説明

一次止血の血小板機能、血液の凝集および/または凝固および/または粘性を測定するための流過装置

本発明は測定用の血液をそこから取り出し、アパーチャ(7)を通して搬送可能である貯蔵室(8)がハウジング(2)内に配置されている、一次止血の血小板機能、血液の凝集および/または凝固および/または粘性を測定するための流過装置に関する。貯蔵室(8)内には攪拌装置(10、11、12、13)が備えられ、該攪拌装置(10、11、12、13)はその攪拌部(11)が測定中に前記貯蔵室(8)内にある血液を混合し、流動状態に保つように移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液がシリンダ内を移動可能なピストンを用いてアパーチャを通して吸入され、ピストンと吸引された血液との間の空間内の圧力が測定される、一次止血の血小板機能、血液の凝集および/または凝固および/または粘性を測定するための流過装置に関する。ピストンは駆動装置によって、例えば目標圧力値が空間内で保たれるように移動される。そこでピストンの運動はアパーチャを通る血液流量の尺度の役割を果たす。
【背景技術】
【0002】
このような装置はEP 0 223 044 B1号に基づくものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、混合の恐れなく極めて簡単な測定の実施が可能になるように上記の装置を形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的は特許請求の範囲第1項の特徴を有する装置によって解決される。
【0005】
本発明の重要な利点は、本発明による装置が、そのつど一回だけの測定が実施される一回性、または使い捨て部品の形態を有するので、本装置のアパーチャを通って流れる血液流量を極めて簡単に測定することができることである。したがって汚れの危険はない。したがってそのような汚れに起因する測定エラーを避けることができる。さらに使い捨て部品として形成された本装置は極めて簡単に測定装置に設置でき、測定を実施するために血液を極めて簡単かつ迅速に装置の充填口を通して装置の貯蔵室に充填することができ、本装置とその攪拌棒のピストンを作動するために必要な測定動作および圧力センサの位置決めも適宜の駆動装置を本装置と簡単かつ自動的に連結することによって可能である。
【0006】
本発明のさらに別の利点は、本装置のピストンとシリンダとの間の死容積が極めて僅かしかないので、極めて僅かな血液量で測定が可能であることにある。
【0007】
本発明の装置は、一回性または使い捨てであるので、コストがかかる保守作業や洗浄動作は有利なことに必要ない。
【0008】
本発明の有利な実施形態は従属クレームから明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に図面を参照して本発明およびその実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1では血小板の凝集、血液の凝固または血液の粘性を測定するための本発明による装置が1で示されている。これはハウジング2、ピストン5、シリンダ4、攪拌装置10、11、12、13を含んでいる。
【0011】
ハウジング2は図2、図3にも示すように、基本的に管状に形成されており、その下端部は床壁60によって塞がれ、上端部は開かれている。ハウジング2の側壁は61で示されている。この側壁61は上端部に、半径方向外側に突起し、ハウジング2の上部開口を囲むフランジ15を備えている。
【0012】
側壁61内には図1、図2によればハウジング2の右側に斜め外側に延在する張出し部があり、これはほぼノズル状に斜め外側に延びる側壁領域28によって囲まれている。この張出し部によって充填室3が形成され、該充填室は、ハウジング2の上部開口に接続され、それを通って血液をハウジング2に充填可能な側部の開口領域29を形成している。開口領域29を通して充填された血液はハウジング2の床壁60の方向に下方に流れ、床壁60の前の貯蔵室8内に蓄積される。
【0013】
ハウジング2の、好適には充填室3と対向する他方の側面領域ではハウジング2の側壁は好適には方形の別の張出し部を備え、これは図1、図2、図3に示すように側壁領域63、64、65によって形成されている。その際に側壁領域63は、ハウジング2の縦方向に延在し、ハウジング2の上部の1/3の長さに延びるスリット状の開口部14を備えている。これらの別の張出し部63〜65とスリット状の開口部14の機能は後に詳述する。
【0014】
