説明

三次元モデル処理プログラム、装置及び方法

【課題】新たな観点に基づき、三次元モデルの修正作業を支援する。
【解決手段】本三次元モデル処理方法は、複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出すステップと、モデルデータ格納部に格納されている三次元モデルに含まれる複数の部品のうち、第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断するステップと、第2の部品が存在している場合には、第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、三次元モデルを処理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有限要素法(FEM,Finite Element Method)や有限体積法等を用いた数値解析による設計検証が普及してきた。このような数値解析に用いるための三次元モデルは、三次元CAD(Computer Aided Design)による設計データに含まれる三次元モデルを基礎として生成するのが一般的である。ただし、設計データは製品形状を精確に表しているため、例えば設計データに含まれる三次元モデルそのままの形状から数値解析用のメッシュを生成すると、数値解析に用いるには過剰に詳細なメッシュとなり計算時間が長くなってしまう。
【0003】
そのため、設計データの形状を修正して、数値解析に適したメッシュを生成する場合がある。例えば、指定された半径より小さい半径を有する穴や丸みを削除するという技術が存在している。すなわち、製品の構造解析、振動解析、騒音解析等に殆ど影響しない穴や丸みを削除することで、解析計算を簡単にするというものである。
【0004】
また、直径又は対辺までの距離が空間メッシュの厚さの2倍以下の穴が部材にある場合、その穴をFEMメッシュで埋めるという技術も存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−118646号公報
【特許文献2】特開2002−189761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、サーバ等の大型情報機器では穴の数は数千個存在する。これに対処するため、修正対象の穴の抽出等の、三次元モデルに対する修正作業の支援技術が求められている。しかしながら、従来技術のような穴の大きさという基準は、ある観点に基づいた1つの抽出条件に過ぎない。
【0007】
従って、本技術の目的は、一側面として、新たな観点に基づき、三次元モデルの修正作業を支援するための技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本三次元モデル処理方法は、(A)複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出すステップと、(B)モデルデータ格納部に格納されている三次元モデルに含まれる複数の部品のうち、第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断するステップと、(C)第2の部品が存在している場合には、第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
新たな観点に基づき、三次元モデルの修正作業を支援できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態に係る三次元モデル処理装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は、メインの処理フローを示す図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、設計データに含まれる模式的な三次元モデルの例を示す斜視図である。
【図4】図4は、第1修正処理の処理フローを示す図である。
【図5】図5は、三次元モデルに含まれる穴を示す斜視図である。
【図6】図6は、穴から抽出される閉ループを示す斜視図である。
【図7】図7は、検出用ソリッドを穴に配置した状態を示す断面図である。
【図8】図8は、検出用ソリッドを他の部品との干渉を説明するための断面図である。
【図9】図9は、検出用ソリッドと他の部品との干渉を説明するための斜視図である。
【図10】図10は、集合積形状を説明するための斜視図である。
【図11】図11は、検出用ソリッドを説明するための斜視図である。
【図12】図12は、穴の削除を説明するための斜視図である。
【図13】図13は、穴の一部への立体の配置を説明するための斜視図である。
【図14】図14は、穴の一部に立体が配置される場合の一例を説明するための平面図である。
【図15】図15は、第2修正処理の処理フローを示す図である。
【図16】図16は、穴に相当する形状の拡大を説明するための断面図である。
【図17】図17は、検出用ソリッドと他の部品との干渉を説明するための断面図である。
【図18】図18は、検出用ソリッドを示す平面図である。
【図19】図19は、集合積形状を示す平面図である。
【図20】図20は、拡大した集合積形状の配置を説明するための断面図である。
【図21】図21は、拡大した集合積形状と穴に相当する形状との集合積形状を説明するための断面図である。
【図22】図22は、穴のうち他の部品に覆われた部分を埋める処理を説明するための斜視図である。
【図23】図23は、複数の穴の内部に1つの部品が存在する場合の一例を説明するための断面図である。
【図24】図24は、変形例に係る第1修正処理の処理フローを示す図である。
【図25】図25は、検出用ループを説明するための斜視図である。
【図26】図26は、検出用ループ内の部品とその断面を説明するための斜視図である。
【図27】図27は、変形例に係る第2修正処理の処理フローを示す図である。
【図28】図28は、検出用ループの延伸を説明するための断面図である。
【図29】図29は、検出用ソリッドと他の部品との干渉を説明するための斜視図である。
【図30】図30は、CADプログラムを実行するコンピュータの機能ブロック図である。
【図31】図31は、数値解析プログラムを実行するコンピュータの機能ブロック図である。
【図32】図32は、コンピュータの機能ブロック図である。
【図33】図33は、三次元モデル処理方法の処理フローである。
【図34】図34は、三次元モデル処理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
