説明

下肢用マッサージ装置、下肢用マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ装置及び載置型マッサージ装置

【課題】ふくらはぎや足の両方をマッサージ行うことができる小型の装置を提供する。
【解決手段】ふくらはぎから足へとつながる下肢に沿うように側面視でブーツ形状に形成され、且つ当該下肢を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材10,10と、マッサージ部材10,10を左右に亘って貫通するように設けられた1本の回転軸26と、回転軸26を回転駆動する駆動部と、回転軸26の回転力をマッサージ部材10,10によるマッサージ動作に変換する変換部31と、を有する。マッサージ部材10,10は、ふくらはぎに対して挟み込みマッサージ動作を行う第1施療部11と、足に対して挟み込みマッサージ動作を行う第2施療部12とを有し、回転軸26は、第1施療部11と第2施療部12との境界部分を貫通していて、貫通部30に変換部31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢用マッサージ装置、下肢用マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ装置及び載置型マッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ふくはらぎや足をマッサージする下肢用マッサージ装置として、例えば、特許文献1に示すものがある。特許文献1の下肢用マッサージ装置は、ふくらはぎをマッサージするためのふくらはぎ用マッサージ部材と、足をマッサージするための足用マッサージ部材とを別々に備えている。そして、この下肢用マッサージ装置では、ふくらはぎ用マッサージ部材を動作させるためのマッサージ機構と、足用マッサージ部材を動作させるためのマッサージ機構とが別々に具備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/023169号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような従来の下肢用マッサージ装置では、ふくはらぎや足をマッサージするために、ふくらはぎ用マッサージ部材と足用マッサージ部材とが別々な部材で構成され、しかも、ふくらはぎ用マッサージ部材を動作させるためのマッサージ機構と足用マッサージ部材を動作させるためのマッサージ機構とも別々に構成されていたため、下肢用マッサージ装置が大型化してしまうことがあった。
【0005】
このような下肢用マッサージ装置は、床等に設置する自立型のものだけでなく、椅子型マッサージ装置に具備される場合もあり、上述したように下肢用マッサージ装置が大型化することは、設置型であれば取り扱いの問題が生じたり、椅子型に具備されるものであれば、座部の高さが制限されるという様々な問題が生じていた。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ふくらはぎや足の両方をマッサージすることができるコンパクトな下肢用マッサージ装置、下肢用マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ装置及び載置型マッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、ふくらはぎから足へとつながる下肢に沿うように側面視でブーツ形状に形成され、且つ当該下肢を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、前記マッサージ部材を左右に亘って貫通するように設けられた1本の回転軸と、前記回転軸を回転駆動する駆動部と、前記回転軸の回転力を前記マッサージ部材によるマッサージ動作に変換する変換部とを有する点にある。
【0007】
これによれば、ふくらはぎ又は足をマッサージするためのマッサージ部材の部品点数が減ることからマッサージ部材の配置スペースを小さなものにすることができる。しかも、マッサージ部材を1本の回転軸で駆動するようにしているため、回転軸を駆動するための駆動部分の配置スペースも小さくすることができる。
即ち、マッサージ部材を側面視でブーツ形状とし、且つ、1本の回転軸にてマッサージ部材をマッサージ動作させるものとしたため、ふくらはぎや足をマッサージできるという構成でありながら、全体的な大きさをコンパクトにすることができる。
【0008】
そのため、例えば、下肢用マッサージ装置を設置型のものとして使用する場合は、当該下肢用マッサージ装置の設置スペースを小さくすることができ、下肢用マッサージ装置を扱い易くなる。また、下肢用マッサージ装置を椅子型マッサージ装置の座部の前に取り付けた場合は、下肢用マッサージ装置がコンパクトのため、椅子型マッサージ装置の座部の高さを下肢用マッサージ装置の高さに制限されることなく設定することができる。即ち、下肢用マッサージ装置が大型である場合には、当該下肢用マッサージ装置の大きさに合わせて椅子型マッサージ装置の座部の高さを高くしなければならないという問題が生じていたが、本発明では、このようなことも解消することができる。
