説明

不織布表面の製造方法

本発明は、不織布表面の新規な製造方法に関する。より具体的には、本発明は、シートの形で配置される連続フィラメントの直接溶融紡糸により不織布表面を製造するための方法に関する。この方法は、帯電の形成を防止し又は紡糸工程中にこれらを除去するのに十分な導電性を有する熱可塑性重合体を基材とする組成物を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布表面の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、シートの形に配置された連続フィラメントの直接溶融紡糸方法による不織布表面を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布表面は、例えば表面被覆の製造のような多数の用途に幅広く使用されている。これらの表面は、結合を可能にする物質を有利に含む液体中に繊維を懸濁させることからなる湿式方法のようないくつかの方法に従って得られる。これらの繊維を集合表面上に集めてシートを作り、これを圧延し、そして乾燥させて不織布表面を形成させる。
【0003】
また、使用される別の方法は、「乾式手段方法」とも呼ばれる。この方法は、ウェブに形成される切断繊維及び梳毛繊維でシートを形成し、次いで該シートを粘着力を与えるように処理することからなる。この乾式手段によって、連続ストランド又は連続フィラメントからシートを製造することも可能である。
【0004】
しかしながら、連続ストランド又は連続ストランドの場合には、最も広く使用されている方法は、「直接紡糸」方法と呼ばれる溶融紡糸方法である。
【0005】
この方法は、1種以上の重合体を1個以上の紡糸口金から押し出していくつかのフィラメントを製造し、これらのフィラメントを空気圧手段によって繊細化し、そして集合表面上に付着させてシートを形成させることからなる。このシートは、樹脂又は熱接着剤による含浸のような様々な方法に従って結束化させることができる。この場合には、いくつかのフィラメントは、その他のフィラメントよりも低い融点及び軟化点を有する重合体から製造される。次いで、該シートの熱処理によって結束性が得られる。
【0006】
良好な特性及び均質性を示すシートを得るためには、第一に、集合表面上での連続フィラメントの均一な分布を得ること、及び第二に、付着したフィラメントが均質的な特徴及び特性を示すことが必須である。
【0007】
連続直接紡糸方法では、均質な連続フィラメント又はストランド及び後者の均一な分布を生じさせることは困難である。というのは、それぞれの紡糸口金から出た個々のフィラメントは、互いに集まってマルチフィラメントストランドになるからである。これらのフィラメントの収束は、空気圧によりもたらされる。しかしながら、米国特許第4758134号に特定されているように、これらのフィラメント上に帯電が生じ、その結果としてフィラメントの散乱が生じ、そしてこの方法を正確に続行させことが妨げられる。この特許は、帯電の有害な影響を制限するために、この操作を湿潤な雰囲気で実施することを提供している。また、この解決法は、特に、使用される重合体が、例えばポリアミドのように湿気に敏感な場合には、不利益を示す。
【特許文献1】米国特許第4758134号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の一つは、特に、熱可塑性重合体を基材とする組成物であって帯電の破壊的な影響を防止することを可能にする導電特性を示すものの使用を提供することによってこれらの不利益を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、熱可塑性重合体を基材とする組成物を複数の紡糸口金であっていくつかの紡糸オリフィスをそれぞれ含むものに送り、次いで、得られたフィラメントを空気圧式繊細化装置と繊細化された連続フィラメントをシートに成形する工程とに送ることを含む該組成物のフィラメントの直接溶融紡糸による不織布表面の製造方法において、
該紡糸口金に送られる該熱可塑性重合体を基材とする組成物は、次の一般式:
【化1】

(式中、
1、R2、R3及びR4は同一又は異なるものであり、2〜18個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素鎖を表し、
5は、400〜200000の分子量を有するポリエーテル基を表し、
A及びBはCO、NH又はO基を表し、ここで、AがCOを表すときにはBはNH又はOを表し、BがCOを表すときにはAはNH又はOを表す。)
に相当する反復単位を含む重合体マトリックス及び/又は変性用高分子添加剤を含み、しかも
該重合体マトリックスは、該変性用添加剤が存在しないとき又は式III若しくはIVの反復単位を含まないときには、該反復単位I又はIIの少なくとも一つ及び反復単位III又はIVの少なくとも一つを含むことを特徴とする、不織布表面の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
有利には、これらの組成物は、1×10-9S/cm以上、好ましくは5×10-9S/cm〜5×10-8S/cmの体積導電率を示す。しかしながら、上の範囲とは異なる体積導電率、例えば、1×10-9S/cm未満を示す組成物も本発明のために好適である。
【0011】
このフィラメントの製造方法は、それぞれのフィラメントを空気圧式繊細化装置に送り又はフィラメントの群を纏めていくつかのマルチフィラメントストランドを形成させ、該ストランドを空気圧式繊細化装置に送り、次いで集合表面上に配置してシートを形成させることを含むことができる。
【0012】
