説明

不純物除去装置及び検査装置

【課題】光学素子の曇りを抑制できるようにする。
【解決手段】光学部材21は、紫外光を透過可能なガラス等の部材から構成され、光源から出射される紫外光の光路OP上に配置される。そして、光学部材21は、ケミカルフィルタCFにより不純物が除去された後の空気Aに混入している不純物を吸着させることで、ケミカルフィルタCFでは取りきれなかった不純物を除去し、ケミカルフィルタCFだけで不純物を除去する場合よりも、さらに不純物の含有量を低減させて、紫外光を用いた所定の光学処理を行うレンズ等の光学素子の曇りを抑制する。本発明は紫外光を出射する光源と複数の光学素子から構成される光学機器に配置される不純物除去装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物除去装置及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学機器内部の雰囲気中に浮遊している、主に硫酸アンモニウム((NH42SO4)等の曇りの原因となる所定の化学物質(以下、汚染物質という)が紫外光を受けると、光学素子の表面に付着し、曇ることが広く知られている。光学素子は曇ってしまうと、反射率や透過率等が低下するため、例えば光源による照明効率が低下するなどの光学性能の低下を招く恐れがある。
【0003】
そこで、従来の光学機器では、光学素子が配置されている部分を箱で覆って密閉し、その箱の内部にケミカルフィルタを通過した空気を流すことで、汚染物質の浮遊を抑え、光学素子の曇りを防止していた。
【0004】
図5は、従来の光学機器の構成を示す図である。
【0005】
図5の光学機器1は、紫外光を少なくとも含む光(以下、説明の簡略化のために紫外光という)を出射する光源11と、レンズやミラー、プリズム等の複数の光学素子からなる光学素子配置部12とから構成される機器である。すなわち、光学素子配置部12においては、レンズ等の複数の光学素子によって、光源11から出射される紫外光を用いた所定の光学的処理が行われる。
【0006】
また、光学機器1内部では、空気が流動しており、図5の矢印で示すように、吸気口OINから流入する空気Aは、ケミカルフィルタCFにより汚染物質を含む不純物が除去された後、光学素子配置部12に入り、光学素子配置部12内部の雰囲気となる。そして、光学素子配置部12内部の汚染物質を含む不純物が除去された雰囲気中で、曇りが抑制された光学素子によって、光源11からの紫外光を用いた光学的処理が行われる。その後、空気Aは、光源11に入り、光源11内部の雰囲気となった後、排気口OOUTから外部に流出する。
【0007】
このように、従来の光学機器1では、光学素子配置部12に流入する直前の空気Aに対し、ケミカルフィルタCFを用いて汚染物質を含む不純物の除去を行うことにより、光学素子の曇りを防止していた。
【0008】
また、上記の不純物等の除去対象成分を化学反応により除去するケミカルフィルタとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−162387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術では、ケミカルフィルタを用いた不純物(汚染物質を含む、以下、不純物には汚染物質が含まれる)の除去を行っているものの、ケミカルフィルタを通過した空気には、ケミカルフィルタで取りきれなかった不純物が僅かながら含まれているため、光学素子の曇りが徐々に進行してしまうという問題があった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、光学素子の周辺に浮遊している不純物の量を低減させて、光学素子の光学反射面や透過面への不純物の付着を抑え、光学素子の曇りを抑制するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の不純物除去装置は、紫外光を少なくとも含む光を出射する光源と、複数の光学素子とを有する光学機器に配置される不純物除去装置において、前記光源からの前記紫外光を導入する光導入手段と、前記光学機器内部の雰囲気中に混入されている物質である不純物を除去する不純物除去手段と、前記光導入手段により導入される前記紫外光の光路上に配置され、前記不純物除去手段により前記不純物が除去された後の雰囲気中に存在し前記光学素子の曇りの原因となる汚染物質を吸着する汚染物質吸着手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の検査装置は、上記の本発明の不純物除去装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光学素子の曇りを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した光学機器の構成の例を示す図である。
