説明

不可視情報表示層、不可視情報担持物体、不可視情報処理システムおよび不可視情報処理方法

【課題】 審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避でき、製造中の中間物品から最終物品までの諸段階における物品に関する情報を付与することができ、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できる新技術を提供する。
【解決手段】 被検体に紫外線を照射し、可視光線を検出しない条件下、被検体からの不可視被励起光線の有無を判定し、必要に応じて、検出した不可視被励起光線から不可視情報を解読する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不可視情報表示層を担持した物品(以下、不可視情報担持物体と言う)の属性を判定する技術に関する。本発明における「不可視」とは、実質的に可視光領域に反射光および被励起光線を有さないことを意味する。ここで「実質的に・・・有さない」とは肉眼で検出できない程度のことを意味する。また、本発明において被励起光線とは、励起により生じた光線(蛍光)を意味する。また、「不可視情報」とは、不可視である、文字、符号図形等の形状情報を意味する。
【背景技術】
【0002】
完成製品や中間製品等の物品に情報を捺印する方法としては、たとえば、成分表示のように、誰でもその場で読みとれる文字情報を捺印する方法がもっとも一般的である。また、品質保証番号や品質保証期間のような購買者へ提供する文字情報を製品に捺印し、購買者がその情報を特定のインターネットサイトに入力することにより、更に詳細な情報を提供する方法も実用化されている(たとえば非特許文献1参照。)。これらは、購買者に情報を提供することを目的とするものである。
【0003】
これに対し、購買者に情報を提供することを目的とせず、物品の供給者側が希望する情報を物品に捺印したい場合がある。このような場合には文字情報である必要はない。そのようなものとしては、物品の種類、値段等を読みとれるバーコードを使用する方法があり、特別な読みとり装置で情報を読みとる。
【0004】
しかしながら、購買者に情報を提供することを目的とせず、物品の供給者側が希望する情報を物品に捺印したい場合には、これらの方法では充足できないニーズがある。
【0005】
その一つは審美的ニーズである。たとえば、購買者が利用できない文字情報が物品上に多く捺印されていることは審美的に好ましくない場合が多い。また、文字情報ではなく、バーコードのような非文字情報であっても審美的に好ましくない場合がある。
【0006】
また、製造中の中間物品から最終製品までの諸段階における物品や、流通の諸段階における物品に、複数の当事者が複数の情報を捺印する場合を考えると、審美的問題はもちろん、物理的にも困難な場合が多い。
【0007】
物理的問題は、特に、すでに確立している流通形態において追加の情報を付したい場合等に大きな障害となる。大抵の場合、追加の情報を付すべきスペースがなく、付すべき箇所のデザイン変更が必要になる場合も多い。
【0008】
また、物品の供給者側が希望する情報を物品に捺印した事実を第三者に知らせたくない場合がある。たとえば、真正品であることを証明する情報を捺印した場合には、悪意の第三者がこれを知れば模造品を造る際に同様の情報を捺印することが容易となるからである。
【0009】
また、真正品を証明する情報を捺印する場合には、その情報の存在が真正品を証明するものであることを客観的に証明できることが望まれる場合があるが、物品の供給者側が捺印した情報そのものは、第三者から見れば客観的な情報とは言い難い場合がある。
【0010】
また、物品の流通経路を後から把握したい場合がある。たとえば、予想外の流通経路が見いだされれば、何らかの不正があることが推定され、対策をとりやすくなるからである。また市場で不良品が見出された場合にはどの流通経路を経たものが不良品なのか容易に判断することができるからである。
【非特許文献1】石井食品(株),”OPEN ISHII”,[on line],石井食品ホームページ,[平成14年11月22日検索],インターネット<URL:http://open.ishiifood.co.jp/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記ニーズに応え、審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避でき、製造中の中間物品から最終物品までの諸段階における情報を付与することができ、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できる技術を提供することにある。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、紫外線を照射した場合に可視光線以外の被励起光線(不可視被励起光線)を発するコーティング剤層を含んでなる不可視情報表示層が提供される。
【0013】
本発明態様により、審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避できる不可視情報を提供できる。
【0014】
