説明

一貫したコポリエーテルグリコールの製造法

本発明は、テトラヒドロフランおよび少なくとも1種のアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物を、酸触媒および反応性水素原子を含有する少なくとも1種の化合物の存在下で重合することにより、強化された物理特性を有するコポリエーテルグリコールを製造するための加工操作性が強化された改善された完全に一貫した連続法に関する。本方法により製造されるコポリエーテルグリコールは、増加したアルキレンオキシド包含量、平均分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、色、オリゴマー状環状エーテル含量、および最高約400ダルトンの平均分子量を有する直線状の短鎖グリコール含量の強化された物理特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、2009年12月17日に出願された特許文献1の優先権を主張する。本出願は参照により特許文献1を全部編入する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、テトラヒドロフラン(THF)および少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシド(AO)を含んでなる反応混合物を、酸触媒および反応性水素原子を含有する少なくとも1種の化合物の存在下で重合することによりコポリエーテルグリコールを製造するための改善された完全に一貫した連続法に関する。より詳細には、本発明は、約25モル%から約55モル%のアルキレンオキシドのモル包含量(molar
incorporation)、約650ダルトンから約3500ダルトンの数平均分子量、約1.5から約2.6の多分散性、低い結晶度、すなわち室温未満の大変低い融点、例えば約−20℃から約10℃未満、分子量およびコポリマー比に依存して40℃で約200cPから約3000cPの低粘度、0から約50APHAの低色(low color)、例えば約5から約25APHA、および約0.05重量%から約3.0重量%の低OCE含量を有するランダムコポリエーテルグリコールを製造するために、加工操作性(process operability)が強化された完全に一貫した連続法に関する。さらに本発明は、最適なアルキレンオキシドの包含量、分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、着色、オリゴマー状環状エーテル(OCE)含量、および低分子量(例えば最高約400ダルトンの平均分子量)の、直線状の短鎖グリコール含量の、強化された物理特性を有するこのようなランダムコポリエーテルグリコールに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)としても知られているTHFのホモポリマーは、ポリウレタンおよび他のエラストマーでソフトセグメントとしての用途が周知である。これらのホモポリマーはポリウレタンエラストマー、繊維および他の最終生成物の形状に優れた機械的および動的特性を付与する。THFと少なくとも1種の他の環状エ−テルとのランダムコポリマーはコポリエーテルグリコールとしても知られており、同様の応用、特に第二の環状エーテルの包含により付与される低下した結晶度が、ソフトセグメントとしてそのようなコポリマーを含むポリウレタンの特定の動的特性を改善することができる場合にその用途が知られている。他の環状エーテルの中で、この目的に使用されるものはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。アルキレンオキシドのより高いモル包含量を有するコポリエーテルグリコールは、より高い孔性および親水性、ならびに改善された動的特性、例えば低温可とう性に望ましい。またより低い結晶度を有するコポリエーテルグリコールは、ソフトセグメントとしてそのようなコポリマーを含むポリウレタンおよび他のエラストマーの製造の使用にも望ましい。
【0004】
通常のモル包含量のアルキレンオキシドを有するTHFと他の環状エーテルとのコポリマーは当該技術分野では周知である。それらの調製は例えばPruckmayrにより特許文献2および特許文献3に開示されている。そのようなコポリマーは、例えばP.Dreyfussにより「ポリテトラヒドロフラン」(Gordon & Breach,N.Y.1982)に記載されている既知の環状エーテル重合法により調製することができる。そのような重合法は強いブレンステッド酸またはルイス酸による、例えばヘテロポリ酸による、ならびにペルフルオロスルホン酸または酸樹脂またはBFなどによる触媒作用を含む。場合により、特許文献4に開示されているような無水カルボン酸のような重合促進剤を使用することが有利かもしれない。これらの場合では、主要なポリマー生成物がジエステルであり、これは所望の最終生成物であるポリエーテルグリコールを得るために
続く行程で加水分解される必要がある。
【0005】
通常のモル包含量のアルキレンオキシドを有するコポリエーテルグリコールを製造するための他の方法は、例えば特許文献5、6、7および8、ならびに公開された特許文献9および10に示されているように当該技術分野で知られている。例えば特許文献7は、THFと1,2−アルキレンオキシドを、反応性水素を含有する化合物および固定床粘土触媒の存在下で重合する方法を開示し、ここで30重量%未満の1,2−アルキレンオキシドおよびTHFの混合物、および反応性水素含有化合物が反応混合物に加えられ、これは次いで反応器に再循環される。特許文献11は、漂白土(bleaching earth)またはゼオライト触媒上に反応性水素を含有する化合物の存在下、1,2−アルキレンオキシドを用いたそのような重合バッチ様式を開示し、この1,2−アルキレンオキシドは反応混合物に反応混合物中の1,2−アルキレンオキシド濃度が重合中2重量%未満に維持されるように供給される。特許文献12は、そこに開示される方法により再生されたモンモリロナイト触媒が使用される場合のTHFとエチレンオキシドとの重合を開示する。特許文献5はTHFとアルキレンオキシドに基づくコポリエーテルグリコールが生産法により変動することを開示する。特許文献13は、供給原料成分として標準濃度のアルキレンオキシドを使用する重合法で製造された標準的なモル包含量のアルキレンオキシドを有するコポリエーテルグリコールを精製するために、希釈剤または溶媒の使用を開示する。
【0006】
特許文献8は、反応性水素および漂白土触媒を含むTHFと1,2−アルキレンオキシドとの共重合により得られるコポリエーテルグリコール中に生成されるOCEのレベルを減らす方法を記載する。このOCE減少法は、最初にコポリマーを酸素または酸素含有ガスで20℃から100℃の温度で処理する。次いでコポリマー混合物は減圧下、200℃より高温で蒸留され、OCEおよび蒸留物中でOCEを随伴する直線状の短鎖コポリエーテルグリコールを単離する。この工程では、存在するOCEおよび随伴する直線状の短鎖コポリエーテルグリコールの双方が原料の損失を表す。コポリマー生成物は生(live)ポリマー(すなわちさらなる重合または脱重合に供される)なので、ポリマーを酸触媒部位の存在下で高温に供することは、1,4−ジオキサン(DEO)、THFおよび他の副産物への脱重合につながる。特に形成されるTHFは大変低い真空状態の関与を維持することを難しくする蒸気を生成するので精製法には有害である。
【0007】
特許文献14は酸性触媒が漂白土、例えばモンモリロナイト粘土である方法を開示する。実施例では共重合が固定床またはバッチ反応器のいずれかで行うことができることを示す。特許文献15は、前記特許文献14に示す実施例と比較して、修飾粘土触媒が最終生成物混合物中のOCE含量を減少させると言われる連続法を記載する。
【0008】
特許文献16はTHFと1もしくは複数のアルキレンオキシドとを固体酸触媒およびカルボン酸と無水カルボン酸からなる分子量制御剤(MWCA)の存在下で重合することによりポリテトラメチレンエーテルのジエステルを製造する方法を記載する。達成される反応器の温度制御が選択した減圧下での操作に有利となる。利用できる未反応THFを蒸発させることにより、発熱反応熱を補償するのに十分な冷却が提供され、蒸気は冷却器中で冷却され、そして反応器に凝縮液として戻す。この熱除去法は蒸発冷却と呼ばれる。次いでポリテトラメチレンエーテル(PTMEA)のジアセテートは、続く方法の工程でポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)に転換される。
【0009】
特許文献17は、PTMEGまたはTHFとアルキレンオキシドのコポリマー中の平均分子量200から450のOCEレベルを、炭化水素共溶媒を用いた水性抽出法を使用することにより減少させる方法を記載する。水性および炭化水素相は一緒に混合され、そしてPTMEGまたはコポリマーが水性相から集められ、そしてOCEが炭化水素相から集
められる。PTMEGまたはコポリマーおよびOCEはそれらの個々の相から溶媒の蒸発により精製される。相を接触させ、そして分離するために、そして生成物および溶媒相を回収するために要する装置は、大量の溶媒流を蒸発するために費やす莫大なエネルギーにより操作が複雑でしかも経費がかかる。炭化水素相に分配され得るいくらかのPTMEGまたはコポリマーを含む集められたOCEは、この方法に関する原料収量の損失を表す。
【0010】