【0009】
前記マッサージ部材は、ふくらはぎに対して挟み込みマッサージ動作を行う第1施療部と、足に対して挟み込みマッサージ動作を行う第2施療部とを有し、回転軸は、第1施療部と第2施療部との境界部分を貫通していて、前記貫通部に変換部が設けられていてもよい。また、側面視ブーツ形状のマッサージ部材の上部垂直部分に対応する位置が第1施療部とされ 側面視でブーツ形状の下部水平部分に対応する位置が第2施療部とされており、前記回転軸は、前記マッサージ部材の第1施療部と第2施療部との境界部分を貫通していて、前記貫通部に前記変換部が設けられていてもよい。
【0010】
これによれば、ふくらはぎに対応する第1施療部と、足に対応する第2施療部との境界部分に回転軸が位置することになり、その結果、回転軸を中心として、変換部によりマッサージ部材を動かし易くなることから、第1施療部や第2施療部により、ふくらはぎや足を程よくマッサージすることができる。さらに、回転軸が第1施療部の前後方向中央部よりも後側に位置しているため、下肢を左右一対のマッサージ部材間に配置したときに回転軸自体が邪魔にならず、下肢をマッサージ部材によってより挟み込み易くなることから、下肢へのマッサージ効果を向上させることができる。
【0011】
前記変換部は、回転軸の軸方向中途部に固定され且つ回転軸に対して傾斜した無端状のカム面が周縁に形成された回転ボス部と、前記マッサージ部材の貫通部に形成されて回転ボス部の周縁に摺動自在に嵌り込む環状嵌合部と、前記回転ボス部に対して環状嵌合部が供回りすることを規制する規制部とを有していてもよい。
これによれば、回転ボス部、環状嵌合部及び規制部によって、マッサージ部材をマッサージ動作させることができる。
【0012】
左右一対のマッサージ部材は、第1施療部の上部前側が互いに近接すると共に第2施療部の下部前側が離反し、第2施療部の下部前側が互いに近接すると共に第1施療部の上部前側が離反するように動作するとよい。
これによれば、第1施療部の上部前側によってふくらはぎに押圧(指圧に相当)を与えているときは、第2施療部の下部後側による足への指圧を和らげ、第2施療部の下部前側によって足に指圧を与えているときは、第1施療部の上部前側によるふくらはぎへの指圧を和らげることができ、下肢を上から下まで揉みほぐすようなマッサージを行うことができる。
【0013】
また、前記第1施療部の上部前側が互いに離反する際には第1施療部の上部後側が互いに近接し、前記第2施療部の下部前側が互いに離反する際には第2施療部の下部後側が互いに近接するようにし左右一対のマッサージ部材が動作するとよい。
これによれば、第1施療部の上部前側によってふくらはぎの前側に対して指圧を和らげるときは、第1施療部の上部後側によってふくらはぎの後側への指圧を加えることができ、その結果、ふくらはぎの前後を揉みほぐすようなマッサージを行うことができる。
【0014】
また、第2施療部の下部前側によって足の前側に対して指圧を和らげるときは、第2施療部の下部後側によって足の後側への指圧を加えることができ、その結果、足の前後を揉みほぐすようなマッサージを行うことができる。
前記左右一対のマッサージ部材の第2施療部の間に、足を支える足支持部材が配置されているとよい。前記マッサージ部材は、厚み方向に弾性変形可能な板材で形成されているとよい。
【0015】
これによれば、足支持部材によって足裏をしっかりと支えることができ、左右一対のマッサージ部材と足支持部材との3点によって、足を押さえながらマッサージを行うことができる。しかも、マッサージ部材が弾性変形するため、ふくらはぎや足に対して程よい指圧を与えることができる
下肢用マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ装置に適用してもよいし、載置型の下肢用マッサージ装置に適用してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ふくらはぎや足の両方をマッサージすることができる小型の装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)椅子型マッサージ装置に備えられた下肢用マッサージ装置の斜視図であり、(b)下肢用マッサージ装置と座部との高さを示したものである。
【図2】下肢用マッサージ装置の内部の斜視図である。
【図3】下肢用マッサージ装置の拡大斜視図である。
【図4】下肢用マッサージ装置の内部側面図である。
【図5】下肢用マッサージ装置の内部平面図である。
【図6】下肢用マッサージ装置の内部正面図である。
【図7】下肢用マッサージ装置における変換部の断面図である。
