一連の層を備えるコンジットダクト
本発明は、一連の層を備え、隣接する層がそれぞれ一体になった異なるエラストマ本体部品(12a、b)に属し、他方で、複数の層が同じエラストマ本体部品(12a、b)に属しているコンジットダクト(11)に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡略化のため以下ではコンジットダクトと称される壁開口にコンジットを密封して通すための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンジットダクトは、広く利用されており、とりわけ建物の壁に利用されている。さらに、コンジットダクトは、例えば船舶等のような建物の壁以外の壁にコンジットを密封して通すことでも知られている。従って、本発明に関して、壁はある領域の密封境界である。その点で、密封が液体及び/またはガスに関連する可能性のある、例えば、航空機、船舶、宇宙船、または、上陸用舟艇の、機械または工業用プラントの内壁または外壁が望ましい。しかしながら、壁は、例えば金属または高分子材料製の技術的装置のハウジングの壁である可能性もある。コンジットは、電流用、ガス用、水用、熱用、遠距離通信用、または、別の信号またはデータ用コンジットが望ましい。コンジットは、剛性またはたわみ性とすることが可能である。
【0003】
コンジットダクトには、加圧し、テンション装置によってコンジットに密封接着させることが可能なエラストマ本体を含むことが多い。そこで、エラストマ本体によってパイプ部分が密封されるように、コンジットに被覆が施されることもあり、さらにパイプ部分にはラインが通され、妥当な場合には、さらに密封を施すことが可能である。従って、「コンジット」という用語は、その中にさらにコンジットが配置されているダクトの全長についてのみ施される被覆にも関連している。
【0004】
通常、壁開口の内面または挿入されたフレームに対する、いずれにせよソフィットに対する密封接触は、エラストマ本体の加圧によって実施することが可能である。しかしながら、これは、下記の本発明に関しては必須ではない。実際、コンジットダクトは、エラストマ本体の加圧に頼ってコンジットダクトとソフィットの間を密封することなく、密封ねじ込みすることもできるし、あるいは、別様に密封取り付けすることも可能である。
【0005】
実際のところ、さまざまなタイプのコンジットを密封しなければならないだけではなく、さまざまなコンジット断面についても密封しなければならない。それらが、本発明に関してはやはり必須ではない通常の円形であったとしても、断面はやはり変動する。場合によっては、エラストマ本体の加圧及び弾性変形のためにどんなサイズの距離も埋めることができるというわけにはいかないので、個別に適合させた複数のエラストマ本体を供給し、然るべく適用することもある。
【0006】
さらに、それぞれコンジットを囲む一連の層を備えるエラストマ本体の構成が、先行技術文献によって既知のところである(例えば、特許文献1参照)。先行技術において、それらの層は「オニオンスキン」または「オニオンリング」と呼ばれる場合もある。それらは、比較的薄いブリッジによって片側が互いに結合されている場合もあるし、解放されている場合もある。とにかく、それらの層は、内側から始めて特定の数の層を除去することによって、エラストマ本体の開口を特定のコンジット断面に半径方向において適合させるために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 843 071 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、コンジット寸法に適合させるため一連の層を備える改良型コンジットダクトを提供する技術的課題を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決手段は、それぞれ一体になっている少なくとも2つの部分からなる、コンジットが通る壁の開口に密封を施すためのコンジットダクトと、エラストマ本体に張力をかけ、それによってエラストマ本体をコンジットに密封するように押し込むためのテンション装置であり、ここで、エラストマ本体の各部分は、組み立てた状態でそれぞれコンジットを囲む一連の多数の層を形成するようになっており、複数のそれらの層は同じ単一エラストマ本体部品に属し、隣接する層は異なるエラストマ本体部品に属することを特徴とする。
【0010】
従属請求項には望ましい実施形態が規定されているが、これらの実施形態のいくつかは、複数のそれらのコンジットダクトを備えたセットまたはシステムにも言及している。本発明は特定の用途も対象とする。単に用心の問題として留意しておくべきは、本発明に関する下記の説明において、望ましい特徴は、他の請求項のカテゴリ、とりわけコンジットダクトの製造方法及び壁開口にコンジットを密封する方法にも関連するという点である。
【0011】
本発明の説明のために、「エラストマ本体部品」という用語が用いられている。それによって、それ自体がそれぞれ相互結合された一体エラストマ部分を表わしている。従って、この用語は複数の独立した部分と理解してはならない。本発明によれば、一連の層の隣接層は、異なるエラストマ本体の部分に属している。複数の層すなわち結合されたオニオンスキンを備えるエラストマ本体部品は、先行技術で知られている限りでは、すぐ隣接しているかまたは細い円筒形スリットによって隔てられているだけであった。それとは対照的に、本発明では、異なるエラストマ本体部品の1つの層または複数の層も、同じ単一のエラストマ本体部品に属する層の間に位置するものとする。その点で、完全に解放されたオニオンスキンによる従来の解決法とは対照的に、複数の層が1つのエラストマ本体部品に属しているが、それにもかかわらず、追加層を個別に利用できるようにすることが可能であり、それについては後述する。
【0012】
従って、コンジットに対するさまざまな距離の隣接関係は、「隣接する」という用語、すなわち、一般的な円筒状幾何学構造に関する半径方向の隣接関係によって表わされる。先行技術の場合、コンジットを挿入するため分解するかまたはめくって開くことが可能なオニオンスキンのスリット列が既知のところである。そのため、それらのスリットは、コンジットのまわりではなく、コンジットに向かうかまたはそれから離れる方に、すなわち、とりわけ円筒状幾何学構造の半径方向に延びている。スリットは、本発明でも可能であり、好適でさえある。それらのスリットによって隔てられてはいるが、切り離された同じ層であるオニオンスキンまたは層の各部分は、「隣接する」で表わしてはならない、この用語は、従って、半径方向の隣接関係に関するものであり、円周方向に存在する隣接関係に関するものではない。
【0013】
既述のさまざまなエラストマ本体部品に対する隣接層の配分から明らかなように、複数の層を備えたエラストマ本体部品の層間には、追加層の最小厚さに対応する隙間が存在する。それによって、例えば射出成形によるエラストマ本体部品の製造がとりわけ容易になる。細い工具を用いてオニオンスキン間に施す細いスリットの切削加工、すなわち特に、コンジットとの距離に配慮した閉じた円形切削線に関連する作業及び列をなす複数のスリットに関連する作業を回避することが可能になる。切削加工工程は、比較的精緻であり、本発明によれば、射出成形を然るべく設計するか、または別の巧妙な合成材料製造工程を適合させることで代替させることが可能である。
【0014】
断面図において、層は、同じエラストマ本体の層間の隙間のためほぼ櫛の歯のように形成されており、エラストマ本体とコンジットダクトが組み立てられて、挿入されると、他の層が歯の間の隙間に挿入されることになる。その点で、他の層も、もう一度櫛のイメージを利用すると、見方によれば櫛がかみ合うように複数で同じ単一エラストマ本体部品に属することが可能である。やはりスリットを切削加工せずに、例えば、射出成形または3次元エラストマ本体のための他の定評のある方法によって製造することが可能な追加解放層を用いることも可能である。
【0015】
同じエラストマ本体の層間における既述の隙間の結果として、それらの層の間の結合ウェブは、先行技術による細い切削スリットだけで隔てられた層の場合よりも厚くなる。十分に薄い(コンジット方向において)設計の場合、結合ウェブはヒンジまたはフレクタとして利用することも可能である。そのうえ、それらの結合ウェブを層でくるむことが可能になるが、それについてはさらに後述することにする。切削スリットだけで隔てられた従来の連続したオニオンスキンの場合、半径方向の厚さはそれに十分ではない。十分なたわみ性を得るため、ウェブは簡単に剥ぎ取られるほど薄くしなければならない(コンジット方向において)。
【0016】
結合ウェブをより厚く設計することには、ウェブ厚と層厚を加えたものである、層に向かい合ったエラストマ本体の面において層毎に利用可能な厚さまたは環幅が、等距離の層に関して例えばほぼ2倍といったように先行技術の場合に比べて大幅に増すという利点がある。それに加えて、この面はラベルまたは他のマーキングにはるかに適したものになり、その結果、取付工は、試してみなくても、どの層をめくらなければならないかまたは除去しなければならないか、どの層にはそうしてはならないかを直接判断することが可能になる。
【0017】
コンジットまでの距離を決める方向に関して、すなわち円筒状幾何学構造の半径方向に関して、それぞれ複数の関連する層を備えた少なくとも2つのエラストマ部分が存在するのが望ましく、いくつかの実施形態ではちょうど2つ存在するが、異なる実施形態では3つの場合もあり、それらについてはいくつかの例に言及することにする。複数の層を備えた4つ以上のエラストマ本体部品も考えられる。それは、コンジットに向かう方向またはコンジットから離れる方向におけるスリットによる離隔(一連の層をめくって開くかまたは分解するための)を意味するものではない。例えば、コンジットを含んでいる断面に結合されたちょうど2つのエラストマ本体部品を備える実施形態の1つでは、スリットのために隔てられた4つ(半径方向のスリットが1つ通っている場合)またはそれを超える(スリットが2つ以上の場合)一体エラストマ本体部品を実際に含むことが可能である。従って、一体エラストマ本体部品の数について2つを選ぶかまたは3つを選ぶかは、コンジットを含んでいる断面のイメージに関連している。半径方向、または、より一般的にはコンジットの方に向かい、コンジットから離れる方向におけるスリットは無視される。
【0018】
一連の層において用いられている全ての層が、複数のものとしてそれぞれ1つのエラストマ本体部品に属している、すなわち、独立したオニオンスキンが生じないのがさらに望ましい。独立したオニオンリングは容易に製造可能であるが、個別部品数を増し、従って最終的には製造の複雑性を増すことになるが、とりわけ、本発明によるコンジットダクトを特定のコンジット型式に合せて組み立て、その型式に適合させる際の複雑性も増すことになる。
【0019】
既述のように、個々の層はコンジットを囲む、すなわち、ダクトを含む仮想本体の外側面(ある厚さを備える)を形成する。(この場合、やはり外側からコンジットの方に向かい、コンジットから離れて外側の方に向かうスリットは無視される)。この仮想本体は、必ずしもコンジットに対して対称または中心をなす必要はない。しかしながら、これは望ましい。さらに、複数の層を含むエラストマ本体部品の層は、エラストマ本体部品が少なくとも2つの場合、コンジット方向に関して中心ではなく端部が互いに結合されているのが望ましい。櫛のイメージに固執すると、歯は櫛の付け根から両側にではなく片側に突き出している。その点で、エラストマ本体部品の層は、はっきり云うとそれぞれ一方の端部が互いに結合された中空体を形成している。コンジットがなくても壁開口を密封するために設けることもあり得る中心層は、確かに中空ではないので、この点において例外である。
【0020】
さらに、望ましい実施形態の1つでは、層間の結合が、その端部においてではなく両端間のある位置で施されるため、すなわち、ある意味で櫛に両側への歯が含まれるため、第3のエラストマ本体部品がその効果の例外になる可能性がある。従って、上述のように2つのエラストマ本体部品の間にそのエラストマ本体部品を配置して、全部で3つのエラストマ本体部品によって(または、追加エラストマ本体部品が第3のエラストマ本体部品と同様に構成される場合、4つ以上によってでも)エラストマ本体を形成することが可能である。例証のため、いくつかの例に言及することにする。
【0021】
とりわけ、こうした第3のエラストマ本体部品には、例えば、EMI遮蔽に関する伝導率、X線吸収、または、防火特性といったいくつかの追加技術特性(弾性特性に加えて)を生じる機能的添加物を含むことが可能である。
【0022】
既述の回転対称性に関して、必ず、先行技術において既知のところであり、一般的である対称幾何学構造についてまず考慮しなければならない(もちろん、コンジットの方に向かう及びコンジットから離れる方に向いたスリットはやはり無視される)。その点で、オニオンスキンは、先行技術の場合には等距離であるが、これは本発明に関して必須ではない。例えば、コンジットまでの距離とともに厚さが増す、とりわけ比例して増す(従って、一定の相対的適応性が確保される)といったように、厚さの異なるオニオン層を用いるのが都合のいい可能性がある。層厚は、既存の標準断面にまたは実際に実施されているコンジット断面の他の分布に適応させることも可能であり、ある領域ではより密に、他の領域ではより粗く、適宜分布させることが可能である。
【0023】
しかしながら、本発明は、層の外側面が少なくとも部分的に円錐状の特定の非円筒形実施形態も対象としているが、「勾配」は比較的小さいのが望ましい、すなわち、円錐の外側面の「勾配」を形成する円錐角の半分は最大で10°、望ましくは5°である。層間の界面がそうした円錐状の場合、エラストマ本体部品をコンジット方向にわずかに引き離すことによって、層間に隙間を生じる可能性がある。材料の弾力性の範囲内で、これらの隙間は、張力のかかっている際に降伏を延長させることになり、従って、とりわけ一連の層によって特徴付けられる食い違いがこの適応にとって粗いはずであり、中間値が望ましいという場合、特定のコンジット寸法にまたはソフィット寸法にも精密に適応させるのに利用することが可能である。
【0024】
この機会に、本発明が、先行技術において既知のように、内側から始めて層を個々に除去することによるコンジット寸法への適応に関するものであることに言及しておかなければならない。しかしながら、本発明は、エラストマ本体が適合しなければならない特定のソフィット寸法への適応に関して、外側から始めて層を除去する補完的な場合も対象としている。もちろん、両方の場合も組み合わせることも可能である。
【0025】
層間の結合ウェブが、エラストマ本体全長の最大で10%、望ましくは7%〜5%と比較的わずかな特に好適な量にとどまるように、櫛の歯または層の長さを単位とするコンジット方向におけるエラストマ本体長を比較的大いに利用すべきである。従って、層は、引き剥がすかまたは切り取ることによっても容易に除去することが可能である。ただ単にめくることによる除去も含まれるが、たまたま不適合の場合には、層を元に戻すことも可能であり、その一方で緩むこともなかったので、これはその限りにおいて特に望ましい。その点で、層間の結合は、ある意味でヒンジとして利用されることになり、不要な層は、密封機能の妨げにならない領域までめくられることになる。
【0026】
さらに、エラストマ本体部品は、外側領域、すなわち、最外領域、または、もはや「引き離すことが可能」または「めくることが可能」とみなすことができない領域において、互いに中央部を、すなわち、エラストマ本体全長に関する約20%〜80%を接触させるのが有効であることが立証された。それによって、各エラストマ本体部品毎に、コンジット方向のある特定長部分が外側領域に残り、その領域における層厚が通常はわずかに厚くなる。エラストマ本体部品のこの部分は、安定化効果を有し、取扱いを簡単にする。この外側界面が、エラストマ本体全長の20〜80%の前記領域外に配置される場合、2つのエラストマ本体部品の一方についてほんのわずかな材料長しか残らなくなるが、大部分がオニオンスキンから構成され、取り扱い中不安定になる可能性のある。望ましい下限は30%及び40%であり、望ましい上限は70%及び60%である。
