説明

下水路系内作業安全装置

【課題】 簡単なシステムを一時的に容易に施工することができると共にマンホール内及び下水路内全域で作業者が安全で安心し、作業ができる下水路系内作業安全装置を提供する。
【解決手段】 マンホール内及びマンホールの底部に接続され略水平状に配置された下水路内を補修,点検する下水路系内作業安全装置において、マンホール1内のアンカーボルトに吊り下げられるブラケット4を有する合成樹脂製の梯子3がマンホール入口から下水路2内の底面に達するように配置され、梯子に沿ってマンホール内にレスキューロープ8がフック9により吊り下げられ、下水路の下流側に人体を受け止めるウォーターネット10が張設されると共に下水路の側壁に少なくともマンホール底部からウォーターネットに至るレスキューロープ11がフックにより張設された下水路系内作業安全装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内及びマンホールの底部に接続され略水平状に配置された下水路内を補修,点検する下水路系内作業安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,マンホール内及びマンホールの底部に接続され略水平状に配置された下水路内を補修,点検する下水路系内作業安全装置であって、マンホールに取り付けられる固定梯子と、該固定梯子にスライド昇降させる伸縮梯子と、該伸縮梯子に収納可能に設けられた横倒材と、該横倒材に収納可能に設けられた安全柵とからなるものがある(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3534541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記先行技術の下水路系内作業安全装置では、梯子及び安全柵の構造が複雑であり安全装置の設置が容易でないと共に下水路内を特定した作業安全装置であるという問題がある。
【0005】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、最近のマンホール及び下水路内の酸欠の事故やゲリラ豪雨などの予期せぬ事態による事故が多いことを鑑み、簡単なシステムを一時的に容易に施工することができると共にマンホール内及び下水路内全域で作業者が安全で安心し、作業ができる下水路系内作業安全装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明における下水路系内作業安全装置は、マンホール内のアンカーボルトに吊り下げられるブラケットを有する合成樹脂製の梯子をマンホール入口から下水路内の底面に達するように配置し、該梯子に沿ってマンホール内にレスキューロープをフックにより吊り下げ、前記下水路の下流側に人体を受け止めるウォーターネットを張設すると共に下水路の側壁に少なくとも前記マンホール底部からウォーターネットに至るレスキューロープをフックにより張設したものである。
【0007】
また、前記梯子の横桟の両端に左右の色が異なる反射体を設置したものである。
【0008】
また、前記ウォーターネットの下方が開放されているものである。
【0009】
また、地上に三脚パイプを設置し、該三脚パイプの上方にセイフティブロックを吊り下げたものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の下水路系内作業安全装置は、簡単なシステムを一時的に容易に施工することができると共にマンホール内及び下水路内全域で作業者が安全で安心し、作業ができる下水路系内作業安全装置となる。
【0011】
また、請求項2に記載の下水路系内作業安全装置は、前記請求項1の効果に加え、暗いマンホール内の梯子の昇降でも足・手掛けのホールド巾が反射体により確立されると共に下水路内の水流の上下流が確認でき、より安全で安心な作業及び昇降ができる下水路系内作業安全装置となる。
【0012】
また、請求項3に記載の下水路系内作業安全装置は、前記請求項1の効果に加え、下水路内に流れるゴミ等のウォーターネットへの付着を防止し、下水路内の水流の妨げを無くすことが可能となり作業の安全性に繋がる下水路系内作業安全装置となる。
【0013】
また、請求項4に記載の下水路系内作業安全装置は、前記請求項1の効果に加え、マンホールが深いものであっても作業者の梯子からの墜落をより確実に防止し、作業者は梯子上の作業をより安心して行える下水路系内作業安全装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る下水路系内作業安全装置を下水路系の一部に設置した概略説明図である。
【図2】下水路が円管である断面概略図である。
【図3】梯子固定部の拡大斜視図である。
【図4】セイフティブロックの設置説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
マンホール内のアンカーボルトに吊り下げられるブラケットを有する合成樹脂製の梯子をマンホール入口から下水路内の底面に達するように配置し、該梯子に沿ってマンホール内にレスキューロープをフックにより吊り下げ、前記下水路の下流側に人体を受け止めるウォーターネットを張設すると共に下水路の側壁に少なくとも前記マンホール底部からウォーターネットに至るレスキューロープをフックにより張設した下水路系内作業安全装置である。
【実施例】
【0016】
図1ないし図4は本発明の実施例に関するものであり、図1は下水路系内作業安全装置を下水路系の一部に設置した概略説明図、図2は下水路が円管である断面概略図、図3は梯子固定部の拡大斜視図、図4はセイフティブロックの設置説明斜視図である。
【0017】
図において、1はマンホールであり、該マンホール1の底部には略水平状に配置された下水路2が接続されている。
前記下水路2は、図1に示すような角管または図2に示すような円管である。
【0018】
3は合成樹脂製の梯子であり、該梯子3には金属製のブラケット4が梯子3の縦桟5,5間に一定間隔で設置されている。
前記ブラケット4の中央部下方には逆U字状の孔6が穿設され、該孔6にアンカーボルト7をマンホール1の内壁に打ち込むことにより、梯子3はマンホール1の入口から下水路2内の底面に達するように固定配置されている。