【図8】下肢用マッサージ装置の動作を示す図であって、(a)第1施療部の上部前側が近接した状態を示し、(b)第1施療部の上部後側が近接した状態を示し、(c)第1施療部及び第2施療部が離反した状態を示し、(d)第1施療部の上部が離反すると共に第2施療部が近接した状態を示し、(e)第1施療部の上部が近接すると共に第2施療部が近接した状態を示した図である。
【図9】下肢用マッサージ装置を載置型にした装置を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)に示すように、本発明の下肢用マッサージ装置1は、例えば、椅子型マッサージ装置2に備えられるものである。この椅子型マッサージ装置2は、座部3と、座部3の背面側に設けられたリクライニング可能な背凭れ部4とを備えている。座部3は、脚体により支持されて所定の高さに設定されている。座部3の左右両側にはアームレスト5が設けられている。
【0019】
座部3の前部の左右両側には、前後方向に揺動自在な左右一対の支持部材6が設けられ、この支持部材6に下肢用マッサージ装置1が揺動自在に取り付けられている。
背凭れ部4の内部には、揉み又は叩きマッサージを行えるマッサージ機構(図示省略)が上下移動自在に内蔵されており、このマッサージ機構により座部3に座った人体の腰から首までの範囲をマッサージすることができるようになっている。
【0020】
図1(b)に示すように、下肢用マッサージ装置1を床に対して略起立させた状態にしたときを考えると、下肢用マッサージ装置1を床Fに接触しないように座部3の高さH1を設定しなければらない。即ち、椅子型マッサージ装置2では、下肢用マッサージ装置1の高さH2によって座部3の高さH1が設定されることになる。
ここで、下肢用マッサージ装置1が大型となっていて当該下肢用マッサージ装置1の高さH2が高い場合は、座部3の高さH1を高くしなければならないということになる。
【0021】
このように、椅子型マッサージ装置2において座部3の高さH1が下肢用マッサージ装置1の高さH2に制約されることから、この実施形態では、出来る限り、下肢用マッサージ装置1の高さH2、即ち、装置全体をコンパクトにできるような構成としている。
以下、下肢用マッサージ装置1について詳しく説明する。
図2に示すように、下肢用マッサージ装置1は、下肢を挟み込むように左右に離間して配備された左右一対のマッサージ部材10,10を2組有している。このマッサージ部材10,10は、プラスチック製の板材で形成されたもので厚み方向に弾性変形可能となっている。また、マッサージ部材10,10は、ふくらはぎから足へとつながる下肢に沿うように側面視でブーツ形状、言い換えれば、側面視で略L形に形成されたものである。
【0022】
詳しくは、マッサージ部材10,10は、ふくらはぎに対して挟み込みマッサージ動作を行う第1施療部11と、足に対して挟み込みマッサージ動作を行う第2施療部12とを有したものである。
側面視でブーツ形状となっているマッサージ部材10,10を見たときに、上部垂直部分に対応する位置が第1施療部11とされ、下部水平部分に対応する位置が第2施療部12とされている。言い換えるならば、第1施療部11は、当該マッサージ部材10,10において上方から下方にかけて略一定の幅(前後幅)を有する部分により構成され、第2施療部12は、上方から下方に行くにしたがって徐々に幅(前後)が大きくなった後に第1施療部11よりも幅が大きくなる部分により構成されている。なお、第1施療部11における垂直の長さと第2施療部12における水平の長さは同じであってもよいし、第1施療部11における垂直の長さが第2施療部12における水平の長さの約2倍程度長くても良い。また、下肢とは、膝から下の部分を言い、踝から先が足の部分であり、膝から踝までをふくらはぎという。
【0023】
図3〜図4に示すように、マッサージ部材10,10はケーシング7に格納され、当該ケーシング7の左右側面側が支持部材6に支持されることにより、下肢用マッサージ装置1の全体が椅子型マッサージ装置2に装着されている。
ケーシング7は、箱形に形成されたもので、底壁13と、底壁13の左右両端部から上方へ立ち上がる側壁14と、左右の側壁14,14間において底壁13の後部から上方へ立ち上がる後壁15と、左右の側壁14間において底壁13の前部から上方へ立ち上がる前壁16と、前壁16と後壁15とを連結する上壁17とを備えている。
【0024】
前壁16及び上壁17の左右中央部を挟んで、その左右両側は切り欠かれており、この切り欠き部18と左右一対のマッサージ部材10,10とにより下肢を挿入する一対の挿入凹部19が形成されている。即ち、切り欠き部18の左右両側には、ふくらはぎが上側で足部が下側に位置するようにマッサージ部材10,10が互いに離間して配置されることで挿入凹部19が形成されている。この挿入凹部19に下肢を挿入すると、マッサージ部材10,10によってふくらはぎ及び足が挟み込みができるようになっている。なお、挿入凹部19は、布などのカバーにより覆われている。
【0025】
