説明

不織布及び該不織布の製造方法

【課題】一種以上の茶殻抽出液及び/又はお茶製造時の茶殻残留廃液を吸水性の薄葉紙に含浸させて乾燥して、一様に衛生的に優れ、しかも、一種以上のお茶、茶殻抽出液、茶殻残留廃液及び茶殻を活用した、不織布及び該衛生用品の製造方法を提供する。
【解決手段】不織布1平方メートルあたり0.1グラム以上のお茶の乾燥物が含有されていることを特徴とする不織布にあり、また、お茶の濃縮液を不織布に塗布し、このお茶の濃縮液が塗布された不織布を乾燥することを特徴とする不織布の製造方法にある。この不織布は、一様に衛生的に優れる吸収材料として使用することができ、また、この不織布は、特に、衛生的に優れる性質を利用して衛生用品の表面材として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お茶の乾燥物を含有する不織布及び該不織布の乾式及び湿式の製造方法に関し、特に、一種以上の有機繊維、一種以上の有機繊維廃材、一種以上の有機質の廃棄物若しくは一種以上の繊維質の廃棄物、又は一種以上の有機繊維、一種以上の有機繊維廃材、一種以上の有機質の廃棄物及び一種以上の繊維質の廃棄物の中の二種以上のものを含有し、さらに一種以上のお茶の乾燥物を含有する不織布及び該不織布の乾式及び湿式の製造方法に関する。また、本発明は、お茶の乾燥物を含有する不織布及び該不織布の乾式及び湿式の製造方法において、特に、有機繊維を不織布の素材とするときは、有機繊維は、綿、羊毛、パルプ、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ビスコースレーヨン繊維若しくはキュプラレーヨン繊維、又はこれらの中の二種以上のものであり、また特に、有機繊維廃材を不織布の素材とするときは、有機繊維廃材は、綿廃材、羊毛廃材、パルプ廃材、ポリプロピレン繊維廃材、ポリエチレン繊維廃材、ナイロン繊維廃材、ビニロン繊維廃材、ポリエステル繊維廃材、ビスコースレーヨン繊維廃材若しくはキュプラレーヨン繊維廃材、又はこれらの中の二種以上のものであり、また特に、有機質の廃棄物を不織布の素材とするときは、有機質の廃棄物は、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、おむつ廃材、紙おむつ廃材、便座シート廃材、動物用紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用吸収体廃材若しくは野菜輸送用吸収体廃材、又はこれら廃材の中の二種以上のものであり、また特に、繊維質の廃棄物を不織布の素材とするときは、繊維質の廃棄物は、例えば、機械パルプ廃材、化学パルプ廃材、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ廃材、木材パルプ廃材、古紙パルプ廃材、木材屑、鉋屑、木粉、家屋の解体材、新築廃材、紙粉、チタン紙廃材、パンチ屑、衛生用品廃棄物の分級産物のフラッフパルプ、吸水性繊維廃材、吸水性樹脂廃材、吸水性樹脂を含む紙粉、製本時に発生する紙粉、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉若しくは衛生材料製造時に発生する紙粉、又はこれらの中の二以上のものであり、これら掲げられたものの一種以上を素材とし、お茶の乾燥物を含有する不織布及び該不織布の乾式及び湿式の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、不織布は、衛生材料として、寝具用シーツ、紙おむつ、生理用ナプキン、乳パッド、汗パッド、失禁パッド、おむつ及びペット用シーツなどに使用され、また、医療資材として、手術用マスク、ガウン、キャップ、ガーゼ、包帯、眼帯、滅菌包材などに使用されている。衛生用品及び医療資材は、柔軟性、吸水性及び強度を有し、清潔であることが必要とされており、衛生用品の吸収体に使用される不織布の場合にも、例えば、寝具用シーツの場合には、ベッドや敷布団の上に敷いて、ベッドや布団の耐久性を保ち、ベッドや布団を清潔に維持するために用いられるから、この場合にも、不織布には、柔軟性、吸水性及び強度を有し、清潔であることが要求される。
【0003】
例えば、就寝中にも、人間の皮膚からは、汗以外に水分が絶えず外に排泄されており、これらの水分は、寝床や寝衣に吸い取られるので、例えば、寝具用シーツに使用される衛生用品には、さらに保温性及び適度の吸湿性を備えることが要求される。
また、寝具用シーツや寝具は、吸湿性や吸水性の高い繊維で形成されるので、皮膚表面から脱落した角化した角質層や皮膚に付着した塵に皮膚の皮脂や汗などによる垢などが付着して、汚染され易く、病原菌が増殖する原因となり、特に、蓐瘡等の場合に問題である。
そこで、従来の寝具用シーツや寝具については、常に清潔さを保つために、頻繁に取り替えて、繰り返し使用できるように、洗濯に強い木綿等が素材として使用されている。
【特許文献1】特開平11−1896号公報
【特許文献2】特開2000−129592公報
【特許文献3】特開2000−70097公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、使い捨てタイプの寝具用シーツや寝具に使用される吸収体については、使用時においても、長時間に亙って清潔さを保つことができるように、本出願人は、飲料に供されるお茶の抽出残渣である茶殻の抽出液が、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌及びレジオネラ属の細菌の増殖を抑制する性質を有する点に着目して、茶殻の抽出液の乾燥物を含む衛生用品を有する吸収体を提案した(特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0005】
一方、缶入りのお茶及びパック入りのお茶の製造業から排出される、お茶の抽出粕の茶殻、及び該茶殻に残留して茶殻から滲出する茶殻残留廃液は膨大な量に上っている。しかし、茶殻には、かなりの量のタンニン類を含む茶殻残留液が含まれているために、堆肥等に利用するにも、タンニン類等の処理が難しく、問題とされている。しかも、このようにタンニン類が含まれているために、茶殻は、その侭廃棄できず、廃棄するには、活性汚泥法等により無害化処理をしなければならない。また、活性汚泥法により発生する沈殿物は、その量が膨大であるにも拘わらず、用途が乏しく、専ら焼却処理によっており、問題とされている。