上記公報のいずれも、テトラヒドロフランおよび少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物を、酸触媒および反応性水素原子を含有する少なくとも1種の化合物の存在下で重合することにより、強化された物理特性を有するコポリエーテルグリコールを製造するための加工操作性が強化された完全に一貫した連続法を教示していない。上記公報のいずれも、増加したアルキレンオキシド包含量、より広範囲の平均分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、着色およびオリゴマー状環状エーテル(OCE)含量の、強化された物理特性を有するコポリエーテルグリコールを教示していない。強化された物理特性を有するコポリエーテルグリコールを生産するために、上記公報の方法を調整することにより複雑さ、加工の限界および/または製造工程の経費が加わる。例えば特許文献16に記載されている方法に比べ、本発明の利点は生成されるポリマーが低い投資コストで一回の反応工程で生成される点にある。コポリマー中の高いアルキレンオキシド含量は高い変換を導き、そして粗生成物の混合物に粘度の上昇を生じ、次いでこれは不均一(heterogeneous)触媒が使用される場合に触媒の保持を大変難しくすることはよく認識されている。したがって実質的により高い発熱性の共重合により、工業的規模の装置、例えば連続的に撹拌するタンク反応器(CSTR)の方法で反応器温度を維持することは難しくなる。以前の特許で言及されている固体酸触媒のほとんど、例えば漂白土、モンモリロナイト粘土などは、CSTR法で使用される場合に、莫大な量の摩減を受ける。エチレンオキシド(EO)とTHFが関与する共重合反応の熱は、反応する約6kcal/gmモルのTHFに加えて、反応する約23kcal/gmモルのEOの反応熱を含む。すなわち実質的により多くの冷却負荷(cooling load)が必要となる。したがって強化された物理的特性を有するコポリエーテルグリコールを生成するために、テトラヒドロフランおよび少なくとも1種の他のアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物の、酸触媒および反応性水素原子を含有する少なくとも1種の化合物の存在下での簡便で経済的な一貫した連続共重合法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/287,576号明細書
【特許文献2】米国特許第4,139,567号明細書
【特許文献3】米国特許第4,153,786号明細書
【特許文献4】米国特許第4,163,115号明細書
【特許文献5】米国特許第4,192,943号明細書
【特許文献6】米国特許第4,228,272号明細書
【特許文献7】米国特許第4,564,671号明細書
【特許文献8】米国特許第4,585,592号明細書
【特許文献9】国際公開第03/076453号パンフレット
【特許文献10】国際公開第03/076494号パンフレット
【特許文献11】米国特許第4,728,722号明細書
【特許文献12】米国特許第5,268,345号明細書
【特許文献13】米国特許第4,677,231号明細書
【特許文献14】英国特許第854958号明細書
【特許文献15】米国特許第4,127,513号明細書
【特許文献16】米国特許第5,962,727号明細書
【特許文献17】米国特許第4,638,097号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明は、増加したアルキレンオキシド包含量、より広範囲の平均分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、着色およびOCE含量、および低分子量、例えば最高約400ダルトンの平均分子量の直線状の短鎖グリコール含量の、強化された物理特性を有するコポリエーテルグリコールを製造するために、THFおよびアルキレンオキシドの簡便で経済的な完全に一貫した連続重合法を提供し、この方法はそのような方法で通常は遭遇する問題を最少にし、または回避する。この方法の一態様は:
a)約10.0から約95.9部の全テトラヒドロフラン(THF)および約4.0から約50.0部の全アルキレンオキシド(AO)を含んでなる供給混合物を調製し;
b)工程a)の供給混合物を、反応器が約2部から約15部の耐摩耗性固体酸触媒、反応性水素原子を含有する化合物を含んでなる約0.1から約5部の分子量制御剤(MWCA)、0から約10部の低分子量オリゴマー(LMWO)、0から約30部のオリゴマー状環状エーテル(OCE)、および0から約75部の再循環THFを含むように、重合反応器、例えばCSTRに供給し、これによりAOに基づく重合反応器混合物成分の重量比が;
THF/AO=1.7〜24.0
MWCA/AO=0.01〜2.0
LMWO/AO=0〜2.5
OCE/AO=0〜7.5となり;
c)工程b)の重合反応器中の工程a)の供給混合物を、約40℃から約80℃の温度、例えば約50℃から約75℃、および約100から10,000mmHgのような反応物を液相に維持するために十分な反応器圧、例えば約250から約700mmHgで、反応器中で約1.0から約10.0時間の有効平均保圧時間重合して、(1)約25モル%から約55モル%のアルキレンオキシド、約650ダルトンから約3500ダルトンの数平均分子量、約1.5から約2.6の多分散性、室温未満(すなわち23℃未満)、例えば約−20℃から約10℃未満の低融点に反映される低い結晶度、40℃で約200cPから約3000cPの低粘度、0APHAから約50APHA、例えば約5APHAから約25APHAの低着色、約0.05重量%から約3重量%、例えば約0.1重量%から約1.0重量%の低OCE含量を有するコポリエーテルグリコール、(2)OCE、(3)AOの少なくとも1種のダイマー、(4)直線状の短鎖コポリエーテルグリコール、および(5)未反応AO、THFおよびMWCAを含んでなる重合生成物の混合物を生成し:d)工程c)の重合生成物の混合物を回収し;
e)1もしくは複数の工程を含んでなるストリッピング手段により、工程d)の重合生成物の混合物から粗コポリエーテルグリコール組成物を分離し;
f)工程e)の粗コポリエーテルグリコール組成物を濾過して高分子量の固体を除去し、コポリエーテルグリコール組成物、OCE、AOの少なくとも1種のダイマー、直線状の短鎖コポリエーテルグリコールおよびテトラヒドロフランを含んでなる濾液を提供し;
g)工程f)の濾液を真空蒸留により蒸留して、コポリエーテルグリコール組成物の生成物流、およびOCEおよび短鎖コポリエーテルグリコールを含んでなる流れを形成し;そして
h)工程g)からコポリエーテルグリコール組成物の生成物を回収する
工程を含んでなる。
【0013】
ゆえに本発明は、増加したエチレンオキシド包含量、より広範囲の平均分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、色およびOCE含量を有する強化された物理的特性を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール(poly(tetramethylene−co−ethyleneether)glycol)を製造するための完全に一貫した連続法を提供する。
【0014】
したがって本発明の別の態様は:
a’)約10.0から約95.9部の全テトラヒドロフラン(THF)および約4.0から約50.0部の全エチレンオキシド(EO)を含んでなる供給混合物を調製し;
b’)工程a)の供給混合物を、反応器が約2部から約15部の耐摩耗性固体酸触媒、反応性水素原子を含有する化合物を含んでなる約0.1から約5部の分子量制御剤(MWCA)、0から約10部の低分子量オリゴマー(LMWO)、0から約30部のオリゴマー状環状エーテル(OCE)、および0から約75部の再循環THFを含むように重合反応器、例えばCSTRに供給し、これによりEOに基づく重合反応器混合物成分の重量比が;
THF/EO=1.7〜24.0
MWCA/EO=0.01〜2.0
LMWO/EO=0〜2.5
OCE/EO=0〜7.5となり;
c’)工程b)の重合反応器中の工程a)の供給混合物を、約40℃から約80℃の温度、例えば約50℃から約75℃、および約100から10,000mmHgのような反応物を液相に維持するために十分な反応器圧、例えば約250から約700mmHgで反応器中に約1.0から約10.0時間の有効平均保圧時間重合して、(1)約25モル%から約55モル%のエチレンオキシド、約650ダルトンから約3500ダルトンの数平均分子量、約1.5から約2.6の多分散性、室温未満(すなわち23℃未満)、例えば約−20℃から約10℃未満の低融点に反映される低い結晶度、40℃で約200cPから約3000cPの低粘度、0APHAから約50APHA、例えば約5APHAから約25APHAの低着色、約0.05重量%から約3重量%、例えば約0.1重量%から約1.0重量%の低いOCE含量を有するコポリエーテルグリコール、(2)OCE、(3)EOの少なくとも1種のダイマー、(4)直線状の短鎖コポリエーテルグリコール、および(5)未反応EO、THFおよびMWCAを含んでなる重合生成物の混合物を生成し:d’)工程c’)の重合生成物の混合物を、大部分の未反応EO、THFおよびMWCA、EOのダイマー、および例えばアセトアルデヒド、2−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等のような他の揮発性副産物を含んでなる副産物混合物、およびOCE、コポリエーテルグリコールおよび直線状の短鎖コポリエーテルグリコールを含んでなる粗生成物の混合物に分離し;
e’)例えば蒸留により工程d’)の副産物混合物からTHFを分離し、そして場合により少なくとも一部の分離したTHFを工程b’)の重合反応器に再循環させ;
f’)工程d’)の粗生成物混合物を濾過して、高分子量不純物、例えばポリエチレンオキシドエーテルグリコール(PEG)のような任意の固体含有物および微細触媒粒子を除去して、濾過した粗生成物混合物を生成し;
g’)工程f’)の濾過した粗生成物の混合物を高い真空および高温下で行う短経路型蒸留(SPD)ユニットを使用して分離して、ほとんどのOCEおよび直線状の短鎖コポリエーテルグリコールを含んでなるOCE流、およびコポリエーテルグリコールを含んでなる最終生成物流を生成し;そして
h’)場合により工程g’)のOCE流の少なくとも一部を工程b’)の重合反応器に再循環する
工程を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
上記観点から徹底的に調査した結果、我々は最適なアルキレンオキシド包含量、分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、着色、オリゴマー状OCE含量、および低分子量、例えば最高約400ダルトン、例えば最高約280ダルトンの平均分子量の直線状の短鎖グリコール含量の、強化された物理特性を有するコポリエーテルグリコールを製造
するために、加工操作性が強化された改善され完全に一貫した連続法を見い出した。
【0016】
本発明の一態様では、この方法は約10.0から約95.9部の全テトラヒドロフラン(THF)および約4.0から約50.0部の全アルキレンオキシド(AO)を含んでなる供給混合物を調製し、続いて供給混合物を、約0.1から約約5.0部の分子量制御剤(MWCA)と一緒に重合反応器に供給することを含んでなり、重合反応器は約2.0から約15.0部の耐摩耗性固体酸触媒を含有する。
【0017】