【図2】本発明を適用した不純物除去装置の内部構成の詳細を示す図である。
【図3】光学部材の形状の例を示す図である。
【図4】本発明を適用した検査装置の構成の例を示す図である。
【図5】従来の光学機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用した光学機器の構成の例を示す図である。
【0018】
なお、図1において、図5と同様の部分には同一の符号が付してあり、付された符号が同じ部分に関しては、繰り返しになるのでその説明は省略する。
【0019】
すなわち、図1の光学機器1においては、図5の光学機器と比べて、光源11と光学素子配置部12との間に、不純物除去装置2が配置されている。光源11及び光学素子配置部12と、不純物除去装置2とは、空気Aを流すための空気管PA、及び光源11から出射される光の光路OPとなる光路管POP1,POP2によりそれぞれ接続されている。
【0020】
上記の通り、光学機器1内部では、空気が流動するが、図1の矢印で示すように、光学機器1に流入する空気Aは、まず、吸気口OINに設置されたケミカルフィルタCFにより、硫酸アンモニウム((NH42SO4)等の不純物が除去された後、不純物除去装置2に入る。詳細については後述するが、不純物除去装置2では、ケミカルフィルタCFにより不純物が除去された後の雰囲気中に残存している不純物がさらに除去される。その後、不純物除去装置2により不純物が除去された空気Aは、空気管PAにより2つの経路に分岐され、一方の空気A1が光源11に流入し、他方の空気A2が光学素子配置部12に流入する。そして、それらの空気A1,A2は、光源11内部の雰囲気と、光学素子配置部12内部の雰囲気になった後、それぞれ、排気口OOUTから外部に流出する。
【0021】
また、光学機器1において、光源11から出射される紫外光は、光路管POP1によって不純物除去装置2に導入され、不純物除去装置2を通過した後、光路管POP2を介して光学素子配置部12に到達する。つまり、不純物除去装置2は、空気Aに混入されている不純物を除去するとともに、光源11から出射される紫外光の光路OPとなる。そして、光学素子配置部12においては、不純物除去装置2を通過した紫外光を用いて、レンズ等の複数の光学素子による所定の光学的処理が行われる。
【0022】
ここで、図2を参照して、不純物除去装置2の内部構成の詳細について説明する。
【0023】
不純物除去装置2に流入する空気Aは、吸気口OINに設置されたケミカルフィルタCFによって、不純物が除去された後、不純物を吸着させるための光学部材21に到達する。
【0024】
上記の通り、ケミカルフィルタCFにより不純物が除去された後の空気Aには、ケミカルフィルタCFでは取りきれなかった不純物が僅かながら含まれているので、光学部材21は、その残存している微小な不純物を吸着させて、取り除く。つまり、光学部材21によって、空気Aに混入されている不純物を吸着させることで、ケミカルフィルタCFだけで不純物を除去する場合よりも、さらに不純物の含有量を低減させている。
【0025】
この光学部材21は、例えば紫外光を透過可能なガラス等の光学素子から構成され、光路管POP1により導入される光源11からの紫外光の光路OP上に配置される。すなわち、光源11からの紫外光は、光学部材21を透過するので、基本的には、光学部材21を配置したことによる光学的な影響を受けずに、光学素子配置部12まで到達する。言い換えれば、光路上に、犠牲の部品である光学部材21を配置することにより、光学部材21の後段の光学素子の周辺に浮遊している不純物の量を低減させていると言える。
【0026】
なお、一般的に、光源11から出射された直後の光などの明るい光の方が、光学素子に不純物が付着しやすいという性質があるので、図2において、光学部材21は、光学素子配置部12に配置された複数の光学素子による光学的処理が行われる前の明るい光を得られる位置、すなわち、光路管POP1により導入される紫外光が光学素子配置部12に到達する前段の位置に配置されている。つまり、光学部材21は、光源11と、光学素子配置部12に配置される複数の光学素子のうちの光源11に隣接又は略隣接して配置される光学素子との間の光路上に配置するのが好適である。