前記コーティング剤層がバーコードまたは二次元バーコードの形状を有することが好ましい。広く利用されている情報表技術を有効に利用できるからである。また、2以上の前記不可視コーティング剤層を部分的または全面的に積層してなること、前記不可視被励起光線が紫外線または赤外線または紫外線と赤外線との両方であること、前記不可視コーティング剤層が他のコーティング剤層と部分的または全面的に積層してなること、が好ましい。スペースを有効利用できるからである。
【0015】
本発明の他の一態様によれば、上記の不可視情報表示層を担持してなる面を有する不可視情報担持物体であって、当該不可視情報が当該不可視情報担持物体の属性情報と関連づけられたものである、不可視情報担持物体が提供される。
【0016】
本発明態様により、審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避でき、製造中の中間物品から最終物品までの諸段階における物品に関する情報を付与することができ、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できる不可視情報を担持した物体を提供できる。
【0017】
前記不可視情報担持物体の属性情報が、不可視情報の発行元名および発行時期情報ならびに、不可視情報担持物体に関する仕入先情報、銘柄情報、品番情報、有効時期情報(保証期間情報)および流通情報よりなる群から選ばれた少なくとも一つの情報であることが好ましい。これらの属性情報は、通常、不可視情報の発行元名が最も入手したい情報である。
【0018】
また、前記不可視情報が、不可視情報の発行元名および発行時期情報ならびに、不可視情報担持物体に関する仕入先情報、銘柄情報、品番情報、有効時期情報(保証期間情報)および流通情報よりなる群から選ばれた少なくとも一つの情報であることが好ましい。このようになっていれば、属性情報と関連づけなくても必要な情報を入手することができる。
【0019】
さらに、前記不可視情報表示層を担持してなる面が、紙面、布面、皮革面、木材面、プラスチック面、ゴム面、金属面、塗装面、ガラス面およびセラミック面からなる群の内の少なくともいずれか一つの面であること、前記不可視情報担持物体が製品またはその中間製品であることも好ましい形態である。
【0020】
本発明のさらに他の一態様によれば、被検体に紫外線を照射するための紫外線照射装置と、可視光線を検出せず、紫外線を照射した場合に当該被検体からの不可視被励起光線を検出するための不可視被励起光線検出装置と、必要に応じて、当該検出された不可視被励起光線を解読するための不可視情報解読装置とを含んでなる不可視情報処理システムが提供される。
【0021】
本発明態様により、審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避でき、製造中の中間物品から最終物品までの諸段階における物品に関する情報を付与することができ、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できるようにするためのシステムを提供できる。
【0022】
上記不可視情報担持物体を含んでなること、上記不可視情報表示層が含む不可視情報と、当該不可視情報表示層を担持すべき不可視情報担持物体の属性情報とを、互いに関連づけて記憶する情報記憶手段および、情報判別手段であって、不可視被励起光線が検出されなかった場合にはその旨の情報をアウトプットし、不可視被励起光線が検出された場合には、当該検出された不可視被励起光線から得られる不可視情報と情報記憶手段の保有する不可視情報担持物体の属性情報との関連付けを行い、関連づけるべき属性情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、関連づけるべき属性情報が存在する場合には、当該属性情報をアウトプットする情報判別手段を含んでなること、が好ましい形態である。
【0023】
本発明のさらに他の一態様によれば、被検体に紫外線を照射し、紫外線検出装置と赤外線検出装置との少なくとも一方を使用して、可視光線を検出しない条件下、当該被検体からの不可視被励起光線の有無を検出し、不可視被励起光線が検出された場合には、当該検出された不可視被励起光線から得られる不可視情報を読み取り、あるいは、必要に応じて、不可視情報解読装置により、当該検出した不可視被励起光線から得られる不可視情報を解読することを含む不可視情報処理方法が提供される。
【0024】
本発明態様により、審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避でき、製造中の中間物品から最終物品までの諸段階における物品に関する情報を付与することができ、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できるようにするための方法を提供できる。
【0025】
上記不可視情報表示層が含む不可視情報と、当該不可視情報表示層を担持すべき不可視情報担持物体の属性情報とを、情報記憶手段により、互いに関連づけて記憶し、情報判別手段により、不可視被励起光線が検出されなかった場合にはその旨の情報をアウトプットし、不可視被励起光線が検出された場合には、当該検出された不可視被励起光線から得られる不可視情報と情報記憶手段の保有する不可視情報担持物体の属性情報との関連付けを行い、関連づけるべき属性情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、関連づけるべき属性情報が存在する場合には、当該属性情報をアウトプットすることを含むことが好ましい形態である。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避でき、製造中の中間物品から最終物品までの諸段階における物品に関する情報を付与することができ、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できる新技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。これらの図、実施例等及び説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。図中、同一の符号は同一の要素を表す。
