説明

一括印刷システム

【課題】
異なるアプリケーションソフトで作成された文書を、一括で印刷することが出来る一括印刷システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
文書管理側システムは、ユーザ側システムから検索条件を受け取り、検索条件を満たす文書を抽出する検索処理部と、抽出した文書に関する情報を含む構造化文書を生成する対応情報生成部と、を有しており、ユーザ側システムは、ユーザからの検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部と、構造化文書と文書とを文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部と、記憶部に記憶した構造化文書に基づいて、抽出した文書の情報を表示する一覧表示部と、表示した文書の中からユーザが選択した文書を記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、を有する一括印刷システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるアプリケーションソフトで作成された文書を、一括で印刷することが出来る一括印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ端末で文書などを作成するには、様々なアプリケーションソフトがその目的に応じて使用される。例えば文章を作成するにはワープロソフト、表を作成するには表計算ソフト、講演や会議で大型スクリーンに投影するためにはプレゼンテーションソフト、画像を作成するためには画像ソフトなどがある。
【0003】
そしてある業務を行うには、その目的に応じたアプリケーションソフトを用いることが多く、例えば報告書類や管理書類などは、複数の異なる種類のアプリケーションソフトによって作成された文書から構成されていることもある。
【0004】
例えば製造業で管理される文書については、設計図面、作業手順書、検査指示書、検査報告書、製品仕様書などがあり、これらはワープロソフト、表計算ソフト、画像ソフトなどのアプリケーションソフトによって作成されている。
【0005】
これらの文書は、文書管理システムと呼ばれる情報システムにおいてまとめて管理されており、互いに関連性(ある業務で使用される文書であることを示す情報など)のある文書であることが多く、まとめて印刷することもある。そして複数の異なる種類のアプリケーションソフトによって作成された文書は、各アプリケーションソフトを個別に起動することにより印刷を行っている。
【0006】
しかしこのような個別印刷の方法では、コンピュータ端末で複数のアプリケーションソフトをそれぞれ起動する必要があり、間違いが発生しやすいなどの問題点があり、一括で印刷することが望まれていた。
【0007】
そこで下記特許文献1や特許文献2では、各文書の関連性をデータベースに登録することによって、処理が行えるようにする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−207726号公報
【特許文献2】特開2001−216452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の発明では、ユーザの操作履歴から文書間の関連性を推定することで、関連性のある文書を抽出し、その関連性を容易に参照できる仕組みが開示されている。
【0010】
しかし当該発明については一括で印刷することまでは記載されていない。またコンピュータ端末で関連性の推定を行っているだけなので、その推定の精度によっては所望する文書を抽出することができない場合もある。
【0011】
特許文献2に記載の発明では、複数の文書を業務プロセス単位でドキュメントセットとして管理し、一括印刷する仕組みが開示されている。しかし当該発明については一括印刷自体は記載されているものの、その具体的処理などについては記載されていない。またドキュメントセットは、ワークフローシステム上の業務プロセスに関連づけられた文書を想定しており、またこれらの関連づけが事前に行われていなければ、一括印刷することも出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は、上述の問題点に鑑み、各文書間の関連性を事前に登録することなく、またその関連性の推定なども行うことなく、ユーザが自由に文書を検索し、ヒットした文書の中からユーザが選択した文書を一括で印刷する、一括印刷システムを発明した。
【0013】
請求項1の発明は、少なくとも文書管理システムを機能させるコンピュータ端末を備えた文書管理側システムと、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を備えたユーザ側システムとを有する一括印刷システムであって、前記文書管理側システムは、前記ユーザ側システムから検索条件を受け取り、前記検索条件を満たす文書を抽出する検索処理部と、前記抽出した文書に関する情報を含む構造化文書を生成する対応情報生成部と、を有しており、前記ユーザ側システムは、前記ユーザからの検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部と、前記構造化文書と前記文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部と、前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を表示する一覧表示部と、前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、を有する一括印刷システムである。
