長い場合であっても、渡し装置2全体をコンパクト化することができる。
【0028】
なお、上記実施の形態に係るワーク搬送装置1では、上記受け装置3を構成する他方のワーク支持部材43に支持された後におけるワークWの搬送方法に付いては説明していないが、該ワークWが自重で転動する図示しない搬送路を接続しても良いし、或いは、図示しない昇降装置により、該ワークWを上昇させるもの、さらには、該ワークWを加工する図示しない加工装置に供給されるものであっても良い。また、この本装置1の通路Pに、該通路Pを走行する作業者やフォークリフトを検出する検出センサを設け、この検出センサにより、上記駆動モータ28の駆動を停止させるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係るワーク搬送装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すワーク搬送装置を構成する一方のワーク支持装置が移動した状態を示す斜視図である。
【図3】渡し装置を示す正面図である。
【図4】渡し装置を示す右側面図である。
【図5】渡し装置を示す左側面図である。
【図6】渡し装置を示す平面図である。
【図7】受け装置を拡大して示す斜視図である。
【図8】受け装置を構成する他方のワーク支持部材の正面図である。
【図9】一方のワーク支持部材が他方のワーク支持部材に接近した状態を示す斜視図である。
【図10】一方のワーク支持部材と他方のワーク支持部材とが合体しワークが受け渡された後の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ワーク搬送装置
13 伸縮部材
14 第1のスライド部材
15 第2のスライド部材
16 ガイド部材
17 一方のワーク支持部材
18 底板
19 左起立板
20 右起立板
21 天板
24 規制部材
26 スライド駆動軸
28 駆動モータ
43 他方のワーク支持部材
48 規制解除部材
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から搬送されたワークを支持する一方のワーク支持部材と、この一方のワーク支持部材と人や車両等が往来する通路を間に介して対峙してなるとともに該一方のワーク支持部材から供給されたワークを支持する他方のワーク支持部材と、上記一方のワーク支持部材を上記他方のワーク支持部材方向及びその逆方向に移送する移送装置と、を備え、
上記移送装置は、上記他方のワーク支持部材側及びその逆方向に水平駆動する水平駆動部材と、この水平駆動部材の先端側に固定され上記一方のワーク支持部材を支持してなる伸縮部材とを有してなり、
上記水平駆動部材の駆動に伴う伸縮部材の伸張により他方のワーク支持部材方向に移動した一方のワーク支持部材から、上記他方のワーク支持部材にワークが供給されると、上記移送装置の駆動により上記伸縮部材が縮小し、一方のワーク支持部材が元の位置に復帰するよう構成されてなることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記伸縮部材は、前記一方のワーク支持部材が先端側に固定されてなるとともに前記水平駆動部材の駆動により前記他方のワーク支持部材方向及びその逆方向にスライド自在となされた第1のスライド部材と、この第1のスライド部材のスライドをガイドするとともに該第1のスライド部材と同方向にスライド自在となされた第2のスライド部材と、この第2のスライド部材のスライドをガイドするガイド部材と、上記第1のスライド部材の基端側に形成された第1の係合部と、上記第2のスライド部材の先端側に形成されてなるとともに第1のスライド部材が他方のワーク支持部材方向に移動することにより上記第1の係合部に係合する第2の係合部と、上記第2のスライド部材の基端側に形成されてなるとともに第1のスライド部材が他方のワーク支持部材方向とは逆方向に移動することにより上記第1の係合部に係合する第3の係合部と、を備え、上記第1及び第2のスライド部材は、上記ガイド部材に支持されてなることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記一方のワーク支持部材は、上流側から搬送されたワークが転動することにより支持されるとともに前方側が低くなるよう傾斜してなる傾斜板部と、この傾斜板部の左右両側から起立してなる起立板部と、上記傾斜板部上に支持されたワークが前方に転動することを規制する規制部材とを備え、
前記他方のワーク支持部材には、上記規制部材によるワークの転動の規制を解除する規制解除部材と、この規制解除部材により転動したワークを支持する支持板部と、この支持板部の左右両側から起立してなる起立板部とを備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかのワーク搬送装置。
【請求項4】
前記水平駆動部材は、細長状に成形された棒体であり、正逆回転するモータの駆動により回転するローラの外周面との接触により水平駆動するように構成されてなるとともに、前記一方のワーク支持部材が他方のワーク支持部材側に移動する際に障害物に当接した場合には、該水平駆動部材と上記ローラの周面とがスリップするよう構成されてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の何れかのワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−182472(P2006−182472A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375963(P2004−375963)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000162179)共立工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】