説明

一体化されたコアを有するクロマトグラフィ装置

クロマトグラフィ装置が、サンプル送達パターン形成された基板、およびパターン形成された基板の出口ポートに直接接続される管ベースの分離カラムを含む。パターン形成された基板は出口ポートに接続される注入器バルブを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2009年6月26日に提出された米国特許仮出願第61/220,713号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般にクロマトグラフィに関する。より詳細には、本発明はカラム外のバンド広がりにより引き起こされる分散を低減する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高速液体クロマトグラフィ(high−performance liquid−chromatography、HPLC)および超高速液体クロマトグラフィ(ultra−high−performance liquid−chromatography、UHPLC)の機器は、サンプル中の化合物を分離する、同定する、および/または定量化するために使用されるツールである。従来のHPLC機器はステンレス鋼管から構築される分析カラムを使用する。典型的なカラムが内径4.7mmを有する管から形成され、ほぼ5cmからほぼ25cmの範囲の長さを有する。
【0004】
多くの因子が特定の機器によりもたらされるスペクトル分解能に影響を及ぼす。1つのそのような因子が、構成要素が機器を通って流れるときのサンプル構成要素のバンド広がりである。バンド広がりによる分解能の低下がいくつかの効果、たとえば容積効果、時間ベースのイベント(サンプリング速度)、および溶媒勾配遅延容積(solvent gradient−delay volume)から生じ得る。最適な分離効率を達成するために、移動相の適切な流量が重要である。
【0005】
HPLC機器では、典型的には流れる移動相の中にサンプルを別個の流体プラグとして注入するために注入器が使用される。サンプルがカラムにおよび/またはカラムから移動するときのプラグバンドの分散は、クロマトグラフシステムの最終効率を低減する可能性を有する。たとえば、5μm直径の粒子を充填された4.7mmカラム管、および1mL/min〜2mL/minで流れる移動相を使用するクロマトグラフシステムでは、外径1/16インチおよび内径約0.010インチを有する接続管が、典型的にはさまざまなHPLC構成要素(たとえばポンプ、注入器、カラム、および検出器)間の接続を配管するために使用される。これらの流量、および管の寸法に対して、受け入れられる最小のバンド広がりを管界面で提供する許容範囲までポートの詳細を機械加工することは比較的容易である。
【0006】
一部の機器がより小さいサンプル容積に適合するように、または移動相の溶媒消費を低減するように構成される。そのような構成はカラム内径(inner diameter、ID)の低減を含むことがある。したがって、ここで、クロマトグラフィのいくつかのスケールが一般に実施され、これらは典型的には表1に示されるように規定される。
【表1】

【0007】
マイクロボアHPLCは、小さな修正を含み、分析スケールHPLCのために使用される装置に類似する装置でしばしば実施された。フィッティングを行うのにわずかな程度の追加の注意を必要とすることのほかに、マイクロボアHPLCは分析スケールHPLCの操作スキルレベルと同様の操作スキルレベルを必要とすることが一般に仮定される。
【0008】
対照的に、毛細管およびナノスケールのHPLCは、分析スケールHPLCに対してHPLC構成要素に比較的かなり大きい変更を必要とする。標準的な開ループ往復運動をするHPLCポンプ、たとえば分析およびマイクロボアのHPLCシステムで一般に見いだされるポンプを使用して、約50μL/min未満の安定した移動相の流れを生み出すことは比較的困難である。
【0009】
毛細管スケールクロマトグラフィでは、ステンレス鋼管が構成要素の相互接続のために使用できる。しかしながら、内径は典型的には0.005インチ未満(約125μm未満)でなければならない。一般に、微量の死容積の生成でさえ避けるためにフィッティング終端の製造の際に注意が必要とされる。
【0010】
ナノスケールクロマトグラフィでは、典型的には、内径約25μm〜50μmを有する管が機器の構成要素を相互接続するために(たとえばポンプを分離カラムに接続するために)必要とされる。ステンレス鋼管は典型的にはこれらの寸法では利用できないので、ポリイミドをコートされた溶融石英管が典型的には使用される。溶融石英管は優れた寸法許容範囲、および非常に清潔で非反応性の内壁を有するが、壊れやすく、それを使って作業を行うのが困難となり得る。加えて、相互接続ポートは、ナノリットルの流されていない死容積さえ避けるために、厳しい許容範囲まで機械加工されなければならない。
【0011】
分析スケールHPLCをマイクロボアスケールHPLCと取り替える主要な動機が、低減された溶媒消費に対する要望でもよいが、毛細管スケールおよびナノスケールのクロマトグラフィに移行することは、たとえば約10μL/min未満の流れが使用されたとき、溶媒消費をさらに低減することに加えて、質量分析計に対して改善された検出感度をサポートすることができる。さらに、毛細管スケールまたはナノスケールのシステムはしばしば、典型的には少量の利用可能なサンプル(たとえば新生児の血液スクリーニング)を含む応用に必要とされる高感度検出に対する唯一の選択肢である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/106613号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0321356号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
毛細管スケールおよびナノスケールのクロマトグラフィの有利な点にもかかわらず、HPLCのユーザはマイクロボアスケールおよび分析スケールのクロマトグラフィシステムを用いる傾向がある。先に説明したように、これらのシステムは典型的には良好な信頼性および比較的使いやすさを提供する。対照的に、毛細管スケールまたはナノスケールのクロマトグラフシステムを動作させている間によいクロマトグラフ効率を維持することは、システムを配管する(たとえば管を使用してポンプ、注入器、カラム、および検出器を接続する)ときにかなりの注意を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一部のUHPLC装置が、さまざまな一般的LC配管関連構成要素、検出関連構成要素、および/またはさまざまな構成要素を接続するために使用される配管により引き起こされるカラム外のバンド広がりのために、UHPLC装置の最大分解能の可能性を実現しないという認識から、一部の実施形態が生じる。さらに、部分的には、管ベースのカラムを使用する超高圧クロマトグラフィ装置での容積バンド広がりが、流体処理構成要素の部分的一体化、および部分的に一体化された構成要素とカラムの入口および/または出口の直接接続により実質的に低減されることができるという認識から、一部の実施形態が生じる。たとえば、パターン形成された基板に一体化された注入器バルブが、接続管、および/または管に関連する2つのコネクタに関連するバンド広がりを低減するまたは除去するために、分離カラムの入口に直接接続されることができる。
【0015】
