説明

一体型一方向クラッチ

【課題】減じられた軸方向幅と、軸方向の圧縮を回避する手段とを有する一方向クラッチを提供する。
【解決手段】一方向クラッチ100のための軸線104を中心として配置されたレース106と、レースに向かって延びておりかつレースと接触した複数のフィンガエレメント116を備えたくさびプレート102とが設けられており、くさびプレート及びレースの一方が、自動車装置におけるトルク伝達エレメントへの回転結合のために配置されており、かつ回転のためのくさびプレート及びレースの他方から独立して、くさびプレート及びレースの他方に対して第1の回転方向に回転するように配置されており、複数のフィンガが、くさびプレート及びレースの一方を、くさびプレートの他方及びレースの他方に対して、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転させるように、レースを掴んでくさびプレートとレースとを回転方向でロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、合衆国第35法典第119条(e)に基づいて、引用したことにより本明細書に記載されたものとする2006年12月21日に出願された米国特許仮出願第60/876499号明細書の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、力を伝達するための装置における改良に関する。力は、回転駆動ユニット(例えば自動車のエンジン)と回転被駆動ユニット(例えば自動車における変速トランスミッション)との間で伝達されるか、又は力は回転駆動ユニット(例えば自動車のトランスミッション)内で伝達されることができる。特に、本発明は、軸方向寸法よりも大きな周方向寸法を有するくさびを備えた一方向クラッチ、及び軸方向間隔を備えた半径方向一方向クラッチに関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、典型的な車両における、エンジン7と、トルクコンバータ10と、トランスミッション8と、ディファレンシャル/車軸アセンブリ9との関係を示す概略的なブロック線図を示している。自動車のエンジンからトランスミッションへトルクを伝達するためにトルクコンバータが使用されることがよく知られている。
【0004】
トルクコンバータの3つの主要な構成要素は、ポンプ37と、タービン38と、ステータ39とである。トルクコンバータは、ポンプがカバー11に溶接されると、シールされたチャンバとなる。カバーはフレックスプレート41に結合されており、このフレックスプレート41自体はエンジン7のクランクシャフト42にボルト留めされている。カバーは、カバーに溶接されたラグ又はスタッドを用いてフレックスプレートに結合されることができる。ポンプとカバーとの間の溶接された結合はエンジントルクをポンプに伝達する。したがって、ポンプは常にエンジン速度で回転する。ポンプの機能は、流体を半径方向外方及び軸方向へタービンに向かって送るためにこの回転運動を利用することである。したがって、ポンプは遠心ポンプであり、流体を小さな半径の入口から大きな半径の出口へ送り、流体のエネルギを増大させる。トランスミッションクラッチとトルクコンバータクラッチとを係合させるための圧力は、ポンプハブによって駆動される、トランスミッションにおける付加的なポンプによって提供される。
【0005】
トルクコンバータ10において、流体回路は、ポンプ(インペラと呼ばれる場合もある)と、タービンと、ステータ(リアクタと呼ばれる場合もある)とによって構成されている。流体回路は、車両が停止させられている場合にエンジンを回転させ続け、運転手によって望まれた場合に車両を加速する。トルクコンバータは、減速歯車装置と同様に、トルク比によってエンジントルクを補足する。トルク比は、入力トルクに対する出力トルクの比である。トルク比は、タービン回転速度が低い又はゼロである(ストールとも呼ばれる)場合に最も高くなる。ストールトルク比は通常1.8〜2.2の範囲である。これは、トルクコンバータの出力トルクが入力トルクよりも1.8〜2.2倍だけ大きいことを意味する。しかしながら、出力速度は入力速度よりも著しく低い。なぜならば、タービンは出力部に結合されておりかつ回転していないが、入力部はエンジン速度で回転しているからである。
【0006】
タービン38は、車両を推進するために、ポンプ37から受け取る流体エネルギを利用する。タービンシェル22はタービンハブ19に結合されている。タービンハブ19は、タービントルクをトランスミッションシャフト43に伝達するためにスプライン結合を利用する。入力軸は、トランスミッション8における歯車及び軸と、車軸ディファレンシャル9とを介して、車輪に結合されている。タービンブレードに衝突する流体の力は、トルクとしてタービンから出力される。軸方向スラスト軸受31は、構成要素を、流体によって与えられる軸方向の力から支持する。出力トルクが、静止中の車両の慣性を克服するのに十分であると、車両は動き始める。
【0007】
流体エネルギはタービンによってトルクに変換された後、依然として流体には僅かなエネルギが残されている。小さな半径の出口44から出てくる流体は、通常は、ポンプの回転に対抗するような形式でポンプに進入する。ステータ39は、ポンプの加速を助けるために流体を方向転換させるために使用され、これにより、トルク比を増大させる。ステータ39は一方向クラッチ46を介してステータシャフト45に結合されている。ステータシャフトはトランスミッションハウジング47に結合されており、回転しない。一方向クラッチ46は、ステータ39が低速比において回転するのを阻止する(低速比では、ポンプがタービンよりも速く回転する)。タービン出口44からステータ39に進入する流体は、ステータブレード48によって回転させられ、回転方向でポンプ37に進入する。
【0008】
ブレードの入口角度及び出口角度、ポンプ及びタービンシェルの形状、トルクコンバータの総直径とが、その性能に影響する。設計パラメータは、トルク比と、効率と、エンジンを"ランアウェイ"させることなくエンジントルクを吸収するためのトルクコンバータの能力とを含む。これは、トルクコンバータが小さすぎ、ポンプがエンジンを減速させることができない場合に起こる。
【0009】
