説明

一杯分のカップ内で飲料を撹拌するための方法

一杯分のフローズンスラリー飲料を使い捨ての飲料容器またはカップ内で調理するための方法および装置において、氷フレークおよび/または氷ナゲットの形の微細な水の凍結粒子の供給部を設け、所定の量または総量の部分的に凍結された水の微細な凍結粒子を一杯分の使い捨ての飲料容器またはカップ内に堆積させ、所定の量または総量の風味付けされた液体飲料混合材料を、前記一杯分の使い捨ての飲料カップまたは容器内に供給または添加し、水の微細な凍結粒子および風味付けされた液体飲料混合材料を混ぜ合わせて撹拌して、所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
氷粒子のスラグまたはナゲット(塊)と、フレーバ成分もしくは調味成分とを、使い捨ての容器内で撹拌またはブレンド(blending)することによりフローズン飲料を調理する方法。
【0002】
背景技術
近年、「フローズン飲料」の人気は劇的に上昇している。これらの飲料は典型的には、調味料、果実ピューレ、コーヒ、リキュール、乳製品および/またはその他の成分の混合物(mixture)と、薄いペーストの稠度を有する微細に砕かれた氷/水の混合物とから成る。この種類の飲料は、しばしば、ジャンバ・ジュースの商標のスムージー、7/11の商標の「スラッシュ」飲料、またはスターバックスコーヒーの商標のフラペチーノのようなブレンドコーヒと呼ばれる。
【0003】
歴史的には、1940年代から、フローズン飲料は、角氷または粉砕氷の形の氷を含む飲料の成分を、商標ワーリング・ブレンダ(Waring Blender)のような撹拌ピッチャに入れることにより製造された。次いで撹拌器もしくはブレンダ(blender)は、氷を細かく分散された状態にするために要求される相当な時間にわたり作動される。次いで、混合物は、消費のために飲用グラスまたは使い捨てのカップに移される。1986年,ジョン・ハーバードは(米国特許第4681030号明細書)、まず撹拌器内に氷を削り入れ、次いで成分を撹拌することによる上記製造の改良方法を発明した。このことは、調理スピードと、最終的な氷スラリー(懸濁液)の稠度とを増した。なぜならば、削氷は、回転しているブレードに対して氷を押圧することにより製造され、このことは、角氷が撹拌器内で跳ね回って、この角氷が溶液を通って落下したあとにだけ撹拌器ブレードと接触して、ブレードへの衝突後に再び跳ね上げられるだけであるよりも、はるかに効率的だったからである。特に、米国特許第4681030号明細書は、氷削機が単一ユニット内で撹拌器と組み合わせられており、氷削機からの氷が、撹拌カップ内に直接に放出される、フローズン飲料を調理するための装置を示している。氷削機および撹拌器は、電気的に配線接続されており、プログラム可能なタイミング手段が、氷削機および撹拌器が作動される期間の選択的な制御を可能にするために設けられているので、単一スイッチボタンの瞬間的動作によって、装置が作動開始されてよく、撹拌カップに適量の氷を自動的に搬出して、撹拌装置は適切な時に適切な期間だけ作動される。
【0004】
1994年には、様々な発明者、たとえば米国特許第5619901号明細書のリーズおよびハンソンが、「撹拌器を有する飲料供給装置に、所定の正確な量の飲料混合材料および削氷をそれぞれ供給するための量制限手段を設け、これにより手間と不調和な風味を防ぐ」調味料の自動供給装置をもたらした。特に、米国特許第5619901号明細書は、供給されているそれぞれの飲料混合材料の正確な量制御を確実にする飲料供給装置に関し、正確な量は所定の制限内に調整可能である。飲料混合材料は、互いに対して隣り合った関係で配置されたそれぞれの飲料容器(または飲料チューブ)内にあり、複数の選択ボタンが、これらの容器の真下に、ほぼ垂直方向に容器と一列に並んで配置されている。計数ボタンおよび中止ボタンも、それぞれ制御パネル上に設けられている。飲料混合材料およびタンク内の氷の水準は、いつでも簡単に見ることができる。撹拌サイクルの開始が開始すると、撹拌器モータが始動されて、第1の時間遅延後に、第1の期間にわたって飲料混合材料が撹拌器内に放出される。飲料混合材料の放出開始に続く第2の時間遅延後に、削氷モータが第2の期間にわたって作動する。撹拌器モータは、飲料混合材料の放出および削氷の搬出後にも作動し続ける。
【0005】
米国特許第3505075号明細書は、フローズンスラッシュ飲料を調理するための方法および装置を開示している。この方法および装置では、ガスの炭酸ガス部分が、フローズン飲料を形成する混合物により吸収される条件下で、塊状氷が調味剤と混合される。
【0006】
米国特許第3615673号明細書は、氷を含む飲料成分を含有する、剛性の容器内に置かれた使い捨てのカップを開示している。封鎖部材が、カップの開放した上部に移動して、カップの内部を周辺雰囲気からシールする。封鎖部材に担持されたカッタがカップ内で成分を撹拌するために回転されて、炭酸ガスは、通常はカップ壁を変形させる圧力で、封鎖部材を通じてカップ内に押し入れられる。撹拌に続いて、封鎖部材は加圧された炭酸ガスの影響下でカップを持ち上げる。
