説明

ワーク搬送装置

【課題】混流ラインから同一種類のワークを複数個揃えた状態で次工程へ搬送することのできる搬送装置を安価に提供する。
【解決手段】2種類以上のワークWが混在した状態で前工程から搬送される単列搬送手段11から、同じ種類のワークWを所定個数まとめて取り出して、次工程に供給するものであって、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別する判別手段13と、単列搬送手段11の終端に到達したワークWを受け入れ可能な受け入れ手段14と、受け入れ手段14に受け入れられた同一種類のワークWが所定個数分揃ったときに、所定個数のワークWをまとめて受け入れ手段14から次工程に移載可能な移載手段15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送装置に関し、特に単列の搬送ライン上に混在した状態で搬送される複数種類のワークを複数個揃えた状態で取り出し、次工程へと移載するワーク搬送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の加工工程を具備し、これらの加工工程でワークを順次加工する類の加工ラインにおいては、前工程で加工されたワークを次工程に搬送するのに、通常、ワークを載置した状態で所定のライン上を搬送する搬送コンベア等の搬送手段が採用されている。また、前工程から次工程までの距離が短い、次工程への供給態様(載置する向き)が前工程のそれと異なる等の事情がある場合など、ロボットアームを用いてワークを前工程から次工程へと移載する手段も採用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、前工程から複数種類のワークを夫々搬送する複数本の搬送コンベアが並列配置されたワーク加工ラインにおいて、上記各々の搬送コンベア上のワークを、ホストコンピュータからの指令に基づき、ロボットアームにより所定の順序で取り出して、次工程に係る加工設備に投入する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−192884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、加工ラインが、複数種類のワークが混在した状態で搬送されるいわゆる混流ラインを含む場合、次工程がワークを1個ずつ加工するような加工機(加工工程)であれば、混流ラインからそのままコンベア等で次工程へと搬送すればよいが、例えばタクトタイムや生産管理を適切に行う観点から、次工程に設置された加工機においてワークを2個1組で加工することが要求される場合がある。このような場合、搬送コンベアで搬送されてきたワークを、次工程に係る加工機へ投入する前に、同一種類のワークを2個1組に揃える必要があり、例えば下記のような搬送システムが提案されている。
【0006】
すなわち、図4に示すように、2種類のワークWが混在する搬送コンベア101から次工程へのワーク供給ライン102に、同一種類のワークWを2個1組で移載するに際し、搬送コンベア101の終端とワーク供給ライン102の始端とを可動域(図4中、二点鎖線で示す領域内)に含めるロボットアーム103が設置されており、同じくこの可動域内にワークWを仮置きするためのワーク仮置き台104が設置されている。また、搬送コンベア101の終端には、当該終端へ流れてきたワークWの種類を検知する検知手段105が設置されている。
【0007】
以上のような構成を有する搬送システムにおいて、ワーク仮置き台104及びワーク供給ライン102上にワークWが存在しない状態において、搬送コンベア101の終端に流れてきたワークWの種類を検知手段105により検知する。そして、検知したワークWをロボットアーム103で把持し、ワーク仮置き台104の空いているスペースに載置する(図4中、丸囲み数字1の動作)。そして、次に搬送コンベア101の終端に流れてきたワークWの種類を検知手段105で検知し、直前に検知したワークWと同じ種類であれば、これをロボットアーム103によりワーク供給ライン102上の載置スペースに載置する。直前に検知したワークWと異なる種類であれば、これをロボットアーム103によりワーク仮置き台104の空いているもう一方の載置スペースに載置する(図4中、丸囲み数字2の動作)。そして、続いて搬送コンベア101の終端に流れてきたワークWの種類を検知手段105で検知し、ロボットアーム103でワーク供給ライン102上の載置スペースに載置した後(図4中、丸囲み数字3の動作)、直前に検知した(ワーク供給ライン102上の載置スペースに載置した)ワークWと同じ種類のワークWをロボットアーム103によりワーク供給ライン102の空いている側の載置スペースに載置する(図4中、丸囲み数字4で示す動作)。これにより、同一種類のワークWが2個1組の状態で、ワーク供給ライン102に供給される。
