説明

上澄み液由来のキャノーラタンパク質生成物

主として2Sキャノーラタンパク質からなり、改善された溶解特性を有する新規なキャノーラタンパク質生成物は、2Sキャノーラタンパク質の割合が増加し、7Sキャノーラタンパク質の割合が減少しており、約90wt%(N×6.25)d.b.未満のタンパク質含量を有する。新規なキャノーラタンパク質単離物は、キャノーラタンパク質のミセルの形成および沈殿による上澄み水溶液を加熱処理または等電沈殿させて、7Sタンパク質の沈殿をもたらし、これを沈降させて除去することによって形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、キャノーラタンパク質生成物の製造、ならびにソフトドリンクおよびスポーツドリンクを含む水溶液におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本譲受人に譲渡され、その開示が参照により本明細書に組み込まれた、同時係属の2005年1月21日出願の米国特許出願第11/038,086号(米国特許出願公開第2005-0181112号およびWO2005/067729)および2008年6月20日出願の米国特許出願第12/213,500号(米国特許出願公開第2008-0299282号およびWO2009/152621)には、上澄み液の加熱処理または等電沈殿による、乾燥重量基準(d.b.)で少なくとも約90wt%(N×6.25)、好ましくは少なくとも約100wt%のタンパク質含量を有するキャノーラタンパク質単離物の製造が記載されており、この上澄み液をキャノーラタンパク質ミセル塊の析出物から部分的に濃縮または濃縮して、上澄み液からキャノーラ7Sタンパク質を沈殿させることができる。沈殿したキャノーラ7Sタンパク質の除去の後、処理した上澄み液を乾燥する。
【0003】
このようにして形成されたキャノーラタンパク質単離物は、未処理上澄み液と比較して2Sタンパク質含量が増加しており、未処理上澄み液から直接得られるキャノーラタンパク質単離物よりも水溶液中で優れた特性を示す。種々のpH値における等しいまたはより大きい溶解度に加えて、上記特許出願で提供される2S強化キャノーラタンパク質単離物(2S−enriched canola protein isolate)は、ソフトドリンクおよびスポーツドリンクに溶液の透明度の向上をもたらし、ソフトドリンクおよびスポーツドリンクなどの酸性飲料を含む、透明なタンパク質強化飲料(protein fortified beverage)を提供することができる。
【0004】
キャノーラは、菜種またはアブラナとしても知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0181112号
【特許文献2】国際公開第2005/067729号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0299282号
【特許文献4】国際公開第2009/152621号
【発明の概要】
【0006】
上記米国特許出願第11/038,086号および第12/213,500号に記載されている手順を、2S強化キャノーラタンパク質生成物が、濃縮物であるとみなされる濃度である、少なくとも約60wt%(N×6.25)d.b.などの約90wt%(N×6.25)d.b.未満を含有し、したがって単離物ではないような方法で行うと、同様に広範囲のpH値にわたって完全に可溶性であり、ソフトドリンクおよびスポーツドリンクなどの酸性飲料を含む、透明なタンパク質強化飲料を提供できるキャノーラタンパク質生成物が得られることが今や分かった。
【0007】
この結果は、上澄み液に行う透析濾過(diafiltration)ステップを省略する、もしくは減少させることにより、または上澄み液に行う限外濾過ステップを早く停止することにより、本明細書において達成され、その結果、これらのステップ中に除去される混入物は少なくなり、したがって、単離物よりも純度が低いキャノーラタンパク質生成物が得られる。
【0008】
本発明の一態様によると、2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物の調製方法であって、
(a)主として2Sタンパク質からなる、2Sおよび7Sタンパク質の水溶液を用意するステップと、
(b)水溶液を加熱処理して、7Sキャノーラタンパク質を沈殿させるステップと、
(c)水溶液から、沈殿した7Sタンパク質を除去するステップと、
(d)約90wt%(N×6.25)d.b.未満のタンパク質含量を有し、2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物を回収するステップと
を含む方法を提供する。
【0009】
本発明の別の態様によると、2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物の調製方法であって、
(a)主として2Sタンパク質からなる、2Sおよび7Sタンパク質の水溶液を用意するステップと、
(b)水溶液から、7Sタンパク質を等電沈殿させるステップと、
(c)水溶液から、沈殿した7Sタンパク質を除去するステップと、
(d)約90wt%(N×6.25)d.b.未満のタンパク質含量を有し、2Sおよび7Sタンパク質の水溶液と比較して、2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物を回収するステップと
を含む方法を提供する。
【0010】
本明細書で製造するキャノーラタンパク質生成物は、少なくとも約85wt%の2Sキャノーラタンパク質および約15wt%未満の7Sキャノーラタンパク質、好ましくは少なくとも約90wt%の2Sキャノーラタンパク質および約10wt%未満の7Sキャノーラタンパク質、より好ましくは可能な限り高い割合の2Sタンパク質を含む。上記のように、このようなキャノーラタンパク質生成物は、以下でより詳細に説明する上澄み液、部分濃縮上澄み液および濃縮上澄み液の加熱処理または等電沈殿によって得られる。上澄み液、部分濃縮上澄み液および濃縮上澄み液の加熱処理または等電沈殿により、7Sタンパク質の沈殿がもたらされ、これは遠心分離または濾過などの任意の好都合な手段によって、処理した上澄み液から除去することができる。2Sタンパク質は処理によって影響されないので、処理は、7Sタンパク質の割合を減少させることによって、存在する2Sタンパク質の割合を増加させる。
【0011】
キャノーラタンパク質生成物は、一般的に約pH2〜約pH7.5、好ましくは約pH2〜約pH4の広範囲のpH値にわたって、水溶液に可溶性であり、一般的に、主として2Sタンパク質からなり、調製の同じ実験条件下でのキャノーラタンパク質のミセルの形成および沈殿による上澄み液から直接得られるキャノーラタンパク質生成物と等しいまたはより高い溶解度を有している。さらに、市販のものなどの、炭酸および非炭酸両方のソフトドリンクおよびスポーツドリンクを含み、炭酸および非炭酸両方のスポーツエネルギードリンクを含む、ソフトドリンク中のキャノーラタンパク質生成物の水溶液は、主として2Sタンパク質からなり、調製の同じ条件下でのキャノーラタンパク質のミセルの形成および沈殿による上澄み液から直接得られるキャノーラタンパク質生成物から製造されるそのような水溶液よりも高い透明度を有する。
【0012】
ソフトドリンクおよびスポーツドリンク中の溶液を含む、水溶液中のキャノーラタンパク質生成物の濃度は、溶液の所期の使用に応じて変えることができる。一般に、タンパク質濃度は、約0.1〜約30wt%、好ましくは約1〜約5wt%で変えることができる。