したがって、たとえば2μm未満に充填されたカラム、および4.7mm未満のIDを有するカラムを使って可能な効率を実現するために、標準的HPLCシステムのさまざまなモジュールを接続することにより引き起こされるカラム前の分散およびカラム後の分散は構成要素の一体化により任意選択で除去される、または実質的に低減され、したがって、コネクタおよび/または除去される配管構成要素により引き起こされる分散を低減する。さらに、これらの2μm未満に充填されたカラムによりもたらされるより高い効率がより速い分析を実行するために使用されることができ、接続管内に含まれる容積の除去がより速い分析時間を可能にする。
【0016】
さらに、部分的に一体化された装置が、交換可能なコアを使って任意に構成され、コアは特定の流量および/または容積に適合させられる構成要素を含むが、関連する固定された構成要素はすべてのコアをサポートする。
【0017】
一部の好ましい実施形態が質量分析を含む。
【0018】
したがって、一実施形態がクロマトグラフィ装置を特徴付ける。装置は管ベースの分離カラムを含むコアユニットを含む。コアユニットはまた注入器バルブ、および注入器バルブと流体連通しているサンプル出口ポートを含むサンプル送達パターン形成された基板を含む。分離カラムの入口末端が、パターン形成された基板のサンプル出口ポートに直接接続される。コアは任意選択で、検出器、および検出器の入口と流体連通している溶離剤入口ポートを含む検出パターン形成された基板を含む。管の出口末端が溶離剤入口ポートに直接接続される。
【0019】
本発明の上記およびさらなる有利な点が、同様の番号でさまざまな図中の同様の構造要素および特徴を示す添付図面と併せて以下の説明を参照することにより、よりよく理解されることができる。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、むしろ原理を図示することが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】従来技術のモジュール式HPLCシステムのブロック図である。
【図1B】測定された分解能対保持因子のグラフである。
【図1C】測定された分解能対保持因子のグラフである。
【図2】一実施形態によるクロマトグラフィ装置のブロック図である。
【図3】一実施形態によるクロマトグラフィ装置のブロック図である。
【図4】一実施形態による装置のコアユニットの詳細な実施形態の3次元図である。
【図5】図4のサンプル送達パターン形成された基板の3次元分解図である。
【図6】図4のコアユニットの一部の横断面の詳細図である。
【図7A】3つの表面溝を有する回転子の平面図である。
【図7B】図7Aの回転子と接触させるための固定子表層の平面図である。
【図7C】サンプルループ層の平面図である。
【図7D】導管層の平面図である。
【図8】吸収ベースの光学分析のための、図4の検出ユニットの1つの代替実施形態のフローセル部分の横断面図である。
【図9A】入口または出口の要素の端面図である。
【図9B】図9Aの入口または出口の要素の側面図である。
【図9C】要素の製作を図示する、図9Aの入口または出口の要素の側面図である。
【図10】図8のフローセルの出力末端の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一部の実施形態が、UHPLC(超高速液体クロマトグラフィ)により提供される可能な分解能を大幅に上回る分解能の実現を可能にするために、容積バンド広がりの影響を緩和する。
【0022】
本開示の恩典を考慮すれば、本発明の数多くの実施形態が実行可能であり、また、これらが当業者には明らかである。便宜上、本明細書で提供される詳細な説明は少しの例示的で典型的な実施形態に焦点を当てる。この説明を考慮して、さまざまな別の実施形態が可能であることを当業者は理解する。
【0023】
本明細書で使用されるように、用語「流体」は任意選択で溶存種、溶媒和種、および/または粒子状物質を含む気体、液体、超臨界流体、および同種のものを指す。本明細書で使用されるように、流体の分析は広い意味を有し、流体の存在、流体の特性または性質、あるいは流体の構成要素、たとえば流体中の粒子、溶存塩類または別の溶質または別の種の特性または性質の任意の検出、測定または別の決定、あるいはたとえば精製および収集の目的のための構成要素の分離を含む。好ましい実施形態は液体ベースの分離に関係がある。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「パターン形成された基板」および「パターン形成されたモジュール」は、1つまたは複数のパターン形成プロセス、たとえば型打ち、レーザ切断、化学エッチング、およびエンボス加工により少なくとも部分的形成される流体経路を含む構成要素を指す。パターン形成された基板が、少なくとも1つがパターン形成された3つ以上の積み重ねられた層から任意選択で形成される、または長方形ではない固体形状の1つまたは複数の部分を任意選択で含む。好ましい材料はセラミックおよび/または金属を含み、金属ベースの装置が、層、フォイル、および/またはより大きい部分から製作するのに特に適している。セラミックベースの基板が、好ましくは部分的にパターン形成および焼結により形成され、金属ベースの基板が、好ましくは部分的にパターン形成および拡散結合により形成される。パターン形成された基板が、任意の所望の寸法の流体機構を使ってパターン形成される。本発明の一部の実施形態が、基板またはモジュール内および/またはその上で規定された、ならびに/あるいは基板またはモジュール内および/またはその上に埋め込まれた、ならびに/あるいは基板またはモジュール内および/またはその上に取り付けられた構成要素を有する1つまたは複数のパターン形成された基板またはモジュールを含む。たとえば、一部の実施形態が、埋め込まれたフローセルを有する基板を含む。一部の実施形態が任意選択で、発明者Dourdevilleの国際公開第2008/106613号で説明される拡散結合ベースの方法、および/または発明者Gerhardtらの米国特許出願公開第2009/0321356号明細書で説明される未焼結セラミックベースの方法を任意に使用して製作される。
【0025】
図1Aは従来技術のモジュール式HPLCシステム100のブロック図である。システムは溶媒供給モジュール110、溶媒混合器120、サンプル注入器130、サンプルマネージャ170、プレカラムヒータ140(流体が分析カラムに入る前に流体を加熱するため)、分析カラム150、および検出器160を含む。管および関連するコネクタがさまざまなモジュール110、120、130、140、150、160を流体接続する。そのような配管は典型的には分析時間を長くするだけでなく分散を追加するシステム容積を追加する。カラム150はたとえば5cmの長さを有する。
【0026】
HPLCは一般にHPLCの導入以来、たとえば絶えず増大する分解能を有する分離カラムの開発と共に発展した比較的成熟した分析技法と考えられている。粒子の充填ベッドを使用する最も一般的な分離モードが大きく改善された。たとえば、最適化された空隙率および低減された粒子サイズ(たとえば1.7μm直径)を有する粒子が、固定相とサンプル分析物の相互作用の動力学を改善するために開発された。機器設計への典型的なモジュール式の取り組みが、比較的小さな粒子および比較的高い圧力の使用により提供される最大解像度の可能性の実現を強要するという困難が、あまり認知されていないかもしれない。
【0027】
好ましくは、明確に規定されたサンプルプラグが形成され、これらの改善された分離デバイスによりもたらされる高いデューティサイクルを最適化する速度で分離カラムに送達される。さらに、検出モジュールは好ましくは高速な報告頻度を提供して、高頻度溶出ゾーンの十分なサンプリングを可能にし、低減されたピーク容積までスケール適合された検出容積を有し、分離デバイスのロード能力範囲にまたがる濃度に比例する応答を有する。