【0027】
上述のように、層はコンジットを囲まなければならない。これは、層を開放することが可能であり、このためにスリットが入れられることを除外するものではない。それどころか、スリットの実施形態は望ましい。従って、層を貫通して中央領域に入り込み、さらにその中を通るスリットは望ましい。次に、めくって開くことによってエラストマ本体にコンジットを挿入することが可能になり、開口からエラストマ本体に挿入する必要がない。その結果、とりわけ、既に壁開口に通されているか、または、別の方法による挿入を困難にするかまたは妨げるコンジットの密封も可能になる。
【0028】
もう1つの望ましい実施形態の場合、エラストマ本体は、外側面領域においてコンジット方向に対して垂直なその断面の厚くなった部分を備えており、この厚くなった部分は、コンジット方向においてエラストマ本体の全長の20〜80%の間にある。他方では、この厚くなった部分は、いわば一体化した楔のように、密封特性の向上に助けられてコンジット方向に対して垂直な方向により顕著な力を生じさせることが可能になる。これは、コンジットダクト内の少なくともコンジット長に沿った部分において、それぞれの接触圧が必要とされるが、挿入時におけるその取扱い特性の過剰な劣化を回避するため、エラストマ本体の断面は全体として拡大してはならない場合にとりわけ望ましい可能性がある。それに加えて、上述の厚くなった部分は、とりわけこの厚くなった部分を収容するための対応する中空形状が与えられている場合、エラストマ本体がうっかりしてコンジット方向に引き抜かれるのをある程度防ぐ働きをすることが可能である。この中空形状は、エラストマフレーム、すなわち、エラストマ本体を包囲するコンジットダクトの追加エラストマ部品にも与えることができるし、壁開口自体にも与えることが可能である。
【0029】
射出成形による望ましい製造については既に言及した。基本的に、本発明は、従来式に層間にスリットを切るのに比べて単純化されたさまざまな製造方法、とりわけ、金型を利用して、エラストマ材料を充填する方法に適している。射出成形以外では、プレス成形及びトランスファープレス成形がとりわけ望ましい。その場合、塑性変形可能な材料が型を用いてプレス成形され、トランスファプレス成形の場合には、押出し成形機によって送られる。さらに、鋳造(無圧力)、型内への発泡成形、型内への押出し成形、または、型内への吹込み成形も重要である。
【0030】
製造の単純化に関して、エラストマ本体部品の一定の標準化がさまざまなコンジットダクトに関して施される、もう1つの望ましい実施形態も重要である。
【0031】
その点で、異なるコンジットダクトが、それぞれ同じエラストマ本体を含んでいなければならない。コンジットダクトは、収容可能なコンジット数に関して及び/またはその寸法に関して異なる可能性がある。含まれるエラストマ本体は、必ずしも完全に同じである必要はなく、例えば、複数のコンジット用のコンジットダクトに異なるサイズのエラストマ本体を含むことが可能である。しかしながら、異なるコンジットダクトにおけるエラストマ本体部品に関して、例えば、同程度のコンジットサイズに同じエラストマ本体を用いることによって同一性が存在しなければならない。その点で、1組のエラストマ本体部品は、一連の層に対して内蔵システムを形成する「エラストマ本体」で表わされる。もちろん、これらのエラストマ本体は、さらに外側が(円筒形状の場合、半径方向においてさらに外側が)やはり張力をかけることに関与するエラストマ材料の他の構成要素によって包囲することが可能であり、例えば、それによってそれらを結合することが可能になる。エラストマ本体間の同一性または部分的同一性は、これらと無関係である。
【0032】
本発明の態様の1つは、かなり多くのダクトを収容することが可能な大きい開口に関するものである。従来式に、壁開口内のフレーム内において、エラストマ製の2つのそれぞれハーフシェルフが、それぞれのコンジットのまわりに配置されて、一緒にコンジットを包囲している。一方の側から始めて、壁開口は、さらなるエラストマ本体によって部分的に充填され、適切な場合にはさらなるコンジットを2つ1組にして包囲する。それまでダクト方向に対して垂直に無造作に重ねられていたエラストマ本体に加圧して、壁開口内でエラストマ本体とコンジットを機械的に締め付け、密封するため、テンション装置が、できればさらなる充填物とともに残りの部分に挿入され、壁開口を完全に充填する。その点で、本発明の場合には、上述のフレームは必須ではない。
【0033】
この実施形態において、複数で利用可能なコンジットダクトは、それぞれが、一緒に密封するため開口に挿入することが可能な断面を備え、コンジットを収容するための本発明によるエラストマ本体を含んでいるだけではなく、それぞれ、コンジット方向に張力をかけるためのテンション装置と、テンション装置に張力がかかる際、コンジット方向に対して垂直なモジュール周辺の外側にあるエラストマ密封面も備えるモジュールである。
【0034】
本発明の背景をなす概念は、先行技術によるコンジットダクト内にスタックされたエラストマ本体内部の圧迫効果は、テンション装置からの距離が増すにつれて低下するという発明者の発見に基づくものであり、これには遠隔エラストマ本体の密封機能が不十分になるかもしれないというリスクが伴う。他方で、圧迫が強まると、テンション装置に近接して配置されたエラストマ本体、及び、それに埋め込まれたコンジットにかかる機械的応力が強くなり、これらを破壊するリスクを伴う。
【0035】
さらに、先行技術によるこうしたシステムの取り付け中に、まず、壁開口内の全てのコンジットをエラストマ本体によって囲まなければならず、エラストマ本体は、テンション装置とともに壁開口を完全に充填し、取り付けの最終段階まですなわちテンション装置の張力がかかるまで、壁開口内で締め付けられないようにして、互いに隣接して配置しなければならないという欠点が判明した。結果として、取り付け中、エラストマ本体はその意図した位置から簡単に離れ、とりわけ垂直コンジットダクトの場合には壁開口から抜け落ちる可能性がある。
【0036】
コンジットを囲むエラストマ本体の「分散」圧迫によって、一様な密封機能のためのより優れた調整機能及びできるだけ均一な圧力分布が実現され、さらに、必要があれば、取付けを容易にするため、壁開口内部におけるセクション毎の、従って段階的な取付けが実現される。
【0037】
その点で、本発明によるコンジットダクトシステムは、部分的または完全に壁開口に埋め込まれるのが望ましいが、壁の開口の前に配置することも可能なフレームを備えた壁内の開口も対象としている。従って、「壁開口」のフレームのここではいわゆる「スルーホール」内へのコンジットダクトシステムの取付けも対象とされている。従って、下記において「スルーホール」という用語は、その一部が「壁開口」内に取り付けられたフレームのコンジットダクトシステムを収容するための開口を表わしている。
【0038】
その点で、連続開口が企図され、従って、互いに分離した複数の開口の集合は企図されない。こうした分離した開口は、先行技術の場合、とりわけ、フレームが複数の(各場合において連続した)スルーホールを含むように中実の格子状仕切りによって区切られており、先行技術において、さらにそのそれぞれにコンジットダクトが挿入される場合に見受けられる。従って、本発明は、モジュールが実際に挿入されて、互いに接触し、少なくともフレーム格子壁または他の剛性部分によって互いに分離されない用途に関するのが望ましい。
【0039】
本発明は、スルーホールが、開口内においてダクト方向に垂直な平面にモジュールを配列することにより、複数のモジュールで閉鎖されるように意図されている。このため、モジュールは開口にぴったりと収まる必要がある、すなわち、閉鎖するために配列されたモジュールの断面がスルーホールの断面の部分領域を構成し、これらのモジュールをスルーホールに一緒に挿入すると、密封できるようになっていなければならない。これに関して、モジュールは、ある領域を充填する構成に適した輪郭形状、例えば、矩形または正六角形の形状を備えるのが望ましい。
【0040】
スルーホール内において、モジュールは、少なくともテンション装置に張力がかかる際、モジュールの周辺のダクト方向に垂直な方向に対して外側に配置されたエラストマ本体密封面によって密封する。
【0041】
モジュールは、スルーホール内でそのテンション装置によって締め付けられるが、エラストマ本体は、ダクト方向に圧迫され、ダクト方向に対して垂直に膨らむので、外側に配置されたエラストマ本体密封面は押し出されることになる。この膨張によって、モジュールに張力をかけ、それによってモジュールをスルーホールの内面に対して締め付け、それと同時に、互いに並びにエラストマ本体に収容されたコンジットに対して密封することが可能になる。
【0042】
テンション装置に張力がかかる際のダクト方向に対して垂直なモジュールの膨張によって、単一列のモジュールが開口の一方の壁からもう一方の壁に到達するとすぐに、そのモジュール列をスルーホール内に取り付けることが可能になる。すなわち、本発明では、こうして、コンジットダクトに必要なモジュール全体がスルーホールに挿入される前に、モジュールの一部が既に取り付けられているようにすることが可能になる。
【0043】
さらに、望ましくはないが、本発明によるモジュールは、テンション装置のない追加モジュールとともに挿入することが考えられるが、この場合、モジュール列をスルーホールに挿入するには、各列毎に本発明によるモジュールが少なくとも1つ存在することが望ましい。本発明に関して、圧迫時にモジュールの膨張によって埋めることのできないギャップは、選択的にエラストマで造られた充填物を充填することによって塞ぐことが可能である。
【0044】
既に上述のように、エラストマ本体は、テンション装置によってダクト方向に圧迫され、それに対して垂直な方向の膨張によって密封し、スルーホール内でモジュールを締め付ける。なるべくなら、このためのテンション装置には、ダクト方向の両側に対するエラストマ本体の表面にダクト方向に加えられた張力を伝達する支持面が含まれる。それらの支持面は、前記表面と完全に境を接して、その力を一様に伝達するのが望ましい。これは、後述の全ての実施形態と同様、上述のモジュールアセンブリとは関係なく当てはまるが、とりわけそれに当てはまる。
【0045】
望ましい実施形態の1つでは、テンション装置は、閉じられると、エラストマ本体を囲むことによってそれに締結され、そうすることで、それがスリットまたはマルチパーツの場合、それと結合することが可能になる。このため、テンション装置は、ほぼベルトのようにダクト方向に対して垂直にエラストマ本体の外周を包囲するが、この外周面を完全に覆うわけではなく、エラストマ本体がダクト本体に対して垂直に膨張できるようにする。
【0046】
テンション装置は、包囲するため外周面に接する第1の脚を含み、圧迫するためエラストマ本体の各表面に接する第2の脚を含むことが可能である。その結果、エラストマ本体とテンション装置は、その2つの形状圧締めにより、例えばテンション装置を閉じる際にコンジットに引張力が働くと、エラストマ本体がモジュールからダクト方向に引き出されるのを防ぐ形状を示すことになる。
【0047】
例えば、テンション装置の検査、修理、または、交換を実施するため、コンジットからエラストマ本体取り除くかまたは壁開口からコンジットを取り出すことさえ必要とせずに、モジュールからテンション装置を取り外すことができるように、さらには、スリットの場合、または、マルチパーツ構造の取外し可能なエラストマ本体である結果として、スルーホール内に既に取り付けられているコンジットの密封のために、モジュールをさらに利用することができるように、テンション装置には、コンジットを挿入するかまたは取り出すためのクロージャを含むのが望ましい。
【0048】
クロージャの望ましい実施形態には、テンション装置を開き、張力をかけるためもう一度閉じることができるようにするテンションボルト、なるべくならネジが含まれる。テンション装置を開く場合、なるべくならダクト方向に張力をかけるためのもう1つのテンションボルト、望ましくはネジが、ダクト方向に対して垂直にテンション装置を開いて、コンジットを挿入するかまたは取り出すためのアーティキュレーテッドアクスルとして用いられる。張力を伝達するため、なるべくなら金属またはガラス繊維強化プラスチックがテンション装置の材料として用いられる。
【0049】
なるべくなら、コンジットダクトにはダクト方向に見えるカラーマーキングが含まれる。その点で、カラーマーキングは、例えば、モジュールが収容するのに適したコンジットの直径またはタイプに関する情報を表わすことが考えられる。
【0050】
テンション装置の圧力を分散するため、モジュールには、エラストマ本体の両側またはエラストマ本体部品のそれぞれに、例えば金属またはガラス繊維強化プラスチックのような固体材料製の圧迫板を含むのが望ましい。これによって、密封に必要なテンション装置の定圧が、エラストマ本体の表面の大部分に確実に伝達されることになる。可能性のある実施形態の1つでは、圧迫板は、エラストマ本体の両側のそれぞれにダクト方向にしっかりと取り付けられている。圧迫板を用いる場合、テンション装置は、それらの圧迫板に対しダクト方向に直接力を加えるが、エラストマ本体が取り付けられている圧迫板は、場合によってはテンション装置との形状圧締めによってモジュール内に保持することが可能である。
【0051】
さらに、1つまたは複数のコンジットを収容するエラストマ本体またはそれぞれのエラストマ本体部品は、収容されるコンジットの数並びにタイプ及び直径に関してモジュールを適合させることができるように、テンション装置を開くと、モジュールから取り外すことが可能であり、他のものと交換することが可能であるのが望ましい。
【0052】
有利な構造の1つにおいて、本発明によるコンジットダクトシステムは、とりわけ、本発明によるモジュールは、スルーホール外においてコンジットを収容することが可能であり、テンション装置のクロージャを閉じることによってコンジットにあらかじめ固定されるという特徴によって違いが示される。とりわけ、複数のコンジットを収容するダクトの場合、こうして密封エラストマ本体をコンジットに対しあらかじめ個別に固定できるというのは好都合である。従って、上述のスルーホール内におけるモジュールの張力分散に加えて、本発明には、例えば、取付け中に、エラストマ本体がスルーホールから抜け落ちるのが防止されるとか、密封の際、密封面に対する一様な圧力分布を実現することができるとか、例えば追加コンジットの収容または既存のコンジットの交換のため、それ以上コンジットシールを開くことなく、あるいは、スルーホール内から/にコンジットダクトのより大きい部品を取り外すか/新たに取り付けることを必要とすることさえなく、個々のモジュールを組み立てられたコンジットダクトシステムから外すことさえできるといったような、先行技術に対するさらなる利点がある。
【0053】
下記では、そこで開示される特徴が他の組合せにおいても本発明にとって重要になる可能性があり、上述のように、暗黙のうちに本発明の全カテゴリに関連している実施形態を用いて、本発明についてさらに詳述することにする。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】コンジット方向における正面図、その右側に、コンジット方向が投影面内において水平方向に配置された断面図、その下方に、コンジット方向が投影面内において垂直方向に配置された平面図を配した本発明の第1の基本実施形態を示す図である。
【図2】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図3】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図4】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図5】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図6】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図7】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図8】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図9】本発明によるモジュールの平面図及び側面図である。
