説明

一酸化窒素送達システム

本発明は、個人の肺に治療量の一酸化窒素を送達する移動式、又は固定式装置に関する。一実施形態は、治療量の一酸化窒素を送達するシステムであって、四酸化二窒素を保有する液体タンク;該タンクに接続された管;該管に接続された第1の波状管であって、該第1の波状管が、還元剤と共に表面活性物質を含む、該第1の波状管;及び該第1の波状管に接続された患者用インターフェイスであって、該第1の波状管が、該患者用インターフェイスに到達する前に二酸化窒素を一酸化窒素に変換する、該患者用インターフェイスを備える、前記システムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、引用により全容が本明細書中に組み込まれている、2009年11月20日出願の先行の米国仮出願番号第61/263,332号の恩典を請求するものである。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一酸化窒素を送達する移動式装置、及び固定式装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
一酸化窒素(NO)は、ニトロシルラジカルとしても知られており、重要なシグナル伝達分子であるフリーラジカルである。例えば、NOは、血管の平滑筋を弛緩させ、これにより血管が拡張し、該血管を通る血流が増加する。NOは、2、3秒の寿命の間は非常に反応性に富むが、迅速に体内で代謝されるため、これらの影響は、小さい生物学的領域に限定される。
典型的には、NOガスは、窒素ガス(N2)で希釈され、ボンベに充填された気体の形態で供給される。NOは、O2の存在下では二酸化窒素(NO2)に酸化してしまうため、NOガスのタンク中に、極微量の酸素(O2)も存在しないように注意を払わなければならない。NOとは異なり、100万分の1の濃度のNO2ガスでも、吸入されると非常に有毒であり、肺に硝酸、及び亜硝酸を生じさせる。
【発明の概要】
【0004】
(概要)
一実施形態では、治療量の一酸化窒素を送達するシステムは、四酸化二窒素を保有する液体タンク、該タンクに接続された管、該管に接続された第1の波状管であって;該第1の波状管が、還元剤で被覆された表面活性物質を含む、該第1の波状管、及び該第1の波状管に接続された患者用インターフェイスであって、該第1の波状管が、該患者用インターフェイスに到達する前に二酸化窒素を一酸化窒素に変換する、該患者用インターフェイスを備えている。該管は、水晶管、又は石英管としても良い。該管は、約50μm以下の口径を有し得る任意の適合性材料とすることができる。該管は、約25μm以下の口径を有しても良い。該管は、10μm以下の口径を有しても良い。該管は、密封することができる。該システムは、密封された管の先端部が折られて作動される。該管は、水晶としても良い。該システムは、タンク、及び管に接続された弁をさらに備えても良く、該弁は、可変サイズの孔の役割を果たし得る。該システムは、タンクに連通した空気ポンプをさらに備えても良い。該ポンプは、バッテリ駆動式ポンプとすることができる。該システムは、加圧吸引ガス、例えば、空気、又は酸素の供給源をさらに備えても良い。該システムは、タンクに取り付けられた加熱要素をさらに備えても良い。患者用インターフェイスは、マウスピース、鼻カニューレ、フェイスマスク、完全密封型フェイスマスク、又はベンチレーター、もしくは麻酔装置に取り付けられた気管内挿入管とすることができる。特定の実施形態では、タンクは、圧縮二酸化窒素を、希釈ガスを伴い、又は伴わずに保有することができる。例えば、該タンクは、窒素、空気、酸素富化空気、又は実質的に純粋な酸素をさらに保有することができる。表面活性物質は、シリカゲルとすることができる。抗酸化剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールとすることができる。抗酸化剤は、たとえ収率が非常に低くても、二酸化窒素を一酸化窒素に還元できる任意の抗酸化剤とすることができる。表面活性物質は、たとえ各側で50%の収率でも、プロセスが数千回も繰り返されると99.99%の有効収率となるように、複数の衝突を可能にする非常に大きい有効表面積を有するべきである。該システムは、還元剤で飽和された表面活性物質を含む第2の波状管をさらに備えても良い。NO2、又はN2O4をNOに変換できる任意の適切な還元剤は、当業者によって決定されるように使用することができる。例えば、還元剤には、ハイドロキノン、グルタチオン、及び/又は1つ以上の還元金属塩、例えば、Fe(II)、Mo(VI)、NaI、Ti(III)、もしくはCr(III)、チオール、又はNO2-が含まれ得る。還元剤は、抗酸化剤とすることができる。抗酸化剤は、抗酸化剤の水溶液とすることができる。抗酸化剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールとすることができる。当業者によって決定される活性、及び特性によって、任意の適切な抗酸化剤を使用することができる。抗酸化剤は、乾燥形態、又は湿潤形態で使用することができる。患者用インターフェイスは、患者の口、もしくは鼻への送達管、又は喉の管への送達管、又は患者にガスを送達するベンチレーター、もしくは麻酔装置への送達管とすることができる。該システムは、患者の身体に装着されるように構成することができる。
【0005】
タンクは、球形、又は円筒形とすることができる。タンクは、溶融石英タンクとして良い。タンクは、非反応性金属タンクとしても良い。該非反応性金属には、パラジウム、銀、プラチナ、金、アルミニウム、又はステンレス鋼が含まれ得る。該タンクは、アルミニウムタンク、又はステンレス鋼タンクとしても良い。該システムは、タンク、及び管を覆う絶縁材をさらに備えても良い。この絶縁カバーは、アルカリ溶液をさらに含んでも良い。絶縁材は、該システムの突発事故の場合に安全手段としても役立ち得る、NO2を吸収する活性炭としても良い。アルカリ溶液は、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、又はケイ酸ナトリウムとしても良い。