低速比においては、トルクコンバータは正常に機能し、車両が静止した状態でエンジンを回転させ、増大した性能のためにエンジントルクを補足する。1よりも小さな速度比では、トルクコンバータの効率は100%に満たない。タービンの回転速度がポンプの回転速度に近づくにしたがって、トルクコンバータのトルク比は、約1.8〜2.2から、約1のトルク比まで次第に減少する。トルク比が1に達したときの速度比はカップリングポイントと呼ばれる。このポイントにおいては、ステータに進入する流体はもはや方向転換される必要はなく、ステータにおける一方向クラッチが、流体を、ポンプ及びタービンと同じ方向に回転させる。ステータが流体を方向転換していないので、トルクコンバータから出力されるトルクは、トルク入力と同じである。流体回路全体はユニットとして回転する。
【0010】
最大トルクコンバータ効率は、流体における損失に基づき92〜93%に限定される。したがって、トルクコンバータクラッチ49は、トルクコンバータ入力部を出力部に機械的に結合するために使用され、効率を100%に改善する。クラッチピストンプレート17は、トランスミッションコントローラによって命令されると、液圧によって作動させられる。ピストンプレート17は、内径においてOリング18によってタービンハブ19に対してシールされており、外径において摩擦材料リング51によってカバー11に対してシールされている。これらのシールは、圧力チャンバを形成し、ピストンプレート17をカバー11と係合させる。この機械的な結合は、トルクコンバータ流体回路をバイパスする。
【0011】
トルクコンバータクラッチ49の機械的結合は、ドライブトレーンに、より多くのエンジンねじれ変動を伝達する。ドライブトレーンが基本的にばね質量系であるので、エンジンからのねじれ変動は、系の固有振動数を励起することができる。ダンパは、ドライブトレーンの固有振動数を、駆動範囲から外れさせるように使用される。ダンパは、エンジン7及びトランスミッション8と直列に配置されたばね15を有しており、これにより、系の有効ばね定数を減衰させ、固有振動数を低下させる。
【0012】
トルクコンバータクラッチ49は、4つの構成要素、すなわちピストンプレート17と、カバープレート12及び16と、ばね15と、フランジ13とを有している。カバープレート12及び16はトルクをピストンプレート17から圧縮ばね15に伝達する。カバープレートウィング52は、軸方向保持のためにばね15の周囲に形成されている。ピストンプレート17からのトルクは、リベット結合部を介してカバープレート12及び16に伝達される。カバープレート12及び16は、ばね窓の縁部と接触することによって、トルクを圧縮ばね15に提供する。両カバープレートは、ばねの中心軸線の両側においてばねを支持するように協働する。ばね力は、フランジばね窓縁部との接触によって、フランジ13に伝達される。場合によっては、フランジは、回転タブ又はスロットをも有しており、この回転タブ又はスロットは、カバープレートの一部に係合して、高トルク条件においてばねの過剰圧縮を阻止する。フランジ13からのトルクは、タービンハブ19と、トランスミッション入力軸43とに伝達される。
【0013】
エネルギ吸収は、望まれるならば、時にはヒステリシスと呼ばれる摩擦によって達せられることができる。ヒステリシスは、ダンパプレートの巻き上げ及び巻出しからの摩擦を含み、したがって実際の摩擦トルクの2倍である。ヒステリシスパッケージは、概して、ダイアフラムばね(又は皿ばね)14から成り、このダイアフラムばね(又は皿ばね)は、フランジ13と、カバープレート16の一方との間に配置されており、フランジ13を他方のカバープレート12と接触させる。ダイアフラムばね14によって加えられる力の大きさを制御することによって、摩擦トルクの大きさも制御されることができる。典型的なヒステリシスの値は、10〜30Nmの範囲である。
【0014】
クラッチ46等のローラクラッチの使用は、クラッチにおけるローラと、ローラを半径方向にブラケットする構成部材との間の制限された接触により、高い応力をも生ぜしめる。したがって、ローラクラッチの軸方向は増大されなければならず、不都合なことに、ローラクラッチを収容する構成部材、例えばステータ39、のために必要とされる軸方向空間を増大させる。米国特許第7040469号明細書(シラタキ他)は、ローラクラッチのためのリテーナにおける応力に取り組もうとしているが、ローラの軸方向を減じるという問題に取り組んでいない。スプラグ型一方向クラッチも同様の理由から同様の望ましくない軸方向長さ増大が存在する。米国特許第6953112号明細書(ミウラ)は、スプラグクラッチのためのフレームの非対称性に関連した問題に取り組んでいるが、クラッチの軸方向長さを減じるという問題には取り組んでいない。したがって、ローラ及びスプラグ型一方向クラッチは、ステータ39の、ひいてはトルクコンバータ10のコスト、重量及び複雑さを増大させる。一方向クラッチに関する前記説明は、トルクコンバータ以外の用途にも当てはまる。
【0015】
幾つかの半径方向一方向クラッチは、1つ又は2つ以上の半径方向に配置されたプレートを使用する。あいにく、一方向クラッチを収容した装置に関連したスラスト荷重は、プレートの軸方向圧縮を生ぜしめるおそれがあり、クラッチの機能を損なわせる。荷重に耐えるために端部プレートの寸法及び強度を増大させることが知られているが、このアプローチは望ましくないことにクラッチの幅、重量及びコストを増大させる。
【0016】
したがって、応力のより優れた分布を提供し、減じられた軸方向長さを有しかつ軸方向圧縮を回避する手段を有する一方向クラッチが長い間必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の一般的な目的は、減じられた軸方向幅を有する一方向クラッチを提供することである。
【0018】
本発明の別の一般的な目的は、軸方向の圧縮を回避する手段を有する一方向クラッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の概要
本発明は、広くは、クラッチのための軸線を中心にして配置されたレースと、レースに向かって延びかつレースと接触した複数のフィンガエレメントを備えたくさびプレートとを有する一方向クラッチを含む。くさびプレート又はレースの一方は、自動車装置(図示せず)におけるトルク伝達エレメント(図示せず)への回転結合のために配置されておりかつ、第1の回転方向において、くさびプレート又はレースの他方に対して、回転のためにくさびプレート又はレースの他方から独立して回転するように配置されている。複数のフィンガは、くさびプレート又はレースの一方がくさびプレート又はレースの他方に対して第1の回転方向とは反対の第2の回転方向で回転するようにくさびプレート及びレースを回転方向でロックするようにレースを掴むために配置されている。
