説明

不正使用防止システム及びプログラム

【課題】移動機への不正なダウンロードを防止できるシステムを提供すること。
【解決手段】コンピュータ20は、ダウンロードツールが起動したときに、ハードウェアキー10および移動機30が電気的に接続されているか否かを確認する。コンピュータ20は、ハードウェアキー10および移動機30が電気的に接続されている場合、ハードウェアキー10に記憶された個別情報、および移動機30に記憶された個別情報を読出し、接続されていない場合、ハードウェアキー10および移動機30の接続を促す案内画面を表示する。コンピュータ20は、読み出した両個別情報が一致しているか否かの照合を行う。コンピュータ20は、両個別情報が一致している場合、移動機30へのダウンロードを許可し、ユーザの操作に応じてファイルのダウンロードを行い、一致していない場合、移動機30へのダウンロードを許可せず、一致していない旨の注意画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードウェアキーを用いてコンピュータにおけるソフトウェアの不正使用を防止する不正使用防止システム及びプログラムに関し、特に、コンピュータに接続された移動機にファイルをダウンロードするためのソフトウェアの不正使用を防止する不正使用防止システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードウェアキーを用いてコンピュータにおけるソフトウェアの不正使用を防止する不正使用防止システムとして、ソフトウェアがインストールされたコンピュータに装着する当該ソフトウェアの正規ユーザだけが有しているハードウェアキーとして、着脱可能な不揮発性記憶装置を用い、当該ソフトウェアの中でハードウェアキーに書き込まれたコンピュータの個別情報と、コンピュータ内の個別情報との照合を行い、一致していたら当該ソフトウェアを動作させるものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−280581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムは、ソフトウェアの起動の際、ソフトウェアの個別情報とハードウェアキーの個別情報との比較を行ってソフトウェアの起動を制限しているに過ぎない。コンピュータに接続された移動機にコンテンツ、アプリケーションソフトなどのファイルをダウンロードするためのソフトウェアに適用した場合、ソフトウェアが一旦起動してしまうと、移動機へのダウンロードの排他的制御ができなくなり、誤ったソフトや禁止されたソフトのダウンロードが行われるおそれがある。また、ハードウェアキー自体が盗難にあうと、移動機に対して制限なく不正にダウンロードされるおそれがある。
【0005】
本発明の主な課題は、移動機への不正なダウンロードを防止できるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の視点においては、ソフトウェアの不正使用を防止する不正使用防止システムであって、不揮発性記憶装置を実装するとともに第1個別情報を記憶するハードウェアキーと、ソフトウェアに基づいて動作するコンピュータ機能を有するとともに第2個別情報を記憶する移動機と、前記移動機と着脱自在に電気的に接続されるケーブルと、前記ハードウェアキーと着脱自在に電気的に接続されるとともに、前記移動機と着脱自在に電気的に接続され、前記移動機にファイルをダウンロードするためのダウンロードツールを記憶する記憶部を有し、かつ、前記ダウンロードツールに基づいて情報処理を行う制御部を有するコンピュータと、を備え、前記コンピュータの前記制御部は、前記ダウンロードツールを起動したときに前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されているか否かを確認するように処理し、前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されている場合に、前記ハードウェアキーの前記第1個別情報、および前記移動機の前記第2個別情報を読出すように処理し、読み出した前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致しているか否かの照合を行うように処理し、前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致している場合に、前記移動機へのダウンロードを許可し、操作に応じてファイルのダウンロードを行うように処理することを特徴とする。
【0007】
本発明の前記不正使用防止システムにおいて、前記コンピュータの前記制御部は、前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されていない場合に、前記ハードウェアキーおよび前記移動機の接続を促す案内画面を表示するように処理することが好ましい。
【0008】