【0007】
米国特許第4932223号明細書は、新規の改良されたオーガまたはオーガアセンブリを有するオーガ式製氷機を示している。オーガまたはオーガアセンブリは、フライト部分の外側エッジを横切って成形された1つまたは複数の溝を備えた一般的に螺旋状の1つまたは複数のフライト部分を有している。これらの溝は、外側のオーガエッジと蒸発器ハウジングの内面との間で、通常は螺旋状に延びる接触部を中断する。したがって、外側のオーガエッジと蒸発器ユニットの内面との接触エリアを減少させて、結果として、オーガ軸受けにかかる負荷を減じる。溝は、蒸発器の内面からの氷粒子の掻取り中に、フライト部分におけるストレス軽減エリアを提供して、オーガ軸受けにかかる力の平衡を保とうとする。
【0008】
米国特許第4745773号明細書は、ソフトアイス飲料を製造するための装置に関する。このソフトアイス飲料を製造するための装置は、切削刃を臨ませたスリットと、削氷投入シュートとを有する切削ケースと、この切削ケース内に供給された氷塊を切削ブレードと協働して切削する、切削ケース内に設けられた回転翼板と、氷削機構の下方に配置され、削氷投入シュートの下方に位置する容器内に設けられ当該容器内のシロップ等の液体と当該容器内に投入される削氷とを混ぜ合わせかつ容器内に投入された削氷を微粒子状に粉砕する回転ブレードを有するミキシング機構とを備えている。
【0009】
米国特許第5803377号明細書は、カップ内へ凍結された凍結物質からフローズン飲料を製造するためのフローズン飲料装置と方法とを教示している。カップは、凍結物質を含有しており、フローズン飲料装置内に配置されたカップ支持部内に位置している。凍結物質を粉砕し、その粉砕された凍結物質にガスを飽和するための機能を有する回転可能なブレードは、カップ内に下降されて、液体がカップ内に導入されると同時に凍結物質を粉砕する。択一的な実施形態では、液体がカップ内に導入される前に空気を液体内に取り込む第2のブレードが設けられている。
【0010】
米国特許第5911749号明細書は、オーガ型製氷機に関する。このオーガ型製氷機は、製氷シリンダ1の上部に挿入され固定された圧縮ヘッドの外周に突設された隔壁を有している。この場合、隔壁の下端部に、固定されたブレードが、半径方向でずらされて成形されており、その内周側部分の先端が、オーガの、螺旋状ブレードを有する大径部の上方に位置する。上記の構造では、ずらされた角部にカーブが設けられる。したがって、氷は押圧圧縮されて角部に付着することを阻止される。したがって、圧縮ヘッドの外周に突設された隔壁の下部における氷の搬送抵抗が減じられて、製氷能力の低下が阻止され、氷詰まりによる異常音および異常振動の発生が防止される。
【0011】
米国特許第6730348号明細書は、貯蔵冷蔵庫から温度調節(tempering)冷蔵庫へと搬送された、中立的に風味付けされた混合材料の入った使い捨てカップを用いて、風味付けされた菓子を調理するための方法を開示している。この容器は、温度調節冷蔵庫から取り出されて、選択されたシロップが、混合材料を冷たいうちに撹拌するために、大型の紙パックから使い捨て容器内にポンプ圧送される。
【0012】
米国特許第6772675号明細書は、フローズン飲料混合ユニット(frozen beverage mixing unit)を開示している。このフローズン飲料混合ユニットは、開放した底部を有する中空ハウジングと、カッターナイフを備えた切削ディスクとを有している。切削ディスクは、ハウジング内に組み付けられている。ピストンが切削ディスクの上方に運動し、フローズン製品を押圧して切削ディスクのカッタブレードに接触させる。複数のポンプが、所定の量の選択された添加物、たとえばアルコール、シロップ、炭酸水または水を、切削されたフローズン製品により生ぜしめられた氷の結晶と混ぜ合わせるために、切削ディスクの上にポンプ圧送する。添加物は、切削ディスクの下方に配置された混合容器内で、切削されたフローズン製品と混合される。
【0013】
米国特許第6068875号明細書は、風味付けされたスラリー状菓子を調理するための方法に関する。この方法は、中立的に風味付けされた、一杯分(individual serving)の混合材料を収容する使い捨て容器の使用を含んでいる。この混合材料は、通常見られる水の凝固点よりも低い凝固点温度を有している。混合材料を充填された容器の大量供給は典型的にはレストランのための貯蔵冷蔵庫のような、中立的に風味付けされた混合材料を貯蔵温度で保管するための貯蔵冷蔵庫内に保管される。混合材料を充填された所望の数量の容器が、貯蔵冷蔵庫から、通常は調理および給仕エリアの近傍にある温度調節(tempering)冷蔵庫に、中立的に風味付けされた混合材料を所望の混合温度で維持するために移される。次いで混合材料を充填された容器は、風味付けされたシェイクのような、風味付けされた菓子を調理するために、温度調節冷蔵庫から取り出される。風味付けされた菓子の調理時に、選択された少量のシロップが、選択されたバッグ・イン・ボックス型のカートン容器から混合材料を充填された容器内にポンプ圧送されて、混合材料が撹拌温度に冷やされているうちに、選択されたシロップを中立的な風味の混合材料と混合する。少量のシロップは、中立的に風味付けされた混合材料に選択された風味を与えるために添加されて、これにより風味付けされたスラリー状菓子を形成することができる。スラリー状菓子は、次いで使い捨ての提供用容器内で提供される。