【0013】
本明細書で提供するキャノーラタンパク質生成物は、酸性媒体のタンパク質強化(protein fortification)に適しているだけでなく、それだけに限定されないが、加工食品および飲料のタンパク質強化、油の乳化、焼き物における素地形成剤(body former)、ならびに気体を捕捉する製品中の発泡剤などの、多種多様なタンパク質製品の従来の用途に使用することができる。さらに、キャノーラタンパク質生成物は、肉類似物(meat analog)において有用なタンパク質繊維を形成することができ、卵白をつなぎとして使用する場合に、食品中の卵白代用品または増量剤として使用することができる。キャノーラタンパク質生成物は、栄養補助食品に使用することもできる。キャノーラタンパク質生成物の他の用途は、ペットフード、動物飼料、工業および化粧用途、ならびにパーソナルケア製品にある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の概略説明
従って、本発明は、上記の飲料だけでなく、ジュース、アルコール飲料、コーヒー系飲料および乳飲料(dairy−based beverage)などの他の飲料も含む、本明細書で提供するキャノーラタンパク質生成物の水溶液を含む。
【0015】
キャノーラタンパク質生成物を提供するプロセスの最初のステップは、キャノーラ油糧種子粗粉からタンパク質性物質(proteinaceous material)を可溶化させることを含む。キャノーラ油糧種子粗粉から回収したタンパク質性物質は、キャノーラ種子中に天然に存在するタンパク質であってよく、またはそのタンパク質性物質は、遺伝子操作によって改変されているが、天然のタンパク質の特徴的な疎水性および極性の特性を有しているタンパク質であってもよい。キャノーラ粗粉は、例えば高温ヘキサン抽出法または冷オイル押出法によって得られる、異なるレベルの非変性タンパク質を有するキャノーラ油糧種子から、キャノーラ油を除去することによって得られる任意のキャノーラ粗粉であってよい。キャノーラ油糧種子からのキャノーラ油の除去は、通常、本明細書に記載のキャノーラタンパク質生成物の回収手順とは別の操作として行われる。
【0016】
塩の存在が、油糧種子粗粉からの可溶性タンパク質の除去を増大させるので、タンパク質可溶化は食品グレードの塩溶液を使用することによって最も効率的に行われる。キャノーラタンパク質単離物を食品以外へ使用するつもりである場合、非食品グレードの化学製品を使用することができる。塩化カリウムなどの他の塩を使用することができるが、塩は通常塩化ナトリウムである。塩溶液は、かなりの量のタンパク質の可溶化が行われるのを可能にするため、少なくとも約0.05、好ましくは少なくとも約0.10のイオン強度を有する。塩溶液のイオン強度が増加するにつれて、油糧種子粗粉中のタンパク質の可溶化の程度は、最大値に達するまで最初は増加する。その後のイオン強度の増加は、可溶化される全体のタンパク質を増加させない。最大のタンパク質可溶化をもたらす食品グレードの塩溶液のイオン強度は、当該塩および選択した油糧種子粗粉に応じて変わる。
【0017】
イオン強度の増加に伴ってタンパク質の沈殿に要する希釈度がより大きくなることを考慮して、約0.8未満のイオン強度値、より好ましくは約0.1〜約0.15の値を用いることが通常好ましい。
【0018】
回分プロセスでは、タンパク質の塩可溶化を、約5℃〜約75℃の温度で、通常約10〜約60分である可溶化時間を短縮するために、好ましくは攪拌を伴って行う。全体として高い製品収率を得るために、油糧種子粗粉から実質的に可能な限り多くのタンパク質を抽出するように可溶化を行うことが好ましい。
【0019】
この温度より低いと可溶化が実際的でないくらい遅くなるので、約5℃の下限温度を選択し、一方で存在するタンパク質のいくらかの変性温度のため約75℃の好ましい上限温度を選択する。
【0020】
連続プロセスでは、キャノーラ油糧種子粗粉からのタンパク質の抽出を、キャノーラ油糧種子粗粉からのタンパク質の連続的抽出を行うのに調和した任意の方法で行う。一実施形態では、キャノーラ油糧種子粗粉を食品グレードの塩溶液と連続的に混合し、その混合物を、ある長さを有するパイプまたは導管を通して、本明細書に記載のパラメータによる所望の抽出を行うのに十分な滞留時間をもたらす流速で輸送する。このような連続的手順では、塩可溶化ステップは、好ましくはキャノーラ油糧種子粗粉から実質的に可能な限り多くのタンパク質を抽出するように可溶化を行うために、迅速に、約10分までの時間で行う。連続的手順での可溶化は、約10℃と約75℃との間、好ましくは約15℃と約35℃との間の温度で行う。
【0021】
食品グレードの塩水溶液は、一般的に約5〜約6.8、好ましくは約5.3〜約6.2のpHを有し、この塩溶液のpHは、抽出ステップで使用するために、必要に応じて、任意の好都合な酸、通常は塩酸、またはアルカリ、通常は水酸化ナトリウムを使用することによって、約5〜約6.8の範囲内の任意の所望の値に調整することができる。
【0022】
可溶化ステップ中の食品グレードの塩溶液中の油糧種子粗粉の濃度は、広範囲で変えられる。典型的な濃度値は、約5〜約15%w/vである。
【0023】
塩水溶液によるタンパク質抽出ステップは、キャノーラ粗粉中に存在しうる脂肪を可溶化する追加的な効果を有し、それによって脂肪が水相中に存在するという結果になる。
【0024】
抽出ステップから得られたタンパク質溶液は、一般的に約5〜約40g/L、好ましくは約10〜約30g/Lのタンパク質濃度を有する。
【0025】
塩水溶液は、酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸などの任意の好都合な酸化防止剤とすることができる。使用する酸化防止剤の量は、溶液の約0.01〜約1wt%で変えることができ、好ましくは約0.05wt%である。酸化防止剤は、タンパク質溶液中のフェノール類の酸化を抑制するのに役立つ。
【0026】
次いで、抽出ステップから得られた水相を、デカンター型遠心分離機の使用に続いて、ディスク型遠心分離および/または濾過によって残留する粗粉を除去することによるなどの任意の好都合な方法で、残留するキャノーラ粗粉から分離することができる。分離した残留粗粉は処分するために乾燥することができる。
【0027】
キャノーラタンパク質溶液から回収したキャノーラタンパク質生成物の色は、分離したタンパク質水溶液と、粉末活性炭または他の色素吸着剤を混合し、引き続いて濾過により好都合に吸着剤を除去してタンパク質溶液を得ることによって、明色およびより弱い黄色の観点から、改善することができる。色素の除去にキャノーラタンパク質溶液の透析濾過(diafiltration)を使用することもできる。
【0028】
このような色素除去ステップは、任意の適当な色素吸着剤を使用して、一般的に分離したタンパク質水溶液の周囲温度で、任意の好都合な条件下で行うことができる。粉末活性炭は、約0.025%〜約5%w/v、好ましくは約0.05%〜約2%w/vの量を使用する。
【0029】
本譲受人に譲渡され、その開示が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第5,844,086号および第6,005,076号に記載のように、キャノーラ種子粗粉がかなりの量の脂肪を含んでいる場合、分離したタンパク質水溶液および以下に述べる濃縮タンパク質水溶液に、上記特許に記載の脱脂ステップまたは任意の他の好都合な脱脂手順を行うことができる。色改善ステップを行う場合、このステップは第1脱脂ステップの後に行うことができる。