本発明は、不織布についての大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属、連鎖球菌及びレジオネラ属の細菌に係る問題点を解決すると共に、缶入りのお茶及びパック入りのお茶の製造工程で発生する茶殻及び茶殻残留廃液の処理を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、緑茶、烏龍茶又は紅茶等のお茶の濃縮液の乾燥物又はお茶の抽出残渣である茶殻について抽出した抽出液の濃縮液の乾燥物を含有する不織布は、例えば、緑茶の場合で、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属、連鎖球菌及びレジオネラ属の細菌の増殖を72時間以上に亙って阻害し、また、紅茶の場合で、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌及びレジオネラ属の細菌の増殖を72時間以上に亙って阻害することを発見して本発明に至った。
本発明は、茶葉若しくは茶殻又は茶葉及び茶殻を抽出処理して得られた抽出液を濃縮して、該抽出液中の溶解物質の量を増加させることにより、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属、連鎖球菌及びレジオネラ属の細菌に対する増殖抑制作用はもとより、大腸菌及び緑膿菌に対する増殖抑制作用を増強した不織布を提供することにより、これら茶殻の有効利用を図ることを目的としている。
【0007】
即ち、本発明は、有機繊維廃材、有機質の廃棄物若しくは繊維質の廃棄物、又は有機繊維廃材、有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物の中の二種以上を含有し、これに、坪量が18g/mの不織布を基準として、不織布の1平方メートルあたり0.1グラム以上のお茶の乾燥物を含有して形成されていることを特徴とする不織布にあり、さらに本発明は、湿式法又は乾式法で製造され、有機繊維、有機繊維廃材、有機質の廃棄物若しくは繊維質の廃棄物又は有機繊維、有機繊維廃材有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物の中の二以上を含有し、これにさらに高吸水性樹脂を含有する不織布に、お茶の濃縮液を塗布し、乾燥することにより、坪量が18g/mの不織布を基準として、不織布の1平方メートルあたり0.1グラム以上のお茶の乾燥物を含有させることを特徴とする不織布の製造方法にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、お茶の乾燥物、即ちお茶の溶解物質を含有する不織布は、例えば、坪量が18g/mの不織布を基準にして、1平方メートルあたり、お茶の乾燥物が0.1グラム以上、好ましくは、0.3グラム以上、さらに好ましくは0.5グラム以上含有するものである。一般に、不織布は、坪量が、例えば17g/m乃至300g/mと大きく変化するが、本発明においては、お茶の乾燥物を含有させる不織布の坪量が、基準となる不織布の坪量の18g/mに対し大きいときは、該不織布に含有させるお茶の乾燥物の量は、塗布される不織布の坪量の基準の不織布の坪量に対する、重量比に対応して、例えばその倍数で増量することができる。
【0009】
本発明において、お茶の乾燥物は、不織布にお茶の濃縮液を噴霧等により含浸させ、このお茶の濃縮液が含浸された不織布を乾燥することにより、不織布に含有される。
本発明において、お茶の乾燥物を含有する不織布は、不織布の製造時において、例えば、乾燥工程前の湿った不織布に、お茶の濃縮液を、含浸保持させて乾燥することにより製造することができる。しかし、乾燥工程を経た乾燥された不織布にお茶の濃縮液を、含浸保持させて乾燥することにより製造してもよい。
【0010】
本発明において、お茶の用語は、一種以上の茶葉から抽出した茶葉の抽出液、(以下、茶葉の抽出液という)一種以上の茶殻から抽出した茶殻の抽出液(以下、茶殻抽出液という)若しくは一種以上の茶殻の残留廃液(以下、茶殻残留廃液という)、又は茶葉抽出液、茶殻抽出液及び茶殻残留廃液の中の二以上を含む混合液を意味する。
本発明において、お茶の濃縮液の用語は、一種以上の茶葉抽出液についての濃縮液、一種以上の茶殻抽出液についての濃縮液若しくは一種以上の茶殻残留廃液についての濃縮液、又は前記一種以上の茶葉抽出液の濃縮液、一種以上の茶殻抽出液の濃縮液及び一種以上の茶殻残留廃液の濃縮液の中の二以上の濃縮液の混合物を意味する。お茶の濃縮液に調製に使用される茶葉及び茶殻は、同種のものであつてもよく、又は異種のものであってもよい。
本発明において、茶葉は、緑茶、紅茶、烏龍茶(ウーロン茶)又はその他の茶の茶芽即ち茶葉を意味し、茶殻は、パック入り又は缶入り等の緑茶、紅茶及び烏龍茶等のお茶の製造時に排出される抽出残渣、即ち出し殻を意味する。本発明において、茶葉及び茶殻は、産地及び種類により区別されず、全般的な茶葉及び茶殻を意味する。
【0011】
本発明において、お茶の濃縮液は、一種以上の茶葉若しくは一種以上の茶殻又は一種以上の茶葉及び茶殻(以下、一種以上の茶葉及び/又は茶殻という)を、温水又は熱水で抽出して得られた茶葉及び/又は茶殻の抽出液を、さらに加熱により又は減圧により又は加熱及び減圧により濃縮して製造することができる。特に、一種以上の茶葉及び/又は茶殻を温水又は熱水により抽出された茶葉抽出液、茶殻抽出液若しくは茶殻残留廃液又はこれらの二以上の混合物、即ちお茶を、該お茶の液量の少なくとも5/6以下、好ましくは3/4以下、さらに好ましくは1/2以下に濃縮して製造することができる。
