説明

不快な味を隠ぺいした経口組成物

【課題】不快な味を呈する薬物の苦味を隠蔽した経口固形組成物の提供。
【解決手段】不快な味を呈する薬物、酸性物質並びにアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩を含有する不快な味を隠ぺいした経口組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の収れん性や渋味、刺激性、苦味、エグ味などの不快な味を隠ぺいした経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物は、収れん性、刺激性、苦味、渋味やエグ味などの不快な味を呈する場合が多く、そのままでは服用することはできないため、口腔内での不快な味を隠ぺいする必要がある。薬物の不快な味を隠ぺいする方法には、大きく分けて、薬物の口腔内での溶解をコントロールする方法と薬物自体の味を隠ぺい剤でマスキングする方法がある。
薬物の口腔内での溶解をコントロールする方法としては、胃溶性高分子、腸溶性高分子、水不溶性高分子、ワックス類等で被覆を施す方法(特許文献1〜6)、マトリックスを形成して隠ぺいする方法(特許文献7、8)、包接化合物で包接する方法(特許文献9)などが挙げられる。しかし、溶解をコントロールするため溶出性がわずかでも変化してしまい、薬物の効力の発現が遅れてしまうことがあった。また、水溶性の高い薬物に適用するには、被膜剤やマトリックス剤が大量に必要になったり、不快な味の隠ぺいが不十分になったりすることが多い。逆に、水溶性の低い薬物に適用するには、薬物の生物学的利用能が低下して効力を十分に発揮することができないこともあった。さらに、服用時のザラつき感が生じたり、あるいは、ザラつき感の少ない粒子径にすると歯間などの口腔内に残存した粒子から服用後しばらくして不快な味や刺激が出現したりするという欠点があった。また、液剤や、ゼリーなどの半固形製剤には適用しにくいという欠点もあった。
【0003】
一方、薬物自体の味を隠ぺい剤でマスキングする方法としては、アセスルファムカリウム(特許文献10)、アスパルテーム(特許文献11及び12)、ステビア抽出物(特許文献13)などの高甘度の甘味料を添加する方法、ライチ油やレモン油などの精油(特許文献14)、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、タンニン酸、縮合リン酸などの酸(特許文献15〜18)、グリセリンなどの多価アルコール(特許文献19及び20)、界面活性剤(特許文献21)など多くの物質を添加する方法が挙げられる。これらの方法は溶出性に影響をおよぼすことが少ない半面、マスキング効果が弱かったり、特定の薬物にしか効果がなかったり、あるいは、収れん性や刺激性の強い薬物にはマスキング効果が小さかったりして、必ずしも使いやすいものではなく、適用できる薬物がマスキング剤により限定されることが多かった。そのような欠点を改良するために、着香剤と甘味剤を組み合わせて添加する方法(特許文献22及び23)、酸と甘味料を組み合わせて添加する方法(特許文献24)など複数のマスキング剤を組み合わせる方法も試みられているが、収れん性や刺激性の強い薬物や水溶性の高い薬物など多くの薬物に十分なマスキング効果を与えるには至っていないのが現状である。
【特許文献1】特開2008−37863号公報
【特許文献2】特開2006−232789号公報
【特許文献3】特開2006−22039号公報
【特許文献4】特開2005−343800号公報
【特許文献5】特開平3−130214号公報
【特許文献6】特開昭57−58631号公報
【特許文献7】特開2004−189758号公報
【特許文献8】特開平9−208458号公報
【特許文献9】特開平3−236316号公報
【特許文献10】特開2007−269716号公報
【特許文献11】特開2005−336078号公報
【特許文献12】特開2002−128705号公報
【特許文献13】特開平2−56416号公報
【特許文献14】特開2005−132801号公報
【特許文献15】特開2007−54001号公報
【特許文献16】特開2001−213764号公報
【特許文献17】特開平9−194356号公報
【特許文献18】特開2000−119175号公報
【特許文献19】特開2002−363105号公報
【特許文献20】特開2002−145764号公報
【特許文献21】特開2004−91408号公報
【特許文献22】特開2007−217687号公報
【特許文献23】特開2004−155781号公報
【特許文献24】特開2000−290199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、固形製剤に限らず液剤などの多くの剤形に適用することができ、薬物の収れん性や刺激性、苦味、渋味やエグ味などの不快な味を、溶出性を変化させることなく防止できる経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
斯かる実情に鑑み、本発明者らは、固形製剤だけでなく液剤においても適用できる薬物の不快な味を防ぐ方法を種々検討した結果、不快な味を呈する薬物に隠ぺい剤として酸性物質を含有させると薬物自体に起因する不快な味が大きく減じ、さらに、この組成物にアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩を添加すると、酸性物質に起因する不快な味も大きく減少する結果、不快な味を呈しない経口組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、不快な味を呈する薬物、酸性物質並びにアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩を含有する不快な味を隠ぺいした経口組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、薬物の収れん性や刺激性、苦味、渋味やエグ味などの不快な味を、溶出性を変化させることなく防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、不快な味を呈する薬物とは、経口から服用した時に、口腔内やのどにおいて、収れん性、刺激性、苦味、渋味やエグ味などの不快な感覚を引き起こすような薬物である。