【0030】
水のみの使用では、塩水溶液よりも油糧種子粗粉からのタンパク質の抽出が少ない傾向があるが、塩水溶液による油糧種子粗粉の抽出の代替法として水のみを使用して抽出を行うことができる。このような代替法を使用する場合、以下で説明する濃縮ステップ中にタンパク質を溶液中に維持するために、残留油糧種子粗粉からの分離後に、上記の濃度で塩をタンパク質溶液に添加することができる。第1脂肪除去ステップを行う場合、塩は一般的にこのような操作の完了後に添加する。
【0031】
別の代替手順は、一般的に約9.9までの、約6.8を超える比較的高いpH値で、食品グレードの塩溶液により油糧種子粗粉を抽出するというものである。食品グレードの塩溶液のpHは、水酸化ナトリウム水溶液などの任意の好都合な食品グレードのアルカリを使用することによって、所望のアルカリ性値に調整することができる。あるいは、油糧種子粗粉は、一般的に約pH3までの、約pH5未満の比較的低いpHで、塩溶液により抽出することができる。このような代替法を使用する場合、油糧種子粗粉の抽出ステップから得られた水相は、デカンター型遠心分離に続いて、ディスク型遠心分離および/または濾過を使用して残留する粗粉を除去することによるなどの任意の好都合な方法で、残留するキャノーラ粗粉から分離する。分離した残留粗粉は処分するために乾燥することができる。
【0032】
次いで、高pHまたは低pH抽出ステップから得られたタンパク質水溶液を、以下に述べるさらなる処理の前に、上記のように、約5〜約6.8、好ましくは約5.3〜約6.2の範囲にpH調整する。このようなpH調整は、必要に応じて、任意の好都合な塩酸などの酸または水酸化ナトリウムなどのアルカリを使用して行うことができる。
【0033】
タンパク質水溶液を濃縮してそのタンパク質濃度を増加させると同時に、そのイオン強度を実質的に一定に維持する。このような濃縮は、一般的に少なくとも約50g/L、好ましくは少なくとも約200g/L、より好ましくは少なくとも約250g/Lのタンパク質濃度を有する濃縮タンパク質溶液を得るように行う。
【0034】
濃縮ステップは、異なる膜材料および構造を考慮して、約3000〜約100000ダルトン、好ましくは約5000〜約10000ダルトンなどの適当な分画分子量(molecular weight cut−off)を有し、連続操作の場合には、タンパク質水溶液が膜を通過する際に所望の濃縮度が可能になるような寸法にする、中空繊維膜またはスパイラル膜(spiral−wound membrane)などの膜を使用した、限外濾過または透析濾過(diafiltration)などの任意の好都合な選択的膜技術を使用するなど、回分操作または連続操作に調和した任意の好都合な方法で行うことができる。
【0035】
周知のように、限外濾過および同様の選択的膜技術は、低分子量の種が膜を通過するのを許すと同時に、高分子量の種が膜を通過するのを阻止する。低分子量の種には、食品グレードの塩のイオン種だけでなく、炭水化物、色素および抗栄養因子(anti−nutritional factors)などの供給源材料から抽出された低分子量物質、ならびに任意の低分子量形タンパク質も含まれる。膜の分画分子量は、通常、異なる膜材料および構造を考慮して、かなりの割合のタンパク質を溶液中に確実に保持すると同時に、汚染物質が通過するのを許すよう選択する。
【0036】
次いで、濃縮タンパク質溶液を、抽出溶液と同じモル濃度およびpHの塩水溶液を使用して、透析濾過(diafiltration)ステップに供することができる。このような透析濾過は、約2〜約20倍容(volumes)の透析濾過溶液、好ましくは約5〜約10倍容(volumes)の透析濾過溶液を使用して行うことができる。透析濾過操作では、膜を通して透過液(permeate)を通過させることにより、タンパク質水溶液からさらなる量の汚染物質を除去する。透析濾過操作は、さらなる有意の量の汚染物質および目に見える色が透過液中に存在しなくなるまで行うことができる。このような透析濾過は、濃縮ステップ用のものと同じ膜を使用して行うことができる。しかしながら、所望であれば、透析濾過ステップは、異なる膜材料および構造を考慮して、約3000〜約100000ダルトン、好ましくは約5000〜約10000ダルトンの範囲の分画分子量(molecular weight cut−off)を有する膜などの、異なる分画分子量(molecular weight cut−off)を有する分離膜を使用して行うことができる。
【0037】
透析濾過ステップの少なくとも一部の間で、酸化防止剤を透析濾過媒体中に存在させることができる。酸化防止剤は、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸などの任意の好都合な酸化防止剤であってよい。透析濾過媒体中で使用する酸化防止剤の量は、使用する物質に依存し、約0.01〜約1wt%で変えることができ、好ましくは約0.05wt%である。酸化防止剤は、キャノーラタンパク質単離物の濃縮溶液中に存在するフェノール類の酸化を抑制するのに役立つ。
【0038】
濃縮ステップおよび透析濾過ステップは、任意の好都合な温度、一般的には約20°〜約60℃、好ましくは約20〜約30℃で、所望の程度の濃縮を行うための時間行うことができる。使用する温度および他の条件は、ある程度、濃縮を行うために使用する膜装置および溶液の所望のタンパク質濃度に依存する。
【0039】
濃縮され、場合により透析濾過された(diafiltered)タンパク質溶液は、必要に応じて、米国特許第5,844,086号および第6,005,076号に記載のようにさらなる脱脂操作に供することができる。
【0040】
濃縮され、場合により透析濾過されたタンパク質溶液は、上記色除去操作の代替として、ある色除去操作に供することができる。本明細書では、粒状活性炭(GAC)と同様に粉末活性炭も使用することができる。色吸着剤として使用することができる他の物質は、ポリビニルピロリドンである。
【0041】
色吸着剤処理ステップは、任意の好都合な条件下、一般的には濃縮され、場合により透析濾過されたキャノーラタンパク質溶液の周囲温度で行うことができる。粉末活性炭は、約0.025%〜約5%w/v、好ましくは約0.05%〜約2%w/vの量を使用することができる。ポリビニルピロリドンを色吸着剤として使用する場合、約0.5%〜約5%w/v、好ましくは約2%〜約3%w/vの量を使用することができる。色吸着剤は、濾過などの任意の好都合な手段によって、キャノーラタンパク質溶液から除去することができる。
【0042】
任意選択の色除去ステップから得られた、濃縮され、場合により透析濾過されたタンパク質溶液は、微生物負荷(microbial load)を減少させるために、低温殺菌に供することができる。このような低温殺菌は、任意の所望の低温殺菌条件下で行うことができる。一般に、濃縮され、場合により透析濾過されたタンパク質溶液を、約55°〜約70℃、好ましくは約60°〜約65℃の温度で、約10〜約15分間、好ましくは約10分間加熱する。次いで、低温殺菌した濃縮タンパク質溶液を、以下に説明するさらなる処理のために、好ましくは約25°〜約40℃の温度に冷却することができる。
【0043】
濃縮ステップおよび任意選択の透析濾過ステップで使用する温度、ならびに低温殺菌ステップを行うかどうかに応じて、濃縮タンパク質溶液を、少なくとも約20°で約60℃まで、好ましくは約25°〜約40℃の温度に加温し、濃縮タンパク質溶液の粘度を減少させ、引き続く希釈ステップおよびミセル形成の実行を容易にすることができる。濃縮タンパク質溶液は、それを超えると冷水による希釈時にミセル形成が起こらない温度を超えて加熱すべきではない。