ハウジング2の内部には管状シリンダ4があり、これは上部開放端に、管状ハウジング2の上縁部に支持された半径方向外側に突起した管状フランジを有している。シリンダ4とハウジングとは好適には円形の断面をそれぞれ備えている。シリンダ4は下端部が床壁66によって閉鎖されており、この床壁は、貯蔵室8内に突入し、ハウジング2の床壁60の直前で終端している吸引管6と公知の方法で連結されている。吸引管6はシリンダ4の床壁66内に配設された開口部67と作用的に連通され、この開口部もアパーチャ7を介してシリンダ内部と連通している。その際にアパーチャ7を開口部67内に密閉的に嵌込まれたアパーチャ・ホルダ71内に配設することができる。床壁66は好適には、開口部67の延長部を形成し、床壁60とは反対側の吸引管6の端部に密閉的に嵌込まれた、開口部67に隣接した環状突起部68を有している。
【0015】
吸引管6は特定の測定目的のために極めて小さい直径を有することができるので、血管と類似した毛管を形成できることに留意されたい。
【0016】
シリンダ4の内部には矢印70の方向、すなわちハウジング2の縦方向に移動可能なピストン5があり、好適にはこれも円形の断面を有するピストン5の外壁はシリンダ4の内壁に対して密閉されている。ピストン5の直径は、ピストン外壁とシリンダ4の内壁との間に比較的小さいスリット72ができるような寸法である。ピストン5は好適には中空に形成され、下端部は床壁73によって閉鎖されている。
【0017】
ピストン5とシリンダ4との間のスリット72に対応する空間はシリンダ4の上端部で、好適にはシリンダ4のフランジ17の領域に配設され、後に詳述する態様で前記空間内の圧力を測定する役割を果たす開口部16と連通している。
【0018】
ピストン5の床壁73の、シリンダ4の床壁66とは反対側には後に詳述する態様でピストン5を矢印70の方向に移動するための引張り棒(図1には図示せず)と機械的に連結可能な連結部34がある。
【0019】
以下に上記の攪拌装置10、11、12、13を詳細に説明するが、これらは基本的に好適には円板状に形成された下部攪拌部11と攪拌棒10とからなっており、この攪拌棒はハウジング2の縦方向に張出し部63、64、65内に延び、上端部にはスリット状開口部14を通して側壁領域63を越えて外側に突起した、攪拌棒10を矢印70と平行な方向に上下移動可能にする突出部13を備えている。攪拌部11は好適にはハウジング2の縦方向に延在し、毛細管6がそれを貫いて延びる貫通口12をほぼ中央部に設けている。このようにして、後に詳述するように、攪拌部11は貯蔵室8内に貯蔵された血液を混ぜ合わせるために攪拌棒10の運動によって貯蔵室8内で矢印70の方向に上下移動される。
【0020】
シリンダ4は床壁76の縁部領域でハウジング2内に形成されたショルダ75を備え、ハウジング2と固定連結されている。
【0021】
ピストン5をシリンダ4内でできるだけ精確かつ遊びがないように案内するため、好適にはシリンダ4の内壁周囲に均等に配分され、それぞれが縦方向に延びたウエブ76を備え、これはシリンダ4の内壁から発してピストン5の外壁方向に延在しており、各ウエブ76は好適にはピストン5の外壁に支承された先端部77を形成している。あるいは、ウエブをピストンにも備え、その場合はシリンダに支承することも可能である。
【0022】
ピストン5がシリンダ4に対して図1に概略的に示した環状パッキン・アセンブリ18によって密閉されていることは既に述べたとおりである。以下に図4、図5、図6を参照して様々なパッキン・アセンブリ18−1、18−2、18−3を説明する。
【0023】
図4によればパッキン・アセンブリ18−1はフランジ17の内側溝17−1またはピストン4の上縁部に配置されたOリングパッキンの形態を備えている。
【0024】
図5にはパッキン・アセンブリ18−2がいわゆる二重方式で比較的硬質の材料からなるフランジ17の上面、またはピストン4の上縁の上面に形成された軟質材料からなる、例えば黒鉛と合金されたシリコーン材料からなるパッキン部品である実施形態が示されている。二重方式の場合、ピストン4はフランジ17およびパッキン・アセンブリ18−2と同じ加工工程で製造される。
【0025】
図6に記載のように、パッキン・アセンブリ18−3はピストン4またはフランジ17の材料からなる、フランジ17の内面に形成された環状パッキン・リップの形態を有することも考えられる。
【0026】
本発明の重要な利点は、これまで説明してきた装置1は一回性または使い捨ての部品の形態を有することであることに留意されたい。この装置は、測定を実施する際に、各装置が測定の実施のために一回しか使用されないので洗浄動作が不要であるという利点がある。したがって洗浄動作の不備による汚れを避けることができる。
【0027】
好適には射出成形方式で製造される装置1の材料としては特にポリエチレンが適している。
【0028】
以下に装置1で測定を実施するための測定機構80をより詳細に説明する。