このような薬物としては、塩基性薬物、両性薬物、酸性薬物が挙げられ、さらに、生薬、ハーブや漢方などの生物由来のエキスも挙げられる。本発明組成物では、これらのいずれにも効果があり、マスキング効果がある。本発明において塩基性薬物とは、遊離体が塩基性を示す薬物という意味であり、塩を形成した場合には必ずしも塩基性ではない。同様に、酸性薬物とは、遊離体が酸性を示す薬物という意味であり、塩を形成した場合には必ずしも酸性ではない。また、両性薬物とは塩基としても酸としても溶解する薬物である。また、塩基性薬物、両性薬物、酸性薬物はそれぞれそのままであっても良く、その塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、炭酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、酒石酸、酪酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、ビベンズ酸塩、ベシル酸塩、マレイン酸塩等の酸付加塩であっても、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩やカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等のアルカリ土類金属塩等であっても良く、塩化物、臭化物、ヨウ化物等であっても良い。
【0009】
この様な不快な味を呈する薬物の具体例としては、アゼラスチン、アデノシルコバラミン、アリメマジン、アルジオキサ、アンブロキソール、アンレキサノクス、イソチペンジル、イフェンプロジル、インデロキサジン、エチレフリン、エピナスチン、エフェドリン、エメダスチン、オキサトミド、オクトチアミン、オルメサルタン メドキソミル、カフェイン、カルビノキサミン、カンデサルタンシレキセチル、グアイフェネシン、クレマスチン、クロペラスチン、クロルフェニラミン、クロルヘキシジン、コデイン、コバラミン、シアノコバラミン、ジセチアミン、ジヒドロコデイン、ジフェニドール、ジフェニルピラリン、ジフェンヒドラミン、ジブロフィリン、ジベンゾイルチアミン、シメチジン、ジメモルファン、ジルチアゼム、シルデナフィル、スコポラミン、スクラルファート、スプラタスト、セトラキサート、セチリジン、タダラフィル、チアミン、チアミンジスルフィド、チクロピジン、チペピジン、デキストロメトルファン、テルミサルタン、ドキシラミン、ドネペジル、トラニラスト、トリプロリジン、トリメトキノール、ニザチジン、ノスカピン、パパベリン、バルサルタン、バルデナフィル、ビオチン、ピコスルファートナトリウム、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、ヒドロキソコバラミン、ピリドキシン、ピリドキソール、ピリドキサミン、ピレンゼピン、ファモチジン、フィナステリド、フェニラミン、フェニレフリン、プソイドエフェドリン、ブチルスコポラミン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、プロプラノロール、プロメタジン、ブロムヘキシン、ヘスペリジン、ヘプロニカート、ベポタスチン、ベルベリン、ベンフォチアミン、マプロチリン、メキタジン、メクリジン、メチルアトロピン、メチルエフェドリン、メチルコバラミン、メチルベナクチジウム、メトキシフェナミン、リボフラビン、リボフラビンナトリウム、ラニチジン、ラフチジン、ロキサチジンアセテート、ロサルタン、ロペラミド、ロラタジン、アスピリン、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、エテンザミド、ジクロフェナック、サリチルアミド、メフェナム酸、フルフェナム酸、メロキシカム、ロキソプロフェン、トラネキサム酸、エトドラク、セレコキシブ ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、テオフィリン、フェキソファナジン、セチリジン、ヨウ化イソプロバミド、ベルベリン、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、ブロムワレリル尿素、クロラムフェニコール、アミノフィリン、ベラドンナ総アルカロイド、アリルイソプイロピルアセチル尿等を挙げることができる。また、生薬、ハーブや漢方などの生物由来のエキスとしては、アカメガシワ、アセンヤク、アロエ、キハダ、イチョウ、ウイキョウ、オオゴン、オオバク、ウコン、ウワウルシ、ウヤク、エイジュツ、エンゴサク、エンメイソウ、オウバク、オウレン、カシュウ、ガジュツ、カノコソウ、カンキョウ、カンゾウ、キキョウ、ギムネマ、クロレラ、ケイヒ、ゲンチアナ、酵母、サンヤク、ジオウ、ショウキョウ、センブリ、クジン、ケイヒ、コウカ、ダイオウ、なつめ、シャクヤク、ケイヒ、サンシュユ、ソウジュツ、タイソウ、タクシャ、チョウジ、トケイソウ、チョウトウコウ、ブクリョウ、ホウブシ、ボタンピ、ホップ、ロガイ、人参、葛根湯、駆風解毒湯、響声破笛丸料、小柴胡湯、小青竜湯、酸棗仁湯、十味敗毒湯等のエキスを挙げることができる。これらの薬物は単独で用いても良く、二以上を組み合せて用いても良い。これらの薬物のうち、ジフェンヒドラミン、アンブロキソール、エピナスチン、フェニレフリン、ブロムヘキシン、エチレフリン、ピレンゼピン、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、ロペラミド、又はこれらの塩が特に好ましい。
【0010】
本発明において、不快な味を呈する薬物は、経口組成物中、0.1〜95質量%含有させることが好ましく、1〜90%質量%含有させることがさらに好ましい。
【0011】
また、本発明の組成物には、上記の薬物に加えて他の薬物を配合しても良い。例えば、そのような薬物としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止剤、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤などに用いる薬理活性成分が挙げられる。
【0012】