【0044】
次いで、濃縮ステップ、ならびに任意選択の透析濾過ステップ、任意選択の色除去ステップ、任意選択の低温殺菌ステップおよび任意選択の脱脂ステップから得られた濃縮タンパク質溶液を、その濃縮タンパク質溶液を所望の希釈度を得るのに必要な容積を有する冷水と混合することによって希釈してミセル形成を行う。ミセル経路(micelle route)によって得ようとするキャノーラタンパク質の割合および上澄み液からの割合に応じて、濃縮タンパク質溶液の希釈度を変えることができる。一般に、より低い希釈レベルでは、より高い割合のキャノーラタンパク質が水相中に残留する。
【0045】
ミセル経路によって最も高い割合のタンパク質を得ることが望まれる場合、濃縮タンパク質溶液を約5倍(fold)〜約25倍(fold)、好ましくは約10倍(fold)〜約20倍(fold)で希釈する。
【0046】
濃縮タンパク質溶液と混合する冷水は、約15℃未満、一般的に約1°〜約15℃、好ましくは約10℃未満の温度を有するが、その理由は、使用する希釈倍率(dilution factor)でこれらのより冷たい温度で、改善された収率のタンパク質ミセル塊形状のタンパク質単離物が得られるからである。
【0047】
回分操作では、濃縮タンパク質溶液のバッチを、上記のように所望の容積を有する冷水の静止体(static body)に添加する。濃縮タンパク質溶液の希釈および結果として生じるイオン強度の減少は、ミセル形状の離散したタンパク質小滴の形態を取る高度に会合したタンパク質分子の雲様塊の形成を引き起こす。回分式手順では、タンパク質のミセルは、冷水体(body of chilled water)中に沈降させることにより、凝集、合体して濃密な、非晶質で粘着性のグルテン様タンパク質ミセル塊(PMM)を形成する。沈降は、遠心分離などによって促進することができる。このように誘導された沈降により、タンパク質ミセル塊の液体含量が減少し、それにより、水分含量は一般的に全ミセル塊の約70重量%〜約95重量%から、一般的に約50重量%〜約80重量%の値に減少する。このようにしてミセル塊の水分含量が減少すると、ミセル塊の吸蔵塩含量、結果として乾燥単離物の塩含量も減少させる。
【0048】
あるいは、濃縮タンパク質溶液をT字型パイプの一方の入口に連続的に通すと同時に、希釈水をT字型パイプの他方の入口に供給して、パイプ中で混合させることによって、希釈操作を連続的に行うことができる。希釈水は、濃縮タンパク質溶液の所望の希釈度を達成するのに十分な速度で、T字型パイプ中に供給する。
【0049】
濃縮タンパク質溶液および希釈水のパイプ中での混合により、タンパク質のミセルの形成が開始され、混合物はT字型パイプの出口から沈降容器中へ連続的に供給され、満杯になったときに、この沈降容器から上澄み液をあふれさせる。混合物は、好ましくは、液体内の乱流を最小化するように、沈降容器中の液体中に供給する。
【0050】
連続手順では、タンパク質のミセルは、沈降容器中に沈降させることにより、凝集、合体して濃密な、非晶質で粘着性のグルテン様タンパク質ミセル塊(PMM)を形成し、所望の量のPMMが沈降容器の底に蓄積するまでこの手順を続け、その後すぐに(whereupon)蓄積したPMMを沈降容器から取り出す。沈殿による沈降の代わりに、遠心分離によってPMMを連続的に分離することができる。
【0051】
少なくとも約200g/Lの好ましいタンパク質含量へのタンパク質溶液の濃縮に関するプロセスのパラメータの組み合わせ、および約10〜約20の希釈倍率(dilution factor)の使用により、上記米国特許で論じた既知の従来技術のタンパク質単離物形成手順のいずれを使用して達成されるよりも、元の粗粉抽出物からのタンパク質ミセル塊形状のタンパク質回収に関して、より高い収率、多くの場合有意に高い収率が得られ、しかもタンパク質含量に関してずっと高い純度の単離物が得られる。
【0052】
回分プロセスと比較して、キャノーラタンパク質単離物の回収のために連続プロセスを利用することにより、同じレベルのタンパク質抽出に関して、最初のタンパク質抽出ステップの時間が著しく短縮され、かつ抽出ステップにおいて、著しく高い温度を使用することができる。さらに、連続操作では、回分手順よりも汚染の機会が少なく、より高い製品品質が得られ、より小型の装置でプロセスを行うことができる。
【0053】
沈降したキャノーラタンパク質単離物は、沈降した塊からの残留水相のデカンテーションまたは遠心分離などによって、残留水相または上澄み液から分離する。PMMは、湿った形態で使用することも、または噴霧乾燥もしくは凍結乾燥などの任意の好都合な技術により乾燥させて乾燥形態にすることもできる。乾燥PMMは、約90wt%を超えるタンパク質、好ましくは少なくとも約100wt%タンパク質(N×6.25として計算)の高いタンパク質含量を有し、実質的に変性していない(示差走査熱量測定により測定)。必要に応じて米国特許第5,844,086号および第6,005,076号の手順を使用した場合、脂肪性油糧種子粗粉から単離した乾燥PMMも残留脂肪含量が低く、それは約1wt%未満になり得る。
【0054】
本譲受人に譲渡され、その開示が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第7,662,922号(WO03/088760)に記載のように、PMMは、主として、約60〜約98wt%の7Sタンパク質、約1〜約15wt%の12Sタンパク質および0〜約25wt%の2Sタンパク質のタンパク質成分含量を有する、7Sキャノーラタンパク質からなる。
【0055】
PMM形成および沈降ステップからの上澄み液は、希釈ステップでは沈殿しない、かなりの量のキャノーラタンパク質を含み、これを処理してキャノーラタンパク質生成物を回収する。上記米国特許第7,662,922号に記載のように、上澄み液から得られるキャノーラタンパク質生成物は、約60〜約95wt%の2Sタンパク質、約5〜約40wt%の7Sタンパク質および0〜約5wt%の12Sタンパク質のタンパク質成分含量を有する、主に2Sキャノーラタンパク質からなる。
【0056】
上澄み液は、濃縮して、そのタンパク質濃度を増加させる。このような濃縮は、タンパク質供給源材料から抽出された塩および他の非タンパク質性低分子量物質(non−proteinaceous low molecular weight material)を含む低分子量種が膜を通過するのを可能にすると同時に、キャノーラタンパク質を溶液中に保持する適当な分画分子量を有する膜を使用する、限外濾過などの任意の好都合な選択的膜技術を使用して行う。異なる膜材料および構造を考慮して、約3000〜約100000ダルトン、好ましくは約5000〜約10000ダルトンの分画分子量を有する限外濾過膜を使用することができる。このような上澄み液の濃縮は、乾燥してタンパク質を回収するのに必要な液体の容積も減少させる。上澄み液は、一般的に、乾燥の前に、少なくとも約50g/L、好ましくは約100〜約300g/L、より好ましくは約200〜約300g/Lのタンパク質濃度まで濃縮する。このような濃縮操作は、タンパク質溶液濃縮ステップに関して上記したように、回分様式または連続操作で行うことができる。
【0057】