【0008】
しかしながら、上述した作業のためには非常に高価なロボットアームを設置する必要があるため、設置コストの高騰が懸念される。また、上述のように、ワークが流れてくる順序によっては、非常に煩雑な動作をロボットアームに課すことになるため、移載までに要する時間がばらつき、また移載動作に多大な無駄が生じることになり、また移載に要する時間にばらつきが生じることになる。そのため、生産効率の面にも悪影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
以上の事情に鑑み、高価なロボットアームを使用することなく、かつ生産効率を低下させることなく、混流ラインから同一種類のワークを複数個揃えた状態で次工程へ搬送することのできる搬送装置を安価に提供することを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題の解決は、本発明に係るワーク搬送装置により達成される。すなわち、この搬送装置は、2種類以上のワークが混在した状態で前工程から搬送される単列搬送手段から、同じ種類のワークを所定個数まとめて取り出して、次工程に供給するワーク搬送装置であって、単列搬送手段の終端に到達したワークの種類を判別する判別手段と、単列搬送手段の終端に到達したワークを受け入れ可能な受け入れ手段と、受け入れ手段に受け入れられた同一種類のワークが所定個数分揃ったときに、所定個数のワークをまとめて受け入れ手段から次工程に移載可能な移載手段とを備え、受け入れ手段は、各種類のワークごとに、各種類のワークのみを受け入れ可能な固有受け入れ部を有すると共に、異なる2種類の固有受け入れ部の間に配設され、隣接するそれぞれの固有受け入れ部に対応するワークの何れをも受け入れ可能な共有受け入れ部を有し、判別手段で判別したワークの種類に基づいて、受け入れ手段を単列搬送手段に対して移動させ、ワークの種類に対応する固有又は共有受け入れ部を単列搬送手段の終端に隣接させるようにした点をもって特徴付けられる。
【0011】
以下、本発明の作用効果を図1を参照して説明する。上述のように構成したワーク搬送装置10において、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別手段13により判別する。そして、判別したワークWの種類に基づいて、受け入れ手段14を単列搬送手段11に対して移動させて、上記ワークWの種類に対応する固有受け入れ部19Aを単列搬送手段11の終端に隣接させることにより、当該隣接させた固有受け入れ部19Aで上記ワークWを受け入れる。次に、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別し、直前に判別したワークWと同じ種類であれば、これを当該同じ種類の固有受け入れ部19Aで受け入れ、当該固有受け入れ部19Aが既にワークWを受け入れている場合にはこの固有受け入れ部19Aに隣接する共有受け入れ部19Bで受け入れる。このようにして、同一種類のワークWが所定の個数(図1では2個)揃ったとき、当該所定個数のワークWを移載手段15によりまとめて取り出し、受け入れ手段14から次工程(へのワーク供給ライン12)に移載する。これにより、同じ種類のワークWが所定個数にまとまった状態で次工程に供給される。
【0012】
また、判別したワークWの種類が、直前に判別したワークWと異なる種類であれば、これを対応する種類の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そうして、次に単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別し、このワークWを相異なる種類の固有受け入れ部19A,19Aの間の共有受け入れ部19Bで受け入れる。このようにして、同一種類のワークWが、共有受け入れ部19B及び対応する固有受け入れ部19Aで受け入れられた状態となるので、これら所定の個数揃った状態のワークWを移載手段15によりまとめて取り出し、受け入れ手段14から次工程に移載する。これにより、同じ種類のワークWが所定個数にまとまった状態で次工程に供給される。