本発明において、隠ぺい剤は、酸性物質とアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩とを組み合わせて用いる。ここで酸性物質とは、そのものが酸性を示す医薬品添加物の矯味剤である。その具体例としては、タンニン酸、没食子酸プロピル、クエン酸、酢酸、及び、酒石酸等が挙げられ、これらは、一種またはニ種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、不快な味の隠蔽効果の点から、タンニン酸、没食子酸プロピル、酢酸がより好ましい。
【0013】
酸性物質の添加量は、不快な味を呈する薬物の種類によっても変わるが、おおよそ、不快な味を呈する薬物1質量部に対し、0.05〜50質量部の範囲が好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部がさらに好ましく、0.8〜2質量部が特に好ましい。
【0014】
本発明においては、隠ぺい剤としてさらに、アルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩を添加する。アルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩及びアルミニウム塩から選ばれる一種またはニ種以上が挙げられる。
アルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩の具体例としては、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム水和物、塩化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム水和物、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酢酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈物、水酸化マグネシウム、第三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、乳酸カルシウム水和物、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム造粒物、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸二水素カルシウム水和物等が挙げられ、これらは、一種またはニ種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、不快な味の隠蔽効果の点から、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムが特に好ましい。
【0015】
アルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩の添加量は、不快な味を呈する薬物の種類や配合量、酸性物質の種類や添加量よっても変わるが、おおよそ、酸性物質1質量部に対し0.05〜50質量部が好ましく、0.1〜50質量部がより好ましく、さらに0.25〜25質量部であることが好ましく、特に0.5〜10質量部が好ましい。
【0016】
本発明の組成物は、不快な味を呈する薬物として、ジフェンヒドラミン、アンブロキソール、エピナスチン、フェニレフリン、ブロムヘキシン、エチレフリン、ピレンゼピン、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、ロペラミド、カルビノキサミンマレイン酸ジヒドロコデイン、ヨウ化イソプロパミド、無水カフェイン、テオフィリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、デキストロメトルファン又はこれらの塩、ホップ乾燥エキス、ニンジン乾燥エキス、アカメガシワ乾燥エキスを用い、酸性物質としてタンニン酸、没食子酸プロピル又は酢酸を用い、アルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸カルシウム又はケイ酸カルシウムを用いるのが特に好ましい。
【0017】
本発明の組成物は、不快な味を呈する薬物に隠ぺい剤として酸性物質とアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩とを配合することにより提供される。配合するに際して、本発明の組成物は、不快な味を呈する薬物と隠ぺい剤を粉体として混合しても良く、これらの一部又は全部を適当な溶媒に溶解しても良く、さらに、その溶媒を、スプレードライ、加熱乾燥、凍結乾燥、送風乾燥、減圧乾燥などで除去しても良い。また、本発明の組成物の剤形は、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、カプレット、軟カプセル剤、丸剤、内服液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、チュアブル剤、発泡剤、ドロップ剤、口腔内崩壊錠、フィルム製、ゼリー剤等の種々の経口投与製剤として用いることができる。また、マイクロカプセル、ナノカプセル、マイクロスフィアー、ナノスフィアー、リポゾーム等の微小粒子とした後、前述の製剤としてもよい。
【0018】
これらの製剤は、一般に製剤学的に利用可能な製剤添加物、例えば、安定化剤、安定剤、界面活性剤、滑沢化剤、滑沢剤、可溶(化)剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸濁(化)剤、硬化剤、抗酸化剤、光沢化剤、香料、コーティング剤、剤皮、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼(化)剤、咀嚼剤、静電防止剤、着香剤・香料、着色剤、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘着剤、粘着増強剤、粘調(化)剤、発泡剤、pH調整剤、pH調節剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、芳香剤、防湿剤、防腐剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、流動化剤等を必要に応じて添加し、常法により製造することができる。