背景技術の欄で述べたように、設計データに含まれる三次元モデルには数値解析の結果に大きな影響を与えない大きさの穴が存在している。一方、設計データに含まれる三次元モデルには、開口した穴だけでなく、ネジ等のような他の部品で埋められた穴や、他の部品で覆われた穴が多数あり、このような塞がれた穴の中にも、数値解析の結果に大きな影響を与えないものが存在する。本実施の形態では、三次元モデルに含まれる複数の部品の複数の穴から、塞がれた穴を抽出する。そして、所定の条件を満たす場合には、部品の修正を行う。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る三次元モデル修正装置の機能ブロック図である。本実施の形態に係る三次元モデル処理装置は、三次元CADによる設計データを格納する設計データ格納部101と、条件格納部103と、入力部105と、抽出部107と、データ格納部109と、面積比算出部111と、修正部113と、修正後三次元モデル格納部115と、出力部117とを有する。
【0013】
入力部105は、ユーザからの入力を受け付けて処理対象の抽出条件等を条件格納部103に登録したり、抽出部107に処理開始の指示を出力したりする。抽出部107は、入力部105からの指示に応じて、設計データ格納部101、条件格納部103及びデータ格納部109に格納されているデータを用いて修正候補となる穴を抽出等し、穴及び部品を特定するためのデータ等をデータ格納部109に格納する。面積比算出部111は、データ格納部109に格納されているデータを用いて穴の開口部と塞がれた部分との面積比を算出し、データ格納部109に格納する。修正部113は、条件格納部103及びデータ格納部109に格納されたデータを用いて設計データを修正し、数値解析に適した修正後の三次元モデルを修正後三次元モデル格納部115に格納する。出力部117は、条件格納部103、データ格納部109及び修正後三次元モデル格納部115に格納されたデータを出力する。
【0014】
次に、図2乃至図29を用いて図1に示した三次元モデル修正装置の処理内容について説明する。図2はメインの処理フローである。予め入力部105はユーザからの入力を受け付け、以下の処理で用いるデータを条件格納部103に格納しているものとする。条件格納部103に格納されているデータは、抽出すべき穴の条件、削除すべき部品の条件、穴を削除するか否かを判断するための閾値である基準面積比、検出範囲を調整するためのパラメータ(拡大率又は延長すべき長さ等)等を含む。
【0015】
まず、入力部105は、ユーザから処理対象となる設計データを指定した、処理の開始指示を受け付けると抽出部107に指示を出力し、抽出部107は指示に応じて設計データ格納部101から処理対象となる設計データを取得する(図2:ステップS1)。読み出した設計データは、例えばデータ格納部109に格納しておく。ここで、設計データは、例えばソリッドモデルで表された三次元モデルのデータを含む。図3(a)に、模式的な設計データに含まれる三次元モデルを斜視図で表した例を示す。図3(a)には、複数の穴A乃至Cを有する板状の部品1と、円柱状の部品2と、直方体状の部品3とが示されている。また、図3(a)に示した一点鎖線を通る平面で切断した断面図を、図3(b)に示す。図3(b)に示すように、部品2は穴Aを貫通する形で存在し、部品3は穴Bの一部を覆っている。具体例として、ステップS1では図3(a)及び(b)に示したような設計データが取得されたものとする。
【0016】
そして、抽出部107は、削除すべき部品の条件及び抽出すべき穴の条件を条件格納部103から取得する(ステップS3)。削除すべき部品の条件は、例えば、(1)三次元CADのデータが有する部品名称(例えば「ねじ」)、(2)部品の体積、(3)部品の最大外形寸法等のいずれか又はこれらの2以上の組み合わせにより定義される。三次元モデルに対し数値解析を行う場合、解析結果に影響の少ない部品を特定して削除することができれば、計算量を減らすことができる。例えばエアフローの数値解析を行う場合、ある程度小さい部品は削除しても解析結果に影響が少ない。また、抽出すべき穴の条件は、例えば「所定値よりも浅い穴」のように定義される。これは、数値解析を行う上で解析結果に大きく影響しない深さの穴を抽出する場合に設定される条件である。
【0017】
その後、抽出部107は、ステップS3で取得した条件を満たす穴を有する未処理の部品を1つ処理対象として特定する(ステップS4)。また、抽出部107は、処理対象の部品が有する穴から、未処理であり且つステップS3で取得した条件を満たす穴を1つ特定する(ステップS5)。ここでは、図5に示すような穴Aが特定されたものとする。なお、例えば穴という形状は、おもてが内側を向いた柱状体の側面の形状として検出することができる。そして、抽出部107は第1修正処理を実施する(ステップS7)。
【0018】
この第1修正処理については図4乃至図13を用いて説明する。まず、抽出部107は、穴を構成している閉ループを抽出し、データ格納部109に格納する(図4:ステップS21)。ここでは、図5に示した穴Aから、図6に示すような閉ループが抽出される。図6は、上面及び側面のない円柱の側面を示しており、当該円柱の側面に当たる曲面が閉ループを形成している。そして、抽出部107は、抽出した閉ループを基に検出用ソリッドを生成し、処理対象の部品における処理対象の穴に当該検出用ソリッドを配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS23)。検出用ソリッドは、例えばその直径及び高さが図6に示した閉ループの内径及び高さと同一の円柱であり、処理対象の部品と干渉することなく処理対象の穴に配置できるものである。ここでは、図7のように穴Aの内部に検出用ソリッド4aが配置される。
【0019】
その後、抽出部107は、三次元モデルに含まれる他の部品の中に、ステップS3で取得した、削除すべき部品の条件を満たし且つその少なくとも一部が処理対象の穴の内部に存在する部品が存在するか判断する(ステップS25)。具体的には、検出用ソリッドが他の部品と干渉するか判断する。例えばソリッドモデルであれば、面の接続関係を表す位相情報を有しているため、形状同士の干渉判定を行うことができる。他の部品と干渉しないと判断された場合、検出用ソリッドを破棄して第1修正処理を終了し、図2の処理に戻る。一方、他の部品と干渉すると判断された場合、抽出部107は、他の部品と検出用ソリッドとの集合積で表される形状のデータを生成し、データ格納部109に格納する(ステップS27)。例えばソリッドモデルであれば、形状の集合演算も行うことができる。
【0020】