【0006】
別の実施形態では、患者に一酸化窒素を送達する装置は、四酸化二窒素を保有する液体タンク、該タンクに接続された管であって、該管が、約25μm以下の口径を有する、該管、該管に接続された、抗酸化剤の水溶液で飽和された表面活性物質を含む第1の波状管、及び該第1の波状管に接続された患者用インターフェイスであって、該第1の波状管が、該患者用インターフェイスに到達する前に二酸化窒素を一酸化窒素に変換する、該患者用インターフェイスを備えることができる。該装置は、タンクに取り付けられる加熱要素をさらに備えても良い。該装置はまた、タンクに連通した空気ポンプを備えても良い。該ポンプは、バッテリ駆動式ポンプとすることができる。該装置は、一酸化窒素、及び/又は二酸化窒素モニターをさらに備えても良い。該モニターは、患者への流れからガスサンプルを取り出し、該ガスサンプルをサンプリング管によって検出器に送達する従来のモニターとすることができる。該モニターはまた、管の側壁の一部となるように、患者へのガス配管に沿って取り付けることができる。このようなインラインモニターの利点は、出力が非常に迅速であること、及びサンプリングラインが必要なく、かつモニターへの管における二酸化窒素の生成(及び一酸化窒素の減少)について修正する必要ないことである。
【0007】
さらなる実施形態では、第1の端部、及び第2の端部を有する本体を備える中空管であって、該本体は、複数の同心円の中空リブを備え、かつ表面活性物質を含む。該表面活性物質は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するために抗酸化剤の水溶液で満たすことができる。該表面活性物質には、シリカゲル、活性チャコール(activated charcoal)、活性炭(activated carbon)、活性アルミナ、又硫酸カルシウムが含まれ得る。
【0008】
他の特徴は、様々な実施形態の特徴である、例として例示される、添付の図面を参照する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、NO送達システムの線図である。
【0010】
【図2】図2は、N2O4タンク、及び臨界流量制限器を例示する線図である。
【0011】
【図3】図3は、標準的なNO発生カートリッジを例示する線図である。
【0012】
【図4】図4は、複数の同心円の中空リブを備えた管を例示する線図である。
【0013】
【図5】図5は、複数の同心円の中空リブを備えた管の拡大図を例示する線図である。
【0014】
【図6】図6は、リブを例示する線図である。
【0015】
【図7】図7は、アスコルビン酸/シリカゲル粉末が充填された、直径が25μmの波状管における温度に対するNOの出力を例示するグラフである。
【0016】
【図8】図8は、アスコルビン酸/シリカゲル粉末が充填された、直径が50μmの波状管における空気の流量に対するNOの出力を例示するグラフである。
【0017】
【図9】図9は、可撓性の波状管におけるNO、及びNO2の出力を例示するグラフである。該グラフは、相対湿度、出口での温度、周囲温度、及びNO2/NOX比もさらに例示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
一酸化窒素(NO)は、ニトロシルラジカルとしても知られており、肺血管における重要なシグナル伝達分子であるフリーラジカルである。一酸化窒素(NO)は、肺動脈圧の上昇によって引き起こされる肺高血圧を緩和することができる。低濃度、例えば、1〜100ppmの範囲の一酸化窒素(NO)の吸入により、肺血管の拡張によって迅速かつ安全に哺乳動物の肺高血圧を低下させることができる。
【0019】
一酸化窒素(NO)の吸入によって一部の障害、又は生理学的状態を緩和することができる。低濃度の吸入一酸化窒素(NO)を使用して、限定されるものではないが、急性肺血管収縮、外傷、呼吸、又は気道傷害、肺における脂肪塞栓症、アシドーシス、肺の炎症、成人呼吸窮迫症候群、急性肺水腫、急性高山病、心臓手術後急性肺高血、新生児の持続性肺高血圧、周産期吸引症候群、硝子膜症(haline membrane disease)、急性肺血栓塞栓症、ヘパリン−プロタミン反応、敗血症、喘息、及び喘息重積状態、又は低酸素症を含み得る障害を防止する、逆転する、又は進行を制限することができる。一酸化窒素(NO)はまた、慢性肺高血圧、気管支肺異形成症、慢性肺血栓塞栓症、及び突発性、もしくは原発性肺高血圧症、又は慢性酸素欠乏症の治療にも使用することができる。NOは、インフルエンザの治療にも使用することができる。NOはさらに、肺におけるインフルエンザウイルスの複製の抑制にも使用することができる。
【0020】
一般に、一酸化窒素(NO)は、吸入、又は他の方法によって個人の肺に送達される。治療量のNOの投与は、NOの吸入によって緩和できる障害、又は生理学的状態を患っている患者の治療となる、或いはこのような障害、又は生理学的状態における従来の治療を補う、又はその必要性を最小限にするであろう。
【0021】
現在、吸入用NOガスを送達する承認された装置、及び方法は、複雑で重い設備を必要とする。NOガスは、微量の酸素も含まない重いガスボンベに窒素と共に貯蔵される。該NOガスは、特殊なインジェクター、及び複雑なベンチレーターで空気、又は酸素と混合され、該混合プロセスは、高精度マイクロプロセッサ、及び電子機器を備えた設備で監視される。NO2が非常に有毒であるため、該混合プロセス中にNOが酸化して二酸化窒素(NO2)にならないようにするためには、この全ての設備が必要である。しかしながら、この設備は、そのサイズ、コスト、複雑さ、及び安全性の問題により、この設備の運転が、医療施設で高度な訓練を受けた専門家に制限されるため、非医療施設環境(例えば、戦闘活動地、辺鄙な荒れ地、家庭、買い物中、又は仕事中)での使用に適していない。