【0020】
レースは、半径方向でくさびプレートと向き合った周面を有しており、くさびプレート又はレースの一方を第1の方向で回転させるために、複数のフィンガは周面に沿って摺動するように配置されている。第2の方向でのくさびプレート又はレースの回転のために、複数のフィンガは、くさびプレート又はレースの回転に抵抗するように周面に対して半径方向の力を加えるように配置されている。複数のフィンガは第2の方向に予め荷重がかけられている。
【0021】
レースは、半径方向でくさびプレートと向き合った周面を有しており、複数のフィンガにおける各フィンガは、レースの周面に整合するように成形された周面を有している。幾つかの態様において、レースのための周面は、軸線に関して第1の半径を備えた円筒状の面を有しており、各フィンガのための周面は、実質的に第1の半径に等しい、軸線に関する第2の半径を備えた円筒状の面の区分を有している。幾つかの態様において、一方向クラッチは、軸方向にくさびプレートを貫通して配置された、クラッチの一方の軸方向端部からクラッチの他方の軸方向端部へ軸方向に機械的経路を提供する、間隔形成エレメントを有している。
【0022】
本発明は、広くは、クラッチのための軸線を中心に配置されたレースと、複数のフィンガエレメントを備えたくさびプレートとを有する一方向クラッチを含む。レースは、半径方向でくさびプレートと向き合った周面を有しており、フィンガエレメントは半径方向にレースに向かって延びており、くさびプレート又はレースは、自動車装置におけるトルク伝達エレメントへの回転結合のために配置されており、各フィンガエレメントは、周面に関して相補的に成形された周方向エッジを備えた遠位端部を有している。
【0023】
幾つかの態様において、遠位エッジは、くさびプレートがレースから解離されている場合にくさびプレートのための長手方向軸線から不均一な半径方向距離に位置する。レースと接触した複数のフィンガにおける少なくとも1つのフィンガの周方向範囲は、レースと接触した少なくとも1つのフィンガの軸方向範囲よりも大きい。くさびプレート又はレースは、くさびプレート又はレースの他方から独立して、くさびプレート又はレースの他方に対して第1の回転方向に回転するように配置されており、複数のフィンガは、第1の回転方向とは反対の第2の相対的な回転方向でのくさびプレート又はレースの回転のために、レースを掴んでプレートとレースとを回転方向でロックするように配置されている。
【0024】
幾つかの態様において、周面は、軸線に関して第1の半径を備えた円筒状の面を有しており、周方向エッジは、実質的に第1の半径に等しい、軸線に関する第2の半径を備えた円の区分を有している。幾つかの態様において、一方向クラッチは、軸方向にくさびプレートを貫通して配置された、クラッチの一方の軸方向端部からクラッチの他方の軸方向端部へ機械的な軸方向経路を提供する、間隔形成エレメントを有している。
【0025】
本発明はさらに広くは、ステータのステータシャフトに回転結合されるように配置されたハブと、ハブに向かって半径方向内方へ延びた複数のフィンガエレメントを有するくさびプレートとが設けられた、トルクコンバータにおけるステータのための一方向クラッチを含む。くさびプレートは、ステータのためのブレードアセンブリに回転結合されるように配置されており、各フィンガエレメントは、ハブのための周面に関して相補的に成形された周方向エッジを備えた遠位端部を有しており、周方向エッジはレースの周面に整合して係合する。
【0026】
本発明は広くは、クラッチのための軸線を中心にして配置されたレースと、軸線を中心にして半径方向に配置されたクラッチエレメントと、軸方向にクラッチエレメントを貫通して配置された間隔形成エレメントとが設けられた一方向クラッチを含む。プレート又はレースは、自動車装置におけるトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されており、プレート又はレースの他方から独立して、プレート又はレースの他方に対して第1の回転方向に回転するように配置されている。プレートは、プレート又はレースが、プレート又はレースの他方に対して第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転するように、レースに半径方向で係合してプレートとレースとを回転方向でロックするように配置されている。レースと接触したプレートの周方向範囲は、レースと接触したプレートの軸方向範囲よりも大きく、間隔形成エレメントは、クラッチのための第1及び第2の軸方向端部の間に軸方向に機械的な経路を提供する。
【0027】
幾つかの態様において、間隔形成エレメントは、軸方向端部の間でスラスト荷重を伝達するように配置されている。幾つかの態様において、間隔形成エレメントは、軸線を中心にして半径方向に配置された、少なくとも1つの軸方向にずらされたフィンガを有するプレートを含み、少なくとも1つの軸方向にずらされたフィンガは、少なくとも機械的な経路の部分を含む。幾つかの態様において、レースは、半径方向でクラッチエレメントと向き合った周面を有しており、クラッチエレメントは、レースに向かって延びた複数のフィンガエレメントを有しており、各フィンガエレメントは、周面に対して相補的に成形された周方向エッジを備えた遠位端部を有しており、周方向エッジは、レースの周面に整合して係合する。
【0028】
本発明のこれらの目的及び利点並びにその他の目的及び利点は、本発明の好適な実施形態の以下の説明と、添付の図面及び請求項とから容易に認められるであろう。
【0029】
本発明の性質及び態様がここで、添付の図面を参照した発明の以下の詳細な説明により完全に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
まず、異なる図面における同じ参照符号は、発明の同じ又は機能的に類似の構造エレメントを表していることが認識されるべきである。本発明は、現時点で好適な態様であると考えられるものに関して説明されるが、請求項に記載の発明は開示された態様に限定されないと理解されるべきである。
【0031】
さらに、発明は、記載された特定の方法、材料及び変更に限定されず、もちろん変更することができる。ここで使用されている用語は、特定の態様だけを説明するためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される。
【0032】