また、抽出部107は、当該穴及び当該他の部品を特定するための情報をデータ格納部109に格納しておくようにしてもよい。例えば、当該他の部品を特定するための情報は、部品を表す幾何情報(頂点、稜線及び曲面の少なくとも一部)又は部品の内部の少なくとも1点を表す座標等であってもよいし、設計データに含まれる、部品の識別情報等であってもよい。同様に、穴を特定するための情報は、穴を表す幾何情報や穴の内部の点を表す座標等であってもよいし、設計データ格納部101等に含まれる、穴の識別情報等であってもよい。出力部117が、格納された情報を基に、特定された穴を強調表示等するためのデータを生成し、図示していない表示装置等を介してユーザに提示すれば、穴を修正すべきか否かをユーザに選択させることも可能である。その場合は、同時に当該他の部品を提示してもよい。ここでは、ステップS25において、図8のように検出用ソリッド4aと他の部品2との干渉が検出され、ステップS27において、図9に示すような互いに干渉する形状のうち、図10に示す集合積形状が生成されたものとする。
【0021】
その後、面積比算出部111は、データ格納部109に格納された検出用ソリッド及び集合積形状の上面又は底面の面積を求め、検出用ソリッドの上面又は底面の面積に対する集合積形状の上面又は底面の面積の比率を算出する(ステップS29)。算出した比率は例えばデータ格納部109に格納される。なお、本具体例における検出用ソリッドの上面又は底面の面積とは、すなわち穴の開口部の面積であり、ステップS29では開口部のうち他の部品に塞がれている部分の割合を算出している。ここでは、図9に示した互いに干渉する形状のうち、図11に示す検出用ソリッドの上面の面積と、図10に示した集合積形状の上面の面積とを求め、比率を算出するものとする。集合積形状の上面の面積と底面の面積とが異なる場合は、例えば小さい方の面積を用いれば、塞がれている部分の割合を過大に評価することがなくなる。
【0022】
その後、修正部113は、条件格納部103から基準面積比を取得し、ステップS29で算出された面積比が基準面積比より小さいか判断する(ステップS31)。本具体例における基準面積比は穴を削除するか否か判断するための閾値であり、基準面積比より小さい場合はその穴自体を削除してしまうと数値解析への影響が大きいものとみなす。算出された面積比が基準面積比以上の場合、修正部113は、処理対象の部品から処理対象の穴を削除し、当該穴なしの部品のデータでデータ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS33)。その後、ステップS37へ移行する。ここでは、図5に示した穴Aは図12に示すように削除される。なお、集合積形状は破棄される。
【0023】
一方、算出された面積比が基準面積比よりも小さい場合、修正部113は、処理対象の部品における処理対象の穴に集合積形状を配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS35)。ここでは、図13に示すように、穴のうち他の部品によって塞がれている部分に集合積形状が配置される。ここで、図14にある部品を平面図で表した他の例を示す。図14では、角が丸く細長い矩形の穴Dの一部にねじ2aが存在する。このような形状において、例えばエアフローの数値解析を行う場合、ねじ2aは削除しても解析結果に影響しない大きさの部品であるが、穴Dの開口面に対するねじ2aの断面の面積比が小さく、穴Dを削除してしまうと解析結果に影響する。このような場合に、ステップS35において集合積形状を配置し、後のステップでねじ2aを削除すれば、解析結果への影響を抑えつつ数値解析の計算量を減らすことのできる三次元モデルが得られる。
【0024】
ステップS33又はステップS35の後、処理はステップS37へ移行し、修正部113は、処理対象の穴の内部に存在する部分を有する他の部品のデータを、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータにおいて削除する(ステップS37)。その後、ステップS23で配置した検出用ソリッドは破棄して第1修正処理を終了し、図2の処理に戻る。
【0025】
図2の処理の説明に戻り、抽出部107は、ステップS5で特定された処理対象の穴が存在しているか判断する(ステップS8)。第1修正処理において処理対象の穴が削除されている場合は、ステップS11へ移行する。処理対象の穴が一部でも存在している場合には、当該穴を処理対象の穴として、抽出部107は第2修正処理を実施する(図2:ステップS9)。この第2修正処理については図15乃至図22を用いて説明する。
【0026】
まず、抽出部107は、処理対象の部品から穴を構成している閉ループを抽出し、データ格納部109に格納する(図15:ステップS41)。そして、抽出部107は、抽出した閉ループを基にして穴に相当する形状のデータを生成し、処理対象の部品における処理対象の穴に生成したデータを配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する。(ステップS43)。このステップS41及びステップS43の処理はステップS21及びステップS23(図3)の処理と実質的に同じであるため、第1修正処理において穴に相当する形状のデータをデータ格納部109に保持しておき、当該第2修正処理で用いてもよい。
【0027】
そして、抽出部107は、条件格納部103から検出範囲を調整するためのパラメータを取得し、穴に相当する形状を当該パラメータに応じて穴の軸に沿って拡大した形状を、穴に相当する形状とは別に生成する(ステップS45)。拡大した形状は、他の部品との干渉を判定することによって穴を覆っている他の部品が存在するか判断するための検出用ソリッドとして、後に用いる。また、処理対象の穴に当該検出用ソリッドを配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する。ここでは、予めユーザが設定した拡大率又は延長すべき長さ等のパラメータを取得し、例えば図16に示すように、パラメータに応じて穴に相当する形状を拡大する。パラメータの設定次第では、処理対象の部品からある程度離れた他の部品も検出される。
【0028】
その後、抽出部107は、三次元モデルに含まれる他の部品が処理対象の穴の少なくとも一部を覆っているか判断する(ステップS47)。具体的には、検出用ソリッドが他の部品と干渉するか判断する。他の部品と干渉しないと判断された場合は、穴に相当する形状及び検出用ソリッドを破棄して第2修正処理を終了し、図2の処理に戻る。例えば、第1修正処理においてすでに部品2が削除されている場合は、穴Aを覆っている他の部品は存在しないと判断される。
【0029】