【図10】圧迫板が取り付けられた図9のエラストマ部品の平面図及び側面図である。
【図11】フレーム内に4つのモジュールがある、本発明によるコンジットダクトシステムの平面図及び側面図である。
【図12】それぞれ4つのモジュールのために4つのスルーホールを備えたフレームの平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1には、左上に、単一のコンジットが中央に配置されるように設けられた本発明による実施形態の1つが示されている。コンジットダクト11には、2つのエラストマ本体部品12a及び12bを備えたエラストマ本体12と、4つの半円形でU字形の金属板または圧迫板13とネジ14の形態をなす4つのテンションボルト14でできているテンション装置が含まれている。
【0056】
基本的幾何学構造は、不図示のコンジットの中心軸が円筒軸をなす明らかに円筒状である。これに関して、また、テンション装置13、14の設計に関して、この実施形態は、先行技術と一致するが、エラストマ本体12の設計だけが異なっている。先行技術とは対照的に、すなわち、両方のエラストマ本体部品12a、bが互いに組み合わせられまたはかみ合って、互いの後に続く中空の円筒を構成しており、これについては右上の断面A−Aで確認することができる。この断面において、それらは、左のエラストマ本体部品12aの層が左側で半径方向に延びるウェブによって結合され、右のエラストマ本体部品12bの層が右側で結合された、櫛の歯のように見える。分かりやすくするため、層は、参照番号によって個別に表示されていないが、断面で見ることができる。留意すべきは、左上の正面図において(及び以下の図において)、円はこれらの層間の境界を示しているのではなく、この場合、エラストマ本体部品12bの外側における結合ウェブのノッチを示しているということである。これらのノッチは、右上の断面において細い水平線として表示されており、壁の薄い部分を形成しているが、途切れる部分はない。
【0057】
両方のエラストマ本体部品とも、軸方向に見て、半径方向の外側領域においてエラストマ本体の半分を形成しており、半径方向の最も内側の領域には、第1のエラストマ本体部品12aの中央部分を形成する円筒形ブロックが設けられている。少なくともこのブロックは、コンジットを挿入するために取り除かなければならないが、コンジットがない場合でも壁開口の密封に役立つ。このブロックは、引きちぎるかまたは切り取ることによって除去しなければならない。
【0058】
それとは対照的に、半径方向の外側においてこのブロックに続く層は、引きちぎるかまたは切り取ることができるだけではなく、それどころか、結合ウェブの半径方向の長さのおかげで外側にめくることが可能であり、それで十分である。従って、それらは、断面図(右上)に関して、図においてエラストマ本体12が占めている領域の左または右に配置される。それ自体既知の方法で、通されるコンジットに対して寸法を適応させることが可能である。しかしながら、それによる間違いがあった場合には、層を元通りに巻きつけることも可能である。埃の中にあったために、もう一度挿入された場合に、層を損なうことになるかまたは層に漏れを生じさせるという恐れがなく、あるいは、幾何学的に不正確に再挿入されるという恐れもない。それどころか、結合ウェブと薄い部分によって決まるめくりメカニズムは、完全にぴったりと元の位置に戻すことを可能にする。
【0059】
コンジットを実際に挿入しなければならない場合、断面図(右上)の下方領域に(領域ほぼ下方1/6に)断面線として見られるエラストマ本体部品12a、bのスリット15を利用することが可能である。このスリット15は、左上の正面図では垂直方向に引かれた実線としても見られる。断面右側の断面線に対応する下方点線領域は、スリットではない。それは、エラストマ本体部品12a、bを曲げて開くことができるようにするのに役立つ。同じ目的で、U字形の圧迫板13は半円形に分割されている。
【0060】
エラストマ本体部品12a、bは、共通エラストマ本体部品に属する層が十分に大きいので、2つのエラストマ射出成形部品として製造することが可能である。高度な切削加工は大幅に省略される(すなわち、直線形状のためこれに関して問題の少ないスリット15を除いては)。従って、エラストマ本体部品12a、bは、一体にして、テンション装置13、14を設けることが可能である。それに加えて、U字形圧迫板13をぴったりと取り付け、圧迫板13の両側の対応するネジ穴にテンションネジ14を押し込んで、ねじ込まなければならない。
【0061】
建設現場において、職人は、従って、コンジットダクトを開放し、中央ブロックを取り除くだけではなく、それぞれの数の層をめくることによって、通されるコンジットに応じてそれを適応させ、さらに、それぞれコンジットを挿入するかまたはコンジットのまわりをコンジットダクトで包囲し、例えばコンクリート壁にコアドル加工した壁開口のソフィットにそれを挿入し、テンションネジ14でそこに締め付けることが可能である。
【0062】
図2には、図1と同様の表現による第2の実施形態21が示されている。ここでは、対応する部品には、10だけ値を高くした参照番号が付いている。
【0063】
第1の実施形態とは対照的に、正面図(左上)から容易に推定できるように、ここでは3つまでのコンジットの収容が意図されている。
【0064】
三つ組みをなすように設けられた連続した層は、それぞれ図1の第1の実施形態に質的に対応するが、それぞれ個別に円筒対称性に見える3組の連続した層が線状に変位して並ぶように配置されている。それにもかかわらず、エラストマ本体22全体は、2つのエラストマ本体部品22a、bだけから構成されており、第1の実施形態に類似したスリット25が3組の連続した層の全てを貫通しているが、図の上部に配置された断面線で示す結合ウェブはそのままにしている。
【0065】
この場合、圧迫板23は、より一般的な意味において、U字形としても形成されているが、単純な半円形の環状形状ではなく、それぞれ、連続した層の円形部分を除いてエラストマ本体22の全体形状に対応する矩形の半分として形成されている。矩形の形状のため、この実施形態は、フレームに設けられた壁開口にとりわけ適しており、ボアにはそれほど適していない。
【0066】
同様の説明は製造及び利用にも当てはまるが、この場合、1組だけの連続した層または2組だけの連続した層に対するコンジットの割り当てが可能であり、さらに、連続した層は個別に適応させることができるので、異なるサイズのコンジットを挿入することも可能である。
【0067】
図3の第3の実施形態31は、図1の基本的実施形態を3つのコンジットに敷衍したものであるという限りにおいて、図2の実施形態と似ている。しかしながら、この場合、3組の連続した層の配列は線状ではなく、円形の壁開口により適しており、第2の実施形態とは対照的に矩形の壁開口には適さない正三角形の形状をなしている。そのため、この実施形態は、コアボアに極めて適している(第1の実施形態と同様に)。
【0068】
対応する部品は、やはり、図2に対して10だけ値を高くした参照番号が付いている。従って、一般的な意味においてU字形状の6つの圧迫板33がやはり生じることになる。連続した層は線状に配列されていないので、この場合、スリット35はY字形である(図3の左上に反転されている)。圧迫板33は、図3の上方の連続した層(図3の右上に断面が示されている)をめくって開放する妨げにならないようにその中心から2つの部分に分割されている。それとは別に、同じ説明が前述の実施形態にも当てはまる。
【0069】
図4には、やはり10だけ値を高くした参照番号が付いた第4の実施形態41が示されているが、これは、第3の実施形態を直接4つのコンジットにまで敷衍したものである。従って、4組の連続した層は、やはり円筒形の基本形状をなすように二次配列されている。この点において、図1、2、及び、3の所見が当てはまる。
【0070】
しかしながら、それとは対照的に、2つのエラストマ本体部品だけが設けられているわけではない。それどころか、連続した層の各組は、それぞれ、2つのエラストマ本体部品から構成されており、図4の右上に示されたものには42a〜dの参照番号が付いている。従って、連続した層のエラストマ本体部品が、その結果全部で8つ含まれることになる。それらは、はっきりさせるため、エラストマ本体またはエラストマ本体部品とは称されないが、実際には同じエラストマ材料から構成されているエラストマフレーム46に保持され、それによって囲まれている。すなわち、それは、それ自体連続した層を含んでおらず、それらとコンジットダクトの外側輪郭との間の形状がぴったり合うように適応させる。しかしながら、それは、図4の左上の正面図に45で表示の位置にスリットが設けられており、従って、全体としては一体であるが、全てのエラストマ本体部品42a〜dを(もちろん、不図示で、番号が付いていないものも)取り出すことができるようにめくって開放することが可能である。
【0071】
最初の3つの実施形態とのもう1つの相違は、図4の右に47で表示された、エラストマ本体部品42a〜dの外周面に軸方向に中心がくるように設けられた半径方向の厚くなった部分である。これらの厚くなった部分は、外側エラストマフレーム46の対応するくぼんだ凹部にかみ合い、それによって、エラストマ本体部品42a、bを軸方向に引き抜かれないように固定する。くぼんだ凹部を省略すれば、対応する厚くなった部分においてコンジット方向に対して垂直に局所的に働く力が増すのは容易に想像がつく。これは、エラストマフレームと組み合わせる場合にも(この場合、凹部はない)、エラストマフレームを追加しないで壁開口へ取り付ける場合にも(すなわち、図1〜3による)当てはまる。厚くなった部分及び対応する円錐形凹部を省略すると、エラストマ本体部品はコンジットと共にコンジット方向により簡単に押し出すことが可能になるので、エラストマフレーム46にスリットを入れるのも省略することが可能になる。
【0072】
図5には、矩形の基本的幾何学構造に関して図2と対応し、エラストマ本体部品の設計に関して図4と対応する実施形態が示されている。図4と5を比較すると、そこでなされている、エラストマ本体部品42a〜d、図5の52a、bとフレーム46、図5の56の間の分離の重要な利点が明らかになる、すなわち、前者を標準化することが可能である。実際、エラストマ本体部品42a、cと52aは、ちょうどエラストマ本体部品42b、d、及び、52のように少なくとも射出成形に関して互いに同じである。従って、それらは、例えば、図4における4つ組及び図5における3つ組のような異なる構成及び数をなすようにコンジットダクトと組み合わせることができる連続層の単位に合せて、一緒に詰めることが可能である。コンジットダクトの対応する外のり寸法並びにその中の連続層単位の構成への適応は、フレーム46及び56によって行うことが可能である。
【0073】
ところで、外側フレームには、図5の右上の断面線によって判断されるように、図5の55で表示の位置に、すなわち、図5の左上における連続層の円筒状単位の下にスリットが入れられる。それによって、エラストマフレームをめくって開き、連続した層52bに達することが可能になる。
【0074】
後者は、図3に示すようにスリットを入れることが可能であり、この場合、外側から円筒軸までの切削で十分である。しかしながら、コンジットを通さなければならないことが受け入れられる場合には、スリットを入れる必要がない。従って、図5にはスリットが描かれていない。
【0075】
図6には、基本幾何学構造に関して図3に対応するが、エラストマ部品の分割/分離に関して図4及び5に対応する第6の実施形態が示されている。従って、対応するいくつかの説明に言及する。
【0076】
こうして他の実施形態で実施することも可能な図6の実施形態のもう1つの特徴は、図6の右上の断面図で示されているように、層がそれぞれ円錐形ということである。この場合、円錐面に対応する円錐の半円錐角は約2°である。
【0077】
図6に基づくと、ある特定の数の層を除去した後、おそらく所望のコンジットにはまだ小さすぎる内のり寸法が得られることは容易に想像がつくが、それ以上の層を除去するのは、内のり寸法が大きくなりすぎるかまたは接触圧が弱くなりすぎるので避けねばならない。この場合、2つのエラストマ本体部品62a、bは互いに少し引き離される可能性があるが、それにより層間に隙間を生じることになり、その結果、加圧中、弾性変形のためにコンジットへの接触圧が弱くなるか、あるいは、以前は大きすぎた対応するコンジットを容易に通すことがまたは挿入することが可能になる。
【0078】
コンジットの内部中空空間が非変形状態の円錐側面も備えるという事実は、材料の弾性のため、欠点ではない。
【0079】
図7には、もう1つの実施形態が示されており、参照番号の値がやはり10だけ高くなっている。このバージョンは、図3から始めて説明することが可能である。まず、この場合、図3とは対照的に、正三角形をなすように配列された3組の連続層だけではなく、正方形をなすように配列された4組の連続層も設けられている。図3の反転Y字方スリット35の代わりに、この場合はそれぞれ角度のついた2つのスリットが存在し、そのそれぞれが、図7の左上の正面図において、上方の連続層の外側からそれぞれの中心までの最短距離部分に沿って45°の角度で延び、そこから下方に曲がっている。スリットは、ちょうど下方の連続層の最上層に達し、そこで終了する。圧迫板73が、それに対応して3つの部分に分割されているが、それについては図から明らかである。それにより、このコンジットダクトもめくって開放し、4組の連続層の全てにコンジットを挿入することが可能である。
【0080】
さらに、やはり2つのエラストマ本体部品72a、bが存在し、それぞれ、コンジット方向に対して垂直なコンジットダクトの全断面にわたって連続している。2つのエラストマ本体部品72a、bが係合せず、ここでは72cで表示され、それぞれ中空の円筒形状を備える、互いに分離された独立した追加層のためそれぞれの層間に隙間を形成しているのが特徴である。それらの3つが、連続層毎に存在し、従って全部で12になる。
【0081】
その実施形態は、本発明が、それぞれ共通のエラストマ本体部品に複数で属する全ての層に制限されるものではなく、単一層の場合もあり得るという事実の例証に役立つ。とりわけ、それら中空円筒形状層72cも射出成形によって製造することは絶対に可能である。しかしながら、それらは、個別部品数が増すので特に望ましくはない。
【0082】
図8は、基本的に図7に対応する。しかしながらそれとは対照的に、図7の個別層72cは、第3の相互結合エラストマ本体部品82cとして実施される。それに加えて、個別結合ウェブを組み合わせる中央のエラストマ層が設けられており、コンジットに対して垂直な円形ディスクを形成し、外側に厚くなったリムを備えている。それは層と一体化している。冒頭で用いた櫛の概念を参考にすると、これは、図8の右上の断面図では、中央に設けられた両側に向いた歯を備える櫛に右に向いた歯を備える櫛が左から係合し、左に向いた歯を備える櫛が右から係合していることを意味する。
【0083】
一方で、この実施形態は、本発明の概念の普遍性を例証するのに役立つ。他方では、それは、例えば防火手段に関してEMI防護として、あるいは、例えばX線防護として特殊用途のために、基本的にコンジット方向に対して垂直な断面をふさぐ機能層をコンジットダクト内に設けなければならない場合には、とりわけ魅力のあるものになる可能性がある。こうした場合、エラストマ材料には、その伝導性またはその吸収能力に関して、火災防止または他の目的に役立つ追加物を設けることが可能である。こうした追加物は、変形及び密封特性をわずかに劣化させることがよくある。従って、この場合中央にある対応するエラストマ本体部品が、弾性特性のより優れたエラストマ本体部品によって両側で包囲される場合には、それは好都合である。
【0084】
