説明

一時的ゴルフクラブシャフト/構成要素結合装置

【課題】ゴルフクラブの改良に関する技術を提供する。
【解決手段】選択されたゴルフクラブシャフト(14)をクラブヘッド(16)及び/又はハンドグリップセグメント(20)と共に組み立てて、個々のゴルファーの要求及び好みに合わせるためのカスタムクラブデザイン及びカスタムフィットを容易にする一時的シャフト/構成要素結合装置(12)。一時的シャフト/構成要素結合装置(12)は、ある一定範囲の異なる長さ及び剛性(しなやかさ)特性を有するグラファイトベースの複合材料などで形成された非金属クラブシャフト(14)に使用するために特に設計されている。アダプタインサート(28)は、一対の軸線方向に隔てた位置においてアダプタソケット(32)に対して機械的に着座して固定され、構成要素間の望ましくない動きを実質的に排除するために、これらの固定点の一方に弾力的で圧縮可能なアンカー部材(52)が置かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にゴルフクラブの改良に関する。より具体的には、本発明は、個々のゴルファーの要求や好みに合わせるためのカスタマイズされたゴルフクラブ構成を容易にするための、ゴルフクラブシャフトとクラブヘッド及び/又はハンドグリップセグメントのような付加的なクラブ構成要素との間の改良された一時的結合装置に関する。この構成を用いることにより、複数のクラブヘッド及び/又は複数のハンドグリップセグメントを1つ又はそれ以上のクランクシャフトに取り付けることができ、これらの構成要素は、実際のプレー条件を通してゴルファーが試打及び試験することができる異なる特性を示すことができる。従って、個々のゴルファーの要求や好みに合わせるためのカスタマイズされたゴルフクラブの構成が容易になる。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブは、細長いクラブシャフトの下端部に装着されたウッドタイプ又はアイアンタイプのようなクラブヘッドを含むことが当業技術で公知である。クラブシャフトは、その上端部に装着された弾性グリップを有し、この弾性グリップは、手で心地よく握り、ゴルフボールを打つためにゴルフクラブをスイングすることができるように設計される。今日のゴルフクラブにおいては、ウッドタイプ又はアイアンタイプのクラブヘッドは、一般的に、ステンレス鋼及びチタン合金などのような鋳造又は鍛造された金属又は金属合金で形成される。クラブシャフトは、歴史的には、選択された金属又は金属合金で形成されてきたが、より最近のゴルフクラブ設計は、グラファイトベース複合材などのような複合材料で形成された非金属製クラブシャフトを組み込んでいる。そのようなグラファイトベースの複合クラブシャフト材料によってもたらされる1つの利点は、クラブシャフトの硬さ又は柔軟性(しなやかさ)の特性を個々のゴルファーの好みや技量レベルに応じて様々に選択することができるということである。つまり、ある一定範囲の異なるしなやかさ特性を有するクラブシャフトの選択肢をゴルファーに提供することにより、ゴルファーは、自分のゴルフクラブセットをカスタマイズして調整することができる。
【0003】
過去においては、クラブシャフトの異なる硬さ及び長さのような異なる物理特性を有するゴルフクラブをカスタムフィットさせるために、ゴルフショップは、ゴルファーによる試打のために多数の見本クラブを抱えておく必要があった。より具体的には、ゴルフショップは、各ゴルフクラブヘッドに対して、ゴルファーによる試打のためにそれぞれ異なる物理特性を有するクラブシャフトに結合した特定銘柄及び種類の複数の見本クラブヘッドを抱えておくことが必要であった。例えば、任意の特定ドライバ又は他のウッドタイプクラブヘッド銘柄に対して、又は任意のアイアンタイプ又はパタークラブヘッド銘柄に対して、あらゆるゴルファーの好みに応じて、各ゴルフクラブをカスタムフィットさせるための意味のある選択肢を提供するために、ゴルフショップは、比較的多数の異なる見本クラブを抱えておく必要があった。従って、ゴルフショップが極めて多数の見本クラブを抱えていない限り、ゴルファーが多数の異なるクラブシャフト/ヘッドの組合せを試打及び試験することはできなかった。その結果、個々のゴルファーに対するゴルフクラブのカスタムフィットに関しては、一般的に、ゴルファーには、シャフト/ヘッド組合せの真に広い選択肢は提供されず、従って、カスタマイズして調整したクラブの最適な選択肢は、ゴルファーにはもたらされなかった。
【0004】
これまでは、複数のクラブシャフトと複数のクラブヘッドとを交換自在に迅速かつ容易に装着することを可能にし、かつ個々のゴルファーが組み立てられたクラブを実際のプレー条件の下で試打することを可能にするような実用的で実現可能な相互結合は利用可能ではなかった。この点に関しては、ゴルフクラブシャフトとクラブヘッドとを交換自在に装着するための従来の概念は、ネジ付きボルト又は螺合装着装置を利用してきたが、これらは、特にクラブがゴルフボールを叩く普通のクラブ使用に際して生じる大きな衝突及び衝撃力をこれらの構成要素が受ける時に、組み立てられた構成要素間に望ましくない程度の動きを示してきた。
【0005】
典型的なクラブシャフトの上端部に装着される弾性ハンドグリップも、個々のゴルファーの要求や好みに合わせるために、デザイン及びゴルフクラブのカスタムフィットにおける変数を含む。つまり、弾性ハンドグリップは、比較的広い範囲の異なる直径サイズ、トレッドパターン、及びエラストマー又は他の柔らかくて馴染みやすい材料で入手可能である。ハンドグリップサイズの選択は、少なくとも部分的にはゴルファーの手の大きさに依存し、大きなグリップ径は、大きな手を持ったゴルファーに好ましいのが普通である。ハンドグリップのトレッドパターン及び/又はハンドグリップ材料の柔らかさ又は粘着度は、個々のゴルファーの好みに応じて大きく変わるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、クラブヘッド及び/又はハンドグリップセグメントのような少なくとも1つの付加的なクラブ構成要素をゴルフクラブシャフトに確実かつ安定的に装着するための一時的結合装置を使用し、それによって広範囲のシャフト/構成要素組合せのいずれか1つの迅速かつ容易な一時的組立てを可能にし、従って、ゴルフショップが試打のために極めて多数の異なる見本ゴルフクラブを抱える必要なく、ゴルフクラブセットのカスタムフィットを通じて実際のプレー条件の下で試打するための広範囲のシャフト/構成要素組合せを個々のゴルファーに提供することができる、改良された多用途のゴルフクラブカスタムフィットシステム及び方法に関する。