一方、他の部品と干渉すると判断された場合は、抽出部107は、他の部品と検出用ソリッドとの集合積で表される形状のデータを生成し、データ格納部109に格納する(ステップS49)。なお、ステップS27(図4)と同様に、当該穴及び当該他の部品を特定するための情報を保持しておき、ユーザに提示することで修正の是非を判断させてもよい。ここでは、図3に示した穴Bを例に、図17に示すように部品3と検出用ソリッド4bとが干渉すると判断されたものとして、以降の説明を続ける。ここでは、図18に平面図を示すような検出用ソリッドに対し、図19に平面図を示すような集合積形状が生成される。
【0030】
その後、面積比算出部111は、データ格納部109に格納された検出用ソリッド及び集合積形状の上面又は底面の面積を求め、検出用ソリッドの上面又は底面の面積に対する集合積形状の上面又は底面の面積の比率を算出する(ステップS51)。ここでは、例えば図18に示した検出用ソリッド4bの上面の面積に対する図19に示した集合体形状5bの上面の面積の比率が算出される。算出された比率はデータ格納部109に格納される。
【0031】
そして、修正部113は、条件格納部103から第2基準面積比を取得し、ステップS51で算出された面積比が第2基準面積比より小さいか判断する(ステップS53)。第2基準面積比は第2修正処理での閾値となる値であるが、第1修正処理で用いる値と同じ値であってもよい。算出された面積比が基準面積比以上の場合、修正部113は、処理対象の部品から処理対象の穴を削除し、当該穴なしの部品のデータでデータ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS55)。その後、ステップS61の処理に移行する。
【0032】
一方、算出された面積比が基準面積比よりも小さい場合、修正部113は、集合積形状の高さが処理対象の穴の深さ以上となるように穴の軸に沿って拡大し、処理対象の部品における処理対象の穴に当該拡大した集合積形状を配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS57)。例えば、集合積形状の高さを、穴の深さの所定値倍又は穴の深さに所定値を加算した値になるように延伸する。この所定値は、ユーザが設定するパラメータとして条件格納部103に格納しておいてもよい。ここでは、図20に示すように、拡大した集合積形状5cが配置される。そして、修正部113は、拡大した集合積形状と穴に相当する形状との集合積形状を生成し、処理対象の部品における処理対象の穴に当該生成した集合積形状を配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS59)。ここでは、図21に示すように、穴に相当する形状4aと拡大した集合積形状5cとの集合積形状が生成され、図22に示すように、生成された集合積形状5dが処理対象の穴に配置される。ここで生成された集合積形状は、処理対象の穴のうち他の部品に覆われた部分を埋めるための形状である。このような形状を配置すれば、後に処理対象の穴を覆っている他の部品を削除しても、数値解析の結果に大きな影響を与えることがない。また、処理対象の穴を覆っている他の部品を削除しなくても、他の部品と穴の側面とで形成される段差が埋まり、数値解析の結果に大きく影響しない過剰に詳細な部分が単純化される。
【0033】
ステップS55又はステップS59の後、修正部113は、条件格納部103に格納された削除すべき部品の条件を取得し、処理対象の穴を覆っている他の部品が削除すべき部品に該当するか判断する(ステップS61)。削除すべき部品に該当しない場合は、中間的に生成された検出用ソリッド等を破棄して第2修正処理を終了し、図2の処理に戻る。一方、削除すべき部品に該当する場合は、修正部113は、処理対象の穴の少なくとも一部を覆っている他の部品のデータを、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータにおいて削除する(ステップS63)。その後、中間的に生成された検出用ソリッド等を破棄して第2修正処理を終了し、図2の処理に戻る。
【0034】
図2の処理の説明に戻り、抽出部107は、ステップS3で取得した条件を満たす未処理の穴が存在するか判断する(ステップS11)。該当する穴が存在する場合、処理はステップS5へ戻る。なお、図3(a)及び(b)に示した穴Cが未処理であれば、ステップS5に戻る。その後、穴CはステップS3で取得した条件を満たすためステップS5において抽出される。しかし、穴の内部に存在する部分を有する他の部品及び穴の少なくとも一部を覆う他の部品が存在しないため、穴Cは修正されずにそのまま残る。該当する穴が存在しない場合は、抽出部107は、穴を有する未処理の部品が存在するか判断する(ステップS13)。該当する部品が存在する場合、処理はステップS4へ戻る。該当する部品が存在しない場合、修正部113は、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを読み出し、修正後三次元モデル格納部115に格納し(ステップS15)、処理を終了する。
【0035】
以上のような処理を実施すれば、設計データに含まれる詳細な三次元モデルを基にして、数値解析を行う上で結果に与える影響の少ない穴及び部品を修正することができる。特に部品の間の空間的な隙間が解析結果に影響を与えるエアフロー等の数値解析において、解析結果への影響を抑えつつ計算量を減らすことのできる三次元モデルが得られる。
【0036】
また、穴の修正を自動的に行わなくても、修正候補となり得る穴を特定してユーザに提示すれば、ユーザによる三次元モデルの修正作業を支援することができる。処理結果のデータや処理途中のデータ、設定された条件等については、出力部117を介して表示装置に表示等し、適宜ユーザに提示するようにしてもよい。
【0037】
なお、第1修正処理及び第2修正処理の順序を入れ替えても、ほぼ同様の三次元モデルのデータが得られる。また、設計データ格納部101は、本実施の形態に係る三次元モデル修正装置とネットワークで接続された他の記憶装置や、リムーバブルメディア等であってもよい。
【0038】
本実施の形態では1つの穴に対し、内部に存在する他の部品が1つ又は開口部を覆っている他の部品が1つの例を示したが、例えば図23に示すように、1つの部品が複数の穴の内部に存在する場合もある。図23では、部品2b(ハッチングを付したボルト、ナット及びワッシャ)が部品1b及び部品1cを固定している。なお、ボルト、ナット及びワッシャを1つの単位として削除対象に設定されているものとする。本実施の形態では、まず部品1bが処理対象になると、部品2bが内部に存在する穴が削除されると共に部品2bも削除され、修正後の部品1bは部品1cの穴を覆う形状となる。そして後に部品1cが処理対象となったとき、部品1cの穴も削除され、削除対象でない部品1bはそのまま残る。このような例に対しては、別の処理方法として、部品1bの穴及び部品1cの穴を1つの穴として処理するようにしてもよい。逆に、1つの穴の内部に他の複数の部品が存在する場合や開口部を他の複数の部品が覆っている場合は、例えば上で述べたステップS29及びステップS51において、他の複数の部品をまとめて面積比を算出するようにしてもよい。