典型的な追加物は、例えば、アルミニウム、銅、シリコン、または、さらには炭素のような、エラストママトリックス内に分散し、それに伝導性をもたらす金属または半導体粒子である。従って、こうした層は、とりわけ、なんとしても取り付けられて、EMI防護としての働きをするコンジットダクトのネジによって接地するのが望ましい。防火に適した追加物は、例えば、ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンのような熱の影響下において大幅に容積を増す容積発生発泡剤である。
【0085】
X線遮蔽に関して、一酸化鉛または硫酸鉛、一酸化バリウムまたは硫酸バリウム等のような重金属酸化物または化合物を用いることが可能である。
【0086】
第3のエラストマ本体部品82cは、半径方向の外側領域が厚くなっており、従って、コンジット方向における長さも長い。この厚くなった部分は、第3のエラストマ本体部品82cの比較的頑丈な部分を構成するので、取扱い特性を向上させる可能性がある。それは、壁に特にうまく接触して壁開口の不均一部分を支障なく密封することが可能な特定の材料、すなわち、ゲル状または膨張性の材料に置き換えて用いることも可能である。こうした材料と加圧によって圧迫されるエラストマを組み合わせるのは、密封特性に関してとりわけ有利になる可能性がある。もちろん、これは、EMI防護層、X線防護層、または、防火層のような層の追加機能に関する上記説明とは全く無関係である。
【0087】
下記の図9〜12には、本発明によるコンジットのさらなる実施形態だけではなく、コンジットダクトシステム用のモジュールとしてのコンジットダクトの有用性についても示されている。
【0088】
図9には、テンション装置93、93′、94が開かれた、5つのコンジットを収容する本発明によるコンジットダクトシステム92の二次モジュール91のコンジット方向における平面図が左に示されている。それに対して垂直な方向における側面図が右側に示されている。
【0089】
連続層に関して、エラストマ本体は、10のエラストマ本体部品に分割されているが、そのうちの92b、d、f、h、jが示されており、図4、5、または、6にも対応することが可能である。先行実施形態のように、テンション装置93、93′、94に張力がかかっていなくても、エラストマ本体部品92b〜jを囲むエラストマフレーム96が、コンジット方向に対して垂直にモジュール91の全周囲の外側に配置された密封面を形成している。さらに、図9の上部において、それには、コンジット方向に対して垂直にそれを開放するためのスリット95が設けられている。それは、図10では比較のため省略されている。エラストマ本体部品92b〜jは、全部で5つのコンジットを収容するのに適しているが、エラストマフレーム96と共に、図10を用いてさらに詳細に後述することにする。
【0090】
テンション装置には、コンジット方向の両側において、すなわち、ガラス繊維強化プラスチック製で、その端部のそれぞれにテンションボルトとしてネジ94を収容するための装置を備えたモジュール91の左側及び右側において、図9の上部と下部に位置し、鋼で作られた各側に2つずつのU字形93と、各側に2つずつの垂直結合部品93′が含まれている。それらのネジ94の1つは、クロージャとして機能することが可能であり、隣接するネジは、モジュール91を開き、エラストマ本体部品92b〜jを取り出して、コンジットを収容するための関節として機能することが可能である。図において、クロージャとして機能するネジ94は、テンション装置を開くため、それから引抜かれている。図9の右の側面図によって、コンジット方向におけるモジュール91の構成が明らかであるが、それに関して、テンション装置93、93′、94は、両側の外側に位置している。その間で、エラストマ本体部品92b〜jがフレーム96によって囲まれている。
【0091】
図10には、右半分に、図9からのエラストマ本体部品の右半分の平面図が示されており、左側には、それに対して垂直な方向の側面図が表示されている。3つのコンジットを収容するための左半部は、同じように構成されているので、下記の説明はそれにも当てはまり、基本的には、コンジット構造の異なるその他のエラストマ本体部品にも当てはまる。
【0092】
基本的に、エラストマ本体部品92h、jからなる(及び不図示の補完部品からなる)円筒形構造と、この場合、同じエラストマ材料製のコンジットダクトまたはモジュール91の断面の外側輪郭に対する間隔(コンジット方向に対して垂直な)を形成するフレーム96による構成が表示されている。フレーム96は、さらに、それぞれ、対応する円筒状凹部と、コーナにテンションねじ94のための小さい追加四分円形状凹部を備えた矩形外側輪郭を含む二等分部分に分割される。さらに、二等分部分は、製造工程のために適する場合には、マルチパーツにすることが可能である。エラストマ本体部品92h及びjは、既述のように、第4及び第5の実施形態として、あるいは、第6の実施形態としても想定することが可能であり、スリットが、上方エラストマ本体部品96h及び下方エラストマ本体部品96hの上半分と、さらには、それぞれの中央の充填物を通って延びている。このスリットは、従って、エラストマフレーム96の上方領域及び中間領域も通って延びている。
【0093】
コンジット方向における各表面には、エラストマ本体部品に対してテンション装置93の接触圧を分散するガラス繊維強化プラスチック製の2つの圧迫板97が設けられている。図示の各半分に関して、ダクト方向のそれぞれの側には、スリット95に沿って分割された2つの圧迫板97が取り付けられており、圧迫板97が取り付けられているにもかかわらず、これらをやはりめくって開くことができるようになっている。2つのコンジットを収容するための半分の圧迫板97は、青に着色され、3つのコンジットを収容するための半分の圧迫板97は赤に着色されているので、この場合、カラーマーキングは挿入に適したコンジットの数に関連するが、その最大直径にも関連している。
【0094】
テンション装置93、93′、94に面したそれぞれの側に、圧迫板97は、コンジット方向に見た場合に、テンション装置93、93′、94の部分の後方に係合する外側輪郭98を備えている。外側輪郭98の領域におけるテンション装置と圧迫板97のこの輪郭整合が図9に示されている。それによって、圧迫板97が、形状圧締めによってモジュール91の外のその近くに保持されたエラストマ部品と共に引き出されるのが防止される。
【0095】
スリット95に面した側において、圧迫板97は、それぞれ、収容されるコンジットの最大直径よりわずかに大きい半径を備えた半円形凹部を有している。これにより、コンジットが何とか通り、それにもかかわらず、接触圧がうまくかかることが保証される。
【0096】
図11には、溶接されるか、または、密封ストリップと共に壁開口にねじ留めされるように設計されたちょうど1つの連続したスルーホールを有する金属製フレーム99内に本発明による4つの構造的に同じモジュール91を備える、実装済みの本発明によるシステムの平面図及び側面図が示されている。
【0097】
この実施形態の場合、全てのモジュール91には、自己テンション装置93、93′、94が含まれているが、4つのモジュール91のうちの1つまたは2つは、自己テンション装置91なしで挿入することも可能である。さらに、4つの構造的に同じモジュール91の選択は、ここでは自由になされており、異なる数のコンジット並びに異なるコンジット直径を収容するためのモジュール91の構造は、同様に意図されている。
【0098】
全てのモジュール91に張力がかかっている場合、各個別モジュールは、それぞれの場合に、外側に配置されたエラストマ本体密封面7によって、直接隣接モジュールで及びフレーム99でコンジット方向に対して垂直にその4つの側面を密封している。個別モジュール91のテンション装置93、93′、94をゆるめることによって、収容される可能性のあるコンジットに関するそれらの密封機能、または、フレーム99に対するそれらの密封及び締付けについて残りのモジュール91に影響を及ぼすことなく、個別モジュールをコンジットダクトシステムから取り出すことが可能になる。これにより、既存のコンジットダクトにおけるコンジットの交換または後続の追加を効率よく実施することが可能になる。
【0099】
図12には、バー101によって4つのスルーホールに仕切られたフレーム100の平面図及び側面図が示されている。この例によれば、フレームを用いて、それぞれ1つのコンジットダクト91(または21または51)あるいはコンジットダクトシステムを収容するための異なる数のスルーホールに壁開口を仕切ることも望ましい。
【符号の説明】
【0100】
11〜91 コンジットダクト
12〜92 エラストマ本体
12a、b、82a、b、c、92b〜j エラストマ本体部品
13〜93 テンション装置
14〜94 テンション装置
96 エラストマフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡略化のため以下ではコンジットダクトと称される壁開口にコンジットを密封して通すための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンジットダクトは、広く利用されており、とりわけ建物の壁に利用されている。さらに、コンジットダクトは、例えば船舶等のような建物の壁以外の壁にコンジットを密封して通すことでも知られている。従って、本発明に関して、壁はある領域の密封境界である。その点で、密封が液体及び/またはガスに関連する可能性のある、例えば、航空機、船舶、宇宙船、または、上陸用舟艇の、機械または工業用プラントの内壁または外壁が望ましい。しかしながら、壁は、例えば金属または高分子材料製の技術的装置のハウジングの壁である可能性もある。コンジットは、電流用、ガス用、水用、熱用、遠距離通信用、または、別の信号またはデータ用コンジットが望ましい。コンジットは、剛性またはたわみ性とすることが可能である。
【0003】
コンジットダクトには、加圧し、テンション装置によってコンジットに密封接着させることが可能なエラストマ本体を含むことが多い。そこで、エラストマ本体によってパイプ部分が密封されるように、コンジットに被覆が施されることもあり、さらにパイプ部分にはラインが通され、妥当な場合には、さらに密封を施すことが可能である。従って、「コンジット」という用語は、その中にさらにコンジットが配置されているダクトの全長についてのみ施される被覆にも関連している。
【0004】
通常、壁開口の内面または挿入されたフレームに対する、いずれにせよソフィットに対する密封接触は、エラストマ本体の加圧によって実施することが可能である。しかしながら、これは、下記の本発明に関しては必須ではない。実際、コンジットダクトは、エラストマ本体の加圧に頼ってコンジットダクトとソフィットの間を密封することなく、密封ねじ込みすることもできるし、あるいは、別様に密封取り付けすることも可能である。
【0005】
実際のところ、さまざまなタイプのコンジットを密封しなければならないだけではなく、さまざまなコンジット断面についても密封しなければならない。それらが、本発明に関してはやはり必須ではない通常の円形であったとしても、断面はやはり変動する。場合によっては、エラストマ本体の加圧及び弾性変形のためにどんなサイズの距離も埋めることができるというわけにはいかないので、個別に適合させた複数のエラストマ本体を供給し、然るべく適用することもある。
【0006】
さらに、それぞれコンジットを囲む一連の層を備えるエラストマ本体の構成が、先行技術文献によって既知のところである(例えば、特許文献1参照)。先行技術において、それらの層は「オニオンスキン」または「オニオンリング」と呼ばれる場合もある。それらは、比較的薄いブリッジによって片側が互いに結合されている場合もあるし、解放されている場合もある。とにかく、それらの層は、内側から始めて特定の数の層を除去することによって、エラストマ本体の開口を特定のコンジット断面に半径方向において適合させるために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 843 071 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、コンジット寸法に適合させるため一連の層を備える改良型コンジットダクトを提供する技術的課題を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決手段は、それぞれ一体になっている少なくとも2つの部分からなる、コンジットが通る壁の開口に密封を施すためのコンジットダクトと、エラストマ本体に張力をかけ、それによってエラストマ本体をコンジットに密封するように押し込むためのテンション装置であり、ここで、エラストマ本体の各部分は、組み立てた状態でそれぞれコンジットを囲む一連の多数の層を形成するようになっており、複数のそれらの層は同じ単一エラストマ本体部品に属し、隣接する層は異なるエラストマ本体部品に属することを特徴とする。
【0010】
従属請求項には望ましい実施形態が規定されているが、これらの実施形態のいくつかは、複数のそれらのコンジットダクトを備えたセットまたはシステムにも言及している。本発明は特定の用途も対象とする。単に用心の問題として留意しておくべきは、本発明に関する下記の説明において、望ましい特徴は、他の請求項のカテゴリ、とりわけコンジットダクトの製造方法及び壁開口にコンジットを密封する方法にも関連するという点である。
【0011】
本発明の説明のために、「エラストマ本体部品」という用語が用いられている。それによって、それ自体がそれぞれ相互結合された一体エラストマ部分を表わしている。従って、この用語は複数の独立した部分と理解してはならない。本発明によれば、一連の層の隣接層は、異なるエラストマ本体の部分に属している。複数の層すなわち結合されたオニオンスキンを備えるエラストマ本体部品は、先行技術で知られている限りでは、すぐ隣接しているかまたは細い円筒形スリットによって隔てられているだけであった。それとは対照的に、本発明では、異なるエラストマ本体部品の1つの層または複数の層も、同じ単一のエラストマ本体部品に属する層の間に位置するものとする。その点で、完全に解放されたオニオンスキンによる従来の解決法とは対照的に、複数の層が1つのエラストマ本体部品に属しているが、それにもかかわらず、追加層を個別に利用できるようにすることが可能であり、それについては後述する。
【0012】
従って、コンジットに対するさまざまな距離の隣接関係は、「隣接する」という用語、すなわち、一般的な円筒状幾何学構造に関する半径方向の隣接関係によって表わされる。先行技術の場合、コンジットを挿入するため分解するかまたはめくって開くことが可能なオニオンスキンのスリット列が既知のところである。そのため、それらのスリットは、コンジットのまわりではなく、コンジットに向かうかまたはそれから離れる方に、すなわち、とりわけ円筒状幾何学構造の半径方向に延びている。スリットは、本発明でも可能であり、好適でさえある。それらのスリットによって隔てられてはいるが、切り離された同じ層であるオニオンスキンまたは層の各部分は、「隣接する」で表わしてはならない、この用語は、従って、半径方向の隣接関係に関するものであり、円周方向に存在する隣接関係に関するものではない。
【0013】
既述のさまざまなエラストマ本体部品に対する隣接層の配分から明らかなように、複数の層を備えたエラストマ本体部品の層間には、追加層の最小厚さに対応する隙間が存在する。それによって、例えば射出成形によるエラストマ本体部品の製造がとりわけ容易になる。細い工具を用いてオニオンスキン間に施す細いスリットの切削加工、すなわち特に、コンジットとの距離に配慮した閉じた円形切削線に関連する作業及び列をなす複数のスリットに関連する作業を回避することが可能になる。切削加工工程は、比較的精緻であり、本発明によれば、射出成形を然るべく設計するか、または別の巧妙な合成材料製造工程を適合させることで代替させることが可能である。
【0014】
断面図において、層は、同じエラストマ本体の層間の隙間のためほぼ櫛の歯のように形成されており、エラストマ本体とコンジットダクトが組み立てられて、挿入されると、他の層が歯の間の隙間に挿入されることになる。その点で、他の層も、もう一度櫛のイメージを利用すると、見方によれば櫛がかみ合うように複数で同じ単一エラストマ本体部品に属することが可能である。やはりスリットを切削加工せずに、例えば、射出成形または3次元エラストマ本体のための他の定評のある方法によって製造することが可能な追加解放層を用いることも可能である。
