説明

上下コンベア間の荷移載装置

【課題】レール接続部のロック装置を不要にし、昇降装置の構成を簡素化する。
【解決手段】昇降台6を、支柱4により支持された下昇降台7とその上側に位置して台車23が走行可能な昇降ガイドレール9が上側に取り付けられた上昇降台8により構成し、これらを、一方の位置決めピンを他方の位置決め孔に嵌入して連結し、下昇降台7の上面及び上昇降台8の下面に当接面を形成し、移載箇所の下側にレール接続用位置決め台10を設置し、昇降台6の下降位置において、レール接続用位置決め台10及び上昇降台8を、一方のレール接続用位置決めピン25,26を他方のレール接続用位置決め孔に嵌入して連結し、レール接続用位置決め台10の上面及び上昇降台8の下面に形成したレール接続用当接面同士を当接させた状態で搬送ガイドレール21,22と昇降ガイドレール9とが上下左右方向に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドコンベアとフロアコンベアとの間で被搬送物の受け渡しを行う、上下コンベア間の荷移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被搬送物をハンガにより吊り下げて所定軌道に沿って搬送するオーバーヘッドコンベアと、被搬送物を台車上に載置して所定軌道に沿って搬送するフロアコンベアとの間で被搬送物の受け渡しを行う、上下コンベア間の荷移載装置として、昇降装置の昇降フレームに連結された被搬送物支持部材により被搬送物を支持した状態から、昇降駆動装置により吊り下げチェーンを繰り出すことにより昇降フレームを下降させ、前記被搬送物支持部材を開いてフロアコンベア上に被搬送物を載せ替えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1のような構成の上下コンベア間の荷移載装置では、被搬送物のみを昇降させるため、昇降駆動装置の容量を比較的小さくすることができるという長所がある反面、被搬送物支持部材を回動又は伸縮する駆動装置が必要になるとともに、オーバーヘッドコンベアから昇降フレームへの被搬送物の移載及び昇降フレームからフロアコンベアへの被搬送物の移載の2回の移載を行う構成であるため、移載時の位置ずれが発生しやすいという短所もある。
【0003】
このような上下コンベア間の荷移載装置の短所をなくすために、フロアコンベア側又はオーバーヘッドコンベア側のレールの途中を分割して昇降ガイドレール(分割レール)とし、このレールとともに被搬送物を昇降させるように構成してなるものがあり(例えば、特許文献2及び3参照。)、このような構成によれば、上記移載回数が1回になるため、移載時の位置ずれの発生を抑制することができる。
特許文献2及び3のようなレールの途中を分割して昇降させる構成では、固定側レールに昇降ガイドレール(移動側レール)を接続する際にこれらレールの位置合わせを確実に行う必要があるため、固定側レールに対して昇降ガイドレールを上下及び左右に強制的に位置規制するロック装置(位置規制機構)を備える構成が一般的である(例えば、特許文献4参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−143899号公報(第1−2図)
【特許文献2】特公昭62−38255号公報(第1−2図)
【特許文献3】特許第2639696号公報(第1−2図)
【特許文献4】特開2004−345417号公報(図1、図4−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような従来の上下コンベア間の荷移載装置において、特許文献2及び3のようなレールの途中を分割して昇降させる構成のものは、移載回数を少なくして移載時の位置ずれの発生を抑制することができる等の特長があるが、前記ロック装置を設ける必要があるため、コストが増大する。
また、特に上下コンベア間の高さの差が大きい場合においては(例えば特許文献3の第1図参照。)、前記ロック装置が作用する範囲内に入るようにレール接続部の位置ずれを小さく抑える必要があることから、昇降装置の支柱を4本設置して昇降ガイドレールが取り付けられた昇降台を両持ち支持する構造としたり(例えば特許文献3の第2図参照。)、剛性を大きくして撓みを小さくする必要があるため、昇降装置のコストが増大する。