【0027】
また、光学部材21の形状としては、図3に示すように、円筒体(図3a)、直方体(図3b)、仕切が付いた直方体(図3c)等とすることができる。
【0028】
図3aに示すように、光学部材21aは、中空の円筒体の形状を有し、円筒の外壁面及び内壁面が空気と接しているので、それらの面によって、不純物除去装置2内部の雰囲気中に浮遊している不純物を吸着させる。
【0029】
また、図3bに示すように、光学部材21bは、上面と下面が開口した中空の直方体の形状を有し、側面の外壁面及び内壁面が空気と接しているので、それらの面により不純物を吸着させる。
【0030】
図3cの光学部材21cは、図3bの中空の直方体の形状を有する光学部材21bの中空部に、仕切板B1ないしB3を取り付けたものである。仕切板B1ないしB3は、光学部材21cの内壁に、同一の形状の板を互い違いに配置するなどして、中空部を塞がないように取り付けられる。これにより、直方体の側面の外壁面及び内壁面の他に、仕切板B1ないしB3のそれぞれの上面及び下面も、空気と接することになり、それらの面により不純物を吸着させることが可能となる。
【0031】
なお、光学部材21の形状は、図3の光学部材21aないし21cの形状に限定されるものではなく、不純物を吸着可能な形状を有していればよい。但し、空気に接する面の面積が多ければ多いほど、光学部材21付近に空気の滞留する時間が長くなるので、より多くの不純物を吸着できる。さらに、光学部材21は、1つに限らず複数配置するようにしてもよい。
【0032】
また、光学部材21の材質は、例えば、紫外光を反射させるミラー等の紫外光を透過可能な部材以外の部材であってもよく、光源11からの紫外光が、光学部材21と、光学素子配置部12の両方に到達すればよい。例えば、図2に示すように、光源11と光学部材21との間にハーフミラー25を配置して、光路管POP1により導入される紫外光を分岐することで、ハーフミラー25により分岐された紫外光のうち、一方の紫外光を光学部材21に到達させ、他方の紫外光を光路管POP2を介して光学素子配置部12に到達させることが可能となる。この場合、光学部材21は、分岐後の一方の紫外光を用いて不純物を吸着させることになる。また、この分岐手段としては、ハーフミラー25に限らず、紫外光を分岐可能な他の手段を用いることが可能であり、勿論、光源11からの紫外光を分岐する必要がない場合には配置しなくてよい。
【0033】
このように、光学部材21は、不純物を吸着できる部材であればよく、その形状や材質、数により限定されるものではない。
【0034】
図2に示すように、不純物除去装置2にはまた、光学部材21を挟んで、その一方に計測用光源22aが、他方に計測センサ22bが対向配置される。
【0035】
計測用光源22aは、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子により構成される。発光素子としては、光学部材21に対して均一な光量の平行光を出射できるものが好ましく、必要に応じて光を平行化するためのレンズ等が組み込まれる。計測用光源22aから出射された光が光学部材21を透過して、計測センサ22bにより受光される。
【0036】
計測センサ22bは、例えばフォトダイオード等の半導体受光素子により構成され、計測用光源22aから出射された光であって、光学部材21を透過した光(透過光)を受光する。すなわち、計測センサ22bにおいては、吸着する不純物により変動する光学部材21の透過率に応じて変化する、透過光量に対応する信号が得られる。この透過光量に対応する信号(光学部材21の紫外光に対する透過率を示す信号)は、判定部23に供給される。
【0037】
判定部23は、計測センサ22bから供給される光学部材21の紫外光に対する透過率を示す信号と、所定の閾値とを比較し、透過率を示す信号が閾値を超えるか否かを判定する。判定部23は、判定結果を出力部24に出力する。
【0038】
この閾値は、例えば、ユーザによって設定される。すなわち、光学部材21は、取り付け時の透明な状態では高い透過率を有しているが、光学機器1を使用するにつれて不純物が吸着して、その表面が白っぽくなり、徐々に透過率の低下が進行してしまうので、例えば閾値を高めに設定しておくことにより、この透過率の低下をはやめに検知することが可能となる。