別の態様では、この方法は供給混合物を重合反応器中で約40℃から約80℃の温度、例えば約50℃から約75℃で、そして約100から約10,000mmHgの反応器圧、例えば約250から約700mmHgで、1.0から10.0時間の有効平均保圧時間にわたり反応器内で重合して、(1)約25モル%から約55モル%のアルキレンオキシド、約650ダルトンから約3500ダルトンの数平均分子量、約1.5から約2.6の多分散性、室温未満(すなわち23℃未満)、例えば約−20℃から約10℃未満の低融点に反映される低い結晶度、40℃で約200cPから約3000cPの低粘度、0APHAから約50APHA、例えば約5APHAから約25APHAの低着色、約0.05重量%から約3.0重量%、例えば約0.1重量%から約1.0重量%の低OCE含量を有するコポリエーテルグリコール組成物、(2)OCE、(3)アルキレンオキシドの少なくとも1種のダイマー、例えば1,4−ジオキサン、(4)直線状の短鎖コポリエーテルグリコール、および(5)未反応アルキレンオキシド、THFおよびMWCAを含んでなる重合生成物の混合物を生成し、続いて重合生成物の混合物からコポリエーテルグリコール組成物を回収することを含んでなる。
【0018】
さらに本発明の別の態様では、重合生成物の混合物から分離された粗生成物の混合物中に存在する未反応アルキレンオキシド、THFおよびMWCA、アルキレンオキシドのダイマー、およびアセトアルデヒド、2−メチル−1,3−ジオキソラン等のような低沸騰成分が蒸留により取り出され、そしてコポリエーテルグリコール画分は、例えば任意の固体またはゲル型の不純物を濾過して除いた後さらに短経路型蒸留(SPD)により蒸留されてOCEおよび低分子量の短鎖グリコールの少なくとも一部が取り出される。この取り出されたOCE部分は場合により重合工程に再循環することができ、ここで所望によりコポリエーテルグリコール生成物に再度包含することができる。
【0019】
本明細書で使用する用語「重合」とは、外に示さない限り、「共重合」をその意味の中に含む。
【0020】
本明細書で使用する用語「PTMEG」とは、外に示さない限りポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)を意味する。またPTMEGはポリオキシブチレングリコールとしても知られている。
【0021】
本明細書で単数形で使用する用語「コポリエーテルグリコール」とは、外に示さない限りテトラヒドロフランと少なくとも1種の他のアルキレンオキシドとのコポリマーを意味し、これはまたポリオキシブチレンポリオキシアルキレングリコールとしても知られている。コポリエーテルグリコールの例は、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとのコポリマーである。このコポリエーテルグリコールはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールとしても知られている。本発明の方法で生成されるコポリマーはランダムコポリマーの性質をもつ。
【0022】
本明細書で単数形で使用する用語「直線状の短鎖コポリエーテルグリコール」とは、外に示さない限り約130ダルトンから約400ダルトンの分子量を有するコポリエーテルグリコールを意味する。直線状の短鎖コポリエーテルグリコールの例は、HOCHCH
OCHCHCHCHOHである。
【0023】
本明細書で使用する用語「THF」とは、外に示さない限りテトラヒドロフランを意味し、そしてその意味にはTHFと共重合することができるアルキル置換テトラヒドロフラン、例えば2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、および3−エチルテトラヒドロフランを含む。
【0024】
本明細書で使用する用語「アルキレンオキシド」とは、外に示さない限り2、3または4個の炭素原子をそのアルキレンオキシド環に含む化合物を意味する。アルキレンオキシドは非置換であるか、または例えば1〜6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルで、あるいは非置換であるか、または1もしくは2個の炭素原子のアルキルおよび/またはアルコキシで置換されたアリールで、あるいは塩素もしくはフッ素のようなハロゲン原子で置換されることができる。そのような化合物の例には、エチレンオキシド(EO)、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、2,2−ビス−クロロメチル−1,3−プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、ペルフルオロアルキルオキシラン、例えば(1H,1H−ペルフルオロペンチル)オキシラン、およびそれらの組み合わせがある。
【0025】
本明細書で使用する用語「分子量制御剤」(MWCA)とは、外に示さない限り反応性水素原子を含有する化合物を意味する。そのような化合物の非限定的例には、水、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、約162から約400ダルトンの分子量を有するPTMEG、約134から約400ダルトンの分子量を有するコポリエーテルグリコール、およびそれらの組み合わせがある。分子量制御剤として使用するために適するコポリエーテルグリコールの例は、約134から約400ダルトンの分子量を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールである。
【0026】
本明細書で単数形で使用する用語「オリゴマー状環状エーテル」(OCE)とは、外に示さない限り、少なくとも1種のアルキレンオキシドおよび/またはTHFから誘導される構成エーテルフラグメントを含んでなり、そして環状化合物中に無作為な様式で配列された1もしくは複数の一連の環状化合物を意味する。本明細書では単数形で使用するが、OCEはTHFおよび少なくとも1種のアルキレンオキシドの重合中に形成される環状エーテルの分布を指し、したがって連続する個々の化合物を称する。本明細書で使用するように用語OCEは重合に使用されるアルキレンオキシドコ−モノマーのダイマーは除外するが、それでもそのようなダイマーは環状エーテルの一例である。例えばアルキレンオキシドがエチレンオキシドである場合、アルキレンオキシドの2つのダイマーは、1,4−ジオキサンおよび2−メチル−1,3−ジオキソランである。用語OCEからアルキレンオキシドのダイマーを除外することにより、OCEのこの定義は従来技術で開示されるOCEの定義とは異なることになる。
【0027】
例えばEOおよびTHFの共重合の場合に、OCEは式[(CHCHO)(CHCHCHCHO)により表される開環エチレンオキシドおよび開環THF反復単位を含んでなる一連の環状オリゴマー状エーテルを含んでなる。そのようなOCE化合物の例は以下の表Aに示す。2つの異性体が分子量232で観察される。表に列挙されていない他のより高分子量OCE成分も同様に形成される。
【0028】
【表1】

【0029】
本明細書で使用する用語「多分散性」とは、これから示すように測定される本発明の方法のコポリエーテルグリコール組成物の生成物の非均一性の状態を示す。
【0030】
本発明の一態様は、THFおよびアルキレンオキシドを含んでなる供給原料を共重合するための完全に一貫した連続法であり、これは最適なアルキレンオキシド包含量、より広範囲の分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、着色、OCE含量および低分子量、例えば最高約400ダルトンの平均分子量、例えば最高約280ダルトンの直線状オリゴマー含量の、強化された物理特性を有するコポリエーテルグリコール組成物を提供する。本発明の別の態様は、THFおよびEOを含んでなる供給原料を共重合するための完全に一貫した連続法であり、これは最適なアルキレンオキシド包含量、分子量および多分散性、ならびに低下した結晶度、着色、OCE含量および低分子量、例えば最高約400ダルトン、例えば最高約280ダルトンの平均分子量の直線状オリゴマー含量の強化された物理特性を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを提供する。本発明のさらなる態様は、この方法のコポリエーテルグリコール生成物である。
【0031】
本発明の方法で反応物として使用するTHFは、市販されている任意のものでよい。一
般に、THFは約0.03重量%未満の水分量、および約0.005重量%未満のペルオキシド含量を有する。THFが不飽和化合物を含む場合、それらの濃度は本発明の重合法またはその重合生成物に悪影響を及ぼさないような濃度であるべきである。例えば幾つかの応用では、高いモル濃度のアルキレンオキシドを有する本発明のコポリエーテルグリコール生成物は、例えば約40APHA単位未満といった低いAPHA色を有することが好ましい。場合によりTHFは望ましくない副産物および色の形成を防ぐために、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような酸化阻害剤を含むことができる。本発明の完全に一貫した連続的共重合法には、BHTの存在無しに新しく調製したTHFを使用することが有利となり得る。所望により、THFと共重合することができる1もしくは複数のアルキル置換THF化合物を共反応物として、THFの約0.1から約70重量%の量で使用することができる。そのようなアルキル置換THF化合物の例には、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフランおよび3−エチルテトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせがある。適切な等級の市販THFが、一般にこの方法での使用に許容され得る。一つの態様では、THFは96重量%より高いTHFであることができ、水および安定化剤のような他のバランス成分を含む。別の態様では、THFの供給物は安定化剤を除き有機不純物が500ppmw以下で、99.9重量%よりも高いTHFを含有する精製されたTHFであることができる。
【0032】
上に示したような本発明の方法の反応物として使用するアルキレンオキシドは、2、3もしくは4個の炭素原子をそのアルキレンオキシド環に含む化合物であることができる。これは例えばエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択できる。アルキレンオキシドは約0.03重量%未満の水分量、約0.01重量%未満の全アルデヒド含量、および約0.002重量%未満の酸度(酢酸として)を有することができる。アルキレンオキシドは着色および非揮発性残渣が低くなければならない。