【0013】
以上のように、本発明によれば、固有受け入れ部及び共有受け入れ部を有する受け入れ手段をワークの種類に応じて移動させて、対応する受け入れ部に受け入れるようにするだけで、前工程からの単列搬送手段から、ワークを所定個数1組に揃えた状態で次工程に係るワーク供給ラインに搬送することができる。そのため、ロボットアームのような高価なマニピュレータを用いなくても、比較的単純な動作を行う機構(受け入れ手段、移載手段)のみでワーク搬送装置を構築することができ、当該搬送装置を安価に提供することができる。また、上述のように、複数種類のワークがどのような順序で流れてきても、対応する受け入れ部で受け入れ可能なように受け入れ手段を移動させれば足り、また、移載手段も同じ種類のワークが所定個数揃ったときに当該所定個数のワークをまとめて受け入れ手段から次工程まで移載するだけの動作で足りる。そのため、非常に煩雑な動作を要するロボットアームに比べて、移載に係る動作は少なく、当該動作に要する時間も短くて済む。従って、タクトタイムの改善を図り、これにより生産効率を高めることが可能となる。
【0014】
また、各種類の固有受け入れ部はそれぞれ、所定個数より1個少ない数だけ並べた状態に配設されていてもよい。
【0015】
上述のように構成したワーク搬送装置であれば、固有受け入れ部及び共有受け入れ部の総数を、ひとまとめで次工程に移載するワークの個数に応じて、必要最小限の数に留めることができる。そのため、ワークの受け入れ動作(受け入れ手段の移動動作)をできる限り少なくして、受け入れ動作に要する時間を短縮することができる。これにより、さらなるタクトタイムの改善、及び生産効率の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係るワーク搬送装置によれば、高価なロボットアームを使用することなく、かつ生産効率を低下させることなく、混流ラインから同一種類のワークを複数個揃えた状態で次工程へ搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るワーク搬送装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るワーク搬送装置の全体構成を示す平面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るワーク搬送装置の全体構成を示す平面図である。
【図4】ロボットアームを具備したワーク搬送装置の全体構成及び動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るワーク搬送装置の第1実施形態を図1に基づき説明する。なお、この実施形態では、ワークとして自動車エンジンの構成部品であるコンロッドをワークとし、このワークを前工程から次工程に搬送する場合を例にとって説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るワーク搬送装置10は、2種類のワークWが混在した状態で前工程から搬送される単列搬送手段11から、同じ種類のワークWを2個まとめて取り出して、次工程に係るワーク供給ライン12に供給するための装置である。そして、このワーク搬送装置10は、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別する判別手段13と、単列搬送手段11の終端に到達したワークWを受け入れ可能な受け入れ手段14と、受け入れ手段14に受け入れられた同一種類のワークWが2個揃ったときに、当該2個のワークWをまとめて受け入れ手段14から次工程に係るワーク供給ライン12上に移載可能な移載手段15とを備える。
【0020】
ここで、単列搬送手段11は例えばコンベア等で構成されており、単列搬送手段11の終端側方には、当該終端に到達したワークWの種類を判別するための判別手段13が配設される。この判別手段13は、予めワークWもしくはワークWの載置台(図示は省略)に設けたバーコード等のワーク情報を記憶させた媒体と、この媒体に記憶された情報を読み取るためのリーダー等とで構成しても良く、あるいはカメラ等で撮像した画像を解析することでその種類を判別するのに必要な要素(カメラ、解析装置)で構成してもよい。また、単列搬送手段11の終端に隣接する位置には、上記終端に到達したワークWを受け入れ手段14に引き込むための引き込み手段17が配設されている。この引き込み手段17はローラ等で構成することができる。