特に定義されない限りは、ここで使用されている全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者にとって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。ここに説明されたものと同じ又は均等のあらゆる方法、装置又は材料が発明の実施又は試験において使用されることができるが、好適な方法、装置及び材料がここでは説明されている。
【0033】
図7Aは、本願において用いられた空間的な用語を示している、円筒座標系80の斜視図である。本発明は、少なくとも部分的に円筒座標系に関連して説明される。系80は長手方向軸線81を有しており、この長手方向軸線は、以下の方向及び空間の用語のための基準として使用される。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という形容詞は、軸線81、半径82(軸線81に対して直交する)及び円周83のそれぞれに対して平行な方向に関する。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という形容詞も、個々の平面に対して平行な方向をいう。様々な平面の配置を明らかにするために、物体84,85及び86が用いられている。物体84の面87は軸方向平面を形成している。すなわち、軸線81はこの面に沿った線を形成している。物体85の面88は半径方向平面を形成している。すなわち、半径82はこの面に沿った線を形成している。物体86の面89は周方向平面を形成している。すなわち、円周83はこの面に沿った線を形成している。別の例として、軸方向の移動又は配置は軸線81に対して平行であり、半径方向の移動又は配置は半径82に対して平行であり、周方向の移動又は配置は円周83に対して平行である。回転は軸線81に関する。
【0034】
"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という副詞は、軸線81、半径82又は円周83のそれぞれに対して平行な方向に関する。"軸方向"、"半径方向"及び"周方向"という副詞は、個々の平面に対して平行な方向にも関する。
【0035】
図7Bは、本願において用いられる空間的な用語を示している、図7Aの円筒座標系における物体90の斜視図である。円筒状物体90は、円筒座標系における円筒状物体を表しており、本願発明をどのようにも限定しようとするものではない。物体90は、軸方向の面91と、半径方向の面92と、周方向の面93とを有している。面91は軸方向平面の一部であり、面92は半径方向平面の一部であり、面93は周方向平面の一部である。
【0036】
図8は、本発明の一方向クラッチ100の分解された前方斜視図である。
【0037】
図9は、図8に示されたくさびプレート102及びレース106の後面図である。
【0038】
図10は、2つの位置における遠位端部126を示した、図9における領域10の詳細である。以下の説明は図8から図10までを参照すべきである。一方向クラッチ100は、クラッチのための軸線104を中心にして少なくとも部分的に周方向に配置された少なくとも1つのくさびプレート102と、やはり軸線を中心にして少なくとも部分的に周方向に配置されたレース106とを有している。くさびプレート102又はレース106の一方は、技術上知られたあらゆる手段によって、自動車装置(図示せず)におけるトルク伝達エレメント(図示せず)に回転結合されるように配置されている。回転方向で結合又は固定されているとは、個々の構成部材が一緒に回転する、すなわち構成部材が回転に関して固定されているようにプレートとレースとが結合されていることを意味する。2つの構成要素を回転方向で結合することは、必ずしも他の方向での相対移動を制限するわけではない。例えば、回転方向で結合された2つの構成要素が、スプライン結合を介して互いに対して軸方向移動を行うことが可能である。しかしながら、回転方向での結合は、他の方向での移動が必ずしも存在することを意味すると理解されるべきではない。例えば、回転方向で結合された2つの構成要素は、軸方向で互いに固定されていることができる。回転方向での結合の前記説明は、以下の説明にも適用可能である。
【0039】
幾つかの態様において、くさびプレート102は、伝達エレメントに結合されるように配置されている。例えば、くさびプレート102の円周108は、トルク伝達エレメントに結合されるように配置されている。幾つかの態様において、トルク伝達エレメントは、トルクコンバータにおけるステータのためのブレードアセンブリ、例えばアセンブリ109であり、プレート102、特に円周108は、技術上知られたあらゆる手段、例えばファスナ110及び開口112,114によってブレードアセンブリに結合されるように配置されている。技術上知られたあらゆるファスナ、例えばリベットが使用されることができる。次いで、レース106はハブであり、研磨されたステータシャフト(図示せず)に回転方向で固定されている。しかしながら、本発明のクラッチは、トルクコンバータのステータとの使用に限定されず、本発明のクラッチは、他の自動車装置におけるその他のトルク伝達エレメントと使用されることができる。
【0040】
以下の説明のため及び例示の目的のために、くさびプレート102は、そうでないことが述べられない限り、トルク伝達装置に結合されている。しかしながら、くさびプレート102ではなく、レース106がトルク伝達装置に結合されることができ、以下の説明は概して、レース106がトルク伝達エレメントに結合されている態様に適用可能であることが理解されるべきである。
【0041】
各くさびプレートは、レース106に向かって延びておりかつレース106と接触した複数のフィンガエレメント若しくはフィンガ116を有している。図8において、フィンガは半径方向内方へ延びている。
【0042】
くさびプレート102は、レース106に対して回転方向120に回転するようにレース106から独立して回転するように配置されている。すなわち、くさびプレートは方向120での相対回転のために空転する。この相対運動は、回転するレース又は回転方向で固定されたレースに対するものであることができる。
【0043】
方向120とは反対の方向122でのくさびプレートの相対回転のために、以下でさらに説明されるように、くさびプレートとレース106とを回転方向でロックすなわち結合するために、フィンガ116が、レース106、特に周面124を掴むように配置されている。図示の構成では、空転方向は方向120であり、ロッキング方向は方向122である。しかしながら、クラッチ100はこの構成に制限されず、例えば、幾つかの態様では、空転方向とロッキング方向とは、図示のものとは逆であってもよい。