【0014】
米国特許第7278275号明細書は、氷を、選択された3つの形状、つまり角氷、粉砕氷、削氷のそれぞれの形状で供給するための機構を教示している。この機構は、角氷の供給部を保持するために配置された容器と、供給ゾーンと、前記容器から供給ゾーンに角氷を供給するために配置された搬送機構と、選択的に氷を粉砕するために設けられた前記供給ゾーン内に位置する氷砕機構と、選択的に氷を切削するために設けられた前記供給ゾーン内に位置する氷削機構と、使用者による適当な入力を受けて氷砕機構と氷削機構とを選択的に作動するために配置された制御機構とを有している。
【0015】
先行技術の別の例は、米国特許第2855007号明細書、米国特許第5192131号明細書、米国特許第5619901号明細書、米国特許第5833362号明細書、米国特許第5863118号明細書、米国特許第6196712号明細書、米国特許第6196712号明細書、米国特許第6283627号明細書、米国特許第6293691号明細書、米国特許第6338569号明細書、米国特許第6616323号明細書、米国特許第6945157号明細書および米国特許第2002/0194999号明細書に記載されている。
【0016】
これらの装置のうちの多くは、成分を自動的に搬送する。しかし、フローズン飲料を製造するためのこのような方法に関する主な問題の1つは、飲料を撹拌器から取り出して、提供用グラスまたは使い捨てカップ内に注ぎ、次いで撹拌器を完全に洗浄するためにかかる時間と手間である。つまり、ストロベリー飲料を待っている別の顧客に素早く給仕しようと試みるが、チョコレート飲料を製造した直後だったために撹拌器が適切に洗浄されていない場合、ストロベリー飲料中にチョコレートが存在している交差汚染が起こり易い。撹拌ピッチャの洗浄の問題は、ほとんどの容器の洗浄の問題よりも大きい。なぜならば、提供されている飲料のサイズと比較した場合に、ピッチャ内に多くの表面積があるからであり、さらにピッチャ内にブレードがあり、食品を「留め」得る多数の隅部および隙間があるからである。
【0017】
従来の方法に関する別の問題は、飲料を連続式に提供するために費やされる時間から生じる。もしも1つの撹拌器しかなく、飲料を10個注文された場合に、これらの飲料は1つ1つ順番に製造されねばならず、僅かな同時作業しか行うことができない。したがって、1つの飲料を作るために1分かかるとすれば、10個の飲料を作るためには10分かかる。
【0018】
従来の方法に関する別の問題は、スタッフは、飲料を作っている場合は、飲料を作るというたった1つのことしかできないという事実から生じる。
【0019】
スタッフは、飲料を作っている間は、「複数の仕事」を行うことができず、別の顧客を世話することができない。なぜならば、撹拌器を空にし、洗浄し、飲料を注ぐこと等による機械の手入れを行われねばならないからであり、換言すれば、もしも機械の手入れがなされなかった場合、飲料の製造プロセスは停止してしまうからである。
【0020】
したがって本発明の目的は、フローズン飲料を素早くかつ効率的に製造することができ、かつ上述のブレンダを使用することなく自動的な形式で、直接に提供用カップ内でフローズン飲料を製造することができる装置を提供することである。
【0021】
使い捨てのカップ内でブレンドもしくは撹拌するための様々な試みが成されたが、問題は、カップが大きすぎるために顧客がカップの2/3の飲料でごまかされたような感覚を受けることである。このための解決手段は、カップの高さを一時的に延長させるためにカップの上部に鋼製のリングを取り付けることであった。この解決手段に関する問題は、金属性のリングを洗浄する必要があること、または交差汚染を起こすこと等である。
【0022】
さらに、ミラー(Miller),米国特許第6068875号明細書のように、使い捨てのカップ内で撹拌するための試みが成された。中立的な風味のベース材料をカップ内に既に有する飲料を撹拌し、装置は、シロップおよび調味料を使い捨てのカップ内に添加するために使用される。しかしこのことは、凍結された状態で提供箇所に維持される予め充填されたカップの大きな貯蔵場所を要求する。このことは店舗における在庫の問題を起こし得る。一般的に小売りエリアには限られたスペースしかなく、したがって大きすぎるスペースを取ることなしには、小売りエリア内では僅かなカップしか保管することができない。さらに、ウォークイン冷凍庫は通常、他の製品でいっぱいである。工場で予め充填されたカップを用いる多数の機械があり、撹拌機は、他のシロップ、水または熱を添加することで飲料を仕上げるために使用されるが、これら全ての機械は、小売り店舗内の冷凍在庫スペースを占めてしまうという問題を有している。