個々のゴルファーがいずれかの特定ゴルフクラブに対する特定のシャフト/構成要素組合せを判断すると、クラブシャフトに対して永久的に結合した選択されたクラブヘッド及び選択されたハンドグリップなどを用いて、次にゴルフクラブを製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、個々のゴルファーの要求や好みに合わせるためのゴルフクラブのカスタマイズされた選択及びカスタムフィットに対して、一時的なシャフト/構成要素結合装置及び関連システム及び方法が提供され、一時的シャフト/構成要素結合装置は、選択されたゴルフクラブシャフトとクラブヘッド及び/又はハンドグリップセグメントのような選択されたゴルフクラブ構成要素とを迅速かつ容易に組み立てるために設けられる。この一時的シャフト/構成要素結合装置は、各々がある一定範囲の異なる選択肢から選択されたシャフト、クラブヘッド、及び/又はハンドグリップセグメントを有するカスタマイズされたゴルフクラブの構成を可能かつ容易にし、組み立てられたゴルフクラブは、必要に応じて実際のプレー条件の下で個々のゴルファーによって使用及び試験することができる。ゴルファーが複数のクラブ構成要素の各々を最終的に選択した時、従来のように永久的に結合した構成要素を備えたカスタマイズされたゴルフクラブを製造することができる。
【0008】
一般的に、一時的シャフト/構成要素結合装置は、アダプタソケット内に滑り嵌めで収容されるアダプタインサートを含み、アダプタインサート及びソケットは、両者間の相対的回転を最少化又は制限するためにスプラインのような互いに係合する平坦な表面を含む。アダプタインサートは、一対の軸線方向に間隔の空いた位置においてアダプタソケットに対して機械的に着座して固定され、弾性圧縮可能アンカー部材が、構成要素間の望ましくない動きを実質的に排除するためにこれらの固定点の一方又は両方に置かれる。
【0009】
好ましい形態では、一時的シャフト/構成要素結合装置は、特に、ある一定範囲の異なる長さ及び硬さ(しなやかさ)特性を有するグラファイトベース複合材料などで形成された非金属製クラブシャフトのようなクラブシャフトの一端上にエポキシなどによって装着するための選択された金属などのような補強材料で形成された、ほぼスリーブ状構成を有するアダプタインサートを含む。このアダプタインサートは、細長い長さを有し、ソケットに結合されるクラブヘッド又はハンドグリップセグメントのようなゴルフクラブ構成要素上の全体的に嵌め合い形状に作られたアダプタソケット内への軸線方向の滑り嵌め収容に対する大きさ及び形状を有する。アダプタインサート及びソケット上の互いに係合する平坦面又はスプラインは、それらの間のかなりの相対的回転を防止する。好ましい形態では、アダプタソケットは、クラブヘッドホーゼル内に着座するように収容するか、又は菅状ハンドグリップセグメントの開放端内に着座するように収容するなどにより隣接構成要素上に装着される菅状ソケット部材を含む。
【0010】
アダプタインサートは、アダプタソケットの開放端に形成された環状面のようなスラスト着座部に対して着座して支持するように係合するための、アダプタインサートのほぼ近位端又は近位端の近くに形成された半径方向に拡大したスラストフランジを含む。アダプタインサートをアダプタソケットと確実に相互結合させるために圧縮ナットのような固定部材が設けられ、スラストフランジをソケットスラスト着座部と固定着座した関係で軸線方向に保持する。代替の固定部材を使用することもできる。
【0011】
アダプタインサートは、アダプタソケットの基端部内に装着された圧縮可能ブッシュのような弾性アンカー部材に着座して支持する係合のための遠位先端部つまり突出部を更に含む。好ましい形態では、アダプタインサートの突出部と弾性アンカー部材とは、スラストフランジがアダプタソケットのほぼ反対側の開放端にあるスラスト着座部上に確実に着座して保持された時に、アンカー部材を少なくとも部分的に圧縮するための嵌め合い係合可能な表面を含む。
【0012】
この構成を用いることにより、アダプタインサートは、アダプタインサートとソケットの実質的な長さだけ、好ましくは、少なくとも約1〜2インチだけ軸線方向に間隔の空いた2点でアダプタソケットに対して確実かつ密接に結合され、それによって確実かつ安定な2点結合を形成し、この結合は、このように組み立てられたゴルフクラブを通常のプレー条件の下で使用することができると同時にゴルファーに通常の頑丈なクラブの感触をもたらすように、大きな又は検地可能なぐらつき又は他の構成要素間の動き又は遊びなしに、クラブシャフトと、クラブヘッド又はハンドグリップセグメントのような相互結合した構成要素とを支持する。弾性アンカー部材は、相互結合した構成要素間のいかなる寸法的許容値の変動にも適応するために十分に圧縮性であり、一方、組み立てられたゴルフクラブの使用中の望ましくないぐらつき又は他の構成要素間の動き又は遊びを実質的に排除するために、十分な構造的剛性及び硬さを提供する。
【0013】
各実施形態では、クラブシャフトは、アダプタインサートをアダプタソケットから引っ込めることができるように固定部材を分離することにより、関連のクラブヘッド及び/又はハンドグリップセグメントから迅速かつ容易に分解される。このような分解は、同じクラブシャフトを異なる物理特性を有する別のクラブヘッド及び/又は別のハンドグリップセグメントと迅速かつ容易に組み立て直すこと、及び/又は異なるクラブシャフトを同じ又は異なるクラブヘッド及び/又はハンドグリップセグメント構成要素と組み立て直すことを容易にする。このようにして、ゴルフショップが多数の見本クラブを保有する必要なく、ゴルファーは、ゴルフクラブのセットをカスタムフィットさせるために、多数の異なるシャフト/ヘッド/ハンドグリップセグメントの組合せで短期間内にスイング及びプレーの試験を行うことができる。
【0014】
ゴルフクラブシャフトを付加的なクラブ構成要素に結合するための一時的結合装置は、スラストフランジを形成する細長いアダプタインサートと、該アダプタインサートを滑り嵌め収容するための大きさ及び形状を有するアダプタソケットと、を含んでもよく、この場合、前記アダプタソケットは、前記アダプタインサートが該アダプタソケット内に摺動的に収容された時に、前記スラストフランジを実質的に着座させて収容するためのスラスト着座部を形成してもよく、この場合、前記アダプタインサート及びソケットは、該アダプタインサートが該アダプタソケット内に摺動的に収容された時に、それらの間の相対的な回転を実質的に防止するための相互係合可能な表面を更に含んでもよく、この場合、前記スラストフランジを前記スラスト着座部上に着座させた状態で、前記アダプタインサート及びソケットを取外し自在に相互結合するための第1の結合手段と、前記スラストフランジ及び前記スラスト着座部から軸線方向に間隔の空いた位置で前記アダプタインサート及びソケット間に置かれた弾力性アンカー部材を含む第2の結合手段と、を更に含んでもよく、この場合、前記アンカー部材は、前記アダプタインサート及びソケットの相対的な動きを実質的に抑制するために、前記スラストフランジが前記スラスト着座部上に着座した時に少なくとも部分的に圧縮されてもよい。