【0039】
[修正処理の変形例]
上で述べた第1修正処理及び第2修正処理は、以下のように変形して実施することも可能である。まず、第1修正処理の変形例について、図24乃至図26を用いて説明する。
【0040】
図24に、第1修正処理の変形例に係る処理フローを示す。まず、抽出部107は、穴を構成している開口面上の閉ループを抽出し、当該閉ループから検出用ループを生成する(図24:ステップS71)。また、抽出部107は、処理対象の穴の開口部に当該検出用ループを配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する。ここでは、図25に示すように、開口部の形状に相当する検出用ループ4c及び4dが穴の形状に加えて配置される。
【0041】
その後、抽出部107は、三次元モデルに含まれる他の部品の中に、ステップS3で取得した、削除すべき部品の条件を満たし且つ検出用ループの内側に存在する部品があるか判断する(ステップS73)。該当する部品が存在しないと判断された場合は、検出用ループを破棄して第1修正処理を終了し、図2の処理に戻る。一方、該当する部品が存在すると判断された場合は、抽出部107は、検出用ループを通る平面で他の部品を切断した断面を抽出し、処理対象の穴に当該断面を配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS75)。また、抽出部107は、当該穴及び当該他の部品を特定するための情報をデータ格納部109に格納しておくようにしてもよい。ここでは、ステップS73において、図26のように検出用ループ4cの内側に存在する他の部品2が検出され、ステップS75において、断面5eが抽出される。
【0042】
その後、面積比算出部111は、データ格納部109に格納されている検出用ループ内の面積及び抽出された断面の面積を求め、検出用ループ内の面積に対する抽出された断面の面積の比率を算出する(ステップS77)。算出された比率は例えばデータ格納部109に格納される。ここでも、図25に示した検出用ループ4c及び4dから面積の異なる複数の断面が抽出された場合は、例えば小さい方の面積を用いれば、塞がれている部分の割合を過大に評価することがなくなる。
【0043】
その後、修正部113は、条件格納部103から基準面積比を取得し、ステップS77で算出された面積比が基準面積比より小さいか判断する(ステップS79)。そして、算出された面積比が基準面積比以上の場合、修正部113は、処理対象の部品から処理対象の穴を削除し、当該穴なしの部品のデータでデータ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS81)。その後、ステップS85へ移行する。
【0044】
一方、算出された面積比が基準面積比よりも小さい場合、修正部113は、抽出された断面を穴の軸に沿って高さが穴の深さになるように延伸した立体を生成し、処理対象の穴の内部に当該立体を配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS83)。ここでは、図13に示したものと同じような立体が配置される。
【0045】
ステップS81又はステップS83の後、処理はステップS85へ移行し、修正部113は、処理対象の穴の内部に存在する部分を有する他の部品のデータを、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータにおいて削除する(ステップS85)。その後、中間的に生成された検出用ループ等を破棄して、第1修正処理を終了し、図2の処理に戻る。
【0046】
次に、第2修正処理の変形例について、図27乃至図29を用いて説明する。まず、図27に第2修正処理の変形例に係る処理フローを示す。はじめに、抽出部107は、穴を構成している開口面上の閉ループを検出用ループとして抽出し、当該検出用ループを表すデータをデータ格納部109に格納する(図27:ステップS91)。
【0047】
その後、抽出部107は、検出用ループを外周とする面分を生成する。そして、抽出部107は、条件格納部103から検出範囲を調整するためのパラメータを取得し、生成した面分を、穴の軸に沿って且つ穴の外側へ、当該パラメータに応じて延伸し、検出用ソリッドを生成する(ステップS93)。そして、処理対象の穴の開口部から外側に向けて当該検出用ソリッドを配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する。ここでは、図28に示すように、検出用ソリッドが配置される。
【0048】
その後、抽出部107は、三次元モデルに含まれる他の部品が処理対象の穴の少なくとも一部を覆っているか判断する(ステップS95)。具体的には、検出用ソリッドが他の部品と干渉するか判断する。他の部品と干渉しないと判断された場合は、中間的に生成した検出用ソリッドを破棄して第2修正処理を終了し、図2の処理に戻る。
【0049】
一方、他の部品と干渉すると判断された場合は、抽出部107は、他の部品と検出用ソリッドとの集合積で表される形状のデータを生成し、当該集合積形状を表すデータをデータ格納部109に格納する(ステップS97)。例えば、図29に示すように、検出用ソリッド4eと部品3とが干渉する場合、重なった部分の形状が生成される。また、抽出部107は、当該穴及び当該他の部品を特定するための情報をデータ格納部109に格納しておくようにしてもよい。
【0050】
その後、面積比算出部111は、データ格納部109に格納された検出用ループ内の面積及び集合積形状の上面又は底面の面積を求め、検出用ループ内の面積に対する集合積形状の上面又は底面の面積の比率を算出する(ステップS99)。検出用ループ内の面積でなく検出用ソリッドの上面又は底面の面積を用いても、同じ値が算出される。
【0051】
そして、修正部113は、条件格納部103から第2基準面積比を取得し、ステップS99で算出された面積比が第2基準面積比より小さいか判断する(ステップS101)。算出された面積比が第2基準面積比以上の場合、修正部113は、処理対象の部品から処理対象の穴を削除し、当該穴なしの部品のデータでデータ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS103)。その後、ステップS107の処理に移行する。
【0052】
