説明

下水汚泥の処理方法及び処理生成物

【課題】下水汚泥を低コストで容易に処理できると共に、防臭効果に優れる下水汚泥の処理方法、及び、その処理方法によって得られ、悪臭の発生を抑制できると共に、有機燃料としても有効利用可能な処理生成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、下水汚泥を脱水して脱水汚泥とする脱水工程と、脱水汚泥を酸素存在下、0.1〜15MPaの圧力で加圧すると同時に、120〜300℃の温度で加熱する酸化工程と、を備えることを特徴とする下水汚泥の処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥の処理方法及び処理生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥の排出量は日本国内で年間4億mにおよんでいる。
乾燥汚泥に換算すると年間約210万トンになる。
この下水汚泥は一般に埋め立て処理や焼却処理がなされている。
この下水汚泥を埋め立て処理する場合は、埋立地の確保が必要となり、焼却処理する場合は、多大な熱エネルギーを必要とすると共に、二酸化炭素が大量に排出されることになる。
このため、埋め立て処理・焼却処理は必ずしも有効な処理方法とはいえない。
【0003】
このような背景から、下水汚泥を処理するだけでなく有効利用する方法が提案されている。
例えば、下水汚泥をアルカリ条件下、液化処理する方法(例えば、特許文献1参照)、下水汚泥を加熱し、フラッシュ蒸発又は遠心分離等を施して、燃料スラリーを生成する方法(例えば、特許文献2,3参照)、濃縮汚泥や脱水汚泥の液化・スラリー化する方法(特許文献4,5参照)等が開示されている。
これらの方法によれば、下水汚泥をスラリー化することで燃料として利用できる。
【0004】
ところが、これらの下水汚泥の処理方法によれば、スラリー化した下水汚泥は得られるものの、処理の過程において、著しい悪臭が発生する傾向にある。
また、得られるスラリーも悪臭が発生する。
このため、実用化に際してはスラリーの製造過程や製造後の利用において防臭のための設備や装置が必要となる。
【0005】
一方、脱水汚泥を脱臭する方法が提案されている。
例えば、汚泥を曝気処理して脱臭する方法が開示されている(特許文献6)。
これは汚泥に空気を供給し、好気性の活性汚泥などの微生物に溶存臭気物質の代謝を行わせ、脱臭する方法である。
また、余剰汚泥を80℃以上の温度で保持して殺菌する方法が開示されている(特許文献7参照)。
これは細菌類を減少あるいは死滅させて、悪臭の発生を抑制する方法である。
【0006】
また、薬品等を添加して悪臭を防止する方法が提案されている。
例えば、下水汚泥にソルビン酸を添加して脱水汚泥ケーキを製造する方法(特許文献8参照)、下水汚泥をオゾン処理した後に脱水処理する方法(特許文献9,10参照)、汚泥貯留槽に亜硝酸塩を共存させる方法(特許文献11〜13参照)、脱水汚泥にドライアイスと静菌剤を共存させる方法(特許文献14参照)、下水汚泥に臭素原子またはヨウ素原子を含む化合物を添加して脱水ケーキを製造する方法(特許文献14参照)、等が開示されている。
【特許文献1】特開平01−270999号公報
【特許文献2】特開平06−39400号公報
【特許文献3】特開平06−246297号公報
【特許文献4】特開平10−113697号公報
【特許文献5】特開平10−113700号公報
【特許文献6】特開昭61−209098号公報
【特許文献7】特開2003−47993号公報
【特許文献8】特開2000−351000号公報
【特許文献9】特開平07−195098号公報
【特許文献10】特開2001−286889号公報
【特許文献11】特開2002−177991号公報
【特許文献12】特開2003−94093号公報
【特許文献13】特開2004−230292号公報
【特許文献14】特開2003−10889号公報
【特許文献15】特開2004−313911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献6又は7に記載の下水汚泥の処理方法では悪臭を十分に抑制することができない。