【0044】
面124は、半径方向でくさびプレートと向き合っており、以下でさらに説明されるように、方向122でのくさびプレートの回転のために、フィンガは、レース102の回転に抵抗するように面124に対して半径方向の力を加えるように配置されている。幾つかの態様において、面124は円筒状の面である。概して、くさびプレート及びフィンガは、フィンガがくさびプレートの回転を阻止するだけでなく、フィンガが、ロッキングモード方向、例えば方向122でのくさびプレートの回転を停止させるように、トルク伝達エレメントから予想される最大トルクに従って構成されている。方向120でのくさびプレートの相対回転のために、フィンガはレース106及び面124に摺動可能に係合する。すなわち、フィンガは、面とロックすることなく面に沿って摺動する。
【0045】
クラッチ100は、回転方向で固定されたレース106及び回転可能なくさびプレートに限定されない。幾つかの態様において、レース106は、トルク伝達エレメントに結合されるように配置され、くさびプレートが固定されている。幾つかの態様において、くさびプレート及びレースが回転可能であり、くさびプレート又はレースであることができる1つ又は複数のトルク受取り部材と、1つ又は複数の他の部材との間の回転は、相対回転である。例えば、ロックアップモードをトリガするために、トルク伝達エレメントに結合された1つ又は複数の部材は、1つ又は複数の他の部材よりも高速でロックアップ方向に回転する。
【0046】
ここで、クラッチ100の動作をさらに詳細に説明する。概して、空転モードとロッキングモードとの間のフィンガ116の位置変化は比較的小さい。言い換えれば、空転モードとロッキングモードとの間のフィンガ116の移動はほとんどない。つまり、モードの間のシフトに関連した遊びの量が有利には減じられる。
【0047】
フィンガ116は、周方向エッジ128を備えた個々の遠位端部126を有している。エッジ128は面124と接触している。エッジ128は面124に対して相補的に成形されている。つまり、エッジ128が面124の逆になっている。概して滑らかな、すなわち連続的な面124に凹凸すなわち不連続が存在することができ、概してエッジ128は少なくとも面124の連続的なセグメントに合致することが理解されるべきである。言い換えれば、エッジ128は面124に整合するように係合している。すなわち、少なくともエッジ128の部分は面124と完全に接触している。幾つかの態様において、面124は半径130を備えた円筒状の面であり、エッジ128は、実質的に半径130と等しい半径131を備えた円の区分である。すなわち、これらの半径は、面とエッジとの接触を可能にするために十分に近い。半径131は、軸線104に関するか又は、プレート102がクラッチ100に装着された場合に軸線104と重なり合うくさびプレートの回転軸線に関することができる。幾つかの態様において、エッジ128は、遠位端部の周面132の部分であり、面132は面124を映し、面124及び132は、実質的に同じ半径を備えた個々の円筒状の面である。以下の説明のために、面124及び132は円筒状であると仮定されるが、面のためのその他の形状が、請求項に記載された発明の精神及び範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0048】
方向120での滑り係合及び方向122でのロッキング係合を達成するために、フィンガ116は方向122に予め荷重がかけられている。すなわち、フィンガがレース106から解離された場合、例えばレース106が除去された場合、フィンガは、少なくとも部分的に方向122に移動し、静止位置を占める。言い換えれば、フィンガがレース106と係合させられると、フィンガは、方向120に強制され、少なくとも部分的に方向122に向けられた押圧力をレースに加える。この点を例示するために、端部がレース106から解離された場合の端部126の大体の位置が、図10に破線で示されている。破線によって示された位置の変化は、例示の目的のためであり、係合した位置と解離した位置との間での端部126のための移動のその他の程度が可能である。すなわち、その他の相対位置は、請求項に記載された発明の精神及び範囲に含まれる。
【0049】
幾つかの態様において、遠位端部126が面124から解離されると、エッジ128は、半径131によって規定された円に関してずれる。言い換えれば、くさびプレートがレース106から解離されている場合、遠位縁部128は、くさびプレートのための長手方向軸線から不均一な半径方向距離に位置している。すなわち、フィンガ116のバイアスは、端部126を、半径131によって規定された、図10に実線で示された位置から、破線で示された位置へ移動させる。破線の位置においては、エッジ128すなわち面132と、プレート軸線との間の半径方向の距離は、エッジすなわち面の周方向長さ134に亘って変化している。概して、クラッチ100において、エッジ128は、軸線104に関する半径方向平面において整合させられている。さらに、上記不均一な半径方向距離は、エッジ128が、プレート108のための長手方向軸線すなわち回転軸線に関する半径方向平面にあることを前提とする。幾つかの態様において、フィンガのバイアスは、フィンガの全体的な形状を形成するように材料片を打抜き加工し、フィンガを、オフセット位置すなわちバイアスされた位置へたわませ、アーチ状の面132を形成するように遠位端部を打抜き加工し、そしてフィンガを解放することによって達成されることができる。
【0050】
上述の予め荷重を加えることにより、フィンガが面124と係合させられるときに、面132は方向120へ押され、くさびプレートが方向120へ回転すると、面132は面124に沿って摺動する。すなわち、摺動動作は、面のための最も小さな抵抗の経路である。しかしながら、くさびプレートが方向122に回転する場合、フィンガ116のバイアスにより、面124は、面132の移動に抵抗する。すなわち、方向122での面132及び124の係合と、面124の抵抗とが、半径方向の力136を生ぜしめ、この力が面132を面124に対して押し付ける。言い換えれば、フィンガは面124に対して引っ掛かり、くさび102のさらなる回転に抵抗する。概して、方向122でくさびプレートを回転させることに加えられるエネルギを増大することにより、力136が増大され、フィンガ116とレース106とをさらにロックする。
【0051】