【0021】
受け入れ手段14は、引き込み手段17を介して単列搬送手段11の終端に隣接しており、単列搬送手段11に対して所定の方向、この実施形態では水平面内で直交する向きに往復移動できるように構成されている。ここで、受け入れ手段14は、上記往復移動可能なテーブル18と、このテーブル18上に配設され、2種類のワークWごとに、各種類のワークWのみを受け入れ可能な2種類の固有受け入れ部19A,19Aと、異なる2種類の固有受け入れ部19A,19Aの間に配設され、隣接するそれぞれの固有受け入れ部19Aに対応するワークWの何れをも受け入れ可能な共有受け入れ部19Bとを有する。この実施形態では、図1に示すように、各種類の固有受け入れ部19Aがそれぞれ1個ずつテーブル18の左端と右端に配設されると共に、1個の共有受け入れ部19Bがテーブル18の中央に配設されている。すなわち、3個の受け入れ部19A,19Bがテーブル18の往復移動方向に沿って並列している。また、各受け入れ部19A,19Bには、引き込み手段17を介して単列搬送手段11から引き込まれたワークWを所定位置に案内ないし保持するための保持部20が設けられている。
【0022】
移載手段15は、この実施形態では、テーブル18の往復移動方向に沿って伸びるガイドレール21と、このガイドレール21上を往復移動するスライダ22とで構成される。また、スライダ22には、受け入れ手段14の各受け入れ部19A,19Bに収容された(受け入れられた)状態のワークWを把持して当該受け入れ部19A,19Bから取り出すための把持部23が設けられている。この把持部23は、移載手段15によりひとまとめで次工程に係るワーク供給ライン12上に移載すべきワークWの個数(ひとまとまりの個数)と同数だけ設けられる。この実施形態でいえば、同一種類のワークWを2個ひとまとめで次工程に係るワーク供給ライン12上に移載することから、2個の把持部23がスライダ22に一体的に設けられている。また、これに合わせて、次工程に係るワーク供給ライン12の始端には、2個のワークWをまとめて載置可能な載置部16(パレット等)が配置されている。以上より、この移載手段15のスライダ22は、受け入れ手段14の位置によらず全ての受け入れ部19A,19Bに受け入れられた状態のワークWを2個まとめて把持でき、かつ、次工程に係るワーク供給ライン12上の載置部16にワークWを2個まとめて載置できるように、その可動範囲(スライド可能な範囲)が設定されている。
【0023】
以下、本実施形態に係るワーク搬送装置10の移載動作の一例を説明する。
【0024】
まず、何れの固有受け入れ部19A、共有受け入れ部19BにもワークWは収容されていない(受け入れられていない)状態において、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を当該終端の側方に配置した判別手段13により判別する。そして、判別したワークWの種類に基づいて、受け入れ手段14をスライドさせて、上記ワークWの種類に対応する一方の固有受け入れ部19A、例えば左端の固有受け入れ部19Aを単列搬送手段11の終端に隣接させることにより、引き込み手段17を介して、当該隣接させた固有受け入れ部19Aで上記ワークWを受け入れる。次に、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別手段13で判別し、直前に判別したワークWと同じ種類であれば、受け入れ手段14をスライドさせて、このワークWを、テーブル18の中央に位置する共有受け入れ部19Bで受け入れる。このようにして、同一種類のワークWがテーブル18左端の固有受け入れ部19Aとこの固有受け入れ部19Aに隣接する共有受け入れ部19Bとにそれぞれ受け入れられた状態となる。言い換えると、同一種類のワークWが2個横並びに揃った状態となる。このとき、移載手段15のスライダ22を、2個揃った状態のワークW上方まで移動させ、これら2個揃った状態のワークWをスライダ22に取り付けられた2個の把持部23でそれぞれ把持し、各受け入れ部19A,19Bから取り出す。そして、スライダ22を、次工程に係るワーク供給ライン12の載置部16上まで移動させ、当該載置部16に2個のワークWを横並び状態のまま載置する。これにより、同じ種類のワークWが2個にまとまった状態で次工程に係る加工装置(ワーク供給ライン12の下流側に位置する)に供給される。