これらのフィラメントは導電性重合体組成物から作られるため、紡糸口金とシートに形成する工程との間で該フィラメントの表面で生じる帯電は非常に迅速に除去される。したがって、該フィラメントは、互いに平行な状態を保持し、しかもシートに成形される前にそれらの前方進行経路から分散及び逸脱することなく該装置を通じてこれに沿って運ばれることができる。また、本発明の組成物は、これらの帯電の形成を限定し、しかしてフィラメントの分散の影響又は紡糸及びシート製造用の装置の金属壁部に該フィラメントが付着する影響を限定することも可能にする。用語「導電性重合体」又は「導電性組成物」とは、非変性重合体又は組成物の導電性よりも大きい導電性を与える構造又は成分を有する重合体又は組成物を意味すると理解すべきである。しかしながら、導電性のレベルは低いままであるため、特にこれらの重合体又は組成物の形成中に形成され得る帯電を除去することを可能にする。
【0013】
本発明のために好適な熱可塑性重合体は、有利には、ポリアミド及びポリエステルの類に属する熱可塑性重合体である。本発明の方法のために好適なポリエステルとしては、二酸とジオール単量体(該ジオールは、グリコール、ブタンジオール又はプロパンジオールのようなアルキレンジオールとポリオキシアルキレンジオールとの混合物からなる)との重合によって得られる導電性ポリエステルが挙げられる。
【0014】
特に本発明の第1の具体例のために好適な熱可塑性ポリアミドとしては、慣用の二酸、ジアミン又はラクタム単量体の重合によって得られるコポリアミドが挙げられる。しかしながら、特定の構造を有する単量体は、慣用の単量体に添加される。これらの単量体は、有利には、それらの構造内にエーテル架橋を有し、しかも好ましくはポリオキシアルキレン鎖を含みかつアミン、酸又はヒドロキシル官能基のような他の単量体の官能基よりも先に反応する末端官能基を有する化合物である。アミン官能基を含むこのような化合物は、特に、商品名Jeffamineの下にハンストマン社によって販売されている。
【0015】
本発明の第1の好ましい具体例によれば、熱可塑性重合体は、有利には、ナイロン6,6又はナイロン6のような慣用のポリアミドの導電性の増大を得ることを可能にするポリオキシアルキレン鎖を有する反復単位を含むコポリアミドである。
【0016】
したがって、本発明の第1の具体例の熱可塑性重合体は、一般式I又はII及びIII又はIVに相当する反復単位を含むコポリアミドである。
【0017】
式Iの反復単位は、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、デカン二酸、ドデカン二酸及びそれらの混合物よりなる群から選択される二酸と、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン及びそれらの混合物よりなる群から選択されるジアミンとの間の重合反応の生成物に相当する。このリストは完全なものではなく、他の二酸又はジアミンも使用できる。式IIの反復単位は、カプロラクタム、アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸及びそれらの混合物よりなる群から選択されるラクタム又はアミノ酸の重縮合生成物に相当する。同様に、このリストは完全なものではなく、他のラクタム又はアミノ酸も使用できる。
【0018】
有利には、式III及び/又はIVの反復単位の重量濃度は、総反復単位又は重合体の総重量の0.5〜5重量%である。
【0019】
上の定義に相当する導電性ポリアミドは、例えば、国際公開WO94/23101号パンフレットに開示されている。これらのポリアミドは、特に、主要な慣用の単量体として、例えば、カプロラクタム、アミノウンデカン酸又はアミノドデカン酸のようなラクタム又はアミノ酸を使用することによって得られる。また、導電性熱可塑性ポリアミドは、例えばナイロン6,6の製造のために使用される慣用の重合方法に従い、ヘキサメチレンジアミンのようなジアミンとアジピン酸のような二酸とを触媒の存在下又は非存在下で重合させることによって得ることもできる。本発明によれば、ポリオキシアルキレンジアミン単量体は、所望の重合度を得るために、ジアミン若しくは二酸単量体又は二酸及びジアミン単量体によって形成される塩と共に開始前に、又は、例えば、重合体を真空下に置く工程の前又はその間のような重合プロセス中に重合媒体に添加される。この第1の具体例では、該組成物は、主として又は唯一の成分として導電性熱可塑性重合体を含む。勿論、熱安定剤、重合体の耐老化性を改善させるための添加剤、例えばUV安定剤、顔料、染料、艶消し剤などのような通常の添加剤も存在し得る。
【0020】
本発明の第2の具体例では、熱可塑性重合体を基材とする組成物は、熱可塑性重合体と、該組成物の導電性を改善させることが可能な変性用高分子添加剤とを含む。この添加剤は、その構造内に少なくとも1種のポリオキシアルキレン鎖を含む。この添加剤は、以下、本明細書において、さらに明瞭かつ簡潔にするために、「導電性添加剤」という。
【0021】
この本発明の第2の具体例の別の特徴によれば、該組成物中の変性用高分子添加剤の濃度は、組成物の総重量に対して1重量%〜30重量%、有利には1重量%〜15重量%である。
【0022】
本発明の別の特徴によれば、該変性用高分子添加剤は、重合体マトリックスの溶融粘度よりも有利に低い溶融粘度を示す。したがって、該組成物を形成する工程中に、特に溶融紡糸中に、該添加剤はストランドの表面に移動する。該ストランドの表面特性、特にその導電性は改質される。
【0023】
この本発明の第2の具体例の組成物は、有利には、熱可塑性重合体と変性用高分子添加剤及び随意に上に列挙したような他の添加剤とをブレンドすることによって得られる。このブレンドは、任意の慣用の方法によって実施できる。好ましい方法の一つは、1個以上のスクリューを含むエンドレススクリューでこれらの成分をブレンドし、そして紡糸口金から押し出してレースを形成させることである。その後、このレースを切断して所望の寸法及び所望の重量を有する顆粒を製造する。これらの顆粒を使用し、そして、随意に乾燥後、不織布表面を紡糸しそして製造するために工場に送る。
【0024】
しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、純粋な又は主重合体(マスターバッチ)の濃縮溶液の形態の変性用高分子添加剤を、不織布を紡糸するために紡糸口金に送る直前に溶融熱可塑性重合体に添加することも可能である。