【0022】
NO治療は、有効であるが、嵩張り、かつ/又は重い設備を必要とするため、患者の移動性が制限される場合がある。したがって、空気でNOを送達する軽量かつ携帯型の移動式装置が、患者の生活の質を向上させる可能性を有する。該装置は、小型のバッテリ駆動式ポンプによって、又は患者の吸入(喫煙と同様)によって駆動することができる。加えて、NOを供給する(例えば、N2O4をNOに変換する)治療は、酸素療法よりもコスト効率が良いであろう。
【0023】
本明細書に開示される送達装置は、重いガスボンベ、ガスの圧力、及び流量のレギュレーター、高度な電子機器、又は監視設備を必要としない、自給式の携帯型システムである。加えて、該送達装置は、使用が容易であり、特別な訓練を一切必要としない。さらに、該送達装置では、個人がNO治療を自身で行うことが可能である。該送達装置はまた、軽量かつ小型で、携帯型である。一実施態様によると、該NO送達装置は、1回限りの使用、又は24〜200時間持続する短期間の治療に適したコーラの缶の大きさである。或いは、該治療は、1回当たり、カテーテル検査室での5〜20分から、日中の6時間、1日24時間で数週間までと、継続し得る。別の実施形態では、該NO送達装置は、葉巻のサイズ、又は従来の吸入器のサイズである。或いは、該NO送達装置は、大きめの装置であるが、より長い期間にわたってNOを送達できる携帯型装置である。一実施形態では、該NO送達装置は、僅か1グラムの液体N2O4、又は0.7mL未満のN2O4の供給源から、NOが80ppmで、1L/分の流量で4日間にわたってNOを送達することができる。別の実施形態では、該NO送達装置は、僅か0.5グラムの液体N2O4の供給源から、数日間にわたってNOを送達することができる。
【0024】
図1に示されているように、NO送達システムは、タンク101を備えている。一般に、タンク101は、NOの貯蔵方法によって、連続して2、3分から1日以上NOを供給する。一実施形態では、タンク101は、NOに変換されるNO2を治療量貯蔵する。治療量のNOは、NO2がNOに変換される前のまだNO2である間に必要な濃度に希釈される。数日にわたる長期使用の別の実施形態では、NOは、NO2に気化して、典型的にはNOに変換される液体四酸化二窒素(N2O4)として貯蔵される。様々な実施形態では、タンク101は、2、3ミリグラムから数十グラムの液体N2O4を保有できるサイズである。短期間の治療の場合は、タンク101は、2、3ミリグラムのN2O4を保有できるサイズにすることができる。例えば、タンク101は、約7mgのN2O4(l)を保有できるサイズにしても良く、この量は、20ppmのNOを10分間供給できるであろう。長期間の適用例では、タンク101は、長期間の使用、例えば、数週間用に10g以上のN2O4を保有できるサイズにすることができる。例えば、約0.3gのN2O4を保有するタンクは、20L/分で24時間、20ppmのNOを供給することができ、10gのN2O4を保有するタンクは、約30日間、NOを連続供給することができるであろう。他の実施形態では、タンク101は、1ml未満、2ml未満、3ml未満、4ml未満、5ml未満、又は10ml未満の液体N2O4を保有できるサイズである。
【0025】
一実施形態では、タンク101は、1g(約0.7ml)のN2O4(102)を保有することができる。該タンク101は、非常に小さい口径の小さいオリフィス、又は管103に取り付けることができる。タンク101、及び管103は、絶縁材115によって覆うことができる。N2O4は21℃で沸騰するため、タンク内の圧力は、例えば、31℃で約15psi(約0.10MPa)、41℃で約30psi(約0.21MPa)、51℃で約60psi(約0.41MPa)であろう。ガスレギュレーターで装置内のガスの圧力を制御するのではなく、該装置内の圧力が正確に制御されるように温度を制御することができる。ガスが蒸発すると、1つのN2O4分子が、2つのNO2分子になる。NO2の既知のガスの物理的な性質を使用すると、約3〜4μmの臨界オリフィス口径では、NO2は、約0.16ml/分で漏出するであろう。この0.16ml/分のNO2が、2L/分のガス流で希釈されると、得られる濃度は、80ppm(100万分の1)となるであろう。例えば、口径が25μmで、長さが約20インチ(約50.8cm)の水晶管103を使用しても、同じ結果を達成することができる。
【0026】
タンク101内の圧力は、温度を制御することによって極めて正確に制御することができる。該タンクからの流量Qは、差圧、及び管の直径の4乗に比例し、管の長さに反比例する。この式を、この適用例で試した。
Q=ΠΔPD4
128μL
【0027】
一実施形態では、小さい開閉弁をタンクと細い管との間に挿入することができる。該弁は、可変サイズの孔の役割を果たし得る。別の実施形態では、水晶管は、高温フレームで密封して弁を設けない;この結果、既知の温度に加熱されるタンク、及び細い管のみを備えた極めて単純な装置となる。該装置は、タンクを加熱して、管を望ましい長さに切断して作動させることができる。
【0028】
別の実施形態では、NO送達システムは、管105を介して約0.5〜2L/分の空気を送る空気ポンプ104を備えることができる。他の実施形態では、該空気ポンプは、約4〜20L/分で作動することができる。加熱されたN2O4供給源は、NO2を徐々に気流に送り、気流中のNO2の濃度を約80ppmにすることができる。次いで、この気流が、シリカゲル、及びアスコルビン酸を含む短い約1インチ(約2.54cm)の波状管106を通過する。該充填管が波状ではなく、平滑な壁を有する場合は、該管は、該気流がシリカゲル、及びアスコルビン酸を迂回する経路を防止するべく、微粉末の沈降を回避するために垂直位置に配置する必要がある。