本発明の前記不正使用防止システムにおいて、前記コンピュータの前記制御部は、前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致していない場合に、前記移動機へのダウンロードを許可せず、一致していない旨の注意画面を表示するように処理することが好ましい。
【0009】
本発明の前記不正使用防止システムにおいて、前記ファイルは、前記コンピュータ自身が記憶するファイル、前記コンピュータが記憶媒体から読み出したファイル、前記コンピュータとネットワークを介して接続されたサーバから提供されたファイル、及び前記コンピュータと接続されたハードウェアから読み出したファイルのいずれかであることが好ましい。
【0010】
本発明の第2の視点においては、コンピュータを用いてソフトウェアの不正使用を防止するプログラムであって、起動したときに前記コンピュータにハードウェアキーおよび移動機が電気的に接続されているか否かを確認する処理と、前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されている場合に、前記ハードウェアキーに記憶された第1個別情報、および前記移動機に記憶された前記第2個別情報を読出す処理と、読み出した前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致しているか否かの照合を行う処理と、前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致している場合に、前記移動機へのダウンロードを許可し、操作に応じてファイルのダウンロードを行う処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、予めハードウェアキーに移動機の個別情報と対応する個別情報を記憶させ、ダウンロードツールを起動した後に、ハードウェアキーと移動機の個別情報を照合するため、移動機の選択的な制御が可能となり、不正なダウンロード行為を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態1に係る不正使用防止システムについて図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る不正使用防止システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0013】
不正使用防止システム1は、ハードウェアキー10を用いて、コンピュータ20に接続された移動機30にコンテンツ、アプリケーションソフト、ゲームソフトなどのファイルをダウンロードするためのソフトウェアの不正使用を防止するシステムである。不正使用防止システム1は、ハードウェアキー10と、コンピュータ20と、移動機30と、ケーブル40と、を有する。
【0014】
ハードウェアキー10は、コンピュータ20においてダウンロードツールを起動するためのキーとなる携帯可能なハードウェアである。ハードウェアキー10は、不揮発性記憶装置を実装し、不揮発性記憶装置において移動機30に係る個別情報を記憶する。ハードウェアキー10は、コンピュータ20と有線又は無線により電気的に接続可能な構成となっており、例えば、コンピュータ20のコネクタ部(図示せず)に着脱自在なプラグ部(図示せず;例えば、USBプラグ)を有するものや、ICタグのようなものであってもよい。
【0015】
コンピュータ20は、移動機30にコンテンツ、アプリケーションソフトなどのファイルをダウンロードするためのソフトウェア(ダウンロードツール)がインストールされた情報処理端末である。コンピュータ20は、ハードウェアキー10と有線又は無線により電気的に接続可能な構成となっており、例えば、ハードウェアキー10のプラグ部(図示せず)と電気的かつ機械的に接続するためのコネクタ部(図示せず;例えば、USBコネクタ)を備えたものや、外付けされたハードウェアキー10の記憶情報を読み取るリーダユニットと電気的に接続された構成になっていてもよい。コンピュータ20は、ケーブル40のプラグ部(図示せず)と電気的かつ機械的に接続するためのコネクタ部(図示せず;例えば、USBコネクタ)を有する。なお、コンピュータ20は、外付けのコネクタユニットを介してハードウェアキー10およびケーブル40と接続されるようにしてもよい。コンピュータ20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作部24と、表示部25と、読取部26と、インターフェース部27と、を有する。制御部21は、所定のプログラムに基づいて各機能部22〜27を制御する。記憶部22は、プログラム(ダウンロードツールを含む)やデータを記憶する。通信部23は、メール送受信、インターネット接続などの通信を行う。操作部24では、情報の入力操作が行われる。表示部25は、所定の情報を表示する。読取部26は、ディスク等の記憶媒体から情報を読み取る。インターフェース部27は、コンピュータ20に接続される外部装置(ハードウェアキー10およびケーブル40)との間の情報のやりとりを行う。
【0016】