【0014】
本発明のように構成することで、従来のように文書間の関連性などを予め登録したり、その関連性を推定したりしなくても、ユーザが自由に印刷する文書を選択して一括印刷を行うことが出来る。
【0015】
請求項2の発明は、少なくとも文書管理システムを機能させるコンピュータ端末を備えた文書管理側システムと、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を備えたユーザ側システムとを有する一括印刷システムであって、前記文書管理側システムは、前記ユーザ側システムから検索条件を受け取り、前記検索条件を満たす文書を抽出する検索処理部と、前記抽出した文書に対応づけられるキー名を生成して前記ユーザ側システムに渡し、前記抽出した文書に関する情報を含む構造化文書を生成し、前記キー名と前記抽出した文書と前記構造化文書とを対応づけて共有情報格納部に記憶させる対応情報生成部と、を有しており、前記ユーザ側システムは、前記ユーザからの検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部と、前記文書管理側システムから受け取った前記キー名に対応する文書と前記構造化文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部と、前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を表示する一覧表示部と、前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、を有する一括印刷システムである。
【0016】
上述の発明における一括印刷システムは本発明のように構成することも出来る。本発明のように構成することで、従来のように文書間の関連性などを予め登録したり、その関連性を推定したりしなくても、ユーザが自由に印刷する文書を選択して一括印刷を行うことが出来る。
【0017】
また、このようにキー名と、それに対応づけられた文書と構造化文書とを共有情報格納部(共有フォルダ)に格納することによって、様々なユーザからのアクセスを可能とすることが出来る。
【0018】
請求項3の発明において、前記検索条件受付部は、前記ユーザからの検索条件の入力を受け付けると共に、一括印刷を識別するグループIDを生成し、前記ユーザ側システムは、更に、前記文書管理側システムから受け取った前記キー名と前記グループIDとを対応づけて前記記憶部に記憶させるキー名処理部、を有する一括印刷システムである。
【0019】
このようにグループIDを用いることによって、どの一括印刷の処理をどのユーザが行ったかが判別可能となる。
【0020】
請求項4の発明において、前記一括印刷部は、前記文書を印刷する前に、前記文書のキー名に対応した識別情報を示した表紙を前記印刷装置で印刷する、一括印刷システムである。
【0021】
文書を一括印刷すると、同時に複数の文書が印刷するされるので、誰がどの文書を印刷したのか判別するのが難しくなる。そこで本発明のように、文書の前に誰が印刷したのかを示す一括印刷を識別する情報であるグループ名またはグループIDなどを示した表紙を印刷することによって、その判別が容易となる。
【0022】
請求項5の発明は、文書管理側システムから検索条件に該当する文書と、前記文書に関する情報を含む構造化文書とを取得する、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を備えたユーザ側システムであって、前記ユーザからの検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部と、前記構造化文書と前記文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部と、前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を表示する一覧表示部と、前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を、前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、を有する、一括印刷システムにおけるユーザ側システムである。
【0023】
上述の請求項1、請求項2の発明におけるユーザ側システムは、本発明のように構成することが出来る。このように構成することで、上述の発明と同様に、従来のように文書間の関連性などを予め登録したり、その関連性を推定したりしなくても、ユーザが自由に印刷する文書を選択して一括印刷を行うことが出来る。
【0024】
請求項6の発明は、文書管理側システムから検索条件に該当する文書と、前記文書に関する情報を含む構造化文書とを取得する、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を、前記ユーザからの検索条件の入力を前記コンピュータ端末の入力装置から受け付ける検索条件受付部、前記構造化文書と前記文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部、前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を前記コンピュータ端末の表示装置で表示する一覧表示部、前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を、前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部、として機能させるためのプログラムである。