すなわち、これらの方法によれば、細菌の活動に起因する悪臭は抑制できるものの、汚泥の液化あるいはスラリー化の際に発生する悪臭は十分に抑制できない。
【0008】
また、上記特許文献8〜14に記載の下水汚泥の処理方法のように薬品類を添加して悪臭の発生を抑制する方法では処理コストの増大を招くと共に、場合によっては特殊な設備が必要であったり、薬品類が人体に害を及ぼす虞がある。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、下水汚泥を低コストで容易に処理できると共に、防臭効果に優れる下水汚泥の処理方法、及び、その処理方法によって得られ、悪臭の発生を抑制できると共に、有機燃料としても有効利用可能な処理生成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の下水汚泥の処理方法は、下水汚泥を脱水して脱水汚泥とする脱水工程と、脱水汚泥を酸素存在下、0.1〜15MPaの圧力で加圧すると同時に、120〜300℃の温度で加熱する酸化工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記下水汚泥の処理方法によれば、脱水汚泥を酸素存在下、加圧・加熱することにより、スラリー化することができ、かつ加圧・加熱の条件を上記範囲内とすることにより、スラリー化の際に発生する悪臭を十分に抑制できる。
【0012】
このように、悪臭の発生を抑制できる要因については定かではないが、酸素存在下において上記範囲内で加熱・加圧を同時に行うことにより、脱水汚泥のスラリー化の際に発生し悪臭の原因となる硫化水素やメチルメルカプタンが酸化分解されるためではないかと推測される。
なお、要因はこれに限定されない。
【0013】
また、上記下水汚泥の処理方法は、特殊な設備や薬品等がなくても十分に悪臭の発生を抑制できるため、容易に処理を行うことができ、コストも低減できる。
さらに、薬品類が不要であるため、薬品類が人体に害を及ぼすことも防止される。
さらにまた、埋立地の確保が不要であり、焼却処理による二酸化炭素の排出も抑制される。
【0014】
よって、本発明の下水汚泥の処理方法は、下水汚泥を低コストで容易に処理できると共に、防臭効果に優れる。
【0015】
上記下水汚泥の処理方法において、酸化工程が圧力容器内で行われ、圧力容器内における酸素と汚泥中の炭素のモル比(O/C)が0.02以上であることが好ましい。
この場合、硫化水素やメチルメルカプタンの酸化分解を促進させることができる。
このため、酸素の濃度が上記範囲以外の場合と比較して短時間で下水汚泥を処理することが可能となる。
【0016】
上記下水汚泥の処理方法において、脱水汚泥が硫黄化合物及び無機質を含み、酸化工程において、無機質が硫黄化合物を酸化させる酸化触媒として機能することが好ましい。
脱水汚泥が硫黄化合物及び無機質を含んでいる場合、加圧・加熱の条件を酸素条件下、上記範囲内とすることにより、上記無機質が硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄化合物の酸化を促進させることができる。
すなわち、本発明の下水汚泥の処理方法においては、無機質を酸化触媒として機能させることができる。
【0017】
本発明の処理生成物は、上記下水汚泥の処理方法において、上述した下水汚泥の処理方法により得られることを特徴とする。
上記処理生成物は、上述の下水汚泥の処理方法により得られるものであるため、かかる処理生成物は下水汚泥がスラリー化されたものであり、悪臭の発生が十分に抑制される。
また、かかる処理生成物は有機燃料としても有効利用可能である。
【0018】
上記処理生成物において、粘度が1〜1000mPa・sであることが好ましい。
この場合、処理生成物を運搬することが容易となり、処理生成物を有機燃料として用いる場合も作業性に優れるものとなる。
【0019】
上記処理生成物において、有機燃料として用いられることが好ましい。