次いで、濃縮上澄み液を、水、食塩水または酸性水を使用して、透析濾過ステップに供することができる。このような透析濾過は、約2〜約20倍容(volumes)の透析濾過溶液、好ましくは約5〜約10倍容(volumes)の透析濾過溶液を使用して行うことができる。透析濾過操作では、膜を通して透過液(permeate)を通過させることにより、上澄み水溶液からさらなる量の汚染物質を除去する。透析濾過操作は、さらなる有意の量の汚染物質および目に見える色が透過液中に存在しなくなるまで行うことができる。このような透析濾過は、濃縮ステップ用のものと同じ膜を使用して行うことができる。しかし、所望であれば、透析濾過は、異なる膜材料および構造を考慮して、約3000〜約100000ダルトン、好ましくは約5000〜約10000ダルトンの範囲の分画分子量を有する膜などの分離膜を使用して行うことができる。
【0058】
90wt%(N×6.25)d.b.未満のタンパク質を含有するキャノーラタンパク質生成物を製造するため、上澄み液に行う上記濃縮および/または透析濾過ステップは、透析濾過ステップを省略するもしくは減少させる、および/または限外濾過ステップを早く停止するなどにより、回収したキャノーラタンパク質生成物が少なくとも約60wt%タンパク質(N×6.25)d.b.などの90wt%タンパク質未満のタンパク質含量を有するように、上澄み液から除去する混入物が少なくなるよう操作する。
【0059】
透析濾過ステップの少なくとも一部の間で、酸化防止剤を透析濾過媒体中に存在させることができる。酸化防止剤は、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸などの任意の好都合な酸化防止剤であってよい。透析濾過媒体中で使用する酸化防止剤の量は、使用する物質に依存し、約0.01〜約1wt%で変えることができ、好ましくは約0.05wt%である。酸化防止剤は、キャノーラタンパク質単離物の濃縮溶液中に存在するフェノール類の酸化を抑制するのに役立つ。
【0060】
濃縮され、場合により透析濾過されたタンパク質溶液は、ある色除去操作に供することができる。本明細書では、粒状活性炭(GAC)と同様に粉末活性炭も使用することができる。色吸着剤として使用することができる他の物質は、ポリビニルピロリドンである。
【0061】
色吸着剤処理ステップは、任意の好都合な条件下、一般的にはキャノーラタンパク質溶液の周囲温度で行うことができる。粉末活性炭は、約0.025%〜約5%w/v、好ましくは約0.05%〜約2%w/vの量を使用することができる。ポリビニルピロリドンを色吸着剤として使用する場合、約0.5%〜約5%w/v、好ましくは約2%〜約3%w/vの量を使用することができる。色吸着剤は、濾過などの任意の好都合な手段によって、キャノーラタンパク質溶液から除去することができる。
【0062】
本発明の一態様によると、濃縮され、場合により透析濾過された上澄み液は、任意選択の色除去操作の後、加熱処理しまたは等電沈殿に供し、得られた沈殿した7Sタンパク質の除去によって溶液中に存在する7Sタンパク質の量を減少させ、それによって濃縮上澄み液中に存在するキャノーラタンパク質中の2Sタンパク質の割合を増加させる。
【0063】
このような加熱処理は、濃縮上澄み液中に存在する7Sの割合を減少させる、好ましくは7Sタンパク質の割合をかなりの程度、減少させるのに十分な温度および時間プロファイルを用いて行うことができる。一般に、上澄み液の7Sタンパク質含量を、加熱処理によって、少なくとも約50wt%、好ましくは少なくとも約75wt%減少させる。一般に、加熱処理は、約70°〜約120℃、好ましくは約75°〜約105℃の温度で、約1秒〜約30分間、好ましくは約5〜約15分間行うことができる。
【0064】
濃縮され、加熱処理された上澄み液は、乾燥の前に、乾燥製品の所期の使用に対応したpHに酸性化することができる。一般的には、pHは約2〜約5、好ましくは約2.5〜約4のpHまで低下させる。
【0065】
沈殿した7Sタンパク質の除去の後で、濃縮され、加熱処理された上澄み液を噴霧乾燥または凍結乾燥などの任意の好都合な技術によって乾燥形態に乾燥させて、本発明によるキャノーラタンパク質生成物を得ることができる。このようなキャノーラタンパク質生成物は、乾燥重量基準で約90wt%未満、好ましくは少なくとも約70wt%タンパク質(N×6.25として計算)のタンパク質含量を有し、実質的に変性していないと予測される。
【0066】
このようなキャノーラタンパク質生成物は、高い割合の2Sタンパク質、好ましくは生成物中のキャノーラタンパク質の少なくとも90wt%、最も好ましくは少なくとも約95wt%を含む。生成物中に一定割合の7Sタンパク質も存在する。
【0067】
あるいは、上記の濃縮ステップおよび透析濾過ステップの前に、7Sタンパク質を沈殿させるための上澄み液の加熱処理を上澄み液に対して行うことができる。沈殿した7Sタンパク質の除去の後で、上澄み液を濃縮し、場合により透析濾過し、場合により色除去操作にかけ、乾燥させて本発明によるキャノーラタンパク質生成物を得る。
【0068】
さらなる代替法として、上澄み液を最初に任意の好都合なレベルまで部分的に濃縮することができる。次いで、部分濃縮上澄み液を、7Sタンパク質を沈殿させるための加熱処理に供する。沈殿した7Sタンパク質の除去の後で、上澄み液を、一般的に約50〜約300g/L、好ましくは約200〜約300g/Lの濃度までさらに濃縮し、場合により透析濾過し、場合により色除去操作にかけ、乾燥させて本発明によるキャノーラタンパク質生成物を得る。
【0069】
沈殿した7Sタンパク質は、遠心分離もしくは濾過、またはこれらの組み合わせなどの任意の好都合な手段によって、上澄み液、部分濃縮上澄み液または濃縮上澄み液から除去する。
【0070】
沈殿した7Sタンパク質の除去の後で、加熱処理された上澄み液、または加熱処理された部分濃縮上澄み液を、乾燥の前に、上記のように、濃縮もしくは透析濾過の間または後の任意の時点で酸性化し、キャノーラタンパク質生成物を回収することができる。酸性飲料で使用するために、乾燥単離物の所期の使用に対応したpH、一般的には約2〜約5、好ましくは約2.5〜約4まで低下させたpHにするように、このような酸性化を行うことができる。
【0071】
本発明の別の実施形態では、ミセルの形成および沈殿による上澄み液を、等電沈殿に供して、本発明の新規なキャノーラタンパク質生成物を形成する。等電沈殿の前に、加熱処理に関して上記のように、上澄み液を最初に濃縮または部分的に濃縮することができる。
【0072】
このような等電沈殿手順では、塩として、塩化カリウムなどの他の塩も使用できるが、通常は塩化ナトリウムを、上澄み液、部分濃縮上澄み液または濃縮上澄み液に最初に添加し、少なくとも約0.3mS、好ましくは約10〜約20mSの導電率を有する塩添加溶液(salinated solution)を得る。
【0073】
塩添加上澄み液(salinated supernatant)のpHを、7Sタンパク質の等電沈殿をもたらす値、一般的に約2.0〜約4.0、好ましくは約3.0〜約3.5のpHに調整する。7Sタンパク質の等電沈殿は、広い温度範囲にわたって、一般的に約5℃〜約70℃、好ましくは約10℃〜約40℃で行うことができる。沈殿した7Sタンパク質は、遠心分離もしくは濾過、またはこれらの組み合わせなどの任意の好都合な手段によって、等電沈殿させた上澄み液から除去する。
【0074】
次いで、等電沈殿させた上澄み液は、まだ濃縮していない場合、加熱処理ステップに関して上記のように濃縮し、透析濾過して塩を除去し、その後、濃縮され、透析濾過された上澄み液を乾燥させて本発明のキャノーラタンパク質生成物を形成する。噴霧乾燥または凍結乾燥などの任意の好都合な技術によって乾燥形態に乾燥させて、約90wt%タンパク質(N×6.25)d.b.未満の本発明によるキャノーラタンパク質生成物を得る前に、濃縮され、透析濾過された上澄み液を、上記のように、濾過して残留粒子を除去し、任意選択の色除去ステップに供することができる。
