説明

三角サンドイッチの包装袋

【課題】不慣れな者でもサンドイッチを変形させずに袋口を手早く封止でき、しかも、封止面を底にして陳列する場合でも包装済みサンドイッチを安定して自立させることができる包装袋を提供する。
【解決手段】二枚の包装用フィルムを下底側が開口する略等脚台形状に製袋して三角サンドイッチの収容部を形成すると共に、この収容部の前記開口側に前記フィルムそれぞれを延成して第一の折り代を形成し、さらに、この第一の折り代から端縁が突出し、且つ、当該突出する端縁内面に糊部を設けた第二の折り代を形成してなり、前記収容部に三角サンドイッチを収容した状態で前記第一および第二の折り代を対向して略台形状に折り畳んだとき、前記第二の折り代は前記糊部の左右一部を露出させて前記第一の折り代に折り重なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、三角サンドイッチの包装袋に係り、袋口を封止する折り代を最終段階で三角サンドイッチの側面に沿って左右外側に折り畳む構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
側面視が直角三角形となるようにカットされた三角柱状のサンドイッチ(本願において「三角サンドイッチ」という)の従来一般的な包装態様を説明すると、先ず包装袋は二枚の包装用フィルムを短辺側の上底部とその両辺部をシールした略等脚台形状に製袋してなり、この包装袋の長辺側の下底部を袋口として三角サンドイッチをその先鋭部から投入した後、当該袋口周囲に生ずる余剰フィルム(折り代)を四方から内向きに折り畳み、その仕舞いとして前記折り代が折り重なる部分をその上からラベルやセロハンテープ等でテープ止めして前記袋口を封止していた(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、別の技術では、包装機による機械包装を前提として、前記折り代の表面に予め低融点の樹脂をコーティングまたはラミネートし、前記折り代の折り畳み工程で加熱押圧することによって折り重なるフィルム同士を接着する技術も存在した(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−35144号公報
【特許文献2】特開平7−206064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に代表される従来の一般的な包装態様によれば、折り代を四方から内向きに折り畳んで袋口を封止するため、この封止面だけフィルムが幾重にも折り重なり、特に重なり枚数が最大となる面中央が盛り上がった態様となる。そして通常、この封止面を底(設置面)にして包装済みサンドイッチを陳列するが、この場合、上述した封止面中央の盛り上がりによって包装済みサンドイッチを安定して陳列できないという課題がある。
【0006】
また、サンドイッチの包装を手作業で行う場合(以下、「手包装」ともいう)、上述した一般的な包装態様によると、袋口を封止する過程でサンドイッチを変形させやすく、相当の熟練がないと、迅速に、均質な包装済みサンドイッチを得ることができない。即ち、この種包装袋に用いる包装フィルムは素材の性質上、折り目をつけにくく、先に折り畳んだ折り代の開き戻りを押さえつつ残りの折り代を順次折り畳んでいく過程や、最終のテープ止めのときに自ずと力が入り、サンドイッチを変形させやすい。
【0007】
特に、折り代はできるだけサンドイッチの角に沿って直角に折り畳むことが好ましく、このように美麗に仕上がった包装済みサンドイッチは消費者に対する強い訴求力を有するのであるが、不慣れな者は折り目が定まらず、折り目にサンドイッチの角を巻き込んで潰してしまったり、逆に浅い位置で折り代を折り畳んでぶかぶかな包装となることが多い。さらに、こうした封止作業に慎重になる余り、包装に時間がかかることも発明者の経験から明らかである。
【0008】