この場合、下水汚泥の埋め立て処理や焼却処理が不要となるため、埋立地の確保が不要であり、焼却処理による熱エネルギーの浪費や二酸化炭素の排出が抑制される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、下水汚泥を低コストで容易に処理できると共に、防臭効果に優れる下水汚泥の処理方法、及び、その処理方法によって得られ、悪臭の発生を抑制できると共に、有機燃料としても有効利用可能な処理生成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の下水汚泥の処理方法は、下水汚泥を脱水して脱水汚泥とする脱水工程と、脱水汚泥を酸素存在下、0.1〜15MPaの圧力で加圧すると同時に、120〜300℃の温度で加熱する酸化工程と、を備える。
【0022】
上記下水汚泥の処理方法によれば、脱水汚泥を酸素存在下、加圧・加熱することにより、スラリー化することができ、かつ加圧・加熱の条件を上記範囲内とすることにより、スラリー化の際に発生する悪臭を十分に抑制できる。
【0023】
以下、各工程について更に詳細に説明する。
<脱水工程>
脱水工程は、下水汚泥を脱水し、脱水汚泥とする工程である。
上記脱水工程により、下水汚泥に含まれる水分を十分に除くことができる。
これにより、後述する酸化工程において、加熱する際に必要な熱エネルギーが低減される。
【0024】
上記脱水工程は、公知の方法に基づいて行えばよい。
例えば、下水汚泥を含む排水に凝集剤を添加することにより下水汚泥を凝集させ、次いで、凝集させた下水汚泥をプレスで圧搾することにより、脱水汚泥が得られる。
【0025】
上記脱水汚泥の含水率は、80質量%以下であることが好ましい。
この場合、後述する酸化工程において、加熱する際に必要な熱エネルギーをより低減させることができる。
【0026】
上記脱水汚泥には、無機質、硫黄化合物等が含まれていることが好ましい。
すなわち、下水汚泥には、金属塩等の無機質のみならず、硫黄化合物を含む、し尿や有機排水等が含まれることが好ましい。
この場合、後述する酸化工程において、無機質が硫黄化合物を酸化させる酸化触媒として機能させることができる。
【0027】
上記無機質としては、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガン等挙げられ、これらの中でも、酸化鉄が含まれていることが好ましい。
この場合、後述する酸化工程において、より効率的に硫黄化合物を酸化させることができる。
なお、上記脱水汚泥に無機質が含まれていない場合は、適宜無機質を添加すればよい。
【0028】
上記硫黄化合物には、特に限定されないが、悪臭の原因となる化合物が含まれる。
例えばメチルメルカプタンや硫化水素等が挙げられる。
【0029】
<酸化工程>
酸化工程は、脱水汚泥を酸素存在下、0.1〜15MPaの圧力で加圧すると同時に、120〜300℃の温度で加熱する工程である。
これにより、脱水汚泥は酸化され、悪臭が低減されたスラリーとなる。
【0030】
上記酸化工程は、圧力容器に脱水汚泥を投入して圧力容器を密封し、上記範囲で加圧すると同時に、上記範囲で加熱することにより行われる。
なお、上記圧力容器が加熱手段を有しない場合は、圧力容器を加熱するための加熱装置を別途設ければよい。
【0031】
このとき、上記酸化工程は酸素存在下において行われるため、当該酸素により、脱水汚泥に含まれる硫黄化合物が酸化される。
なお、酸素が存在していれば、水素、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の他の気体が含まれていてもよい。
【0032】
上記下水汚泥の処理方法において、酸化工程における酸素と汚泥中の炭素のモル比(O/C)は0.02以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。
この場合、硫化水素やメチルメルカプタンの酸化を促進させることができる。
このため、酸素の濃度が上記範囲以外の場合と比較して短時間で下水汚泥を処理することが可能となる。
なお、上記モル比が0.02未満であると、メチルメルカプタン等の臭気成分の酸化を十分に促進させることができない。
ここで、上記モル比とは、炭素原子1モルあたりの酸素分子のモル濃度をいう。
【0033】
上記圧力は、0.1〜15MPaである。