【0039】
出力部24は、判定部23から供給される判定結果を出力する。例えば、出力部24は、不純物除去装置2又は光学機器1のユーザによる目視が可能な位置に取り付けられており、光学部材21の紫外光に対する透過率が閾値を超える場合、「OK」等の光学部材21が使用可能である旨を通知するメッセージを表示し、透過率が閾値を下回る場合、「NG」等の光学部材の交換時期が迫っている旨を通知するメッセージを表示する。
【0040】
なお、判定結果の出力方法であるが、上記の出力部24による、「OK」,「NG」の表示に限らず、ユーザに対して、光学部材21が使用可能であるか否かを通知できればよい。例えば、不純物除去装置2又は光学機器1にLED(Light Emitting Diode)を配置することで、光学部材21が使用可能である場合には青色を点灯させ、光学部材21の交換時期が迫っている場合には赤色を点灯させてもよい。また、例えば、光学機器1がパーソナルコンピュータ(不図示)と接続され、制御されている場合には、パーソナルコンピュータのモニタに表示されている制御用のアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)上に、光学部材21が使用可能であるか否かを示す情報を表示してもよい。さらに、上記の表示や点灯の例に限らず、ブザー音等の音声により、光学部材21の使用の可否を通知するようにしてもよい。
【0041】
これにより、ユーザは、出力部24による出力の内容を確認して、光学部材21の使用の可否を認知できる。
【0042】
また、光学部材21は、不純物除去装置2内の、例えば吸気口OINに対して着脱可能に取り付けられる。すなわち、出力部24によって光学部材21の交換時期が迫っている旨を通知がされている場合、図1に示すように、ユーザは、光学部材21の交換用のメンテナンス口16から、不純物が吸着している古い光学部材21を取り外して、新しい光学部材21を取り付けることにより、不純物が吸着していない光学部材21に取り換えることが可能である。なお、取り外した光学部材21に吸着している不純物を取り除いた後に、その光学部材21を、再度、取り付けるようにしてもよい。
【0043】
以上のようにして、光学部材21により不純物の含有量が低減された空気Aは、空気管PAを経由して、光源11と光学素子配置部12の内部の雰囲気となる。そして、光学素子配置部12内部の雰囲気は、単にケミカルフィルタCFだけで不純物を除去した場合よりも不純物の含有量が低減されているので、光学素子配置部12に配置されている、レンズやミラー、プリズム等の光学素子の光学反射面や透過面に不純物が付着しにくくなる。その結果、光学素子の曇りを抑制できる。
【0044】
なお、本実施の形態では、ケミカルフィルタCFは、吸気口OINに設置されるとして説明したが、流動する空気Aが光学部材21に到達する手前の位置に配置されていればよく、例えば吸気口OINの前段に配置しておくことも可能である。
【0045】
また、図1に示した、光源11及び光学素子配置部12と、不純物除去装置2との空気管PA,光路管POP1,POP2による接続の形態は一例であって、例えば、不純物除去装置2により不純物が除去された空気Aを分岐せずに、光学素子配置部12、光源11の順に流動させた後、外部に流出させるような接続の形態としてもよい。
【0046】
さらに、光学機器1を使用しておらず、光源11からの紫外光を光学素子配置部12に供給する必要がない場合でも、不純物除去装置2は、光源11からの紫外光を用いて、ケミカルフィルタCFにより不純物が除去された後の雰囲気中に残存している不純物を吸着するようにしてもよい。これにより、光学機器1の使用開始時には、光学素子配置部12内部の雰囲気中に混入されている不純物の含有量が低減されていることとなり、光学素子に曇りが発生するのを抑制できる。
【0047】
ところで、本実施の形態においては、図1の光学機器1は、光源11及び光学素子配置部12から構成され、光源11と光学素子配置部12との間に、不純物除去装置2が配置されるとして説明したが、不純物除去装置2を単独の装置ではなく、光学機器1の一部として捉えることもできる。そこで、次に、そのような構成を有する光学機器1の一例として、半導体ウェハの表面欠陥を検査する検査装置について説明する。
【0048】
図4は、本発明を適用した検査装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0049】