レース106がトルク伝達装置に結合されている態様に、方向が反転されながら前記説明が適用可能である。特に、示された構成では、レースがくさびプレートに対して方向122に回転すると、レースが空転し、レースが方向120に回転すると、レース及びくさびプレートはロックする。
【0052】
幾つかの態様(図示せず)においては、くさびプレート及びレースの半径方向構成が反転される。すなわち、レースはくさびプレートの半径方向外側に配置されており、フィンガは、レースにおける内方に面した周面に係合するように、プレートの外周に向かって半径方向外方に延びている。概して、図8から図10までの説明におけるくさびプレート及びレースの記述は、回転方向の適当な調節と共に前の構成に適用可能である。例えば、この構成において、くさびプレート又はレースはトルク伝達エレメントに結合されていることができる。図8において、エッジ128は、端部126に関して凹面状である。逆の半径方向構成(フィンガが半径方向外方に延びている)において、フィンガの遠位端部はフィンガのボディに関して凸面状である。
【0053】
幾つかの態様(図示せず)において、遠位端部126の構成は反転されている。すなわち、図8においてフィンガ116から方向122に周方向に延びている代わりに、遠位端部はフィンガ116から方向120に周方向に延びている。この場合、空転方向とロッキング方向とは反転されている。
【0054】
図11は、図8に示された線11−11に沿った断面図である。
【0055】
図12は、図11における領域12の詳細である。以下の説明には図8から図12までを参照されるべきである。有利には、プレートとレースとの回転ロックアップの時、レース106の面124と接触したフィンガ116の面132の寸法134は、レース106と接触した面132の軸方向寸法138よりも大きい。言い換えれば、レースと接触したフィンガエレメントの周方向範囲は、レースと接触したフィンガの軸方向範囲よりも大きい。つまり、くさびプレート102の構成は、レースと接触した周方向範囲を増大させるので、プレート102の軸方向範囲は、エレメント102のための所要の荷重支持能力を維持しながら、減じられる。したがって、クラッチ100の軸方向範囲は有利には減じられる。
【0056】
幾つかの態様において、本発明のクラッチは、間隔形成エレメントを有している。概して、このようなクラッチは、クラッチのための軸線を中心にして配置されたレースと、軸線を中心に半径方向に配置されたクラッチエレメントとを有している。クラッチエレメント若しくはレースは、自動車装置におけるトルク伝達エレメントに結合されるように配置されている。クラッチエレメントは、回転方向でレースとロックするように半径方向に作動する。間隔形成エレメントは、クラッチの軸方向端部の間に軸方向に機械的な又は中実な経路を形成するために、軸方向にクラッチエレメントを貫通して配置されている。機械的な経路とは、中実な材料の連続的な経路を意味する。幾つかの態様において、スペース形成エレメントは、軸方向端部の間でスラスト荷重を伝達するように配置されている。
【0057】
例えば、幾つかの態様において、クラッチはクラッチ100であり、クラッチエレメントはプレート102であり、レースはレース106であり、プレート140は、少なくとも1つの軸方向フィンガ又は間隔形成エレメント142を含む。軸方向フィンガ142は、くさびプレートを貫通して、例えば開口144を貫通して軸方向に配置されている。概して、プレート140は軸線104を中心として半径方向に配置されている。軸方向フィンガは、クラッチ100の軸方向端部148からクラッチの他方の軸方向端部、すなわち端部150まで中実の軸方向経路146を提供する。すなわち、フィンガは、上述の中実の又は機械的な軸方向経路の少なくとも一部を形成している。幾つかの態様において、フィンガ142は軸方向端部148と150との間でスラスト荷重を伝達するように配置されている。例えば、フィンガ142に関連したプレート109A及び109Bは、クラッチに加えられるスラスト荷重のための連続的な機械的な経路を提供する。
【0058】
幾つかの態様において、クラッチ100はトルクコンバータのためのステータ一方向クラッチであり、半径方向でフィンガ142と整合させられた軸受(図示せず)からのスラスト荷重は、プレート109A及び109Bにスラスト荷重を加え、荷重は経路146に沿ってプレート140及びフィンガ142を介して伝達される。
【0059】
経路146に沿ったスラスト荷重はプレート102をバイパスし、プレートの軸方向圧縮を阻止し、プレートの適切な回転を可能にする。すなわち、荷重が、くさびプレートに衝突するのを阻止されている。幾つかの態様において、プレート140はスタンピングによって形成され、フィンガ142はプレートから打ち抜かれ、プレート140における開口152は、個々のフィンガ142が打ち抜かれる時に形成される。
【0060】
クラッチ100は、5つのくさびプレート102を備えて示されているが、クラッチ100は、特定の数のくさびプレートに限定されない。例えば、クラッチ100は、1つのくさびプレート又は5つ以上のくさびプレートを有することができる。有利には、クラッチ100において使用されるくさびプレートの数は、トルク伝達エレメントから予測されるトルクに従って変更されることができる。例えば、プレートの数を増やすと、クラッチ100のトルク能力が増大し、数を減らすとトルク能力が低下する。使用されるくさびプレートの数は、クラッチを使用する自動車装置の特定のトルク能力、及び製造上の考慮、例えば特定の製造プロセスに関するクラッチエレメントの最適な厚さを選択することに応じて決定されることができる。例えば、幾つかの態様では、クラッチエレメントはスタンピングによって形成され、クラッチエレメントの厚さは、使用されるスタンピング機械に対応するように決定されることができる。特に、クラッチがトルクコンバータステータにおいて使用される場合、クラッチにおいて使用されるクラッチエレメントの数は、トルクコンバータを収容した車両のためのエンジンのパワーが増大するのに応じて増大されることができ、減少するのに応じて減少されることができる。
【0061】
幾つかの態様において、内側及び外側のレース、くさびプレート、又は間隔プレートは、スタンピングによって形成される。
【0062】
したがって、本発明の目的は効率的に達成されるが、発明に対する修正及び変更が当業者に容易に明らかであるべきであり、これらの修正は、請求項に記載された発明の精神及び範囲に含まれるものである。前記説明は、本発明の例を示しており、限定するものと考えられるべきでないことも理解される。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明のその他の実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ドライブトレーンにおけるトルクコンバータの関係及び機能を説明することを助けるための、自動車における動力伝達経路の概略的なブロック線図である。