【0028】
本発明では、1以上の不可視コーティング剤層であって、紫外線照射により可視光線以外の被励起光線(不可視被励起光線)を発するコーティング剤層を含んでなる不可視情報表示層を使用する。不可視情報表示層はそのままでは人目に触れぬようになっている。このためには、不可視情報表示層が、可視光領域で人の目に触れぬ程度に無着色透明であることが好ましいが、下地の色等と紛れ得る場合にはこの要件を緩和することもできる。
【0029】
この不可視情報表示層は、不可視情報担持物品の表面に担持して使用される。不可視情報担持物品上の不可視情報表示層によって表示される不可視情報は不可視情報担持物品の属性情報と関連づけられる。関連づける方法には特に制限はない。不可視情報が属性情報を順序づける単なる符号である場合もあり得る。
【0030】
不可視情報担持物品に紫外線を照射すると、コーティング剤層から不可視被励起光線が発せられるので、これを検出して情報を読み取り、あるいは、必要に応じて、検出した不可視被励起光線から不可視情報を解読することで、不可視情報を得ることができる。不可視被励起光線を検出する際、可視光線を検出しないようにしておく。
【0031】
このようにして、本不可視情報は通常の太陽光や可視光を放つ人工光の下では人の目に触れることがない。また、使用するコーティング剤の選択により、偶然に紫外線照射下に置かれたとしても可視光を発しないようにすることができる。従って、審美的に問題とならない。また、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できる。また、通常の太陽光や可視光を放つ人工光の下では人の目に触れることがないため、従来の印刷箇所等に重複して不可視情報表示層を設けることができ、スペース上の問題が生じない。
【0032】
本発明に係るコーティング剤は、通常の太陽光や可視光を放つ人工光の下では不可視であり、あるいはこれに近いものであり、紫外線照射により不可視被励起光線を発する物質であれば特に制限なく使用することができる。上記不可視被励起光線としては紫外線や赤外線が適当である。被励起光線が可視光線を含んでいてもよい場合もあるが、偶然に紫外線照射下に置かれたとしても気づかれないようにするには、可視光を発しない方が好ましい。紫外線により紫外線が励起されるコーティング剤としては、東京材料社から供給される型番TZF−66を、紫外線により赤外線が励起されるコーティング剤としては、東京材料社から供給される型番TZH−139を例示することができる。コーティング剤は溶媒に希釈または分散して使用してもよい。複数混合して使用し、あるいは他の剤と混合使用してもよい場合もある。
【0033】
本コーティング剤層は、本コーティング剤層を対象物品上に形成できる方法であればどのような方法により形成してもよい。いわゆる塗布、転写、印刷、捺印、フィルムの貼付等を採用できる。塗布には、通常の塗布の他、噴霧塗布、静電気を利用した塗布等を含めることができる。転写とは、例えば、フィルム上に離形剤層を介して設けられたコーティング剤層上に接着層を設け、この接着層により、コーティング剤層を対象物品上に転写するものである。フィルムの貼付とは、例えば、本発明に係るコーティング剤よりなる層を有するフィルムを対象物品に貼付するものである。例えば、何らかの文言や図形を描いた長方形のシートの文言や図形の下(シートと文言や図形の層との間)に本発明に係るコーティング剤層を形成したものがこのフィルムに該当する。
【0034】
本発明に係る不可視情報表示層は、本コーティング剤層の文字、符号、図形等の形状により不可視情報を表示する。表示された不可視情報は、不可視被励起光線検出装置を使用して、紫外線照射により得られる不可視被励起光線を検出しない限り、読みとられることはない。
【0035】
不可視情報を表示するコーティング剤層の形状は、文字、符号、図形等どのようなものでもよく、暗号化されていてもよい。多くの情報を誤りなく伝えるには、図7に示すようなバーコードや、図8に示すような二次元バーコードであることが好ましい。この二次元バーコードには、デンソーウェーブ社が開発したQRコード、米国のSymbol社が開発したPDF417、米国のCI Matrix社が開発したDataMatrix、米国のUPS社が開発したMaxi等を挙げることができる。
【0036】