【0075】
本明細書で製造するキャノーラタンパク質生成物は、酸性水性環境に可溶性であり、生成物を炭酸および非炭酸両方の飲料に組み込むのに理想的にし、これらの飲料にタンパク質強化(protein fortification)をもたらす。このような飲料は、約2.5〜約5にわたる広範囲の酸性pH値を有する。本明細書で提供するキャノーラタンパク質生成物は、このような飲料にタンパク質強化をもたらすための任意の好都合な量で、例えば、1人前当たり少なくとも約5gのキャノーラタンパク質生成物を、このような飲料に添加することができる。添加されたキャノーラタンパク質生成物は飲料に溶解し、熱処理によって飲料の不透明度は増加しない。キャノーラタンパク質生成物は、水へ溶解させることにより飲料を再構成する(reconstitution)前に、乾燥飲料とブレンドすることができる。場合により、飲料中に存在する成分が、本発明の組成物が飲料中に溶解したままでいる能力に悪影響を与え得る場合には、本発明の組成物を許容するための飲料の通常の配合への修正が必要となり得る。
【実施例】
【0076】

例1:
この例は、本発明の一実施形態による90wt%タンパク質乾燥重量未満のキャノーラタンパク質生成物の製造を説明する。
【0077】
キャノーラ粗粉「a」kgを、周囲温度で「c」M NaCl溶液「b」Lに添加し、30分間攪拌してタンパク質水溶液を得た。残留するキャノーラ粗粉を除去し、得られたタンパク質溶液を遠心分離により部分的に清澄化して、「e」重量%のタンパク質含量を有する部分的に清澄化されたタンパク質溶液「d」Lを製造した。次いで、部分的に清澄化されたタンパク質溶液を濾過してさらに清澄化し、「g」重量のタンパク質含量を有する容積「f」の溶液を得た。
【0078】
タンパク質抽出溶液の一定分量「h」Lを、「j」ダルトンの分画分子量を有するポリエーテルスルホン(PES)膜で濃縮して容積を「i」Lに減少させた。次いで、この保持液(retentate)を60℃で1分間、低温殺菌した。得られた低温殺菌した濃縮タンパク質溶液は、「k」重量%のタンパク質含量を有していた。
【0079】
「l」℃の濃縮された溶液を、「n」℃の温度の冷RO水中に入れて「m」に希釈した。直ちに白色の雲状物が形成し、これを沈降させた。上部の希釈水を除去し、沈殿した、粘性の、粘着性塊(PMM)を、遠心分離によって、濾過したタンパク質溶液の「o」wt%の収率で回収し、乾燥させた。乾燥PMMタンパク質は、「p」wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有することが分かった。この生成物に「q」C300という名称を与えた。
【0080】
次いで、上澄み液に上記加熱処理を行った。
【0081】
上澄み液「r」Lを80℃で10分間加熱し、次いで、遠心分離して沈殿したタンパク質を除去した。加熱処理し遠心分離した上澄み液を、「t」ダルトンの分画分子量を有するポリエーテルスルホン(PES)膜を使用して限外濾過によって容積を「s」Lに減少させ、次いで、濃縮液(concentrate)を、同じ膜で、塩化ナトリウムにより1mSの導電率に調整した水「u」Lにより、透析濾過した。透析濾過した濃縮液は、「v」重量%のタンパク質を含有していた。上澄み液から回収した追加のタンパク質と合わせて、濾過したタンパク質溶液の全体のタンパク質回収率は、「w」wt%であった。濃縮液の一部「x」Lを、HClによってpH3に調整し、pH3、「z」BV/時間の速度で「y」Lのベッド体積の粒状活性炭に通すことにより、減色ステップに供した。次いで、減色し、「ab」重量%のタンパク質含量を有するGAC処理溶液「aa」Lを、噴霧乾燥した。この生成物に「s」C200HSCという名称を与え、この生成物は「ac」wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有していた。1つの実験についてのパラメータ「a」〜「ac」を以下の表Iに示す。
例2:
この例は、本発明の別の実施形態による90重量%タンパク質未満の新規なキャノーラタンパク質生成物の製造を説明する。
【0082】
キャノーラ粗粉「a」kgを、周囲温度で「c」M NaCl溶液「b」Lに添加し、30分間攪拌してタンパク質水溶液を得た。残留するキャノーラ粗粉を除去し、得られたタンパク質溶液を遠心分離により部分的に清澄化して、「e」重量%のタンパク質含量を有する部分的に清澄化されたタンパク質溶液「d」Lを製造した。次いで、部分的に清澄化されたタンパク質溶液を濾過してさらに清澄化し、「g」重量のタンパク質含量を有する容積「f」の溶液を得た。
【0083】
タンパク質抽出溶液の一定分量「h」Lを、「j」ダルトンの分画分子量を有するポリビニリデンフルオライド(PVDF)膜で濃縮して容積を「i」Lに減少させた。次いで、この保持液(retentate)を60℃で10分間低温殺菌した。得られた低温殺菌した濃縮タンパク質溶液は、「k」重量%のタンパク質含量を有していた。
【0084】
「l」℃の濃縮された溶液を、「n」℃の温度の冷RO水中に入れて「m」に希釈した。直ちに白色の雲状物が形成し、これを沈降させた。上部の希釈水を除去し、沈殿した、粘性の、粘着性塊(PMM)を、遠心分離によって、濾過したタンパク質溶液の「o」wt%の収率で回収し、噴霧乾燥した。乾燥PMM由来タンパク質は、「p」wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有することが分かった。この生成物に「q」C300という名称を与えた。
【0085】
次いで、上澄み液に本明細書に記載の加熱処理を行った。
【0086】
上澄み液「r」Lを、「t」ダルトンの分画分子量を有するポリビニリデンフルオライド(PVDF)膜を使用して限外濾過によって容積を「s」Lに減少させた。濃縮液(concentrate)は「u」重量wt%のタンパク質を含有していた。上澄み液から回収した追加のタンパク質と合わせて、濾過したタンパク質溶液の全体のタンパク質回収率は、「v」wt%であった。次いで、濃縮液を85℃で10分間加熱し、その後、清澄化のためにさらなる遠心分離ステップに供した。得られた「x」重量%のタンパク質含量を有する濃縮液(centrate)「w」Lを、「z」BV/時間の速度で「y」LのBVの吸着樹脂に通すことにより、減色ステップに供した。次いで、減色し、「ab」重量%のタンパク質含量を有する樹脂処理溶液「aa」Lを、噴霧乾燥した。この生成物に「s」C200HRという名称を与え、この生成物は「ac」wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有していた。
【0087】
例1および例2についてのパラメータ「a」〜「ac」を以下の表Iに示す。
【0088】
【表1】

【0089】
例3:
この例は、本発明の別の実施形態による90重量%タンパク質未満の新規なキャノーラタンパク質生成物の製造を説明する。
【0090】
キャノーラ粗粉「a」kgを、周囲温度で「c」M NaCl溶液「b」Lに添加し、30分間攪拌してタンパク質水溶液を得た。残留するキャノーラ粗粉を除去し、得られたタンパク質溶液を遠心分離により部分的に清澄化して、「e」重量%のタンパク質含量を有する部分的に清澄化されたタンパク質溶液「d」Lを製造した。次いで、部分的に清澄化されたタンパク質溶液を濾過してさらに清澄化し、「g」重量のタンパク質含量を有する容積「f」の溶液を得た。