【0006】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、移載回数を少なくして移載時の位置ずれの発生を抑制することができ、レール接続部にロック装置を設ける必要がなく、昇降装置の構成を簡素化することができ、コスト低減化を図ることができる上下コンベア間の荷移載装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上下コンベア間の荷移載装置は、前記課題解決のために、搬送ガイドレールに沿って移動するキャリアのハンガにより被搬送物を吊り下げて搬送するオーバーヘッドコンベアと、搬送ガイドレールに沿って移動する台車上に被搬送物を載置して搬送するフロアコンベアとの間の所定移載箇所において、支柱により支持され昇降駆動装置により駆動されて昇降する昇降台を介して被搬送物の受け渡しを行う、上下コンベア間の荷移載装置であって、前記昇降台を、前記支柱により支持された下昇降台と、該下昇降台の上側に位置し、前記台車が走行可能な昇降ガイドレールが上側に取り付けられた上昇降台とにより構成するとともに、前記下昇降台及び上昇降台を、これらの一方から他方に向かって突出する少なくとも2本の昇降台連結用位置決めピンを他方に形成した昇降台連結用位置決め孔に嵌入して連結するとともに、前記下昇降台の上面及び前記上昇降台の下面に昇降台連結用当接面を形成し、前記所定移載箇所下方のフロアコンベア側にレール接続用位置決め台を設置し、前記昇降台の下降位置において、前記レール接続用位置決め台及び上昇降台を、これらの一方から他方に向かって突出する少なくとも2本のレール接続用位置決めピンを他方に形成したレール接続用位置決め孔に嵌入して連結するとともに、前記下昇降台を前記上昇降台に対して下降させて前記昇降台連結用当接面同士を離反させ、前記レール接続用位置決め台の上面及び前記上昇降台の下面に形成したレール接続用当接面同士を当接させた状態とし、この状態で前記フロアコンベアの搬送ガイドレールと前記上昇降台の昇降ガイドレールとが上下左右方向に位置決めされるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る上下コンベア間の荷移載装置によれば、搬送ガイドレールに沿って移動するキャリアのハンガにより被搬送物を吊り下げて搬送するオーバーヘッドコンベアと、搬送ガイドレールに沿って移動する台車上に被搬送物を載置して搬送するフロアコンベアとの間の所定移載箇所において、支柱により支持され昇降駆動装置により駆動されて昇降する昇降台を介して被搬送物の受け渡しを行う、上下コンベア間の荷移載装置であって、前記昇降台を、前記支柱により支持された下昇降台と、該下昇降台の上側に位置し、前記台車が走行可能な昇降ガイドレールが上側に取り付けられた上昇降台とにより構成するとともに、前記下昇降台及び上昇降台を、これらの一方から他方に向かって突出する少なくとも2本の昇降台連結用位置決めピンを他方に形成した昇降台連結用位置決め孔に嵌入して連結するとともに、前記下昇降台の上面及び前記上昇降台の下面に昇降台連結用当接面を形成し、前記所定移載箇所下方のフロアコンベア側にレール接続用位置決め台を設置し、前記昇降台の下降位置において、前記レール接続用位置決め台及び上昇降台を、これらの一方から他方に向かって突出する少なくとも2本のレール接続用位置決めピンを他方に形成したレール接続用位置決め孔に嵌入して連結するとともに、前記下昇降台を前記上昇降台に対して下降させて前記昇降台連結用当接面同士を離反させ、前記レール接続用位置決め台の上面及び前記上昇降台の下面に形成したレール接続用当接面同士を当接させた状態とし、この状態で前記フロアコンベアの搬送ガイドレールと前記上昇降台の昇降ガイドレールとが上下左右方向に位置決めされるので、フロアコンベアの搬送ガイドレールと上昇降台の昇降ガイドレールとが位置決めされて接続された状態で、これらのレールに沿って台車を搬送することができることから、昇降ガイドレールを用いずに被搬送物のみを昇降させる構成と比較して、昇降台の被搬送物の支持部材を回動又は伸縮する駆動装置が不要になるためコストを低減することができる。
その上、フロアコンベア側では接続されたレールに沿って台車が搬送されることから、オーバーヘッドコンベアとフロアコンベアとの間で被搬送物を受け渡す際の被搬送物の移載回数が、オーバーヘッドコンベアと昇降台との間の移載の1回のみになるため、昇降ガイドレールを用いずに被搬送物のみを昇降させる構成と比較して、移載時の位置ずれの発生を抑制することができる。
【0009】