本発明において、茶殻の抽出液の濃縮液は、パック入り又は缶入りの烏龍茶(ウーロン茶)、緑茶及び紅茶製造時に抽出粕として排出される茶殻を、温水又は熱水で抽出し、さらに加熱により又は減圧により又は加熱及び減圧により濃縮して製造することができる。しかし、烏龍茶、緑茶及び紅茶の何れの場合でも、また茶葉又は茶殻の何れの場合でも、熱水で抽出すると、溶解物質の溶解量が多くなるので好ましい。
【0012】
パック入り又は缶入りの烏龍茶(ウーロン茶)、緑茶及び紅茶製造時に抽出残渣即ち(抽出粕)として排出される茶殻は、一般に、茶殻残留廃液を含んで排出されるので、本発明において、茶殻から抽出された茶殻抽出液には、茶殻残留廃液が含まれており、濃縮工程において茶殻抽出液を含んだ侭濃縮されて、お茶の濃縮液とされる。このように、茶殻は、茶殻残留廃液を含んでいてもよく、脱水又は乾燥処理されていてもよい。茶殻についての抽出処理を終えた茶殻は、脱水後、茶殻残留廃液及び茶殻の溶解物質が著しく減少しており、動物の排泄物処理材として利用することができ、また廃棄可能である。
本発明において、お茶の濃縮液の用語は、お茶の濃縮液を、水、お茶若しくはお茶、又はお茶若しくはお茶以外の他のものを混合した溶液をも意味し、例えば、お茶の濃縮液を常温以上の温度の水により希釈したもの、お茶の濃縮液に、該お茶の濃縮液より溶解物質含有率の小さいお茶若しくはお茶以外の溶液を混合したものを包含する。
【0013】
本発明において、不織布は、不織布にお茶の濃縮液を含浸させて乾燥して製造され、お茶の乾燥物を含有する。
本発明において、不織布に含有されるお茶の乾燥物の量を多くすると、つまり、お茶の溶解物質の量を多くすると、お茶の溶解物質を、不織布全体にかつ十分に付着させることができ、不織布における大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属、連鎖球菌及びレジオネラ属等の細菌の増殖を長時間に亙って抑制することができる。このように、本発明は、茶葉はもとより、茶殻及び茶殻残留廃液中の溶解物質を抽出して、茶殻中で有害とされるタンニン、サポニン、さらに亜鉛等の溶解物質を不織布に含有させ、該溶解物質の有する細菌の増殖を抑制する性質並びに脱臭及び消炎作用を行う性質を不織布に付与させるものである。お茶の溶解物質含有率が大きいときは、噴霧等により不織布に塗布される噴霧量が一定量であっても、不織布に含有される溶解物質の量は、必然的に多くなる。
【0014】
このようにして、本発明は、不織布に含有させるお茶の乾燥物を得るために、茶葉、茶殻若しくは茶殻の残留廃液等の廃棄物において廃棄に有害とされるタンニン、サポニン、さらに亜鉛等の溶解物質を、該廃棄物から抽出分離するので、この抽出処理された茶殻等の廃棄物は、廃棄に有害なタンニン、サポニン、さらに亜鉛等の成分含有率が減少し、廃棄を可能なものとすることができる。
【0015】
本発明において、お茶の乾燥物を含有させた不織布は、乾式及び湿式の不織布製造工程において、製造することができる。乾式の不織布製造工程においては、繊維を絡合して形成されたウエブ上に、又は繊維が絡合されて接着剤が塗布されたウエブ上に、さらに必要に応じて湿潤処理されたウエブ上に、お茶の濃縮液を、直接、噴霧等により塗布含浸させ、乾燥部において乾燥させて製造することができる。湿式の不織布製造工程においては、接着剤等を含有して抄造されたウエブは、脱水部又は乾燥部に移されて、湿ったウエブに、お茶の濃縮液を、直接、噴霧等により塗布含浸させ、乾燥筒に送り乾燥させて製造することができる。しかし、乾式不織布製造工程及び湿式不織布製造工程において、前記乾燥部を経て乾燥された不織布に、お茶の濃縮液を、噴霧等により塗布又は含浸させ、乾燥筒に送り乾燥することにより製造することもできる。乾式不織布製造工程においては、例えば、ホットメルト接着法又は熱接着法により接着されたウエブに、お茶の濃縮液を、噴霧等により塗布又は含浸させ、熱処理機に送り乾燥することにより製造することもできる。
【0016】
湿式不織布製造工程においては、不織布へのお茶の塗布量を均一にするために、湿った不織布又は乾燥された不織布に直接お茶の濃縮液が噴霧される。お茶の濃縮液を湿った不織布に直接噴霧する場合、出来上がった不織布には、ピンホールその他のトラブルが生じることがあるので、不織布が幾分脱水された箇所から乾燥機に至る間に、お茶の濃縮液の噴霧を行うのが好ましい。このような噴霧箇所は、不織布が脱水されて、ピックアップロールにより、ドライパートに移された箇所から乾燥ロールに送られる間であり、噴霧されて不織布に付着したお茶の濃縮液は、その後不織布内に浸透して、お茶の溶解物質濃度は一様に均される。
【0017】
本発明において、不織布に含浸されるお茶は、噴霧器のノズルの詰まりを防止するために、茶殻等の抽出残渣の固形物は、濾過により分離される。本発明において、お茶若しくはお茶の濃縮液は、印刷インキ組成物と配合して印刷インキに形成することができ、又はこの印刷インキに適当な着色材を配合して、印刷用カラーインキに形成することができる。印刷用カラーインキの場合には、吸水性の紙部材面に全般に亙って所望の模様及び文字を印刷でき、例えば、装飾模様、並びに商業宣伝用の模様及び文字を吸水性の紙部材に印刷することができる。
【0018】
不織布に含浸させるお茶の濃縮液、又はお茶の濃縮液及びお茶の濃縮液の夫々の溶解物質濃度を、例えば、糖度計等により測定し、又は全固形分を測定して、その溶解物質濃度に応じて噴霧器による噴霧又は印刷機による印刷により含有させる量を調整して、不織布に塗布等により含有されるお茶、又はお茶及びお茶の溶解物質の量を調整することができる。不織布に含浸させるこのようなお茶の溶解物質の量又はお茶及びお茶の溶解物質の量は、細菌の増殖の抑制効果が発揮でき、また消炎及び脱臭効果が発揮できるように、適宜変えることができる。
【0019】
ここで、乾燥されて不織布に含有する一種以上のお茶の乾燥物(溶解物質)は、一種以上のお茶の濃縮液に溶存するものであり、濃縮することにより、お茶の溶解物質濃度は、この濃縮処理により、お茶の溶解物質濃度は、例えばBrix濃度で6パーセント程度まで増加させることができるが、噴霧等の作業を円滑に行うために、例えば、Brix濃度1%まで希釈される。本発明におい、不織布に、溶解物質を多く含浸させるには、溶解物質濃度が同一の場合には、複数回に亙って、又は複数箇所において、同一叉は異なる方法で、不織布に、お茶の濃縮液を塗布することができる。