【0029】
測定機構80はフレームまたはハウジング体20またはその類似部品内に装置1を収容するための収容室21を備えており、この収容室21は好適には装置1の外郭と相補形に形成されているので、装置を自動的に収容室21の適正位置に嵌め込むことができる。したがって収容室21も張出し部28や63、64、65用の収容領域を有している。
【0030】
測定機構80は異なる4つの駆動装置、すなわちピストン5と連結可能な引張り棒32を移動させるための第1の駆動装置33と、攪拌装置10から13を移動させるための第2の駆動装置23と、圧力センサSを移動させ、または位置合わせするための第3の駆動装置25と、キャリッジ部26を移動させるための第4の駆動装置27とを含んでいる。その際にキャリッジ部26と第1の駆動装置33さらに該駆動装置によって作動可能な引張り棒32は、第4の駆動装置27によって引張り棒32がピストン5と機械的に連結可能である測定位置と、ピストン5と引張り棒32とが上方に移動し、互いに離脱され、装置1を収容室21から取出し可能である解放位置とに移動可能である。
【0031】
キャリッジ部26は第4の駆動装置27によって好適には矢印28の方向に水平に前記測定位置と解放位置との間を移動可能である。キャリッジ部26はフォーク部30を備えており、この部分は収容室21内にある装置1を介して、特に図7aに示されているフォーク部82の内縁部がシリンダ4のフランジ17の上面に支承されるように移動されるので、後に詳述するように測定位置でピストン5が引張り棒32の移動によってフォーク部82で囲まれた切り欠き部を通って上方に引っ張られると、シリンダ4の上方移動が効果的に防止される。測定位置では、引張り棒32とピストン5の軸は互いに位置合わせされるので、後により詳細に説明するように、引張り棒32の上方移動によって引張り棒32は連結装置34内でピストン5と自動的に連結される。
【0032】
収容室21内に嵌込まれると装置1は、上記の開口部16が駆動装置25によって移動される圧力センサSの矢印83で示した移動方向に自動的に位置合わせされるように回動不能に固定されるので、駆動装置25と共にセンサSはシリンダ4とピストン5との間の空間内の圧力を測定するために完全な密閉状態で開口部16内に移動可能である。
【0033】
フォーク部30のフォーク・アーム82の上方にはキャリッジ26に接した保持部84があり、これは引張り棒32を移動させるための駆動装置33として、好適には保持部84の穴85を貫いて案内された引張り棒32を矢印86の方向に上下に移動可能なステップモータ33を備えており、引張り棒32の下端部は測定位置では図7に概略的に示した連結装置34によってピストン5に機械的な連結可能であり、またはピストンから離脱可能である。
【0034】
図8a、8b、および9a、9bはこの連結装置の好適な実施形態を示す。
【0035】
図9aによれば引張り棒32の下端部には内部が中空のキャップ状の連結部50が形成され、その下側は縦方向に延びたスリットによって2つの半部に分割されている。キャップ状の連結部50によって囲まれた中空室は下端部に内向きに円錐状のテーパー領域90を備え、これはピストン5に固定された別の連結部56用の引き込み斜面の役割を果たす。内向きに斜めのテーパー円錐形領域90はほぼスリット52の長さにわたって延在する円筒形領域91に移行し、円錐形のテーパー領域90と円筒形領域91との間のほぼ移行領域にキャップ状連結部50の内壁内に配設された、好適には半円の形状を有する内側溝51が設けられている。キャップ状連結部50の中空室は円錐形のテーパー領域90とは反対側で、ピストン5の連結部の56の中心突起部55が嵌合可能な中心凹部54内で終端している。好適には円筒形領域91と中心凹部54との間の移行部には中心領域54に向かってテーパー領域53があり、この領域はピストン5の第2の連結部56の円錐形領域57と相補形に形成されている。引張り棒32の第1の連結部50がピストン5の第2の連結部56を越えて移動されると先ず、第2の連結部56の円筒形領域を越えて半径方向に突起する円形突起部58が引き込み斜面の役割を果たす円錐形領域90に達するまで、突起部55と第2の連結部56の円錐形領域57とが第1の連結部50の中空室内で嵌合する。スリット52の構造により第1の連結部50は第2の連結部56の環状突起部58が第1の連結部50の環状内側溝51内に嵌るまでの幅と長さに拡張され、そこで中心突起部55が中心凹部54内に配置され、円錐形領域53と57とが互いに接合する。
【0036】
逆の運動方向で第1の連結部50が第2の連結部56から離脱されると、キャップ状の第1の連結部50はスリット52があるため環状突起部58が内側溝51から外れるまで拡張される。そこで連結部50と56とは互いに分離される。