本発明に係る不可視情報表示層は、本コーティング剤層を含んでなる。一層のコーティング剤層のみからなっていてもよく、複数のコーティング剤層のみからなっていてもよく、他の層を含んでいてもよい場合もある。図1〜4はこれらの例を示したものである。図1(a)は、本発明に係る不可視情報表示層が一層の被励起光線が紫外線であるコーティング剤層1のみからなっている場合の一例の平面図、図1(b)はその横断面図である。図2(a)は、本発明に係る不可視情報表示層が二層のコーティング剤層(コーティング剤層1と被励起光線が赤外線であるコーティング剤層2)のみからなっている場合の一例の平面図、図2(b)はその横断面図である。図3(a)は、本発明に係る不可視情報表示層が、二層のコーティング剤層1,2とその下にある、可視光下で人が認知できるコーティング剤層3とからなっている場合の一例の平面図、図3(b)はその横断面図である。図4(a)は、本発明に係る不可視情報表示層が、一層のコーティング剤層1とその下にあるコーティング剤層3とコーティング剤層1の上にあるフィルム層4とからなっている場合の一例の平面図、図4(b)はその横断面図である。これらの場合の情報は単なる符号とした。
【0037】
このようなフィルム層を使用する場合には、図4の場合のように他のコーティング剤層3を含ませ、このフィルム層が、コーティング剤層3を担持する目的で使用されたかのごとく見せるようにするのが普通である。なお、図2〜4は、人の目にこのように見えることを意味するものではない。図2の場合には、紫外線検出装置で検出すれば2(c)の画像が、赤外線検出装置で検出すれば2(d)の画像が検出され、図3の場合には、紫外線検出装置で検出すれば3(c)の画像が、赤外線検出装置で検出すれば3(d)の画像が、太陽光の下では3(e)の画像が検出され、図4の場合には、紫外線検出装置で検出すれば4(c)の画像が、太陽光の下では4(d)の画像が検出される。
【0038】
本発明に係る不可視情報表示層に2以上の不可視コーティング剤層を採用する場合、これらが、互いに積層しないようになっていてもよいが、部分的または全面的に積層していても問題ない場合が多く、狭いスペースに多くの情報を含めることができるので好ましい場合が多い。積層順序には特に制限はない。
【0039】
不可視被励起光線が紫外線と赤外線との両方である場合、すなわち、被励起光線が紫外線である不可視コーティング剤層と被励起光線が赤外線である不可視コーティング剤層とを採用する場合には、情報の漏洩がより困難になる。従って、高度の情報漏洩防止を望む場合には、被励起光線が紫外線である不可視コーティング剤層と被励起光線が赤外線である不可視コーティング剤層との2層を部分的にまたは全面的に積層し、あるいは積層せずに採用することが実際的であり、好ましい。
【0040】
本発明に係る不可視コーティング剤層は他のコーティング剤層と部分的または全面的に積層してもよい。ここでいう「他のコーティング剤層」とは本発明に係る不可視コーティング剤層以外のコーティング剤層を意味する。可視光下において、文字、符号図等を表示する塗装、印刷、捺印等のためのコーティング剤層や、表面保護や汚れ防止のための透明コーティング剤層を例として挙げることができる。
【0041】
上記他のコーティング剤層が本発明に係る励起用の紫外線と被励起光線との少なくともいずれか一方を実質的に吸収する場合には、本発明に係る不可視コーティング剤層を他のコーティング剤層の上に積層すべきである。しかしながら、上記他のコーティング剤層が本発明に係る励起用の紫外線および被励起光線を実質的に吸収しない場合には、本発明に係る不可視コーティング剤層と他のコーティング剤層との積層順序に制限はない。不可視コーティング剤層上に表面保護や汚れ防止用の透明フィルム層を設けた場合等が該当する。なお、この場合における「実質的に吸収する」とは、本発明に係る励起用の紫外線または被励起光線を吸収した結果、被励起光線を検出できなくなる程度のことを意味する。通常の材料は紫外領域や赤外領域に吸収帯を有する場合が多いが、本発明に係る励起用の紫外線や被励起光線を検出できる限りはそのような材料を使用することができる。たとえば、表面保護や汚れ防止用の透明コーティングを行う場合に考慮すべき事項である。
【0042】
なお、本発明において積層順序の「上」とは、不可視情報担持物体の被励起光線を観察した場合に観察点に近い方を意味し、実際のコーティング順序に関わるものではない。例えば、透明フィルム上に、先に本発明に係る不可視コーティング剤層を形成し、ついで他のコーティング剤層を形成した場合に、この積層体を有するフィルム(本発明に係る不可視情報表示層に該当する)を、その不可視コーティング剤層および他のコーティング剤層を形成した側を物品に対向させて物品に貼付した場合には、本発明に係る不可視コーティング剤層が他のコーティング剤層の上に積層されたことになる。
【0043】
本発明に係る不可視情報表示層は、物品の面上に担持され、不可視情報が、この物品、すなわち不可視情報担持物品の属性情報と関連づけられる。
【0044】
本発明に係る不可視情報は、このように、不可視情報担持物品の属性情報と関連づけられるものであれば特に制限はない。不可視情報担持物品の属性情報そのものであってもよく、不可視情報担持物品の属性情報と結びつけられた文字や符号でもよい。個々の不可視情報担持物品を単に相互に区別するための文字や符号でもよい。
【0045】
この場合における物品には特に制限はなく、物理的に不可視情報表示層を担持できる有体物であればどのようなものでもよい。不可視情報表示層を担持してなる面が、紙面、布面、皮革面、木材面、プラスチック面、ゴム面、金属面、塗装面、ガラス面およびセラミック面からなる群の内の少なくともいずれか一つの面である物品を例示することができる。この物品は、製品でも中間製品でもよい。
【0046】