【0091】
タンパク質抽出溶液の一定分量「h」Lを、「j」ダルトンの分画分子量を有するポリエーテルスルホン(PES)膜で濃縮して容積を「i」Lに減少させた。次いで、この保持液(retentate)を60℃で1分間低温殺菌した。得られた低温殺菌した濃縮タンパク質溶液は、「k」重量%のタンパク質含量を有していた。
【0092】
「l」℃の濃縮された溶液を、「n」℃の温度の冷RO水中に入れて「m」に希釈した。直ちに白色の雲状物が形成し、これを沈降させた。上部の希釈水を除去し、沈殿した、粘性の、粘着性塊(PMM)を、遠心分離によって、濾過したタンパク質溶液の「o」wt%の収率で回収し、噴霧乾燥した。乾燥PMM由来タンパク質は、「p」wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有することが分かった。この生成物に「q」C300という名称を与えた。
【0093】
次いで、上澄み液に本明細書に記載の等電沈殿ステップを行った。
【0094】
上澄み液「r」Lを、塩化ナトリウムの添加によって、約「s」msの導電率に調整した。次いで、得られた溶液を、HClの添加によって「t」のpHに酸性化し、7Sタンパク質の沈殿を得た。次いで、酸性化した溶液を遠心分離および濾過により清澄化して、「v」のタンパク質含量を有する溶液「u」Lを得た。次いで、清澄化したタンパク質溶液を、「w」ダルトンの分画分子量を有するポリエーテルスルホン(PES)膜を使用して限外濾過によって濃縮した。次いで、濃縮溶液を、「x」Lの容積のpH3のRO水により透析濾過した。透析濾過した溶液は、「y」重量%のタンパク質を含有していた。上澄み液から回収した追加のタンパク質と合わせて、濾過したタンパク質溶液の全体のタンパク質回収率は、「z」wt%であった。保持液の一定分量「aa」Lを、「ac」BV/時間の速度で「ab」LのBVの粒状活性炭に通すことにより、減色ステップに供した。次いで、減色し、「ae」重量%のタンパク質含量を有する炭処理溶液「ad」Lを、仕上濾過し(polish filtered)、噴霧乾燥した。この生成物に「q」C200ISCという名称を与え、この生成物は「af」wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有していた。例3についてのパラメータ「a」〜「af」を以下の表IIに示す。
【0095】
【表2】

【0096】
例4:
この例は、例1、2および3で製造した上澄み液由来キャノーラタンパク質生成物についてのpH3での液体サンプルの色および透明度を示す。
【0097】
乾燥キャノーラタンパク質単離物サンプルBW−SD062−A12−06Aと共に、例1、2および3でそれぞれ製造した乾燥キャノーラタンパク質サンプルBW−SD076−I24−07A、BW−SD062−A12−06AおよびBW−SD087−L03−07Aを、その自然なpHで3.2w/v%のタンパク質含量を有する水溶液に調製した。十分に可溶化するまで溶液を混合し、次いで、HunterLab ColorQuest XE機器で色および透明度について分析した。得られた結果を以下の表IIIに示す。
【0098】
【表3】

【0099】
表IIIから分かるように、キャノーラタンパク質単離物と比較すると、例1、例2および例3で製造した生成物の色および透明度の値は非常に類似している。3つのキャノーラタンパク質生成物は、キャノーラタンパク質単離物よりも高いL値を有しており、これは、より白い色を示している。2つのキャノーラタンパク質生成物についてのa値の読みは、単離物よりも色が赤でない溶液であることを証明している一方で、b値は、1つの溶液が単離物よりもわずかにより黄色であり、1つの溶液が単離物よりもわずかに黄色でないことを示している。ヘイズ値(haze value)は、生成物全てで非常に低く、これはこれらの生成物が全て可溶化した場合に非常に透明であることを示している。
【0100】
これらの色および透明度の知見は、90wt%タンパク質(N×6.25)d.b.未満を有する例1、2および3で製造したキャノーラタンパク質生成物が、キャノーラタンパク質単離物と非常に匹敵し、キャノーラタンパク質単離物と同様の食品および飲料用途での使用に適していると結論づけることを可能にする。
開示の概要
本開示を要約すると、米国特許出願第11/038,086号および第12/213,500号で製造される2Sが主であるキャノーラタンパク質単離物に匹敵する水溶液中における特性を有する、2Sが主であるキャノーラタンパク質生成物を製造する。本発明の範囲内で、改変が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量基準(d.b.)で約90wt%(N×6.25)未満のタンパク質含量を有し、単離物中に存在するキャノーラタンパク質の少なくとも約85wt%の2Sキャノーラタンパク質および約15wt%未満の7Sキャノーラタンパク質を含む、キャノーラタンパク質生成物。
【請求項2】
前記単離物が、前記単離物中に存在するキャノーラタンパク質の少なくとも約90wt%の2Sキャノーラタンパク質および約10wt%未満の7Sキャノーラタンパク質を含む、請求項1に記載のキャノーラタンパク質生成物。
【請求項3】
少なくとも約60wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有する、請求項1に記載のキャノーラタンパク質生成物。
【請求項4】
キャノーラタンパク質のミセルの形成による上澄み水溶液、部分的に濃縮された上澄み液または完全に濃縮された上澄み液の加熱処理、沈殿の除去、および残留する溶液の乾燥により得られる、請求項1に記載のキャノーラタンパク質生成物。
【請求項5】
キャノーラタンパク質のミセルの形成による上澄み水溶液、部分的に濃縮された上澄み液、または完全に濃縮された上澄み液の等電沈殿、沈殿の除去、および残留する溶液の乾燥により得られる、請求項1に記載のキャノーラタンパク質生成物。
【請求項6】
2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物の調製方法であって、
(a)主として2Sタンパク質からなる、2Sおよび7Sタンパク質の水溶液を用意するステップと、
(b)前記水溶液を加熱処理して、7Sキャノーラタンパク質を沈殿させるステップと、
(c)前記水溶液から分解した7Sタンパク質を除去するステップと、
(d)約90wt%(N×6.25)d.b.未満のタンパク質含量を有し、2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物を回収するステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記加熱処理ステップを、前記水溶液中に存在する7Sキャノーラタンパク質の少なくとも約50wt%を分解するのに十分な温度および時間条件下で行う、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱処理ステップが、前記水溶液中に存在する7Sキャノーラタンパク質の少なくとも75%、7Sキャノーラタンパク質を分解する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記水溶液を約75°〜約95℃の温度で約5〜約15分間、加熱することにより、前記加熱処理ステップを行う、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
