説明

万能に使用可能な潅流システム

本発明は、潅流システムにおいて、少なくとも2つの接続点を介して互いに接続されかつ実質的に同じ液体特に血液、血漿又は電解液を含みかつ互いに無関係に制御可能な少なくとも2つの回路に、互いに無関係に制御可能な2つのポンプを設けて最適化する方法に関する。潅流システムは、例えば供給、継送、流量制御、圧力制御、濾過、気泡分離、物質交換、エネルギ交換、又はこれらの液体の物理化学的パラメータの測定のために、すべての慣用装置を持つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潅流システムにおいて、自由に選択可能な少なくとも2つの接続点を介して互いに接続されかつ実質的に同じ液体特に血液、血漿又は電解液を含む少なくとも2つの互いに無関係に制御可能な回路を、2つの互いに無関係に制御可能なポンプにより構成しかつ最適化する方法に関する。これら両方の回路は、患者血流即ち患者から取られて再び患者へ戻される血流を持つ患者回路、及び装置の血液治療部分を通る血流を持つ治療血流を有する治療回路である。潅流システムは、例えば供給、継送、流れ制御又は圧力制御、濾過、気泡分離、物質交換、エネルギ交換又はこれらの液体の物理−化学的パラメータの測定のためのすべての慣用装置を持つことができる。
【0002】
本発明は更に少なくとも1つの本発明による潅流システムを持つ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
公知の潅流システムは、1つの型の液体の搬送及び治療のためにそれぞれ1つの共通なポンプを使用し、それにより特定の状況において、最適な解決策に比べて欠点が生じる。血栓(凝血塊)の形成を最小にするため、例えば血流は、酸素添加器(血液に酸素を添加する装置)により特定の最少値を決して下回らないようにする。その結果、患者への血流を停止せねばならない場合、従来技術によるシステムでは、酸素添加器を通る血流の停止も起こる。潅流システムを、患者血流と互いに無関係な固有の駆動装置(ポンプ)を持つ治療血流とに分割することにより、例えば本発明の実施例におけるようにこれらの状況では、最適な状態が得られる。
【0004】
従来技術において、複数の分枝を持つ潅流システムは、例えばH.Frerichs;“Extrakorporale Zirkulation in Theorie und Praxis”,Pabst Science Publishers,2005,P289,Fig.3 und 4に示されているように、以前から公知である。
【0005】
心臓手術の際、通常次の2つの標準システムが使用される。
1. 閉じたシステム
2. 開いたシステム
閉じたシステムは、患者側でとられる静脈血が、軟質貯蔵袋を経て、別の体外治療装置へ供給される。その際体外システムを大気に対して遮断することができる。これに反し開いたシステムでは、硬質貯蔵皿が使用され、圧力平衡のため、貯蔵皿の内部と大気との間に開いた接続が存在せねばならない。
【0006】
上述したシステム以外に、さらに例えば弁又はクリップにより制御可能な動静脈分路を持つ装置も考えられる。それにより治療血流から患者血流の部分的分離を行うことができるが、現れる流れ状態は、存在するA/V圧力比及び流れ抵抗の範囲内でのみ制御可能である。このように患者血流及び治療血流は安定に制御可能でなく、存在する圧力比に応じて患者血流が停止するか、又はその方向を変化することがある。
【0007】
直列に接続されて血液を導く製品の場合、これらすべての製品を通る血流は同じ大きさであり、全血流(患者血流)に等しい。従って血流の監視及び制御可能な駆動用ポンプのみが必要である。しかしこれは、使用される装置部品の能力及び血液損傷に対して常に妥協を意味し、部品の凝固の場合全血流が停止する。代案として従来技術では、この全血流を必要としないけれども1つ又は複数の装置部品における全血流より大きい血流を必要としない個々の装置部品の部分的又は完全なバイパスのみが存在する。
【0008】