一方、算出された面積比が第2基準面積比よりも小さい場合、修正部113は、高さが処理対象の穴の深さになるように集合積形状を穴の軸に沿って延伸した立体を生成する。そして、生成された立体を処理対象の穴の内部に配置し、処理対象の部品における処理対象の穴の内部に当該立体を配置した状態を表すように、データ格納部109に格納されている三次元モデルのデータを更新する(ステップS105)。ここでは、図22に示したものと同じような立体が配置される。
【0053】
ステップS103又はステップS105の後、修正部113は、条件格納部103に格納された、削除すべき部品の条件を取得し、処理対象の穴を覆っている他の部品が削除すべき部品に該当するか判断する(ステップS107)。削除すべき部品に該当しない場合は、中間的に生成された検出用ソリッド等を破棄して第2修正処理を終了し、図2の処理に戻る。一方、削除すべき部品に該当する場合は、修正部113は、処理対象の穴の少なくとも一部を覆っている他の部品のデータを、データ格納部109に格納された三次元モデルのデータにおいて削除する(ステップS109)。その後、中間的に生成された検出用ループ及び検出用ソリッド等を破棄して第2修正処理を終了し、図2の処理に戻る。
【0054】
このように、穴の開口部に相当する検出用ループを用いても、同様の修正処理を行うことができる。この場合も、出力部117を介して処理に関連するデータを出力し、適宜ユーザに提示するようにしてもよい。
【0055】
また、変形例に係る第1修正処理及び第2修正処理の順序を入れ替えてもよく、上で述べた実施例と当該変形例とを組み合せてもよい。
【0056】
以上、三次元モデル処理装置の実施例及び変形例を説明したが、このような三次元モデルの処理を、例えばCADプログラム又は数値解析プログラムに組み込むこともできる。ここで、図30に、本実施の形態に係る三次元モデルの処理を組み込んだCADプログラムを実行するコンピュータの例を示す。図30に示すコンピュータ20は、CADデータ格納部23を有し、CADプログラム21を実行する。また、CADプログラム21は、実行されると、設計データ等を生成するCADデータ生成部200と、本実施の形態に係る三次元モデルの処理を行う穴処理部210として機能する。また、CADデータ生成部200は、ユーザの入力を受け付けて三次元モデルを処理する形状入力部201と、三次元モデルを変形させるスクリプトをCADプログラム21が処理することで実現される自動修正部203とを有する。CADプログラムには、自動的に形状の修正を行うためのスクリプトに従って処理を行わせることができるものがあり、設計データの修正等に用いることができる。例えば本実施の形態に係る三次元モデルの処理についても、当該処理を行うためのスクリプトを作成し、当該スクリプトをCADプログラム21が処理することで、穴処理部210を実現するようにしてもよい。また、CADデータ格納部に格納された修正後の三次元モデルを、他のコンピュータ又は数値解析部等へ直接出力し、連携させるようにしてもよい。
【0057】
また、図31に、本実施の形態に係る三次元モデルの処理を組み込んだ数値解析プログラムを実行するコンピュータの例を示す。図31に示すコンピュータ30は、CADデータ格納部31を有し、数値解析プログラム33を実行する。また、数値解析プログラム33は、実行されると、CADデータ読込部300と、CADデータ修正部310と、解析条件設定部320と、メッシュ生成部330と、数値解析処理部340と、出力部350として機能する。CADデータ修正部310は、ユーザの入力に応じてCADデータを修正する形状修正部311と、数値解析プログラム33がスクリプトを処理することにより実現される自動修正部313と、本実施の形態に係る三次元モデルの処理を行う穴処理部315とを有する。そして、CADデータ修正部310は、CADデータ読込部300が読み込んだ設計データを修正して数値解析に用いるデータを生成する。数値解析プログラムにも、自動的に形状の修正を行うためのスクリプトに従って処理を行わせることができるものがあり、設計データの修正等に用いることができる。例えば本実施の形態に係る三次元モデルの処理についても、当該処理を行うためのスクリプトを作成し、数値解析プログラム33が当該スクリプトを処理することで、穴処理部315を実現するようにしてもよい。CADデータ読込部300、解析条件設定部320、メッシュ生成部330、数値解析処理部340及び出力部350については、従来の処理と同じ処理を行うので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0058】
以上本技術の実施の形態を説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。例えば、機能ブロック図は一例であって、必ずしも実際のプログラムモジュール構成と一致しない場合もある。また、処理フローについても、処理結果が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えたり、並列実施するようにしてもよい。
【0059】
なお、上で述べた三次元モデル修正装置は、コンピュータ装置であって、図32に示すように、メモリ2501とCPU2503とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び本実施例における処理を実施するためのアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。CPU2503は、アプリケーション・プログラムの処理内容に応じて表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、所定の動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、主としてメモリ2501に格納されるが、HDD2505に格納されるようにしてもよい。本技術の実施例では、上で述べた処理を実施するためのアプリケーション・プログラムはコンピュータ読み取り可能なリムーバブル・ディスク2511に格納されて頒布され、ドライブ装置2513からHDD2505にインストールされる。インターネットなどのネットワーク及び通信制御部2517を経由して、HDD2505にインストールされる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及びアプリケーション・プログラムなどのプログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
【0060】
以上述べた本実施の形態をまとめると、以下のようになる。
【0061】
