説明

一体化された作動可能なサンプル分析システムを有するサンプル採集カップ

医療および環境用の診断装置が説明され、かつ請求される。好ましい実施形態は、カップの中にカップ1が位置する構成を特徴とし、一方のカップが、大部分についてサンプルの採集に専用であり、他方のカップ2が、大部分について検定の実行に専用である。カップ間の連通が、独自であると確信されるバルブアセンブリ3と蓋7との協働によって提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、環境または生物学的サンプルを採集および評価するための診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の本発明の背景技術は、本発明の理解を読者にとって容易にしようとするものであり、これらを従来技術であると自認するものではない。
【0003】
さまざまな医療用および環境用の診断装置が、現在市販されている。その多くは、化学的または免疫学的な検査カードなどの高速分析検査装置と協働するように構成されている。いくつかの装置は、健康または疾患の指標について検査を行なうために臨床の場面で使用される。他の装置は、禁止薬物の検査のために、職業紹介所、運動競技協会、および刑務所などによって、非臨床の場面で使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すべてではないにせよ多くの装置は、使用が複雑であって、分析を達成するためにいくつかの段階を実行するために専門家を必要とし、衛生的でなく、サンプルの純度を保つことが容易でない。既存の装置は、すべてではないにせよ多くは、検査のためにサンプルのアリコート(aliquot)を分離すると同時に、事後または事前の確認検査または他の検査のために、残りのサンプルを純粋なままの状態に保存するようには、まったく構成されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、サンプル検査装置および使用方法を提供する。一実施形態において、装置が、尿中の検体の存在または量を検出するための尿カップである。一実施形態において、検体が1つ以上の乱用薬物である。一実施形態において、装置が、「カップ内カップ」の形式に構成され、第1のカップが、第2のカップの内部に位置または配置される。2つのカップの間には、1つ以上のリザーバが存在している。一実施形態において、第1および第2のカップの底部の間に1つのリザーバが存在し、底部においてOリングで封止されている。バルブ機構体が存在し、第1のカップの内部とリザーバとの間の流れを規制する。この装置へとサンプル(例えば、尿)が加えられたとき、サンプルは、第1のカップの内部から第1のカップの開口を通って、カップ間の1つ以上のリザーバまたはチャンバへと流入し、リザーバの底部に存在するOリングシールのためにリザーバ内にとどまる。第1のカップが、第1の位置から第2の位置へと動かされると、リザーバの封止が破れて、サンプルが、リザーバまたはチャンバから通路を通って分流し、検査素子と接触する。さらに、バルブ部材が作動されて開口を封止し、さらなるサンプルが、カップの内部から1つ以上のリザーバへと通過することがないようにする。このようにして、第1のカップの内部のサンプルが、確認の検査のために保存される。
【0006】
第1の態様において、本発明は、サンプル中の検体の存在または量を判定するための装置を提供する。この装置は、第1のカップを有し、この第1のカップは、液体サンプルを保持するための内部と、上部と、1つ以上の側壁と、底部とを有する。さらに装置は、第2のカップを含み、この第2のカップは、上部と、1つ以上の側壁と、底部とを有する。装置の第1のカップが、第2のカップの内部に配置される。さらに装置は、第1のカップと第2のカップとの間に配置され、サンプルのアリコートを収容するための少なくとも1つのリザーバを有し、第1のカップが、第1のカップの内部から少なくとも1つのリザーバへと通じる開口を有する。さらに装置は、カップの内部からリザーバへのサンプルのアリコートの連通を規制するため、少なくとも1つのリザーバと連動するバルブアセンブリ、および液体サンプル中の検体の存在または量を判定するため、サンプル適用領域を有する1つ以上の検査素子を含む。通路が、少なくとも1つのリザーバとサンプル適用領域とを接続している。
【0007】
特許請求の範囲において使用されるとき、用語「カップ」は、特定の幾何学的形状には限定されない。すなわち、カップが、四角形または楕円形、あるいは本発明の機能に矛盾しない任意の形状を有してよい。さらに、2つのカップは、確かに同じ形状であるかもしれないが、必ずしも同じ形状である必要はない。用語「上部」および「底部」も、特定の幾何学的形状には限定されない。上部が、出っ張り、リッジ、またはリップを有してもよく、あるいは上部が、単にカップの上部の終端であってもよい。「底部」も、平坦、円錐、または本明細書に記載されるその機能に矛盾しない他の形状など、さまざまな形状をとることができる。「リザーバ」とは、サンプルのアリコートが、装置内に位置するサンプルの残りの部分から隔離される容積領域を指す。用語「アリコート」は、サンプルのうちの選ばれた体積を指す。アリコートは、特定の体積である必要はないが、検体の存在または量について検定を実行するために十分な量のサンプルである。
【0008】
用語「バルブアセンブリ」は、開口の開放、閉鎖、または部分的遮断によって、液体の流れを規制する構成要素を指す。バルブは、自身が可動であってよく、あるいはカップまたは装置の他の部品の相対運動によって、開口を開放し、閉鎖し、あるいは部分的に遮断するための位置へと動かされる不動の構成要素であってよい。一実施形態において、バルブが、プラスチック、ゴム、または他の材料で作られた不動の構成要素で構成されるスライド式バルブである。他のさまざまな実施形態において、バルブアセンブリが、ボールバルブ、僧帽弁、バタフライバルブ、チェックバルブ、または他の種類のバルブであってよい。本発明の装置は、2つ以上のバルブおよび2つ以上のリザーバを有することができる。
【0009】
一実施形態において、第1のカップが、第2のカップの内部に回転可能に配置され、第1のカップが、第2のカップ内で第1および第2の位置を有する。バルブアセンブリは、第1のカップが第2の位置にあるときに、リザーバを第1のカップの内部との液体連絡から封止するバルブ部材であってよい。一実施形態において、さらに装置が、少なくとも1つのキー要素を含む蓋を有し、第1のカップが、少なくとも1つの係合機構体を備える。蓋が第1および第2のカップ上へと配置されたとき、少なくとも1つのキー要素が、少なくとも1つの係合機構体へと挿入される。第1のカップが、リザーバと第1のカップの内部との間で液体連絡が生じる第1の位置と、バルブ部材が、少なくとも1つのリザーバを第1のカップの内部との液体連絡から封止する第2の位置とを有する。一実施形態において、1つ以上の検査素子が、例えば試験ストリップなどの側方フローの検査素子であり、対象とする検体が存在するときに、比色分析信号を生成することができる。