【0029】
第2のバックアップ波状管108を、カニューレ107の直前に配置しても良い。こうするには3つの理由がある:第1に、第2の管は、相互接続管で生じる全てのNO2をNOに戻すことができる。第2に、第2の管は、第1の管106が故障した場合に、二重に余剰なNO2をNO反応器に供給することができる。第3に、第2の管は、NO2の非存在を保証できるため、安全目的でNO2モニターを有する必要性をなくすことができる。2つの管が、異なるバッチのシリカとアスコルビン酸から形成されると、安全性がさらに向上する。
【0030】
図1は、吸気口(矢印109)、及び空気ポンプ104への吸気接続部110を例示している。加圧空気が該ポンプから送出される。移動式として使用される場合は、この気流は、0.1〜5L/分の範囲とすることができる。一実施形態では、該ポンプは、バッテリ駆動式ポンプである。空気は、圧縮機によっても供給することができる。空気はまた、例えば、病院では、壁の排気口から供給することもできる。システムの内部構成要素が純酸素での使用に適している場合は、酸素を空気の代わりに使用することができる。タンク101に貯蔵されている液体N2O4は、抗酸化剤の水溶液を含有する表面活性物質を含む波状管106に細い溶融毛細管103によって接続されている。該管は、石英管、溶融石英管、又は水晶管としても良い。該管は、約50μm以下、25μm以下、例えば、15μm、10μm、又は5μmの口径を有することができる。該管は、10μm以下の口径を有することができる。該管の口径は、必要な濃度、及び流量に基づいて選択することができる。一実施形態では、80ppmで20Lを送達するためには、80μm以上の口径が必要であろう。該管は、ガスクロマトグラフィーに使用されるタイプとすることができる。該管は、内側の被覆は備えていないが、外側に、該管の破損を防止するためにポリイミド保護層を被覆しても良い。該管は、30インチ(76.2cm)の長さとすることができ、該管の前後の圧力差が、治療用量となる正しい流量のNO2を供給すると計算されるのであれば、僅か0.25インチ(0.635cm)の長さとしても良い。0.1〜50インチ(0.254〜127cm)の管長が使用された。
【0031】
加熱されると、液体N2O4は、その沸点が約21℃であるため蒸発してNO2になる。該蒸気がタンクを加圧して、少量のガスが蒸発して、管103を通って第1の波状管106に流れる。第1の波状管106の内部、又はその直前で、NO2が、まず空気と混合され、次いでNOに変換される。該波状管は、変換カートリッジ、又はGeNOratorと呼ぶこともできる。一実施形態では、NO発生カートリッジ、GENOカートリッジ、又はGENOシリンダーを、該波状管の代わりに、又は該波状管に加えて使用することができる。このようなNO発生カートリッジは、米国特許出願第12/541,144号(引用により本明細書中に組み込まれている)に記載されている。第1の波状管106は、入口、及び出口を備えている。一実施形態では、該波状管には、抗酸化剤の水溶液への浸漬により抗酸化剤が被覆された表面活性物質が充填されている。この組み合わせは、時には、ピクシーダスト(pixie dust)と呼ばれることもある。抗酸化剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、γトコフェロール、又は殆ど全ての適切な還元剤としても良い。表面活性物質は、シリカゲル、又は還元剤と適合性である表面積の大きい任意の物質としても良い。
【0032】
波状管の入口は、NO2を含む気流を受け取ることができる。該入口はまた、窒素(N2)、空気、又は酸素(O2)中にNO2が含まれる気流を受け取ることもできる。広範囲の濃度で変換が生じる。一実施形態では、波状管には、最初にアスコルビン酸の飽和水溶液に浸漬されたシリカゲルが充填された。他のサイズのカートリッジも可能である。湿潤シリカゲルは、Aldrich Chemical社のA.C.S.(米国化学会)試薬グレード99.1%純度と指定されたアスコルビン酸(すなわち、ビタミンC)、及びS8 32-1、グレード40のサイズが35〜70のメッシュと指定された、Fischer Scientific International社のシリカゲルを使用して調製した。同様のサイズの他のシリカゲルも、その特定の材料が、実験で検査されて適しているかが判定されるのであれば、有効であり得る。シリカゲルは、約5重量%〜35重量%のアスコルビン酸を水中で混合し、攪拌し、そして該水/アスコルビン酸混合物をシリカゲルに通して濾過することによって調製したアスコルビン酸の溶液でシリカゲルを湿潤させ、続いて脱水することができる。アスコルビン酸で被覆されたシリカゲルが湿潤している場合は、NO2からNOへの変換が、良好に進行することが見出されている。NO2からNOへの変換は、NO2が、アスコルビン酸単独の水溶液中で泡立った場合は、十分に進行しない。
【0033】
次いで、NOガスは、第1の波状管106から出ることができる。一実施形態では、該第1の波状管106を出たNOは、NOセンサ111に入る。該NOセンサは、鼻カニューレ管107に直接連結することができる。該NOセンサは、NOガスが流れていることを確認するために使用される任意選択の安全装置とすることができる。該NOセンサは、別個のNOモニターとしても良いし、又は該センサと電子機器をガス流路自体に取り付けても良い。流路内に該センサを取り付ける理由は、別個のサンプリングラインが必要なく、かつ検出器の応答時間も、数秒から数ミリ秒に短縮されるためである。
【0034】
さらなる実施形態では、該鼻カニューレ管107は、抗酸化剤の水溶液への浸漬により抗酸化剤が被覆された表面活性物質を含む第2の波状管108に接続することができる。第2の波状管108の機能は、第1の波状管106と同じであり、該第1の波状管が故障したときにバックアップとして機能してNO2をNOへ変換する。次いで、該混合物が、患者用インターフェイス112に直接流れる。該患者用インターフェイスは、マウスピース、鼻カニューレ、フェイスマスク、又は完全密封型フェイスマスクとしても良い。患者に送られるガス気流中のNO2濃度は、第2の波状管がガスライン内に存在する全てのNO2をNOに変換するため、たとえ該カニューレへのガスの流れが遅延したとしても常にゼロである。