【0028】
高効率の分離モジュールの開発に大きな進展があったが、一部の既存のLCシステムモジュールおよび関係のある配管が、明確に規定されたサンプルゾーンをこれらの分離デバイスにロードするだけでなく、次に、引き続き、システムの最終的なクロマトグラフ性能を低下させる分散を追加することなしに溶出ゾーンを検出器に移送しようと努力している。
【0029】
一部の既存の注入システムが、明確に規定されたサンプルプラグを生成することができるが、典型的な既存の管相互接続が、小さな容積の明確に規定されたサンプルプラグの完全性を、それが分離デバイスに送達される間に維持することができない。既存のシステムは典型的には引き延ばされたステンレス鋼管を使用して、分離デバイスを注入および検出システムに接続する。このタイプの管はLC応用に対して強固で比較的不活性な接続ソリューションを提供したが、一般に、最近開発された小さな直径の粒子により利用可能にされた分離効率増大により要求される内径を有する金属管の供給源を見つけ出すことがますます困難になっている。
【0030】
2μm未満のクロマトグラフ粒子を使用する一部の現在の最先端の分離システムでは、サンプルプラグおよび溶出ゾーンの忠実度の維持が管の内径(ID)≦75μmを必要とし得る。これは一般に現在の管の製造能力の限界である、またはそれを超える。
【0031】
金属管は典型的にはより大きなIDの管を下に引き延ばすことにより生成される。この引き延ばすプロセスがID≦100μmを有する管を生成するために使用されるとき、典型的には不十分に形成された内面を有する管を生成する。これらの不十分に形成された内側の管の表面は一般に分散を追加する。そのような金属管に対してより優れた性能を与える滑らかな壁の溶融石英が利用可能であるが、典型的には特に2μm未満のクロマトグラフ粒子により必要とされる高い流体圧力(たとえば>15,000psi)で連結することが一般に比較的脆弱であり、困難である。さらに、信頼できる方法で繰り返し作られることができる、流されていない小さな容積を必要とする管界面を生成することが課題であるので、各管界面は潜在的分散源になる。
【0032】
一部の従来技術のシステムは、しばしばその理論的に可能な分解能を実現しない。たとえば、カラム150は、ほぼ14,000から15,000プレートの理論的分解能を有する。しかしながら、少なくとも、システム100が比較的高い保持因子を利用していないとき、カラム外のバンド広がりがしばしば性能を大きく低減する。
【0033】
以下に説明される一部の好ましい実施形態が、比較的小さな粒子を充填され高圧動作を意図される現在利用できる狭いIDのカラムにより約束される理論的クロマトグラフ分解能を大部分実現することを可能にする。既存のシステムはカラム外の影響により潜在的カラム分解能を損ない得る。そのような効果は容積バンド広がり、時間ベースのバンド広がり、すなわちサンプリング速度効果および溶媒勾配遅延効果を含む。以下の説明は容積効果を緩和する実施形態に焦点を当てる。
【0034】
分散効果およびその緩和の例示的で制限しない概説のために以下の説明が提供される。システム性能を評価するためのバンド広がりの1つの任意選択の尺度を得るために、ピーク幅(時間の単位)の標準偏差の5倍、すなわち5σに対応するピーク幅を得るために、ピーク高さの4.4%でクロマトグラフピークの幅が測定されてもよい。この量から、測定されたピーク幅5σに流量を乗ずることによりバンド広がり容積が任意選択で計算される。より一般的には、ピーク幅はピークの1σ幅と同等とみなされる。1σ幅は一般にピーク広がりのよりよい推定値を提供する。
【0035】
既存のシステムの多くの部分が、典型的にはLCスペクトルで観測されるピークのこのバンド広がりに潜在的に寄与する物理的効果を導入する。そのような部分は、たとえば注入器、注入器からカラムまでの管、フリットを含むカラム、カラムから検出器までの管(および関連するコネクタ)、および検出器セルを含み得る。これらの寄与が組み合わせられた効果が、各寄与の分散(標準偏差)の自乗を総計することにより任意選択で推定される。
【0036】
したがって、カラムにより引き起こされるバンド広がりを低減しようとすることなしに、システムを配管するために使用される管の長さおよび/または直径を低減することにより、カラム外のバンド広がりを低減しようとすることができる。しかしながら、分散低減へのそのような取り組みは、例えばさまざまなモジュール110、120、130、140、150、160を一緒により近く詰め込む、および/または横断面の配管を低減する能力および望ましさにより制限される。
【0037】
前述のように、検出器セルが分散に寄与し得る。一般に、最適なフローセル容積の選択はピーク容積と共に変わり、ピーク容積はさらにまた、カラム直径と共に変わる。さらに、ピーク容積は典型的にはクロマトグラフ実行中に増大する(すなわち後の溶出物(eluter)が前の溶出物より大きな容積を有する)。したがって、感度および分散のバランスを保つための最適なセル容積がたとえば1/10ピーク容積であるが、そのような容積は、すべての溶出する構成要素が固定したセル容積を通って流れるとき、サンプル−構成要素ピークに適合させられることができない。
【0038】
表2は、異なるIDの分離カラムに対する溶離剤−構成要素ピーク容積(Vpk)、および比較的早期に溶出する構成要素の推定される容積の1/10に対応するフローセル容積(Vセル)推定値を示す。本発明を任意の具体的寸法の特徴に限定することを意図しないが、表2には、この例では、2.1mmカラムが、たとえばピーク容積16μLの早期の溶出物、およびピーク容積39μLの後の溶出物を有すること、1.0mmカラムが、たとえばピーク容積3.7μLの早期の溶出物、およびピーク容積13.4μLの後の溶出物を有すること、および0.3mmカラムが、たとえばピーク容積0.7μLの早期の溶出物、およびピーク容積2.8μLの後の溶出物を有することが示されている。したがって、たとえば一部の実装形態では、交換可能なコアユニットが、異なるIDのカラム、および異なる容積の関連するフローセルを含む。
【表2】

【0039】
例示的例のためだけに、カラムにより潜在的に提供される分解能を達成するのに役立つように、UHPLCシステム、たとえば2.1mmのIDのカラムを使用するACQUITY UPLC(R)システムには、望ましくは1μl以下のバンド広がりがあり、1.0mmのIDのカラムを使用するUHPLCシステムには、望ましくは0.25μl以下のバンド広がりがある。しかしながら、現在のUHPLCシステムは、大部分カラム外の影響によるたとえば3μlのバンド広がりを含むことがある。したがって、構成され動作させられるような一部の現在利用できるUHPLCシステムは、1.0mmカラムの利用により提供される可能な分解能の有利さを実質的に実現しない。より短いカラムに変える試みがまた、カラム外のバンド広がり影響により潜在的に損なわれる。
【0040】
システム100の分解能は、任意選択で比較的高い保持因子(k)での動作により改善される。当業者に公知のように、高い保持因子では、カラムが、そうでない場合に分散させられるサンプルプラグを集中させる傾向がある。図1Bは、5cmカラムを備えるACQUITY UPLC(R)装置(Waters Corporationから入手できる)を使用して、システム100の特定の例に対する測定された分解能対保持因子のグラフである。点線はほぼ14,000プレートであるカラムの理論的分解能を図示する。実線曲線はバンド広がりの影響を図示する測定された分解能を示す。分解能の大幅な低減が、たとえばほぼk=2までの実際に対象とする保持因子で明らかである。