【0025】
請求項7の発明は、文書管理側システムから検索条件に該当する文書を取得する、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を、前記ユーザからの検索条件の入力を前記コンピュータ端末の入力装置から受け付ける検索条件受付部、前記文書管理側システムにおいて抽出した文書に対応づけられるキー名を生成し、且つ前記抽出した文書に関する情報を含む構造化文書を生成する対応情報生成部、前記対応情報生成部で生成した前記キー名に対応する文書を前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部、前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を前記コンピュータ端末の表示装置で表示する一覧表示部と、前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、として機能させるためのプログラムであって、前記文書取得部は、前記キー名と前記文書と前記構造化文書とを対応づけて前記記憶部に記憶させる、プログラムである。
【0026】
上述の発明のユーザ側システムは、本発明のプログラムを用いることにより実現できる。このように構成することで、上述の発明と同様に、従来のように文書間の関連性などを予め登録したり、その関連性を推定したりしなくても、ユーザが自由に印刷する文書を選択して一括印刷を行うことが出来る。
【発明の効果】
【0027】
本発明によって、複数の異なる種類の文書を一括で印刷することが出来る。また特許文献1や特許文献2に記載の発明のように、各文書間の関連性を事前に登録することなく、またその関連性の推定なども行うことなく、ユーザが自由に文書を検索し、ヒットした文書の中からユーザが選択した文書を一括で印刷することが可能となる。また本発明によって、文書管理側システムの存在を意識せず、ユーザが通常利用するユーザ側システムから一括印刷を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の全体のシステム構成の一例を示す概念図である。
【図2】本発明のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図4】キー名とグループIDの対応関係を模式的に示す図である。
【図5】一括印刷する文書を選択する際の画面の一例である。
【図6】一括印刷機能を実行するボタンを含む画面の一例である。
【図7】構造化文書の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のシステム構成の一例を図1の概念図を用いて説明する。本発明の一括印刷システム1は、印刷を所望するユーザ側システム2と、文書を管理・記憶する文書管理側システム3とを有する。ここで「文書」とは、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフト、画像ソフトなどの各種のアプリケーションソフトで作成されたデータである。
【0030】
ユーザ側システム2はユーザが利用するコンピュータ端末上で実行される。コンピュータ端末は単数であっても良いし、複数備えられていても良い。例えば、ユーザ側システム2は、アプリケーションソフトが動作するコンピュータ端末1台のみで構成されていても良いし、アプリケーションソフトが動作するクライアントとデータベースサーバとを備えた2階層システム(C/S型システム)として構成されていても良いし、ウェブブラウザを有するクライアント、ウェブアプリケーションサーバ及びデータベースサーバを備えた3階層システムとして構成されていても良い。文書管理側システム3は、少なくとも文書を管理・記憶するデータベースを備えた情報システム上で実行され、文書管理システム自体であっても良い。
【0031】
ユーザ側システム2や文書管理側システム3は、本発明の処理を制御するコンピュータ端末(ユーザが利用するコンピュータ端末や文書管理システムを実現するコンピュータ端末)上で実現される。図2に端末のハードウェアの概念図を模式的に示す。このコンピュータ端末には、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置20と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置21とを少なくとも有している。コンピュータ端末上で実現する各機能(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置20に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置21に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置21から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置20における処理に用いる。当該コンピュータ端末には、演算装置20の処理結果や記憶装置21に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置24、キーボードやマウスやテンキーなどの入力装置23、ディスプレイなどの表示装置22を有していても良い。