【0025】
第1の選択形態によれば、本発明に従う変性用高分子添加剤は、有利には、好ましくは組成物の熱可塑性重合体の構造に類似する性質の熱可塑性構造と、ポリオキシアルキレン鎖を含む構造とを含む。この熱可塑性構造は、ポリエステル構造又はポリアミド構造であることができる。
【0026】
変性用高分子添加剤として本発明の方法に好適なポリエステルとしては、二酸とジオール(該ジオールは、グリコール、ブタンジオール又はプロパンジオールのようなアルキレンジオールとポリオキシアルキレンジオールとの混合物からなる)との重合によって得られるコポリエステルが挙げられる。
【0027】
本発明の変性用高分子添加剤として好適なポリアミドとしては、慣用の二酸、ジアミン又はラクタム単量体の重合によって得られるコポリアミドが挙げられる。しかしながら、特定の構造を有する単量体がこの慣用の単量体に加えられる。これらの単量体は、有利には、それらの構造内にエーテル架橋を有し、そして好ましくは、ポリオキシアルキレン鎖を含みかつ、例えば、アミン、酸又はヒドロキシル官能基のような他の単量体の官能基よりも先に反応する末端官能基を有する化合物である。アミン官能基を含むこのような化合物は、特に商品名Jeffamineの下にハンストマン社により販売されている。
【0028】
導電性又は変性用高分子添加剤は、次式:
【化2】

(式中、
1、R2及びR3は、同一又は異なるものであり、そして2〜18個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素鎖を表し、
5は400〜200000の分子量を有するポリエーテル基を表し、
BはCOOH、NH2又はOH官能基を表す。)
の単量体を単官能性連鎖制限化合物の存在下で重合させることによって得られる。添加剤の溶融粘度を制御しかつ熱可塑性重合体とのブレンドの際にその反応性を限定するために、重合は、重合体の既知の製造方法に従ってそれらの鎖の長さを制限する単官能性化合物の存在下で実施される。単官能性化合物としては、単官能性の酸及び単官能性のアミンが挙げられる。例えば、酢酸、プロピオン酸及びベンジルアミンが好ましい化合物である。
【0029】
有利には、単量体の混合物中における式VIIIの単量体の重量濃度は、全単量体の1〜20重量%、有利には1重量%〜10重量%である。
【0030】
上の定義に相当するポリアミドは、例えば、国際公開WO94/23101号パンフレットに開示されている。これらのポリアミドは、特に、主な慣用の単量体として、例えばカプロラクタム、アミノウンデカン酸又はアミノドデカン酸のようなラクタム又はアミノ酸を使用することによって得られる。
【0031】
本発明の第2の具体例の第2の選択形態では、変性用高分子添加剤、すなわち導電性添加剤は、有利には、
・少なくとも1個の熱可塑性ブロックと、
・少なくとも1個のポリオキシアルキレンブロックと
からなる化合物である。
【0032】
より具体的には、この化合物は、
・少なくとも1個の多官能性コアであって少なくとも3個の同一の反応性官能基を含むものと、該コアに結合した熱可塑性重合体の少なくとも1個の分岐又は少なくとも1個のセグメントとを含む星形又はH形マクロ分子鎖、及び/又は、二官能性コアと、該コアに結合した熱可塑性重合体の少なくとも1個のセグメントとを含む直鎖状マクロ分子鎖によって形成された少なくとも1個の熱可塑性重合体ブロック、並びに
・該熱可塑性重合体ブロックの反応性末端の少なくとも一部分に結合した少なくとも1個のポリオキシアルキレンブロック
を含む。この導電性化合物は、特に国際公開WO03/002668号パンフレットに開示されている。
【0033】
したがって、この化合物は、熱可塑性重合体ブロック及び少なくとも1個のポリオキシアルキレンブロックを含む:
・該熱可塑性重合体ブロックは、
少なくとも1個の多官能性コアであって少なくとも3個の同一の反応性官能基を含むものと、該コアに結合した熱可塑性重合体の少なくとも1個の分岐又は少なくとも1個のセグメントとを含む星形又はH形マクロ分子鎖、及び/又は、二官能性コアと、該コアに結合した熱可塑性重合体の少なくとも1個のセグメントとを含む直鎖状マクロ分子鎖
を含み、
・該ポリオキシアルキレンブロックは、
熱可塑性重合体の分岐又はセグメントの末端及び多官能性コアの末端から選択される星形又はH形マクロ分子鎖の少なくとも1個の遊離末端がポリオキシアルキレンブロックに結合し、
熱可塑性重合体セグメントの末端及び二官能性コアの末端から選択される直鎖状マクロ分子鎖の少なくとも1個の遊離末端がポリオキシアルキレンブロックに結合し、ここで、該直鎖状のマクロ分子鎖の2個の遊離末端は、該熱可塑性重合体ブロックがもっぱら直鎖タイプのマクロ分子鎖を含むときにポリオキシアルキレンブロックに結合した
状態で該熱可塑性重合体ブロックの遊離末端の少なくとも一部分に結合している。
【0034】
好ましい具体例では、この化合物は、星形ポリアミド構造を有する。この星形ポリアミドは、
(a)アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3個の同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
(b)次の一般式(Xa)及び/又は(Xb):
【化3】

の単量体、
(c)適切な場合には、次の一般式(IX):
Z−R6−Z (IX)
(式中、
・Zは、多官能性化合物の反応性官能基と同一の官能基を表し、
・R12及びR6は同一又は異なるものであり、置換又は非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基であって、2〜20個の炭素原子を含み、かつ、ヘテロ原子を含むことができるものを表し、
・Yは、Xがカルボン酸官能基を表すときには第一アミン官能基であり、又は
・Yは、Xが第一アミン官能基を表すときにはカルボン酸官能基である。)
の単量体
を含む単量体の混合物から共重合により得られる。
【0035】