【0015】
同じエラストマ本体の層間における既述の隙間の結果として、それらの層の間の結合ウェブは、先行技術による細い切削スリットだけで隔てられた層の場合よりも厚くなる。十分に薄い(コンジット方向において)設計の場合、結合ウェブはヒンジまたはフレクタとして利用することも可能である。そのうえ、それらの結合ウェブを層でくるむことが可能になるが、それについてはさらに後述することにする。切削スリットだけで隔てられた従来の連続したオニオンスキンの場合、半径方向の厚さはそれに十分ではない。十分なたわみ性を得るため、ウェブは簡単に剥ぎ取られるほど薄くしなければならない(コンジット方向において)。
【0016】
結合ウェブをより厚く設計することには、ウェブ厚と層厚を加えたものである、層に向かい合ったエラストマ本体の面において層毎に利用可能な厚さまたは環幅が、等距離の層に関して例えばほぼ2倍といったように先行技術の場合に比べて大幅に増すという利点がある。それに加えて、この面はラベルまたは他のマーキングにはるかに適したものになり、その結果、取付工は、試してみなくても、どの層をめくらなければならないかまたは除去しなければならないか、どの層にはそうしてはならないかを直接判断することが可能になる。
【0017】
コンジットまでの距離を決める方向に関して、すなわち円筒状幾何学構造の半径方向に関して、それぞれ複数の関連する層を備えた少なくとも2つのエラストマ部分が存在するのが望ましく、いくつかの実施形態ではちょうど2つ存在するが、異なる実施形態では3つの場合もあり、それらについてはいくつかの例に言及することにする。複数の層を備えた4つ以上のエラストマ本体部品も考えられる。それは、コンジットに向かう方向またはコンジットから離れる方向におけるスリットによる離隔(一連の層をめくって開くかまたは分解するための)を意味するものではない。例えば、コンジットを含んでいる断面に結合されたちょうど2つのエラストマ本体部品を備える実施形態の1つでは、スリットのために隔てられた4つ(半径方向のスリットが1つ通っている場合)またはそれを超える(スリットが2つ以上の場合)一体エラストマ本体部品を実際に含むことが可能である。従って、一体エラストマ本体部品の数について2つを選ぶかまたは3つを選ぶかは、コンジットを含んでいる断面のイメージに関連している。半径方向、または、より一般的にはコンジットの方に向かい、コンジットから離れる方向におけるスリットは無視される。
【0018】
一連の層において用いられている全ての層が、複数のものとしてそれぞれ1つのエラストマ本体部品に属している、すなわち、独立したオニオンスキンが生じないのがさらに望ましい。独立したオニオンリングは容易に製造可能であるが、個別部品数を増し、従って最終的には製造の複雑性を増すことになるが、とりわけ、本発明によるコンジットダクトを特定のコンジット型式に合せて組み立て、その型式に適合させる際の複雑性も増すことになる。
【0019】
既述のように、個々の層はコンジットを囲む、すなわち、ダクトを含む仮想本体の外側面(ある厚さを備える)を形成する。(この場合、やはり外側からコンジットの方に向かい、コンジットから離れて外側の方に向かうスリットは無視される)。この仮想本体は、必ずしもコンジットに対して対称または中心をなす必要はない。しかしながら、これは望ましい。さらに、複数の層を含むエラストマ本体部品の層は、エラストマ本体部品が少なくとも2つの場合、コンジット方向に関して中心ではなく端部が互いに結合されているのが望ましい。櫛のイメージに固執すると、歯は櫛の付け根から両側にではなく片側に突き出している。その点で、エラストマ本体部品の層は、はっきり云うとそれぞれ一方の端部が互いに結合された中空体を形成している。コンジットがなくても壁開口を密封するために設けることもあり得る中心層は、確かに中空ではないので、この点において例外である。
【0020】
さらに、望ましい実施形態の1つでは、層間の結合が、その端部においてではなく両端間のある位置で施されるため、すなわち、ある意味で櫛に両側への歯が含まれるため、第3のエラストマ本体部品がその効果の例外になる可能性がある。従って、上述のように2つのエラストマ本体部品の間にそのエラストマ本体部品を配置して、全部で3つのエラストマ本体部品によって(または、追加エラストマ本体部品が第3のエラストマ本体部品と同様に構成される場合、4つ以上によってでも)エラストマ本体を形成することが可能である。例証のため、いくつかの例に言及することにする。
【0021】
とりわけ、こうした第3のエラストマ本体部品には、例えば、EMI遮蔽に関する伝導率、X線吸収、または、防火特性といったいくつかの追加技術特性(弾性特性に加えて)を生じる機能的添加物を含むことが可能である。
【0022】
既述の回転対称性に関して、必ず、先行技術において既知のところであり、一般的である対称幾何学構造についてまず考慮しなければならない(もちろん、コンジットの方に向かう及びコンジットから離れる方に向いたスリットはやはり無視される)。その点で、オニオンスキンは、先行技術の場合には等距離であるが、これは本発明に関して必須ではない。例えば、コンジットまでの距離とともに厚さが増す、とりわけ比例して増す(従って、一定の相対的適応性が確保される)といったように、厚さの異なるオニオン層を用いるのが都合のいい可能性がある。層厚は、既存の標準断面にまたは実際に実施されているコンジット断面の他の分布に適応させることも可能であり、ある領域ではより密に、他の領域ではより粗く、適宜分布させることが可能である。
【0023】
しかしながら、本発明は、層の外側面が少なくとも部分的に円錐状の特定の非円筒形実施形態も対象としているが、「勾配」は比較的小さいのが望ましい、すなわち、円錐の外側面の「勾配」を形成する円錐角の半分は最大で10°、望ましくは5°である。層間の界面がそうした円錐状の場合、エラストマ本体部品をコンジット方向にわずかに引き離すことによって、層間に隙間を生じる可能性がある。材料の弾力性の範囲内で、これらの隙間は、張力のかかっている際に降伏を延長させることになり、従って、とりわけ一連の層によって特徴付けられる食い違いがこの適応にとって粗いはずであり、中間値が望ましいという場合、特定のコンジット寸法にまたはソフィット寸法にも精密に適応させるのに利用することが可能である。
【0024】
この機会に、本発明が、先行技術において既知のように、内側から始めて層を個々に除去することによるコンジット寸法への適応に関するものであることに言及しておかなければならない。しかしながら、本発明は、エラストマ本体が適合しなければならない特定のソフィット寸法への適応に関して、外側から始めて層を除去する補完的な場合も対象としている。もちろん、両方の場合も組み合わせることも可能である。
【0025】
層間の結合ウェブが、エラストマ本体全長の最大で10%、望ましくは7%〜5%と比較的わずかな特に好適な量にとどまるように、櫛の歯または層の長さを単位とするコンジット方向におけるエラストマ本体長を比較的大いに利用すべきである。従って、層は、引き剥がすかまたは切り取ることによっても容易に除去することが可能である。ただ単にめくることによる除去も含まれるが、たまたま不適合の場合には、層を元に戻すことも可能であり、その一方で緩むこともなかったので、これはその限りにおいて特に望ましい。その点で、層間の結合は、ある意味でヒンジとして利用されることになり、不要な層は、密封機能の妨げにならない領域までめくられることになる。
【0026】
さらに、エラストマ本体部品は、外側領域、すなわち、最外領域、または、もはや「引き離すことが可能」または「めくることが可能」とみなすことができない領域において、互いに中央部を、すなわち、エラストマ本体全長に関する約20%〜80%を接触させるのが有効であることが立証された。それによって、各エラストマ本体部品毎に、コンジット方向のある特定長部分が外側領域に残り、その領域における層厚が通常はわずかに厚くなる。エラストマ本体部品のこの部分は、安定化効果を有し、取扱いを簡単にする。この外側界面が、エラストマ本体全長の20〜80%の前記領域外に配置される場合、2つのエラストマ本体部品の一方についてほんのわずかな材料長しか残らなくなるが、大部分がオニオンスキンから構成され、取り扱い中不安定になる可能性のある。望ましい下限は30%及び40%であり、望ましい上限は70%及び60%である。
【0027】
上述のように、層はコンジットを囲まなければならない。これは、層を開放することが可能であり、このためにスリットが入れられることを除外するものではない。それどころか、スリットの実施形態は望ましい。従って、層を貫通して中央領域に入り込み、さらにその中を通るスリットは望ましい。次に、めくって開くことによってエラストマ本体にコンジットを挿入することが可能になり、開口からエラストマ本体に挿入する必要がない。その結果、とりわけ、既に壁開口に通されているか、または、別の方法による挿入を困難にするかまたは妨げるコンジットの密封も可能になる。
【0028】
もう1つの望ましい実施形態の場合、エラストマ本体は、外側面領域においてコンジット方向に対して垂直なその断面の厚くなった部分を備えており、この厚くなった部分は、コンジット方向においてエラストマ本体の全長の20〜80%の間にある。他方では、この厚くなった部分は、いわば一体化した楔のように、密封特性の向上に助けられてコンジット方向に対して垂直な方向により顕著な力を生じさせることが可能になる。これは、コンジットダクト内の少なくともコンジット長に沿った部分において、それぞれの接触圧が必要とされるが、挿入時におけるその取扱い特性の過剰な劣化を回避するため、エラストマ本体の断面は全体として拡大してはならない場合にとりわけ望ましい可能性がある。それに加えて、上述の厚くなった部分は、とりわけこの厚くなった部分を収容するための対応する中空形状が与えられている場合、エラストマ本体がうっかりしてコンジット方向に引き抜かれるのをある程度防ぐ働きをすることが可能である。この中空形状は、エラストマフレーム、すなわち、エラストマ本体を包囲するコンジットダクトの追加エラストマ部品にも与えることができるし、壁開口自体にも与えることが可能である。
【0029】
射出成形による望ましい製造については既に言及した。基本的に、本発明は、従来式に層間にスリットを切るのに比べて単純化されたさまざまな製造方法、とりわけ、金型を利用して、エラストマ材料を充填する方法に適している。射出成形以外では、プレス成形及びトランスファープレス成形がとりわけ望ましい。その場合、塑性変形可能な材料が型を用いてプレス成形され、トランスファプレス成形の場合には、押出し成形機によって送られる。さらに、鋳造(無圧力)、型内への発泡成形、型内への押出し成形、または、型内への吹込み成形も重要である。
【0030】
製造の単純化に関して、エラストマ本体部品の一定の標準化がさまざまなコンジットダクトに関して施される、もう1つの望ましい実施形態も重要である。
【0031】
その点で、異なるコンジットダクトが、それぞれ同じエラストマ本体を含んでいなければならない。コンジットダクトは、収容可能なコンジット数に関して及び/またはその寸法に関して異なる可能性がある。含まれるエラストマ本体は、必ずしも完全に同じである必要はなく、例えば、複数のコンジット用のコンジットダクトに異なるサイズのエラストマ本体を含むことが可能である。しかしながら、異なるコンジットダクトにおけるエラストマ本体部品に関して、例えば、同程度のコンジットサイズに同じエラストマ本体を用いることによって同一性が存在しなければならない。その点で、1組のエラストマ本体部品は、一連の層に対して内蔵システムを形成する「エラストマ本体」で表わされる。もちろん、これらのエラストマ本体は、さらに外側が(円筒形状の場合、半径方向においてさらに外側が)やはり張力をかけることに関与するエラストマ材料の他の構成要素によって包囲することが可能であり、例えば、それによってそれらを結合することが可能になる。エラストマ本体間の同一性または部分的同一性は、これらと無関係である。
【0032】
本発明の態様の1つは、かなり多くのダクトを収容することが可能な大きい開口に関するものである。従来式に、壁開口内のフレーム内において、エラストマ製の2つのそれぞれハーフシェルフが、それぞれのコンジットのまわりに配置されて、一緒にコンジットを包囲している。一方の側から始めて、壁開口は、さらなるエラストマ本体によって部分的に充填され、適切な場合にはさらなるコンジットを2つ1組にして包囲する。それまでダクト方向に対して垂直に無造作に重ねられていたエラストマ本体に加圧して、壁開口内でエラストマ本体とコンジットを機械的に締め付け、密封するため、テンション装置が、できればさらなる充填物とともに残りの部分に挿入され、壁開口を完全に充填する。その点で、本発明の場合には、上述のフレームは必須ではない。
【0033】
この実施形態において、複数で利用可能なコンジットダクトは、それぞれが、一緒に密封するため開口に挿入することが可能な断面を備え、コンジットを収容するための本発明によるエラストマ本体を含んでいるだけではなく、それぞれ、コンジット方向に張力をかけるためのテンション装置と、テンション装置に張力がかかる際、コンジット方向に対して垂直なモジュール周辺の外側にあるエラストマ密封面も備えるモジュールである。
【0034】
本発明の背景をなす概念は、先行技術によるコンジットダクト内にスタックされたエラストマ本体内部の圧迫効果は、テンション装置からの距離が増すにつれて低下するという発明者の発見に基づくものであり、これには遠隔エラストマ本体の密封機能が不十分になるかもしれないというリスクが伴う。他方で、圧迫が強まると、テンション装置に近接して配置されたエラストマ本体、及び、それに埋め込まれたコンジットにかかる機械的応力が強くなり、これらを破壊するリスクを伴う。
【0035】
さらに、先行技術によるこうしたシステムの取り付け中に、まず、壁開口内の全てのコンジットをエラストマ本体によって囲まなければならず、エラストマ本体は、テンション装置とともに壁開口を完全に充填し、取り付けの最終段階まですなわちテンション装置の張力がかかるまで、壁開口内で締め付けられないようにして、互いに隣接して配置しなければならないという欠点が判明した。結果として、取り付け中、エラストマ本体はその意図した位置から簡単に離れ、とりわけ垂直コンジットダクトの場合には壁開口から抜け落ちる可能性がある。
【0036】
コンジットを囲むエラストマ本体の「分散」圧迫によって、一様な密封機能のためのより優れた調整機能及びできるだけ均一な圧力分布が実現され、さらに、必要があれば、取付けを容易にするため、壁開口内部におけるセクション毎の、従って段階的な取付けが実現される。
【0037】
その点で、本発明によるコンジットダクトシステムは、部分的または完全に壁開口に埋め込まれるのが望ましいが、壁の開口の前に配置することも可能なフレームを備えた壁内の開口も対象としている。従って、「壁開口」のフレームのここではいわゆる「スルーホール」内へのコンジットダクトシステムの取付けも対象とされている。従って、下記において「スルーホール」という用語は、その一部が「壁開口」内に取り付けられたフレームのコンジットダクトシステムを収容するための開口を表わしている。
【0038】
その点で、連続開口が企図され、従って、互いに分離した複数の開口の集合は企図されない。こうした分離した開口は、先行技術の場合、とりわけ、フレームが複数の(各場合において連続した)スルーホールを含むように中実の格子状仕切りによって区切られており、先行技術において、さらにそのそれぞれにコンジットダクトが挿入される場合に見受けられる。従って、本発明は、モジュールが実際に挿入されて、互いに接触し、少なくともフレーム格子壁または他の剛性部分によって互いに分離されない用途に関するのが望ましい。
【0039】
本発明は、スルーホールが、開口内においてダクト方向に垂直な平面にモジュールを配列することにより、複数のモジュールで閉鎖されるように意図されている。このため、モジュールは開口にぴったりと収まる必要がある、すなわち、閉鎖するために配列されたモジュールの断面がスルーホールの断面の部分領域を構成し、これらのモジュールをスルーホールに一緒に挿入すると、密封できるようになっていなければならない。これに関して、モジュールは、ある領域を充填する構成に適した輪郭形状、例えば、矩形または正六角形の形状を備えるのが望ましい。