【0010】
他の実施形態において、バルブ部材が、第2のカップに位置しており、開口が開かれている第1の位置、および開口が閉じられている第2の位置に置かれることができる。一実施形態において、バルブ部材が第1の位置に位置しているとき、リザーバと検査素子との間に液体連絡は生じないが、バルブ部材が第2の位置に位置しているとき、リザーバと検査素子との間に液体連絡が生じる。すなわち、第1のカップが第1の位置にあるとき、通路が閉じられ、第1のカップが第2の位置にあるとき、通路が開かれる。第1および第2の位置は、約90°径方向に離れて好都合に位置することができる。蓋は、第2のカップの上部の周囲を回転可能に封止可能である。
【0011】
一実施形態において、装置が、第1のカップが第1の位置に位置しているときに、リザーバと検査素子との間の液体連絡を阻止するシールを含む。シールは、1つ以上の封止可能なリザーバの基部に位置する、第2のバルブまたはOリング、あるいは他の種類のシールであってよい。一実施形態において、シールが、リザーバの基部に位置するOリングである。第2のバルブまたはOリングが、第1のカップが第1の位置にあるとき、リザーバと検査素子との間の液体連絡を阻止するため、リザーバを封止する。しかしながら、第1のカップが第2の位置へと動かされると、バルブまたはOリングによってもたらされている封止が破られ、したがってリザーバと検査素子との間で液体連絡が生じる。他の実施形態において、シールが、コーキング、ゴムシール、または他の水を通さない材料であってよい。他の実施形態において、第1のカップが第2の位置に位置するとき、リザーバと1つ以上の検査素子との間に通路を通って液体連絡が生じる。「Oリング」は、リザーバを通路との液体連絡から封止するガスケットである。Oリングは、通常は、ゴムまたはプラスチックから作られるが、リザーバを液体連絡から封止するという機能を満足させることができる任意の材料が、適当である。Oリングは、通常は、平たいリングまたは輪の形態であるが、その機能に矛盾しない任意の形状および形態をとることができる。「通路」は、リザーバと検査素子のサンプル適用領域との間の空間であり、この空間は、任意の形態をとることができる。他の実施形態においてOリングが使用されないが、第2のバルブが、第1のカップが第1の位置にあるときに、検査素子との液体連絡からリザーバを封止し、第1のカップが第2の位置にあるときに、リザーバと検査素子との間の液体連絡を可能にする。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、アクセス開口を有することができる。「アクセス開口」とは、装置の上部または側面の開口であって、装置の中身をこぼすことなく開くことができ、作業者が、装置の上部を取り外す必要なく、内部のサンプルにアクセスすることができる開口を指す。アクセス開口は、典型的には、サンプルのアリコートを取り出すために、ピペットまたは他のサンプル採取装置を挿入できるよう十分大きい開口の形態をとるが、この開口は、その機能に矛盾しない任意の形状および寸法をとることができる。
【0013】
他の態様において、本発明は、サンプル中の検体の存在または量を判定する方法を提供する。この方法は、本明細書において説明される本発明の装置へとサンプルを配置すること、蓋を第1および第2のカップへと配置し、キー要素を係合機構体に係合させること、第1のカップが第1の位置から第2の位置へと動かされるよう蓋を回転させることで、開口を封じて、第1のカップの内部からリザーバへの流体の流れを阻止するとともに、リザーバの封止を破って、リザーバから通路を通って検査素子へと至る流体の流れを可能にすること、およびサンプル中の検体の存在または量を判定することを含む。Oリングまたは他の種類のシールを使用する実施形態において、Oリングまたは他のシールによってもたらされているリザーバの封止が破れることで、流体がリザーバから流出する。第2のバルブを使用する実施形態において、第2のバルブを開くことによって流体がリザーバから流出する。
【0014】
一実施形態において、キー要素が、蓋の下面に構成される。例えば、蓋が、蓋の底部中央に円形の部位を含むことができ、この円形の部位が、この円形の部位から突き出すキー要素を含むことができる。望ましくは、少なくとも2つのキー要素が存在するが、4つであれば、より安定した回転機構体がもたらされる。当然ながら、6個または任意の数のキー要素も、使用可能である。蓋は、第1および第2のカップの上部の周囲を回転可能に封止可能であってよい。蓋は、2つのカップの上部を同時に覆って嵌まり込み、シールを形成することができる。一実施形態において、1つ以上のリザーバの基部にOリングが配置され、第1のカップが第1の位置にあるときに、リザーバを通路との液体連絡から封止する。第1のカップが第2の位置へと回転させられるとき、Oリング封止が破れて開放され、リザーバと検査素子との間の液体連絡が可能になる。液体連絡が、リザーバと検査素子との間で通路を通って生じる。
【0015】
他の態様において、本発明は、本明細書において説明される本発明の装置と、流体サンプル中の検体の存在または量の判定において装置を使用するための指示とを含む、キットを提供する。
【0016】
上述した本発明の概要は、本発明を限定するものではなく、本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明ならびに特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
態様の中でもとりわけ、本発明は、新規な診断装置を提供する。この装置のハードウェアは、サンプルの採集、検定の能力、ならびにサンプルのアリコートを装置の一領域に汚染されないように保存するための保存領域を提供する。すなわち、採集されたサンプルの一部分が、検定される部分に対して損なわれずかつ純粋なままに保たれるように隔離される。装置は、使い捨てであっても、再使用可能であってもよく、サンプルおよび検定結果を、例えば裸眼にて装置の外部から視認または観察できるよう、半透明な耐水プラスチックまたはポリマーで製作することができる。
【0018】
装置は、通常は使用後に捨てられるが、一実施形態において、装置が、使用のために前もって組み立てられて供給されるモジュラー式の構成要素およびチャンバを使用し、他の実施形態において、同じまたは異なる種類の第2の検定または検定のバッチのために、装置の検定構成要素を容易に洗浄でき、交換でき、および/またはサンプルのすでに検定されたアリコートを容易に装置から取り除くことができるよう、分解も容易であるように可逆な形式で供給されてもよい。検査素子を、交換を容易にするためカートリッジ形式で供給してもよい。
【0019】