【0015】
前記付加的なクラブ構成要素は、ホーゼルを有するゴルフクラブヘッドを含んでもよく、この場合、前記アダプタインサート及び前記アダプタソケットの一方は、前記ホーゼル上にあり、その他方は、前記クラブシャフト上にあってもよい。
前記アダプタソケットは、前記ホーゼル上にあってもよく、この場合、前記アダプタインサートは、前記クラブシャフト上にあってもよい。
【0016】
前記付加的な構成要素は、ゴルフクラブのハンドグリップセグメントを含んでもよく、この場合、前記アダプタインサート及び前記アダプタソケットの一方は、前記クラブシャフト上にあり、その他方は、前記ハンドグリップセグメント上にあってもよい。
前記アダプタインサートは、前記クラブシャフト上にあってもよく、この場合、前記アダプタソケットは、前記ハンドグリップセグメント上にあってもよい。
【0017】
前記相互係合可能な表面は、前記アダプタインサート上の外側スプラインセグメント、及び前記アダプタソケット内の内側スプラインセグメントを含んでもよい。
前記第1の結合手段は、前記アダプタインサート及びソケットの一方によって担持されて内ネジ及び内側スラスト肩部を形成する圧縮ナット、及び前記アダプタインサート及びソケットの他方に形成された外ネジを含んでもよく、この場合、前記圧縮ナットは、前記スラストフランジを軸線方向に変位させて前記スラスト着座部上に着座係合させるために、前記スラスト肩部を該スラストフランジ及びスラスト着座部の一方に対して強く押すように前記外ネジと螺合的に係合可能であってもよい。
【0018】
前記圧縮ナットは、前記アダプタインサートによって担持されてもよく、この場合、前記外ネジは、前記アダプタソケット上に形成されてもよい。
前記アダプタインサート及びソケットの前記一方に逆転防止反動部材を更に含んでもよく、この場合、前記逆転防止反動部材は、前記アダプタインサートを前記アダプタソケットから軸線方向に分離するために前記圧縮ナットの螺合を前記外ネジから外す時に、該圧縮ナットによって係合可能であってもよい。
【0019】
前記第1の結合手段は、前記スラストフランジが前記スラスト着座部上に着座した時に、前記アダプタインサート及びソケットを通して取外し自在に締結される固定ピンを含んでもよい。
前記第1の結合手段は、前記スラストフランジが前記スラスト着座部上に着座した時に、前記アダプタインサート及びソケット上に取外し自在に装着されるスナップリングを含んでもよい。
【0020】
前記第1の結合手段は、前記スラストフランジが前記スラスト着座部上に着座した時に、前記アダプタインサート及びソケットをその相対的な軸線方向変位に対して固定するための迅速−結合−分離アセンブリを含んでもよい。
前記第1の結合手段は、前記スラストフランジを引っ張って前記スラスト着座部上に着座係合させた状態で保持するために前記アダプタインサートに螺合的に結合した固定ボルトを含んでもよい。
【0021】
前記アンカー部材は、前記アダプタソケットに対する軸線方向変位に対して前記アダプタインサートを実質的に拘束してもよい。
前記アンカー部材は、前記アダプタソケットに対する回転変位に対して前記アダプタインサートを実質的に拘束してもよい。
前記アンカー部材は、前記アダプタソケットに対する軸線方向変位及び回転変位に対して前記アダプタインサートを実質的に拘束してもよい。
【0022】
前記アンカー部材は、前記アダプタソケットの基端部内に着座したほぼ円筒形のブッシュを含んでもよく、この場合、前記アダプタインサートは、前記ブッシュ内に滑り嵌め収容させるための先端部を形成する突出端部と、前記スラストフランジが前記スラスト着座部上に着座した時に該ブッシュに対して軸線方向に支持するための支持肩部とを含んでもよい。
【0023】
前記アンカー部材は、前記スラストフランジが前記スラスト着座部上に着座した時に、該スラストフランジ及び該スラスト着座部から少なくとも約1から2インチだけ軸線方向に間隔が空いていてもよい。
この一時的結合装置は、前記アダプタインサート内に担持された補強プラグを更に含んでもよい。
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の原理を例示的に示す添付図面を参照して進める以下の詳細説明から一層明らかになるであろう。
添付の図面は、本発明を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による一時的シャフト/構成要素結合装置により下端部においてウッドタイプクラブヘッドと結合され、本発明による一時的シャフト/構成要素結合装置により上端部においてハンドグリップセグメントと結合したゴルフクラブシャフトを有するゴルフクラブの斜視図である。
【図2】図1のゴルフクラブの下端部を示す拡大した切断斜視図である。
【図3】ゴルフクラブヘッドをゴルフクラブシャフトの下端部に取り付けるための一時的シャフト/構成要素結合装置を示す切断した分解組立斜視図である。
【図4】図2の線4−4にほぼ沿って取られた拡大した切断垂直断面図である。
【図5】図3と同様の切断した分解組立斜視図であるが、本発明の好ましい1つの代替形態を示す図である。
【図6】図5に示す実施形態のアセンブリを示す、図4と同様の拡大した切断垂直断面図である。
【図7】本発明の別の好ましい代替形態を示す、図4と同様の拡大した切断垂直断面図である。
【図8】本発明の更に別の好ましい代替形態を示す、図4と同様の拡大した切断垂直断面図である。
【図9】本発明の更に別の好ましい代替形態を示す、図4と同様の拡大した切断垂直断面図である。
【図10】図9の実施形態に使用するための固定クリップを示す斜視図である。
【図11】本発明の更に別の好ましい代替形態を示す、図4と同様の拡大した切断垂直断面図である。
【図12】図11の実施形態に使用するためのスナップリングの斜視図である。
【図13】本発明の更に別の好ましい代替形態を示す、図4と同様の拡大した切断垂直断面図である。
【図14】後退位置つまり解除位置にある迅速−結合−分離固定手段を示す、図13の一部分に対応する切断した垂直断面図である。
【図15】本発明の別の好ましい代替形態を示す、図4と同様の切断垂直断面図である。
【図16】ハンドグリップセグメントをゴルフクラブシャフトの上端部上に取り付けるための一時的シャフト/構成要素結合装置を示す切断した分解組立斜視図である。