一方、特許文献2に開示の技術は機械包装であるため、均質な包装済みサンドイッチを大量生産することができるが、その包装態様は、やはり折り代を袋口の四方から内向きに折り込む四方折りであるため、上述した一般的な包装態様と同様、その包装済みサンドイッチは自立性に欠けるという課題が残されている。この他、特許文献2の包装技術は、包装機等の大掛かりな設備投資を必要とするため、一日数十個程度のサンドイッチを店頭で製造・販売するベーカリー店や個人商店での導入は困難である。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、不慣れな者でもサンドイッチを変形させずに袋口を手早く封止でき、しかも、封止面を底にして陳列する場合でも包装済みサンドイッチを安定して自立させることができる包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために本発明では、二枚の包装用フィルムを下底側が開口する略等脚台形状に製袋して三角サンドイッチの収容部を形成すると共に、この収容部の前記開口側に前記フィルムそれぞれを延成して第一の折り代を形成し、さらに、この第一の折り代から端縁が突出し、且つ、当該突出する端縁内面に糊部を設けた第二の折り代を形成してなり、前記収容部に三角サンドイッチを収容した状態で前記第一および第二の折り代を対向して略台形状に折り畳んだとき、前記第二の折り代は前記糊部の左右一部を露出させて前記第一の折り代に折り重ねるという手段を用いた。三角サンドイッチは収容部に投入され、第一・第二の折り代をこの順に対向して折り畳むことによって収容部の開口は閉塞される。この閉塞時に第二の折り代は、その端縁内面に設けた糊部によって第一の折り代(の外面)に接着されるが、第一の折り代からはみ出る端縁左右の糊部は露出することになる。そして、この露出した糊部を利用して第二の折り代の端縁左右を三角サンドイッチの側面に直接または側面を巻き込んで斜面に接着することができる。即ち、本発明によれば、第一・第二の折り代とも最初の折込段階では互いに向き合うように内向きに折られるが、このときそれぞれの折り代の左右に形成される耳は、従来、さらに内向きに折り畳んでいたところを、本発明では外側に折り返した包装態様とすることができる。
【0011】
また、第一の折り代と第二の折り代には、収容する三角サンドイッチの中央線に沿って折り重ね位置を示す目印をそれぞれ設けることによって、第二の折り代を正確に第一の折り代に折り重ねることができる。
【0012】
さらに、収容部の開口周囲に、収容する三角サンドイッチの底辺位置を示す目印を設けることによって、三角サンドイッチの適正な収容深さを認識できるうえ、当該目印は第一・第二の折り代の折り目位置を示す機能も発揮する。
【0013】
また、糊部が再剥離可能な低粘着性の粘着剤である場合は、これを剥がして一旦開封した後でも再封することが可能となる。さらに、糊部を剥離紙で被覆することによって、包装前に糊部が不用意に乾燥することを防止すると共に、本包装袋を幾重にも重ねた状態で保管・流通させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第一の折り代に第二の折り代を折り重ねる際、糊部が両者を接着して簡単に袋口の閉塞状態を確保でき、その後、この状態で左右に形成される耳を外側に折り返した状態で接着できるため、封止時に袋口のフィルムの重なり枚数が少なくなり、これを底として包装済みサンドイッチを陳列する場合に高い自立性を得ることができる。また、第一・第二の折り代を左右に引っ張りながら外側に折り返すだけで、不慣れな者であっても、手早く、且つ、フィルムのテンションによって折り代が三角サンドイッチに密着する美麗な包装が完成する。このとき糊部によって折り代の開き戻りが抑制されるため、折り代の折返しに余計な力が入らず、従って、三角サンドイッチを変形させずに包装することができる。
【0015】
また、第二の折り代を先に折り畳んだ第一の折り代に折り重ねる場合、両者の目印を合致させれば、自ずと適正な折り畳み状態が実現され、さらに、収容部の開口周囲に設けた三角サンドイッチの底辺位置を示す目印は、これを三角サンドイッチの投入位置と第一・第二の折り代を外側に折り返す折り目の目安とすることで、不慣れな者でも手早く第一・第二の折り代を外側に折り返して、三角サンドイッチを美麗に包装することができる。