【0035】
図1に例示されているシステムの1つ以上の構成要素は、互いに直接接続しなくても良いことも企図される。図1は、ポンプ104及び電力モジュールが、N2O4タンク101、第1の波状管106、及び第2の波状管108から分離されていることを例示している。該電力モジュールは、購入して別個に取り付けることができ、内蔵型の専用バッテリを備えても良いし、又は使い捨て、もしくは充電式バッテリを使用しても良い。該ポンプは、家庭などのコンセントから電源をとっても良いし、又はバッテリ式、太陽光発電式、もしくはクランク式でも良い。N2O4タンク101、第1の波状管106、及び第2の波状管108は、使い捨てモジュールとしても良い。該使い捨てモジュールは、例えば、処方薬として薬局で別個に購入することができる。使い捨てモジュールは、寿命が6時間、24時間、2日間、4日間、7日間、2週間、又は1ヶ月以上となるように設計することができる。一実施形態では、該波状管におけるN2O4、及びアスコルビン酸/シリカゲルの組み合わせの両方の物質の量を2倍にすると、使い捨てモジュールの寿命は、2倍に増加し得る。
【0036】
図1に例示されているシステムは、任意選択でNO2モニターを備えることができる。NO2センサは、別個のNO2モニターとしても良いし、該センサ、及び電子機器を、ガス流路自体に取り付けても良い。流路に取り付ける理由は、別個のサンプリングラインが必要なく、かつ検出器の応答時間も、数秒から数ミリ秒に短縮されるためである。NO2の場合、NO2が管壁に「付着し」、結果として該システムの時定数が、例えば、数分から数時間と非常に長くなり得るため、サンプリングラインを可能な限り短く維持することが特に重要である。インラインセンサを設けることにより、この問題を解決することができる。
【0037】
NO、及びNOセンサは、定期的に較正することができ、また定期的に検査して、これらが完全に機能し、かつ故障していない、及び/又はなお較正の範囲内であることを確認することもできる。較正、及び検査は、面倒で時間がかかり、較正が、その前の較正の直後に失敗したという確証がない。この理由から、センサを自動較正することが望ましい。成功している1つの方法では、スパイクの時間が僅か2、3ミリ秒となるように、NO、及び/又はNO2の極短時間のスパイクを供給する。これは、コンピュータがスパイクの時間周波数、及び振幅を認識して、この結果を較正チェックとして使用するのに十分な時間である。
【0038】
N2O4タンク、及び臨界流量制限器:図2は、N2O4タンク210、及び臨界流量制限管200を例示する線図である。該タンク210は、球形、ほぼ球形、又は管状とすることができる。該タンク210は、N2O4に対して化学的に安定な材料から形成することができる。化学的性質に基づいて、該タンクは、溶融石英(高グレードの水晶)、アルミニウム、又はステンレス鋼から形成することができる。該タンクは、非反応性金属、例えば、パラジウム、銀、プラチナ、金、アルミニウム、又はステンレス鋼から形成することができる。
【0039】
球形は、物理的に最も強いだけではなく、排出管が中心から突き出ているため、液面が管200自体に絶対に接触しない、従って液体がシステムから排出されない任意の方向での動作が可能であろう。当業者の判断により、幾何学的形状、管状、立方体を含む他の形状を使用しても良い。
【0040】
タンク210、及び毛細管200は、圧力を加えて該タンクからNO2を排出させるために加熱する必要がある。一実施形態では、図1、及び図2に例示されている送達システムは、寒冷環境(例えば、約5℃未満、或いは抗酸化剤と水の組み合わせが凍結する、及び/又はN2O4が凍結する温度)で使用される加熱要素を備えることができる。該加熱要素は、該タンクに取り付けられる。該加熱要素は、電動式、化学駆動式、又は太陽光発電式としても良い。例えば、該加熱要素は、Omega社、ステンレス鋼シーズカートリッジヒーター(Stainless Steel Sheath Cartridge Heater)であっても良い20ワットのヒーターとすることができる。該システムはまた、その加熱と冷却の両方ができるように熱電対冷却器も備えても良い。このような装置は、市販されており、温度を迅速に変更することができる。或いは、該タンク、又は送達システムは、個人の体温を利用して該システムを動作温度(すなわち、NO2が十分な蒸気圧を有し、かつアスコルビン酸−水が液体を維持する温度)に維持するために、個人の身体にストラップで固定する、又は他の方法で密着させて、NOの用量を十分にすることができる。
【0041】
21℃では、タンク210の圧力は、N2O4(図2の参照番号230)がこの温度で沸騰するため、大気圧に等しいであろう。30℃では、液体よりも高い蒸気圧は、約2気圧であろう。蒸気圧は、40℃で約4気圧、50℃で約8気圧に上昇する。このような圧力は、蒸気を貯蔵タンク210から口径が25μmの管200を介して、NO2がNOに変換される波状管の気流に送るのに十分である。
【0042】
該圧力は、理論から予想されたように、10℃上昇するごとに約2倍になることが実験的に示されている。従って、一定の圧力、つまり一定の駆動力を維持するためには、アセンブリ220の温度を制御しなければならない。温度が1.0℃上昇すると、圧力が約10%上昇する、従って気流中の濃度も10%上昇するであろう。一定の流量を、例えば、±5%の範囲内に維持するためには、タンクの温度を、0.25℃の範囲内で一定に維持する必要がある。
【0043】