【0033】
例えばアルキレンオキシド反応物がEOである場合、これは市販されている任意のものであることができる。好ましくはEOは約0.03重量%未満の水分量、約0.01重量%未満の全アルデヒド含量、および約0.002重量%未満の酸度(酢酸として)を有する。EOは着色および非揮発性残渣が低くなければならない。
【0034】
本方法の工程b)またはb’)で有用となり得る分子量制御剤(MWCA)には、非限定的例として水、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、約162ダルトンから約400ダルトンの分子量を有するPTMEG、約134ダルトンから約400ダルトンの分子量を有するコポリエーテルグリコール、およびそれらの組み合わせがある。反応性水素原子を含むMWCA化合物としての使用に適するコポリエーテルグリコールの例は、約134から約400ダルトンの分子量を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールである。またこれらの化合物は最終生成物の分子量を調節するために組み合わせて使用することができる。THFおよびアルキレンオキシドの共重合法には、MWCAは水またはアルカンジオールでよいと一般に言われているが(米国特許第4,139,567号明細書)、本発明ではEOのような比較的低濃度のアルキレンオキシドが供給物中に存在する場合(例えば20重量%未満)にのみ、アルカンジオールを使用できること分かった。我々は高濃度のEOが供給物中に存在する場合、1,4−ブタンジオールのようなアルカンジオールを使用すると、生成物が望ましくない高い着色(high color)を有することを見いだした。高濃度のEO、例えば20重量%以上を使用する場合、低い着色のコポリマーを得るためには水が好適なMWCAである。
【0035】
本方法の工程b)またはb’)で有用となり得る低分子量オリゴマーの非限定的な例に
はT−250級のような低分子量PTMEG、本発明の方法から生じる短鎖線状グリコール、またはそれらの組み合わせがある。
【0036】
本発明に有用な酸触媒は、広く当該技術分野で一般的に知られている環状エーテルの開環重合を行うことができる任意の強酸および超強酸触媒を含む。触媒は均一または不均一でよい。不均一触媒は押出し形または懸濁状態で使用することができる。不均一触媒の使用により、特に触媒が押出し形で使用される場合に、反応器内でのキャンドルフィルターの使用のような内部濾過を介して触媒から生成物の分離を促進することができる。
【0037】
本明細書で使用するために適切な均一酸触媒には、限定するわけではないが例として例えば米国特許第4,568,775号および同第4,658,065号明細書に開示されているようなBF、HClO、HSOFまたはヘテロポリ酸あるいはそれらの塩がある。
【0038】
本明細書で使用するために適切な不均一酸触媒には、限定するわけではないが例として場合により酸処理により活性化されたゼオライト、場合により酸処理により活性化された層状(sheet)珪酸塩、硫酸塩をドープした二酸化ジルコニウム、少なくとも1種の触媒的に活性な酸素含有モリブデンおよび/またはタングステン化合物またはそのような化合物の混合物を酸化物担体に適用して含んでなる担持触媒、スルホン酸基を含む高分子触媒(場合によりカルボン酸基を含むか、または含まない)およびそれらの組み合わせがある。担持触媒は、触媒が本明細書で使用する反応条件下で可溶性とならないように、ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸塩、およびヘテロポリ酸の混合物を含むこともできる。
【0039】
天然または合成のゼオライトは、結晶中に明確な孔(pores)と溝(channels)を持つ三次元ネットワークの開放構造を有するケイ酸水素アルミニウムの一種であるが(結晶アルミノケイ酸塩としても知られている)、本発明の方法で不均一酸触媒として使用することができる。本明細書での使用に適するゼオライトは、約4:1から約100:1、例えば約6:1から約90:1の、または約10:1から約80:1のSiO:Alモル比を有する。ゼオライトの粒子サイズは約0.5ミクロン未満、例えば約0.1ミクロン未満、または約0.05ミクロン未満であることができる。ゼオライトは水素(酸)状態で使用され、そして場合により酸処理で活性化することができる。本明細書で使用する酸性化ゼオライトの例は、フォージャサイト(欧州特許出願公開第492807号明細書に記載されている)、ゼオライトY、ゼオライト ベータ(米国特許第3,308,069号明細書に記載されている)、ZSM−5(米国特許第3,702,886号明細書に記載されている)、MCM−22(米国特許第4,954,325号明細書に記載されている)、MCM−36(米国特許第5,250,277号明細書に記載されている)、MCM−49(米国特許第5,236,575号明細書に記載されている)、MCM−56(米国特許第5,362,697号明細書に記載されている)、PSH−3(米国特許第4,439,409号明細書に記載されている)、SSZ−25(米国特許第4,826,667号明細書に記載されている)等がある。
【0040】
場合により酸処理により活性化される層状珪酸塩は、例えば米国特許第6,197,979号明細書に開示されているように不均一酸触媒として使用することができる。本明細書での使用に適する層状珪酸塩の例には、モンモリロナイト/サポナイト、カオリン/蛇紋石またはパリゴルスカイト/セピオライトグループ、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、カオリン、アタパルジャイトまたはセピオライトがある。
【0041】
硫酸塩をドープした二酸化ジルコニウムの調製は、例えば米国特許第5,149,862号明細書に開示されている。
【0042】
また不均一触媒として有用であるのは、例えば米国特許第6,197,979号明細書に開示されているように、酸化物担体に適用された少なくとも1種の触媒的に活性な酸素含有モリブテンおよび/またはタングステン化合物、またはそのような化合物の混合物を含んでなるものである。適切な酸化物担体の例には、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化鉄(III)、酸化アルミニウム、酸化スズ(IV)、二酸化シリコン、酸化亜鉛、またはこれら酸化物の混合物がある。担持された触媒は、例えばドイツ国特許出願第4433606号明細書に開示されているように硫酸塩またはリン酸塩基をさらにドープするか、ドイツ国特許第19641481号明細書に開示されているように還元剤で前処理されるか、あるいはドイツ国特許第19649803号明細書に開示されているように、か焼され、そしてさらに元素の周期表の2、3(ランタニド系を含む)、5、6、7、8および14族の元素の少なくとも1種の元素または元素の化合物を含んでなる促進剤を含んでなることができる。
【0043】
上に挙げた好適な不均一触媒、例えば天然または合成のゼオライト、層状珪酸塩、酸化物に担持した活性酸素含有モリブデンおよび/またはタングステン、および二酸化ジルコニウムは球形であるので、それらはより耐摩耗性であり、そして連続的撹拌タンク反応器(CSTR)内での使用に適する。
【0044】
任意にカルボン酸基を含むか、または含まず、スルホン酸基を含む適切な高分子触媒の中には、米国特許第4,163,115号および同第5,118,869号明細書に開示されているポリマー鎖がテトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンとスルホン酸基前駆体を含有するペルフルオロアルキルビニルエーテル(ここでもカルボン酸基を含むか、または含まない)とのコポリマーであるものがあり、そしてE.I.du Pont de Nemours and CompanyからNafion(登録商標)樹脂触媒の商用名で販売されている。またそのような高分子触媒は、アルファフルオロスルホン酸を含んでなるポリマーとも呼ばれる。本明細書で使用するこの種の触媒の例は、ペルフルオロスルホン酸樹脂であり、すなわちこれはペルフルオロカーボン骨格および式−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOHにより表される側鎖を含んでなる。この型のポリマーは米国特許第3,282,875号明細書に記載され、そしてテトラフルオロエチレン(TFE)と過フッ素化ビニルエーテルCF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOF、ペルフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクタンスルホニルフルオリド)(PDMOF)との共重合、続いてスルホニルフルオリド基の加水分解によるスルホネート基への変換、そして必要に応じてそれらを所望の酸性状態に転換するためのイオン交換により作成することができる。本明細書で有用なペルフルオロスルホン酸樹脂触媒の記載については米国特許第4,139,567号明細書も参照にされたい。
【0045】
本発明に従い使用することができる高分子の不均一触媒は、粉末状または成形体として、例えばビーズ状、円筒状の押出し物、球状、環状、ラセン状または粒状の形態で使用することができる。
【0046】
本発明の重合工程c)またはc’)は、所望により例えば0から約40重量%の適切な希釈剤または溶媒の存在下で行うことができる。重合工程におけるそのような希釈剤または溶媒には、例えば5から8個の炭素原子の直鎖もしくは分岐した短鎖炭化水素、5から8個の炭素原子の環式炭化水素、安定な含酸素化合物、および置換もしくは非置換芳香族炭化水素の1種または組み合わせからなる群から選択される不活性希釈剤または溶媒を含み、該希釈剤または溶媒は例えば約40℃から約150℃、例えば約40℃から約90℃の沸点を有する。そのような希釈剤または溶媒の非限定的例には、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンおよびキシレンのような1もしくは複数の脂肪族、環式脂肪族、または芳香族炭化水素を含む。また、希釈剤または溶媒としてアルキレンオキシド(1もしくは複数)のコモノマーのダイマー(1もしくは複数)、例えばエチレンオキ