その上さらに、昇降台の下降位置において、レール接続用位置決めピンをレール接続用位置決め孔に嵌入してレール接続用当接面同士を当接させることにより、フロアコンベアの搬送ガイドレールと上昇降台の昇降ガイドレールとが位置決めがされた状態で接続されることから、レール接続部にロック装置を設ける必要がないためコストを低減することができる。
その上、所定移載箇所下方に設置したレール接続用位置決め台により上昇降台が支持されることから、支柱及び昇降台並びに昇降駆動装置等により構成される昇降装置の構造体の剛性を比較的小さくすることができるとともに、支柱により昇降台を片持ち支持する簡素な構成とすることができるため、昇降装置のコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、搬送方向(図中矢印F参照。)を前とし、左右は前方に向かっていうものとする。また、左方から見た図を正面図とする。
【0011】
図1〜図7は、本発明の実施の形態に係る上下コンベア間の荷移載装置の構成を示す概略図であり、図1は全体構成を示す正面図、図2はオーバーヘッドコンベアから昇降台上に被搬送物を移載した状態を示す要部拡大正面図、図3は昇降台の下降途中状態を示す要部拡大正面図、図4は同じく後方から見た要部拡大図、図5は昇降台を下降させてレール接続用位置決め台により上昇降台を位置決めした状態を示す要部拡大正面図、図6は上昇降台と下昇降台及びレール接続用位置決め台との連結構造を示す斜視図、図7は台車ロック装置の説明図である。
【0012】
図1に示す本発明の実施の形態に係る上下コンベア間の荷移載装置は、オーバーヘッドコンベア1とフロアコンベア2との間の所定移載箇所において、昇降装置3を用いて被搬送物Wを上下コンベア1,2間で受け渡すものであり、前記所定移載箇所下方のフロアコンベア側には、後述するレール接続用位置決め台10を備えている。
ここで、オーバーヘッドコンベア1は、搬送ガイドレール11により案内されたトロリ12に吊り下げられたキャリア13のハンガ14により被搬送物Wを支持した状態で、キャリア13を図示しないパワーチェーン式駆動装置、フリクションローラ式駆動装置又は自走式走行駆動装置等の搬送駆動装置により搬送するものであり、ハンガ14は左右に開閉する。
【0013】
また、フロアコンベア2は、上流側搬送ガイドレール21又は下流側搬送ガイドレール22により案内された台車23の受け部材24に被搬送物Wを載置した状態で、台車23を図示しないパワーチェーン式駆動装置、フリクションローラ式駆動装置又は自走式走行駆動装置等の搬送駆動装置により搬送するものであり、上流側搬送ガイドレール21と下流側搬送ガイドレール22とは前後方向に離間しており、これらの搬送ガイドレール21,22間には、後述する上昇降台8の上側に取り付けられた昇降ガイドレール9が接続する。
【0014】
図1及び図4に示すように、昇降装置3は、搬送経路の右側前後2本の支柱4,4の上下方向に延びるレール体にガイドローラ5A,5B,…等を沿わせることにより、このような片持ち構造により、下昇降台7を昇降可能に支持しており、下昇降台7の前後左右に下側端末が取り付けられた昇降チェーン31,31,32,32を図示しないスプロケットを介して巻き取り又は繰り出す昇降駆動装置及び重力補償用のカウンターウェイト33等を備えている。
また、図2及び図6に示すように、昇降台6は、下昇降台7と、下昇降台7の上側に位置し、台車23が前後方向に走行可能な昇降ガイドレール9が上側に取り付けられた上昇降台8とにより構成され、略矩形フレーム状の下昇降台7の後側フレームの左側及び前側フレームの右側には、上方に突出する昇降台連結用位置決めピン15,16が取り付けられ、前後方向に延びる左右のフレームの中間部分を左右に延びるフレームにより連結してなる上昇降台8の左フレームの下面後側及び右フレームの下面前側には、昇降台連結用位置決めピン15,16が嵌入される昇降台連結用位置決め孔17,18が形成される。
さらに、下昇降台7の前側フレームの左側及び後側フレームの右側には昇降台連結用当接面19A,19Aが、前記昇降台連結用位置決めピン15,16のまわりには昇降台連結用当接面19B,19Bが、上昇降台8の左フレームの下面前側及び右フレームの下面後側には昇降台連結用当接面20A,20Aが、前記昇降台連結用位置決め孔17,18のまわりには昇降台連結用当接面20B,20Bが、これら上下の当接面19A,20A及び19B,20Bが当接するように形成される。