【0041】
図1Cは、1.7μmのカラムに対する上側の実線曲線、および3.5μmのカラムに対する下側の実線曲線を含む、測定された分解能対保持因子のグラフである(すなわちそれぞれ直径1.7μmおよび3.5μmの直径を有する粒子を充填されたカラム)。上側の破線は1.7μmのカラムの理論的分解能であり、下側の破線は3.5μmの理論的分解能である。より低い保持因子で、1.7μmのカラムは3.5μmのカラムより少し高い分解能を提供することが留意される。
【0042】
一部の実施形態が、2μm未満のカラムの有利さをそのようなカラムを1つまたは複数のパターン形成された基板に接続することにより、よりよく活用するための代替形態を提供し、したがって、一部の流体経路の長さ、および/または横断面の長さ、および/またはコネクタの長さを除去または低減し、したがって、カラム外バンド広がりを低減し、特定の分析カラムにより提供される可能な分解能をよりよく実現する。分析速度が潜在的に改善され、現在利用できる高分解能分析カラムおよび高圧溶媒ポンプモジュールによりもたらされる効率がよりよく実現される。本発明の一部の実施形態は、以下で説明されるように、たとえば金属構成要素の拡散結合により実装されるような基板ベースの流体および別の構成要素を含む。
【0043】
一部の好ましい実施形態が、注入器からカラムまでの管および関係のあるコネクタを除去する。そのような実施形態は、バンド広がりのそのような低減が、そうでない場合に装置が達成する性能と比較してかなり大きい装置を含む。たとえば、以下に説明される一部の実施形態が任意選択でバンド広がりをほぼ2.5μLまたはほぼ3μLから、2.1mmのカラムに対してほぼ1μLに、1.0mmのカラムに対してほぼ0.25μLに低減する。
【0044】
図2は一実施形態によるクロマトグラフィ装置200のブロック図である。装置200はコアユニット290、溶媒マネージャ210、サンプルマネージャ270、検出ユニット260、および廃棄物収集ユニット280を含む。管および関連するコネクタが任意選択で溶媒マネージャ210、サンプルマネージャ270、および廃棄物収集ユニット280をコアユニット290に流体接続する。
【0045】
コアユニット290は溶媒混合器292、サンプル注入器293、分離カラム295、および検出セル296たとえばフローセルを含む。検出システム260は、この例では検出セル296に光学的に接続される。溶媒マネージャ210は任意選択でHPLCまたはUHPLCバイナリ、あるいはたとえば当業者に公知のような別の溶媒ポンピングシステムである。同様に、サンプルマネージャ270は任意選択でサンプルをたとえば注入器バルブに送達するための公知の構成要素である。検出ユニット260はカラム295から流れる溶離剤の光検出または別の検出をサポートするための構成要素を含む。たとえば、検出ユニット260は、検出セル296に光を送達し、検出セル296から光を受け取るために、検出セル296に光学的に接続される。したがって、検出ユニット260とフローセル296の組み合わせが当業者により理解されるように、任意選択で溶離剤の紫外線吸収分析を任意選択で提供する。
【0046】
クロマトグラフィ装置200は任意選択でコアユニット290の交換を可能にするように構成される。したがって、たとえば異なるタイプのサンプル、異なる流量、および/または異なるサンプル容積の分析をサポートする異なるコアユニットが望みに応じて交換される。そのような装置は、固定され、かつ任意の1つのコアがサポートすることができるよりも、より広い範囲のサンプル処理または分析をサポートすることができる構成要素をよりよく利用する。
【0047】
コアユニット290は公知の方法を含む任意の適切な方法で製作される。たとえば、コアユニット290はパターン形成された基板でもよい、またはパターン形成された基板を含んでもよい、および溶媒混合器292、サンプル注入器293、分離カラム295、および検出セル296は、ユニット290のセラミックまたは金属の部分内画定される、またはそこに取り付けられることができる。コアユニット290は任意選択で流体配管、電気接続、および光学的接続を介して装置200の別の構成要素210、260、270に接続される、またはコア交換を容易にするためにクランピング機構を利用してもよい。
【0048】
図3は一実施形態によるクロマトグラフィ装置300のブロック図である。装置300は上記で説明される装置200とある類似点を有するが、本装置300は管ベースの分離カラムの特徴を活用する。
【0049】
装置300はコアユニット390、溶媒マネージャ310、サンプルマネージャ370、検出ユニット360、および廃棄物収集ユニット380を含む。管および関連するコネクタが任意選択で溶媒マネージャ310、サンプルマネージャ370、および廃棄物収集器380をコアユニット390に流体接続する。溶媒マネージャ310、サンプルマネージャ370、廃棄物収集器380、および検出システムは、任意選択で装置200の対応する構成要素210、260、270に類似する、またはそれらと同じである。
【0050】
コアユニット390はサンプル送達パターン形成された基板390A、検出パターン形成された基板390B、および管ベースのカラム395を含む。サンプル送達パターン形成された基板390Aは溶媒混合器392およびサンプル注入器393を有する。サンプル送達パターン形成された基板390Aは任意選択で溶媒温度制御要素を有する。検出パターン形成された基板390Bは検出ユニット360と協力して動作するフローセル396を有する。カラム395の入口および出口の末端が、それぞれサンプル送達パターン形成された基板390Aの出口、および検出パターン形成された基板390Bの入口に直接接続される。したがって、溶媒の混合/条件付けの機構、およびサンプル導入機構が、1つの一体化されたユニット390A内のカラム界面と別個に一体化されるが、カラム−出口界面および検出ユニットは第2の別個の一体化されたユニット390Bに含まれる。
【0051】
クロマトグラフカラム395は好ましくは管ベースであるが、任意選択で基板ベースである。カラム395は機械的力の適用により、たとえばばね付勢および/または別の機構により、一体化されたユニットに取り付けられる。あるいは、カラム395はねじ込みフィッティングにより取り付けられる。したがって、本発明の一部の実施形態では、1つまたは複数の基板に含まれる任意選択で微小流体回路の一体化された構成要素が1つまたは複数の管ベースのカラムに接続される。
【0052】
制限しない一例としてカラム395はたとえば1.0mmまたは2.1mmのID、および長さ50mmを有し、1.7μmの粒子を充填される。装置300の一部の機構が、より狭いIDおよび/またはより短いカラム長を有する、ならびに/あるいは比較的低い保持力のカラムに対してカラムが選択されるときに、ますます有益である。
【0053】
他で指摘されたように、基板は任意選択で金属および/またはセラミックの層から製作される。一部の好ましい実施形態が、拡散結合金属部分、たとえば鋼および/またはチタンの部分を利用する。そのような実施形態の一部が、一部の従来のモジュール式装置と比較して低減された分散、およびより高い動作圧力を提供する。
【0054】