タンク210が保有できるN2O4の量に対する1つの制限は、すべての液体N2O4が、突然部屋に流出してNO2に気化するという突発事故が起きたときの結果に関係している。万一この事態が起こった場合、室内のNO2濃度は、職場のOSHA(米国安全衛生局)の基準である5ppmを超えるべきではない。FDAガイダンスの文書「2000年1月14日付けの一酸化窒素送達装置、一酸化窒素分析装置、及び二酸化窒素分析装置についての市販前の通知提出用の指針書(Guidance Document for Premarket Notification Submissions for Nitric Oxide Delivery Apparatus, Nitric Oxide Analyzer and Nitrogen Dioxide Analyzer dated 24 January 2000)」で規定された基準の部屋は、3.1×6.2×4.65メートルの広さで、換気が行われていない。このガイドラインを満たすために、タンク内に保有できるN2O4の最大量は、約1グラム、又は0.7mlであり、約4日間持続するであろう。
【0044】
圧力が、典型的には2000psi(約13.79MPa)よりも高い高圧ガスボンベについて安全規定が記載されているが、これは、内圧が僅か112psi(約0.77MPa)に等しい僅か8気圧の場合には起きる可能性が極端に低い。実際、高圧ガスボンベは、内圧が150psi(約1.03MPa)よりも低下すると、空と見なされる。この限度の超過を可能にするための別のアプローチとして、タンク210、及び管200を含み得る貯蔵容器を、漏出した場合に酸性N2O4/NO2を中和できるアルカリ溶液240で取り囲むことができる。突発的な破裂が起きた場合、タンク210は、内容物が周囲のアルカリ溶液中に漏出するように設計されているため、有毒N2O4は中和される。アルカリ溶液は、pHが7を超える任意の溶液とすることができる。限定されるものではないが、酸化カルシウム(消石灰)、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、ケイ酸ナトリウムを含む任意のアルカリ溶液を使用することができる。同じアルカリ溶液を使用して、使用後、又は該システムが使用の途中で廃棄される場合の全ての残留N2O4を中和することができる。別の例では、活性炭を、NO2の吸着に使用することができ、かつパッケージングに使用することができる。
【0045】
別の実施形態では、N2O4、及びタンクは、貯蔵容器内の圧力を安定させるために約50℃以上に加熱する必要がある。加熱要素を使用することができる。該加熱要素は、電動式、化学駆動式、又は太陽光発電式としても良い。一実施形態では、発熱反応による化学エネルギーを使用して加熱することができる。このエネルギーを供給できる1つの化合物は、粉末酸化カルシウム(CaO)である。粉末酸化カルシウムは、水と混合すると、熱の形態でエネルギーを放出する。この物質はまた、コンクリートに使用される消石灰でもある。この物質は、食品を加熱するために、ある形式でパッケージングされている。この物質のさらなる利点は、この物質がアルカリでもあり、この同じ物質を用いて、上記の状況が起きた場合にN2O4/NO2を中和できることである。
【0046】
充填管:NO2をNOに変換する一般的なプロセスでは、NO2を含む気流が、入口305を介して標準的なNO発生カートリッジによって受け取られ、該気流が、図3に例示されているように水性抗酸化剤で被覆された表面活性物質320を介して出口310に流体連通する。典型的には、管が粉末で充填されると、該粉末は、ちょうどコーンフレークが入ったシリアルの箱のように沈降する傾向にある。沈降は、輸送中の他、通常の使用中に受ける振動によって起こる。これは、粉末が、コーンフレークのように脆くて十分に充填できない場合、又は粉末を緊密に充填できない場合に特に当てはまる。例えば、液体クロマトグラフィー用に充填されたカラムでは、粉末が充填されて高圧で使用される;これらのカラムは、通常は、粉末を押圧して緊密に充填するためにスラリーとして充填される。粉末が、表面活性物質、例えば、例を挙げると、シリカゲル、活性チャコール、活性炭、活性アルミナ、又は防湿剤、例えば、硫酸カルシウム((DRIERITE)(商標))を有する場合、及びガスがカートリッジを通過して表面活性物質に接触するのが望ましい場合は、該粉末が緊密過ぎるほど、又は充填物質が破砕され得るほど充填しないようにして、過度な圧力降下が起きることなくガスが自由に通過できるようにする。これらの場合、商業的に現在使用されている技術では、粉末を充填し、該粉末をばねによって緊密に維持し続ける。加えて、粉末が沈降したときに、図3に示されているようにガスの反応層320の迂回を可能にするガス流路330が形成されないように、管を垂直方向で使用しなければならない。管が垂直方向で使用されない場合は、粉末の沈降により、該管にわたって通路330が形成され、ガスが、該経路330を優先的に流れ得る。通路の形成により、粉末の効果が無効になり、カートリッジが役に立たなくなる。この問題は、非常に深刻であるため、このような充填管は、カートリッジが垂直方向に配置された場合にのみ使用することができる。
【0047】
図4〜図6は、この問題を解消し、たとえ激しい振動を受けた後でも、粉末カートリッジのどの角度での使用も可能にする、複数の同心円上の中空リブを備えた管を例示している。該管は、限定されるものではないが、シリカゲル、活性炭、又はドライエライト(Drierite)を含む全ての表面活性物質に使用することができる。該管は、垂直方向に充填することができ、粉末422を、底から上部まで満たし、そしてリブに囲まれた全ての容積部も満たすことができる。該管が揺すられて水平方向に対置されると、リブ内の粉末は、424で示されているように安定するであろう。しかしながら、リブが十分に深ければ、ガスは、優先的な通路を有し得ないであろう。ガスの流れは、粉末が安定した容積部の経路が、粉末層を通過するよりも困難であることを見出すであろう。