公知の潅流技術では、心肺バイパスのほかに、結合されて互いに無関係に制御可能な2つの別の回路、即ち心臓麻痺回路及び吸引回路が公知である。個々の場合D.Schwartz;“Schlauchsysteme−Sichtweise der Industrie,Extrakorpolare Zirkulation in Theorie und Praxis”,Pabst Science Publishers,2005,P.294,Fig.4に記載されているように、別の付加的な回路も設けることができる。しかしそれぞれ固有のポンプを介して駆動されるこれらの回路は、接続点を介して心肺回路に接続され、患者回路への第2の接触はカテーテル、カニューレ又は吸引器を介して行われる。
【0009】
しかしこれらの公知の潅流システムはすべて、すべての独立した回路が例えば患者血液の供給又は排出用の別々の入口を必要とし、従って部分的に付加的なカニューレ又はカテーテル及びホースが必要になる、という欠点を持っている。これは一層大きい始動体積を意味し、付加的な創面により患者の一層強い被害を意味する。更にこの場合すべての独立した回路を別々に監視せねばならない。
【0010】
更に従来技術によれば、1つ又は複数のポンプを含む複合血液透析−CO除去方法及び装置が公知である。
【0011】
欧州特許出願公開第1522323号明細書は、ハウジング内に統合されかつ透析器をもつ酸素添加器を開示している。欧州の特許出願公開第1522323号明細書、特許出願公開第1524000号明細書及び特許第1698362号明細書、及び国際公開第2005/075007号にも、複合血液透析−CO除去システムにおけるこのような装置の使用が開示されている。国際公開第2005/075007号は、制御可能なポンプにより制御可能な第2の回路を開示しており、この回路は2つの接続点を介して限外濾液を限外濾液出口から酸素添加器の血液入口へ戻し、それにより酸素添加器を通る血液を薄くすることができる。しかし限外濾液は最大でも通過する血液の一部にすぎないため、この回路は患者血流から独立しておらず、患者回路及び治療回路にほぼ同じ液体(血液又は限外濾液)は存在しない。
【0012】
米国特許出願公開第5411706号明細書は、ポンプと酸素添加器から成るシステムを示し、酸素添加器の出口及びポンプの入口へ至る再循環導管を経て、再循環回路の多少の強さの挟み止めにより減少可能な内部循環を行うことができる。この部分的再循環及びそれにより行われる複数回の酸素通過によって、一層良好な酸素添加器出力を得ることができる。しかし患者血流は処理血流と無関係に制御できず、最大の患者血流は再循環導管の完全な閉鎖の際得られ、その場合処理血流に等しい。再循環導管の他のすべての開放状態では、患者血流は処理血流より小さい。このシステムの別の欠点は、締め付けにより設定される患者血流と処理血流との比が一定ではなく、静脈線及び動脈線に存在する流れ抵抗に応じて変化することである。極端な場合例えば再循環導管が比較的大きく開かれかつ患者の血管抵抗が上昇する場合、患者血流が停止することがある。
【0013】
米国特許第3890969号明細書は、静脈血を貯蔵袋に収容し、そこから酸素添加器ポンプにより膜酸素添加器及び熱交換器を経て第2の貯蔵袋へ導く潅流システムを示している。その場合第2の貯蔵袋から血液が主ポンプを経て動脈中を患者へ戻される。その際第2の貯蔵袋から第1の貯蔵袋へ再循環線が存在して、過剰な血液のあふれ出しを可能にし、それにより第2の貯蔵袋の破裂を防止する。酸素添加ポンプは、主ポンプに関係して、レベルセンサ、増幅器及びサーボモータの制御機構を介して制御される。
【0014】
装置全体は、不十分な血液体積による問題を回避するために設けられている。従って一方では動脈流が受動静脈逆流に従って制御されて、両方の流れが等しくされる。しかし更に第2の貯蔵袋に決して空で送らず、その際キャビテーション、泡形成及び溶血が起こらないようにするため、酸素添加ポンプも主ポンプより多くの血液を供給せねばならない。両方のポンプ従って両方の回路は互いに関係し、それぞれ1つの血液貯蔵袋を介在させて直列に接続され、余分な貯蔵袋及びホースのため、システムは高い大きい呼び液容積を持っている。弱くなる可能性のある貯蔵袋のため、血液体積を少なくする際、液体を再計量せねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って本発明の課題は、従来技術に見られる欠点を回避し、万能の潅流システムのため患者液体流及び処理液体流とは無関係な制御を可能にする方法及び装置を提供することであります。