制御部21は、ハードウェアキー10がコンピュータ20に接続されると、ダウンロードツールを起動し、ダウンロードツールに基づいてハードウェアキー10に記憶された個別情報を読み出すように処理する。制御部21は、ダウンロードすべき移動機30がケーブル40を介してコンピュータ20に接続されると、ダウンロードツールに基づいて移動機30に記憶された個別情報を読み出すように処理する。制御部21は、ダウンロードツールに基づいて、ハードウェアキー10から読み出した個別情報と、移動機30から読み出した個別情報との照合を行うように処理する。制御部21は、ダウンロードツールに基づいて、両個別情報の照合により一致していれば、移動機30へのダウンロードが可能な状態にし、ユーザの操作に応じて、コンテンツ、アプリケーションソフトなどのファイルをダウンロードするように処理する。制御部21は、ダウンロードツールに基づいて、両個別情報の照合により一致していなければ、移動機30へのダウンロードを禁止するように処理する。
【0017】
移動機30は、ソフトウェアに基づいて動作するコンピュータ機能を有する携帯端末であり、例えば、携帯電話機、PHS、メール端末、携帯ゲーム機、携帯型音楽再生機、デジカメ、電子ブック端末等である。移動機30は、ケーブル40のプラグ部(図示せず)と電気的かつ機械的に接続するためのコネクタ部(図示せず)を有する。移動機30は、所定のプログラムに基づいて、機種により通話処理、音楽再生処理、撮像処理、映像再生処理、ゲーム処理等の所定の処理を行う。移動機30は、ハードウェアキー10に記憶された個別情報と対応する個別情報(例えば、機体ID、ライセンスキー、ユーザが作成したパスワード等の1個又は複数個の識別情報)を記憶している。移動機30は、コンピュータ20のダウンロードツールによるダウンロード処理により、コンテンツ、アプリケーションソフトなどのファイルを記憶することが可能である。なお、ダウンロードツールによりダウンロードされるファイルとして、例えば、コンピュータ20自身が記憶するファイル、ディスク等の記憶媒体から読み出したファイル、コンピュータ20とネットワーク(図示せず)を介して接続されたサーバ(図示せず)から提供されたファイル、コンピュータ20と接続されたハードウェアから読み出したファイル等が挙げられる。
【0018】
ケーブル40は、コンピュータ20と移動機30を電気的に接続するためのケーブルである。ケーブル40は、一端にコンピュータ20のコネクタ部(図示せず)に着脱自在なプラグ部(図示せず;例えば、USBプラグ)を有し、他端に移動機30のコネクタ部(図示せず)と着脱自在なプラグ部(図示せず)を有する。
【0019】
次に、本発明の実施形態1に係る不正使用防止システムの動作について説明する。図2は、本発明の実施形態1に係る不正使用防止システムの動作を模式的に示したフローチャートである。なお、不正使用防止システムの構成については図1を参照されたい。
【0020】
前提として、コンピュータ20にはダウンロードツールがインストールされており、ハードウェアキー10および移動機30には個別情報が記憶されているものとする。まず、コンピュータ20は、ユーザの操作によりダウンロードツールを起動する(ステップA1)。次に、コンピュータ20は、ハードウェアキー10および移動機30が電気的に接続されているか否かを確認する(ステップA2)。
【0021】
ハードウェアキー10および移動機30が電気的に接続されていない場合(ステップA2のNO)、コンピュータ20は、ハードウェアキー10および移動機30の接続を促す案内画面を表示し(ステップA3)、ステップA2に戻る。
【0022】
ハードウェアキー10および移動機30が接続されている場合(ステップA2のYES)、コンピュータ20は、ハードウェアキー10の個別情報、および移動機30の個別情報を読出す(ステップA4)。次に、コンピュータ20は、読み出した両個別情報が一致しているか否かの照合を行う(ステップA5)。
【0023】
一致していない場合(ステップA5のNO)、コンピュータ20は、ダウンロードを許可せず、一致していない旨の注意画面を表示し(ステップA6)、終了する。
【0024】
一致している場合(ステップA5のYES)、コンピュータ20は、ダウンロードを許可し、ユーザの操作に応じてファイルのダウンロードを行い(ステップA7)、終了する。
【0025】
なお、コンピュータ20は、ダウンロードツールを有すれば、ハードウェアキー10と移動機30の個別情報が関連付けられている限り、他人のコンピュータであってもよい。
【0026】
実施形態1によれば、予めハードウェアキー10に移動機30の個別情報と対応する個別情報を記憶させ、ダウンロードツールを起動した後に、ハードウェアキー10と移動機30の個別情報を照合するため、移動機30の選択的な制御が可能となり、不正なダウンロード行為を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1に係る不正使用防止システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る不正使用防止システムの動作を模式的に示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 不正使用防止システム