【0023】
発明の概要
本発明は、使い捨ての飲料容器またはカップ内で一杯分のフローズンスラリー飲料(frozen slurry drink)を調理するための方法および装置に関する。
【0024】
一杯分の風味付けされたフローズンスラリー飲料を調理するための装置は、氷供給ステーションと、氷供給ノズルとを備えた製氷機を有している。この製氷機は、氷フレークおよび/または圧縮された氷フレークである氷ナゲットの形の水の微細な凍結粒子を供給する。当該装置は、さらに風味付けされた液体飲料混合材料(liquid beverage mix)を供給するための液体飲料混合材料供給ノズルを有している。さらに、当該装置は、水の微細な凍結粒子と、風味付けされた液体飲料混合材料とを撹拌して、所定の稠度(consistency)のほぼ均一なフローズンスラリー飲料を形成するために、飲料撹拌ステーションと撹拌器(blender)とを備えた飲料撹拌機(blender device)を有している。
【0025】
氷フレーク(ice flakes:氷薄片)の形の場合、本発明による水の微細な凍結粒子は、約81重量%〜約89重量%の氷または凍結した水と、凍結していない残りの水とを含んでいる。
【0026】
圧縮された氷フレークまたは氷ナゲットの形の場合、水の微細な凍結粒子は、約89重量%〜約97重量%の氷または凍結した水と、凍結していない残りの水とを含んでいる。
【0027】
本発明による方法は、以下のステップを有している。
【0028】
水の微細な凍結粒子を生成するステップ;
使い捨ての飲料容器またはカップを、氷供給ノズルの下方にて氷供給ステーション上に置くステップ;
所定の量または総量の水の微細な凍結粒子を、氷供給ノズルから使い捨ての飲料容器内またはカップ内に供給するステップ;
所定の量または総量の水の微細な凍結粒子を含む使い捨ての飲料容器またはカップを氷供給ステーションから取り出すステップ;
所定の量または総量の水の微細な凍結粒子を含む使い捨ての飲料容器またはカップを、の液体飲料混合材料供給ノズルの下方にて液体飲料混合ステーション上に置くステップ;
所定の量または総量の風味付けされた液体飲料混合材料を液体飲料混合材料供給ノズルから、所定の量または総量の水の微細な凍結粒子を含む使い捨ての飲料容器内またはカップ内に供給するステップ;
未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子と風味付けされた液体飲料混合材料とを含む使い捨ての飲料容器またはカップを、液体飲料混合ステーションから取り出すステップ;
未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子と風味付けされた液体飲料混合材料とを含む使い捨ての飲料容器またはカップを、飲料撹拌機の飲料撹拌ステーション上に置くステップ;
飲料撹拌機の回転撹拌器ブレードを、使い捨ての飲料容器またはカップの内部と、未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子および風味付けされた液体飲料混合材料内とに下降させるステップ;
飲料撹拌機の回転撹拌器ブレードを、所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料を含む使い捨ての飲料容器またはカップの上方に上昇させるステップ;および
均一なフローズンスラリー飲料を含む使い捨ての飲料容器またはカップを、飲料撹拌機の飲料撹拌ステーションから取り出すステップ
を有している。
【0029】
したがって本発明は、以下に定義される構成において例示的に示される構成の特徴、構成部材の組合せおよび部分の配置を含み、本発明の範囲は特許請求の範囲に示される。
【0030】
本発明の本質と対象とを完全な理解するためには、以下に添付の図面と関連した詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による方法のステップを示す概略図である。
【図2】本発明と共に使用するための製氷機の斜視図である。
【図3】本発明と共に使用するための飲料撹拌機の斜視図である。
【0032】
有利な実施形態の詳細な説明
本発明は、使い捨ての飲料容器内またはカップ内で一杯分のフローズンスラリー飲料を調理するための方法および装置に関する。図面および詳細な説明では、本発明の好適な実施の形態が、例示目的で描かれ説明されている。当業者であれば本発明の原理を他の方法および他の種類の装置に同様に適用できることを容易に理解するであろう。
【0033】