【0037】
図9aと9bの連結装置34の実施形態は特に図1に示した装置1に適していることに留意されたい。
【0038】
以下に図10を参照して、シリンダ50、アパーチャ・ホルダ52、吸引管53が図1の実施形態に対応して形成されている、本装置1のピストン/シリンダ構造の別の実施形態を説明する。シリンダ50の内部では基本的にピストン部51の周囲と一体のパッキン・リップ55を有するピストン部51を備えたピストン54が移動可能であり、ピストン54のアパーチャ52とは反対側のピストン部51には概略的に示した連結装置34を介して引張り棒32と連結可能な突出部80が形成されている。この実施形態の利点はピストン54が一体に形成されたパッキン・リップ55を有する特に簡単な構造であることにある。ピストン54とシリンダ50との間の空間内の圧力を測定できるようにするため、ピストン部51と突出部80とを貫いて、また連結装置34を越えて、かつ引張り棒32を貫いて穴82が延在し、これは図10では点線で示され、圧力センサと気密閉的に連結可能な開口部53内で終端している。
【0039】
ここで図8a、図8bを参照して、特に図10のピストン/シリンダ構造の実施形態に適した連結装置34を説明する。この場合、突出部80内に円筒形の中空室39が配置され、突出部80は端部領域で縦方向に延びるスリット40によって好適には2つの半部に分割されている。円筒形の中空室39は棒状部32側の端部で円錐形に拡張された開口領域42に移行しており、この領域の前には好適には半円の断面を有する環状の内側溝41が備えられている。
【0040】
引張り棒32の端部にはピストン54の突出部80側の端部領域に引き込み斜面としての役割を果たす円錐形のテーパーの端部37を有する突起部35が備えられている。円錐形のテーパー領域37の後部には、好適には突出部35の環状凹部内に着座する環状パッキン36が配置されている。縦方向にはパッキン・アセンブリ36から離隔して突出部35には突起部80の内側溝41と相補形に形成された環状突起44がある。引張り棒32がピストン54の方向に移動されると、先ずパッキン36を有する突出部35の前端領域が突起部80の円筒形中空室39内に到達し、その際の円錐領域37、42は引き込み斜面の役割を果たす。それ以上に移動されると、突出部35は環状突起44が引き込み斜面の役割を果たす領域42を越えて円筒形中空室39に到達するまで円筒形中空室39内に押し込まれ、その際にスリット40によって分割された突起部80の端部領域は環状突起44が内側溝41内に嵌合するまで弾性拡張される。次にパッキン36によって突出部35と突起部38との密閉連結が行われる。
【0041】
ピストン54が固定位置に留まっている場合に棒状部32が逆方向に移動すると、突起部80の端部領域はスリット40の構造により弾性拡張され、棒状部32をピストン54から分離するために突出部35の環状突起44は突起部80の内側溝41から外れることが可能になる。一方では棒状部32内と突出部35内に、他方では突起部80と連結部51内に位置する、図10に関連して前述した穴82の領域は、棒状部32がピストン54に連結されると円筒体39内のパッキン36の構造によって互いに密閉連結される。
【0042】
以下に図7を参照して使い捨て部品として形成された装置1を使用した測定の実施をより詳細に説明する。
【0043】
先ずキャリッジ部26が解放位置にある場合、すなわち図7では駆動装置27によって左側に移動されてフォーク・アーム82が収容室21を解放すると、装置1がハウジング体20の収容室21内に嵌込まれる。(図7a)
【0044】
引き続き、装置1のシリンダ4がフォーク・アーム82によって縦方向、すなわち上方への移動に抗して固定されるように、キャリッジ部26が矢印28の方向に測定位置に、すなわち図7、図7aでは右方向に移動されるように駆動装置27が作動される。これは図7aでは点線Lで示されている。
【0045】
引き続き、血液が開口領域29と充填室3を通って装置1内に充填され、血液は次に装置1の貯蔵室8内に流入する。
【0046】
駆動装置25を作動させることによって、ピストン5とシリンダ4との間の空間内の圧力を測定するため、圧力センサSが開口部16と密閉連結される。
【0047】
駆動装置33によって引張り棒32は、連結装置34が引張り棒32とピストン5との機械的連結を自動的に確立するまで下方に移動させられる。
【0048】
引き続いて、駆動装置33の動作によって測定を実施するため引張り棒32が上方に移動させられ、その際に血液は吸引管6を介して貯蔵室8からアパーチャ7を通って吸引される。ピストン5とシリンダ4との間の空間内の圧力がアパーチャ7の閉塞または詰まりの尺度としてセンサSを使用して継続的に測定される。
【0049】