【0019】
製剤添加物の具体例としては、精製白糖、ブドウ糖、トレハロース、乳糖、マルトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、カンゾウ抽出物、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒプロメロースフタル酸エステル、セルロースアセテートフタレート、デキストリン、アルファー化デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、シリコーン油、寒天、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、セラック、グリセリン、芳香性精油類、水溶性食用色素、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、二酸化チタン、レーキ色素、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸、ポリソルベート80、グリセリン脂肪酸エステル、サラシミツロウ、中鎖脂肪酸トリグリセリド、アスコルビン酸、トコフェロール、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、オレンジやレモン等の柑橘系香料やコーヒー系香料、チョコレート系香料、ヨーグルト系香料、ミルク系香料やレモン油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油などを挙げることができる。本発明の組成物に使用できる製剤添加剤は、前記列挙したものに限定されず、製剤学上利用可能なものであれば特に限定されない。
【0020】
例えば製剤が、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤などで造粒末を調整する必要がある場合、噴霧造粒法、撹拌造粒法、流動造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法等の湿式造粒法、圧密造粒法などの乾式造粒法等の一般に利用される造粒法により製造される。また、有効成分を含む粉末や造粒末を混合して分包に小分けして充填することができる。錠剤は、有効成分の粉末、粉末剤、細粒剤、顆粒剤や丸剤と製剤添加物を混合し、圧縮成型することにより製造される。糖衣錠、フィルムコーティング錠、コーティング顆粒などのコーティング製剤は、パンコーティング法、流動コーティング法、転動コーティング法、および、これらの組み合わせなどの常法により製造される。
【0021】
ドリンク剤、シロップ剤、エリキシル剤、リモナーデ剤、エキス剤等の内服液剤、並びに、液状または半固形物を充填した軟カプセル剤、硬カプセル剤等は、通常、各成分と精製水等の溶剤等の製剤添加物の一部とを混合・溶解・分散し、残りの溶剤等の製剤添加物を加えて液量を調整し製造する。必要に応じて、酸またはアルカリを用いてpHの調整を行っても良い。また、界面活性剤、可溶化剤、乳化剤、懸濁剤等の製剤添加物を用いることにより可溶化、乳化、懸濁化してもよい。調整時の必要に応じ、加温、冷却、窒素置換、ろ過、滅菌処理などを施しても良い。
さらに必要により、製剤添加物などを用い、薬効成分の安定化、徐放化、持続化、速崩化、速溶化、溶解性の改善、服用感の改善などの機能を付加してもよい。これらの機能を付加する方法は、一般に使用する方法で行うことができ、例えば、薬効成分を別々の顆粒に配合する、多層の顆粒にする、多層錠や有核錠にする、別々の顆粒にして打錠する、マイクロカプセルとする、糖衣錠、フィルムコーティング錠、コーティング顆粒などのコーティング製剤とする、発泡製剤とする、チュアブル製剤とする、口腔内崩壊製剤とする、マトッリックス製剤とする、共粉砕する、固溶体とする、甘味剤や清涼化剤を添加する、抗酸化剤や安定(化)剤を添加する、特定のpH・粘度・浸透圧・塩濃度に調整するなどの方法を挙げることができ、これらの方法を組み合わせても良い。
【実施例】
【0022】
次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
ジフェンヒドラミン塩酸塩(金剛化学製)1g、タンニン酸(大日本住友製薬製)1g、及び、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業製)4gを秤量し、精製水に溶解・分散させ、全量を100mLとし、実施例1の内服液剤を得た。
【0024】
比較例1
実施例1と同様にして、実施例1からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例1aの内服液剤を、実施例1からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例1bの内服液剤を、実施例1からタンニン酸を除いて比較例1cの内服液剤を得た。
【0025】
実施例2
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をアンブロキソール塩酸塩(陽進堂製)1gに変え、その他は同様にして、実施例2の内服液剤を得た。
【0026】
比較例2
実施例2と同様にして、実施例2からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例2aの内服液剤を、実施例2からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例2bの内服液剤を、実施例2からタンニン酸を除いて比較例2cの内服液剤を得た。
【0027】
実施例3
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をエピナスチン塩酸塩(ベーリンガーインゲルハイム製)1gに変え、その他は同様にして、実施例3の内服液剤を得た。
【0028】
比較例3
実施例3と同様にして、実施例3からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例3aの内服液剤を、実施例3からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例3bの内服液剤を、実施例3からタンニン酸を除いて比較例3cの内服液剤を得た。