【0032】
本発明における各機能(各手段)は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。また各機能は、一又は複数のプログラムやモジュール、装置等により処理することも可能である。
【0033】
ユーザ側システム2は、検索条件受付部4とキー名処理部5と文書取得部6と一覧表示部7と一括印刷部8と記憶部9とを有している。
【0034】
文書管理側システム3は、検索処理部10と文書格納部11と対応情報生成部12と共有情報格納部13とを有している。
【0035】
検索条件受付部4は、ユーザが行った一括印刷機能の実行の入力をコンピュータ端末で受け付けると、一括印刷をしたい文書の一覧を検索するための検索条件の入力が行える画面を表示し、検索条件の入力を受け付ける。例えばあるプロジェクトに関連する文書を抽出し、それを一括印刷することを所望する場合には、そのプロジェクト名などの入力を受け付ける。また検索条件の入力を受け付けることによって、一括印刷を識別する識別情報であるグループIDを生成し、後述する記憶部9に記憶させる。例えばユーザがコンピュータ端末で所定の操作を行うことによって一括印刷機能を実行する場合には、グループIDとして「106」を生成する。また次の機会に一括印刷機能を実行する場合には、グループIDとして「107」を生成する。このようにグループIDは一括印刷機能を実行する度に生成され、また、他のユーザが利用するコンピュータ端末で一括印刷機能を実行することによって、そこでも固有の識別情報が生成されるため、複数のユーザ端末からの検索要求であっても、どのコンピュータ端末からいつ実行されたものか、などを区別して処理することが出来る。
【0036】
また検索条件受付部4は、受け付けた検索条件を文書管理側システム3に渡し、該当する文書の検索を行わせる。更にグループIDが示す文書を表すのに適当なグループ名をユーザが入力し、入力されたグループ名とグループIDとを対応づけて記憶部9に記憶させても良い。
【0037】
検索条件受付部4が入力を受け付けた検索条件に基づいて、文書管理側システム3で検索の結果、該当する文書と、そのリストであるXML等により表現される構造化文書とを抽出し、それらのセットを識別するIDを「キー名」として文書管理側システム3が生成する。キー名処理部5は、このようにして生成されたキー名を文書管理側システム3から受け取り、グループIDとキー名とを対応づけて記憶部9に記憶させる。これを模式的に示す図が図4である。
【0038】
文書取得部6は、文書管理側システム3から渡されたキー名に対応する構造化文書と文書とを取得するため文書管理側システム3にそれらの取得要求を行う。これを受けて文書管理側システム3は共有情報格納部12からキー名に対応する構造化文書と文書とを特定し、セットで文書取得部6に渡す。構造化文書と文書とがユーザ側システム2の記憶部9に正常に記憶された場合には、文書管理側システム3が共有情報格納部13に記憶した構造化文書と文書とを削除することが好ましい。なお取得する対象を構造化文書のみとしても良い。この場合、検索条件に該当した文書の一覧が一覧表示部7で表示され、ユーザから印刷やプレビューの指定の入力を受け付けたときに文書取得部6が文書を取得するようにする。
【0039】
なお上述の取得要求の際に文書取得部6は、文書管理側システム3を実行するサーバ名(文書管理システムを実行するコンピュータ端末名)、共有フォルダ名、キー名を文書管理側システム3に渡すことにより、文書管理側システム3は、キー名に対応する文書と構造化文書とを特定する。
【0040】
一覧表示部7は、記憶部9に記憶した構造化文書に基づいて、図5に示すように、検索条件に該当した文書の一覧を表示する画面を表示する。
【0041】
一括印刷部8は、一覧表示部7で示した画面からユーザが選択した文書を、記憶部9から抽出し、それを所定の印刷装置で印刷する。この印刷はバックグラウンドの処理として行われることが好ましい。
【0042】
検索処理部10は、ユーザ側システム2から受け取った検索条件に基づいて、それに該当する文書を文書格納部11から検索する。
【0043】
文書格納部11は、文書管理側システム3で一括印刷を行う対象となる文書を記憶している。この文書格納部11は、文書管理システムと同一の領域を利用していても良い。
【0044】
対応情報生成部12は、検索処理部10での検索の結果抽出した文書に対応する「キー名」を生成し、キー名を共有情報格納部13に記憶させる。更に対応情報生成部12は、生成したキー名をユーザ側システム2に渡す。また対応情報生成部12は、検索処理部10での検索により抽出した文書の情報から、そのリストをXMLなどにより表現される構造化文書を生成する。構造化文書の一例を図7に示す。キー名と、構造化文書と文書とは、共有情報格納部13において対応づけて記憶されている。
【0045】
なお、キー名をユーザ側システム2に渡してから構造化文書を生成しても良いし、構造化文書を生成してからキー名を渡すようにしても良いし、キー名を渡すのと構造化文書の生成とが同時であっても良い。ユーザ側システム2が複数備えられている場合、通常、キー名は検索要求を行ったユーザ側システム2に返されるが、検索要求を行ったか否かにかかわらず、所定のユーザ側システム2にもキー名を返すようにしても良い。このように構成することにより、この所定のユーザ側システム2は、他のユーザ側システム2がどのような検索要求を行い、その結果がどのような内容であるかを把握することが出来、また、他のユーザ側システム2の検索結果を再利用することが出来る。