【0015】
よって、下昇降台7の昇降台連結用位置決めピン15,16を上昇降台8の昇降台連結用位置決め孔17,18に嵌入し、上下の昇降台連結用当接面19A,20A及び19B,20B同士が当接した状態(例えば、図2参照。)では、下昇降台7及び上昇降台8は、水平面内及び上下方向の位置決めがされた状態で連結される。
ここで、下昇降台7と上昇降台8とは、昇降台連結用位置決めピン15,16と昇降台連結用位置決め孔17,18との嵌合により連結されるのみであるが、図4に示すように、上昇降台8に取り付けたチェーン34,34を下昇降台7の前後のフレームに緩やかに巻いているため、下昇降台7と上昇降台8とが外れることがない。
なお、上昇降台8に下方へ突出する昇降台連結用位置決めピンを取り付けて、下昇降台7の上面に形成された昇降台連結用位置決め孔に嵌入するように構成してもよいし、昇降台連結用位置決めピンの数は2本に限定されるものではなく、2本以上であればよい。
【0016】
次に、図5及び図6を参照して、レール接続用位置決め台10による上昇降台8(昇降ガイドレール9)の位置決めについて説明する。
例えば略箱形フレーム状であるレール接続用位置決め台10の後側フレームの左側及び前側フレームの右側には、上方に突出するレール接続用位置決めピン25,26が取り付けられ、上昇降台8の左フレームの下面後側の昇降台連結用位置決め孔17よりもさらに後側及び右フレームの下面前側の昇降台連結用位置決め孔18よりもさらに前側には、レール接続用位置決めピン25,26が嵌入されるレール接続用位置決め孔27,28が形成される。
また、レール接続用位置決め台10の前側フレームの左側及び後側フレームの右側にはレール接続用当接面29A,29Aが、前記レール接続用位置決めピン25,26のまわりにはレール接続用当接面29B,29Bが、上昇降台8の左フレームの下面前側の昇降台連結用当接面20Aよりもさらに前側及び右フレームの下面後側の昇降台連結用当接面20Aよりもさらに後側にはレール接続用当接面30A,30Aが、前記レール接続用位置決め孔27,28のまわりにはレール接続用当接面30B,30Bが、これら上下の当接面29A,30A及び29B,30Bが当接するように形成される。
【0017】
よって、レール接続用位置決め台10のレール接続用位置決めピン25,26を上昇降台8のレール接続用位置決め孔27,28に嵌入し、上下のレール接続用当接面29A,30A及び29B,30B同士が当接した状態(図5参照。)では、上昇降台8がレール接続用位置決め台10により水平面内及び上下方向の位置決めがされ、この位置決め状態では、上昇降台8に取り付けられた昇降ガイドレール9が、図1に示すフロアコンベア2の上流側搬送ガイドレール21及び下流側搬送ガイドレール22と上下左右方向に位置決めされた状態で接続される。
なお、上昇降台8に下方へ突出するレール接続用位置決めピンを取り付けて、レール接続用位置決め台10の上面に形成されたレール接続用位置決め孔に嵌入するように構成してもよいし、レール接続用位置決めピンの数は2本に限定されるものではなく、2本以上であればよい。
【0018】
このようなレール接続用位置決め台10を用いた位置決めを行う際に、図5に示すように下昇降台7を上昇降台8に対して下降させて昇降台連結用当接面19A,20A及び19B,20B同士を離反させているため、上下のレール接続用当接面29A,30A及び29B,30B同士を確実に当接させて上下方向の位置決めを行うことができる。
また、図5のように下昇降台7の昇降台連結用位置決めピン15,16が上昇降台8の昇降台連結用位置決め孔17,18に嵌入したままの状態であっても、床面等に強固に固定されるとともに必要十分な剛性を容易に確保することができるレール接続用位置決め台10に対して、支柱4,4によりガイドローラ5A,5B,…等を介して支持された下昇降台7の位置における水平方向の剛性は十分低いため、レール接続用位置決め台10のレール接続用位置決めピン25,26が上昇降台8のレール接続用位置決め孔27,28に嵌入された状態において、下昇降台7及び支柱4,4から上昇降台8に作用する水平方向の力は非常に小さいことから、上昇降台8及びその上側の昇降ガイドレール9はレール接続用位置決め台10により水平面内に確実に位置決めされる。
【0019】
次に、上昇降台8の昇降ガイドレール9上に受け渡された台車23を固定する台車ロック装置36について説明する。