本発明によれば、サンプルの純度の維持の容易化/サンプルの不純物混和の最小化、および後の使用のためのサンプルの容易な保存を達成しつつ、検定を実行することができる。作業者が検定を実行すべく準備ができたときに、装置のバルブアセンブリによって、サンプルのアリコートを検査素子へと分流させることができる。この装置は、最初に集めたサンプルの残りの部分を手付かずに保ちつつ、アリコートの隔離および分析を達成するための、きわめて簡単なバルブアセンブリの手動操作を特徴とし、上記残りの部分を、後の検査のために好都合に保持および保存することができる。
【0020】
以下の検討では、本発明の一実施形態を説明する。本明細書の開示を参照することによって、当業者であれば、本明細書の開示の範囲に含まれる他の実施形態も理解できるであろう。
【0021】
図1A〜図1Fから図5を参照すると、内側カップ1が、外側カップ2の内部に嵌まり込んでおり、それぞれは、外側の(第2の)カップが内側の(第1の)カップを受け入れて、内側カップが外側カップの内部で回転するよう、十分に矛盾のない相対寸法とされている。カップはそれぞれ、フランジ付きのリム(それぞれ、1aおよび2a)、底部(それぞれ、1bおよび2b)、および側壁(それぞれ、1cおよび2c)を有する。バルブアセンブリ3が、カップ1の内部と検査素子8(この実施形態において試験ストリップである)との間のサンプルの流体連絡を規制するため、リザーバ4と連動している。検査素子8を検査素子支持具8aに配置して、さらにカバー8bを設けることができ、カバー8bに、検査対象の検体を標示することができる。同様に、装置に不純物混和表示器9を備えることができ、不純物混和表示器を、やはり不純物混和素子支持具9a上に存在することができる。この実施形態において、バルブアセンブリが、ゴムで製作された構造体であって、第1のカップが第1の位置にあるときに、第1のカップの内部とリザーバとの間の流体連絡を可能にするように配置された構造体である。第1のカップが第2の位置へと動かされたとき、バルブ構造体が、第1のカップの開口5を閉鎖し、第1のカップの内部とリザーバとの間の流体連絡を遮断する。
【0022】
サンプル10が採集されるとき、サンプルの一部が、開口5またはカップの底部1bのスロットを通ってリザーバ4へと流入する。この実施形態において、リザーバ4は、リザーバの容積をもたらすカップ底部1bの隆起された部分に形成される。さらに、この実施形態は、リザーバ4および通路ならびに検査素子の間の液体連絡を防止するリザーバの底部のシールとして、Oリング4bを使用する。Oリングは、第2のカップの底部2bの内面の楕円形の溝内に存在し、シールをもたらしている(図3)。カップの底部1bも、Oリングの着座を容易にするため、対応する楕円形の溝または突起を有することができる。サンプルの採集の間に、楕円形の構成要素が、すべて整列し、さらに開口5が開かれる。
【0023】
サンプルの採集に続いて、蓋が装着され、蓋の下面のキー要素が、係合機構体1dへと係合させられる。キー要素および係合機構体は、内側カップ1を外側カップ2内で回転させようと加えられる力について、支持を提供する。蓋の内側リップが、第2のカップ2の外側リム2gに位置するねじ山と相補的であるねじ山を有することができる。第1のカップのリップは、下方へと曲げられており、第1のカップ1の外側リム1aの下面には、保持歯1e(見ることができない)が位置している。リムの下面の外周には、ゴム製ガスケット1fが位置している。保持歯1eは、外側カップのリム2aの凹所(見ることができない)に収容されるように構成されている。したがって、第1のカップが、第2のカップのリム2aを覆うように嵌め込まれ、保持歯が、第2のカップのリムに存在する凹所に係合する。この実施形態において、ゴム製ガスケット1fが、保持歯によって所定の位置に保持される。カップ同士が組み合わせられたとき、保持歯が凹所へと嵌まり込み、ゴム製ガスケットが、2つのカップのリムの間の空間を封止する。第1のカップが第2のカップへと着座したとき、第1のカップのリムのリップが、第2のカップのリムのリップ2fを覆い、一緒になって2つのカップへと蓋をねじ込むことができる表面を提供するよう、これらの部品が組み合わされる。
【0024】
蓋7が、2つのカップ(カップの中のカップ)の上へと配置されるとき、キー要素が、係合機構体と係合する。蓋の内側のねじ山7aも、第2のカップの外側リムの相補的なねじ山に係合する。蓋7は、カップのリム1aおよび2aのそれぞれを覆って嵌まり込み、キー要素が係合機構体の中へと位置することによって第1のカップと、相補的なねじ山によって第2のカップと、それぞれを係合するために適した寸法である。
【0025】
使用の間、蓋の内側のねじ山7aが、第2のカップのリムのねじ山2gと、ねじ式の様相で係合し、カップ1および2を外部の環境から効果的に封止する。同時に、蓋のキー要素7d(図5Aでは、4つのうちの2つを見ることができる)が、内側カップのリムの係合機構体1dに係合する。このようにして、蓋が、カップ内のカップへと「係止」される。これにより、カップ1および2を、外部の環境から封止できるだけでなく、バルブアセンブリ3を作動させて検定を実行するために、互いに対して操作することができる。
【0026】
蓋7をカップ内のカップへと締め込むために力が加えられたとき、保持歯が、凹所から追い出され、第2のカップ内で第1のカップの回転が生じる。これは、手によって容易に加えられる通常の回転力によって生じる。第1のカップが第2のカップの中で回転するにつれ、Oリング4bによってもたらされている封止が破られ、リザーバ4内に保持されているアリコートが、通路6へと分流する。同時に、第1のカップの開口5が、バルブアセンブリ3の新たな(第2の)位置によって閉じられて封止される。このようにして、第1の(内側の)カップ1の残りの中身が封止され、後に確認検査のために使用することができる。
【0027】
分流の際、リザーバ4内のサンプル部分が、通路6へと流入する。側方フローの検査素子8が、外側カップの側壁2b、または通路と流体連絡状態にある他のチャンバに取り付けられており、Oリングの封止が破れることで、通路6内のサンプルと流体連絡状態におかれる。
【0028】
他の実施形態において、カップ2内へのカップ1の配置に先立ち、あるいは検定を終えて、例えば洗浄、および/または例えば同一または異なる検査素子8a、8bを有する同一または別に構成された外側カップにおいて、さらなる検定または一連の検定の準備および実行の前置きにおいて、カップ2からカップ1を分離させた後に、蓋7が、カップの底部1bと嵌まり合うよう適切な寸法とされた凹所を蓋の下面に含むことができる。さらに、蓋の外側側面に、最終使用者による装置の「把持」を向上させるための適切な手触りを設けてもよい。
【0029】
装置の個々の構成部品は、例えば標準的な射出成形技術によって容易に製造でき、上述の原理の促進において互いに機能的に互換である限りにおいて、幅広い範囲の形状、弾力性、および構造をとることができる。装置を、正確な実施形態および構成に応じて、使用される特定の材料に応じた1つ以上の柔軟または堅固な構成部品で構成できる。装置を、例えばプレスした板紙、金属、セラミック、プラスチック、およびポリマーなど、任意の適切な材料で構成できる。適切なポリマーとしては、これらに限られるわけではないが、ポリカーボネート、ポリプロピレン、およびシクロオレフィン類が挙げられる。