【図17】図1の線17−17にほぼ沿って取られた拡大した切断垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
典型的な図面に示すように、図1において全体的に参照符号10で示すゴルフクラブは、細長いクラブシャフト14の下端部をゴルフクラブヘッド16に迅速かつ容易に相互結合するための改良されたシャフト/ヘッド一時的結合装置12を備えている。これに加えて、ゴルフクラブ10は、細長いクラブシャフト14の上端部をハンドグリップセグメント20に迅速かつ容易に結合するための改良された一時的結合装置18を備えており、ハンドグリップセグメント20上には、選択されたデザインのクッション付き又は弾力的ハンドグリップ22が取り付けてある。これらの一時的シャフト/構成要素結合装置12及び18は、選択されたデザイン特性を有するクラブシャフト14と、同じく選択されたデザイン特性を有する選択されたクラブヘッド16及び/又は選択されたデザイン特性を有する選択されたハンドグリップセグメント20との迅速かつ容易な組立及び分解を可能にするために、ゴルファーは、比較的短い期間内に比較的多数の異なるクラブの組合せでスイング及びプレーを試験することができ、ゴルフショップも、過度に多数のサンプルクラブを抱えておく必要がない。このように、一時的シャフト/構成要素結合装置12及び18は、個々のゴルファーの要求や好みに合わせるために、ある一定範囲の異なるクラブシャフト及び/又はある一定範囲の異なるクラブヘッド及びハンドグリップセグメントからゴルフクラブのセットをカスタムフィットさせることを可能かつ容易にするゴルフクラブカスタマイズシステム及び方法を提供する。
【0027】
図1に示す例示的なゴルフクラブ10は、全体的に従来の構造を有しており、クラブヘッド16に結合した細長いクラブシャフト14を含む。クラブヘッド16は、クラブヘッド16の後端部からほぼ上向きに延びるように形成されたホーゼル24にクラブシャフト14の下端部を嵌合させることによってクラブシャフト14に結合される。この点に関して、図1及び2は、ゴルフボール(図示せず)を打つための前方ボール打撃面26を有するウッドタイプのクラブヘッド16を示す。今日のゴルフクラブ構造によれば、ウッドタイプヘッド16は、いわゆる金属ウッドクラブヘッドを含み、金属ウッドクラブヘッドは、一般的に、ステンレス鋼やチタン合金などのような選択された鋳造又は鍛造金属又は合金で形成された中空ヘッド構造を含む。アイアンタイプのクラブヘッドのような別の種類のクラブヘッド及びパターなどを使用することもできる。
【0028】
クラブシャフト14は、以下で一層詳細に説明するように、クラブヘッド16に結合するための下端部からハンドグリップセグメント20に結合するための上端部まで延びる細長い構造、及び一般的に中空菅状構造を有する。今日の多くのゴルフクラブにおいては、クラブシャフト14は、一般的に「グラファイト」シャフトと呼ばれるカーボン又はグラファイトベースの複合材料などのような非金属材料で形成され、これらのグラファイトシャフトは、個々のゴルファーの要求や好みに合わせるために、長さ及び剛性又は柔軟性(しなやかさ)のようなある一定範囲内の異なる物理的特性を持たせて製造することができる。この点に関して、特定ゴルファーのためにゴルフクラブのセットをカスタムフィットさせる場合、ゴルファーは、異なる物理特性を有するいくつかの異なるクラブシャフトの中から特定の好ましい物理特性を有するクラブシャフト14を選択するのが普通である。同様に、ゴルファーは、全体の大きさ、重量及び重量分布、及びヘッド材料などのような異なる物理特性を有するいくつかの異なるクラブヘッドの中からクラブヘッド16を選択するのが普通である。同様に、ゴルファーは、例えば、異なる直径サイズに形成されるか、又は異なるクッション材料又は異なる特定トレッドパターンを持たせて形成されたいくつかの入手可能な異なるハンドグリップの中からハンドグリップ22を選択するのが普通である。
【0029】
一般的に、本発明の一時的シャフト/構成要素結合装置12及び18は、1つ又はそれ以上のゴルフクラブを個々のゴルファーに合わせてカスタムフィットさせる際に、ゴルファーが、好ましいシャフト/ヘッド及びシャフト/グリップの組合せを選択することを可能かつ容易にするために提供される。一時的結合装置12及び18は、ゴルファーが組み立てられたクラブ10を実際にスイングすることにより、また、例えば、通常のラウンドのような実際のプレー条件の下でそのクラブを使用することによって試験することができるように、特定シャフト/ヘッド組合せの迅速かつ容易な組立て、及び/又は関連する特定シャフト/グリップ組合せの迅速かつ容易な組立てを可能にするように設計されている。特定のクラブ組合せを試験した後で、組み立てられたクラブ構成要素は、同じゴルファーが更に試打することができるように又は他のゴルファーが試打することができるように、1つ又はそれ以上の異なる構成要素と取り替えて組み立て直せるように迅速かつ容易に分解することができる。
【0030】
従って、本発明のカスタムクラブフィットシステム及び方法を使用した場合、ゴルファーは、比較的短期間内に比較的多数の異なるシャフト/ヘッド及びシャフト/グリップ組合せでスイング及びプレーを試験することができ、ゴルフショップも、極度に多数の異なるサンプルクラブを抱えておく必要がない。ゴルフショップは、ある一定範囲の異なる物理特性を有する一組のクラブシャフト14と、例えば、ある一定範囲の異なるいわゆるウッドタイプヘッド、ある一定範囲の異なるいわゆるアイアンタイプヘッド、及び1つ又はそれ以上のパターヘッドなどを含む一組のクラブヘッド16とを店に置いておくだけでよい。更に、ゴルフショップは、ある一定範囲の異なるハンドグリップ22を取り付けた複数のハンドグリップセグメント20を店に置いておくだけでよい。所定のゴルフクラブタイプ、例えばドライバに対する適切な構成要素の試験後に、個々のゴルファーが好ましい一組のクラブ特性に到達した時、その好ましい一組の特性を有するカスタムフィットされたゴルフクラブは、従来の恒久的シャフト/ヘッド結合装置を用いて組み立てることができ、また、選択されたハンドグリップをシャフト上に取り付けることができる。しかし、重要なことは、試験中に、一時的シャフト/構成要素結合装置12及び/又は18を用いて組み立てられた試験用クラブを実際のプレー条件の下で使用し、組み立てられたゴルフクラブ構成要素間に実質的にいかなる大きな又は検知可能な望ましくないぐらつき又は動きもなく、製造時のカスタムフィットクラブとしての「感触」及びプレー機能性を提供することができることである。
【0031】