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は、特許請求の範囲に記載された特徴によって解決される。即ち本発明による潅流システムでは、互いに無関係に制御可能な2つのポンプが使用される。第1のポンプは患者血流即ち所望の静脈及び動脈流を生じる。第2のポンプは、それぞれの使用のために最適化される流れ(処理血流)又は圧力で適切に潅流システムの部分を通って流れることができる。通常の直列回路から構成要素を切り離し、入口及び出口を自由に選択可能なそれぞれ所望の接続点へ新たに差込み、かつ制御可能なポンプによりこの別の回路に制御可能に通すことによって、呼び液体積、生産能力、処理血流、患者血流及び血液損傷に関するすべての要求に対して、それぞれ最適化される条件を実現することができる。その際付加的なカニューレ又はカテーテル従って付加的な外科的介入は必要でなく、安全性にとって重要な患者血流を従来のように監視しさえすればよい。従来技術とは異なり、処理血流従って関連するパラメータは、任意の高さに、従って患者血流より高く選ぶことができる。本発明による潅流システムに膨張可能又は衰弱可能でない液体処理装置が必ずしも含まれておらず静脈流れが純受動的に行われる必要がないので、液体を満たされるシステムにおける両方の流れは、液体の非圧縮性及びシステムの密閉性のため、制御技術的な整合なしでも同じ大きさである。両方のポンプの独立した制御により、規定されたパラメータを確実に一定に保つことができる。
【0017】
このシステムでは、患者血流を生じかつ従来技術により公知でない第1のポンプは、最初から本発明による潅流システムに含まれていなくてもよい。患者回路用ポンプを持つ従来の潅流システムと、処理回路用のそれとは無関係に制御可能なポンプを持つシステムとの組合わせによっても、本発明による潅流システムを構成することができる。おれは、患者の心臓を処理回路とは無関係に制御可能な患者回路用ポンプとして利用する応用も含んでいる。
【0018】
患者の心臓のポンプ駆動又はA−V圧力差は薬で制御可能なので、患者の心臓は独立して制御可能なポンプとしても機能することができる。しかし接続される液体処理装置及び少なくとも1つのポンプを介して、例えばガス交換及び患者回路のような生命維持を一部又は完全に引受けることができる時にのみ、この独立性を完全に利用することができる。この場合にのみ、患者の死をひき起こすことなく、一層長い時間にわたって患者の心臓の例えばポンプ出力を零に低下することができる。
【0019】
機能のために統合される血液ポンプを必要とする透析のような慣用の血液処理方法も、本発明に属している。このような公知のシステムにも、独立に制御可能なポンプ及び別の血液処理装置の本発明による接続によって、本発明による潅流システムをそのすべての利点を持って使用することができる。本発明により、独立に制御可能なポンプを持つ別の血液処理装置を、既に使用されている患者用血液処理システムに接続する場合、付加的な利点として、付加的なカニューレ又はカテーテルは必要でない。
【0020】
更に構造的に異なる2つのポンプ、例えば閉塞ローラポンプと非閉塞遠心ポンプの組合わせによって、その異なるポンプ特性その他の特性例えば最大発生圧力、回転数、大きさ、電気的特性、長時間使用のための適正などを有利に使用し、存在する要求に応じてその欠点を回避することができる。異なるポンプのこのような有利な組合わせによって生じる特製輪郭は、公知の個々のポンプと比べてみて、新たな処理を可能にし、そのつどの要求に可変に適合可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 患者に接続される潅流システムを示す。ただし必要なカニューレ又はカテーテルは示してない。
【図2】 公知の潅流システムを示す。
【図3】 潅流システムの標準回路を示す。
【図4】 本発明による接続点を持つ標準回路を示す。
【図5】 本発明の実施例を示す。