シドの場合は1,4−ジオキサンを、単独で、または他の希釈剤または溶媒、例えば脂肪族、環式脂肪族、または芳香族炭化水素と組み合わせて使用することも可能である。これにより重合反応器を冷却するために冷却水の使用が可能となり、これは冷蔵系の使用に比べて例えば低い経費と工程の簡便性と言う点で大きな利点となる。重合反応器の蒸発冷却は、この種の工業的方法に大変好適である。本発明は反応器の内容物の蒸発冷却(例えば反応条件下での沸騰)を、温度および圧を組み合わせることにより促進する。
【0047】
本発明の重合工程は、約50℃から約75℃のような一般に約40℃から約80℃、例えば約50℃から約72℃、または約50℃からおよび約65℃で行われる。そのような温度範囲は、本発明の方法でOCEをコポリエーテルグリコール生成物に包含されるために適している。使用する圧は使用する希釈剤または溶媒に依存して一般に約100から約10.000mmHg、例えば約250から約700mmHg、例えば約350から約500mmHgである。重合反応器中、例えばCSTR中の反応温度は、真空下で表面からTHFおよびEOの両方を沸騰させることにより示した圧で蒸発冷却により都合よく制御されると同時に、反応器へ再循環するために外部の水冷冷却器中で蒸気を凝縮する。
【0048】
過酸化物の形成を回避するために、本方法の重合工程は不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。本明細書での使用に適切な不活性ガスの非限定的例には、窒素、二酸化炭素または希ガス類がある。
【0049】
本発明の重合工程は生成物の一貫性を維持するために連続的に行われ、この方法の1もしくは複数の他の工程は連続的に、またはバッチ様式で行われ、すなわち供給物の全部または一部が大きなバッチで調製され、そしてバッチが消費されるまで連続して重合される。同様に重合反応器でバッチが完全に処理された後、生成物は貯蔵され、そして加工されることができる。
【0050】
重合反応は通例の反応器または懸濁もしくは固定床様式での連続法に適する反応器アッセンブリー(assembly)で行うことができ、例えば懸濁法の場合にはループ反応器もしくは撹拌反応器で、あるいは固定床の方法の場合には管式反応器もしくは固定床反応器で行うことができる。本方法では良好な混合が必要なため、特に生成物がシングルパス(single pass)様式で生成される場合に連続的に撹拌されるタンク反応器(CSTR)が望ましい。
【0051】
そのような連続重合反応器装置では、所望により触媒は反応器(1もしくは複数)に導入される前またはされた後に前処理することができる。触媒の前処理の例には80〜200℃に加熱されたガス、例えば空気もしくは窒素による乾燥、あるいは触媒的に活性な量の少なくとも1種の酸素含有モリブデンおよび/またはタングステン化合物を含んでなる担持触媒の場合には、ドイツ国特許第19641481号明細書に開示されている還元剤を用いた前処理を含む。また触媒は前処理無しで使用することもできる。
【0052】
固定床の工程様式では、重合反応器装置は昇流(upflow)様式で操作することができ、すなわち反応混合物は底から上に向かって運ばれ、あるいは降流(downflow)様式で操作することができ、すなわち反応混合物は反応器を上から下に向かって通して運ばれる。
【0053】
重合反応器は、CSTRのように内部で生成物を再循環させずにシングルパスを使用して操作することができる。また重合反応器は循環様式で操作することもでき、すなわち反応器に置かれる重合混合物は、固定床反応器を使用する場合のように再循環する。再循環様式では、再循環 対 供給物の比率が100:1未満、例えば50:1未満、または例えば40:1未満である。
【0054】
供給原料は、バッチ様式または連続的様式のいずれかの現行の工学的実践で通例のデリバリーシステムを使用して重合反応器に導入することができる。供給物を送達する好適な方法は、反応器、例えばCSTRへの液体の混合供給物として例えばEOおよびTHFを、他の供給材料と一緒に連続的様式で合わせる。反応性水素を含む化合物および任意の再循環THFもしくはOCE流は独立して、または比率に基づく様式で反応器に計量供給される。重合反応器の下流から分離された高濃度THF流の一部または全部を再循環させ、そして生の(neat)THF供給物の一部に代えて使用することができる。供給物中のアルキレンオキシド、例えばEOの範囲は約4から約50重量%、例えば約4から約35重量%であることができる。供給物中のTHFの範囲は約10から約95.9重量%、例えば約30から約95.9重量%、例えば約60から約95.9重量%である。供給物中の再循環THFまたはOCEの範囲は、0(下流から分離されたTHFまたはOCE流の再循環より前)から約20重量%、例えば約0から約15重量%である。供給物中の直線状短鎖コポリエーテルグリコールの範囲は、0(下流から分離されたOCE流の再循環より前)から約10重量%、例えば約0から約5重量%である。反応性水素を含有する化合物の範囲は、水として約0.1から約5重量%、例えば約0.1から約2重量%であることができる。供給物中の適切な希釈剤または溶媒の範囲は、0より高く約40重量%まで、例えば約10から約30重量%である。
【0055】
重合が懸濁様式で行われる場合、大部分の重合触媒は、例えば内部濾過、デカンテーションまたは遠心により、重合工程からの産出物の処理において、重合生成物の混合物から、すなわち重合反応器中に保持されたものからの分離を要する。換言すると、生じた重合生成物の混合物は重合生成物の混合物からTHFおよびアルキレンオキシドダイマーの分離工程に直接通すことができ、あるいは場合により分離工程に通す前に初めに処理して任意の触媒微粉または触媒の下流生成物を除去することができる。
【0056】
本発明の重合反応工程からのコポリエーテルグリコール生成物中へのアルキレンオキシド、すなわちEOのモル包含量は、少なくとも約25モル%、例えば約25モル%から約55モル%である。重合反応工程の生成物流中のコポリエーテルグリコール濃度は、約75重量%未満、例えば約25から約75重量%未満、例えば約35から約70重量%である。
【0057】
重合生成物の混合物からTHFおよびアルキレンオキシドダイマーの大部分を分離する工程、例えば上記工程d’)を含む本方法の態様では、この工程をバッチ様式でまたは連続的に行うことができる。この工程で大部分のTHFおよびダイマーとは、少なくとも約95重量%から約100重量%、例えば少なくとも約98重量%を意味する。最初の分離は、大部分の未反応THF、未反応アルキレンオキシドを分離する蒸留により行われ、次いでアルキレンオキシドダイマーおよび異性化生成物、アセトアルデヒドおよびアルキレンオキシドのような低沸点溶剤、2,3−ジヒドロフラン、2−ブテナールおよび2−メチル−1,3−ジオキソランのような中沸点溶剤、そして微量のオリゴマー状環式エーテルを含む1,4−ジオキソランのような高沸点溶剤がこのようにして重量生成物の混合物から取り出される。この工程でのTHFの分離は、原理的には1回の蒸留工程により行うことができ、あるいは複数の蒸留工程、例えば2もしくは3回の蒸留工程に続いて、ストリッピング工程で行うことができる。異なる圧の下で蒸留工程を行うことが有利である。
【0058】
分離操作の設定は、重合工程で使用するアルキレンオキシド、反応性水素原子を含有する化合物(1もしくは複数)、および使用する場合には希釈剤に依存する。分離目的に依存して、可能な蒸留装置は適切なカラムまたは流下薄膜型蒸発器もしくは薄膜蒸発器のような蒸発器である。またトレイもしくは充填カラムを使用することも有利となり得る。
【0059】
以下ではTHF、EOおよび水を重合工程で使用した場合に、重合生成物の混合物からTHFおよびアルキレンオキシドダイマーを分離する様々な非限定的態様をさらに詳細に開示する。
【0060】
大部分の未反応THFのほぼ大気圧(例えば450から900mmHgで)での除去は、連続的に操作される循環型のフラッシュ蒸発器で行うことができる。重合生成物の混合物は場合によってはすでに濾過されて触媒微粉または触媒の下流生成物が除去されているが、流れる蒸発器の最上付近の側方に加熱循環流を介してフラッシュ蒸発器に供給される。この態様、例えば上記工程c’)からの重合生成物の混合物は通常、操作温度および選択した圧に依存して約5重量%から約40重量%のTHF含量を有する。1,4−ジオキサンは一般に約0.1重量%から約5重量%で存在する。水分量は一般に多くて約2500ppm、アルキレンオキシド、例えばEO含量は約200ppmから約5000ppmであり、そして2−メチル−1,3−ジオキソラン濃度は約10ppmから約2200ppm、通常は約100ppmから約2000ppmである。エチレングリコールのような他の化合物は、検出できないほどの低さから、約2000ppmの高さとなる可能性があり、より一般的には約100ppmから約1000ppm未満であり、そして1,4−ブタンジオールは検出できないほどの低さから、約2000ppmの高さとなる可能性があり、より一般的には約1000ppm未満であり、例えば約30ppmから約300ppmでも存在する。循環する温度は、上部で約100℃から約160℃、そして底部で約100℃から約200℃、例えば約100℃から約120℃で、THFおよび1,4−ジオキサンとの混合物中の大部分の水、未反応アルキレンオキシド、例えばEOおよびアセトアルデヒドは上部から蒸留除去される。蒸留物として得られるTHF画分は凝縮され、そしてその全てまたは幾らか、例えば少なくとも約99%を引き続き例えば蒸留による精製後に重合工程に戻すことができる。蒸発器の底に蒸留残渣として得られる粗生成物の混合物は、本発明のコポリエーテルグリコール、OCEおよび大変少量のTHF、アルキレンオキシドのダイマー、例えば1,4−ジオキサン、希釈剤および他の低沸点溶剤を含んでなる。
【0061】
一つの態様では、未反応THF蒸留物を例えば蒸留により精製した後、この精製したTHFを重合工程に戻す。この精製工程でTHFから除去される副産物の非限定的例にはアセトアルデヒド、2−メチル−1,3−ジオキソランおよび1,4−ジオキサンがある。
【0062】
低/中/高沸点不純物(THFに対して)から精製したTHFを分離するための蒸留は、混合物を蒸留カラムの低いトレイに供給し、低および高沸点画分をカラムのそれぞれ上部および底部から除去し、そして精製したTHFを側方流として取り出すことにより達成できる。THFの純度は95〜99%(アルキレンオキシド含量に依存する)から約99.7%純度より高く上昇する。最終的に再処理されたTHF中の主な不純物には2−メチル−1,3−ジオキソランおよび微量の1,4−ジオキサンを含む可能性がある。低沸点アセトアルデヒドおよび未反応アルキレンオキシドは一般に約100ppm未満である。次いでこの流れはTHF供給物として反応器に再循環されるが、色の反応(color response)により評価される品質に及ぼす影響は最少である。全体的な供給方法は、安定した分子量のポリマーの生産を維持するために、分子量制御剤(通常は水)の再循環により調整することができる。