【0020】
茶葉及び茶殻中に存在する溶解物質は、比較的抽出され易いので、熱水により、比較的短時間で抽出することができる。しかし、抽出時間は、95℃の熱水中で、5乃至60分であり、この間に、95℃以上の熱水中で煮沸、又は煮立てると、例えば10分乃至20分で、溶解物質の高い濃度で抽出することができる。お茶は、茶葉及び/又は茶殻の重量に対し、10倍量以下の量の95℃の熱水で抽出を開始し、液量が3/4になるまで煮立てて得ることができる。このように製造されたお茶の抽出液は、例えば、茶葉の大きさ及び形状並びに抽出条件により変わるが、糖度はBrix4乃至6パーセントである。
【0021】
このようなお茶の濃縮液の場合には,溶解物質1重量%以上のお茶の濃縮液を、坪量が18g/mの不織布の場合を標準として、不織布1mあたり10ミリリットル以上、好ましくは30ミリリットル以上、さらに好ましくは、50ミリリットル以上の量を噴霧等により不織布に含浸させて、次いで乾燥させて製造することができる。例えば、不織布1mあたり10乃至20ミリリットル好ましくは20乃至30ミリリットル噴霧して不織布を製造することができる。
【0022】
茶葉及び/又は茶殻を熱水による煮沸で抽出して得られた茶葉抽出液又は茶殻抽出液は、抽出残渣を取り除くために、遠心分離機にかけられる。茶殻が除かれた上澄み液は、例えば、液量が3/4以下になるまで、加熱蒸発させて、例えばお茶の濃度を、屈折計で測定してBrix6%程度にまで濃縮される。例えば、濃縮された緑茶の濃縮液は、噴霧し易い溶解物質濃度、例えばBrix2%に希釈されて、噴霧用に調整される。
【0023】
本発明において、不織布は、従来の不織布と同様に、例えば、紙タオル、肌着用布地、寝具用シーツ、マスク、アイマスク、座席用ヘッドカバー、枕カバー、包装材、鮮魚輸送用包装材及び野菜輸送用包装材等の吸収材料として使用することができる。また、本発明において、不織布は、比較的多孔質の不織布をも包含し、従来の不織布と同様に湿式叉は乾式で製造できる。本発明において、不織布は、従来の不織布と同様に、寝具用シーツ、マスク、アイマスク、座席用ヘッドカバー、枕カバー、紙おむつ、動物用紙おむつ、生理用ナプキン、動物用生理用ナプキン、乳パッド、汗パッド、失禁パッド、動物用シーツ、鮮魚輸送用吸収体若しくは野菜輸送用吸収体等の吸収体の表面材として使用することができる。
【0024】
本発明において、不織布は、有機繊維、有機繊維廃材、有機質の廃棄物若しくは繊維質の廃棄物、又は前記有機繊維、有機繊維廃材、有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物の中の二以上のものを包含して形成することができる。
本発明において、不織布のウエブは、従来の不織布と同様に、有機繊維、例えば、綿、羊毛、パルプ、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ビスコースレーヨン繊維若しくはキュプラレーヨン繊維、又はこれら有機繊維の中の二種以上の有機繊維を絡合して形成することができる。また本発明において、不織布のウエブは、有機繊維に有機繊維廃材を加えて絡合して形成することができる。このような、有機繊維廃材としては、綿廃材、羊毛廃材、パルプ廃材、ポリプロピレン繊維廃材、ポリエチレン繊維廃材、ナイロン繊維廃材、ビニロン繊維廃材、ポリエステル繊維廃材、ビスコースレーヨン繊維廃材若しくはキュプラレーヨン繊維廃材、又はこれらの有機繊維廃材の中の二種以上の有機繊維廃材がある。
【0025】
本発明において、一種以上のお茶の乾燥物を含有される不織布本体は、一種以上の有機繊維又は一種以上の有機繊維及び一種以上の有機繊維廃材により、又は一種以上の有機繊維又は一種以上の有機繊維及び一種以上有機繊維廃材に、一種以上の有機質の廃棄物若しくは一種以上の繊維質の廃棄物叉は一種以上の有機質の廃棄物及び一種以上の繊維質の廃棄物を加えた混合物により形成することができる。
【0026】
本発明において、有機繊維、有機繊維廃材、又は有機繊維及び有機繊維廃材により、乾式で不織布を形成し、吸水性樹脂を加えて一体に形成して、所謂、吸水性繊維とすることができる。また、この場合、この他に、吸水性繊維は、有機繊維若しくは有機繊維廃材、又はこれらの混合物に、有機質の廃棄物若しくは繊維質の廃棄物、叉は有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物により、吸水性樹脂を加えて、ホツトメルト接着法、熱接着法等によりウエブを接着する乾式法で、一体に形成して不織布を形成し、吸水性繊維とすることができる。
【0027】
吸水性繊維等の不織布は、吸水性樹脂を含有する関係で、乾式でウエブが形成される。有機質の廃棄物として、例えば、乳パッド廃材、失禁パッド廃材、紙おむつ廃材、動物用紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、汗パッド廃材、動物用シーツ廃材、動物用生理用ナプキン廃材、鮮魚輸送吸収体廃材若しくは野菜輸送用吸収体廃材等のように、吸収体を有する廃材を使用することができる。このような廃材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン及び合成ゴム材を、パルプ及び吸水性樹脂と共に含有しており、繊維材料としてのパルプを含み、また、吸水性樹脂を含んでいるので、例えば、3mm以下の粒度、好ましくは、1mm以下の粒度に粉砕して、吸水性繊維等の不織布形成用素材として使用することができる。また、このように粉砕した紙おむつ廃材や生理用ナプキン廃材の粉砕物は、分級機により、プラスチック類に富む部分と紙粉及び高吸水性樹脂に富む部分に分級して、これらの分級産物を適宜の割合に配合して、例えば、乾式法により抄造して、不織布を形成することができる。
【0028】
このような不織布を形成する場合において、吸水性樹脂は、不良品の吸水性樹脂、高吸水性樹脂廃材、比較的吸水性能の小さい吸水性樹脂及び吸水性能の高い高吸水性樹脂を意味する。しかし、吸水性の高いものを使用すると、吸水性樹脂の使用量を少なくできるので好ましい。