図2〜4は、本発明の好ましい一形態によるシャフト/ヘッド一時的結合装置12を一層詳細に示す。図に示すように、グラファイトシャフトのようなクラブシャフト14の下端部は、ほぼ円形の断面形状を有し、スリーブ状のアダプタインサート28の開放上端部内に滑り嵌めされる。クラブシャフト14は、アダプタインサート28内への滑り嵌めを容易にするために、直径を僅かに減じた遠位端を形成する面取りされた段部15を含むことができる。アダプタインサート28は、適切な硬い又は頑丈な支持材料、好ましくは、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン又はチタン合金などのような金属材料で形成され、従来のエポキシ又は他の適切な接着剤などによってシャフト14の下端部に固定される。クラブシャフト14が円筒形又は菅状に形成されている場合は、補強プラグ13(図4において破線で示す)をクラブシャフト14内に圧入するか又は接着し、クラブシャフト14を埋めて特に面取り段部15の領域において補強することができる。金属、プラスチック、エポキシなどで中実又は菅形状を有するように形成することができる補強プラグ13は、シャフトのしなり特性を妨げることを避けるために、好ましくは、面取り段部15の僅かに上方にあり、組み立てられた結合装置12の僅かに下方の位置で終端する。
【0032】
スリーブ状のアダプタインサート28は、外側平坦部又は図3に最も良く示されているようなスプライン状などの他の適切な非円形断面形状を形成した下方外側部分30を有する。この下方インサート部分30は、菅状ソケット部材34の形態で図3及び4に最も良く示されているアダプタソケット又はソケット部材32内に滑り嵌めされて着座収容されるような大きさ及び形状に作られ、菅状ソケット部材34は、内側平坦部を形成するか、又は対応する他の形状つまり例示した内側スプライン36(図3)のような適切な非円形断面形状を形成する。アダプタソケット部材34は、クラブヘッド16の上向きに開放したホーゼル24内に滑り嵌め収容することができる大きさ及び形状に作られ、従来のエポキシ又は他の適切な接着剤などによりホーゼル24内で確実に固定される。代替的に、ホーゼル24の一体的部分としてソケット部材34を形成し、内側スプライン36又は他の内側平面をホーゼルの内側に一体的に形成することができるということも当業者は認識かつ認めるであろう。重要なことは、アダプタインサート28がアダプタソケット32内に軸線方向に滑り嵌め収容された時、スプライン30及び36、又は他の適切な嵌め合い平面などは、アダプタインサート28及びこれに結合したクラブシャフト14をアダプタソケット32及びこれに結合したクラブヘッド16に対していかなる有意な回転もしないように固定する働きをするということである。
【0033】
例示的なアダプタインサート28は、下方スプラインセグメント30から上向きに延びるほぼ円筒形の上端部分38を更に含み、この上端部分38は、アダプタインサート28がアダプタソケット32内に滑り嵌めされて組み立てられた時、アダプタソケット32の上端部に形成された環状スラスト着座部42上に確実かつ安定的に軸線方向に着座するように置かれた半径方向外向きに突出したスラストフランジ40を含む。圧縮ナット44の形態で示す固定部材は、アダプタインサート28のこの上端部分38上に滑り嵌めされ、アダプタソケット32の上端にある外ネジつまり雄ネジ48上に螺合結合するための内ネジつまり雌ネジ46を含む。これに関して、アダプタソケット32が、クラブヘッドホーゼル24内に取り付けられたソケット部材34を含む時、雄ネジ48は、半径方向に拡大した上方肩部分49上に形成され、この上方肩部分49は、ホーゼル24の軸線方向上端に着座するような大きさに作られた下端部を有する。ソケットネジ48上への圧縮ナット44の螺合結合は、スラストフランジ40をその下方にあるアダプタソケット32のスラスト着座部42上に確実に着座させて密接に保持するために、内側スラスト肩部又は係合面50をナット44内で軸線方向に移動し、アダプタインサート28上のスラストフランジ40と係合させる。
【0034】
更に、アダプタソケット32の下方には、円筒形ブッシュの形態で示す馴染み易い部分的に圧縮可能なアンカー部材52が置かれ、このアンカー部材52は、アダプタインサート28の遠位先端部つまり突出部と係合して第2の結合点を形成するように構成され、この第2の結合点は、相互結合した構成要素の構造的剛性及び一体性を大いに増強し、特にシャフト14とクラブヘッド16をこれら両者間に望ましくないぐらつき又は遊びなしに相互結合した状態で保持する。これに関して、ブッシュ52は、少なくとも幾らかの弾性又は圧縮性を有する材料で好ましい形態に構成され、従って、許容値変動に適応し、軸線方向に間隔の空いた2つの点、つまりスラストフランジ40において及びアダプタインサート28の突出部とブッシュ52との係合点においてアダプタインサート28を密接に保持することができる。同時に、ブッシュ52は、緊密で実質的にぐらつきのない相互結合を維持するために、十分な構造的剛性を有する。好ましい一形態では、アンカー部材つまりブッシュ52は、成形ウレタンプラスチックで形成される。好ましい構成では、アダプタインサート28の突出部とブッシュ52との係合点は、スラストフランジ40から少なくとも約1〜2インチの距離だけ軸線方向に間隔が空いている。
【0035】
より具体的には、図3及び4に見られるように、ブッシュ52は、中央空洞54を有するほぼ円筒形の構成要素を含む。アダプタインサート28の突出部は、ブッシュ空洞54内に密接に滑り嵌め収容することができるような大きさ及び形状を有する軸線方向に突出したピン56を含み、このピン56は、アダプタインサート28の端部にある軸線方向係合面58から軸線方向に突出する。アダプタインサート28がアダプタソケット32内に十分に挿入されて、スラストフランジ40がスラスト着座部42上で密接に保持された時、アダプタインサートの先端部56は、ブッシュ空洞54内に密接に着座し、これと関連した係合面58は、ブッシュ52上の軸線方向係合面と軸線方向に密接に係合する。最も好ましい形態では、この位置において、アダプタインサート28上の係合面58は、ブッシュ52と係合してこれを少なくとも僅かに圧縮し、それによってアダプタインサート28とアダプタソケット32との間に安定かつ確実な第2の結合点を形成する。
【0036】