【0016】
さらにまた、糊部が再剥離可能な低粘着性の粘着剤である場合は、第二の折り代を開封ツマミとして再封可能な包装袋とすることができる。また、糊部を剥離紙で被覆したものにあっては、糊部を保護しながら、包装前に不用意な接着が防止され、取扱いに優れた包装袋とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装袋の平面図
【図2】この包装袋による包装済みサンドイッチの斜視図
【図3】この包装袋による三角サンドイッチの包装手順を示した工程図
【図4】第二の折り代を第一の折り代に折り重ねた状態を示す三角サンドイッチの底面図
【図5】包装作業に用いる作業台を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装袋の平面図を示したものであって、表裏二枚の包装用フィルム1・2を短辺側の上底3および両辺4・5の三辺をシールする一方、長辺側の下底6のみが開口した略等脚台形状に製袋して三角サンドイッチの収容部7を形成すると共に、当該収容部7の前記開口側にフィルム1・2それぞれを延成して、台形状の第一の折り代8および、この第一の折り代8から端縁9aが突出する第二の折り代9を形成したものである。この第二の折り代9の第一の折り代8から突出する部分の内面には端縁9aに沿って糊部10を設けており、さらに、この糊部10は剥離紙11で被覆している。なお、本実施形態では、三角サンドイッチの斜面側に位置するフィルム1を延成して第一の折り代8を、また三角サンドイッチの垂直面側に位置するフィルム2を延成して第二の折り代9を形成している。これは第二の折り代9を第一の折り代8から極端に突出させずとも、第一の折り代8に折り重ねるための十分な折り幅を確保するためである。
【0019】
図2は、上記包装袋により三角サンドイッチSを包装した包装済みサンドイッチの完成斜視図であり、後述する手順に従って第一・第二の折り代8・9をこの順に折り込んでいくことにより、最終的には第一・第二の折り代8・9の左右両端を三角サンドイッチSの側面S1を巻き込んで斜面S2に接着したものである。
【0020】
即ち、上記包装袋による三角サンドイッチSの包装手順を図3に従って説明すると、先ず、第一工程(図3(a))では収容部7に三角サンドイッチSを底面S3が袋口側となるように収容した状態で、第一の折り代8を前記底面S3に向かって内向きに折り畳むもので、このとき第一の折り代8は三角サンドイッチSの底面S3の左右に略三角形状の耳8a・8bを張り出した略台形状に折り畳まれて、袋口を途中まで閉塞する。
【0021】
なお、本実施形態では収容部7の袋口周囲に予め三角サンドイッチSの底辺位置を示す目印12を形成しているため、三角サンドイッチSの収容を簡単に行える。また、この目印12は第一・第二の折り代8・9を内向きに折り畳み、その後、外側に折り返す際の折り目の目安ともなる。この目印12は、本実施形態のように三角サンドイッチSの底面四隅に対応する四つの点で構成することが最も簡易であるが、左右の上下2点を結ぶ2本の平行線、若しくは、四つの点を結んで三角サンドイッチの底面Sの形状を示す矩形の外形線であってもよい。
【0022】
次に第二工程(図3(b))では、第二の折り代9から剥離紙11を剥がして糊部10を露出させたうえ、この第二の折り代9を反対側から内向きに折り畳んで第一の折り代8に折り重ねる。このときもまた、三角サンドイッチSの底面S3の左右両側に略三角形状の耳9a・9bを張り出した略逆台形状に第二の折り代9を折り畳むことで、図4に示すように、第二の折り代9の端縁左右が第一の折り代8からはみ出た状態となる。従って、糊部10は第一の折り代8に接着する重畳部分10a(図4上のハッチ部分参照)と、その左右に第一の折り代8からはみ出る露出部分10b・10c(図4上の格子部分参照)とを形成する。ただし、第二の折り代9を中心がずれた状態で第一の折り代8に折り重ねると、露出部分10b・10cに偏りが生じたり、糊部10が全く露出しないこともあるため、本実施形態では、第一・第二の折り代8・9それぞれに三角サンドイッチSの中央線に沿って折り重ね位置を示す目印12・13を設けている。従って、第二の折り代9を第一の折り代8に折り重ねる際、両者の目印12・13が合致すれば、自ずと適正な露出部分10b・10cが形成されることになる。なお、この第二工程では第一および第二の折り代8・9の両耳8a・8bおよび9a・9bを両手で摘み、左右外側に引っ張ることで第一・第二の折り代8・9の開き戻りを抑制しつつ、両折り代8・9を三角サンドイッチSの底面に密着させた状態で接着することができる。