図2及び図7に示すように、台車23の基体の中央下面には固定用垂直片35が下方へ突設されており、上昇降台8には台車ロック装置36が取り付けられている。
台車ロック装置36の前後の挟持部材37,38は、左右方向の支軸39,40まわりに回動し、該支軸39,40と同軸に挟持部材37,38に取り付けられた平歯車41,42が噛合し、一方の挟持部材37の下方へ延出したアーム部43に、連結軸44を介して、例えばエアシリンダ又は電動シリンダであるシリンダ45のピストンロッド46の先端が連結される。
【0020】
よって、上昇降台8の昇降ガイドレール9上に台車23が受け渡された状態で、シリンダ45のピストンロッド46を伸ばすことにより(図7の矢印A参照。)、挟持部材37,38を、これらの先端のローラ37A,38Aが固定用垂直片35の前後面を挟持するように閉じることができるため(図7の矢印B及びC参照。)、台車23を昇降ガイドレール9上に固定することができる。
また、シリンダ45のピストンロッド46を縮めることにより、挟持部材37,38を、これらの先端のローラ37A,38Aが固定用垂直片35の前後面をから離反するように開くことができるため、台車23を昇降ガイドレール9上に固定した状態を解除して、台車を昇降ガイドレール9から下流側搬送ガイドレール22へ受け渡すことができる。
【0021】
次に、オーバーヘッドコンベア1とフロアコンベア2との間での被搬送物Wの受け渡しを行う際の一連の動作について、オーバーヘッドコンベア1側からフロアコンベア2側へ被搬送物Wを受け渡す場合を例にとって説明する。
まず、図1に示すオーバーヘッドコンベア1とフロアコンベア2との間の所定移載箇所において、昇降駆動装置により昇降台6を下降させ、前記レール接続用位置決め台10を用いた位置決めにより、図5に示すような昇降ガイドレール9がフロアコンベア2の上流側搬送ガイドレール21及び下流側搬送ガイドレール22と位置決めされ、これらのレール21,9,22が接続された状態とする。なお、図5には上流側搬送ガイドレール21及び下流側搬送ガイドレール22等は図示していない。
次に、台車ロック装置36の前後の挟持片37,38(図7参照。)を開いた状態とし、上流側搬送ガイドレール21から昇降ガイドレール9上へ、被搬送物Wが載っていない空台車23を搬送駆動装置により搬入した後、前記挟持片37,38を閉じて、昇降ガイドレール9上に空台車23を固定し、この状態で昇降駆動装置により昇降台6を上昇させる。
【0022】
また、オーバーヘッドコンベア1の搬送駆動装置により搬送されてきたキャリア13は前記所定移載箇所で停止して待機している。
したがって、前記のとおり上昇降台8(昇降ガイドレール9)に位置決め固定された状態で上昇してきた空台車23の受け部材24,…により、ハンガ14により支持されている被搬送物Wを受けた状態で押し上げることにより、被搬送物Wは台車23上に載置される。
次に、ハンガ14を左右方向に開き、昇降駆動装置により昇降台6を下降させ、図3及び図4の下降途中状態を経由して、図5に示すような昇降ガイドレール9がフロアコンベア2の上流側搬送ガイドレール21及び下流側搬送ガイドレール22と位置決めされ、これらのレール21,9,22が接続された状態とする。
この状態で、台車ロック装置36の前後の挟持片37,38(図7参照。)を開いた状態とし、搬送駆動装置により台車23を昇降ガイドレール9上から下流側搬送ガイドレール22上へ受け渡す。
このようなオーバーヘッドコンベア1側からフロアコンベア2側へ被搬送物Wを受け渡す動作と同様に、フロアコンベア2側からオーバーヘッドコンベア1側へ被搬送物Wを受け渡す動作も容易に行うことができる。
【0023】
以上のような上下コンベア間の荷移載装置によれば、フロアコンベア2の搬送ガイドレール21,22と上昇降台8の昇降ガイドレール9とが位置決めされて接続された状態で、これらのレール21,9,22に沿って搬送駆動装置により台車23を搬送することができることから、昇降ガイドレール9を用いずに被搬送物Wのみを昇降させる構成と比較して、昇降台6に被搬送物Wの支持部材を回動又は伸縮する駆動装置を設ける必要がないため、コストを低減することができる。
また、フロアコンベア2側では、接続されたレール21,9又は9,22に沿って台車23が搬送されることから、オーバーヘッドコンベア1とフロアコンベア2との間で被搬送物Wを受け渡す際の被搬送物Wの移載回数が、オーバーヘッドコンベア1と昇降台6(空台車23)との間の移載の1回のみになるため、昇降ガイドレール9を用いずに被搬送物Wのみを昇降させる構成と比較して、移載時の位置ずれの発生を抑制することができる。