圧力が0.1未満であると、脱水汚泥に含まれる硫黄化合物の酸化が不十分となり、悪臭の発生を十分に抑制できない。
また、上記圧力は、1〜5MPaであることが好ましい。
圧力が1MPa未満であると、圧力が上記範囲にある場合と比較して、脱水汚泥に含まれる硫黄化合物を十分に酸化することができない場合があり、圧力が5MPaを超えると、圧力が上記範囲にある場合と比較して、硫黄化合物の酸化は十分に進行するが投入するエネルギーが増加する傾向にある。
【0034】
上記温度は、120〜300℃である。
温度が120℃未満であると、脱水汚泥に含まれる硫黄化合物を十分に酸化が不十分となり、悪臭の発生を十分に抑制できない。
また生成したスラリーの粘度も高く、有機燃料として用いる際の作業性が低下する。温度が300℃を超えると、投入するエネルギーが増加する傾向にある。
また、上記温度は、150〜250℃であることが好ましく、170〜220℃であることがより好ましい。
温度が150℃未満であると、温度が上記範囲にある場合と比較して、脱水汚泥に含まれる硫黄化合物を十分に酸化することができない場合があり、温度が250℃を超えると、温度が上記範囲にある場合と比較して、硫黄化合物の酸化は十分に進行するが投入するエネルギーが増加する傾向にある。
【0035】
反応時間は、温度が200℃以上300℃未満のときは、0.1〜1.5時間、180℃以上200℃未満のときは、0.5〜3時間、120℃以上180℃未満のときは、1〜24時間であることが好ましい。
反応時間が上記範囲の下限未満であると、反応時間が上記範囲にある場合と比較して、脱水汚泥に含まれる硫黄化合物を十分に酸化することができない場合があり、反応時間が上記範囲の上限を超えると、反応時間が上記範囲にある場合と比較して、硫黄化合物の酸化は十分に進行するが投入するエネルギーが増加する傾向にある。
【0036】
脱水汚泥が硫黄化合物及び無機質を含んでいる場合、加圧・加熱の条件を酸素条件下、上記範囲内とすることにより、上記無機質が硫化水素、メチルメルカプタン等の硫黄化合物の酸化を促進させることになる。
すなわち、本発明の下水汚泥の処理方法において、加圧・加熱の条件を上記範囲とすることにより、無機質を酸化触媒として機能させることができる。
【0037】
以上より、本発明の下水汚泥の処理方法は、特殊な設備や薬品等がなくても十分に悪臭の発生を抑制できるため、容易に処理を行うことができ、コストも低減できる。
また、バッチ運転だけでなく、連続運転も可能である。
また、薬品類が不要であるため、薬品類の使用により当該薬品類が人体に害を及ぼすことも防止される。
【0038】
よって、本発明の下水汚泥の処理方法は、下水汚泥を低コストで容易に処理できると共に、防臭効果に優れる。
【0039】
<処理生成物>
上述した脱水工程及び酸化工程を行うことにより、脱水汚泥をスラリー化した処理生成物が得られる。
かかる処理生成物は、上述の下水汚泥の処理方法により得られるものであるため、悪臭の発生が十分に抑制される。
また、かかる処理生成物は有機燃料としても有効利用可能である。
【0040】
上記処理生成物において、粘度が1〜1000mPa・sであることが好ましく、1〜20mPa・sであることがより好ましい。
粘度が1000mPa・sを超えると、粘度が上記範囲にある場合と比較して、処理生成物の運搬や処理生成物を有機燃料として用いる場合の作業性が困難となる傾向にある。
【0041】
上記処理生成物は、ポンプ輸送が容易であり、有機燃料としても用いることができる。具体的には、木材や石炭のような補助燃料との混合ペーストとして用いたり、火力発電所において石炭と混合して混焼させることが可能となる。
これにより、脱水汚泥を埋め立てるための埋立地の確保が不要であり、脱水汚泥の焼却処理による二酸化炭素の排出が抑制される。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0043】
例えば、酸化工程において、添加剤を加えてもよい。
かかる添加剤としては、酸化剤、防臭剤等が挙げられる。
【0044】
また、本発明の下水汚泥の処理方法により得られる処理生成物を、埋め立て処理や焼却処理してもよい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