【0046】
共有情報格納部13は、共有フォルダなどの複数のユーザがアクセス可能な記憶領域である。共有フォルダにはキー名、構造化文書及び文書がセットで記憶されることが好ましい。共有情報格納部13は一つとしても良いし、複数設けても良い。つまり一つの共有フォルダであっても良いし、複数の共有フォルダを設けても良い。例えば共有フォルダの配下にキー名に対応させた複数のフォルダを設け、各フォルダ名(キー名)に対応した構造化文書および文書をセットで記憶することが好ましい。
【0047】
ユーザが既にERP(Enterprise Resource Planning:基幹業務システム)、CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)、EIP(Enterprise Information Portal:企業情報ポータル)等の情報システムや文書管理システムを有している場合は、本発明の一括印刷システム1を呼び出せるように、既存の情報システムのカスタマイズまたは設定を行い、かつ、本発明における文書管理側システム3の各機能部を備えるように既存の文書管理システムのカスタマイズまたは設定を行うことにより、本発明の一括印刷システム1を構築することが出来る。呼び出しの手法としては、ある特定のインターフェイスに従うことによりそれぞれのシステムの実装を意識することなく互いを利用することが出来る手法であれば良く、特に限定するものではないが、例えばウェブサービスやCORBA(Common Object Request Broker Architecture)等の技術を利用することが出来る。
【0048】
なお既存の文書管理システムを文書管理側システム3として利用する場合には、対応情報生成部12および共有情報格納部13を文書管理側システム3ではなく、ユーザ側システム2が有するように構成しても良い。このように構成することにより、既存の文書管理システムのカスタマイズまたは設定作業を最小限に抑えることが出来る。
【0049】
次に本発明の処理プロセスの一例を図3のフローチャート、図1の概念図を用いて説明する。
【0050】
一括印刷を行うことを所望するユーザは、ユーザ側システム2で所定の操作を行うことにより、一括印刷機能を実行するボタンなどを押下する。図6では、右側の「文書一括印刷」ボタンを押下する。
【0051】
このボタンの押下により、所定の検索条件の入力画面(図示せず)が起動し、どのような文書を印刷するかの検索条件の入力をユーザが入力装置23を用いて行える。この検索条件の入力を検索条件受付部4で受け付ける(S100)。例えばプロジェクト名、日付、ファイル名、タイトルなど様々な検索条件をユーザは指定することが出来る。もちろん、所定の用語を文書の内容に含むものを検索可能としても良い。
【0052】
なお上述の一括印刷を実行する際に、ユーザ名とパスワードなどの認証情報の入力を受け付け、それが一致した場合のみに、検索条件の入力画面を起動させる構成とすることによって、特定のユーザのみに文書の一括印刷を可能とせしめても良い。文書の一括印刷は、多量の文書を一度に印刷することが出来るため、誰でもが処理できると不正な印刷を行われる可能性もあり、その抑止のためである。
【0053】
検索条件を受け付けると、グループIDを検索条件受付部4は生成し、記憶部9に記憶させる。また受け付けた検索条件をネットワークを介して文書管理側システム3に渡し(S110)、該当する検索条件を満たす文書の検索処理を行わせる。
【0054】
文書管理側システム3の検索処理部10は、ユーザ側システム2から文書の検索要求と検索条件とを受け取ると(S120)、検索条件を満たす文書を文書格納部11から検索し、その検索条件を満たす文書を抽出する(S130)。そして対応情報生成部12が、検索処理部10での検索により抽出した文書に対応するキー名を生成し(S140)、キー名を共有情報格納部13に記憶させる。また検索処理部10での検索により抽出した文書の情報から、そのリストをXMLなどにより表現される構造化文書として生成する(S150)。図7に構造化文書の一例を示す。更に対応情報生成部12は、生成したキー名をユーザ側システム2に渡す(S160)。
【0055】
構造化文書は、検索条件を満たす文書に関する情報、好適には属性情報(文書の登録日、登録者、作成者、ファイル名、文書の内容、使用されているアプリケーションソフトなど)をリスト化した文書であり、例えばXMLなどにより表現されている。
【0056】
例えば上記検索の結果、該当した文書が3つ存在した場合には、その3つの文書を抽出し、抽出した文書に対応するキー名を生成し、キー名を共有情報格納部12に記憶させ、生成したキー名をユーザ側システム2に渡す。例えば生成したキー名が「0001」の場合には、キー名として「0001」を渡す。また対応情報生成部12が、該当した3つの文書の属性情報に基づいて、それら文書の属性情報をリスト化する。例えば文書の一つに、ファイル名が「dr345.doc」であり、タイトルが「建築計画仕様書」の場合には、その情報を構造化文書に含める。これらの属性情報は、もともと文書格納部11において当該文書の属性情報として登録されているので、それを用いればよい。
【0057】
そして対応情報生成部12は、生成した構造化文書(上述の場合、図7の構造化文書)と、検索の結果抽出した文書(上述の場合、抽出された3つの文書)とを、共有情報格納部12の共有フォルダに記憶させる。
【0058】
文書管理側システム3で生成されたキー名をキー名処理部5が受け取ると(S170)、そのキー名と検索条件受付部4が生成したグループIDとを対応づけて記憶部9に記憶させる(S180)。この状態を模式的に示す図が図4である。