また、本発明において、乾式法及び湿式法において、有機繊維若しくは有機繊維廃材、又は有機繊維及び有機繊維廃材は、不織布の素材即ち原料として使用することができる。また、有機繊維若しくは有機繊維廃材、又は有機繊維及び有機繊維廃材は、有機質の廃棄物若しくは繊維質の廃棄物、又は有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物を混合して、不織布の素材として使用することができる。不織布の製造に使用される有機繊維、有機繊維廃材、有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物は、異なる供給路で夫々別々に供給してもよいが、予め混合しておいて、混合物の形で供給してもよい。吸水性樹脂を素材として使用しない場合においても、また、吸水性樹脂を素材として使用する場合においても、不織布は、乾式叉は湿式により製造することができる。
【0029】
湿式法において使用される繊維質の廃棄物としては、機械パルプ廃材、化学パルプ廃材、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ廃材、古紙パルプ廃材、木粉、紙粉、チタン紙廃材若しくはパンチ屑といった繊維質の廃棄物、又はこれらの繊維質の廃棄物の中の二種以上のものを組み合わせて不織布の素材とすることができる。
乾式法において使用される繊維質の廃材としては、機械パルプ廃材、化学パルプ廃材、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ廃材、古紙パルプ廃材、木粉、紙粉、チタン紙廃材、パンチ屑、紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材若しくは失禁パッド廃材、又は二種以上のものを組み合わせて不織布の素材とすることができる。
【0030】
例えば湿式法において使用される有機質の廃棄物としては、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材若しくは便座シート廃材といった有機質の廃棄物、又はこれら有機質の廃棄物の中の二種以上のものを組み合わせて不織布の素材とすることができる。もとより、個々の有機質の廃棄物叉は個々の繊維質の廃棄物又はそれらの二種以上の廃棄物を組み合わせて不織布の素材とすることができる。有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物は、3mm以下の粒度、好ましくは1mm以下の粒度に粉砕されて不織布の素材とされる。
また乾式法において、同様に使用される有機質の廃材としては、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、おむつ廃材、紙おむつ廃材、便座シート廃材、動物用紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用吸収体廃材若しくは野菜輸送用吸収体廃材、又はこれらの二種以上のものを組み合わせて不織布の素材とすることができる。有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物は、3mm以下の粒度、好ましくは1mm以下の粒度に粉砕されて不織布の素材とされる。
【0031】
本発明において、吸水性樹脂を除いて不織布とする場合に使用される紙粉は、粉状の紙であり、また吸水性樹脂を含まない紙粉であり、このような紙粉としては、例えば、製本時に発生する紙粉、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉、若しくは集塵ロスの紙粉などの紙粉がある。
この不織布において、乾式法で使用される紙粉は、粉状の紙であり、また、吸水性樹脂を含んでもよい紙粉であり、例えば、製本時に発生する紙粉、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉、及び集塵ロスの紙粉、並びに紙おむつ、生理用ナプキン、ショルダーパッド、バストパッド、ヒップパッド、失禁パッド、乳パッド又は汗パッド等のパッド類及び衛生材料製造時に発生する高吸水性樹脂を含む紙粉である。
【0032】
本発明において、不織布は、坪量が18g/mの不織布を基準として、不織布1平方メートルあたり0.1グラム以上のお茶の乾燥物を含有するので、お茶の乾燥物の作用により、汗等により湿っても、吸水性に優れ、且つ細菌の増殖が抑えられ、長時間に亙って、衛生的な状態を保つことができる。
本発明は、このように、缶入り若しくはパック入りのウーロン茶、紅茶又は緑茶等のお茶の製造業において多量に発生する烏龍茶、紅茶又は緑茶の茶殻に含有されている廃棄上有害とされる成分を活用して、衛生状態が、汗等により湿っても、長時間に亙って良好な状態に保つことができる不織布を提供することができる。
また、本発明においては、廃物を利用して製造した一種以上のお茶の濃縮液を、不織布の一方の面に塗布し、前記濃縮液が塗布された不織布を乾燥して、前記お茶の乾燥物を含有する不織布を製造するので,使用時における衛生状態が顕著に良好な不織布を、廃物を利用して、比較的廉価に製造することができる。
【実施例】
【0033】
以下、図を参照して、本発明の実施の態様の例を説明するが、本発明は、以下の説明及び例示によって何等制限されるものではない。
図1は、本発明の一実施例の湿式不織布製造工程の円網抄造方式による不織布の製造工程の概略を示す模式的工程図である。
【0034】
図1に示す実施例において、有機繊維の例えばプラスチック繊維及び接着剤等の不織布の抄造用希薄懸濁液1が流入する抄造槽2内には、その中で回転可能に円網3が設けられている。抄造時、この抄造槽2内で回転する円網3にプラスチック繊維が吸引されて、円網3上にウエブ(薄層)4が形成される。本例においては、前記円網3上には、エンドレスの第一毛布5が掛け渡されて、その円網3の下流側にクーチロール6が設けられている。抄造槽2内で抄造されて円網上に形成された薄層4は、クーチロール6により圧搾され、また吸引されて第一毛布5上に移り、不織布層7を形成する。第一毛布5は、さらに吸引箱8及びプレスロール9に掛け渡され、案内ロール10に案内されて、円網3に至る循環路を形成している。クーチロール6により第一毛布5上に形成された不織布層7は、第一毛布5と共に、案内ロール10に案内されて移動する間に、吸引箱8の吸引作用により脱水される。