従って、一組の特定の物理特性を備えた選択されたクラブシャフト14は、選択されたクラブヘッド16と迅速かつ容易に組み立てられる。アダプタインサート28は、アダプタソケット32に対して回転しないように固定され、スラストフランジ40の結合及びアダプタソケット32に対するアダプタ先端部56の結合という二点結合は、クラブをスイングしてボールを打つ時に加わる潜在的に大きな力にも関わらず、いかなる大きな又はプレーヤーが検知可能な構成要素間のぐらつき又は動きもない安定かつ確実な構成要素間結合装置を提供する。試験した後に、アダプタインサートをアダプタソケット32から引き離すことができるように圧縮ナット44の螺合をアダプタソケット32から外すことにより、構成要素は、迅速かつ容易に分解することができる。この点に関して、スナップリングなどのような逆転防止又は反動リング60をスラストフランジ40の上方位置において、アダプタインサート28の円筒形上端部分38上に形成された溝62内に着座させることができ、リング60は、アダプタインサート28をアダプタソケット32から物理的に引き抜くための螺合を外す動きをする時、圧縮ナット44によって軸線方向に係合される。このように、特定のシャフト/ヘッド組合せは、迅速かつ容易に分解することができ、その後、クラブヘッドを異なる物理特性を有する別のクラブシャフトと組み立て直し、及び/又はクラブシャフトを異なるクラブヘッドと組み立て直すことができる。
【0037】
図1〜4に示すようなシャフト/ヘッド一時的結合装置12に対する様々な修正及び改良形態は当業者には明らかであろう。図5〜17は、そのような修正及び改良形態をいくつか示すが、そのような代替実施形態は、本明細書に開示された本発明の範囲を限定するものではないということが認識かつ理解されるであろう。例えば、アダプタインサート28の突出部とアダプタソケット32の底端部との弾力的又は圧縮可能な結合は、アダプタインサートの突出部をアダプタソケット32に対して軸線方向又は半径方向に大きく変位しないように保持するために、ある一定範囲の異なる実質的に嵌合した構成を有する様々な異なる機械的構造によって達成することができるということを当業者は認めるであろう。同様に、スラストフランジ40をアダプタソケット32のスラスト着座部42上に密接に保持するために、様々な異なる固定部材及び機構を使用することができることを当業者は理解するであろう。
【0038】
更に別の特定の例証及び実施例として、図5〜15は、ゴルフクラブヘッドをクラブシャフトに取外し自在に一時的に取り付けるための変更されたシャフト/ヘッド結合装置を全体的に示している。これに対して図16及び17は、クラブシャフトの上端部をハンドグリップセグメントと結合するための典型的な一時的結合装置18を示しており、例示的な結合装置18は、図3及び4に示して説明したシャフト/ヘッド結合装置12に対応している。しかし、図1〜15に示すシャフト/ヘッド結合装置のいずれもシャフト/ハンドグリップセグメント結合装置として使用するために用いることができることが理解され、かつ認められるであろう。更に、図1〜17に示す様々な開示された実施形態は、クラブシャフトを隣接するヘッド又はハンドグリップセグメントに確実かつ安定的に一時的に結合するための望ましい2点結合をもたらす互換性という特徴を有することが認識されるであろう。
【0039】
図5〜15に示すシャフト/ヘッド結合装置の実施形態に関して、図1〜4に示して説明したのと同じ構成要素は、同じ参照符号で示されており、図1〜4に示す構成要素からは変更されているが構造又は機能に関して類似した構成要素は、同じ参照符号に100を加えた参照符号で示されている。
図5及び6は、本発明の1つの好ましい代替形態を示しており、圧縮ナット44と雄ネジ48の相対的な位置は、アダプタインサート及びアダプタソケットに対して逆である。より具体的には、図に示すように、変更アダプタインサート128は、クラブシャフト14の下方端部上に装着され、その遠位端つまり突出部に突出ピン56及び下方スプラインセグメント30を含む。スプラインセグメント30は、内側スプライン36が形成された変更ソケット部材134により形成された変更アダプタソケット132内に滑り嵌めされるように構成される。アダプタインサート128の突出部にあるピン56は、上述のブッシュ52のような弾力的アンカー部材に着座係合するような大きさ及び形状に作られる。
【0040】
アダプタソケット132の上端部は、アダプタインサート128上に形成された下向きのスラストフランジ140を確実かつ安定的に着座保持するための上向きのスラスト着座部142を形成するために半径方向外向きに拡大されている。この実施形態では、スラストフランジ140の上方部分は、アダプタインサートの一部として形成されかつ外ネジ48が形成された半径方向に拡大された肩部分149に合併する。圧縮ナット44は、図3及び4の実施形態とは逆にされるので、雌ネジ46が雄ネジ48に螺合される時、圧縮ナット44内の内側スラスト肩部50は、拡大されたスラスト着座部142の下面と係合し、スラストフランジ140を下向きに引き下げてスラスト着座部142と密接に着座係合させる。
【0041】
図7は、圧縮可能アンカー部材52及びこれに関連したアダプタインサート28の突出部の構成が変更されている点を除けば図3及び4に示す実施形態とほぼ対応した別の代替実施形態を示す。このバージョンでは、アダプタインサート28の遠位先端つまり突出部は、アダプタソケット32の底部又は基部に取り付けられた馴染み易いディスクの形態を有する変更アンカー部材252と圧接係合するための比較的平坦な先端部256を形成する。圧縮ナット44がアダプタソケット32の上端部に形成された雄ネジ48上に螺合した時、スラストフランジ40をスラスト着座部42上で密接に保持するために、アダプタインサート28の先端部256は、これとアダプタソケット32の底部との間の相対的な動きを実質的に取り除くために、ディスク252と密接係合してこれを少なくとも部分的に圧縮する。代替的に、この実施形態及び他の実施形態では、馴染み易いアンカー部材は、アダプタソケットの基端部又は底端部と係合するようにアダプタインサートの突出部で支持することができる。
【0042】
図8は、圧縮可能アンカー部材及びこれに関連したアダプタインサートの突出部に異なる変更形状を与えた点を除けば図3及び4に示す実施形態とほぼ対応した更に別の代替実施形態を示す。この概念においては、アダプタインサート28の突出部は、アダプタソケット32の底端部又は基端部に装着された変形アンカー部材352の一部分として形成された直立ピン356を密接に滑り嵌め収容することができるような大きさ及び形状を有する軸線方向に突出したスリーブ35を備えるように変更されている。アダプタインサート28がアダプタソケット32内に収容されて、圧縮ナット44がスラストフランジ40をスラスト着座部42上で密接に保持した時、ピン356は、これと突出スリーブ35との間の相対的な動きを実質的に取り除くために、インサート28上のスリーブ35内に密接に収容される。