【0025】
また、判別したワークWの種類が、直前に判別したワークWと異なる種類であれば、受け入れ手段14をスライドさせて、このワークWを対応する種類の他方の固有受け入れ部19A、ここではテーブル18右端の空の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そうして、さらにその次に単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別手段13で判別した上で、受け入れ手段14をスライドさせて、このワークWを、テーブル18中央の共有受け入れ部19Bで受け入れる。この際、判別手段13により判別した、共有受け入れ部19Bで受け入れたワークWの種類が、テーブル18右端の固有受け入れ部19Aで受け入れたワークW(1個前に受け入れたワークW)と同じであれば、移載手段15のスライダ22を、これら右端の固有受け入れ部19Aと共有受け入れ部19Bの上方まで移動させ、横並びで2個揃った状態のワークWをスライダ22に取り付けられた2個の把持部23でそれぞれ把持し、各受け入れ部19A,19Bから取り出す。あるいは、共有受け入れ部19Bで受け入れたワークWの種類が、テーブル18左端の固有受け入れ部19Aで受け入れたワークW(2個前に受け入れたワークW)と同じであれば、移載手段15のスライダ22を、これら左端の固有受け入れ部19Aと共有受け入れ部19Bの上方まで移動させ、横並びで2個揃った状態のワークWをスライダ22に取り付けられた2個の把持部23でそれぞれ把持し、各受け入れ部19A,19Bから取り出す。そして、何れの場合も、スライダ22を、次工程に係るワーク供給ライン12の載置部16上まで移動させ、当該載置部16に2個のワークWを横並び状態のまま載置する。これにより、同じ種類のワークWが2個にまとまった状態で次工程に係る加工装置(ワーク供給ライン12の下流側に位置する)に供給される。
【0026】
以上のように、本発明に係るワーク搬送装置10によれば、2種類のワークWに対応した固有受け入れ部19A,19A、及び共有受け入れ部19Bを有する受け入れ手段14をワークWの種類に応じて適宜スライドさせて、単列搬送手段11の終端に到達したワークWを受け入れるとと共に、移載手段15に設けたスライダ22を往復させて、何れか一方の固有受け入れ部19Aとこれに隣接する共有受け入れ部19Bに受け入れられた2個のワークWをまとめて取り出し、次工程に係るワーク供給ライン12上に載置するだけの動作で、前工程からの単列搬送手段11から、ワークWを2個揃えた状態で次工程に係るワーク供給ライン12に搬送することができる。そのため、ロボットアームのような高価なマニピュレータを用いなくても、比較的単純な動作を行う機構(受け入れ手段14、移載手段15)のみでワーク搬送装置10を安価に構築することができる。また、上述のように、2種類のワークWがどのような順序で流れてきても、受け入れ手段14のテーブル18を、最大で1個の固有受け入れ部19A及び共有受け入れ部19Bの幅方向寸法分だけスライドさせれば足り、また、移載手段15についても、把持部23を取り付けたスライダ22を、任意の受け入れ部19A,19Bの上方までガイドレール21上を直動し、然る後、往復するように、次工程に係るワーク供給ライン12の上方まで直動するだけの動作で足りる。そのため、非常に煩雑かつ多大な3次元動作を要するロボットアームに比べて、移載に係る動作は少なく、当該動作に要する時間も短くて済む。従って、タクトタイムの改善を図り、これにより生産効率を高めることが可能となる。
【0027】
また、この実施形態では、まとめ取りするワークWの個数(2個)より1個少ない数の固有受け入れ部19A,19Aが、共有受け入れ部19Bを介してその両側に配設されるようにしたので、同一種類のワークWが2個揃う際の受け入れ動作の際、受け入れ可能な受け入れ部19A,19Bは1個に限られる。言い換えると、余剰となる受け入れ部19A,19Bは生じない。これにより、受け入れ手段14の可動スペースをなるべく小さくして、受け入れ動作に要する時間、あるいは、移載手段15で2個揃った状態のワークWを取りに来るのに要する時間を短縮することができる。これにより、さらなるタクトタイムの改善、及び生産効率の向上を図ることが可能となる。