用語「カルボン酸」とは、カルボン酸及びそれらの誘導体、例えば、酸無水物、酸塩化物、エステルなどを意味するものとする。用語「アミン」とは、アミン及びそれらの誘導体を意味するものとする。
【0036】
これらの星形ポリアミドを製造するための方法は、仏国特許第2743077号及び同2779730号に開示されている。これらの方法は、星形マクロ分子鎖を、恐らくは直鎖状マクロ分子鎖との混合物として形成させる。
【0037】
また、この星形ポリアミドは、例えばエンドレススクリューブレンド装置において、ラクタム及び/又はアミノ酸の重合によって得られるタイプのポリアミドと、アミン又はカルボン酸官能基から選択される少なくとも3個の同一の反応性官能基を含む多官能性化合物とを溶融ブレンドすることによって得ることもできる。このポリアミドは、例えば、ナイロン6である。
【0038】
このような製造方法は、欧州特許第0682070号及び同0672703号に開示されている。
【0039】
本発明の第1の主題の星形又はH形マクロ分鎖源の単量体である多官能性化合物は、樹木状又は樹状構造を有する化合物から選択できる。また、これらのものは、次式(XI):
【化4】

(式中、
・R11は、芳香族又は脂肪族の直鎖状又は環状炭化水素基であって、少なくとも2個の炭素原子を含み、かつ、ヘテロ原子を含むことができるものであり、
・Qは、共有結合又は1〜6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基であり、
・Z1は、第一アミン基又はカルボン酸基を表し、
・mは3〜8の整数である。)
によって表される化合物からも選択できる。
【0040】
本発明の具体的な特徴によれば、R11基は、4価のシクロヘキサノニル基のような脂環式基又は1,1,1−プロパントリイル若しくは1,2,3−プロパントリイル基のいずれかである。
【0041】
本発明のために好適な他のR11基としては、例示として、置換又は非置換の3価フェニル及びシクロヘキサニル基、有利には2〜12個のメチレン基数を有する3価のジアミノポリメチレン基、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)から誘導される基、8価のシクロヘキサノニル又はシクロヘキサジノニル基、及びグリコール、ペンタエリトリット、ソルビット又はマンニットのようなポリオールとアクリロニトリルとの反応によって得られる化合物から誘導される基が挙げられる。
【0042】
Q基は、好ましくは、エチレン、プロピレン若しくはブチレン基のようなメチレン又はポリメチレン基、或いはポリオキシエチレン基のようなポリオキシアルキレン基である。
【0043】
本発明の特定の具体例によれば、数mは3以上、有利には3又は4に等しい。
【0044】
記号Z1によって表される多官能性化合物の反応性官能基は、アミド官能基を形成できる官能基である。多官能性化合物の例としては、2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、次式:
【化5】

のジアミノプロパン−N,N,N',N'−四酢酸、又はトリメチロールプロパン若しくはグリセリンとプロピレンオキシドとの反応及び末端ヒドロキシル基のアミノ化によって得られる化合物が挙げられる。後者の化合物は、商品名Jeffamines T(商標)の下でハンストマン社により販売されており、しかも一般式として:
【化6】

(式中、
・R11は、1,1,1−プロパントリイル又は1,2,3−プロパントリイル基を表し、
・Qはポリオキシエチレン基を表す。)
を有する。
【0045】
好適な多官能性化合物の例は、特に、米国特許第5346984号、同5959069号、国際公開WO96/35739号パンフレット及び欧州特許第672703号に言及されている。
【0046】
より具体的には、ニトリロトリアルキルアミン、特にニトリロトリエチルアミン、ジアルキレントリアミン、特にジエチレントリアミン、トリアルキレンテトラアミン及びテトラアルキレンペンタアミン(アルキレンは好ましくはエチレンである)及び4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンが挙げられる。
【0047】
また、次式:
(R102N−(CH2n2−N−(CH2x−N−((CH2n−NR1022
(式中、
10は水素原子又は−(CH2n−NR72基であり、ここで、
7は水素原子又は−(CH2n−NR82基であり、ここで、
8は水素原子又は−(CH2n−NR92基であり、ここで、
9は水素原子又は−(CH2n−NH2基であり、
nは2〜6の整数であり、
xは2〜14の整数であり、
nは、好ましくは、3又は4に等しい整数、特に3であり、そしてxは、好ましくは2〜6(限界値を含む)、好ましくは2〜4(限界値を含む)、特に2に等しい整数である。)
のデンドリマーも挙げられる。それぞれのR10基は、独立して他のものから選択できる。R10基は、好ましくは水素原子又は−(CH2n−NH2基である。
【0048】
また、3〜10個のカルボン酸基、好ましくは3又は4個のカルボン酸基を有する多官能性化合物も挙げられる。これらのもののうち、芳香族及び/又は複素環式環を有する化合物、例えばベンジル、ナフチル、アントリル、ビフェニル及びトリフェニル基を有する化合物、或いはピリジン、ビピリジン、ピロール、インドール、フラン、チオフェン、プリン、キノリン、フェナントレン、ポルフィリン、フタロシアニン及びナフタロシアニンのような複素環式化合物が優先的に挙げられる。より具体的には、3,5,3',5'−ビフェニルテトラカルボン酸、フタロシアニン及びナフタロシアニンから誘導される酸、1,3,5,7−ナフタリンテトラカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、3,5,3',5'−ビピリジルテトラカルボン酸、3,5,3',5'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,3,6,8−アクリジンテトラカルボン酸、より具体的にはトリメシン酸及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸が優先的に挙げられる。