【0030】
バルブアセンブリ
バルブアセンブリは、第1のカップを第2のカップの内部で回転させるべく力を加えるための場所をもたらす、第1のカップの係合機構体に嵌め合うキー要素を有する蓋によってなど、一方のカップを他方のカップに対して回転させることで機能する。一実施形態において、蓋が、サンプルがカップから漏れ出すことがないよう、第2のカップの上部を封止する。他の実施形態において、バルブアセンブリ(または、複数のバルブアセンブリ)を、外側カップの側方外部のハンドルによって駆動してもよく、ハンドルを回転させることによって、サンプルのアリコートが、他のチャンバへと分流し、この他のチャンバにてサンプルを、上述のとおり検査素子または検査構成要素を使用して検査することができる。さらに他の実施形態において、1つ以上のバルブアセンブリを電気的に、バルブアセンブリへと導かれる外部の電気インパルスに応答して動作させてもよい。
【0031】
バルブは、第1のカップが第2のカップの内側に配置されたときにリザーバ内に位置するように、第2のカップの内側の底部に位置するゴム製またはプラスチック製のタブでよい。バルブは、剛体でありかつ水を通さないため、第1のカップが第2のカップ内で回転させられたときに、第1のカップに存在する開口を遮断するための位置へと移動して、第1のカップの内部とリザーバとの間の流体連絡を防ぐように配置することができる。
【0032】
キー要素
装置のいくつかの実施形態は、バルブアセンブリ(または、複数のバルブアセンブリ)を操作するために1つ以上のキー要素を使用する。キー要素は、一実施形態において、第1のカップのリムの上部内側に位置している係合機構体と係合し、第1のカップを第2のカップ内で回転させるべく力を加えるための場所を提供している。いくつかの実施形態において、キー要素が蓋と一体であり、バルブアセンブリを開口を閉鎖するための位置へと動かして、第1のカップの内部とリザーバとの間の流体連絡を阻止するよう、第1のカップのリム内側の係合機構体へと嵌まり込み、かつ回転可能に係合する。
【0033】
種々の実施形態において、1つ以上のガスケットを、装置の種々の部品間の漏れを防止するために使用することができる。これらのガスケットは、Oリング、水を通さない材料からなるシール、などの形態をとることができる。
【0034】
サンプル、サンプルのアリコート、およびサンプルの検体
「サンプル」は、検体の存在または量について検査される任意の物質であってよい。本発明の検査装置を使用して検査できる液体サンプルの例としては、尿、血液、血清、血漿、唾液、痰、汗、眼水、精液、および髄液などの体液、大海、海、湖沼、河川などからの水サンプル、家庭、市町村、または産業用の水源からのサンプル、湧水または下水サンプルなどの水サンプル、ならびにミルクまたはワインなどの食品サンプルが挙げられる。粘性液体、半固体、または固体の試料も、サンプルとなりうる液体溶液、溶出液、懸濁液、または抽出物を生み出すために使用することができる。例えば、気管または生殖器から擦り取った標本を、液体溶液中に懸濁させてサンプルを作ることができる。サンプルは、例えば緩衝液または溶液中の細胞の懸濁など、液体、固体、気体、またはこれらの任意の組み合わせの組み合わせを含むことができる。サンプルは、細胞、微生物、細胞小器官、および生化学複合体などの生体物質を含むことができる。液体サンプルを、土壌、糞便、組織、器官、生物学的流体、または本質的に流体でない他のサンプルなど、固体、半固体、または高粘度の物質から作ることができる。例えば、これらの固体または半固体サンプルを、緩衝液、希釈液、抽出緩衝液、または試薬など、適切な溶液と混ぜ合わせることができる。流体サンプルを形成するため、サンプルを液体に浸して軟化させることができ、凍結および解凍することができ、あるいは他の方法で抽出することができる。残留する粒子状物質は、濾過または遠心分離など、従来からの方法を使用して除去または低減することができる。「サンプルのアリコート」とは、サンプルのうち検査素子による検査の対象とされる部分を指す。
【0035】
「検体」とは、検査素子によって検出および/または測定しようとするサンプル内の対象とする化合物または組成物である。適切な検査素子が存在している任意の検体を、本発明を使用して検出することができる。一実施形態において、検出しようとする検体が、乱用薬物である。「乱用薬物(drug of abuse)」(DOA)とは、非医学的な理由(通常は、精神状態を変化させる目的)で摂取される薬物である。そのような薬物の乱用は、肉体的および精神的障害につながる可能性があり、(いくつかの物質については)依存性、中毒、および/または死につながる可能性がある。DOAの例としては、コカイン、アンフェタミン(例えば、ブラックビューティー(black beauties)、ホワイトベニー(white bennies)、デキストロアンフェタミン(dextroamphetamines)、デキセドリン(dexies)、ビーンズ(beans))、メタンフェタミン(クランク(crank)、メタドン(meth)、クリスタル(crystal)、スピード(speed))、バルビツレート(New Jersey州NutleyのRoche Pharmaceuticals社のバリウム(Valium:登録商標))、鎮静剤(sedatives)(すなわち、睡眠補助薬)、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)、抑制剤(depressants)((鎮静剤(downers)、精神安定剤(goofballs)、バルビツール剤(barbs)、ブルーデビル(blue devils)、イエロージャケット(yellow jackets)、ルード(ludes))、三環系抗鬱薬(TCA、例えばイミプラミン(imipramine)、アミトリプチリン(amitriptyline)、およびドクサピン(doxepin))、フェンシクリジン(PCP)、テトラヒドロカナビノール(THC、ポット(pot)、ドープ(dope)、大麻(hash)、マリファナ(weed)など)、および麻酔剤(例えば、モルヒネ(morphine)、アヘン(opium)、コデイン(codeine)、ヘロイン(heroin)、オキシコドン(oxycodone))が挙げられる。しかしながら、任意の検体を、本発明を使用して検出することができる。
【0036】
検体は、サンプルの不純物混和の測定または判定にも関係することができ、この不純物混和は、希釈、または例えばサンプルを他の種、被験体、または人間以外の起源から調達する他の不正、あるいはサンプルの組成を変化させて検定の目的を無にすることができる物質の添加などによる。そのような不純物混和検体は、分析される特定の用途およびサンプルの種類、ならびに生じうる不純物混和の起源または種類にもとづいて選択できる。そのような検体を、本明細書において、不純物混和検体または不純物混和表示と称することもある。
