説明

丁合機

【課題】被丁合物に付されたバーコードを安定的に且つ確実に読み取ることができる丁合機を提供する。
【解決手段】各駒14には、各被丁合物50の引き出されるべき側の端部近傍に付されるバーコード52を読み取るバーコードリーダ40、41が設けられており、バーコードリーダ40、41は、吸着ヘッド22により吸着されて停止した状態にあり引き出される前の被丁合物50に対して読み取り動作を行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被丁合物の丁合を行う丁合機に関し、特に被丁合物の検査を可能にする丁合機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、丁合機において、乱丁を防ぐために、被丁合物のいずれかの部分を被検査部分に予め設定しておき、丁合機の各駒において被丁合物が引き出されたときに、被検査部分を撮像装置で撮像し、その被検査部分の画像と、予め設定される被検査部分の基準画像との一致・不一致を判定して、正しい順番の被丁合物が正しい向きで駒から引き出されたかどうか等を検査することが行われている。
【0003】
被検査部分は、各駒に対応する被丁合物毎に固有の特徴的な部分としなければならないが、異なる駒に対応する被丁合物に類似の印刷が施されているときには、各駒に対応する被丁合物に固有の被検査部分を設定することが困難であるという問題がある。
【0004】
特許文献1では、異なるカレンダー頁に各頁毎に被検査部分としての異なるバーコード状のパターン表示部を印刷しておき、それぞれの紙受台からカレンダー頁が引き出されたときに、センサがカレンダー頁のパターンを読み取り、検出したパターンと予め記憶させておいたパターンとを比較している。
【0005】
また、各被丁合物にバーコードを印刷し、そのバーコードをバーコードリーダで読み取って、その読み取ったバーコードの情報を照合検査に用いることも多数提案されている(例えば、特許文献2)。被丁合物にバーコードを付した場合には、バーコードにその被丁合物を識別する識別情報以外にその他の任意の情報を含めることも可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3033004号公報
【特許文献2】特開2004−114566(段落0016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、被丁合物にバーコードを付した場合であっても、被丁合物は、駒から引き出されるときに、その傾きといった姿勢が一定とは限らず、ばらつきがあるために、正しくバーコードを読み取ることが困難であり、その判定処理が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、被丁合物に付されたバーコードを安定的に且つ確実に読み取ることができる丁合機を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、被丁合物が積載されてセットされた複数の駒を有し、各駒が、一つの被丁合物の端部を吸着する吸着手段と、該吸着手段によって吸着された被丁合物の端部を挟持して引き出す挟持手段とを備え、複数の駒から挟持手段によって引き出された被丁合物を順次重ねて丁合を行う丁合機において、
各駒には、各被丁合物の引き出されるべき側の端部近傍に付されるバーコードを読み取るためのバーコードリーダが設けられており、該バーコードリーダは、吸着手段により吸着されて停止した状態にあり、引き出される前の被丁合物に対して読み取り動作を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記被丁合物に付されたバーコードが、各被丁合物の引き出されるべき側の端部辺中心部から所定の長さに離間した位置に常に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の前記バーコードが、被丁合物の両方の面に付されており、バーコードリーダは、それぞれの面に付されたバーコードに対応して設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の前記被丁合物の両方の面に付されたバーコードが、異なる情報を表すものであることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の前記被丁合物に付されたバーコードが、前記引き出されるべき側の端部を越えて被丁合物の両方の面に跨り配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、被丁合物が積載されてセットされた複数の駒のそれぞれにおいて、積載された被丁合物の中から1つの被丁合物の端部を吸着して他の被丁合物から分離し、該端部を分離した被丁合物を搬送路に引き出して丁合を行う丁合方法において、
各被丁合物の引き出されるべき側の端部近傍に検査用のバーコードを付しており、