図1は、一杯分の風味付けされたフローズンスラリー飲料10を使い捨ての飲料容器またはカップ12内で調理するための装置の概略図である。当該装置は、概して符号14で示される製氷機を有しており、この製氷機14は、氷フレーク(薄片)および/または圧縮された氷フレークから成る氷ナゲットの形の水の微細な凍結粒子20を供給するために、それぞれ符号16および18で示される氷供給ステーション16と氷供給ノズル18とを有している。さらに当該装置は、液体飲料混合材料を混合するための液体飲料混合機(liquid beverage mix device)22を有している。この液体飲料混合機22は、風味付けされた液体飲料混合材料(liquid beverage mix)28を供給するために、それぞれ符号24,26で示される液体飲料混合ステーション(liquid beverage mix station)24と液体飲料混合材料供給ノズル26とを有している。さらに当該装置は、概して符号30で示される飲料撹拌機(beverage blending device)30を有している。この飲料撹拌機30は、水の微細な凍結粒子20と、風味付けされた液体飲料混合材料28とを撹拌して、所定の稠度を有するほぼ均一なフローズンスラリー飲料10を形成するために、それぞれ符号32,34で示される飲料撹拌ステーション32と撹拌器(blender)34とを有している。
【0034】
氷フレークの形の場合、本発明における水の微細な凍結粒子は、約81重量%〜約89重量%の氷もしくは凍結された水と、残りの凍結していない水とを含んでいる。氷フレークが、約85重量%の氷もしくは凍結された水と、残りの凍結していない水とを含んでいると有利である。圧縮された氷フレークまたは氷ナゲットの形の場合、水の微細な凍結粒子は、約89重量%〜約97重量%の氷もしくは凍結された水と、残りの凍結していない水とを含んでいる。圧縮された氷フレークが、約93重量%の氷もしくは凍結された水と、残りの凍結していない水とを含んでいると有利である。
【0035】
製氷機14は、米国特許第4932223号明細書または米国特許第5911749号明細書に開示されているような製氷機を有していてよい。これらの製氷機はそれぞれ、氷フレーク(氷薄片)を製造し、この氷フレークを圧縮して氷ナゲットを形成することができる。図2は、米国特許第4932223号明細書に開示されたScotsmanの製氷機の業務用の型を示している。製氷機14は、氷オーガ38を当該製氷機14の上部に格納するための筺体またはハウジング36と、氷圧縮機40とを有している。この氷圧縮機40は、氷フレークを氷オーガ83から受け取って、この氷フレークから氷ナゲットを形成するために配置されている。氷供給ノズル18は、製氷機14により製造された氷フレークまたは氷ナゲットを受け取って、この氷フレークまたは氷ナゲットを、氷供給ステーション16上に置かれた使い捨ての飲料容器またはカップ12内に供給するために、筐体またはハウジング36の前面に取り付けられている。アクチュエータまたはスイッチ42は、アクチュエータが作動されるかまたはスイッチが押された場合に、水の微細な凍結粒子を氷供給ノズル18から選択的に供給するために、筐体またはハウジング36の前面に組み込まれている。水は、製氷機14に、給水源(図示せず)から、給水管44を通って製氷機14の氷形成ユニット(図示せず)に供給される。
【0036】
液体飲料混合ステーション24と、液体飲料混合材料供給ノズル26とを備える液体飲料混合機22は、液体飲料混合材料供給装置を有していてもよい。この液体飲料混合材料供給装置は、米国特許第5619901号明細書に示されたものと類似する単一の風味付き液体飲料混合材料または複数の風味付き液体飲料混合材料を供給することができ、これによって風味付けされた液体飲料混合材料28を、液体飲料混合材料供給ノズル26から、液体飲料混合ステーション24上に置かれた、水の微細な凍結粒子20を含む使い捨ての飲料容器またはカップ12内に供給することができる。
【0037】
水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28とを撹拌して、ほぼ均一なフローズンスラリー飲料10を所定の稠度で形成するための飲料撹拌機30は、飲料撹拌ステーション32と、撹拌手段34と、この撹拌手段34を図3に示すように選択的に位置決めするための、概して符号45で示される撹拌器位置決め機構45とを有している。
【0038】
飲料撹拌機30は、底部46と、頂部またはカバー48とを備えたフレームまたはハウジングを備えたキャビネットを有している。底部46と、頂部またはカバー48とは、ほぼ垂直な少なくとも1つの壁またはフレーム支持体50により、互いに間隔を空けて配置されている。
【0039】