【0037】
さらに検体は、抗体、もしくは抗体の誘導体または断片あるいは活性断片など、特定の結合分子であってよい。特定の結合分子は、他のサンプルまたは検体化合物に比べ、より大きな結合性または親和性で他の分子または複合体と結合する。抗体は、単クローンであっても、多クローンであってもよく、例えばホストの免疫処置、および血清またはハイブリッド細胞ライン(例えば、ハイブリドーマ)の採集の技術など、この技術分野において広く知られている技術によって用意することができる。
【0038】
検査素子
「検査素子」とは、検定の基礎を構成する試薬を含む構成要素であって、流体サンプル中に検体が存在するときに検出可能な信号をもたらす。一実施形態において、検査素子が試験ストリップである(例えば、側方フローの試験ストリップ)。他の実施形態において、検査素子が、試薬が適用されるスライドまたは吸収性の紙(例えば、フィルタ紙)であってよい。検査素子は、典型的には、サンプル内の対象とする1つ以上の検体と結合および/または反応する1つ以上の試薬を含む。本発明の装置および方法において使用できる、多数のさまざまな検査素子および検定が、市販されている。
【0039】
検査素子が試験ストリップである場合、吸収性または非吸収性の材料で製作することができる。試験ストリップは、2つ以上の材料を含んでもよく、その場合、それらは流体連絡状態におかれる。例えば、ニトロセルロース上に重ねられたフィルタ紙など、試験ストリップの一材料を、試験ストリップの他の材料に重ねてもよい。これに代え、あるいはこれに加えて、試験ストリップが、1つ以上の材料を含む領域を、1つ以上の異なる材料を含む領域を後続させて含んでもよい。この場合、領域同士が流体連絡状態にあり、互いに部分的に重なり合っていてもよく、重なり合っていなくてもよい。取り扱い時の強度を高めるため、試験ストリップの材料を、支持体、またはプラスチック製支持シートなどの固体表面に結合させてもよい。
【0040】
検体が、検体と特定的に反応する1つ以上の酵素によるなど、信号生成システムによって検出される実施形態において、信号生成システムの1つ以上の構成要素を、上述のように特定の結合メンバーを試験ストリップ材料に結合させる場合と同様のやり方で、試験ストリップ材料の検体検出領域に結合させることができる。これに代えあるいはこれに加えて、試験ストリップのサンプル適用領域、試薬領域、または検体検出領域に含まれ、あるいは試験ストリップの全体にわたって含まれる信号生成システムの構成要素を、試験ストリップの1つ以上の材料に含浸させてもよい。これは、そのような構成要素の溶液を表面に塗布することによって、あるいは1つ以上の試験ストリップ材料をそのような構成要素の溶液に浸漬させることによって、達成することができる。1つ以上の塗布または1つ以上の浸漬に続いて、試験ストリップ材料を乾燥させる。これに代えあるいはこれに加えて、試験ストリップのサンプル適用領域、試薬領域、または検体検出領域に含まれ、あるいは試験ストリップの全体にわたって含まれる信号生成システムの構成要素を、ラベル付き試薬について説明したように、試験ストリップの1つ以上の試験ストリップ材料の表面へと塗布してもよい。
【0041】
領域は、次のとおり構成することができる。すなわち、サンプル適用領域、1つ以上の試薬領域、1つ以上の検査結果判定領域、1つ以上の管理領域、1つ以上の不純物混和領域、および流体吸収領域である。検査結果判定領域が管理領域を含む場合、好ましくは、管理領域は、検査結果判定領域の検体検出領域に後続する。これらの領域のすべて、またはそれらの組み合わせを、単一の材料からなるただ1つの試験ストリップに設けることができる。あるいは、複数領域が異なる材料で作成され、流体連絡させてともに連結される。例えば、種々の領域は、直接流体連絡してもよく、間接的に流体連絡してもよい。この場合、種々の領域を、流体連絡するように端部対端部で接合することができ、流体連絡するように重ね合わせることができ、あるいは、フィルタ紙、ガラス繊維、またはニトロセルロースなどの好ましくは吸収性である接続材料など、他の部材によって連通させることができる。接続材料を使用する場合には、接続材料が、端部対端部で接続された領域またはそのような領域を含む材料から、流体連絡状態にない端部対端部で接続された領域またはそのような領域を含む材料へと流体連絡させることができ、あるいは重なり合っている(これに限られるわけではないが、上部から底部へ、など)が流体連絡状態にはない領域またはそのような領域を含む材料を、接続することができる。試験ストリップのこれらの実施形態に加えて、他の多数の実施形態も可能である。
【0042】
不純物混和汚染物質の存在を表示する検査素子を提供することも有用である。例えば、尿の比重を変化させるであろう不純物混和を検出するために、尿サンプルの比重を示す不純物混和素子を備えることができる。グルタルアルデヒドおよび他の化学品、ならびに他の多数の汚染物質を尿サンプルに加えることが、乱用薬物についての検定の結果を無にしようとする者の間で一般的な技術である。また、温度の物理パラメータについての検査素子を備えることが有用である。提供されたサンプルが予想される通常の温度ではない場合、サンプルが、検査場所へと携行されてきたものであって被験体から由来したものではないことを、知らせているかもしれない。薬物検査の目的を無にするために、多数の不純物混和が尿へと加えられる可能性があり、望ましいと考えられる多数の検査素子を、この装置に取り入れることができる。これらの不純物混和および対応する検査素子は、この技術分野において知られている。
【0043】
試験ストリップが不純物混和管理領域を備える場合には、不純物混和管理領域を、結果判定領域の前または後に配置することができる。そのような試験ストリップの結果判定領域に管理領域が存在する場合には、不純物混和管理領域は、好ましくは管理領域の前に位置するが、必ずしもそのようでなくてもよい。試験ストリップが、不純物混和された検体および/または管理の判定のための管理試験ストリップである本発明の実施形態において、不純物混和管理領域を、管理領域の前または後に配置することができるが、管理領域の前が好ましい。
【0044】
本発明の装置にて検査することができるサンプルとしては、生物学的起源の液体(例えば、ケーシング流体または臨床サンプル)が挙げられる。液体サンプルは、糞便、生物組織、および食品サンプルを含む、固体または半固体のサンプルから由来することができる。そのような固体または半固体のサンプルを、例えば混合、切断、浸漬、培養、溶解、または適切な液体(たとえば、水、リン酸緩衝生理食塩水、または他の緩衝液)中での固体サンプルの酵素による消化など、任意の適切な方法によって液体サンプルへと変換することができる。「生物学的サンプル」としては、例えば人間または動物からの尿、唾液、血液および血液の成分、脳脊髄液、膣塗抹標本、精液、糞便、汗、滲出液、組織、器官、腫瘍、組織および器官の培養、細胞培養、またはこれらからの調整済みの媒体など、生きている動物、植物、および食品から由来するサンプルが挙げられる。好ましい生物学的サンプルは、尿である。食品サンプルとしては、加工済み食品成分または最終製品、肉、チーズ、ワイン、ミルク、および飲料水からのサンプルが挙げられる。植物サンプルとしては、任意の植物、植物組織、植物細胞培養、およびこれらからの調整済みの媒体から由来するサンプルが挙げられる。「環境サンプル」は、環境から由来するサンプルである(例えば、湖沼または他の水域からの水サンプル、廃液サンプル、土壌サンプル、地下水、海水、および湧き水)。下水および関連の排泄物も、環境サンプルに含めることができる。