【0029】
実施例4
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をフェニレフリン塩酸塩(ベーリンガーインゲルハイム製)1gに変え、その他は同様にして、実施例4の内服液剤を得た。
【0030】
比較例4
実施例4と同様にして、実施例4からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例4aの内服液剤を、実施例4からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例4bの内服液剤を、実施例4からメタンニン酸を除いて比較例4cの内服液剤を得た。
【0031】
実施例5
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をブロムヘキシン塩酸塩(岩城製薬製)1gに変え、その他は同様にして、実施例5の内服液剤を得た。
【0032】
比較例5
実施例5と同様にして、実施例5からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例5aの内服液剤を、実施例5からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例5bの内服液剤を、実施例5からタンニン酸を除いて比較例5cの内服液剤を得た。
【0033】
実施例6
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をエチレフリン塩酸塩(ベーリンガーインゲルハイム製)1gに変え、その他は同様にして、実施例6の内服液剤を得た。
【0034】
比較例6
実施例6と同様にして、実施例6からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例6aの内服液剤を、実施例6からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例6bの内服液剤を、実施例6からタンニン酸を除いて比較例6cの内服液剤を得た。
【0035】
実施例7
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をピレンゼピン塩酸塩(ベーリンガーインゲルハイム製)1gに変え、その他は同様にして、実施例7の内服液剤を得た。
【0036】
比較例7
実施例7と同様にして、実施例7からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例7aの内服液剤を、実施例7からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例7bの内服液剤を、実施例7からタンニン酸を除いて比較例7cの内服液剤を得た。
【0037】
実施例8
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をプソイドエフェドリン塩酸塩(アルプス薬品工業製)1gに変え、その他は同様にして、実施例8の内服液剤を得た。
【0038】
比較例8
実施例8と同様にして、実施例8からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例8aの内服液剤を、実施例8からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例8bの内服液剤を、実施例8からタンニン酸を除いて比較例8cの内服液剤を得た。
【0039】
実施例9
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をdl-メチルエフェドリン塩酸塩(アルプス薬品工業製)1gに変え、その他は同様にして、実施例9の内服液剤を得た。
【0040】
比較例9
実施例9と同様にして、実施例9からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例9aの内服液剤を、実施例9からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例9bの内服液剤を、実施例9からタンニン酸を除いて比較例9cの内服液剤を得た。
【0041】
実施例10
実施例1のジフェンヒドラミン塩酸塩をロペラミド塩酸塩(ICFI製)1gに変え、その他は同様にして、実施例9の内服液剤を得た。
【0042】
比較例10
実施例10と同様にして、実施例10からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例10aの内服液剤を、実施例10からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例10bの内服液剤を、実施例10からメタンニン酸を除いて比較例10cの内服液剤を得た。
【0043】
試験例1
5名の健常被験者が、実施例1〜10の内服液剤及び比較例1〜10の内服液剤の約0.5mlを口に含み、飲み込まないように注意しながら舌に行き渡らせ、約15秒後に吐き出した。このときの収れん性、刺激性、苦味、渋味、エグ味などの不快な味の程度を下記に示す5段階で評価した。
1:非常に不快な味を感じる
2:不快な味を感じる
3:少し不快な味を感じる
4:不快な味を感じるような気がする
5:何も感じない
【0044】
このときのスコアの平均値を表1に示した。実施例の本発明組成物は、表1に示した様に、得に苦味、渋み、収れん性などが非常に強いとされる塩基の塩酸塩である各薬物の不快な味が隠ぺいされていたのに対し、酸性物質とアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩のいずれか、またはその両方を含まない比較例の組成物は不快な味が隠ぺいされていなかった。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例11