撹拌手段34は、下側の撹拌器ブレード52と、ほぼ垂直な中間連結部材または撹拌器シャフト54とを有している。この撹拌器シャフト54は、撹拌プロセス中に撹拌器ブレード52とほぼ垂直な中間連結部材または撹拌器シャフト54とを選択的に回転させるために電源(図示せず)に接続された撹拌器モータ56に取り付けられている。撹拌器モータ56は、撹拌器位置決め機構45に取り付けられており、以下で詳細に述べるように、水の微細な凍結粒子20と、風味付けされた液体飲料混合材料28とを含む使い捨ての飲料容器またはカップ12が、飲料撹拌ステーション32上に置かれている場合に、撹拌器モータ56と撹拌手段34とを、当該使い捨ての飲料容器またはカップ12に対して垂直に選択的に運動させることができる。
【0040】
特に、撹拌器位置決め機構45が、撹拌器ブレード52を使い捨ての飲料容器内またはカップ12内に垂直に運動させ、水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28との中で垂直方向に昇降するように振動させて、飲料成分を混合かつ撹拌し、滑らかな所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料10を形成することができる。
【0041】
撹拌器位置決め機構45は、ほぼ垂直な雄ねじ山付きねじ部材またはシャフト位置決め装置60を選択的に回転させるために、電源(図示せず)に接続されたキャビネットの頂部またはカバー48に取り付けられた位置決めモータ58を有している。さらに撹拌器位置決め機構45は、雌ねじ山付き開口64を有する位置決め部材62を有しており、当該位置決め部材62、撹拌器モータ56および撹拌手段34を飲料撹拌ステーション32に対して垂直方向に選択的に運動させることができる。撹拌器モータ56は、位置決め部材62に取り付けられている。
【0042】
さらに撹拌器位置決め機構45は、位置決め部材62と、撹拌器モータ56と、撹拌手段34との垂直方向の運動をガイドするための位置決めガイドを有している。特に、位置決めガイドは、それぞれ符号66,68で示された、ほぼ平行かつほぼ水平方向の上側および下側のガイド部材66,68を有している。各ガイド部材66,68は、ほぼ垂直な雄ねじ山付きねじ部材または位置決めシャフト60を動作可能に貫通させて収容するための中央に配置された開口70と、それぞれ符号72で示された、ほぼ平行かつほぼ垂直な1対のシリンダ形ガイド部材72をと有している。これらのシリンダ形ガイド部材72は、ほぼ平行かつほぼ水平方向の上側および下側のガイド部材66,68の相応する端部に取り付けられている。位置決め部材62は、円形のガイド開口74を有している。ガイド開口74は、位置決め部材62の各端部を貫通して成形されており、これにより、ほぼ平行かつほぼ垂直な対応するシリンダ形ガイド部材76を、このガイド開口74を貫通させて摺動可能に収容して、位置決め部材62に取り付けられた撹拌手段34と撹拌器モータ56との垂直方向の運動をガイドすることができる。当然のことながら、ほぼ平行かつほぼ垂直なガイド部材76と、ガイド開口74とが、相応する直線状の形状またはその他の相応する形状を有していてもよい。
【0043】
飲料撹拌ステーション32は、所定の稠度または粘度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料10を形成するように混合され撹拌されるべき水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28とが含まれる使い捨ての飲料容器またはカップ12の下端部を収容するために、支持面78と保持凹部80とを有している。さらに、使い捨ての飲料容器またはカップ12が支持面78上に支持されている場合に、この使い捨ての飲料容器またはカップ12の側部を把持または保持するために、少なくとも1つのフレキシブルな保持エレメントまたはアーム82が部分壁84に取り付けられていてよい。
【0044】
キャビネットは、自動洗浄機86を備える筐体を有していてもよく、自動洗浄装置86は、筐体内に配置されて、この筐体の内側を自動的に定期的に洗浄する。
【0045】
本発明による方法は、以下のステップを有している。
・給水管44を通じて製氷機14に給水し、
・製氷機14内で氷フレーク20の水の微細な凍結粒子を生成し、
・製氷機14内で氷フレーク20を圧縮して氷ナゲットを形成し、
・使い捨ての飲料容器またはカップ12を製氷機14の氷供給ステーション16上の氷供給ノズル18の下方に置き、
・所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20を氷供給ノズル18から使い捨ての飲料容器内またはカップ12内に供給し、
・所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20を含む使い捨ての飲料容器またはカップ12を氷供給ステーション16から取り出し、
・所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20を含む使い捨ての飲料容器またはカップ12を、液体飲料混合機22の液体飲料混合ステーション24上の液体飲料混合材料供給ノズル26の下方に置き、