【0049】
また、多官能性化合物であってそのコアが対称点を示す複素環式化合物であるもの、例えば、1,3,5−トリアジン、1,4−ジアジン、メラミン、2,3,5,6−テトラエチルピペラジンから誘導される化合物、1,4−ピペラジン又はテトラチアフルバレンも挙げられる。より具体的には、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン(TACT)が挙げられる。
【0050】
好ましい具体例によれば、多官能性化合物は、2,2,6,6−テトラ(β−カルボキシエチル)シクロヘキサノン、トリメシン酸、2,4,6−トリ(アミノカプロン酸)−1,3,5−トリアジン及び4−アミノエチル−1,8−オクタンジアミンから選択される。
【0051】
本発明の星形又はH形マクロ分子鎖源の単量体の混合物は、連鎖制限剤、触媒又は添加剤、例えば光安定剤、熱安定剤又は艶消し剤のような他の化合物を含むことができる。
【0052】
この本発明の第2の具体例では、該組成物は、必須成分として、ポリアミド又はポリエステルのような慣用の熱可塑性重合体及び上記のような導電性添加剤を含む。
【0053】
好適な熱可塑性重合体としては、ナイロン6、ナイロン6,6、それらのブレンド及びコポリアミド、ナイロン12、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、それらのブレンド及びコポリエステルが挙げられる。
【0054】
第1の具体例について上に示したように、該組成物は、ストランド又は繊維の製造に慣用されている他の成分、例えば、熱安定剤、重合体の耐老化性を改善させるための添加剤、例えば、UV安定剤、顔料、着色剤、艶消し剤又は核剤を含むことができる。
【0055】
熱可塑性重合体から作られる組成物から形成される不織布物品は、溶融重合体組成物を1個以上の紡糸口金から押し出してフィラメントの集合体を形成させることからなる慣用方法によって製造される。このような方法は、特に、米国特許第3968307号、同4052146号、同4406850号、同4424257号、同4424258号、同4830904号、同5534339号、同5783503号、同5895710号、同6074590号及び同6207276号に開示されている。これらのフィラメントを空気圧により繊細化し、そして収集表面上に付着させてシートを形成させる。該シートのフィラメントの結合は、任意の既知の方法によって実施される。
【0056】
本発明の組成物により、紡糸口金から出たフィラメントは、互いに平行のままであり、かつ、繊細化後に均質な態様で及び均一な分布で表面上に付着できる。このため、当該フィラメント間ではいかなる反発も観察されず、しかして当該フィラメントの前方への進行方向からのいかなる逸脱も観察されない。
【0057】
本発明によれば、これらのフィラメントは、非常に多様な断面形状を示すことができる。
【0058】
さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる熱重合体から作られたフィラメント、特に2成分フィラメントを製造することが可能である。この場合には、該熱可塑性重合体の一つは、本発明に従う導電性を有する重合体でなければならない。
【0059】
本発明の他の利点及び詳細は、単なる例示でありかついかなる限定的な性質も有しない以下に与える実施例及びストランドの体積導電率を決定するための装置を示す図面に照らせば、より明らかになるであろう。
【実施例】
【0060】
例1
ナイロン6,6を、重合反応器中で、3149gの乾燥ナイロン塩(1分子のアジピン酸と1分子のヘキサメチレンジアミンとの間の化学量論的反応によって得られる塩)を2941gの水に0.21gの純粋な酢酸銅一水和物の粉末、99.5重量%の純度の7.56gの臭化カリウム及び98重量%の純度の3.96gのフェニルホスホン酸と共に添加することによって製造する。
この反応混合物を112℃まで加熱する。その後、1.2bar(絶対圧)の自己圧力を、120℃の温度が得られるまで、濃縮工程中の水の蒸留によりこの値で調節する。
その後、この反応混合物を、水の蒸留なしで215℃にまで加熱する。この温度で、該自己圧力は、17.5bar(絶対圧)に達し、そしてこれを230℃の温度が得られるまで加圧下で蒸留工程中での水の蒸留によってこの値に調節する。該反応混合物の温度が加圧下での蒸留工程中に220℃の値に達したときに、5重量%の水性二酸化チタン懸濁液13.6gを添加する。
230℃の温度に達したときに、圧力を減圧工程中に大気圧にまで低下させる。この終了時に、該反応混合物の温度は275℃の値に達する。
該反応混合物を仕上げ工程中に10分間にわたって275℃に維持する。その後、該重合体をレースの形に注型し、冷却し、そして該レースを切断することによって顆粒状にする。
得られた重合体Aの粘度数(これらの顆粒から決定される)は、140mL/gである。これは、ISO EN307の標準方法を使用することによって決定する。アミン末端基と酸末端基は、それぞれ、トリフルオルエタノール/クロロホルム(50/50容量)溶媒中での電位差測定により43及び76meq/kgで測定される。
【0061】
例2
本発明の第1の具体例に従う導電性コポリアミドを、例1の手順を使用して、3.57gの純粋なアジピン酸粉末をナイロン塩及び77.59gの70重量%JeffamineED2003又はXTJ−502水溶液の初期混合物に該反応混合物の温度が減圧工程中に260℃の値に達したときにさらに添加することによって製造する。さらに、仕上げ工程の所要時間は45分である。
得られた共重合体の粘度数(例1に記載された方法に従って決定される)は、139mL/gである。アミン末端基及び酸末端基は、それぞれ、トリフルオルエタノール/クロロホルム溶媒中での電位差測定によって43及び77meq/kgで測定される。