【図6】 本発明の別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、患者にある最小限にされたシステム、即ちポンプにより作動せしめられる最も簡単な潅流システムを示す。患者にある最小限にされた体外バイパスの図は、著しく簡単化して示されている。図1に液体処理装置として酸素添加器が示されているが、例えば透析器のような他の液体処理装置も考えられる。ポンプの後に液体処理装置の配置は、通常の実際使用におけるように略示されているが、これは本発明の以下の開示を限定するものではない。実際には通常起こらない最も簡単な場合、ポンプは、それ以外の液体処理装置なしにホースシステムのみによって液体を患者へ戻すことができる(心臓のポンプ機能の援助)。しかし大抵の場合、肺機能を援助するための酸素添加器又は例えばポンプ回路における塞栓を回避するためのフィルタを統合することも有意義である。図に示す静脈線及び動脈栓は、患者からポンプ及び酸素添加器から患者へのホース接続部である。別の可能性は患者心臓のポンプ機能又はそれにより生じる動脈−静脈(A−V)圧力差を体外回路として使用することである。この場合体外回路には液体処理装置だけが必要であり、患者血流はA−V圧力差により生じる。
【0023】
図2には、公知の最小化された潅流システムの概略構造が示されている。これから誘導して、本発明により図4に示す入口及び出口用の接続点が可能である。その際配置は常に患者血流の方向に考察された。可能な各入口を可能な各出口と組合わせることが可能なことは明らかである。図2は標準回路を示し、患者血流は処理血流と同じである。図に示す酸素添加器は任意の液体処理装置の代わりである。
【0024】
図3は、制御可能な分路を介して患者血流を減少することができる標準回路を示す。患者血流は常に処理血流と同じか又は同じである。
【0025】
図4は、本発明による接続点で拡張される図2及び3の標準回路を示し、接続点1,3及び5は可能な血液入口を示し、接続点2,4及び6は可能な血液出口を示す。患者血流は処理液流と同じである。
【0026】
図2及び4において最小化されたシステムが説明されたという事実は、いっそう明確な図示可能性によってのみ生じ、最小化されたシステムへの限定と解すべきではない。図示されたすべての従来の潅流システムでは、図示した位置にある液体処理装置に加えて、従来の潅流システムのそれぞれの任意の位置に、それ以外の任意の液体処理装置が含まれていてもよい。
【0027】
独立して制御可能な少なくとも1つのポンプと少なくとの1つの液体処理装置から成る、第2の潅流システムとの接続による公知の潅流システムの展開は、少なくとも1つの自由に選択可能な接続点を介して、(常に患者血流の流れ方向にみて)入口又は出口のために使用される2つの接続点に関して次の6つの可能な変形例を持つ本発明による潅流システムに至る。
変形例1(接続点1と2との間にポンプ及び液体処理装置を設ける)
変形例2(接続点1と4との間にポンプ及び液体処理装置を設ける)
変形例3(接続点1と6との間にポンプ及び液体処理装置を設ける)
変形例4(接続点3と4との間にポンプ及び液体処理装置を設ける)
変形例5(接続点3と6との間にポンプ及び液体処理装置を設ける)
変形例6(接続点5と6との間にポンプ及び液体処理装置を設ける)
【0028】
最小化されたシステムの説明の際述べたように、公知の潅流システムがホースシステムに統合されるポンプのみから成る場合、当然に接続点の多様さが4に減少され、この場合それにより3つの異なる変形例のみになる。
【0029】
患者心臓を患者回路のため独立に制御可能なポンプとして使用する場合にも、この構想によれば、4つのアクセス可能な接続点のみが存在し、これらの接続点のうちそれぞれ2つが液体処理装置の前及び後にあり、それにより同様に3の異なる変形例のみが生じる。
【0030】
可能な接続点が求められた後、ポンプ及び液体処理装置の本発明による可能な配置を考察することができる。図5は、ポンプ及び液体処理装置の6つの可能な異なる配置a〜fと、常に流れ方向(入→出)に見てそれぞれの配置におけるそれぞれの流れ方向とを示す。
【0031】
ここでも一層明らかな表示のため、最小構成(独立に制御可能なポンプ及び液体処理装置)のみが示された。しかし本発明によれば更に、任意の数の別の液体処理装置を、これらの配置の任意の位置に含むことができる。配置a〜fでは、図において左に示す接続点が常に血液入口として選ばれ、右に示す接続点が血液出口として選ばれている。図示したすべての配置a〜fにおいて、処理血流は患者血流とは無関係に選ぶことができる。図5の接続点は図4の接続点に一致する。
【0032】