【図2】自動車のエンジンに固定されて示されている、従来のトルクコンバータの断面図である。
【図3】図2に示された線3−3に沿って見た、図2に示されたトルクコンバータの平面図である。
【図4】概して図3に示された線4−4に沿って見た、図2及び図3に示されたトルクコンバータの断面図である。
【図5】図2に示されたトルクコンバータの第1の分解図であり、分解されたトルクコンバータを左から見たものとして示されている。
【図6】図2に示されたトルクコンバータの第2の分解図であり、分解されたトルクコンバータを右から見たものとして示されている。
【図7A】本願において用いられた空間的な用語を示している、円筒座標系の斜視図である。
【図7B】本願において用いられた空間的な用語を示している、図7Aの円筒座標系における物体の斜視図である。
【図8】本発明の一方向クラッチの分解された前方斜視図である。
【図9】図8に示されたくさびプレート及び内レースの後面図である。
【図10】2つの位置における遠位端部を示した、図9における領域の詳細である。
【図11】図8に示された線11−11に沿った断面図である。
【図12】図11における領域12の詳細である。
【符号の説明】
【0064】
100 一方向クラッチ、 102 くさびプレート、 104 軸線、 106 レース、 108 円周、 109 ブレードアセンブリ、 110 ファスナ、 112,114 開口、 116 フィンガ、 124 面、 126 遠位端部、 128 エッジ、 130,131 半径、 138 軸方向寸法、 140 プレート、 142 間隔形成エレメント、 144 開口、 146 軸方向経路、 148,150 軸方向端部、 152 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向クラッチにおいて、
該一方向クラッチのための軸線を中心として配置されたレースが設けられており、
該レースに向かって延びておりかつ該レースと接触した複数のフィンガエレメントを備えたくさびプレートが設けられており、該くさびプレート又はレースの一方が、自動車装置におけるトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されており、かつ回転のための前記くさびプレート又はレースの他方から独立して、前記くさびプレート又はレースの他方に対して第1の回転方向に回転するように配置されており、前記複数のフィンガが、前記くさびプレート又はレースの一方を、前記くさびプレート又はレースの他方に対して、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転させるために、前記レースを掴んで前記くさびプレートとレースとを回転方向でロックするように配置されていることを特徴とする、一方向クラッチ。
【請求項2】
前記複数のフィンガにおける少なくとも1つのフィンガにおいて、前記レースと接触した部分の周方向寸法が前記部分のための軸方向寸法よりも大きい、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項3】
前記レースがさらに、半径方向で前記くさびプレートと向き合った周面を有しており、前記第1の方向での前記くさびプレート又はレースの前記一方の前記回転において、前記複数のフィンガが前記周面に沿って摺動するように配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項4】
前記レースがさらに、半径方向で前記くさびプレートと向き合った周面を有しており、前記第2の方向での前記くさびプレート又はレースの前記一方の前記回転において、前記複数のフィンガが、前記くさびプレート又はレースの前記第1の一方の回転に抵抗するように前記周面に対して半径方向の力を加えるように配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項5】
前記レースが、半径方向で前記くさびプレートと向き合った周面を有しており、前記複数のフィンガの各フィンガが、前記レースの前記周面に整合するように成形された周面を有している、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項6】
軸方向に前記くさびプレートを貫通して配置された、前記クラッチの一方の軸方向端部から前記クラッチの他方の軸方向端部までの中実な軸方向経路を提供する間隔形成エレメントが設けられている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項7】
前記レース又は前記くさびプレートが、前記トルク伝達エレメントに結合されるように配置されている、請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項8】
一方向クラッチにおいて、
該一方向クラッチのための軸線を中心として配置されたレースが設けられており、
複数のフィンガエレメントを備えたくさびプレートが設けられており、前記レースが、半径方向で前記くさびプレートに向き合った周面を有しており、前記フィンガエレメントが半径方向に前記レースに向かって延びており、前記くさびプレート又はレースの一方が、自動車装置のトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されており、前記フィンガエレメントはそれぞれ、前記周面に対して相補的に成形された周方向エッジを備えた遠位端部を有していることを特徴とする、一方向クラッチ。
【請求項9】
前記周方向エッジが、前記レースの周面に整合するように係合している、請求項8記載の一方向クラッチ。
【請求項10】
前記遠位エッジが、前記くさびプレートが前記第2のレースから解離された場合に前記くさびプレートのための長手方向軸線から不均一な半径方向距離に配置されている、請求項8記載の一方向クラッチ。
【請求項11】
前記複数のフィンガの少なくとも1つのフィンガにおいて、前記レースと接触した部分の周方向寸法が前記部分の軸方向寸法よりも大きい、請求項8記載の一方向クラッチ。
【請求項12】