【0043】
図9及び10は、アダプタインサート28のスラストフランジ40をアダプタソケット32のスラスト着座部42上で密接固定するために異なる固定手段が設けられている点を除けば、図3及び4と同様の本発明の変更を示している。本発明のこのバージョンでは、圧縮ナット44は省かれ、代わりに固定クリップ444が使用される。より具体的には、図9に見られるように、スラストフランジ40がスラスト着座部42上に着座して、突出ピン56が馴染み易いブッシュ52と係合した時、アダプタインサート28、アダプタソケット32、及びこれらに関連したホーゼル24は、これらの構成要素を貫通して形成された固定孔70を含む。金属製バネクリップ(図10)のような固定クリップ444は、スラストフランジ40がスラスト着座部42上で密接に保持された望ましい位置でアダプタインサート28を保持するために、固定孔70を貫通して滑り嵌めするための第1の脚部444aと、固定クリップを定位置において保持するためにホーゼル24を部分的に取り囲む形状に作られた第2の脚部444bとを有する。組み立てられた構成要素から固定クリップ444を手動的に抜き取ることにより、迅速かつ容易な分解が可能となり、次に、上述のように異なるクラブヘッド16に対するシャフト14、又は、逆に、異なるシャフト14に対するクラブヘッド16の迅速かつ容易な再組立てが可能になる。ホーゼル24の周りに取外し自在に取り付けられ、アダプタインサート28を軸線方向に固定して定位置に保持するためにホーゼル及びアダプタソケットの半径方向に開いた溝を通じて係合可能なほぼU字形状の固定クリップのような代替の取外し自在固定クリップの概念を使用することもできる。
【0044】
図11及び12は、アダプタインサート28のスラストフランジ40をアダプタソケット32のスラスト着座部42上に取外し自在に固定保持するための別の代替固定手段を示す。このバージョンでは、アダプタソケット32の上端部は、アダプタインサート28上に形成されたスラストフランジ40をその上に着座収容するための上向きスラスト着座部42を形成するために半径方向外向きに拡大されている。圧縮ナット44(図3及び4)は省かれ、その代わりにスナップリング544が使用され、このスナップリング544は、スラストフランジ40とスラスト着座部とを実質的に締め付けて係合させ、アダプタインサートとアダプタソケットとを組み立てられた状態で軸線方向に保持するためにスナップフィットすることができるような大きさ及び形状を有する。この点に関して、好ましいスナップリング544は、スラストフランジ40の周囲部の周りに密接装着することができる大きさを有するほぼ円筒形の中央壁72と、スラストフランジ40をスラスト着座部42上で軸線方向に固定するために、上向きかつ半径方向内向きに延びる上方固定壁部分74及び下向きかつ半径方向内向きに延びる下方固定壁部分76とを含む。スナップリング544は、1つの組立工程として定位置にスナップフィット又はクランプ締めすることができ、構成要素を分解したい場合は、適切に除去することができる。
【0045】
図13及び14は、本発明の更に別の代替形態を示しており、アダプタインサート28のスラストフランジをアダプタソケット32のスラスト着座部上で取外し自在に保持するための変更固定手段が設けられる。この実施形態では、図3及び4の圧縮ナット44は省かれ、その代わりに迅速−結合−分離カプリング644が使用される。より具体的には、カプリング644は、アダプタソケット32上に装着された軸線方向に移動可能なスリーブ80を含み、このスリーブ80は、バネ82により常態前進位置に常時付勢され、固定ボール84のアレイを半径方向内側位置(図13)に向けて強く押してアダプタインサート28内に形成された円周方向の溝86内に着座させ、半径方向に拡大されたスラストフランジ又は肩部640をその下方にあるアダプタソケット32上に形成されたスラスト着座部642に固定して密接に保持する。バネ82に対してカプリングスリーブ80を後退させると、固定ボール84は、スリーブ80内に形成された円周方向溝88と整列し、アダプタソケット32からアダプタインサート28を除去するのに十分なだけ、また、必要に応じてこれらの構成要素を組み立て直すのに十分なだけ半径方向外向きに変位可能になる。
【0046】
図15は、特にシャフト/ヘッド結合装置に適する別の固定手段の変形を示しており、図3及び4の圧縮ナット44は省かれ、その代わりにクラブヘッド16内に形成された下向きに開いた孔90を貫通してアダプタインサート28に装着される固定ボルト744が使用される。本発明のこのバージョンでは、アダプタインサート28は、アダプタソケット32の上端部にあるスラスト着座部42上に着座してこれを保持するためのスラストフランジ40を含む。更に、アダプタインサート28は、アダプタソケット32の底端部又は基端部において馴染み易いブッシュ52内の中央孔54に結合収容される変形突出ピン756を含む。しかし、変形突出ピン756は、ほぼスリーブ状に形成され、ヘッド孔90内を上向きに延びる固定ボルト744のネジ付き軸部と螺合するための内ネジが切ってある。図に示すように、この孔90は、固定ボルト744がネジ付きピン756内に締め付けられた時にボルトヘッド94と係合するための肩部92を形成する皿外端部又は下端部を含む。このように固定ボルト744は、スラストフランジ40をスラスト着座部42上に確実に引き付けて密接に保持する働きをし、他方、ピン756は、馴染み易いブッシュ52と係合してアダプタインサート28とアダプタソケット32との間に第2の結合点を形成する。
【0047】
図16及び17は、選択されたシャフト14の上端部を、選択されたハンドグリップ22を取り付けたハンドグリップセグメント20に結合するために使用される一時的結合装置18のための1つの好ましい構成を示す。これらの図に示すように、好ましい一時的結合装置18は、図1〜15に関連して上述したものと同じ2点式で相互結合した同じ構成要素を使用しており、図16及び17は、説明を容易かつ明瞭にするために、図3及び4の特定実施形態を示している。
【0048】
図に示すように、アダプタインサート28は、上述のものと同じ方式でシャフト14の上端部に装着され、アダプタソケット32は、選択された直径サイズ及びトレッドパターンなどを有するハンドグリップ22を取り付けた菅状ハンドグリップセグメント20の下端部内に上述のものと同じ方式で装着される。スラスト着座部42に着座したスラストフランジ40を引き付けて密接に保持するために、圧縮ナット44は、アダプタソケット32の雄ネジ48上に螺合される。スラストフランジ40をこのように着座して保持した状態で、ピン56を含むアダプタインサート28の突出部は、望ましい安定な2点結合を形成するために、アダプタソケット32の基端部に装着されたブッシュ52と係合してこれを部分的に圧縮する。この点に関して、図17に示すように、ハンドグリップセグメント20内に装着されたソケット部材34の最上端部は、ブッシュ52を定位置に支持して保持する逆転防止支持リップ部96を形成するために半径方向内向きに曲げることができる。代替的に、ソケット部材34の基端部は、支持リップ部96の代わりに基部壁(図示せず)を形成するカップ形状を有することができる。