図6は、例えば本発明による配置を接続点5及び6に接続することによって生じる実施例を示す。本発明によるすべての配置が可能であり、図6が好ましい実施例の1つを示すにすぎないことは明らかである。処理血流は患者血流とは無関係に選ぶことができる。
【0033】
他の可能な実施例は、図4及び5に示す配置の組合わせによって誘導可能である。(全部で6つの接続点変形ライX6つの配置変形例=36の実施可能例)
【0034】
従って存在する要求に対して、それぞれ最も有利な接続点及び流れ処理装置の配置を自由に選択しながら、潅流システムを機能構造により最適化し、また互いに独立した液体流を介して、液体処理装置の出力例えば熱伝達、物質伝達又は血液保護を最適化することができる。
【0035】
一連の利点が例えば次の状況において生じるが、これらの状況はこれらの事例への方法の適用可能性を制限するものではない。
【0036】
本発明により統合される製品を持つ任意の潅流システム、即ち
酸素添加器。例えば心臓における介入が終了し、心臓機能が検査され、一方酸素添加器が例えば2l/minで再循環される時、例えば患者血流が常に0まで減少可能である。このようにして、酸素添加器における血液の停滞が回避され、HLMからの離脱が困難でそれに伴って患者血流の停止時間が一層長くなる場合にも、酸素添加器における凝固が回避されるので、突然起こる心臓機能低下のような緊急の場合にもシステムは常に利用可能である。
酸素添加器。例えば酸素添加器を交換せねばならない時、処理血流を常に0まで減少することができる。患者血流は引続き動作するので、酸素添加器の挟み止め及び交換中に循環停止は必要でない。
酸素添加器。特にECMOの使用分野において、本発明による方法は利点を生じる。高い患者血流における患者の完全な心肺−機能補充から、非常に少ない患者血流及び酸素添加器を通る機能維持血流における機械から患者の完全な離脱まで、あらゆる中間状態が制御可能である。こうして患者に対する最も少ない危険で、心肺回復を実現し、一層長い時間を維持し、患者の回復後危険なしにそれから離脱することができる。心肺故障の場合、常に心肺機能を交代ですることができる。
酸素添加器。酸素添加器を通る血流を患者血流より高く選ぶのが有利である。それにより安定で機能に対して最適な酸素添加器の流れ状態が可能であり、その際1回より多い血液の通過が酸素添加器において行われ、内部再循環のみが行われる。例えば酸素添加器の反覆通過により、微細気泡を特に効果的に分離し、所望の場合ガス交換をもっと平衡調節の方へ移すことができる。
酸素添加器。統合される製品(気泡除去器、遠心ポンプ、酸素添加器、熱交換器、フィルタ)の使用により、本発明による潅流システムを特に有利に実現でき、例えば呼び液体積、熱損失及び血液損傷を分離構造に比べて著しく改善することができる。
動脈フィルタ又は気泡除去器。動脈フィルタ又は気泡除去器により、血流を患者血流より高く選ぶのが有利である。それにより機能にとって最適な流れ状態が可能であり、製品における血液の1回より多い通過又は内部循環のみを行うことができる。その際例えば微細気泡は、動脈フィルタ又は気泡除去器の数回の通過によって、特に効果的に分離することができる。
血液濃縮器。血液濃縮器又は透析器を通る血流は、使用目的に対して最適に選ぶことができる。血液の圧力従って製品出力も、処理分枝のため別に制御可能である。それによりこの処理回路において血液を最もよく保護して最適な製品出力が可能である。
透析器。監視可能な透析器では、欠陥による機械の停止、従ってポンプ及び患者血流の停止の起こる可能性がある。他の血液処理装置が付加的にこのシステムに接続されていると、停滞する血液による凝固の危険がある。本発明によれば、処理回路にある第2のポンプにより、処理血流を維持することができるので、停滞従って凝固の危険はない。それにより接続さえる液体処理装置の機能は、故障の場合にも低下しない。
