説明

三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭及びその製法

【課題】 本発明の課題は、簡便な方法によって、高純度三塩化ホウ素の製造にとって有用な活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜34%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭及びその方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明の課題は、活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜34%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭によって解決される。
本発明の課題は、又、飽和ホウ酸水溶液を95℃以上98℃で調整した後、活性炭を加えてホウ酸を担持させ、次いで、水分を除去して乾燥させることを特徴とする、請求項1記載の三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の製法によっても解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭及びその製法に関するものである。三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭は、例えば、アルミニウム配線のドライエッチングガスである高純度三塩化ホウ素の製造原料として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
従来、ホウ酸担持活性炭の製法としては、例えば、80℃に加温した水1100mlに、ホウ酸222gを溶解させ、これに粒状の活性炭1Lを5分間浸漬した後、濾別して空気雰囲気下に160℃で20時間乾燥させて、ホウ酸担持活性炭を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、増産する場合における、生産性、活性炭の機械的強度、破損や劣化等のトラブルの回避については、具体的には何ら開示されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭58-57368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法によって、高純度三塩化ホウ素の製造にとって有用な活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜34%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜34%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭によって解決される。
【0006】
本発明の課題は、飽和ホウ酸水溶液を95〜98℃で調整した後、活性炭を加えてホウ酸を担持させ、次いで、水分を除去して乾燥させることを特徴とする三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の製法によっても解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭及びその製法に関するものである。三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭は、例えば、アルミニウム配線のドライエッチングガスである高純度三塩化ホウ素の製造原料として有用な化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜34%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭は、飽和ホウ酸水溶液を95〜98℃で調整した後、活性炭を加えてホウ酸を担持させ、次いで、水分を除去して乾燥させることによって製造される。
【0009】
本発明で使用する活性炭としては、一般的に市販されている活性炭が使用できるが、好ましくは粒径が2〜10mmの粒状のものが使用される。
【0010】
本発明で使用する飽和ホウ酸水溶液とは、95〜98℃でホウ酸を水に十分に溶解させて調製した水溶液を示すが、20〜32質量%のホウ酸水溶液が好適に使用される。前記の飽和ホウ酸水溶液は、市販品又は通常の方法で調製したものを使用することができる。
【0011】
前記飽和ホウ酸水溶液を調製した後、活性炭と混合して、活性炭に担持させるが、その担持方法としては、通常の含侵法等が適用できる。
【0012】
前記の方法によって調製したホウ酸が担持した活性炭を含むホウ酸水溶液は、次の工程において、水分を除去して乾燥させることによって、本発明の活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜25%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭が製造できる。その際の乾燥温度は、好ましくは180〜200℃である。
【実施例】
【0013】
次に、本発明について具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0014】
実施例1(三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の合成)
グラスライニングの容器に水1125Lを加えて80℃まで加熱した後、ホウ酸375kgを加えて完全に溶解させて25質量%のホウ酸水溶液を得た。次いで、当該ホウ酸水溶液に活性炭(クラレケミカル社製;4GS)920kgを加え、活性炭にホウ酸を担持させた後、200℃で水を除去して乾燥させ、ホウ酸の担持割合が28%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭1277gを得た。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭及びその製法に関するものである。三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭は、例えば、アルミニウム配線のドライエッチングガスである高純度三塩化ホウ素の製造原料として有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和ホウ酸水溶液を95℃以上98℃で調整した後、活性炭を加えてホウ酸を担持させ、次いで、水分を除去して乾燥させることを特徴とする、活性炭へのホウ酸の担持割合が20〜34%である三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の製法。
【請求項2】
使用する活性炭の粒径が2〜10mmの粒状のものである、請求項1記載の三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の製法。
【請求項3】
乾燥を180℃〜200℃で行う、請求項1記載の三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の製法。
【請求項4】
飽和ホウ酸水溶液が20〜32質量%以上のホウ酸水溶液である、請求項1記載の三塩化ホウ素製造用ホウ酸担持活性炭の製法。

【公開番号】特開2012−121807(P2012−121807A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−70516(P2012−70516)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【分割の表示】特願2007−120585(P2007−120585)の分割
【原出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】