【0045】
任意の検体を、本発明および適切な検査素子を利用して検査することができる。特に、本発明を、口内液中の乱用薬物の検出に使用することができる。「乱用薬物」(DOA)は、非医学的な理由(通常は、精神状態を変化させる目的)で摂取される薬物である。そのような薬物の乱用は、肉体的および精神的障害につながる可能性があり、(いくつかの物質については)依存性、中毒、および/または死につながる可能性がある。DOAの例としては、コカイン、アンフェタミン(例えば、ブラックビューティー、ホワイトベニー、デキストロアンフェタミン、デキセドリン、ビーンズ)、メタンフェタミン(クランク、メタドンン、クリスタル、スピード)、バルビツレート(New Jersey州NutleyのRoche Pharmaceuticals社のバリウム(Valium:登録商標))、鎮静剤(すなわち、睡眠補助薬)、リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)、抑制剤(鎮静剤、精神安定剤、バルビツール剤、ブルーデビル、イエロージャケット、ルード)、三環系抗鬱薬(TCA、例えばイミプラミン、アミトリプチリン、およびドクサピン)、フェンシクリジン(PCP)、テトラヒドロカナビノール(THC、ポット、ドープ、大麻、マリファナなど)、および麻酔剤(例えば、モルヒネ、アヘン、コデイン、ヘロイン、オキシコドン)が挙げられる。
【0046】
例えば、本発明を使用して検査することができるさらなる検体には、これらに限られるわけではないが、クレアチニン、ビリルビン、亜硝酸塩、たんぱく質(非特定)、ホルモン(例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンなど)、血液、白血球、糖、重金属または毒素、バクテリア成分(例えば、大腸菌O157:H7、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、ウエルシュ菌、カンピロバクター、リステリア菌、腸炎ビブリオ、またはセレウス菌などの特定の種類のバクテリアに特有のたんぱく質または糖)、ならびにpHおよび比重などの尿サンプルの物理特性が含まれる。側方フローの検査形式に適合させることができる他の任意の臨床尿化学検体も、本発明の装置に取り入れることができる。
【0047】
例1 一体化された作動可能な検査素子を有するサンプル採集容器
本発明の装置は、例えば雇用前薬物検査など、さまざまな状況において利用可能である。検査対象となる者が、内側の(第1の)カップに尿のサンプルを提供する。雇用前薬物検査のための実施形態において、装置は、この実施形態においてコカイン、メタンフェタミン、フェンシクリジン、THC、モルヒネ、およびアンフェタミンである、いくつかの一般的な乱用薬物のための試験ストリップを収容している。これらの試験ストリップは、競合的な免疫学的検定の形式を使用し、検査対象の各薬物についてラベル付けされた特定の結合分子(この実施形態において、抗体である)が、試験ストリップのラベル領域に存在している。検査線が、検査対象の抗原を含む。サンプル中に検体が存在する場合、ラベル領域においてラベル付けされた特定の結合分子が検体と結合するため、ラベル付けされた抗体が検査線と結合することがない。したがって、検体が存在する場合には、検査線に信号が生じることがない。対照的に、唾液中に抗原が存在しない場合には、ラベル付けされた抗体が検査線に結合し、検査線上に信号をもたらす。
【0048】
被験体が装置を受け取り、装置へと尿サンプルを提供する。検査技師が尿サンプルで満たされた装置を受け取るときまでに、リザーバはすでに尿サンプルで満たされている。尿サンプルを含む装置を受け取った後に、検査技師が蓋を装着し、キー要素を係合機構体に係合させる。第1のカップの保持歯は、前もって第2のカップのリップの凹所内に着座している。検査技師が、検定開始の準備をしたとき、蓋が装置へとねじ込まれる。これにより、第1のカップが第2のカップの内側で回転するとき、保持歯が凹所から追い出される。技師が、第1のカップを第2のカップの内側で回転させたとき、バルブアセンブリが、第1のカップの開口を遮断するための位置へと移動し、第1のカップの内部とリザーバとの間の流体連絡を停止させる。さらに、第1のカップが第2のカップの内側で回転するとき、リザーバの底部に位置する封止が破られ、リザーバと通路、および最終的には試験ストリップとの間に、流体連絡が生じる。
【0049】
約30秒の間に、尿が試験ストリップを通過して流れ、管理の印が提示されて検定が完了したことを知らせる。次いで、技師が、検定の結果を読み取る。何らかの検体について陽性の結果が検出された場合には、第1のカップの内部に安全に封止および隔離されている残りのサンプルについて確認の検査を行なうために、装置を保持することができる。
【0050】
以上の例は、本発明を限定するものではなく、あくまで種々の態様および実施形態の代表例である。引用したすべての文献は、本発明に関する技術分野の技術水準を示すものであるが、何かを従来技術であると認めるものではない。本発明が、上述の目的を達成して、上述の結果および利点、ならびに本発明に固有の結果および利点を得るために、上手く構成されていることを、当業者であれば容易に理解できるであろう。この例は、あくまで一実施形態を説明するものであって、典型例であり、本発明の完全な範囲についての限定を意図するものでは決してない。あるいくつかの変更および他の用途が、当業者にとって容易に生じ、それらは特許請求の範囲によって定められる本発明の思想に包含される。
【0051】
本明細書に記載の試薬および検査素子は、市販されており、あるいは過度の実験を必要とすることなく、当業者にとって知られている日常の手順を使用して容易に製造でき、あるいは本明細書にて引用した文献に説明されている。例えば、本発明の装置において使用できる例示の検査素子を、例えばhttp://www.aconlabs.com/products.htmlによりAcon Laboratories(米国California州San Diego)から入手可能である。
【0052】