【0048】
図6は、1つのリブの拡大詳細図を示している。単純にするために、リブは、三角形として示されているが、実際には、該リブは、丸い角、及び丸い頂部を有し得る。Lは、三角形の底辺の長さであり、Aは、底辺の上の粉末の高さである。Lが、常に2Aよりも小さければ、気流の優先的な経路は、AではなくLであろう。しかしながら、体積の減少が大きくてLが2Aよりも大きい場合は、リブにおける気流の通路が、最も抵抗が小さい経路となり、気流が、上に移動して該通路に入り、該通路を横断し、そして次のリブの反対側を下る。
【0049】
一実施形態では、波状管を拡大して、充填層反応容器内で使用することができる。現在は、粉末層反応容器は全て、問題を回避するために垂直方向に配置される。波状の設計では、粉末層反応容器は、水平方向を含むあらゆる角度で配置することができる。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
【0051】
以下の表は、アスコルビン酸/シリカゲル粉末の波状反応容器を使用して、1L/分の空気(質量流量調整器を使用)の気流を用いて作成した。水槽中の61℃に加熱されたタンクからNO2を供給した。NOの測定値は、約79ppmである。溶融水晶管は、内径が25μmであり、Restek社によって「ガードカラム(「GC」)」として提供された。GCカラムの長さは、39.88インチ(約101.30cm)から始まっていた。GCカラム(最後の2インチ(5.08cm)を除く)、及び液体容器は、水槽中に沈める。表1は、この実験による長さと濃度の関係を示している。
【表1】

この結果は、実験誤差の限界の範囲内で、出力が長さに反比例していることを示している。
【0052】
(実施例2)
【0053】
この実施例では、直径が25μmの管の長さは、38 3/16インチ(約97.00cm)に固定した。GeNOratorカートリッジは、アスコルビン酸/シリカゲル粉末が充填された波状管とした。貯蔵容器、及び該波状管の温度は、約49℃から60℃を僅かに超える温度まで変化させた。図7は、この温度範囲にわたって出力の増加が概ね線形であり、50℃の44ppmから60℃の88ppmに10倍に増加している。
【0054】
(実施例3)
【0055】
この実施例では、内径が50μmの管を使用した。この管の出力は、10L/分で64ppmであり、20L/分で28ppmであり;予想したように、流量が2倍になると、出力が半分になった。図8を参照されたい。この直径では、予想出力は、25μmの管と比較して直径の4乗、又は16倍に比例して変化するはずである。実施例2から、50℃、1L/分の出力は、44ppmであり、これは、70ppmの予想出力となる。これを65ppmの測定出力と比較すると、実験誤差の限界の範囲内である。
【0056】
(実施例4)
【0057】
この実施例では、可撓性の波状管を使用した。該波状管には、40gのアスコルビン酸/シリカゲル粉末を充填した。100ppmのNO2を、5L/分で酸素中に供給した。この実験は、図9に示されているように約42時間にわたって行った。図9は、NOが約40時間にわたって安定的に放出されたことをさらに例示している。
【0058】
上記の様々な実施形態は、単なる例示目的で記載されたものであり、請求する本発明を限定すると解釈されるべきものではない。当業者であれば、本明細書に例示、及び記載された実施形態の例、及び適用例に従わず、かつ以下の特許請求の範囲で規定される、請求される本発明の概念、及び範囲を逸脱することなく、請求される本発明に対して行われる様々な改良、及び変更に容易に想到するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化窒素の治療量を送達するシステムであって:
四酸化二窒素を保有する液体タンク;
該タンクに接続された管;
該管に接続された第1の波状管であって、該管が、還元剤と共に表面活性物質を含む、該第1の波状管;及び
該第1の波状管に接続された患者用インターフェイスであって、該第1の波状管が、該患者用インターフェイスに到達する前に二酸化窒素を一酸化窒素に変換する、該患者用インターフェイスを備える、前記システム。
【請求項2】
前記管が水晶管である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記管が石英管である、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記管が、約50μmの口径を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記管が、約25μm以下の口径を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記管が、約10μm以下の口径を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記タンク、及び前記管に接続された弁をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記管が、使用前は密封されている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記タンクに連通した空気ポンプをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記ポンプがバッテリ駆動式ポンプである、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記タンクに取り付けられた加熱要素をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記患者用インターフェイスが、マウスピース、鼻カニューレ、フェイスマスク、完全密封型フェイスマスク、又はベンチレーター、もしくは麻酔装置に取り付けられた気管内挿入管である、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記タンクが、圧縮二酸化窒素を、希釈ガスを伴い、又は伴わずに保有している、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記タンクが、窒素、空気、酸素富化空気、又は実質的に純粋な酸素をさらに保有している、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記表面活性物質がシリカゲルである、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