【0049】
上述のシャフト/ハンドグリップセグメント結合装置18の代替形態は、当業者には明らかであろう。特に、スラスト着座部上でのスラストフランジの保持、及びアダプタインサートの突出部つまり先端部と馴染み易いアンカー部材との係合を含む安定な2点結合をもたらすための開示した手段の任意の組合せを含む、上述のシャフト/ヘッド結合装置のどれでも使用することができる。
【0050】
また、本発明のゴルフクラブのための改良された一時的シャフト/構成要素結合装置の様々な更なる修正及び改良形態が当業者には明らかであろう。例えば、本発明は、非金属クラブシャフト14に関連させて示して説明したが、本発明を金属クラブシャフトにも利用することができることが認識され、かつ認められるであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲に示すものを除いて、以上の説明及び添付図面によって何ら限定されないものとする。
【符号の説明】
【0051】
12 一時的シャフト/構成要素結合装置
14 クラブシャフト
16 クラブヘッド
24 ホーゼル
28 アダプタインサート
32 アダプタソケット
36 内側スプライン
44 圧縮ナット
52 アンカー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブシャフトを付加的なクラブ構成要素に結合するための一時的結合装置であって、
ゴルフクラブシャフト及び付加的なクラブ構成要素の一方に装着された細長いアダプタインサートと、
前記ゴルフクラブシャフト及び前記付加的なクラブ構成要素の前記一方によって担持されたスラストフランジと、
前記ゴルフクラブシャフト及び付加的なクラブ構成要素の他方に置かれたソケット部材と、
を含み、
前記ソケット部材は、前記アダプタインサートを滑り嵌め収容するための大きさ及び形状を有するソケットを形成し、該ソケット部材は、更に、該アダプタインサートが該ソケット内に摺動的に収容された時に、前記スラストフランジを実質的に着座収容するためのスラスト着座部を形成し、該アダプタインサート及びソケット部材は、更に、該アダプタインサートが該ソケット内に摺動的に収容された時に、両者間の相対的な回転を実質的に防止するための相互係合可能な表面を含み、
前記スラストフランジを前記スラスト着座部上に着座収容させて保持した状態で、前記アダプタインサート及びソケット部材を取外し自在に相互結合するための結合手段、
を更に含み、
前記結合手段は、前記アダプタインサート及びソケット部材の一方によって担持されて内ネジ及びスラスト肩部を形成する圧縮ナットと、該アダプタインサート及びソケット部材の他方に形成された外ネジとを含み、該圧縮ナットは、前記スラストフランジを軸線方向に変位させて前記スラスト着座部上に着座係合させるために、該スラスト肩部を該スラストフランジ及びスラスト着座部の一方に対して強く押すように該外ネジと螺合的に係合可能であり、
前記アダプタインサート及びソケットの前記一方に置かれた逆転防止反動部材、
を更に含み、
前記逆転防止反動部材は、前記アダプタインサートを前記ソケット部材から軸線方向に分離するために前記圧縮ナットの螺合を前記外ネジから外す時に、該圧縮ナットによって係合可能である、
ことを特徴とする結合装置。
【請求項2】
前記アダプタインサートは、金属材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の一時的結合装置。
【請求項3】
前記スラストフランジは、前記アダプタインサートと一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の一時的結合装置。
【請求項4】
前記付加的なクラブ構成要素は、ホーゼルを有するゴルフクラブヘッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の一時的結合装置。
【請求項5】
前記アダプタインサートは、前記クラブシャフトの一端上に装着されることを特徴とする請求項1に記載の一時的結合装置。
【請求項6】
前記ソケット部材は、前記ホーゼルと一体的に形成されることを特徴とする請求項4に記載の一時的結合装置。
【請求項7】
前記ソケット部材は、前記ホーゼル上に装着されることを特徴とする請求項4に記載の一時的結合装置。
【請求項8】
前記アダプタインサート及び前記ソケット部材上に形成された相互係合可能なテーパ付き表面を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の一時的結合装置。
【請求項9】
一時的結合装置であって、
結合手段が、アダプタインサート及びソケット部材の一方により担持されて内ネジ及びスラスト肩部を形成する圧縮ナット、及び該アダプタインサート及びソケット部材の他方に形成された外ネジを含み、
前記圧縮ナットは、スラストフランジを軸線方向に変位させてスラスト着座部上に着座係合させるために、前記スラスト肩部を該スラストフランジ及びスラスト着座部の一方に対して強く押すように前記外ネジと螺合的に係合可能である、
ことを特徴とする結合装置。
【請求項10】
前記圧縮ナットは、前記ゴルフクラブシャフトによって担持され、
前記外ネジは、前記ソケット部材上に形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の一時的結合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−142676(P2009−142676A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53880(P2009−53880)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【分割の表示】特願2005−505537(P2005−505537)の分割
【原出願日】平成15年7月17日(2003.7.17)
【出願人】(592228398)ナイキ・インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Nike Inc
【Fターム(参考)】