充填されたクロマトグラフベッドを通って流れる溶媒により誘発される一様でない半径方向の温度勾配の効果が、温度制御された環境、たとえば断熱的な環境でカラムを維持することにより緩和されることができる。装置200では、カラムは、一部の実施形態では温度制御される一体構造の一部である。一部の実施形態のより大きなカラム直径(たとえば>300μmのID)では、カラム395の一部またはすべてがたとえば断熱的な環境で維持される(たとえば装置300におけるような)一体構造のデバイスからカラムが分離している場合、よりよいクロマトグラフ性能が任意選択で得られる。
【0055】
さらに、カラムは典型的には使用と共に劣化するので、クロマトグラフカラムは典型的には消耗品と考えられる。したがって、カラムの廃棄の費用を低減するために、カラムを一部のまたはすべての一体化された構成要素から分離するという代わりのまたは追加の有利な点がある。したがって、一部の実施形態がクロマトグラフ分離カラムの置換を有利に提供するが、たとえば溶媒/サンプルの導入および検出システムを含むより費用のかかる一体化された本体を保持する。
【0056】
図2および図3に示される装置200、300は主要な流体要素を一体化して、通常、モジュール式システム内に作られる流体接続を除去する/低減することによりクロマトグラフシステムの性能を改善する。溶媒送達およびサンプル管理のモジュールは、これらの一体化されたユニットに連結する別個のエンティティとして依然として維持される。コストまたはさらなる性能強化のために、一体化されたデバイスと溶媒送達またはサンプル管理のモジュールのさらなる一体化が任意選択で行われる(たとえば一体化されたデバイスへのポンプヘッドおよび/または圧力変換器の一体化)ことが理解されるべきである。
【0057】
装置300は任意選択で交換可能なカラム395および/または交換可能なコアユニット390を実装される。したがって、装置300は、改善されたクロマトグラフ分解能、特定のカラム395によりもたらされる分解能の実現だけでなく、たとえば異なる流量および/または異なるサンプル容積をサポートするある範囲のコアユニットと組み合わせて適切に使用される装置の構成要素の費用効率の高い使用をサポートする。
【0058】
図4は、図3に図示される装置300のコアユニット390の役割を任意選択で果たすコアユニット400のより詳細な実施形態の3次元図である。コア400はサンプルユニット480(本明細書ではサンプル送達パターン形成された基板とも呼ばれる)、サンプル注入器制御ユニット485、管ベースの分離カラム495、および検出ユニット470(本明細書では検出パターン形成された基板とも呼ばれる)を含む。
【0059】
サンプルユニット480は、二成分溶媒ポンプモジュール(図示せず)への流体接続のための2つの溶媒入口ポート483A、およびサンプル供給モジュール(図示せず)への流体接続のためのサンプル入口および出口ポート481Aを有する。ポンプモジュールは、HPLCまたはUHPLCまたはより高圧な動作に十分な圧力で溶媒を送達する。サンプルユニット480は、溶媒入口ポート483Aを介して受け取り、受け取られた溶媒を混合する溶媒混合器を含む。サンプルユニット480はまた、混合器と、サンプルの入口および出口ポート481Aと、カラム495の入口末端に直接接続される注入されたサンプルの出口ポートと流体連通している注入器バルブを含む。注入器バルブは、たとえば回転剪断バルブである。サンプルループが任意選択でサンプルユニット480内に画定される、またはサンプルユニット480に取り付けられる。
【0060】
注入器制御ユニット485は注入器バルブの動作を制御するためのたとえばモータを含む。たとえば、制御ユニット485は任意選択で、クロマトグラフィ技術の当業者により理解されるように、バルブをロードと注入と洗浄状態との間で切り換えるためにバルブの回転子を回転させる。サンプルユニット480の任意選択の構成に関するさらなる詳細が、図5および図7Aから図7Dを参照して以下で説明される。
【0061】
検出ユニット470は、カラム495から溶出する分離された化合物の観測をサポートするフローセルまたは別の要素を含む。加えてまたは代わりに、検出ユニット470はたとえばエレクトロスプレイ(electrospray)出口インタフェースを介して質量分析モジュールにサンプルを送達する。
【0062】
ユニット470は、カラム495の出口末端と直接接続し、フローセルまたは別の機構に溶離剤を送達する溶離剤入口ポートを有する。ユニット470、480へのカラム495の接続は、図6を参照してより詳細に説明される。
【0063】
検出ユニット470およびサンプルユニット480は、好ましくはパターン形成された基板として形成される。上記で指摘されたように、パターン形成された基板は任意選択で、(全体が参照により本明細書に組み込まれる、発明者Dourdevilleの国際公開第2008/106613号で説明されているように)金属、好ましくはチタンの構成要素の拡散結合を使用して製作される。
【0064】
コアユニット400は任意選択で、交換可能または固定されたカラム495を使って実装される。さらに、コアユニット400全体は任意選択で、完全なクロマトグラフィ装置に関連して、交換可能または固定されたユニットとして実装される。
【0065】
次に、サンプルユニット480がより詳細に説明される。
【0066】
図5はサンプル送達パターン形成された基板480の3次元分解図である。この例示的実装形態では、サンプルユニット480は3つの主要な部分、すなわち第1のブロック481、薄片層482、および第2のブロック483の拡散結合により形成される。3つの部分はさまざまにパターン形成される。
【0067】
第1のブロック481は、溶媒混合器Mを提供するためのウェル、および注入されたサンプルの出口ポートに注入器バルブを接続する導管を含む。
【0068】
層482は、溶媒入口ポート483Aを溶媒混合器Mに、溶媒混合器Mを注入器バルブに、および注入器バルブをサンプル入口および出口ポート481Aに接続するためのさまざまな導管を提供するようにパターン形成される。層482はまた、任意選択でサンプルループを提供するようにパターン形成される。
【0069】
第2のブロック483は、注入器バルブの部分、たとえばバルブ状態の切換えをサポートするために回転子484と協力するバイアでパターン形成される。埋め込まれたサンプルループを備える、注入器バルブの特定の単に例示的な実装形態が図7Aから図7Dを参照して以下で説明される。
【0070】
図6はカラム495の入口末端での装置400の部分の横断面の詳細図である。この例では、カラム495は管495A、管内の分離媒体495B、および分離媒体495Bを安全に保管するためのフリット495Cを含む。カラム495は流体密封を提供する機械的力により第1のブロック481に直接接続される。位置合わせフィッティング497がサンプル基板480の第1のブロック481の注入されたサンプルの出口ポートPとカラム495の位置合わせを手伝う。変形可能なガスケット496が、流体を通さない密封の形成を手伝うためにフリット495Cとブロックとの間に配置される。
【0071】
カラム495をサンプルユニット480に向けて力強く動かすために、クランピング力がコア400に加えられる。力は、カラム495の中に流れるサンプル溶液の流体圧力よりも大きな圧力を接触界面に提供する。
【0072】
ガスケット496は任意の適切な変形可能材料から、たとえば重合体から形成される。適切な重合体が、たとえばポリエーテルエーテルケトン、たとえばPEEK(TM)重合体(Victrex PLC、Lancashire、United Kingdomから入手できる)である。
【0073】
ガスケット496は、注入されたサンプル溶液を充填媒体495Bに送達するために、出口ポートPと位置合わせした管腔(lumen)または流体通路を有する。代替実施形態が、たとえば充填媒体495Bへのサンプル溶液の一様な送達を手伝うための流体構成要素を含む。