【0040】
スルーホール内において、モジュールは、少なくともテンション装置に張力がかかる際、モジュールの周辺のダクト方向に垂直な方向に対して外側に配置されたエラストマ本体密封面によって密封する。
【0041】
モジュールは、スルーホール内でそのテンション装置によって締め付けられるが、エラストマ本体は、ダクト方向に圧迫され、ダクト方向に対して垂直に膨らむので、外側に配置されたエラストマ本体密封面は押し出されることになる。この膨張によって、モジュールに張力をかけ、それによってモジュールをスルーホールの内面に対して締め付け、それと同時に、互いに並びにエラストマ本体に収容されたコンジットに対して密封することが可能になる。
【0042】
テンション装置に張力がかかる際のダクト方向に対して垂直なモジュールの膨張によって、単一列のモジュールが開口の一方の壁からもう一方の壁に到達するとすぐに、そのモジュール列をスルーホール内に取り付けることが可能になる。すなわち、本発明では、こうして、コンジットダクトに必要なモジュール全体がスルーホールに挿入される前に、モジュールの一部が既に取り付けられているようにすることが可能になる。
【0043】
さらに、望ましくはないが、本発明によるモジュールは、テンション装置のない追加モジュールとともに挿入することが考えられるが、この場合、モジュール列をスルーホールに挿入するには、各列毎に本発明によるモジュールが少なくとも1つ存在することが望ましい。本発明に関して、圧迫時にモジュールの膨張によって埋めることのできないギャップは、選択的にエラストマで造られた充填物を充填することによって塞ぐことが可能である。
【0044】
既に上述のように、エラストマ本体は、テンション装置によってダクト方向に圧迫され、それに対して垂直な方向の膨張によって密封し、スルーホール内でモジュールを締め付ける。なるべくなら、このためのテンション装置には、ダクト方向の両側に対するエラストマ本体の表面にダクト方向に加えられた張力を伝達する支持面が含まれる。それらの支持面は、前記表面と完全に境を接して、その力を一様に伝達するのが望ましい。これは、後述の全ての実施形態と同様、上述のモジュールアセンブリとは関係なく当てはまるが、とりわけそれに当てはまる。
【0045】
望ましい実施形態の1つでは、テンション装置は、閉じられると、エラストマ本体を囲むことによってそれに締結され、そうすることで、それがスリットまたはマルチパーツの場合、それと結合することが可能になる。このため、テンション装置は、ほぼベルトのようにダクト方向に対して垂直にエラストマ本体の外周を包囲するが、この外周面を完全に覆うわけではなく、エラストマ本体がダクト本体に対して垂直に膨張できるようにする。
【0046】
テンション装置は、包囲するため外周面に接する第1の脚を含み、圧迫するためエラストマ本体の各表面に接する第2の脚を含むことが可能である。その結果、エラストマ本体とテンション装置は、その2つの形状圧締めにより、例えばテンション装置を閉じる際にコンジットに引張力が働くと、エラストマ本体がモジュールからダクト方向に引き出されるのを防ぐ形状を示すことになる。
【0047】
例えば、テンション装置の検査、修理、または、交換を実施するため、コンジットからエラストマ本体取り除くかまたは壁開口からコンジットを取り出すことさえ必要とせずに、モジュールからテンション装置を取り外すことができるように、さらには、スリットの場合、または、マルチパーツ構造の取外し可能なエラストマ本体である結果として、スルーホール内に既に取り付けられているコンジットの密封のために、モジュールをさらに利用することができるように、テンション装置には、コンジットを挿入するかまたは取り出すためのクロージャを含むのが望ましい。
【0048】
クロージャの望ましい実施形態には、テンション装置を開き、張力をかけるためもう一度閉じることができるようにするテンションボルト、なるべくならネジが含まれる。テンション装置を開く場合、なるべくならダクト方向に張力をかけるためのもう1つのテンションボルト、望ましくはネジが、ダクト方向に対して垂直にテンション装置を開いて、コンジットを挿入するかまたは取り出すためのアーティキュレーテッドアクスルとして用いられる。張力を伝達するため、なるべくなら金属またはガラス繊維強化プラスチックがテンション装置の材料として用いられる。
【0049】
なるべくなら、コンジットダクトにはダクト方向に見えるカラーマーキングが含まれる。その点で、カラーマーキングは、例えば、モジュールが収容するのに適したコンジットの直径またはタイプに関する情報を表わすことが考えられる。
【0050】
テンション装置の圧力を分散するため、モジュールには、エラストマ本体の両側またはエラストマ本体部品のそれぞれに、例えば金属またはガラス繊維強化プラスチックのような固体材料製の圧迫板を含むのが望ましい。これによって、密封に必要なテンション装置の定圧が、エラストマ本体の表面の大部分に確実に伝達されることになる。可能性のある実施形態の1つでは、圧迫板は、エラストマ本体の両側のそれぞれにダクト方向にしっかりと取り付けられている。圧迫板を用いる場合、テンション装置は、それらの圧迫板に対しダクト方向に直接力を加えるが、エラストマ本体が取り付けられている圧迫板は、場合によってはテンション装置との形状圧締めによってモジュール内に保持することが可能である。
【0051】
さらに、1つまたは複数のコンジットを収容するエラストマ本体またはそれぞれのエラストマ本体部品は、収容されるコンジットの数並びにタイプ及び直径に関してモジュールを適合させることができるように、テンション装置を開くと、モジュールから取り外すことが可能であり、他のものと交換することが可能であるのが望ましい。
【0052】
有利な構造の1つにおいて、本発明によるコンジットダクトシステムは、とりわけ、本発明によるモジュールは、スルーホール外においてコンジットを収容することが可能であり、テンション装置のクロージャを閉じることによってコンジットにあらかじめ固定されるという特徴によって違いが示される。とりわけ、複数のコンジットを収容するダクトの場合、こうして密封エラストマ本体をコンジットに対しあらかじめ個別に固定できるというのは好都合である。従って、上述のスルーホール内におけるモジュールの張力分散に加えて、本発明には、例えば、取付け中に、エラストマ本体がスルーホールから抜け落ちるのが防止されるとか、密封の際、密封面に対する一様な圧力分布を実現することができるとか、例えば追加コンジットの収容または既存のコンジットの交換のため、それ以上コンジットシールを開くことなく、あるいは、スルーホール内から/にコンジットダクトのより大きい部品を取り外すか/新たに取り付けることを必要とすることさえなく、個々のモジュールを組み立てられたコンジットダクトシステムから外すことさえできるといったような、先行技術に対するさらなる利点がある。
【0053】
下記では、そこで開示される特徴が他の組合せにおいても本発明にとって重要になる可能性があり、上述のように、暗黙のうちに本発明の全カテゴリに関連している実施形態を用いて、本発明についてさらに詳述することにする。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】コンジット方向における正面図、その右側に、コンジット方向が投影面内において水平方向に配置された断面図、その下方に、コンジット方向が投影面内において垂直方向に配置された平面図を配した本発明の第1の基本実施形態を示す図である。
【図2】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図3】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図4】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図5】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図6】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図7】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図8】それぞれ、同じような表現でより複雑な実施形態を示す図である。
【図9】本発明によるモジュールの平面図及び側面図である。
【図10】圧迫板が取り付けられた図9のエラストマ部品の平面図及び側面図である。
【図11】フレーム内に4つのモジュールがある、本発明によるコンジットダクトシステムの平面図及び側面図である。
【図12】それぞれ4つのモジュールのために4つのスルーホールを備えたフレームの平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1には、左上に、単一のコンジットが中央に配置されるように設けられた本発明による実施形態の1つが示されている。コンジットダクト11には、2つのエラストマ本体部品12a及び12bを備えたエラストマ本体12と、4つの半円形でU字形の金属板または圧迫板13とネジ14の形態をなす4つのテンションボルト14でできているテンション装置が含まれている。
【0056】
基本的幾何学構造は、不図示のコンジットの中心軸が円筒軸をなす明らかに円筒状である。これに関して、また、テンション装置13、14の設計に関して、この実施形態は、先行技術と一致するが、エラストマ本体12の設計だけが異なっている。先行技術とは対照的に、すなわち、両方のエラストマ本体部品12a、bが互いに組み合わせられまたはかみ合って、互いの後に続く中空の円筒を構成しており、これについては右上の断面A−Aで確認することができる。この断面において、それらは、左のエラストマ本体部品12aの層が左側で半径方向に延びるウェブによって結合され、右のエラストマ本体部品12bの層が右側で結合された、櫛の歯のように見える。分かりやすくするため、層は、参照番号によって個別に表示されていないが、断面で見ることができる。留意すべきは、左上の正面図において(及び以下の図において)、円はこれらの層間の境界を示しているのではなく、この場合、エラストマ本体部品12bの外側における結合ウェブのノッチを示しているということである。これらのノッチは、右上の断面において細い水平線として表示されており、壁の薄い部分を形成しているが、途切れる部分はない。
【0057】
両方のエラストマ本体部品とも、軸方向に見て、半径方向の外側領域においてエラストマ本体の半分を形成しており、半径方向の最も内側の領域には、第1のエラストマ本体部品12aの中央部分を形成する円筒形ブロックが設けられている。少なくともこのブロックは、コンジットを挿入するために取り除かなければならないが、コンジットがない場合でも壁開口の密封に役立つ。このブロックは、引きちぎるかまたは切り取ることによって除去しなければならない。
【0058】
それとは対照的に、半径方向の外側においてこのブロックに続く層は、引きちぎるかまたは切り取ることができるだけではなく、それどころか、結合ウェブの半径方向の長さのおかげで外側にめくることが可能であり、それで十分である。従って、それらは、断面図(右上)に関して、図においてエラストマ本体12が占めている領域の左または右に配置される。それ自体既知の方法で、通されるコンジットに対して寸法を適応させることが可能である。しかしながら、それによる間違いがあった場合には、層を元通りに巻きつけることも可能である。埃の中にあったために、もう一度挿入された場合に、層を損なうことになるかまたは層に漏れを生じさせるという恐れがなく、あるいは、幾何学的に不正確に再挿入されるという恐れもない。それどころか、結合ウェブと薄い部分によって決まるめくりメカニズムは、完全にぴったりと元の位置に戻すことを可能にする。
【0059】
コンジットを実際に挿入しなければならない場合、断面図(右上)の下方領域に(領域ほぼ下方1/6に)断面線として見られるエラストマ本体部品12a、bのスリット15を利用することが可能である。このスリット15は、左上の正面図では垂直方向に引かれた実線としても見られる。断面右側の断面線に対応する下方点線領域は、スリットではない。それは、エラストマ本体部品12a、bを曲げて開くことができるようにするのに役立つ。同じ目的で、U字形の圧迫板13は半円形に分割されている。
【0060】
エラストマ本体部品12a、bは、共通エラストマ本体部品に属する層が十分に大きいので、2つのエラストマ射出成形部品として製造することが可能である。高度な切削加工は大幅に省略される(すなわち、直線形状のためこれに関して問題の少ないスリット15を除いては)。従って、エラストマ本体部品12a、bは、一体にして、テンション装置13、14を設けることが可能である。それに加えて、U字形圧迫板13をぴったりと取り付け、圧迫板13の両側の対応するネジ穴にテンションネジ14を押し込んで、ねじ込まなければならない。
【0061】
建設現場において、職人は、従って、コンジットダクトを開放し、中央ブロックを取り除くだけではなく、それぞれの数の層をめくることによって、通されるコンジットに応じてそれを適応させ、さらに、それぞれコンジットを挿入するかまたはコンジットのまわりをコンジットダクトで包囲し、例えばコンクリート壁にコアドル加工した壁開口のソフィットにそれを挿入し、テンションネジ14でそこに締め付けることが可能である。
【0062】
図2には、図1と同様の表現による第2の実施形態21が示されている。ここでは、対応する部品には、10だけ値を高くした参照番号が付いている。
【0063】
第1の実施形態とは対照的に、正面図(左上)から容易に推定できるように、ここでは3つまでのコンジットの収容が意図されている。
【0064】
三つ組みをなすように設けられた連続した層は、それぞれ図1の第1の実施形態に質的に対応するが、それぞれ個別に円筒対称性に見える3組の連続した層が線状に変位して並ぶように配置されている。それにもかかわらず、エラストマ本体22全体は、2つのエラストマ本体部品22a、bだけから構成されており、第1の実施形態に類似したスリット25が3組の連続した層の全てを貫通しているが、図の上部に配置された断面線で示す結合ウェブはそのままにしている。
【0065】
この場合、圧迫板23は、より一般的な意味において、U字形としても形成されているが、単純な半円形の環状形状ではなく、それぞれ、連続した層の円形部分を除いてエラストマ本体22の全体形状に対応する矩形の半分として形成されている。矩形の形状のため、この実施形態は、フレームに設けられた壁開口にとりわけ適しており、ボアにはそれほど適していない。
【0066】
同様の説明は製造及び利用にも当てはまるが、この場合、1組だけの連続した層または2組だけの連続した層に対するコンジットの割り当てが可能であり、さらに、連続した層は個別に適応させることができるので、異なるサイズのコンジットを挿入することも可能である。
【0067】
図3の第3の実施形態31は、図1の基本的実施形態を3つのコンジットに敷衍したものであるという限りにおいて、図2の実施形態と似ている。しかしながら、この場合、3組の連続した層の配列は線状ではなく、円形の壁開口により適しており、第2の実施形態とは対照的に矩形の壁開口には適さない正三角形の形状をなしている。そのため、この実施形態は、コアボアに極めて適している(第1の実施形態と同様に)。
【0068】
対応する部品は、やはり、図2に対して10だけ値を高くした参照番号が付いている。従って、一般的な意味においてU字形状の6つの圧迫板33がやはり生じることになる。連続した層は線状に配列されていないので、この場合、スリット35はY字形である(図3の左上に反転されている)。圧迫板33は、図3の上方の連続した層(図3の右上に断面が示されている)をめくって開放する妨げにならないようにその中心から2つの部分に分割されている。それとは別に、同じ説明が前述の実施形態にも当てはまる。
【0069】
図4には、やはり10だけ値を高くした参照番号が付いた第4の実施形態41が示されているが、これは、第3の実施形態を直接4つのコンジットにまで敷衍したものである。従って、4組の連続した層は、やはり円筒形の基本形状をなすように二次配列されている。この点において、図1、2、及び、3の所見が当てはまる。