本明細書において例として説明した本発明は、本明細書において具体的には開示しなかった任意の1つまたは複数の要素、あるいは1つまたは複数の限定事項がなくても、適切に実行可能である。したがって、例えば、本明細書のそれぞれの場合において、用語「〜を含む、備える」、「本質的に〜からなる」、および「で構成される」は、特許法のもとでの異なる意味を与えつつ、他の2つの用語のいずれかによって置き換え可能である。
【0053】
使用した用語および表現は、説明のための用語として使用され、限定のための用語として使用されてはおらず、そのような用語および表現の使用には、図示および説明した特徴の任意の均等物またはその一部を排除しようとする意図はない。特許請求の範囲に記載される本発明の範囲において、さまざまな変更が可能であると理解される。したがって、本発明を、好ましい実施形態によって具体的に開示したが、当業者であれば本明細書に開示した概念について随意による特徴、変更および変形に頼ることができ、そのような変更および変形が、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲に包含されることを、理解されたい。
【0054】
さらに、本発明の特徴または態様が、マーカッシュグループまたは選択肢で構成される他のグループ化にて記載されている場合、それによって本発明が、マーカッシュグループまたは他のグループの個々のメンバーまたはメンバーの部分集合によって、必要に応じて個々のメンバーを除外して記載されることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0055】
他の実施形態は、特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】本発明の装置の一実施形態における蓋またはキャップの上面正投影図である。この実施形態において、リザーバと検査素子との間に障壁をもたらすために、楕円形のOリングが使用されている。
【図1B】本発明の装置の一実施形態における水平側面正投影図である。この実施形態において、リザーバと検査素子との間に障壁をもたらすために、楕円形のOリングが使用されている。
【図1C】本発明の装置の一実施形態における別の面の垂直正投影図である。この実施形態において、リザーバと検査素子との間に障壁をもたらすために、楕円形のOリングが使用されている。
【図1D】本発明の装置の一実施形態における側面断面図である。この実施形態において、リザーバと検査素子との間に障壁をもたらすために、楕円形のOリングが使用されている。
【図1E】本発明の装置の一実施形態における装置の底部の正投影図である。この実施形態において、リザーバと検査素子との間に障壁をもたらすために、楕円形のOリングが使用されている。
【図1F】本発明の装置の一実施形態における斜視図である。この実施形態において、リザーバと検査素子との間に障壁をもたらすために、楕円形のOリングが使用されている。
【図2】図1A〜図1Fの実施形態の分解側面図である。
【図3】図1A〜図1Fの実施形態の蓋なしの状態の断面斜視側面図であり、2つのカップの底部の間での楕円形の部品の整列が示されている。
【図4】図1A〜図1Fの実施形態の蓋ありの状態の他の断面斜視側面図であり、整列から90°外れた(第1のカップの回転後の)第1および第2のカップが示されている。この図は、この実施形態において使用される楕円形のOリングを示している。
【図5A】図1A〜図1Fの装置の実施形態の水平断面図であり、この実施形態において使用される楕円形のOリングが示されており、Oリングが互いに整列することで、第1のカップの内部からリザーバへの流体サンプルの流れを可能にしている。
【図5B】図1A〜図1Fの装置の実施形態の垂直断面図であり、この実施形態において使用される楕円形のOリングが示されており、Oリングが互いに整列することで、第1のカップの内部からリザーバへの流体サンプルの流れを可能にしている。
【図6A】図1A〜図1Fの装置の実施形態の水平断面図であり、この実施形態において使用される楕円形のOリングが示されており、Oリングが90°ずらされることで、リザーバを第1のカップとの流体連絡から封止するとともに、リザーバから検査素子への流体サンプルの流れを可能にしている。
【図6B】図1A〜図1Fの装置の実施形態の垂直断面図であり、この実施形態において使用される楕円形のOリングが示されており、Oリングが90°ずらされることで、リザーバを第1のカップとの流体連絡から封止するとともに、リザーバから検査素子への流体サンプルの流れを可能にしている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の検体の存在または量を判定するための装置であって、
液体サンプルを保持するための内部と、上部と、1つ以上の側壁と、底部とを備える、第1のカップと、
上部と、1つ以上の側壁と、底部とを有し、第1のカップが内部に配置される、第2のカップと、
第1のカップと第2のカップとの間に位置するサンプルのアリコートを収容するための少なくとも1つのリザーバとを備え、第1のカップが、第1のカップの内部から少なくとも1つのリザーバへと通じる開口をさらに備え、前記装置がさらに、
第1のカップの内部からリザーバへのサンプルのアリコートの連通を規制するため、少なくとも1つのリザーバと連動するバルブアセンブリと、
液体サンプル中の検体の存在または量を判定するため、サンプル適用領域を備える1つ以上の検査素子と、
少なくとも1つのリザーバとサンプル適用領域とを接続する通路とを備える、装置。
【請求項2】
第1のカップが、第2のカップの内部に回転可能に配置され、第1のカップが、第2のカップの内部で第1および第2の位置を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
バルブアセンブリが、バルブ部材を備え、バルブ部材は、バルブ部材が第1の位置にあるときに、リザーバを第1のカップの内部との液体連絡から封止する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つのキー要素を含む蓋をさらに備え、第1のカップが、少なくとも1つのキー穴を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つのキー要素が、蓋が第1および第2のカップへと配置されるとき、少なくとも1つのキー穴に挿入される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
第1のカップは、バルブ部材が少なくとも1つのリザーバを第1のカップの内部との液体連絡から封止する第1の位置と、リザーバと第1のカップの内部との間およびリザーバと検査素子との間に、液体連絡が生じる第2の位置とを有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
1つ以上の検査素子が、側方フローの検出構成要素である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
1つ以上の検査素子が試験ストリップである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