不可視情報担持物品の属性情報としてはどのようなものでもよいが、不可視情報の発行元名および発行時期情報ならびに、不可視情報担持物品に関する仕入先情報、銘柄情報、品番情報、有効時期情報(保証期間情報)および流通情報よりなる群から選ばれた少なくとも一つの情報であることが好ましい。なお、不可視情報担持物品の属性情報とは、一般的には不可視情報担持物品自体に関する属性情報を意味するが、不可視情報担持物品に関連づけられた対象の属性であってもよい。たとえば、特定の顧客についてのメンバーズカードが不可視情報担持物品である場合には、その顧客情報を不可視情報担持物品の属性情報と見なすことができる。
【0047】
このような不可視情報担持物品の存在を利用して不可視情報を判別するには、まず、不可視情報担持物品であろうと思われる対象(被検体)に紫外線を照射し、紫外線検出装置と赤外線検出装置との少なくとも一方を使用して、不可視情報担持物品からの不可視被励起光線の有無を判定する。この段階で、不可視被励起光線が検出されなければ、被検体は不可視情報担持物品ではないと判断できる。この情報により、例えば真正品であるかどうかを判別することができる。なお、被検体からの不可視被励起光線の有無を判定する時には、可視光線を検出しない条件を選択することが好ましい。この条件を選択することにより、他のコーティング剤により描かれた図、文字、符号等をすべて不可視として、本発明に係る不可視被励起光線のみを検出できるようになるため、本発明に係るコーティング剤層を他のコーティング剤の層と積層した場合にも情報を容易に読みとれるようになる。
【0048】
この段階で、不可視被励起光線が検出された場合には、被検体は不可視情報担持物品であると見なすことができる。この場合、検出された不可視被励起光線から直ちに文字、符号、図等が読みとれ、それだけで情報として理解できる場合には、それ以上の処置は不要である。それだけでは情報として理解できない場合には、その必要に応じて、不可視情報解読装置により、検出した不可視被励起光線から不可視情報を解読する段階が必要となる。上記バーコード等の場合にはその読み取り機が、暗号の場合には解読のための装置やソフトウエアが必要となる。
【0049】
このようにして得られた不可視情報が、被検体が真正の不可視情報担持物品である場合に該当する属性情報と矛盾なく関連づけられれば、被検体が真正品であると判定することができる。真正品であるかどうかの判定だけを目的とする場合は、この段階で完了してもよいが、さらに多くの被検体についてこのような属性情報との関連づけを行い、製品の流通ルート等を解析することも可能である。
【0050】
属性情報との関連づけによる判定は、不可視情報表示層が含む不可視情報と関連づけられた不可視情報担持物品の属性情報を情報記憶手段により記憶し、情報判別手段により、検出された不可視情報と、情報記憶手段の保有する情報とを比較し、検出された不可視情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、検出された不可視情報が存在するが、関係づけるべき属性情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、関係づけるべき属性情報が存在する場合には、属性情報をアウトプットすることを含む方法で行うことができる。
【0051】
このようにして、本発明に係る不可視情報処理方法により、本不可視情報を人の目に触れることなく扱うことができ、従って、審美的に問題とならない。また、使用するコーティング剤の選択により、偶然に紫外線照射下に置かれたとしても可視光を発しないようにすることができ、秘密保持性が高い。また、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握することができる。
【0052】
上記不可視情報処理は、被検体に紫外線を照射するための紫外線照射装置と、紫外線を照射した場合に被検体からの不可視被励起光線を検出するための不可視被励起光線検出装置と、必要に応じて、検出された不可視被励起光線を解読するための不可視情報解読装置とを含んでなる不可視情報処理システムを使用して行うことができる。本システムには、上記の不可視情報担持物品そのものを含めて考えてもよい。
【0053】
本紫外線照射装置については特に制限はなく、本発明に係る不可視コーティング剤を励起できるものなら、公知のどのような装置でも使用することができる。
【0054】
不可視被励起光線検出装置についても特に制限はなく、本発明に係る不可視被励起光線を検出できるものならどのような装置を使用することができる。例えば、紫外線や赤外線に感応するデジタルカメラを使用することができる。不可視被励起光線検出装置で検出される情報(画像)は白黒で表示できるものであることが多い。なお、本装置は、上記した理由により、可視光線を検出しないものであることが好ましい。これはフィルターを付加することにより容易に実現できる。フィルターは、照射した紫外線の波長領域をカットしたり、所定の限られた波長範囲の光線を検出するためにも使用できる。これにより、不可視被励起光線以外の紫外線や赤外線を誤って検出する恐れが減少する。
【0055】
不可視情報解読装置については、検出した不可視被励起光線から不可視情報を解読する機能を有するものであるならばどのようなものでもよい、バーコードや二次元バーコードの場合には目的に応じたデコーダー(読み取り機)を市場で入手することができる。暗号の場合には解読のための装置(たとえばコンピュータ)やソフトウエアが必要となる。