得られた共重合体Bは、一般式IIIに従う反復単位、すなわちJeffamine単量体を2重量%含む。
【0062】
例3
製造方法を例2と同様の方法で繰り返すが、この場合には、8.93gの純粋なアジピン酸の粉末及び193.98gの20重量%Jeffamine ED2003又はXTJ−502水溶液を導入する。
重合体の粘度数は125mL/gである。アミン末端基と酸末端基は、それぞれ、トリフルオルエタノール/クロロホルム溶媒中での電位差測定によって50/85meq/kgで測定される。
得られる共重合体Cは、一般式IIIに相当する反復単位、すなわちJeffamine単量体を5重量%含む。
【0063】
例4:変性用高分子添加剤Iの製造
反応を7.5リットルオートクレーブで実施する。1116.0gのε−カプロラクタム(9.86mol)、57.6gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(0.27mol)、1826.4gのJeffamine(商標)M2070(0.82mol)、1.9gのUltranox(商標)236及び3.5gの50%(w/w)次亜燐酸水溶液を反応器に導入する。該オートクレーブを乾燥窒素でパージする。該反応器を乾燥窒素による穏やかなフラッシング下で保持する。
この反応素材を20℃から200℃に徐々に加熱する。その後、該反応媒体の温度を250℃にする。次いで、この温度を反応終了時まで維持する。これらの条件下での1時間の定常段階の後に、この系を徐々に真空下に置いて5mbarの圧力を達成させ、次いでさらに1時間にわたって真空下で保持する。重合体を反応器から型に流し出す。
示差熱分析から、得られた重合体が205℃の溶融ピークを示すことが示された。
立体排除クロマトグラフィー(溶離剤:ジメチルアセトアミド/0.1%LiBr)によるキャラクタリゼーションは、該重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn(ポリスチレン基準物に対して表される分子量)を決定することを可能にする:
Mw=15520g/mol
Mn=10960g/mol。
末端基の定量は、16.8meq/kgの残留酸官能基及び1.9meq/kgの残留アミン官能基の含有量を示す。
トリフルオル酢酸及びジューテロ化クロロホルムの1:1(重量)混合物の溶液の1H NMR(ブルカー社300MHz)は、0の残留カプロラクタム含有量(検出不能)及び星形重合体の分岐当たり8.4個のPA6ブロックの平均重縮合度を示す。この添加剤を添加剤Iという。
【0064】
例5:本発明に従う組成物Dの製造
例2に記載した手順を繰り返す。しかしながら、純粋なアジピン酸の粉末を導入しない。さらに、この際、Jeffamine ED2003溶液の代わりに、例4に従って製造された導電性添加剤Iの20重量%水溶液の271.2gを導入する。仕上げ時間は15分である。
このようにして得られた組成物の粘度数、従って該組成物中に存在する熱可塑性重合体の粘度数(上に示した方法に従って決定される)は149mL/gである。アミン末端基と酸末端基は、それぞれ、トリフルオルエタノール/クロロホルム溶媒中での電位差測定により39及び71meq/kgで測定される。
このようにして製造された組成物Dは2重量%の導電性添加剤を含む。
【0065】
例6:本発明に従う組成物Eの製造
製造方法を例5と同様の方法で繰り返すが、この場合には、例4に従って製造された導電性添加剤Iの20重量%水溶液の678gを導入する。仕上げ時間を10分に制限する。このようにして得られた組成物の粘度数、つまり該組成物中に存在する熱可塑性重合体の粘度数(上に示した方法に従って決定される)は152mL/gである。
アミン末端基と酸末端基は、それぞれ、トリフルオルエタノール/クロロホルム溶媒中での電位差測定により40及び71meq/kgで測定される。
このようにして製造された組成物Eは5重量%の導電性添加剤を含む。
【0066】
例7
上記例で製造された組成物又は重合体A、B、C、D及びEをそれぞれ乾燥させ、次いで295℃で再溶融させ、そして紡糸口金から450m/分の速度及び430g/時間の流量(重量)で押し出して12dtexの打込数を有するフィラメントを形成させ、そしてこれらを互いに纏めて14本のフィラメントを含むストランドを形成させる。これらのストランドを、3.5に等しい繊細化比に従い繊細化ユニットで繊細化して、それぞれ7a、7b、7c及び7dと記録されるストランドを生じさせる。
これらのストランドの体積導電率を次のプロトコールに従って測定する:
織物のストランドの体積導電率を「2ポイント」測定法に従って測定する。いくつかのストランドを、添付した図1に表されたスキームに従って導電性の端子間で所定の長さにわたって平行に配置する。
20mmずつ離れた2個のスチール製端子1の間で測定を実施する。これらのストランドの往復数は、一般に5、すなわちトータルで10列のストランド(これは、正確には100本のフィラメントに相当するが、ここで、1本のストランドは10本の個々のフィラメントからなる。)である。検討したストランドの直径は、双眼拡大鏡を使用して予め測定しておく。その正確な長さは、キャリパーで測定する。
測定を、Keithley 617導電率メーターにより20℃の温度条件及び50%の相対湿度の下で100ボルトの印加電圧で実施する。
体積電気抵抗を、装置を直接読みとることによって得る。
体積抵抗率ρ(単位:Ω.cm)を、次の関係:
【数1】

(ここで、
R=体積電気抵抗(Ω)
d=ストランドの直径(cm)
n=ストランドの総数
e=端子間の距離(cm)
である。)
を適用することによって先の測定値から推測する。
最後に、体積導電率σ(単位:S.cm-1又はΩ-1.cm-1)は、正確には、体積抵抗率の逆数である。
これら様々なストランドについて見出された体積導電率の値を以下の表にまとめる。
【0067】
【表1】

【0068】
これらのものを不織布シートの製造のための空気吸入による直接紡糸/繊細化方法によって紡糸するときに、重合体B及びDは、空気繊細化装置後に、支持材表面上のシートとしてフィラメントを付着させる工程中に重合体Aを紡糸することによって得られたフィラメントの反発性と比較して満足のいく性質を得ることを可能にする。
