説明

三層構造板からなる無線操縦玩具の車体部品

【目的】 耐衝撃性と振動を減衰させる効果に加え、商品価値を高めるために美感をもよおす車体部品材料を提供することを目的とする。
【構成】 炭素繊維もしくはパラ系全芳香族ポリアミド(アラミド)繊維に合成樹脂を含浸させた成形材料板を、軽合金板の両面に重ねて同時成形した三層構造板とし、所要形状に機械加工してなる三層構造板からなる無線操縦玩具の車体部品。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、無線操縦する自動車、ヘリコプター、船及び飛行機などの玩具に使用する車体部品材料の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車体部品材料は、炭素繊維やガラス繊維などを有する合成樹脂板、あるいはアルミニュウムやジュラルミンなどの軽合金板を機械加工して車体各部の部品としていた。
【0003】
【考案が解決しょうとする課題】
ところが、炭素繊維入り合成樹脂板は軽量で弾力性に優れ高剛性である反面、コストが高く強度が劣るという欠点があった。このために、例えば無線操縦用のレーシングカーなどのようにハードな取り扱いがなされるものに使用すると、衝撃に耐えきれずにすぐに損傷したりして耐久性がなく、また弾力性に優れている点が逆に、車体を不安定にするという問題点があった。
【0004】
一方、上記欠点を解決するために実施された軽合金板では、剛性が高く強度が優れ、そのうえ低コストであるが、柔軟性に欠け、また重くなる欠点があった。
このために、上記実施例のようなハードな取り扱いをするレーシングカーに使用する場合には、強度の点で問題はなくても、走行速度を上げるために軽量である点を求められるものに使用するには適当でなかった。
【0005】
しかも、いずれの材料も高速に走行させると、その材料の持つ固有振動が増幅されて走行に支障をきたしたり、損傷したりする場合もあって問題が多かった。
【0006】
さらに、この種の車体部品は玩具として使用するので、美感をもよおす点も要望されるので、外見上も好ましい印象を与えることが要望されていた。
【0007】
本考案は、上記のような課題を解決することを目的になされたもので、耐衝撃性と振動を減衰させる効果に加え、商品価値を高めるために美感をもよおす車体部品材料を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本考案は、炭素繊維もしくはパラ系全芳香族ポリアミド(アラミド)繊維にエポキシ、不飽和ポリエステルなどの合成樹脂を含浸させた成形材料を軽合金板の両面に一体的に重ねて同時成形した三層構造板とする。この三層構造板を所要形状に機械加工して無線操縦玩具の車体部品とする。
【0009】
上記成形材料板は、炭素繊維樹脂板及びベークライト,ABS樹脂などのプラスチックス材料板に比べて衝撃吸収性に優れ、また耐疲労、耐摩耗、非研磨などのあらゆる点で優れた特性を持っている。
【0010】
さらに、三層構造とすることによって、軽合金が持つ剛性と美観が加味されて商品価値を向上させることができる。異なる材質の板材を三層に張り合わせることによってそれぞれの材料が持つ弱点を補完しあうからそれぞれの材料の持つ優れた性能の相乗効果をもたらすことができる。
【0011】
成形材料板と軽合金板との接合は、互いに三層に重ねて同時成形したり、あるいはそれらの間に適宜の接着剤を塗布して張り合わせたりして一体的に成形する。
【0012】
なお、炭素繊維については導電性であるために軽合金板と直接接触した場合、導電により軽合金が電蝕をおこす可能性があるので、より耐久性を向上させるために軽合金との間に適宜の絶縁樹脂層を形成することにより電蝕を防止するようにしてもよい。
【0013】
本考案に係る三層構造板は、無線操縦玩具の自動車の車体部品であるメインシャシー、アッパーデッキ、前後ダンパーステー、その他の各種車体部品、あるいは車体部品以外の分野の部品にも使用したり、ヘリコプター、飛行機、船などの無線操縦玩具の車体部品にも使用することができる。
【0014】
使用する用途によって、三層構造板の表面に適宜の模様を付けて美感をもよおすように細工して商品価値を上げることもできる。
【0015】
【作用】
その作用を説明すると、本考案に係る三層構造板を各種車体部品の形状に合わせて機械加工して車体各部の部品として取り付ける。。
【実施例】
本考案の実施例を例示図にもとづいて説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、軽合金板1の両面に炭素繊維もしくはパラ系全芳香族ポリアミド(アラミド)繊維にエポキシ、不飽和ポリエステルなどの合成樹脂を含浸させた成形材料2を一体的に重ねる。密着強度を良くするために、それらの間に接着剤を塗布し、同時圧縮成型をして三層構造を形成する三層構造板3とする。この三層構造板3を無線操縦玩具の各種部品の形状に合わせて所要形状に機械加工したり、成形したりして使用する。4は、それを取り付けるためのビス穴である。
【0017】
本考案に係る三層構造板3は、無線操縦玩具自動車のメインシャシー、アッパーデッキ、前後ダンパーステー、その他の各種車体部品、あるいは玩具用ヘリコプター、飛行機、船などの部品に使用する。
【0018】
図3は、レーシングカーのアッパープレートとして三層構造板3を使用した実施例を示す。
【0019】
【考案の効果】
本考案は上記のように構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0020】
まず、合成樹脂板もしくは軽合金板の1枚板だけでできたものに比べて、本考案の三層構造にした三層構造板は、それらの弱点を補う働きをするので、高強度、耐疲労、耐摩耗、耐衝撃、非研磨、耐振動減衰などの点で、従来板材の性能を上まわる効果をもたらす。
【0021】
また、従来の板材で強度を持たせるためには、板厚を厚くする必要があったが、本考案に係る三層構造板は合成樹脂と軽合金板のそれぞれの欠点を補完し、長所を生かすことができるので、三層構造板の板厚を従来の1枚板より薄くしてもはるかに優れた効果をもたらすから、軽量化をはかれる。
【0022】
しかも、合成樹脂板と軽合金板との三層構造による外観は見栄えもよく、合成樹脂板の表面に適宜の模様を付けたりすれば、商品価値も上がる。
【0023】
さらに、車体部品を成形する工程も、従来と同じ手段で可能であるから、同じく量産化をはかることができる。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本考案の使用例を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 軽合金板
2 成形材料板
3 三層構造板

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 炭素繊維もしくはパラ系全芳香族ポリアミド(アラミド)繊維に合成樹脂を含浸させた成形材料板2を、軽合金板1の両面に重ねて同時成形した三層構造板3とし、所要形状に機械加工してなる三層構造板からなる無線操縦玩具の車体部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3023005号
【登録日】平成8年(1996)1月17日
【発行日】平成8年(1996)4月12日
【考案の名称】三層構造板からなる無線操縦玩具の車体部品
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−11026
【出願日】平成7年(1995)9月22日
【出願人】(595147490)株式会社ケミック (1)