図4〜図6に示すように、ケーシング7内には、マッサージ部材10,10等を支持するためのフレーム20が設けられている。フレーム20は、後壁15に沿って左右に延びる第1フレーム21と、この第1フレーム21から後壁15に沿って下方に延びると共に中途部で屈曲して底壁13に沿って前方に延びる左右一対の第2フレーム22と、第2フレーム22を連結する第3フレーム23とを備えている。
【0026】
第1フレーム21の左右方向両側には、支持部材6と連結する連結部24が形成され、連結部24に支持部材6を取り付けることにより下肢用マッサージ装置1は前後揺動自在となっている。第1フレーム21の左右方向中央部には、ギアボックス25が設けられ、このギアボックス25にマッサージ部材10,10を左右に亘って貫通する1本の回転軸26が回転自在に支持されている。
【0027】
具体的には、第1フレーム21の前側において、当該第1フレーム21の一端側(左側)から第1フレーム21の他端側(右側)に亘って1本の回転軸26が延設され、この回転軸26は、左右一対のマッサージ部材10,10のぞれぞれを貫通している。
さらに詳しくは、回転軸26は、マッサージ部材10,10において、前後の幅が徐々に変化する部分であって、言い換えれば、側面視でブーツ形の屈曲部分に対応する部分を貫通している。即ち、マッサージ部材10,10において、回転軸26は、第1施療部11と第2施療部12との境界部分(屈曲部分)27を貫通したものとなっている。側面視で見ると、回転軸26は第1施療部11の前後方向中央部よりも後側に位置したものとなっている。
【0028】
1本の回転軸26がマッサージ部材10,10を貫通した貫通部30には、回転軸26の回転力をマッサージ部材10,10によるマッサージ動作に変換する変換部31が設けられている。
図7に示すように、変換部31は、回転軸26の軸方向中途部に回転軸26と一体回転するように固定された回転ボス部32と、この回転ボス部32の周縁に相対回転自在に嵌り込む環状嵌合部33と、回転ボス部32に対して環状嵌合部33が供回りすることを規制する規制部34とを備えている。環状嵌合部33にマッサージ部材10,10が取り付けられている。図7に示すように、環状嵌合部33とマッサージ部材10,10とを一体化してもよい。
【0029】
回転ボス部32の周縁面(摺動面)には、回転軸26に対して傾斜する軸心Aを有する略円形であって無端状の軌道(カム面)Xが形成されている。この軌道Xには、インナーガイドが沿うようにベアリング35が嵌め込まれ、このベアリング35を介して環状嵌合部33が回転ボス部32に対して相対回転自在となっている。ベアリング35を抜け止めし且つ固定する固定部材36が設けられている。
【0030】
左右一対のマッサージ部材10,10を貫通するそれぞれの貫通部30には、回転ボス部32が設けられているが、ぞれぞれの回転ボス部32の軌道Xの傾斜方向が互いに逆向きとなるように、回転ボス部32は回転軸26に固定されている。
規制部34は、環状嵌合部33において後壁15側に突出する係合部材37と、係合部材37が摺動自在に嵌り込む摺動溝38とを備えている。詳しくは、第1フレーム21においてマッサージ部材10,10に対応する位置には、左右に延びる摺動溝38を有する規制部材39が取り付けられており、規制部材39の摺動溝38に係合部材37が摺動することにより、マッサージ部材10,10が供回りするのを規制している。
【0031】
したがって、回転軸26が回転すると、回転ボス部32が回転軸26と共に回転して軌道X(カム面)に沿って環状嵌合部33が揺動することになる。環状嵌合部33による前後動は規制部34によって規制されると共に左右動も規制部34によって規制され、後述するように、マッサージ部材10,10がマッサージ動作をすることになる。
ギアボックス25に対応する位置であって、一方の1組のマッサージ部材10,10と、他方の1組のマッサージ部材10,10との間には、1台の電動モータ40が配置されている。詳しくは、駆動軸を下向きになるように電動モータ40がケーシング7内の略中央に配置されており、側面視で見ると、マッサージ部材10,10の第1施療部11と重複する位置(オーバラップする位置)に電動モータ40の略全体が納められている。電動モータ40の駆動軸はギアボックス25に挿入されている。ギアボックス25内には、ウォームギア及びウォームホイルが内蔵されて、これらを介して駆動軸からの動力が回転軸26に伝えられるようになっている。電動モータ40及びギアボックス25により駆動部が構成されている。
【0032】
さて、左右一対のマッサージ部材10,10において第1施療部11,11の間には、ふくらはぎが回転軸26に当たらないようにするためのふくらはぎ支持部材42が設けられている。このふくらはぎ支持部材42は、回転軸26の外周面を覆っていて内部に当該回転軸26が通るものとされ、第1フレーム21に取り付けられている。
また、左右一対のマッサージ部材10,10において第2施療部12,12の間には、足を支える足支持部材43が配置されている。足支持部材43は、第2施療部12,12の間で当該第2施療部12の後部から前部に亘って延設されたもので、その上面に複数の突起部44やローラ45が形成されている。突起部44は、足先や踵に対応する位置に設定され、ローラ45は足の土踏まずに対応する位置に設定されている。なお、足支持部材43は、第2フレーム22に取り付けられている。