本実施の形態に係る三次元モデル処理方法は、(A)複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出すステップ(図33:ステップS1001)と、(B)モデルデータ格納部に格納されている三次元モデルに含まれる複数の部品のうち、第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断するステップ(図33:ステップS1003)と、(C)第2の部品が存在している場合(図33:ステップS1005:Yesルート)には、第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップ(図33:ステップS1007)とを含む。
【0062】
例えばエアフローの数値解析を行うような場合には、塞がれてしまっている穴は解析結果にあまり影響を与えることはない。従って、上で述べたように、内部に他の部品の一部が存在する穴又は開口部の少なくとも一部が他の部品により覆われている穴は、実質的に塞がれてしまっている穴の可能性がある。そこで、上で述べたような処理を行って、新たな観点として、実質的に塞がれてしまっている可能性のある穴を特定することで、三次元モデルの修正作業を支援する。すなわち、ユーザに提示して選択させたり、自動的に穴を修正したりといった修正作業を容易にするものである。
【0063】
また、本実施の形態に係る三次元モデル処理方法は、(D)データ格納部に格納されているデータにより特定される穴の開口部の面積に対する、第2の部品を穴の開口面で切断することにより得られる断面の面積の比率、又は開口部の面積に対する、第2の部品が開口部を覆っている部分の面積の比率を算出するステップと、(E)比率が所定値以上である場合、第1の部品から穴を削除した形状のデータを、修正済データ格納部に格納する第1修正ステップとをさらに含むようにしてもよい。面積比が所定値以上である場合は数値解析に影響する隙間がないものとみなして穴自体を自動的に削除することで、三次元モデルの修正作業をより効率化することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態に係る三次元モデル処理方法は、(F)比率が所定値未満である場合、穴の内部のうち第2の部品が占める部分に相当する形状、又は開口部のうち第2の部品に覆われている部分を穴の内部において当該穴の軸に沿って延伸することにより得られた形状を、穴に配置して第1の部品を修正した後の形状のデータを修正済データ格納部に格納する第2修正ステップをさらに含むようにしてもよい。穴自体を削除することはできないと判断された場合でも、他の部品が占めている部分や他の部品に覆われた部分を塞ぐための形状を配置することにより、他の部品を削除してもよい形状になる。すなわち、他の部品を削除しても穴のうち実質的に開いた部分の大きさが変わらず、数値解析に影響しない形状になる。
【0065】
また、上で述べた第1の条件が、削除すべき部品についての第3の条件が登録されている条件格納部に格納されている第3の条件をさらに含むようにしてもよい。そして、本実施の形態に係る三次元モデル処理方法は、(G)第1の条件を満たす第2の部品、又は第2の条件を満たし且つ第3の条件を満たす第2の部品である削除部品を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0066】
部品を減らすことで数値解析の計算量も減らすことができる。このように、第1の条件が第3の条件をさらに含むため、上で述べたステップ(B)で処理対象となる第2の部品が絞り込まれると共に、当該第2の部品はステップ(D)乃至(F)でも処理される。すなわち、第2の部品の代わりのものが穴に配置されることとなるため、ステップ(G)でそのまま削除される。一方、第2の条件を満たす第2の部品については、第3の条件を満たすか否かを問わずステップ(B)乃至(F)で処理され、ステップ(G)で第3の条件を満たすか否かを判断される。従って、第2の部品が削除すべき部品でない場合にも、穴全て又は第2の部品が一部を覆っていることで生ずる穴側面と第2の部品との段差を解消する形状で穴の少なくとも一部を埋めてしまい、当該穴を含む周辺の形状が複雑化しないように工夫を施している。
【0067】
本実施の形態に係る三次元モデル処理装置は、データ格納部(図34:データ格納部1501)と、複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出し、モデルデータ格納部に格納されている三次元モデルに含まれる複数の部品のうち、第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断し、第2の部品が存在している場合には、第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納する処理部(図34:処理部1503)とを有する。
【0068】
なお、上記方法による処理をコンピュータに行わせるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【0069】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0070】
(付記1)
複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出すステップと、
前記モデルデータ格納部に格納されている前記三次元モデルに含まれる前記複数の部品のうち、前記第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は前記第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断するステップと、
前記第2の部品が存在している場合には、前記第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0071】
(付記2)
前記データ格納部に格納されているデータにより特定される穴の開口部の面積に対する、前記第2の部品を前記穴の開口面で切断することにより得られる断面の面積の比率、又は前記開口部の面積に対する、前記第2の部品が前記開口部を覆っている部分の面積の比率を算出するステップと、
前記比率が所定値以上である場合、前記第1の部品から前記穴を削除した形状のデータを、修正済データ格納部に格納する第1修正ステップと
をさらに前記コンピュータに実行させるための付記1記載のプログラム。
【0072】
(付記3)