【0069】
例8:本発明に従う添加剤IIの製造
ナイロン6,6を基材とする共重合体を、ヘキサメチレンジアンモニウム塩の64重量%の濃縮水溶液であって、
6mgの消泡剤、
12.945gのJeffamine ED600(ハンストマン社により販売)
3.453gのアジピン酸、
0.345gの酢酸
が添加されたものの240.2gから製造する。
ポリアミドを、溶液を濃縮する工程、その後撹拌オートクレーブ反応器内で重縮合させる工程、それと共に、17.5barの定常圧力段階下でほぼ47分の蒸留工程(最終温度は250℃である)、273℃の最終温度で17.5〜1barのおよそ36分の減圧工程及びほぼ20分の仕上げ工程(最終温度は272℃である)を含む標準的な重合方法に従って製造する。
73mL/gの粘度数を有するナイロン6,6を基材とする共重合体が得られる。
【0070】
例9:本発明に従う添加剤IIIの製造
ナイロン6,6を基材とする共重合体を、ヘキサメチレンジアンモニウム塩の64重量%の濃縮水溶液であって、これに
5mgの消泡剤、
0.6962gのヘキサメチレンジアミン(32.4重量%水溶液)、
0.9216gのアジピン酸、
0.345gの100%酢酸
が添加されたものの240.2gから製造する。
ポリアミドを、撹拌オートクレーブ内で次の方法に従い製造する:溶液を濃縮する工程、その後の重縮合工程、それと共に、17.5barの定常圧力段階下でほぼ47分の蒸留工程(最終温度は250℃である)。この重合を、17.5〜1barの減圧工程で続行し、これを10barで中断して18.5gの70%Jeffamine ED2003(ハンストマン社により販売)水溶液を導入する。正味温度を260℃に維持する。この添加後に減圧を完了させ、減圧工程をおよそ50分続行する。その最終温度は272.4℃である。仕上げ工程をおよそ20分続行し、その最終温度は272℃である。
72mL/gの粘度数を有するナイロン6,6を基材とする共重合体が得られる。
【0071】
例10
繊維又はストランドの製造試験を、以下の表1に示されるように、本発明に従う例1の添加剤なしの重合体A並びに例8及び9に記載された添加剤II及びIIIの異なる濃度を使用して実施した。これらの例において、既知の技術に従って、添加剤II又はIIIを一軸押出器内の重合体Aに添加し、そしてレースの形態で押し出して該レースを裁断することによって顆粒を形成させる。
このようにして得られた組成物又は重合体をそれぞれ乾燥させ、次いで295℃で再溶融させ、そして0.23mmの直径を有する34個の穴を含む紡糸口金から押し出す。紡糸口金穴における該組成物の速度は19.4m/分である。これらのフィラメントを冷気送風機によって紡糸口金の出口で冷却する。これらのフィラメントを、紡糸プロセスにおいて一般的に使用されている排出ガンからなる吸気装置に吸引させる。これらのフィラメントをこのガンから4000m/分の速度で吐出させる。これらのフィラメントをほぼ200の繊細化比に付す。
該ガンから出たフィラメントが帯電しているかどうかを監視しかつ決定するために、フィラメントの流れを、鉛直に対しておよそ45°に傾斜した対象の表面上に垂直に向けた。該対象の表面に対するフィラメントの付着は、帯電の存在を示す。
また、該ガンから出たフィラメントの流れの近くに存在する静電場も、静電気メーター(エレクトロテックシステムズ社により商品名Static Meter型式212の下で販売されている装置)をフィラメント流れの軸線からおよそ3cm(1インチ)に配置することによって決定する。この装置は、アースに接続されており又はアースに接続されていない。測定を両方の構成で実施する。
帯電が存在しないことは、ゼロ前後の静電場によって示される。
本発明の組成物及び添加剤なしのポリアミドで得られた結果を以下の表に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
さらに、金属壁部又は対象の表面に対する付着は、比較試験10Aとは対照的に、本発明の試験については全く観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】ストランドの体積導電率を決定するための装置を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 端子
2 ストランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性重合体を基材とする組成物を複数の紡糸口金であっていくつかの紡糸オリフィスをそれぞれ含むものに送り、得られたフィラメントを空気圧式繊細化装置と繊細化された連続フィラメントをシートに成形する工程とに送ることを含む該組成物のフィラメントの直接溶融紡糸による不織布表面の製造方法において、
熱可塑性重合体を基材とする該組成物は、次の一般式:
【化1】

(式中、
1、R2、R3及びR4は同一又は異なるものであり、2〜18個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素鎖を表し、
5は、400〜200000の分子量を有するポリエーテル基を表し、
A及びBはCO、NH又はO基を表し、ここで、AがCOを表すときにはBはNH又はOを表し、BがCOを表すときにはAはNH又はOを表す。)
に相当する反復単位を含む重合体マトリックス及び/又は変性用高分子添加剤を含み、しかも
該重合体マトリックスは、該添加剤が存在しないとき又は式III若しくはIVの反復単位を含まないときには、反復単位I又はIIの少なくとも一つ及び反復単位III又はIVの少なくとも一つを含むことを特徴とする、不織布表面の製造方法。
【請求項2】
変性用高分子添加剤が組成物中で全組成物の1%〜30%の重量濃度で存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