カルビノキサミンマレイン酸塩(金剛化学製)1g、タンニン酸(大日本住友製薬製)1g、及び、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業製)4gを秤量し、精製水に溶解・分散させ、全量を100mLとし、実施例11の内服液剤を得た。
【0047】
比較例11
実施例11と同様にして、実施例11からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例11aの内服液剤を、実施例1からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例11bの内服液剤を、実施例11からタンニン酸を除いて比較例11cの内服液剤を得た。
【0048】
実施例12
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をジヒドロコデインリン酸塩(第一三共製)1gに変え、その他は同様にして、実施例12の内服液剤を得た。
【0049】
比較例12
実施例12と同様にして、実施例12からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例12aの内服液剤を、実施例12からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例12bの内服液剤を、実施例12からタンニン酸を除いて比較例12cの内服液剤を得た。
【0050】
実施例13
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をヨウ化イソプロパミド(日本バルク薬品製)1gに変え、その他は同様にして、実施例13の内服液剤を得た。
【0051】
比較例13
実施例13と同様にして、実施例13からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例13aの内服液剤を、実施例13からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例13bの内服液剤を、実施例13からタンニン酸を除いて比較例13cの内服液剤を得た。
【0052】
実施例14
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩を無水カフェイン(静岡カフェイン工業所製)1gに変え、その他は同様にして、実施例14の内服液剤を得た。
【0053】
比較例14
実施例14と同様にして、実施例14からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例14aの内服液剤を、実施例14からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例14bの内服液剤を、実施例14からタンニン酸を除いて比較例14cの内服液剤を得た。
【0054】
実施例15
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をテオフィリン(白鳥製薬製)1gに変え、その他は同様にして、実施例15の内服液剤を得た。
【0055】
比較例15
実施例15と同様にして、実施例15からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例15aの内服液剤を、実施例15からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例15bの内服液剤を、実施例15からタンニン酸を除いて比較例15cの内服液剤を得た。
【0056】
実施例16
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をアセトアミノフェン(山本化学工業製)1gに変え、その他は同様にして、実施例16の内服液剤を得た。
【0057】
比較例16
実施例16と同様にして、実施例16からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例16aの内服液剤を、実施例16からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例16bの内服液剤を、実施例16からタンニン酸を除いて比較例16cの内服液剤を得た。
【0058】
実施例17
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をイブプロフェン(BASF製)1gに変え、その他は同様にして、実施例17の内服液剤を得た。
【0059】
比較例17
実施例17と同様にして、実施例17からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例17aの内服液剤を、実施例17からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例17bの内服液剤を、実施例17からタンニン酸を除いて比較例17cの内服液剤を得た。
【0060】
実施例18
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物(DSMニュートリッション ジャパン製)1gに変え、その他は同様にして、実施例18の内服液剤を得た。
【0061】
比較例18
実施例18と同様にして、実施例18からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例18aの内服液剤を、実施例18からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例18bの内服液剤を、実施例18からタンニン酸を除いて比較例18cの内服液剤を得た。
【0062】
実施例19
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をホップ乾燥エキス(アルプス薬品工業製)1gに変え、その他は同様にして、実施例19の内服液剤を得た。
【0063】
比較例19
実施例19と同様にして、実施例19からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例19aの内服液剤を、実施例19からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例19bの内服液剤を、実施例19からタンニン酸を除いて比較例19cの内服液剤を得た。