前記比率が所定値未満である場合、前記穴の内部のうち前記第2の部品が占める部分に相当する形状、又は前記開口部のうち前記第2の部品に覆われている部分を前記穴の内部において当該穴の軸に沿って延伸することにより得られた形状を、前記穴に配置して前記第1の部品を修正した後の形状のデータを修正済データ格納部に格納する第2修正ステップ
をさらに前記コンピュータに実行させるための付記2記載のプログラム。
【0073】
(付記4)
前記第1の条件が、削除すべき部品についての第3の条件が登録されている条件格納部に格納されている前記第3の条件をさらに含み、
前記第1の条件を満たす前記第2の部品、又は前記第2の条件を満たし且つ前記第3の条件を満たす前記第2の部品である削除部品を特定するためのデータを、前記データ格納部に格納するステップ
をさらに前記コンピュータに実行させる付記3記載のプログラム。
【0074】
(付記5)
データ格納部と、
複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出し、前記モデルデータ格納部に格納されている前記三次元モデルに含まれる前記複数の部品のうち、前記第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は前記第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断し、前記第2の部品が存在している場合には、前記第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、前記データ格納部に格納する処理部と、
を有する情報処理装置。
【0075】
(付記6)
複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出すステップと、
前記モデルデータ格納部に格納されている前記三次元モデルに含まれる前記複数の部品のうち、前記第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は前記第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断するステップと、
前記第2の部品が存在している場合には、前記第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップと
を含み、コンピュータに実行される情報処理方法。
【符号の説明】
【0076】
101 設計データ格納部 103 条件格納部
105 入力部 107 抽出部
109 データ格納部 111 面積比算出部
113 修正部 115 修正後三次元モデル格納部
117 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出すステップと、
前記モデルデータ格納部に格納されている前記三次元モデルに含まれる前記複数の部品のうち、前記第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は前記第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断するステップと、
前記第2の部品が存在している場合には、前記第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項2】
前記データ格納部に格納されているデータにより特定される穴の開口部の面積に対する、前記第2の部品を前記穴の開口面で切断することにより得られる断面の面積の比率、又は前記開口部の面積に対する、前記第2の部品が前記開口部を覆っている部分の面積の比率を算出するステップと、
前記比率が所定値以上である場合、前記第1の部品から前記穴を削除した形状のデータを、修正済データ格納部に格納する第1修正ステップと
をさらに前記コンピュータに実行させるための請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記比率が所定値未満である場合、前記穴の内部のうち前記第2の部品が占める部分に相当する形状、又は前記開口部のうち前記第2の部品に覆われている部分を前記穴の内部において当該穴の軸に沿って延伸することにより得られた形状を、前記穴に配置して前記第1の部品を修正した後の形状のデータを修正済データ格納部に格納する第2修正ステップ
をさらに前記コンピュータに実行させるための請求項2記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1の条件が、削除すべき部品についての第3の条件が登録されている条件格納部に格納されている前記第3の条件をさらに含み、
前記第1の条件を満たす前記第2の部品、又は前記第2の条件を満たし且つ前記第3の条件を満たす前記第2の部品である削除部品を特定するためのデータを、前記データ格納部に格納するステップ
をさらに前記コンピュータに実行させる請求項3記載のプログラム。
【請求項5】
データ格納部と、
複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出し、前記モデルデータ格納部に格納されている前記三次元モデルに含まれる前記複数の部品のうち、前記第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は前記第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断し、前記第2の部品が存在している場合には、前記第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、前記データ格納部に格納する処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項6】
複数の部品を含む三次元モデルを格納するモデルデータ格納部から、穴を含む第1の部品を読み出すステップと、
前記モデルデータ格納部に格納されている前記三次元モデルに含まれる前記複数の部品のうち、前記第1の部品に含まれる穴の内部に位置する部分を有するという第1の条件又は前記第1の部品に含まれる穴の開口部の少なくとも一部を覆うという第2の条件を満たす第2の部品が存在しているか判断するステップと、
前記第2の部品が存在している場合には、前記第1の部品に含まれる穴を特定するためのデータを、データ格納部に格納するステップと
を含み、コンピュータに実行される情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−53728(P2012−53728A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196451(P2010−196451)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】