【0035】
吸引箱9で脱水された不織布層7は、プレスロール9上にピックアップロール11が設けられている個所に送られ、ここで、プレスロール9及びピックアップロール11により、圧搾されて脱水される。圧搾脱水された湿った不織布12は、ピックアップロール11の吸引作用により、第一毛布5から引き離されて、ピックアップロール11、案内ロール13及びタッチロール14に掛け渡されている第二毛布15に移される。この湿った不織布12は、第二毛布15と共に移動して、タッチロール14の上方に回転可能に設けられている大径の乾燥筒16に送られ、ここで乾燥されて、不織布17を形成する。本例において、お茶の濃縮液の噴霧器18は、乾燥筒16で乾燥される直前の湿った不織布12に噴霧するように、ピックアップロール11の後方に設けられている噴霧箇所19に向けて設けられている。本例において、お茶の濃縮液は、噴霧器18の複数のノズル(一つのノズルを模式的に示すのみで、他のノズルは図示されていない)から噴霧個所19上で第二毛布15上の湿った不織布12に噴霧される。お茶の濃縮液が噴霧された湿った不織布12は、タッチロール14により第二毛布15から離されて乾燥筒16に巻き取られて移動し乾燥される。本例において、お茶の濃縮液の噴霧個所18に送られる湿った不織布12は水分含有率が約60重量%であった。
【0036】
本例において、第一毛布5は、不織布層7が分離された後,複数の洗浄水噴射ノズル20を備えてワイヤパート側にある第一清浄化工程21に送られ、清浄水により清浄にされて、クーチロール6に送られる。本例において、第一清浄化工程21には、その前後に一対のプレスロール22及び23が設けられており、第一毛布5は、先ず、第一清浄化工程21に対し上流側のプレスロール22により脱水されて第一清浄化工程21に送られて、洗浄液噴射ノズル20から洗浄液が噴射され、次いで第一清浄化工程21に対し下流側のプレスロール23で脱水されて、クーチロール6に送られる。ワイヤパート側の第一毛布5の第一清浄化工程21には張力調整ロール24が設けられており、この張力調整ロール24により、第一清浄化工程20を通る第一毛布5の張力を調整する。
【0037】
本例において、ドライパート側には、一対のプレスロール25が設けられている。ピックアップロール11から送られ、湿った不織布12を搬送するドライパート側の第二毛布15は、タッチロール14で湿った不織布12が乾燥筒16により分離され、分離された湿った不織布は、乾燥筒16で乾燥される。一方、不織布が分離された第二毛布15は、プレスロール25に送られて、加圧脱水されて再びピックアップロール11に送られる。ドライパート側の第二毛布14には張力調整ロール26、27及び28が設けられており、不織布送りの毛布の張力が調整することができる。
【0038】
本例の抄造装置は、以上のように構成されているので、抄造槽2内に配置され、矢印29の方向に回転する円網3に繊維が吸引されて、円網3上に薄層(ウエブ)4が形成される。この円網3上に形成された薄層4は、矢印30の方向に回転するクーチロール6に接して吸引され、矢印31の方向に移動する第一毛布5に載せられて、案内ロール10から吸引箱8に送られて、吸引脱水される。吸引箱8で吸引脱水された薄層4は、矢印32の方向に回転するプレスロール9に送られて、矢印33の方向に回転するピックアップロール11に接して、ピックアップロール11により吸引されながら、圧搾脱水されて、湿った不織布となり、ピックアップロール11に吸引されて、プレスロール9から引き離される。プレスロール9から引き離された湿った不織布は、ピックアップロール11から、矢印35の方向に移動する第二毛布15により搬送されて、お茶の濃縮液の噴霧箇所19に送られる。お茶の濃縮液の噴霧箇所19に送られた湿った不織布は、そこで、お茶の濃縮液の噴霧器からお茶の濃縮液が噴霧され、お茶の濃縮液が噴霧された湿った不織布は、第二毛布15により搬送されて、タッチロール14に至り、矢印35の方向に回転する乾燥筒16に巻き取られて、乾燥筒16で加熱乾燥されて不織布17となり乾燥筒から取出されて、巻き取られる。一方、湿った不織布が乾燥筒16に巻き取られた第二毛布15は、矢印34の方向に移動して、プレスロール25により脱水されて、再度、ピックアップロール11に送られる。
【0039】
本例においては、お茶の乾燥物を不織布に含有させる事例であり、お茶の濃縮液を湿った不織布に噴霧しているが、複数のお茶の乾燥物を不織布に含有させる場合には、複数のお茶の濃縮液を、混合液の形で、同時に噴霧してもよく、又は複数のお茶の濃縮液を、不織布に別々に噴霧してもよい。
【0040】
例1
緑茶の茶葉2kgに25リットルの水を加え加熱し95℃の沸騰水で10分間浸煮立てて、全量を遠心分離器に掛けて、緑茶の抽出残渣(茶殻)を遠心分離して、溶解物質濃度がBrix4.8%の緑茶抽出液19リットルを得た。この抽出液を、緑茶抽出液採集槽に入れた。
【0041】
例2
緑茶の茶葉2kgに21リットルの水を加え加熱し95℃の沸騰水で10分間浸煮立てて、全量を遠心分離器に掛けて、緑茶の抽出残渣(茶殻)を遠心分離して、溶解物質濃度がBrix4.0%の緑茶抽出液15リットルを得た。この抽出液を、例1の緑茶抽出液が入れられている緑茶抽出液採集槽に加えた。
【0042】
例3
緑茶の茶葉2kgに21リットルの水を加え加熱し95℃の沸騰水で10分間浸煮立てて、全量を遠心分離器に掛けて、緑茶の抽出残渣(茶殻)を遠心分離して、緑茶抽出液15リットルを得た。この抽出液を、例1及び例2の緑茶抽出液が入れられている緑茶抽出液採集槽に加えた。緑茶抽出液採集槽に入れた緑茶抽出液は、合計で49リットルであり、その緑茶の溶解物質濃度はBrix5%であった。