図4に示すように、検査装置1Aは、不純物除去装置2をその構成の一部として捉えた場合の構成例であって、光源11及び光学素子配置部12と、不純物除去装置2に対応する一処理部としての不純物除去部2Aとからなる1つの装置である。
【0050】
また、図4に示すように、検査装置1Aを構成する要素のうち、放電光源31及びコレクタレンズ32は、図1の光源11に相当し、光学部材21は、図1の不純物除去装置2(不純物除去部2A)内に配置された光学部材21に対応している。また、図4の波長選択フィルタ33以降の光学素子は、図1の光学素子配置部12内に配置された複数の光学素子に相当する。
【0051】
なお、本実施の形態において、コレクタレンズ32は、光源11に配置されるとして説明するが、光学素子配置部12側に配置してもよい。また、光学部材21を、光学素子配置部12側に配置することも可能である。
【0052】
検査装置1Aは、半導体ウェハ100を載置保持するホルダ5を有し、不図示の搬送装置によって搬送されてくるウェハ100を、ホルダ5の上に載置させるとともに、真空吸着により固定保持する。ホルダ5は、このように固定保持したウェハ100の表面に垂直な軸を中心として回転可能あって、かつウェハ100の表面に平行な軸を中心としてチルト可能に構成されている。
【0053】
この検査装置1Aはさらに、ホルダ5に固定保持されたウェハ100の表面に検査用照明光を照射する照明光学系と、検査用照明光の照射を受けたときのウェハ100からの反射光、回折光等を集光する集光光学系と、集光光学系により集光された光を受けてウェハ100の表面の像を検出するCCDカメラ等を有する。
【0054】
照明光学系は、メタルハイドランプ等の放電光源31と、この放電光源31からの照明光束(紫外光を含んでいる光)を集光するコレクタレンズ32と、コレクタレンズ32により集光された照明光束を透過させて波長選択を行う波長選択フィルタ33と、調光を行うニュートラルデンシティフィルタ34とからなる。
【0055】
コレクタレンズ32と、波長選択フィルタ33との間の光路上には、不純物除去部2Aとしての光学部材21が配置されている。コレクタレンズ32により集光された照明光束は、光学部材21を透過して、波長選択フィルタ33に到達する。なお、上記の通り、照明光束は、基本的には、光学部材21を配置したことによる光学的な影響を受けずに、波長選択フィルタ33まで到達する。また、このとき、光学部材21は、検査装置1A内部の雰囲気中に浮遊している不純物を吸着させている。
【0056】
照明光学系は、これらのフィルタ33,34を透過した照明光束を集束させるインプットレンズ35を有し、インプットレンズ35により集束された照明光がファイバ36の一端36aに導入される。
【0057】
照明光学系はさらに、ファイバ36の他端36bから出射される発散光束を受ける照明系凹面鏡37を有しており、照明系凹面鏡37からほぼその焦点距離だけ離れた位置に、ファイバ36の他端36bが配設されている。このため、ファイバ36の一端36aに導入されて他端36bから照明系凹面鏡37に発散照射された照明光は、照明系凹面鏡37によって平行光束となって、ホルダ5に保持されたウェハ100の表面に照射される。
【0058】
このとき、ウェハ100の表面に照射される照明光束は、ウェハ100の表面と垂直な軸に対して所定の角度を有して照射され、ウェハ100からの光が所定の角度を有して出射される。そして、ウェハ100の表面からの出射光(ここでは回折光を用いる)は、集光光学系により集光される。
【0059】
この集光光学系は、ウェハ100の表面と垂直な軸に対して所定の角度を有した方向に対向して配置された集光系凹面鏡41と、この集光系凹面鏡41の集光位置に配設された絞り42と、この絞り42の後側に配設された結像レンズ43とから構成される。
【0060】
結像レンズ43の後側には、CCDカメラ52が配設されている。集光系凹面鏡41により集光されるとともに、絞り42によって絞られた出射光(n次の回折光)は、結像レンズ43によってCCDカメラ52のCCD撮像素子52aに結像される。この結果、ウェハ100の表面の回折像がCCD撮像素子52aに形成される。CCD撮像素子52aは、その受光面に形成されたウェハ表面の像を光電変換して画像信号を生成し、画像処理部51に供給する。
【0061】