【0064】
実施例20
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をアカメガシワ乾燥エキス(日本粉末薬品工業製)1gに変え、その他は同様にして、実施例20の内服液剤を得た。
【0065】
比較例20
実施例20と同様にして、実施例20からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例20aの内服液剤を、実施例20からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例20bの内服液剤を、実施例20からタンニン酸を除いて比較例20cの内服液剤を得た。
【0066】
実施例21
実施例11のカルビノキサミンマレイン酸塩をニンジン乾燥エキス(日本粉末薬品工業製)1gに変え、その他は同様にして、実施例21の内服液剤を得た。
【0067】
比較例21
実施例21と同様にして、実施例21からタンニン酸とメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例21aの内服液剤を、実施例21からメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを除いて比較例21bの内服液剤を、実施例21からタンニン酸を除いて比較例21cの内服液剤を得た。
【0068】
試験例2
5名の健常被験者が、実施例11〜20の内服液剤及び比較例11〜20の内服液剤を用いて、試験例1と同様に不快な味の程度を5段階で評価した。
【0069】
このときのスコアの平均値を表2に示した。実施例の本発明の組成物は、表2に示した様々な性質の薬物の不快な味が隠ぺいされていたのに対し、酸性物質とアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩のいずれか、またはその両方を含まない比較例の組成物は不快な味が隠ぺいされていなかった。
【0070】
【表2】

【0071】
実施例22
実施例22a:ジフェンヒドラミン塩酸塩(金剛化学製)1gとタンニン酸(大日本住友製薬製)0.05gメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業製)40gを秤量し、精製水にて練合した後、水分を加熱乾燥して除去した。得られた乾燥粉末をジフェンヒドラミン塩酸塩が1包あたり50mgになるように分包して実施例22aの分包剤を得た。
実施例22b:実施例22aのタンニン酸を0.1gに変え、そのほかは同様にして実施例22bの分包剤を得た。
実施例22c:実施例22aのタンニン酸を0.5gに変え、そのほかは同様にして実施例22cの分包剤を得た。
実施例22d:実施例22aのタンニン酸を0.8gに変え、そのほかは同様にして実施例22dの分包剤を得た。
実施例22e:実施例22aのタンニン酸を1gに変え、そのほかは同様にして実施例22eの分包剤を得た。
実施例22f:実施例22aのタンニン酸を1.5gに変え、そのほかは同様にして実施例22fの分包剤を得た。
実施例22g:実施例22aのタンニン酸を2gに変え、そのほかは同様にして実施例22gの分包剤を得た。
実施例22h:実施例22aのタンニン酸を5gに変え、そのほかは同様にして実施例22hの分包剤を得た。
実施例22i:実施例22aのタンニン酸を10gに変え、そのほかは同様にして実施例22iの分包剤を得た。
【0072】
比較例22
実施例22aのタンニン酸をのぞき、そのほかは同様にして比較例22の分包剤を得た。
【0073】
試験例3
5名の健常被験者が、実施例22a〜i及び比較例22の分包剤を口に含み、飲み込まないように注意しながら舌の上にのせ、約15秒後に吐き出した。このときの収れん性、刺激性、苦味、渋味、エグ味などの不快な味の程度を下記に示す5段階で評価した。
1:非常に不快な味を感じる
2:不快な味を感じる
3:少し不快な味を感じる
4:不快な味を感じるような気がする
5:何も感じない
【0074】
このときのスコアの平均値を表3に示した。実施例の本発明組成物は、表3に示した様に、薬物1質量部に対し知矯剤0.05質量部以上で薬物の不快な味が隠ぺいされはじめ、酸性物質0.8質量部以上でほぼ完全に不快な味が隠ぺいされた。
【0075】
【表3】

【0076】
実施例23a:ジフェンヒドラミン塩酸塩(金剛化学製)1g、タンニン酸(大日本住友製薬製)1g、及び、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業製)0.05gを秤量し、精製水に溶解・分散させ、全量を500mLとし、実施例23aの内服液剤を得た。
実施例23b:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを0.25gに変え、そのほかは同様にして実施例23bの内服液剤を得た。
実施例23c:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを0.5gに変え、そのほかは同様にして実施例23cの内服液剤を得た。
実施例23d:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを1gに変え、そのほかは同様にして実施例23dの内服液剤を得た。
実施例23e:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを2gに変え、そのほかは同様にして実施例23eの内服液剤を得た。
実施例23f:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを5gに変え、そのほかは同様にして実施例23fの内服液剤を得た。
実施例23g:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを10gに変え、そのほかは同様にして実施例23gの内服液剤を得た。
実施例23h:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを25gに変え、そのほかは同様にして実施例23hの内服液剤を得た。