(実施例1)
[脱水工程]
公知の方法に基づいて、下水汚泥を含む排水に凝集剤を添加し、下水汚泥を凝集させ、次いで、凝集させた下水汚泥をプレスで圧搾することにより、脱水汚泥(硫黄化合物及び無機質を含む)とした。
【0047】
[酸化工程]
容量が300mLのオートクレーブ(圧力容器)中に、得られた脱水汚泥100gを仕込み、オートクレーブの蓋を閉めて密封し、空気(酸素濃度20.9体積%)を5MPaとなるように圧入した後、その圧力を維持したまま加熱を開始した。
約30分後に脱水汚泥の温度が200℃に到達した。
その後、更にその圧力を維持したまま温度200℃で60分間酸化を行なった後、加熱を止め、オートクレーブを冷却することにより、スラリー化した脱水汚泥(処理生成物)を得た。
スラリー化した脱水汚泥の粘度は18.3mPa・sであった。
なお、このときの酸素と炭素とのモル比を、条件と共に表1に示す。
【0048】
(実施例2〜11及び比較例1〜4)
実施例2〜11及び比較例1〜4においては、酸素/炭素のモル比、圧力、温度及び時間を表1に示すようにしたこと以外は実施例1と同様にしてスラリー化した脱水汚泥を得た。
また、スラリー化した脱水汚泥の粘度も表1に示す。
なお、実施例11では窒素と酸素の混合ガス(酸素濃度8.6体積%)を、比較例1〜4においては、空気の代わりに窒素(酸素濃度0体積%)を用いた。



【0049】
〔表1〕

【0050】
[評価方法]
実施例1〜11及び比較例1〜4で得られた、スラリー化した脱水汚泥の臭気を測定した。
具体的には、悪臭の主な原因となる硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニアの濃度を気体検知管(株式会社ガステック社製)を用いて測定した。
得られた結果を表2に示す。
また、実施例1〜11及び比較例1〜4で得られたスラリー化した脱水汚泥の匂いを直接かぎ、以下の基準に基づいて匂いの度合いを判定した。
得られた結果を表2に示す。
A:悪臭がしない
B:わずかに悪臭がする
C:悪臭がする














【0051】
〔表2〕

【0052】
表2から明らかなように、本発明による実施例1〜11においては、比較例1〜4と比較して、悪臭の原因となる硫化水素やメチルメルカプタンを十分に分解できることがわかった。
【0053】
よって、本発明によれば、下水汚泥を低コストで容易に処理できると共に、防臭効果に優れる下水汚泥の処理方法、及び、その処理方法によって得られ、悪臭の発生を抑制できると共に、有機燃料としても有効利用可能な処理生成物を提供できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水汚泥を脱水して脱水汚泥とする脱水工程と、
前記脱水汚泥を酸素存在下、0.1〜15MPaの圧力で加圧すると同時に、120〜300℃の温度で加熱する酸化工程と、
を備えることを特徴とする下水汚泥の処理方法。
【請求項2】
前記酸化工程が圧力容器内で行われ、前記圧力容器内における酸素と汚泥中の炭素とのモル比が0.02以上であることを特徴とする請求項1記載の下水汚泥の処理方法。
【請求項3】
前記脱水汚泥が硫黄化合物及び無機質を含み、
前記酸化工程において、前記無機質が前記硫黄化合物を酸化させる酸化触媒として機能することを特徴とする請求項1記載の下水汚泥の処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の下水汚泥の処理方法により得られることを特徴とする処理生成物。
【請求項5】
粘度が1〜1000mPa・sであることを特徴とする請求項4記載の処理生成物。
【請求項6】
有機燃料として用いられることを特徴とする請求項4記載の処理生成物。


【公開番号】特開2008−18317(P2008−18317A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191298(P2006−191298)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】