【0063】
別法として、大部分の未反応THFを大気圧で取り出すことは薄層(thin film)蒸発器または蒸留カラム、例えば循環型流下薄層(falling film)型蒸発器で行うことができ、これは約100℃から約200℃、例えば約120℃から約180℃で操作される。蒸留物として得られるTHF画分の組成、および蒸留残渣として得られる粗生成物の混合物の組成は、上記記載に対応する。
【0064】
第1の蒸留工程から得た蒸留残渣は、続いて残存するほとんどのTHFが減圧下で除去され、例えば第2の循環するフラッシュ蒸発器を約100℃から約150℃(例えば約120℃)、そして約80mmHgから約160mmHg(例えば約130mmHg)、循環温度を蒸発器の温度より約2℃から5℃高くして操作することにより除去する。第2の回収工程から残る粗生成物は一般に約10ppm未満のEO、約50ppm未満の水、約100ppm未満の2−メチル−1,3−ジオキソラン、約1000ppm未満の1,4−ジオキサンおよび約0.5重量%未満のTHFを含む。主にTHFを含んでなる(例えば少なくとも約98〜99%)蒸留物として得られるTHF画分のすべてまたは幾らかは、蒸留カラムで99.7%から99.9%THFに精製された後、重合工程に戻すことができる。また精製された蒸留物も所望により、THFと類似様式で重合工程に戻すことができる。
【0065】
残るTHFおよびダイマー、例えば1,4−ジオキサンを減らすために、超低真空、例えば3mmHg未満、または例えば窒素を用いた不活性ガスストリッピングを使用する第3工程を採用することができる。この第3工程は薄膜蒸発器、ワイプトフィルム(wiped film)蒸発器、円板およびドーナツ型コンタクター(contactor)、または充填カラムを使用することができる。例えば約170℃で底部に窒素を供給し、そして約120℃で上部に粗生成物を供給する充填カラムでの窒素ストリッピングを使用する場合、カラムの底部に残る粗生成物は、わずか約1から2℃、例えば約118℃から119℃に下がるかもしれない。EOおよび水分量は一般に約1ppm未満であり、2−メチル−1,3−ジオキソラン濃度は約3ppm未満であり、THF濃度は約40ppm未満であり、そして1,4−ジオキサン濃度は約250ppm未満である。残る希釈剤は化合物の沸点に依存し、例えば1,4−ジオキサンを希釈剤として使用する場合は、250ppm未満になるだろう。エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールのような他の高沸点化合物は、わずかに減少するが、多くは粗生成物中に残る。
【0066】
OCE、本発明のコポリエーテルグリコール、および直線状の短鎖コポリエーテルグリコールを含んでなる粗生成物の混合物を生成するために,大部分のTHFおよびアルキレンオキシドのダイマーが重合生成物の混合物から分離された後、この粗生成物の混合物を処理して任意の触媒微粉または触媒の下流生成物を除去した後、粗生成物の混合物から少なくとも一部のOCEを分離する工程に通すことができる。
【0067】
重合生成物の混合物および粗生成物の混合物のいずれかまたは双方は、例えば触媒の前処理もしくは重合中に触媒の摩耗またはリーチング(leaching)から生じ得る触媒微粉または触媒の下流生成物を除去するために処理することができる。このような例には未反応触媒、触媒担体および/または活性触媒成分を含んでなる微細に分割され、懸濁され、または乳化された摩耗触媒を含む。酸素含有モリブデンもしくはタングステン化合物またはそのような化合物の混合物が触媒的に活性な化合物として適用された酸化物担体材料を含んでなる担持触媒の場合、故に摩耗した材料は変化していない触媒、担体材料および/または活性な酸素含有モリブデンもしくはタングステン成分である。触媒の下流生成物は、例えば活性成分およびそれらの対イオンの溶解したカチオンもしくはアニオンであり、例えばタングステンもしくはモリブデンカチオンまたはモリブテン酸塩もしくはタングステン酸塩のアニオンである。スルホン酸基を含有するイオン交換体、例えばNafion(登録商標)樹脂触媒の場合、下流の生成物には低分子量ポリマーおよび/またはスルホン酸を含む可能性がある。硫酸塩をドープした金属酸化物の場合、下流生成物は硫酸および/または金属カチオンもしくはアニオンおよびそれらの対イオンを含む可能性がある。
【0068】
そのような触媒および/または触媒の下流生成物の量は、重合工程からの産出量に基づき少なく、そして一般に0.1重量%を越えず、例えば0.01重量%であるが、この物
質は除去されなければならず、そうでなければコポリエーテルグリコール中に残り、そして特性データを変え、それによりコポリエーテルグリコール生成物の性質を変える。
【0069】
触媒および/または触媒の下流生成物は、物理的分離法により重合生成物の混合物および/または粗生成物の混合物から分離できる。物理的分離法の例には濾過および収着(sorption)がある。濾過の例には、濾過助剤、例えば籾殻灰、活性炭およびCelpure(登録商標)という銘柄の珪藻土のような珪藻土を用いた、または用いない限外濾過を含む。収着による物理的分離法の例には固体吸着材、例えば活性炭での、および/またはイオン交換体、例えば3から10オングストロームの孔サイズを有するモレキュラーシーブによる吸着を含む。また固体吸着での吸着は、酸または塩基を使用した中和とも組み合わせることができる。また濾過は供給物から生成物中の他の不溶性不純物、例えばEO中の高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、または工程もしくは装置から例えば錆びおよび他の外来物質を除去する。
【0070】
例えば工程d’)で粗生成物の混合物から少なくとも一部、例えば約2から約30重量%、例えば約4から約20重量%のOCEを、そして粗生成物の混合物から約1から約10重量%、例えば約1から約8重量%の直線状短鎖コポリエーテルグリコールを分離して、OCEおよび直線状短鎖コポリエーテルグリコールを含んでなるOCE流を生成すること、ならびに例えば工程e’)で約95.0から約99.9重量%、例えば約98.0から約99.8重量%のコポリエーテルグリコールを含んでなる生成物流を生成することは、実際には通例の減圧蒸留装置を使用して蒸留により行うことができる。例えば蒸留は精留なしにバッチ式蒸留装置からバッチ様式で行うことができる。短経路型蒸留(SPD)デバイス、例えば機械的表面分散または自動的分散を用いた通常の薄膜蒸発器が有利である。薄層蒸発器の場合、連続的手法が一般に好適であるが、バッチ蒸留装置からの蒸留はほとんどの場合でバッチ様式で行われる。またフラッシュ蒸発器は、OCEの少なくとも一部を分離するために適する。これらの装置では、必要な蒸発エネルギーが顕熱(sensible heat)の状態で生成物に導入され、その後、生成物は減圧下で適切な容器に下される。この手順の間、その中に存在するOCEおよび短鎖グリコールは気化する。蒸留は窒素のような不活性ガスまたは過熱蒸気を用いたさらなるストリッピングにより強化され得る。このために利用できる薄膜蒸発器、流下薄膜型蒸発器および/または短経路型蒸留ユニットが有用である。
【0071】
例えば工程e’)のこの分離では、OCEおよび約200から約400ダルトンの平均分子量を有する低分子量コポリエーテルグリコールが、約0.1から約130μbarのような圧、例えば約1から約90μbar、または例えば約10から約70μbar、および約170℃から約250℃の温度、例えば約180℃から約220℃で少なくとも1回の蒸留工程で分離され、そして高いモル包含量のアルキレンオキシド、約650ダルトンから約4000ダルトンの平均分子量、および80cPから約4000cPの粘度を有するコポリエーテルグリコールが単離される。
【0072】
本発明の一つの態様では、場合によりOCEを分離して重合反応ゾーンに再循環することができる。再循環されるOCEは一般に最高約250ダルトンの分子量を有する短鎖EO−THFオリゴマー状グリコール画分(例えば約10から約30重量%)を含む。
【0073】
工程e’)では、約50重量%より多く、例えば約50重量%より多く約99重量%のような工程d’)からの大部分のOCE流が回収され、そして所望により重合工程c’)に再循環される。
【0074】
希釈剤または溶媒はCSTR中のように、そして不均一触媒が使用される場合は特に本方法の重合反応混合物中に存在することができる。そのような場合、系の粘度は下げられ
、そしてこれにより反応器中の触媒の保持を促進する。ここで使用するための希釈剤または溶媒は、外部冷却器を通して未反応試薬および不活性希釈剤もしくは溶媒を使用する蒸発冷却により効果的に反応熱を運ぶことができるように、適切な沸点を有するように選択することができる。
【0075】
以下の実施例は本発明およびその使用能力を示す。本発明は他の種々の態様を行うことができ、そしてその幾つかの詳細は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく様々な明確な観点で修飾することが可能である。したがって実施例は説明的性質のものであり限定するものではないとみなされる。
【0076】
材料
THFはChemCentral Corporationから得た。EOはARC Speciality Productsから購入し、そしてさらに精製せずに使用した。分子量制御剤(MWCA)として使用する脱イオン水は、Milliporeの水精製システムで生成した。他のMWCA材料、例えば1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールおよびエチレングリコールは、Aldrich Chemicalから購入した。NR50 Nafion(登録商標)過フッ素化スルホン酸樹脂触媒は、米国、デラウエア州、ウィルミントンのE.I.duPont de Nemours and Companyから得た。濾過助剤はAldrich Chemicalから購入した。すべての処理水は脱イオン化した。
【0077】
生成物の加工および特性決定
コポリマーへの転換は、反応器出口から集めた粗生成物の混合物中の非揮発物質の重量パーセントにより定められ、これは粗生成物の混合物中の揮発物質を除去する真空オーブン(130℃および約200mmHg)により測定された。
【0078】