【0070】
しかしながら、それとは対照的に、2つのエラストマ本体部品だけが設けられているわけではない。それどころか、連続した層の各組は、それぞれ、2つのエラストマ本体部品から構成されており、図4の右上に示されたものには42a〜dの参照番号が付いている。従って、連続した層のエラストマ本体部品が、その結果全部で8つ含まれることになる。それらは、はっきりさせるため、エラストマ本体またはエラストマ本体部品とは称されないが、実際には同じエラストマ材料から構成されているエラストマフレーム46に保持され、それによって囲まれている。すなわち、それは、それ自体連続した層を含んでおらず、それらとコンジットダクトの外側輪郭との間の形状がぴったり合うように適応させる。しかしながら、それは、図4の左上の正面図に45で表示の位置にスリットが設けられており、従って、全体としては一体であるが、全てのエラストマ本体部品42a〜dを(もちろん、不図示で、番号が付いていないものも)取り出すことができるようにめくって開放することが可能である。
【0071】
最初の3つの実施形態とのもう1つの相違は、図4の右に47で表示された、エラストマ本体部品42a〜dの外周面に軸方向に中心がくるように設けられた半径方向の厚くなった部分である。これらの厚くなった部分は、外側エラストマフレーム46の対応するくぼんだ凹部にかみ合い、それによって、エラストマ本体部品42a、bを軸方向に引き抜かれないように固定する。くぼんだ凹部を省略すれば、対応する厚くなった部分においてコンジット方向に対して垂直に局所的に働く力が増すのは容易に想像がつく。これは、エラストマフレームと組み合わせる場合にも(この場合、凹部はない)、エラストマフレームを追加しないで壁開口へ取り付ける場合にも(すなわち、図1〜3による)当てはまる。厚くなった部分及び対応する円錐形凹部を省略すると、エラストマ本体部品はコンジットと共にコンジット方向により簡単に押し出すことが可能になるので、エラストマフレーム46にスリットを入れるのも省略することが可能になる。
【0072】
図5には、矩形の基本的幾何学構造に関して図2と対応し、エラストマ本体部品の設計に関して図4と対応する実施形態が示されている。図4と5を比較すると、そこでなされている、エラストマ本体部品42a〜d、図5の52a、bとフレーム46、図5の56の間の分離の重要な利点が明らかになる、すなわち、前者を標準化することが可能である。実際、エラストマ本体部品42a、cと52aは、ちょうどエラストマ本体部品42b、d、及び、52のように少なくとも射出成形に関して互いに同じである。従って、それらは、例えば、図4における4つ組及び図5における3つ組のような異なる構成及び数をなすようにコンジットダクトと組み合わせることができる連続層の単位に合せて、一緒に詰めることが可能である。コンジットダクトの対応する外のり寸法並びにその中の連続層単位の構成への適応は、フレーム46及び56によって行うことが可能である。
【0073】
ところで、外側フレームには、図5の右上の断面線によって判断されるように、図5の55で表示の位置に、すなわち、図5の左上における連続層の円筒状単位の下にスリットが入れられる。それによって、エラストマフレームをめくって開き、連続した層52bに達することが可能になる。
【0074】
後者は、図3に示すようにスリットを入れることが可能であり、この場合、外側から円筒軸までの切削で十分である。しかしながら、コンジットを通さなければならないことが受け入れられる場合には、スリットを入れる必要がない。従って、図5にはスリットが描かれていない。
【0075】
図6には、基本幾何学構造に関して図3に対応するが、エラストマ部品の分割/分離に関して図4及び5に対応する第6の実施形態が示されている。従って、対応するいくつかの説明に言及する。
【0076】
こうして他の実施形態で実施することも可能な図6の実施形態のもう1つの特徴は、図6の右上の断面図で示されているように、層がそれぞれ円錐形ということである。この場合、円錐面に対応する円錐の半円錐角は約2°である。
【0077】
図6に基づくと、ある特定の数の層を除去した後、おそらく所望のコンジットにはまだ小さすぎる内のり寸法が得られることは容易に想像がつくが、それ以上の層を除去するのは、内のり寸法が大きくなりすぎるかまたは接触圧が弱くなりすぎるので避けねばならない。この場合、2つのエラストマ本体部品62a、bは互いに少し引き離される可能性があるが、それにより層間に隙間を生じることになり、その結果、加圧中、弾性変形のためにコンジットへの接触圧が弱くなるか、あるいは、以前は大きすぎた対応するコンジットを容易に通すことがまたは挿入することが可能になる。
【0078】
コンジットの内部中空空間が非変形状態の円錐側面も備えるという事実は、材料の弾性のため、欠点ではない。
【0079】
図7には、もう1つの実施形態が示されており、参照番号の値がやはり10だけ高くなっている。このバージョンは、図3から始めて説明することが可能である。まず、この場合、図3とは対照的に、正三角形をなすように配列された3組の連続層だけではなく、正方形をなすように配列された4組の連続層も設けられている。図3の反転Y字方スリット35の代わりに、この場合はそれぞれ角度のついた2つのスリットが存在し、そのそれぞれが、図7の左上の正面図において、上方の連続層の外側からそれぞれの中心までの最短距離部分に沿って45°の角度で延び、そこから下方に曲がっている。スリットは、ちょうど下方の連続層の最上層に達し、そこで終了する。圧迫板73が、それに対応して3つの部分に分割されているが、それについては図から明らかである。それにより、このコンジットダクトもめくって開放し、4組の連続層の全てにコンジットを挿入することが可能である。
【0080】
さらに、やはり2つのエラストマ本体部品72a、bが存在し、それぞれ、コンジット方向に対して垂直なコンジットダクトの全断面にわたって連続している。2つのエラストマ本体部品72a、bが係合せず、ここでは72cで表示され、それぞれ中空の円筒形状を備える、互いに分離された独立した追加層のためそれぞれの層間に隙間を形成しているのが特徴である。それらの3つが、連続層毎に存在し、従って全部で12になる。
【0081】
その実施形態は、本発明が、それぞれ共通のエラストマ本体部品に複数で属する全ての層に制限されるものではなく、単一層の場合もあり得るという事実の例証に役立つ。とりわけ、それら中空円筒形状層72cも射出成形によって製造することは絶対に可能である。しかしながら、それらは、個別部品数が増すので特に望ましくはない。
【0082】
図8は、基本的に図7に対応する。しかしながらそれとは対照的に、図7の個別層72cは、第3の相互結合エラストマ本体部品82cとして実施される。それに加えて、個別結合ウェブを組み合わせる中央のエラストマ層が設けられており、コンジットに対して垂直な円形ディスクを形成し、外側に厚くなったリムを備えている。それは層と一体化している。冒頭で用いた櫛の概念を参考にすると、これは、図8の右上の断面図では、中央に設けられた両側に向いた歯を備える櫛に右に向いた歯を備える櫛が左から係合し、左に向いた歯を備える櫛が右から係合していることを意味する。
【0083】
一方で、この実施形態は、本発明の概念の普遍性を例証するのに役立つ。他方では、それは、例えば防火手段に関してEMI防護として、あるいは、例えばX線防護として特殊用途のために、基本的にコンジット方向に対して垂直な断面をふさぐ機能層をコンジットダクト内に設けなければならない場合には、とりわけ魅力のあるものになる可能性がある。こうした場合、エラストマ材料には、その伝導性またはその吸収能力に関して、火災防止または他の目的に役立つ追加物を設けることが可能である。こうした追加物は、変形及び密封特性をわずかに劣化させることがよくある。従って、この場合中央にある対応するエラストマ本体部品が、弾性特性のより優れたエラストマ本体部品によって両側で包囲される場合には、それは好都合である。
【0084】
典型的な追加物は、例えば、アルミニウム、銅、シリコン、または、さらには炭素のような、エラストママトリックス内に分散し、それに伝導性をもたらす金属または半導体粒子である。従って、こうした層は、とりわけ、なんとしても取り付けられて、EMI防護としての働きをするコンジットダクトのネジによって接地するのが望ましい。防火に適した追加物は、例えば、ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンのような熱の影響下において大幅に容積を増す容積発生発泡剤である。
【0085】
X線遮蔽に関して、一酸化鉛または硫酸鉛、一酸化バリウムまたは硫酸バリウム等のような重金属酸化物または化合物を用いることが可能である。
【0086】
第3のエラストマ本体部品82cは、半径方向の外側領域が厚くなっており、従って、コンジット方向における長さも長い。この厚くなった部分は、第3のエラストマ本体部品82cの比較的頑丈な部分を構成するので、取扱い特性を向上させる可能性がある。それは、壁に特にうまく接触して壁開口の不均一部分を支障なく密封することが可能な特定の材料、すなわち、ゲル状または膨張性の材料に置き換えて用いることも可能である。こうした材料と加圧によって圧迫されるエラストマを組み合わせるのは、密封特性に関してとりわけ有利になる可能性がある。もちろん、これは、EMI防護層、X線防護層、または、防火層のような層の追加機能に関する上記説明とは全く無関係である。
【0087】
下記の図9〜12には、本発明によるコンジットのさらなる実施形態だけではなく、コンジットダクトシステム用のモジュールとしてのコンジットダクトの有用性についても示されている。
【0088】
図9には、テンション装置93、93′、94が開かれた、5つのコンジットを収容する本発明によるコンジットダクトシステム92の二次モジュール91のコンジット方向における平面図が左に示されている。それに対して垂直な方向における側面図が右側に示されている。
【0089】
連続層に関して、エラストマ本体は、10のエラストマ本体部品に分割されているが、そのうちの92b、d、f、h、jが示されており、図4、5、または、6にも対応することが可能である。先行実施形態のように、テンション装置93、93′、94に張力がかかっていなくても、エラストマ本体部品92b〜jを囲むエラストマフレーム96が、コンジット方向に対して垂直にモジュール91の全周囲の外側に配置された密封面を形成している。さらに、図9の上部において、それには、コンジット方向に対して垂直にそれを開放するためのスリット95が設けられている。それは、図10では比較のため省略されている。エラストマ本体部品92b〜jは、全部で5つのコンジットを収容するのに適しているが、エラストマフレーム96と共に、図10を用いてさらに詳細に後述することにする。
【0090】
テンション装置には、コンジット方向の両側において、すなわち、ガラス繊維強化プラスチック製で、その端部のそれぞれにテンションボルトとしてネジ94を収容するための装置を備えたモジュール91の左側及び右側において、図9の上部と下部に位置し、鋼で作られた各側に2つずつのU字形93と、各側に2つずつの垂直結合部品93′が含まれている。それらのネジ94の1つは、クロージャとして機能することが可能であり、隣接するネジは、モジュール91を開き、エラストマ本体部品92b〜jを取り出して、コンジットを収容するための関節として機能することが可能である。図において、クロージャとして機能するネジ94は、テンション装置を開くため、それから引抜かれている。図9の右の側面図によって、コンジット方向におけるモジュール91の構成が明らかであるが、それに関して、テンション装置93、93′、94は、両側の外側に位置している。その間で、エラストマ本体部品92b〜jがフレーム96によって囲まれている。
【0091】
図10には、右半分に、図9からのエラストマ本体部品の右半分の平面図が示されており、左側には、それに対して垂直な方向の側面図が表示されている。3つのコンジットを収容するための左半部は、同じように構成されているので、下記の説明はそれにも当てはまり、基本的には、コンジット構造の異なるその他のエラストマ本体部品にも当てはまる。
【0092】
基本的に、エラストマ本体部品92h、jからなる(及び不図示の補完部品からなる)円筒形構造と、この場合、同じエラストマ材料製のコンジットダクトまたはモジュール91の断面の外側輪郭に対する間隔(コンジット方向に対して垂直な)を形成するフレーム96による構成が表示されている。フレーム96は、さらに、それぞれ、対応する円筒状凹部と、コーナにテンションねじ94のための小さい追加四分円形状凹部を備えた矩形外側輪郭を含む二等分部分に分割される。さらに、二等分部分は、製造工程のために適する場合には、マルチパーツにすることが可能である。エラストマ本体部品92h及びjは、既述のように、第4及び第5の実施形態として、あるいは、第6の実施形態としても想定することが可能であり、スリットが、上方エラストマ本体部品96h及び下方エラストマ本体部品96hの上半分と、さらには、それぞれの中央の充填物を通って延びている。このスリットは、従って、エラストマフレーム96の上方領域及び中間領域も通って延びている。
【0093】
コンジット方向における各表面には、エラストマ本体部品に対してテンション装置93の接触圧を分散するガラス繊維強化プラスチック製の2つの圧迫板97が設けられている。図示の各半分に関して、ダクト方向のそれぞれの側には、スリット95に沿って分割された2つの圧迫板97が取り付けられており、圧迫板97が取り付けられているにもかかわらず、これらをやはりめくって開くことができるようになっている。2つのコンジットを収容するための半分の圧迫板97は、青に着色され、3つのコンジットを収容するための半分の圧迫板97は赤に着色されているので、この場合、カラーマーキングは挿入に適したコンジットの数に関連するが、その最大直径にも関連している。
【0094】
テンション装置93、93′、94に面したそれぞれの側に、圧迫板97は、コンジット方向に見た場合に、テンション装置93、93′、94の部分の後方に係合する外側輪郭98を備えている。外側輪郭98の領域におけるテンション装置と圧迫板97のこの輪郭整合が図9に示されている。それによって、圧迫板97が、形状圧締めによってモジュール91の外のその近くに保持されたエラストマ部品と共に引き出されるのが防止される。
【0095】
スリット95に面した側において、圧迫板97は、それぞれ、収容されるコンジットの最大直径よりわずかに大きい半径を備えた半円形凹部を有している。これにより、コンジットが何とか通り、それにもかかわらず、接触圧がうまくかかることが保証される。
【0096】
図11には、溶接されるか、または、密封ストリップと共に壁開口にねじ留めされるように設計されたちょうど1つの連続したスルーホールを有する金属製フレーム99内に本発明による4つの構造的に同じモジュール91を備える、実装済みの本発明によるシステムの平面図及び側面図が示されている。
【0097】
この実施形態の場合、全てのモジュール91には、自己テンション装置93、93′、94が含まれているが、4つのモジュール91のうちの1つまたは2つは、自己テンション装置91なしで挿入することも可能である。さらに、4つの構造的に同じモジュール91の選択は、ここでは自由になされており、異なる数のコンジット並びに異なるコンジット直径を収容するためのモジュール91の構造は、同様に意図されている。
【0098】
全てのモジュール91に張力がかかっている場合、各個別モジュールは、それぞれの場合に、外側に配置されたエラストマ本体密封面7によって、直接隣接モジュールで及びフレーム99でコンジット方向に対して垂直にその4つの側面を密封している。個別モジュール91のテンション装置93、93′、94をゆるめることによって、収容される可能性のあるコンジットに関するそれらの密封機能、または、フレーム99に対するそれらの密封及び締付けについて残りのモジュール91に影響を及ぼすことなく、個別モジュールをコンジットダクトシステムから取り出すことが可能になる。これにより、既存のコンジットダクトにおけるコンジットの交換または後続の追加を効率よく実施することが可能になる。
【0099】