【0074】
サンプル基板へのカラムの代替の直接の界面が、固定されたまたは固定されていない接続を含む。たとえば、カラムは恒久的に固定される(たとえば溶接される)、半恒久的に固定される(たとえばねじ込まれるまたは圧入される)、またはたとえばカートリッジタイプのインタフェースを介して容易に取り除かれる。
【0075】
図7Aから図7Dは、任意選択でサンプル基板、たとえばサンプルユニット480中に実装される1つの代替実施形態による、回転子、および注入器バルブのさまざまなパターン形成された層の平面図である。図7Aは、液体クロマトグラフィの当業者により理解されるような3つの表面溝を有する回転子784を図示する。
【0076】
図7Bは、回転子784と接触させるための固定子表面層783の部分(破線により示される)の平面の概略図である。層783には層783を通って伸びる6つのバイアV1、V2、V3、V4、V5、V6(集合的にV)がある。回転子784は固定子表面層783に向かって配置される。回転子784の向きは溝を介した流体接続のための隣接するバイアVの対を選択する。
【0077】
図7Cはサンプルループ層782の部分(破線で示される)の平面の概略図である。層782は、サンプルループL(サンプルリザーバチャンバの一例)、および固定子表面層783のバイアV2、V3、V5、V6の4つと位置合わせし続ける4つのバイアV2、V3、V5、V6を提供するようにパターン形成される。サンプルループLの2つの末端が、固定子表面層783の2つの残りのバイアV1、V4と位置合わせする。
【0078】
図7Dは、末端がサンプルループ層782を通って伸びる4つのバイアV2、V3、V5、V6と位置合わせする4つの導管C1、C2、C3、C4を提供する導管層781を図示する。4つの導管C1、C2、C3、C4は、注入器バルブおよび溶媒混合器Mと、注入されたサンプルの出口ポートPと、サンプルの入口および出口ポート481Aとの間の流体接続をサポートする。
【0079】
コアユニット400を含む装置の動作は任意選択で、完全にモジュラー式のLCシステムの動作と類似する。溶媒マネージャからの溶媒がサンプルユニット480に送達され、そこで溶媒は混合され、任意選択で熱的に条件付けられ(すなわち温度がたとえばサンプルユニット480内の平衡により、またはより能動的技法により制御される)、クロマトグラフカラム495に送達される。サンプルマネージャが任意選択でサンプルをサンプルユニット480に送達する。市販の(Waters Corporation、Milford、Massachusettsから入手できるような)モジュールを含み、任意の適切な溶媒マネージャおよびサンプルマネージャが使用されてもよい。
【0080】
非常に小さな寸法の(すなわち典型的には<100μm、潜在的には<10μm、またはさらにより小さい)流体機構が任意選択で、部分的に一体化されたデバイスの実施形態で利用される(たとえば拡散結合前に、技法、たとえば化学エッチング、電気化学微細加工、放電加工などを使用して製作される)。
【0081】
上記で説明されるように、好ましい実施形態は、小さな粒子サイズを利用し高圧で動作させられる分析カラムによりもたらされる可能な分解能を実現するのに役立つ。上記で説明されるように、そのようなカラムを用いる高圧システムの可能な分解能は、より狭いカラムに対して特に損なわれる。しかしながら、より狭いカラムは一般に冷却するのが容易であり(より高い表面対面積比)、より少ない量の溶媒の使用への「環境に優しい」関与をサポートする。
【0082】
これらの好ましい実施形態の一部が直径2μm未満の粒子を充填されたマイクロボアスケールのカラムを含む。たとえば、1.7μmの直径のエチレン架橋ハイブリッド粒子を含む1つの適切な分析カラムがACQUITY UPLC(R) BEH TECHNOLOGY(TM)カラム(Waters Corporation、Milford、Massachusettsから入手できる)である。カラムのIDは、たとえばほぼ1mmからほぼ2mmの範囲である。したがって、コアユニット400は、溶媒の使用低減、カラム495により提供される可能な分解能のよりよい実現、および1つの装置を使ってより多くの種類のサンプル分離を適合させるコアユニットの交換を提供する。
【0083】
次に図8を参照すると、装置のコアユニット400の検出ユニット470はサンプル溶離剤の観測をサポートする。コアユニット400を含む部分的に一体化された低分散クロマトグラフ装置が検出プロセスを利用して、たとえば、カラム495から溶出する1つまたは複数の分析物の物理的性質を測定する。測定プロセスは好ましくは分析物の同定および/または定量化を提供する。
【0084】
さまざまな構成要素が検出を提供し、検出の一部が検出ユニット470により提供される。検出ユニット470はカラム495を出る溶離剤ストリームと別の検出構成要素との間の界面を含む。本明細書で使用されるように、用語「検出器」は、たとえば溶離剤の構成要素に関して溶離剤を調べるために溶離剤を含む、またはそうでなければ溶離剤と直接相互作用する構成要素を意味する。したがって、検出器の2つの例が、1)光ベースのフローセル、および2)伝導率測定のために溶離剤に電気的に接触する構成要素を有する電気ベースのセルである。
【0085】
好ましい実施形態がクロマトグラフィカラムに直接結合されるユニット内に検出器を含む。これらの実施形態の一部が、検出システムの構成要素を分散させ、たとえば、検出器はカラムに取り付けられたユニットの一部であり、電子機器および/または別の検出システム構成要素が遠隔に配置され、パターン形成されたユニット内に一体化される必要がない。
【0086】
たとえば、光ベースのセンサの場合、検出ユニット470は任意選択でカラム溶離剤の光学的問合せを提供する機構を含む。これに関連して、問合せは、光をたとえばサンプル/フローセルの中に放つことにより、および光をサンプル/フローセルから収集することにより実施される。吸収またはRIベースの測定では、放たれたおよび収集された光は任意選択でただ1つの一次ビームの操作を含むが、一部の技法、たとえば蛍光、ラマン、光散乱などでは光収集は好ましくは励起プローブとは異なる物理経路に沿って行われる。
【0087】
光熱検出の一部の変形形態では励起ビームだけが必要とされ、検出は伝達法、たとえば伝導率により実行される。一次検出手段として、電気伝導率は一般に検出システム(たとえばシステム360)への電気インタフェースだけを必要とする。一部の実施形態では、検出ユニット470は、通常、カラム充填材料に悪影響を及ぼすことがある較正標準または別の溶液の導入を提供するために、較正サンプル入口を有する。
【0088】
一部の代替実施形態が複数の検出法をサポートする。たとえば、溶離剤が任意選択で光検出のためにフローセルを通過し、次に、質量分析モジュールに送達するために噴霧出口に進む。あるいは、溶離剤ストリームは1つまたは複数の検出基板を使用して複数のタイプの検出のために分割される。したがって、検出ユニットが任意選択で質量分析、光散乱、またはたとえば化学発光を用いる。カラムを出るストリームが任意選択で噴霧される、揮発させられる、別の化学薬品と混合される、または別の方法で検出ゾーンまたはセルに入る前に修正される。そのような介在するステップまたは変換は任意選択で、サンプル変換の特定の機能要件にそれぞれささげられる、または任意選択で複数のステップを実行する、同じまたは異なる基板またはサブブロック内で実施される。そのようなカラム後のステップは任意選択で、たとえば2つ以上の検出チャネルにつながる複数の流れ経路間の流れを調節するための流れの分割、カラム後の化学反応または噴霧のための液体または気体の流れの混合、および検出器、たとえば光学的検出フローセルと任意選択で一体化される検出前の熱または圧力の調節を含む。