また全転換は、減圧下および100℃で未反応THF、アルキレンオキシドおよび比較的揮発性の副産物、例えば1,4−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキソラン等の蒸留により測定した。出発反応混合物に対してRotavapフラスコ中に残る残渣の割合が全転換率であった。
【0079】
Rotavap蒸留後、粗生成物ポリマー混合物はCelpure(登録商標)300濾過助剤を用い、蒸気により加熱したブフナー(Buckner)漏斗で濾過した。
【0080】
濾過による精製後、生成物の混合物をさらに約200℃で0.3mmHg圧未満にて短経路型蒸留ユニットを用いて蒸留して、直鎖および環状コポリマーの組み合わせを含んでなる低分子量オリゴマーを除去した。最終生成物はNMRで分子量ならびにアルキレンオキシドの包含を特性決定した。
【0081】
分子量およびアルキレンオキシドの包含率の両方を、ASTM法D4875と同等なH NMRにより測定した。また最終グリコールの分子量はヒドロキシル末端基の滴定によりINVISTA電位滴定で、トルエンスルホニルイソシアネートを使用してヒドロキシル末端と反応させ、続いて水酸化t−ブチルアンモニウムで滴定することにより測定した(ASTM法E222と同等)。
【0082】
粗ポリマー混合物および最終ポリマー生成物中の短鎖グリコールおよびOCE含量は、5メーター長のDB1701カラムを使用してFID検出器でガスクロマトグラフィーにより測定した。温度プログラムは50℃で開始し、50℃に2分間維持し、ついで250℃まで20℃/分で上げ、250℃で22.5分間維持し、次で50℃に下げた。サンプルの希釈はトルエンで1:4(重量による)とし、そしてサンプルの注入量は1マイクロ
リットルであった。
【0083】
生成物のAPHA色は、Hunterの三刺激色により測定した。
【0084】
多分散性はGPCにより測定され、これはWaters Ultrastyragel
500Åカラムを備えたHP1090シリーズIIの液体クロマトグラフィーにより行なった。THFを溶出液として使用した。ポリスチレンおよびPTMEG標準をカリブレーションに使用した。多分散性はMw/Mn間の比として算出した。
【0085】
最終生成物の粘度はASTM法D4878を使用して40℃で測定し(Cannon−Fenskeチューブ)、そしてセンチポイズ(cP)で表した。
【実施例】
【0086】
すべての部および百分率は、特に示さない限り重量による。
【0087】
触媒の前処理
以下に記載する重合実験で使用する前に、90グラム(乾燥基準)のNafion(商標)ペルフルオロスルホン酸樹脂触媒および14グラムの水をジャケット付きの1リットルのステンレス鋼製CSTR反応器システムに投入する。触媒は4.8重量%EOおよび0.24重量%水(THF中)を24時間58℃で供給し、1.5時間の保持時間を設けることによりコンディショニングする。触媒を同じ供給物で18時間、60℃で1.2時間の保持時間を設けることにより処理する。次いで供給を止め、そして反応器システムを約30℃に冷却する。触媒を取り出し、濾過し、THFですすぎ、次いで周囲条件下、ハウスバキュームで引きながらブフナー漏斗上で乾燥する。乾燥後、触媒は130℃でオーブン乾燥することにより測定すると13.5重量%の揮発物を含む。
【0088】
反応器
これらの実施例のための実験では、9.5mmの軸に取り付けられた3つの撹拌スクレーパを備えた3枚のバッフル(165mm長そして7.9mm幅)を含むジャケット付きの1リットルのステンレス鋼製反応器(96mm IDx168mm高)に90グラムの前処理したNafion(商標)ペルフルオロスルホン酸樹脂触媒を投入する。底部の撹拌スクレーパは、羽根の角度が45゜のダウンポンピング型の4枚羽根ユニット(60mmODおよび15.9mm高)である。上部の2つのスクレーパは、互いに90゜の角度で、羽根の角度が45゜、47.6mm OD、12.7mm深さで取り付けられた同一の2枚羽根のダウンポンピングユニットであり、底部のスクレーパから約64mmおよび127mm上である。反応器には底の撹拌スクレーパより約3mm上で終わり、3.2mmに狭められた6.4mmのステンレス鋼管を通して供給する。温度は2つの別個の3.2mmの熱電対により測定し、1つは上部から約29mmに、そしてもう1つは底部から約29mmに位置する。生成物は上部付近のフィルターを通して6.4mm管を介してシステム圧下で取り出す。
【0089】
実施例1
13.9重量%のEO、MWCA剤として1.8重量%のブタンジオール、およびTHFでのバランスからなる供給組成物を、ステンレス鋼製の容器中でプレミックスする。供給物は上記反応器を介して、反応器中での保圧時間を2.25時間、反応器温度を61.9℃、そして撹拌機速度を500rpmに設定した条件下で供給する。供給物の転換は50.0重量%であり、そしてOCE画分は50重量%の粗製ポリマーの11.5重量%である。最終生成物は2613g/モルの分子量、2.40の多分散性、38.2モル%のEO包含量そして14APHAの色を有する。
【0090】
実施例2
19.2重量%のEO、MWCA剤として1.29重量%の脱イオン水、およびTHFでのバランスからなる供給組成物を、ステンレス鋼製の容器中でプレミックスする。供給物は上記反応器を介して、反応器中での保圧時間を2.50時間、反応器温度を58.0℃、そして撹拌機速度を500rpmに設定した条件下で供給する。供給物の転換は49.9重量%であり、そしてOCE画分は9.1重量%である。最終生成物は941g/モルの分子量、1.60の多分散性、49.4モル%のEO包含量そして8APHAの色を有する。
【0091】
実施例3
27.0重量%のEO、MWCA剤として0.41重量%の脱イオン水、およびTHFでのバランスからなる供給組成物を、ステンレス鋼製の容器中でプレミックスする。供給物は上記反応器を介して、反応器中での保圧時間を3.25時間、反応器温度を62.1℃、そして撹拌機速度を500rpmに設定した条件下で供給する。供給物の転換は69.5重量%であり、そしてOCE画分は6.5重量%である。最終生成物は3277g/モルの分子量、2.00の多分散性、49.5モル%のEO包含量そして18APHAの色を有する。
【0092】
実施例4
12.5重量%のEO、MWCA剤として0.62重量%の脱イオン水、およびTHFでのバランスからなる供給組成物を、ステンレス鋼製の容器中でプレミックスする。供給物は上記反応器を介して、反応器中での保圧時間を2.0時間、反応器温度を58.0℃、そして撹拌機速度を500rpmに設定した条件下で供給する。供給物の転換は43.0重量%であり、そしてOCE画分は10.3重量%である。最終生成物は1492g/モルの分子量、1.98の多分散性、40.4モル%のEO包含量そして10APHAの色を有する。
【0093】
実施例5
精製した再循環THFを用いた実験は、27.0重量%のEOおよび0.535重量%の脱イオン水をTHF中に含む供給混合組成物を作成することにより行う。この供給物は上記反応器を介して供給され、5.1時間の保圧時間を使用し、7重量%の触媒を64℃で投入して2500ダルトンの分子量および48〜50モル%のEO生成物組成のコポリマーを作成する。生産は未使用の新しいTHFを供給混合物に使用して、67.8%の転換で2520ダルトンの分子量および17APHAの色のコポリマー生成物を与えることで裏付けられる。
【0094】
比較実施例1
実施例5の実験に続いて、実施例5の生成物の組成物から回収した未反応モノマー(主にTHF)を、4回の精製バッチサイクル無しに19回の反応器ターンオーバーから構成される反応器供給混合物へ直接再循環した。結果は各サイクルで不純物の含量が増加する。反応器の内容物の色は取り込まれた供給物の不純物含量に平行して着実に上昇し、最終生成物の色は106APHAである。高い色の反応には、供給物中の不純物として約220ppmのアセトアルデヒド、3ppmの2,3−DHF、3470ppmの2−メチル−1,3−ジオキソラン、および2.10%の1,4−ジオキサンを含む。
【0095】
比較実施例2
27.0重量%のEO、MWCA剤として2.0重量%のブタンジオール、およびTHFでのバランスからなる供給組成物を、ステンレス鋼製の容器中でプレミックスする。供給物は上記反応器を介して、反応器中での保圧時間を3.25時間、反応器温度を62.5℃、そして撹拌機速度を500rpmに設定した条件下で供給する。供給物の転換は6
8.9重量%であり、そしてOCE画分は6.5重量%である。最終生成物は3328g/モルの分子量、2.21の多分散性、49.4モル%のEO包含量そして457APHAの色を有する。
【0096】
上記比較実施例2の結果から、ブタンジオールは高濃度、すなわち20重量%より高いEOが供給混合物中にある場合にそれほど有効なMWCAではなく、高い生成物の色を導くことが観察される。比較実施例1の結果は、良好な品質の生成物を生産するためには再循環するTHFは好ましくは精製されて2−メチル−1,3−ジオキソランのような副産物を再循環前に除去すべきであることを示す。このデータは明らかに水、例えば脱イオン水が大変高レベルのEO包含量(すなわち40モル%より高い)のコポリオールを作成するためにより一層適し、そして2−メチル−1,3−ジオキソランを200ppm未満に限定するためなどには再循環THFは例えば蒸留により処理されるべきであることを示す。
【0097】
実施例6
上記比較実施例2に続いて、反応器供給混合物に使用する未反応モノマー流を25トレイサイドドローカラム(25−tray side draw column)で精製して、99.9%純度の再循環THF材料を生成する。供給混合物はEO:THF比を維持するように調整して、約2500g/モルの分子量、不純物が減少した48〜50モル%のEO含量(4ppmのアセトアルデヒド、0ppmのDHF、110ppmの2−メチル−1,3−ジオキソラン、および9ppmの1,4−ジオキサンを含む)を有するコポリマーを作成する。この実験に関して反応器の内容物の色は4サイクルのバッチ式THF精製(33回の反応器ターンオーバー)にわたり急激に低下して、2507g/モルの分子量および38APHAの色を有する生成物となる。
【0098】
実施例7
2500g/モルの分子量、38モル%のEO包含量を有し、13.3重量%のOCEを含有するグリコールを、ワイプトフィルム蒸発器(WFE)でプレストリッピングしてTHFとジオキサンを合わせて0.1重量%未満とする。次いでストリッピングした粗グリコールを175℃に前加熱し、そして4mmHgでガス抜きチャンバーに流してさらにライト(lights)を除去する。脱ガス流を200℃および30mmHgで操作して連続的に短経路型蒸留ユニットに供給する。高温での保圧時間を最短にしてポリマーを保護する。OCE含量は短経路型蒸留ユニット内部冷却器から回収する。残存グリコールは0.3重量%のOCEを含み、2500g/モルの分子量および6APHAの生成物の色は変わらなかった。