【0028】
以下、本発明に係るワーク搬送装置の第2実施形態を図2に基づき説明する。
【0029】
本発明の第2実施形態に係るワーク搬送装置10は、3種類のワークWが混在した状態で搬送されてくる場合に、当該単列搬送手段11から、同じ種類のワークWを2個まとめて取り出して、次工程に係るワーク供給ライン12に供給することを想定したものである。従い、この実施形態に係るワーク搬送装置10は、以下の点で第1実施形態に係るワーク搬送装置10と相違する。すなわち、図2に示すように、このワーク搬送装置10の受け入れ手段14のテーブル18上には、3種類のワークWごとに、各種類のワークWのみを受け入れ可能な3種類の固有受け入れ部19A,19A,19Aが1個ずつ配設されると共に、異なる2種類の固有受け入れ部19A,19Aの間に配設され、隣接するそれぞれの固有受け入れ部19Aに対応するワークWの何れをも受け入れ可能な共有受け入れ部19Bが2個配設される。言い換えると、図2に示すように、各種類の固有受け入れ部19Aがそれぞれテーブル18の左端と中央と右端に1個ずつ配設されると共に、2個の共有受け入れ部19Bがそれぞれ左端と中央の固有受け入れ部19A,19Aの間、および中央と右端の固有受け入れ部19A,19Aの間に配設される。
【0030】
この場合も、まず、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別し、判別したワークWの種類に基づいて、このワークWを対応する固有受け入れ部19A、例えばテーブル18中央の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そして、次に、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類が、直前に判別したワークWと同じ種類であれば、このワークWを、直前にワークWを受け入れた固有受け入れ部19Aと隣接する側の共有受け入れ部19B、ここでは双方何れかの共有受け入れ部19Bで受け入れる。また、判別したワークWの種類が、直前に判別したワークWと異なる種類であれば、このワークWを対応する種類の固有受け入れ部19A、例えばテーブル18右端の空の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そうして、さらにその次に単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別し、先に受け入れた何れのワークWとも異なる種類である場合には、残りの固有受け入れ部19A、例えばテーブル18左端の空の固有受け入れ部19Aで受け入れる。あるいは、先に受け入れた何れかのワークWと同じ種類の場合には、このワークWを、上記先に同一種類のワークWを受け入れた固有受け入れ部19Aに隣接する側の共有受け入れ部19Bで手段14をスライドさせて、このワークWを、テーブル18中央の共有受け入れ部19Bで受け入れる。このように、ワークWの受け入れ動作を選択実施することで、3種類のうち何れか1種類のワークWが2個横並びに揃った状態となるので、これら2個揃った状態のワークWを移載手段15の把持部23で把持し、各固有受け入れ部19A及び共有受け入れ部19Bから取り出す。そして、スライダ22を、次工程に係るワーク供給ライン12の載置部16上まで移動させ、当該載置部16に2個のワークWを横並び状態のまま載置する。これにより、同じ種類のワークWが2個にまとまった状態で次工程に係る加工装置(ワーク供給ライン12の下流側に位置する)に供給される。
【0031】
以上のように、この実施形態に係るワーク搬送装置10であれば、3種類のワークWが混在して搬送される単列搬送手段11から、同一種類のワークWを2個揃えた状態で取り出し、これをまとめて次工程に係る加工装置に供給することができる。
【0032】
以下、本発明に係るワーク搬送装置の第3実施形態を図3に基づき説明する。
【0033】