【0019】
8はレスキューロープであり、該レスキューロープ8は前記梯子3に沿ってマンホール1の内壁に打ち込まれたフック9,9によりマンホール内に吊り下げられている。
【0020】
10は強化繊維(例えばナイロン)製のウォーターネットであり、該ウォーターネット10は前記下水路2の下流側で人体(作業者)を受け止めることができるように、下水路2の内壁に打ち込まれた複数のフック9,9,…で張設されている。
なお、前記ウォーターネット10は、図1に示すような四角形または図2に示すような多角形(例えば六角形)または円形など下水路2の形状に合わせてウォーターネット10の形状で使用することが可能である。
【0021】
11は下水路2内に張設されるレスキューロープであり、該レスキューロープ11は前記下水路2の側壁に少なくとも前記マンホール1の底部から前記ウォーターネット10に至るまでフック9,9により張設されている。
【0022】
以上のような構成からなる下水路系内作業安全装置は、マンホール1内及びマンホール1の底部に接続され略水平状に配置された下水路2内を補修,点検する際、特に内周を補修する際に、一時的に施工する事により事故を防ぎ、作業を安全にするものである。
上述のように梯子3はブラケット4に穿設された孔6にアンカーボルト7を打ち込むことにより、マンホール1の内壁に簡単に固定されると共にマンホール1内に工事用機器等を搬入する場合には梯子3を容易に外すことができるものである。
【0023】
また、前記レスキューロープ8にスライドタイプの落下防止機器12の一端側を設置し、他端側を梯子3を昇降する作業者Aが装着する安全帯ハーネスタイプ13に掛けることにより、万が一事故等が起きた場合にはレスキューロープ8に設置したスライドが瞬時にストッパーとなり作業者Aの墜落を防止し、作業者Aは梯子3上の作業を安心して行えるものとなる。
【0024】
そして、前記下水路2内の作業においては、前記レスキューロープ11に作業者Bが装着する安全帯ベルトタイプ14から延びるフックを挿通することにより、作業者Bは下水路2内の作業を安心して行えるものとなる。
万が一事故等が起きた場合には、前記下水路2内に張設されたウォーターネット10により人体を受け止め瞬時に救出することができるものである。
また、ウォーターネット10の設置は複数のフック9,9,…で固定していることにより簡単に脱着が可能である。
【0025】
このように設置された下水路系内作業安全装置は、マンホール内及び下水路内の全域で作業者が安全で安心し、作業ができるものとなる。
【0026】
なお、本実施例において、マンホール1の昇降に梯子3を使用したが、複数のステップを使用することにより固定箇所の自由さを可能とするものである。
【0027】
また、図3に示すように、前記梯子3の横桟15,15,…の両端に左右で色が異なる反射体(例えば左が緑色で右が赤色)16,17を設置し、緑色の反射体16は下水路2の下流側の印と、赤色の反射体17は上流側の印とすることができる。
【0028】
この場合、暗いマンホール1内の梯子3の昇降でも足・手掛けのホールド巾が反射体16,17により確立されると共に下水路2内の水流の上下流が確認でき、より安全で安心な作業及び昇降ができるものとなる。
【0029】
また、図1に示すように、前記ウォーターネット10の下方を開放させることにより、下水路2内に流れるゴミ等のウォーターネット10への付着を防止し、下水路2内の水流の妨げを無くすことが可能となり作業の安全性に繋がることとなる。
【0030】
さらに、図4に示すように、地上に三脚パイプ18を設置し、該三脚パイプ18の上方にセイフティブロック19を吊り下げ、該セイフティブロック19に接続されているフックを作業者Cが装着する安全帯ハーネスタイプ13に掛けるものとする。
【0031】
この場合、マンホール1が深いものであっても作業者Cの梯子3からの墜落をより確実に防止し、作業者Cは梯子3上の作業をより安心して行えるものとなる。
【符号の説明】
【0032】
1 マンホール
2 下水路
3 梯子
4 ブラケット
7 アンカーボルト
8,11 レスキューロープ
9 フック
10 ウォーターネット
15 横桟
16,17 反射体
18 三脚パイプ
19 セイフティブロック


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール内及びマンホールの底部に接続され略水平状に配置された下水路内を補修,点検する下水路系内作業安全装置において、マンホール内のアンカーボルトに吊り下げられるブラケットを有する合成樹脂製の梯子をマンホール入口から下水路内の底面に達するように配置し、該梯子に沿ってマンホール内にレスキューロープをフックにより吊り下げ、前記下水路の下流側に人体を受け止めるウォーターネットを張設すると共に下水路の側壁に少なくとも前記マンホール底部からウォーターネットに至るレスキューロープをフックにより張設したことを特徴とする下水路系内作業安全装置。
【請求項2】
前記梯子の横桟の両端に左右の色が異なる反射体を設置したことを特徴とする請求項1に記載の下水路系内作業安全装置。
【請求項3】
前記ウォーターネットの下方が開放されていることを特徴とする請求項1に記載の下水路系内作業安全装置。
【請求項4】
地上に三脚パイプを設置し、該三脚パイプの上方にセイフティブロックを吊り下げたことを特徴とする請求項1に記載の下水路系内作業安全装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−58323(P2011−58323A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211776(P2009−211776)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「工事用緊急レスキューシステム」カタログ 平成21年7月28日
【出願人】(592101149)三山工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】