透析器。透析システムにおける患者血流は約100〜500ml/minの範囲にある。もっと高い流量のために最適化されている他の液体処理装置がこのシステムに接続されると、悪い製品出力の危険又は(液体処理装置の)周辺区域において部分的に停滞する血液による凝固の危険がある。本発明によれば処理回路にある第2の独立して制御可能なポンプによって、独立して制御可能な処理血流が維持されるので、停滞や凝固の危険はない。例えば処理装置の通過後、処理される液体を平衡状態へできるだけよく近づけようとする場合、一層確実な機能のため患者血流より高い処理流量を必要とする大きい有効面を持つ液体処理装置を使用することができる。このようにして例えば比較的少ない透析血流のほぼ完全なCO除去が、簡単な処理(付加的なカニューレ又はカテーテル、透析の血流を変える必要なしで可能であり、従って少ない患者血流にもかかわらず高いCO除去効果が得られる。
【0037】
最後にあげた使用例は従来技術とは著しく相違している。即ち米国特許出願公開第5411706号明細書は、(小さい寸法を得るために)酸素添加器を最大に負荷することを提案しているが、その目的は使用の場合液体処理装置に、機能のために必要な流れ条件を与えることである。所望のように平衡状態に近づける場合、それは、できるだけ大きくかつ効果的な交換面(即ち例えばできるだけ大きい寸法)の使用を意味する。平衡状態は、例えば従来技術における酸素添加では、目的ではなく、生理的に必要なガス分圧の維持である。その際生理酸素分圧が要求されると、供給ガス中の高い酸素分圧を介して、気相中のpOとの間の高い勾配で、高い移送出力が生じる。血液がこの供給ガスと平衡することがあると、極めて高く従って非生理酸素分圧が得られることになる。酸素添加器の際COmp除去も、従来技術では、酸素添加器の出口における生理的濃縮を生じ、できるだけ完全な除去を生じない。従って従来技術における生理状態の目標設定の際、処理により変化すべき物理的、化学的又は生物学的パラメータの勾配及び比較的小さく従って安価な交換面により処理が行われ、平衡設定は目的とはみなされない。
【0038】
″実質的に同じ液体″という上記の表現は、独立した複数の部分回路において、同じ種類の液体が扱われているが、この液体は、物理的、化学的又は生理学的観点において、通過される装置又は他の方法で行われる操作により、他の部分回路に比べて若干の相違を持つことがある、ということを意味する。例えば血液濃縮器又は透析器の通過後、処理される血液に一層高いHCT値が生じる。しかし入口にも出口にも血液が存在する。これに反し細胞なしてほぼ蛋白質なしであり従って血液と同質でないとみなされる他の液体は、浸透性を示す。白血球フィルタを通過した後、このように処理される血液は白血球を非常に僅かしか持たないか又は全く持たない。それにもかかわらず多少の白血球を含む血液は、なお最初の血液と同質であるとみなされる。
【0039】
語頭音消失の場合、従来技術によれば、血液から細胞のない液体(血漿)が連続的に濾別され、それから例えば毒性物質を吸着する吸着塔を経て導かれる。それから毒性のない血漿が細胞成分を豊富にされた血液へ再び添加される。ここで(多少の細胞成分を含む)血液と血漿とが、異なる種類の液体として区別され、これに反し毒性物質を含むか又は含まない血漿は同種の液体とみなされる。血液流及び血漿流の部門において本発明による方法は開示されていない。なぜならば、血液流及び血漿流は実質的に同じ液体を含まないからである。しかし血漿フィルタの通過前及び通過後血液流内に、実質的に同じ液体としての血液とは異なるHCTを考慮して、再び同じ種類の液体従って本発明による方法のための条件が存在する。同じことが血漿流内の考察にも当てはまり、例えば吸着剤の通過後、毒性のない血漿が生じる。そこにおいても本発明による方法の条件が与えられている。
【0040】
本発明による潅流システムの機能のために必要な少なくとも2つの回路の2つの必要な接続点は、実際に患者回路及び処理回路の混合区間の限界を示す。処理効果を得るために、処理される液体の非常に少ない添加が患者回路に必要である。処理回路の理想的な1つの接続点のみにおいて、従って患者かいろとの接続部としての接続面なしに、両方の回路の液体の混合はない。
【0041】
従って処理される液体の添加を介して患者回路における効果を生じることができるために、非常に小さい間隔を持つ少なくとも2つの接続点が存在せねばならない。逆に患者及び処理回路から生じる液体の混合も、これら2つの接続点の存在の証明として評価される。本発明による潅流システムは潅流装置において、接続点の位置が光学的又は幾何学的に全く又は正確には確認されない場合、この事例が当てはまる。互いに結合される液体処理装置をポンプと組合わせて含む集積される製品では、例えば1つの入口及び出口のみがアクセス可能であるが、内部ではポンプ及び少なくとも1つの液体処理装置により、本発明により独立して制御可能な血液処理回路が存在する。例えばこの集積される製品を、少なくとも2つの内部接続点により、独立に制御可能なポンプを持つ患者回路に接続することによって、この場合直列回路において、2つの互いに独立に制御可能な回路の方法原理が実現される場合、この場合も本発明による潅流システムが存在する。