駆動装置23の動作によって攪拌棒10は継続的に矢印24の方向で装置1の縦方向に往復移動させられ、貯蔵室8内にある血液は攪拌部11の移動によって継続的に混ぜ合わされ、移動状態に保たれる。ハウジング体20内には全測定工程中に貯蔵室8内にある血液を所定の温度に保つ温度計が備えられることに留意されたい。
【0050】
測定工程の終了時に、ピストン5は引張り棒32による駆動装置33の動作によって、キャリッジ部2のストッパ部31に当接するまで上方に移動され、その際に引張り棒32が上方にさらに移動されると連結装置34が解除されるので、ピストン5は引張り棒32から自動的に分離される。
【0051】
次に駆動装置37の動作によってキャリッジ部26が解放位置に移動して、シリンダ4の上縁部が解放され、装置1を収容室21から取り出すことができる。(図7a)
【0052】
一般に、本発明はハウジング2内に配置されていて、測定用の血液をそこから取り出し、アパーチャ7を通して搬送可能である貯蔵室8を有する、一次止血の血小板機能、血液の凝集および/または凝固および/または粘性を測定するための流過装置に関するものである。貯蔵室8内には攪拌装置が備えられ、該攪拌装置はその攪拌部11が測定中に貯蔵室8内にある血液を混合し、流動状態に保つように移動可能である。
【0053】
攪拌部11は血液溜めの領域では、すなわち貯蔵室8内では周囲壁の固定面などとは接触しないことが特に有利である。それによって、血液細胞またはその他の血液成分が損傷または圧搾されることを防止できる。すなわちその際に、測定結果にエラーが生ずる可能性がある物質の不要な配分が生ずることがあるからである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】血液の凝集および/または凝固および/または粘性を検査するための本発明のよる装置の好適な実施形態の部分断面側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った本発明による装置の断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った本発明による装置の断面図である。
【図4】本発明による装置のピストンとシリンダとの間を密閉する様々な可能性を示した図面である。
【図5】本発明による装置のピストンとシリンダとの間を密閉する様々な可能性を示した図面である。
【図6】本発明による装置のピストンとシリンダとの間を密閉する様々な可能性を示した図面である。
【図7】測定機構が、ピストンの引張り棒を移動させるための駆動装置と、攪拌装置を移動させるための駆動装置と、圧力センサSを位置合わせするための駆動装置と、キャリッジ部を測定位置または解放位置に移動させることによって、本発明による装置を測定機構内に錠止し、解放するための駆動装置とを備えた、測定機構内に配置された本発明による装置を示した図面である。
【図7a】フォーク部が解放位置にあり、測定位置が点線で概略的に示されているキャリッジ部のフォーク部の上面図である。
【図8a】本発明による装置のピストンと引張り棒との連結部の好適な実施形態を示す図面である。
【図8b】本発明による装置のピストンと引張り棒との連結部の好適な実施形態を示す図面である。
【図9a】本発明による装置のピストンと引張り棒との連結部の別の好適な実施形態を示す図面である。
【図9b】本発明による装置のピストンと引張り棒との連結部の別の好適な実施形態を示す図面である。
【図10】本発明の装置のピストン/シリンダ機構の別の好適な実施形態を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)内に配置されていて、測定用の血液をそこから取り出し、アパーチャ(7)を通して搬送可能である貯蔵室(8)を有する、一次止血の血小板機能、血液の凝集および/または凝固および/または粘性を測定するための流過装置であって、
前記貯蔵室(8)内には攪拌装置(10、11、12、13)が備えられ、該攪拌装置(10、11、12、13)はその攪拌部(11)が測定中に前記貯蔵室(8)内にある血液を混合し、流動状態に保つように移動可能であることを特徴とする流過装置。
【請求項2】