・所定の量または総量の風味付けされた液体飲料混合材料28を、液体飲料混合材料供給ノズル26から、所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20を含む使い捨ての飲料容器またはカップ12内に供給し、
・未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28とを含む使い捨ての飲料容器またはカップ12を液体飲料混合機22の液体飲料混合ステーション24から取り出し、
・未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28とを含む使い捨ての飲料容器またはカップ12を飲料撹拌機30の飲料撹拌ステーション32上に置き、
・飲料撹拌機30の飲料撹拌ステーション32上で、未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28とを含む使い捨ての飲料容器またはカップ12を固定し、
・飲料撹拌機30の撹拌器ブレード52を回転させ、
・飲料撹拌機30の撹拌器ブレード52を、未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20と液体飲料混合材料28とを含む使い捨ての飲料容器またはカップ12の内部に下降させ、
・飲料撹拌機30の回転撹拌器ブレード52を、未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28とを含む使い捨ての飲料容器またはカップ12内で、水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28との界面を通して垂直方向に振動させ、これにより未混合の所定の量または総量の水の微細な凍結粒子20と風味付けされた液体飲料混合材料28とを共に完全に混合して、所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料を形成し、
・飲料撹拌機30の回転撹拌器ブレード52を、所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料を含む使い捨ての飲料容器またはカップ12の上方に上昇させ、
・所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料10を含む使い捨ての飲料容器またはカップ12を、飲料撹拌機30の飲料撹拌ステーション32から取り出す。
【0046】
上述のように、本発明の水の微細な凍結粒子が、約85重量%の氷もしくは凍結された水と、残りの凍結していない水とから成る氷フレークであるか、約93重量%の氷もしくは凍結された水と、残りの凍結していない水とから成る氷ナゲットであると有利である。
【0047】
したがって、前述の説明から明らかにされたもののなかで上記目標は効果的に達成され、本発明の範囲から逸脱することなしに上述の構成の所定の変更がなされ得るので、上述の説明および添付の図面に含まれる全ての事項は、例示的であり、限定的な意味ではないと解釈されたい。
【0048】
以下の特許請求の範囲は、本明細書で説明された本発明の一般的および具体的なすべての特徴を包含し、本発明の範囲のすべての言明であり、言語の問題としてその間に入るといえるものを包含する、ということも理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一杯分のフローズンスラリー飲料を使い捨ての飲料容器内で調理するための方法において、
水の微細な凍結粒子の供給部を設け、
前記一杯分の使い捨ての飲料容器内に所定の量の部分的に凍結された水の微細な凍結粒子を堆積させ、
前記一杯分の使い捨ての飲料容器内に、所定の量の風味付けされた液体飲料混合材料を供給し、
前記部分的に凍結された水の微細な凍結粒子と、前記風味付けされた液体飲料混合材料とを撹拌して、所定の稠度の均一なフローズンスラリー飲料を形成することを特徴とする、一杯分のフローズンスラリー飲料を使い捨ての飲料容器内で調理するための方法。
【請求項2】
前記水の微細な凍結粒子が氷フレークである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記氷フレークが、約81重量%〜約89重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記氷フレークが、約85重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記水の微細な凍結粒子が、圧縮された氷フレークから成る氷ナゲットである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記氷ナゲットが、約89重量%の氷〜約97重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記氷ナゲットが、約93重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