表面活性物質、及び還元剤を含む第2の波状管をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記患者用インターフェイスが、患者の口、もしくは鼻への送達管、又はベンチレーター、もしくは麻酔装置に取り付けられた気管内挿入管である、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
患者の身体に装着されるように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項19】
前記タンクが球形である、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
前記タンクが溶融石英タンクである、請求項1記載のシステム。
【請求項21】
前記タンクが非反応性金属タンクである、請求項1記載のシステム。
【請求項22】
前記非反応性金属が、パラジウム、銀、プラチナ、金、アルミニウム、又はステンレス鋼である、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記タンクがアルミニウムタンクである、請求項21記載のシステム。
【請求項24】
前記タンクがステンレス鋼タンクである、請求項21記載のシステム。
【請求項25】
前記タンク、及び前記管を覆う絶縁材をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項26】
前記絶縁材のカバーが、アルカリ溶液をさらに含む、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
前記アルカリ溶液が、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、ケイ酸ナトリウムである、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
加圧吸入ガス源をさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項29】
前記ガスが、空気、又は酸素である、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
前記還元剤が抗酸化剤である、請求1項記載のシステム。
【請求項31】
前記抗酸化剤が、抗酸化剤の水溶液である、請求項30記載のシステム。
【請求項32】
前記抗酸化剤が、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールである、請求項30記載のシステム。
【請求項33】
患者に一酸化窒素を送達する装置であって:
四酸化二窒素を保有する液体タンク;
該タンクに接続された管であって、該管が、約25μm以下の口径を有する、該管;
該管に接続された、抗酸化剤の水溶液で飽和された表面活性物質を含む、第1の波状管;及び
該第1の波状管に接続された患者用インターフェイスであって、該第1の波状管が、該患者用インターフェイスに到達する前に二酸化窒素を一酸化窒素に変換する、該患者用インターフェイスを備える、前記装置。
【請求項34】
前記タンクに取り付けられた加熱要素をさらに備える、請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記タンクに連通した空気ポンプを備える、請求項33記載の装置。
【請求項36】
前記ポンプが、バッテリ駆動式ポンプである、請求項33記載の装置。
【請求項37】
二酸化窒素、及び/又は一酸化窒素モニターをさらに備える、請求項33記載の装置。
【請求項38】
前記二酸化窒素、及び/又は一酸化窒素モニターが、患者にガスを送達する管の壁に取り付けられている、請求項37記載の装置。
【請求項39】
前記二酸化窒素、及び一酸化窒素モニターが、一定の時間間隔で自動的に較正される、請求項38記載の装置。
【請求項40】
第1の端部、及び第2の端部を有する本体を備えた中空管であって、該本体が、複数の同心円の中空リブを備え、かつ表面活性物質を含む、前記中空管。
【請求項41】
前記表面活性物質が、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するために抗酸化剤の水溶液で飽和されている、請求項40記載の管。
【請求項42】
前記表面活性物質が、シリカゲル、活性チャコール、活性炭、活性アルミナ、又硫酸カルシウムを含む、請求項40記載の管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−511360(P2013−511360A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540129(P2012−540129)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/057629
【国際公開番号】WO2011/063335
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(509262655)ゲノ エルエルシー (11)
【Fターム(参考)】