10 ハードウェアキー
20 コンピュータ
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 操作部
25 表示部
26 読取部
27 インターフェース部
30 移動機
40 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアの不正使用を防止する不正使用防止システムであって、
不揮発性記憶装置を実装するとともに第1個別情報を記憶するハードウェアキーと、
ソフトウェアに基づいて動作するコンピュータ機能を有するとともに第2個別情報を記憶する移動機と、
前記移動機と着脱自在に電気的に接続されるケーブルと、
前記ハードウェアキーと有線又は無線により電気的に接続されるとともに、前記ケーブルと着脱自在に電気的に接続され、前記移動機にファイルをダウンロードするためのダウンロードツールを記憶する記憶部を有し、かつ、前記ダウンロードツールに基づいて情報処理を行う制御部を有するコンピュータと、
を備え、
前記コンピュータの前記制御部は、
前記ダウンロードツールを起動したときに前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されているか否かを確認するように処理し、
前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されている場合に、前記ハードウェアキーの前記第1個別情報、および前記移動機の前記第2個別情報を読出すように処理し、
読み出した前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致しているか否かの照合を行うように処理し、
前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致している場合に、前記移動機へのダウンロードを許可し、操作に応じてファイルのダウンロードを行うように処理することを特徴とする不正使用防止システム。
【請求項2】
前記コンピュータの前記制御部は、前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されていない場合に、前記ハードウェアキーおよび前記移動機の接続を促す案内画面を表示するように処理することを特徴とする請求項1記載の不正使用防止システム。
【請求項3】
前記コンピュータの前記制御部は、前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致していない場合に、前記移動機へのダウンロードを許可せず、一致していない旨の注意画面を表示するように処理することを特徴とする請求項1又は2記載の不正使用防止システム。
【請求項4】
前記ファイルは、前記コンピュータ自身が記憶するファイル、前記コンピュータが記憶媒体から読み出したファイル、前記コンピュータとネットワークを介して接続されたサーバから提供されたファイル、及び前記コンピュータと接続されたハードウェアから読み出したファイルのいずれかであることを特徴とする1乃至3のいずれか一に記載の不正使用防止システム。
【請求項5】
コンピュータを用いてソフトウェアの不正使用を防止するプログラムであって、
起動したときに前記コンピュータにハードウェアキーおよび移動機が電気的に接続されているか否かを確認する処理と、
前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されている場合に、前記ハードウェアキーに記憶された第1個別情報、および前記移動機に記憶された前記第2個別情報を読出す処理と、
読み出した前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致しているか否かの照合を行う処理と、
前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致している場合に、前記移動機へのダウンロードを許可し、操作に応じてファイルのダウンロードを行う処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに前記ハードウェアキーおよび前記移動機が電気的に接続されていない場合に、前記ハードウェアキーおよび前記移動機の接続を促す案内画面を表示する処理を実行させることを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記第1個別情報と前記第2個別情報が一致していない場合に、前記移動機へのダウンロードを許可せず、一致していない旨の注意画面を表示する処理を実行させることを特徴とする請求項5又は6記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−257485(P2007−257485A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83266(P2006−83266)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】