【0024】
さらに、昇降台6の下降位置において、レール接続用位置決めピン25,26をレール接続用位置決め孔27,28に嵌入してレール接続用当接面29A,30A及び29B,30B同士を当接させることにより、フロアコンベア2の搬送ガイドレール21,22と上昇降台8の昇降ガイドレール9とが位置決めがされた状態で接続されることから、レール接続部にロック装置を設ける必要がないためコストを低減することができる。
さらにまた、所定移載箇所下方に設置したレール接続用位置決め台10により上昇降台8が支持されることから、支柱4,4及び昇降台6並びに昇降駆動装置等により構成される昇降装置3の構造体の剛性を比較的小さくすることができるとともに、支柱4,4により昇降台6(下昇降台7)を片持ち支持する簡素な構成とすることができるため、昇降装置3のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る上下コンベア間の荷移載装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】オーバーヘッドコンベアから昇降台上に被搬送物を移載した状態を示す要部拡大正面図である。
【図3】昇降台の下降途中状態を示す要部拡大正面図である。
【図4】同じく後方から見た要部拡大図である。
【図5】昇降台を下降させてレール接続用位置決め台により上昇降台を位置決めした状態を示す要部拡大正面図である。
【図6】上昇降台と下昇降台及びレール接続用位置決め台との連結構造を示す斜視図である。
【図7】台車ロック装置の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
F 搬送方向
W 被搬送物
1 オーバーヘッドコンベア
2 フロアコンベア
3 昇降装置
4 支柱
6 昇降台
7 下昇降台
8 上昇降台
9 昇降ガイドレール
10 レール接続用位置決め台
11 搬送ガイドレール
13 キャリア
14 ハンガ
15,16 昇降台連結用位置決めピン
17,18 昇降台連結用位置決め孔
19A,19B,20A,20B 昇降台連結用当接面
21 上流側搬送ガイドレール
22 下流側搬送ガイドレール
23 台車
24 受け部材
25,26 レール接続用位置決めピン
27,28 レール接続用位置決め孔
29A,29B,30A,30B レール接続用当接面
31,32 昇降チェーン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ガイドレールに沿って移動するキャリアのハンガにより被搬送物を吊り下げて搬送するオーバーヘッドコンベアと、搬送ガイドレールに沿って移動する台車上に被搬送物を載置して搬送するフロアコンベアとの間の所定移載箇所において、支柱により支持され昇降駆動装置により駆動されて昇降する昇降台を介して被搬送物の受け渡しを行う、上下コンベア間の荷移載装置であって、
前記昇降台を、前記支柱により支持された下昇降台と、該下昇降台の上側に位置し、前記台車が走行可能な昇降ガイドレールが上側に取り付けられた上昇降台とにより構成するとともに、前記下昇降台及び上昇降台を、これらの一方から他方に向かって突出する少なくとも2本の昇降台連結用位置決めピンを他方に形成した昇降台連結用位置決め孔に嵌入して連結するとともに、前記下昇降台の上面及び前記上昇降台の下面に昇降台連結用当接面を形成し、
前記所定移載箇所下方のフロアコンベア側にレール接続用位置決め台を設置し、
前記昇降台の下降位置において、前記レール接続用位置決め台及び上昇降台を、これらの一方から他方に向かって突出する少なくとも2本のレール接続用位置決めピンを他方に形成したレール接続用位置決め孔に嵌入して連結するとともに、前記下昇降台を前記上昇降台に対して下降させて前記昇降台連結用当接面同士を離反させ、前記レール接続用位置決め台の上面及び前記上昇降台の下面に形成したレール接続用当接面同士を当接させた状態とし、この状態で前記フロアコンベアの搬送ガイドレールと前記上昇降台の昇降ガイドレールとが上下左右方向に位置決めされる上下コンベア間の荷移載装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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