画像処理部51は、CCDカメラ52から供給される画像信号に対し、所定の画像処理を施すことにより、ウェハ100の表面に対応する画像データを生成する。そして、画像処理部51においては、CCDカメラ52からの画像信号により得られるウェハ100の表面の画像と、予め記憶されている良品のウェハ100の表面の画像(検査基準画像)とのパターンマッチングを行ったり、予め学習させておいた検査基準画像の特徴との相違点の有無の検査が行われる。検査対象となるウェハ100にデフォーカスによる膜厚ムラ、パターン形状の異常、キズ等の欠陥が存在する場合には、その部分には、例えば検査基準画像との明暗差や特徴の相違が検出されるため、欠陥が存在することが検出される。
【0062】
以上のように、検査装置1Aは、光学機器1と不純物除去装置2とを単独の装置として捉えた場合と同様に構成されている。
【0063】
このように、本発明によれば、光学素子周辺の雰囲気中に混入されている不純物の含有量を、ケミカルフィルタだけを用いた場合よりも低減させることができるので、レンズ等の光学素子の光学反射面や透過面に不純物が付着するのを抑え、それらの光学素子に曇りが発生するのを抑制できる。これにより、光学素子は、本来の光学性能を発揮できるようになるとともに、長時間の使用が可能となる。
【0064】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 光学機器, 1A 検査装置, 2 不純物除去装置, 2A 不純物除去部, 11 光源, 12 光学素子配置部, 16 メンテナンス口, 21,21aないし21c 光学部材, 22a 計測用光源, 22b 計測センサ, 23 判定部, 24 出力部, 25 ハーフミラー, A,A1,A2 空気, B1ないしB3 仕切板, CF ケミカルフィルタ, OP 光路, OIN 吸気口, OOUT 排気口, PA 空気管, POP1,POP2 光路管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光を少なくとも含む光を出射する光源と、複数の光学素子とを有する光学機器に配置される不純物除去装置において、
前記光源からの前記紫外光を導入する光導入手段と、
前記光学機器内部の雰囲気中に混入されている物質である不純物を除去する不純物除去手段と、
前記光導入手段により導入される前記紫外光の光路上に配置され、前記不純物除去手段により前記不純物が除去された後の雰囲気中に存在し前記光学素子の曇りの原因となる汚染物質を吸着する汚染物質吸着手段と
を備えることを特徴とする不純物除去装置。
【請求項2】
前記汚染物質吸着手段は、前記光源と、前記複数の光学素子のうちの前記光源に隣接又は略隣接して配置される光学素子との間の光路上に配置される前記紫外光を透過可能な光学部材であって、前記光導入手段により導入された前記紫外光を透過させる
ことを特徴とする請求項1に記載の不純物除去装置。
【請求項3】
前記光学部材の前記紫外光に対する透過率を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記透過率が所定の閾値を下回るか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の不純物除去装置。
【請求項4】
前記汚染物質吸着手段は、円筒形、直方体、又は仕切板を取り付けた直方体の形状を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の不純物除去装置。
【請求項5】
前記汚染物質吸着手段は、着脱可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の不純物除去装置。
【請求項6】
前記不純物除去手段は、ケミカルフィルタである
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の不純物除去装置。
【請求項7】
前記光導入手段により導入された前記紫外光を分岐させる分岐手段をさらに備え、
前記汚染物質吸着手段は、前記分岐手段により分岐された前記紫外光のうちの一方の紫外光の光路上に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の不純物除去装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の不純物除去装置を備える
ことを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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