2Sおよび7Sキャノーラタンパク質の前記水溶液が、キャノーラタンパク質のミセル形成および沈殿による上澄み液、部分濃縮上澄み液または濃縮上澄み液である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
キャノーラタンパク質の前記ミセル形成を、
(a)少なくとも約5℃の温度でキャノーラ油糧種子粗粉を抽出して、前記キャノーラ油糧種子粗粉中のタンパク質を可溶化し、タンパク質水溶液を形成するステップと、
(b)前記タンパク質水溶液を残留油糧種子粗粉から分離するステップと、
(c)選択的膜技術によってイオン強度を実質的に一定に維持しながら、前記タンパク質水溶液の濃度を少なくとも約200g/Lに増加させて、濃縮タンパク質溶液を得るステップと、
(d)前記濃縮タンパク質溶液を、約15℃未満の温度の冷水中に希釈して、前記タンパク質のミセルを形成するステップと、
(e)沈降したタンパク質ミセル塊から上澄み液を分離するステップと
によって行う、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱処理の前に、前記上澄み液を約100〜約400g/Lのタンパク質濃度に濃縮する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記上澄み液を約200〜約300g/Lのタンパク質濃度に濃縮する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記濃縮ステップを、約3000〜約100000ダルトンの分画分子量を有する膜を使用した限外濾過によって行う、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱処理ステップの前に、限外濾過によって得られた前記濃縮上澄み液を透析濾過に供する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記透析濾過ステップを、約3000〜約100000ダルトンの分画分子量を有する膜を使用して、約2〜約20倍容、好ましくは約5〜約10倍容の水を使用して行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記キャノーラタンパク質単離物が、少なくとも約60wt%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物の調製方法であって、
(a)主として2Sタンパク質からなる、2Sおよび7Sタンパク質の水溶液を用意するステップと、
(b)前記水溶液から7Sタンパク質を等電沈殿させるステップと、
(c)前記水溶液から沈殿した7Sタンパク質を除去するステップと、
(d)約90wt%(N×6.25)d.b.未満のタンパク質含量を有し、前記2Sおよび7Sタンパク質の水溶液と比較して、2Sキャノーラタンパク質の割合が増加しているキャノーラタンパク質生成物を回収するステップと
を含む方法。
【請求項19】
前記等電沈殿を、前記水溶液中に存在する7Sキャノーラタンパク質の少なくとも約50wt%を沈殿させるのに十分なpHおよび塩条件下で行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記等電沈殿を、前記水溶液中に存在する7Sキャノーラタンパク質の少なくとも約75wt%を沈殿させるのに十分なpHおよび塩条件下で行う、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記等電沈殿を、
(i)前記水溶液に塩を加えて少なくとも約0.3mSの導電率にするステップと、
(ii)前記塩を加えた水溶液のpHを約2.0〜約4.0の値に調整するステップと
により行う、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記導電率が、約10〜約20mSであり、前記pHが約3.0〜約3.5である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記2Sおよび7Sキャノーラタンパク質の水溶液が、キャノーラタンパク質のミセルの形成および沈殿による上澄み液、部分的に濃縮された上澄み液または濃縮された上澄み液である、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記キャノーラタンパク質のミセルの形成を、
(a)少なくとも約5℃の温度でキャノーラ油糧種子粗粉を抽出して、前記キャノーラ油糧種子粗粉中のタンパク質を可溶化して、タンパク質水溶液を形成するステップと、
(b)前記タンパク質水溶液を残留油糧種子粗粉から分離するステップと、
(c)選択的膜技術によってイオン強度を実質的に一定に維持しながら、前記タンパク質水溶液の濃度を少なくとも約200g/Lに増加させて、濃縮タンパク質溶液を得るステップと、
(d)前記濃縮タンパク質溶液を、約15℃未満の温度の冷水中に入れて希釈して、前記タンパク質のミセルを形成するステップと、
(e)沈降したタンパク質ミセル塊から上澄み液を分離するステップと
によって行う、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記等電沈殿の前に、前記上澄み液を約100〜約300g/Lのタンパク質濃度に濃縮する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記上澄み液を約200〜約300g/Lのタンパク質濃度に濃縮する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記濃縮ステップを、約3000〜約100000ダルトンの分画分子量を有する少なくとも1つの膜を使用した限外濾過によって行う、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記等電沈殿の前に、限外濾過によって得られた前記濃縮上澄み液を透析濾過に供する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記透析濾過ステップを、約3000〜約100000ダルトンの分画分子量を有する少なくとも1つの膜を使用して、約2〜約20倍容、好ましくは約5〜約10倍容の水、食塩水または酸性水を使用して行う、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
(e)前記キャノーラタンパク質生成物を、水性飲料組成物として処方するステップをさらに含む、請求項6または18に記載の方法。
【請求項31】
請求項1に記載のキャノーラタンパク質生成物の水溶液。
【請求項32】
キャノーラタンパク質生成物で強化した飲料である、請求項31に記載の水溶液。

【公表番号】特表2013−505004(P2013−505004A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529073(P2012−529073)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001424
【国際公開番号】WO2011/032266
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(503403869)バーコン ニュートラサイエンス (エムビー) コーポレイション (25)
【氏名又は名称原語表記】BURCON NUTRASCIENCE (MB) CORP.
【Fターム(参考)】