【0042】
公開された方法及び液体処理装置は、実施例において患者に関連して(オンライン液体処理)説明された。本発明による方法も装置も、患者なしのオフライン液体処理においても有利に使用可能であり、″患者回路″という概念が同じように使用されることは明らかである。
【0043】
もちろん本発明による潅流システムは、発明の範囲を逸脱することなく、制御すべきパラメータ用のセンサ、制御回路及び操作器のような制御技術的公正要素を、開示されたポンプに加えて含むことができる。
【0044】
本発明は、潅流システムにおいて、少なくとも2つの接続点を介して互いに接続されかつ実質的に同じ液体特に血液、血漿又は電解液を含みかつ互いに無関係に制御可能な少なくとも2つの回路に、互いに無関係に制御可能な2つのポンプを設けて最適化する方法に関する。潅流システムは、例えば供給、継送、流量制御、圧力制御、濾過、気泡分離、物質交換、エネルギ交換、又はこれらの液体の物理化学的パラメータの測定のために、すべての慣用装置を持つことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのポンプを持ち万能に使用可能な潅流システム用の方法であって、少なくとも2つのポンプが互いに独立に制御され、実質的に同じ液体なるべく血液、血漿又は電解液を含む少なくとも2つの共通な接続点を介して接続されている少なくとも2つの互いに独立して制御可能な血液回路が作動せしめられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
含まれて独立に制御可能な少なくとも1つのポンプを持つ潅流システムに含まれて独立に制御可能な少なくとも1つのポンプを持つ第2の潅流システムが付加されて、実質的に同じ液体なるべく血液、血漿又は電解液を含む少なくとも2つの共通な接続点を介して接続されている少なくとも2つの互いに独立して制御可能な血液回路が作動せしめられるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法を作動させるため少なくとも2つのポンプを持つ万能に使用可能な潅流システム用の装置であって、互いに独立して制御可能な少なくとも2つのポンプ、及び実質的に同じ液体なるべく血液、血漿又は電解液を含む少なくとも2つの共通な接続点を介して接続されている少なくとも2つの互いに独立して制御可能な血液回路が設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項4】
少なくとも1つの独立して制御可能なポンプを持つ1つの別な潅流装置と組合わせるための装置が設けられ、この組合わせに、実質的に同じ液体なるべく血液、血漿又は電解液を含む少なくとも2つの共通な接続点を介して接続されている少なくとも2つの互いに独立して制御可能な血液回路が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の万能に使用可能な潅流方法のための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−520584(P2011−520584A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512852(P2011−512852)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003625
【国際公開番号】WO2009/141149
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(506247756)マクヴエート・カルデイオプルモナリー・アクチエンゲゼルシヤフト (3)
【氏名又は名称原語表記】Maquet Cardiopulmonary AG
【Fターム(参考)】