前記被丁合物の端部を吸着して他の被丁合物から分離して、該被丁合物が停止したときに、バーコードリーダによる被丁合物のバーコードの読み取り動作を行い、
バーコードリーダによる読み取り動作後に、該被丁合物を搬送路に引き出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各駒に設けられたバーコードリーダが、吸着手段により吸着されて停止した状態にあり引き出される前の被丁合物に対して読み取り動作を行うようになっており、バーコードリーダが静止状態のバーコードを読み取るために、安定的に且つ確実に読み取り動作を行うことができる。また、この停止された状態での被丁合物の位置のばらつきは少ないため、被丁合物に付されたバーコードを、確実にバーコードリーダの読み取り範囲に位置づけることができる。
【0016】
このように安定的に且つ確実に読み取りを行うことができるため、被丁合物に付するバーコード自体を非常に小さい幅のものとすることができ、バーコードを目立たないようにすることができ、また、その後に被丁合物からバーコードの付された部分を切り落とす場合でも、切り落とす量を極力少なくすることができる。
【0017】
また、被丁合物に付されたバーコードを、常に各被丁合物の引き出されるべき側の端部辺中心部から所定の長さに離間した位置に配置することにより、被丁合物は、各駒に対して端部辺中心部を中心としてセットされるために、被丁合物の寸法が変化しても、バーコードの位置は不変とすることができて、バーコードリーダの位置の調整を不要とすることができる。
【0018】
また、被丁合物の両方の面にバーコードを付していると、片方の面のバーコードを読み取ることができない状況にあっても、もう片方の面のバーコードを読み取ることができるため、確実に読み取りを行うことができる。
【0019】
また、被丁合物の両面の面に異なる情報を表すバーコードを付すことにより、被丁合物から読み取ることができる情報量を増加させることができる。
【0020】
また、被丁合物に付されたバーコードを、被丁合物の引き出されるべき側の端部を越えて被丁合物の両方の面に跨り配置することにより、被丁合物にバーコードを簡単に付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による丁合機の一部の概略斜視図である。
【図2】図1の丁合機の1つの駒における側面図である。
【図3】図1の丁合機の1つの駒における側面図であり、被丁合物を吸着手段が吸着して停止した状態を表す。
【図4】図1の丁合機の1つの駒の要部の拡大斜視図である。
【図5】(a)は被丁合物の一例としての折丁の全紙を表わす平面図、(b)は折丁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、丁合機10は、順番に積み重なれて丁合された被丁合物50を搬送する搬送路12と、該搬送路12に沿って並設された複数の駒14とを備えている。
【0023】
各駒14には、同じ被丁合物50が積載されてセットされた積載部20が設けられ、積載部20の下方に、負圧により被丁合物50を吸着可能となった吸着手段としての一対の吸着ヘッド22が配置される。それぞれの吸着ヘッド22はヘッドホルダ24に支持され、ヘッドホルダ24を連結するロッド26(図4)は、図示しない駆動源により、回転軸28aの周りを往復回動する回動板28に連結される。
【0024】
回動板28の回動によって、吸着ヘッド22は、積載部20に接離する往復回動動作を行い、この往復回動動作に同期して、吸着のオン/オフが切り替えられる。
【0025】
駒14には、さらに、被丁合物50を挟持可能となった挟持手段としての万力型挟持機30と、吸着された被丁合物50以外の積載部20に積載される被丁合物50を保持する爪32とが設けられる。万力型挟持機30は、駆動源により、積載部20に接離する往復回動動作を行うようになっていると共に、被丁合物50に接近したときに、その先端の挟持部30aが被丁合物50を挟持するために閉まり、搬送路12まで被丁合物50を引き出したときに被丁合物50を解放するために開くようになっている。また、爪32も駆動源により回転軸32aの周りを、積載部20に接離するように、且つ吸着ヘッド22の往復回動動作と反対の往復回動動作を行うようになっている。
【0026】
以上の吸着ヘッド22、万力型挟持機30及び爪32の各往復回動動作は、同一の駆動源により同期して行われるようになっており、図示しない制御器により、その動作速度が制御される。また、制御器には、駆動源または駆動源に連動する回転軸の回転位置を検出するエンコーダまたはその他の駆動部分の位置を検出するセンサから吸着ヘッド22等の往復回動動作に関連する位置信号が入力されている。
【0027】