【0059】
ユーザ側システム2の文書取得部6は、S180で格納したキー名と、文書管理側システム3を実行するサーバ名(文書管理システムを実行するコンピュータ端末名)、共有フォルダ名に基づいて、キー名に対応する文書と構造化文書との取得要求を文書管理側システム3に渡す(S190)。
【0060】
そしてその取得要求をユーザ側システム2から受け取った文書管理側システム3は(S200)、共有情報格納部13に記憶したキー名に基づいて、共有情報格納部13に記憶する構造化文書と文書とのセットを抽出し(S210)、ユーザ側システム2に渡す(S220)。
【0061】
文書取得部6は、文書管理側システム3からキー名に対応する構造化文書と文書とのセットを取得すると(S230)、それを記憶部9に格納する。そして一覧表示部7は、記憶部9に記憶した構造化文書に基づいて、図5に示すように、検索条件に該当した文書の一覧を表示する画面を表示する(S240)。この画面では、構造化文書における各文書の属性情報を表示するようにすると良い。またグループID毎に色分け表示されるようにしても良いし、グループID毎に別ウィンドウとして表示されるようにしても良い。図5中の「No.」は、グループID毎の印刷順序を示すものであり、ユーザは自由に変更することが出来る。
【0062】
構造化文書では、図5に示すような、印刷対象とする文書を選択する画面において表示するファイル名、タイトルなどの情報が含まれているので、それらの属性情報に基づいて、ユーザは所望の文書を選択し(S250)、例えばチェックマークを付ける。
【0063】
そしてユーザが一括印刷することを入力装置23から入力すると、それを一括印刷部8が受け付け、一括印刷部8は、ユーザが選択した文書を記憶部9から抽出し、それを所定の印刷装置で印刷する(S260)。この印刷の際には、文書を印刷する前に、グループIDまたはグループIDに対応したグループ名などが示された表紙を印刷することが好ましい。同時に複数の文書が印刷されるので、誰が印刷したのかを判別することが難しいからである。例えば上述では、キー名「0001」に対応するグループIDが「106」なので「106」が示された表紙を印刷した後に、選択した文書を印刷する。一つのグループIDの文書を複数の印刷装置で印刷する場合には、各印刷装置で当該グループIDの文書を印刷する前に、グループIDなどが示された表紙を印刷することが好ましい。例えば設計図を印刷する印刷装置は特殊な印刷装置であることもあり、設計図のみその印刷が可能な印刷装置で印刷し、それ以外は通常の印刷装置で印刷する場合がある。その場合、設計図を印刷する印刷装置と、通常の印刷装置とで、各々選択した文書を印刷する前にグループIDが示された表紙を印刷すると良い。
【0064】
以上のように、本発明の一括印刷システム1を用いることによって、複数の異なる種類の文書を簡単に印刷することができる。また従来のように文書間の関連性の登録などを行わなくても、ユーザが自由に検索条件を指定して一括印刷を行うことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によって、複数の異なる種類の文書を一括で印刷することが出来る。また特許文献1や特許文献2に記載の発明のように、各文書間の関連性を事前に登録することなく、またその関連性の推定なども行うことなく、ユーザが自由に文書を検索し、ヒットした文書の中からユーザが選択した文書を一括で印刷することが可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1:一括印刷システム
2:ユーザ側システム
3:文書管理側システム
4:検索条件受付部
5:キー名処理部
6:文書取得部
7:一覧表示部
8:一括印刷部
9:記憶部
10:検索処理部
11:文書格納部
12:対応情報生成部
13:共有情報格納部
20:演算装置
21:記憶装置
22:表示装置
23:入力装置
24:通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも文書管理システムを機能させるコンピュータ端末を備えた文書管理側システムと、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を備えたユーザ側システムとを有する一括印刷システムであって、
前記文書管理側システムは、
前記ユーザ側システムから検索条件を受け取り、前記検索条件を満たす文書を抽出する検索処理部と、
前記抽出した文書に関する情報を含む構造化文書を生成する対応情報生成部と、
を有しており、
前記ユーザ側システムは、
前記ユーザからの検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部と、
前記構造化文書と前記文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部と、
前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を表示する一覧表示部と、
前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、を有する、
ことを特徴とする一括印刷システム。
【請求項2】
少なくとも文書管理システムを機能させるコンピュータ端末を備えた文書管理側システムと、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を備えたユーザ側システムとを有する一括印刷システムであって、