前記くさびプレート又はレースの前記一方が、前記くさびプレート又はレースの他方から独立して、前記くさびプレート又はレースの前記他方に対して第1の回転方向に回転するように配置されており、前記複数のフィンガが、前記くさびプレート又はレースの前記一方の、前記くさびプレート又はレースの前記他方に対する、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向への回転のために、前記レースを掴んで前記くさびプレート及びレースを回転方向でロックするように配置されている、請求項8記載の一方向クラッチ
【請求項13】
前記レース又は前記くさびプレートが、前記トルク伝達エレメントに結合されるように配置されている、請求項12記載の一方向クラッチ。
【請求項14】
軸方向に前記くさびプレートを貫通して配置された、前記クラッチのための第1の軸方向端部と第2の軸方向端部との間に機械的な経路を提供する、間隔形成エレメントが設けられている、請求項8記載の一方向クラッチ。
【請求項15】
前記間隔形成エレメントが、前記軸線を中心として半径方向に配置された、少なくとも1つの軸方向にずらされたフィンガを有するプレートを含み、前記少なくとも1つの軸方向にずらされたフィンガが、前記中実な軸方向経路の少なくとも部分を含む、請求項14記載の一方向クラッチ。
【請求項16】
トルクコンバータにおけるステータのための一方向クラッチにおいて、
前記ステータのためのステータシャフトに回転結合されるように配置されたハブが設けられており、
該ハブに向かって半径方向内方に延びた複数のフィンガエレメントを有するくさびプレートが設けられており、該くさびプレートが、前記ステータのためのブレードアセンブリに回転結合されるように配置されており、前記フィンガエレメントがそれぞれ、前記ハブのための周面に対して相補的に成形された周面を備えた遠位端部を有しており、前記周方向縁部が前記レースの周面に整合して係合することを特徴とする、トルクコンバータにおけるステータのための一方向クラッチ。
【請求項17】
前記くさびプレートが前記ハブから解離されている場合に前記遠位エッジが前記くさびプレートのための長手方向軸線から不均一な半径方向距離に配置されている、請求項16記載の一方向クラッチ。
【請求項18】
前記複数のフィンガにおける少なくとも1つのフィンガにおいて、前記ハブと接触した部分の周方向寸法が前記部分のための軸方向寸法よりも大きい、請求項16記載の一方向クラッチ。
【請求項19】
前記複数のフィンガが、回転方向での外側レースの回転のために、前記ハブを掴んで前記ハブと前記外側レースとを回転方向でロックするように配置されている、請求項16記載の一方向クラッチ。
【請求項20】
前記周面が、前記軸線に対して第1の半径を備えた円筒面を含み、前記周方向エッジが、前記軸線に対して、実質的に前記第1の半径と等しい第2の半径を備えた円の区分を有する、請求項16項記載の一方向クラッチ。
【請求項21】
一方向クラッチにおいて、
前記一方向クラッチのための軸線を中心として配置されたレースが設けられており、
前記レースに向かって半径方向に延びた複数のフィンガエレメントを有するくさびプレートが設けられており、前記レースが、半径方向で前記くさびプレートと向き合った周面を有しており、前記くさびプレート又はレースの一方が、自動車装置のトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されており、前記フィンガエレメントがそれぞれ、前記周面に対して相補的に成形された周方向エッジを備えた遠位端部を有しており、前記周方向エッジが、前記レースの周面に整合して係合しており、前記遠位エッジが、前記くさびプレートが前記レースから解離されている場合に前記くさびプレートのための長手方向軸線から不均一な半径方向距離に配置されており、前記複数のフィンガにおける少なくとも1つのフィンガにおいて、前記レースと接触した部分の周方向寸法が該部分のための軸方向寸法よりも大きいことを特徴とする、一方向クラッチ。
【請求項22】
一方向クラッチにおいて、
前記クラッチのための軸線を中心として配置されたレースが設けられており、
前記軸線を中心として半径方向に配置されたクラッチエレメントが設けられており、
軸方向に前記クラッチエレメントプレートを貫通して配置された間隔形成エレメントが設けられており、前記クラッチエレメント又はレースの一方が、自動車装置のトルク伝達エレメントに回転結合されるように配置されておりかつ、前記クラッチエレメント又はレースの他方から独立して、前記クラッチエレメント又はレースの前記他方に対して第1の回転方向に回転するように配置されており、前記クラッチエレメントが、前記クラッチエレメント又はレースの前記一方の前記クラッチエレメント又はレースの前記他方に対する第2の回転方向での回転のために、前記レースに半径方向で係合して前記クラッチエレメント及びレースを回転方向でロックするように配置されており、前記レースと接触した前記クラッチエレメントの周方向範囲が、前記レースと接触した前記クラッチエレメントの軸方向範囲よりも大きく、前記間隔形成エレメントが、前記クラッチのための第1の軸方向端部と第2の軸方向端部との間に軸方向に機械的経路を提供することを特徴とする、一方向クラッチ。
【請求項23】
前記間隔形成エレメントが、前記軸方向端部の間でスラスト荷重を伝達するように配置されている、請求項22記載の一方向クラッチ。
【請求項24】
前記間隔形成エレメントが、前記軸線を中心として半径方向に配置された、少なくとも1つの軸方向にずらされたフィンガを有するプレートを含み、前記少なくとも1つの軸方向にずらされたフィンガが、少なくとも前記機械的な経路の一部を含む、請求項22記載の一方向クラッチ。
【請求項25】
前記レースが、半径方向で前記クラッチエレメントと向き合った周面を有しており、前記クラッチエレメントが、前記レースに向かって延びた複数のフィンガエレメントを有しており、前記フィンガエレメントがそれぞれ、前記周面に対して相補的に成形された周方向エッジを備えた遠位端部を有しており、前記周方向エッジが前記レースの周面に整合して係合している、請求項22記載の一方向クラッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−157449(P2008−157449A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325398(P2007−325398)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Baden, Germany