前記ハウジング(2)は内部にピストン(5)が配置されたシリンダ(4)を備え、該シリンダ(4)の床壁内には前記ピストン(5)の対応する移動時に血液が前記貯蔵室(8)から流過するアパーチャ(7)が配設されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジング(2)は血液を前記ハウジングの前記貯蔵室(8)内に充填可能な開口領域(29)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記開口領域(29)は外側に向かって斜めにノズル状に延在する、前記ハウジング(2)の側壁領域(28)によって囲まれた前記ハウジング(2)の張出し部の形状を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記貯蔵室(8)内にある前記攪拌装置の前記攪拌部(11)は、前記ハウジング(2)の縦方向に延び、駆動装置(23)によって前記ハウジング(2)の縦方向に移動可能な攪拌棒(10)に取り付けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記攪拌部(11)は円板の形状を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記攪拌部(11)は前記ハウジング(2)の縦方向に対してほぼ垂直に延在することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記棒状部(10)は前記攪拌部(11)とは反対側に、前記ハウジング(2)の縦方向を貫いて半径方向に延び、スリット状の開口部(14)から外側に突起した突出部(13)を備え、該突出部は前記駆動装置によって、前記攪拌部(11)が前記貯蔵室内で前記ハウジング(2)の縦方向に往復移動可能であるように移動可能であることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジング(2)は、該ハウジング(2)の縦方向に延び、前記貯蔵室(8)内に開かれた別の張出し部(63から65)を備え、該別の張出し部(63から65)の内部には前記貯蔵室(8)の領域内に棒状部が配置され、かつ前記張出し部(63から65)内には前記貯蔵室(8)の上方に前記スリット状開口部(14)が配設されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記別の張出し部(63から65)は方形の断面を有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記別の張出し部(63から65)は前記開口領域(29)を形成する前記張出し部と対向して配置されることを特徴とする請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記アパーチャ(7)には前記貯蔵室(8)内に延びる吸引管(6)または毛細管が接続され、血液を前記貯蔵室(8)から前記吸引管(6)または毛細管を通って前記アパーチャ(7)へ搬送可能であることを特徴とする請求項6から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記吸引管(6)または毛細管は前記円形部の前記開口部(12)を貫いて延在することを特徴とする請求項6から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
使い捨て部品として形成されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記攪拌装置(10、11、12、13)は前記貯蔵室(8)の血液溜めの領域では前記貯蔵室(8)の周囲壁の固定面とは接触しないので、血液細胞またはその他の血液成分が圧搾され、その際に測定結果にエラーを生ずる可能性がある物質が不要に血液内に混入することが防止されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記攪拌装置の前記攪拌部(11)は無接触で前記貯蔵室内に支承され、かつ移動可能であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記攪拌装置の前記棒状部(10)は無接触で前記別の張出し部(63から65)内に支承され、かつ移動可能であることを特徴とする請求項15または16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7a】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−522460(P2007−522460A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552456(P2006−552456)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000196
【国際公開番号】WO2005/075985
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506272932)ブイディジイ−フォン・デア・ゴルツ・ゲーエムベーハー (3)
【出願人】(504416747)
【Fターム(参考)】