各駒14には、さらに、被丁合物50に付されたバーコード52を読み取るバーコードリーダ40、41が設けられる。バーコードリーダ40は、被丁合物50が万力型挟持機30によって挟持される地点よりも下側に配置され、固定テーブル42に固定され、バーコードリーダ41は、被丁合物50が万力型挟持機30によって挟持される地点よりも上側に配置され、固定軸43に固定される。
【0028】
被丁合物50は、丁合される任意の物とすることができ、例えば、折丁、はがき、シート等とすることができる。被丁合物50には、それぞれ積載部20にセットされた状態から吸着ヘッド22によって吸着される側、言い換えれば、引き出されるべき側または製本されたときに背となる側に、バーコード52が付されている。バーコード52は、任意の方法によって被丁合物50に付すことができ、例えば、被丁合物50の内容の印刷を行うときに、一緒に印刷により付すことができる。
【0029】
図5(a)は、被丁合物としての折丁(8葉、16頁)の場合の全紙を表している。この場合、バーコード52は、折丁となったときの表側に出る面である1頁目と16頁目の折線にまたがって印刷されている。これによって、折丁となったときには、図5(b)に示すように、表側に出る面の背となる側にバーコードが配置されることになる。
【0030】
尚、図5(b)の例では、引き出されるべき側の端部を越えて1頁目の面と16頁目の面に跨りバーコード52を配置しているが、これに限るものではない。例えば、被丁合物50の引き出されるべき側の端部の近傍で該端部辺に沿って、両方の面(即ち1頁目と16頁目)にそれぞれ2つの同じバーコードを配置してもよく、片方の面にのみバーコードを配置してもよく、または、両方の面に異なるバーコード、即ち異なる情報を表す異なるバーコードを配置してもよい。
【0031】
被丁合物が折丁でなくはがき、シート等の単葉の場合にも、同様に、引き出されるべき側の端部を越えて両方の面に跨りバーコードを配置するか、両方の面にそれぞれ同じバーコードを配置するか、片方の面にのみバーコードを配置するか、両側の面に異なるバーコードを配置することが可能である。
【0032】
また、被丁合物の引き出されるべき側の端部辺に沿って離間した複数個所にバーコードを配置することも可能である。
【0033】
また、被丁合物の引き出されるべき側の端部辺に沿ったバーコードの位置としては、必ず、端部辺の中心部から予め決められた一定の長さ(図5(a)参照)だけ離れた位置となるように決めておくとよい。また、バーコードのバーの向きは端部辺に直交させるとよい。
【0034】
以上のように構成される丁合機においては、吸着ヘッド22、万力型挟持機30、爪32の各往復回動動作において、吸着ヘッド22が積載部20から一つの被丁合物50の端部を吸着して、該被丁合物50の端部を積載部20に積載される他の被丁合物50から分離する。そして、吸着ヘッド22の往復回動動作の死点において、被丁合物50は吸着された状態で万力型挟持機30によって挟持されるべく瞬間的に停止する(図3、図4)。この停止のタイミングを制御器が位置信号から検出すると、制御器から読み取り開始信号がバーコードリーダ40、41へと送出され、バーコードリーダ40、41が動作し、被丁合物50のバーコード52を読み取るように制御される。
【0035】
このため、バーコードリーダ40は、吸着ヘッド22によって吸着されて、積載部20に積載される他の被丁合物から分離されて停止した状態にある被丁合物50の下側から、被丁合物50の引き出された端部に付されたバーコード52を読み取ることができるように位置決めされ、また、バーコードリーダ41は、吸着ヘッド22によって吸着されて、積載部20に積載される他の被丁合物から分離されて停止した状態にある被丁合物50の上側から、被丁合物50の引き出された端部に付されたバーコード52を読み取ることができるように位置決めされている。
【0036】
バーコードリーダ40、41は、静止状態のバーコードを読み取るために、安定的に且つ確実に読み取りを行うことができる。また、吸着ヘッド22によって動きが拘束され、停止された状態にある被丁合物50の位置のばらつきは少ないため、被丁合物50に付されたバーコードを、確実にバーコードリーダ40、41の読み取り範囲に位置づけることができる。
【0037】
このように安定的に且つ確実に読み取りを行うことができるため、被丁合物50に付するバーコード52自体を非常に小さい幅のものとすることができ、バーコード52を目立たないようにすることができ、また、その後に被丁合物50からバーコード52の付された部分を切り落とす場合でも、切り落とす量を極力少なくすることができる。
【0038】
バーコードリーダ40、41で読み取ったデータは、コンピュータに送られて、照合検査等が行われる。仮に、積載部20に誤った被丁合物50がセットされている場合には、読み取られたバーコード52の情報は、正しい被丁合物のものとは異なる情報となるために、エラー処理が行われる。または、積載部20に被丁合物50が誤った向きでセットされている場合にも、バーコードを読み取ることができないために、エラー処理が行われる。
【0039】