変性用高分子添加剤が組成物中で全組成物の1%〜15%の重量濃度で存在することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
変性用高分子添加剤が、次式:
【化2】

(式中、
1、R2及びR3は同一又は異なるものであり、そして2〜18個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素鎖を表し、
5は400〜200000の分子量を有するポリエーテル基を表し、
BはCOOH、NH2又はOH官能基を表す。)
の単量体を単官能性連鎖制限化合物の存在下で重合させることによって得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
連鎖制限剤が単官能性の酸及び単官能性のアミンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
単官能性化合物が酢酸、プロピオン酸及びベンジルアミンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式VIIIの単量体が式V及び/又はVI及び/又はVIIの単量体とVIIIの単量体との混合物中で1%〜20%の重量濃度で存在することを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
変性用高分子添加剤が、
・少なくとも1個の熱可塑性ブロック、及び
・少なくとも1個のポリオキシアルキレンブロック
からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
変性用高分子添加剤が、
・少なくとも1個の多官能性コアであって少なくとも3個の同一の反応性官能基を含むものと、該コアに結合した熱可塑性重合体の少なくとも1個の分岐又は少なくとも1個のセグメントとを含む星形又はH形マクロ分子鎖、及び/又は、二官能性コアと、該コアに結合した熱可塑性重合体の少なくとも1個のセグメントとを含む直鎖状マクロ分子鎖によって形成された少なくとも1個の熱可塑性重合体ブロック、並びに
・該熱可塑性重合体ブロックの反応性末端の少なくとも一部分に結合した少なくとも1個のポリオキシアルキレンブロック
を含むことを特徴とする、請求項1〜3又は8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性重合体ブロック間の結合は、
・熱可塑性重合体の分岐又はセグメントの末端及び多官能性コアの末端から選択される星形又はH形マクロ分子鎖の少なくとも1個の遊離末端がポリアルキレンオキシドブロックに結合し、及び/又は
・熱可塑性重合体セグメントの末端及び二官能性コアの末端から選択される直鎖状マクロ分子鎖の少なくとも1個の遊離末端がポリアルキレンオキシドブロックに結合し、ここで、該直鎖状のマクロ分子鎖の2個の遊離末端は、該熱可塑性重合体ブロックがもっぱら直鎖タイプのマクロ分子鎖を含むときにポリアルキレンオキシドに結合している
ものであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
星形マクロ分子鎖が、
・アミン官能基及びカルボン酸官能基から選択される少なくとも3個の同一の反応性官能基を含む多官能性化合物、
・次の一般式(Xa)及び/又は(Xb):
【化3】

の単量体、
・適切な場合には、次の一般式(IX):
Z−R6−Z (IX)
(式中、
・Zは、多官能性化合物の反応性官能基と同一の官能基を表し、
・R12及びR6は同一又は異なるものであり、置換又は非置換の脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素基であって、2〜20個の炭素原子を含み、かつ、ヘテロ原子を含むことができるものを表し、
・Yは、Xがカルボン酸官能基を表すときには第一アミン官能基であり、又は
・Yは、Xが第一アミン官能基を表すときにはカルボン酸官能基である。)
の単量体
を含む単量体の混合物から共重合により得られる星形ポリアミドであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式III及び/又はIVの反復単位の重量濃度が、重合体マトリックスがこれらのものを含むときには、該マトリックスの0.5重量%〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
式III及び/又はIVの反復単位が、2個の反応性末端官能基を含むポリオキシアルキレン単量体と二酸単量体又はラクタムとの反応によって生じることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
式Iの反復単位が、琥珀酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ドデカン二酸及びそれらの混合物よりなる群から選択される二酸と、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン及びm−キシリレンジアミンよりなる群から選択されるジアミンとの反応によって得られることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
式IIの反復単位が、カプロラクタム、アミノウンデカン酸及びアミノドデカン酸よりなる群から選択されるラクタム又はアミノ酸の重縮合によって得られることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−522353(P2007−522353A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550234(P2006−550234)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000125
【国際公開番号】WO2005/080471
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】