1つ以上の試験ストリップが、対象とする検体が存在するときに比色分析信号を生成する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
バルブ部材が、第2のカップの底部上に備えられ、開口が封止されている第1の位置と、開口が開かれている第2の位置とに備えられることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
第1のカップが第2の位置にあるとき、通路が開かれている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第1および第2の位置が、約90°径方向に離れて配置されている、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
蓋が、第2のカップの上部の周囲を回転可能に封止可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項14】
1つ以上の封止可能なリザーバの底部に位置するシールをさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
シールが、第1のカップが第1の位置にあるときに、リザーバと検査素子との間の液体連絡を阻止するようにリザーバを封止するOリングである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
第1のカップが第2の位置にあるとき、通路を通ってリザーバと1つ以上の検査素子との間に液体連絡が生じる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
アクセス開口をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
サンプル中の検体の存在または量を判定する方法であって、
サンプルを装置に配置することとを含み、
前記装置が、
液体サンプルを保持するための内部と、上部と、1つ以上の側壁と、底部と、1つ以上の係合機構体とを備える、第1のカップと、
上部と、1つ以上の側壁と、底部とを有し、第1のカップが内部に配置される、第2のカップと、
第1および第2のカップの間に配置されるサンプルのアリコートを収容するための少なくとも1つのリザーバとを備え、第1のカップが、第1のカップの内部から少なくとも1つのリザーバへと通じる開口を備え、かつ第1のカップとリザーバとの間の液体連絡を可能にする第1の位置にあり、前記装置がさらに、
少なくとも1つのリザーバと連動するバルブアセンブリと、
液体サンプル中の検体の存在または量を判定するための1つ以上の検査素子と、
少なくとも1つのリザーバと1つ以上の検査素子との間の通路と、
1つ以上のキー要素を備える蓋とを備え、
前記方法がさらに、
蓋を第1および第2のカップへと配置し、キー要素を係合機構体に係合させることと、
第1のカップがある位置から第2の位置へと移動されるように蓋を回転させることで、開口を封じて、第1のカップの内部からリザーバへの流体の流れを阻止するとともに、通路を通ってリザーバから検査素子へと流体が流れることができるようにすることと、
サンプル中の検体の存在または量を判定することとを含む、方法。
【請求項19】
バルブアセンブリがバルブ部材を備え、該バルブ部材は、バルブ部材が第1の位置に位置しているときに、リザーバを第1のカップの内部との液体連絡から封止する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
キー要素が、蓋のリップ内側に備えられている、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
1つ以上の検査素子が、側方フローの検出構成要素である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
1つ以上の検出構成要素が、試験ストリップである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
1つ以上の試験ストリップが、対象とする検体が存在するときに比色分析信号を生成する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第1および第2の位置が、約90°径方向に離れて配位される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
蓋が、第1および第2のカップの上部の周囲を回転可能に封止可能である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
さらに装置が、1つ以上のリザーバの底部に配置されるシールを備え、該シールが、第1のカップが第1の位置にあるときに、通路との液体連絡を阻止するようにリザーバを封止し、第1のカップが第2の位置へと回転させられたときに開いて、リザーバと検査素子との間の液体連絡を可能にする、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
第1のカップが第2の位置へと回転させられたときに封止が破れ、通路を通ってリザーバと検査素子との間に液体連絡が生じる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
装置と装置の使用に関する指示とを含むキットであって、
前記装置が、
液体サンプルを保持するための内部と、上部と、1つ以上の側壁と、底部とを備える、第1のカップと、
上部と、1つ以上の側壁と、底部とを有し、第1のカップが内部に配置される、第2のカップと、
第1のカップと第2のカップとの間に位置する少なくとも1つのリザーバとを備え、第1のカップが、第1のカップの内部から少なくとも1つのリザーバへと通じる開口をさらに備え、前記装置がさらに、
少なくとも1つのリザーバに備えられ、カップ間の空間において、第1のカップの内部と封止可能な少なくとも1つのリザーバとの間のサンプルのアリコートの連通を規制できるようにする、バルブアセンブリと、
液体サンプル中の検体の存在または量を判定するため、サンプル適用領域を備える、1つ以上の検査素子と、
少なくとも1つのリザーバおよびサンプル適用領域を接続する通路とを備える、
キット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−511771(P2007−511771A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540013(P2006−540013)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/038429
【国際公開番号】WO2005/050169
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】