【0056】
本装置は、光線のスペクトルを測定できる機能や光線の波長別にその強度を測定できる機能を有していてもよい。このような機能を有していれば、そのスペクトルを真正コーティング剤のスペクトルと比較し、または、複数の特定波長における発光強度比を、真正コーティング剤の複数の特定波長における発光強度比と比較することにより、対象となっているコーティング剤が真正コーティング剤であるかどうかを判別することも可能である。この場合には、コーティング剤に紫外線吸収剤や赤外線吸収剤を混ぜることにより、真正コーティング剤のスペクトルを種々変え、使用するコーティング剤の種類を実質的に増加させることもできる。
【0057】
上記した属性情報との関連づけを行うためには、更に本システムに、上記したような、不可視情報表示層が含む不可視情報と、不可視情報表示層を担持すべき不可視情報担持物品の属性情報とを、互いに関連づけて記憶する情報記憶手段および、情報判別手段であって、不可視被励起光線が検出されなかった場合にはその旨の情報をアウトプットし、不可視被励起光線が検出された場合には、検出された不可視被励起光線から得られる不可視情報と情報記憶手段の保有する不可視情報担持物体の属性情報との関連付けを行い、関連づけるべき属性情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、関連づけるべき属性情報が存在する場合には、当該属性情報をアウトプットする情報判別手段を付加することが好ましい。
【0058】
このような情報記憶手段としてはパーソナルコンピュータ等のコンピュータ等に内蔵または付属するハードディスク等を使用し、情報判別手段としてはパーソナルコンピュータ等のコンピュータを使用することができる。この場合には例えば次のように処理される。すなわち、不可視情報表示層が含む不可視情報と関連づけられた不可視情報担持物品の属性情報が入力された場合に、コンピュータがたとえばそのハードディスクにその属性情報と不可視情報に対応する情報を相互に関連づけて記憶し、情報判別手段が、不可視被励起光線が検出されなかった場合にはその旨の情報をアウトプットし、不可視被励起光線が検出された場合には、その不可視被励起光線から得られる不可視情報と情報記憶手段の保有する不可視情報担持物体の属性情報との関連付けを行い、関連づけるべき属性情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、関連づけるべき属性情報が存在する場合には、その属性情報を、たとえばディスプレイにアウトプットする。
【0059】
このようにして、本発明により、審美的に問題とならず、情報を付与する際のスペース上の問題を回避でき、製造中の中間物品から最終物品までの諸段階における物品に関する情報を付与することができ、情報を物品に付与した事実を第三者に知られないようにでき、真正品であることを客観的に証明することができ、あるいは、物品の流通経路を後から把握できる新システムを実現することができる。
【実施例】
【0060】
次に本発明の実施例を詳述する。
【0061】
[実施例1]
本発明に係る不可視情報処理システムの一例を図5に、このシステムを使用した不可視情報処理方法の手順を図6に示す。図5は、上記した紫外線照射装置51と、可視光をカットするためのフィルター52と、赤外線検出装置53(本発明に係る不可視被励起光線検出装置に該当)と、不可視情報解読装置54と、情報記憶手段55と、情報判別手段56とよりなっている。
【0062】
本例は、対象とする物品としてハンドバッグを採用し、真正ハンドバッグの表面57に直接、不可視被励起光線を発するコーティング剤層を、二次元バーコードとして含んでなる不可視情報表示層58を設けた例である。不可視被励起光線は赤外線であるとする。
【0063】
市場から真正ハンドバッグと同じ外観を有するハンドバッグを入手し、本発明に係る不可視情報処理システムで処理する。まず、図6のステップS1に従い、紫外線照射装置51を使用して、対象とするハンドバッグに紫外線を照射する。つぎに、図6のステップS2に従い、フィルター52を通して赤外線検出装置53で赤外線の有無を判定する。
【0064】
この判定で「赤外線なし」と判定された場合には、図6のステップS3に従い、このハンドバッグが真正品でないと判定し、処理を終了する。
【0065】
この判定で「赤外線あり」と判定された場合には、図6のステップS4に従い、このハンドバッグが真正品であると判断し、処理を終了してもよい。あるいは、図6のステップS5に従い、赤外線による二次元バーコードを不可視情報解読装置54に供給して解読する。解読が不要の場合はこのステップを飛ばすことができる。解読情報が属性情報そのものである場合には、図6のステップS7に従い、処理を終える。解読情報が属性情報を持たず、情報記憶手段5が属性情報を記憶している場合、あるいは、解読情報が属性情報の一部を構成し、情報記憶手段55がその他の属性情報を記憶している場合には、図6のステップS8に従い、情報記憶手段5内にある属性情報を検索して、解読情報に関連づけられる属性情報を探し出し、図6のステップS9に従い処理を終えることができる。処理を終えた後は、物品の流通経路解析等を行うことができる。
【0066】
[実施例2]
本例は、小売店が書籍を委託販売し、売れ残ったときには出版社に返品できる通常の場合の書籍(書籍A)と、同一の書籍であって、小売店が書籍を買い取り販売し、出版社に返品できない場合の書籍(書籍B)とが存在する場合において、出版社が書籍A中に書籍Bが混じって返品されることを発見するために、本発明を利用する例である。