製氷機に給水管を通じて給水し、
前記製氷機内で水の微細な凍結粒子を生成し、
前記使い捨ての飲料容器を、氷供給ノズルの下方にて前記製氷機の氷供給ステーション上に置き、
前記氷供給ノズルから所定の量または総量の水の微細な凍結粒子を前記使い捨ての飲料容器内に供給し、
所定の量または総量の水の微細な凍結粒子を含む前記使い捨ての飲料容器を、前記氷供給ステーションから取り出し、
所定の量の水の微細な凍結粒子を含む前記使い捨ての飲料容器を、液体飲料混合材料供給ノズルの下方にて液体飲料混合機の液体飲料混合ステーション上に置き、
前記液体飲料混合材料供給ノズルから、所定の量の風味付けされた液体飲料混合材料を、所定の量の水の微細な凍結粒子を含む前記使い捨ての飲料容器内に供給し、
未混合の所定の量の水の微細な凍結粒子と風味付けされた液体飲料混合材料とを含む前記使い捨ての飲料容器を、前記液体飲料混合機の前記液体飲料混合ステーションから取り出し、
未混合の所定の量の水の微細な凍結粒子と風味付けされた液体飲料混合材料とを含む前記使い捨ての飲料容器を、飲料撹拌機の飲料撹拌ステーションに置き、
前記飲料撹拌機の回転撹拌器ブレードを、前記使い捨ての飲料容器内かつ未混合の所定の量の水の微細な凍結粒子および風味付けされた液体飲料混合材料内に降下させ、
前記飲料撹拌機の回転撹拌器ブレードを、所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料を含む使い捨ての飲料容器の上方に上昇させ、
ほぼ均一なフローズンスラリー飲料を含む前記使い捨ての飲料容器を、前記飲料撹拌機の前記飲料撹拌ステーションから取り出す、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
未混合の所定の量の水の微細な凍結粒子と風味付けされた液体飲料混合材料とを含む前記使い捨ての飲料容器を、前記飲料撹拌機の前記飲料撹拌ステーション上で固定する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記飲料撹拌機の回転撹拌器ブレードを、未混合の所定の量の水の微細な凍結粒子と、風味付けされた液体飲料混合材料とを含む使い捨ての飲料容器内で、水の微細な凍結粒子と風味付けされた液体飲料混合材料と間の界面を通して垂直方向に振動させ、未混合の所定の量の水の微細な凍結粒子と風味付けされた液体飲料混合材料とを共に完全に混合して、所定の稠度のほぼ均一なフローズンスラリー飲料を形成する、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記水の微細な凍結粒子が、約81重量%〜約89重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む氷フレークである、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記水の微細な凍結粒子が、約85重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む氷フレークである、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記水の微細な凍結粒子が、圧縮された氷フレークから成る氷ナゲットである、請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記氷ナゲットが、約89重量%〜約97重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記氷ナゲットが、約93重量%の氷または凍結された水と、残りの凍結していない水とを含む、請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−509671(P2011−509671A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543134(P2010−543134)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/000247
【国際公開番号】WO2009/091565
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(506295470)イノディス コーポレーション (8)
【氏名又は名称原語表記】Enodis Corporation
【住所又は居所原語表記】2227 Welbilt Boulevard, New Port Richey, Florida 34655, USA
【Fターム(参考)】