実施例23i:実施例23aのメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを50gに変え、そのほかは同様にして実施例23iの内服液剤を得た。
【0077】
試験例4
5名の健常被験者が、実施例23a−iの内服液剤を用いて、試験例1と同様に不快な味の程度を5段階で評価した。
【0078】
このときのスコアの平均値を表4に示した。実施例の本発明組成物は、表4に示した様に、酸性物質1質量部に対しアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩0.1質量部以上で薬物の不快な味が隠ぺいされた。
【0079】
【表4】

【0080】
実施例24
ジフェンヒドラミン塩酸塩(金剛化学製)1g、没食子酸プロピル(大日本住友製薬製)1g、及び、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業製)3g、を秤量し、精製水に溶解・分散させ、全量を100mLとし、実施例24の内服液剤を得た。
【0081】
実施例25
実施例24の没食子酸プロピルを酢酸(日本合成化学製)1gに変え、その他は実施例24と同様にして実施例25の内服液剤を得た。
【0082】
実施例26
実施例24の没食子酸プロピルを酒石酸(昭和化工製)1gに変え、その他は実施例24と同様にして実施例26の内服液剤を得た。
【0083】
実施例27
実施例24の没食子酸プロピルをクエン酸(昭和化工製)1gに変え、その他は実施例24と同様にして実施例27の内服液剤を得た。
【0084】
実施例28
実施例24の没食子酸プロピルをタンニン酸(大日本住友製薬製)1gに変え、その他は実施例24と同様にして実施例28の内服液剤を得た。
【0085】
試験例5
5名の健常被験者が、実施例24〜28の内服液剤を用いて、試験例1と同様に不快な味の程度を5段階で評価した。
【0086】
このときのスコアの平均値を表5に示した。実施例の本発明の組成物は、表5に示した様々な酸性物質で不快な味が隠ぺいされていた。
【0087】
【表5】

【0088】
実施例29
ジフェンヒドラミン塩酸塩(金剛化学製)1gとタンニン酸(大日本住友製薬製)1g、炭酸カルシウム(日東粉化工製)5gを秤量し、精製水にて練合した後、水分を加熱乾燥して除去し、さらに、D−マンニトール(三菱商事フードテック製)33g、トウモロコシデンプン(日本食品化工製)10gを添加し、得られた粉末をジフェンヒドラミン塩酸塩が1包あたり50mgになるように分包して実施例29の分包剤を得た。
【0089】
実施例30
実施例29の炭酸カルシウムをケイ酸カルシウム(トクヤマ製)5gに変え、その他は実施例29と同様にして、実施例30の分包剤を得た。
【0090】
実施例31
実施例29の炭酸カルシウムを乾燥水酸化アルミニウムゲル(協和化学工業製)5gに変え、その他は実施例29と同様にして、実施例31の分包剤を得た。
【0091】
実施例32
実施例29の炭酸カルシウムをメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(富士化学工業製)5gに変え、その他は実施例29と同様にして、実施例32の分包剤を得た。
【0092】
試験例6
5名の健常被験者が、実施例29〜32の分包剤を用いて、試験例3と同様に不快な味の程度を5段階で評価した。
【0093】
このときのスコアの平均値を表6に示した。実施例の本発明の組成物は、表6に示した様々なアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩で不快な味が隠ぺいされていた。
【0094】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の経口組成物は、不快な味を呈する多くの薬物に対して、その薬物特有の収れん性、刺激性、苦味、渋味やエグ味等の不快な味が隠ぺいすることができる。この経口組成物は、固形製剤、液剤、半固形製剤のいずれの剤形にも広く適用できるものである。さらに、本発明の経口組成物は、快な味が隠ぺいしながら、服用後のラグタイムで直ちに薬物放出のするため、多くの即放性製剤に適用できる。そのうえ、本発明の経口固形組成物は、服用しやすいだけでなく、多くの患者が長期間に渡り服用でき、様々な薬物の効果を着実に発揮することのできる製剤である。
服用性に優れ、患者のコンプライアンス向上が期待でき、QOLも向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不快な味を呈する薬物、酸性物質並びにアルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩を含有する不快な味を隠ぺいした経口組成物。
【請求項2】
酸性物質がタンニン酸、没食子酸プロピル、酢酸、クエン酸及び酒石酸から選ばれる一種またはニ種以上である請求項1記載の不快な味を隠ぺいした経口組成物。
【請求項3】
アルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩及びアルミニウム塩から選ばれる一種またはニ種以上である請求項1又は2記載の不快な味を隠ぺいした経口組成物。
【請求項4】
不快な味を呈する薬物1質量部に対し、酸性物質を0.05〜50質量部含有する請求項1〜3の何れか1項記載の不快な味を隠ぺいした経口組成物。
【請求項5】
酸性物質1質量部に対し、アルカリ土類金属塩及び/又は土類金属塩を0.05〜50質量部含有する請求項1〜4の何れか1項記載の不快な味を隠ぺいした経口組成物。
【請求項6】
錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤又は内服液剤である請求項1〜5の何れか1項記載の不快な味を隠ぺいした経口組成物。

【公開番号】特開2009−263298(P2009−263298A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116743(P2008−116743)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000102496)エスエス製薬株式会社 (50)
【Fターム(参考)】