本発明の第3実施形態に係るワーク搬送装置10は、2種類のワークWが混在した状態で搬送されてくる場合に、当該単列搬送手段11から、同じ種類のワークWを3個まとめて取り出して、次工程に係るワーク供給ライン12に供給することを想定したものである。従い、この実施形態に係るワーク搬送装置10は、以下の点で第1又は第2実施形態に係るワーク搬送装置10と相違する。すなわち、図3に示すように、このワーク搬送装置10の受け入れ手段14のテーブル18上には、2種類のワークWごとに、各種類のワークWのみを受け入れ可能な2種類の固有受け入れ部19A,19Aが2個ずつ並べた状態に配設されると共に、異なる2種類の固有受け入れ部19A,19Aの間に配設され、隣接するそれぞれの固有受け入れ部19Aに対応するワークWの何れをも受け入れ可能な共有受け入れ部19Bが1個配設される。言い換えると、図3に示すように、各種類の固有受け入れ部19Aがそれぞれテーブル18の左端とその隣に2個、右端とその隣に2個ずつ配設されると共に、1個の共有受け入れ部19Bが左端に隣接する側の固有受け入れ部19Aと、右端に隣接する側の固有受け入れ部19Aとの間に配設される。
【0034】
また、移載手段15のスライダ22には、同一種類のワークを3個ひとまとめで次工程に係るワーク供給ライン12上に移載するべく、3個の把持部23がスライダ22に一体的に設けられている。また、これに合わせて、図示は省略するが、次工程に係るワーク供給ライン12の始端には、3個のワークWをまとめて載置可能な載置部16(パレット等)が配置されている。
【0035】
この場合も、まず、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別し、判別したワークWの種類に基づいて、このワークWを対応する固有受け入れ部19A、例えばテーブル18左端の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そして、次に、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類が、直前に判別したワークWと同じ種類であれば、このワークWを、直前にワークWを受け入れた固有受け入れ部19Aと隣接する側の固有受け入れ部19A、ここでは左端から2番目の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そして、さらにその次に、単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類が、直前に判別したワークWと同じ種類であれば、このワークWを、対応する受け入れ部19A,19Bの中で唯一残るテーブル18中央の共有受け入れ部19Bで受け入れる。また、上記何れかの受け入れ段階で、判別したワークWの種類が、直前に判別したワークWと異なる種類であれば、このワークWを、対応する種類の固有受け入れ部19A、例えばテーブル18右端又は右端に隣接する側の空の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そうして、さらにその次に単列搬送手段11の終端に到達したWの種類を判別し、直前に受け入れたワークWと同じ種類であれば、このワークWを、対応する種類の固有受け入れ部19A、例えばテーブル18右側の何れか空の固有受け入れ部19Aで受け入れる。そして、この次に単列搬送手段11の終端に到達したワークWの種類を判別した上で、このワークWを、テーブル18中央の共有受け入れ部19Bで受け入れる。このように、ワークWの受け入れ動作を選択実施することで、2種類のうち何れか1種類のワークWが3個横並びに揃った状態となるので、これら3個揃った状態のワークWを移載手段15の3個の把持部23でそれぞれ把持し、各固有受け入れ部19A及び共有受け入れ部19Bから取り出す。そして、スライダ22を、次工程に係るワーク供給ライン12の載置部16上まで移動させ、当該載置部16に3個のワークWを横並び状態のまま載置する。これにより、同じ種類のワークWが3個にまとまった状態で次工程に係る加工装置(ワーク供給ライン12の下流側に位置する)に供給される。
【0036】
以上のように、この実施形態に係るワーク搬送装置10であれば、2種類のワークWが混在して搬送される単列搬送手段11から、同一種類のワークWを3個揃えた状態で取り出し、これをまとめて次工程に係る加工装置に供給することができる。
【0037】
以上、本発明に係るワーク搬送装置の第1〜第3実施形態を説明したが、この製造方法は、上記例示の形態に限定されることはない。
【0038】
例えば上記第1〜第3実施形態では、移載手段15を、受け入れ手段14のスライド方向に沿って直線的に伸びるガイドレール21と、このガイドレール21上を往復直動するスライダ22とで主に構成した場合を説明したが、これは例示に過ぎず、他の構成に係る移動手段を移載手段15に採用してもよい。