【0023】
続いて、第三工程(図3(c))では第二の折り代9の両耳9a・9bそれぞれを三角サンドイッチSの両側面S1に沿って立ち上げるように折り返し、さらに最終工程(図3(d))では両耳9a・9bの端縁を糊部10の露出部分10b・10cを利用して三角サンドイッチSの斜面S2に巻き込んだ状態で接着することによって、図2に示す包装済みサンドイッチが完成する。なお、この第三・最終工程では三角サンドイッチSを起こして底面S3を設置させて作業を行っているが、第一・第二工程の垂直面を設置させた状態のまま作業を継続することも可能である。また、第二の折り代9の両耳9a・9bは、その折り幅が本実施形態よりも小さい場合、三角サンドイッチSの側面S1に接着することも可能である。
【0024】
上述した本実施形態の包装袋によれば、第一・第二の折り代8・9の両耳は最終的に外側に折り返した状態で接着されるため、袋口(三角サンドイッチSの底面)におけるフィルムの重なり枚数が従来よりも少なくなり、これを底として陳列する場合に、自立性が高い包装済みサンドイッチを得ることができる。また、第一・第二の折り代8・9の両耳を外側に折り返す作業は、当該両耳を外側に引っ張りながら行えるため、従来のように内向きに折り重ねるよりも、手早く、且つ、美麗に行うことができる。さらに、糊部10が再剥離可能な低粘着性の粘着剤である場合は、図3とは逆の手順で袋口を開封した後、図3の手順に沿って再封が可能となる。
【0025】
なお、上述した一連の包装作業は、図5に示したように、表面にシリコンシートなどの滑り止め材P1を設けた作業台Pを用いて行うことが好ましく、この作業台Pは回転台であることがより好ましいものである。
【符号の説明】
【0026】
1・2 包装用フィルム
7 収容部
8 第一の折り代
9 第二の折り代
10 糊部
S 三角サンドイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の包装用フィルムを下底側が開口する略等脚台形状に製袋して三角サンドイッチの収容部を形成すると共に、この収容部の前記開口側に前記フィルムそれぞれを延成して第一の折り代を形成し、さらに、この第一の折り代から端縁が突出し、且つ、当該突出する端縁内面に糊部を設けた第二の折り代を形成してなり、前記収容部に三角サンドイッチを収容した状態で前記第一および第二の折り代を対向して略台形状に折り畳んだとき、前記第二の折り代は前記糊部の左右一部を露出させて前記第一の折り代に折り重なることを特徴とした三角サンドイッチの包装袋。
【請求項2】
第一の折り代と第二の折り代には、収容する三角サンドイッチの中央線に沿って折り重ね位置を示す目印をそれぞれ設けた請求項1記載の三角サンドイッチの包装袋。
【請求項3】
収容部の開口周囲に、収容する三角サンドイッチの底辺位置を示す目印を設けた請求項1または2記載の三角サンドイッチの包装袋。
【請求項4】
糊部は再剥離可能な低粘着性の粘着剤である請求項1、2または3記載の三角サンドイッチの包装袋。
【請求項5】
糊部を剥離紙で被覆した請求項1から4のうち何れか一項記載の三角サンドイッチの包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−260611(P2010−260611A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113158(P2009−113158)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000111133)ニッポー株式会社 (24)
【Fターム(参考)】