【0089】
検出ユニットの後に、追加モジュールが任意選択で含まれる。一部のそのようなモジュールは任意選択で検出に先行するモジュールに類似する(たとえば超臨界流体クロマトグラフィ(supercritical fluid chromatography、SFC)での検出後の背圧調節)、または任意選択で二次検出ステップ、たとえば紫外線指向フラクション収集(UV−directed fraction collection)に関連付けられる。
【0090】
指摘されたように、検出ユニット470は、検出システムの別の構成要素から物理的に取り除かれる検出器または測定セルを任意選択で含む。したがって、任意選択で、検出ユニット470に含まれるセルがカラム495に流体で結合され、光リンク、たとえば光ファイバを介して残りの検出器システム構成要素に光リンクを介して遠隔で結合される。カラム495を出てセルを通過する流体が、分散されない従来の検出器システム内部で過大な温度上昇につながり得る状況では、分散検出器システムが有利である。任意選択で分散構成を正当化する一部の従来技術の検出システムの典型的な機構が、好ましくない温度感度を有する高感度の電子機器および/または光学器械要素である。
【0091】
1つの任意選択の実施形態を例示するためだけに、フローセル構成の具体的一例およびその製作が次に説明される。図8は、吸収ベースの光学分析をサポートする検出ユニット470の1つの代替実装形態のフローセル部分の横断面図である。
【0092】
検出ユニット470は、この例では入口の流体経路809a、チャンバ809b、および出口の流体経路809cを有する。カラム495は従来のナット/フェルール締め具802により入口要素803aに直接密封される。流体を通さないスリーブ804a内に固定された光ファイバ805aを介してサンプルチャンバ809bの中に光が導入される。流体を通さないスリーブ804aが、たとえばフェイスシール(face seal)および/または端部シール(edge seal)を介して入口要素803aの中に密封される。流体を通さないスリーブ804aの合わせ面が任意選択で、適合した材料または弾性のある材料でコートされる。
【0093】
サンプルチャンバ809bは、屈折率がチャンバ809bを通過する流体の屈折率より小さい材料から形成されることが好ましい内側の部材806により規定される。管806は任意選択で、2つの管806、809bをハウジング807内部に固定する目的で別の管の部材808内部でスリーブをつけられ、次に、ハウジング807は、入口要素803aに流体で密封される。
【0094】
出口要素803bがハウジングまたは管807の反対側の末端に同様に密封される。出口要素803bはまた、入口に関連する流体を通さないスリーブ804aおよび光ファイバ805aに対応する出口に関連する構成要素804b、805bに密封される。出口要素および入口要素803b、803aは、図9A、図9B、および図9Cを参照してより詳細に説明される。
【0095】
あるいは、部材806は、屈折率が流体の屈折率より大きい光透過性材料、たとえば溶融石英またはサファイアであるが、管の部材808は、部材806に密着させられ、かつ屈折率が流体の屈折率より小さい光透過性材料から形成される。適切な屈折率を有する一例の材料がアモルファスフッ素重合体たとえばTEFLON(登録商標)AF2400アモルファスフッ素重合体(DuPont Engineering Polymers、Newark、Delawareから入手できる)である。
【0096】
あるいは、内側の部材806は、たとえば部材808に適用される低屈折率の材料でコートされる。好ましくは、コーティングの厚さは予想される使用の最大波長の数波長である。たとえば、コーティングの厚さが、波長範囲100ナノメートルから1,000ナノメートル以内で使用するためには数マイクロメートルである。そのような場合、部材808は光学的に透過である必要はないが、好ましくは実質的に滑らかであり、コートされた材料との物理的に耐久性のある結合または界面を有する。同様に部材808は任意選択で光学的に透過な部材86に隣接してコートされる。任意選択で、外側の部材808は内側の材料またはコーティングでさらに囲まれるまたはカプセル化される。
【0097】
図9Aおよび図9Bはそれぞれ、任意選択の構成および製作の方法だけでなく要素803a、803bの寸法を図示する入口または出口の要素803の端面図および側面図である。限定しない例示的目的で、流体を通さないスリーブ804aの外径(outer diameter、OD)D1はたとえばほぼ25mmであり、流体を通さないスリーブ804aのIDであるD2はたとえば1mm未満からほぼ10mmまでの範囲であり、チャンバ809aの直径D3は50μm未満からほぼ0.5mmまでである。要素803の外側部分の厚さW1(セルの軸に沿った長さ)はたとえばほぼ10mm〜20mmであるが、内側の部分はたとえばほぼ25μmから150μmまでの厚さW2を有する。カラム495をサンプルチャンバ809bに接続するチャネルの幅W3はたとえばほぼ25μmから150μmである。
【0098】
従来の機械加工法は、一般にこの目的のために望まれる微細な寸法および表面性質の制御に十分に適しない。好ましくは、少なくとも一部の流体経路が機械加工ではない方法で、たとえば化学エッチング、レーザエッチング、プラズマエッチング、イオンビームミリングなどで画定される。要素803の製作は任意選択で拡散結合を含む。パターン形成および拡散結合は任意の適切な方法で、たとえば発明者Dourdevilleの国際出願第2008/106613号で説明されるように行われる。
【0099】
図9Cは、3つの金属構成要素803’、803’’、803’’’の拡散結合による要素803の製作を図示する。要素は薄いほうの部分803’’を間に挟む2つの比較的厚い部分803’、803’’’のサンドイッチから形成される。中間のより薄い部分803’’はエッチングされた溝および中央の開口を有する。位置合わせ機構、たとえば図示される位置合わせピン係合が、任意選択で引き続く拡散結合中の位置合わせを手伝う。
【0100】
例示目的のためだけに、エッチングされた溝が長さ0.156’’または4mm、深さ0.0015’’または0.038mm、幅0.010’’または0.25mmのチャネルを提供すると仮定すると、チャネルは40ナノリットル(0.04μL)の容積Vinを有する。次に、セルチャンバが、表2の1行目および2行目のカラム直径を採用する分離のための大きさに作られると仮定すると、カラム495出口からチャンバ入口までの流体経路容積Vinはセル容積のほぼ100分の1未満である。
【0101】
図10は、代替の光ファイバ結合を有する上述のフローセルの出力末端の横断面図である。この構成では、光ファイバ805aがサンプルチャンバ809bの中に伸びる。任意選択で、類似する構成が入力側で利用される。この構成では、入口にあるファイバが、流体をファイバと部材806との間に生成される環状セクションを通って流れさせ、結局チャンバ809bの全体に入る。そのような流路が取るに足らない量の調べられない流体を追加するが、滑らかな流れを促進し、サンプルから外に排除する。
【0102】
別の代替として、外側の部材808は入力から短い距離だけ伸びて、内側の部材806の末端を出る。このとき、内側の部材806は、内側の部材806と管807との間の間隙を流体で密封するのに役立つ。たとえば空気で満たされた間隙は、対象とする波長の範囲全体を通して1.00より少しだけ大きい屈折率を有する。そのような構成は高い開口数の流体コア導波路を提供する。