本例の緑茶の濃縮液についての抗菌力試験によると、48時間後及び72時間後において、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属、レンサ球菌及びレジオネラ属の細菌について細菌の増殖抑制効果がみられた。
この緑茶抽出液の濃縮液の分析試験項目及び測定結果は次のとおりであった。
表1.分析試験項目 分析結果
タンパク質 0.3g/100g
脂質 0.1g/100g
灰分 0.5g/100g
無水カフェイン 0.27g/100g
リン 19.0mg/100g
鉄 0.39mg/100g
カルシウム 34.5mg/100g
カリウム 209mg/100g
ナイアシン 0.80mg/100g
タンニン(タンニン酸として) 1.37g/100g
カテキン 50mg/100g
ケルセチン 2.0mg/100g
亜鉛 245g/
なお、市販飲料の緑茶における緑茶の溶解物質濃度はBrix0.2%であった。
【0043】
例4
例3で調製した緑茶の濃縮液を、不織布への噴霧用の緑茶の濃縮液した。この不織布噴霧用の緑茶の濃縮液を、不織布製造工程において、ピックアップロールでドライパート側に移された湿った不織布(含水率60%)に、不織布1mあたり7mlの割合で噴霧した。緑茶の濃縮液が噴霧された不織布は乾燥筒で乾燥された。乾燥して得られた不織布は、緑茶の乾燥物を、不織布1mあたり0.28g含有していた。
【0044】
例5
紅茶の茶葉3kgに30リットルの水を加え加熱し96℃の沸騰水で15分間煮立てて、この煮立てた液の全量を遠心分離器に掛けて、紅茶の抽出残渣(紅茶の茶殻)を遠心分離し、ここで得られた紅茶の溶解物質濃度Brix4.0%の第一紅茶抽出液を紅茶抽出液採集槽に入れ、次いで、新しい紅茶の茶葉2kgに21リットルの水を加え加熱し96℃の沸騰水で15分間煮立てて、煮立てた液の全量を遠心分離器に掛けて、紅茶の抽出残渣を遠心分離し、ここで得られた第二紅茶抽出液を、前記紅茶抽出液採集槽の第一紅茶抽出液に加え、さらに、新しい紅茶の茶葉3kgに30リットルの水を加え加熱し96℃の沸騰水で10分間煮立てて、煮立てた液の全量を遠心分離器に掛けて、紅茶の抽出残渣を遠心分離し、ここで得られた第三紅茶抽出液を紅茶抽出液採集槽中の第一及び第二紅茶抽出液に加えて、紅茶抽出液採集槽に、紅茶の溶解物質濃度がBrix5%の紅茶抽出液50リットルを得た。
本例の紅茶の濃縮液についての抗菌力試験によると、48時間後及び72時間後において、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌及びレジオネラ属の細菌について細菌の増殖抑制効果がみられた。
この紅茶抽出液の分析試験項目及び測定結果は次のとおりであった。
表2.分析試験項目 分析結果
タンパク質 0.4g/100g
脂質 0.2g/100g
灰分 0.5g/100g
無水カフェイン 0.27g/100g
脂質 0.2g/100g
灰分 0.5g/100g
リン 19.0mg/100g
鉄 0.12mg/100g
カルシウム 3.5mg/100g
カリウム 201mg/100g
ナイアシン 0.69mg/100g
タンニン(タンニン酸として) 1.29g/100g
カテキン 15mg/100g
ケルセチン 4.4mg/100g
亜鉛 535μg/100g
なお、市販飲料の紅茶における紅茶の溶解物質濃度はBrix0.8%であった。
【0045】
例6
例5で調製した紅茶の濃縮液を、不織布への噴霧用の緑茶の濃縮液した。この不織布噴霧用の紅茶の濃縮液を、不織布製造工程において、ピックアップロールでドライパート側に移された湿った不織布(含水率60%)に、不織布1mあたり7mlの割合で噴霧した。紅茶の濃縮液が噴霧された不織布は乾燥筒で乾燥された。乾燥して得られた不織布は、紅茶の乾燥物を、不織布1mあたり0.28g含有していた。
【0046】
本発明において、お茶の濃縮液を不織布に塗布し、このお茶の濃縮液が塗布された不織布を乾燥することにより製造するので、お茶の乾燥物を不織布に含有させるのに、お茶の塗布量を少なくできる。本発明の不織布には、お茶の乾燥物が含有されているので、汗等の臭いが抑制され、発汗による湿り、及び細菌の増殖を抑えることができ、長時間に亙って、消炎作用を保ち、また衛生的に良好な状態を保つことができる衛生用品を提供することができる。そして本発明は、缶入り及びパック入りのお茶、例えば、缶入り及びパック入りのウーロン茶、緑茶、紅茶等のお茶の製造時に発生する、例えば残留廃液を含む茶殻を、お茶の乾燥物を提供する原料とすることができて、有効に活用することができる。
【0047】
本発明においては、お茶の乾燥物を不織布に含有させて、不織布の使用時における細菌の増殖を比較的少ない費用で抑制することができ、しかも、大量に排出される茶殻や茶殻から滲出する茶殻残留排液を有効に利用することができる。
したがって、本発明によると、茶殻から、タンニン等が分離除去されるので、廃棄可能であり、しかも、従来、残留廃液のタンニン等の成分により有効に使用することができなかった茶殻を、有効に活用することができ、活性汚泥処理等による茶殻処理を必要としないで済むこととなり、缶入り又はパック入りお茶等の飲料製造工場において、抽出残渣処理工程を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例の湿式不織布製造工程の円網抄造方式による不織布の製造工程の概略を示す模式的工程図である。
【符号の説明】
【0049】
1 プラスチック繊維の希薄懸濁液
2 抄造槽
3 円網
4 薄層
5 第一毛布
6 クーチロール
7 不織布層
8 吸引箱
9 プレスロール
10 案内ロール
11 ピックアップロール
12 湿った不織布
13 案内ロール
14 タッチロール
15 第二毛布
16 乾燥筒
17 不織布
18 噴霧器
19 噴霧箇所
20 洗浄水噴射ノズル
21 第一清浄化工程
22、23及び25 プレスロール
24、26、27、及び28 張力調整ロール
29、30、32、33及び35 回転方向