【0039】
また、上記第1〜第3実施形態では、前工程からのワークWの搬送方向(単列搬送手段11の搬送方向)と次工程へのワーク供給ライン12の供給方向とが直交する場合を説明したが、もちろんこれ以外の形態、例えば単列搬送手段11の搬送方向とワーク供給ライン12の供給方向とを平行にした場合においても、本発明に係るワーク搬送装置10を適用できる。その場合、例えば移載手段15によるワークWの移載形態を調整することで、各受け入れ部19A,19Bから所定個数まとめて取り出した同一種類のワークWを、次工程に係るワーク供給ライン12上の載置部16に所定個数揃えた状態で載置することができる。
【0040】
本発明に係るワーク搬送装置10の使用態様(制御態様)に関し、上記第1〜第3実施形態では、先に対応する種類の全ての固有受け入れ部19AにワークWを受け入れた後、これら固有受け入れ部19Aに隣接する共有受け入れ部19BにワークWを受け入れるようにした場合を説明したが、これを逆にしてもよい。すなわち、最初に、あるいは途中に対応するワークWを共有受け入れ部19Bに受け入れ、然る後、対応する種類の空の固有受け入れ部19AにワークWを受け入れるようにしても構わない。
【0041】
あるいは、図2(第2実施形態)や図3(第3実施形態)係るワーク搬送装置10を用いて、単列搬送手段11により、前工程から2種類のワークWが混在した状態で搬送されてくる場合に、当該単列搬送手段11から、同じ種類のワークWを2個まとめて取り出して、次工程に係るワーク供給ライン12に供給することも可能である。
【0042】
また、上記以外の事項についても、本発明の技術的意義を没却しない限りにおいて他の具体的形態を採り得ることはもちろんである。
【0043】
また、上記実施形態では、自動車のエンジン構成部品であるコンロッドをワークとして次工程に搬送する場合に本発明を適用する場合を説明したが、もちろんこれ以外の種類の構成部品についても本発明に係るワーク搬送装置を適用することができ、さらにはエンジン構成部品以外の部品(ワーク)についても本発明に係るワーク搬送装置を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 ワーク搬送装置
11 単列搬送手段
12 ワーク供給ライン
13 判別手段
14受け入れ手段
15 移載手段
16 載置部
17 引き込み手段
18 テーブル
19A 固有受け入れ部
19B 共有受け入れ部
20 保持部
21 ガイドレール
22 スライダ
23 把持部
101 搬送コンベア
102 ワーク供給ライン
103 ロボットアーム
104 ワーク仮置き台
105 検知手段
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上のワークが混在した状態で前工程から搬送される単列搬送手段から、同じ種類のワークを所定個数まとめて取り出して、次工程に供給するワーク搬送装置であって、
前記単列搬送手段の終端に到達した前記ワークの種類を判別する判別手段と、前記単列搬送手段の終端に到達したワークを受け入れ可能な受け入れ手段と、該受け入れ手段に受け入れられた同一種類のワークが前記所定個数分揃ったときに、該所定個数のワークをまとめて前記受け入れ手段から次工程に移載可能な移載手段とを備え、
前記受け入れ手段は、前記各種類のワークごとに、該各種類のワークのみを受け入れ可能な固有受け入れ部を有すると共に、異なる2種類の前記固有受け入れ部の間に配設され、該隣接するそれぞれの固有受け入れ部に対応するワークの何れをも受け入れ可能な共有受け入れ部を有し、
前記判別手段で判別したワークの種類に基づいて、前記受け入れ手段を前記単列搬送手段に対して移動させ、前記ワークの種類に対応する固有又は共有受け入れ部を前記単列搬送手段の終端に隣接させるようにしたワーク搬送装置。
【請求項2】
前記各種類の固有受け入れ部はそれぞれ、前記所定個数より1個少ない数だけ並べた状態に配設されている請求項1に記載のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−96865(P2012−96865A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244269(P2010−244269)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】