【0099】
すべての特許、特許出願、試験手順、優先権文書、論文、出版物、マニュアルおよびその他の文書は引用により全部、その開示が本明細書と矛盾しない程度において、かつそのような編入が許される範囲において参照として本明細書に編入する。
【0100】
本明細書で数値的下限および数値的上限を列挙する場合、その下限からその上限の間の範囲を意図している。
【0101】
本発明の説明的態様を特殊性をもって記載してきたが、様々な他の修飾が明らかであり、そして当業者は本発明の精神および範囲から逸脱せずに容易に作成することができる。したがって本明細書に添付する請求の範囲は、本明細書で説明する実施例および記載により限定されないことを意図し、その特許請求の範囲は、むしろ本発明に存する特許付与可能な新規性のすべての特徴を包含するものと解釈され、それらには本発明が関係する当業者により発明の等価物として処理されるすべての特徴を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約25モル%から約55モル%のアルキレンオキシド、約650ダルトンから約3500ダルトンの数平均分子量、約1.5から約2.6の多分散性、室温未満の低融点に反映される低い結晶度、40℃で約200cPから約3000cPの粘度、0APHAから約50APHAの低着色、および約0.05重量%から約3.0重量%の低OCE含量を有するコポリエーテルグリコール組成物の生成物の連続製造法であって:
a)約10から約95.9部の全テトラヒドロフラン(THF)および約4から約50部の全アルキレンオキシド(AO)を含んでなる供給混合物を調製し;
b)工程a)の供給混合物を、反応器が約2部から約15部の耐摩耗性固体酸触媒、反応性水素原子を含有する化合物を含んでなる約0.1から約5部の分子量制御剤(MWCA)、0から約10部の低分子量オリゴマー(LMWO)、0から約30部のオリゴマー状環状エーテル(OCE)、および0から約75部の再循環THFを含むように重合反応器に供給し、これによりAOに基づく重合反応器成分の重量比が;
THF/AO=1.7〜24.0
MWCA/AO=0.01〜2.0
LMWO/AO=0〜2.5
OCE/AO=0〜7.5となり;
c)工程b)の重合反応器中の工程a)の供給混合物を、約40℃から約80℃の温度、および約100から約10,000mmHgの反応器圧で重合して重合生成物の混合物を生成し;
d)コポリエーテルグリコール組成物、オリゴマー状環状エーテル、アルキレンオキシドの少なくとも1種のダイマー、直線状の短鎖コポリエーテルグリコール、テトラヒドロフランおよび高分子量固体を含んでなる工程c)の重合生成物の混合物を回収し;
e)1もしくは複数の段階を含んでなるストリッピング手段により、工程d)の重合生成物の混合物から粗コポリエーテルグリコール組成物を分離し;
f)工程e)の粗コポリエーテルグリコール組成物を濾過して高分子量の固体を除去して、コポリエーテルグリコール組成物、オリゴマー状環状エーテル、アルキレンオキシドの少なくとも1種のダイマー、直線状の短鎖コポリエーテルグリコールおよびテトラヒドロフランを含んでなる濾液を提供し;
g)工程f)の濾液を真空蒸留により蒸留して、コポリエーテルグリコール組成物、アルキレンオキシドの少なくとも1種のダイマーおよびテトラヒドロフランを含んでなるコポリエーテルグリコール組成物の生成物流、およびオリゴマー状環状エーテルおよび短鎖コポリエーテルグリコールを含んでなる流れを形成し;そして
h)工程g)からコポリエーテルグリコール組成物の生成物を回収する
工程を含んでなる上記製造法。
【請求項2】
工程e)でストリッピング手段が2段階を含んでなり、そしてテトラヒドロフランおよびアルキレンオキシドのダイマーを含んでなる蒸留物が2段階で分離され、続いてさらなる蒸留工程により実質的に純粋なTHFを含んでなる蒸留物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実質的に純粋なTHFが工程b)への再循環として提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アルキレンオキシドがエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
テトラヒドロフランがさらに2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、3−エチルテトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアルキルテトラヒドロフランを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応性水素原子を含有する化合物が、水、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、約130ダルトンから約400ダルトンの分子量を有するポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、約130ダルトンから約400ダルトンの分子量を有するコポリエーテルグリコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
反応性水素原子を含有する化合物が水を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
場合により重合反応器に加えられる0から約40重量%の希釈剤または溶媒を含み、希釈剤または溶媒は、5〜8個の炭素原子の直鎖もしくは分岐した短鎖炭化水素、5〜8個の炭素原子の環式炭化水素、安定な含酸素化合物、および置換もしくは非置換芳香族炭化水素の1種または組み合わせからなる群から選択され、該希釈剤または溶媒は約40℃から約90℃の沸点を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
酸触媒が環状エーテルを開環重合することができる強酸または超強酸触媒を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸触媒が、BF、HClO、HSOF、ヘテロポリ酸またはそれらの塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される均一触媒である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
酸触媒が、場合により酸処理により活性化されたゼオライト、場合により酸処理により活性化された層状珪酸塩、硫酸塩をドープした二酸化ジルコニウム、少なくとも1種の触媒的に活性な酸素含有モリブデンおよび/またはタングステン化合物またはそのような化合物の混合物を酸化物担体に適用して含んでなる担持触媒、スルホン酸基を含む高分子触媒およびそれらの組み合わせからなる群から選択される不均一触媒である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
触媒がスルホン酸基を含む高分子触媒である請求項9に記載の方法。
【請求項13】
高分子触媒がペルフルオロスルホン酸樹脂を含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
重合反応器が連続撹拌型タンク反応器である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
重合反応温度が、約100から約10,000mmHgの圧で真空下にてテトラヒドロフランおよびアルキレンオキシドを表面から蒸発させることにより重合反応器全体で本質的に均一に維持され、同時に反応器に再循環するために1もしくは複数の外部水冷型冷却器中で蒸気を凝縮させる請求項1に記載の方法。
【請求項16】
アルキレンオキシドがエチレンオキシドを含んでなり、反応性水素原子を含有する化合物が水を含んでなり、酸触媒がペルフルオロスルホン酸樹脂を含んでなる高分子触媒を含んでなり、そして重合反応器が連続撹拌型タンク反応器である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
場合により重合反応器に加えられる0から約40重量%の希釈剤または溶媒を含み、該希釈剤または溶媒が、5〜8個の炭素原子の直鎖もしくは分岐した短鎖炭化水素、5〜8個の炭素原子の環式炭化水素、安定な含酸素化合物、および置換もしくは非置換芳香族炭化水素の1種または組み合わせからなる群から選択され、該希釈剤または溶媒は約40℃
から約90℃の沸点を有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程c)の重合反応条件が、約50℃から約75℃の温度、および約250から約700mmHgの反応器圧を含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
重合工程c)が不活性ガス雰囲気下で行われ、該不活性ガスが窒素、二酸化炭素、貴ガスまたはその組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
約25モル%から約55モル%のアルキレンオキシド、約650ダルトンから約3500ダルトンの数平均分子量、約1.5から約2.6の多分散性、約23℃未満の低融点で反映される低い結晶度、40℃で約200cPから約3000cPの粘度、0APHAから約50APHAの低い着色、および約0.05重量%から約3.0重量%の低オリゴマー状環状エーテル含量を有するコポリエーテルグリコール組成物。
【請求項21】
約−20℃から約10℃未満の融点、約5APHAから約25APHAの着色、および約0.1重量%から約1.0重量%のオリゴマー状環状エーテル含量を有する請求項20に記載のコポリエーテルグリコール組成物。

【公表番号】特表2013−514432(P2013−514432A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544483(P2012−544483)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/020699
【国際公開番号】WO2011/075177
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】