【0067】
このような場合には、例えば書籍Bのみに、本発明に係る不可視情報表示層を設けておけば、容易に書籍A中に混入した書籍Bを検出することができる。不可視情報表示層は表表紙にでも、裏表紙にでも、任意のページにでも、設けることができる。書籍Aと書籍Bとを区別する程度の属性情報であれば、属性情報そのものを不可視情報として取り扱うことが容易であるので、この場合には情報記憶手段を設ける必要はない。
【0068】
[実施例3]
本例は、ある企業において、不正に小切手が発行された事実を発見するために本発明を利用する例である。
【0069】
小切手の場合はスペースがあるので、例えば二次元バーコードを採用することも可能であるが、その情報の表示が不可視でなければ、誰でもその二次元バーコードを解読する機会を得ることができることになる。従って、二次元バーコードを解読する機能を有するカメラ付き携帯電話が市販されている現状では、役に立たない。
【0070】
これに対し、本発明を利用する場合には、予め、個々の小切手に本発明に係る不可視情報表示層を設けておく。この不可視情報は個々の小切手を区別できるものであればどのようなものでもよい。不可視情報表示層は小切手の表に設けても裏に設けてもよい。例えば二次元バーコードを採用することができる。本発明に係る不可視情報表示層は、人の目に触れず、また、小切手を汚すことがないので審美的にも問題とならない。
【0071】
このようにしておき、小切手が振り出される毎にその金額や宛先等の属性情報を予め情報記憶手段に記憶しておけば、不可視情報表示層がなければもちろん、不可視情報表示層があった場合にも、関連づけられた属性情報と対象小切手の金額や宛先が矛盾することがあれば、不正が行われたことを検出することができる。なお、小切手の画像をスキャナーで取り込み、これを属性情報として使用することも可能である。
【0072】
[実施例4]
本例は、特定の会員のみを対象とするメンバーズカードが偽造されるのを防止するために本発明を利用する例である。
【0073】
この場合には、不可視情報表示層の有無だけから偽造カードを検出することができる。
【0074】
また、カードは通常大きさに限界があるため、新たな情報を付すためのスペースを割くのは通常困難であるが、本発明に係る不可視情報表示層は、人の目に触れず、審美的に問題とならないため、多種多様の情報をカードに付すことが可能である。この情報は、会員の属性情報そのものであってもよいが、万一解読された場合のリスクを考慮して、情報記憶手段に記憶された属性情報に関連づけるための情報だけであってもよい。
【0075】
[実施例5]
本例は、農産物の生産者情報の表示が偽造されるのを防止するために本発明を利用する例である。
【0076】
農産物には、生産者情報を示す表示を添付することが望まれる場合が多いが、この表示が偽造されることがある。
【0077】
生産者情報を示す表示(可視情報)を添付した農産物を出荷する際に、同様の内容の本発明に係る不可視情報を、例えばその農産物自体や包装紙に印刷しておく。その後、小売店から購入した農産物について可視情報と本発明に係る不可視情報との間に矛盾がないかを確認することにより、偽造が行われたかどうかを確認することができる。
【0078】
[実施例6]
本例は、畜産物である肉を流通させる場合に、肉の品質、産地等の情報を、小分けされた肉に二次元バーコードとして添付する場合に、二次元バーコードが偽造されたり、横流しされたりするのを防止するために本発明を利用する例である。
【0079】
この場合には、可視二次元バーコードの上に、例えば印刷により、本発明に係る不可視情報表示層を設ける。このようにすれば、不可視情報表示層の有無やその情報内容と可視二次元バーコードから得られる情報との比較により、可視二次元バーコードが偽造されたり、横流しされたりした事実を発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る不可視情報表示層が一層のコーティング剤層のみからなっている場合の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る不可視情報表示層が二層のコーティング剤層のみからなっている場合の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る不可視情報表示層が、二層のコーティング剤層と他のコーティング剤層とからなっている場合の一例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る不可視情報表示層が、一層のコーティング剤層と、他のコーティング剤層と、これらを担持したフィルム層とからなっている場合の一例を示す概略図である。
【図5】本発明に係る不可視情報処理システムの一例を示す概略構成図である。
【図6】図1の不可視情報処理システムを使用した不可視情報処理方法の手順を示す図である。
【図7】バーコードの一例を示す図である。
【図8】二次元バーコードの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 被励起光線が紫外線であるコーティング剤層
2 被励起光線が赤外線であるコーティング剤層
3 可視光下で人が認知できるコーティング剤層
4 フィルム層