【0033】
図8は、マッサージ部材10,10の動きを示したものである。
図8(a)に示すように、電動モータ40を駆動させて回転軸26を回転させると、マッサージ部材10,10がマッサージ動作をするが、第1施療部11の上部前側UFが互いに近接している状態では、第2施療部12の下部前側DFが離反した状態となる。即ち、マッサージ部材10,10の前側を見ると正面視では略逆V字状となる。
【0034】
次に、マッサージ部材10,10は、図8(a)から図8(b)に示すように変化する。第1施療部11の上部前側UFが互いに最も近接した後は、第1施療部11の上部前側UFは互いに離反する動作となり、このとき、第1施療部11の上部後側URは互いに近接する動作となる。また、第1施療部11の上部後側URが互いに近接するときは、第2施療部12の下部前側DFは互いに離反すると共に、第2施療部12の下部後側DRは互いに近接する。
【0035】
そして、マッサージ部材10,10は、図8(b)から図8(c)に示すように変化する。第1施療部11の上部後側URが互いに最も近接した後は、第1施療部11の上部後側URも第1施療部11の上部前側UFも互いに離反する動作となる。このとき、第2施療部12の下部前側DF及び第2施療部12の下部後側DRは互いに近接する。
図8(c)から図8(d)に示すように、第1施療部11の上部前側UF及び第1施療部11の上部後側URも互いに離反する動作のときにおいて、第1施療部11の上部前側UF間の左右距離と第1施療部11の上部後側UR間の左右距離が略同じとなり、図8(d)に示すように、平面視で互いの第1施療部11が略平行になると、図8(e)に示すように、逆に、第1施療部11の上部前側UF及び第1施療部11の上部後側URがそれぞれ近接する動作になる。
【0036】
また、図8(c)から図8(d)に示すように、第2施療部12の下部前側DF及び第2施療部12の下部後側DRも互いに近接する動作のときにおいて、第2施療部12の下部前側DF間の左右距離と第2施療部12の下部後側DRの左右距離が略同じとなり、図8(d)に示すように、平面視で互いの第2施療部12が略平行になると、図8(e)に示すように、逆に、第2施療部12の下部前側DF及び第2施療部12の下部後側DRがそれぞれ離反する動作になる。
【0037】
最終的に、マッサージ部材10,10の第1施療部11及び第2施療部12は、図8(e)から図8(a)の状態に戻る。そして、図8(a)〜図8(d)に示した動作を繰り返すことになる。
なお、図8(d)〜図8(e)に示すように、平面視で互いの第1施療部11が略平行になった後、第1施療部11が互いに近接するという動作に切り替わるが、これに代え、平面視で互いの第1施療部11が略平行になった後、第1施療部11の上部前側UFはさらに近接すると共に、第1施療部11の上部後側URは離反するという動作にして第1施療部11の上部前側UFで下肢をさらに挟み込むように変化してもよい。同様に、図8(d)〜図8(e)に示すように、平面視で互いの第2施療部12が略平行になった後、第2施療部12が互いに離反するという動作に切り替わるが、これに代え、平面視で互いの第2施療部12が略平行になった後、第2施療部12の下部前側DFはさらに近接すると共に、第2施療部12の下部後側DRは離反するという動作にして第2施療部12の下部前側DFで下肢をさらに挟み込むように変化してもよい。
【0038】
図9は、下肢用マッサージ装置の変形例を示したものである。
下肢用マッサージ装置1(1a)は、椅子型マッサージ装置2に具備されたものではなく、床F等に載置して使用する載置型マッサージ装置である。
詳しくは、載置型マッサージ装置1aのケーシング7には、当該マッサージ装置1aを自立設置するためのアーム部材50が設けられており、このアーム部材50の先端を床F等の設置面に接地させることにより、アーム部材50及び底壁13とで安定して設置面に設置することができるようになっている。第1フレーム21は、ケーシング7の後壁15の内面に取り付けられており、左右一対のマッサージ部材10,10の他、駆動部(電動モータ40、ギアボックス25)等がケーシング7に支持されている。
【0039】
以上のように、下肢用マッサージ装置1を構成することにより、マッサージ部材10,10を側面視でブーツ型にすることによりマッサージ部材10,10の部品点数低減が図れ、その結果、マッサージ部材10,10の配置スペースを小さくすることができる。これに加え、マッサージ部材10,10を動作させるための回転軸26を1本としたため、回転軸26を駆動するための駆動部分を少なくでき、その結果、駆動部における配置スペースも小さくすることができる。
【0040】