前記文書管理側システムは、
前記ユーザ側システムから検索条件を受け取り、前記検索条件を満たす文書を抽出する検索処理部と、
前記抽出した文書に対応づけられるキー名を生成して前記ユーザ側システムに渡し、前記抽出した文書に関する情報を含む構造化文書を生成し、前記キー名と前記抽出した文書と前記構造化文書とを対応づけて共有情報格納部に記憶させる対応情報生成部と、
を有しており、
前記ユーザ側システムは、
前記ユーザからの検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部と、
前記文書管理側システムから受け取った前記キー名に対応する文書と前記構造化文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部と、
前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を表示する一覧表示部と、
前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、
を有する、
ことを特徴とする一括印刷システム。
【請求項3】
前記検索条件受付部は、
前記ユーザからの検索条件の入力を受け付けると共に、一括印刷を識別するグループIDを生成し、
前記ユーザ側システムは、更に、
前記キー名と前記グループIDとを対応づけて前記記憶部に記憶させるキー名処理部、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の一括印刷システム。
【請求項4】
前記一括印刷部は、
前記文書を印刷する前に、前記文書のキー名に対応した識別情報を示した表紙を前記印刷装置で印刷する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の一括印刷システム。
【請求項5】
文書管理側システムから検索条件に該当する文書と、前記文書に関する情報を含む構造化文書とを取得する、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を備えたユーザ側システムであって、
前記ユーザからの検索条件の入力を受け付ける検索条件受付部と、
前記構造化文書と前記文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部と、
前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を表示する一覧表示部と、
前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を、前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、を有する、
ことを特徴とする一括印刷システムにおけるユーザ側システム。
【請求項6】
文書管理側システムから検索条件に該当する文書と、前記文書に関する情報を含む構造化文書とを取得する、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を、
前記ユーザからの検索条件の入力を前記コンピュータ端末の入力装置から受け付ける検索条件受付部、
前記構造化文書と前記文書とを前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部、
前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を前記コンピュータ端末の表示装置で表示する一覧表示部、
前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を、前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
文書管理側システムから検索条件に該当する文書を取得する、少なくともユーザが利用するコンピュータ端末を、
前記ユーザからの検索条件の入力を前記コンピュータ端末の入力装置から受け付ける検索条件受付部、
前記文書管理側システムにおいて抽出した文書に対応づけられるキー名を生成し、且つ前記抽出した文書に関する情報を含む構造化文書を生成する対応情報生成部、
前記対応情報生成部で生成した前記キー名に対応する文書を前記文書管理側システムから取得し、所定の記憶部に記憶させる文書取得部、
前記記憶部に記憶した前記構造化文書に基づいて、前記抽出した文書の情報を前記コンピュータ端末の表示装置で表示する一覧表示部と、
前記表示した文書の中から前記ユーザが選択した文書を前記記憶部から抽出し、所定の印刷装置で印刷する一括印刷部と、
として機能させるためのプログラムであって、
前記文書取得部は、前記キー名と前記文書と前記構造化文書とを対応づけて前記記憶部に記憶させる、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−193596(P2009−193596A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123342(P2009−123342)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【分割の表示】特願2006−157060(P2006−157060)の分割
【原出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(596166623)株式会社OSK (25)
【Fターム(参考)】