51 紫外線照射装置
52 フィルター
53 赤外線検出装置
54 不可視情報解読装置
55 情報記憶手段
56 情報判別手段
57 真正ハンドバッグの表面
58 不可視情報表示層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射した場合に可視光線以外の被励起光線(不可視被励起光線)を発するコーティング剤層を含んでなる不可視情報表示層。
【請求項2】
前記コーティング剤層がバーコードまたは二次元バーコードの形状を有する、請求項1に記載の不可視情報表示層。
【請求項3】
2以上の前記不可視コーティング剤層を部分的または全面的に積層してなる、請求項1または2に記載の不可視情報表示層。
【請求項4】
前記不可視被励起光線が紫外線または赤外線または紫外線と赤外線との両方である、請求項1〜3のいずれかに記載の不可視情報表示層。
【請求項5】
前記不可視コーティング剤層が他のコーティング剤層と部分的または全面的に積層してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の不可視情報表示層。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の不可視情報表示層を担持してなる面を有する不可視情報担持物体であって、当該不可視情報が当該不可視情報担持物体の属性情報と関連づけられたものである、不可視情報担持物体。
【請求項7】
前記不可視情報担持物体の属性情報が、不可視情報の発行元名および発行時期情報ならびに、不可視情報担持物体に関する仕入先情報、銘柄情報、品番情報、有効時期情報(保証期間情報)および流通情報よりなる群から選ばれた少なくとも一つの情報である、請求項6に記載の不可視情報担持物体。
【請求項8】
前記不可視情報が、不可視情報の発行元名および発行時期情報ならびに、不可視情報担持物体に関する仕入先情報、銘柄情報、品番情報、有効時期情報(保証期間情報)および流通情報よりなる群から選ばれた少なくとも一つの情報である、請求項6または7に記載の不可視情報担持物体。
【請求項9】
前記不可視情報表示層を担持してなる面が、紙面、布面、皮革面、木材面、プラスチック面、ゴム面、金属面、塗装面、ガラス面およびセラミック面からなる群の内の少なくともいずれか一つの面である、請求項6〜8のいずれかに記載の不可視情報担持物体。
【請求項10】
前記不可視情報担持物体が製品またはその中間製品である、請求項6〜9のいずれかに記載の不可視情報担持物体。
【請求項11】
被検体に紫外線を照射するための紫外線照射装置と、
可視光線を検出せず、紫外線を照射した場合に当該被検体からの不可視被励起光線を検出するための不可視被励起光線検出装置と、
必要に応じて、当該検出された不可視被励起光線を解読するための不可視情報解読装置と
を含んでなる不可視情報処理システム。
【請求項12】
請求項6〜10に記載の不可視情報担持物体を含んでなる、請求項11に記載の不可視情報処理システム。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれかに記載の不可視情報表示層が含む不可視情報と、当該不可視情報表示層を担持すべき不可視情報担持物体の属性情報とを、互いに関連づけて記憶する情報記憶手段および、
情報判別手段であって、
不可視被励起光線が検出されなかった場合にはその旨の情報をアウトプットし、
不可視被励起光線が検出された場合には、当該検出された不可視被励起光線から得られる不可視情報と情報記憶手段の保有する不可視情報担持物体の属性情報との関連付けを行い、
関連づけるべき属性情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、
関連づけるべき属性情報が存在する場合には、当該属性情報をアウトプットする
情報判別手段
を含んでなる、請求項11または12に記載の不可視情報処理システム。
【請求項14】
被検体に紫外線を照射し、
紫外線検出装置と赤外線検出装置との少なくとも一方を使用して、可視光線を検出しない条件下、当該被検体からの不可視被励起光線の有無を検出し、
不可視被励起光線が検出された場合には、当該検出された不可視被励起光線から得られる不可視情報を読み取り、あるいは、必要に応じて、不可視情報解読装置により、当該検出した不可視被励起光線から得られる不可視情報を解読する
ことを含む不可視情報処理方法。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれかに記載の不可視情報表示層が含む不可視情報と、当該不可視情報表示層を担持すべき不可視情報担持物体の属性情報とを、情報記憶手段により、互いに関連づけて記憶し、
情報判別手段により、不可視被励起光線が検出されなかった場合にはその旨の情報をアウトプットし、不可視被励起光線が検出された場合には、当該検出された不可視被励起光線から得られる不可視情報と情報記憶手段の保有する不可視情報担持物体の属性情報との関連付けを行い、関連づけるべき属性情報が存在しない場合にはその旨の情報をアウトプットし、関連づけるべき属性情報が存在する場合には、当該属性情報をアウトプットする
ことを含む、請求項14に記載の不可視情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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