【0103】
一般的なこととして、当業者は、流体が入る側と同じ側から光がセルに入るように配置されてもよいことを認識している。さらに、たとえば、一方の末端にある光学的界面が別の末端と異なることがある。たとえば、セルが光ファイバベースの入力およびレンズベースの出力、またはその任意の組み合わせを利用してもよい。
【0104】
上記で指摘されたように、代替検出法がさまざまな代替実施形態で実施される。そのような方法は、たとえば蛍光測定またはラマン測定を含む。これらの場合、たとえばサンプルチャンバまたはフローセル管腔の中に導入される光の波長範囲は比較的狭いことが好ましい。光はたとえばスペクトルでフィルタにかけられた広帯域のランプ、フィルタにかけられたまたはフィルタにかけられないLED、またはレーザから提供される。光は任意選択で、サンプルチャンバの反対の末端に配置される光学要素により収集される。
【0105】
導波路ベースの励起放出分析によりもたらされる1つの利点が、吸収と放出の両方に対する実効的な経路長が増大させられること、およびさらに導波路の開口数により規定される光収集角度が比較的大きくすることができることである。ラマンの場合、収集光学部品は好ましくは、最小の長さの光ファイバ、または別個の光学部品の集まり、たとえばファイバ、窓、またはレンズの材料に関連するラマン機構の励起を最小にするための窓を含む。そのような材料の効果が、対象とする分析物による効果をしのぐ、または吸収することがあり得るためである。
【0106】
本発明の一部の好ましい実施形態が、既存の装置、たとえばLC−MSに基づく既存の分析装置に対して低減されたコストおよびサイズの装置を含む。小型化はサイズ低減に加えて多くの可能な利点を、たとえば信頼性の改善と、試薬の量およびコスト、ならびに使用された試薬の廃棄のコストの低減と、LCに関係する構成要素での分散の低減で改善された性能とを提供する。本明細書で説明される好ましい実施形態は液体クロマトグラフィに関係するが、当業者は、本発明が別の分離技法に適用できることを理解されよう。
【0107】
本発明が具体的な好ましい実施形態を参照して示され、説明されたが、以下の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細のさまざまな変更が本明細書で行われることができることが当業者により理解されよう。たとえば、検出ユニットは任意選択で、光ファイバありまたはなしで、調べられる流体の中におよび/またはその流体から光を伝達するためにレンズを利用する。さらに、図8、図9A、図9B、および図9Cのフローセルは円柱構成を有するが、代替実施形態が代替構成、たとえば直方体構成を有する。あるいは、たとえば光収集経路はチャンバ809bの長軸に対して垂直である。そのような場合、追加の経路が任意選択でチャンバ809bの中に光学窓を提供するが、そうでない場合は、チャンバを通る流れに対して突出せず、したがって、低分散検出容積を保存する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィ装置であって、
注入器バルブ、および注入器バルブと流体連通しているサンプル出口ポートを含むサンプル送達パターン形成された基板と、
管、および管内の静止している媒体を含み、パターン形成された基板のサンプル出口ポートに直接接続される入口末端部分を有する分離カラムと
を含むクロマトグラフィ装置。
【請求項2】
検出器、および検出器の入口と流体連通している溶離剤入口ポートを含む検出パターン形成された基板をさらに含み、管の出口末端部分が検出器パターン形成された基板の溶離剤入口ポートに直接接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
サンプル送達パターン形成された基板が拡散結合された金属部分を含み、検出器パターン形成された基板が拡散結合された金属部分を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
静止した媒体が直径約2.0μm未満を有する粒子を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
約15,000psiより大きい動作圧力を有する溶媒ポンピングユニットをさらに含み、溶媒ポンピングユニットが、溶媒を注入器バルブに送達するために、サンプル送達パターン形成された基板の溶媒入口ポートと流体連通している、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
サンプル送達パターン形成された基板が、混合された溶媒を注入器バルブに送達するために、溶媒入口ポートおよび注入器バルブと流体連通している溶媒混合器をさらに画定する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
分離カラムの管の入口末端部分が基板の出口ポートに取り外しできるように取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
分離カラムの管の入口末端が基板の出口ポートにねじ込めるように取り付けられる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
管が約2mm以下の内径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
管の内径が約1mm以下である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
管の内径が約0.3mm以下である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
サンプル送達パターン形成された基板が、クロマトグラフカラムの上に注入されるべきサンプルのローディングのためのサンプルリザーバチャンバを画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
サンプル送達パターン形成された基板が、注入器バルブと流体連通しているサンプル入口ポートを有し、サンプルリザーバチャンバの中にロードするために注入器バルブにサンプルを送達するように、サンプル送達パターン形成された基板のサンプル入口ポートと流体連通しているサンプル管理モジュールをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
注入器バルブが基板の固定子表面に対して回転できるように配置される回転子を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
サンプル送達パターン形成された基板がセラミック材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
検出器パターン形成された基板がセラミック材料を含む、請求項1に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−531588(P2012−531588A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517570(P2012−517570)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038288
【国際公開番号】WO2010/151440
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)