図12には、バー101によって4つのスルーホールに仕切られたフレーム100の平面図及び側面図が示されている。この例によれば、フレームを用いて、それぞれ1つのコンジットダクト91(または21または51)あるいはコンジットダクトシステムを収容するための異なる数のスルーホールに壁開口を仕切ることも望ましい。
【符号の説明】
【0100】
11〜91 コンジットダクト
12〜92 エラストマ本体
12a、b、82a、b、c、92b〜j エラストマ本体部品
13〜93 テンション装置
14〜94 テンション装置
96 エラストマフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンジットが通される壁開口にシールを施すためのコンジットダクト(11〜91)であって、
それぞれ一体である少なくとも2つの部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)で造られた、前記コンジットに密封接触するためのエラストマ本体(12〜92)と、
前記エラストマ本体(12〜92)に張力をかけ、それによって前記エラストマ本体(12〜92)を圧迫して、前記コンジットを密封するためのテンション装置(13〜93、14〜94)が含まれており、
前記エラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)が、組み立てられた状態において一連の多数の層を形成するのに適しており、それらの層が、それぞれ前記コンジットを囲むことと、
複数の前記層が同じ単一のエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に属しており、隣接層が異なるエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に属していることを特徴とする、
コンジットダクト。
【請求項2】
前記コンジットまでの距離に対して前記少なくとも2つのエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)を備え、複数の層がそれぞれそれに属していることを特徴とする、請求項1に記載のコンジットダクト(11〜91)。
【請求項3】
前記一連の層の全ての層が、それぞれ複数で同じ単一のそれぞれのエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に属していることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンジットダクト(11〜61、81、91)。
【請求項4】
前記コンジットまでの距離に対して、通されるコンジット毎に2つ〜3つのエラストマ本体部品(12a、b、62a、b、82a、b、c、92b〜j)が含まれることを特徴とする、請求項3に記載のコンジットダクト(11〜61、81、91)。
【請求項5】
エラストマ本体部品(82c)に、弾性特性に関連した目的以外のための機能的添加物が含まれることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載のコンジットダクト(81)。
【請求項6】
少なくとも2つのエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)の層が、前記コンジットの中心軸に対して回転対称をなしており、最大で1つの例外を除くと、前記中心軸に対して垂直な壁によって端部が互いに結合された中空体であることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載のコンジットダクト(11〜91)。
【請求項7】
前記層の内側面及び外側面が少なくとも部分的に円錐形であることと、前記円錐角の1/2が最大で10°であることを特徴とする、請求項6に記載のコンジットダクト(61)。
【請求項8】
隣接するエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)間の前記コンジットの中心軸に対して垂直な界面が、コンジット方向におけるエラストマ本体全長の外側10%内において、前記一連の層の内側の周辺に配置されており、前記コンジット方向におけるエラストマ本体(12〜92)の前記全長の20%〜80%の間において、前記一連の層に対して外側に配置されていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載のコンジットダクト。
【請求項9】
前記エラストマ本体(41〜61)に、前記エラストマ本体(41〜61)の全長の20%〜80%の間に配置された、前記コンジット方向に対して垂直な前記断面の厚くなった部分が含まれることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載のコンジットダクト。
【請求項10】
前記エラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)が、射出成形部品、プレス成形部品、または、トランスファプレス成形部品であることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載のコンジットダクト。
【請求項11】
互いに異なるが、それぞれ、セットをなす他のコンジットダクト(91)のエラストマ本体と同じエラストマ本体を含んでいる、請求項1〜10の1つに記載の複数のコンジットダクト(91)を備えるコンジットダクトセット。
【請求項12】
モジュールとして複数のコンジットダクト(91)を収容する壁の単一開口にシールを施すための請求項1〜10の1つに記載の複数のコンジットダクト(91)を備えるコンジットダクトシステムであって、
前記複数のコンジットダクトに、それぞれ、
密封のためにそれらを一緒に挿入することが可能な前記壁開口の断面に関して前記コンジット方向に垂直なそうした断面と、
前記コンジット方向において働き、従って、前記コンジット方向に対して垂直に前記エラストマ本体を拡げることが可能な、それぞれ個別に張力をかける自己テンション装置(93、94)と、
前記テンション装置(93、94)に張力がかかる際、前記コンジットダクト(91)の外周において、前記コンジット方向に対して垂直な方向に対して外側に配置されている、各それぞれのエラストマ本体部品のそれぞれの密封面(96)が含まれている、
コンジットダクトシステム。
【請求項13】
前記それぞれのテンション装置(93、94)に、それぞれ、前記それぞれのコンジットを挿入するかまたは取り出すために開き、再び閉じて、閉じると、前記ダクト方向に対して垂直に前記それぞれのコンジットダクトの前記エラストマ本体を囲むクロージャ(94)が含まれることを特徴とする、請求項12に記載のコンジットダクトシステム。
【請求項14】
前記エラストマ本体(12〜92)に寸法的に適応するように、エラストマ本体部品の前記層によって、前記同じエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)の他の層に対する結合ウェブをくるむが、それについて、前記層は前記エラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に結合したままであることを特徴とする、請求項1〜10の1つに記載のコンジットダクト(11〜91)、または請求項11に記載のコンジットダクトセット、または請求項12または13に記載のコンジットダクトシステムの利用。
【請求項15】
建物の壁、船舶の壁、または、ハウジングの壁内に、電流用、ガス用、水用、熱用、遠距離通信用、信号用、またはデータ用コンジットを密封するための請求項1〜10の1つに記載のコンジットダクト(11〜91)、または、請求項11に記載のコンジットダクトセット、または請求項12または13に記載の、さらに請求項14とも組み合わせたコンジットダクトシステムの利用。
【請求項1】
コンジットが通される壁開口にシールを施すためのコンジットダクト(11〜91)であって、
それぞれ一体である少なくとも2つの部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)で造られた、前記コンジットに密封接触するためのエラストマ本体(12〜92)と、
前記エラストマ本体(12〜92)に張力をかけ、それによって前記エラストマ本体(12〜92)を圧迫して、前記コンジットを密封するためのテンション装置(13〜93、14〜94)が含まれており、
前記エラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)が、組み立てられた状態において一連の多数の層を形成するのに適しており、それらの層が、それぞれ前記コンジットを囲むことと、
複数の前記層が同じ単一のエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に属しており、隣接層が異なるエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に属していることを特徴とする、
コンジットダクト。
【請求項2】
前記コンジットまでの距離に対して前記少なくとも2つのエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)を備え、複数の層がそれぞれそれに属していることを特徴とする、請求項1に記載のコンジットダクト(11〜91)。
【請求項3】
前記一連の層の全ての層が、それぞれ複数で同じ単一のそれぞれのエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に属していることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンジットダクト(11〜61、81、91)。
【請求項4】
前記コンジットまでの距離に対して、通されるコンジット毎に2つ〜3つのエラストマ本体部品(12a、b、62a、b、82a、b、c、92b〜j)が含まれることを特徴とする、請求項3に記載のコンジットダクト(11〜61、81、91)。
【請求項5】
エラストマ本体部品(82c)に、弾性特性に関連した目的以外のための機能的添加物が含まれることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載のコンジットダクト(81)。
【請求項6】
少なくとも2つのエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)の層が、前記コンジットの中心軸に対して回転対称をなしており、最大で1つの例外を除くと、前記中心軸に対して垂直な壁によって端部が互いに結合された中空体であることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載のコンジットダクト(11〜91)。
【請求項7】
前記層の内側面及び外側面が少なくとも部分的に円錐形であることと、前記円錐角の1/2が最大で10°であることを特徴とする、請求項6に記載のコンジットダクト(61)。
【請求項8】
隣接するエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)間の前記コンジットの中心軸に対して垂直な界面が、コンジット方向におけるエラストマ本体全長の外側10%内において、前記一連の層の内側の周辺に配置されており、前記コンジット方向におけるエラストマ本体(12〜92)の前記全長の20%〜80%の間において、前記一連の層に対して外側に配置されていることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載のコンジットダクト。
【請求項9】
前記エラストマ本体(41〜61)に、前記エラストマ本体(41〜61)の全長の20%〜80%の間に配置された、前記コンジット方向に対して垂直な前記断面の厚くなった部分が含まれることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載のコンジットダクト。
【請求項10】
前記エラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)が、射出成形部品、プレス成形部品、または、トランスファプレス成形部品であることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載のコンジットダクト。
【請求項11】
互いに異なるが、それぞれ、セットをなす他のコンジットダクト(91)のエラストマ本体と同じエラストマ本体を含んでいる、請求項1〜10の1つに記載の複数のコンジットダクト(91)を備えるコンジットダクトセット。
【請求項12】
モジュールとして複数のコンジットダクト(91)を収容する壁の単一開口にシールを施すための請求項1〜10の1つに記載の複数のコンジットダクト(91)を備えるコンジットダクトシステムであって、
前記複数のコンジットダクトに、それぞれ、
密封のためにそれらを一緒に挿入することが可能な前記壁開口の断面に関して前記コンジット方向に垂直なそうした断面と、
前記コンジット方向において働き、従って、前記コンジット方向に対して垂直に前記エラストマ本体を拡げることが可能な、それぞれ個別に張力をかける自己テンション装置(93、94)と、
前記テンション装置(93、94)に張力がかかる際、前記コンジットダクト(91)の外周において、前記コンジット方向に対して垂直な方向に対して外側に配置されている、各それぞれのエラストマ本体部品のそれぞれの密封面(96)が含まれている、
コンジットダクトシステム。
【請求項13】
前記それぞれのテンション装置(93、94)に、それぞれ、前記それぞれのコンジットを挿入するかまたは取り出すために開き、再び閉じて、閉じると、前記ダクト方向に対して垂直に前記それぞれのコンジットダクトの前記エラストマ本体を囲むクロージャ(94)が含まれることを特徴とする、請求項12に記載のコンジットダクトシステム。
【請求項14】
前記エラストマ本体(12〜92)に寸法的に適応するように、エラストマ本体部品の前記層によって、前記同じエラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)の他の層に対する結合ウェブをくるむが、それについて、前記層は前記エラストマ本体部品(12a、b、82a、b、c、92b〜j)に結合したままであることを特徴とする、請求項1〜10の1つに記載のコンジットダクト(11〜91)、または請求項11に記載のコンジットダクトセット、または請求項12または13に記載のコンジットダクトシステムの利用。
【請求項15】
建物の壁、船舶の壁、または、ハウジングの壁内に、電流用、ガス用、水用、熱用、遠距離通信用、信号用、またはデータ用コンジットを密封するための請求項1〜10の1つに記載のコンジットダクト(11〜91)、または、請求項11に記載のコンジットダクトセット、または請求項12または13に記載の、さらに請求項14とも組み合わせたコンジットダクトシステムの利用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−523845(P2011−523845A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511988(P2011−511988)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001748
【国際公開番号】WO2009/146761
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510321413)ハウフ テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001748
【国際公開番号】WO2009/146761
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510321413)ハウフ テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
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