31及び34 移動方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機繊維廃材、有機質の廃棄物若しくは繊維質の廃棄物、又は有機繊維廃材、有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物の中の二種以上を含有し、これに、坪量が18g/mの不織布を基準として、不織布の1平方メートルあたり0.1グラム以上のお茶の乾燥物を含有して形成されていることを特徴とする不織布。
【請求項2】
有機繊維が、綿、羊毛、パルプ、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ビスコースレーヨン繊維若しくはキュプラレーヨン繊維、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
有機繊維廃材が、綿廃材、羊毛廃材、パルプ廃材、ポリプロピレン繊維廃材、ポリエチレン繊維廃材、ナイロン繊維廃材、ビニロン繊維廃材、ポリエステル繊維廃材、ビスコースレーヨン繊維廃材若しくはキュプラレーヨン繊維廃材、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項1又は2に記載の不織布。
【請求項4】
繊維質の廃棄物が、機械パルプ廃材、化学パルプ廃材、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ廃材、木材パルプ廃材、古紙パルプ廃材、木材屑、鉋屑、木粉、家屋の解体材、新築廃材、紙粉、チタン紙廃材、パンチ屑、衛生用品廃棄物の分級産物のフラッフパルプ、吸水性繊維廃材、吸水性樹脂廃材、吸水性樹脂を含む紙粉、製本時に発生する紙粉、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉若しくは衛生材料製造時に発生する紙粉、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項5に記載の不織布。
【請求項5】
有機質の廃棄物が、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、便座シート廃材、おむつ廃材、紙おむつ廃材、動物用紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用吸水体廃材若しくは野菜輸送用吸水体廃材、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項3に記載の不織布。
【請求項6】
不織布が、界面活性剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の不織布。

【請求項7】
湿式法又は乾式法で製造され、有機繊維、有機繊維廃材、有機質の廃棄物若しくは繊維質の廃棄物又は有機繊維、有機繊維廃材有機質の廃棄物及び繊維質の廃棄物の中の二以上を含有し、これにさらに高吸水性樹脂を含有する不織布に、お茶の濃縮液を塗布し、乾燥することにより、坪量が18g/mの不織布を基準として、不織布の1平方メートルあたり0.1グラム以上のお茶の乾燥物を含有させることを特徴とする不織布の製造方法。
【請求項8】
有機繊維が、綿、羊毛、パルプ、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ビスコースレーヨン繊維若しくはキュプラレーヨン繊維、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項7に記載の不織布の製造方法。
【請求項9】
有機繊維廃材が、綿廃材、羊毛廃材、パルプ廃材、ポリプロピレン繊維廃材、ポリエチレン繊維廃材、ナイロン繊維廃材、ビニロン繊維廃材、ポリエステル繊維廃材、ビスコースレーヨン繊維廃材若しくはキュプラレーヨン繊維廃材、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項7に記載の不織布の製造方法。
【請求項10】
有機質の廃棄物が、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材、おむつ廃材、紙おむつ廃材、便座シート廃材、動物用紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、動物用生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、鮮魚輸送用吸水体廃材若しくは野菜輸送用吸水体廃材、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項7に記載の不織布の製造方法。
【請求項11】
繊維質の廃棄物が、機械パルプ廃材、化学パルプ廃材、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ廃材、木材パルプ廃材、古紙パルプ廃材、木材屑、鉋屑、木粉、家屋の解体材、新築廃材、紙粉、チタン紙廃材、パンチ屑、衛生用品廃棄物の分級産物のフラッフパルプ、吸水性繊維廃材、吸水性樹脂廃材、吸水性樹脂を含む紙粉、製本時に発生する紙粉、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉若しくは衛生材料製造時に発生する紙粉、又はこれらの中の二種以上のものを包含することを特徴とする請求項7に記載の不織布の製造方法。
【請求項12】
不織布が界面活性剤を含有していることを特徴とする請求項7に記載の不織布の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2008−223218(P2008−223218A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117926(P2008−117926)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【分割の表示】特願2004−242873(P2004−242873)の分割
【原出願日】平成13年2月15日(2001.2.15)
【出願人】(000148977)株式会社大貴 (43)
【Fターム(参考)】