即ち、マッサージ部材10,10を側面視でブーツ形状とし、且つ、1本の回転軸26にてマッサージ部材10,10をマッサージ動作させるものとしたため、ふくらはぎや足をマッサージできるという構成でありながら、全体的な大きさをコンパクトにすることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
1 下肢用マッサージ装置
2 椅子型マッサージ装置
3 座部
6 支持部材
7 ケーシング
10 マッサージ部材
11 第1施療部
12 第2施療部
19 挿入凹部
25 ギアボックス
26 回転軸
30 貫通部
31 変換部
32 回転ボス部
33 環状嵌合部
34 規制部
35 ベアリング
36 固定部材
37 係合部材
38 摺動溝
39 規制部材
40 電動モータ
42 ふくらはぎ支持部材
43 足支持部材
44 突起部
45 ローラ
50 アーム部材
X 軌道
F 床
DF 下部前側
DR 下部後側
UF 上部前側
UR 上部後側
H1 座部の高さ
H2 下肢用マッサージ装置の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ふくらはぎから足へとつながる下肢に沿うように側面視でブーツ形状に形成され、且つ当該下肢を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、
前記マッサージ部材を左右に亘って貫通するように設けられた1本の回転軸と、
前記回転軸を回転駆動する駆動部と、
前記回転軸の回転力を前記マッサージ部材によるマッサージ動作に変換する変換部と、
を有することを特徴とする下肢用マッサージ装置。
【請求項2】
前記マッサージ部材は、ふくらはぎに対して挟み込みマッサージ動作を行う第1施療部と、足に対して挟み込みマッサージ動作を行う第2施療部とを有し、回転軸は、第1施療部と第2施療部との境界部分を貫通していて、前記貫通部に変換部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項3】
側面視ブーツ形状のマッサージ部材の上部垂直部分に対応する位置が第1施療部とされ、側面視でブーツ形状の下部水平部分に対応する位置が第2施療部とされており、
前記回転軸は、前記マッサージ部材の第1施療部と第2施療部との境界部分を貫通していて、前記貫通部に前記変換部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項4】
前記回転軸は前記第1施療部の前後方向中央部よりも後側に位置していることを特徴とする請求項2又は3に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項5】
前記変換部は、回転軸の軸方向中途部に固定され且つ回転軸に対して傾斜した無端状のカム面が周縁に形成された回転ボス部と、
前記マッサージ部材の貫通部に形成されて回転ボス部の周縁に摺動自在に嵌り込む環状嵌合部と、
前記回転ボス部に対して環状嵌合部が供回りすることを規制する規制部と、
を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項6】
左右一対のマッサージ部材は、第1施療部の上部前側が互いに近接すると共に第2施療部の下部前側が離反し、第2施療部の下部前側が互いに近接すると共に第1施療部の上部前側が離反するように動作することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項7】
前記第1施療部の上部前側が互いに離反する際には第1施療部の上部後側が互いに近接し、前記第2施療部の下部前側が互いに離反する際には第2施療部の下部後側が互いに近接するように左右一対のマッサージ部材が動作することを特徴とする請求項6に記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項8】
前記左右一対のマッサージ部材の第2施療部の間に、足を支える足支持部材が配置されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項9】
前記マッサージ部材は、厚み方向に弾性変形可能な板材で形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の下肢用マッサージ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載された下肢用マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載された下肢用マッサージ装置は載置型のマッサージ装置であることを特徴とする載置型マッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−103988(P2011−103988A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259960(P2009−259960)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】