被丁合物50の両側の面に跨ってバーコード52を付し、または被丁合物50の両方の面にそれぞれ同じバーコード52を付した場合には、一方のバーコード52が読み取ることができない場合でも、バーコードリーダ40、41のいずれか一方でバーコード52を読み取ることができて、確実に読み取り作業を行うことができる。
【0040】
または、駒14に応じて、被丁合物50に片方の面に貼り込み(シールやはがき等の貼り込み)がなされて、片方の面のバーコード52が隠れてしまうことが予め分かっている場合には、その駒については、露出しているもう片方の面のバーコードを読み取るバーコードリーダのみを作動させるようにしてもよい。
【0041】
または、被丁合物の片方の面にのみバーコードを付した場合には、そのバーコードを読み取ることができるバーコードリーダ40、41のいずれか一方のみを作動させるようにしてもよい。または、バーコードリーダ40、41の一方のみを設置し、他方を省略してもよい。
【0042】
バーコードの位置を、前述のように、被丁合物の引き出されるべき側の端部辺中心部からの長さが一定長さ離れた位置になるように統一しておくことによって、積載部20にセットされる被丁合物の天地寸法が変更したとしても、被丁合物は、必ず積載部20においてセンター中心にして配置されるため、バーコードリーダによる読み取り範囲は不変とすることができて、バーコードリーダの位置調整を被丁合物が変更される毎に行う手間を削減することができる。
【0043】
尚、以上の例では、無線綴じ機における丁合機を例にして説明したが、これに限るものではなく、中綴じ機、貼り込み機における丁合機に適用することも勿論可能である。
【0044】
また、挟持手段としては万力型挟持機に限らずロータリ式挟持機を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 丁合機
12 搬送路
14 駒
20 積載部
22 吸着ヘッド(吸着手段)
30 万力型挟持機(挟持手段)
40、41 バーコードリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被丁合物が積載されてセットされた複数の駒を有し、各駒が、一つの被丁合物の端部を吸着する吸着手段と、該吸着手段によって吸着された被丁合物の端部を挟持して引き出す挟持手段とを備え、複数の駒から挟持手段によって引き出された被丁合物を順次重ねて丁合を行う丁合機において、
各駒には、各被丁合物の引き出されるべき側の端部近傍に付されるバーコードを読み取るためのバーコードリーダが設けられており、該バーコードリーダは、吸着手段により吸着されて停止した状態にあり、引き出される前の被丁合物に対して読み取り動作を行うことを特徴とする丁合機。
【請求項2】
前記被丁合物に付されたバーコードは、各被丁合物の引き出されるべき側の端部辺中心部から所定の長さに離間した位置に常に配置されることを特徴とする請求項1に記載の丁合機。
【請求項3】
前記バーコードは、被丁合物の両方の面に付されており、バーコードリーダは、それぞれの面に付されたバーコードに対応して設けられることを特徴とする請求項1または2記載を丁合機。
【請求項4】
前記被丁合物の両方の面に付されたバーコードは、異なる情報を表すものであることを特徴とする請求項3記載の丁合機。
【請求項5】
前記被丁合物に付されたバーコードは、前記引き出されるべき側の端部を越えて被丁合物の両方の面に跨り配置されることを特徴とする請求項3記載の丁合機。
【請求項6】
被丁合物が積載されてセットされた複数の駒のそれぞれにおいて、積載された被丁合物の中から1つの被丁合物の端部を吸着して他の被丁合物から分離し、該端部を分離した被丁合物を搬送路に引き出して丁合を行う丁合方法において、
各被丁合物の引き出されるべき側の端部近傍に検査用のバーコードを付しており、
前記被丁合物の端部を吸着して他の被丁合物から分離して、該被丁合物が停止したときに、バーコードリーダによる被丁合物のバーコードの読み取り動作を行い、
バーコードリーダによる読み取り動作後に、該被丁合物を搬送路に引き出すことを特徴とする丁合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−260240(P2010−260240A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112164(P2009−112164)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【特許番号】特許第4572260号(P4572260)
【特許公報発行日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(593022076)佐川印刷株式会社 (18)
【出願人】(593048043)芳野マシナリー株式会社 (17)
【出願人】(509126014)株式会社ノーム (1)
【Fターム(参考)】